JP2004150184A - 携帯機内蔵アンテナの保護クッションおよび携帯機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】携帯機1は、上部および下部カバー2、9で挟まれた内部に、基板5の下部カバー9側に表面実装されたアンテナ6を内蔵している。アンテナ6と下部カバー内面94との間に、保護クッション7を挟み込む。保護クッション7は断面形状が二等辺三角形、平面形状が正方形の緩衝部を有し、緩衝部の頂点部分をアンテナ6の各アンテナ端子近傍に当たるように置かれ、組立時には、この緩衝部は圧縮される。これにより、各アンテナ端子に均等な力を作用させることができるので、携帯機1の落下によりケースへ衝撃が作用しても、緩衝部により、この衝撃を吸収、緩和して、アンテナ6の破損を防止することができる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯機に内蔵されるアンテナの保護クッションおよびその保護クッションを用いた携帯機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両の遠隔操作の補助手段としてキーレスエントリシステムがある。このキーレスエントリシステムの送信機などの携帯機には、車両との通信に使用されるアンテナが内蔵されている。このアンテナは比較的重量が大きく、例えば、ユーザが携帯機をキーと一緒に落としたときの衝撃で、アンテナの基板にはんだ付けされた部分が基板から剥離したり、もしくはアンテナそのものが破壊される場合がある。このようなときには、接着剤にて接着補強する対策が取られるが、接着剤の塗り乾燥工程が必要となり、コストアップの要因となっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記点に鑑みて、携帯機の落下時の衝撃を緩和することにより、落下強度を確保することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、携帯機(1)が備える基板(5)に平行な裏面および前記携帯機のケース内面(92)に平行な表面(61)を有するパッケージを備え、前記基板と前記パッケージの裏面とは該パッケージ裏面上の所定点(P1、P2)に対して点対称の位置に配置された複数の接続部(63a〜63d)で接続されることにより前記基板に表面実装されるアンテナ(6)の保護クッション(7)であって、前記保護クッションは、弾性体で構成されるとともに、無荷重時の断面形状がそれぞれ該断面の中心線に対して線対称である第1接触部(72a〜72d)および第2接触部(75a〜75d)を有する緩衝部(71a〜71d)を備え、前記第1および第2接触部は、前記パッケージ表面と前記ケース内面との間の平行平板状の空間内に前記パッケージ表面と前記ケース内面とにそれぞれ挟まれて配置されるとともに、前記第1接触部または第2接触部の一方は前記所定点に対して点対称となる前記パッケージ表面上の位置で前記パッケージ表面と接触することを特徴とする。
【0005】
この発明によれば、弾性体の保護クッションを、裏面側で基板と所定点に対して点対称の位置の接続部で接続されたアンテナのパッケージの表面と、このパッケージ表面と平行なケース内面との間に、パッケージ表面と前記所定点に対して点対称の位置で緩衝部の第1または第2接触部の一方を接触させるとともに、緩衝部の他方の接触部をケース内面に接触させ、緩衝部がパッケージ表面とケース内面とにより挟み込まれるように配置するので、緩衝部の挟み込みにより発生する圧縮反力は、点対称の位置にある各接続部に均等に作用させることができ、これにより、携帯機の外部からの衝撃を緩衝部で均等に吸収して、アンテナの破損や接続部での剥離を防止することができる。
【0006】
前記緩衝部の第1または第2接触部の少なくとも一方は、請求項2に記載のように、前記線対称の対称線と直角方向の面上で、互いに平行な2組の辺を有する形状または円形の形状のいずれか一方の形状とすることができる。
