JP2004147677A - 家具壁面固定治具およびこれを用いた家具の壁面固定構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の家具壁面固定治具では、家具の四周側板を形成する側板14aの内面に対面するネジ挿通孔10を設けた側面片11と、家具の背面板8の表面に対面するネジ挿通孔12を設けた背面片13とからなる断面L字型連結金具1と、この連結金具1の側面片11のネジ挿通孔10を介して家具の側板14aに螺着する取付ネジ3と、連結金具1の背面片13のネジ挿通孔12を介して家具の背面板8に挿通し、取付け壁面15に螺着する取付ネジ4と、背面板8の裏面と取付け壁面15との間に介在し、背面板8を挿通した取付ネジ4の挿通孔16を形成したネジ受け具2を備えているので、断面L字型連結金具1により、背面板8と四周側板を形成する側板14aを一体的に固着できる。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家具壁面固定治具およびこれを用いた家具壁面固定構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、箱型の家具9aをその取付け壁面15に取付ける際には、図8に示すように、背面板8の裏面に芯材18を貼り、図9、図10に示すように、背面板8の表面から木ネジ19でこれを、芯材18と一体的に取付け壁面15及びその裏面の桟20に固着するのが一般的であった。
【0003】
しかしながら、上記した図9、図10に示す従来の家具9aの壁面固定構造では、箱型の家具9a全体としての取付け壁面15に対する取付け強度が不足で、例えば、地震の際等において、取付け壁面15に固着した背面板8のみを取付け壁面15に残したまま、箱型の家具9aの四周側板5が、背面板8から外れて、家具9a全体が転倒するおそれがあった。また、その取付け時の施工作業自体も必ずしも容易なものではなかった。さらには、背面板8に、その家具9a毎の固有の寸法、形状に設計した芯材18を貼りつける工程が不可欠で、製造工程上の合理化阻害要因となる等の問題があった。なお、図8は、取付け壁面15に取付けられる従来例に係る箱型の家具9aを示す斜視図である。図9は、家具9aを取付け壁面15に取付けた従来例に係る家具壁面固定構造を示す概略図である。図10は、図9におけるBの部分を拡大した断面図である。
【0004】
一方、箱型の家具をその取付け壁面に固定する方法については、種々の技術が開示されており、例えば、特開平10−5069号公報には、家具をマジックテープ(登録商標)で、壁面に固定する方法が、開示されている。また、上記した図9、図10に示す従来例に係る家具壁面固定構造と同様に、取付け壁面にビス等で固着するものとしては、特開平8−112147号公報に壁据付型キャビネットの壁面固定構造が開示されている。しかし、上記の芯材18を使用する固定方法の問題点を直接的に解決する方策については、未だ、具体的且つ有効なものを見出せないのが現状である。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−5069号公報 (第2頁 [特許請求の範囲]、第2頁 段落[0003]〜段落[0006])
【特許文献2】
特開平8−112147号公報 (第2頁 段落[0015]、第4頁 図1〜図5)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、箱型の家具全体としての取付け壁面に対する充分な取付け強度を確保でき、且つ施工が容易な家具壁面固定治具およびこれを使用する家具の壁面固定構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明の家具壁面固定治具にあっては、四周側板と、該四周側板の内面に形成された溝に嵌入した背面板と、を備えてなる家具の、前記四周側板を形成する側板内面に対面する、ネジ挿通孔を設けた側面片と、前記家具の背面板表面に対面する、ネジ挿通孔を設けた背面片とからなる断面L字型連結金具と、該連結金具の側面片のネジ挿通孔を介して前記家具の側板に螺着する第1の取付ネジと、前記連結金具の背面片のネジ挿通孔を介して前記家具の背面板に挿通し、前記家具の取付け壁面に螺着する第2の取付ネジと、前記家具の背面板裏面と前記家具の取付け壁面との間に介在し、前記背面板を挿通した第2の取付ネジの挿通孔を形成したネジ受け具と、を備えてなることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