JP2004154639A - 二液混合方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】混合むらの発生を極力なくすることを可能とする。
【解決手段】2種類の液体を、予め設定された混合比となうように、各液体に対応する制御弁を制御装置にて開閉制御して、二重筒状をなすプレミキサの内筒内と外筒内とに交互に供給して混合室にて混合する場合に、プレミキサに1サイクルで供給する両液合計の目標総供給量を、プレミキサにおける混合室の容積(例えば50ml)の範囲内で一定量(例えば45ml)となるように設定し、その目標総供給量と混合比(例えばA:B=5:4)とに基づき1サイクルにおける各液の目標供給量を設定するようにした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2種類の液体を、予め設定された混合比となるように、各液体に対応する制御弁を制御手段にて開閉制御して、予め設定された量ずつ二重筒状をなすプレミキサの内筒内と外筒内とに交互に供給して混合室にて混合するようにした二液混合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の混合方法を用いた例えば二液塗装装置において、予め設定された混合比となるように混合するには、各液を正確に計量してプレミキサに供給すれば正確な比率で混合することができるのであるが、一般に用いられている塗料のように可燃性の液体の供給と停止を制御する制御弁としては、防爆上の理由から電磁弁を用いて直接制御弁を開閉することができず、空圧駆動式の制御弁が用いられることが多い。しかしながら、空圧駆動式の制御弁を用いた場合、制御弁を制御する制御装置が制御信号を発してから制御弁が実際に開閉動作するまでに遅れ時間が生じてしまうため、正確な定量制御は困難である。
【0003】
そこで、このようなことに対処するために、一方の液を供給し、その供給量を基準にして、もう一方の液の供給量を演算し、その演算した供給量を供給するようにすることで、混合比を一定にしようとする制御が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、例えば制御弁を閉鎖制御する際に、制御弁の作動遅れ時間を見越して、制御弁を閉鎖する停止信号を早めに発するように制御することで、混合比を一定にしようとする方法も行われている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特許第3192286号公報(段落番号[0007]、図3)
【0006】
【特許文献2】
特許第314471号公報(段落番号[0005])
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来においては、プレミキサに1サイクルで供給する各液の目標供給量は、プレミキサにおける混合室の容積との関係では設定されていない。このため、1サイクルでの2液の供給量の合計が混合室の容積をオーバーしたり、逆に、混合室の容積に対して著しく少なくなったりすることがあり得る。このとき、1サイクルでの2液の供給量の比率が正確であったとしても、1サイクルでの2液の供給量の合計が混合室の容量をオーバーする場合には、プレミキサの先に設けられたスプレイガン(吐出弁)による混合液の吐出時に、混合が不十分な液が吐出されることがあり、吐出液が混合むらになりやすい。逆に、1サイクルでの2液の供給量の合計が混合室の容積に対して著しく少ない場合には、混合室内で混合むらになりやすいという問題点があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、混合むらの発生を極力なくすることが可能な二液混合方法を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、2種類の液体を、予め設定された混合比となるように、各液体に対応する制御弁を制御手段にて開閉制御して、二重筒状をなすプレミキサの内筒内と外筒内とに交互に供給して混合室にて混合するようにした二液混合方法において、前記プレミキサに1サイクルで供給する両液合計の目標総供給量を、前記混合室の容積の範囲内で一定量となるように設定し、その目標総供給量と前記混合比とに基づき1サイクルにおける各液の目標供給量を設定するようにしたことを特徴とする。
【0010】
上記した手段によれば、1サイクルでプレミキサに供給される2液の供給量の合計は、混合室の容積の範囲内で一定量となるように設定されているから、1サイクルでの総供給量が、混合室の容積をオーバーしたり、混合室の容積に対して著しく少なくなったりすることがなく、よって、混合むらの発生を極力なくすることが可能となる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、流量計により測定された一方の液体の1回の実測供給量が、1回に供給すべき目標供給量に対して少ない場合で、かつ前記目標供給量に対して予め設定された許容範囲を下回った場合に、その一方の液体について不足分を追加補正することを特徴とする。