【0007】
請求項3に記載の発明は、前記緩衝部の断面形状は、前記第1接触部が二等辺三角形の頂点を形成することを特徴とする。これにより、緩衝部は断面方向への圧縮力に対して、座屈することがなく、圧縮反力を発生することができる。
【0008】
請求項4に記載の発明は、前記保護クッションは、前記パッケージ表面またはケース内面のいずれか一方に接する平行平板状の固定板(74)を備え、前記第2接触部が前記固定板に一体的に形成されることを特徴とする。これにより、固定板がパッケージ表面またはケース内面に接触配置され、保護クッションを固定することができる。
【0009】
なお、前記二等辺三角形の頂角は、請求項5に記載のように、45度ないし60度の範囲の値とすることができる。
【0010】
また、前記弾性体は、請求項6に記載のように、ショアー硬さが30ないし50の特性を有するシリコーンゴムとすることができる。
【0011】
請求項7に記載の発明は、前記携帯機のケースは、上部カバー(2)および下部カバー(9)とが、該上部カバーおよび下部カバーの内面を前記ケース内面として、該上部カバーおよび下部カバーの各外周部に設けられた係合部(22、91)で防水用シール部材(40)を挟んで係合することにより構成され、前記緩衝部が前記パッケージ表面とケース内面とにより挟まれることにより発生する反力が、前記係合部で挟まれることにより前記防水用シール部材が発生する反力の近傍値を上限値とすることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、緩衝部が圧縮により発生する反力は、防水用シール部材が発生する反力の近傍値よりも小さい、すなわち、緩衝部に過大な反力を発生させないので、防水用シール部材の挟み込み効果、すなわち防水効果を減ずることがない。
【0013】
なお、請求項8に記載のように、前記緩衝部の断面形状が円形をなすOリング(700)を保護クッションとして用いることが可能である。
【0014】
さらに、本発明は、請求項9に記載のように、外部へ車両操作用の信号を送信する携帯機(1)であって、該携帯機は、上部カバー(2)および下部カバー(9)とが、該上部カバーおよび下部カバーの各外周部に設けられた係合部(22、91)で防水用シール部材(40)を挟んで係合することにより構成されるケース内に、前記上部カバーおよび下部カバーの各内面をケース内面として、該ケース内面に平行に配置される基板(5)と、該基板に平行な裏面および前記携帯機のケース内面に平行な表面(61)を有するパッケージを備え、前記基板と前記パッケージの裏面とは該パッケージ裏面上の所定点(P1、P2)に対して点対称の位置に配置された複数の接続部(63a〜63d)で接続されることにより前記基板に表面実装されるアンテナ(6)と、弾性体で構成されるとともに、無荷重時の断面形状がそれぞれ該断面の中心線に対して線対称である第1接触部(72a〜72d)および第2接触部(75a〜75d)を有する緩衝部(71a〜71d)を備え、該緩衝部の第1および第2接触部は、前記パッケージ表面と前記ケース内面との間の平行平板状の空間内に前記パッケージ表面と前記ケース内面とにそれぞれ挟まれて配置されるとともに、前記第1接触部または第2接触部の一方は前記所定点に対して点対称となる前記パッケージ表面上の位置で前記パッケージ表面と接触する保護クッションと、を備えるようにすることができる。
【0015】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態のキーレスエントリ用携帯機1の断面図であり、図2はその組立構成図である。なお、図1において、紙面上方を上部、下方を下部と称する。
【0017】
携帯機1は、そのケースを構成する上部カバー2と下部カバー9とにより形成される内部空間内に、上部より、ノブ部材3、防水カバー4、上部面にスイッチ51a〜51cを、下部面にアンテナ素子6を備えた基板5、アンテナ素子6と下部ケース9との間にあって比較的重量の大きなアンテナ素子6への衝撃を緩和するクッション材7および電池ターミナル81、電池ケース82、ボタン電池83、基板5を下部ケース9より支持するスペーサ80の順に配置されている。なお図1中、基板5の下部面に形成されている回路素子は省略している。
