JP2004153894A - 位相偏差補償装置 - Google Patents

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Junichi Kitano
淳一 北野
Shunsaku Koga
俊作 古賀
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  • Control Of Vehicles With Linear Motors And Vehicles That Are Magnetically Levitated (AREA)

Abstract

【課題】LSM式車両の制御装置において、車両位置情報の入力元の機構が切り替えられた際に安定した走行特性が得られるようにする。
【解決手段】入力位相(車両位置情報)の入力元の機構が切替えられた際に、切替前に選択されていた位相信号(切替前位相)と切替後の位相信号(切替後位相)との間の位相偏差(切替時位相偏差△θ)を検出し、補償位相値の初期値として切替後位相に足す。その後は、切替後位相に足される補償位相値を初期値△θから時間の経過と共に減少させる。これにより、当該切替の際に電力変換器に入力される位相信号に急変が生じることは防止され、電力変換器が車両速度を急激に変化させるような出力電圧を推進コイルに出力することは防止される。そして、その結果、位相信号の入力元の機構の切替の際において安定した走行特性が得られることになる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両位置を示す位相信号を生成・出力する複数種類の位相信号生成手段を備えたリニアシンクロナスモータ式車両の制御装置に関し、特に、車両制御に使用する位相信号を一の位相信号生成手段より出力されたものから他の位相信号生成手段より出力されたものに切替えた際に、切替前に選択されていた位相信号と切替後の位相信号との間に発生する位相偏差を補償する位相偏差補償装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より知られているリニアシンクロナスモータ(以下「LSM」と称す)式車両の制御装置の構成の例を図4(a),(b)に示す。
この制御装置は、図4(a)に示すように、主として駆動制御部1、入力位相切替器2、位置検知装置3、交差誘導線4、模擬位相発生部6、変換器異常判定部12、電力変換器71、き電線72、き電区分開閉装置73、推進コイル装置74とから構成されている。
【0003】
まず、車両75の両側に構成される推進コイル装置74は、複数の推進コイルを有する一定長のコイルセクション74A1、74B1、74C1、・・・が、車両75の進行方向に沿って左右両側に千鳥状に1/2の長さずつずらした状態で配置されて構成されている。各コイルセクションには、図4(b)に示すように、U相、V相、W相の三相の各推進コイルを一組とする推進コイル群が車両進行方向に複数連なって配置されており、これらの推進コイル群に電力変換器71から三相交流を供給することで、移動磁界を発生させる。
【0004】
電力変換器71は、A系変換器71A、B系変換器71B、C系変換器71Cの三系統の変換器を有し、電力変換器71から各コイルセクションへ電力を供給するためのき電線72も、電力変換器71が有する各変換器71A、71B、71Cに対応して3系統敷設されている。電力変換器71と推進コイル装置74とは、き電線72及びき電区分開閉装置73を介して電気的に接続されている。より詳細には、各変換器71A、71B、71Cが、A系変換器71A、B系変換器71B、C系変換器71Cの順で各コイルセクション74A1、74B1、74C1、・・・の千鳥配置順に順次接続されている。そして、き電区分開閉装置73を構成する複数のき電区分開閉器73A1、73B1、73C1、・・・を個々に開閉制御することにより、車両75が走行している近傍3系のコイルセクションのみに電力を供給するようにしている。
【0005】
例えば、車両75が図4(a)に示す位置を右方向に走行しているときは、三つのき電区分開閉器73C1、73A2及び73B2を投入して、コイルセクション74C1にはC系変換器71Cから、コイルセクション74A2にはA系変換器71Aから、コイルセクション74B2にはB系変換器71Bから、それぞれ電力供給を行う。そして、車両75がコイルセクション74B2の区間に移ったときは、き電区分開閉器73C2を投入してき電区分開閉器73C1を開くことにより、コイルセクション74C1への電力供給をやめ、コイルセクション74C2への電力供給を開始する。
【0006】
