JP2004152656A - 平角素線の送出し装置、平角素線の転位力付与装置および転位撚線の製造装置 - Google Patents
平角素線の送出し装置、平角素線の転位力付与装置および転位撚線の製造装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】転位撚線を形成する前段階における平角素線に加わるフラットワイズ歪やエッジワイズ歪を小さくすることが可能な、平角素線の送出し装置、平角素線の転位力付与装置および転位撚線の製造装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る平角素線の送出し装置100は、傾斜面102を有する送り出し架台101と、傾斜面102の傾斜方向に沿って2列に並べて配され平角素線(例えば103d)ごとに設けた個別送出機構部(例えば103a、103b、103c)とを有し、この個別送出機構部は複数回移動する縦方向移動(α2、α4)と1回のみ移動する横方向移動(α1、α3)からなる回転運動を繰り返す構造を備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明に係る平角素線の送出し装置100は、傾斜面102を有する送り出し架台101と、傾斜面102の傾斜方向に沿って2列に並べて配され平角素線(例えば103d)ごとに設けた個別送出機構部(例えば103a、103b、103c)とを有し、この個別送出機構部は複数回移動する縦方向移動(α2、α4)と1回のみ移動する横方向移動(α1、α3)からなる回転運動を繰り返す構造を備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数本の平角素線を転位撚り合わせてなる転位電線の製造に用いる平角素線の送出し装置、平角素線の転位力付与装置および転位撚線の製造装置に係り、特に、機械的に脆い材料からなる転位電線を製造する際に、転位電線に加わる曲げ歪を小さく抑えることが可能な平角素線の送出し装置、平角素線の転位力付与装置および転位撚線の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、素線単位で絶縁被覆された平角素線の集合体をなす各素線を、その長さ方向において、一定の間隔ごとに一本づつ順次位置を転位させた転位電線が公知である。
【0003】
このような転位電線の製造例としては、例えば図4に示す以下に示すような事例が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。図4に示した装置は、平角素線に対してその幅方向に転位力を与える第一装置とその厚さ方向に転位力を与える第二装置とを個別に備え、第一装置の後に第二装置を配してなる転位電線の製造装置である。
【0004】
図4において401はケージ円板、402はクレードル、403は素線ボビン、404は素線平角エナメル線、405は分線ダイス、406は素線集合ガイドリング、407は転位機構部、408は転位機構部、407の転位ヘッド、409は平角エナメル線転位撚線である。
【0005】
図4に示した転位電線の製造装置では、平角素線404に対してその幅方向に転位力を与える第一装置は、ケージ円板401、クレードル402および素線ボビン403から構成されており、平角素線404に対してその厚さ方向に転位力を与える第二装置は、分線ダイス405と素線集合ガイドリング406から構成されている。なお図示はしないが、転位電線はここで得られた平角エナメル線転位撚線409の外周にクラフト紙等を巻回して得られるものである。
【0006】
図4からわかるように従来の転位電線の製造装置の主要構成部材はケージ円板401、素線集合ガイドリング406、転位機構部407等からなっている。以下では、図4の製造装置により、平角エナメル線転位撚線409を製造する方法について述べる。
【0007】
(a)ケージ円板401関係
ケージ円板401はその全体が右周り方向等に回転駆動されるようになっている。このケージ円板401の円周方向に沿った等分位置には、クレードル402が複数個設置されている。このクレードル402の個数は、その転位電線の製造装置へ装着できる最大の素線平角エナメル線の本数である。
【0008】
これらのクレードル402には、その自身の軸のまわりに回転可能に支持され、且つ遊星歯車機構によって一定の水平位置を保つように保持された素線ボビン403がそれぞれ装着されている。
【0009】
そしてこれら複数の素線ボビン403にはそれぞれ素線平角エナメル線404が巻き取られており、転位電線の製造時にはそれらの素線平角エナメル線が送り出されるようになっている。
【0010】
(b)素線集合ガイドリング406関係
素線集合ガイドリング406は上記のケージ円板401の次に設置されており、このケージ円板401と同様にその全体が右回り方向等に回転駆動されるようになっている。即ち、素線集合ガイドリング406とケージ円板とは同期的に回転駆動されるようになっている。この素線集合ガイドリング406の円周方向に沿った等分位置には、分線ダイス405が複数個がそれぞれ回転可能に設置されている。
【0011】
分線ダイス405の個数は、素線平角エナメル線404の本数に等しいか、それ以上である。前記の複数の素線ボビン403から送り出された素線平角エナメル線404は、この素線集合ガイドリング406に設置されている分線ダイス405内をそれぞれ通過するようになっている。
【0012】
即ち、素線集合ガイドリング406は、転位ヘッド408の前位置に設置されており、前記の複数の素線ボビン403から送り出されてきた複数本の素線平角エナメル線404を分線ダイス405を介してそれぞれ水平位置に保ちながら円周等分位置に分線しつつ、且つケージ円板401と同期的に回転駆動されるようになっている。
【0013】
(c)転位機構部407関係
転位機構部407は素線集合ガイドリング406の次の位置に回転できないように設置されている。この転位機構部407には転位ヘッド408が設置されている。この分線ダイス405を通過した複数本の素線平角エナメル線404は、この転位機構部407の転位ヘッド408へ入り、そこで順次転位、撚り合わされて平角エナメル線転位撚線409となる。
【0014】
(d)クラフト紙巻き作業
ここで得られた平角エナメル線転位撚線409は、図示はしないクラフト紙巻回機構部で外周にクラフト紙を巻回することにより転位電線とし、図示しない巻取機構部により巻き取られるようになっている。
【0015】
前述したように従来の素線集合ガイドリング406は、送り出されてきた複数本の素線平角エナメル線404をその素線集合ガイドリング406の円周等分割に設置された分線ダイス405により水平位置に保ちながら円周等分位置に分線しつつ、且つケージ円板401と同期的に回転駆動されるようになっている。
【0016】
次に、この従来の素線集合ガイドリング406の分線ダイス405を通過した複数本の素線平角エナメル線404は、この素線集合ガイドリング406の次の位置に設置されている転位ヘッド408で順次転位、成形される。
【0017】
さて、ここにおいてそれら素線平角エナメル線404の内の転位する素線平角エナメル線404は、素早くケージ円板401の回転方向へ移動するようにしなければならない。
【0018】
図5は、図4に示した従来の装置において、平角素線504(404)に対してその幅方向に転位力を与える第一装置を構成するケージ円板501(401)と、平角素線504(404)に対してその厚さ方向に転位力を与える第二装置を構成する素線集合ガイドリング506(406)との関係を示す概略図である。
【0019】
図5において、(a)は模式的な斜視図を、(b)は(a)に示す構成を上方(矢印Y方向)から見た模式的な断面図を、(c)は(a)に示す構成を側方(矢印X方向)から見た模式的な断面図を、(d)は(b)においてケージ円板501(401)に素線ボビン503(403)がクレードル502(402)を介して配された部分の拡大図を表す。
【0020】
図5(a)に示すように従来の装置では、複数本の素線平角エナメル線504を送り出す素線ボビン503は送出し機構部をなすケージ円板501上に円周方向に等分割されて配置されており、かつ、素線集合ガイドリング506に設けられた分線ダイス505は円周方向に等分割に配され、且つ等速度で作動するようになっている。
【0021】
図5(b)から明らかなように、ケージ円板501と素線集合ガイドリング506の各回転中心を結ぶ線分に対して素線平角エナメル線504がその幅方向になす角度θは、ケージ円板501と素線集合ガイドリング506の回転に伴い変化する。この回転に起因して、素線平角エナメル線504にはその幅方向に歪み(エッジワイズ歪と呼称する)が加わる。
【0022】
特に、図5(b)に示すように、素線平角エナメル線504の幅方向に最も遠い位置となったとき、素線平角エナメル線504にはその幅方向に最大のエッジワイズ歪が加わることになる。ゆえに、この構成によれば、素線平角エナメル線504において大きなエッジワイズ歪が生じやすいという問題があった。
【0023】
また図5(c)から明らかなように、ケージ円板501と素線集合ガイドリング506の各回転中心を結ぶ線分に対して素線平角エナメル線504がその厚さ方向になす角度αも、ケージ円板501と素線集合ガイドリング506の回転に伴い変化する。この回転に起因して、素線平角エナメル線504にはその厚さ方向に歪み(フラットワイズ歪と呼称する)が加わる。
【0024】
特に、図5(c)に示すように、素線平角エナメル線504の厚さ方向に最も遠い位置となったとき、素線平角エナメル線504にはその厚さ方向に最大のフラットワイズ歪が加わることになる。ゆえに、この構成によれば、素線平角エナメル線504において大きなフラットワイズ歪も生じやすいという問題があった。
