JP2004153982A - ブラシ保持装置及び回転電機 - Google Patents
ブラシ保持装置及び回転電機 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004153982A JP2004153982A JP2002319444A JP2002319444A JP2004153982A JP 2004153982 A JP2004153982 A JP 2004153982A JP 2002319444 A JP2002319444 A JP 2002319444A JP 2002319444 A JP2002319444 A JP 2002319444A JP 2004153982 A JP2004153982 A JP 2004153982A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- brush
- locking
- commutator
- coil spring
- holding device
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Motor Or Generator Current Collectors (AREA)
Abstract
【課題】本発明の目的は、簡易な構成で、ブラシ組付けの際に、ブラシが整流子及び周辺部品に干渉することを防止すると共に、回転電機作動時に、異音及びブラシ摺動不良を生じることのない、ブラシ保持装置及び回転電機を提供することにある。
【解決手段】本発明は、整流子93に摺接するブラシ40と、ブラシ40を整流子93側へ付勢するブラシ付勢手段50と、ブラシ付勢手段50及びブラシ40を収容するブラシホルダ30とを備えたブラシ保持装置に関する。
ブラシホルダ30には、ブラシ付勢手段50のブラシ40との接触側端部を係止する係止部30aが形成され、ブラシ付勢手段50には、係止部30aと係合する係止手段51が形成され、この係止手段51が、係止部30aに係止されることにより、ブラシ40の整流子93側への付勢が一時的に阻止される。
【選択図】 図3
【解決手段】本発明は、整流子93に摺接するブラシ40と、ブラシ40を整流子93側へ付勢するブラシ付勢手段50と、ブラシ付勢手段50及びブラシ40を収容するブラシホルダ30とを備えたブラシ保持装置に関する。
ブラシホルダ30には、ブラシ付勢手段50のブラシ40との接触側端部を係止する係止部30aが形成され、ブラシ付勢手段50には、係止部30aと係合する係止手段51が形成され、この係止手段51が、係止部30aに係止されることにより、ブラシ40の整流子93側への付勢が一時的に阻止される。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラシ保持装置及び回転電機に係り、特に、ブラシ付勢手段によってブラシが整流子側に付勢されることを、一時的に阻止するブラシ付勢手段仮保持手段を有するブラシ保持装置及び回転電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、直流型の回転電機には、整流子に摺接するブラシと、このブラシを整流子側へ付勢するブラシ付勢手段としてのコイルスプリングと、ブラシ及びコイルスプリングを収容するブラシホルダが配設されたブラシ保持装置が用いられている。
【0003】
かかるブラシ保持装置においては、コイルスプリングがブラシを整流子側へ付勢することによって、ブラシが整流子に摺接し、回転電機の作動を可能としている。
【0004】
ところが、ブラシは、コイルスプリングにより、整流子が取付けられる側に常に付勢されている。従って、ブラシをブラシホルダに組付ける際、コイルスプリングによる整流子方向への加圧によって、ブラシが整流子及び周辺部品に干渉し、ブラシの先端が欠ける等の不具合が生じていた。
また、このブラシの先端の欠けが生じると、ブラシが整流子との摺接により振動し、これによってブラシ異音が発生するという問題があった。
【0005】
そこで、ブラシ組付けの際、ブラシ付勢手段による加圧によって、ブラシが整流子及び周辺部品と干渉するという不具合を防止するために、ブラシをブラシホルダに一時的に保持するブラシ仮保持手段及びコイルスプリングをブラシホルダに一時的に保持するブラシ付勢手段仮保持手段が知られている。
【0006】
ブラシ仮保持手段としては、ブラシホルダ外部にピッグテールを引掛けるための治具を装着し、その治具とピッグテールを係合させることにより、ブラシを仮保持するものが知られている。
【0007】
また、ブラシ仮保持手段としては、ブラシホルダ内面に凸部を形成し、ブラシの外側面には、ブラシホルダ内面の凸部に係合する凹部を設けて、両者を係合させ、ブラシを仮保持する手段が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
また、ブラシ付勢手段仮保持手段としては、コイルスプリングの加圧が、ブラシに伝達されることを阻止するため、ブラシホルダ内壁のブラシとコイルスプリングとの間に、コイルスプリングを保持するための係止爪を立設し、コイルスプリングを仮保持して、コイルスプリングがブラシを押圧することを一時的に阻止する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】
実願昭61−176795号(実開昭63−83966号公報)の全文明細書および図面(第5頁、第6頁、図3)
【特許文献2】
特開2002−51509(第5頁、図7)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のブラシ仮保持手段のうち、治具を使用するものにおいては、治具設置作業及び仮保持作業工程が必要であり、また、治具とピッグテールの係合による、ピッグテールの細線の引掛りが発生し、ブラシの摺動不良を生じさせる原因となっていた。
【0011】
また、上記ブラシ仮保持手段のうち、ブラシホルダ内壁及びブラシに凹凸部を加工するものにおいては、回転電機作動時にブラシがブラシ内壁加工部と接触し、摺動不良を生じさせる原因となっていた。
【0012】
また、上記ブラシ付勢手段仮保持手段においては、ブラシホルダ内部のブラシとコイルスプリングとの間に係止爪を立設するため、ブラシホルダの構造が複雑になり、ブラシホルダ製造コストが高いものとなっていた。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡易な構成で、ブラシ組付けの際に、ブラシが整流子及び周辺部品と干渉することを防止すると共に、回転電機作動時に、異音及びブラシ摺動不良を生じることのない、ブラシ保持装置及び回転電機を提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、ブラシ付勢手段の仮保持状態を、簡易にかつ確実に解除でき、解除後は、仮保持手段がブラシの摺動に影響を与えない、ブラシ保持装置及び回転電機を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、請求項1に記載のブラシ保持装置によれば、整流子に摺接するブラシと、該ブラシを前記整流子側へ付勢するブラシ付勢手段と、該ブラシ付勢手段及び前記ブラシを収容するブラシホルダと、を備え、前記ブラシホルダには、前記ブラシ付勢手段の前記ブラシとの接触側端部を係止する係止部が形成され、前記ブラシ付勢手段には、前記係止部と係合する係止手段が形成され、該係止手段が前記係止部に係止されることにより、前記ブラシの整流子側への付勢が一時的に阻止されること、により解決される。
