JP2004146221A - 有機電界発光素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】色純度が高く、かつ長期信頼性の高い有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】下部電極(陽極)3と上部電極(陰極)5との間に有機層4を狭持してなる有機EL素子(有機電界発光素子)1であって、有機層4は、陽極側から順に、正孔輸送層401、両電荷輸送性発光層402、電子輸送性発光層403および電子輸送層404を積層してなる。両電荷輸送性発光層402および電子輸送性発光層403の発光中心のエネルギーギャップは、電子輸送層404を構成する電子輸送性材料のエネルギーギャップよりも大きい。
【選択図】 図1
【解決手段】下部電極(陽極)3と上部電極(陰極)5との間に有機層4を狭持してなる有機EL素子(有機電界発光素子)1であって、有機層4は、陽極側から順に、正孔輸送層401、両電荷輸送性発光層402、電子輸送性発光層403および電子輸送層404を積層してなる。両電荷輸送性発光層402および電子輸送性発光層403の発光中心のエネルギーギャップは、電子輸送層404を構成する電子輸送性材料のエネルギーギャップよりも大きい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、陽極と陰極との間に電界発光層となる有機薄膜を狭持してなる有機電界発光素子(有機EL素子)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ブラウン管(CRT)に代わる表示装置として、軽量で消費電力の小さいフラットパネルディスプレイの研究、開発が盛に行われている。
【0003】
このうち、アクティブマトリックス駆動などの液晶ディスプレイが既に商品化されている。しかしながら、液晶ディスプレイは、視野角が狭く、また、自発光でないため周囲が暗い環境下ではバックライトの消費電力が大きいことや、今後実用化が期待されている高精細度の高速ビデオ信号に対して十分な応答性能を有しない等の問題点がある。特に、大画面サイズのディスプレイを製造することは困難であり、そのコストが高い等の課題もある。
【0004】
これに対する代替として、発光ダイオードを用いたディスプレイの可能性があるが、やはり製造コストが高く、また、1つの基板上に発光ダイオードのマトリックス構造を形成することが難しい等の問題があり、ブラウン管に取って代わる低価格のディスプレイ候補としては、実用化までの課題が大きい。
【0005】
これらの諸課題を解決する可能性のあるフラットパネルディスプレイとして、有機電界発光素子(以下、有機EL素子)を用いた有機ELディスプレイが注目されている。有機EL素子は、陽極と陰極との間に、電流の注入によって発光する発光材料を含む有機薄膜を狭持してなる構成であり、各々の電極から有機膜中に注入された正孔と電子が再結合することにより発光し、応答速度が高速であると共に、自発光であるため視野角依存性の無いフラットパネルディスプレイの実現が期待されている。
【0006】
また、有機EL素子における発光は発光材料の基底状態と励起状態のエネルギーギャップに対応した波長帯で起きる。このため、発光材料に用いる有機化合物の分子構造を変化させることによって発光色を任意に変えることが可能であり、分子設計を施すことにより、フルカラーディスプレイに必要な色純度の良いR(赤)、G(緑)、B(青)の3色を揃えることは、無機物を用いた薄膜EL素子と比べて容易であると言える。例えば、青色発光素子については、特定のジスチリル化合物を有機EL材料として用いた構成が提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
このような有機EL素子においては、有機薄膜を、正孔輸送性材料層と電子輸送性材料層との2層とし、正孔輸送材料層または電子輸送材料層のいずれかが発光材料層を兼ねる、いわゆるシングルヘテロ構造とすることで、大幅な駆動電圧の低減と発光効率の改善が図られている(例えば非特許文献1参照)。またさらに、有機薄膜を、正孔輸送材料層、発光材料層および電子輸送材料層の3層構造(ダブルヘテロ構造)とする構造(非特許文献2参照)や、この電子輸送材料層中に発光材料を含ませた構造(非特許文献3参照)が提案され、駆動電圧のさらなる低減と発光輝度の向上が図られている。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−188649号
【非特許文献1】
C. W. Tang,S.A. VanSlyke,「Applied Physics Letters」(米),1987年,第51巻,第12号,p.913−915
【非特許文献2】
