JP2004146558A - 気相成長装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、ガス流の乱れがなく基板に均一に原料ガスを供給でき、反応管の清掃が不要で、連続して気相成長でき、小型で、窒化化合物半導体以外の使用もできる。使用ガスの量の少ない、半導体膜の気相成長装置及び気相成長方法を提供することを目的とする。
【解決手段】反応管内部基板102に実質的に並行になるように配置された下部の原料ガス109導入部、排出部と上部の原料ガスを含まないガス110の導入部、排出部を仕切る仕切り部111に基板上部に開口部112を設け原料ガスを含まないガス110の制御により、開口部112に原料を含まないガス110の突出部113を発生させ、突出部113により原料ガス109へ側圧を加えることにより気相成長させる。
【選択図】 図1
【解決手段】反応管内部基板102に実質的に並行になるように配置された下部の原料ガス109導入部、排出部と上部の原料ガスを含まないガス110の導入部、排出部を仕切る仕切り部111に基板上部に開口部112を設け原料ガスを含まないガス110の制御により、開口部112に原料を含まないガス110の突出部113を発生させ、突出部113により原料ガス109へ側圧を加えることにより気相成長させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体膜の気相成長装置、及び成長方法に関し、特に、基板に実質的に平行に配置されたガス導入部から原料ガスを導入するとともに、原料ガスと原料ガスを含まないガスとの仕切り部の基板上に設けられた開口部で原料ガスに原料ガスを含まないガスにより側圧を加えながら加熱された基板上に半導体膜を気相成長させる連続成長の可能な気相成長装置及び気相成長方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、GaN、InGaN、AlGaN等の3族窒化ガリウム系半導体を用いた半導体レーザ素子、発光ダイオード等の半導体発光素子の需要が急速に高まっている。
【0003】
窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法としては、トリメチルガリウム、トリメチルインジュウム、又はトリメチルアルミニュウム等の有機金属ガスを3族金属源として、アンモニアを窒素源として用い、あらかじめ反応管にセットされたサファイア等の基板上に原料導入管から導入し、加熱された基板上で気相成長させる方法が知られている。
【0004】
この方法では、基板上で原料を含むガスが加熱されることにより、発生する熱対流によって基板に対向した反応管壁に分解生成物または反応生成物が析出し、反応管を汚染し、析出した固形物が基板上に落下し落下した場所には反応が進まない不具合があった。気相成長を行う毎に反応管壁の清掃が必要となり、連続して成長できない欠点があった。また、これらを解決するために別の方法が示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特許第2628404号
基板に対して平行ないし傾斜する方向に、反応ガスを供給し、基板の表面に対して実質的に垂直な方向に副噴射管により反応ガスを含まない押圧ガスを供給し、反応ガスを基板に吹き付ける方向に方向を変更させて半導体膜を成長させる方法が示されている。副噴射管は基板に向かって下方側に開口面積が大きくなるテーバー状をしているため装置が大型となる欠点があった。
【0006】
また、窒化化合物半導体以外の使用では副噴射管における押圧ガスのロスが大きく使用できない欠点があった。前記の気相成長装置あるいは気相成長方法においては、直交するガス流、すなわち原料ガスを含むガスと押圧ガスが基板上で混合されるためガス流に乱れが生じやすかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、気相成長させる基板に対向した反応管壁を汚染することなく、固形物が基板上に落下することのない反応管の清掃が不要で、連続して気相成長でき、基板に均一に原料ガスを供給でき、ガス流の乱れのない、小型で窒化化合物半導体以外の使用もできる使用ガスの量が少ない、半導体膜の気相成長装置及び気相成長方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第1の気相成長装置は基板を載せるためのサセプターと、該サセプターを加熱するためのヒーターとそれらを内蔵する半導体膜を成長を行う気相成長装置において、反応管内部基板に実質的に並行になるように配置された下部に第1種ガスの導入部、排出部を有し、上部に第2種ガスの導入部、排出部を有する仕切り部に基板上部に開口部を設けたことを特徴とする。
