JP2004148893A - 磁石ベルト式駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】プーリーの駆動力を磁石ベルトに効率よく円滑に伝え、また磁石ベルトの離脱を防止し、さらにベルト基材と磁石保持体とを別々に交換できること。
【解決手段】磁石ベルト駆動装置をプーリ2と、これに掛け回す磁石ベルト1とで構成する。プーリ2の周縁部のローラ12と磁石ベルト1の係合突条3aとを係合させて、磁石ベルト1をプーリ2に抵抗なく噛み合わせる。磁石ベルト1のベルト基材3の表面に磁石保持体5を固定する。磁石保持体5は磁石片7を固着したヨーク6と一体に設ける。ヨーク6のねじ筒をベルト基材3に貫通させ、ボルト8を螺合させて、その頭部がベルト基材3のねじ受け凹所3bに没するようにする。ブラケット11c,11cで係合突条3aのずれを阻止し、磁石ベルト1がプーリ2から離脱しない。磁石保持体5をボルト8でベルト基材3に着脱でき、ベルト基材3と磁石保持体5とを別々に交換できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば磁石ベルト輸送システム(BTM)に用いられる駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁石ベルト輸送システムは、車両上に動力を持たせ、これでプーリに掛け回した磁石ベルトを引き回し、磁石ベルトをレールの鉄製の吸着面に吸着させ、両者の磁気摩擦力によって車両の推力を得ている。
この磁石ベルト輸送システムに用いられる従来の磁石ベルトにおいては、例えば特許文献1又は2に記載のように、弾性合成樹脂製のベルト基材の裏面に多数の係合突条と、この係合突条相互間にベルト基材を曲がり易くするための切込みとを備え、表面の係合突条の対応位置に磁石保持体が固着され、磁石片が固定されたヨークが磁石保持体に抱持されてボルトで固定されている。この磁石ベルトが掛け回されるプーリは、ベルト基材2の係合突条3に噛み合う対応係合突条を有する。
【特許文献1】特開平8−142860号公報
【特許文献2】特開2000−289820号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の磁石ベルトにおいては、磁石ベルトとプーリーとの係合時の接触により、部材の摩耗や動力の伝達のロスが生じる。プーリからの磁石ベルトの離脱を防ぐためにプーリにガイドを必要とする。ベルト基材を柔軟に構成するための切込みがベルト基材を強度的に弱体化したり、切込みから水分が浸入してベルト基材の腐食を招くおそれがある。磁石保持体をベルト基材に固定するボルトを係合突条に挿通することとしているので、係合突条の対応位置に磁石保持体を配置しなければならず、磁石を固定する磁石保持体の数や位置に制約がある。ベルト基材に磁石保持体を溶着して一体化するため、別々に部品交換ができない。
従って、本発明は、磁石ベルトとプーリーとの接触による摩耗を小さくすると共に、プーリの駆動力をより効率よく円滑に磁石ベルトに伝え、しかも水分の浸入による腐食を防止し、物理的強度を向上させ、またプーリからの磁石ベルトの離脱を阻止し、さらに磁石保持体の数や位置の自由度を拡大し、ベルト基材と磁石保持体とを別々に交換できる磁石ベルト駆動装置を提供することを課題としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、第1の発明においては、駆動力が伝達されるプーリ2に磁石ベルト1を掛け回し、磁石ベルト1をレールに吸着させ、これを引き回して車両等を走行駆動する磁石ベルト式駆動装置において、プーリ2の周縁部に、ローラ12を多数軸支して、周方向に等ピッチで配置する。磁石ベルト1は、弾性合成樹脂製のベルト基材3の一方の面に、短尺方向の係合突条3aを長尺方向に等ピッチで多数形成し、他方の面に弾性合成樹脂製の磁石保持体5を長手方向に並べて複数固定する。この磁石保持体5に磁石片7を固定する。そして、ローラ12の相互間に係合突条3aが係合する状態で、プーリ2に磁石ベルト1を掛け回すすように磁石ベルト駆動装置を構成した。