【0025】
さらに図5(d)から明らかなように、ケージ円板501上に配される素線平角エナメル線504を送り出す素線ボビン503は、素線平角エナメル線504に加わる張力を低い張力(例えば、数百グラム・オーダー)で常に一定に保つため、素線ボビン503から素線平角エナメル線504を常に垂直に繰り出すためのボビン首振り機構としてクレードル502が必要となる。クレードル502は図5(d)に示した2つの矢印方向に振動することで、素線平角エナメル線504に加わる張力を低い張力に保つ働きをする。
【0026】
しかしながら、回転するケージ円板501上に取り付けた状態で、複数個の素線ボビン503がこのような一定の張力を正確に維持できる首振り機構をなすためには、複雑な構成や精密な制御を各々の素線ボビン503ごとに設ける必要があった。
【0027】
また、転位電線の他の製造例としては、図6および図7に示すようなカム機構を利用した転位電線の製造装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0028】
図6は従来の転位電線製造装置の正面図であり、12、13、14、15、16は転位電線の対象となる平角素線の集合体の一部で、この集合体は符号で示さない素線を含めると計15本(左列7本、右列8本)の縦列の2列配置をなしており、図7に示すように動作させて転位電線を形成する。
【0029】
図6の転位電線製造装置は、平角素線の集合体の通過位置を挟んで四方(上下及び左右)に配設(十字型配置)された4個のカム2、3、4、5と、このカム2,3,4、5に連動して直線的な往復運動を行う転位治具6、7、8、9と、平角素線集合体を上下、左右方向から保持する素線押え治具10、10’、11、11’等で構成される。
【0030】
カム2、3、4、5は、遊星歯車機構1の回転によりそれぞれのカム面(最大外径面)が順次各自の転位治具6、7、8、9を作動させるような連係動作を行うように設定してあり、例えば次のようにして転位が行われる。
【0031】
まず、図7の(イ)に示すように、上方の転位治具6がカム2の力を受けて下降し、図に向かって左側の素線を下方に一素線の厚さ相当量だけ押し下げる。次いで、(ロ)に示すように、右方の転位治具8がカム4の力を受けて左側に移動し、最上段の素線12を左側に一素線の幅相当量だけ移動させる。次いで、(ハ)に示すように、下方の転位治具7がカム3の力を受けて、右列の素線を上方に一素線の厚さ相当量だけ押し上げる。次いで(ニ)に示すように、左方の転位治具9がカム5の力を受けて右側に移動し、最下段の素線15を右側に一素線の幅相当量だけ移動させて、(ホ)に示すように素線集合体の或る点の転位が完了する。
【0032】
このような素線転位の過程で、素線押さえ金具10、10’、11、11’が素線の転位戻り及び集合体としての寸法変動(位置ずれ)を防止するよう、素線集合体を4方から保持している。以上のようにして、15本の集合した素線は、長さ方向の一定の間隔で規則正しく転位を繰り返し、転位電線が製造される。
【0033】
図8は、図7における平角素線と転位治具との接触部分を拡大して示す斜視図であり、転位治具808を記号e方向に動作させることで、平角素線815を左方(紙面手前側)に一素線の幅相当量だけ移動させている状態を表している。その際、転位治具808に設けたガイドチップ808’の先端面は平角素線815の厚さをなす側面に直接的に接触するが、この接触面積が小さいため、平角素線815には接触部に対して局部的な応力が加わることになる。図8において、記号Eはこの局部的な応力が加わった領域を表す。
【0034】
一方、転位治具807を記号f方向に動作させることで、平角素線815を上方(紙面上側)に一素線の厚さ相当量だけ移動させる場合にも、同様の問題が生じる。この場合は、転位治具807に設けたガイドチップ807’の先端面は平角素線815の幅をなす下面に直接的に接触するが、この接触面積が小さいため、平角素線815には接触部に対して局部的な応力が加わることになる。図8において、記号Fはこの局部的な応力が加わった領域を表す。
【0035】
このように従来の装置では、転位治具が平角素線に対して直接的にかつ小さな面積で接触するので、この接触は必ず局所的な応力を発生させる。したがって、平角素線が例えば酸化物超電導材料のように脆い性質を有する材料からなる場合、この接触に伴う局所的な応力は、線材特性に対して致命的な劣化を引き起こす要因となる恐れがあった。
【0036】
【特許文献1】
特開2001−148210号公報
【特許文献2】
特開昭51−53035号公報
【0037】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、転位撚線を形成する前段階における平角素線に加わるフラットワイズ歪やエッジワイズ歪を小さくすることが可能な、平角素線の送出し装置、平角素線の転位力付与装置および転位撚線の製造装置を提供することを目的とする。
【0038】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る平角素線の送出し装置は、
複数本の平角素線を厚さ方向及び幅方向に並べて列状に集合させ、これらの平角素線を長さ方向の所定間隔ごとに素線の厚さ方向及び幅方向に順次転位させる転位撚線の製造に用いられる平角素線の送出し装置であり、
傾斜面を有する送り出し架台と、該傾斜面の傾斜方向に沿って2列に並べて配され前記平角素線ごとに設けた個別送出機構部とを有し、該個別送出機構部は複数回移動する縦方向移動と1回のみ移動する横方向移動からなる回転運動を繰り返す構造を備えていることを特徴としている。
【0039】
上記構成からなる平角素線の送出し装置であれば、2列に並べて配され平角素線ごとに設けた個別送出機構部は、複数回移動する縦方向移動と1回のみ移動する横方向移動からなる回転運動を繰り返す構造を備えているので、従来の装置が円盤状の構成物で実現した回転運動と同様の機能を得られる。
【0040】
特に、横方向には平角素線ごとに設けた個別送出機構部が最大2個並列するだけなので、この並列した2つの個別送出機構部から繰り出される2本の平角素線を、進行すべき方向に対して極めて小さな角度で繰り出すことが可能となる。これは、平角素線の幅方向に加わるエッジワイズ歪の低減に寄与する。
【0041】
また、前記平角素線ごとに設けた個別送出機構部は、送り出し架台の傾斜面上にその傾斜方向に沿って2列に並べて配されているので、最上段と最下段にそれどれ位置する2つの個別送出機構部から繰り出される2本の平角素線を、進行すべき方向に対して極めて小さな角度で繰り出すことが可能となる。これは、平角素線の厚さ方向に加わるフラットワイズ歪の低減に寄与する。
【0042】
さらに、上述した個別送出機構部の2列配置構造は、従来の装置では平角素線ごとに張力制御するため要した首振り機構を不要なものとしたので、装置構造の簡単化が図れ、ひいては信頼性の高い送り出し機構を備えた平角素線の送出し装置を提供できる。
【0043】
本発明に係る平角素線の転位力付与装置は、
複数本の平角素線を厚さ方向及び幅方向に並べて列状に集合させ、これらの平角素線を長さ方向の所定間隔ごとに素線の厚さ方向及び幅方向に順次転位させる転位撚線の製造に用いられる平角素線の転位力付与装置であり、
個々の平角素線を通過させるための方形の空孔を備えた分線ダイスが2列に並べて配されてなる分線機構部を有し、該分線機構部は前記分線ダイスが複数回移動する縦方向移動と1回のみ移動する横方向移動からなる回転運動を繰り返す構造を備えていることを特徴としている。
【0044】
上記構成からなる平角素線の転位力付与装置であれば、個々の平角素線を通過させるための方形の空孔を備えた分線ダイスが2列に並べて配されてなる分線機構部は、分線ダイスが複数回移動する縦方向移動と1回のみ移動する横方向移動からなる回転運動を繰り返す構造を備えているので、従来の装置が円盤状の構成物で実現した回転運動と同様の機能を得られる。
【0045】
特に、横方向には平角素線ごとに設けた分線ダイスが最大2個並列するだけなので、この並列した2つの分線ダイスから繰り出される2本の平角素線を、進行すべき方向に対して極めて小さな角度で繰り出すことが可能となる。これは、平角素線の幅方向に加わるエッジワイズ歪の低減に寄与する。
【0046】
また上記構成であれば、平角素線は分線ダイスが有する方形の空孔内を貫通して進行するように配されているので、分線ダイスが横方向に移動するに際に平角素線に接触する部分は.平角素線の進行方向に沿った分線ダイスの長さと平角素線の厚さとの積で表される面となる。
【0047】
この面の面積は、従来の装置で転位治具の接触部が平角素線に接していた面積に比べて大きな値に設定できることから、従来の装置において平角素線の接触部に対し局部的に加重が加わったことに起因して生じていた応力の値を著しく緩和でき、これは平角素線に加わるエッジワイズ歪のさらなる低減をもたらす。
【0048】
同様に、上記構成であれば、平角素線は分線ダイスが有する方形の空孔内を貫通して進行するように配されているので、分線ダイスが縦方向に移動するに際に平角素線に接触する部分は.平角素線の進行方向に沿った分線ダイスの長さと平角素線の幅との積で表される面となる。
【0049】
この面の面積は、従来の装置で転位治具の接触部が平角素線に接していた面積に比べて大きな値に設定できることから、従来の装置において平角素線の接触部に対し局部的に加重が加わったことに起因して生じていた応力の値を著しく緩和でき、これは平角素線に加わるフラットワイズ歪の大幅な低減に寄与する。
【0050】
本発明に係る転位撚線の製造装置は、
複数本の平角素線を厚さ方向及び幅方向に並べて列状に集合させ、これらの平角素線を長さ方向の所定間隔ごとに素線の厚さ方向及び幅方向に順次転位させる転位撚線の製造装置であり、
