JP2002210906A - 光学用ポリエステルフィルムおよび積層体 - Google Patents

光学用ポリエステルフィルムおよび積層体

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JP2002210906A
JP2002210906A JP2001014169A JP2001014169A JP2002210906A JP 2002210906 A JP2002210906 A JP 2002210906A JP 2001014169 A JP2001014169 A JP 2001014169A JP 2001014169 A JP2001014169 A JP 2001014169A JP 2002210906 A JP2002210906 A JP 2002210906A
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polyester film
coating film
optical
adhesive coating
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JP2001014169A
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Masayuki Fukuda
雅之 福田
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ディスプレイ等の表面反射を小さくし、認視
性を向上させるための防眩性フィルム用易接着性フィル
ムおよびそれを用いた積層体を提供する。 【解決手段】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
に、イオン性低分子化合物の含有量が1,000ppm
以下である易接着性塗膜が形成されたフィルムであっ
て、該フィルムの裏面反射率が0.1%以下、ヘーズ値
が5%以下、摩擦係数(μs)が0.8以下であり、該
易接着性塗膜の少なくとも1面の上にユニバーサル硬度
が下記式(1)の関係を満足するハードコート層を積層
して用いることを特徴とする光学用ポリエステルフィル
ム。 0.6×UC≦UHF≦1.2×UC・・・(1) (但し、式(1)でUHFは易接着性塗膜面のユニバー
サル硬度、UCはハードコート層のユニバーサル硬度を
示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光学用易接着性フィ
ルム及びそれを用いた光学用積層体に関し、更に詳しく
はディスプレイ等の表面反射を小さくし、認視性を向上
させるための防眩性フィルム用易接着性フィルムと、そ
れを用いた積層体である表面傷が付き難い防眩フィルム
に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフィルム、特にポリエチレ
ンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレー
トの二軸延伸フィルムは、優れた機械的性質、耐熱性、
耐薬品性を有するため、種々の用途に広く用いられてい
る。
【0003】特に、近年、窓ガラス、ショーケース、メ
ガネ、計器類、ディスプレイ、ランブなどの表面保護材
としての用途が注目されており、かかる用途では表面硬
度、耐摩耗性などに優れていると共に、十分な透明性、
反射防止能を有していることが要求される。
【0004】このような要求を満たすために、ポリエス
テルフィルムにハードコート(HC)層、反射防止、即
ちアンチリフレクション(AR)層を積層することが試
みられているが、ポリエステルフィルムとの接着性が不
十分であることから満足な結果が得られていない。
【0005】このようなポリエステルフィルムの接着性
を改善する方法としては、例えば、インモールド用転写
フィルムのべースフィルムにガラス転移点が40〜85
℃の水性ポリエステルの被膜を形成してメジューム層と
の接着性を向上させる方法が知られている(特開平7−
156358号公報)。
【0006】しかしながら、この方法では、インモール
ド用転写フィルムにおけるべースフィルムとメジューム
層との接着性は向上するものの、その他の用途における
接着性は十分満足できるレベルまで改善されないことが
多い。
【0007】一方、表面が平坦な易滑性ポリエステルフ
ィルムを得る目的で、ポリウレタン又はアクリル系樹脂
と脂肪酸アミド又はビスアミドを含む組成物からなる塗
膜をポリエステルフィルムの表面に形成することも知ら
れている(特開昭63−194948号公報)。
【0008】しかし、脂肪酸アミド又はビスアミドを用
いることによって、接着性が向上することについては示
唆されていない。
【0009】更に、ポリエチレンテレフタレート層にポ
リエステル樹脂層を形成し、その上に特定組成の放射線
硬化性層を形成することにより、表面硬度や耐摩耗性な
どの良好な積層体を得ることも知られている(特公平7
−80281号公報)が、特殊な硬化性層を用いるため
汎用性がなく、しかも接着性の点でも十分満足できるも
のではない。
【0010】近年、パーソナルコンピュータ(以下パソ
コンと略記)の急速な普及により、長時間見続けても認
視性が良く、映像の色相のコントラストが高く、作業に
よる疲労が少なく、且つ、清拭によって傷が付き難いパ
ソコンディスプレイ用の防眩(反射防止)透明板への希
求が高まっており、上記技術の進歩が望まれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の問題点を解消し、映像の色相のコントラストが高
く、接着性に優れ、表面硬度、特に耐クラック性等が良
好であり、しかも十分な透明性、反射防止能を備えた、
特にパソコン用CRTディスプレイの表面層に適したポ
リエステルフィルム積層体を提供しようとするものであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリエステルフィ
ルムのヘーズ値を低く保ちながらユニバーサル硬度を調
整し、積層するハードコート層のユニバーサル硬度と適
切な関係を保つことにより、ハードコート層及び反射防
止層の耐クラック性を向上できることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0013】すなわち、本発明は、ポリエステルフィル
ムの少なくとも片面に、イオン性低分子化合物の含有量
が1,000ppm以下である易接着性塗膜が形成され
たフィルムであって、該フィルムの裏面反射率が0.1
%以下、ヘーズ値が5%以下、摩擦係数(μs)が0.