【0009】
ここで、第1種ガスと第2種ガスを隔てる仕切り部を反応管上部壁面とする/又は反応管を横断する仕切り板とすることができる。
【0010】
第1種ガスと第2種ガスを隔てる仕切り部の開口部面積を、基板面積の0.5〜4倍にすることができる。
【0011】
第2種ガスの流路長は第1種ガスの流路長より短くすることができる。又、開口部の形状は長方形、正方形、円、楕円、卵形とすることができる。
【0012】
第1種ガスを原料ガスとし、第2種ガスを原料を含まないガスとすることができる。
【0013】
第1種ガスと第2種ガスを隔てる仕切り部の構成材料が石英とすることができる。
【0014】
次に、本発明の第2の気相成長方法は、反応管内に設置された加熱された基板の表面に、原料ガスを供給して基板表面に実質的に半導体膜を気相成長させる方法において、基板に実質的に平行に配置された第1種ガスと第2種ガスを隔てる仕切り部の基板上部に開口部を設け、この開口部において第2種ガスを制御することにより第1種ガスに第2種ガスの側圧を加えることにより気相成長を行うことを特徴とする。
【0015】
次に、本発明の第3の気相成長方法は、反応管内に設置された加熱された基板の表面に、原料ガスを供給して基板表面に実質的に半導体膜を気相成長させる方法において、基板に実質的に平行に配置された第1種ガスと第2種ガスを隔てる仕切り部の基板上部に開口部を設け、この開口部において第2種ガスを制御することにより第1種ガスに第2種ガスの側圧を加えることにより気相成長を行うとともに基板上部以外のガス排出側において、仕切り部下部へ第2種ガスを挟んで第1種ガスを排出するようにしたことを特徴とする。
【0016】
第2種ガスの流量は第1種ガスの流量の1/3〜1/30とすることができる。
【0017】
第2種ガスの流量を制御することにより基板上部において第1種ガスへ第2種ガスを側圧として加えることができる。
【0018】
基板の最高加熱温度が1000℃以上とすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態である気相成長装置の断面図である。
【0020】
図1に示すように、幅150mm、高さ20mm、長さ250mm石英製反応管101に、1インチGaN基板102を保持し回転させると共に加熱できる外形100mmサセプター103、ヒーター104を内蔵し、基板102に実質的に平行となるように配置された原料ガス導入部105、反応済みガスの排出部106、原料ガスを含まないガス導入部107、原料ガスを含まないガス排出部108、原料ガス109、原料を含まないガス110、下部に原料ガスの導入部105、排出部108を有し、上部に原料ガスを含まないガス排出部108を持つ仕切り部110、基板102上部に開口部を設けた仕切部開口部112を持つことを特徴とする原料ガス109、原料を含まないガス110の流路が並行であるため装置を小型にできる。
【0021】
ここで、原料ガス109と原料ガスを含まないガス110を隔てる仕切り部を従来の反応管を用いて反応管上部壁面とすることもできるし、又は、平面の反応管を横断する仕切り板を用いてもよい。
【0022】
又、原料ガス109と原料ガスを含まないガス110を隔てる仕切り部の開口部面積を、サセプターが回転するため基板面積の0.5〜4倍にすることができる。開口部から基板までの距離は15mm、好ましくは10mm以下である。
【0023】
又、原料ガスを含まないガス110の流路長は原料ガス109の流路長より短くして原料ガスを含まないガス110の消費量を減らすことができる。
【0024】
又、開口部部分112の形状は、原料ガスを含まないガス110により原料ガス109へ側圧を加えて原料ガス109が基板102を包み込んだ状態で気相成長すれば形状にこだわらないが長方形、正方形、円、楕円、卵形とすることができる。
【0025】
又、原料ガス109としてはアルシン、ホォスフィン、シラン等金属水素化合物、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、トリメチルインジウム、トリエチルインジウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの3族金属源、トリヒトラジン、アルキルアミン等、アンモニア、などが用いられる。
【0026】
本発明において、原料ガスとして原料を水素、ヘリウム、アルゴン、窒素等のガスによって希釈して供給するガスを含む。原料ガスを含まないガス110としては、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスほか窒素、水素などが用いられる。
【0027】
