JP2004149548A - 光学用二軸配向ポリエステルフィルム、易接着フィルムおよび積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】取り扱い性と色相のコントラストとを兼ね備えた光学用二軸配向ポリエステルフィルム、易接着フィルムおよび積層体の提供。
【解決手段】吸光剤が配合されたヘーズ値5%以下の二軸配向ポリエステルフィルムであって、波長450〜650nmにおける光線の透過率の平均値(Tav)が0.40〜0.80で且つ該波長範囲における各波長iの光線の透過率(Ti)をTavで割った値が0.70〜1.30であることを特徴とする光学用二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを用いた易接着フィルムおよび積層体。
【選択図】 なし
【解決手段】吸光剤が配合されたヘーズ値5%以下の二軸配向ポリエステルフィルムであって、波長450〜650nmにおける光線の透過率の平均値(Tav)が0.40〜0.80で且つ該波長範囲における各波長iの光線の透過率(Ti)をTavで割った値が0.70〜1.30であることを特徴とする光学用二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを用いた易接着フィルムおよび積層体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光学用の二軸配向ポリエステルフィルム、その易接着フィルムおよび積層体に関し、さらに詳しくは映像表示面に貼り合せて使用するのに好適な光学用の二軸配向ポリエステルフィルム、その易接着フィルムおよび積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
テレビやパソコンのCRTディスプレイなどは、青色光、緑色光および赤色光の3つの光を発光させて映像を表示するが、青色光と緑色光または緑色光と赤色光のそれぞれの中間色も発光しており、これらの中間色の光によって映像の色相のコントラストがぼやけるという問題があった。そして、この問題は、パーソナルコンピュータの急速な普及によって、長時間見続ける状況が多くなっていることから、その改善が強く望まれてきている。
【0003】
この問題の対策として、映像表示面に防護層と粘着剤層とからなる保護フィルムを貼り付ける際に、粘着剤層にカーボンブラックを配合させることが特開平11−335639号公報で提案されている。該公報によれば、粘着剤層のカーボンブラックによって、可視光帯の各波長に渡って平均的に吸光度を増加しているので、青色光および緑色光ならびに緑色光および赤色光の中間色の透過をそれぞれ抑制することができ、映像の色相のコントラストが明瞭になることが開示されている。また、該公報の保護フィルムで吸光度を増加させる手段は、粘着剤層中の吸光剤の添加濃度を増やすことと粘着剤層の厚みを増やすこととがある。前者については、粘着剤層の接合力の低下や取り扱い性の低下を引き起こすことからその添加濃度は自ずと限界がある。他方、後者については、粘着剤の種類や貼り合せる面の表面粗さなどによって適宜選択すればよいが、CRTディスプレイなどの粘着剤層の厚みは5〜40μの範囲が好ましく、これ以上の粘着剤層の厚みは粘着剤としては機能せず、むしろ、加工や貼り合わせの工程における取り扱い性を低下させる。
【0004】
一方、粘着剤層にではなく防護層を着色することは特開平2000−57976号公報で提案されている。具体的には、防護層は基材となるベースフィルムやハードコート層からなり、該公報では、バインダー樹脂に顔料を配合しこれを硬化させてハードコート層もしくは新たな層としてベースフィルムに積層することおよびベースフィルムを染料で染着することが挙げられている。しかしながら、該公報によれば、着色剤を添加する層はベースフィルムを除けばいずれの層も6−10μと薄いため、バインダー樹脂に顔料を配合する方法では添加濃度が高くなり工程上の取り扱い性が低く、また、ハードコート層を着色した場合は添加濃度が高いことからハードコートの耐磨耗性や耐擦傷性が低下する問題があった。加えて着色層に新たにバインダー層を設けることは、工程を煩雑化させるという問題もあった。
【0005】
また、ベースフィルムを染料で染着する方法では、染着させるための染色工程が別に必要となり、生産工程の煩雑化や生産コストの増加につながるという問題がある。加えて、ベースフィルムに他の層を積層する際の接着性を向上させるための易接着層を設ける場合には、ベースフィルムの製膜時に易接着層を設けたフィルムに対しては、染色工程を経ることにより、易接着層のハードコート層および粘着剤層への易接着性が損なわれるという問題があり、ベースフィルム製膜して染色工程を経た後易接着層を設けたフィルムに対しては、ベースフィルムと易接着層との接着性が乏しいという問題があった。
【0006】
そのため、以上のような欠点を克服する視認性の良好な光学用の保護フィルムの提供が強く望まれてきていた。また、光学用の保護フィルムでは、上記の映像表示の色相のコントラスト向上と工程の簡素化および粘着剤層の取り扱い性向上のほかに、透明性の向上、外来光による視認性低下の防止、耐磨耗性の向上または保護フィルムを構成する層間の剥離防止も強く望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上述の問題を解消し、取り扱い性と色相のコントラストとを兼ね備えた光学用二軸配向ポリエステルフィルムおよびその積層体を提供することにある。
また、本発明の他の課題は、上述の本発明の積層体に、透明性の向上、外来光による視認性低下の抑制、耐磨耗性の向上、該積層体の製造工程の簡素化または保護フィルムを構成する層間の剥離防止を付加することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決しようと鋭意検討した結果、映像表示面に貼り合せる保護フィルムの基材となる二軸配向ポリエステルフィルム自体に、青色光および緑色光ならびに緑色光および赤色光の中間色の透過をそれぞれ抑制させることを考え、フィルムのヘーズを5%以下に抑えながらも吸光剤を二軸配向ポリエステルフィルム自体に配合させ、しかも、波長450〜650nmにおける光線の透過率の平均値(Tav)を0.40〜0.80とし且つ前記波長範囲における各波長iの光線の透過率(Ti)をTavで割った値を0.70〜1.30の範囲にするとき、認視性と映像の色相のコントラストを両立できることを見出した。
【0009】
かくして本発明によれば、吸光剤が配合されたヘーズ値5%以下の二軸配向ポリエステルフィルムであって、波長450〜650nmにおける光線の透過率の平均値(Tav)が0.40〜0.80で且つ該波長範囲における各波長iの光線の透過率(Ti)をTavで割った値が0.70〜1.30であることを特徴とする光学用二軸配向ポリエステルフィルムが提供され、そのより好ましい態様として、吸光剤の配合量が二軸配向ポリエステルフィルムの厚み方向に垂直な面に対して、0.02〜0.22g/m2である光学用二軸配向ポリエステルフィルム、吸光剤が平均粒径10〜500nmの顔料、特にカーボンブラックである光学用二軸配向ポリエステルフィルムならびに吸光剤が有機染料、特にアントラキノン系染料、キナクドリン系染料およびピリノン系染料からなる群より選ばれた少なくとも1種である光学用二軸配向ポリエステルフィルムも提供される。
【0010】
また、本発明によれば、上述の光学用二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に易滑易接着層を設けた光学用易接着フィルム、特に易接着フィルムの二軸配向ポリエステルフィルム側から入射した光の易滑易接着層と二軸配向ポリエステルフィルムとの界面における反射率が0.4%以下である光学用易接着フィルムまたは易滑易接着層が、ガラス転移点が40〜85℃の水性ポリエステル樹脂と脂肪酸アミドもしくは脂肪酸ビスアミドとを主成分とする組成物からなり、イオン性低分子化合物の含有量が1000ppm以下である光学用易接着フィルムも提供される。
【0011】
さらにまた本発明によれば、両面に易滑易接着層を設けた上述の光学用易接着フィルムの一方の面にハードコート層を積層し、他方の面に粘着剤層を積層した光学用積層体、より好ましくは、ハードコート層が放射線硬化性樹脂を放射線照射によって硬化させた層である光学用積層体、特にその中でもハードコート層の露出面に屈折率を異にする二層以上の薄膜層からなる多層反射防止層が設けられた光学用積層体が提供される。そして、これらの光学用積層体は映像表示面貼合せ用積層体として極めて好適である。
【0012】
【発明の実施の形態】
CRTなどの発光色の強さと光の波長の関係を見ると、短波長側から青、緑、赤の三つのピークが存在する。問題は、青と緑および緑と赤のピークの裾野が重畳していることにある。このため、青だけあるいは緑だけが発色しても青と緑の中間色が、または、緑だけあるいは赤だけが発色しても赤と緑の中間色すなわち黄色みがかった色が何がしか発色し、これらの中間色が、映像のコントラストを弱める原因となる。そこで、本発明では、これらの中間色を除去或いは弱めるために二軸配向フィルム自体に吸光剤などを添加して、二軸配向フィルムの全波長領域に亘る光線透過率を適量低下させて前記の三原色の重畳部分を透過させないようにしたものである。
【0013】
以下、本発明の二軸配向フィルムについて詳述する。
本発明の二軸配向フィルムは、前記の三原色の重畳部分を透過させないために、波長450〜650nmの範囲の透過率の平均値(Tav)が0.40〜0.80の範囲にあることが必要である。Tavが0.80以上ではコントラストを強める効果が十分に発現できず、他方、Tavが0.40未満では画面全域が暗くなって認視性が低下する。好ましいTavの下限は0.50、好ましいTavの上限は0.70である。本明細書において、以下にTavを平均透過率と称することがある。また、前記波長範囲における各波長における光線の透過率(Ti)と前記波長範囲の透過率の平均値(Tav)の比(Ti/Tav)は、0.70〜1.30の範囲にあることが必要である。Ti/Tavの値が0.70未満または1.30を超えると、二軸配向フィルムによって透過光を着色し、発色に偏りができる。Ti/Tavの上限は1.20以下が好ましく、1.10以下が更に好ましい。他方、Ti/Tavの下限は0.80以上が好ましく、0.90以上が更に好ましい。
【0014】
また、本発明において吸光度を上げる際はヘーズ値を大きくしないことが肝要であり、本発明の二軸配向フィルムは、ヘーズ値を5%以下にすることが必要である。ヘーズ値が5%より大きいと映像の色相が白濁し、鮮映性を欠いて認視性が低下する。二軸配向フィルムのヘーズを5%以下にしつつ、Tavを0.80以下にする手段としては、例えば、吸光剤として粒径500nm以下の顔料を用いたり染料を用いることが挙げられる。好ましい二軸配向フィルムのヘーズ値は3%以下、特に好ましいのは2%以下である。なお、吸光剤を添加する場合の添加量は、二軸配向ポリエステルフィルムの厚み方向に垂直な面に対して、0.02〜0.22g/m2の範囲である。
【0015】
本発明において添加する着色剤は染料および顔料が挙げられるが、一般的に染料は顔料に比べ耐候性が劣るため染料系の吸光剤は用いられていない。一方、耐候性の観点から顔料を用いるとその散乱光によりヘーズが上がるという二律背反の関係にある。
【0016】
従って、顔料を用いる場合にはその粒径を小さくすることによりヘーズを抑える必要がある。本発明における二軸配向フィルムへ配合する顔料は、ヘーズ値の低下を防止するため、二軸配向フィルムを構成するポリエステルへの分散性が良好であり、分散後は粒径が小さく、均一な粒径分布をもち、染料と同様な理由から各波長の吸光度を平均的に低下させるものが好ましい。具体的には、ポリエステルへの分散性からはカーボンブラックや酸化コバルトなどが好ましく、分散後の粒径は10〜500nmであることが好ましい。顔料の場合の特に好ましい添加量は二軸配向ポリエステルの厚み方向に垂直な面の面積を基準として0.027〜0.207g/m2、また、各波長の吸光度を平均的に低下させることから、黒色系のカーボンブラックや酸化コバルトなどが好ましい。また、有色系の顔料を適宜、色相が黒色になるよう混合したものを使用してもよい。有色顔料の例としては、フタロシアニン系顔料、キナクドリン系顔料、ペリレン系顔料、インダンスレンブルー系顔料などが挙げられる。