C. Adachi,S. Tokito,T. Tsutsui,S. Saito,「Japanese Journal of Applied Physics」,1988年,第27巻,第2号,p.L269−L271
【非特許文献3】
C. W. Tang,S. A. VanSlyke,C. H. Chen,「Journal of Applied Physics」(米),1989年,第65巻,第9号,p.3610−3616
【0009】
ところで、以上説明した有機EL素子を用いたディスプレイの商品化にあたっては、高輝度発光での長期信頼性が求められている。
【0010】
そこで、例えば電子輸送性の発光層に正孔輸送材料をドープすることで、有機層内における膜厚方向の正孔と電子の再結合領域を広くし、発光材料の局所的な劣化を抑制する構成が提案されている(非特許文献4,5参照)。
【0011】
また、正孔輸送層と電子輸送層の両方に発光中心となるドーパントを分散させることで発光効率を向上させる構成が提案されている(特許文献2参照)。
【0012】
また、アルミニウム錯体を電子輸送層に用いながら、有機EL素子の積層構造の中にエキシトン生成促進層を設けて正孔と電子のエネルギー的な閉じ込め構造を作ることにより、発光層にて正孔と電子とを効率良く結合させ、高い輝度および発光材料独自の発光色での発光を得る構成が提案されている(特許文献3−6参照)。
【0013】
さらに、励起子のエネルギー移動によって発光層からエネルギーが移動し効率が低下する素子の場合も、正孔ブロッキング層と呼ばれる層を発光層と電子輸送層の間に設けることによって高効率の発光を得る構成が提案されている(特許文献7,8参照)。
【0014】
【非特許文献4】
Vi−En Choong,「Applied Physics Letters」(米),1999年,第75巻,第2号,p.172−174
【非特許文献5】
Anna B. Chwang,「Applied Physics Letters」(米),2002年,第80巻,第5号,p.725−727
【特許文献2】
特開平6−158038
【特許文献3】
特開平10−79297
【特許文献4】
特開平11−204258
【特許文献5】
特開平11−204264
【特許文献6】
特開平11−204259
【特許文献7】
特開2001−237079
【特許文献8】
特開2001−237080
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した構成の有機EL素子においては、ある程度の長期信頼性は確保できるものの、R(赤),G(緑),B(青)各色に発光する各素子においての長期信頼性を確保することは困難であった。
【0016】
すなわち、非特許文献4,5に示されているように、電子輸送性の発光層に正孔輸送材料をドープすることで、有機層内における膜厚方向の正孔と電子の再結合領域を広くした構成では、緑色発光素子についての信頼性の向上は確認されたものの、青色発光素子に適用した場合には、青色の発光材料のバンドギャップが広いため、正孔が電子輸送層まで到達し、バンドギャップの狭いアルミニウム錯体からなる電子輸送層からの発光も生じてしまい、色純度および効率の高い青色発光は得られない。これを解決するためには、電子輸送層にバンドギャップの大きく、安定性の高い材料を使用することが有効と考えられるが、青色発光に適したバンドギャップの広い電子輸送材料はないのが現状である。
【0017】
また、特許文献2に示されているように、正孔輸送層と電子輸送層の両方に発光中心となるドーパントを分散させた構造は、正孔輸送層と電子輸送層の界面で生成する励起子のエネルギーを効率よく発光に利用ことは可能であるが、発光領域を膜厚方向に拡大することによるデバイスの劣化抑制の効果は小さい。
【0018】
さらに、特許文献3−6のようなエキシトン生成促進層によって電荷の閉じ込めを行う構成では、正孔と電子の再結合領域を非常に狭くし、再結合部位の発光材料の局所的な負荷が大きく、デバイスの劣化抑制の効果は小さい。また、発光層とエキシトン生成促進層との注入障壁が大きいため界面に多量に蓄積する正孔によって有機分子は不安定な状態になり、分解、失活を起こすと考えられる。
【0019】
以上の理由により、各色(特に青色)に発光する有機EL素子において、色純度が高く、フルカラーパネルにおいて使用した場合に白色300(cd/m2)で1000時間以上の半減寿命を達成することができなかった。
【0020】
そこで本発明は、色純度を維持しながらも、高輝度での長時間の安定した発光が可能な有機EL素子を提供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するための本発明の有機EL素子は、陽極と陰極との間に有機層を狭持してなり、特に有機層の構成が、陽極側から順に、正孔輸送層、両電荷輸送性発光層、電子輸送性発光層および電子輸送層を積層してなることを特徴としている。