8以下であり、該易接着性塗膜の少なくとも1面の上に
ユニバーサル硬度が下記式(1)の関係を満足するハー
ドコート層を積層して用いることを特徴とする光学用ポ
リエステルフィルムである。
【0014】
【数3】 0.6×UC≦UHF≦1.2×UC・・・(1) (但し、式(1)でUHFは易接着性塗膜面のユニバー
サル硬度、UCはハードコート層のユニバーサル硬度を
示す。)
【0015】また、本発明は、ポリエステルフィルムの
少なくとも片面に、イオン性低分子化合物の含有量が
1,000ppm以下である易接着性塗膜が形成され、
該フィルムの裏面反射率が0.1%以下、ヘーズ値が5
%以下、摩擦係数(μs)が0.8以下であって、該易
接着性塗膜の少なくとも1面の上に、ユニバーサル硬度
が下記式(1)の関係を満足するハードコート層を設け
た光学用積層体である。
【0016】
【数4】 0.6×UC≦UHF≦1.2×UC・・・(1) (但し、式(1)でUHFは易接着性塗膜面のユニバー
サル硬度、UCはハードコート層のユニバーサル硬度を
示す。)
【0017】更に、本発明の好ましい態様として、フィ
ルムの裏面反射率に寄与する易接着性塗膜面の厚み方向
の屈折率nzが1.50〜1.60の範囲であり、該易
接着性塗膜の厚みが70〜100nmである光学用ポリ
エステルフィルム、易接着性塗膜の表面の中心線平均粗
さ(Ra)が2〜10nmである光学用ポリエステルフ
ィルム、易接着性塗膜を形成する組成物が平均粒径0.
15μm以下の粗面化物質を5〜30重量%含有する光
学用ポリエステルフィルム、易接着性塗膜を形成する組
成物が、ガラス転移点が40〜85℃の水性ポリエステ
ル樹脂を含む光学用ポリエステルフィルム、易接着性塗
膜を形成する組成物が、水性ポリエステル樹脂と脂肪酸
ビスアミドとを主成分とする光学用ポリエステルフィル
ム、脂肪酸ビスアミドが、下記一般式(2)で表される
光学用ポリエステルフィルム及び光学用途が、ディスプ
レイ等表示面の防眩用である光学用ポリエステルフィル
ムを挙げることができる。
【0018】
【化2】RCONH(CH2nNHOCR……(2) (但し、式(2)中のRCO−は脂肪酸残基を示し、n
は1又は2である。)
【0019】また、本発明の好ましい態様として、ハー
ドコート層が、放射線硬化性樹脂を放射線照射により硬
化させて得られるハードコート層である光学用積層体及
び光学用途が、ディスプレイ等表示面の防眩用である光
学用積層体を挙げることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳細に
説明する。
【0021】[ポリエステルフィルム]本発明において
ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとは、芳
香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール
又はそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽
和ポリエステルである。かかるポリエステルの具体例と
して、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソ
フタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレン
ジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−
ナフタレンジカルボキシレート等が例示でき、これらの
共重合体又はこれと小割合の他樹脂とのブレンド組成物
なども含まれる。
【0022】共重合ポリエステルの場合、エチレンテレ
フタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル
が、加工性や透明性から好ましい。共重合成分として
は、ジカルボン酸成分でもジオール成分でもよい。この
ジカルボン酸成分としてはイソフタル酸、フタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸等の如き芳香族ジカル
ボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカ
ンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘ
キサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸等が例示
でき、またジオール成分としては1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール
等の如き脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメ
タノールの如き脂環族、ジオール、ビスフェノールAの
如き芳香族ジオールが例示できる。これらは単独又は二
種以上を使用することができる。これらの共重合成分の
うち、加工性、透明性等から、イソフタル酸が特に好ま
しく用いられる。
【0023】共重合成分の割合は、その種類にもよる
が、結果としてポリマー融点が230〜258℃、にな
る割合であることが好ましい。融点が230℃未満では
耐熱性や機械的強度が劣ることがある。 共重合成分が
イソフタル酸の場合は、12mol%以下であることが
好ましい。
【0024】ここで、ポリエステルの融点測定は、Du
Pont Instruments910DSCを用
い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める方法によ
る。なおサンプル量は20mgとする。
【0025】また、ポリエステルの固有粘度(オルトク
ロロフェノール、35℃)は0.52〜1.50である
ことが好ましく、さらに好ましくは0.57〜1.0
0、特に好ましくは0.60〜0.80である。この固
有粘度が0.52未満の場合には製膜性が不良であるこ
とがあり好ましくない。他方、固有粘度が1.50を超
える場合には、成形加工性が損なわれることがある上
に、押出機に過負荷がかかることが多く、また樹脂温度
の過上昇により固有粘度が過度に低下することがあり、
好ましくない。