【0017】
一方、染料は一般的に熱安定性および耐候性が顔料に比べて乏しい。しかしながら、本発明においては、染料をポリエステルに添加しているため、大部分の紫外線をポリエステルが吸収することから、ポリエステルに添加するに場合においては耐候性の懸念なく染料の使用が可能である。また本発明においては、二軸配向フィルムへ配合する染料は、最終製品までの熱履歴を考慮し、330℃以下の温度では変質や劣化が生じ難いものが好ましく、具体的には、アントラキノン系染料、キナクドリン系染料、ピリノン系染料などが挙げられる。また、さらに染料によって選択透過性が発現すると、透過光に偏りができて着色するので、複数の染料の混合物を用いて各波長の吸光度を平均的に低下させることが好ましい。染料の場合の特に好ましい添加量は、二軸配向ポリエステルの厚み方向に垂直な面の面積を基準として0.021〜0.214g/m2である。
【0018】
また吸光剤の添加方法としては、エチレングリコールなどに分散、溶解させ重合段階で添加してもよいが、フィルムの生産性や異物の混入防止および工程の簡素化といった観点から、フィルム添加濃度よりも高濃度の吸光剤を添加したポリエステル樹脂のペレットもしくは染料自体を溶融固化したべレットを作成し、これらを混合し添加する方法が好ましい。染料を溶融固化する際においては、適宜バインダーを添加してもよい。混合方法としては、特に染料を溶融固化したペレットにおいては、ポリエステル樹脂のペレットと機械的物性が異なるので小型のフィーダにより添加する方法が好ましい。フィーダによる添加量は、押出機の容量および添加量によって変化するが、設備上0.2〜20kg/hが好ましい。ポリエステルに添加する着色剤の性質としては、生産性の観点からポリエステルの押出時にポリエステル樹脂の粘度低下の少ない着色剤が好ましい。また溶融ポリエステル樹脂の粘度低下を抑える目的で押出機のせん断変形速度70(1/秒)において滞留時間は20〜4000秒が好ましい。この値が20以下では染料の混練が十分でなく着色の斑がみられ、一方4000秒以上では粘度の低下による切断を招きやすくなる。
【0019】
本発明における二軸配向フィルムを構成するポリエステルは、芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。かかるポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等が例示でき、これらの共重合あるいはブレンドしたものも含まれる。これらのなかでも、ポリエステルの重量を基準として、70重量%以上がポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートからなるものが好ましく、特に二軸配向フィルムとした際の加工性や透明性からエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0020】
該ポリエチレンテレフタレートへの共重合成分は、ジカルボン酸成分としてはイソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸等が例示でき、またジオール成分としては1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等の如き脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール、ビスフェノールAの如き芳香族ジオールが例示でき、これらの共重合成分は単独でも二種以上併用しても良い。これらの共重合成分のうち、加工性や透明性などの観点からイソフタル酸が特に好ましい。
【0021】
共重合成分の割合は、その種類にもよるが、結果としてポリマー融点が230〜258℃、になる割合であることが好ましい。融点が230℃未満では耐熱性や機械的強度が劣ることがある。このようなポリエステルとしては、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位として共重合成分をイソフタル酸とする場合、酸成分のモル数を基準としてイソフタル酸の割合を12mol%以下にすればよい。ここで、ポリエステルの融点測定は、DuPont Instruments 910DSCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める方法による。なおサンプル量は20mgとする。
【0022】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルの固有粘度(オルトクロロフェノール、35℃)は0.52〜1.50であることが好ましく、さらに好ましくは0.57〜1.00、特に好ましくは0.60〜0.80である。この固有粘度が0.52未満の場合には製膜性が不良であることがあり好ましくない。他方、固有粘度が1.50を超えると、成形加工性が損なわれたり、押出機に過負荷をかけたり、さらには樹脂温度の過上昇によって固有粘度が著しく低下する場合があるので好ましくない。
【0023】
上述のポリエステルは、それ自体公知の方法によって製造でき、例えば、テレフタル酸、エチレングリコール、要すれば共重合成分(例えばイソフタル酸)をエステル化反応させ、ついで得られた反応生成物を目的とする重合度になるまで重縮合反応させてポリエステルとする方法、または、テレフタル酸ジメチルエステル、エチレングリコール、要すれば共重合成分(例えばイソフタル酸ジメチルエステル)をエステル交換反応させ、ついで得られた反応生成物を目的とする重合度になるまで重縮合反応させてポリエステルとする方法を好ましく挙げることができる。勿論、要すれば、酸成分に2,6−ナフタレンジカルボン酸またはグリコール成分に1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いることができる。上記の方法(溶融重合)により得られたポリエステルは、必要に応じて固相状態での重合方法(固相重合)により、さらに重合度の高いポリマーとすることができる。
【0024】
そして、このようにして得られたは、それ自体公知の製膜方法、すなわち、ポリエステルを溶融状態にしてから線状のダイより押出して、未延伸フィルムとし、これを延伸、熱処理することにより二軸配向フィルムとすることができる。 ところで、上述のポリエステルの製造過程またはその後のダイより押出すまでの過程で、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、粘度調整剤、可塑剤、色相改良剤、滑剤、核剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、触媒などの添加剤を加えることができる。上述のポリエステルにおける滑剤としては、適当な粗面化物質(フィラー)を含有させることもできる。このフィラーとしては、従来からポリエステルフィルムの滑り性付与剤として知られているものが挙げられるが、その例を示すと炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、カオリン、酸化珪素、酸化亜鉛、カーボンブラック、炭化珪素、酸化錫、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子等が挙げられる。これらの中でも、透明性を保持しながら滑り性が得易いことから、平均粒径1〜3μmの多孔質シリカが好ましい。多孔質シリカの添加量は、透明性と滑り性の観点から、0.01〜0.005重量%が好ましい。なお、本発明の二軸配向フィルムの厚みは、万一CRTが爆縮した場合にガラスの飛散を抑制できやすいことから50以上であることが好ましい。二軸配向フィルムの厚みの上限は、ヘーズ値を5%以下に保ち易さおよびフィルムの生産性から250μm以下が好ましい。
【0025】
次に、上述の二軸配向フィルムの少なくとも片面に、易滑易接着層を設けた本発明の光学用易接着フィルムについて詳述する。
本発明の光学用易接着フィルムを構成する易滑易接着層は、水性ポリエステルと脂肪酸のアミド及び/又は脂肪酸のビスアミドを主成分とする組成物からなることが好ましい。該易滑易接着層を形成する水性ポリエステルは、ガラス転移点(Tg)が40〜85℃、好ましくは45〜80℃のものである。水性ポリエステルのガラス転移点(Tg)が40℃未満の場合、得られたフィルムは耐熱性が低くなったり、耐ブロツキング性が低下し易い。他方、水性ポリエステルのTgが85℃を超えると接着性の向上効果が乏しくなる。ここでいう水性ポリエステルとは、水に可溶性又は分散性のポリエステルであり、具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、4,4−ジフェニルジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、5−Naスルホイソフタル酸、トリメリット酸、ジメチロールプロピオン酸などのカルボン酸成分とエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物等のヒドロキシ化合物成分とから製造されるポリエステルを挙げることができる。また、水性ポリエステルは、さらに水との親和性を付与することが必要な場合、ポリエステル中にSO3Na基やCOONa基を導入してもよく、またポリエーテル成分を導入することもできる。
【0026】
本発明における易滑易接着層を構成する脂肪酸のアミドまたは脂肪酸のビスアミドはそれぞれR1CONH2またはR1CONHR3NHOCR2で表されるものであり、R1CO−及びR2CO−は脂肪酸残基、−NHR3NH−はジアミン残基である。この脂肪酸としては炭素数6〜22の飽和又は不飽和脂肪酸が好ましく、またこのジアミンとしては炭素数1〜15のジアミン、特にアルキレンジアミンが好ましい。また、ビスアミドとしては、炭素数が13〜15で分子量が200〜800のN,N’−アルキレンビスアミドが好ましい。更に具体的には、N,N’−メチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスパルミチン酸アミド、N,N’−メチレンビスラウリン酸アミド、リノール酸アミド、カプリル酸アミド、ステアリン酸アミド等を例示することができ、これらのうち、特に下記式で示されるビスアミドが好ましい。
【0027】
【化1】
(但し、RCO−は脂肪酸残基を示し、nは1又は2である。)
これらの脂肪酸のアミド及び/又は脂肪酸のビスアミドは、塗膜を形成する組成物中に、3〜10重量%含まれていることが好ましい。脂肪酸のアミド及び/又は脂肪酸のビスアミドの含有量が少なすぎると十分な接着力が得られず、滑り性、耐ブロッキング性が低下する傾向があり、逆に多すぎると、フィルムと塗膜との密着性が低下したり、塗膜とガラス用接着剤との接着性が低下したり、塗膜の脆化を招いたりすると共にヘーズが高くなりやすい。
【0028】
本発明における易滑易接着層は、摩擦係数が0.8以下であることが好ましく、更に0.6%以下であることが好ましい。易滑易接着層の摩擦係数が0.8を超えると、巻取り性や加工作業性が悪く、円滑な製膜と加工ができない。このような摩擦係数の易滑易接着層を形成する手段としては、易滑易接着層の塗膜中に平均粒径が0.15μm以下、特に0.01〜0.1μmの粗面化物質を含有させることが挙げられる。該粗面化物質の具体例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、ケイ酸ソーダ、水酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化錫、三酸化アンチモン、カーボンブラック、二硫化モリブデン等の無機微粒子、アクリル系架橋重合体、スチレン系架橋重合体、架橋シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレンワックス等の有機微粒子などを例示することができる。これらのうち、水不溶性の固体物質は、水分散液中で沈降するのを避けるため、比重が3を超えない超微粒子を選ぶことが好ましい。
