JP2004152635A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】低加湿や高加湿の条件下でも発電電圧を維持し、長期発電による電圧低下が小さい燃料電池を提案し、高出力,高効率の燃料電池システムを実現することにある。
【解決手段】本発明の燃料電池は、燃料を酸化するアノード及び酸素を還元するカソードが、固体高分子電解質膜を介して配置されたものであって、アノードあるいはカソードの少なくともいずれかに、触媒金属が担持されたカーボンと共に金属リン酸化合物を含むことを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明の燃料電池は、燃料を酸化するアノード及び酸素を還元するカソードが、固体高分子電解質膜を介して配置されたものであって、アノードあるいはカソードの少なくともいずれかに、触媒金属が担持されたカーボンと共に金属リン酸化合物を含むことを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、発電による排出物の環境に対する負荷が少なく、クリーンな発電システムとして注目されている。特に、近年の環境保護への関心の高まりから、燃料電池の分散電源や電気自動車電源への用途展開が期待されている。
【0003】
また、高エネルギー密度の電源として、モバイル機器の電源として燃料電池の適用可能性が検討され始めている。
【0004】
燃料電池には、固体高分子型,リン酸型,溶融炭酸塩型,固体酸化物型等が挙げられる。その中で、固体高分子型燃料電池は、室温から100℃程度の比較的低温で発電が可能であり、出力密度が高いことから、上述した用途では固体高分子型燃料電池が最も適している。
【0005】
固体高分子型燃料電池に用いる固体高分子電解質膜は、膜内に水を含有することによって高いプロトン導伝性を示す。また、固体高分子型燃料電池は、水素を含む燃料ガスやメタノール等の液体燃料を用いて発電を行い、発電反応によって水が生成する。
【0006】
以上のことから、プロトン導伝性を維持するには固体高分子電解質膜への水の供給が必要であり、一方、発電反応によって生成された水は燃料の電極触媒へ拡散や浸透を妨げるため速やかに排出しなければならない。
【0007】
従って、固体高分子型燃料電池では、水のマネージメントが極めて重要な技術課題となっている。
【0008】
従来の燃料電池は、電極触媒層を三次元網目微多孔質構造とすることによって、ガス拡散性や生成水の排水を改善している(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−353528号公報(第4−5頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
水素を含む燃料ガスを用いる燃料電池システムでは、固体高分子電解質膜の乾燥を防ぐため、カソード及びアノードへの供給ガス(燃料ガスや空気)を加湿しているが、高効率化のためにはできるだけ供給ガスへの加湿量を少なくする必要がある。
【0011】
また、メタノール等を含む液体を燃料とする燃料電池システムでは、特に、カソードでの生成水が触媒層への空気の拡散を妨げるため、これを速やかに排出しなければならない。つまり、低加湿や高加湿である幅広い加湿環境での発電電圧の維持が必須である。
【0012】
従来の技術は、極端な低加湿や極端な高加湿の条件下で発電を行った場合における発電電圧の維持に関しては言及されていない。
【0013】
特に、低加湿条件下では、発電電圧が低下するばかりか、電解質膜の乾燥によって耐久性、即ち発電寿命が短くなってしまう。
【0014】
本発明は、低加湿や高加湿の条件下でも発電電圧を維持し、長期発電による電圧低下が小さい燃料電池を提案することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池の一つは、燃料を酸化するアノードと酸素を還元するカソードとが、固体高分子電解質膜を介して配置されたものでって、アノード及びカソードが固体高分子電解質膜に形成され、アノードあるいはカソードの少なくともいずれかに、又は/及び、固体高分子電解質膜に金属リン酸化合物を含むものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明による実施の形態について図面を用いて述べる。
【0017】
図1に本形態の燃料電池の一例を示す。図1中、1がセパレータ、2が固体高分子電解質膜、3がアノード、4がカソード、5が拡散層、6がガスケットである。
【0018】
アノード3及びカソード4を固体高分子電解質膜2に形成(接合)し、一体化したものを膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)と呼ぶ。
【0019】
セパレータ1は導電性を有し、その材質は、緻密黒鉛プレート,黒鉛,カーボンブラックなどの炭素材料を樹脂によって成形したカーボンプレートや、ステンレス鋼,チタン等の耐蝕性の優れた金属材料が望ましい。
【0020】
また、セパレータ1の表面を貴金属メッキし、耐食性・耐熱性の優れた導電性塗料を塗布し表面処理することも望ましい。セパレータ1のアノード3及びカソード4に面する部分には溝が形成されており、アノード3側には燃料ガス又は液体燃料を供給し、カソード4側には酸素もしくは空気を供給する。
【0021】
水素(ガス)を燃料とし、空気を酸化剤とする場合、アノード3及びカソード4ではそれぞれ(1)式及び(2)式に示す反応が起き、電気が取り出せる。
【0022】
H2 → 2H++2e− (1)
O2+4H++4e− → 2H2O (2)
また、メタノール水溶液(液体)を燃料とする場合、アノード3では(3)式に示す反応が起き、電気が取り出せる。
【0023】
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e− (3)
(1)式あるいは(3)式のアノード3で生じたプロトンは、固体高分子電解質膜2を介してカソード4へ移動する。
【0024】
拡散層5には、撥水化処理したカーボンペーパーあるいはカーボンクロスを用いる。
【0025】
ガスケット6は絶縁性があり、特に水素の透過が少なく、機密性が保たれる材質であればよく、例えばブチルゴム,バイトンゴム,エチレンプロピレンジエン三元共重合体(EPDM)ゴム等が挙げられる。
【0026】
本形態で用いる固体高分子電解質膜2及び触媒層に含有される固体高分子電解質には、水素イオン導電性を示す高分子材料を用い、例えばパーフロロカーボン系スルホン酸樹脂やポリパーフロロスチレン系スルホン酸樹脂に代表されるスルホン酸化あるいはアルキレンスルホン酸化したフッ素系ポリマーやポリスチレン類が挙げられる。その他にポリスルホン類,ポリエーテルスルホン類,ポリエーテルエーテルスルホン類,ポリエーテルエーテルケトン類,炭化水素系ポリマーをスルホン化した材料が挙げられる。
【0027】