【0026】本発明におけるポリエステルは、その製法
によって限定されることはない。例えば、テレフタル
酸、エチレングリコール、要すれば共重合成分(例えば
イソフタル酸)をエステル化反応させ、ついで得られた
反応生成物を目的とする重合度になるまで重縮合反応さ
せてポリエステルとする方法、あるいはテレフタル酸ジ
メチルエステル、エチレングリコール、要すれば共重合
成分(例えばイソフタル酸ジメチルエステル)をエステ
ル交換反応させ、ついで得られた反応生成物を目的とす
る重合度になるまで重縮合反応させてポリエステルとす
る方法を好ましく挙げることができる。また、ポリエス
テルの酸成分には2,6−ナフタレンジカルボン酸を用
いることができ、或いはグリコール成分に1,4−シク
ロヘキサンジメタノールを用いることができる。上記の
方法(溶融重合)により得られたポリエステルは、必要
に応じて固相状態での重合方法(固相重合)により、さ
らに重合度の高いポリマーとすることができる。
【0027】その他に必要に応じて、酸化防止剤、熱安
定剤、粘度調整剤、可塑剤、色相改良剤、滑剤、核剤、
紫外線吸収剤などの添加剤を加えることができる。これ
らのポリエステルには、必要により、適当な粗面化物質
(フィラー)を含有させることができる。このフィラー
としては、従来からポリエステルフィルムの滑り性付与
剤として知られているものが挙げられるが、その例を示
すと炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウ
ム、カオリン、酸化珪素、酸化亜鉛、炭化珪素、酸化
錫、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒
子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子等が挙
げられる。これらのフィラーの中では、透明性を保持し
ながら滑り性が得られる平均粒径1〜3μmの多孔質シ
リカが特に好ましい。多孔質シリカの添加量は透明性を
保持しながら滑り性が得られるためには、0.01〜
0.005重量%であることが好ましい。
【0028】さらにポリエステル中には、着色剤、帯電
防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒等も適宜添加する
ことができる。
【0029】ポリエステルフィルムは、かかるポリエス
テルを常法により溶融押出して、フィルム状とし、延
伸、熱処理することにより得ることができ、特に二軸配
向したフィルムが機械的特性が優れるので好ましい。
【0030】[ユニバーサル硬度]本発明の光学用ポリ
エステルフィルムの易接着性塗布面から測定したユニバ
ーサル硬度(UHF)は、ハードコート層のユニバーサ
ル硬度(UC)との間に、下記式(1)の関係が成立す
ることを必要とする。
【0031】
【数5】 0.6×UC≦UHF≦1.2×UC・・・(1) (但し、式(1)でUHFは易接着性塗膜面のユニバー
サル硬度、UCはハードコート層のユニバーサル硬度を
示す。)
【0032】ここに、ユニバーサル硬度とは、微少歪み
表面硬度計により鋼球の圧力と歪みの関係を測定し、所
定歪み量のときの圧力(gr)をユニバーサル硬度とす
るものである。
【0033】フィルム易接着性塗膜面のユニバーサル硬
度がハードコートのユニバーサル硬度の0.6倍より小
であるときは、ハードコート層の表面に塗設した反射防
止層にクラックが入り易く、光学用フィルムとして不適
である。また、フィルム易接着性塗膜面のユニバーサル
硬度がハードコートのユニバーサル硬度の1.2倍より
大である場合はハードコート層にクラックが入り易く、
光学用フィルムとして不適である。
【0034】このような関係をフィルムのユニバーサル
硬度の調製により実現するためには、フィルムの厚み方
向の屈折率nzを変化させる。面配向度を上げるとnz
は小さくなり、ユニバーサル硬度は大きくなる。逆に、
面配向度を下げるとnzは大きくなり、ユニバーサル硬
度は小さくなる。
【0035】[フィルムの裏面反射率]本発明において
は、フィルムの易接着性塗膜面を裏面(両面に易接着性
塗膜を塗布した場合は任意の片面)とするが、フィルム
の裏面からの反射率は0.1%以下であることが必要で
ある。裏面反射率が0.1%を超えると、表面反射への
影響が無視できなくなる。すなわち、光学用積層体とし
て、例えばディスプレイの防眩フィルムとして用いた場
合、外来光の反射が表面反射と裏面反射の干渉で虹模様
となって目障りになり、認視性を損うので好ましくな
い。
【0036】[ヘーズ値]本発明の光学用ポリエステル
フィルムのヘーズ値は、5%以下であることが必要であ
るが、3%以下、更に2%以下、特に1%以下であるこ
とが好ましい。ヘーズ値が5%より大きいと映像の色相
が白濁し、鮮映性を欠いて認視性が低下する。本発明の
ヘーズ値の低いフィルムは、ポリエステル中の粗面化物
質として前述のものを用いることにより得ることができ
る。
【0037】[摩擦係数]本発明の光学用ポリエステル
フィルムは、易接着性塗膜面(裏面)と非易接着性塗膜
面(表面)の摩擦係数(両面に易接着性塗膜を塗布した
場合は、塗膜面同士)の摩擦係数が0.8%以下である
ことが必要であり、好ましくは0.6%以下である。こ
の摩擦係数が0.8%を超えると、巻き取り性や加工作
業性が悪く、円滑な製膜と加工ができない。このような
摩擦係数を得るためには前述の粗面化物質を用いるのが
よい。
【0038】[フィルムの厚み]本発明の光学用ポリエ
ステルフィルムの厚みは50〜250μmであることが
好ましい。厚みが50μm未満であると、万一CRTが
爆縮した場合、ガラスの飛散を防止できないことがあ
る。一方、厚みが250μmを超えると、フィルムのヘ
ーズ値を5%以下に保つことが困難になり、フィルムの
生産性が低下する。
【0039】[水性ポリエステル]本発明の光学用フィ
ルム及びそれを用いた光学用積層体においては、上記ポ
リエステルフィルムの少なくとも片面に、水性ポリエス
テルと脂肪酸のアミド及び/又は脂肪酸のビスアミドを
主成分とする組成物からなる易接着性塗膜が形成されて
いることが好ましい。
【0040】この塗膜を形成する一成分である水性ポリ
エステルは、ガラス転移点(Tg)が40〜85℃、好