【0029】
これらの粗面化物質は、塗膜表面を粗面化すると共に、微粉末自体による塗膜の補強作用があり、さらには塗膜への耐ブロツキング性付与作用、積層体ヘの滑り性付与作用を奏する。粗面化物質の好ましい添加量は、塗膜を形成する組成物中に、5〜30重量%である。特に、平均粒径が0.1μm以上の比較的大きな粒子を用いるときは5〜10重量%範囲から、また平均粒径が0.01〜0.1μmの粒子を用いるときには8〜30重量%の範圏内から選定するのが好ましい。これら粗面化物質の塗膜中の含有量が多くなり過ぎると、得られる積層体のへーズ値が3%を超え、透明性が悪化するので注意を要する。また、粗面化物質を添加した易滑易接着層の中心線表面粗さ(Ra)は2〜10nmであることが好ましい。Raが2nm未満であると、前述の摩擦係数を達成し難く、積層体の巻取り時に滑り性不足のため巻き姿が悪くなって、以後の作業に支障をきたす。他方、易滑易接着層のRaが10nmを超えると透明性が悪化して、ヘーズが5%を超えやすくなる。
【0030】
本発明における易滑易接着層は、前述の水性ポリエステルと脂肪酸のアミド及び/又は脂肪酸のビスアミドからなる組成物の水溶液、水分散液或いは乳化液を、ロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法などによって好ましく形成できる。また、塗膜を形成するために、必要に応じて、前記水性ポリエステル以外の他の樹脂、粗面化物質、帯電防止剤、界面活性剤、紫外線吸収剤などを添加することもできる。塗布液の二軸配向フィルムヘの塗布は、任意の段階で行なうことができ、二軸配向フィルムの製膜過程で行なうのが好ましく、特に二軸配向フィルムの配向結晶化が完了するまでの段階で塗布するのが好ましい。ここで、結晶配向が完了するまでの段階とは、未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向または横方向の何れか一方に配向せしめた一軸配向フィルム、さらには縦方向および横方向の二方向に低倍率延伸配向せしめたもの(最終的に縦方向また横方向に再延伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸延伸フィルム)などを含むものである。これらのなかでも、一方向に配向せしめた一軸延伸フィルムに上記組成物の塗布液を塗布し、そのまま横延伸と熱固定とを施すのが好ましく、このようにして得られた易滑易接着層はベースフィルムの二軸配向ポリエステルフィルムと強固な接合力が発現する。塗膜は必要に応じて、フィルムの片面のみに形成してもよいし、両面に形成してもよく、塗布液の塗布量は、塗膜の厚さが70〜100nm、好ましくは75〜95nmの範囲となるような量であるのが好ましい。塗膜の厚さが70nm未満であると、接着力が不足し、逆に厚過ぎて100nmを超えると、ブロッキングを起こしたり、へーズ値が高くなる可能性がある。
【0031】
また、塗布液をフィルムに塗布する際には、塗布性を向上させるための予備処理として塗布面にあらかじめコロナ表面処理、火炎処理、ブラズマ処理等の物理処理を施すか、あるいは塗膜組成物と共にこれと化学的に不活性な界面活性剤を併用することが好ましい。この界面活性剤は、ポリエステルフィルムヘの水性塗液の濡れを促進するものであり、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン型、ノニオン型界面活性剤を挙げることができる。
【0032】
ところで、該塗液は、原料中の不純物などの存在によって、イオン性の低分子化合物が混在することがある。ここでいうイオン性の低分子化合物は、−SO3X、−COOX、−PO4X、―NO―X(式中のXはアルカリ金属またはアンモニウム基を表す)などで表される分子量1000以下のイオン性官能基を有する物質である。該イオン性の低分子化合物が易滑易接着層中に1000ppmを超えて存在すると、前述の塗液を二軸配向フィルムに塗工するに際し、塗液の二軸配向フィルムに対する濡れ性が低下し、一定した厚みの塗膜が得られなくなる上に、接着剤に対する接着性が低下しやすくなる。該イオン性低分子化合物の検出はフィルム面に塗膜を形成した後、その塗膜面をXPS(X線光電子分光)により表面分析する。
【0033】
本発明における積層体は、易滑易接着層を裏面(両面塗布の場合は任意の片面)とするとき、二軸配向フィルムの側から可視光領域の光を、面に対して45度の角度で入射したときの易滑易接着層と二軸配向フィルムとの界面における反射率(以下、裏面反射率と称することがある。)が0.4%以下であることが好ましい。裏面反射率が0.4%を超えると、表面反射への影響が無視できなくなり、光学用積層体としてディスプレイの防眩フィルムに用いた場合、外来光の反射が表面反射と裏面反射の干渉で虹模様となって目障りになり、認視性を損い易い。裏面反射率を0.4%以下にするには、塗膜の厚み方向における屈折率(nz)を1.50〜1.60にすることが好ましい。nzが上記範囲を逸脱すると、可視光領域の裏面反射が0.4%を超え易くなる。また、該屈折率がこの範囲を超えると裏面反射の影響が顕在化し、後述の反射防止層を設けル場合に反射防止が困難になるという不都合が生じる場合もある。このようにして得られた易接着フィルムは、表面の滑り性および接着性に優れながらも、色相のコントラストが明確で、且つ、透明性に優れている。
【0034】
本発明における光学用積層体は、CRTなどのディスプレイに貼り合わせて使用する上で、両面に易滑易接着層が形成された前述の易接着フィルムの一方の面に粘着剤層を、他方の面にハードコート層を積層したものである。本発明の積層体について、以下に詳述する。
本発明の積層体は、易滑易接着層の上にハードコート層を積層したものであり、これによって本発明の積層体の耐擦傷性を向上することができる。該ハードコート層としては、放射線硬化系またはシラン系の樹脂を用いることができ、特に放射線硬化系の樹脂を用いたハードコート層が好ましく、そのなかでも紫外線(UV)硬化系の樹脂を用いたハードコート層が好ましい。ハードコート層の形成に用いられるUV硬化系組成物としては、ウレタン−アクリレート系、エポキシ−アクリレート系、ポリエステル−アクリレート系などのUV硬化性組成物が挙げられる。積層体の易滑易接着層の上にハードコート層を積層するには、該易滑易接着層上に組成物を塗布し、加熱、放射線(例えば紫外線)照射等により該組成物を硬化させればよい。ハードコート層の厚さは、特に限定されないが、1〜15μmの範囲が好ましい。
【0035】
本発明における積層体は、このように形成したハードコート層の上に更に反射防止層を形成するのが好ましい。反射防止層は、屈折率の異なる複数の層を交互に積層したもので、その構成は一般によく知られている。例えば、低屈折率層(SiO2、30nm)−高屈折率層(TiO2、30nm)−低屈折率層(SiO2、30nm)−高屈折率層(TiO2、100nm)−低屈折率層(SiO2、100nm)の層構成を有するもの、高屈折率層(ITO、20nm)−低屈折率層(AlSiO、20nm)−高屈折率層(ITO、88nm)−低屈折率層(AlSiO、88nm)の層構成を有するもの、高屈折率導電層(ITO、20nm)−低屈折率層(SiO2、20nm)−高屈折率導電層(ITO、93nm)−低屈折率層(SiO2、93nm)の層構成を有するものなどが知られている。反射防止層の形成方法としては、任意の方法を採用でき、例えば、スパッタリングによって積層すればよい。該反射防止層によって、本発明の積層体はディスプレイの認視性を妨げる外来光の反射を抑制できる。反射防止層は、これらの他にも、単層膜で主として黄色光を中心に反射防止するものがあるが、ディスプレイの反射防止には、多層反射防止膜の方が適している。
【0036】
本発明における積層体は、ハードコート層を形成した側とは異なる面に、粘着剤層を積層しており、この粘着剤の積層の場合も二軸配向フィルムとの接着性を向上させるために、易滑易接着層を介して積層するのが好ましい。
【0037】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。なお、実施例中の各特性値は以下の方法により評価した。
【0038】
(1)へーズ値
日本電色工業社製のへーズ測定器(NDH−20)を使用してへーズ値を測定した。へーズ値は次の基準で評価した。
4:へーズ値≦2.0% ……へーズ値極めて良好
3:2.0%<へーズ値≦3.0% ……へーズ値良好
2:3.0%<へーズ値≦5.0% ……へーズ値やや良好
1:5.0%<へーズ値 ……へーズ値不良
【0039】
(2)平均透過率
(株)島津製作所製 分光光度計MPC3100を用い、波長450〜650nmの可視光線の透過率を測定した。
◎:波長450〜650nmの平均透過率(Tav)が0.50以上0.70以下
○:波長450〜650nmの平均透過率(Tav)が0.40以上0.50未満または0.70超0.80以下
×:波長400〜750nmの平均吸光度(Aav)が0.40未満または0.80超
【0040】
(3)各波長における透過率
上記吸光度の測定法に準じ、波長450〜650nmの各波長iにおける透過率(Ti)を測定した。得られた結果を下記の方法で評価した。
◎:0.8≦Ti/Tav≦1.2の範囲
○:0.7≦Ti/Tav<0.8または1.2<Ti/Tav≦1.3の範囲
×: Ti/Tav <0.7またはTi/Tav>1.3の範囲
【0041】
(4)コントラスト
試験用CRTに対し、上方45°より30W蛍光灯で照らし、正反射光が直接入射しないほぼ水平より上方30°で画面上の最高輝度、最低輝度を輝度計(ミノルタ製)により測定し、コントラスト1(最高輝度/最低輝度)を求める。次に供試サンプルをCRTに粘着剤で貼付し、再度、最高輝度、最低輝度を測定し、コントラスト2を求めた。
(コントラスト2/コントラスト1)×100%の値を次の区分で評価した。
◎:(コントラスト2/コントラスト1)×100%が120%以上
○:(コントラスト2/コントラスト1)×100%が100%以上120%未満
×:(コントラスト2/コントラスト1)×100%が100%未満
【0042】
(5)彩度
標準光A(これで決まっているのか?)に対する供試フィルムの透過スペクトルからJIS規格Z8729に準じてL*a*b*表色系におけるL*、a*およびb*を求めた。下記式1より求められるabクロマ(C*ab)で無彩色との彩度のずれを評価した。
◎:C*abが5未満
○:C*abが5以上10未満
×:C*abが10以下
【0043】
【数1】
【0044】
(6)裏面反射率
積層体の易滑易接着層の面を裏面(両面塗布の場合は任意の片面)とするとき、フィルム表面から45°の角度で点光源を照射し、主反射から、フィルム厚みをdとするとき、d/0.707だけ離れた反射光を裏面反射とし、これを点光源の光量で割ったものを反射率とする。これを次の基準で評価した。
○:裏面反射率が0.4%以下
×:裏面反射率が0.4%超
【0045】
(7)接着力
a.対接着剤
積層体の易滑易接着層の面に厚さ10μmのアクリル系の粘着剤を塗設する。60℃、80%RHの恒温恒湿槽中に24時間経時後、エポキシ樹脂系の接着剤で貼り合せ、引き剥がし試験により、以下の基準で評価する。
◎:基材フィルムが破断する程度に接着力が強い
○:剥離するが、実用性はある
×:たやすく剥離し、実用性無し
b.対ハードコート
積層体の易滑易接着層の面に厚さ5μmのハードコート層を形成して碁盤目のクロスカツト(1mmのマス目を100個)を施し、その上に24mm幅のセロハンテープ(ニチバン社製)を貼り付け、180度の剥離角度で急激に剥がした後、剥離面を観察し、以下のの基準で評価した。
5:剥離面積が10%未満……接着力極めて良好
4:剥離面積が10%以上20%未満……接着力良好