【0022】
このような構成の有機EL素子では、陽極から注入された正孔は、正孔輸送層を介して、両電荷輸送性発光層内および電子輸送性発光層における両電荷輸送性発光層の界面に近い部分にまで供給される。一方、陰極から注入された電子は、電子輸送層を介して、電子輸送性発光層内および両電荷輸送性発光層内にまで供給される。したがって、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子とが結合する領域、すなわち発光領域は、両電荷輸送性発光層内および電子輸送性発光層における両電荷輸送性発光層の界面に近い部分にまで拡大される。しかもこの際、電子輸送性発光層の存在により、陽極側から注入された正孔が電子輸送層にまで達することはないため、電子輸送層の構成材料が発光に対して影響を及ぼすことを防止でき、両電荷輸送性発光層および電子輸送性発光層に含有されている発光材料に特有の発光色を色純度良く発光させることが可能になる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の有機EL素子の構成を図面に基づいて詳細に説明する。図1および図2は、本発明の有機EL素子を模式的に示す断面図である。
【0024】
これら図に示す有機EL素子1,1’は、基板2上に、下部電極3、有機層4及び上部電極5を順次積層してなり、保護膜6で気密に覆われた構成となっている。特に、図1に示す有機EL素子1は、この素子で発光した発光光20を上部電極5側から取り出す、いわゆる上面発光型として構成されている。一方、図2に示す有機EL素子1’は、この素子で発光した発光光20を下部電極3および基板2側から取り出す、いわゆる透過型として構成されている。
【0025】
次に、これらの有機EL素子1,1’を構成する各部の詳細な構成を、基板2、下部電極3及び上部電極5、さらには本発明に特有の構成を備えた有機層4の順に説明する。
【0026】
先ず、基板2は、ガラス、シリコン、プラスチック基板、さらにはTFT(thin film transistor)が形成されたTFT基板などからなり、特に図2に示す透過型の有機EL素子1’の場合には、この基板2は光透過性を有する材料で構成されることとする。さらに、有機EL素子1,1’を他の表示素子と組み合わせて用いる場合には、他の表示素子と基板を共用することもできる。
【0027】
そして、下部電極3は、陽極または陰極として用いられるものである一方、上部電極5は、下部電極3が陽極である場合には陰極として用いられ、下部電極3が陰極である場合には陽極として用いられる。そして、これらの下部電極3および上部電極5間には、電流注入用の駆動電源7が接続されている。尚、図1,図2においては、下部電極3が陽極であり、上部電極5が陰極である場合を例示した。
【0028】
ここで、下部電極3は、有機EL素子1,1’の駆動方式によって適する形状にパターニングされていることとする。例えば、この有機EL素子1,1’を用いた表示装置の駆動方式が単純マトリックス型である場合には、この下部電極3は例えばストライプ状に形成される。また、表示装置の駆動方式が画素毎にTFTを備えたアクティブマトリックス型である場合には、下部電極3は複数配列された各画素に対応させてパターン形成され、同様に各画素に設けられたTFTに対して、これらのTFTを覆う層間絶縁膜に形成されたコンタクトホール(図示省略)を介してそれぞれが接続される状態で形成されることとする。
【0029】
一方、上部電極5は、この有機EL素子1,1’を用いた表示装置が、単純マトリックス型である場合には、下部電極3のストライプと交差するストライプ状に形成され、これらが交差して積層された部分が有機EL素子1,1’となる。また、この表示装置が、アクティブマトリックス型である場合には、この上部電極5は、基板2上の一面を覆う状態で成膜されたベタ膜状に形成され、各画素に共通の電極として用いられることとする。尚、表示装置の駆動方式としてアクティブマトリックス型を採用する場合には、図1に示した上面発光型の有機EL素子1を用いることで素子の開口率を向上させることが好ましい。
【0030】
また下部電極3(または上部電極5)を構成する陽極材料としては,仕事関数がなるべく大きなものがよく、たとえば、ニッケル、金、白金、パラジウム、セレン、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、レニウム、タングステン、モリブデン、クロム、タンタル、ニオブやこれらの合金、あるいは酸化錫(SnO2)、酸化インジウム錫(ITO:Indium tin oxide)、酸化亜鉛、酸化チタン等が好ましい。
【0031】
