JP2004149359A - コランダム単結晶育成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】坩堝内にコランダム単結晶原料と発色剤とを入れてO2及び/又はCO2を含む酸化雰囲気中で溶融させた後、その融液にコランダム単結晶の種子結晶をつけて該種子結晶を回転しながら引き上げることによりコランダム単結晶を育成する方法であって、前記種子結晶を回転しながら引き上げる際に前記酸化雰囲気中のO2及び/又はCO2の濃度を所定時間徐々に低下させる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はコランダム単結晶が所定の色合いを呈するようにCZ法によりコランダム単結晶を育成する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コランダム単結晶は、ベルヌーイ法、FZ法、CZ法等により育成可能であるが、ベルヌーイ法、FZ法では、坩堝を使用しないので育成結晶の大きさが制約され、大型化が困難であり生産性が悪い。さらに、非常に急峻な温度勾配から結晶育成を行うことから、出来上がった結晶に欠陥や歪みが生じやすく、良質な結晶育成は困難である。
【0003】
CZ法では坩堝サイズを変えることで育成結晶の大型化が可能であり、温度勾配の調整も容易であるため、高品質な結晶育成が可能である。
【0004】
CZ法は、坩堝内に入れた原料を溶融し、その融液にアルミナ単結晶の種子結晶をつけて回転しながら引き上げることにより単結晶を育成する方法である。坩堝にはイリジウムを用い、高周波誘導加熱により坩堝を加熱し、坩堝中の原料を溶融させる。坩堝の周囲はジルコニアからなるバブル状の保温材、その周囲をアルミナ、ジルコニア等の耐熱材で覆っている。結晶引き上げ方向は〔001〕方向とする。育成雰囲気は、イリジウムが高温酸化により劣化するため、不活性雰囲気に少量の(20vol%未満)O2,CO2を含むような酸化雰囲気にする必要がある。
【0005】
従来、CZ法を用いてコランダム単結晶が所定の色合いを呈するようにするために、CZ法は使用坩堝内にコランダム単結晶原料と発色剤とを入れてO2及び/又はCO2を含む酸化雰囲気中で溶融させた後、前記酸化雰囲気中のO2及び/又はCO2の濃度を一定として、CZ法によりコランダム単結晶を育成することが行なわれてきた(非特許文献1参照)。
【0006】
【非特許文献1】
森田 章二、他3名,「チョクラルスキー法によるAl2O3単結晶の育成」(The Growth of Al2O3 Single Crystals by the Czochralski Method),Journalof the Ceramic Society of Japan,平成5年(1993年),第101巻,第1号,p.108−112
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術では偏析係数が小さい発色剤元素(Fe,Ti,Mg,Mn,Ni,V等)を用いた場合、結晶の育成に従って融液中の発色剤濃度が変化していく影響から、育成段階で色彩の濃淡が初期は薄く、その後徐々に濃くなるという問題があった。すなわち、濃淡むらのある製品となったり、濃淡むらの少ない製品の歩留りが悪かったりする問題があった。
【0008】
また、偏析係数が大きい発色剤(Cr等)と、小さい発色剤(Fe,Ti,Mg,Mn,Ni,V等)を併用した場合、育成段階において色彩の濃淡のみでなく、色合い自体が変化する問題が生じていた。つまり、従来技術では結晶育成初期から安定的に発色するコランダム単結晶の育成はできなかった。これにより、前記濃淡むらの問題に加えて、色合いむらのある製品となったり、色合いむらの少ない製品の歩留りが悪かったりする問題があった。