3:剥離面積が20%以上30%未満……接着力やや良好
2:剥離面積が30%以上40%未満……接着力不良
1:剥離面積が40%を超えるもの……接着力極めて不良
【0046】
(8)イオン性低分子化合物の検出
積層体の易滑易接着層の面をXPS(X線光電子分光)により表面分析する。その結果により、以下のように表示した。
○:イオン性低分子化合物の含有量が1000ppm以下
×:イオン性低分子化合物の含有量が1000ppmを超える超
【0047】
(9)フィルム/フィルム摩擦係数
表面と裏面を重ね合せた2枚のフィルム試料の下側に固定したガラスを置き、重ね合せたフィルムの下側(ガラス板と接しているフィルム)のフィルムを定速ロールにて引取り(10cm/分)、上側のフィルムの一端(下側フィルムの引取り方向と逆端)に検出機を固定してフィルム/フィルム間の引張力(F)を検出する。なお、その時に用いる上側のフィルムの上に載せてあるスレッドは下側面積が50cm2(80mm×62.5mm)であり、フィルムに接する面は硬度80°のネオプレンゴムであり、その重さ(W)は1.2kgとする。静摩擦係数(μS)は以下の式で算出される。
【0048】
【数2】
【0049】
(10)易接着層の厚み方向の屈折率
アッベ屈折率計を用い、ナトリウムD線を光源として測定した。なお、マウント液にはヨウ化メチレンを用い、測定雰囲気は25℃、65%RHとした。
【0050】
(11)認視性改良フィルムとして表面反射の評価
発光していない試験用CRTに700lxの外光を照射し、反射輝度1を輝度計(ミノルタ製)によって測定する。次に、供試フィルムをCRTに粘着剤で貼付し、再度反射輝度2を測定した。(反射輝度2/反射輝度1)×100%の値を次の区分で評価した。
◎:(反射輝度2/反射輝度1)×100%が20%未満
○:(反射輝度2/反射輝度1)×100%が20%以上30%未満
△:(反射輝度2/反射輝度1)×100%が30%以上40%未満
×:(反射輝度2/反射輝度1)×100%が40%以上
【0051】
(12)認視性改良フィルムとしての耐摩耗性
試料を、スチールウール#000を角型パッド(面積6.25cm2)に装着し、往復式磨耗試験機による磨耗試験(荷重1kg、50回往復)前後のヘーズ値の差(△ヘーズ)から以下のように評価した。
Δヘーズ=(磨耗試験後のヘーズ値)−(磨耗試験前のヘーズ値)
○:Δヘーズが10未満
△:Δヘーズが10以上20未満
×:Δヘーズが20超
【0052】
[実施例1]
大日精化製カーボンブラック顔料を0.03重量%、平均粒径1.7μmの多孔質シリカを0.007重量%含有させたポリエチレンテレフタレート(35℃−オルトクロロフェノールによる固有粘度[η]=0.65)を溶融状態でダイより押出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとした。次いで、該未延伸フィルムを一旦巻き取ることなく引き続いて、縦方向に90℃に加熱した状態で延伸倍率3.5倍で延伸し、横方向に95℃に加熱した状態で延伸倍率3.8倍で延伸した後、230℃で緊張熱処理して、厚み75μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの光学特性の評価結果を表1に示す。
【0053】
[実施例2]
実施例1において、厚みを200μmに変更し、且つ、吸光剤およびその添加量を日本化薬社製 kayaset BlackAN(染料)0.03重量%に変更する以外は同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの光学特性の評価結果を表1に示す。
【0054】
[実施例3]
大日精化製カーボンブラック顔料を0.04重量%、平均粒径1.7μmの多孔質シリカを0.007重量%含有させたポリエチレンナフタレート(35℃−オルトクロロフェノールによる固有粘度[η]=0.62)を溶融状態でダイより押出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとした。次いで、該未延伸フィルムを一旦巻き取ることなく引き続いて、縦方向に140℃に加熱した状態で延伸倍率3.5倍で延伸し、横方向に135℃に加熱した状態で延伸倍率3.8倍で延伸した後、230℃で緊張熱処理して、厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの光学特性の評価結果を表1に示す。
【0055】
[実施例4]
実施例3において、厚みを75μmに変更し、且つ、吸光剤およびその添加量を表1に示すように変更する以外は同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの光学特性の評価結果を表1に示す。
【0056】
[比較例1〜5]
実施例1において、吸光剤およびその添加量を表1に示すように変更する以外は同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの光学特性の評価結果を表1に示す。
【0057】
[比較例6]
実施例3において、厚みと吸光剤の添加量を表1に示すように変更する以外は同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの光学特性の評価結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
なお、表1における吸光剤の記号(A,B,CおよびD)は以下の染料および顔料を示す。
A:大日精化製カーボンブラック(顔料)
B:日本化薬製Kayaset BlackAN(染料)
C:日本化薬製Kayaset GreenAB(染料)/Kayaset VioletAR(染料)の重量比1:1混合物
D:日本化薬製Kayaset BlackG(染料)
【0060】
[実施例5]
大日精化製カーボンブラック顔料を0.03重量%、平均粒径1.7μmの多孔質シリカを0.007重量%含有した溶融ポリエチレンテレフタレート([η]=0.65)をダイより押出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとし、次いで縦方向に90℃の温度で延伸倍率3.5倍で延伸した後、その両面に以下の塗膜用組成物の濃度8%の水性液をロールコーターで均一に塗布し、その後、引き続いて95℃で乾燥しながら横方向に120℃で3.8倍に延伸し、230℃で熱固定して、厚さ75μmの易接着フィルムを得た。なお、塗膜の厚さは0.15μmであった。得られた易接着フィルムの評価結果を表2に示す。
【0061】
【0062】
[実施例6〜8]
塗膜用組成物の組成を表2に示すように変更した以外は、実施例6と同様にして厚さ75μmの光学用易接着性フィルムを得た。なお、塗膜の厚さは0.15μmであった。得られた易接着フィルムの評価結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
表2における塗膜用組成物の記号(P、Q、H、I、J、GおよびY)は、それぞれ以下のの重合体または化合物であることを示す。
【0065】
[水性ポリエステル]
P:酸成分がテレフタル酸(90モル%)、イソフタル酸(6モル%)および5−スルホイソフタル酸カリウム(4モル%)、グリコール成分がエチレングリコール(95モル%)およびネオペンチルグリコール(5モル%)の共重合ポリエステル(Tg=68℃)
Q:酸成分がテレフタル酸(85モル%)およびイソフタル酸(15モル%)、グリコール成分がエチレングリコール(57モル%)、1,4−ブタンジオール(40モル%)、ジエチレングリコール(2モル%)およびポリエチレングリコール(分子量600)(1モル%)の共重合ポリエステル(Tg=47℃)
【0066】
[脂肪酸のアミド、脂肪酸のビスアミド]
H:N,N’−メチレンビススアテリン酸アミド
I:N,N’−エチレンビスパルミチン酸アミド
J:N,N’−エチレンビスカプリル酸アミド
【0067】
[粗面化物質]
G:アクリル系樹脂微粒子(平均粒径0.03μm)
【0068】
[界面活性剤]
Y:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
【0069】
[実施例9]
実施例5の易接着フィルムの片面の塗膜上に、以下の組成からなるUV硬化系組成物をロールコーターを用いて、硬化後の膜厚が5μmとなるように均一に塗布した。
【0070】
[UV硬化組成物]
ペンタエリスリトールアクリレート 45重量%
N−メチロールアクリルアミド 40重量%
N−ビニルピロリドン 10重量%
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 5重量%
その後、80W/cmの強度を有する高圧水銀灯で30秒間紫外線を照射して硬化させ、ハードコート層を形成した。
そして、該ハードコート層の上に、低屈折率層(SiO2、30nm)、高屈折率層(TiO2、30nm)、低屈折率層(SiO2、30nm)、高屈折率層(TiO2、100nm)および低屈折率層(SiO2、100nm)がこの順で積層されてなる反射防止層をスパッタリングによって形成した。得られた光学用積層体の評価結果を表3に示す。
【0071】
[実施例10〜12]
実施例9において、二軸配向フィルムおよびその延伸温度と延伸倍率を実施例2〜4のものに変更する以外は同様な操作を繰り返した。得られた光学用積層体の評価結果を表3に示す。
【0072】
[比較例7〜12]
実施例9において、二軸配向フィルムおよびその延伸温度と延伸倍率を比較例1〜6のものに変更し、且つ、易滑易接着層を形成するのに用いる塗膜用組成物を以下に示すように変更する以外は同様な操作を繰り返した。得られた光学用積層体の評価結果を表3に示す。
【0073】
【表3】
【0074】
以下、表1〜3を考察する。表1から明らかなように本発明の光学用フィルム(実施例1〜4)は透明性、映像のコントラスト性に優れている。そしてこれらの本発明の光学用フィルムに易接着性塗膜を塗設した易接着フィルム(実施例5〜8)は表2から明らかなようにガラス用接着剤およびハードコートに対して良好な接着性を有しながら光学特性を損わない。しかも、これらの本発明の光学用易接着フィルムにハードコート層および反射防止層を設けた積層体(実施例9〜12)は、映像のコントラストに加えて、耐摩耗性や反射防止能にも優れるものであった。これに対して、本発明の要件のいずれかを満たしていない比較例1〜6の二軸配向ポリエステルフィルムおよび比較例7〜12の積層体は、乏しい光学特性のものしか得られなかった。
【0075】
【発明の効果】
本発明によれば、透明性を損なうことなく映像のコントラストが高い二軸配向ポリエステルフィルムおよびその積層体が得られる。さらにまた、本発明によれば、積層体の接着力の向上や裏面反射率の縮小をすれば、表面硬度や耐摩耗性等が良好で、しかも十分な透明性、防眩性および防爆性などを備えた積層体を堤供することもでき、特にパソコンディスプレイの表面保護板として有用である。また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムおよびその積層体は、前述のパソコンディスプレイの表面保護板に加えて、窓ガラス、ショーケース、眼鏡、計器類、写真、絵画、イラスト、看板等の表面保護シートとしても好適に使用でき、工業的価値の高いものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は光学用の二軸配向ポリエステルフィルム、その易接着フィルムおよび積層体に関し、さらに詳しくは映像表示面に貼り合せて使用するのに好適な光学用の二軸配向ポリエステルフィルム、その易接着フィルムおよび積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
テレビやパソコンのCRTディスプレイなどは、青色光、緑色光および赤色光の3つの光を発光させて映像を表示するが、青色光と緑色光または緑色光と赤色光のそれぞれの中間色も発光しており、これらの中間色の光によって映像の色相のコントラストがぼやけるという問題があった。そして、この問題は、パーソナルコンピュータの急速な普及によって、長時間見続ける状況が多くなっていることから、その改善が強く望まれてきている。