次に、本形態のMEAの一例を図2に示す。図2中、2は固体高分子電解質膜、4はカソード、3はアノード、24は触媒金属、25は担持カーボン、26は金属リン酸化合物である。
【0028】
本形態のように、カソード4あるいはアノード3の少なくとも一方の電極中に金属リン酸化合物の粒子を含有することによって、電極中の保水量が、発電反応に対して適度となると考えられ、低加湿や高加湿の条件下でも発電電圧を維持し、長期発電による電圧低下が小さい燃料電池が実現できる。
【0029】
次に、本形態のMEAの別の一例を図3に示す。図3中、27は固体高分子電解質である。
【0030】
本形態は、金属リン酸化合物を含有する固体高分子電解質をカソードあるいはアノードの少なくとも一方に用いることによって、電極(カソードあるいはアノード)中の保水量が発電反応に対して適度となると考えられ、低加湿や高加湿の条件下でも発電電圧を維持し、長期発電による電圧低下が小さい燃料電池が実現できる。また、金属リン酸化合物を固体高分子電解質に含有させることによって、プロトン導電性が増し、上述した効果がより顕著となる。
【0031】
金属リン酸化合物には、タングステン,ジルコニウム,スズ,モリブドリンなどの化合物が挙げられ、特にジルコニウムが望ましい。
【0032】
一方、本形態で用いる触媒金属24には、カソード側に少なくとも白金,アノード側に少なくとも白金あるいはルテニウムを含む合金を用いることが、高い発電電圧が得られ、CO等の被毒による電圧の低下が小さい点で望ましい。但し、本形態では、特に、これらに制限されるものではなく、電極触媒の安定化や長寿命化のために、これら貴金属成分に鉄や錫,希土類元素等から選ばれた第3の成分を添加した触媒を用いることができる。
【0033】
さらに、担持カーボン25には、微粒子の触媒金属24を担持するため、比表面積の大きいカーボンブラックが望ましく、その比表面積は50〜1500m2/gの範囲であることが望ましい。
【0034】
本形態のMEA作製の一例を以下に述べる。
【0035】
触媒金属を担持した担持カーボン(以下、単に電極触媒と述べる),金属リン酸化合物,固体高分子電解質、及び固体高分子電解質を溶解する溶媒を加えて混合し、電極触媒ペーストを作製する。
【0036】
次に、スクリーン印刷法あるいはアプリアプリケータ法によって電極触媒ペーストを、テトラフルオロエチレンフィルム等の乖離フィルムに塗布し、触媒層を形成する。この触媒層を固体高分子電解質膜の両面にホットプレス法によって接合するか、あるいは、触媒層と固体高分子電解質膜との間に固体高分子電解質膜の溶液を接着剤として加えて接合することによって、本形態のMEAを作製することができる。
【0037】
本形態のMEA作製の別の一例を以下に述べる。
【0038】
電極触媒,固体高分子電解質、及び固体高分子電解質を溶解する溶媒を加えて混合し、電極触媒ペーストを作製する。
【0039】
次に、スクリーン印刷法あるいはアプリアプリケータ法によって電極触媒ペーストを、テトラフルオロエチレンフィルム等の乖離フィルムに塗布し、触媒層を形成する。この触媒層を、目的とする金属イオンを含有する水溶液に浸漬して、固体高分子電解質のイオン交換を行う。通常、固体高分子電解質はナトリウム型の場合が多く、この場合、ナトリウムイオンが目的とする金属イオンに置換される。
【0040】
続いて、この触媒層をリン酸水溶液に浸漬して、固体高分子電解質膜のプロトン置換を行う。予め固体高分子電解質膜に置換した金属イオンは、リン酸化合物を形成して残留し固体高分子電解質中に含有される。
【0041】
なお、これらのイオン交換処理を行う場合、必要に応じて60℃から80℃に加熱することが望ましい。
【0042】
このように触媒層を固体高分子電解質膜の両面にホットプレス法によって接合するか、あるいは、触媒層と固体高分子電解質膜との間に固体高分子電解質膜の溶液を接着剤として加えて接合することによって、本形態のMEAを作製することができる。
【0043】
さらに、このような触媒層を形成せずに、混合した電極触媒ペーストをそのまま乾燥させ、この乾燥させた電極触媒ペーストを用いて、上述と同様に金属イオンの置換とリン酸化合物の形成とを行い、続いて、これを粉砕して再度電極触媒ペーストを作製し、この触媒ペーストを用いる方法によっても、本形態のMEAを作製することができる。
【0044】
また、上述の金属イオンの置換とリン酸化合物の形成とを、触媒層を固体高分子電解質膜に接合した後の最終工程で行った場合、触媒層とほぼ同時に固体高分子電解質膜にも金属リン酸化合物が含有される。固体高分子電解質膜にも金属リン酸化合物を含む場合、特に90℃以上での発電特性が向上し、このような発電条件での用途に望ましい。
【0045】
次に、本発明の燃料電池システムについて図4に示す。図4中、11が燃料電池、12が燃料供給装置、13が空気供給装置、14が加湿器、15が水供給装置である。
【0046】
燃料電池システムの燃料電池11は、上述のMEAを使用することによって、極端な低加湿や高加湿の条件下でも発電電圧を維持し、長期発電による電圧低下が小さく、高出力の燃料電池システムを実現できる。
【0047】
また、燃料電池11へ送水した冷却水は、燃料電池の発熱を奪い温水となるため、図5に示すように、この温水を加湿器14へ送水することによって、加湿器14での加熱エネルギーを低減し、高効率の燃料電池システムを実現できる。
【0048】
さらに、図6に示すように、熱回収器16を具備することによって、加湿器14に送水した温水の余剰熱を熱回収器16で回収することによって、高効率な燃料電池システムが実現できる。また、燃料の排ガス中に含まれる未反応の燃料を燃料電池11の出口側から燃料供給装置12の入口側へ還流することによって、より高効率な燃料電池システムが構築できる。
【0049】
上述の本形態の燃料電池システムにおいて、発電電圧が高く、熱効率が優れる運転条件は、燃料電池の平均温度をTcell、燃料ガスの加湿露点温度をTan、空気の加湿露点温度をTcaとした場合、
−10℃≦Tan−Tcell≦−5℃、及び、−30℃≦Tca−Tcell≦−20℃
であることが分かった。
【0050】
また、上述の条件で燃料電池システムを運転する場合、本形態のMEAに用いる固体高分子電解質膜の厚みが20μm〜30μmの範囲が、発電電圧の変動が小さく、長時間発電の電圧低下が小さく望ましい。30μmより大きい場合、発電電圧の変動が大きく、20μmより小さい場合、長時間発電での電圧の低下が大きかった。
【0051】
以下に、更に、本形態を詳しく説明するが、本実施例の趣旨とするところは、ここに開示した実施例のみに限定されるものではない。
【0052】
【実施例1】
アノード及びカソードにカーボンブラックに白金を50wt%担持した電極触媒を用い、この電極触媒にDuPont社のNafion(登録商標)を溶解したNafionの溶液(濃度5wt%,アルドリッチ製)を、電極触媒とNafionの溶液との重量比が1:9となる割合で合せ、溶媒を揮発させながら混合し、粘稠な電極触媒ペーストを調整した。
【0053】