【0009】
本発明では、こうした従来技術の課題を解決するため、結晶育成過程での色彩の濃淡変化を抑制して、コランダム単結晶の色彩の濃淡をほぼ均一化することで高品質なコランダム単結晶を提供するとともに生産性の向上を実現し、また、結晶育成過程での色合い変化を抑制して、コランダム単結晶の色合いをほぼ均一化することで高品質なコランダム単結晶を提供するとともに生産性の向上を実現することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術の課題を解決するため、請求項1のコランダム単結晶育成方法は、坩堝内にコランダム単結晶原料と発色剤とを入れてO2及び/又はCO2を含む酸化雰囲気中で溶融させた後、その融液にコランダム単結晶の種子結晶をつけて該種子結晶を回転しながら引き上げることによりコランダム単結晶を育成する方法であって、前記種子結晶を回転しながら引き上げる際に前記酸化雰囲気中のO2及び/又はCO2の濃度を所定時間徐々に低下させることを特徴とする。
【0011】
例えば、コランダム単結晶原料としての酸化アルミニウムに発色剤としてFe,Tiを添加し、O2及び/又はCO2を少量(たとえば20vol%未満)含む酸化雰囲気中でCZ法によりコランダム単結晶を育成した場合、Al3+の位置にTiの一部がTi4+の形で固溶し、Feはその電気的中性を維持するためにFe2+の状態で固溶することになる。その固溶したFe2+,Ti4+の存在に基づく電荷移動吸収によりコランダム単結晶は青色に発する。
【0012】
しかし、Fe2+及びTi4+の偏析係数は約0.1と小さいので、従来のように育成段階の酸化雰囲気中のO2及び/又はCO2濃度を一定とした場合には、コランダム単結晶の育成が進むに従って偏析係数の小さいFe2+,Ti4+が融液中に濃縮していくため、当初は色が薄く、結晶が大きくなってくると色が濃くなってくる。
【0013】
そこで、育成段階(前記種子結晶を回転しながら引き上げる段階)において、結晶成長に従って酸化雰囲気中のO2及び/又はCO2濃度を低下させる。このようにO2及び/又はCO2濃度を低下させることにより、Ti4+の状態のものの一部が還元され、Ti4+→Ti3+と変化し、コランダム単結晶中のTi4+の存在比率が低下する。
【0014】
つまり、結晶成長に伴うFe,Ti固溶量の増加に対し、O2及び/又はCO2濃度を低下させていくことで青の着色要因であるFe2+,Ti4+のうちTi4+の存在比率を制御し、色彩の濃淡がほぼ均一となるようにすることが可能である。
【0015】
次に、請求項2のコランダム単結晶育成方法は、前記発色剤として偏析係数が互いに大きく異なる2種以上を用いることを特徴とする。
【0016】
ここで、偏析係数が小さい発色剤としては、Fe,Ti,Mg,Mn,Ni,V等がある。他方、偏析係数が大きい発色剤としてはCr等がある。
【0017】
例えば、酸化アルミニウムに発色剤としてFe,Ti及びCrを添加し、O2及び/又はCO2を少量(たとえば20vol%未満)含む酸化雰囲気中でCZ法によりコランダム単結晶を育成した場合、Al3+の位置にTiの一部がTi4+の形で固溶し、Feはその電気的中性を維持するためにFe2+の状態で固溶することになる。その固溶したFe2+,Ti4+の存在に基づく電荷移動吸収によりコランダム単結晶は青色が与えられ、また青色に加えてCr3+により赤色が与えられ、この結果、コランダム単結晶は紫色を呈する。
【0018】
しかし、コランダム単結晶に対するCr3+の偏析係数が約1であるのに対し、Fe2+及びTi4+の偏析係数は約0.1と大きな相違があることから、従来のように育成段階の酸化雰囲気中のO2及び/又はCO2濃度を一定とした場合には、育成中にCr3+とFe2+,Ti4+の存在比率が変化し、色彩の濃淡、色合いに変化が生じる。つまり、育成初期の紫色から育成が進むに従って偏析係数の小さいFe2+,Ti4+が融液中に濃縮していくため、結晶色はFe2+,Ti4+による青の着色が支配的となり、青味の濃い紫色へと変化してしまう。