【0003】
この問題の対策として、映像表示面に防護層と粘着剤層とからなる保護フィルムを貼り付ける際に、粘着剤層にカーボンブラックを配合させることが特開平11−335639号公報で提案されている。該公報によれば、粘着剤層のカーボンブラックによって、可視光帯の各波長に渡って平均的に吸光度を増加しているので、青色光および緑色光ならびに緑色光および赤色光の中間色の透過をそれぞれ抑制することができ、映像の色相のコントラストが明瞭になることが開示されている。また、該公報の保護フィルムで吸光度を増加させる手段は、粘着剤層中の吸光剤の添加濃度を増やすことと粘着剤層の厚みを増やすこととがある。前者については、粘着剤層の接合力の低下や取り扱い性の低下を引き起こすことからその添加濃度は自ずと限界がある。他方、後者については、粘着剤の種類や貼り合せる面の表面粗さなどによって適宜選択すればよいが、CRTディスプレイなどの粘着剤層の厚みは5〜40μの範囲が好ましく、これ以上の粘着剤層の厚みは粘着剤としては機能せず、むしろ、加工や貼り合わせの工程における取り扱い性を低下させる。
【0004】
一方、粘着剤層にではなく防護層を着色することは特開平2000−57976号公報で提案されている。具体的には、防護層は基材となるベースフィルムやハードコート層からなり、該公報では、バインダー樹脂に顔料を配合しこれを硬化させてハードコート層もしくは新たな層としてベースフィルムに積層することおよびベースフィルムを染料で染着することが挙げられている。しかしながら、該公報によれば、着色剤を添加する層はベースフィルムを除けばいずれの層も6−10μと薄いため、バインダー樹脂に顔料を配合する方法では添加濃度が高くなり工程上の取り扱い性が低く、また、ハードコート層を着色した場合は添加濃度が高いことからハードコートの耐磨耗性や耐擦傷性が低下する問題があった。加えて着色層に新たにバインダー層を設けることは、工程を煩雑化させるという問題もあった。
【0005】
また、ベースフィルムを染料で染着する方法では、染着させるための染色工程が別に必要となり、生産工程の煩雑化や生産コストの増加につながるという問題がある。加えて、ベースフィルムに他の層を積層する際の接着性を向上させるための易接着層を設ける場合には、ベースフィルムの製膜時に易接着層を設けたフィルムに対しては、染色工程を経ることにより、易接着層のハードコート層および粘着剤層への易接着性が損なわれるという問題があり、ベースフィルム製膜して染色工程を経た後易接着層を設けたフィルムに対しては、ベースフィルムと易接着層との接着性が乏しいという問題があった。
【0006】
そのため、以上のような欠点を克服する視認性の良好な光学用の保護フィルムの提供が強く望まれてきていた。また、光学用の保護フィルムでは、上記の映像表示の色相のコントラスト向上と工程の簡素化および粘着剤層の取り扱い性向上のほかに、透明性の向上、外来光による視認性低下の防止、耐磨耗性の向上または保護フィルムを構成する層間の剥離防止も強く望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上述の問題を解消し、取り扱い性と色相のコントラストとを兼ね備えた光学用二軸配向ポリエステルフィルムおよびその積層体を提供することにある。
また、本発明の他の課題は、上述の本発明の積層体に、透明性の向上、外来光による視認性低下の抑制、耐磨耗性の向上、該積層体の製造工程の簡素化または保護フィルムを構成する層間の剥離防止を付加することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決しようと鋭意検討した結果、映像表示面に貼り合せる保護フィルムの基材となる二軸配向ポリエステルフィルム自体に、青色光および緑色光ならびに緑色光および赤色光の中間色の透過をそれぞれ抑制させることを考え、フィルムのヘーズを5%以下に抑えながらも吸光剤を二軸配向ポリエステルフィルム自体に配合させ、しかも、波長450〜650nmにおける光線の透過率の平均値(Tav)を0.40〜0.80とし且つ前記波長範囲における各波長iの光線の透過率(Ti)をTavで割った値を0.70〜1.30の範囲にするとき、認視性と映像の色相のコントラストを両立できることを見出した。
【0009】
かくして本発明によれば、吸光剤が配合されたヘーズ値5%以下の二軸配向ポリエステルフィルムであって、波長450〜650nmにおける光線の透過率の平均値(Tav)が0.40〜0.80で且つ該波長範囲における各波長iの光線の透過率(Ti)をTavで割った値が0.70〜1.30であることを特徴とする光学用二軸配向ポリエステルフィルムが提供され、そのより好ましい態様として、吸光剤の配合量が二軸配向ポリエステルフィルムの厚み方向に垂直な面に対して、0.02〜0.22g/m2である光学用二軸配向ポリエステルフィルム、吸光剤が平均粒径10〜500nmの顔料、特にカーボンブラックである光学用二軸配向ポリエステルフィルムならびに吸光剤が有機染料、特にアントラキノン系染料、キナクドリン系染料およびピリノン系染料からなる群より選ばれた少なくとも1種である光学用二軸配向ポリエステルフィルムも提供される。
【0010】
また、本発明によれば、上述の光学用二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に易滑易接着層を設けた光学用易接着フィルム、特に易接着フィルムの二軸配向ポリエステルフィルム側から入射した光の易滑易接着層と二軸配向ポリエステルフィルムとの界面における反射率が0.4%以下である光学用易接着フィルムまたは易滑易接着層が、ガラス転移点が40〜85℃の水性ポリエステル樹脂と脂肪酸アミドもしくは脂肪酸ビスアミドとを主成分とする組成物からなり、イオン性低分子化合物の含有量が1000ppm以下である光学用易接着フィルムも提供される。
【0011】
さらにまた本発明によれば、両面に易滑易接着層を設けた上述の光学用易接着フィルムの一方の面にハードコート層を積層し、他方の面に粘着剤層を積層した光学用積層体、より好ましくは、ハードコート層が放射線硬化性樹脂を放射線照射によって硬化させた層である光学用積層体、特にその中でもハードコート層の露出面に屈折率を異にする二層以上の薄膜層からなる多層反射防止層が設けられた光学用積層体が提供される。そして、これらの光学用積層体は映像表示面貼合せ用積層体として極めて好適である。
【0012】
【発明の実施の形態】
CRTなどの発光色の強さと光の波長の関係を見ると、短波長側から青、緑、赤の三つのピークが存在する。問題は、青と緑および緑と赤のピークの裾野が重畳していることにある。このため、青だけあるいは緑だけが発色しても青と緑の中間色が、または、緑だけあるいは赤だけが発色しても赤と緑の中間色すなわち黄色みがかった色が何がしか発色し、これらの中間色が、映像のコントラストを弱める原因となる。そこで、本発明では、これらの中間色を除去或いは弱めるために二軸配向フィルム自体に吸光剤などを添加して、二軸配向フィルムの全波長領域に亘る光線透過率を適量低下させて前記の三原色の重畳部分を透過させないようにしたものである。
【0013】
以下、本発明の二軸配向フィルムについて詳述する。
本発明の二軸配向フィルムは、前記の三原色の重畳部分を透過させないために、波長450〜650nmの範囲の透過率の平均値(Tav)が0.40〜0.80の範囲にあることが必要である。Tavが0.80以上ではコントラストを強める効果が十分に発現できず、他方、Tavが0.40未満では画面全域が暗くなって認視性が低下する。好ましいTavの下限は0.50、好ましいTavの上限は0.70である。本明細書において、以下にTavを平均透過率と称することがある。また、前記波長範囲における各波長における光線の透過率(Ti)と前記波長範囲の透過率の平均値(Tav)の比(Ti/Tav)は、0.70〜1.30の範囲にあることが必要である。Ti/Tavの値が0.70未満または1.30を超えると、二軸配向フィルムによって透過光を着色し、発色に偏りができる。Ti/Tavの上限は1.20以下が好ましく、1.10以下が更に好ましい。他方、Ti/Tavの下限は0.80以上が好ましく、0.90以上が更に好ましい。
【0014】
また、本発明において吸光度を上げる際はヘーズ値を大きくしないことが肝要であり、本発明の二軸配向フィルムは、ヘーズ値を5%以下にすることが必要である。ヘーズ値が5%より大きいと映像の色相が白濁し、鮮映性を欠いて認視性が低下する。二軸配向フィルムのヘーズを5%以下にしつつ、Tavを0.80以下にする手段としては、例えば、吸光剤として粒径500nm以下の顔料を用いたり染料を用いることが挙げられる。好ましい二軸配向フィルムのヘーズ値は3%以下、特に好ましいのは2%以下である。なお、吸光剤を添加する場合の添加量は、二軸配向ポリエステルフィルムの厚み方向に垂直な面に対して、0.02〜0.22g/m2の範囲である。
【0015】
本発明において添加する着色剤は染料および顔料が挙げられるが、一般的に染料は顔料に比べ耐候性が劣るため染料系の吸光剤は用いられていない。一方、耐候性の観点から顔料を用いるとその散乱光によりヘーズが上がるという二律背反の関係にある。
【0016】
従って、顔料を用いる場合にはその粒径を小さくすることによりヘーズを抑える必要がある。本発明における二軸配向フィルムへ配合する顔料は、ヘーズ値の低下を防止するため、二軸配向フィルムを構成するポリエステルへの分散性が良好であり、分散後は粒径が小さく、均一な粒径分布をもち、染料と同様な理由から各波長の吸光度を平均的に低下させるものが好ましい。具体的には、ポリエステルへの分散性からはカーボンブラックや酸化コバルトなどが好ましく、分散後の粒径は10〜500nmであることが好ましい。顔料の場合の特に好ましい添加量は二軸配向ポリエステルの厚み方向に垂直な面の面積を基準として0.027〜0.207g/m2、また、各波長の吸光度を平均的に低下させることから、黒色系のカーボンブラックや酸化コバルトなどが好ましい。また、有色系の顔料を適宜、色相が黒色になるよう混合したものを使用してもよい。有色顔料の例としては、フタロシアニン系顔料、キナクドリン系顔料、ペリレン系顔料、インダンスレンブルー系顔料などが挙げられる。
【0017】
一方、染料は一般的に熱安定性および耐候性が顔料に比べて乏しい。しかしながら、本発明においては、染料をポリエステルに添加しているため、大部分の紫外線をポリエステルが吸収することから、ポリエステルに添加するに場合においては耐候性の懸念なく染料の使用が可能である。また本発明においては、二軸配向フィルムへ配合する染料は、最終製品までの熱履歴を考慮し、330℃以下の温度では変質や劣化が生じ難いものが好ましく、具体的には、アントラキノン系染料、キナクドリン系染料、ピリノン系染料などが挙げられる。また、さらに染料によって選択透過性が発現すると、透過光に偏りができて着色するので、複数の染料の混合物を用いて各波長の吸光度を平均的に低下させることが好ましい。染料の場合の特に好ましい添加量は、二軸配向ポリエステルの厚み方向に垂直な面の面積を基準として0.021〜0.214g/m2である。
【0018】
また吸光剤の添加方法としては、エチレングリコールなどに分散、溶解させ重合段階で添加してもよいが、フィルムの生産性や異物の混入防止および工程の簡素化といった観点から、フィルム添加濃度よりも高濃度の吸光剤を添加したポリエステル樹脂のペレットもしくは染料自体を溶融固化したべレットを作成し、これらを混合し添加する方法が好ましい。染料を溶融固化する際においては、適宜バインダーを添加してもよい。混合方法としては、特に染料を溶融固化したペレットにおいては、ポリエステル樹脂のペレットと機械的物性が異なるので小型のフィーダにより添加する方法が好ましい。フィーダによる添加量は、押出機の容量および添加量によって変化するが、設備上0.2〜20kg/hが好ましい。ポリエステルに添加する着色剤の性質としては、生産性の観点からポリエステルの押出時にポリエステル樹脂の粘度低下の少ない着色剤が好ましい。また溶融ポリエステル樹脂の粘度低下を抑える目的で押出機のせん断変形速度70(1/秒)において滞留時間は20〜4000秒が好ましい。この値が20以下では染料の混練が十分でなく着色の斑がみられ、一方4000秒以上では粘度の低下による切断を招きやすくなる。