車両75は、車両75の両側に搭載された界磁コイル75aによって発生する磁界と、電力変換器71から出力される三相の出力電圧(VA 、VB 、VC )によって各コイルセクションの推進コイルに発生する磁界との相互作用により、推進力を得て駆動される。
【0007】
LSM式車両の駆動制御においては、車両75に搭載された界磁コイル75aと同期をとって車両位置に応じた適切な電流を推進コイル装置74に流すために、車両位置を検知してこれを電力変換器71へ出力する。そのため、車両位置を常に正確に検知する必要がある。
【0008】
車両位置は、一つの推進コイル群の長さ2.7mを電気角の一周期(360度)として定めてなる位相を当該車両位置として検知することにより得られる。
この制御装置では、位相信号(車両位置情報)を得るための機構(位相信号生成手段に対応)が三系統備えられており、入力位相切替器2にて当該車両位置情報の入力元の機構が適宜切替えられるよう構成されている。
【0009】
位相信号を得るための三系統の機構には、位置検知位相θpを出力する位置検知装置3を有する機構と、速度起電力位相θe(詳しくは、後述のθea、θeb、θec)を出力する速度起電力位相生成部27(後述の図5参照)を有する機構と、模擬位相θnを出力する模擬位相発生部6からなる機構と、がある。
【0010】
このうち、位置検知装置3を有する機構では、軌道上の全線に渡って敷設された交差誘導線4に車両75から信号(電波)を発信することにより交差誘導線4に生じる正弦波状の信号を位置検知装置3にて信号処理することで、位置検知位相θpが生成・出力される。
【0011】
また、速度起電力位相生成部27を有する機構で速度起電力位相θeが生成・出力される仕組みについては、図5に基づいて説明する。図5は、電力変換器71を構成する三系統の変換器のうちA系変換器71Aの概略構成を示すブロック図である。
【0012】
A系変換器71Aでは、まず推進コイルを流れるコイル電流I(Iu、Iv、Iw)を電流検出器28により検出し、三相/d−q変換器21によりdq0回転座標系における電流Id、Iq、I0に変換する。そして、電流制御部24にて、この電流Id、Iq、I0と駆動制御部1(後述)から出力された電流指令値Iとの電流偏差に対し、一次のPI制御により電圧指令演算値Vd、Vq、V0を算出して出力する。
【0013】
一方、現在出力されている出力電圧VA (Vu、Vv、Vw)も三相/d−q変換器22によりdq0回転座標系における電圧Vd、Vq、V0に変換され、この電圧Vd、Vq、V0と、電流Id、Iq、I0と、駆動制御部1から入力された車両角速度ωとに基づいて、速度起電力オブザーバ25が、現代制御理論のオブザーバ理論により速度起電力推定値Zd、Zq、Z0を演算して出力する。
【0014】
この速度起電力推定値Zd、Zq、Z0と、電流制御部24から出力される電圧指令演算値Vd、Vq、V0とを加減算器26にて加算することにより、dq軸電圧指令値Vd、Vq、V0を得る。そして、このVd、Vq、V0をd−q/三相変換器23により三相交流座標系における電圧Vu、Vv、Vwに変換して、この電圧Vu、Vv、Vwを電圧指令値とし、インバータ29を介して出力電圧VA として推進コイルへ出力する。
【0015】
電流制御部24では、駆動制御部1からの電流指令値I(Id、Iq)とコイル電流I(Id、Iq)との電流偏差を算出し、算出した電流偏差の比例・積分演算が行われるが、推進コイル装置74やき電線72の抵抗値、インダクタンス値による電圧降下分も演算され、この電圧降下分を補償することにより、電圧指令演算値Vd、Vq、V0を得ている。尚、抵抗値やインダクタンス値は、各セクション固有の値であり、車両75が走行するセクションが変わる毎に、これらの値も変化する。また、インダクタンス値による電圧降下分を算出するために車両角速度ωも入力される。
【0016】
速度起電力位相生成部27では、まず、速度起電力オブザーバ25にて推定された速度起電力推定値Zd、Zqに基づき、速度起電力位相補正量演算器27aにて、速度起電力位相補正量を演算する。そして、この速度起電力位相補正量と、現在駆動制御部1より出力されている位相基準θとが、加減算器27bにて加算されることにより、A系速度起電力位相θeaが演算される。このA系速度起電力位相θeaが、駆動制御部1の位相選択部11(後述)へ入力される。
【0017】
B系変換器71B及びC系変換器71Cについても、A系変換器71Aと全く同様にして、B系変換器71BからはB系速度起電力位相θebが、C系変換器71CからはC系速度起電力位相θecがそれぞれ出力される。尚、B系変換器71B及びC系変換器71Cの構成については、上記のA系変換器71Aの構成(図5)と全く同じであるため、その説明を省略する。
【0018】
また、一方、模擬位相発生部6からなる機構で模擬位相θnが生成・出力される仕組みについては、図6に基づいて説明する。