に係る発明の家具壁面固定治具にあっては、請求項1記載の家具壁面固定治具において、前記ネジ受け具の挿通孔に、前記第2の取付ネジのネジ部と嵌合する突起部を設けたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に係る発明の家具壁面固定治具にあっては、請求項1または請求項2記載の家具壁面固定治具において、前記ネジ受け具の厚みを、前記家具の四周側板の背面端部と前記背面板裏面との距離と、略同一としたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に係る発明の家具壁面固定治具にあっては、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の家具壁面固定治具において、前記連結金具の背面片のネジ挿通孔の中心から側面片の外側面までの距離よりも、前記ネジ受け具の前記第2の取付ネジの挿通孔の中心からの距離が大なる側面部を有する側面を前記ネジ受け具に設けたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に係る発明の家具壁面固定構造にあっては、四周側板と、該四周側板の内面に形成された溝に嵌入した背面板とを備えてなる家具を、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の家具壁面固定治具で、前記家具の取付け壁面に取付けたことを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。ここで、図1は、本発明の家具壁面固定治具で取付け壁面15に取付けられる箱型の家具9を示す斜視図である。図2は、本発明の家具壁面固定治具で家具9を壁面15に取付けた実施形態を示す概略図である。図3は、図2におけるAの部分を拡大した断面図である。図4は、図2におけるAの部分を拡大して模式的に示した図である。図5は、図2におけるAの部分の背面を拡大して模式的に示した図である。図6は、本実施形態における家具壁面固定治具の構造を模式的に示した断面図である。図7は、本実施形態における家具壁面固定治具のネジ受け具2の構造の概略を示す斜視図である。
【0013】
本実施形態の家具壁面固定治具は、図1に示すような箱型の家具9を取付け壁面15に取付けるもので、家具9は、上記した従来例に係る家具9aと異なり、背面板8の芯材18を有しないものである。すなわち、本実施形態の家具壁面固定治具は、図2〜図5に示すように、断面L字型連結金具1と、ネジ受け具2と、第1の取付ネジ3と、第2の取付ネジ4とを具備しており、断面L字型連結金具1は、四周側板5と、その内面に形成された溝6に嵌入した背面板8とを備えてなる家具9の、四周側板5を形成する側板14a〜dの内面に対面する、ネジ挿通孔10を設けた側面片11と、家具9の背面板8の表面に対面する、ネジ挿通孔12を設けた背面片13とから形成されている。また、第1の取付ネジ3は、上記連結金具1の側面片11のネジ挿通孔10を介して家具9の側板14に螺着するものであり、第2の取付ネジ4は、上記連結金具1の背面片13のネジ挿通孔12を介して家具9の背面板8に挿通し、さらに、後述のネジ受け具2の挿通孔16をも挿通し、家具9の取付け壁面15に螺着するものである。
【0014】
一方、ネジ受け具2は、図6に示すように、家具9の背面板8の裏面と取付け壁面15との間に介在し、背面板8を挿通した上記第2の取付ネジ4の挿通孔16を形成したものである。この場合において、挿通孔16に、第2の取付ネジ4のネジ部4aと嵌合する突起部17を設けるようにすれば、家具9をさらに強固に固着し得ることとなる。
【0015】
さらに、図3に示すように、ネジ受け具2の厚み(d1)を、家具9の四周側板5の背面端部7と背面板8の裏面との距離と、略同一とすることにより、前記家具9をさらに確実に固着でき、また、上記従来例における背面板8の芯材18が不要になることとなる。この結果、背面板8に、芯材18を貼りつける工程が、不要になることによる合理化のみに留まらず、家具9毎の固有の寸法、形状を有する多品種の芯材18を設計、製造、保管、管理することが、総て不要になることによる合理化、家具9の取付け時の施工作業自体の省力化による合理化が達成されることとなる。さらには、芯材18が、不要になることにより、所謂ノックダウン商品等の梱包サイズを小さくできる、或いは、特注品への対応が、容易且つ迅速になる等のさらなる合理化に寄与し得ることとなる。