【0016】
このように、ブラシホルダに、ブラシ付勢手段のブラシ接触側端部を係止する係止部を形成し、ブラシ付勢手段を係止することにより、ブラシ付勢手段からブラシに、整流子側への付勢力が加わることを防止できるため、ブラシ組付け時等における、ブラシの整流子及び周辺部品への干渉を防止することができる。
【0017】
また、ブラシ組付けの際に、ブラシの整流子及び周辺部品への干渉を防止することによって、ブラシが整流子及び周辺部品に干渉することにより生じるブラシ欠け等の不具合を防止する事ができる。
【0018】
このとき、請求項2に記載のブラシ保持装置のように、請求項1に記載のブラシ保持装置において、前記ブラシ付勢手段はコイルスプリングからなり、前記係止手段は前記コイルスプリング径より外側に突出して形成されていると、係止手段であるコイルスプリングの突出部をブラシホルダの係止部に容易に係止させることができ、ブラシ付勢手段を治具を用いて仮保持する等の処置が不必要となるので好適である。
【0019】
また、請求項3に記載のブラシ保持装置のように、請求項2に記載のブラシ保持装置において、前記係止手段が前記コイルスプリングの周方向に回動されて前記係止部よりはずれることにより、前記ブラシが前記コイルスプリングによって付勢されると、係止解除の際に、使用した治具を取り除く等の処置が不要となり、治具の置き忘れ等の懸念もなくなるので好適である。
【0020】
また、請求項4に記載のブラシ保持装置のように、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のブラシ保持装置において、前記係止部は、外部電源供給装置より前記ブラシに電流を供給するピッグテールが移動する案内孔端部に形成されていると、ブラシホルダに複雑な係止部を成型することが不要となり好適である。
【0021】
また、請求項5に記載のブラシ保持装置のように、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のブラシ保持装置において、前記係止部は、外部電源供給装置より前記ブラシに電流を供給するピッグテールが移動する案内孔端部に形成され、前記係止部より係止解除された前記係止手段が、前記案内孔内を移動可能であると、係止手段としてのコイルスプリング突出部が係止解除された後においても、係止部に係止するコイルスプリング突出部が、コイルスプリング及びブラシの摺動を阻害することがないので好適である。
【0022】
また、請求項6に記載の回転電機は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のブラシ保持装置を用いているので、ブラシ組付け時において、ブラシ付勢手段を一時的に係止させることができ、これによりブラシが整流子及び周辺部品に干渉することを防止できるため、ブラシの欠けを防止することが可能となる。
また、ブラシ組付け時において、ブラシの欠けを防止できるので、回転電機作動時における異音を防止することが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
【0024】
図1乃至図7は本発明の一実施形態を示す図で、図1は回転電機の構成を示す側面断面図、図2はブラシ付勢手段仮保持状態時のブラシ保持装置周辺の構成を示す上面図、図3はブラシ付勢手段仮保持状態時のブラシホルダ周辺を示す説明図、図4はブラシ付勢手段仮保持状態時のブラシホルダの後端視図、図5はブラシ付勢手段仮保持状態時のブラシホルダの係止部付近を立体的に示した概略説明図、図6はブラシ付勢手段仮保持状態解除時のブラシ保持装置周辺の構成を示す上面図、図7はブラシ付勢手段仮保持状態解除時のブラシホルダの後端視図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係る回転電機100は、ヨーク60と、フロントフレーム70と、ハウジング80と、電機子90と、ブラシホルダプレート10を有して構成されている。
【0026】
ヨーク60は、円筒状の中空体で形成されており、電機子90等を収容するものである。ヨーク60の内周面には、断面略扇形状からなる磁石で形成された固定子61が周設されている。
【0027】
フロントフレーム70は、上述のブラシホルダプレート10を保持する。
フロントフレーム70の出力側には、軸受72を収容するための凹状の軸受収容部71が形成されている。
【0028】
ハウジング80は、有底円筒形状に形成されており、ヨーク60を収容する。ハウジング80の底部には、軸受収容部81が膨出するように形成され、この軸受収容部81には、軸受82が収容されている。
【0029】
電機子90は、回転軸91を有し、軸受72、82によって回転自在に軸支されている。回転軸91の中央部分には、コア鉄心92が固設され、回転軸91のブラシホルダプレート10側の部分には、整流子93が配設されている。
【0030】
コア鉄心92には、巻線94が巻回されており、この巻線94の端部は、整流子93と電気的に接続されている。整流子93は、ブラシホルダプレート10に保持されたブラシ40と摺接可能に配設され、ブラシ40から供給された電流を整流して巻線94に供給するように構成されている。
【0031】
ブラシホルダプレート10は、図2に示すように、プレート部材20と、ブラシホルダ30を有して構成され、ブラシホルダ30にはブラシ40と、ブラシ付勢手段としてのコイルスプリング50が配設されている。フロントフレーム70にこれらブラシホルダプレート10,ブラシ40等が組み付けられることによりブラシ保持装置が構成されている。
【0032】
プレート部材20は、板状体で形成され、回転電機100に配設されたフロントフレーム70に固定されるものである。プレート部材20の中央部には、整流子93が挿入される貫通孔21が形成されており、この貫通孔21を挟んだ両側の部分には、一対のブラシホルダ30が対向配置されている。
【0033】
ブラシホルダ30は、プレート部材20と一体に成形加工されることにより形成されており、図3、図4に示すように断面四角形状からなる中空部31が整流子93の半径方向外側へ向けて形成されてなる中空体で構成されている。
【0034】
ブラシホルダ30の中空部31には、整流子93側から順に、ブラシ40と、コイルスプリング50が収容されており、図3に示すように、ブラシホルダ30の整流子93と反対側の開口部32には、ストッパ部材33が装着されている。