ましくは45〜80℃のものである。水性ポリエステル
のガラス転移点(Tg)が40℃未満の場合、得られた
フィルムは耐熱性が低くなり、また耐ブロッキング性が
劣るので不利であり、一方85℃を超えると接着性が劣
るので望ましくない。
【0041】上記水性ポリエステルは、水に可溶性又は
分散性のポリエステルである。かかる水性ポリエステル
としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフ
タル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、フェニル
インダンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、5−
Naスルホイソフタル酸、トリメリット酸、ジメチロー
ルプロピオン酸等のポリカルボン酸成分とエチレングリ
コール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリ
ン、トリメチロールプロパン、ビスフェノールAのアル
キレンオキシド付加物等のポリヒドロキシ化合物成分と
からなるポリエステルを挙げることができる。
【0042】上記水性ポリエステルは、さらに親和性を
付与することが必要な場合、ポリエステル中にSO3
a基やCOONa基を導入してもよく、またポリエーテ
ル成分を導入することもできる。
【0043】[脂肪酸のアミド、脂肪酸のビスアミド]
本発明において、易接着性塗膜の成分に用いる脂肪酸の
アミド、脂肪酸のビスアミドはそれぞれR1CONH2
1CONHR3NHOCR2で表されるものであり、R1
CO−及びR2CO−は脂肪酸残基、−NHR3NH−は
ジアミン残基である。この脂肪酸としては炭素数6〜2
2の飽和又は不飽和脂肪酸が好ましく、またこのジアミ
ンとしては炭素数1〜15のジアミン、特にアルキレン
ジアミンが好ましい。また、ビスアミドとしては、炭素
数が13〜15で分子量が200〜800のN,N’−
アルキレンビスアミドが好ましい。
【0044】更に具体的には、N,N’−メチレンビス
ステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスパルミチ
ン酸アミド、N,N’−メチレンビスラウリン酸アミ
ド、リノール酸アミド、カプリル酸アミド、ステアリン
酸アミド等を例示することができる。これらのうち、特
に下記式で示されるビスアミドが好ましく用いられる。
【0045】
【化3】RCONH(CH2nNHOCR……(2) (但し、式(2)中のRCO−は脂肪酸残基を示し、n
は1又は2である。)
【0046】これらの脂肪酸のアミド及び/又は脂肪酸
のビスアミドは、塗膜を形成する組成物中に、3〜10
重量%含まれていることが好ましい。脂肪酸のアミド及
び/又は脂肪酸のビスアミドの含有量が少なすぎると十
分な接着力が得られず、滑り性、耐ブロッキング性が低
下する傾向があり、逆に多すぎると、フィルムと塗膜と
の密着性が低下したり、塗膜とガラス用接着剤との接着
性が低下したり、塗膜の脆化を招いたりすると共に、へ
ーズが高くなるので好ましくない。
【0047】[易接着性塗膜]本発明において、ポリエ
ステルフィルム表面に形成される易接着性塗膜を構成す
る組成物は、さらに、平均粒径が0.15μm以下、特
に0.01〜0.1μmの粗面化物質を含有しているこ
とが好ましい。
【0048】この粗面化物質の具体例としては、炭酸カ
ルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜
鉛、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、ケイ酸ソーダ、水
酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ジルコニウム、硫酸バ
リウム、酸化チタン、酸化錫、三酸化アンチモン、カー
ボンブラック、二硫化モリブデン等の無機微粒子、アク
リル系架橋重合体、スチレン系架橋重合体、架橋シリコ
ーン樹脂、フッ素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノ
ール樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレンワックス等の有
機微粒子などを例示することができる。これらのうち、
水不溶性の固体物質は、水分散液中で沈降するのを避け
るため、比重が3を超えない超微粒子を選ぶことが好ま
しい。
【0049】これら粗面化物質は、塗膜表面を粗面化す
ると共に、微粉末自体による塗膜の補強作用があり、さ
らには塗膜への耐ブロッキング性付与作用、ポリエステ
ルフィルムヘの滑り性付与作用を奏する。
【0050】この粗面化物質は、易接着性塗膜を形成す
る組成物中に、5〜30重量%含まれていることが好ま
しい。特に、平均粒径が0.1μm以上の比較的大きな
粒子を用いるときには5〜10重量%範囲から、また平
均粒径が0.01〜0.1μmの粒子を用いるときには
8〜30重量%の範圏内から選定するのが好ましい。こ
れら粗面化物質の易接着性塗膜中の含有量が多くなり過
ぎると、得られる積層体のへーズ値が3%を超え、透明
性が悪化するので注意を要する。
【0051】この粗面化物質により、易接着性塗膜面の
中心線表面粗さ(Ra)は2〜10nmであることが好
ましい。Raが2nm未満であると、フィルム巻取り時
に滑り性不足のため巻き姿が悪く、以下の作業に支障を
来す。10nmを超えると透明性が悪化するので好まし
くない。
【0052】本発明における上記組成物は、易接着性塗
膜を形成させるために、水溶液、水分散液或いは乳化液
の形態で使用されることが好ましい。塗膜を形成するた
めに、必要に応じて、前記水性ポリエステル以外の他の
樹脂、帯電防止剤、着色剤、界面活性剤、紫外線吸収剤
などを添加することができる。
【0053】塗布液のポリエステルフィルムヘの塗布
は、任意の段階で行なうことができるが、ポリエステル
フィルムの製造過程で行なうのが好ましく、さらには配
向結晶化が完了する前のポリエステルフィルムに塗布液
を塗布するのが好ましい。
【0054】ここで、結晶配向が完了する前のポリエス