又、原料ガス109と原料ガスが含まれないガス110を隔てる仕切り部の構成材料として石英、石英ガラス、石英焼結体等を用いることができる。
【0028】
次に、図2は本発明の第2の実施形態である気相成長方法を示す。図2に示すように1インチGaN基板をサセプターに置き、反応管内を水素ガスで置換した後、原料ガス導入部105より水素60mL/min(L/minはLiter/minの略である。)で供給しながらGaN基板を1000℃に加熱し、基板の熱処理を10分間行った。
【0029】
原料ガス導入部105よりトリメチルガリウム、アンモニアを含む水素ガス(トリメチルガリウム250μmol/min、アンモニア40L/min、水素60L/min)を供給するとともに開口部112面積を基板面積と同一として、原料ガスを含まないガス導入部107より窒素ガス25L/minを供給して開口部112に窒素ガスの突出部113を発生させトリメチルガリウム、アンモニアを含む水素ガスに側圧を加え、トリメチルガリウム、アンモニアを含む水素ガスがGaN基板を包み込んだ状態で気相成長を60分間行った。
【0030】
サセプター及び基板は毎分30回転させた。気相成長後基板と対向する反応管壁に固形物の付着及び汚れがあるかどうか調査した。結果、固形物付着及び汚れはなかった。
【0031】
以上のように、本発明によれば原料ガスを含まないガス110の側圧を用いることにより基板に均一に原料ガスを供給でき、原料ガス109が基板102を包み込んだ状態で気相成長するためガス流の乱れはない。反応管は横型で扁平形であるため小型化でき、原料ガスを含まないガスの使用量が少なく、原料ガス109、原料を含まないガス110の流路が並行であるため装置全体を扁平矩形とすることにより原料ガスの量も少なくできる。
【0032】
次に図3は、本発明の第3の実施形態である気相成長方法を示す。図3に示すように1インチGaN基板をサセプターに置き、反応管内を水素ガスで置換した後、原料ガス導入部105より水素60mL/minで供給しながら基板を1000℃に加熱し、基板の熱処理を10分間行った。
【0033】
原料ガス導入部105よりトリメチルガリウム、アンモニアを含む水素ガス(トリメチルガリウム250μmol/min、アンモニア40L/min、水素60L/min)を供給するとともに開口部112面積を基板面積と同一として原料ガスを含まないガス導入部107より窒素ガス30L/minを供給して開口部112に窒素ガスの突出部113を発生させトリメチルガリウムを含む水素ガスに側圧を加え、トリメチルガリウムを含む水素ガスがGaN基板を包み込んだ状態で気相成長するとともに、窒素ガスの突出部113より窒素ガスの仕切り部下部114に窒素ガス110が反応済みガスにより挟まれ反応済みガス排出部116へ排出されるため窒素ガスの仕切り部下部114は反応済みガスで汚れることはない。
【0034】
気相成長は60分間行った。開口部面積は基板面積と同一とした。サセプター及び基板は毎分30回転させた。窒素ガスの仕切り部下部114に固形物の付着及び汚れがあるかどうか調査した。結果、固形物付着及び汚れはなかった。
【0035】
以上のように反応管上部壁部及び原料ガスを含まないガスの仕切り部下部104に汚れがないため反応管の清掃が不要となり、連続して気相成長できる。得られたGaN膜の膜厚変動幅(最大値−最小値)/平均値は1%以下であった。ホール移動度は260cm2/VSと良好な結果が得られた。
【0036】
以上のように、本発明によれば反応管の気相成長による汚れがなく、原料ガスを含まないガスの使用量が少ないことより窒化化合物半導体以外のSi、GaAs等の半導体の成長、窒化化合物半導体と窒化化合物半導体以外の混晶の連続成長が可能となる。
【0037】
ここで、原料ガスを含まないガス110の流量は原料ガス109の流量の1/3〜1/30とすることができる。
【0038】
又、原料ガスを含まないガス110の流量(たとえばL/min)を制御することにより基板上部において原料ガス109へ原料ガスを含まないガス110の側圧を加えることができる。流量以外にも流速、流圧を変えることにより同様な効果が得られる。
【0039】
又、基板の最高加熱温度は300℃程度の比較的低い温度から1000℃以上の比較的高い温度まで幅広く適用することができる。反応管101内の気圧は常圧のほか、減圧から0.1MPa/cm2Gのように加圧下とすることもできる。
【0040】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく本発明の趣旨に基づいて種々の変形をすることが可能であり、それらを本発明から除外するものではない。例えば本発明の実施形態では、GaN系化合物半導体を用いた例を示したが、他の半導体材料、例えばInGaAlNのNの1部又は全部をAsおよび/またはP等で置換した材料やGaAs系化合物半導体を用いた気相成長方法、Si系基板を用いた半導体にも本発明を適用できる。