【0035】
ブラシホルダ30の上面には、ブラシ40の摺動方向に沿って、ピッグテール41が移動する案内孔としてのスリット34が形成されている。このピッグテール41は、図示しない外部電源供給装置からブラシ40へ電流を供給する。
【0036】
スリット34の開口部側端部には、図3に示すように、スリット34に対して略垂直に曲折した段差からなる係止部30aが形成されている。
この係止部30aのブラシホルダ側面側端部は、略垂直に曲折して、ストッパ部材33方向へ伸びている。
なお、この段差は、スリット34に対して略垂直に曲折した段差に限らず、鋭角に曲折した段差として構成されていてもよい。
【0037】
ブラシ40は、略矩形形状からなる電極部材で形成され、図3に示すブラシホルダ30の中空部31内に移動可能に収容されている。ブラシ40の上面には、ピッグテール41が配設されている。
【0038】
ブラシ40の整流子93と反対側の部分には、整流子93のR方向への回転によってブラシ40が力を受ける方向に向かうに従って、整流子93の半径方向外側へ向かう傾斜面42が形成されている。このブラシ40が力を受ける方向とは、図3に矢印で示すX方向である。
【0039】
コイルスプリング50は、ワイヤをらせん状に形成した一般的なコイルスプリングであって、ブラシ加圧側の最初の1ターンの端部が、コイルスプリング50外径より突出した、係止手段としての突出部51を備えている。
【0040】
図4は、突出部51が係止部30aに係止された状態を、ブラシホルダの後端より見た図であり、図5は、突出部51が係止部30aに係止された状態を立体的に記した概略説明図である。
【0041】
図4及び図5に示すように、係止部30aは、突出部51を係止することによってコイルスプリング50を固定し、ブラシ40へのコイルスプリング50からの付勢を断ち、ブラシ40に整流子93方向への付勢力が付加されるのを阻止する。
【0042】
また、係止部30aにより仮保持されたコイルスプリング50の仮保持解除は、突出部51を回動させ、ブラシホルダ30のスリット34内へ位置させることにより行われる。
【0043】
仮保持が解除された突出部51は、ブラシホルダ30のスリット34中を通過可能であり、ブラシの摺動に付随してスリット34中を移動する。
【0044】
このとき、図6に示すように、突出部51は、ブラシホルダ30のスリット34内に解放された状態となる。
図7に、突出部51がスリット34内に解放されたブラシホルダ30の後端視を示す。図7では、スリット34内に、突出部51が解放された状態を実線で示している。また、突出部51が係止部30aに係止され、仮保持された状態を破線で示している。
このように、ブラシ仮保持が解除されることにより、コイルスプリング50が整流子93方向へと伸長し、ブラシ40の傾斜面42にコイルスプリング50が圧接することが可能となる。
【0045】
コイルスプリング50がブラシ40の傾斜面42に圧接すると、ブラシ40はコイルスプリング50により整流子93方向へと付勢され、ブラシの整流子93側先端部は、整流子93と摺接する。
【0046】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(イ) 図3に示すように、本実施形態に係るコイルスプリング50において、突出部51をコイルスプリング50の外径より突出させた。
【0047】
これにより、突出部51を、係止部30aに係止して、一時的にコイルスプリング50を仮保持することが可能となるので、ブラシホルダ30内部に特別な構造を形成することなく、ブラシホルダ30に係止部30aを設けるという非常に簡易な構成で、ブラシ組付け時にブラシ40が整流子93及び周辺部品に干渉することを防止することが可能となる。
【0048】
(ロ)また、上述のように、ブラシホルダ30にコイルスプリング50を係止できる係止部30aが形成されるため、コイルスプリング50を係止するための特別な治具を必要とせず、治具の設置及び取外し及び置き忘れ等無く、ブラシ組付けを実施することが可能となる。
【0049】
(ハ)また、従来のように、治具にピッグテール41を引掛けてブラシ40を仮保持することを行わないため、ピッグテール41の細線の引掛りによるブラシ摺動不良を回避することが可能となる。
【0050】
(ニ)また、ブラシ付勢手段仮保持を解除し、整流子93方向への付勢力をブラシに付加するためには、突出部51を、ブラシホルダ30のスリット34方向へ回動させればよいので、非常に簡易な方法により、確実に仮保持解除することが可能となる。
【0051】
(ホ)また、ブラシ付勢手段仮保持を解除すると、図6に示すように、突出部51は、ブラシホルダ30のスリット34内に解放されるため、スリット34内をブラシの摺動に付随して移動することができる。従って、コイルスプリング50を仮保持するために設けられた突出部51によって、コイルスプリング50及びブラシ40が摺動不良を起こすことなく、コイルスプリング50及びブラシ40を摺動させることが可能となる。
【0052】
(へ)また、本実施形態の回転電機100は、上記係止部30aが配設されたブラシホルダプレート10を用いて構成されているので、ブラシ組付け時に発生する、ブラシ40の欠けを防止することができ、ブラシ40の摺動不良による異音を防止することが可能となる。
また、ブラシノイズを低減させることが可能となる。
【0053】
なお、本発明の実施の形態は、以下のように改変することができる。
(a)本実施形態では、突出部51を、コイルスプリング50の1ターンに形成したが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0054】
例えば、2ターン以降に、コイルスプリング50に係止部30aと係止するための棒状の突起部を形成してもよい。
その際、ブラシ40がコイルスプリング50により付勢されない位置に、係止部30aと係止するための突起部を形成する必要がある。
【0055】
このように形成されていても、ブラシ40は、コイルスプリング50より整流子93方向に付勢力を付加されることはないので、ブラシ組付け時に、ブラシ40が整流子93及び周辺部品に干渉することを防止することが可能である。
【0056】
(b)本実施形態では、突出部51を直線状に形成したが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0057】
例えば、突出部51を鉤状に直角に曲げて形成し、係止部30a上部に、鉤状の先端部を引掛けて固定するような形状としてもよい。
【0058】
このように形成されている場合、突出部51が、係止部30aに、より確実に係止するため、突出部51の滑り等によって、コイルスプリング50の仮保持が解除されることを防ぐことが可能である。
【0059】
(c)本実施形態では、係止部30aと突出部51との係止部位面は平面に形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0060】