テルフィルムとは、未延伸フィルム、未延伸フィルムを
縦方向又は横方向の何れか一方に配向せしめた一軸配向
フィルム、さらには縦方向および横方向の二方向に低倍
率延伸配向せしめたもの(最終酌に縦方向また横方向に
再延伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸延伸
フィルム)等を含むものである。なかでも、一方向に配
向せしめた一軸延伸フィルムに上記組成物の塗布液を塗
布し、そのまま横延伸と熱固定とを施すのが好ましい。
【0055】塗布液をフィルムに塗布する際には、塗布
性を向上させるための予備処理としてフィルム表面にコ
ロナ表面処理、火炎処理、ブラズマ処理等の物理処理を
施すか、あるいは塗膜組成物と共にこれと化学的に不活
性な界面活性剤を併用することが好ましい。この界面活
性剤は、ポリエステルフィルムヘの水性塗液の濡れを促
進するものであり、例えば、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−脂肪酸エス
テル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エ
ステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルス
ルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン
型、ノニオン型界面活性剤を挙げることができる。
【0056】塗布液の塗布量は、易接着性塗膜の厚さが
70〜100nm、好ましくは75〜95nmの範囲と
なるような量であるのが好ましい。塗膜の厚さが70n
m未満であると、接着力が不足し、逆に厚過ぎて100
nmを超えると、ブロッキングを起こしたり、へーズ値
が高くなる可能性がある。
【0057】易接着性塗膜面の厚み方向の屈折率nzは
1.50〜1.60であることが好ましい。塗膜面の厚
み方向の屈折率nzがこの範囲で、かつ塗膜の厚みが上
記の範囲であると、フィルム裏面からの反射光と該塗膜
表面の反射光が干渉し、可視光領域の裏面反射が0.1
%以下となり、認視性が向上するので好ましい。nzが
上記範囲を逸脱すると、可視光領域の裏面反射が0.1
%を超えるようになり、表面反射と干渉してディスプレ
イ表面に虹模様が現れ、認視性を損うので好ましくな
い。更に、後述の反射防止層を表層に施すに際し、裏面
反射の影響が顕在化し、反射防止が困難になるという不
都合が生じる。
【0058】易接着性塗膜用塗液のフィルムへの塗布方
法としては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えば
ロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ
法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸
法、カーテンコート法などを単独又は組合せて用いるこ
とができる。なお、易接着性塗膜は、必要に応じ、フィ
ルムの片面のみに形成してもよいし、両面に形成しても
よい。
【0059】[イオン性低分子化合物]本発明において
ポリエステルフィルムの少なくとも片面に形成される易
接着性塗膜中のイオン性低分子化合物の含有量は1,0
00ppm以下であることが必要である。イオン性低分
子化合物は、塗膜成分を製造するための原料中の不純物
或いは未反応物等に由来する。このようなイオン性低分
子化合物の含有量が少ない塗膜は、例えば塗膜を構成す
る成分を製造する際に、不純物の少ない原料を選択する
こと、或いは成分が重合体の場合は未重合成分の残存量
を少なくする重合条件を選択すること等により得ること
ができる。
【0060】本発明におけるイオン性の低分子化合物
は、下記式等で表される分子量1,000以下のイオン
性官能基を有する物質であり、イオン性の低分子化合物
が易接着性塗膜中に1,000ppmを超えて存在する
と、塗液をフィルムに塗工するに際し、塗液のフィルム
に対する濡れ性が低下し、一定した厚みの易接着性塗膜
が得られなくなる上に、接着剤に対する接着性が低下す
るので好ましくない。
【0061】
【化4】 −SO3X、 −COOX、 −PO4X、 >NO―X (式中のXはアルカリ金属、アンモニウム基を表す)
【0062】イオン性低分子化合物量の検出はフィルム
面に易接着性塗膜を形成した後、その塗膜面をXPS
(X線光電子分光)により表面分析することにより求め
ることができる。
【0063】[ハードコート層]本発明においては、上
記易接着性塗膜の少なくとも一面上にハードコート層を
積層することができ、これによって光学用ポリエステル
フィルムの表層の耐擦傷性を向上することができる。
【0064】このハードコート層としては、放射線硬化
系、シラン系など通常用いられるハードコート層が用い
ることができる。特に放射線硬化系のハードコート層が
好ましく、なかでもUV(紫外線)硬化系のハードコー
ト層が好ましく用いられる。
【0065】ハードコート層の形成に用いられるUV硬
化系組成物としては、ウレタン−アクリレート系、エポ
キシ−アクリレート系、ポリエステル−アクリレート系
などのUV硬化性組成物が挙げられる。
【0066】易接着性塗膜上にハードコート層を積層す
るには、塗膜上にハードコート層を構成するための組成
物を塗布し、加熱、放射線(例えば紫外線)照射等によ
りこの組成物を硬化させる。ハードコート層の厚さは、
特に限定されないが通常、1〜15μm程度が適当であ
る。
【0067】[反射防止層(アンチリフレクション(A
R)層)]このように形成したハードコート層の上に、
更に反射防止層を形成させる。反射防止層は、屈折率の
異なる複数の層を交互に積層したもので、その構成は一
般によく知られている。例えば、低屈折率層(Si
2、30nm)−高屈折率層(TiO2、30nm)−
低屈折率層(SiO2、30nm)−高屈折率層(Ti
2、100nm)−低屈折率層(SiO2、100n
m)の層構成を有するもの、高屈折率層(ITO、20
nm)−低屈折率層(AlSiO、20nm)−高屈折
率層(ITO、88nm)−低屈折率層(AlSiO、
88nm)の層構成を有するもの、高屈折率導電層(I
TO、20nm)−低屈折率層(SiO2、20nm)