さらに、リン酸ジルコニウムの粉末をリン酸ジルコニウムと電極触媒との重量比が1:50となる割合で加え混合した。この触媒ペーストをテトラフルオロエチレンシートに電極触媒ペーストをスクリーン印刷法によって塗布し、電極触媒ペーストの溶媒を乾燥させて触媒層を形成した。触媒層中の白金量は単位面積当り0.5mg/cm2とした。
【0054】
上述の触媒層を2枚用い、固体高分子電解質膜としてDuPont社のNafionの膜
(ナフィオン112(登録商標),厚さ50μm)を用い、その両面にホットプレスによって圧着した。
【0055】
上述の本形態のMEAを用い、図1に示す燃料電池を作製した。
【0056】
さらに、図4に示す燃料電池システムによって発電を行った。
【0057】
燃料電池11の温度が70℃となるように、水供給装置15から60〜68℃の水を送水した。アノードへの供給ガスは水素、カソードへの供給ガスは空気を用い、加湿器14を流通した後、燃料電池11に供給した。アノード供給ガスの露点は70℃、カソード供給ガスの露点は85℃,70℃あるいは35℃とした。電流密度を0.5A/cm2、アノードの燃料(水素)利用率を80%、カソードの空気中の酸素利用率を40%として発電を行った。
【0058】
【比較例1】
リン酸ジルコニウムを加えず実施例1と同様の手順によって、MEA(従来
MEA)を作製した。従来MEAを用い、実施例1と同一条件で発電を行った。
【0059】
実施例1及び比較例1の発電電圧の比較を表1に示す。本形態のMEAを用いた実施例1の燃料電池は発電電圧が高く、加湿温度による影響が非常に小さいが、従来MEAを用いた比較例1の燃料電池は発電電圧が低く、加湿温度によって大きく発電電圧が変動することが分かった。以上のように、本形態の燃料電池は極端な低加湿や高加湿の条件下でも優れた発電性能を維持できる。
【0060】
【表1】
【0061】
【実施例2】
アノード及びカソードにカーボンブラックに白金を50wt%担持した電極触媒を用い、この触媒にDuPont社のNafionを溶解したNafionの溶液(濃度5wt%,アルドリッチ製)を、電極触媒とNafionの溶液との重量比が1:9となる割合で合せ、溶媒揮発させながら混合して粘稠な電極触媒ペーストを調整した。
【0062】
さらに、この電極触媒ペーストをテトラフルオロエチレンシートにスクリーン印刷法によって塗布し、電極触媒ペーストの溶媒を乾燥させて触媒層を形成した。触媒層中の白金量は単位面積当り0.5mg/cm2とした。この触媒層を濃度1
mol/dm3の塩化ジルコニウム水溶液に2日間浸漬した。
【0063】
続いて、この触媒層を水で洗浄した後、濃度1mol/dm3のリン酸水溶液に2日間浸漬した。
【0064】
固体高分子電解質にリン酸ジルコニウムを含有する触媒層を2枚用い、固体高分子電解質膜としてDuPont社のNafionの膜(ナフィオン117(登録商標),厚み175μm)の両面にホットプレスによって圧着した。
【0065】
上述の本形態のMEAを用い、図1に示す燃料電池を作製した。
【0066】
さらに、図4に示す燃料電池システムによって発電を行った。
【0067】
燃料電池11の温度が70℃となるように、水供給装置15から60〜68℃の水を送水した。アノード供給ガスは水素、カソード供給ガスは空気を用い、加湿器14を流通した後、燃料電池11に供給した。アノード供給ガスの露点は70℃、カソード供給ガスの露点は85℃,70℃あるいは35℃とした。電流密度を0.5A/cm2、アノードの燃料利用率を80%、カソードの空気中の酸素利用率を40%として発電を行った。
【0068】
実施例2の発電電圧を表2に示す。実施例1と同様に、発電電圧が高く、加湿温度による影響が非常に小さいことが分かった。
【0069】
【表2】
【0070】
【実施例3】
アノードに原子比率が1:1の白金ルテニウム合金をカーボンブラックに50wt%担持した電極触媒,固体高分子電解質膜としてDuPont社のNafion膜(ナフィオン117(登録商標),厚み175μm)を用い、以下は実施例2と同様にして本形態のMEAを作製した。
【0071】
上述のMEAを用い、図1に示す燃料電池を作製した。
【0072】
燃料には濃度が10wt%のメタノール水溶液と酸化剤には空気とを用いて室温で発電を行った。
【0073】
【比較例2】
アノードに原子比率が1:1の白金ルテニウム合金をカーボンブラックに50wt%担持した電極触媒,固体高分子電解質膜としてDuPont社のNafionの膜(ナフィオン117(登録商標),厚み175μm)を用い、比較例1と同様にして従来MEAを作製した。比較例2のMEA用い、実施例3と同一条件で発電を行った。
【0074】
実施例3及び比較例2の発電電圧の比較を表3に示す。メタノール水溶液を燃料とする場合も、電極中の保水量が発電反応に対して適度となると考えられる。そこで、各電流密度において、従来MEAを用いた比較例2の燃料電池は発電電圧が低いのに対して、実施例3の本形態の燃料電池は発電電圧が高い。
【0075】
【表3】
【0076】
【実施例4】
実施例2において、触媒層を固体高分子電解質膜に接合した後、金属イオン置換,リン酸化合物を形成する順序に変え、触媒層及び固体高分子電解質膜にリン酸ジルコニウムを含有するMEAを作製した。
【0077】
実施例2のMEA及び実施例4のMEAを用いて、図1に示す燃料電池を作製した。
【0078】
さらに、図4に示す燃料電池システムによって発電を行った。
【0079】
燃料電池11の温度が90℃となるように、水供給装置15から80〜85℃の水を送水した。アノード供給ガスは水素、カソード供給ガスは空気を用い、加湿器14を流通したあと燃料電池11に供給した。アノード供給ガスの露点は80℃、カソード供給ガスの露点は80℃とした。電流密度を0.5A/cm2、アノードの燃料(水素)利用率を80%、カソードの空気中の酸素利用率を40%として発電を行った。
【0080】
実施例2のMEAを用いた燃料電池の発電電圧は0.705V であるのに対して、実施例4のMEAを用いた燃料電池の発電電圧は0.725V であり、触媒層及び固体高分子電解質膜にリン酸ジルコニウムを含有する実施例4のMEAの方が90℃以上の高温条件では適している。
【0081】
【実施例5】
実施例2において作製した燃料電池を用い、図4及び図5に示す燃料電池システムで、加湿器14での消費エネルギーを比較した。
【0082】
燃料電池11の温度が70℃となるように、水供給装置15から60〜68℃の水を送水した。アノード供給ガスは水素、カソード供給ガスは空気を用い、加湿器14を流通したあと燃料電池11に供給した。アノード供給ガスの露点は70℃、カソード供給ガスの露点は85℃とした。電流密度を0.5A/cm2、アノードの燃料(水素)利用率を80%、カソードの空気中の酸素利用率を40%として発電を行った。
【0083】