上記した手段によれば、一方の液体の不足分を追加補正することで、1サイクルでの2液の実際の供給量の合計を極力一定量にすることができ、混合むらの発生を一層なくすることが可能となる。
【0012】
請求項3の発明は、上記請求項2の発明において、前記一方の液体の追加補正は、他方の液体の供給途中にその供給を一時停止させて行うことを特徴とする。これによれば、一方の液体の追加補正を、他方の液体を目標供給量分供給した後に行う場合に比べて、一層混合むらが発生し難くなる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記プレミキサに1サイクルで供給する両液合計の目標総供給量は、前記混合室の容積の60〜95%であることを特徴とする。これによれば、プレミキサに1サイクルで供給する両液合計の総供給量が、混合室の容積をオーバーしたり、混合室の容量に対して著しく少なくなったりすることを確実に防止できるようになる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、1サイクルにおける両液の実測供給量の合計が、予め設定された上限値を超えた場合には、警報を発することを特徴とする。これによれば、作業者は、その警報により、1サイクルにおける両液の実測供給量の合計が、予め設定された上限値を超えたことがわかる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例について図面を参照して説明する。
まず、図2には、二液混合装置として二液塗装装置の概略構成がブロック図によって示されている。この図2において、第1液供給源1は、第1液として塗料を供給するためのものであり、塗料を収容するタンクやその塗料を圧送するポンプを備えて構成されている。また、第2液供給源2は、第2液として例えば硬化剤を供給するためのものであり、硬化剤を収容するタンクやその硬化剤を圧送するポンプを備えて構成されている。
【0016】
第1液供給源1に接続された液流路3は、流量計4及び制御弁5を順に介してプレミキサ6の一方の入口に接続されている。また、第2液供給源2に接続された液流路7は、流量計8及び制御弁9を順に介してプレミキサ6の他方の入口に接続されている。このうち、流量計4,8は共に例えば容積型のもので、各液流路3,7を流れる液体の流量を例えば0.1mlずつカウントし、そのカウントごとにパルス信号を発信し、そのパルス信号が、制御手段を構成する制御装置10に入力される。制御装置10はマイクロコンピュータにより構成されている。制御弁5,9は共に空圧駆動式のものであり、上記制御装置10の制御信号により開閉制御される。
【0017】
上記プレミキサ6は、外筒11内に、複数の吐出孔12aを有する内筒12を収容した構成の二重筒状をなしていて、内筒12の外面と外筒11の内面との間の空間部を混合室13としている。上記第1液供給源1に接続された液流路3の先端は混合室13に連通していて、第1液供給源1から供給された塗料は、その混合室13内に供給される。上記第2液供給源2に接続された液流路7の先端は内筒12内に連通していて、第2液供給源2から供給された硬化剤は、その内筒12内に供給された後、各吐出孔12aから混合室13内に吐出され、そこで塗料と混合されるようになる。なお、プレミキサの具体的な構成としては、特開平11−347460号公報(第2頁、図2)参照。
【0018】
プレミキサ6の出口には、塗料と硬化剤とを撹拌して一層均一に混合するためのスタティックミキサ14が接続され、このスタティックミキサ14の出口に、混合液供給路15を介して、吐出手段としての塗装用のスプレイガン16が接続されている。従って、スプレイガン16を吐出操作すると、塗料と硬化剤とが混合された混合液がスプレイガン16の吐出口から吐出される。なお、上記制御装置10は、アラーム17も制御するようになっている。
【0019】
ここで、上記構成の二液塗装装置としては、混合液供給路15に例えば吐出量が300[ml/min]のスプレイガン16が3丁接続され、平均の吐出量が1000[ml/min]以下の仕様のものである。この場合、プレミキサ11における混合室13の容積は50mlである。そして、1サイクルにおける2液の目標供給量の合計を目標総供給量とし、この目標総供給量を、混合室13の容積50mlの例えば90%である45mlに設定する。塗料と硬化剤の混合比を例えば5:4とすると、1サイクルにおける塗料の目標供給量Aは25ml、硬化剤の目標供給量Bは20mlに設定される。
【0020】