−高屈折率導電層(ITO、93nm)−低屈折率層
(SiO2、93nm)の層構成を有するものなどが知
られている。
【0068】本発明においては、任意の反射防止層を適
用することができ、通常、スパッタリングによってハー
ドコート層上に積層される。この反射防止層により、デ
ィスプレイの認視性を妨げる外来光の反射を抑制するこ
とができる。
【0069】反射防止層には、上記以外にも、単層膜で
主として黄色光を中心に反射防止するものがあるが、黄
色の補色である紫色が見えるので、光学レンズの反射防
止に適しており、ディスプレイの反射防止には、多層反
射防止膜の方が適している。
【0070】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。なお、以下の実施例、比較例において、各特性
値は下記の方法により評価した。
【0071】(1)ユニバーサル硬度 島津製作所製微少歪み硬度計(MCTM−201)を用
い、半径0.06mmの鋼球でフィルム表面を圧迫し、
歪みが100%のときの圧力をgrで表す。
【0072】(2)へーズ値 日本電色工業社製のへーズ測定器(NDH−20)を使
用してへーズ値を測定した。へーズ値は次の基準で評価
した。 ◎:へーズ値≦1.0% ……へ一ズ値極めて良好 ○:1.0%<へーズ値≦5.0% ……へーズ値良好 ×:5.0%<へーズ値 ……へーズ値不良
【0073】(3)裏面反射率 フィルムの易接剤塗布面を裏面(両面塗布の場合は任意
の片面)とするとき、フィルム表面から45°の角度で
点光源からの光を照射し、入射光量に対する反射光量の
割合(%)を反射光率(RX)とする。また、フィルム
の裏面に黒色粘着テープを貼付し、フィルム表面から4
5°の角度で点光源からの光を照射し、入射光量に対す
る反射光量の割合(%)を裏面反射光率(RY)とす
る。このときの、反射光率(RX)と裏面反射光率(R
Y)との差(RX−RY)を裏面反射率とする。裏面反
射率の測定結果を次の基準で評価した。 ○:裏面反射率が0.1%以下 (裏面反射率良好) ×:裏面反射率が0.1%を超える(裏面反射率不良)
【0074】(4)接着力 a.対接着剤 易接着性ポリエステルフィルムの塗膜形成面に厚さ10
μmのアクリル系の粘着剤を塗設する。60℃、80%
RHの恒温恒湿槽中に24時間経時後、エポキシ樹脂系
の接着剤で貼り合せ、引き剥がし試験により、次の基準
で評価する。 ◎:基材フィルムが破断する程度に接着力が強い ○:剥離するが、実用性はある ×:たやすく剥離し、実用性無し
【0075】b.対ハードコート 易接着性ポリエステルフィルムの塗膜形成面に厚さ5μ
mのハードコート層を形成して碁盤目のクロスカツト
(1mmのマス目を100個)を施し、その上に24m
m幅のセロハンテープ(ニチバン社製)を貼り付け、1
80度の剥離角度で急激に剥がした後、剥離面を観察
し、下記の基準で評価した。 5:剥離面積が10%未満 ……接着力極めて良好 4:剥離面積が10%以上20%未満 ……接着力良好 3:剥離面積が20%以上30%未満 ……接着力やや良好 2:剥離面積が30%以上40%未満 ……接着力不良 1:剥離面積が40%を超えるもの ……接着力極めて不良
【0076】(5)イオン性低分子化合物の検出 フィルム表面に塗設された易接着層をXPS(X線光電
子分光)により表面分析する。その結果により、次のよ
うに表示した。 ○:イオン性低分子化合物の含有量が1,000ppm
以下(良好) ×:イオン性低分子化合物の含有量が1,000ppm
を超える(不良)
【0077】(6)フィルム/フィルム摩擦係数 表面と裏面を重ね合せた2枚のフィルムの下側に固定し
たガラスを置き、重ね合せたフィルムの下側(ガラス板
と接しているフィルム)のフィルムを定速ロールにて引
取り(約10cm/分)、上側のフィルムの一端(下側
フィルムの引取り方向と逆端)に検出機を固定してフィ
ルム/フィルム間の引張力(F)を検出する。なお、そ
の時に用いる上側のフィルムの上に載せてあるスレッド
は下側面積が50cm2(80mm×62.5mm)で
あり、フィルムに接する面は80°のネオプレンゴムで
あり、その重さ(W)は1.2kgとする。
【0078】静摩擦係数μSは下記式で算出される。
【0079】
【数6】μS=F(g)/W(g)
【0080】(7)易接着層の厚み方向の屈折率 アッベ屈折率計を用い、ナトリウムD線を光源として測
定した。なお、マウント液にはヨウ化メチレンを用い、
測定雰囲気は25℃、65%RHとした。
【0081】(8)認視性改良フィルムとして表面反射
の評価 試験用CRTに700lxの外光を照射し、反射光1を
測定する。次に、供試フィルムをCRTに粘着剤で貼付
し、再度反射光2を測定した。(反射光2/反射光1)
×100%の値を次の区分で評価した。 ◎:(反射光2/反射光1)×100%が0.07%未
満(極めて良好) ○:(反射光2/反射光1)×100%が0.07%以
上0.1%未満(良好) △:(反射光2/反射光1)×100%が0.1%以上
0.2%未満(やや不良) ×:(反射光2/反射光1)×100%が0.2%以上
(不良)
【0082】(9)耐摩耗性 スチールウール#0000でハードコートの表面を摩擦
し、傷がつくかどうかを調べ、傷がつかないものを耐摩
耗性良好(○)、傷がつくものを耐摩耗性不良(×)と
した。
【0083】(10)落球衝撃試験 鉄板上に水平に置いた試料に、1mの高さから0.5k
gの鋼球を3回落とし、反射防止層とハードコートのい
ずれにもクラックが認められないものを良好(○)、い
ずれかに又はいずれもにクラックが認められるものを不
良(×)とする。
【0084】(11)中心線平均粗さ(Ra) JIS B0601に準じて、(株)小坂研究所製の高
精度表面粗さ計SE−3FATを使用して、針の半径2
μm、荷重30mgで拡大倍率5万倍、カットオフ0.
08mmの条件下に、チャートを描かせ表面粗さ曲線か
らその中心線方向に測定長さLの部分を抜きとり、この
抜きとり部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸とし
て、粗さ曲線をY=f(x)で表した時、次式で与えら
れた値をnm単位で表わした。この測定は基準長を1.