図4に示す燃料電池システムでは100Wであるのに対して、図5に示す燃料電池システムでは50Wであり、消費エネルギーが小さくなり、燃料電池の冷却水を加湿器に送水して活用することによって、極端な低加湿や高加湿の条件下でも優れた発電性能有すると同時に、高効率の燃料電池システムを実現できる。
【0084】
【実施例6】
実施例1において作製した燃料電池を用い、図6に示す燃料電池システムによって発電を行った。このとき、燃料電池11の発電エネルギー,加湿器14の消費エネルギー,熱回収器16の回収エネルギーを合せた総エネルギーを調べた。
【0085】
燃料電池11の温度が70℃または80℃となるように、水供給装置15から60〜78℃の水を送水した。アノード供給ガスは水素、カソード供給ガスは空気を用い、加湿器14を流通したあと燃料電池11に供給した。アノード供給ガスの露点及びカソード供給ガスの露点を種々変更した。電流密度を0.5A/cm2、アノードの燃料(水素)利用率を80%、カソードの空気中の酸素利用率を
40%として発電を行った。
【0086】
表4に燃料電池平均温度70℃、表5に80℃の総エネルギーの結果を示す。
【0087】
二重線で囲った条件で総エネルギーが大きく、この結果から、アノードガスの加湿露点温度(Tan)、及びカソードガスの加湿露点温度(Tca)が、燃料電池の平均温度(Tcell)に対して、
−10℃≦Tan−Tcell≦−5℃、及び、−30℃≦Tca−Tcell≦−20℃
の範囲であることが、燃料電池システムの効率の面で望ましいといえる。
【0088】
【表4】
【0089】
【表5】
【0090】
【実施例7】
実施例1で用いたNafionの溶液(濃度5wt%,アルドリッチ製)をキャストして溶媒を乾燥させて、厚さが10,20,30,40μmの固体高分子電解質膜を作製した。
【0091】
これらの固体高分子電解質膜を用いて、実施例1と同様にして本形態の燃料電池を作製した。図4に示す燃料電池システムによって、燃料電池の平均温度を
70℃、アノードガスの加湿露点温度を65℃、アノードガスの加湿露点温度を50℃に制御して発電を行った。
【0092】
アノード供給ガスは水素、カソード供給ガスは空気を用い、電流密度を0.5A/cm2 、アノードの燃料(水素)利用率を80%、カソードの空気中の酸素利用率を40%として発電を行った。発電電圧の変動幅と長時間発電の電圧低下率とを表6に示す。固体高分子電解質膜の厚さが20〜30μmの範囲が、発電電圧の変動が小さく、かつ、長時間発電の電圧低下が小さく望ましいことが分かった。
【0093】
【表6】
【0094】
また、本形態の燃料電池は、以下の形態もとることができる。
【0095】
燃料を酸化するアノードと酸素を還元するカソードが固体高分子電解質膜を介して配置されたものであって、アノード及びカソードが固体高分子電解質膜に接合され、アノード及びカソードは、少なくとも電極触媒及び固体高分子電解質からなるアノード触媒層及びカソード触媒層からなり、アノード触媒層あるいはカソード触媒層の少なくともいずれか一方の固体高分子電解質に金属リン酸化合物を含むことを特徴とする。また、金属がジルコニアであることを特徴とする。
【0096】
また、固体高分子電解質膜及びアノード触媒層あるいはカソード触媒層に含まれる固体高分子電解質が、少なくともスルホン酸基を有するフルオロアルキルエーテル側鎖と、フルオロアルキル主鎖とからなる固体高分子電解質を含むことを特徴とする。
【0097】
電極触媒が炭素粉末に貴金属を担持したものであって、炭素粉末がカーボンブラックであり、貴金属が白金あるいは白金合金であり、白金合金には少なくともルテニウムを含み、燃料がメタノール水溶液である。また、固体高分子電解質膜に金属リン酸化合物を含有する。
【0098】
また、燃料電池システムの形態の一つとしては、少なくとも燃料電池と、燃料電池に燃料ガスを供給する燃料供給装置と、燃料電池に空気を供給する空気供給装置と、燃料ガスあるいは空気を加湿する加湿器と、燃料電池を冷却する水を供給する水供給装置を具備し、燃料電池としては、上述のものを用いる。更に、燃料電池を冷却する水を燃料電池に送水したのち、加湿器に供給することも可能である。
【0099】
さらに、燃料ガスの加湿露点温度(Tan)及び空気の加湿露点温度(Tca)が、燃料電池の平均温度(Tcell)に対して、
−10℃≦Tan−Tcell≦−5℃及び−30℃≦Tca−Tcell≦−20℃
であることが好ましく、燃料電池の固体高分子電解質膜の厚さが、20〜30
μmであることを特徴とする。
【0100】
本形態のMEAによって、極端な低加湿や高加湿の条件下でも発電電圧が高く、長期発電による電圧低下が小さい燃料電池が実現可能であり、高出力,高効率の燃料電池システムを構築できる。
【0101】
【発明の効果】
本発明の燃料電池は、低加湿や高加湿の条件下でも発電電圧が高く、長期発電による電圧低下が小さい燃料電池が実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池の一実施例を示す図である。
【図2】本発明のMEAの一実施例を示す図である。
【図3】本発明のMEAの一実施例を示す図である。
【図4】本発明の燃料電池システムの一実施例を示す図である。
【図5】本発明の燃料電池システムの一実施例を示す図である。
【図6】本発明の燃料電池システムの一実施例を示す図である。
【符号の説明】
1…セパレータ、2,21…固体高分子電解質膜、3,23…アノード、4,22…カソード、5…拡散層、6…ガスケット、11…燃料電池、12…燃料供給装置、13…空気供給装置、14…加湿器、15…水供給装置、16…熱回収器、24…触媒金属、25…担持カーボン、26,28…金属リン酸化合物、27…固体高分子電解質。
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、発電による排出物の環境に対する負荷が少なく、クリーンな発電システムとして注目されている。特に、近年の環境保護への関心の高まりから、燃料電池の分散電源や電気自動車電源への用途展開が期待されている。
【0003】
また、高エネルギー密度の電源として、モバイル機器の電源として燃料電池の適用可能性が検討され始めている。
【0004】
燃料電池には、固体高分子型,リン酸型,溶融炭酸塩型,固体酸化物型等が挙げられる。その中で、固体高分子型燃料電池は、室温から100℃程度の比較的低温で発電が可能であり、出力密度が高いことから、上述した用途では固体高分子型燃料電池が最も適している。
【0005】
固体高分子型燃料電池に用いる固体高分子電解質膜は、膜内に水を含有することによって高いプロトン導伝性を示す。また、固体高分子型燃料電池は、水素を含む燃料ガスやメタノール等の液体燃料を用いて発電を行い、発電反応によって水が生成する。
【0006】
以上のことから、プロトン導伝性を維持するには固体高分子電解質膜への水の供給が必要であり、一方、発電反応によって生成された水は燃料の電極触媒へ拡散や浸透を妨げるため速やかに排出しなければならない。
【0007】
従って、固体高分子型燃料電池では、水のマネージメントが極めて重要な技術課題となっている。