【0016】
さらに、本発明の家具壁面固定治具にあっては、図4、図7に示すように、連結金具1の背面片13のネジ挿通孔12の中心から側面片11の外側面11aまでの距離(d2)よりも、ネジ受け具2の第2の取付ネジ4の挿通孔16の中心からの距離(d3)が大なる側面部を有する側面21をネジ受け具2に設けることにより、ネジ受け具2が、背面板8の裏面側の四周側板5に確実に当接することにより固定され、第2の取付ネジ4のネジ部4aを回転しながらネジ受け具2の挿通孔16に挿通する際に、ネジ受け具2の空まわりを防止でき、ひいては、これにより、家具の取付け壁面15を傷つけることをも防止できることとなる。なお、ネジ受け具2の材質については、特に、限定するものではないが、ABS樹脂等の可撓性を有する合成樹脂材料により、好適に形成可能である。
【0017】
このように、以上のような構成を有する家具壁面固定治具は、特に、断面L字型連結金具1を具備するため、背面板8と四周側板5を形成する側板14を一体的に固着できることとなる。この結果、上記した図9、図10に示す従来の家具の壁面固定構造における箱型の家具9a全体としての取付け壁面15に対する取付け強度の不足の問題は、特に、断面L字型連結金具1により、背面板8と、四周側板5を形成する側板14を一体的に固着できることにより、略解消され、上記したような問題点、すなわち、地震の際等において、取付け壁面15に固着した背面板8のみを取付け壁面15に残したまま、四周側板5が、背面板8から外れて、家具9全体が転倒する等のおそれは、略解消されることとなる。
【0018】
また、本発明の家具壁面固定構造にあっては、四周側板5と、その内面に形成された溝6に嵌入した背面板8とを備えてなる家具9を、上記の家具壁面固定治具で、取付け壁面15に取付けるので、家具9全体としての取付け壁面15に対する充分な取付け強度を確保でき、且つ、容易に施工できることとなる。
【0019】
なお、本発明の家具壁面固定治具およびこれを使用する家具壁面固定構造は、上記の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。特に、上記実施形態では、四周側板5を形成する側板の内、14a、14cと背面板8とを断面L字型連結金具1で連結して固定する場合を図2において示したが、本発明の家具壁面固定治具は、側板14b(すなわち、天板)、14d(すなわち、地板)にも適用可能であることはいうまでもない。
【0020】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に係る発明の家具壁面固定治具にあっては、四周側板と、該四周側板の内面に形成された溝に嵌入した背面板と、を備えてなる家具の、前記四周側板を形成する側板内面に対面する、ネジ挿通孔を設けた側面片と、前記家具の背面板表面に対面する、ネジ挿通孔を設けた背面片とからなる断面L字型連結金具と、該連結金具の側面片のネジ挿通孔を介して前記家具の側板に螺着する第1の取付ネジと、前記連結金具の背面片のネジ挿通孔を介して前記家具の背面板に挿通し、前記家具の取付け壁面に螺着する第2の取付ネジと、前記家具の背面板裏面と前記家具の取付け壁面との間に介在し、前記背面板を挿通した第2の取付ネジの挿通孔を形成したネジ受け具と、を備えてなることを特徴とするので、前記断面L字型連結金具により、背面板と四周側板を形成する側板を一体的に固着できるという優れた効果を奏する。
【0021】
請求項2に係る発明の家具壁面固定治具にあっては、請求項1記載の家具壁面固定治具において、前記ネジ受け具の挿通孔に、前記第2の取付ネジのネジ部と嵌合する突起部を設けたことを特徴とするので、請求項1記載の家具壁面固定治具の発明の効果に加えて、前記家具をさらに強固に固着できるという優れた効果を奏する。
【0022】
請求項3に係る発明の家具壁面固定治具にあっては、請求項1または請求項2記載の家具壁面固定治具において、前記ネジ受け具の厚みを、前記家具の四周側板の背面端部と前記背面板裏面との距離と、略同一としたことを特徴とするので、請求項1または請求項2記載の家具壁面固定治具の発明の効果に加えて、前記家具をさらに確実に固着できるという優れた効果を奏する。
【0023】