第2の発明においては、プーリ2に、ローラ12を軸支する対向したブラケット11cを設け、このブラケット11c,11c間に係合突条3cがはまって横方向の移動が阻止され、磁石ベルト1をガイドするように構成した。
第3の発明においては、ベルト基材3におけるプーリ2との係合面の両側縁部にねじ受け凹所3aを設け、磁石保持体5に、磁石片7を固定するヨーク6を固定し、このヨーク6にベルト基材に挿通するねじ筒6cを突設し、このねじ筒6cにボルト8を螺合してねじ受け凹所3bに頭部が没するよう構成した。
【0005】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の一形態を説明する。
図1において、磁石ベルト式駆動装置は、図示しない車両上に動力を持たせ、これでプーリ2に掛け回した磁石ベルト1を引き回し、磁石ベルト1を図示しないレールの鉄製の吸着面に吸着させ、両者の磁気摩擦力によって車両の推力を得る。
【0006】
図2乃至図4に示すように、磁石ベルト1は、例えばポリウレタンのような、熱可塑性で弾性を有する合成樹脂製の無端状のベルト基材3を備えている。ベルト基材3内には、長手方向に補強用芯線である鋼撚り線4が横方向に並んで多数埋め込まれている。ベルト基材3の裏面には、プーリ2に係合する多数の短尺方向の係合突条3aが長手方向に等ピッチで設けられている。ベルト基材3の裏面の両側縁部には、ねじ受け凹所3bが形成されている。このねじ受け凹所3bには表面へ貫通する貫通孔3cが連続する。ベルト基材3の表面には、磁石保持体5及びヨーク6を介して多数の磁石片7が固着される。貫通孔3cには、ヨーク6のねじ筒6cが挿入され、ねじ筒6cの端部はねじ受け凹所3bに達する。
【0007】
磁石保持体5は、ベルト基材3の表側全面にわたって長手方向に相互に隙間をおいて多数固定される。磁石保持体5はベルト基材3と同質の合成樹脂製で、ヨーク6と磁石片7とを保持し、ベルト基材3の短尺方向に長く構成されている。本実施形態における磁石保持体5は、ベルト基材3の裏面にある係合突条3aとその相互間で形成される谷部に対応する位置に夫々配置してある。
【0008】
ヨーク6は、矩形の底板部6aと、その長辺縁から起立した対向一対の側板部6bとを備えている。底板部6aの両端部には、ねじ筒6cが、側板部6bと反対方向へ直角に突出するように一体に夫々結合している。ヨーク6は、底板部6aの上に磁石片7を接着した後、インサート成型により、ポリウレタン樹脂で磁石片7と共に磁石保持体5と一体化する。
【0009】
ボルト8は、ねじ受け凹所3bに頭部が没するように、座金9を介してねじ筒6cに螺合される。ボルト8によって、磁石保持体5もろともヨーク6をベルト基材3に固定される。
【0010】
磁石ベルト1が掛け回されるプーリ2は、図1及び図5に示すように、中心に回転軸が結合される内側部材10と、この周囲に固定される外側部材11と、外側部材11に軸方向に支持される複数のローラ12とで構成される。外側部材11の内周縁部には、内側部材10の周縁部を受け入れる環状の内溝11aを備え、外側部材11と内側部材10と貫通するボルト13で固定するようになっている。外側部材11の外周縁部には、磁石ベルト1の係合突条3aを受け入れると共に、相互間にローラ12を渡して軸受けするように環状の外溝11bを構成するブラケット11cを備えている。ローラ12は、係合突条3aと同じピッチで相互間隔を置いて同一円周上に多数配置され、両端部を回転自在に支持される。
【0011】