傾斜面を有する送り出し架台と、該傾斜面の傾斜方向に沿って2列に並べて配され前記平角素線ごとに設けた個別送出機構部とを有し、該個別送出機構部は複数回移動する縦方向移動と1回のみ移動する横方向移動からなる回転運動を繰り返す構造を備えてなる平角素線の送出し装置と、
前記送出し装置から送られてきた個々の平角素線を通過させるための方形の空孔を備えた分線ダイスが2列に並べて配されてなる分線機構部を有し、該分線機構部は前記分線ダイスが複数回移動する縦方向移動と1回のみ移動する横方向移動からなる回転運動を繰り返す構造を備えてなる平角素線の転位力付与装置と、を少なくとも具備しており、
前記送出し装置及び前記転位力付与装置が連係動作するよう設定して成ることを特徴としている。
【0051】
上記構成からなる転位撚線の製造装置は、上述した特徴を備えた送出し装置と転位力付与装置とを備え、かつ、この送出し装置と転位力付与装置とが連係動作するよう設定しているので、例えば両方の装置における回転運動を同じ方向とし、一本の平角素線で結ばれた関係にある個別送出機構部と分線ダイスとを同期させて動作させることで、設定された複数本の平角素線が順番に撚られてなる転位撚線が形成できる。
【0052】
前述したように、本発明に係る転位撚線の製造装置を構成する送出し装置と転位力付与装置はともに、平角素線に加わるエッジワイズ歪およびフラットワイズ歪を十分に抑えつつ、平角素線を順番に撚ることができる。
【0053】
ゆえに、このような特徴をもつ2つの装置を連係動作させて転位撚線を製造する本装置は、内在する歪みの極めて小さな転位撚線を常に安定して製造することに貢献する。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1は本発明に係る転位撚線の製造装置の一実施形態を示す概略図であり、複数本の平角素線115を厚さ方向及び幅方向に並べて列状に集合させ、これらの平角素線を長さ方向の所定間隔ごとに素線の厚さ方向及び幅方向に順次転位させる転位撚線180を製造装置である。
【0055】
図1において、100は平角素線を繰り出す送出し装置、130は平角素線を転位させる転位力付与装置、150は平角素線を転位集合化させる撚り口装置、160は転位集合化された転位撚線を引っ張る移動装置、170は転位撚線を管理する計尺装置、180は転位撚線、190は転位撚線の巻き取り装置である。
【0056】
平角素線の送出し装置100は、図1の左下図に示すように、傾斜面102を有する送り出し架台101と、この傾斜面102の傾斜方向に沿って2列に並べて配され平角素線ごとに設けた個別送出機構部とを有する。例えば、平角素線103dの場合、これに対応する個別送出機構部は、平角素線103dが巻き付けて収納されている送出しボビン103a、送出しボビン103aを回転駆動させる機能を備えた支持部103b、送出しボビン103aと支持部103bを載置する支持台103cから構成されている。図2は本発明に係る平角素線の送出し装置の一実施形態を示す概略図である。特に図2(a)は、このような個別送出機構部を12個備えた例であり、本発明はこの個数に限定されるものではない。
【0057】
図1の左下図に示すように、この12個の個別送出機構部は例えば矢印α1、α2、α3、α4で示す向きに順番に移動し、その位置を変化させ、一周することで元の位置に戻ることができる。換言すれば、個別送出機構部は複数回移動する縦方向移動α2、α4と1回のみ移動する横方向移動α1、α3からなる回転運動を繰り返す構造を備えいる。ゆえに、この構造は、上記送出しボビンに相当する機構部が円盤上の円周方向に沿った等分位置に配してなる図4に示すような従来の装置と同様の作用を働かせることが可能である。
【0058】
図2は、平角素線の送出し装置100から繰り出される平角素線の進行方向について説明する概略図である。
図2(a)に示すように、平角素線の送出し装置100から繰り出された複数本の平角素線115は転位力付与装置130に向けて進行する。この場合、図2(b)や図2(c)に示すように、送出し装置100と転位力付与装置130とを結ぶ中心線に対して、それぞれの個別送出機構部を構成する送出しボビンから転位力付与装置130に向けて繰り出される平角素線の角度θは異なる。
【0059】
特に、図2(b)の下段列(図2(a)において転位力付与装置130から送出し装置100を見た場合には左縦列に相当する)では送出しボビン109aから繰り出される平角素線109dが最大の角度θ2 をなす(入線角度と呼称する)のに対し、上段列(図2(a)において転位力付与装置130から送出し装置100を見た場合には右縦列に相当する)では送出しボビン110aから繰り出される平角素線110dが最大の角度θ1 をなす。つまり、平角素線にはその幅方向に、この角度θに起因した応力が加わり、これは平角素線に加わるエッジワイズ歪の原因となる。
【0060】
しかしながら、上記送出しボビンに相当する機構部が円盤上の円周方向に沿った等分位置に配してなる図4に示すような従来の装置に比べれば、本発明に係る送出し装置100で生じる角度θは極めて小さなものとなる。
【0061】
ゆえに、上記構成からなる平角素線の送出し装置100であれば、2列に並べて配され平角素線ごとに設けた個別送出機構部は、複数回移動する縦方向移動と1回のみ移動する横方向移動からなる回転運動を繰り返す構造を備えているので、平角素線に加わるエッジワイズ歪を十分に抑制しながら、次工程の装置である転位力付与装置130に向けて平角素線を進行させることができる。
【0062】
また図2(a)から明らかなように、平角素線ごとに設けた個別送出機構部は、送り出し架台101の傾斜面102上に、その傾斜方向に沿って2列に並べて配されているので、最上段と最下段にそれぞれ位置する2つの個別送出機構部、(すなわち図2(b)に示す上段列の送出しボビンで説明すると、最上段は103aの送出しボビン、最下段は110aの送出しボビンに相当する)から繰り出される2本の平角素線を、進行すべき方向に対して極めて小さな角度で繰り出すことが可能となる。
【0063】
ゆえに、平角素線ごとに設けた個別送出機構部を送り出し架台101の傾斜面102上に、その傾斜方向に沿って2列に並べて配して成る構成は、平角素線の厚さ方向に加わるフラットワイズ歪の低減に寄与する。
【0064】
上述したように、本発明に係る平角素線の送出し装置100は、個別送出機構部の2列配置構造と、平角素線ごとに設けた個別送出機構部を送り出し架台101の傾斜面102上に、その傾斜方向に沿って2列に並べて配して成る構成とを採用したことによって、平角素線に加わるエッジワイズ歪とフラットワイズ歪とを同時に低減することが可能となった。
【0065】
これに伴い、従来の装置では平角素線ごとに張力制御するため設ける必要があった首振り機構を、本発明に係る平角素線の送出し装置100は敢えて設ける必要が無くなった。ゆえに、本発明によれば、従来の装置に比べて装置構造の簡単化が図れ、ひいては長期信頼性に優れた平角素線の送出し装置を提供できる。
【0066】
本発明に係る平角素線の転位力付与装置130は、例えば平角素線103dを通過させるための方形の空孔133bを備えた分線ダイス133aのように、個々の平角素線ごとに分線ダイス133a〜144aを備え、個々の平角素線を通過させるための方形の空孔を備えた分線ダイスは2列に並べて配されてなる分線機構部132と、平角素線の通過を阻害しないように分線機構部132を取り囲むように配される筐体131と、個々の分線ダイスをβ1、β2、β3、β4の向きに移動させる図示しない手段とで構成されている。
【0067】
この分線機構部132は、筐体131の内壁に沿って前記分線ダイスが複数回移動する縦方向移動β2、β4と1回のみ移動する横方向移動β1、β3からなる回転運動を繰り返す構造を備えているので、上記構成からなる平角素線の転位力付与装置130は、従来の装置が円盤状の構成物で実現した回転運動と同様の機能を有することができる。
【0068】
ところで、この回転運動と同様の機能は、横方向には平角素線ごとに設けた分線ダイスが最大2個並列するだけなので、この並列した2つの分線ダイスから繰り出される2本の平角素線は、進行すべき方向に対して極めて小さな角度でそれぞれの分線ダイスから、すなわち本発明に係る平角素線の転位力付与装置130から繰り出されることとなる。したがって、上記回転運動と同様の機能は、平角素線の幅方向に加わるエッジワイズ歪の低減をもたらす。
【0069】
また上記構成であれば、図1の右下図から明らかなように、例えば平角素線103dは分線ダイス133aが有する方形の空孔133b内を貫通して進行するように配されているので、分線ダイス133aが横方向(例えばβ1方向)に移動するに際に平角素線103dに接触する部分は.平角素線103dの進行方向に沿った分線ダイス133aの長さと平角素線103dの厚さとの積で表される細長い面となり、この細長い面で平角素線103dの側面はβ1方向に外力を受ける。換言すると、本発明に係る平角素線の転位力付与装置130によれば、分線ダイス133aの空孔133b内を通過中にある平角素線103dの側面は、上記細長い面全体で、紙面手前側に転位力を受けることになる。
【0070】
この細長い面の面積は、図8に示すような従来の装置で転位治具の接触部が平角素線に接していた局所的な面積に比べて極めて大きな値に設定できるので、従来の装置において平角素線の接触部に対し局部的に加重が加わったことに起因して生じていた応力の値を著しく緩和でき、これは平角素線に加わるエッジワイズ歪のさらなる低減をもたらす。
【0071】
さらに、上記説明から明らかなように、この細長い面の面積は、分線ダイス133aの長さと平角素線103dの厚さとの積で表される特定の面積からなるので、平角素線103dをある一定の進行速度で繰り出しつつ、分線ダイス133aをβ1方向へ所定の時間間隔で移動することにより、平角素線103dに対して転位力を安定して加えることが可能となる。