制御装置10に、混合室13の容積が50mlであること、目標総供給量が45mlであること、混合比が5:4であることなどを入力すると、制御装置10は、1サイクルにおける塗料の目標供給量A(25ml)と、硬化剤の目標供給量B(20ml)を演算して設定する。そして、制御装置10は、スプレイガン16の吐出操作に基づき、塗料と硬化剤とを、混合比が5:4となるように、各制御弁5,9を開閉制御して、上記目標供給量A,Bずつ交互にプレミキサ6に供給する。この場合、1サイクルでは、目標供給量が少ない硬化剤をまず供給し、次に塗料を供給するようにする。
【0021】
ここで、図3には、制御装置10の制御信号と流量計4,8のパルス信号とを用いた動作説明図を示している。この図3の(1)〜(4)において、(イ)は、制御装置10による制御弁9に対する制御信号(供給信号)を示し、(ロ)は、流量計8が発するパルス信号を示し、(4)において、(ハ)は、制御装置10による制御弁5に対する制御信号(供給信号)を示し、(二)は、流量計4が発するパルス信号を示す。
【0022】
制御装置10が硬化剤側の制御弁9を制御する際に、図3(1)に示すように、供給信号をオフ(供給停止信号)しても、制御弁9は直ぐには閉鎖せず、制御弁9が実際に閉鎖するまで、硬化剤が供給されて流量計8のパルス信号が発せられることになる。
【0023】
そこで、本実施例においては、上記遅れ分のパルス信号のパルス数S1を予め計測しておき、(2)に示すように、そのパルス数S1分だけ、早めに供給信号をオフ(供給停止信号)するように制御することで、硬化剤の実測供給量bを、目標供給量Bに一致(b=B)させることが可能となる。
【0024】
ところが、このときスプレイガン16の吐出量が変化することにより、液流路7を流れる硬化剤の流速が変化するため、供給信号をオフしてから制御弁9が実際に閉鎖するまでの間のパルス数S1も変化してしまう。特に、スプレイガン16の吐出量が少なく、硬化剤の流速が小さい場合には、(3)に示すように、供給信号をオフしてから制御弁9が実際に閉鎖するまでの間のパルス数が少なく、硬化剤の実測供給量bが目標供給量Bに対してb1分(b1=B−b)不足する場合がある。
【0025】
このような場合において、実測供給量bが、目標供給量Bに対して予め設定されている範囲(γ%)を下回る場合、つまり、[B−(B×γ/100)]>bのときには、制御装置10は上記不足分b1の追加補正を行う。なお、実測供給量bが、目標供給量Bに対して予め設定されている範囲(γ%)内である場合には、その追加補正は行わない。
【0026】
上記不足分b1の追加補正は、(4)に示す方法にて行う。すなわち、硬化剤の供給信号をオフしたら、塗料の供給を行うべく、塗料の供給信号((ハ)参照)を出して制御弁5を開放させる。すると、第1液供給源1から塗料の供給が開始され、これに伴い塗料側の流量計4のパルス信号が発せられる((ニ)参照)。そして、塗料の供給信号を発してから所定時間t1(例えば0.5秒)が経過したら、塗料側の供給信号を一時停止させると共に、硬化剤側の供給信号を、上記不足分b1に対応する追加時間Δtのみ発する。このとき、塗料側の供給信号を一時停止させることに伴い、塗料の供給が一時停止され、硬化剤側の供給信号を発することに伴い、硬化剤の不足分b1が追加供給される。制御装置10は、硬化剤の追加補正を行った後、再度、塗料側の供給信号を発して、塗料の残り分を供給するように制御する。
【0027】
このような制御を行うことにより、図1に示すように、1サイクルでの硬化剤の実測供給量bを目標供給量Bに一致させると共に、塗料の実測供給量aを目標供給量Aに一致させることが可能となり、従って、2液の実測供給量の合計(a+b)を、各サイクル(回数)ごとに極力、目標総供給量(45ml)に一致させることが可能となる。
【0028】
なお、硬化剤を供給した際の実測供給量bが、目標供給量Bよりも多く、かつ、目標供給量Bに対して予め設定されている範囲(γ%)を上回る場合、つまり、[B+(B×γ/100)]<bのときには、比率制御により、塗料の目標供給量Aを演算により求め、塗料をその目標供給量A分供給するように制御することで、混合比を一定にする。
【0029】
また、制御装置10は、1サイクルでの硬化剤の実測供給量bと塗料の実測供給量aとの合計(b+a)が予め設定された上限値、この場合、混合室13の総容積である50mlを超えた場合には、アラーム17により警報を発する。
【0030】
上記した実施例においては、プレミキサ6に1サイクルで供給する両液合計の目標総供給量を、混合室13の容積(50ml)の範囲内で一定量(45ml)となるように設定し、その目標総供給量と混合比とに基づき1サイクルにおける各液の目標供給量A,Bを設定するようにしたので、1サイクルでの2液の合計の総供給量(a+b)が、混合室13の容積をオーバーしたり、混合室13の容積に対して著しく少なくなったりすることがなく、よって、混合むらの発生を極力なくすることが可能となる。