【0041】
【発明の効果】
以上、詳細に説明した様に本発明によると、基板に実質的に平行に配置されたガス導入部から原料ガスを導入するとともに原料ガスと原料ガスを含まないガスとの仕切り部の基板上に設けられた開口部で、原料ガスに原料ガスを含まないガスにより側圧を加えながら加熱された基板上に半導体膜を気相成長させるため、基板に均一に原料ガスを供給でき、ガス流の乱れのない、小型で窒化化合物半導体以外の使用もできる。使用ガスの量の少ない。半導体膜の気相成長装置を提供できるとともに、気相成長させる基板に対向した反応管壁を汚染することなく、固形物が基板上に落下することのない、反応管の清掃が不要で、連続して気相成長を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である気相成長装置を示す断面説明図である。
【図2】本発明の第2の実施形態である気相成長方法を示す断面説明図である。
【図3】本発明の第3の実施形態である気相成長方法を示す断面説明図である。
【符号の説明】
101:反応管
102:基板
103:サセプター
104:ヒーター
105:原料ガス導入部
106:反応済みガス排出部
107:原料ガスを含まないガス導入部
108:原料ガスを含まないガス排出部
109:原料ガス
110:原料ガスを含まないガス
111:仕切り部
112:仕切り部開口部
113:原料ガスを含まないガスの突出部
114:原料ガスを含まないガスの仕切り部下部流れ
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体膜の気相成長装置、及び成長方法に関し、特に、基板に実質的に平行に配置されたガス導入部から原料ガスを導入するとともに、原料ガスと原料ガスを含まないガスとの仕切り部の基板上に設けられた開口部で原料ガスに原料ガスを含まないガスにより側圧を加えながら加熱された基板上に半導体膜を気相成長させる連続成長の可能な気相成長装置及び気相成長方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、GaN、InGaN、AlGaN等の3族窒化ガリウム系半導体を用いた半導体レーザ素子、発光ダイオード等の半導体発光素子の需要が急速に高まっている。
【0003】
窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法としては、トリメチルガリウム、トリメチルインジュウム、又はトリメチルアルミニュウム等の有機金属ガスを3族金属源として、アンモニアを窒素源として用い、あらかじめ反応管にセットされたサファイア等の基板上に原料導入管から導入し、加熱された基板上で気相成長させる方法が知られている。
【0004】
この方法では、基板上で原料を含むガスが加熱されることにより、発生する熱対流によって基板に対向した反応管壁に分解生成物または反応生成物が析出し、反応管を汚染し、析出した固形物が基板上に落下し落下した場所には反応が進まない不具合があった。気相成長を行う毎に反応管壁の清掃が必要となり、連続して成長できない欠点があった。また、これらを解決するために別の方法が示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特許第2628404号
基板に対して平行ないし傾斜する方向に、反応ガスを供給し、基板の表面に対して実質的に垂直な方向に副噴射管により反応ガスを含まない押圧ガスを供給し、反応ガスを基板に吹き付ける方向に方向を変更させて半導体膜を成長させる方法が示されている。副噴射管は基板に向かって下方側に開口面積が大きくなるテーバー状をしているため装置が大型となる欠点があった。
【0006】
また、窒化化合物半導体以外の使用では副噴射管における押圧ガスのロスが大きく使用できない欠点があった。前記の気相成長装置あるいは気相成長方法においては、直交するガス流、すなわち原料ガスを含むガスと押圧ガスが基板上で混合されるためガス流に乱れが生じやすかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、気相成長させる基板に対向した反応管壁を汚染することなく、固形物が基板上に落下することのない反応管の清掃が不要で、連続して気相成長でき、基板に均一に原料ガスを供給でき、ガス流の乱れのない、小型で窒化化合物半導体以外の使用もできる使用ガスの量が少ない、半導体膜の気相成長装置及び気相成長方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第1の気相成長装置は基板を載せるためのサセプターと、該サセプターを加熱するためのヒーターとそれらを内蔵する半導体膜を成長を行う気相成長装置において、反応管内部基板に実質的に並行になるように配置された下部に第1種ガスの導入部、排出部を有し、上部に第2種ガスの導入部、排出部を有する仕切り部に基板上部に開口部を設けたことを特徴とする。