【0072】
この横方向すなわちβ1方向に移動した分線ダイス133aは、次いで縦方向すなわち下方に(β2方向)に移動する。この場合、分線ダイス133aが平角素線103dに接触する部分は.平角素線103dの進行方向に沿った分線ダイス133aの長さと平角素線103dの幅との積で表される幅広の面となり、この幅広の面で平角素線103dの上面はβ2方向に外力を受ける。
【0073】
この幅広の面の面積は、図8に示すような従来の装置で転位治具の接触部が平角素線に接していた面積に比べて大きな値に設定できることから、従来の装置において平角素線の接触部に対し局部的に加重が加わったことに起因して生じていた応力の値を著しく緩和でき、これは平角素線に加わるフラットワイズ歪の大幅な低減をもたらす。
【0074】
本発明に係る転位撚線の製造装置は、図1に示すように、上述した平角素線の送出し装置100と平角素線の転位力付与装置130とを少なくとも具備しており、送出し装置100及び転位力付与装置130が連係動作するよう設定して成ることを特徴としている。
【0075】
前述したように、送出し装置100を構成する個別送出機構部は、α1、α2、α3及びα4で示すように左周りで回転し、その位置を適宜変えていく。すなわち、2列に並べて配され前記平角素線ごとに設けた個別送出機構部は、複数回移動する縦方向移動(α2、α4)と1回のみ移動する横方向移動(α1、α3)からなる回転運動を繰り返す構造を備えて動作をする。
【0076】
このような送出機構部の回転と同期して、転位力付与装置130も、β1、β2、β3及びβ4で示すように左周りで回転し、その位置を適宜変えていく。すなわち、前段に配置された送出し装置100から送られてきた個々の平角素線を通過させるための方形の空孔を備えた分線ダイスが2列に並べて配されてなる分線機構部132は、前記分線ダイスが複数回移動する縦方向移動(β2、β4)と1回のみ移動する横方向移動(β1、β3)からなる回転運動を繰り返す構造を備えている。
【0077】
したがって、平角素線103dを例として図1に明示するように、右列最上段の位置にある支持台103c上に設けた送出しボビン103aから繰り出された平角素線103dが、右列最上段の位置にある分線ダイス133aの空孔133bを通過するように進行させて、かつ、支持台103cがα1方向へ一つ移動するのに同期させて、分線ダイス133aをβ1方向へ移動させる。そして、所定時間t1の間、このポジションを維持し、その間はある一定の速度vで平角素線103dを進行させる。次いで、所定時間t1が経過した後、支持台103cがα2方向へさらに一つ移動するのに同期させて、分線ダイス133aをβ2方向へ一つ移動させる。
【0078】
このように、一本の平角素線で結ばれた関係にある送出しボビンを載せた支持台と分線ダイスとを同期させて回転運動させる、同様に、他の平角素線についても、その平角素線で結ばれた関係にある送出しボビンを載せた支持台と分線ダイスとを同期させて回転運動させることにより、転位力付与装置130から繰り出された複数本の平角素線は、次に設けた撚り口装置150を通過させることにより転位撚線180が得られる。図1では、さらに撚り口装置150の後段に、転位撚線の移動装置160、転位撚線を管理する計尺装置170、転位撚線の巻き取り装置190を配した例を示した。この転位撚線180は、図3に示すような構造の転位撚線ユニット310をなしている。
【0079】
図3は、本発明に係る転位撚線の製造装置により形成された転位撚線ユニット310の構成を示す斜視図である。図3において、351は平角素線が転位力を受けて撚られた領域(転位渡り部)であり、352は平角素線が転位力を受けていない領域(非転位渡り部)を表している。
【0080】
図3に示すように、本実施形態の転位撚線ユニット310は、12本の平角素線323〜334を、各平角素線がその長尺方向において順次その位置を代えて変位するように転位撚り合わせたものである。
【0081】
図3から明らかなように、12本の平角素線323〜334が転位撚り合わされてなる転位撚線ユニット310では、各転位渡り部351は、転位撚線ユニット310の長尺方向に対して平行方向に延在し位置が転位されていない10本の平角素線324〜328、330〜334からなるテープ群Aと、転位撚線ユニット310の長尺方向に対して非平行方向に延在し位置が転位されている一対の転位平角素線323、329とから構成されている。
【0082】
一対の転位平角素線323、329は、10本の平角素線324〜328、330〜334からなるテープ群Aの外方に配置されている。これに対し、非転位渡り部352は、5本の平角素線324〜329からなるテープ群Bと他の5本の平角素線330〜334、323からなるテープ群Bとが、転位撚線ユニット310の幅方向に並列して配置されたものである。
【0083】
転位力付与装置130から繰り出された複数本の平角素線は、図3に示すような転位撚線ユニット310を自然と形成するが、その後段に配置される撚り口装置150を通過させることにより、確実に転位撚線ユニット310の形状を保持できるようになるのでより好ましい。
【0084】
このような転位撚線の製造装置としては、以下に示す諸元を備えた装置例が挙げられる。
【0085】
上記諸元を備えた本発明に係る転位撚線の製造装置により、平角素線に加わる曲げ歪を0.1%未満(フラットワイズ歪、エッジワイズ歪)にし、最大張力500g(平角素線1枚あたり)とすることが可能となった。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る平角素線の送出し装置は、2列に並べて配され平角素線ごとに設けた個別送出機構部は、複数回移動する縦方向移動と1回のみ移動する横方向移動からなる回転運動を繰り返す構造を備えているので、次工程への入線角度を小さくした状態で個々の平角素線を繰り出すことを可能とした(図2(b))ので、平角素線にダメージを与えることなく次工程への送出が可能となった。また、本発明に係る送出し装置では、従来の装置では必要とした首振り機構を付けなくとも張力制御機構のみの簡単な構造で対応できることから、装置構成が簡単化したので長期信頼性の高い装置の提供が可能となった。
【0087】
本発明に係る平角素線の転位力付与装置は、平角素線に対する転位力付与を分線ダイス方式としたことで、平角素線に対して点で押すのではなく一定距離で転位力を付与することが可能となり、従来のチップによる転位力付与の場合に比べ、平角素線に対して局所的に荷重が集中することが無くなった。
【0088】
また、分線ダイスを従来の円運動ではなく、複数回移動する縦方向移動と1回のみ移動する横方向移動からなる回転運動を繰り返す構造としたことにより、入線角度を小さくすることができ、平角素線に加わるエッジワイズ歪やフラットワイズ歪を小さくすることが可能となった。これにより、分線ダイスを備えた転位力付与装置を次工程をなす撚り口装置の手前まで近づけて設けることが可能となるので、これは転位渡りピッチの乱れを小さくすることに寄与する。
【0089】
本発明に係る転位撚線の製造装置であれば、上述した平角素線の送出し装置と転位力付与装置が連係動作するよう設定して成る構成としたことにより、平角素線の固定部分(図3の非転位渡り部352)間において平角素線のとる軌道を片持ち梁モデルに当てはめることが可能となり、これは転位加工する平角素線の機械特性を基準にして、簡単でコンパクトな転位撚線機の設計をもたらす。したがって、本発明によれば、設置の省スペース化が図れる転位撚線の製造装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転位撚線の製造装置により転位電線を製造して様子を示した説明図である。
【図2】図2は本発明に係る平角素線の送出し装置の一実施形態を示す概略図である。
【図3】本発明に係る転位撚線ユニットを示す斜視図である。
【図4】従来の転位電線の製造装置により転位電線を製造する様子の一例を示した説明図である。
【図5】図4の装置を構成するケージ円板と素線集合ガイドリングとの関係を示す概略図である。
【図6】従来の転位電線の製造装置により転位電線を製造する様子の他の一例を示した説明図である。
【図7】図6の装置において平角素線の順番を入れ替える作業(転位作業)を行っている様子を示した断面説明図である。
【図8】図7における平角素線と転位治具との接触部分を拡大して示す斜視図である。
【符号の説明】
α1 、α2 、α3、α4 支持台の移動方向、β1 、β2 、β3、β4 分線ダイスの移動方向、θ1 、θ2 入線角度、100 送出し装置、130 転位力付与装置、150 撚り口装置、160 移動装置、170 計尺装置、180 転位撚線、190 巻き取り装置、310 転位撚線ユニット。
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数本の平角素線を転位撚り合わせてなる転位電線の製造に用いる平角素線の送出し装置、平角素線の転位力付与装置および転位撚線の製造装置に係り、特に、機械的に脆い材料からなる転位電線を製造する際に、転位電線に加わる曲げ歪を小さく抑えることが可能な平角素線の送出し装置、平角素線の転位力付与装置および転位撚線の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、素線単位で絶縁被覆された平角素線の集合体をなす各素線を、その長さ方向において、一定の間隔ごとに一本づつ順次位置を転位させた転位電線が公知である。
【0003】
このような転位電線の製造例としては、例えば図4に示す以下に示すような事例が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。図4に示した装置は、平角素線に対してその幅方向に転位力を与える第一装置とその厚さ方向に転位力を与える第二装置とを個別に備え、第一装置の後に第二装置を配してなる転位電線の製造装置である。