一方、上部電極5(または下部電極3)を構成する陰極材料としては仕事関数がなるべく小さなものがよく、例えば、Li、Mg、Ca等の活性な金属とAg、Al、In等の金属との合金、或いはこれらを積層した構造を使用できる。
【0032】
以上説明した下部電極3および上部電極5のうち、この有機層4で生じた発光光を取り出す側となる電極は、上述した材料の中から光透過性を有する材料を適宜選択して用いることとし、用途に合った光透過率が得られるようにその膜厚が調整されていることとする。一方、他方の電極には、反射率の良好な材料を適宜選択して用いることとする。
【0033】
そして、有機層4は、陽極側(図面においては下部電極3側)から順に、正孔輸送層401、両電荷輸送性発光層402、電子輸送性発光層403、電子輸送層404を積層してなる、いわゆるダブルヘテロ構造となっている。なお、この有機EL素子1,1’が、下部電極3を陰極とし、上部電極5を陽極として用いた場合、上述した有機層4は、陽極となる上部電極5側から順に、正孔輸送層401、両電荷輸送性発光層402、電子輸送性発光層403、電子輸送層404を積層された構成となる。
【0034】
以下、これらの各層401−404の構成を、陽極側から順次説明する。
【0035】
正孔輸送層401は、正孔を輸送するように設計された層である。この正孔輸送層401は、正孔輸送性能を向上させるために、複数種の正孔輸送材料を積層した構成であっても良い。
【0036】
この正孔輸送層401を形成する材料(正孔輸送性材料)としては、例えばベンジジン又はその誘導体、スチリルアミン又はその誘導体、トリフェニルメタン又はその誘導体をはじめ、ポルフィリン又はその誘導体、トリアゾール又はその誘導体、イミダゾール又はその誘導体、オキサジアゾール又はその誘導体、ポリアリールアルカン又はその誘導体、フェニレンジアミン又はその誘導体、アリールアミン又はその誘導体、オキサゾール又はその誘導体、アントラセン又はその誘導体、フルオレノン又はその誘導体、ヒドラゾン又はその誘導体、スチルベン又はその誘導体、フタロシアニンまたはその誘導体、ポリシラン系化合物、ビニルカルバゾール系化合物、チオフェン系化合物、アニリン系化合物等の複素環式共役系のモノマー、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。
【0037】
正孔輸送性材料の具体的な例としては、:α−ナフチルフェニルジアミン(αNPD)、ポルフィリン、金属テトラフェニルポルフィリン、金属ナフタロシアニン、4,4’,4”−トリメチルトリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、N,N,N’,N’−テトラキス(p−トリル)p−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル、N−フェニルカルバゾール、4−ジ−p−トリルアミノスチルベン、ポリ(パラフェニレンビニレン)、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリ(2,2’−チエニルピロール)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
両電荷輸送性発光層402は、正孔および電子を輸送すると共に、発光層としても機能するように設計された層であり、電荷の再結合領域が両電荷輸送性発光層402の陽極側の界面から陰極側の界面にまで広がっていることが好ましい。このため、この両電荷輸送性発光層402は、a)正孔輸送性材料、b)電子輸送性材料、c)両電荷輸送性材料、d)発光材料(蛍光性または燐光性)、e)正孔輸送性発光材料、f)電子輸送性発光材料、さらにはg)両電荷輸送性発光材料のなかから適宜必要とされる材料を組み合わせて構成される。これらの各材料は、発光性能および電子輸送性能を確保するために、必要に応じて各材料カテゴリーから単数または複数の材料が適宜選択して用いられる。
【0039】
このような両電荷輸送性発光層402に使用可能な材料としては例えば、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、バソフェナントロリン誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、スチリルベンゼン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、アミノスチリル誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、アントラセン誘導体、ジフェニルアントラセン誘導体、ピレン誘導体、カルバゾール誘導体、オキサジアゾールダイマー、ビラゾリンダイマー、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロビウム錯体、イリジウム錯体、白金錯体等、中心金属にAl、Zn、Be、Pt、Ir、Tb、Eu、Dy等の金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体等が挙げられるが、これに限定されない。また、上記の両電荷輸送性発光層に使用可能な材料を複数用いてもよく、ドーピングしてもよい。