例えば、突出部51を係合させるための溝を、係止部30aに形成してもよいし、突出部51の可動を防止するためのストッパとしての突起を設けてもよい。
その際、ブラシ付勢手段仮保持解除のためのコイルスプリング50の回動を阻害しない溝及びストッパを形成することが必要である。
【0061】
このように形成されている場合、突出部51が、係止部30aに、より確実に係合するため、突出部51の滑り等によって、コイルスプリング50の仮保持が解除されることを防ぐことが可能である。
【0062】
上記各実施の形態から把握できる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果と共に記載する。
【0063】
(1)前記ブラシ付勢手段に形成された前記係止手段は、先端部が鉤状に直角に湾曲した形状であることを特徴とする請求項1に記載のブラシ保持装置。
【0064】
このように形成されていると、係止手段が、係止部により確実に係止し、係止手段の滑り等によりブラシ付勢手段の仮保持が解除されることを防止することが可能となる。
【0065】
(2)前記係止部は、前記ブラシ付勢手段に形成された前記係止手段と係合する溝を備えたことを特徴とする請求項1のブラシ保持装置。
【0066】
このように形成されていると、係止手段としての突出部が、係止部により確実に係合し、突出部の滑り等によりブラシ付勢手段の仮保持が解除されることを防止することが可能となる。また、ブラシ付勢手段の突出部に改変を加えていないため、ブラシ摺動時に、摺動不良を起こす可能性もない。
【0067】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のブラシ保持装置によれば、ブラシ付勢手段を簡易な構造で仮保持することができ、ブラシ取付け時等に、ブラシが整流子及び周辺部品に干渉することを防止する事ができる。これにより、ブラシ取付け時等に生じるブラシの欠け等の不具合を防止できる。
【0068】
また、上述のように、ブラシ保持装置のブラシ付勢手段仮保持手段が、簡易なものであり、治具等の特別な部材を必要としないため、ブラシ取付け等を容易に実施できる。
【0069】
また、本発明のブラシ保持装置によれば、上記ブラシ付勢手段仮保持手段を用いているので、ブラシホルダ内部に特殊な加工を施さずに、ブラシ付勢手段を仮保持することができる。これにより、ブラシ及びブラシ付勢手段の仮保持手段として、ブラシ及びブラシホルダに特殊な構造を付与したために起こりうるブラシの摺動不良等が生じることがなくなり、特殊な構造を付与するためのコストも削減できる。
【0070】
また、本発明の回転電機によれば、上記ブラシ保持装置を用いているので、ブラシの欠け等の不具合が防止され、ブラシ摺動時の不良を起こすこともないので、ブラシ摺動時の異音を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る回転電機の構成を示す側面断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るブラシ付勢手段仮保持状態時のブラシ保持装置周辺の上面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るブラシ付勢手段仮保持状態時のブラシホルダ周辺の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るブラシ付勢手段仮保持状態時のブラシホルダの後端視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るブラシ付勢手段仮保持状態時のブラシホルダの係止部付近の概略説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るブラシ付勢手段仮保持状態解除時のブラシ保持装置周辺の上面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るブラシ付勢手段仮保持状態解除時のブラシホルダの後端視図である。
【符号の説明】
10 ブラシホルダプレート、20 プレート部材、21 貫通孔、30 ブラシホルダ、30a 係止部、31 中空部、32 開口部、33 ストッパ部材、34 スリット、40 ブラシ、41 ピッグテール、42 傾斜面、50 コイルスプリング、51 突出部、60 ヨーク、61 固定子、70 フロントフレーム、71,81 軸受収容部、72,82 軸受、80 ハウジング、90 電機子、91 回転軸、92 コア鉄心、93 整流子、94 巻線、100 回転電機
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラシ保持装置及び回転電機に係り、特に、ブラシ付勢手段によってブラシが整流子側に付勢されることを、一時的に阻止するブラシ付勢手段仮保持手段を有するブラシ保持装置及び回転電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、直流型の回転電機には、整流子に摺接するブラシと、このブラシを整流子側へ付勢するブラシ付勢手段としてのコイルスプリングと、ブラシ及びコイルスプリングを収容するブラシホルダが配設されたブラシ保持装置が用いられている。
【0003】
かかるブラシ保持装置においては、コイルスプリングがブラシを整流子側へ付勢することによって、ブラシが整流子に摺接し、回転電機の作動を可能としている。
【0004】
ところが、ブラシは、コイルスプリングにより、整流子が取付けられる側に常に付勢されている。従って、ブラシをブラシホルダに組付ける際、コイルスプリングによる整流子方向への加圧によって、ブラシが整流子及び周辺部品に干渉し、ブラシの先端が欠ける等の不具合が生じていた。
また、このブラシの先端の欠けが生じると、ブラシが整流子との摺接により振動し、これによってブラシ異音が発生するという問題があった。
【0005】
そこで、ブラシ組付けの際、ブラシ付勢手段による加圧によって、ブラシが整流子及び周辺部品と干渉するという不具合を防止するために、ブラシをブラシホルダに一時的に保持するブラシ仮保持手段及びコイルスプリングをブラシホルダに一時的に保持するブラシ付勢手段仮保持手段が知られている。
【0006】
ブラシ仮保持手段としては、ブラシホルダ外部にピッグテールを引掛けるための治具を装着し、その治具とピッグテールを係合させることにより、ブラシを仮保持するものが知られている。
【0007】
また、ブラシ仮保持手段としては、ブラシホルダ内面に凸部を形成し、ブラシの外側面には、ブラシホルダ内面の凸部に係合する凹部を設けて、両者を係合させ、ブラシを仮保持する手段が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