【0018】
上部カバー2は、樹脂フィルムの表面に透明保護膜が形成され裏面にメタリック印刷やカラー印刷がされた加飾フィルムをベース材樹脂BPでインモールド成形したもので、キーリング用穴20およびノブ用穴21a〜21cが設けられている。
【0019】
ノブ部材3は同様の加飾フィルムをフォーミングして、凸状のノブ31a〜331cを形成したもので、組立時にノブ用穴21a〜21cに挿入される。
【0020】
防水カバー4は、シリコーンゴムで基板5の上部全体を覆うように、かつ、その外周部に断面が円形のOリング状のシール部材40が一体的に成形されている。
【0021】
組付け時には、シール部材40は上部カバー2と下部カバー9とのそれぞれの外周部に設けた外周係合部22、91に挟まれて断面が変形することにより、ケース内への水分の侵入を防止している。
【0022】
基板5の上部にはノブ31a〜31cを介して押圧操作されるスイッチ51a〜51cが設けられ、下部にはアンテナ6が表面実装されている。
【0023】
図3(a)はアンテナ6の方向マーク62が付されたパッケージ表面61の平面図、同(b)はパッケージの側面図、同(c)はアンテナ6の内部構造を示す図である。また、図4は、アンテナ6の等価回路を示す図である。
【0024】
アンテナ6のパッケージは直方体形状であり、裏面(図3(b)では紙面下側)の4隅にはアンテナ端子63a〜63dがパッケージ形状に沿って、パッケージの中心点P1に対して点対称の位置に設けられている。
【0025】
この端子63a〜63dが基板5の所定位置に、はんだ付けにより表面実装されることにより、携帯機1の組付け時、パッケージ表面61は基板5およびケース内面としての下部カバー9の内面に平行に配置される。
【0026】
なお、アンテナ6の内部は、フェライト製の心64に3つのアンテナコイル65、66、67が巻かれており、その等価回路は、共通端子63aに対して、それぞれ並列接続されたX軸アンテナ65およびX軸端子63b、Y軸アンテナ66およびX軸端子63c、Z軸アンテナ67およびZ軸端子63cで示される(図4)。
【0027】
このように、アンテナ6は、フェライト心64および3つのアンテナコイル65〜67を含んでいるので比較的重量の大きいものとなっている。したがって、携帯機1が落下するなどによりケースに衝撃が加わると、内蔵されるアンテナ6に作用する衝撃力(加速度)は大きなものになり、場合によっては表面実装される基板5との接続部であるはんだ付けされた端子部63a〜63dで剥離が生じたり、さらには、アンテナ6の内部で重量物であるフェライト心64やアンテナコイル65〜67などの破損が発生する可能性がある。
【0028】
そこで、本実施形態では、アンテナ6のパッケージ表面61とケース内面としての下部カバー9の内面94との間に、保護クッション7を介挿することにより、外部からアンテナ6に加わる衝撃力をこの保護クッション7で吸収し、アンテナ6の剥離や破損を防止している。以下、保護クッション7について説明する。
【0029】
図5(a)は、本実施形態の保護クッション7の平面図であり、同(b)は、(a)のA−A断面図を表している。
【0030】
保護クッション7は、弾性体としてのショアー硬さ約40のシリコーンゴムにより成形されており、図5(a)において正方形の4隅をわずかに切り欠いた形状、すなわち、平行な2組の緩衝部71a、71cおよび緩衝部71b、71dを、点P2を中心とする点対称の位置に有している。
【0031】
この緩衝部71a〜71dは、断面形状が高さH=1.6mm、底辺長さ1.6mmの二等辺三角形の頂点に当たる第1接触部72a〜72dと、この二等辺三角形の底辺部73a〜73dと一体的に成形されている厚さt=0.5mmの平板状の固定板74の裏面に第2接触部75a〜75dとを備えている。すなわち第2接触部は二等辺三角形の底辺部73a〜73dに設けられた横×縦=1.6×0.3の矩形の固定板底辺部75a〜75dに相当する。