【0019】
そこで、育成段階において、結晶成長に従って酸化雰囲気中のO2及び/又はCO2濃度を低下させる。このようにO2及び/又はCO2濃度を低下させることにより、Ti4+の状態のものの一部が還元され、Ti4+→Ti3+と変化し、コランダム単結晶中のTi4+の存在比率が低下する。
【0020】
つまり、結晶成長に伴うFe,Ti固溶量の増加に対し、O2及び/又はCO2濃度を低下させていくことで青色の着色要因であるFe2+,Ti4+のうちTi4+の存在比率を制御し、色彩の濃淡がほぼ均一となるようにすることが可能である。
【0021】
このようにO2及び/又はCO2濃度を低下させることにより、Ti4+の状態のものの一部が還元され、Ti4+→Ti3+と変化し、コランダム単結晶中のTi4+の存在比率が低下する。
【0022】
つまり、結晶成長に伴うFe,Ti固溶量の増加に対し、O2及び/又はCO2濃度を低下させていくことで青の着色要因であるFe2+,Ti4+のうちTi4+の存在比率を制御し、色彩の濃淡および色合いがほぼ均一となるようにすることが可能である。
【0023】
次に、例えば、酸化アルミニウムに発色剤としてFe,Mg及びCrを添加し、O2及び/又はCO2を少量(たとえば5vol%未満)含む酸化雰囲気中でCZ法によりコランダム単結晶を育成した場合、コランダム単結晶に固溶したFe3+及びMg2+による黄色の着色とCr3+による赤色を合わせることにより、オレンジ色の着色が得られる。
【0024】
しかし、コランダム単結晶に対するCr3+の偏析係数が約1であるのに対し、Fe3+及びMg2+の偏析係数は非常に小さく、大きな相違がある。したがって、従来のように育成段階の酸化雰囲気中のO2及び/又はCO2濃度を一定とした場合には、育成段階によってCr3+とFe3+,Mg2+の存在比率が変化し、色彩の濃淡、色合いに変化が生じる。
【0025】
つまり、育成が進むに従って偏析係数の小さいFe3+,Mg2+が融液中に濃縮していくため、結晶色はFe3+,Mg2+による黄色の着色が支配的となり、黄色味の強い色へと変化する。
【0026】
そこで、育成段階において、結晶成長に従って酸化雰囲気中のO2及び/又はCO2濃度を低下させる。このようにO2及び/又はCO2濃度を低下させることにより、Fe3+の一部がFe2+に還元され、Fe3+の存在比率が小さくなる。したがって、Fe3+による黄色の着色が抑制され、育成段階での色合いの変化を抑制することが可能である。
【0027】
以上のように、坩堝内にコランダム単結晶原料と発色剤とを入れてO2及び/又はCO2を含む酸化雰囲気中で溶融させた後、CZ法によりコランダム単結晶を育成する方法において、酸化雰囲気中のO2及び/又はCO2濃度を変化させることにより、特定の発色剤元素の価数を制御し、結晶上下間での色合い変化を抑制することが出来る。
【0028】
ここで、最適な酸化雰囲気中のO2及び/又はCO2濃度は、目的とする色及び使用する発色剤によって変わってくるため、最適な発色剤添加量や最適濃度を確認する必要がある。
【0029】
また、酸化雰囲気中のO2及び/又はCO2濃度を低下させる最適なタイミングは、発色剤元素、ガス流量及びチャンバー容積等の条件に依存するので、まず酸化雰囲気中のO2及び/又はCO2濃度一定で結晶育成を行い、色彩の濃淡や色合いが著しく変化する直前付近の条件で何度かテストを行い、最適なタイミングを確認する必要がある。
【0030】