【0009】
ここで、第1種ガスと第2種ガスを隔てる仕切り部を反応管上部壁面とする/又は反応管を横断する仕切り板とすることができる。
【0010】
第1種ガスと第2種ガスを隔てる仕切り部の開口部面積を、基板面積の0.5〜4倍にすることができる。
【0011】
第2種ガスの流路長は第1種ガスの流路長より短くすることができる。又、開口部の形状は長方形、正方形、円、楕円、卵形とすることができる。
【0012】
第1種ガスを原料ガスとし、第2種ガスを原料を含まないガスとすることができる。
【0013】
第1種ガスと第2種ガスを隔てる仕切り部の構成材料が石英とすることができる。
【0014】
次に、本発明の第2の気相成長方法は、反応管内に設置された加熱された基板の表面に、原料ガスを供給して基板表面に実質的に半導体膜を気相成長させる方法において、基板に実質的に平行に配置された第1種ガスと第2種ガスを隔てる仕切り部の基板上部に開口部を設け、この開口部において第2種ガスを制御することにより第1種ガスに第2種ガスの側圧を加えることにより気相成長を行うことを特徴とする。
【0015】
次に、本発明の第3の気相成長方法は、反応管内に設置された加熱された基板の表面に、原料ガスを供給して基板表面に実質的に半導体膜を気相成長させる方法において、基板に実質的に平行に配置された第1種ガスと第2種ガスを隔てる仕切り部の基板上部に開口部を設け、この開口部において第2種ガスを制御することにより第1種ガスに第2種ガスの側圧を加えることにより気相成長を行うとともに基板上部以外のガス排出側において、仕切り部下部へ第2種ガスを挟んで第1種ガスを排出するようにしたことを特徴とする。
【0016】
第2種ガスの流量は第1種ガスの流量の1/3〜1/30とすることができる。
【0017】
第2種ガスの流量を制御することにより基板上部において第1種ガスへ第2種ガスを側圧として加えることができる。
【0018】
基板の最高加熱温度が1000℃以上とすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態である気相成長装置の断面図である。
【0020】
図1に示すように、幅150mm、高さ20mm、長さ250mm石英製反応管101に、1インチGaN基板102を保持し回転させると共に加熱できる外形100mmサセプター103、ヒーター104を内蔵し、基板102に実質的に平行となるように配置された原料ガス導入部105、反応済みガスの排出部106、原料ガスを含まないガス導入部107、原料ガスを含まないガス排出部108、原料ガス109、原料を含まないガス110、下部に原料ガスの導入部105、排出部108を有し、上部に原料ガスを含まないガス排出部108を持つ仕切り部110、基板102上部に開口部を設けた仕切部開口部112を持つことを特徴とする原料ガス109、原料を含まないガス110の流路が並行であるため装置を小型にできる。
【0021】
ここで、原料ガス109と原料ガスを含まないガス110を隔てる仕切り部を従来の反応管を用いて反応管上部壁面とすることもできるし、又は、平面の反応管を横断する仕切り板を用いてもよい。
【0022】
又、原料ガス109と原料ガスを含まないガス110を隔てる仕切り部の開口部面積を、サセプターが回転するため基板面積の0.5〜4倍にすることができる。開口部から基板までの距離は15mm、好ましくは10mm以下である。
【0023】
又、原料ガスを含まないガス110の流路長は原料ガス109の流路長より短くして原料ガスを含まないガス110の消費量を減らすことができる。
【0024】
又、開口部部分112の形状は、原料ガスを含まないガス110により原料ガス109へ側圧を加えて原料ガス109が基板102を包み込んだ状態で気相成長すれば形状にこだわらないが長方形、正方形、円、楕円、卵形とすることができる。
【0025】
又、原料ガス109としてはアルシン、ホォスフィン、シラン等金属水素化合物、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、トリメチルインジウム、トリエチルインジウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの3族金属源、トリヒトラジン、アルキルアミン等、アンモニア、などが用いられる。
【0026】