【0032】
また、固定板74は、緩衝部73a〜73dに囲まれた同じく厚さt=0.5mmの正方形板を備え、固定板74の裏面側(図5(b)で紙面下側)をケース内面である下部カバー9の内面94と接触し、保護クッション7、特に第2接触部75a〜75dを内面94に固定するように配置される。
【0033】
緩衝部73a〜73dの外周の一部には高さが第1接触部72a〜72dとほぼ等しい枠76b、76dおよび77b、77dが、緩衝部71a〜71dの外周を囲む正方形の対角部分を切り欠いた形状として成形されている。
【0034】
向かい合う枠76bおよび76dは、他方の向かい合う枠77bおよび77dよりも肉厚とされ、枠77b、77dの開口部79b、79d側に凹部78b、78dが形成されている。この凹部78b、78dは保護クッション7の組付け時、後述する基板押さえ92b、92dが嵌められ下部カバー内面94の面内の移動が抑制される。
【0035】
一方、下部カバー9は、携帯機1の組付け時、防水カバー4の外周部に設けられたOリング状のシール部材40を上部カバー2の外周係合部22とともに挟み込む外周係合部91と、外周係合部91より1段低い内面94が組付け時、基板5の面方向と平行となるよう成形されている。さらに、内面94の周辺部には組付け時基板5と内面94とを一定間隔の平行状態に保つための柱状の基板押さえ92a〜92d、93が設けられている。
【0036】
携帯機1の組付け時には、まず図6において、基板押さえ92bおよび92dを保護クッション7の開口部79bおよび79dに通し、凹部78bおよび78dに嵌め込んで、固定板74の裏面、とくに第2接触部75a〜dが下部カバー9の内面94に密着するよう、内面94に載置する。
【0037】
次に、上部カバー2にノブ部材3を組み付け、さらに防水カバー4を組み付けた後、ボタン電池83が所定位置に配置されている基板5を上部カバー2内に組み付ける。そして、この各部材を組み付けた上部カバー2と、上記保護クッション7を組み付けた下部カバー9とを嵌め合わせる。
【0038】
この時、保護クッション7の点対称の中心P2(図5(a))の位置と、パッケージ表面61の点対称の中心P1の位置とはパッケージ表面の面上(同時に下部カバー内面94の面上)においてほぼ一致している。
【0039】
これにより、防水カバー4のシール部材40は、上部および下部カバーの外周係合部22および91により圧縮、変形することにより、ケース内部への水分の侵入を抑制している。このシール部材40の圧縮による反力は、シール部材40の表面粗さや携帯機1の通常の使用状況を考慮して、圧縮率が20〜35%の範囲となるよう、約2N(ニュートン)程度発生するようになっている。
【0040】
一方、組付け後の保護クッション7の緩衝部71a〜71dは、アンテナ6のパッケージの4隅のそれぞれ点対称の位置に接触し、かつ、パッケージ表面61と下部カバー内面94とに挟まれて圧縮される。
【0041】
なお、本実施形態では、後述するように、緩衝部71a〜71dの圧縮量aを約1mmとすることにより、保護クッション7の発生する圧縮反力とシール部材40の圧縮反力とがほぼつりあうようになっている。
【0042】
このように、緩衝部71a〜71dが、アンテナ6のパッケージ表面61において点P1およびP2に対して点対称の位置であるとともに、アンテナ6の基板5との接続部であるはんだ付けのアンテナ端子部63a〜63d付近の位置で、かつ、等しい圧縮量を発生することにより、アンテナ6の各端子63a〜63dにそれぞれ均等に力を発生させることができる。これにより、アンテナ端子63a〜63dのはんだ付け部の剥離を防止することができる。
【0043】
なお、この緩衝部71a〜71d(以下では、添字a〜dを省略する)の圧縮量は、次のような知見に基づき決定している。
【0044】