【0040】
なお、これらの材料は、例えば置換基の種類によって、上述したa)−g)のいずれか1つの材料となる。例えば、a)およびe)の具体例としてはαNPD、b)およびf)の具体例としてはスチリルアリーレン誘導体のDPVBi(下記式(1)に示す)が挙げられ、d)の具体例としてはペリレン、スチリルアリーレン誘導体のBCzVBi(下記式(2)に示す)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
【化1】
【0042】
以上の材料の具体的な組み合わせの例としては、▲1▼電子輸送性のDPVBiやジフェニルアントラセン誘導体に正孔輸送性発光材料としてαNPDをドープする、▲2▼正孔輸送性のαNPDに電子輸送性発光材料のスチルベン誘導体をドープする、▲3▼正孔および電子両電荷輸送性のアミノスチリル誘導体発光材料を使用する、▲4▼正孔および電子両電荷輸送性のアミノスチリル誘導体にペリレンを発光材料としてドープする、▲5▼正孔輸送性のαNPDと電子輸送性のDPVBiの混合ホストに青色の発光材料としてBCzVBiをドープする、等の手法が使用できる。
【0043】
以上のような両電荷輸送性発光層402は、発光層として十分に機能し、かつ膜厚方向に十分な電荷の再結合領域が確保できるように、適正な膜厚に設計されていることが重要である。このような膜厚としては、0.1〜200nm程度が好ましい。さらに好ましくは1〜100nmとすることで、発光機能を十分に発現させることができる。
【0044】
また、この両電荷輸送性発光層402は、単一層からなるものに限定されることはなく、複数層で構成されても良い。この場合、両電荷輸送性発光層402は、その電荷輸送性能を制御するために、例えば正孔輸送層401側に正孔輸送性材料または正孔輸送性発光材料をホストとして電子輸送性材料をドーピングした層を設け、電子輸送性発光層403側に電子輸送性材料または電子輸送性発光材料をホストとして正孔輸送性材料をドーピングした層を設けた2層構造としても良い。さらに、両電荷輸送性発光層402は、正孔輸送性材料または正孔輸送性発光材料をホストとして電子輸送性材料をドーピングした複数層を、正孔輸送層401側から電子輸送性発光層403側に向けてドーピング量を徐々に増加させるように積層させた構成であっても良い。
【0045】
そして、電子輸送性発光層403は、電子を輸送すると共に、発光層としても機能するように設計された層であり、発光性の電子輸送性材料で構成されており、さらに発光材料が添加されているか、または電子輸送性発光材料で構成されている。なお、この電子輸送性発光層403は、両電荷輸送性発光層402と同色の発光機能を持っていることが好ましい。
【0046】
また、この電子輸送性発光層403は、正孔や励起子を電子輸送層404に到達させないようにすることができれば良く、正孔輸送性を制御するために、例えば、正孔移動を妨げるような材料を含んでいてもよい。ただし、正孔が電子輸送層404に到達する場合であっても、電子輸送層404においての発光が所望の発光色(両電荷輸送性発光層402および電子輸送性発光層403での発光色)に影響を与えない範囲で正孔輸送材料を含んでいるか、あるいは正孔輸送性を持っていても良い。
【0047】
このような電子輸送性発光層403に使用可能な材料としては、例えば、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、オキサジアゾール誘導体、バソフェナントロリン誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、スチリルベンゼン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、アミノスチリル誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、アントラセン誘導体、ジフェニルアントラセン誘導体、ピレン誘導体、カルバゾール誘導体、オキサジアゾールダイマー、ビラゾリンダイマー、金属酸化物、金属フッ化物、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロビウム錯体、イリジウム錯体、白金錯体等、中心金属にAl、Zn、Be、Pt、Ir、Tb、Eu、Dy等の金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体等が挙げられるが、これに限定されない。また、所望の発光色を得るためにドーピングを行ってもよい。