【0004】
図4において401はケージ円板、402はクレードル、403は素線ボビン、404は素線平角エナメル線、405は分線ダイス、406は素線集合ガイドリング、407は転位機構部、408は転位機構部、407の転位ヘッド、409は平角エナメル線転位撚線である。
【0005】
図4に示した転位電線の製造装置では、平角素線404に対してその幅方向に転位力を与える第一装置は、ケージ円板401、クレードル402および素線ボビン403から構成されており、平角素線404に対してその厚さ方向に転位力を与える第二装置は、分線ダイス405と素線集合ガイドリング406から構成されている。なお図示はしないが、転位電線はここで得られた平角エナメル線転位撚線409の外周にクラフト紙等を巻回して得られるものである。
【0006】
図4からわかるように従来の転位電線の製造装置の主要構成部材はケージ円板401、素線集合ガイドリング406、転位機構部407等からなっている。以下では、図4の製造装置により、平角エナメル線転位撚線409を製造する方法について述べる。
【0007】
(a)ケージ円板401関係
ケージ円板401はその全体が右周り方向等に回転駆動されるようになっている。このケージ円板401の円周方向に沿った等分位置には、クレードル402が複数個設置されている。このクレードル402の個数は、その転位電線の製造装置へ装着できる最大の素線平角エナメル線の本数である。
【0008】
これらのクレードル402には、その自身の軸のまわりに回転可能に支持され、且つ遊星歯車機構によって一定の水平位置を保つように保持された素線ボビン403がそれぞれ装着されている。
【0009】
そしてこれら複数の素線ボビン403にはそれぞれ素線平角エナメル線404が巻き取られており、転位電線の製造時にはそれらの素線平角エナメル線が送り出されるようになっている。
【0010】
(b)素線集合ガイドリング406関係
素線集合ガイドリング406は上記のケージ円板401の次に設置されており、このケージ円板401と同様にその全体が右回り方向等に回転駆動されるようになっている。即ち、素線集合ガイドリング406とケージ円板とは同期的に回転駆動されるようになっている。この素線集合ガイドリング406の円周方向に沿った等分位置には、分線ダイス405が複数個がそれぞれ回転可能に設置されている。
【0011】
分線ダイス405の個数は、素線平角エナメル線404の本数に等しいか、それ以上である。前記の複数の素線ボビン403から送り出された素線平角エナメル線404は、この素線集合ガイドリング406に設置されている分線ダイス405内をそれぞれ通過するようになっている。
【0012】
即ち、素線集合ガイドリング406は、転位ヘッド408の前位置に設置されており、前記の複数の素線ボビン403から送り出されてきた複数本の素線平角エナメル線404を分線ダイス405を介してそれぞれ水平位置に保ちながら円周等分位置に分線しつつ、且つケージ円板401と同期的に回転駆動されるようになっている。
【0013】
(c)転位機構部407関係
転位機構部407は素線集合ガイドリング406の次の位置に回転できないように設置されている。この転位機構部407には転位ヘッド408が設置されている。この分線ダイス405を通過した複数本の素線平角エナメル線404は、この転位機構部407の転位ヘッド408へ入り、そこで順次転位、撚り合わされて平角エナメル線転位撚線409となる。
【0014】
(d)クラフト紙巻き作業
ここで得られた平角エナメル線転位撚線409は、図示はしないクラフト紙巻回機構部で外周にクラフト紙を巻回することにより転位電線とし、図示しない巻取機構部により巻き取られるようになっている。
【0015】
前述したように従来の素線集合ガイドリング406は、送り出されてきた複数本の素線平角エナメル線404をその素線集合ガイドリング406の円周等分割に設置された分線ダイス405により水平位置に保ちながら円周等分位置に分線しつつ、且つケージ円板401と同期的に回転駆動されるようになっている。
【0016】
次に、この従来の素線集合ガイドリング406の分線ダイス405を通過した複数本の素線平角エナメル線404は、この素線集合ガイドリング406の次の位置に設置されている転位ヘッド408で順次転位、成形される。
【0017】
さて、ここにおいてそれら素線平角エナメル線404の内の転位する素線平角エナメル線404は、素早くケージ円板401の回転方向へ移動するようにしなければならない。
【0018】
図5は、図4に示した従来の装置において、平角素線504(404)に対してその幅方向に転位力を与える第一装置を構成するケージ円板501(401)と、平角素線504(404)に対してその厚さ方向に転位力を与える第二装置を構成する素線集合ガイドリング506(406)との関係を示す概略図である。
【0019】
図5において、(a)は模式的な斜視図を、(b)は(a)に示す構成を上方(矢印Y方向)から見た模式的な断面図を、(c)は(a)に示す構成を側方(矢印X方向)から見た模式的な断面図を、(d)は(b)においてケージ円板501(401)に素線ボビン503(403)がクレードル502(402)を介して配された部分の拡大図を表す。
【0020】
図5(a)に示すように従来の装置では、複数本の素線平角エナメル線504を送り出す素線ボビン503は送出し機構部をなすケージ円板501上に円周方向に等分割されて配置されており、かつ、素線集合ガイドリング506に設けられた分線ダイス505は円周方向に等分割に配され、且つ等速度で作動するようになっている。
【0021】
図5(b)から明らかなように、ケージ円板501と素線集合ガイドリング506の各回転中心を結ぶ線分に対して素線平角エナメル線504がその幅方向になす角度θは、ケージ円板501と素線集合ガイドリング506の回転に伴い変化する。この回転に起因して、素線平角エナメル線504にはその幅方向に歪み(エッジワイズ歪と呼称する)が加わる。
【0022】
特に、図5(b)に示すように、素線平角エナメル線504の幅方向に最も遠い位置となったとき、素線平角エナメル線504にはその幅方向に最大のエッジワイズ歪が加わることになる。ゆえに、この構成によれば、素線平角エナメル線504において大きなエッジワイズ歪が生じやすいという問題があった。
【0023】
また図5(c)から明らかなように、ケージ円板501と素線集合ガイドリング506の各回転中心を結ぶ線分に対して素線平角エナメル線504がその厚さ方向になす角度αも、ケージ円板501と素線集合ガイドリング506の回転に伴い変化する。この回転に起因して、素線平角エナメル線504にはその厚さ方向に歪み(フラットワイズ歪と呼称する)が加わる。
【0024】
特に、図5(c)に示すように、素線平角エナメル線504の厚さ方向に最も遠い位置となったとき、素線平角エナメル線504にはその厚さ方向に最大のフラットワイズ歪が加わることになる。ゆえに、この構成によれば、素線平角エナメル線504において大きなフラットワイズ歪も生じやすいという問題があった。
【0025】
さらに図5(d)から明らかなように、ケージ円板501上に配される素線平角エナメル線504を送り出す素線ボビン503は、素線平角エナメル線504に加わる張力を低い張力(例えば、数百グラム・オーダー)で常に一定に保つため、素線ボビン503から素線平角エナメル線504を常に垂直に繰り出すためのボビン首振り機構としてクレードル502が必要となる。クレードル502は図5(d)に示した2つの矢印方向に振動することで、素線平角エナメル線504に加わる張力を低い張力に保つ働きをする。
【0026】
しかしながら、回転するケージ円板501上に取り付けた状態で、複数個の素線ボビン503がこのような一定の張力を正確に維持できる首振り機構をなすためには、複雑な構成や精密な制御を各々の素線ボビン503ごとに設ける必要があった。
【0027】
また、転位電線の他の製造例としては、図6および図7に示すようなカム機構を利用した転位電線の製造装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0028】
図6は従来の転位電線製造装置の正面図であり、12、13、14、15、16は転位電線の対象となる平角素線の集合体の一部で、この集合体は符号で示さない素線を含めると計15本(左列7本、右列8本)の縦列の2列配置をなしており、図7に示すように動作させて転位電線を形成する。
【0029】
図6の転位電線製造装置は、平角素線の集合体の通過位置を挟んで四方(上下及び左右)に配設(十字型配置)された4個のカム2、3、4、5と、このカム2,3,4、5に連動して直線的な往復運動を行う転位治具6、7、8、9と、平角素線集合体を上下、左右方向から保持する素線押え治具10、10’、11、11’等で構成される。
【0030】
カム2、3、4、5は、遊星歯車機構1の回転によりそれぞれのカム面(最大外径面)が順次各自の転位治具6、7、8、9を作動させるような連係動作を行うように設定してあり、例えば次のようにして転位が行われる。
【0031】
まず、図7の(イ)に示すように、上方の転位治具6がカム2の力を受けて下降し、図に向かって左側の素線を下方に一素線の厚さ相当量だけ押し下げる。次いで、(ロ)に示すように、右方の転位治具8がカム4の力を受けて左側に移動し、最上段の素線12を左側に一素線の幅相当量だけ移動させる。次いで、(ハ)に示すように、下方の転位治具7がカム3の力を受けて、右列の素線を上方に一素線の厚さ相当量だけ押し上げる。次いで(ニ)に示すように、左方の転位治具9がカム5の力を受けて右側に移動し、最下段の素線15を右側に一素線の幅相当量だけ移動させて、(ホ)に示すように素線集合体の或る点の転位が完了する。