圧縮に対して緩衝部71は、(1)押圧により緩衝部が座屈しない(座屈が生じるとアンテナ保護のための弾性力を発生できなくなるため)、(2)各アンテナ端子63に均一に弾性力を与える(不均一な力では一部の作用力の小さなアンテナ端子が基板から剥離するため)、(3)シール部材40の圧縮反力を越えた過大な圧縮反力を発生しない(シール部材40での防水性を阻害するため)、という3つの要件を満たす必要がある。
【0045】
上記(1)に対しては、緩衝部71の断面形状を線対称とし、断面の対称線上の一方の第1接触部72の接触面積を小さくしたもの、すなわち、断面が二等辺三角形または円形もしくは半円形の形状とすることにより、座屈を防止できる。本実施形態では二等辺三角形としている。
【0046】
上記(2)に対しては、アンテナ6のパッケージ表面61と下部ケース9の内面94との間隔に発生しうる組付け精度上のばらつきに対して、圧縮反力の変動が小さくなる断面形状とする。この組付け精度上のばらつきは、基板5の面精度および各アンテナ端子63でのはんだ付けの精度や保護クッション7の制作精度などのばらつきによって生ずる。
【0047】
また、上記(3)に対しては、緩衝部71の発生反力の目標値を、シール部材40の発生反力と同程度、すなわち約2N程度とする。
【0048】
次に、緩衝部71の形状寸法の具体例について説明する。図7(a)に示す緩衝部71の二等辺三角形断面形状に対して、図7(b)に示す、タイプ▲1▼〜▲3▼の3種の寸法について、圧縮量であるストローク(単位:mm)とそのストロークを発生させるために必要な荷重(圧縮力)との関係を調べた。図8にその結果を示す。
【0049】
図8より、第1接触部72に相当する二等辺三角形の頂角θが小さくなるほど、ストローク量に対する荷重変化量が小さくなることがわかる。ただし、頂角θは小さくなりすぎると、緩衝部71の制作精度上の問題の他に、実際の荷重付与により座屈が発生するという問題がある。その座屈を生じさせないための下限値はθ=約45度と考えられる。
【0050】
本実施形態では、目標値として、ストローク(圧縮量)が1mmに対して、荷重(反力)が2〜3Nとなる断面形状(高さH=1.6mm、底辺長さL=1.6mm、頂角θ=53.1°の二等辺三角形・・・タイプ▲1▼)を選定した。すなわち、本実施形態では、緩衝部71は無荷重時の高さH+t=1.6+0.5=2.1(mm)より、圧縮量a=1(mm)とすると、1.1mmの高さまで圧縮されることとなる。
【0051】
これにより、上記(1)〜(3)の要件を満たす緩衝部71を有する保護クッション7を得ることができた。
【0052】
以上のように、本実施形態は、携帯機1のケース内部にあって、基板5の片側面を防水カバー4で覆い、その防水カバー4の外周部に設けたOリング状のシール部材40をケースの外皮を構成する上部カバー2と下部カバー9とにより挟み込んでシール部材40を圧縮変形することによりケース内部への水分の侵入を防いでいる。さらに、基板5の防水カバー4と反対面上に表面実装されたアンテナ6と下部カバー9の内面94との平行平板状の隙間にシリコーンゴム製の弾性体でできた保護クッション7を圧縮させて介在させることにより、携帯機1の落下時のアンテナ6への衝撃を吸収、緩和させることができ、これによりアンテナ6の基板5からの剥離やアンテナ6自体の損傷を防止することができる。
【0053】
さらに、保護クッション7の緩衝部71を、アンテナ6のパッケージ表面61の中心に対してアンテナ端子63と同様、点対称となる位置に、かつアンテナ素子63近傍の位置に第1接触部72を配置することにより、緩衝部71がアンテナ6へ作用する力は各アンテナ端子63に対して均等に作用させることができ、これにより一部のアンテナ端子63の剥離発生を防止することができる。
【0054】