模擬位相発生部6では、駆動制御部1から出力される電流指令値Iに基づいた演算により模擬位相θn が生成・出力される。具体的には、図6に示すように、電流指令値Iに基づき、推力演算器81にて推力Fを算出し、この推力Fと走行抵抗演算器85から出力される走行抵抗Dとに基づき、加速度演算器82にて加速度αを算出し、この加速度αに基づき、速度演算器83にて速度vを算出し、この速度vに基づき、位相演算器84にて模擬位相θn を算出し出力する。
【0019】
一方、駆動制御部1は、電力変換器71が推進コイル装置74へ所望の出力電圧を出力するために必要とする電流指令値I、車両角速度ω、位相基準θを、電力変換器71に出力するものである。
具体的には、PI制御系で構成された速度制御部13において、速度指令値vと速度(車両速度)vとの速度偏差を比例・積分演算することにより電流指令値Iを演算し出力する。速度vは、位相同期制御部14にて演算され、出力される。
【0020】
位相同期制御部14は、所定時間の周期(例えば5msec.)で、位置検知装置3から出力される位置検知位相θp、位相選択部11により選択された速度起電力位相θe、模擬位相発生部6から出力される模擬位相θn のいずれか一つを、入力位相切替器2を介して車両位置を示す位相信号として取り込み、PI制御による安定化処理を行う。
【0021】
具体的には、上記のように取り込んだ位相信号と現在出力している位相基準θとの位相偏差から補償演算を行い、車両速度v及び車両角速度ωを演算する。そして、この車両角速度ωをさらに積分演算することにより、位相基準θが出力される。この位相基準θは、所定周期(例えば、200μsec.)に補間して電力変換器71へ出力される。尚、位相同期制御部14では、軌道上の車両位置も演算され、位相選択部11へ出力される。
【0022】
位相選択部11は、電力変換器71から入力されるA系速度起電力位相θea、B系速度起電力位相θeb、C系速度起電力位相θecのうちいずれか一つを車両位置に応じた所定の選択条件により選択して入力位相切替器2へ出力する。A系速度起電力位相θea、B系速度起電力位相θeb、C系速度起電力位相θecは、上記のように、それぞれA系変換器71A、B系変換器71B、C系変換器71Cにて生成される。
【0023】
また、変換器異常判定部12では、電力変換器71が有する各変換器71A、71B、71Cが正常であるか否かをこれらの変換器から入力する出力電圧VA 、VB 、VC に基づき判定し、いずれかの変換器が異常である場合は、その異常である変換器に対し停止処理を行うための停止信号を出力すると共に、その変換器が異常である旨の判定信号(異常報知信号)を位相選択部11に出力する。そして、位相選択部11では、変換器異常判定部12からの判定信号に基づき、異常と判定された系の変換器にて生成された速度起電力位相を選択しないようにする。
【0024】
また、入力位相切替器2は、位相同期制御部14に入力される位相信号として、位置検知装置3にて生成された位置検知位相θp、位相選択部11により選択された速度起電力位相θe、模擬位相発生部6から出力された模擬位相θn のいずれか一つのみを選択するためのものである。
【0025】
なお、この出願に係る発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0026】
【特許文献1】
特開2001−275209号公報
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このように構成されたLSM式車両の制御装置においては、上記にも示したとおり、車両75の走行状態等に応じて、電力変換器71に出力される位相信号(車両位置情報)の入力元の機構が入力位相切替器2にて適宜切り替えられる。
【0028】
また、入力位相切替器2にて位相選択部11から入力される速度起電力位相θe が選択されているときには、車両位置に応じた所定の選択条件により、位相選択部11から入力位相切替器2を介して電力変換器71に出力される位相が、A系変換器71Aから出力されるA系速度起電力位相θea、B系変換器71Bから出力されるB系速度起電力位相θeb、C系変換器71Cから出力されるC系速度起電力位相θec間で頻繁に(例えば、車両が約220m走行する度に)切替えられる。
【0029】
しかしながら、これらの機構から出力される位相は導出機構・過程が異なるものであるため、同期していない。
従って、従来においては、図7に示すように、入力する位相を上記のように切替える度に、切替える前に使用していた切替前位相(図7(a))と切替え後に使用する切替後位相(同図(b))との間に位相偏差が生じてしまい(例えば、切替時点においては切替時位相偏差△θが生じる;同図(c)参照)、車両75の乗り心地が損なわれることになっていた。