本発明において、原料ガスとして原料を水素、ヘリウム、アルゴン、窒素等のガスによって希釈して供給するガスを含む。原料ガスを含まないガス110としては、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスほか窒素、水素などが用いられる。
【0027】
又、原料ガス109と原料ガスが含まれないガス110を隔てる仕切り部の構成材料として石英、石英ガラス、石英焼結体等を用いることができる。
【0028】
次に、図2は本発明の第2の実施形態である気相成長方法を示す。図2に示すように1インチGaN基板をサセプターに置き、反応管内を水素ガスで置換した後、原料ガス導入部105より水素60mL/min(L/minはLiter/minの略である。)で供給しながらGaN基板を1000℃に加熱し、基板の熱処理を10分間行った。
【0029】
原料ガス導入部105よりトリメチルガリウム、アンモニアを含む水素ガス(トリメチルガリウム250μmol/min、アンモニア40L/min、水素60L/min)を供給するとともに開口部112面積を基板面積と同一として、原料ガスを含まないガス導入部107より窒素ガス25L/minを供給して開口部112に窒素ガスの突出部113を発生させトリメチルガリウム、アンモニアを含む水素ガスに側圧を加え、トリメチルガリウム、アンモニアを含む水素ガスがGaN基板を包み込んだ状態で気相成長を60分間行った。
【0030】
サセプター及び基板は毎分30回転させた。気相成長後基板と対向する反応管壁に固形物の付着及び汚れがあるかどうか調査した。結果、固形物付着及び汚れはなかった。
【0031】
以上のように、本発明によれば原料ガスを含まないガス110の側圧を用いることにより基板に均一に原料ガスを供給でき、原料ガス109が基板102を包み込んだ状態で気相成長するためガス流の乱れはない。反応管は横型で扁平形であるため小型化でき、原料ガスを含まないガスの使用量が少なく、原料ガス109、原料を含まないガス110の流路が並行であるため装置全体を扁平矩形とすることにより原料ガスの量も少なくできる。
【0032】
次に図3は、本発明の第3の実施形態である気相成長方法を示す。図3に示すように1インチGaN基板をサセプターに置き、反応管内を水素ガスで置換した後、原料ガス導入部105より水素60mL/minで供給しながら基板を1000℃に加熱し、基板の熱処理を10分間行った。
【0033】
原料ガス導入部105よりトリメチルガリウム、アンモニアを含む水素ガス(トリメチルガリウム250μmol/min、アンモニア40L/min、水素60L/min)を供給するとともに開口部112面積を基板面積と同一として原料ガスを含まないガス導入部107より窒素ガス30L/minを供給して開口部112に窒素ガスの突出部113を発生させトリメチルガリウムを含む水素ガスに側圧を加え、トリメチルガリウムを含む水素ガスがGaN基板を包み込んだ状態で気相成長するとともに、窒素ガスの突出部113より窒素ガスの仕切り部下部114に窒素ガス110が反応済みガスにより挟まれ反応済みガス排出部116へ排出されるため窒素ガスの仕切り部下部114は反応済みガスで汚れることはない。
【0034】
気相成長は60分間行った。開口部面積は基板面積と同一とした。サセプター及び基板は毎分30回転させた。窒素ガスの仕切り部下部114に固形物の付着及び汚れがあるかどうか調査した。結果、固形物付着及び汚れはなかった。
【0035】
以上のように反応管上部壁部及び原料ガスを含まないガスの仕切り部下部104に汚れがないため反応管の清掃が不要となり、連続して気相成長できる。得られたGaN膜の膜厚変動幅(最大値−最小値)/平均値は1%以下であった。ホール移動度は260cm2/VSと良好な結果が得られた。
【0036】
以上のように、本発明によれば反応管の気相成長による汚れがなく、原料ガスを含まないガスの使用量が少ないことより窒化化合物半導体以外のSi、GaAs等の半導体の成長、窒化化合物半導体と窒化化合物半導体以外の混晶の連続成長が可能となる。
【0037】
ここで、原料ガスを含まないガス110の流量は原料ガス109の流量の1/3〜1/30とすることができる。
【0038】
又、原料ガスを含まないガス110の流量(たとえばL/min)を制御することにより基板上部において原料ガス109へ原料ガスを含まないガス110の側圧を加えることができる。流量以外にも流速、流圧を変えることにより同様な効果が得られる。
【0039】
又、基板の最高加熱温度は300℃程度の比較的低い温度から1000℃以上の比較的高い温度まで幅広く適用することができる。反応管101内の気圧は常圧のほか、減圧から0.1MPa/cm2Gのように加圧下とすることもできる。