なお、前記酸化雰囲気の02及び/又はCO2の濃度を低下させる前後において、低下後の前記濃度を低下前の濃度の20%以下とすることが好ましい。低下後の前記濃度が低下前の前記濃度の20%より大きい場合、コランダム単結晶の色彩の濃淡、色合いを均一とする効果が現れにくくなる恐れがある。
【0031】
本発明の育成方法によれば、コランダム単結晶が透明感のある安定的な着色を呈し、これまでにない高品質なコランダム単結晶を提供することが可能になる。また、大型結晶育成の可能なCZ法において、結晶上下間の色合い変化を抑制することにより大幅な生産性向上が可能になる。
【0032】
本発明の効果をより一層はっきりさせるために、以下に実施例を述べる。
【0033】
【実施例】
実施例 1
コランダム単結晶原料としての酸化アルミニウムに発色剤としての酸化第二鉄を育成原料全量に対して1.2wt%なるように添加し、十分混合する。また、同様に酸化アルミニウムに発色剤として二酸化チタンを育成原料全量に対して0.5wt%になるように添加し、均一になるように十分混合する。酸化第二鉄、二酸化チタンを添加した原料を1400℃で焼成し、育成原料とする。イリジウム製の坩堝に原料を充填し、CZ装置を用いて下記の条件により結晶を育成する。
種結晶 コランダム単結晶
引き上げ方向 〔001〕
引き上げ速度 2mm/時間
結晶回転数 10rpm
第一育成雰囲気 Ar−CO2 (CO2 20vol%)
第二育成雰囲気 Ar−CO2 (CO2 1vol%)
チャンバー内に注入する気体を、第一育成雰囲気から第二育成雰囲気へ変化させる時期は、第一育成雰囲気で育成した場合に著しい色彩の濃淡変化が見られた時点の0〜4時間前の時点でテストを行った結果、3時間前において、最も効果が見られたため、3時間前を採用した。
【0034】
上記条件で育成した結晶は結晶直胴部約50mmの範囲において、結晶上下間の色彩の濃淡変化がほとんど無く、安定した発色の青色コランダム単結晶が得られた。
比較例 1
酸化アルミニウムに酸化第二鉄を育成原料全量に対して1.2wt%なるように添加し、十分混合する。また、同様に酸化アルミニウムに二酸化チタンを育成原料全量に対して0.5wt%になるように添加し、均一になるように十分混合する。酸化第二鉄及び二酸化チタンを添加した原料を1400℃で焼成し、育成原料とする。
【0035】
イリジウム製の坩堝に原料を充填し、CZ装置を用いて下記の条件により結晶を育成する。
種結晶 コランダム単結晶
引き上げ方向 〔001〕
引き上げ速度 2mm/時間
結晶回転数 10rpm
育成雰囲気 Ar−CO2 (CO2 20vol%)一定
【0036】
上記条件で育成した結晶は結晶下部にいくに従って青味が強くなり、均一な着色が得られたのは、直胴部約10mmの範囲のみであり、結晶上下間での大きな色彩の濃淡変化が見られた。
実施例 2
酸化アルミニウムに酸化第二鉄を育成原料全量に対して1.2wt%なるように添加し、十分混合する。また、同様に酸化アルミニウムに二酸化チタンを育成原料全量に対して0.5wt%になるように添加し、均一になるように十分混合する。また、同様に酸化アルミニウムに酸化クロムを育成原料全量に対して0.2wt%になるように添加し、均一になるように十分混合する。酸化第二鉄及び酸化クロム、二酸化チタンを添加した原料を1400℃で焼成し、育成原料とする。イリジウム製の坩堝に原料を充填し、CZ装置を用いて下記の条件により結晶を育成する。
種結晶 コランダム単結晶
引き上げ方向 〔001〕
引き上げ速度 2mm/時間
結晶回転数 10rpm
第一育成雰囲気 Ar−CO2 (CO2 20vol%)
第二育成雰囲気 Ar−CO2 (CO2 1vol%)
第一育成雰囲気から第二育成雰囲気への変化時期は、第一育成雰囲気で育成した場合に著しい色彩の濃淡、色合い変化が見られた時点の0〜4時間前の時点でテストを行った結果、3時間前において、最も効果が見られたため、3時間前を採用した。