【0030】
具体的には、従来においては、上記のような切替時においても入力位相切替器2を介して入力される位相が位相同期制御部14にて安定化処理された上で電力変換器71に出力されてはいたが、位相同期制御部14でなされるのはPI制御による安定化処理に過ぎないため、上記のような切替時の位相偏差については、十分に解消されることのないまま電力変換器71に出力されていた。
【0031】
そして、このような位相偏差のある位相信号が電力変換器71に入力されると、電力変換器71側では、車両位置及び速度が急変したものと見なされ、当該変動を抑制するため、電流及び車両速度を急激に変化させる制御を行ってしまう。そして、その結果、車両75の乗り心地が著しく損なわれることとなっていた。
【0032】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、LSM式車両の制御装置において、車両位置情報の入力元の機構が切り替えられた際に安定した走行特性が得られるようにすることである。
【0033】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題に鑑み、本発明の位相偏差補償装置は、地上側の軌道に沿って配置された推進コイルと、該推進コイルに対向するように車両側に配置された界磁コイルと、推進コイルに対する界磁コイルの相対的位置を電気角で表した位相信号を車両位置情報として生成・出力する複数種類の位相信号生成手段と、該複数種類の位相信号生成手段から出力される位相信号のうちのいずれか1つを選択する選択手段と、該選択手段にて選択された位相信号に基づき出力電圧を推進コイルに出力する電力変換手段とを有し、推進コイルと界磁コイルとの間の電磁力により車両を推進させるLSM式車両の制御装置において、選択手段により選択される位相信号を一の位相信号生成手段より出力された位相信号から他の位相信号生成手段より出力された位相信号に切替えた際に、切替前に選択されていた位相信号と切替後の位相信号との間に発生する位相偏差を補償する。
【0034】
この位相偏差補償装置は、選択手段により選択される位相信号を他の位相信号生成手段より出力された位相信号に切替えた時点以降、切替後の位相信号に補償位相値を足した上で電力変換手段側に出力する補償手段を備えている。
そして、この補償手段は、選択手段により選択される位相信号を他の位相信号生成手段より出力された位相信号に切替えた時点においては、切替前に選択されていた位相信号と切替後の位相信号との間の位相差を補償位相値として切替後の位相信号に足す。尚、ここでいう「切替前に選択されていた位相信号と切替後の位相信号との間の位相差」とは、切替時点における上記切替後の位相信号の位相から切替時点における上記切替前の位相信号の位相を差し引くことで得られるもの(以下、単に「初期値△θ」とも称する)である。
【0035】
従って、本発明によれば、電力変換手段に出力される位相信号(車両位置情報)の入力元の機構である位相信号生成手段が他のものに切替えられた際に、切替前に使用されていた位相信号の位相と切替後に使用される位相信号の位相との間に顕著な位相偏差があったとしても、当該切替時における位相偏差は解消される。
【0036】
すなわち、当該切替時に電力変換手段に入力される位相信号に急変が生じることは防止されるため、当該切替時に電力変換手段が車両速度を急激に変化させるような出力電圧を推進コイルに出力することは防止される。そして、その結果、位相信号の入力元の機構の切替時に安定した走行特性が得られることになる。
【0037】
本発明において、補償手段は、選択手段により選択される位相信号を他の位相信号生成手段より出力された位相信号に切替えた時点の後は、切替後の位相信号に足す補償位相値を時間の経過と共に減少させるものであることが好ましい。
尚、ここでいう「補償位相値を時間の経過と共に減少させる」とは、補償位相値の絶対値が時間の経過と共に減少するよう、補償位相値を初期値△θから変化させることを意味する。つまり、上記の切替時点における補償位相値である初期値△θが正数である場合には、文字通り、補償位相値を初期値△θから時間の経過と共に減少させることを意味するが、初期値△θが負数である場合には、補償位相値を初期値△θから時間の経過と共に増加させる(つまり、0に近づく方向に変化させる)ことを意味する。
【0038】
そして、この場合は、上記のように位相信号生成手段が他のものに切替えられた後、電力変換手段に出力される位相信号(車両位置情報)が、切替後の位相信号の位相に初期値△θを足したものから時間経過と共に徐々に当該切替後の位相信号の位相に近づいていくことになる。
【0039】