また、ブラシ付勢手段仮保持手段としては、コイルスプリングの加圧が、ブラシに伝達されることを阻止するため、ブラシホルダ内壁のブラシとコイルスプリングとの間に、コイルスプリングを保持するための係止爪を立設し、コイルスプリングを仮保持して、コイルスプリングがブラシを押圧することを一時的に阻止する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】
実願昭61−176795号(実開昭63−83966号公報)の全文明細書および図面(第5頁、第6頁、図3)
【特許文献2】
特開2002−51509(第5頁、図7)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のブラシ仮保持手段のうち、治具を使用するものにおいては、治具設置作業及び仮保持作業工程が必要であり、また、治具とピッグテールの係合による、ピッグテールの細線の引掛りが発生し、ブラシの摺動不良を生じさせる原因となっていた。
【0011】
また、上記ブラシ仮保持手段のうち、ブラシホルダ内壁及びブラシに凹凸部を加工するものにおいては、回転電機作動時にブラシがブラシ内壁加工部と接触し、摺動不良を生じさせる原因となっていた。
【0012】
また、上記ブラシ付勢手段仮保持手段においては、ブラシホルダ内部のブラシとコイルスプリングとの間に係止爪を立設するため、ブラシホルダの構造が複雑になり、ブラシホルダ製造コストが高いものとなっていた。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡易な構成で、ブラシ組付けの際に、ブラシが整流子及び周辺部品と干渉することを防止すると共に、回転電機作動時に、異音及びブラシ摺動不良を生じることのない、ブラシ保持装置及び回転電機を提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、ブラシ付勢手段の仮保持状態を、簡易にかつ確実に解除でき、解除後は、仮保持手段がブラシの摺動に影響を与えない、ブラシ保持装置及び回転電機を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、請求項1に記載のブラシ保持装置によれば、整流子に摺接するブラシと、該ブラシを前記整流子側へ付勢するブラシ付勢手段と、該ブラシ付勢手段及び前記ブラシを収容するブラシホルダと、を備え、前記ブラシホルダには、前記ブラシ付勢手段の前記ブラシとの接触側端部を係止する係止部が形成され、前記ブラシ付勢手段には、前記係止部と係合する係止手段が形成され、該係止手段が前記係止部に係止されることにより、前記ブラシの整流子側への付勢が一時的に阻止されること、により解決される。
【0016】
このように、ブラシホルダに、ブラシ付勢手段のブラシ接触側端部を係止する係止部を形成し、ブラシ付勢手段を係止することにより、ブラシ付勢手段からブラシに、整流子側への付勢力が加わることを防止できるため、ブラシ組付け時等における、ブラシの整流子及び周辺部品への干渉を防止することができる。
【0017】
また、ブラシ組付けの際に、ブラシの整流子及び周辺部品への干渉を防止することによって、ブラシが整流子及び周辺部品に干渉することにより生じるブラシ欠け等の不具合を防止する事ができる。
【0018】
このとき、請求項2に記載のブラシ保持装置のように、請求項1に記載のブラシ保持装置において、前記ブラシ付勢手段はコイルスプリングからなり、前記係止手段は前記コイルスプリング径より外側に突出して形成されていると、係止手段であるコイルスプリングの突出部をブラシホルダの係止部に容易に係止させることができ、ブラシ付勢手段を治具を用いて仮保持する等の処置が不必要となるので好適である。
【0019】
また、請求項3に記載のブラシ保持装置のように、請求項2に記載のブラシ保持装置において、前記係止手段が前記コイルスプリングの周方向に回動されて前記係止部よりはずれることにより、前記ブラシが前記コイルスプリングによって付勢されると、係止解除の際に、使用した治具を取り除く等の処置が不要となり、治具の置き忘れ等の懸念もなくなるので好適である。
【0020】
また、請求項4に記載のブラシ保持装置のように、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のブラシ保持装置において、前記係止部は、外部電源供給装置より前記ブラシに電流を供給するピッグテールが移動する案内孔端部に形成されていると、ブラシホルダに複雑な係止部を成型することが不要となり好適である。
【0021】
また、請求項5に記載のブラシ保持装置のように、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のブラシ保持装置において、前記係止部は、外部電源供給装置より前記ブラシに電流を供給するピッグテールが移動する案内孔端部に形成され、前記係止部より係止解除された前記係止手段が、前記案内孔内を移動可能であると、係止手段としてのコイルスプリング突出部が係止解除された後においても、係止部に係止するコイルスプリング突出部が、コイルスプリング及びブラシの摺動を阻害することがないので好適である。
【0022】
また、請求項6に記載の回転電機は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のブラシ保持装置を用いているので、ブラシ組付け時において、ブラシ付勢手段を一時的に係止させることができ、これによりブラシが整流子及び周辺部品に干渉することを防止できるため、ブラシの欠けを防止することが可能となる。
また、ブラシ組付け時において、ブラシの欠けを防止できるので、回転電機作動時における異音を防止することが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
【0024】
図1乃至図7は本発明の一実施形態を示す図で、図1は回転電機の構成を示す側面断面図、図2はブラシ付勢手段仮保持状態時のブラシ保持装置周辺の構成を示す上面図、図3はブラシ付勢手段仮保持状態時のブラシホルダ周辺を示す説明図、図4はブラシ付勢手段仮保持状態時のブラシホルダの後端視図、図5はブラシ付勢手段仮保持状態時のブラシホルダの係止部付近を立体的に示した概略説明図、図6はブラシ付勢手段仮保持状態解除時のブラシ保持装置周辺の構成を示す上面図、図7はブラシ付勢手段仮保持状態解除時のブラシホルダの後端視図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係る回転電機100は、ヨーク60と、フロントフレーム70と、ハウジング80と、電機子90と、ブラシホルダプレート10を有して構成されている。
【0026】
ヨーク60は、円筒状の中空体で形成されており、電機子90等を収容するものである。ヨーク60の内周面には、断面略扇形状からなる磁石で形成された固定子61が周設されている。
【0027】
フロントフレーム70は、上述のブラシホルダプレート10を保持する。
フロントフレーム70の出力側には、軸受72を収容するための凹状の軸受収容部71が形成されている。