【0037】
上記条件で育成した結晶は結晶直胴部約50mmの範囲において、結晶上下間の色彩の濃淡、色合い変化がほとんど無く、安定した発色の紫色コランダム単結晶が得られた。
実施例 3
酸化アルミニウムに酸化第二鉄を育成原料全量に対して1.0wt%なるように添加し、十分混合する。また、同様に酸化アルミニウムに二酸化チタンを育成原料全量に対して0.3wt%になるように添加し、均一になるように十分混合する。また、同様に酸化アルミニウムに発色剤として酸化クロムを育成原料全量に対して0.1wt%になるように添加し、均一になるように十分混合する。酸化第二鉄及び酸化クロム、二酸化チタンを添加した原料を1400℃で焼成し、育成原料とする。
【0038】
イリジウム製の坩堝に原料を充填し、CZ装置を用いて下記の条件により結晶を育成する。
種結晶 コランダム単結晶
引き上げ方向 〔001〕
引き上げ速度 1.5mm/時間
結晶回転数 10rpm
第一育成雰囲気 Ar−O2 (O2 0.1vol%)
第二育成雰囲気 Ar−O2 (O2 0.01vol%)
第一育成雰囲気から第二育成雰囲気への変化時期は、第一育成雰囲気で育成した場合に著しい色彩の濃淡、色合い変化が見られた時点の0〜4時間前の時点でテストを行った結果、3時間前において、最も効果が見られたため、3時間前を採用した。
【0039】
上記条件で育成した結晶は結晶直胴部約50mmの範囲において、結晶上下間の色彩の濃淡、色合い変化がほとんど無く、安定した発色の紫色コランダム単結晶が得られた。
比較例 2
酸化アルミニウムに酸化第二鉄を育成原料全量に対して1.2wt%なるように添加し、十分混合する。また、同様に酸化アルミニウムに二酸化チタンを育成原料全量に対して0.5wt%になるように添加し、均一になるように十分混合する。また、同様に酸化アルミニウムに酸化クロムを育成原料全量に対して0.2wt%になるように添加し、均一になるように十分混合する。酸化第二鉄及び酸化クロム、二酸化チタンを添加した原料を1400℃で焼成し、育成原料とする。
【0040】
イリジウム製の坩堝に原料を充填し、CZ装置を用いて下記の条件により結晶を育成する。
種結晶 コランダム単結晶
引き上げ方向 〔001〕
引き上げ速度 2mm/時間
結晶回転数 10rpm
育成雰囲気 Ar−O2 (O2 0.1vol%)一定
【0041】
上記条件で育成した結晶は結晶下部にいくに従って青味が強くなり、均一な着色が得られたのは、直胴部約10mmの範囲のみであり、結晶上下間での大きな色彩の濃淡、色合い変化が見られた。
実施例 4
酸化アルミニウムに酸化第二鉄を育成原料全量に対して1.0wt%なるように添加し、十分混合する。また、同様に酸化アルミニウムに発色剤としての酸化マグネシウムを育成原料全量に対して0.1wt%になるように添加し、また、同様に酸化アルミニウムに酸化クロムを育成原料全量に対して0.1wt%になるように添加する。酸化第二鉄、酸化マグネシウム及び酸化クロムを添加した原料を酸化雰囲気1350℃で焼成し育成原料とする。イリジウム製の坩堝に原料を充填し、CZ装置を用いて下記の条件により結晶を育成する。
種結晶 コランダム単結晶
引き上げ方向 〔001〕
引き上げ速度 2mm/時間
結晶回転数 10rpm
第一育成雰囲気 Ar−CO2 (CO2 0.5vol%)
第二育成雰囲気 Ar−CO2 (CO2 0.1vol%)
第一育成雰囲気から第二育成雰囲気への変化時期は、第一育成雰囲気で育成した場合に著しい色彩の濃淡、色合い変化が見られた時点の0〜4時間前の時点でテストを行った結果、2時間前において、最も効果が見られたため、2時間前を採用した。
【0042】
上記条件で育成した結晶は結晶直胴部約50mmの範囲において、結晶上下間の色彩の濃淡、色合い変化がほとんど無く、安定した発色のオレンジ色コランダム単結晶が得られた。