25mmとして、4個測定し、平均値で表わした。
【0085】
【数7】
【0086】(12)ガラス転移点(Tg) 示差熱量計(DuPont Instruments
910DSC)を用い、アルミニウム製のパンに封入し
たサンプル量20mgを室温から昇温速度20℃/分で
300℃まで昇温させ、300℃で1分間保持した後室
温以下の温度に急冷し、再度室温から昇温速度20℃/
分で昇温させて測定する。
【0087】(13)フィルムの厚み 塗膜を積層したフィルム(塗膜を積層しないサンプルの
場合はそのフィルム)の厚みをマイクロメータで10点
測定し、平均値を求めてフィルムの厚みとした。
【0088】(14)塗膜の厚み 塗布液の1m2 当りの塗布量と固形分濃度より算出す
る。
【0089】[実施例1]平均粒径1.7μmの多孔質
シリカを0.007重量%含有した溶融ポリエチレンテ
レフタレート([η]=0.65)をダイより押出し、
常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとし、
次いで縦方向に3.4倍に延伸した後、その両面に下記
塗膜用組成物の濃度8%の水性液をロールコーターで均
一に塗布した。
【0090】 [易接着性塗膜用組成物] 酸成分がテレフタル酸(90モル%)、イソフタル酸(6モル%)および5− スルホイソフタル酸カリウム(4モル%)、グリコール成分がエチレングリコー ル(95モル%)およびネオペンチルグリコール(5モル%)の共重合ポリエス テル(Tg=68℃): 80重量% N,N’−エチレンビスカプリル酸アミド: 5重量% アクリル系樹脂微粒子(平均粒径0.03μm): 10重量% ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル: 5重量%
【0091】その後、引き続いて95℃で乾燥しながら
横方向に120℃で3.6倍に延伸し、230℃で熱固
定して、厚さ125μmの光学用易接着性フィルムを得
た。なお、塗膜の厚さは90nm、塗膜表面の中心線表
面粗さ(Ra)は8nmであった。得られたフィルムの
塗膜面のユニバーサル硬度(UHF)、塗膜中のイオン
性低分子化合物の含有量、裏面反射率、ヘーズ値、摩擦
係数、塗膜面の屈折率、対接着剤接着力および対ハード
コート接着力を評価した結果を表2に示す。
【0092】次いで、このフィルムの易接着性塗膜の片
面の上に下記組成からなるUV硬化系組成物をロールコ
ータを用いて、硬化後の膜厚が5μmとなるように均一
に塗布した。
【0093】 [UV硬化組成物] ペンタエリスリトールアクリレート: 45重量% N−メチロールアクリルアミド: 40重量% N−ビニルピロリドン: 10重量% 1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン: 5重量%
【0094】その後、80W/cmの強度を有する高圧
水銀灯で30秒間紫外線を照射して硬化させ、ハードコ
ート層を形成した。このハードコート層の耐磨耗性、落
球衝撃試験、ハードコート層のユニバーサル硬度(U
C)および前記式(1)との適合性評価結果を表2に示
す。
【0095】このハードコート層の上に、低屈折率層
(SiO2、30nm)、高屈折率層(TiO2、30n
m)、低屈折率層(SiO2、30nm)、高屈折率層
(TiO2、100nm)、低屈折率層(SiO2、10
0nm)を、この順にスパッタリングによって形成し、
光学用積層体を得ることができた。
【0096】[実施例2〜5、比較例1〜4]実施例1
に準じ、表1に示すポリエステル、滑剤を用い、表1に
示す条件で製膜して厚み125μmの両面に易接着性塗
膜を塗設したポリエステルフィルムを得た。これらのフ
ィルムの塗膜面のユニバーサル硬度(UHF)、塗膜中
のイオン性低分子化合物の含有量、裏面反射率、ヘーズ
値、摩擦係数、塗膜面の屈折率、対接着剤接着力および
対ハードコート接着力を評価した結果を表2に示す。
【0097】次いで、これらのフィルムのの易接着性塗
膜の片面の上に実施例1と同様のUV硬化系組成物をロ
ールコータを用いて、硬化後の膜厚が5μmとなるよう
に均一に塗布した。その後、実施例1と同様の紫外線を
照射して硬化させ、ハードコート層を形成した。このハ
ードコート層の耐磨耗性、落球衝撃試験、ハードコート
層のユニバーサル硬度(UC)および前記式(1)との
適合性評価結果を表2に示す。尚、比較例4はヘーズ値
が大きいため評価を除外した。
【0098】
【表1】
【0099】
【表2】
【0100】尚、表1において塗膜用組成物の記号
(P、Q、R、S、T、A、B、C、D、E、G、H、
YおよびZ)は、それぞれ下記の重合体又は化合物であ
ることを示す。
【0101】[水性ポリエステル] P:酸成分がテレフタル酸(90モル%)、イソフタル
酸(6モル%)および5−スルホイソフタル酸カリウム
(4モル%)、グリコール成分がエチレングリコール
(95モル%)およびネオペンチルグリコール(5モル
%)の共重合ポリエステル(Tg=68℃) Q:酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸(50モ
ル%)、テレフタル酸(46モル%)および5−スルホ
イソフタル酸ナトリウム(4モル%)、グリコール成分
がエチレングリコール(70モル%)およびビスフェノ
ールAのエチレンオキシド2モル付加物(30モル%)
の共重合ポリエステル(Tg=80℃) R:酸成分がテレフタル酸(85モル%)およびイソフ
タル酸(15モル%)、グリコール成分がエチレングリ
コール(57モル%)、1,4−ブタンジオール(40
モル%)、ジエチレングリコール(2モル%)およびポ
リエチレングリコール(分子量600)(1モル%)の
共重合ポリエステル(Tg=47℃) S:酸成分がテレフタル酸(70モル%)、イソフタル
酸(28モル%)および5−スルホイソフタル酸ナトリ
ウム(2モル%)、グリコール成分がエチレングリコー
ル(70モル%)およびビスフェノールAのエチレンオ
キサイド4モル付加物(30モル%)の共重合ポリエス
テル(Tg=30℃) T:酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸(81モ
ル%)、イソフタル酸(15モル%)および5−スルホ
イソフタル酸ナトリウム(4モル%)、グリコール成分
がエチレングリコール(70モル%)およびビスフェノ
ールAのエチレンオキサイド2モル付加物(30モル
%)の共重合ポリエステル(Tg=90℃)