【0032】
このような素線転位の過程で、素線押さえ金具10、10’、11、11’が素線の転位戻り及び集合体としての寸法変動(位置ずれ)を防止するよう、素線集合体を4方から保持している。以上のようにして、15本の集合した素線は、長さ方向の一定の間隔で規則正しく転位を繰り返し、転位電線が製造される。
【0033】
図8は、図7における平角素線と転位治具との接触部分を拡大して示す斜視図であり、転位治具808を記号e方向に動作させることで、平角素線815を左方(紙面手前側)に一素線の幅相当量だけ移動させている状態を表している。その際、転位治具808に設けたガイドチップ808’の先端面は平角素線815の厚さをなす側面に直接的に接触するが、この接触面積が小さいため、平角素線815には接触部に対して局部的な応力が加わることになる。図8において、記号Eはこの局部的な応力が加わった領域を表す。
【0034】
一方、転位治具807を記号f方向に動作させることで、平角素線815を上方(紙面上側)に一素線の厚さ相当量だけ移動させる場合にも、同様の問題が生じる。この場合は、転位治具807に設けたガイドチップ807’の先端面は平角素線815の幅をなす下面に直接的に接触するが、この接触面積が小さいため、平角素線815には接触部に対して局部的な応力が加わることになる。図8において、記号Fはこの局部的な応力が加わった領域を表す。
【0035】
このように従来の装置では、転位治具が平角素線に対して直接的にかつ小さな面積で接触するので、この接触は必ず局所的な応力を発生させる。したがって、平角素線が例えば酸化物超電導材料のように脆い性質を有する材料からなる場合、この接触に伴う局所的な応力は、線材特性に対して致命的な劣化を引き起こす要因となる恐れがあった。
【0036】
【特許文献1】
特開2001−148210号公報
【特許文献2】
特開昭51−53035号公報
【0037】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、転位撚線を形成する前段階における平角素線に加わるフラットワイズ歪やエッジワイズ歪を小さくすることが可能な、平角素線の送出し装置、平角素線の転位力付与装置および転位撚線の製造装置を提供することを目的とする。
【0038】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る平角素線の送出し装置は、
複数本の平角素線を厚さ方向及び幅方向に並べて列状に集合させ、これらの平角素線を長さ方向の所定間隔ごとに素線の厚さ方向及び幅方向に順次転位させる転位撚線の製造に用いられる平角素線の送出し装置であり、
傾斜面を有する送り出し架台と、該傾斜面の傾斜方向に沿って2列に並べて配され前記平角素線ごとに設けた個別送出機構部とを有し、該個別送出機構部は複数回移動する縦方向移動と1回のみ移動する横方向移動からなる回転運動を繰り返す構造を備えていることを特徴としている。
【0039】
上記構成からなる平角素線の送出し装置であれば、2列に並べて配され平角素線ごとに設けた個別送出機構部は、複数回移動する縦方向移動と1回のみ移動する横方向移動からなる回転運動を繰り返す構造を備えているので、従来の装置が円盤状の構成物で実現した回転運動と同様の機能を得られる。
【0040】
特に、横方向には平角素線ごとに設けた個別送出機構部が最大2個並列するだけなので、この並列した2つの個別送出機構部から繰り出される2本の平角素線を、進行すべき方向に対して極めて小さな角度で繰り出すことが可能となる。これは、平角素線の幅方向に加わるエッジワイズ歪の低減に寄与する。
【0041】
また、前記平角素線ごとに設けた個別送出機構部は、送り出し架台の傾斜面上にその傾斜方向に沿って2列に並べて配されているので、最上段と最下段にそれどれ位置する2つの個別送出機構部から繰り出される2本の平角素線を、進行すべき方向に対して極めて小さな角度で繰り出すことが可能となる。これは、平角素線の厚さ方向に加わるフラットワイズ歪の低減に寄与する。
【0042】
さらに、上述した個別送出機構部の2列配置構造は、従来の装置では平角素線ごとに張力制御するため要した首振り機構を不要なものとしたので、装置構造の簡単化が図れ、ひいては信頼性の高い送り出し機構を備えた平角素線の送出し装置を提供できる。
【0043】
本発明に係る平角素線の転位力付与装置は、
複数本の平角素線を厚さ方向及び幅方向に並べて列状に集合させ、これらの平角素線を長さ方向の所定間隔ごとに素線の厚さ方向及び幅方向に順次転位させる転位撚線の製造に用いられる平角素線の転位力付与装置であり、
個々の平角素線を通過させるための方形の空孔を備えた分線ダイスが2列に並べて配されてなる分線機構部を有し、該分線機構部は前記分線ダイスが複数回移動する縦方向移動と1回のみ移動する横方向移動からなる回転運動を繰り返す構造を備えていることを特徴としている。
【0044】
上記構成からなる平角素線の転位力付与装置であれば、個々の平角素線を通過させるための方形の空孔を備えた分線ダイスが2列に並べて配されてなる分線機構部は、分線ダイスが複数回移動する縦方向移動と1回のみ移動する横方向移動からなる回転運動を繰り返す構造を備えているので、従来の装置が円盤状の構成物で実現した回転運動と同様の機能を得られる。
【0045】
特に、横方向には平角素線ごとに設けた分線ダイスが最大2個並列するだけなので、この並列した2つの分線ダイスから繰り出される2本の平角素線を、進行すべき方向に対して極めて小さな角度で繰り出すことが可能となる。これは、平角素線の幅方向に加わるエッジワイズ歪の低減に寄与する。
【0046】
また上記構成であれば、平角素線は分線ダイスが有する方形の空孔内を貫通して進行するように配されているので、分線ダイスが横方向に移動するに際に平角素線に接触する部分は.平角素線の進行方向に沿った分線ダイスの長さと平角素線の厚さとの積で表される面となる。
【0047】
この面の面積は、従来の装置で転位治具の接触部が平角素線に接していた面積に比べて大きな値に設定できることから、従来の装置において平角素線の接触部に対し局部的に加重が加わったことに起因して生じていた応力の値を著しく緩和でき、これは平角素線に加わるエッジワイズ歪のさらなる低減をもたらす。
【0048】
同様に、上記構成であれば、平角素線は分線ダイスが有する方形の空孔内を貫通して進行するように配されているので、分線ダイスが縦方向に移動するに際に平角素線に接触する部分は.平角素線の進行方向に沿った分線ダイスの長さと平角素線の幅との積で表される面となる。
【0049】
この面の面積は、従来の装置で転位治具の接触部が平角素線に接していた面積に比べて大きな値に設定できることから、従来の装置において平角素線の接触部に対し局部的に加重が加わったことに起因して生じていた応力の値を著しく緩和でき、これは平角素線に加わるフラットワイズ歪の大幅な低減に寄与する。
【0050】
本発明に係る転位撚線の製造装置は、
複数本の平角素線を厚さ方向及び幅方向に並べて列状に集合させ、これらの平角素線を長さ方向の所定間隔ごとに素線の厚さ方向及び幅方向に順次転位させる転位撚線の製造装置であり、
傾斜面を有する送り出し架台と、該傾斜面の傾斜方向に沿って2列に並べて配され前記平角素線ごとに設けた個別送出機構部とを有し、該個別送出機構部は複数回移動する縦方向移動と1回のみ移動する横方向移動からなる回転運動を繰り返す構造を備えてなる平角素線の送出し装置と、
前記送出し装置から送られてきた個々の平角素線を通過させるための方形の空孔を備えた分線ダイスが2列に並べて配されてなる分線機構部を有し、該分線機構部は前記分線ダイスが複数回移動する縦方向移動と1回のみ移動する横方向移動からなる回転運動を繰り返す構造を備えてなる平角素線の転位力付与装置と、を少なくとも具備しており、
前記送出し装置及び前記転位力付与装置が連係動作するよう設定して成ることを特徴としている。
【0051】
上記構成からなる転位撚線の製造装置は、上述した特徴を備えた送出し装置と転位力付与装置とを備え、かつ、この送出し装置と転位力付与装置とが連係動作するよう設定しているので、例えば両方の装置における回転運動を同じ方向とし、一本の平角素線で結ばれた関係にある個別送出機構部と分線ダイスとを同期させて動作させることで、設定された複数本の平角素線が順番に撚られてなる転位撚線が形成できる。
【0052】
前述したように、本発明に係る転位撚線の製造装置を構成する送出し装置と転位力付与装置はともに、平角素線に加わるエッジワイズ歪およびフラットワイズ歪を十分に抑えつつ、平角素線を順番に撚ることができる。
【0053】
ゆえに、このような特徴をもつ2つの装置を連係動作させて転位撚線を製造する本装置は、内在する歪みの極めて小さな転位撚線を常に安定して製造することに貢献する。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1は本発明に係る転位撚線の製造装置の一実施形態を示す概略図であり、複数本の平角素線115を厚さ方向及び幅方向に並べて列状に集合させ、これらの平角素線を長さ方向の所定間隔ごとに素線の厚さ方向及び幅方向に順次転位させる転位撚線180を製造装置である。
【0055】
図1において、100は平角素線を繰り出す送出し装置、130は平角素線を転位させる転位力付与装置、150は平角素線を転位集合化させる撚り口装置、160は転位集合化された転位撚線を引っ張る移動装置、170は転位撚線を管理する計尺装置、180は転位撚線、190は転位撚線の巻き取り装置である。
【0056】