また、本実施形態では、緩衝部71の断面形状を線対称形状である二等辺三角形とし、その頂点を第1接触部72としてパッケージ表面61に当接し、断面の他方の第2接触部75をパッケージ表面61と平行な下部カバー9の内面94に接触させて、パッケージ表面61と下部カバー内面94とにより圧縮するように配置するので、緩衝部71の圧縮ストロークに対して発生する反力の変化が比較的小さいため、パッケージ表面61と下部カバー内面94との間隔が不均一であっても緩衝部71の圧縮圧力の変動は小さく、これにより各アンテナ端子63に均等に力を作用させることができる。
【0055】
なお、上記実施形態では、保護クッション7に用いたシリコーンゴムのショアー硬さを約40としたが、これ以外でも30ないし50の範囲であれば、必要な保護クッションの衝撃吸収能力が得られる。
【0056】
さらに、上記実施形態では、緩衝部71の二等辺三角形の断面の頂角を53.1°としたが、これに限らず、45°≦θ≦60°の範囲であれば、圧縮ストロークに対する荷重特性より、荷重変動幅が比較的小さい、保護クッションとして良好な緩衝部が得られる。
【0057】
また、上記実施形態では、保護クッション7の第2接触部75を下部カバー内面94へ固定するための固定板74の厚みtを0.5mmとしたが、0.1mmないし0.5mmの範囲であれば、図8に示したストローク−荷重特性を用いて緩衝部71のパラメータ(h1、L、圧縮代a)を決定することができる。
【0058】
さらに、上記実施形態では保護クッション7の形状を、アンテナ6のパッケージ形状と相似な正方形としたが、これに限らず、図9に示すように、市販の断面が円形のOリング700を用いてもよい。この場合、Oリングの直径をアンテナ6のパッケージの1辺長さよりわずかに小さいものとし、点対称中心としてのOリングの中心をパッケージ表面61の中心と一致して配置する。これにより、Oリング断面の円周上の第1接触部および第2接触部はアンテナ6の各端子63近傍の点対称位置でパッケージ表面61に力を作用させることができるので、各端子63に均等に力を与えてアンテナ6の衝撃からの保護を可能にする。
【0059】
さらに、図9(b)に示すように、Oリング700を下部ケース9に設けた基板押さえのうち、アンテナ6の外周部分の対角の一対の基板押さえ92b、92dに掛けて使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の携帯機の断面図である。
【図2】本実施形態の携帯機の組立構成図である。
【図3】(a)は本実施形態のアンテナのパッケージの上面図、(b)はパッケージの側面図、(c)はアンテナ内部の構成を示す図である。
【図4】本実施形態のアンテナの等価回路を示す図である。
【図5】(a)は本実施形態の保護クッションの上面図、(b)はそのA−A断面図である。
【図6】本実施形態の携帯機の下部カバーの内側の上面図である。
【図7】(a)は保護クッションの緩衝部の断面形状を表す図、(b)は断面形状の寸法を表す図表である。
【図8】図7(b)に示した3種類の寸法における、圧縮ストロークと圧縮に必要な荷重との関係線図である。
【図9】(a),(b)はともに保護クッションの他の例を示す図である。
【符号の説明】
1…携帯機、2…上部カバー、22…外周係合部、3…ノブ部材、
4…防水カバー、40…シール部材、5…基板、6…アンテナ、
63a〜63d…アンテナ端子、7…保護クッション、
71a〜71d…緩衝部、72a〜72d…第1接触部、74…固定板、
75a〜75d…第2接触部、83…ボタン電池、9…下部カバー、
91…外周係合部、92a〜92d、93…基板押さえ、
94…ケース内面としての下部カバー内面。
Claims (9)
- 携帯機(1)が備える基板(5)に平行な裏面および前記携帯機のケース内面(92)に平行な表面(61)を有するパッケージを備え、前記基板と前記パッケージの裏面とは該パッケージ裏面上の所定点(P1、P2)に対して点対称の位置に配置された複数の接続部(63a〜63d)で接続されることにより前記基板に表面実装されるアンテナ(6)の保護クッション(7)であって、
前記保護クッションは、弾性体で構成されるとともに、無荷重時の断面形状がそれぞれ該断面の中心線に対して線対称である第1接触部(72a〜72d)および第2接触部(75a〜75d)を有する緩衝部(71a〜71d)を備え、