【0019】
本発明における二軸配向フィルムを構成するポリエステルは、芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。かかるポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等が例示でき、これらの共重合あるいはブレンドしたものも含まれる。これらのなかでも、ポリエステルの重量を基準として、70重量%以上がポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートからなるものが好ましく、特に二軸配向フィルムとした際の加工性や透明性からエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0020】
該ポリエチレンテレフタレートへの共重合成分は、ジカルボン酸成分としてはイソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸等が例示でき、またジオール成分としては1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等の如き脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール、ビスフェノールAの如き芳香族ジオールが例示でき、これらの共重合成分は単独でも二種以上併用しても良い。これらの共重合成分のうち、加工性や透明性などの観点からイソフタル酸が特に好ましい。
【0021】
共重合成分の割合は、その種類にもよるが、結果としてポリマー融点が230〜258℃、になる割合であることが好ましい。融点が230℃未満では耐熱性や機械的強度が劣ることがある。このようなポリエステルとしては、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位として共重合成分をイソフタル酸とする場合、酸成分のモル数を基準としてイソフタル酸の割合を12mol%以下にすればよい。ここで、ポリエステルの融点測定は、DuPont Instruments 910DSCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める方法による。なおサンプル量は20mgとする。
【0022】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルの固有粘度(オルトクロロフェノール、35℃)は0.52〜1.50であることが好ましく、さらに好ましくは0.57〜1.00、特に好ましくは0.60〜0.80である。この固有粘度が0.52未満の場合には製膜性が不良であることがあり好ましくない。他方、固有粘度が1.50を超えると、成形加工性が損なわれたり、押出機に過負荷をかけたり、さらには樹脂温度の過上昇によって固有粘度が著しく低下する場合があるので好ましくない。
【0023】
上述のポリエステルは、それ自体公知の方法によって製造でき、例えば、テレフタル酸、エチレングリコール、要すれば共重合成分(例えばイソフタル酸)をエステル化反応させ、ついで得られた反応生成物を目的とする重合度になるまで重縮合反応させてポリエステルとする方法、または、テレフタル酸ジメチルエステル、エチレングリコール、要すれば共重合成分(例えばイソフタル酸ジメチルエステル)をエステル交換反応させ、ついで得られた反応生成物を目的とする重合度になるまで重縮合反応させてポリエステルとする方法を好ましく挙げることができる。勿論、要すれば、酸成分に2,6−ナフタレンジカルボン酸またはグリコール成分に1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いることができる。上記の方法(溶融重合)により得られたポリエステルは、必要に応じて固相状態での重合方法(固相重合)により、さらに重合度の高いポリマーとすることができる。
【0024】
そして、このようにして得られたは、それ自体公知の製膜方法、すなわち、ポリエステルを溶融状態にしてから線状のダイより押出して、未延伸フィルムとし、これを延伸、熱処理することにより二軸配向フィルムとすることができる。 ところで、上述のポリエステルの製造過程またはその後のダイより押出すまでの過程で、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、粘度調整剤、可塑剤、色相改良剤、滑剤、核剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、触媒などの添加剤を加えることができる。上述のポリエステルにおける滑剤としては、適当な粗面化物質(フィラー)を含有させることもできる。このフィラーとしては、従来からポリエステルフィルムの滑り性付与剤として知られているものが挙げられるが、その例を示すと炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、カオリン、酸化珪素、酸化亜鉛、カーボンブラック、炭化珪素、酸化錫、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子等が挙げられる。これらの中でも、透明性を保持しながら滑り性が得易いことから、平均粒径1〜3μmの多孔質シリカが好ましい。多孔質シリカの添加量は、透明性と滑り性の観点から、0.01〜0.005重量%が好ましい。なお、本発明の二軸配向フィルムの厚みは、万一CRTが爆縮した場合にガラスの飛散を抑制できやすいことから50以上であることが好ましい。二軸配向フィルムの厚みの上限は、ヘーズ値を5%以下に保ち易さおよびフィルムの生産性から250μm以下が好ましい。
【0025】
次に、上述の二軸配向フィルムの少なくとも片面に、易滑易接着層を設けた本発明の光学用易接着フィルムについて詳述する。
本発明の光学用易接着フィルムを構成する易滑易接着層は、水性ポリエステルと脂肪酸のアミド及び/又は脂肪酸のビスアミドを主成分とする組成物からなることが好ましい。該易滑易接着層を形成する水性ポリエステルは、ガラス転移点(Tg)が40〜85℃、好ましくは45〜80℃のものである。水性ポリエステルのガラス転移点(Tg)が40℃未満の場合、得られたフィルムは耐熱性が低くなったり、耐ブロツキング性が低下し易い。他方、水性ポリエステルのTgが85℃を超えると接着性の向上効果が乏しくなる。ここでいう水性ポリエステルとは、水に可溶性又は分散性のポリエステルであり、具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、4,4−ジフェニルジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、5−Naスルホイソフタル酸、トリメリット酸、ジメチロールプロピオン酸などのカルボン酸成分とエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物等のヒドロキシ化合物成分とから製造されるポリエステルを挙げることができる。また、水性ポリエステルは、さらに水との親和性を付与することが必要な場合、ポリエステル中にSO3Na基やCOONa基を導入してもよく、またポリエーテル成分を導入することもできる。
【0026】
本発明における易滑易接着層を構成する脂肪酸のアミドまたは脂肪酸のビスアミドはそれぞれR1CONH2またはR1CONHR3NHOCR2で表されるものであり、R1CO−及びR2CO−は脂肪酸残基、−NHR3NH−はジアミン残基である。この脂肪酸としては炭素数6〜22の飽和又は不飽和脂肪酸が好ましく、またこのジアミンとしては炭素数1〜15のジアミン、特にアルキレンジアミンが好ましい。また、ビスアミドとしては、炭素数が13〜15で分子量が200〜800のN,N’−アルキレンビスアミドが好ましい。更に具体的には、N,N’−メチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスパルミチン酸アミド、N,N’−メチレンビスラウリン酸アミド、リノール酸アミド、カプリル酸アミド、ステアリン酸アミド等を例示することができ、これらのうち、特に下記式で示されるビスアミドが好ましい。
【0027】
【化1】
(但し、RCO−は脂肪酸残基を示し、nは1又は2である。)
これらの脂肪酸のアミド及び/又は脂肪酸のビスアミドは、塗膜を形成する組成物中に、3〜10重量%含まれていることが好ましい。脂肪酸のアミド及び/又は脂肪酸のビスアミドの含有量が少なすぎると十分な接着力が得られず、滑り性、耐ブロッキング性が低下する傾向があり、逆に多すぎると、フィルムと塗膜との密着性が低下したり、塗膜とガラス用接着剤との接着性が低下したり、塗膜の脆化を招いたりすると共にヘーズが高くなりやすい。
【0028】
本発明における易滑易接着層は、摩擦係数が0.8以下であることが好ましく、更に0.6%以下であることが好ましい。易滑易接着層の摩擦係数が0.8を超えると、巻取り性や加工作業性が悪く、円滑な製膜と加工ができない。このような摩擦係数の易滑易接着層を形成する手段としては、易滑易接着層の塗膜中に平均粒径が0.15μm以下、特に0.01〜0.1μmの粗面化物質を含有させることが挙げられる。該粗面化物質の具体例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、ケイ酸ソーダ、水酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化錫、三酸化アンチモン、カーボンブラック、二硫化モリブデン等の無機微粒子、アクリル系架橋重合体、スチレン系架橋重合体、架橋シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレンワックス等の有機微粒子などを例示することができる。これらのうち、水不溶性の固体物質は、水分散液中で沈降するのを避けるため、比重が3を超えない超微粒子を選ぶことが好ましい。
【0029】
これらの粗面化物質は、塗膜表面を粗面化すると共に、微粉末自体による塗膜の補強作用があり、さらには塗膜への耐ブロツキング性付与作用、積層体ヘの滑り性付与作用を奏する。粗面化物質の好ましい添加量は、塗膜を形成する組成物中に、5〜30重量%である。特に、平均粒径が0.1μm以上の比較的大きな粒子を用いるときは5〜10重量%範囲から、また平均粒径が0.01〜0.1μmの粒子を用いるときには8〜30重量%の範圏内から選定するのが好ましい。これら粗面化物質の塗膜中の含有量が多くなり過ぎると、得られる積層体のへーズ値が3%を超え、透明性が悪化するので注意を要する。また、粗面化物質を添加した易滑易接着層の中心線表面粗さ(Ra)は2〜10nmであることが好ましい。Raが2nm未満であると、前述の摩擦係数を達成し難く、積層体の巻取り時に滑り性不足のため巻き姿が悪くなって、以後の作業に支障をきたす。他方、易滑易接着層のRaが10nmを超えると透明性が悪化して、ヘーズが5%を超えやすくなる。
【0030】