【0008】
従来の燃料電池は、電極触媒層を三次元網目微多孔質構造とすることによって、ガス拡散性や生成水の排水を改善している(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−353528号公報(第4−5頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
水素を含む燃料ガスを用いる燃料電池システムでは、固体高分子電解質膜の乾燥を防ぐため、カソード及びアノードへの供給ガス(燃料ガスや空気)を加湿しているが、高効率化のためにはできるだけ供給ガスへの加湿量を少なくする必要がある。
【0011】
また、メタノール等を含む液体を燃料とする燃料電池システムでは、特に、カソードでの生成水が触媒層への空気の拡散を妨げるため、これを速やかに排出しなければならない。つまり、低加湿や高加湿である幅広い加湿環境での発電電圧の維持が必須である。
【0012】
従来の技術は、極端な低加湿や極端な高加湿の条件下で発電を行った場合における発電電圧の維持に関しては言及されていない。
【0013】
特に、低加湿条件下では、発電電圧が低下するばかりか、電解質膜の乾燥によって耐久性、即ち発電寿命が短くなってしまう。
【0014】
本発明は、低加湿や高加湿の条件下でも発電電圧を維持し、長期発電による電圧低下が小さい燃料電池を提案することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池の一つは、燃料を酸化するアノードと酸素を還元するカソードとが、固体高分子電解質膜を介して配置されたものでって、アノード及びカソードが固体高分子電解質膜に形成され、アノードあるいはカソードの少なくともいずれかに、又は/及び、固体高分子電解質膜に金属リン酸化合物を含むものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明による実施の形態について図面を用いて述べる。
【0017】
図1に本形態の燃料電池の一例を示す。図1中、1がセパレータ、2が固体高分子電解質膜、3がアノード、4がカソード、5が拡散層、6がガスケットである。
【0018】
アノード3及びカソード4を固体高分子電解質膜2に形成(接合)し、一体化したものを膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)と呼ぶ。
【0019】
セパレータ1は導電性を有し、その材質は、緻密黒鉛プレート,黒鉛,カーボンブラックなどの炭素材料を樹脂によって成形したカーボンプレートや、ステンレス鋼,チタン等の耐蝕性の優れた金属材料が望ましい。
【0020】
また、セパレータ1の表面を貴金属メッキし、耐食性・耐熱性の優れた導電性塗料を塗布し表面処理することも望ましい。セパレータ1のアノード3及びカソード4に面する部分には溝が形成されており、アノード3側には燃料ガス又は液体燃料を供給し、カソード4側には酸素もしくは空気を供給する。
【0021】
水素(ガス)を燃料とし、空気を酸化剤とする場合、アノード3及びカソード4ではそれぞれ(1)式及び(2)式に示す反応が起き、電気が取り出せる。
【0022】
H2 → 2H++2e− (1)
O2+4H++4e− → 2H2O (2)
また、メタノール水溶液(液体)を燃料とする場合、アノード3では(3)式に示す反応が起き、電気が取り出せる。
【0023】
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e− (3)
(1)式あるいは(3)式のアノード3で生じたプロトンは、固体高分子電解質膜2を介してカソード4へ移動する。
【0024】
拡散層5には、撥水化処理したカーボンペーパーあるいはカーボンクロスを用いる。
【0025】
ガスケット6は絶縁性があり、特に水素の透過が少なく、機密性が保たれる材質であればよく、例えばブチルゴム,バイトンゴム,エチレンプロピレンジエン三元共重合体(EPDM)ゴム等が挙げられる。
【0026】
本形態で用いる固体高分子電解質膜2及び触媒層に含有される固体高分子電解質には、水素イオン導電性を示す高分子材料を用い、例えばパーフロロカーボン系スルホン酸樹脂やポリパーフロロスチレン系スルホン酸樹脂に代表されるスルホン酸化あるいはアルキレンスルホン酸化したフッ素系ポリマーやポリスチレン類が挙げられる。その他にポリスルホン類,ポリエーテルスルホン類,ポリエーテルエーテルスルホン類,ポリエーテルエーテルケトン類,炭化水素系ポリマーをスルホン化した材料が挙げられる。
【0027】
次に、本形態のMEAの一例を図2に示す。図2中、2は固体高分子電解質膜、4はカソード、3はアノード、24は触媒金属、25は担持カーボン、26は金属リン酸化合物である。
【0028】
本形態のように、カソード4あるいはアノード3の少なくとも一方の電極中に金属リン酸化合物の粒子を含有することによって、電極中の保水量が、発電反応に対して適度となると考えられ、低加湿や高加湿の条件下でも発電電圧を維持し、長期発電による電圧低下が小さい燃料電池が実現できる。
【0029】
次に、本形態のMEAの別の一例を図3に示す。図3中、27は固体高分子電解質である。
【0030】
本形態は、金属リン酸化合物を含有する固体高分子電解質をカソードあるいはアノードの少なくとも一方に用いることによって、電極(カソードあるいはアノード)中の保水量が発電反応に対して適度となると考えられ、低加湿や高加湿の条件下でも発電電圧を維持し、長期発電による電圧低下が小さい燃料電池が実現できる。また、金属リン酸化合物を固体高分子電解質に含有させることによって、プロトン導電性が増し、上述した効果がより顕著となる。
【0031】
金属リン酸化合物には、タングステン,ジルコニウム,スズ,モリブドリンなどの化合物が挙げられ、特にジルコニウムが望ましい。
【0032】
一方、本形態で用いる触媒金属24には、カソード側に少なくとも白金,アノード側に少なくとも白金あるいはルテニウムを含む合金を用いることが、高い発電電圧が得られ、CO等の被毒による電圧の低下が小さい点で望ましい。但し、本形態では、特に、これらに制限されるものではなく、電極触媒の安定化や長寿命化のために、これら貴金属成分に鉄や錫,希土類元素等から選ばれた第3の成分を添加した触媒を用いることができる。
【0033】
さらに、担持カーボン25には、微粒子の触媒金属24を担持するため、比表面積の大きいカーボンブラックが望ましく、その比表面積は50〜1500m2/gの範囲であることが望ましい。
【0034】
本形態のMEA作製の一例を以下に述べる。
【0035】
触媒金属を担持した担持カーボン(以下、単に電極触媒と述べる),金属リン酸化合物,固体高分子電解質、及び固体高分子電解質を溶解する溶媒を加えて混合し、電極触媒ペーストを作製する。
【0036】
次に、スクリーン印刷法あるいはアプリアプリケータ法によって電極触媒ペーストを、テトラフルオロエチレンフィルム等の乖離フィルムに塗布し、触媒層を形成する。この触媒層を固体高分子電解質膜の両面にホットプレス法によって接合するか、あるいは、触媒層と固体高分子電解質膜との間に固体高分子電解質膜の溶液を接着剤として加えて接合することによって、本形態のMEAを作製することができる。
【0037】
本形態のMEA作製の別の一例を以下に述べる。
【0038】
電極触媒,固体高分子電解質、及び固体高分子電解質を溶解する溶媒を加えて混合し、電極触媒ペーストを作製する。
【0039】
次に、スクリーン印刷法あるいはアプリアプリケータ法によって電極触媒ペーストを、テトラフルオロエチレンフィルム等の乖離フィルムに塗布し、触媒層を形成する。この触媒層を、目的とする金属イオンを含有する水溶液に浸漬して、固体高分子電解質のイオン交換を行う。通常、固体高分子電解質はナトリウム型の場合が多く、この場合、ナトリウムイオンが目的とする金属イオンに置換される。
【0040】
続いて、この触媒層をリン酸水溶液に浸漬して、固体高分子電解質膜のプロトン置換を行う。予め固体高分子電解質膜に置換した金属イオンは、リン酸化合物を形成して残留し固体高分子電解質中に含有される。
【0041】
なお、これらのイオン交換処理を行う場合、必要に応じて60℃から80℃に加熱することが望ましい。
【0042】
このように触媒層を固体高分子電解質膜の両面にホットプレス法によって接合するか、あるいは、触媒層と固体高分子電解質膜との間に固体高分子電解質膜の溶液を接着剤として加えて接合することによって、本形態のMEAを作製することができる。
【0043】
さらに、このような触媒層を形成せずに、混合した電極触媒ペーストをそのまま乾燥させ、この乾燥させた電極触媒ペーストを用いて、上述と同様に金属イオンの置換とリン酸化合物の形成とを行い、続いて、これを粉砕して再度電極触媒ペーストを作製し、この触媒ペーストを用いる方法によっても、本形態のMEAを作製することができる。
【0044】
また、上述の金属イオンの置換とリン酸化合物の形成とを、触媒層を固体高分子電解質膜に接合した後の最終工程で行った場合、触媒層とほぼ同時に固体高分子電解質膜にも金属リン酸化合物が含有される。固体高分子電解質膜にも金属リン酸化合物を含む場合、特に90℃以上での発電特性が向上し、このような発電条件での用途に望ましい。
【0045】
次に、本発明の燃料電池システムについて図4に示す。図4中、11が燃料電池、12が燃料供給装置、13が空気供給装置、14が加湿器、15が水供給装置である。
【0046】
燃料電池システムの燃料電池11は、上述のMEAを使用することによって、極端な低加湿や高加湿の条件下でも発電電圧を維持し、長期発電による電圧低下が小さく、高出力の燃料電池システムを実現できる。
【0047】
また、燃料電池11へ送水した冷却水は、燃料電池の発熱を奪い温水となるため、図5に示すように、この温水を加湿器14へ送水することによって、加湿器14での加熱エネルギーを低減し、高効率の燃料電池システムを実現できる。
【0048】
さらに、図6に示すように、熱回収器16を具備することによって、加湿器14に送水した温水の余剰熱を熱回収器16で回収することによって、高効率な燃料電池システムが実現できる。また、燃料の排ガス中に含まれる未反応の燃料を燃料電池11の出口側から燃料供給装置12の入口側へ還流することによって、より高効率な燃料電池システムが構築できる。
【0049】
上述の本形態の燃料電池システムにおいて、発電電圧が高く、熱効率が優れる運転条件は、燃料電池の平均温度をTcell、燃料ガスの加湿露点温度をTan、空気の加湿露点温度をTcaとした場合、
−10℃≦Tan−Tcell≦−5℃、及び、−30℃≦Tca−Tcell≦−20℃
であることが分かった。
【0050】
また、上述の条件で燃料電池システムを運転する場合、本形態のMEAに用いる固体高分子電解質膜の厚みが20μm〜30μmの範囲が、発電電圧の変動が小さく、長時間発電の電圧低下が小さく望ましい。30μmより大きい場合、発電電圧の変動が大きく、20μmより小さい場合、長時間発電での電圧の低下が大きかった。
【0051】
以下に、更に、本形態を詳しく説明するが、本実施例の趣旨とするところは、ここに開示した実施例のみに限定されるものではない。
【0052】
【実施例1】
アノード及びカソードにカーボンブラックに白金を50wt%担持した電極触媒を用い、この電極触媒にDuPont社のNafion(登録商標)を溶解したNafionの溶液(濃度5wt%,アルドリッチ製)を、電極触媒とNafionの溶液との重量比が1:9となる割合で合せ、溶媒を揮発させながら混合し、粘稠な電極触媒ペーストを調整した。
【0053】
さらに、リン酸ジルコニウムの粉末をリン酸ジルコニウムと電極触媒との重量比が1:50となる割合で加え混合した。この触媒ペーストをテトラフルオロエチレンシートに電極触媒ペーストをスクリーン印刷法によって塗布し、電極触媒ペーストの溶媒を乾燥させて触媒層を形成した。触媒層中の白金量は単位面積当り0.5mg/cm2とした。
【0054】
上述の触媒層を2枚用い、固体高分子電解質膜としてDuPont社のNafionの膜
(ナフィオン112(登録商標),厚さ50μm)を用い、その両面にホットプレスによって圧着した。
【0055】
上述の本形態のMEAを用い、図1に示す燃料電池を作製した。
【0056】
さらに、図4に示す燃料電池システムによって発電を行った。
【0057】
燃料電池11の温度が70℃となるように、水供給装置15から60〜68℃の水を送水した。アノードへの供給ガスは水素、カソードへの供給ガスは空気を用い、加湿器14を流通した後、燃料電池11に供給した。アノード供給ガスの露点は70℃、カソード供給ガスの露点は85℃,70℃あるいは35℃とした。電流密度を0.5A/cm2、アノードの燃料(水素)利用率を80%、カソードの空気中の酸素利用率を40%として発電を行った。
【0058】
【比較例1】
リン酸ジルコニウムを加えず実施例1と同様の手順によって、MEA(従来
MEA)を作製した。従来MEAを用い、実施例1と同一条件で発電を行った。
【0059】
実施例1及び比較例1の発電電圧の比較を表1に示す。本形態のMEAを用いた実施例1の燃料電池は発電電圧が高く、加湿温度による影響が非常に小さいが、従来MEAを用いた比較例1の燃料電池は発電電圧が低く、加湿温度によって大きく発電電圧が変動することが分かった。以上のように、本形態の燃料電池は極端な低加湿や高加湿の条件下でも優れた発電性能を維持できる。
【0060】
【表1】
【0061】
【実施例2】
アノード及びカソードにカーボンブラックに白金を50wt%担持した電極触媒を用い、この触媒にDuPont社のNafionを溶解したNafionの溶液(濃度5wt%,アルドリッチ製)を、電極触媒とNafionの溶液との重量比が1:9となる割合で合せ、溶媒揮発させながら混合して粘稠な電極触媒ペーストを調整した。
【0062】
さらに、この電極触媒ペーストをテトラフルオロエチレンシートにスクリーン印刷法によって塗布し、電極触媒ペーストの溶媒を乾燥させて触媒層を形成した。触媒層中の白金量は単位面積当り0.5mg/cm2とした。この触媒層を濃度1
mol/dm3の塩化ジルコニウム水溶液に2日間浸漬した。
【0063】
続いて、この触媒層を水で洗浄した後、濃度1mol/dm3のリン酸水溶液に2日間浸漬した。
【0064】
固体高分子電解質にリン酸ジルコニウムを含有する触媒層を2枚用い、固体高分子電解質膜としてDuPont社のNafionの膜(ナフィオン117(登録商標),厚み175μm)の両面にホットプレスによって圧着した。
【0065】
上述の本形態のMEAを用い、図1に示す燃料電池を作製した。
【0066】
さらに、図4に示す燃料電池システムによって発電を行った。
【0067】
燃料電池11の温度が70℃となるように、水供給装置15から60〜68℃の水を送水した。アノード供給ガスは水素、カソード供給ガスは空気を用い、加湿器14を流通した後、燃料電池11に供給した。アノード供給ガスの露点は70℃、カソード供給ガスの露点は85℃,70℃あるいは35℃とした。電流密度を0.5A/cm2、アノードの燃料利用率を80%、カソードの空気中の酸素利用率を40%として発電を行った。
【0068】
実施例2の発電電圧を表2に示す。実施例1と同様に、発電電圧が高く、加湿温度による影響が非常に小さいことが分かった。
【0069】
【表2】
【0070】
【実施例3】
アノードに原子比率が1:1の白金ルテニウム合金をカーボンブラックに50wt%担持した電極触媒,固体高分子電解質膜としてDuPont社のNafion膜(ナフィオン117(登録商標),厚み175μm)を用い、以下は実施例2と同様にして本形態のMEAを作製した。
【0071】
上述のMEAを用い、図1に示す燃料電池を作製した。
【0072】
燃料には濃度が10wt%のメタノール水溶液と酸化剤には空気とを用いて室温で発電を行った。
【0073】
【比較例2】
アノードに原子比率が1:1の白金ルテニウム合金をカーボンブラックに50wt%担持した電極触媒,固体高分子電解質膜としてDuPont社のNafionの膜(ナフィオン117(登録商標),厚み175μm)を用い、比較例1と同様にして従来MEAを作製した。比較例2のMEA用い、実施例3と同一条件で発電を行った。
【0074】
実施例3及び比較例2の発電電圧の比較を表3に示す。メタノール水溶液を燃料とする場合も、電極中の保水量が発電反応に対して適度となると考えられる。そこで、各電流密度において、従来MEAを用いた比較例2の燃料電池は発電電圧が低いのに対して、実施例3の本形態の燃料電池は発電電圧が高い。
【0075】
【表3】
【0076】
【実施例4】
実施例2において、触媒層を固体高分子電解質膜に接合した後、金属イオン置換,リン酸化合物を形成する順序に変え、触媒層及び固体高分子電解質膜にリン酸ジルコニウムを含有するMEAを作製した。
【0077】
実施例2のMEA及び実施例4のMEAを用いて、図1に示す燃料電池を作製した。
【0078】
さらに、図4に示す燃料電池システムによって発電を行った。
【0079】
燃料電池11の温度が90℃となるように、水供給装置15から80〜85℃の水を送水した。アノード供給ガスは水素、カソード供給ガスは空気を用い、加湿器14を流通したあと燃料電池11に供給した。アノード供給ガスの露点は80℃、カソード供給ガスの露点は80℃とした。電流密度を0.5A/cm2、アノードの燃料(水素)利用率を80%、カソードの空気中の酸素利用率を40%として発電を行った。
【0080】
実施例2のMEAを用いた燃料電池の発電電圧は0.705V であるのに対して、実施例4のMEAを用いた燃料電池の発電電圧は0.725V であり、触媒層及び固体高分子電解質膜にリン酸ジルコニウムを含有する実施例4のMEAの方が90℃以上の高温条件では適している。
【0081】
【実施例5】
実施例2において作製した燃料電池を用い、図4及び図5に示す燃料電池システムで、加湿器14での消費エネルギーを比較した。
【0082】
燃料電池11の温度が70℃となるように、水供給装置15から60〜68℃の水を送水した。アノード供給ガスは水素、カソード供給ガスは空気を用い、加湿器14を流通したあと燃料電池11に供給した。アノード供給ガスの露点は70℃、カソード供給ガスの露点は85℃とした。電流密度を0.5A/cm2、アノードの燃料(水素)利用率を80%、カソードの空気中の酸素利用率を40%として発電を行った。
【0083】
図4に示す燃料電池システムでは100Wであるのに対して、図5に示す燃料電池システムでは50Wであり、消費エネルギーが小さくなり、燃料電池の冷却水を加湿器に送水して活用することによって、極端な低加湿や高加湿の条件下でも優れた発電性能有すると同時に、高効率の燃料電池システムを実現できる。
【0084】
【実施例6】
実施例1において作製した燃料電池を用い、図6に示す燃料電池システムによって発電を行った。このとき、燃料電池11の発電エネルギー,加湿器14の消費エネルギー,熱回収器16の回収エネルギーを合せた総エネルギーを調べた。
【0085】
燃料電池11の温度が70℃または80℃となるように、水供給装置15から60〜78℃の水を送水した。アノード供給ガスは水素、カソード供給ガスは空気を用い、加湿器14を流通したあと燃料電池11に供給した。アノード供給ガスの露点及びカソード供給ガスの露点を種々変更した。電流密度を0.5A/cm2、アノードの燃料(水素)利用率を80%、カソードの空気中の酸素利用率を
40%として発電を行った。
【0086】
表4に燃料電池平均温度70℃、表5に80℃の総エネルギーの結果を示す。
【0087】
二重線で囲った条件で総エネルギーが大きく、この結果から、アノードガスの加湿露点温度(Tan)、及びカソードガスの加湿露点温度(Tca)が、燃料電池の平均温度(Tcell)に対して、
−10℃≦Tan−Tcell≦−5℃、及び、−30℃≦Tca−Tcell≦−20℃
の範囲であることが、燃料電池システムの効率の面で望ましいといえる。
【0088】
【表4】
【0089】
【表5】
【0090】
【実施例7】
実施例1で用いたNafionの溶液(濃度5wt%,アルドリッチ製)をキャストして溶媒を乾燥させて、厚さが10,20,30,40μmの固体高分子電解質膜を作製した。
【0091】
これらの固体高分子電解質膜を用いて、実施例1と同様にして本形態の燃料電池を作製した。図4に示す燃料電池システムによって、燃料電池の平均温度を
70℃、アノードガスの加湿露点温度を65℃、アノードガスの加湿露点温度を50℃に制御して発電を行った。
【0092】
アノード供給ガスは水素、カソード供給ガスは空気を用い、電流密度を0.5A/cm2 、アノードの燃料(水素)利用率を80%、カソードの空気中の酸素利用率を40%として発電を行った。発電電圧の変動幅と長時間発電の電圧低下率とを表6に示す。固体高分子電解質膜の厚さが20〜30μmの範囲が、発電電圧の変動が小さく、かつ、長時間発電の電圧低下が小さく望ましいことが分かった。
【0093】
【表6】
【0094】
また、本形態の燃料電池は、以下の形態もとることができる。
【0095】
燃料を酸化するアノードと酸素を還元するカソードが固体高分子電解質膜を介して配置されたものであって、アノード及びカソードが固体高分子電解質膜に接合され、アノード及びカソードは、少なくとも電極触媒及び固体高分子電解質からなるアノード触媒層及びカソード触媒層からなり、アノード触媒層あるいはカソード触媒層の少なくともいずれか一方の固体高分子電解質に金属リン酸化合物を含むことを特徴とする。また、金属がジルコニアであることを特徴とする。
【0096】
また、固体高分子電解質膜及びアノード触媒層あるいはカソード触媒層に含まれる固体高分子電解質が、少なくともスルホン酸基を有するフルオロアルキルエーテル側鎖と、フルオロアルキル主鎖とからなる固体高分子電解質を含むことを特徴とする。
【0097】
電極触媒が炭素粉末に貴金属を担持したものであって、炭素粉末がカーボンブラックであり、貴金属が白金あるいは白金合金であり、白金合金には少なくともルテニウムを含み、燃料がメタノール水溶液である。また、固体高分子電解質膜に金属リン酸化合物を含有する。
【0098】
また、燃料電池システムの形態の一つとしては、少なくとも燃料電池と、燃料電池に燃料ガスを供給する燃料供給装置と、燃料電池に空気を供給する空気供給装置と、燃料ガスあるいは空気を加湿する加湿器と、燃料電池を冷却する水を供給する水供給装置を具備し、燃料電池としては、上述のものを用いる。更に、燃料電池を冷却する水を燃料電池に送水したのち、加湿器に供給することも可能である。
【0099】
さらに、燃料ガスの加湿露点温度(Tan)及び空気の加湿露点温度(Tca)が、燃料電池の平均温度(Tcell)に対して、
−10℃≦Tan−Tcell≦−5℃及び−30℃≦Tca−Tcell≦−20℃
であることが好ましく、燃料電池の固体高分子電解質膜の厚さが、20〜30
μmであることを特徴とする。
【0100】
本形態のMEAによって、極端な低加湿や高加湿の条件下でも発電電圧が高く、長期発電による電圧低下が小さい燃料電池が実現可能であり、高出力,高効率の燃料電池システムを構築できる。
【0101】
【発明の効果】
本発明の燃料電池は、低加湿や高加湿の条件下でも発電電圧が高く、長期発電による電圧低下が小さい燃料電池が実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池の一実施例を示す図である。
【図2】本発明のMEAの一実施例を示す図である。
【図3】本発明のMEAの一実施例を示す図である。
【図4】本発明の燃料電池システムの一実施例を示す図である。
【図5】本発明の燃料電池システムの一実施例を示す図である。
【図6】本発明の燃料電池システムの一実施例を示す図である。
【符号の説明】
1…セパレータ、2,21…固体高分子電解質膜、3,23…アノード、4,22…カソード、5…拡散層、6…ガスケット、11…燃料電池、12…燃料供給装置、13…空気供給装置、14…加湿器、15…水供給装置、16…熱回収器、24…触媒金属、25…担持カーボン、26,28…金属リン酸化合物、27…固体高分子電解質。
Claims (11)
- 燃料を酸化するアノード及び酸素を還元するカソードが、固体高分子電解質膜を介して配置された燃料電池において、
前記アノードあるいは前記カソードの少なくともいずれかに、金属リン酸化合物を含むことを特徴とする燃料電池。 - 燃料を酸化するアノード及び酸素を還元するカソードが、固体高分子電解質膜を介して配置された燃料電池において、
前記アノード及び前記カソードは、少なくとも電極触媒及び固体高分子電解質を有するアノード触媒層及びカソード触媒層からなり、
前記アノード触媒層あるいは前記カソード触媒層の少なくともいずれにかの固体高分子電解質に、金属リン酸化合物を含むことを特徴とする燃料電池。 - 請求項1または2において、前記金属リン酸化合物の金属がジルコニアであることを特徴とする燃料電池。
- 請求項2において、前記固体高分子電解質膜と、前記アノード触媒層あるいは前記カソード触媒層とに含まれる前記固体高分子電解質が、少なくともスルホン酸基を有するフルオロアルキルエーテル側鎖と、フルオロアルキル主鎖とを有することを特徴とする燃料電池。
- 請求項2において、前記電極触媒が炭素粉末に貴金属を担持したものであり、前記炭素粉末がカーボンブラックであり、前記貴金属が白金あるいは白金合金であり、前記白金合金には少なくともルテニウムが含まれることを特徴とする燃料電池。
- 請求項1または2において、前記燃料がメタノール水溶液であることを特徴とする燃料電池。
- 燃料を酸化するアノード及び酸素を還元するカソードが、固体高分子電解質膜を介して配置された燃料電池において、
前記固体高分子電解質膜に、金属リン酸化合物を含有することを特徴とする燃料電池。 - 燃料電池と、前記燃料電池に燃料ガスを供給する燃料供給装置と、前記燃料電池に空気を供給する空気供給装置と、前記燃料ガスあるいは前記空気を加湿する加湿器と、前記燃料電池を冷却する水を供給する水供給装置とを具備する燃料電池システムにおいて、前記燃料電池として、請求項1から7に記載の燃料電池を用いたことを特徴とする燃料電池システム。
- 請求項8において、前記燃料電池を冷却する水を前記燃料電池に供給した後、前記加湿器に供給することを特徴とする燃料電池システム。
- 請求項9において、前記燃料ガスの加湿露点温度(Tan)及び前記空気の加湿露点温度(Tca)が、前記燃料電池の平均温度(Tcell)に対して、
−10℃≦Tan−Tcell≦−5℃ 及び −30℃≦Tca−Tcell≦−20℃
であることを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項10において、前記固体高分子電解質膜の厚みが20〜30μmであることを特徴とする燃料電池システム。
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JP2002316969A JP2004152635A (ja) | 2002-10-31 | 2002-10-31 | 燃料電池 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008218098A (ja) * | 2007-03-01 | 2008-09-18 | Sharp Corp | 燃料電池および電子機器 |
KR101101497B1 (ko) | 2009-02-20 | 2012-01-03 | 서울대학교산학협력단 | 고온형 연료전지 전극의 제조 방법 및 그 방법에 의해 제조된 막전극 접합체 |
-
2002
- 2002-10-31 JP JP2002316969A patent/JP2004152635A/ja active Pending
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