【0031】
流量計8により測定された硬化剤の1回の実測供給量bが、1回に供給すべき目標供給量Bに対して少ない場合で、かつ前記目標供給量Bに対して予め設定された許容範囲(γ%)を下回った場合に、その硬化剤について不足分b1を追加補正することにより、1サイクルでの2液の実際の供給量の合計(a+b)を極力一定量にすることができ、混合むらの発生を一層なくすることが可能となる。
【0032】
この場合、その硬化剤の追加補正は、他方の液体である塗料の供給途中にその供給を一時停止させて行うようにしているので、硬化剤の追加補正を、塗料の液体を目標供給量A分供給した後に行う場合に比べて、一層混合むらが発生し難くなる。
【0033】
1サイクルにおける2液の実測供給量の合計(a+b)が、予め設定された上限値(50ml)を超えた場合に警報を発することにより、作業者は、1サイクルにおける両液の実測供給量の合計が予め設定された上限値を超えたことがわかる。
【0034】
1サイクルにおける2液の目標供給量の合計である目標総供給量は、プレミキサ6における混合室13の容積の60〜95%の範囲に設定することが好ましい。目標総供給量を、混合室13の容積の95%を超える範囲で設定した場合には、実際に供給される供給量の合計が、混合室13の容積を超えやすくなってしまう。逆に、目標総供給量を、混合室13の容積の60%未満に設定した場合には、混合室13内で混合むらが発生し易くなってしまう。
【0035】
本発明は、上記した実施例にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。
混合する液体としては塗料と硬化剤とに限られず、例えば接着剤と硬化剤、或いは他の液体同士を混合する場合にも適用できる。
流量計4,8としては、容積型に限られず、重量式、静電容量式、磁力式などでも良い。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、プレミキサに1サイクルで供給する両液合計の目標総供給量を、プレミキサにおける混合室の容積の範囲内で一定量となるように設定し、その目標総供給量と混合比とに基づき1サイクルにおける各液の目標供給量を設定するようにしたので、1サイクルでの2液の合計の総供給量が、混合室の容積をオーバーしたり、混合室の容積に対して著しく少なくなったりすることがなく、よって、混合むらの発生を極力なくすることが可能となるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、各サイクルでの2液の供給量の合計を示す図
【図2】二液塗装装置の概略構成を示すブロック図
【図3】(1)〜(4)は制御装置の制御信号と流量計のパルス信号とを用いた動作説明図
【符号の説明】
図面中、1は第1液供給源、2は第2液供給源、4,8は流量計、5,9は制御弁、6はプレミキサ、10は制御装置(制御手段)、11は外筒、12は内筒、13は混合室、14はスタティックミキサ、16はスプレイガン、17はアラームを示す。

Claims (5)

  1. 2種類の液体を、予め設定された混合比となるように、各液体に対応する制御弁を制御手段にて開閉制御して、二重筒状をなすプレミキサの内筒内と外筒内とに交互に供給して混合室にて混合するようにした二液混合方法において、
    前記プレミキサに1サイクルで供給する両液合計の目標総供給量を、前記混合室の容積の範囲内で一定量となるように設定し、その目標総供給量と前記混合比とに基づき1サイクルにおける各液の目標供給量を設定するようにしたことを特徴とする二液混合方法。
  2. 流量計により測定された一方の液体の1回の実測供給量が、1回に供給すべき目標供給量に対して少ない場合で、かつ前記目標供給量に対して予め設定された許容範囲を下回った場合に、その一方の液体について不足分を追加補正することを特徴とする請求項1記載の二液混合方法。
  3. 前記一方の液体の追加補正は、他方の液体の供給途中にその供給を一時停止させて行うことを特徴とする請求項2記載の二液混合方法。
  4. 前記プレミキサに1サイクルで供給する両液合計の目標総供給量は、前記混合室の容積の60〜95%であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の二液混合方法。
  5. 1サイクルにおける両液の実測供給量の合計が、予め設定された上限値を超えた場合には、警報を発することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の二液混合方法。
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