この磁石ベルト装置は、例えば磁石ベルト輸送システムにおける車両上の駆動装置につながる駆動軸にプーリ2を結合し、プーリ2に磁石ベルト1を掛け回して用いられる。磁石ベルト1は、ベルト基材3の裏側の係合突条3aがプーリ2の外周のローラ12,12間に係合する。プーリ2が回転して磁石ベルト1が移動すると、係合突条3aがローラ12に接触するが、ローラ12の回転により抵抗なくプーリ2に噛み合うので、磁石ベルト1が円滑に駆動され、接触による部材の摩耗が可級的に低減される。係合突条3aがローラ12,12間にはまると、ブラケット11c,11cによって外溝11b内に位置決めされるので、磁石ベルト1が横方向にずれることがない。磁石ベルト1のボルト8はベルト基材3のねじ受け凹所3b内に頭部を没して螺合するから、プーリ2と磁石ベルト1との係合に支障を来すことがなく、係合突条3aと無関係に磁石保持体5の位置や数を選択できる。磁石保持体5は、ボルト8のみによって固定されるので、着脱が容易で、ベルト基材3や磁石保持体5などが何らかの原因で破損した場合に、それのみを交換することができる。
【0012】
【発明の効果】
以上のように、本発明においては、ローラによって磁石ベルトとプーリーとの接触による摩擦抵抗を小さくすることができるので、部材の摩耗を少なくし、部品寿命を向上させることができるし、プーリの駆動力をより効率よく円滑に磁石ベルトに伝えることができる。従来のような切込みがないから水分等による腐食を防止できるし、磁石ベルトの回転に支障ない限りベルト基材の厚みを厚く構成するなどして物理的強度を増すことができる。。
また、ローラを支持する一対のブラケットによって磁石ベルトの係合突条の横方向への動きが阻止されるので、ガイドを設けることなく磁石ベルトがプーリから離脱することを防止できる。
さらに、ベルト基材に磁石保持体に固定するためのボルト位置を係合突条から避けたので、係合突条と無関係に磁石保持体の位置及び数を自由に設けることができる。ベルト基材と磁石保持体とはボルトにより固定するので、別々に部品交換ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁石ベルト装置の一部を切り欠いた正面図である。
【図2】磁石ベルトの横断面図である。
【図3】磁石ベルトの縦断面図である。
【図4】磁石ベルトの斜視図である。
【図5】プーリの縦断面図である。
【符号の説明】
1 磁石ベルト
2 プーリ
3 ベルト基材
3a 係合突条
3b ねじ受け凹所
5 磁石保持体
6 ヨーク
6c ねじ筒
7 磁石片
8 ボルト
10 内側部材
11 外側部材
11b 外溝
11c ブラケット
12 ローラ

Claims (3)

  1. 駆動力が伝達されるプーリに磁石ベルトを掛け回し、磁石ベルトをレールに吸着させ、これを引き回して車両等をレールに沿って走行駆動する磁石ベルト式駆動装置において、
    前記プーリの周縁部には、プーリの回転軸方向に軸支され、周方向に等間隔に複数設けられた回転自在のローラを備え、
    前記磁石ベルトは、一方の面に、短尺方向の係合突条が長尺方向に等ピッチで多数形成された弾性合成樹脂製のベルト基材と、
    弾性合成樹脂製で、前記ベルト基材の他方の面に長手方向に並んで多数固定された磁石保持体と、
    この磁石保持体に固定された磁石片とを具備し、
    前記ローラの相互間に前記磁石ベルトの係合突条が係合した状態で、前記プーリに磁石ベルトが掛け回されることを特徴とする磁石ベルト装置。
  2. 前記プーリにはローラを軸支する対向したブラケットを備え、
    このブラケット間に前記係合突条が横方向の移動を阻止されて磁石ベルトがガイドされることを特徴とする請求項1に記載の磁石ベルト装置。
  3. 前記ベルト基材におけるプーリとの係合面の両側縁部にはねじ受け凹所を備え、
    前記磁石保持体には、前記磁石片を固定するヨークが固定され、
    このヨークには、これから突出して前記ベルト基材に挿通されるねじ筒と、このねじ筒に螺合して前記ねじ受け凹所に頭部が没する状態でヨークをベルト基材に固定するボルトとを備えていることを特徴とする請求項1に記載の磁石ベルト装置。
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