【0102】[脂肪酸のアミド、脂肪酸のビスアミド] A:N,N’−メチレンビススアテリン酸アミド B:N,N’−エチレンビスパルミチン酸アミド C:N,N’−エチレンビスカプリル酸アミド D:カプリル酸アミド E:ステアリン酸アミド
【0103】[粗面化物質] G:アクリル系樹脂微粒子(平均粒径0.03μm) H:シリカ(平均粒径0.12μm)
【0104】[界面活性剤] Y:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル Z:ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合
【0105】表1および表2に示した結果から明らかな
ように、本発明の光学用フィルムは透明性、ハードコー
ト接着性にすぐれ、これにハードコート層を塗設した光
学用積層体はハードコート層の耐クラック性に優れ、耐
摩耗性、反射防止能のいずれも良好であったが、本発明
の要件のいずれかを満たしていない場合比較例1〜4に
示したフィルムは、欠点のため実用に供し得ないもので
ある。
【0106】
【発明の効果】本発明によれば、ハードコート層との適
合性が高く、接着力に優れ、裏面反射率の小さいポリエ
ステルフィルムを提供することができるので、表面硬
度、耐クラック性、耐摩耗性等が良好であり、しかも十
分な透明性、防眩性、防爆性を備えたポリエステルフィ
ルム積層体を堤供することができ、特にパソコンディス
プレイの表面保護板として有用である。また、窓ガラ
ス、ショーケース、眼鏡、計器類、写真、絵画、イラス
ト、看板等の表面保護シートとして適用範囲が広く、工
業的価値の高いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/1335 G02F 1/1335 // C08L 67:02 C08L 67:02 Fターム(参考) 2H091 FA37X FB02 FC23 GA16 LA03 4F006 AA35 AB35 AB65 BA01 CA05 DA04 4F100 AH03B AK01C AK41 AK41A AK41B AL01 AR00C BA03 BA07 BA10A BA10C CC00B DE01B GB41 JA05B JB09B JB14C JK12C JK14B JL11B JN18B YY00B 4J038 CC002 CD092 CG002 DA062 DA172 DD001 DD041 DD061 DD081 DH002 DL032 HA026 HA176 HA186 HA216 HA286 HA356 HA446 HA456 JB13 KA06 NA12 NA19 PB03 PB04 PB08 PC08

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
    に、イオン性低分子化合物の含有量が1,000ppm
    以下である易接着性塗膜が形成されたフィルムであっ
    て、該フィルムの裏面反射率が0.1%以下、ヘーズ値
    が5%以下、摩擦係数(μs)が0.8以下であり、該
    易接着性塗膜の少なくとも1面の上にユニバーサル硬度
    が下記式(1)の関係を満足するハードコート層を積層
    して用いることを特徴とする光学用ポリエステルフィル
    ム。 【数1】 0.6×UC≦UHF≦1.2×UC・・・(1) (但し、式(1)でUHFは易接着性塗膜面のユニバー
    サル硬度、UCはハードコート層のユニバーサル硬度を
    示す。)
  2. 【請求項2】 フィルムの裏面反射率に寄与する易接着
    性塗膜面の厚み方向の屈折率nzが1.50〜1.60
    の範囲であり、該易接着性塗膜の厚みが70〜100n
    mである請求項1に記載の光学用ポリエステルフィル
    ム。
  3. 【請求項3】 易接着性塗膜の表面の中心線平均粗さ
    (Ra)が2〜10nmである請求項1に記載の光学用
    ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 易接着性塗膜を形成する組成物が平均粒
    径0.15μm以下の粗面化物質を5〜30重量%含有
    する請求項3に記載の光学用ポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】 易接着性塗膜を形成する組成物が、ガラ
    ス転移点が40〜85℃の水性ポリエステル樹脂を含む
    請求項1に記載の光学用ポリエステルフィルム。
  6. 【請求項6】 易接着性塗膜を形成する組成物が、水性
    ポリエステル樹脂と脂肪酸ビスアミドとを主成分とする
    請求項1に記載の光学用ポリエステルフィルム。
  7. 【請求項7】 脂肪酸ビスアミドが、下記一般式(2)
    で表される請求項6に記載の光学用ポリエステルフィル
    ム。 【化1】RCONH(CH2nNHOCR……(2) (但し、式(2)中のRCO−は脂肪酸残基を示し、n
    は1又は2である。)
  8. 【請求項8】 光学用途が、ディスプレイ等表示面の防
    眩用である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光学
    用ポリエステルフィルム。
  9. 【請求項9】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
    に、イオン性低分子化合物の含有量が1,000ppm
    以下である易接着性塗膜が形成され、該フィルムの裏面
    反射率が0.1%以下、ヘーズ値が5%以下、摩擦係数
    (μs)が0.8以下であって、該易接着性塗膜の少な
    くとも1面の上に、ユニバーサル硬度が下記式(1)の
    関係を満足するハードコート層を設けた光学用積層体。 【数2】 0.6×UC≦UHF≦1.2×UC・・・(1) (但し、式(1)でUHFは易接着性塗膜面のユニバー
    サル硬度、UCはハードコート層のユニバーサル硬度を
    示す。)
  10. 【請求項10】 ハードコート層が、放射線硬化性樹脂
    を放射線照射により硬化させて得られるハードコート層
    である請求項9に記載の光学用積層体。
  11. 【請求項11】 光学用途が、ディスプレイ等表示面の
    防眩用である請求項8または9に記載の光学用積層体。
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