請求項4に係る発明の家具壁面固定治具にあっては、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の家具壁面固定治具において、前記連結金具の背面片のネジ挿通孔の中心から側面片の外側面までの距離よりも、前記ネジ受け具の前記第2の取付ネジの挿通孔の中心からの距離が大なる側面部を有する側面を前記ネジ受け具に設けたことを特徴とするので、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の家具壁面固定治具の発明の効果に加えて、ネジ受け具が、背面板裏面側の四周側板に確実に当接することにより固定され、第2の取付ネジのネジ部を回転しながらネジ受け具に挿通する際に、ネジ受け具の空まわりを防止でき、ひいては、これにより、家具の取付け壁面を傷つけることをも防止できるという優れた効果を奏する。
【0024】
請求項5に係る発明の家具壁面固定構造にあっては、四周側板と、該四周側板の内面に形成された溝に嵌入した背面板とを備えてなる家具を、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の家具壁面固定治具で、前記家具の取付け壁面に取付けたことを特徴とするので、箱型の家具全体としての取付け壁面に対する充分な取付け強度を確保でき、且つ、容易に施工できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の家具壁面固定治具で取付け壁面に取付けられる箱型の家具を示す斜視図である。
【図2】本発明の家具壁面固定治具で家具を壁面に取付けた実施形態を示す概略図である。
【図3】図2におけるAの部分を拡大した断面図である。
【図4】図2におけるAの部分を拡大して模式的に示した図である。
【図5】図2におけるAの部分の背面を拡大して模式的に示した図である。
【図6】本実施形態における家具壁面固定治具の構造を模式的に示した断面図である。
【図7】本実施形態における家具壁面固定治具のネジ受け具の構造の概略を示す斜視図である。
【図8】取付け壁面に取付けられる従来例に係る箱型の家具を示す斜視図である。
【図9】家具を取付け壁面に取付けた従来例に係る家具壁面固定構造を示す概略図である。
【図10】図9におけるBの部分を拡大した断面図である。
【符号の説明】
1 断面L字型連結金具
2 ネジ受け具
3 第1の取付ネジ
4 第2の取付ネジ
4a ネジ部(第2の取付ネジ4)
5 四周側板
6 溝(四周側板5)
7 背面端部(四周側板5)
8 背面板
9 家具
9a 家具(従来例)
10 ネジ挿通孔
11 側面片
11a 外側面(側面片11)
12 ネジ挿通孔
13 背面片
14 側板
14a〜d 側板
15 取付け壁面
16 挿通孔(ネジ受け具2)
17 突起部(挿通孔16)
18 芯材(背面板8)
19 木ネジ
20 桟
21 側面(ネジ受け具2)
22 外壁
Claims (5)
- 四周側板と、該四周側板の内面に形成された溝に嵌入した背面板と、を備えてなる家具の、前記四周側板を形成する側板内面に対面する、ネジ挿通孔を設けた側面片と、前記家具の背面板表面に対面する、ネジ挿通孔を設けた背面片とからなる断面L字型連結金具と、該連結金具の側面片のネジ挿通孔を介して前記家具の側板に螺着する第1の取付ネジと、前記連結金具の背面片のネジ挿通孔を介して前記家具の背面板に挿通し、前記家具の取付け壁面に螺着する第2の取付ネジと、前記家具の背面板裏面と前記家具の取付け壁面との間に介在し、前記背面板を挿通した第2の取付ネジの挿通孔を形成したネジ受け具と、を備えてなることを特徴とする家具壁面固定治具。
- 前記ネジ受け具の挿通孔に、前記第2の取付ネジのネジ部と嵌合する突起部を設けたことを特徴とする請求項1記載の家具壁面固定治具。
- 前記ネジ受け具の厚みを、前記家具の四周側板の背面端部と前記背面板裏面との距離と、略同一としたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の家具壁面固定治具。
- 前記連結金具の背面片のネジ挿通孔の中心から側面片の外側面までの距離よりも、前記ネジ受け具の前記第2の取付ネジの挿通孔の中心からの距離が大なる側面部を有する側面を前記ネジ受け具に設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の家具壁面固定治具。
- 四周側板と、該四周側板の内面に形成された溝に嵌入した背面板とを備えてなる家具を、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の家具壁面固定治具で、前記家具の取付け壁面に取付けたことを特徴とする家具壁面固定構造。
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