本発明における易滑易接着層は、前述の水性ポリエステルと脂肪酸のアミド及び/又は脂肪酸のビスアミドからなる組成物の水溶液、水分散液或いは乳化液を、ロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法などによって好ましく形成できる。また、塗膜を形成するために、必要に応じて、前記水性ポリエステル以外の他の樹脂、粗面化物質、帯電防止剤、界面活性剤、紫外線吸収剤などを添加することもできる。塗布液の二軸配向フィルムヘの塗布は、任意の段階で行なうことができ、二軸配向フィルムの製膜過程で行なうのが好ましく、特に二軸配向フィルムの配向結晶化が完了するまでの段階で塗布するのが好ましい。ここで、結晶配向が完了するまでの段階とは、未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向または横方向の何れか一方に配向せしめた一軸配向フィルム、さらには縦方向および横方向の二方向に低倍率延伸配向せしめたもの(最終的に縦方向また横方向に再延伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸延伸フィルム)などを含むものである。これらのなかでも、一方向に配向せしめた一軸延伸フィルムに上記組成物の塗布液を塗布し、そのまま横延伸と熱固定とを施すのが好ましく、このようにして得られた易滑易接着層はベースフィルムの二軸配向ポリエステルフィルムと強固な接合力が発現する。塗膜は必要に応じて、フィルムの片面のみに形成してもよいし、両面に形成してもよく、塗布液の塗布量は、塗膜の厚さが70〜100nm、好ましくは75〜95nmの範囲となるような量であるのが好ましい。塗膜の厚さが70nm未満であると、接着力が不足し、逆に厚過ぎて100nmを超えると、ブロッキングを起こしたり、へーズ値が高くなる可能性がある。
【0031】
また、塗布液をフィルムに塗布する際には、塗布性を向上させるための予備処理として塗布面にあらかじめコロナ表面処理、火炎処理、ブラズマ処理等の物理処理を施すか、あるいは塗膜組成物と共にこれと化学的に不活性な界面活性剤を併用することが好ましい。この界面活性剤は、ポリエステルフィルムヘの水性塗液の濡れを促進するものであり、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン型、ノニオン型界面活性剤を挙げることができる。
【0032】
ところで、該塗液は、原料中の不純物などの存在によって、イオン性の低分子化合物が混在することがある。ここでいうイオン性の低分子化合物は、−SO3X、−COOX、−PO4X、―NO―X(式中のXはアルカリ金属またはアンモニウム基を表す)などで表される分子量1000以下のイオン性官能基を有する物質である。該イオン性の低分子化合物が易滑易接着層中に1000ppmを超えて存在すると、前述の塗液を二軸配向フィルムに塗工するに際し、塗液の二軸配向フィルムに対する濡れ性が低下し、一定した厚みの塗膜が得られなくなる上に、接着剤に対する接着性が低下しやすくなる。該イオン性低分子化合物の検出はフィルム面に塗膜を形成した後、その塗膜面をXPS(X線光電子分光)により表面分析する。
【0033】
本発明における積層体は、易滑易接着層を裏面(両面塗布の場合は任意の片面)とするとき、二軸配向フィルムの側から可視光領域の光を、面に対して45度の角度で入射したときの易滑易接着層と二軸配向フィルムとの界面における反射率(以下、裏面反射率と称することがある。)が0.4%以下であることが好ましい。裏面反射率が0.4%を超えると、表面反射への影響が無視できなくなり、光学用積層体としてディスプレイの防眩フィルムに用いた場合、外来光の反射が表面反射と裏面反射の干渉で虹模様となって目障りになり、認視性を損い易い。裏面反射率を0.4%以下にするには、塗膜の厚み方向における屈折率(nz)を1.50〜1.60にすることが好ましい。nzが上記範囲を逸脱すると、可視光領域の裏面反射が0.4%を超え易くなる。また、該屈折率がこの範囲を超えると裏面反射の影響が顕在化し、後述の反射防止層を設けル場合に反射防止が困難になるという不都合が生じる場合もある。このようにして得られた易接着フィルムは、表面の滑り性および接着性に優れながらも、色相のコントラストが明確で、且つ、透明性に優れている。
【0034】
本発明における光学用積層体は、CRTなどのディスプレイに貼り合わせて使用する上で、両面に易滑易接着層が形成された前述の易接着フィルムの一方の面に粘着剤層を、他方の面にハードコート層を積層したものである。本発明の積層体について、以下に詳述する。
本発明の積層体は、易滑易接着層の上にハードコート層を積層したものであり、これによって本発明の積層体の耐擦傷性を向上することができる。該ハードコート層としては、放射線硬化系またはシラン系の樹脂を用いることができ、特に放射線硬化系の樹脂を用いたハードコート層が好ましく、そのなかでも紫外線(UV)硬化系の樹脂を用いたハードコート層が好ましい。ハードコート層の形成に用いられるUV硬化系組成物としては、ウレタン−アクリレート系、エポキシ−アクリレート系、ポリエステル−アクリレート系などのUV硬化性組成物が挙げられる。積層体の易滑易接着層の上にハードコート層を積層するには、該易滑易接着層上に組成物を塗布し、加熱、放射線(例えば紫外線)照射等により該組成物を硬化させればよい。ハードコート層の厚さは、特に限定されないが、1〜15μmの範囲が好ましい。
【0035】
本発明における積層体は、このように形成したハードコート層の上に更に反射防止層を形成するのが好ましい。反射防止層は、屈折率の異なる複数の層を交互に積層したもので、その構成は一般によく知られている。例えば、低屈折率層(SiO2、30nm)−高屈折率層(TiO2、30nm)−低屈折率層(SiO2、30nm)−高屈折率層(TiO2、100nm)−低屈折率層(SiO2、100nm)の層構成を有するもの、高屈折率層(ITO、20nm)−低屈折率層(AlSiO、20nm)−高屈折率層(ITO、88nm)−低屈折率層(AlSiO、88nm)の層構成を有するもの、高屈折率導電層(ITO、20nm)−低屈折率層(SiO2、20nm)−高屈折率導電層(ITO、93nm)−低屈折率層(SiO2、93nm)の層構成を有するものなどが知られている。反射防止層の形成方法としては、任意の方法を採用でき、例えば、スパッタリングによって積層すればよい。該反射防止層によって、本発明の積層体はディスプレイの認視性を妨げる外来光の反射を抑制できる。反射防止層は、これらの他にも、単層膜で主として黄色光を中心に反射防止するものがあるが、ディスプレイの反射防止には、多層反射防止膜の方が適している。
【0036】
本発明における積層体は、ハードコート層を形成した側とは異なる面に、粘着剤層を積層しており、この粘着剤の積層の場合も二軸配向フィルムとの接着性を向上させるために、易滑易接着層を介して積層するのが好ましい。
【0037】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。なお、実施例中の各特性値は以下の方法により評価した。
【0038】
(1)へーズ値
日本電色工業社製のへーズ測定器(NDH−20)を使用してへーズ値を測定した。へーズ値は次の基準で評価した。
4:へーズ値≦2.0% ……へーズ値極めて良好
3:2.0%<へーズ値≦3.0% ……へーズ値良好
2:3.0%<へーズ値≦5.0% ……へーズ値やや良好
1:5.0%<へーズ値 ……へーズ値不良
【0039】
(2)平均透過率
(株)島津製作所製 分光光度計MPC3100を用い、波長450〜650nmの可視光線の透過率を測定した。
◎:波長450〜650nmの平均透過率(Tav)が0.50以上0.70以下
○:波長450〜650nmの平均透過率(Tav)が0.40以上0.50未満または0.70超0.80以下
×:波長400〜750nmの平均吸光度(Aav)が0.40未満または0.80超
【0040】
(3)各波長における透過率
上記吸光度の測定法に準じ、波長450〜650nmの各波長iにおける透過率(Ti)を測定した。得られた結果を下記の方法で評価した。
◎:0.8≦Ti/Tav≦1.2の範囲
○:0.7≦Ti/Tav<0.8または1.2<Ti/Tav≦1.3の範囲
×: Ti/Tav <0.7またはTi/Tav>1.3の範囲
【0041】
(4)コントラスト
試験用CRTに対し、上方45°より30W蛍光灯で照らし、正反射光が直接入射しないほぼ水平より上方30°で画面上の最高輝度、最低輝度を輝度計(ミノルタ製)により測定し、コントラスト1(最高輝度/最低輝度)を求める。次に供試サンプルをCRTに粘着剤で貼付し、再度、最高輝度、最低輝度を測定し、コントラスト2を求めた。
(コントラスト2/コントラスト1)×100%の値を次の区分で評価した。
◎:(コントラスト2/コントラスト1)×100%が120%以上
○:(コントラスト2/コントラスト1)×100%が100%以上120%未満
×:(コントラスト2/コントラスト1)×100%が100%未満
【0042】
(5)彩度
標準光A(これで決まっているのか?)に対する供試フィルムの透過スペクトルからJIS規格Z8729に準じてL*a*b*表色系におけるL*、a*およびb*を求めた。下記式1より求められるabクロマ(C*ab)で無彩色との彩度のずれを評価した。
◎:C*abが5未満
○:C*abが5以上10未満
×:C*abが10以下
【0043】
【数1】
【0044】
(6)裏面反射率
積層体の易滑易接着層の面を裏面(両面塗布の場合は任意の片面)とするとき、フィルム表面から45°の角度で点光源を照射し、主反射から、フィルム厚みをdとするとき、d/0.707だけ離れた反射光を裏面反射とし、これを点光源の光量で割ったものを反射率とする。これを次の基準で評価した。
○:裏面反射率が0.4%以下
×:裏面反射率が0.4%超
【0045】
(7)接着力
a.対接着剤
積層体の易滑易接着層の面に厚さ10μmのアクリル系の粘着剤を塗設する。60℃、80%RHの恒温恒湿槽中に24時間経時後、エポキシ樹脂系の接着剤で貼り合せ、引き剥がし試験により、以下の基準で評価する。
◎:基材フィルムが破断する程度に接着力が強い
○:剥離するが、実用性はある
×:たやすく剥離し、実用性無し
b.対ハードコート
積層体の易滑易接着層の面に厚さ5μmのハードコート層を形成して碁盤目のクロスカツト(1mmのマス目を100個)を施し、その上に24mm幅のセロハンテープ(ニチバン社製)を貼り付け、180度の剥離角度で急激に剥がした後、剥離面を観察し、以下のの基準で評価した。
5:剥離面積が10%未満……接着力極めて良好
4:剥離面積が10%以上20%未満……接着力良好
3:剥離面積が20%以上30%未満……接着力やや良好
2:剥離面積が30%以上40%未満……接着力不良
1:剥離面積が40%を超えるもの……接着力極めて不良
【0046】
(8)イオン性低分子化合物の検出
積層体の易滑易接着層の面をXPS(X線光電子分光)により表面分析する。その結果により、以下のように表示した。
○:イオン性低分子化合物の含有量が1000ppm以下
×:イオン性低分子化合物の含有量が1000ppmを超える超
【0047】
(9)フィルム/フィルム摩擦係数
表面と裏面を重ね合せた2枚のフィルム試料の下側に固定したガラスを置き、重ね合せたフィルムの下側(ガラス板と接しているフィルム)のフィルムを定速ロールにて引取り(10cm/分)、上側のフィルムの一端(下側フィルムの引取り方向と逆端)に検出機を固定してフィルム/フィルム間の引張力(F)を検出する。なお、その時に用いる上側のフィルムの上に載せてあるスレッドは下側面積が50cm2(80mm×62.5mm)であり、フィルムに接する面は硬度80°のネオプレンゴムであり、その重さ(W)は1.2kgとする。静摩擦係数(μS)は以下の式で算出される。
【0048】
【数2】
【0049】
(10)易接着層の厚み方向の屈折率
アッベ屈折率計を用い、ナトリウムD線を光源として測定した。なお、マウント液にはヨウ化メチレンを用い、測定雰囲気は25℃、65%RHとした。
【0050】
(11)認視性改良フィルムとして表面反射の評価
発光していない試験用CRTに700lxの外光を照射し、反射輝度1を輝度計(ミノルタ製)によって測定する。次に、供試フィルムをCRTに粘着剤で貼付し、再度反射輝度2を測定した。(反射輝度2/反射輝度1)×100%の値を次の区分で評価した。
◎:(反射輝度2/反射輝度1)×100%が20%未満
○:(反射輝度2/反射輝度1)×100%が20%以上30%未満
△:(反射輝度2/反射輝度1)×100%が30%以上40%未満
×:(反射輝度2/反射輝度1)×100%が40%以上
【0051】
(12)認視性改良フィルムとしての耐摩耗性