従って、この場合は、位相信号生成手段が他のものに切替えられた後においても、例えば、電力変換手段に出力される位相を、切替後の位相信号の位相に初期値△θを足したものから急激に当該切替後の位相信号の位相そのものに変化させる場合等に比べ、電力変換手段が車両速度を急激に変化させるような出力電圧を推進コイルに出力することが好適に防止される。そして、その結果、位相信号の入力元の機構の切替後においても安定した走行特性が得られることになる。
【0040】
尚、上記のように切替後の位相信号に足す補償位相値を時間の経過と共に減少させる態様が特定のものに限定されないのは言うまでもないが、例えば、選択手段により選択される位相信号を他の位相信号生成手段より出力された位相信号に切替えた時点の後は、初期値△θを用いて、切替後の位相信号に足す補償位相値を所定時間経過後に0にまで減少させる変化率を求め、該変化率で補償位相値を0になるまで減少させていくよう構成したものであっても良い。
【0041】
そして、この場合は、位相信号生成手段をどのように切替えた場合も、所定時間経過後には、切替後の位相信号そのものに基づいた出力電圧が電力変換手段から推進コイルに出力されるようにする制御が可能となる。
また、他の態様としては、選択手段により選択される位相信号を他の位相信号生成手段より出力された位相信号に切替えた時点の後、切替後の位相信号に足す補償位相値を予め定められた変化率で0になるまで減少させていくよう構成したものであっても良い。
【0042】
そして、この場合は、初期値△θがどのような値であっても、切替後の位相信号に足される補償位相値の変化率を同じとする制御が可能となる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施例を図面と共に説明する。
図1は、本発明の位相偏差補償装置が適用されたLSM式車両の制御装置の概略構成を表すブロック図である。
【0044】
この制御装置は、図1に示すように、主として駆動制御部1’、入力位相切替器2、位置検知装置3、交差誘導線4、模擬位相発生部6、変換器異常判定部12、電力変換器71、き電線72、き電区分開閉装置73、推進コイル装置74とから構成されている。
【0045】
図4(a)に示した制御装置における駆動制御部1と本実施例の制御装置における駆動制御部1’との違いは、入力位相切替器2と位相同期制御部14との間の箇所に位相補償部16が設けられていることである。
尚、駆動制御部1’における他の構成要素である、位相選択部11、速度制御部13、位相同期制御部14については、図4(a)中のものと同様の構成であるため、これらについては図4(a)中のものと同じ符号を付し、その説明を省略する。また、本実施例の制御装置における他の構成要素である、入力位相切替器2、位置検知装置3、交差誘導線4、模擬位相発生部6、変換器異常判定部12、電力変換器71、き電線72、き電区分開閉装置73、推進コイル装置74についても、図4(a)中のものと同様の構成であるため、これらについては図4(a)中のものと同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0046】
位相補償部16は、入力位相切替器2を介して位相信号(車両位置情報)を入力して電力変換器71側の位相同期制御部14に出力するものであり、位相信号の入力元の機構が入力位相切替器2や位相選択部11にて切替えられた際には、入力された切替後の位相信号に切替前の位相信号との位相偏差を補償する補償位相値を足した上で位相同期制御部14に出力するよう構成されている。
【0047】
以下、図2のフローチャート、図3のタイミングチャートを用いて、位相補償部16が行う位相補償処理につき詳細に説明する。
位相補償部16では、まず、S110(Sはステップを表す)にて、位相信号の入力元の機構が切替えられたか否かを判断する。
【0048】
具体的には、入力位相切替器2から入力される位相信号が、位置検知装置3にて生成された位置検知位相θp、位相選択部11から出力された速度起電力位相θe、模擬位相発生部6から出力された模擬位相θn 間で切替えられたか否かを、入力位相切替器2の動作或いは位相信号の変化量を検知することにより判断する。
【0049】
また、入力位相切替器2にて位相選択部11から入力される速度起電力位相θe が選択されているときには、位相選択部11から出力される位相信号が、A系変換器71Aから出力されるA系速度起電力位相θea、B系変換器71Bから出力されるB系速度起電力位相θeb、C系変換器71Cから出力されるC系速度起電力位相θec 間で切替えられたか否かを、位相選択部11の動作或いは位相信号の変化量を検知することにより判断する。
【0050】