【0048】
電子輸送性発光層の材料の具体的な例としては、上記式(1)に示したDPVBiが挙げられ、これらにペリレン、上記式(2)に示したBCzVBi等をドープしてもよいし、正孔輸送性を下げるために、バソクプロイン(BCP)や4,4’−ビス(N−カルバゾイル)ビフェニル(CBP)等を混合してもよいが、これらに限定されるものではない。
【0049】
また、電子輸送層404は、電子を輸送するように設計された層である。この電子輸送層404は、電子輸送性能を向上させるために、複数種の電子輸送材料を積層した構成であっても良い。
【0050】
このような電子輸送性材料として使用可能な材料としては、例えば、キノリン系誘導体、ペリレン系誘導体、スチリル系誘導体、ビススチリル系誘導体、ピラジン系誘導体等が挙げられる。
【0051】
電子輸送性材料の具体的な例としては、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)、8−ヒドロキシメチルキノリンアルミニウム、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、スチルベン、又はこれらの誘導体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に、有機EL素子1,1’の安定駆動をため、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム、8−ヒドロキシメチルキノリンアルミニウム等のキノリン系誘導体とアルミニウムの錯体が好ましく用いられる。
【0052】
なお、有機層4は、以上の説明したような積層構造に限定されることはなく、正孔輸送層401〜電子輸送層404までの層構造が上述した構成に保たれていれば、例えば、正孔輸送層401と陽極との間に正孔注入層を設けたり、電子輸送層404と陰極との間に電子注入層を設けた構成であっても良い。
【0053】
また、以上述べたような積層構造で構成された有機層4は、周知の方法にて合成された各有機材料を用いて、真空蒸着やスピンコートなどの周知の方法を適用して行うことができる。この際、各層401−404が単一材料で構成されているか、より少ない材料構成であれば、成膜の際の組成制御が容易であるため好ましい。
【0054】
以上説明した構成の有機EL素子1,1’の駆動は、下部電極3(陽極)と上部電極5(陰極)との間に直流電圧を印加することにより、陽極から注入された正孔が正孔輸送層401を経て、また陰極から注入された電子が電子輸送層404を経て電子輸送性発光層403および、両電荷輸送性発光層402に到達する。この結果、両電荷輸送性発光層402および電子輸送性発光層403において電子/正孔の再結合が生じて励起子が生成し、この励起子が基底状態に戻る際に発光光20としてエネルギーを放出する。
【0055】
そして特にこのような構成の有機EL素子1,1’においては、上述した発光の際には、陽極から注入された正孔は、正孔輸送層401を介して、両電荷輸送性発光層402内および電子輸送性発光層403における両電荷輸送性発光層の界面に近い部分にまで供給される。一方、陰極から注入された電子は、電子輸送層404を介して、電子輸送性発光層403内および両電荷輸送性発光層402内にまで供給される。したがって、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子とが結合する再結合領域、すなわち発光領域aは、両電荷輸送性発光層402内および電子輸送性発光層403における両電荷輸送性発光層402の界面に近い部分にまで拡大される。
【0056】
これにより、発光領域aが狭いことによるその局所的な劣化を防止することが可能となり、長期にわたって発光輝度を維持した表示が可能になる。
【0057】
しかもこの際、電子輸送性発光層403の存在により、陽極側から注入された正孔が電子輸送層404にまで達することはないため、電子輸送層404の構成材料が発光に対して影響を及ぼすことを防止でき、両電荷輸送性発光層402および電子輸送性発光層403に含有されている発光材料に特有の発光色を色純度良く発光させることが可能になる。
【0058】
このため例えば電子輸送層404が、Alq3のような緑色に発光する材料で構成されていたとしても、この電子輸送層404に正孔が達することはないため、電子輸送層404において緑色の発光が生じることはない。特に、両電荷輸送性発光層402と電子輸送性発光層403において青色の発光を行う場合、電子輸送層404が緑色に発光する電子輸送材料を用いて構成されていても、すなわち、両電荷輸送性発光層402および電子輸送性発光層403の発光中心のエネルギーギャップが、電子輸送層404を構成する電子輸送性材料のエネルギーギャップよりも大き場合であっても、電子輸送層404が発光領域aとなることがないため、両電荷輸送性発光層402および電子輸送性発光層403で青色発光の色純度を確保することができる。