【0028】
ハウジング80は、有底円筒形状に形成されており、ヨーク60を収容する。ハウジング80の底部には、軸受収容部81が膨出するように形成され、この軸受収容部81には、軸受82が収容されている。
【0029】
電機子90は、回転軸91を有し、軸受72、82によって回転自在に軸支されている。回転軸91の中央部分には、コア鉄心92が固設され、回転軸91のブラシホルダプレート10側の部分には、整流子93が配設されている。
【0030】
コア鉄心92には、巻線94が巻回されており、この巻線94の端部は、整流子93と電気的に接続されている。整流子93は、ブラシホルダプレート10に保持されたブラシ40と摺接可能に配設され、ブラシ40から供給された電流を整流して巻線94に供給するように構成されている。
【0031】
ブラシホルダプレート10は、図2に示すように、プレート部材20と、ブラシホルダ30を有して構成され、ブラシホルダ30にはブラシ40と、ブラシ付勢手段としてのコイルスプリング50が配設されている。フロントフレーム70にこれらブラシホルダプレート10,ブラシ40等が組み付けられることによりブラシ保持装置が構成されている。
【0032】
プレート部材20は、板状体で形成され、回転電機100に配設されたフロントフレーム70に固定されるものである。プレート部材20の中央部には、整流子93が挿入される貫通孔21が形成されており、この貫通孔21を挟んだ両側の部分には、一対のブラシホルダ30が対向配置されている。
【0033】
ブラシホルダ30は、プレート部材20と一体に成形加工されることにより形成されており、図3、図4に示すように断面四角形状からなる中空部31が整流子93の半径方向外側へ向けて形成されてなる中空体で構成されている。
【0034】
ブラシホルダ30の中空部31には、整流子93側から順に、ブラシ40と、コイルスプリング50が収容されており、図3に示すように、ブラシホルダ30の整流子93と反対側の開口部32には、ストッパ部材33が装着されている。
【0035】
ブラシホルダ30の上面には、ブラシ40の摺動方向に沿って、ピッグテール41が移動する案内孔としてのスリット34が形成されている。このピッグテール41は、図示しない外部電源供給装置からブラシ40へ電流を供給する。
【0036】
スリット34の開口部側端部には、図3に示すように、スリット34に対して略垂直に曲折した段差からなる係止部30aが形成されている。
この係止部30aのブラシホルダ側面側端部は、略垂直に曲折して、ストッパ部材33方向へ伸びている。
なお、この段差は、スリット34に対して略垂直に曲折した段差に限らず、鋭角に曲折した段差として構成されていてもよい。
【0037】
ブラシ40は、略矩形形状からなる電極部材で形成され、図3に示すブラシホルダ30の中空部31内に移動可能に収容されている。ブラシ40の上面には、ピッグテール41が配設されている。
【0038】
ブラシ40の整流子93と反対側の部分には、整流子93のR方向への回転によってブラシ40が力を受ける方向に向かうに従って、整流子93の半径方向外側へ向かう傾斜面42が形成されている。このブラシ40が力を受ける方向とは、図3に矢印で示すX方向である。
【0039】
コイルスプリング50は、ワイヤをらせん状に形成した一般的なコイルスプリングであって、ブラシ加圧側の最初の1ターンの端部が、コイルスプリング50外径より突出した、係止手段としての突出部51を備えている。
【0040】
図4は、突出部51が係止部30aに係止された状態を、ブラシホルダの後端より見た図であり、図5は、突出部51が係止部30aに係止された状態を立体的に記した概略説明図である。
【0041】
図4及び図5に示すように、係止部30aは、突出部51を係止することによってコイルスプリング50を固定し、ブラシ40へのコイルスプリング50からの付勢を断ち、ブラシ40に整流子93方向への付勢力が付加されるのを阻止する。
【0042】
また、係止部30aにより仮保持されたコイルスプリング50の仮保持解除は、突出部51を回動させ、ブラシホルダ30のスリット34内へ位置させることにより行われる。
【0043】
仮保持が解除された突出部51は、ブラシホルダ30のスリット34中を通過可能であり、ブラシの摺動に付随してスリット34中を移動する。
【0044】
このとき、図6に示すように、突出部51は、ブラシホルダ30のスリット34内に解放された状態となる。
図7に、突出部51がスリット34内に解放されたブラシホルダ30の後端視を示す。図7では、スリット34内に、突出部51が解放された状態を実線で示している。また、突出部51が係止部30aに係止され、仮保持された状態を破線で示している。
このように、ブラシ仮保持が解除されることにより、コイルスプリング50が整流子93方向へと伸長し、ブラシ40の傾斜面42にコイルスプリング50が圧接することが可能となる。
【0045】
コイルスプリング50がブラシ40の傾斜面42に圧接すると、ブラシ40はコイルスプリング50により整流子93方向へと付勢され、ブラシの整流子93側先端部は、整流子93と摺接する。
【0046】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(イ) 図3に示すように、本実施形態に係るコイルスプリング50において、突出部51をコイルスプリング50の外径より突出させた。
【0047】
これにより、突出部51を、係止部30aに係止して、一時的にコイルスプリング50を仮保持することが可能となるので、ブラシホルダ30内部に特別な構造を形成することなく、ブラシホルダ30に係止部30aを設けるという非常に簡易な構成で、ブラシ組付け時にブラシ40が整流子93及び周辺部品に干渉することを防止することが可能となる。
【0048】
(ロ)また、上述のように、ブラシホルダ30にコイルスプリング50を係止できる係止部30aが形成されるため、コイルスプリング50を係止するための特別な治具を必要とせず、治具の設置及び取外し及び置き忘れ等無く、ブラシ組付けを実施することが可能となる。
【0049】
(ハ)また、従来のように、治具にピッグテール41を引掛けてブラシ40を仮保持することを行わないため、ピッグテール41の細線の引掛りによるブラシ摺動不良を回避することが可能となる。
【0050】
(ニ)また、ブラシ付勢手段仮保持を解除し、整流子93方向への付勢力をブラシに付加するためには、突出部51を、ブラシホルダ30のスリット34方向へ回動させればよいので、非常に簡易な方法により、確実に仮保持解除することが可能となる。
【0051】
(ホ)また、ブラシ付勢手段仮保持を解除すると、図6に示すように、突出部51は、ブラシホルダ30のスリット34内に解放されるため、スリット34内をブラシの摺動に付随して移動することができる。従って、コイルスプリング50を仮保持するために設けられた突出部51によって、コイルスプリング50及びブラシ40が摺動不良を起こすことなく、コイルスプリング50及びブラシ40を摺動させることが可能となる。