平角素線の送出し装置100は、図1の左下図に示すように、傾斜面102を有する送り出し架台101と、この傾斜面102の傾斜方向に沿って2列に並べて配され平角素線ごとに設けた個別送出機構部とを有する。例えば、平角素線103dの場合、これに対応する個別送出機構部は、平角素線103dが巻き付けて収納されている送出しボビン103a、送出しボビン103aを回転駆動させる機能を備えた支持部103b、送出しボビン103aと支持部103bを載置する支持台103cから構成されている。図2は本発明に係る平角素線の送出し装置の一実施形態を示す概略図である。特に図2(a)は、このような個別送出機構部を12個備えた例であり、本発明はこの個数に限定されるものではない。
【0057】
図1の左下図に示すように、この12個の個別送出機構部は例えば矢印α1、α2、α3、α4で示す向きに順番に移動し、その位置を変化させ、一周することで元の位置に戻ることができる。換言すれば、個別送出機構部は複数回移動する縦方向移動α2、α4と1回のみ移動する横方向移動α1、α3からなる回転運動を繰り返す構造を備えいる。ゆえに、この構造は、上記送出しボビンに相当する機構部が円盤上の円周方向に沿った等分位置に配してなる図4に示すような従来の装置と同様の作用を働かせることが可能である。
【0058】
図2は、平角素線の送出し装置100から繰り出される平角素線の進行方向について説明する概略図である。
図2(a)に示すように、平角素線の送出し装置100から繰り出された複数本の平角素線115は転位力付与装置130に向けて進行する。この場合、図2(b)や図2(c)に示すように、送出し装置100と転位力付与装置130とを結ぶ中心線に対して、それぞれの個別送出機構部を構成する送出しボビンから転位力付与装置130に向けて繰り出される平角素線の角度θは異なる。
【0059】
特に、図2(b)の下段列(図2(a)において転位力付与装置130から送出し装置100を見た場合には左縦列に相当する)では送出しボビン109aから繰り出される平角素線109dが最大の角度θ2 をなす(入線角度と呼称する)のに対し、上段列(図2(a)において転位力付与装置130から送出し装置100を見た場合には右縦列に相当する)では送出しボビン110aから繰り出される平角素線110dが最大の角度θ1 をなす。つまり、平角素線にはその幅方向に、この角度θに起因した応力が加わり、これは平角素線に加わるエッジワイズ歪の原因となる。
【0060】
しかしながら、上記送出しボビンに相当する機構部が円盤上の円周方向に沿った等分位置に配してなる図4に示すような従来の装置に比べれば、本発明に係る送出し装置100で生じる角度θは極めて小さなものとなる。
【0061】
ゆえに、上記構成からなる平角素線の送出し装置100であれば、2列に並べて配され平角素線ごとに設けた個別送出機構部は、複数回移動する縦方向移動と1回のみ移動する横方向移動からなる回転運動を繰り返す構造を備えているので、平角素線に加わるエッジワイズ歪を十分に抑制しながら、次工程の装置である転位力付与装置130に向けて平角素線を進行させることができる。
【0062】
また図2(a)から明らかなように、平角素線ごとに設けた個別送出機構部は、送り出し架台101の傾斜面102上に、その傾斜方向に沿って2列に並べて配されているので、最上段と最下段にそれぞれ位置する2つの個別送出機構部、(すなわち図2(b)に示す上段列の送出しボビンで説明すると、最上段は103aの送出しボビン、最下段は110aの送出しボビンに相当する)から繰り出される2本の平角素線を、進行すべき方向に対して極めて小さな角度で繰り出すことが可能となる。
【0063】
ゆえに、平角素線ごとに設けた個別送出機構部を送り出し架台101の傾斜面102上に、その傾斜方向に沿って2列に並べて配して成る構成は、平角素線の厚さ方向に加わるフラットワイズ歪の低減に寄与する。
【0064】
上述したように、本発明に係る平角素線の送出し装置100は、個別送出機構部の2列配置構造と、平角素線ごとに設けた個別送出機構部を送り出し架台101の傾斜面102上に、その傾斜方向に沿って2列に並べて配して成る構成とを採用したことによって、平角素線に加わるエッジワイズ歪とフラットワイズ歪とを同時に低減することが可能となった。
【0065】
これに伴い、従来の装置では平角素線ごとに張力制御するため設ける必要があった首振り機構を、本発明に係る平角素線の送出し装置100は敢えて設ける必要が無くなった。ゆえに、本発明によれば、従来の装置に比べて装置構造の簡単化が図れ、ひいては長期信頼性に優れた平角素線の送出し装置を提供できる。
【0066】
本発明に係る平角素線の転位力付与装置130は、例えば平角素線103dを通過させるための方形の空孔133bを備えた分線ダイス133aのように、個々の平角素線ごとに分線ダイス133a〜144aを備え、個々の平角素線を通過させるための方形の空孔を備えた分線ダイスは2列に並べて配されてなる分線機構部132と、平角素線の通過を阻害しないように分線機構部132を取り囲むように配される筐体131と、個々の分線ダイスをβ1、β2、β3、β4の向きに移動させる図示しない手段とで構成されている。
【0067】
この分線機構部132は、筐体131の内壁に沿って前記分線ダイスが複数回移動する縦方向移動β2、β4と1回のみ移動する横方向移動β1、β3からなる回転運動を繰り返す構造を備えているので、上記構成からなる平角素線の転位力付与装置130は、従来の装置が円盤状の構成物で実現した回転運動と同様の機能を有することができる。
【0068】
ところで、この回転運動と同様の機能は、横方向には平角素線ごとに設けた分線ダイスが最大2個並列するだけなので、この並列した2つの分線ダイスから繰り出される2本の平角素線は、進行すべき方向に対して極めて小さな角度でそれぞれの分線ダイスから、すなわち本発明に係る平角素線の転位力付与装置130から繰り出されることとなる。したがって、上記回転運動と同様の機能は、平角素線の幅方向に加わるエッジワイズ歪の低減をもたらす。
【0069】
また上記構成であれば、図1の右下図から明らかなように、例えば平角素線103dは分線ダイス133aが有する方形の空孔133b内を貫通して進行するように配されているので、分線ダイス133aが横方向(例えばβ1方向)に移動するに際に平角素線103dに接触する部分は.平角素線103dの進行方向に沿った分線ダイス133aの長さと平角素線103dの厚さとの積で表される細長い面となり、この細長い面で平角素線103dの側面はβ1方向に外力を受ける。換言すると、本発明に係る平角素線の転位力付与装置130によれば、分線ダイス133aの空孔133b内を通過中にある平角素線103dの側面は、上記細長い面全体で、紙面手前側に転位力を受けることになる。
【0070】
この細長い面の面積は、図8に示すような従来の装置で転位治具の接触部が平角素線に接していた局所的な面積に比べて極めて大きな値に設定できるので、従来の装置において平角素線の接触部に対し局部的に加重が加わったことに起因して生じていた応力の値を著しく緩和でき、これは平角素線に加わるエッジワイズ歪のさらなる低減をもたらす。
【0071】
さらに、上記説明から明らかなように、この細長い面の面積は、分線ダイス133aの長さと平角素線103dの厚さとの積で表される特定の面積からなるので、平角素線103dをある一定の進行速度で繰り出しつつ、分線ダイス133aをβ1方向へ所定の時間間隔で移動することにより、平角素線103dに対して転位力を安定して加えることが可能となる。
【0072】
この横方向すなわちβ1方向に移動した分線ダイス133aは、次いで縦方向すなわち下方に(β2方向)に移動する。この場合、分線ダイス133aが平角素線103dに接触する部分は.平角素線103dの進行方向に沿った分線ダイス133aの長さと平角素線103dの幅との積で表される幅広の面となり、この幅広の面で平角素線103dの上面はβ2方向に外力を受ける。
【0073】
この幅広の面の面積は、図8に示すような従来の装置で転位治具の接触部が平角素線に接していた面積に比べて大きな値に設定できることから、従来の装置において平角素線の接触部に対し局部的に加重が加わったことに起因して生じていた応力の値を著しく緩和でき、これは平角素線に加わるフラットワイズ歪の大幅な低減をもたらす。
【0074】
本発明に係る転位撚線の製造装置は、図1に示すように、上述した平角素線の送出し装置100と平角素線の転位力付与装置130とを少なくとも具備しており、送出し装置100及び転位力付与装置130が連係動作するよう設定して成ることを特徴としている。
【0075】
前述したように、送出し装置100を構成する個別送出機構部は、α1、α2、α3及びα4で示すように左周りで回転し、その位置を適宜変えていく。すなわち、2列に並べて配され前記平角素線ごとに設けた個別送出機構部は、複数回移動する縦方向移動(α2、α4)と1回のみ移動する横方向移動(α1、α3)からなる回転運動を繰り返す構造を備えて動作をする。
【0076】
このような送出機構部の回転と同期して、転位力付与装置130も、β1、β2、β3及びβ4で示すように左周りで回転し、その位置を適宜変えていく。すなわち、前段に配置された送出し装置100から送られてきた個々の平角素線を通過させるための方形の空孔を備えた分線ダイスが2列に並べて配されてなる分線機構部132は、前記分線ダイスが複数回移動する縦方向移動(β2、β4)と1回のみ移動する横方向移動(β1、β3)からなる回転運動を繰り返す構造を備えている。
【0077】
したがって、平角素線103dを例として図1に明示するように、右列最上段の位置にある支持台103c上に設けた送出しボビン103aから繰り出された平角素線103dが、右列最上段の位置にある分線ダイス133aの空孔133bを通過するように進行させて、かつ、支持台103cがα1方向へ一つ移動するのに同期させて、分線ダイス133aをβ1方向へ移動させる。そして、所定時間t1の間、このポジションを維持し、その間はある一定の速度vで平角素線103dを進行させる。次いで、所定時間t1が経過した後、支持台103cがα2方向へさらに一つ移動するのに同期させて、分線ダイス133aをβ2方向へ一つ移動させる。