【0040】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく本発明の趣旨に基づいて種々の変形をすることが可能であり、それらを本発明から除外するものではない。例えば本発明の実施形態では、GaN系化合物半導体を用いた例を示したが、他の半導体材料、例えばInGaAlNのNの1部又は全部をAsおよび/またはP等で置換した材料やGaAs系化合物半導体を用いた気相成長方法、Si系基板を用いた半導体にも本発明を適用できる。
【0041】
【発明の効果】
以上、詳細に説明した様に本発明によると、基板に実質的に平行に配置されたガス導入部から原料ガスを導入するとともに原料ガスと原料ガスを含まないガスとの仕切り部の基板上に設けられた開口部で、原料ガスに原料ガスを含まないガスにより側圧を加えながら加熱された基板上に半導体膜を気相成長させるため、基板に均一に原料ガスを供給でき、ガス流の乱れのない、小型で窒化化合物半導体以外の使用もできる。使用ガスの量の少ない。半導体膜の気相成長装置を提供できるとともに、気相成長させる基板に対向した反応管壁を汚染することなく、固形物が基板上に落下することのない、反応管の清掃が不要で、連続して気相成長を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である気相成長装置を示す断面説明図である。
【図2】本発明の第2の実施形態である気相成長方法を示す断面説明図である。
【図3】本発明の第3の実施形態である気相成長方法を示す断面説明図である。
【符号の説明】
101:反応管
102:基板
103:サセプター
104:ヒーター
105:原料ガス導入部
106:反応済みガス排出部
107:原料ガスを含まないガス導入部
108:原料ガスを含まないガス排出部
109:原料ガス
110:原料ガスを含まないガス
111:仕切り部
112:仕切り部開口部
113:原料ガスを含まないガスの突出部
114:原料ガスを含まないガスの仕切り部下部流れ
Claims (12)
- 基板を載せるためのサセプターと、該サセプターを加熱するためのヒーターとそれらを内蔵する半導体膜を成長を行う気相成長装置において、反応管内部基板に実質的に並行になるように配置された下部に第1種ガスの導入部、排出部を有し、上部に第2種ガスの導入部、排出部を有する仕切り部の基板上部に開口部を設けたことを特徴とする気相成長装置。
- 第1種ガスと第2種ガスを隔てる仕切り部を反応管上部壁面とした/又は仕切り板としたことを特徴とする請求項1記載の気相成長装置。
- 第1種ガスと第2種ガスを隔てる仕切り部の開口部面積を、基板面積の0.5〜4倍にしたことを特徴とする請求項1記載の気相成長装置。
- 第2種ガスの流路長は第1種ガスの流路長より短くしたことを特徴とする請求項1記載の気相成長装置。
- 前記開口部の形状は長方形、正方形、円、楕円、卵形としたことを特徴とする請求項1記載の気相成長装置。
- 第1種ガスを原料ガスとし、第2種ガスを原料ガスを含まないガスとしたことを特徴とする請求項1記載の気相成長装置。
- 第1種ガスと第2種ガスを隔てる仕切り部の構成材料が石英であることを特徴とする請求項1記載の気相成長装置。
- 反応管内に設置された加熱された基板の表面に、原料ガスを供給して基板表面に実質的に半導体膜を気相成長させる方法において、基板に実質的に平行に配置された第1種ガスと第2種ガスを隔てる仕切り部の基板上部に開口部を設け、この開口部において第2種ガスを制御することにより第1種ガスに第2種ガスの側圧を加えることにより気相成長を行うことを特徴とする気相成長方法。
- 反応管内に設置された加熱された基板の表面に、原料ガスを供給して基板表面に実質的に半導体膜を気相成長させる方法において、基板に実質的に平行に配置された第1種ガスと第2種ガスを隔てる仕切り部の基板上部に開口部を設け、この開口部において第2種ガスを制御することにより第1種ガスに第2種ガスの側圧を加えるとともに基板上部以外の仕切り部下部へ第2種ガスを挟んで第1種ガスを排出するようにしたことを特徴とする気相成長方法。
- 第2種ガスの流量は第1種ガスの流量の1/3〜1/30であることを特徴とする請求項8〜9の気相成長方法。
- 第2種ガスの流量を制御することにより基板上部において第1種ガスへ第2種ガスによる側圧を加えたことを特徴とする請求項8〜9記載の気相成長方法。
- 基板の最高加熱温度が1000℃以上であることを特徴とする請求項8〜9記載の気相成長方法。
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2002
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