前記第1および第2接触部は、前記パッケージ表面と前記ケース内面との間の平行平板状の空間内に前記パッケージ表面と前記ケース内面とにそれぞれ挟まれて配置されるとともに、
前記第1接触部または第2接触部の一方は前記所定点に対して点対称となる前記パッケージ表面上の位置で前記パッケージ表面と接触することを特徴とする携帯機内蔵アンテナの保護クッション。 - 前記緩衝部の第1または第2接触部の少なくとも一方は、前記線対称の対称線と直角方向の面上で、互いに平行な2組の辺を有する形状または円形の形状のいずれか一方を有することを特徴とする請求項1に記載の携帯機内蔵アンテナの保護クッション。
- 前記緩衝部の断面形状は、前記第1接触部が二等辺三角形の頂点を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の携帯機内蔵アンテナの保護クッション。
- 前記保護クッションは、前記パッケージ表面またはケース内面のいずれか一方に接する平行平板状の固定板(74)を備え、前記第2接触部が前記固定板に一体的に形成されることを特徴とする請求項3に記載の携帯機内蔵アンテナの保護クッション。
- 前記二等辺三角形の頂角は、45度ないし60度の範囲の値であることを特徴とする請求項3または4に記載の携帯機内蔵アンテナの保護クッション。
- 前記弾性体は、ショアー硬さが30ないし50の特性を有するシリコーンゴムであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の携帯機内蔵アンテナの保護クッション。
- 前記携帯機のケースは、上部カバー(2)および下部カバー(9)とが、該上部カバーおよび下部カバーの内面を前記ケース内面として、該上部カバーおよび下部カバーの各外周部に設けられた係合部(22、91)で防水用シール部材(40)を挟んで係合することにより構成され、
前記緩衝部が前記パッケージ表面とケース内面とにより挟まれることにより発生する反力が、前記係合部で挟まれることにより前記防水用シール部材が発生する反力の近傍値を上限値とすることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の携帯機内蔵アンテナの保護クッション。 - 前記緩衝部の断面形状が円形をなすOリング(700)により構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯機内蔵アンテナの保護クッション。
- 外部へ車両操作用の信号を送信する携帯機(1)であって、該携帯機は、
上部カバー(2)および下部カバー(9)とが、該上部カバーおよび下部カバーの各外周部に設けられた係合部(22、91)で防水用シール部材(40)を挟んで係合することにより構成されるケース内に、
前記上部カバーおよび下部カバーの各内面をケース内面として、該ケース内面に平行に配置される基板(5)と、
該基板に平行な裏面および前記携帯機のケース内面に平行な表面(61)を有するパッケージを備え、前記基板と前記パッケージの裏面とは該パッケージ裏面上の所定点(P1、P2)に対して点対称の位置に配置された複数の接続部(63a〜63d)で接続されることにより前記基板に表面実装されるアンテナ(6)と、
弾性体で構成されるとともに、無荷重時の断面形状がそれぞれ該断面の中心線に対して線対称である第1接触部(72a〜72d)および第2接触部(75a〜75d)を有する緩衝部(71a〜71d)を備え、該緩衝部の第1および第2接触部は、前記パッケージ表面と前記ケース内面との間の平行平板状の空間内に前記パッケージ表面と前記ケース内面とにそれぞれ挟まれて配置されるとともに、前記第1接触部または第2接触部の一方は前記所定点に対して点対称となる前記パッケージ表面上の位置で前記パッケージ表面と接触する保護クッションと、
を備えることを特徴とする携帯機。
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