そして、位相信号の入力元の機構が切替えられていないと判断された場合(S110:NO)には、位相補償部16に入力される位相信号をそのまま位相同期制御部14側に出力すると共にS110の処理を繰返し行うが、位相信号の入力元の機構が切替えられたと判断された場合(S110:YES)には、S120に移行する。
【0051】
そして、S120では、位相信号の入力元の機構が切替えられた時点における、切替前に選択されていた位相信号と切替後の位相信号との間の位相偏差(切替時位相偏差△θ)を検出し、該位相偏差△θを切替時において切替後の位相信号に付加した上で位相同期制御部14側に出力する。
【0052】
具体的には、まず、図3(a)、(b)に示すように、切替前に選択されていた位相信号(切替前位相)と切替後の位相信号(切替後位相)とが同期していないと、図3(c)のように、位相信号の入力元の機構が切替えられた時点においては、位相補償部16に入力される位相に切替時位相偏差△θが発生する。S120では、入力位相切替時にこの切替時位相偏差△θを検出し(図3(d)参照)、該△θを補償位相値の初期値として切替後位相に付加した上、出力する(図3(e)参照)。
【0053】
従って、本実施例によれば、位相同期制御部14を介して電力変換器71に出力される位相信号の入力元の機構が切替えられた時点で、切替前位相と切替後位相との間に顕著な位相偏差があったとしても、当該切替時における位相偏差は解消される。
【0054】
すなわち、当該切替時に電力変換器71に入力される位相信号に急変が生じることは防止されるため、当該切替時に電力変換器71が車両速度を急激に変化させるような出力電圧を推進コイルに出力することは防止される。そして、その結果、位相信号の入力元の機構の切替時に安定した走行特性が得られることになる。
【0055】
また、位相補償部16は、続くS130において、入力位相の入力元の機構が切替えられた時点の後も、補償位相値を初期値△θから時間の経過と共に減少させながら切替後位相に付加し、位相同期制御部14側に出力する。
具体的には、初期値△θを用いて、切替後位相に足す補償位相値を所定時間tc経過後に0にまで減少させる一定変化率S(△θ,tc)を求め、該変化率で補償位相値を0になるまで減少させる処理を行い(図3(d),(e)参照)、当該位相補償処理を一旦終了させる。
【0056】
すなわち、本実施例では、入力位相の入力元の機構が切替えられた時点の後、位相同期制御部14側に出力される車両位置情報としての位相信号が、切替後位相に初期値△θを足したものから時間経過と共に徐々に切替後位相に近づいていくことになる。
【0057】
従って、本実施例によれば、入力位相の入力元の機構が切替えられた後においても、例えば、位相同期制御部14側に出力される位相を、切替後位相に初期値△θを足したものから急激に当該切替後位相そのものに変化させる場合等に比べ、電力変換器71が車両速度を急激に変化させるような出力電圧を推進コイルに出力することが好適に防止される。そして、その結果、位相信号の入力元の機構の切替後においても安定した走行特性が得られることになる。
【0058】
尚、上記において、位置検知装置3、模擬位相発生部6、各変換器71A,71B,71Cの速度起電力位相生成部27は、夫々、本発明の位相信号生成手段に相当し、入力位相切替器2及び位相選択部11は、本発明の選択手段に相当し、電力変換器71は、本発明の電力変換手段に相当し、位相補償部16は、本発明の補償手段に相当する。
【0059】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、上記実施例においては、補償位相値が所定時間tc経過後に0になるような変化率S(△θ,tc)で補償位相値を減少させ、入力位相の入力元の機構がどのように切替えられたときでも、また、切替時位相偏差△θがどのような値であっても、所定時間tc経過後には、切替後位相そのものに基づいた出力電圧が電力変換器71から推進コイルに出力されるようにしたが、入力位相の入力元の機構がどのように切替えられたときでも、また、切替時位相偏差△θがどのような値であっても、切替後位相に付加する補償位相値を予め定められた変化率Soで0になるまで減少させるよう構成しても良い(図3(f),(g)参照)。
【0060】
また、これら2種類の補償位相値の減少のさせ方を切替時位相偏差△θの大きさにより使い分けるよう構成しても良い。
具体的には、例えば、切替時位相偏差△θの絶対値が所定値θa以下の場合には、補償位相値が所定時間tc経過後に0になるような変化率S(△θ,tc)で補償位相値を減少させ、△θの絶対値が所定値θaより大きく、変化率S(△θ,tc)で補償位相値を減少させたのでは、位相同期制御部14側に入力される切替後位相が急激に変化してしまい、電力変換器71が車両速度を急激に変化させる出力電圧を推進コイルに出力してしまうことが懸念される場合には、変化率S(θa,tc)よりも小さな所定の変化率として設定された変化率Soで補償位相値を0になるまで減少させるよう構成しても良い。