【0052】
(へ)また、本実施形態の回転電機100は、上記係止部30aが配設されたブラシホルダプレート10を用いて構成されているので、ブラシ組付け時に発生する、ブラシ40の欠けを防止することができ、ブラシ40の摺動不良による異音を防止することが可能となる。
また、ブラシノイズを低減させることが可能となる。
【0053】
なお、本発明の実施の形態は、以下のように改変することができる。
(a)本実施形態では、突出部51を、コイルスプリング50の1ターンに形成したが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0054】
例えば、2ターン以降に、コイルスプリング50に係止部30aと係止するための棒状の突起部を形成してもよい。
その際、ブラシ40がコイルスプリング50により付勢されない位置に、係止部30aと係止するための突起部を形成する必要がある。
【0055】
このように形成されていても、ブラシ40は、コイルスプリング50より整流子93方向に付勢力を付加されることはないので、ブラシ組付け時に、ブラシ40が整流子93及び周辺部品に干渉することを防止することが可能である。
【0056】
(b)本実施形態では、突出部51を直線状に形成したが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0057】
例えば、突出部51を鉤状に直角に曲げて形成し、係止部30a上部に、鉤状の先端部を引掛けて固定するような形状としてもよい。
【0058】
このように形成されている場合、突出部51が、係止部30aに、より確実に係止するため、突出部51の滑り等によって、コイルスプリング50の仮保持が解除されることを防ぐことが可能である。
【0059】
(c)本実施形態では、係止部30aと突出部51との係止部位面は平面に形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0060】
例えば、突出部51を係合させるための溝を、係止部30aに形成してもよいし、突出部51の可動を防止するためのストッパとしての突起を設けてもよい。
その際、ブラシ付勢手段仮保持解除のためのコイルスプリング50の回動を阻害しない溝及びストッパを形成することが必要である。
【0061】
このように形成されている場合、突出部51が、係止部30aに、より確実に係合するため、突出部51の滑り等によって、コイルスプリング50の仮保持が解除されることを防ぐことが可能である。
【0062】
上記各実施の形態から把握できる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果と共に記載する。
【0063】
(1)前記ブラシ付勢手段に形成された前記係止手段は、先端部が鉤状に直角に湾曲した形状であることを特徴とする請求項1に記載のブラシ保持装置。
【0064】
このように形成されていると、係止手段が、係止部により確実に係止し、係止手段の滑り等によりブラシ付勢手段の仮保持が解除されることを防止することが可能となる。
【0065】
(2)前記係止部は、前記ブラシ付勢手段に形成された前記係止手段と係合する溝を備えたことを特徴とする請求項1のブラシ保持装置。
【0066】
このように形成されていると、係止手段としての突出部が、係止部により確実に係合し、突出部の滑り等によりブラシ付勢手段の仮保持が解除されることを防止することが可能となる。また、ブラシ付勢手段の突出部に改変を加えていないため、ブラシ摺動時に、摺動不良を起こす可能性もない。
【0067】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のブラシ保持装置によれば、ブラシ付勢手段を簡易な構造で仮保持することができ、ブラシ取付け時等に、ブラシが整流子及び周辺部品に干渉することを防止する事ができる。これにより、ブラシ取付け時等に生じるブラシの欠け等の不具合を防止できる。
【0068】
また、上述のように、ブラシ保持装置のブラシ付勢手段仮保持手段が、簡易なものであり、治具等の特別な部材を必要としないため、ブラシ取付け等を容易に実施できる。
【0069】
また、本発明のブラシ保持装置によれば、上記ブラシ付勢手段仮保持手段を用いているので、ブラシホルダ内部に特殊な加工を施さずに、ブラシ付勢手段を仮保持することができる。これにより、ブラシ及びブラシ付勢手段の仮保持手段として、ブラシ及びブラシホルダに特殊な構造を付与したために起こりうるブラシの摺動不良等が生じることがなくなり、特殊な構造を付与するためのコストも削減できる。
【0070】
また、本発明の回転電機によれば、上記ブラシ保持装置を用いているので、ブラシの欠け等の不具合が防止され、ブラシ摺動時の不良を起こすこともないので、ブラシ摺動時の異音を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る回転電機の構成を示す側面断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るブラシ付勢手段仮保持状態時のブラシ保持装置周辺の上面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るブラシ付勢手段仮保持状態時のブラシホルダ周辺の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るブラシ付勢手段仮保持状態時のブラシホルダの後端視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るブラシ付勢手段仮保持状態時のブラシホルダの係止部付近の概略説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るブラシ付勢手段仮保持状態解除時のブラシ保持装置周辺の上面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るブラシ付勢手段仮保持状態解除時のブラシホルダの後端視図である。
【符号の説明】
10 ブラシホルダプレート、20 プレート部材、21 貫通孔、30 ブラシホルダ、30a 係止部、31 中空部、32 開口部、33 ストッパ部材、34 スリット、40 ブラシ、41 ピッグテール、42 傾斜面、50 コイルスプリング、51 突出部、60 ヨーク、61 固定子、70 フロントフレーム、71,81 軸受収容部、72,82 軸受、80 ハウジング、90 電機子、91 回転軸、92 コア鉄心、93 整流子、94 巻線、100 回転電機
Claims (6)
- 整流子に摺接するブラシと、該ブラシを前記整流子側へ付勢するブラシ付勢手段と、該ブラシ付勢手段及び前記ブラシを収容するブラシホルダと、を備え、
前記ブラシホルダには、前記ブラシ付勢手段の前記ブラシとの接触側端部を係止する係止部が形成され、
前記ブラシ付勢手段には、前記係止部と係合する係止手段が形成され、