試料を、スチールウール#000を角型パッド(面積6.25cm2)に装着し、往復式磨耗試験機による磨耗試験(荷重1kg、50回往復)前後のヘーズ値の差(△ヘーズ)から以下のように評価した。
Δヘーズ=(磨耗試験後のヘーズ値)−(磨耗試験前のヘーズ値)
○:Δヘーズが10未満
△:Δヘーズが10以上20未満
×:Δヘーズが20超
【0052】
[実施例1]
大日精化製カーボンブラック顔料を0.03重量%、平均粒径1.7μmの多孔質シリカを0.007重量%含有させたポリエチレンテレフタレート(35℃−オルトクロロフェノールによる固有粘度[η]=0.65)を溶融状態でダイより押出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとした。次いで、該未延伸フィルムを一旦巻き取ることなく引き続いて、縦方向に90℃に加熱した状態で延伸倍率3.5倍で延伸し、横方向に95℃に加熱した状態で延伸倍率3.8倍で延伸した後、230℃で緊張熱処理して、厚み75μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの光学特性の評価結果を表1に示す。
【0053】
[実施例2]
実施例1において、厚みを200μmに変更し、且つ、吸光剤およびその添加量を日本化薬社製 kayaset BlackAN(染料)0.03重量%に変更する以外は同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの光学特性の評価結果を表1に示す。
【0054】
[実施例3]
大日精化製カーボンブラック顔料を0.04重量%、平均粒径1.7μmの多孔質シリカを0.007重量%含有させたポリエチレンナフタレート(35℃−オルトクロロフェノールによる固有粘度[η]=0.62)を溶融状態でダイより押出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとした。次いで、該未延伸フィルムを一旦巻き取ることなく引き続いて、縦方向に140℃に加熱した状態で延伸倍率3.5倍で延伸し、横方向に135℃に加熱した状態で延伸倍率3.8倍で延伸した後、230℃で緊張熱処理して、厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの光学特性の評価結果を表1に示す。
【0055】
[実施例4]
実施例3において、厚みを75μmに変更し、且つ、吸光剤およびその添加量を表1に示すように変更する以外は同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの光学特性の評価結果を表1に示す。
【0056】
[比較例1〜5]
実施例1において、吸光剤およびその添加量を表1に示すように変更する以外は同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの光学特性の評価結果を表1に示す。
【0057】
[比較例6]
実施例3において、厚みと吸光剤の添加量を表1に示すように変更する以外は同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの光学特性の評価結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
なお、表1における吸光剤の記号(A,B,CおよびD)は以下の染料および顔料を示す。
A:大日精化製カーボンブラック(顔料)
B:日本化薬製Kayaset BlackAN(染料)
C:日本化薬製Kayaset GreenAB(染料)/Kayaset VioletAR(染料)の重量比1:1混合物
D:日本化薬製Kayaset BlackG(染料)
【0060】
[実施例5]
大日精化製カーボンブラック顔料を0.03重量%、平均粒径1.7μmの多孔質シリカを0.007重量%含有した溶融ポリエチレンテレフタレート([η]=0.65)をダイより押出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとし、次いで縦方向に90℃の温度で延伸倍率3.5倍で延伸した後、その両面に以下の塗膜用組成物の濃度8%の水性液をロールコーターで均一に塗布し、その後、引き続いて95℃で乾燥しながら横方向に120℃で3.8倍に延伸し、230℃で熱固定して、厚さ75μmの易接着フィルムを得た。なお、塗膜の厚さは0.15μmであった。得られた易接着フィルムの評価結果を表2に示す。
【0061】
【0062】
[実施例6〜8]
塗膜用組成物の組成を表2に示すように変更した以外は、実施例6と同様にして厚さ75μmの光学用易接着性フィルムを得た。なお、塗膜の厚さは0.15μmであった。得られた易接着フィルムの評価結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
表2における塗膜用組成物の記号(P、Q、H、I、J、GおよびY)は、それぞれ以下のの重合体または化合物であることを示す。
【0065】
[水性ポリエステル]
P:酸成分がテレフタル酸(90モル%)、イソフタル酸(6モル%)および5−スルホイソフタル酸カリウム(4モル%)、グリコール成分がエチレングリコール(95モル%)およびネオペンチルグリコール(5モル%)の共重合ポリエステル(Tg=68℃)
Q:酸成分がテレフタル酸(85モル%)およびイソフタル酸(15モル%)、グリコール成分がエチレングリコール(57モル%)、1,4−ブタンジオール(40モル%)、ジエチレングリコール(2モル%)およびポリエチレングリコール(分子量600)(1モル%)の共重合ポリエステル(Tg=47℃)
【0066】
[脂肪酸のアミド、脂肪酸のビスアミド]
H:N,N’−メチレンビススアテリン酸アミド
I:N,N’−エチレンビスパルミチン酸アミド
J:N,N’−エチレンビスカプリル酸アミド
【0067】
[粗面化物質]
G:アクリル系樹脂微粒子(平均粒径0.03μm)
【0068】
[界面活性剤]
Y:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
【0069】
[実施例9]
実施例5の易接着フィルムの片面の塗膜上に、以下の組成からなるUV硬化系組成物をロールコーターを用いて、硬化後の膜厚が5μmとなるように均一に塗布した。
【0070】
[UV硬化組成物]
ペンタエリスリトールアクリレート 45重量%
N−メチロールアクリルアミド 40重量%
N−ビニルピロリドン 10重量%
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 5重量%
その後、80W/cmの強度を有する高圧水銀灯で30秒間紫外線を照射して硬化させ、ハードコート層を形成した。
そして、該ハードコート層の上に、低屈折率層(SiO2、30nm)、高屈折率層(TiO2、30nm)、低屈折率層(SiO2、30nm)、高屈折率層(TiO2、100nm)および低屈折率層(SiO2、100nm)がこの順で積層されてなる反射防止層をスパッタリングによって形成した。得られた光学用積層体の評価結果を表3に示す。
【0071】
[実施例10〜12]
実施例9において、二軸配向フィルムおよびその延伸温度と延伸倍率を実施例2〜4のものに変更する以外は同様な操作を繰り返した。得られた光学用積層体の評価結果を表3に示す。
【0072】
[比較例7〜12]
実施例9において、二軸配向フィルムおよびその延伸温度と延伸倍率を比較例1〜6のものに変更し、且つ、易滑易接着層を形成するのに用いる塗膜用組成物を以下に示すように変更する以外は同様な操作を繰り返した。得られた光学用積層体の評価結果を表3に示す。
【0073】
【表3】
【0074】
以下、表1〜3を考察する。表1から明らかなように本発明の光学用フィルム(実施例1〜4)は透明性、映像のコントラスト性に優れている。そしてこれらの本発明の光学用フィルムに易接着性塗膜を塗設した易接着フィルム(実施例5〜8)は表2から明らかなようにガラス用接着剤およびハードコートに対して良好な接着性を有しながら光学特性を損わない。しかも、これらの本発明の光学用易接着フィルムにハードコート層および反射防止層を設けた積層体(実施例9〜12)は、映像のコントラストに加えて、耐摩耗性や反射防止能にも優れるものであった。これに対して、本発明の要件のいずれかを満たしていない比較例1〜6の二軸配向ポリエステルフィルムおよび比較例7〜12の積層体は、乏しい光学特性のものしか得られなかった。
【0075】
【発明の効果】
本発明によれば、透明性を損なうことなく映像のコントラストが高い二軸配向ポリエステルフィルムおよびその積層体が得られる。さらにまた、本発明によれば、積層体の接着力の向上や裏面反射率の縮小をすれば、表面硬度や耐摩耗性等が良好で、しかも十分な透明性、防眩性および防爆性などを備えた積層体を堤供することもでき、特にパソコンディスプレイの表面保護板として有用である。また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムおよびその積層体は、前述のパソコンディスプレイの表面保護板に加えて、窓ガラス、ショーケース、眼鏡、計器類、写真、絵画、イラスト、看板等の表面保護シートとしても好適に使用でき、工業的価値の高いものである。
Claims (7)
- 吸光剤が配合されたヘーズ値5%以下の二軸配向ポリエステルフィルムであって、波長450〜650nmにおける光線の透過率の平均値(Tav)が0.40〜0.80で且つ該波長範囲における各波長iの光線の透過率(Ti)をTavで割った値が0.70〜1.30であることを特徴とする光学用二軸配向ポリエステルフィルム。
- 吸光剤が、平均粒径10〜500nmの顔料または有機染料である請求項1記載の光学用二軸配向ポリエステルフィルム。
- 請求項1または2のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に易滑易接着層を設けたことを特徴とする光学用易接着フィルム。
- 易接着フィルムの二軸配向ポリエステルフィルム側から入射した光の易滑易接着層と二軸配向ポリエステルフィルムとの界面における反射率が0.4%以下である請求項3記載の光学用易接着フィルム。
- 両面に易滑易接着層を設けた請求項3または4のいずれかに記載の光学用易接着フィルムの一方の面にハードコート層を積層し、他方の面に粘着剤層を積層した光学用積層体。
- ハードコート層の露出面に、屈折率を異にする二層以上の薄膜層からなる多層反射防止層が設けられた請求項5に記載の光学用積層体。
- 光学用積層体が映像表示面貼合せ用積層体である請求項5または6のいずれかに記載の光学用積層体。
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JP2006169467A (ja) * | 2004-12-20 | 2006-06-29 | Mitsubishi Polyester Film Copp | 光学用ポリエステルフィルム |
JP2006201650A (ja) * | 2005-01-24 | 2006-08-03 | Toray Ind Inc | 反射防止フィルムおよび画像表示装置 |
JP2007156075A (ja) * | 2005-12-05 | 2007-06-21 | Teijin Dupont Films Japan Ltd | ポリエステルフィルム |
JP2010107543A (ja) * | 2008-10-28 | 2010-05-13 | Hitachi Maxell Ltd | 反射防止フィルム |
WO2021182565A1 (ja) * | 2020-03-11 | 2021-09-16 | 王子ホールディングス株式会社 | 光学用フィルム |
-
2000
- 2000-06-28 JP JP2000194440A patent/JP2004149548A/ja not_active Withdrawn
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