【0061】
また、切替時位相偏差△θの絶対値が十分に小さく(例えば、所定値θbよりも小さく)、このような位相偏差が電力変換器71に入力されても電力変換器71が車両速度を急激に変化させる出力電圧を推進コイルに出力してしまうことがないと考えられる場合には、位相補償部16では、切替後位相に補償位相値を足すことはしないよう構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の位相偏差補償装置が適用されたLSM式車両の制御装置の概略構成を表すブロック図である。
【図2】実施例の位相補償部が行う位相補償処理を示すフローチャートである。
【図3】実施例の位相補償処理の具体的内容を示すタイミングチャートである。
【図4】従来のLSM式車両の制御装置の概略構成を表すブロック図である。
【図5】従来のA系変換器の概略構成を示すブロック図である。
【図6】従来の模擬位相発生部の概略構成を示すブロック図である。
【図7】位相信号の入力元の機構が切替えられた際に電力変換器に入力される従来の位相信号の状態を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
2…入力位相切替器、3…位置検知装置、6…模擬位相発生部、11…位相選択部、16…位相補償部、27…速度起電力位相生成部、71…電力変換器、74…推進コイル装置、75…車両、75a…界磁コイル

Claims (4)

  1. 地上側の軌道に沿って配置された推進コイルと、前記推進コイルに対向するように車両側に配置された界磁コイルと、前記推進コイルに対する前記界磁コイルの相対的位置を電気角で表した位相信号を生成・出力する複数種類の位相信号生成手段と、前記複数種類の位相信号生成手段から出力される位相信号のうちのいずれか1つを選択する選択手段と、該選択手段にて選択された位相信号に基づき出力電圧を前記推進コイルに出力する電力変換手段とを有し、前記推進コイルと前記界磁コイルとの間の電磁力により前記車両を推進させるリニアシンクロナスモータ式車両の制御装置において、
    前記選択手段により選択される位相信号を一の位相信号生成手段より出力された位相信号から他の位相信号生成手段より出力された位相信号に切替えた際に、切替前に選択されていた位相信号と切替後の位相信号との間に発生する位相偏差を補償する位相偏差補償装置であって、
    前記選択手段により選択される位相信号を他の位相信号生成手段より出力された位相信号に切替えた時点以降、切替後の位相信号に補償位相値を足した上で前記電力変換手段側に出力する補償手段を備え、
    該補償手段は、前記選択手段により選択される位相信号を他の位相信号生成手段より出力された位相信号に切替えた時点においては、前記切替前に選択されていた位相信号と前記切替後の位相信号との間の位相差を前記補償位相値として前記切替後の位相信号に足すことを特徴とする位相偏差補償装置。
  2. 前記補償手段は、
    前記選択手段により選択される位相信号を他の位相信号生成手段より出力された位相信号に切替えた時点の後は、前記切替後の位相信号に足す前記補償位相値を時間の経過と共に減少させることを特徴とする請求項1に記載の位相偏差補償装置。
  3. 前記補償手段は、
    前記選択手段により選択される位相信号を他の位相信号生成手段より出力された位相信号に切替えた時点の後は、該切替えた時点における前記切替前に選択されていた位相信号と前記切替後の位相信号との間の位相差を用いて、前記切替後の位相信号に足す前記補償位相値を所定時間経過後に0にまで減少させる変化率を求め、該変化率で前記補償位相値を0になるまで減少させていくことを特徴とする請求項2に記載の位相偏差補償装置。
  4. 前記補償手段は、
    前記選択手段により選択される位相信号を他の位相信号生成手段より出力された位相信号に切替えた時点の後、前記切替後の位相信号に足す前記補償位相値を予め定められた変化率で0になるまで減少させていくことを特徴とする請求項2に記載の位相偏差補償装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP4660535B2 (ja) * 2004-03-01 2011-03-30 シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッド 隅部ピクセルをシードとして利用することにより凸状オブジェクトを検出する方法

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