該係止手段が前記係止部に係止されることにより、前記ブラシの整流子側への付勢が一時的に阻止されることを特徴とするブラシ保持装置。 - 前記ブラシ付勢手段はコイルスプリングからなり、
前記係止手段は前記コイルスプリング径より外側に突出して形成されたことを特徴とする請求項1に記載のブラシ保持装置。 - 前記係止手段が前記コイルスプリングの周方向に回動されて前記係止部よりはずれることにより、前記ブラシが前記コイルスプリングによって付勢されることを特徴とする請求項2に記載のブラシ保持装置。
- 前記係止部は、外部電源供給装置より前記ブラシに電流を供給するピッグテールが移動する案内孔端部に形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のブラシ保持装置。
- 前記係止部は、外部電源供給装置より前記ブラシに電流を供給するピッグテールが移動する案内孔端部に形成され、
前記係止部より係止解除された前記係止手段は、前記案内孔内を移動可能となることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のブラシ保持装置。 - 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のブラシ保持装置を用いたことを特徴とする回転電機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002319444A JP2004153982A (ja) | 2002-11-01 | 2002-11-01 | ブラシ保持装置及び回転電機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002319444A JP2004153982A (ja) | 2002-11-01 | 2002-11-01 | ブラシ保持装置及び回転電機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004153982A true JP2004153982A (ja) | 2004-05-27 |
Family
ID=32462295
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002319444A Pending JP2004153982A (ja) | 2002-11-01 | 2002-11-01 | ブラシ保持装置及び回転電機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004153982A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008154415A (ja) * | 2006-12-20 | 2008-07-03 | Nissin Kogyo Co Ltd | 電動モータ |
JP2014099951A (ja) * | 2012-11-13 | 2014-05-29 | Panasonic Corp | 整流子電動機 |
-
2002
- 2002-11-01 JP JP2002319444A patent/JP2004153982A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008154415A (ja) * | 2006-12-20 | 2008-07-03 | Nissin Kogyo Co Ltd | 電動モータ |
JP2014099951A (ja) * | 2012-11-13 | 2014-05-29 | Panasonic Corp | 整流子電動機 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3641238B2 (ja) | ブラシ保持装置、回転電機の組み付け方法 | |
JP4925471B2 (ja) | 印刷機用版装着装置および印刷機 | |
JP2008172942A (ja) | 直流電動機 | |
US20080007136A1 (en) | Rotating electric machine having improved arrangement of brush holder for effectively dissipating heat generated by brush | |
JP2007247663A (ja) | モータのスラスト軸受構造 | |
JP2004153982A (ja) | ブラシ保持装置及び回転電機 | |
JP5501691B2 (ja) | 電動モータおよび電動モータの組付け方法 | |
JP2003134746A (ja) | 回転電機及びその製造方法 | |
JP2006197788A (ja) | モータ | |
JP2006296012A (ja) | 回転電機のブラシ組み込み構造 | |
JP2008048492A (ja) | 回転電機 | |
JP2004173435A (ja) | モータハウジング及びモータの組立方法 | |
JP2008206218A (ja) | 回転電機におけるヨークのブラケット固定構造 | |
JPH11234968A (ja) | ブラシ保持装置 | |
JP2004304954A (ja) | 電機子の線材切断方法及び線材切断装置 | |
JP2009148123A (ja) | 回転電機 | |
JP2005045872A (ja) | モータにおけるブラシ保持装置 | |
JP2010119276A (ja) | 電動モータおよび電動モータの組付け方法 | |
JP2006101615A (ja) | 回転電機 | |
JP2000037059A (ja) | 直流回転電機 | |
CN108702048B (zh) | 永磁体式旋转电机及该永磁体式旋转电机的磁铁固定方法 | |
JPH07322572A (ja) | 小型モータ | |
JPS5911749A (ja) | ブラシ保持器を内蔵するフラットモートルの組立方法 | |
JP2005117707A (ja) | 回転電機の製造方法及び製造装置 | |
JP2002051509A (ja) | 直流電動機におけるブラシ保持装置及び直流電動機の組立方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20041119 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080130 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080212 |
|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20080708 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |