JP2004151131A - 光学ユニット及び撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】沈胴式レンズの収納・沈胴動作の際に、ユーザーが強制的に沈胴動作を行い、或いは光学フィルタを光軸上から光軸外へと退避させる退避機構が作動しない等の異常が生じた場合に、その光学フィルタを強制的に光軸上から光軸外へと退避させる。
【解決手段】固定環15及び後部鏡筒17と、固定環15及び後部鏡筒17に対して光軸L方向に沿って移動可能とされた2群レンズ枠13と、2群レンズ枠13の背後に配された赤外域カットフィルタ91と、2群レンズ枠13が赤外域カットフィルタ91に近づくときに赤外域カットフィルタ91を光軸L上から光軸外に退避させる退避機構88と、を備えた沈胴式の光学ユニットにおいて、退避機構88では赤外域カットフィルタ91を光軸上から退避させることができないときに、赤外域カットフィルタ91を光軸上から強制的に退避させる強制退避機構(突起部)92を設け
る。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学系を使用位置と収納位置との間に移動可能な沈胴式の光学ユニットであって、光学ユニットの沈胴時に光学フィルタを光軸上から光軸外に退避させる退避機構を有する光学ユニット、及びその光学ユニットを備えたデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等の撮像装置に関し、特に、ユーザーが沈胴動作を強制的に実行したり、光学ユニットの沈胴時に退避機構が作動しない異常時等に、光学フィルタを光軸上から光軸外に強制的に退避させるようにした光学ユニット、及びその光学ユニットを備えた撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置においては、携帯性の向上や使い勝手の良化が求められ、装置全体の小型化が追求されており、撮像装置に用いられる光学系レンズ鏡筒やレンズの小型化も進められている。更に、撮影された画像のさらなる高画質化・高画素化の要望は非常に強く、光学系の構成部材であるレンズは大型化しても、駆動機構を小型化することによって光学系レンズ鏡筒の小型化が要望される場合がある。
【0003】
また、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置において使用されている、所謂沈胴式レンズに関しても携帯性の利便性という観点から、小型化及び薄型化が要望されている。更に、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置においては、CCDやCMOS等の固体撮像素子は、光学系鏡筒によって結像された被写体の像を受像し、この受像した光を光電変換して電気信号として出力し、被写体の像に対応したデジタルデータを生成する。
【0004】
ここで、CCDやCMOS等の固体撮像素子は、幾何学的に離散的なサンプリングをするために、撮像素子の周期配列より細かい幾何学模様(髪の毛、縞模様、タイル模様等)を写すと、偽色信号やモアレ等が生じ、画像に違和感が生じてしまうという不具合がある。この不要な高周波成分を除くために、光学式ローパスフィルタによってボケを加えるということが一般に行われている。このように光学式ローパスフィルタには、回折現象、複屈折、球面収差等を利用した様々な「ボカス」手段が提案され、実施されている。
【0005】
また、CCDやCMOS等の固体撮像素子は、一般的に可視光だけでなく赤外域にも高い感度を持っているため、不要な赤外域を遮断しなければ正しい色再現ができない。この不要な赤外域を遮断するために赤外域カットフィルタが用いられており、その赤外域カットフィルタは赤外線だけでなくオレンジから赤にかけてなだらかな吸収カーブを描き、長波長域の色再現を整える役割も果たしている。この赤外域カットフィルタには、ガラス又はプラスチックを使用した吸収タイプの他に、マルチコーティングにより赤外線を反射して透過光をカットするタイプもある。
【0006】
一般的なデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置においては、上述したように高い色再現性を追及するために赤外域カットフィルタが用いられている(例えば、特許文献2参照。)。この赤外域カットフィルタは、光路中に配置すること及び光路から外すことができるようになっている。また、赤外線ライト等で赤外光を被写体に照射することにより、通常のデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置では撮影できないような真っ暗闇の環境においても、フラッシュ等の閃光装置や照明装置等の発光装置を使わずに撮影することもできる(「ナイトショット機能」)。
【0007】
また、最近本出願人により、上述したナイトショット機能(赤外線撮影機能)だけでなく、フォーカスに同期して赤外域カットフィルタをレンズの光軸上に出し入れすることで、暗闇でのフレーミングと自然な色合いでの画像記録を両立する機能(「ナイトフレーミング機能」)が開発されている。これは、フレーミング時において、赤外域カットフィルタを光軸外に退避させることによって赤外線撮影状態で正確なフレーミングを実現し、ピント合わせの段階で赤外域カットフィルタを光軸上に戻してピント合わせを行い、撮影(記録)の際にフラッシュを発光させることによって自然な色再現での撮影を行うものである。
【0008】
図5は、沈胴式レンズを備えた、例えばデジタルスチルカメラの不使用時のレンズ収納状態、つまりレンズの沈胴位置の外観斜視図を示すものである。図6は、レンズ鏡筒が伸長したカメラ使用状態を示すもので、ワイド(広角)位置若しくはテレ(望遠)位置の外観斜視図である。
【0009】
また、図7A、B、C及び図8A、B、Cに従来の沈胴式レンズを示す。即ち、図7A、B及びCは、沈胴式レンズの光学ユニットの外観形状を示すもので、図7Aは沈胴状態、図7Bはワイド状態、図7Cはテレ状態をそれぞれ示す斜視図である。また、図8Aは不使用時のレンズ収納位置、図8Bはワイド(広角)位置、図8Cはテレ(望遠)位置をそれぞれ示す断面図である。そして、図9は、沈胴式レンズを分解した状態の斜視図である。
【0010】
まず、図5及び図6において、デジタルスチルカメラの主な機能について説明する。符号1がデジタルスチルカメラのカメラ本体部であり、符号2がカメラ本体部1の一側前面に設けられている沈胴式の撮像レンズ部である。図5Aの沈胴状態では、バリア3により撮像レンズ部2の前玉レンズ面が保護されている。更に、カメラ本体部1の前面側にはファインダレンズ4と、ストロボ5と、被写体との距離を検出するためのオートフォーカス補助光受光部6が配置されている。また、符号7はファインダ窓、8はシャッターボタン、9はモード切り換えつまみである。
【0011】
次に、図7A、B、C及び図8A、B、Cを参照して、沈胴式の光学ユニットである撮像レンズ部2の詳細な構成について説明する。ここに示す沈胴式の光学ユニットは、夜間撮影ができないタイプ(ナイトショット機能未搭載型)のものである。
【0012】
符号10は、複数のレンズ11を保持した1群レンズ枠であり、1群レンズ枠10はカム環12の第1のカム溝12aに嵌合される複数のカムピン10aを備えている。1群レンズ枠10は、例えばガラス繊維を含有する黒色のポリカーボネート樹脂で成形され、強度及び遮光性を有している。
【0013】
符号13は、複数のレンズ13aを保持した2群レンズ枠であり、2群レンズ枠13はカム環12の第2のカム溝12bに嵌合される複数のカムピン13bを備えている。2群レンズ枠13は、例えばガラス繊維を含有する黒色のポリカーボネート樹脂で成形され、強度及び遮光性を有している。また、2群レンズ枠13にはアイリスシャッタ機構を構成している場合もある。
【0014】
上述したカム環12は、ギアユニット14のギア14aにより固定環15の内径内で回転駆動するためのギア部12cと、固定環15のカム溝15aに嵌合される複数のカムピン12dを備えている。カム環12は、例えばガラス繊維を含有する黒色のポリカーボネート樹脂で成形され、強度及び遮光性を有している。第1のカム溝12a及び第2のカム溝12bは、1群レンズ枠10及び2群レンズ枠13を所定のカーブに沿って光軸L方向に移動させるズーミング動作が行われる。
【0015】
符号16は直進案内環であり、カム環12と一体的に固定環15の内側で光軸L方向に移動する部材である。この直進案内環16には、1群レンズ枠10を光軸方向にガイドする複数の案内溝16aと、2群レンズ枠13を光軸方向にガイドする複数の案内溝16bを備えている。この直進案内環16は、例えばガラス繊維を含有する黒色のポリカーボネート樹脂で成形され、強度及び遮光性を有している。
【0016】
固定環15は、後部鏡筒17に固定される部材である。この固定環15は、例えばガラス繊維を含有する黒色のポリカーボネート樹脂で成形され、強度及び遮光性を有している。
【0017】
符号18は、レンズ19を保持した3群レンズ枠である。この3群レンズ枠18は、例えばガラス繊維を含有する黒色のポリカーボネート樹脂で成形され、強度及び遮光性を有している。この3群レンズ枠18は、後部鏡筒17に対して光軸方向に移動可能に保持されており、図示しないステッピングモータ等の動力源によって光軸方向に微小に変移するようになっている。
【0018】
後部鏡筒17には固定環15と、バリア駆動機構20と、ギアユニット14が固定される。また、後部鏡筒17には3群レンズ枠18に対面するようにした保持部21に光学式ローパスカットフィルタや赤外カットフィルタからなる光学フィルタ22がシールゴム23で弾性付勢されるようにして位置決め固定されている。更に、後部鏡筒17には光学フィルタ22の背後にCCDやCMOS等の固体撮像素子24が位置決め固定されている。
【0019】
バリア駆動機構20は、撮像レンズ部2の沈胴時に連動してバリア3を閉止駆動するための突起部材である。また、ギアユニット14は、ギア12cと噛み合うギア部14aを介してカム環12を回転駆動するものであり、そのギア比は沈胴状態→ワイド状態→テレ状態及びテレ状態→ワイド状態→沈胴状態の範囲において十分な駆動力を得られるように決められている。
【0020】
次に、上述した撮像レンズ部2の動作について説明する。
図8Aの沈胴状態から図8Bのワイド位置の間の動作において、カム環12は、そのギア部12cに噛合されるギアユニット14のギア14aがDCモータ等の駆動源によって駆動されることにより、そのカムピン12dが固定環15のカム溝15aに沿って回転しながら光軸Lに沿って被写体に向けて移動する。このとき、直進案内環16は、カム環12と一体的に矢印A方向に移動する。
【0021】
これと同時に1群レンズ枠10は、そのカムピン10aがカム環12の第1のカム溝12a及び直進案内環16の案内溝16aに沿って矢印B方向へ移動する。これと同時に2群レンズ枠13は、そのカムピン13bがカム環12の第2のカム溝12b及び直進案内環16の案内溝16bに沿って矢印C方向へ移動する。以上のような動作により、1群レンズ枠10及び2群レンズ枠13は光学的にワイド位置となる。
【0022】
そして、ワイド位置から図8Cのテレ位置の間の動作においても、カム環12はギアユニット14により駆動されるが、この範囲においてカムピン12dはカム溝15aの水平なカム溝15bを移動することでカム環12が光軸方向に移動しないことから、直進案内環16も矢印Dに示すように光軸方向には移動しない。このとき、1群レンズ枠10は、そのカムピン10aがカム環12のカム溝12a及び直進案内環16の案内溝16aに沿って矢印E方向に移動する。
【0023】
同時に2群レンズ枠13は、そのカムピン13bがカム環12のカム溝12b及び直進案内環16の案内溝16bに沿って矢印F方向に移動する。以上のような動作により、1群レンズ枠10及び2群レンズ枠13は光学的にワイド位置からテレ位置の間を移動することによってズーミング動作を行う。尚、テレ位置からワイド位置、ワイド位置から沈胴状態については、ギアユニット14のギア14aを逆回転駆動することで、カム環12を逆向きに回転させることによって行う。
【0024】
ここで、1群レンズ枠10及び2群レンズ枠13がズーミング動作を行ったとき、これとは別の図示しない、例えばステッピングモータ等からなる駆動源によって3群レンズ枠18が光軸方向に微小に変位することによりフォーカッシング動作を行う。
【0025】
このような構成を有する従来の沈胴レンズの沈胴状態において、光学式ローパスカットフィルタや赤外域カットフィルタ等の光学フィルタ自体の厚さ及び光学フィルタの挿入・固定部分の厚さにより、3群レンズ枠18がCCDやCMOS等の固体撮像素子24方向に移動できる範囲が規制されてしまう。また、3群レンズ枠18と2群レンズ枠13との間、及び2群レンズ枠13と1群レンズ枠10との間を近づけることができる距離に関しても、ある一定の限界があった。
【0026】
仮に、3群レンズ枠18を後部鏡筒17(光学フィルタの挿入・固定部分)に接触するところまで移動させ、3群レンズ枠18〜2群レンズ枠13間、及び2群レンズ枠13〜1群レンズ枠10間をそれぞれ接触するところまで近づけたとしても、撮像レンズ部2(沈胴式レンズ)の沈胴全長は、ある一定の限界までしか薄型化することができなかった。
【0027】
また、光学フィルタ22は、赤外域カットフィルタが光学式ローパスフィルタと張り合わされた状態で光学フィルタとして使用されて後部鏡筒17に固定されていた。そのため、赤外域カットフィルタを光軸上に出し入れすることができず、従って夜間撮影ができなかった。
【0028】
次に、図10A、B、C、図11A、B、図12及び図13を参照して、夜間撮影が可能なタイプ(ナイトショット機能搭載型)の先行技術に係る沈胴式光学ユニットである撮像レンズ部2の詳細な構成について説明する。この夜間撮影(ナイトショット)は、赤外域カットフィルタを光軸上に出し入れすることで可能になる技術である。光学ユニット全体の構成は、上述した夜間撮影ができないタイプ(ナイトショット機能未搭載型)の沈胴式光学ユニットと同様であるため、同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0029】
この沈胴式レンズ(撮像レンズ部)70は、光学的には3群構成であり、1群レンズと2群レンズが所定のカムカーブに沿って光軸方向に駆動されることによってズーミングを行い、3群レンズが光軸方向に微小に変位することによってフォーカシングを行うことができる。即ち、1群レンズと2群レンズの変位によって焦点距離を可変し、3群レンズの変位によって適切に合焦させることができるように構成されている。
【0030】
沈胴式レンズ70の構成は、図8及び図9にて示したものと略同様である。1群レンズ枠10は、カム環12の第1のカム溝12aに係合される3本のカムピン10aを外周部に有し、内周部には1群レンズを構成する複数のレンズ11が挿入・固定される複数のレンズ室10bが設けられている。これらレンズ室10bの前側には、沈胴状態において前玉レンズを保護するバリア機構のバリア3が設けられている。
【0031】
2群レンズ枠13は、カム環12の第2のカム溝12bに係合される3本のカムピン13bを外周部に有し、内周部には2群レンズを構成する複数のレンズ13aが挿入・固定される複数のレンズ室13cが設けられている。
【0032】
カム環12は、ギアユニット14のギア14aに噛合されるギア部12cを外周部に有し、そのギアユニット14で駆動されることにより固定環15の内側で回転駆動される。このカム環12の内周部には、1群レンズ枠10のカムピン10aが係合される3本の第1のカム溝12aと、2群レンズ枠13のカムピン13bが係合される3本の第2のカム溝12bとが設けられている。これら第1及び第2のカム溝12a,12bは、1群レンズ枠10及び2群レンズ枠13を所定のカーブに沿って光軸方向に移動させ、ズーミング動作を行うものである。
【0033】
直進案内環16は、上述したように、カム環12と一体になって固定環15の内側を光軸方向に移動する部材である。また、固定環15は、後部鏡筒17Aに固定される部材であり、カム環12のカムピン12dが係合される3本のカム溝15aを有している。
【0034】
3群レンズ枠18Aには、3群レンズを構成するレンズ19が挿入・固定されるレンズ室18aが設けられている。この3群レンズ枠18Aは、光学性能に悪影響を与えない範囲で径方向に小型化を図り、赤外域カットフィルタ91及びそのフィルタホルダ82が光軸Lと直交方向に退避しやすい形状とすることが好ましい。この際、光軸Lと直交方向に退避したフィルタホルダ82を避けるような切欠き等を設けることも可能である。
【0035】
固定環15等が固定される後部鏡筒17Aには、図12及び図13に示すように、固定環15に対向される側の面の略中央部に略直方体をなすケーシング71が設けられている。このケーシング71の内部には、レンズの光軸方向において適切な位置に光学フィルタ(本実施例では、赤外域カットフィルタ91) を配置するためのフィルタ収納部72が設けられている。このフィルタ収納部72に対応させてケーシング71の前面には、対物側からの入射光線を後部鏡筒17Aに保持されているCCDやCMOS等の固体撮像素子24に向けて通すための開口部73が設けられている。
【0036】
後部鏡筒17Aの構成は、フィルタホルダ82を光軸Lと直交方向に退避させて3群レンズ枠18をCCDやCMOS等の固体撮像素子24方向に収納するため、次のようにすることが好ましい。その1は、フィルタホルダ82を光軸Lと直交方向に退避させるため、退避口74の逃げ部を大きくする。その2は、3群レンズ枠18A、フィルタホルダ82が光軸Lと直交方向に退避した後にできるスペースに収納するため、開口部73を大きくする。この開口部73は、通常、固定絞りとしての機能を兼用する場合もあるが、この機能は別の開口部(例えば、光学式ローパスカットフィルタ85を固定している部分)に持たせることができるため、開口部73を大きくすることは設計的にも可能である。
【0037】
また、ケーシング71の上面には、フィルタ収納部72に収納された光学フィルタの一具体例を示す赤外域カットフィルタ91を光軸Lと直交する方向に退避させるための退避口74が設けられている。この退避口74の両側には、赤外域カットフィルタ91が動力を受けて移動する際に当該赤外域カットフィルタ91を光軸と直交する方向に適切にガイドするための一対のガイド部75,75が設けられている。
【0038】
更に、後部鏡筒17Aの一面の斜め上部には、赤外域カットフィルタ91を移動させるための動力を発生する動力源76が取り付けられる動力源取付部77が設けられている。動力源76としては、例えば、ステッピングモータを適用することができ、その回転軸76aが突出する側には動力源取付部77に取り付けるためのフランジ部76bが設けられている。このフランジ部76bを取付ネジ等の固着手段で動力源取付部77に固定することにより、動力源76が後部鏡筒17Aに取り付けられる。このとき、軸受け穴77aに回転軸76aが挿入される。
【0039】
動力源76の回転軸76aには、アーム部78aを介して回動ピン78が一体的に設けられている。この回動ピン78は、アーム部78aによって回転軸76aから所定距離だけ変位して互いに平行とされている。更に、回転軸76aの先端部には、外周縁の一部にギア部79aが設けられた扇形ギア79が取り付けられている。扇形ギア79の中央部には、回転軸76aと回動ピン78が挿入される係合穴79bが設けられている。この回転軸76aと回動ピン78が係合穴79bに同時に係合されることにより、回転軸76aの回転によって扇形ギア79が一体的に回転駆動される。
【0040】
扇形ギア79のギア部79aには、フランジ部76bに設けられた枢軸76cに回転自在に支持されたピニオンギア80が噛合されている。ピニオンギア80の外周の一部にはアーム部80aが設けられており、このアーム部80aに、動力源76側に突出する駆動ピン81が取り付けられている。これら動力源76と回動ピン78と扇形ギア79とピニオンギア80と駆動ピン81によってフィルタホルダ82を移動するための動力伝達機構83が構成されている。
【0041】
これら扇形ギア79等は、後部鏡筒17Aと動力源76との間に配置され、所定の性能を得られるようにそれぞれ位置決めされて、駆動される。尚、動力伝達機構83は、上述したギア列等に限定されるものではなく、例えば、カム機構、リンク機構その他の動力伝達の可能な各種の機構を用いることができる。
【0042】
フィルタホルダ82は、赤外域カットフィルタ91を保持して光軸Lと直交方向に移動させるもので、赤外域カットフィルタ91が装着されるコ字状に開口された保持部82aが設けられている。この保持部82aの開口側の両外面には、その開口部を閉じる取付バンド84を係止するための突起82bがそれぞれ設けられている。また、フィルタホルダ82の保持部82aと反対側には、駆動ピン81が摺動可能に係合される長穴82cが設けられている。
【0043】
更に、フィルタホルダ82の保持部82aの開口側と反対側には、光軸Lと直交方向に移動される際に、ケーシング71のガイド部75にガイドされるガイド突条82dが設けられている。このフィルタホルダ82の材質としては、例えば、ガラス繊維を含有するポリカーボネート樹脂を用いて成形することができ、強度、遮光性及び量産性を備えている。
【0044】
取付バンド84はゴム状弾性体等の弾性部材によって形成され、突起82bに係合される一対の係合孔84aが設けられている。この取付バンド84には、装着時に赤外域カットフィルタ91を弾性的に付勢して脱落を防止する付勢部84bが設けられている。この取付バンド84を、保持部82aに赤外域カットフィルタ91を装着した状態で開口側に取り付けることにより、赤外域カットフィルタ91が所定位置に位置決めされてフィルタホルダ82に保持される。
【0045】
赤外域カットフィルタ91の保持方法は、取付バンド84によるスナップフィット方法に限定されるものではなく、熱カシメや接着剤による接着方法、その他各種の方法を用いることができる。
【0046】
赤外域カットフィルタ91は、フィルタホルダ82に保持されて光軸Lと直交方向に移動されるため、本実施例においては、従来の沈胴式レンズの場合とは異なり、光学式ローパスカットフィルタ85とは別部材として独立に形成されている。
【0047】
光学式ローパスカットフィルタ85は、赤外線撮影等の夜間撮影時においても撮像装置の画像記録のためには必要である。そのため、本実施例においては、後部鏡筒17Aの中央穴に装着された固体撮像素子24の光軸方向前側に配置され、所定位置に位置決めされて固定されている。
【0048】
上述した動力伝達機構83とフィルタホルダ82により、赤外域カットフィルタ91を光軸上の位置と光軸外の位置との間に移動させる移動機構86が構成されている。そして、移動機構86とケーシング71により、赤外域カットフィルタ91を光軸上の所定位置から直交方向へ直線状に移動させて光軸外の所定位置に退避させる退避手段88が構成されている。
【0049】
この退避手段88の動作を簡単に説明すると、次の如くである。まず、赤外域カットフィルタ91を光軸上の位置から光軸外の位置へ移動させる場合について説明する。まず、駆動源76を駆動させて回転軸76a及び回動ピン78を所定の回転方向に回転させる。これにより、回転軸76a等と回転方向に一体とされた扇形ギア79が同方向に同じ量だけ回転される。この扇形ギア79の回転により、そのギア部79aに噛合されたピニオンギア80が噛み合った歯数の分だけ逆方向に回転される。
【0050】
この駆動ピン81が枢軸76cを中心に回動することにより、その駆動ピン81が長穴82cに沿って移動しつつ、フィルタホルダ82をフィルタ収納部72から引き出す方向に移動させる。これにより、フィルタホルダ82がガイド部75にガイドされて光軸方向と直交方向に移動する。その結果、フィルタホルダ82に保持された赤外域カットフィルタ91が、光軸上の所定位置から直交方向へ直線状に移動されて光軸外の所定位置に移る。
【0051】
一方、赤外域カットフィルタ91を光軸外の所定位置から光軸上の所定位置へ移動させる場合は、上述した退避動作と逆の動作が行われ、それにより赤外域カットフィルタ91を光軸上の所定位置に移動させることができる。
【0052】
このような赤外域カットフィルタ91等が装着される後部鏡筒17Aの前面に固定環15の後端部が当接され、取付ネジ等の固着手段により固定されて一体化される。固定環15の後端部には取付ネジが挿通される複数個のネジ受け部15cが設けられていると共に、これらネジ受け部15cに対応して後部鏡筒17Aには同じ数の凹部17aが設けられている。これらの凹部17aに各ネジ受け部15cを嵌合させることにより、後部鏡筒17Aに対して固定環15が位置決めされる。その状態でネジ止めすることにより、後部鏡筒17Aに固定環15が締付け固定されて一体化される。
【0053】
また、バリア駆動機構20は、1群レンズ枠10に設けられているバリア3を駆動するためのものである。このバリア駆動機構20は、沈胴レンズ70の収納時及び沈胴時に、バリア3を駆動させて前面レンズ11を保護する。このバリア駆動機構20は、3群レンズ枠18の光軸方向へのガイドとなるガイド軸を後部鏡筒との間に保持する場合もある。
【0054】
ギアユニット14は、カム環12をギア部12cによって駆動するものである。ギアユニット14のギア比は、沈胴位置からワイド位置さらにテレ位置まで、及びテレ位置からワイド位置さらに沈胴位置までの範囲において十分な駆動力が得られるように設定する。このギアユニット14でカム環12を駆動することにより、沈胴式レンズ70のズーミング動作が行われる。
【0055】
以上のような構成により、この沈胴式レンズは、上述した「ナイトショット機能」と「ナイトフレーミング機能」を実行することができる。即ち、図10Bに示すワイド状態から図10Cに示すテレ状態の間において光学レンズとして使用するときに、赤外域カットフィルタ91を光軸上に出し入れすることにより、赤外線撮影である「ナイトショット撮影」及び「ナイトフレーミング撮影」を行うことができる。
【0056】
このような構成を有する先行技術に係る沈胴式レンズ70によれば、後部鏡筒17Aの光軸中心における開口部73の径を大きくすると共に沈胴全長を規制している要素の一つである赤外域カットフィルタ91及びフィルタホルダ82を沈胴時に光軸外へ退避させる動作を行い、空いたスペースにレンズ保持枠等を入り込ませることにより、ナイトショット機能及びナイトフレーミング機能を備えた沈胴式レンズをより効率良く収納して、光学ユニットの薄型化を図ることができる。
【0057】
図11A,Bは、赤外域カットフィルタ91を出し入れする動作を説明するもので、図11Aは光軸上の所定位置に赤外域カットフィルタ91をセットした状態を示し、図11Bは光軸上から光軸外に完全に移動させた状態を示している。同図において、符号Kは、赤外域カットフィルタ91の移動方向を示している。
【0058】
上述したような沈胴式光学ユニットを備えた撮影装置としては、例えば、特許文献1のようなものがある。この特許文献1には、光学系を使用位置と収納位置に移動可能なカメラ等の光学装置に関するものが記載されている。
【0059】
この光学装置は、光学系を構成する第1のレンズユニットと、前記第1のレンズユニットを駆動する第1のモータと、前記光学系を構成する、前記第1のレンズユニットの後方に設けられる第2のレンズユニットと、前記第2のレンズユニットを駆動する第2のモータと、前記光学系の収納指示に応答して前記第2のレンズユニットを繰り込み、前記第2のレンズユニットの繰り込みが完了した後に前記第1のレンズユニットの繰り込みを開始し、前記第2のレンズユニットの繰り込みによって空けられたスペースに前記第1のレンズユニットを繰り込むように前記第1、第2のモータを制御する制御手段を有する、ことを特徴としている。
【0060】
また、赤外域カットフィルタを備えた撮像装置としては、例えば、特許文献2のようなものがある。この特許文献2には、可視光領域及び赤外光領域の撮像が可能な撮像素子を有する撮像装置に関するものが記載されている。
【0061】
この撮像装置は、可視光領域及び赤外光領域の撮像が可能な撮像素子を有する撮像装置において、光路中に配置すること及び上記光路から外すことが可能な赤外光カットフィルタと、上記撮像素子から得られた画像信号を信号処理する信号処理手段と、上記画像信号が撮影されたときの明るさを検出する検出手段と、上記検出手段の検出結果に基づいて誤操作か否かを判断し、上記誤操作を利用者に知らせるための制御手段とからなることを特徴としている。
【0062】
【特許文献1】
特開2000−194046号公報(第3〜5頁、図1等)
【特許文献2】
特開2000−261716号公報(第2頁、図1)
【0063】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した図10〜図13で説明したような「ナイトショット機能が搭載された夜間撮影可能な沈胴レンズ」においては、沈胴時に、ユーザー(使用者)が電源をオフにし、或いは急な電池切れや、電池ボックスを開けることによって急に電源の供給がなくなると、手動操作で沈胴式レンズに無理矢理外力を与え、沈胴動作を無理に行うことが想定される。かかる場合には、赤外域カットフィルタの出し入れ機構に対して電源が与えられなくなる。その結果、沈胴動作において赤外域カットフィルタを同期的に光軸外へ退避させることができず、その外力によって無理矢理収納させられる収納部品が他の部品と接触及び/又は干渉し、赤外域カットフィルタやそのフィルタホルダ、その駆動機構、或いはカム環等の沈胴式レンズ自体の駆動機構が構造的に破壊されるおそれがあるという課題があった。
【0064】
本発明は、上述したような課題を解消するためになされたものであり、沈胴式レンズの収納・沈胴動作の際に、ユーザーが強制的に沈胴動作を実行したり、光学フィルタを光軸上から光軸外へと退避させる退避機構が作動しない異常等が生じた場合に、その光学フィルタを強制的に光軸上から光軸外へと退避させる機構を設けることにより、上述した課題を解決することを目的としている。
【0065】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本出願の光学ユニットは、固定鏡筒と、固定鏡筒に対して光軸方向に沿って移動可能とされた少なくとも1つのレンズ鏡筒と、レンズ鏡筒の背後に配された光学フィルタと、レンズ鏡筒が光学フィルタに近づくときに光学フィルタを光軸上から光軸外に退避させる退避機構と、を備えた沈胴式の光学ユニットにおいて、退避機構では光学フィルタを光軸上から退避させることができないときに、光学フィルタを光軸上から強制的に退避させる強制退避機構を設けたことを特徴としている。
【0066】
また、本出願の光学ユニットを備えた撮像装置は、固定鏡筒と、固定鏡筒に対して光軸方向に沿って移動可能とされた少なくとも1つのレンズ鏡筒と、レンズ鏡筒の背後に配置された光学フィルタと、レンズ鏡筒が光学ユニットに近づくときに光学フィルタを光軸上から光軸外に退避させる退避手段と、退避機構では光学フィルタを光軸上から退避させることができないときに光学フィルタを光軸上から強制的に退避させる強制退避機構を有する沈胴式の光学ユニットを備えたデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ装置であることを特徴としている。
【0067】
上述した光学ユニットでは、退避機構とは別の強制退避機構を設けることにより、ユーザーによる強制的な沈胴操作や沈胴時における退避機構の異常時等において、強制退避機構によって光学フィルタを光軸上から光軸外へ強制的に退避させることができ、赤外域カットフィルタ等の光学フィルタやその保持部材、その駆動機構、或いはカム環等の沈胴式レンズ自体の駆動機構が構造的に破壊されるのを防ぐことができる。
【0068】
また、本出願の光学ユニットを備えた撮像装置では、ユーザーによる強制的な沈胴操作や沈胴時における退避機構の不作動等によって光学ユニットが構造的に破壊されるおそれを少なくし、構造的な破壊に強いデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等の装置を提供することができる。
【0069】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による沈胴式の光学ユニット及びその光学ユニットを備えた撮像装置の実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0070】
図1A、B及びCは本発明による沈胴式レンズの断面図であり、図1Aが不使用時のレンズ収納状態である沈胴位置、図1Bがワイド(広角)位置、図1Cがテレ(望遠)位置の各状態を示すものである。図2A、Bは、赤外域カットフィルタの出し入れ動作を説明する断面図、図3は2群レンズ枠と後部鏡筒を示す側面図、図4は同じく斜視図である。
【0071】
ここで、複数のレンズ11を保持した1群レンズ枠10及び複数のレンズ13aを保持した2群レンズ枠13がカム環12の回転駆動により、図1Aの沈胴位置から図1Bのワイド位置及び図1Bのワイド位置から図1Cのテレ位置にズーミング動作及びその逆のワイド動作を行うときの各動作は、図10A、B及びCで説明した場合と同様である。また、本発明の特徴とする部分は、退避機構が作動しない異常時に、光学フィルタを強制的に光軸上から光軸外へと退避させる強制退避機構に関するものである。
【0072】
以下に、光学フィルタの強制退避機構92を、図1A〜C、図2A、B図3及び図4を参照して説明する。尚、図1A〜C、図2A、B、図3及び図4において、上述した図8A〜C、図9、図10A〜C及び図11A、Bで説明した構成部分と同一部分には同一符号を付して説明する。
【0073】
本実施例に係る沈胴式レンズ(撮像レンズ部)90は、全体の構成としては、図10A〜C等を参照して説明した「夜間撮影可能なナイトショット機能搭載」の沈胴式レンズと略同様であるので、ここでは全体の構成を概略説明し、差異のある点について詳細に説明する。
【0074】
図1A〜Cにおいて、10は、複数のレンズ11を保持する1群レンズ枠であり、12は、1群レンズ枠10を光軸方向へ移動可能に支持するカム環である。また、13Bは、複数のレンズ13aを保持する2群レンズ枠であり、16は、2群レンズ枠13Bを光軸方向へ移動可能に支持する直進案内環である。更に、15は、カム環12を光軸方向へ移動可能に支持する固定環であり、固定環15は後部鏡筒17Bの前面に一体的に固定されている。
【0075】
後部鏡筒17Bには、光学式ローパスカットフィルタ85と固体撮像素子24が保持されていて、両者の間にはシールゴム23が介在されている。光学式ローパスカットフィルタ85の前方には、光学フィルタの一具体例を示す赤外域カットフィルタ91が光軸L上と光軸外との間に直線的に移動可能とされて配置されている。そして、収納時及び沈胴時に、退避機構88によって自動的に光軸外の所定位置に退避する構成とされている。この赤外域カットフィルタ91の前方の光軸上に、3群レンズ枠18Bに保持されたレンズ19が配置されている。
【0076】
3群レンズ枠18Bは、その構成は上述した3群レンズ枠18と同様であるが、光学性能に悪影響を与えない範囲で径方向に小型化を図り、赤外域カットフィルタ91及びフィルタホルダ82が光軸Lと直交方向に退避し易いような形状とすることが好ましい。この場合、光軸Lと直交方向に退避したフィルタホルダ82を避けるような切欠きを3群レンズ枠18Bに設けることも有効である。
【0077】
2群レンズ枠13Bは、上述した構成に加えて、沈胴動作においてフィルタホルダ82を光軸Lと直交方向に強制的に移動させるために動力を伝達させる強制退避機構の一具体例を示す突起部92が設けられている。この突起部92は、板材の先端部を細くしたクサビのような形状とされており、先端部に傾斜面92aが形成されている。この突起部92は、沈胴動作時に、動力伝達機構83の扇形ギア79の受圧部79cを押圧することにより、フィルタホルダ82が光軸Lから離れる方向に移動するように動力伝達機構83を作動させる。即ち、本実施例の強制退避機構は、2群レンズ枠13Bが光軸方向へ移動する際の力を動力として退避機構88を動作させ、赤外域カットフィルタ91を光軸上から強制的に退避させるように構成されている。
【0078】
次に、本実施例の動作について説明する。図1Bのワイド状態から図1Cのテレ状態に至るまでの光学レンズとして使用する状態においては、赤外域カットフィルタ91を光軸上に出し入れすることにより、赤外線撮影機能を持たせて、赤外線撮影を実行することができる。即ち、図2Aに示すように赤外域カットフィルタ91を光軸上にセットした状態と、図2Bに示すように赤外域カットフィルタ91を光軸上から光軸外へ移動させた状態を選択的に取ることにより(矢印H)、上述したナイトショット機能及びナイトフレーミング機能によって夜間撮影を行うことができる。
【0079】
この沈胴式レンズ90の沈胴動作においては、図1Aに示すように、動力源76からの動力をフィルタホルダ82に与えることにより(矢印J)、フィルタホルダ82を介して赤外域カットフィルタ91を光軸Lと直交方向に退避させる。その後、赤外域カットフィルタ91が光軸Lと直交方向に退避して空いたスペースに、3群レンズ枠18Bを収納する(矢印I)。これにより、3群レンズ枠18Bが従来よりも深い位置に収納され、より薄く収納された状態となる。更に、3群レンズ枠18Bが従来に比較してより薄く収納されたため、その空いたスペースに、所定のカムカーブに沿って1群レンズ枠10,2群レンズ枠13及び直進案内環16を重ね合わせて収納することができる(矢印A、矢印B及び矢印C)。
【0080】
このとき、例えば、ユーザー(使用者)が電源をオフにし、或いは急な電池切れや、電池ボックスを開けることによって急に電源の供給がなくなる等の原因に基づいてユーザーが手動操作で沈胴式レンズに無理矢理外力を与えると、沈胴動作を無理に行うことになるが、かかる場合に強制退避機構92が働くことになる。
【0081】
即ち、ユーザーが手動操作で沈胴式レンズを無理矢理沈胴させようとすると、図12に示すように、沈胴時の終期において、突起部92の傾斜面92aが動力伝達機構83の扇形ギア79の受圧部79cに上方から当接される。これにより、傾斜面92aで押圧されて扇形ギア79が、図12において時計方向に回動される。その結果、ピニオンギア80及び駆動ピン81の作動を介してフィルタホルダ82が外側に移動し、これに保持されている赤外域カットフィルタ91が光軸上から光軸外へ移動される。
【0082】
以上により、本発明に係る沈胴式レンズ90においては、沈胴動作において、ユーザーによる強制的な沈胴操作や退避機構88の作動不良等によって赤外域カットフィルタ91が光軸上に置き去りにされたような場合にも、強制退避機構92によって赤外域カットフィルタ91が強制的に光軸上から光軸外に退避させられる。そのため、赤外域カットフィルタ91やそのフィルタホルダ82等が他の部品と接触したり干渉したりするのを防ぐことができ、赤外域カットフィルタ91やフィルタホルダ82、その動力伝達機構83、或いはカム環12等の沈胴式レンズ自体の駆動機構が構造的に破壊されるのを防止し、信頼性を向上することができる。
【0083】
本発明は、上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0084】
例えば、上記実施例では、赤外域カットフィルタを光軸と直交方向に退避させる構成としたが、その退避方向は光軸に対して直交する方向でなくてもよく、赤外域カットフィルタが適切に機能するように光軸上に出し入れできるもの、例えば、赤外域カットフィルタを斜め方向に移動させ、或いは支軸を中心にした回動動作によって円弧状に移動させる構成としてもよく、外域カットフィルタの出し入れ方向に限定されるものではない。更に、赤外域カットフィルタを出し入れする機構についても、上述した実施例に限定されるものではない。
【0085】
また、上記実施例においては、赤外域カットフィルタを光軸と直交方向に移動可能とするためのレール状のガイド部75を後部鏡筒に設けたが、例えば、別部材で赤外域カットフィルタの駆動ガイド手段(例えば、フラップ方式、旋回方式等)を構成してもよく、また、バリア駆動機構等に設けてもかまわない。
【0086】
更に、沈胴式レンズのレンズ構成についても本実施例に限定されるものではなく、沈胴式レンズの駆動方式についても同様である。また、駆動源としては、ステッピングモータばかりでなく、超音波モータや一般的なDCモータ等を用いることができる。更に、ギアユニットを必ずしも必要とするものではなく、例えば、超音波モータやリニアモータ等によるダイレクト駆動によるものでもかまわない。
【0087】
また、沈胴式レンズの沈胴構造は、カム溝やカムピンによるカム機構に限定されるものではなく、光学レンズ系を薄型に収納する機構であればよく、例えば、ボールネジ式、ラック・ピニオン式、リニアモータ式等のように各種の機構を採用することができるものである。更に、強制退避機構92によって退避される光学フィルタは、上述した赤外域カットフィルタに限定されるものではなく、例えば、光学式ローパスカットフィルタ、液晶装置、EC素子その他の光学フィルタ状のものを適用することができるものである。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように、本出願の光学ユニットによれば、退避機構とは別の強制退避機構を設ける構成としたため、ユーザーによる強制的な沈胴操作や沈胴時における退避機構の異常時等において、強制退避機構によって光学フィルタを光軸上から光軸外へ強制的に退避させることができ、赤外域カットフィルタ等の光学フィルタやその保持部材、その駆動機構、或いはカム環等の沈胴式レンズ自体の駆動機構が構造的に破壊されるのを防ぐことができるという効果が得られる。
【0089】
また、本出願の光学ユニットを備えた撮像装置によれば、ユーザーによる強制的な沈胴操作や沈胴時における退避機構の不作動等によって光学ユニットが構造的に破壊されるおそれを少なくし、構造的な破壊に強いデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等の装置として用いることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る沈胴式レンズを示すもので、図1Aは不使用時のレンズ収納状態である沈胴状態、図1Bはワイド(広角)状態、図1Cはテレ(望遠)状態をそれぞれ示す断面図である。
【図2】本発明に係る赤外域カットフィルタの出し入れ動作を説明するもので、図2Aは光軸上に位置した状態、図2Bは光軸外に移動した状態をそれぞれ示す断面図である。
【図3】本発明に係る沈胴式レンズの2群レンズ枠及び後部鏡筒を示す側面図である。
【図4】本発明に係る沈胴式レンズの2群レンズ枠及び後部鏡筒を示す斜視図である。
【図5】光学ユニットが沈胴状態であるデジタルスチルカメラの外観斜視図である。
【図6】光学ユニットがワイド状態又はテレ状態に伸長したデジタルスチルカメラの外観斜視図である。
【図7】光学ユニットの外観を示すもので、図7Aは沈胴状態、図7Bはワイド状態、図7Cはテレ状態をそれぞれ示す斜視図である。
【図8】従来のナイトショット機能のない沈胴式レンズを示すもので、図8Aは沈胴状態、図8Bはワイド状態、図8Cはテレ状態をそれぞれ示す断面図である。
【図9】図8の沈胴式レンズを分解して示す斜視図である。
【図10】先行技術に係るナイトショット機能のある沈胴式レンズを示すもので、図10Aは沈胴状態、図10Bはワイド状態、図10Cはテレ状態をそれぞれ示す断面図である。
【図11】図10に示すナイトショット機能のある沈胴式レンズの赤外域カットフィルタの出し入れ動作を説明するもので、図11Aは光軸上に位置した状態、図11Bは光軸外に移動した状態をそれぞれ示す断面図である。
【図12】図10に示すナイトショット機能のある沈胴式レンズの赤外域カットフィルタの退避手段等を分解して前側から見た分解斜視図である。
【図13】図10に示すナイトショット機能のある沈胴式レンズの赤外域カットフィルタの退避手段等を分解して後側から見た分解斜視図である。
【符号の説明】
2,70,90…撮像レンズ部(沈胴式レンズ)、 10…1群レンズ枠、 10a…カムピン、 12…カム環、 13,13B…2群レンズ枠、 15…固定環、 16…直進案内環、 17,17A,17B…後部鏡筒、 18,18B…3群レンズ枠、 22…光学フィルタ、 24…固体撮像素子(撮像手段)、 71…ケーシング、 72…フィルタ収納部、 73…開口部、 74…退避口、 75…ガイド部、 76…動力源、 79…扇形ギア、 79c…受圧部、 82…フィルタホルダ、 83…動力伝達機構、 85…光学式ローパスカットフィルタ(光学フィルタ)、 86…移動機構、 88…退避機構、 91…赤外域カットフィルタ(光学フィルタ)、 92…突起部(強制退避機構)、 92a…傾斜面

Claims (5)

  1. 固定鏡筒と、
    上記固定鏡筒に対して光軸方向に沿って移動可能とされた少なくとも1つのレンズ鏡筒と、
    上記レンズ鏡筒の背後に配された光学フィルタと、
    上記レンズ鏡筒が上記光学フィルタに近づくときに当該光学フィルタを光軸上から光軸外に退避させる退避機構と、を備えた沈胴式の光学ユニットにおいて、
    上記退避機構では上記光学フィルタを光軸上から退避させることができないときに、当該光学フィルタを光軸上から強制的に退避させる強制退避機構を設けたことを特徴とする光学ユニット。
  2. 請求項1記載の光学ユニットにおいて、
    上記強制退避機構は、上記レンズ鏡筒の上記光学フィルタ側に設けられた突起部と、上記光学フィルタ側の部材に設けられ且つ上記突起部が当接されることにより押圧されて上記光学フィルタを上記光軸上から光軸外に移動させる受圧部とからなることを特徴とする光学ユニット。
  3. 請求項1記載の光学ユニットにおいて、
    上記強制退避機構は、上記レンズ鏡筒の上記光学フィルタ側に設けられた突起部を有し、上記突起部で上記退避機構を作動させることによって上記光学フィルタを光軸上から強制的に退避させるようにしたことを特徴とする光学ユニット。
  4. 請求項3記載の光学ユニットにおいて、
    上記退避機構は、上記光学フィルタを保持するフィルタフレームと、上記フィルタフレームを移動させるための動力を発生する動力源と、上記動力源の動力を上記フィルタフレームに伝えて移動させる動力伝達機構と、を有し、上記突起部で上記動力伝達機構を作動させるようにしたことを特徴とする光学ユニット。
  5. 固定鏡筒と、上記固定鏡筒に対して光軸方向に沿って移動可能とされた少なくとも1つのレンズ鏡筒と、上記レンズ鏡筒の背後に配置された光学フィルタと、上記レンズ鏡筒が上記光学ユニットに近づくときに当該光学フィルタを光軸上から光軸外に退避させる退避手段と、上記退避機構では上記光学フィルタを光軸上から退避させることができないときに、当該光学フィルタを光軸上から強制的に退避させる強制退避機構を有する沈胴式の光学ユニットを備えたデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ装置であることを特徴とする撮像装置。
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