比較例 3
酸化アルミニウムに酸化第二鉄を育成原料全量に対して1.0wt%なるように添加し、十分混合する。また、同様に酸化アルミニウムに酸化マグネシウムを育成原料全量に対して0.1wt%になるように添加し、均一になるように十分混合する。また、同様に酸化アルミニウムに酸化クロムを育成原料全量に対して0.1wt%になるように添加し、均一になるように十分混合する。酸化第二鉄、酸化マグネシウム及び酸化クロムを添加し、酸化雰囲気1350℃で焼成し、育成原料とする。イリジウム製の坩堝に原料を充填し、CZ装置を用いて下記の条件により結晶を育成する。
種結晶 コランダム単結晶
引き上げ方向 〔001〕
引き上げ速度 2mm/時間
結晶回転数 10rpm
育成雰囲気 Ar−CO2 (CO2 5vol%)一定
【0043】
上記条件で育成した結晶は結晶下部にいくに従って黄色味が強くなり、均一な着色が得られたのは、直胴部約10mmの範囲のみであり、結晶上下間での大きな色彩の濃淡、色合い変化が見られた。
【0044】
以上の結果より、本発明の単結晶育成方法を用いることにより、高品質なコランダム単結晶を得ることができ、しかも高品質なコランダム単結晶の結晶収量が約5倍に増加することが確認された。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、請求項1のコランダム単結晶育成方法によれば、坩堝内にコランダム単結晶原料と発色剤とを入れてO2及び/又はCO2を含む酸化雰囲気中で溶融させた後、その融液にコランダム単結晶の種子結晶をつけて該種子結晶を回転しながら引き上げることによりコランダム単結晶を育成する方法であって、前記種子結晶を回転しながら引き上げる際に前記酸化雰囲気中のO2及び/又はCO2の濃度を所定時間徐々に低下させることから、コランダム単結晶が安定的な色彩の濃淡の着色を呈し、高品質なコランダム単結晶を提供することが可能になる。また、大型結晶育成の可能なCZ法において、結晶上下間の色合い変化を抑制することにより大幅な生産性向上が可能になる。
【0046】
また、請求項2の単結晶育成方法によれば、前記発色剤として偏析係数が互いに大きく異なる2種以上を用いることから、コランダム単結晶が安定的な色彩の濃淡および色合いの着色を呈し、高品質なコランダム単結晶を提供することが可能になる。また、大型結晶育成の可能なCZ法において、結晶上下間の色彩の濃淡、色合い変化を抑制することにより大幅な生産性向上が可能になる。
【0047】
また、請求項3の単結晶育成方法によれば、前記酸化雰囲気の02及び/又はCO2の濃度を低下させる前後において、低下後の前記濃度を低下前の濃度の20%以下とすることから、コランダム単結晶の色彩の濃淡を、或いは色彩の濃淡および色合いを均一にする効果を確実に得ることが可能となる。
Claims (3)
- 坩堝内にコランダム単結晶原料と発色剤とを入れてO2及び/又はCO2を含む酸化雰囲気中で溶融させた後、その融液にコランダム単結晶の種子結晶をつけて該種子結晶を回転しながら引き上げることによりコランダム単結晶を育成する方法であって、前記種子結晶を回転しながら引き上げる際に前記酸化雰囲気中のO2及び/又はCO2の濃度を所定時間徐々に低下させることを特徴とするコランダム単結晶育成方法。
- 前記発色剤として偏析係数が互いに大きく異なる2種以上を用いることを特徴とする請求項1に記載のコランダム単結晶育成方法。
- 前記酸化雰囲気のO2及び/又はCO2の濃度を低下させる前後において、低下後の前記濃度を低下前の濃度の20%以下とすることを特徴とする請求項1記載のコランダム単結晶育成方法。
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