【0078】
このように、一本の平角素線で結ばれた関係にある送出しボビンを載せた支持台と分線ダイスとを同期させて回転運動させる、同様に、他の平角素線についても、その平角素線で結ばれた関係にある送出しボビンを載せた支持台と分線ダイスとを同期させて回転運動させることにより、転位力付与装置130から繰り出された複数本の平角素線は、次に設けた撚り口装置150を通過させることにより転位撚線180が得られる。図1では、さらに撚り口装置150の後段に、転位撚線の移動装置160、転位撚線を管理する計尺装置170、転位撚線の巻き取り装置190を配した例を示した。この転位撚線180は、図3に示すような構造の転位撚線ユニット310をなしている。
【0079】
図3は、本発明に係る転位撚線の製造装置により形成された転位撚線ユニット310の構成を示す斜視図である。図3において、351は平角素線が転位力を受けて撚られた領域(転位渡り部)であり、352は平角素線が転位力を受けていない領域(非転位渡り部)を表している。
【0080】
図3に示すように、本実施形態の転位撚線ユニット310は、12本の平角素線323〜334を、各平角素線がその長尺方向において順次その位置を代えて変位するように転位撚り合わせたものである。
【0081】
図3から明らかなように、12本の平角素線323〜334が転位撚り合わされてなる転位撚線ユニット310では、各転位渡り部351は、転位撚線ユニット310の長尺方向に対して平行方向に延在し位置が転位されていない10本の平角素線324〜328、330〜334からなるテープ群Aと、転位撚線ユニット310の長尺方向に対して非平行方向に延在し位置が転位されている一対の転位平角素線323、329とから構成されている。
【0082】
一対の転位平角素線323、329は、10本の平角素線324〜328、330〜334からなるテープ群Aの外方に配置されている。これに対し、非転位渡り部352は、5本の平角素線324〜329からなるテープ群Bと他の5本の平角素線330〜334、323からなるテープ群Bとが、転位撚線ユニット310の幅方向に並列して配置されたものである。
【0083】
転位力付与装置130から繰り出された複数本の平角素線は、図3に示すような転位撚線ユニット310を自然と形成するが、その後段に配置される撚り口装置150を通過させることにより、確実に転位撚線ユニット310の形状を保持できるようになるのでより好ましい。
【0084】
このような転位撚線の製造装置としては、以下に示す諸元を備えた装置例が挙げられる。
【0085】
上記諸元を備えた本発明に係る転位撚線の製造装置により、平角素線に加わる曲げ歪を0.1%未満(フラットワイズ歪、エッジワイズ歪)にし、最大張力500g(平角素線1枚あたり)とすることが可能となった。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る平角素線の送出し装置は、2列に並べて配され平角素線ごとに設けた個別送出機構部は、複数回移動する縦方向移動と1回のみ移動する横方向移動からなる回転運動を繰り返す構造を備えているので、次工程への入線角度を小さくした状態で個々の平角素線を繰り出すことを可能とした(図2(b))ので、平角素線にダメージを与えることなく次工程への送出が可能となった。また、本発明に係る送出し装置では、従来の装置では必要とした首振り機構を付けなくとも張力制御機構のみの簡単な構造で対応できることから、装置構成が簡単化したので長期信頼性の高い装置の提供が可能となった。
【0087】
本発明に係る平角素線の転位力付与装置は、平角素線に対する転位力付与を分線ダイス方式としたことで、平角素線に対して点で押すのではなく一定距離で転位力を付与することが可能となり、従来のチップによる転位力付与の場合に比べ、平角素線に対して局所的に荷重が集中することが無くなった。
【0088】
また、分線ダイスを従来の円運動ではなく、複数回移動する縦方向移動と1回のみ移動する横方向移動からなる回転運動を繰り返す構造としたことにより、入線角度を小さくすることができ、平角素線に加わるエッジワイズ歪やフラットワイズ歪を小さくすることが可能となった。これにより、分線ダイスを備えた転位力付与装置を次工程をなす撚り口装置の手前まで近づけて設けることが可能となるので、これは転位渡りピッチの乱れを小さくすることに寄与する。
【0089】
本発明に係る転位撚線の製造装置であれば、上述した平角素線の送出し装置と転位力付与装置が連係動作するよう設定して成る構成としたことにより、平角素線の固定部分(図3の非転位渡り部352)間において平角素線のとる軌道を片持ち梁モデルに当てはめることが可能となり、これは転位加工する平角素線の機械特性を基準にして、簡単でコンパクトな転位撚線機の設計をもたらす。したがって、本発明によれば、設置の省スペース化が図れる転位撚線の製造装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転位撚線の製造装置により転位電線を製造して様子を示した説明図である。
【図2】図2は本発明に係る平角素線の送出し装置の一実施形態を示す概略図である。
【図3】本発明に係る転位撚線ユニットを示す斜視図である。
【図4】従来の転位電線の製造装置により転位電線を製造する様子の一例を示した説明図である。
【図5】図4の装置を構成するケージ円板と素線集合ガイドリングとの関係を示す概略図である。
【図6】従来の転位電線の製造装置により転位電線を製造する様子の他の一例を示した説明図である。
【図7】図6の装置において平角素線の順番を入れ替える作業(転位作業)を行っている様子を示した断面説明図である。
【図8】図7における平角素線と転位治具との接触部分を拡大して示す斜視図である。
【符号の説明】
α1 、α2 、α3、α4 支持台の移動方向、β1 、β2 、β3、β4 分線ダイスの移動方向、θ1 、θ2 入線角度、100 送出し装置、130 転位力付与装置、150 撚り口装置、160 移動装置、170 計尺装置、180 転位撚線、190 巻き取り装置、310 転位撚線ユニット。
Claims (3)
- 複数本の平角素線を厚さ方向及び幅方向に並べて列状に集合させ、これらの平角素線を長さ方向の所定間隔ごとに素線の厚さ方向及び幅方向に順次転位させる転位撚線の製造に用いられる平角素線の送出し装置であり、
傾斜面を有する送り出し架台と、該傾斜面の傾斜方向に沿って2列に並べて配され前記平角素線ごとに設けた個別送出機構部とを有し、該個別送出機構部は複数回移動する縦方向移動と1回のみ移動する横方向移動からなる回転運動を繰り返す構造を備えていることを特徴とする平角素線の送出し装置。 - 複数本の平角素線を厚さ方向及び幅方向に並べて列状に集合させ、これらの平角素線を長さ方向の所定間隔ごとに素線の厚さ方向及び幅方向に順次転位させる転位撚線の製造に用いられる平角素線の転位力付与装置であり、
個々の平角素線を通過させるための方形の空孔を備えた分線ダイスが2列に並べて配されてなる分線機構部を有し、該分線機構部は前記分線ダイスが複数回移動する縦方向移動と1回のみ移動する横方向移動からなる回転運動を繰り返す構造を備えていることを特徴とする平角素線の転位力付与装置。 - 複数本の平角素線を厚さ方向及び幅方向に並べて列状に集合させ、これらの平角素線を長さ方向の所定間隔ごとに素線の厚さ方向及び幅方向に順次転位させる転位撚線の製造装置であり、
傾斜面を有する送り出し架台と、該傾斜面の傾斜方向に沿って2列に並べて配され前記平角素線ごとに設けた個別送出機構部とを有し、該個別送出機構部は複数回移動する縦方向移動と1回のみ移動する横方向移動からなる回転運動を繰り返す構造を備えてなる平角素線の送出し装置と、
前記送出し装置から送られてきた個々の平角素線を通過させるための方形の空孔を備えた分線ダイスが2列に並べて配されてなる分線機構部を有し、該分線機構部は前記分線ダイスが複数回移動する縦方向移動と1回のみ移動する横方向移動からなる回転運動を繰り返す構造を備えてなる平角素線の転位力付与装置と、を少なくとも具備しており、
前記送出し装置及び前記転位力付与装置が連係動作するよう設定して成ることを特徴とする転位撚線の製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002317707A JP2004152656A (ja) | 2002-10-31 | 2002-10-31 | 平角素線の送出し装置、平角素線の転位力付与装置および転位撚線の製造装置 |
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CN111564260A (zh) * | 2020-05-09 | 2020-08-21 | 嘉兴达宝文线缆有限公司 | 线缆加工用地线芯线自动放线合股装置 |
DE102022204825A1 (de) | 2022-05-17 | 2023-11-23 | Zf Friedrichshafen Ag | Drahtspulenbereitstellungsvorrichtung zur Bewegung mehrerer Drahtspulen bei der Herstellung von Spulenwicklungen |
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2002
- 2002-10-31 JP JP2002317707A patent/JP2004152656A/ja not_active Withdrawn
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