【0059】
また、以上のようにして長期信頼性に優れた輝度の高い青色発光が可能となったことで、上述した構成の有機EL素子1,1’を青色発光素子とし、赤色発光素子及び緑色発光素子と組み合わせて表示装置を構成することで、色表現性の高いフルカラー表示が可能になる。
【0060】
さらに、以上のように構成された有機層4は、例えば特開2001−43980や特開2002−198182に記載のように、共振器構造を最適化して取り出し光の強度が高められるように設計されていても良い。この場合、有機層4の光学的膜厚には、発光色に応じた適正値が存在する。このため、発光領域aを広げるために、ただ単に発光層の膜厚を増加させた場合には、共振構造を確保することが困難になるが、発光層を両電荷輸送性発光層402と電子輸送性発光層403との2層構造にした本発明では、共振構造を維持したまま発光領域aのみを広げることも可能となる。
【0061】
なお、有機EL素子1,1’に印加する電流は通常、直流であるが、パルス電流や交流を用いてもよい。電流値、電圧値は、素子破壊しない範囲内であれば特に制限はないが、有機EL素子の消費電力や寿命を考慮すると、なるべく小さい電気エネルギーで効率良く発光させることが望ましい。
【0062】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例1,2、及びこれらの実施例に対する比較例1−3の有機EL素子の製造手順を説明し、その後これらの評価結果を説明する。なお、下記表1には、参考のため実施例1で用いた材料を示し、実施例2、比較例1−3に付いては実施例1と異なる材料のみを示した。
【0063】
【表1】
【0064】
<実施例1>
実施例1では、図2を用いて説明した透過型の有機EL素子を作製した。
【0065】
まず、30mm×30mmのガラス板からなる基板2上に、陽極となる下部電極3としてITO(膜厚約100nm)を形成し、さらにSiO2蒸着により2mm×2mmの発光領域以外を絶縁膜(図示省略)でマスクした有機EL素子用のセルを作製した。
【0066】
次に、各発光領域となる下部電極3(ITO)の露出部上に他に開口を有する金属マスクを基板2上に近接して配置し、10−4Pa以下の真空下での真空蒸着法により、以下の有機層を順次形成した。
【0067】
先ず、正孔輸送層401として下記式(3)に示すm−MTDATA(4,4’,4”−トリス(3―メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミンを16nmの厚さで成膜した。蒸着レートは0.1nm/秒とした。
【0068】
【化2】
【0069】
次いで、両電荷輸送性発光層402として、下記式(4)に示すα−NPD(α−ナフチルジアミン)と下記式(5)に示すDPVBiとを、α−NPD:DPVBi=1:3の比率で用いてこれをホストとし、青色の発光ドーパントとして下記式(6)に示すBCzVBiを3%ドープした共蒸着層を20nmの厚さで成膜した。蒸着レートは0.1nm/秒とした。
【0070】
【化3】
【0071】
さらに、電子輸送性発光層403として、上記式(5)に示したDPVBiをホストとし、発光ドーパントとして上記式(6)に示したBCzVBiを3%ドープした共蒸着層を35nmの厚さに電子輸送性発光層として成膜した。蒸着レートは0.1nm/秒とした。
【0072】
そして、電子輸送層404として、下記式(7)に示すAlq3(8−ヒドロキシキノリンアルミニウム)を12nmの厚さで成膜した。蒸着レートは0.2nm/秒とした。
【0073】
【化4】
【0074】
次に、陰極となる上部電極5として、MgとAgの共蒸着比10:1の薄膜を50nmの膜厚で成膜し、さらにAgを150nmの厚さに形成した。蒸着レートは0.5nm/秒とした。
【0075】
以上により、実施例1による有機EL素子を作製した。
【0076】
<実施例2>
実施例2では、図1を用いて説明した上面発光型の有機EL素子を作製した。
【0077】
実施例2における有機EL素子1’の作製は、上述した実施例1の製造手順において、陽極となる下部電極3および陰極となる上部電極5の材料を変更したこと以外は、実施例1と同様の手順で行った。
【0078】
すなわち、陽極となる下部電極3として、100nmの厚さのクロム(Cr)からなる陽極を形成した。また、陰極となる上部電極5として、MgとAgの共蒸着比10:1を12nmの膜厚で成膜し、さらにITOを150nmの膜厚で成膜した。蒸着レートは0.5nm/秒とした。
【0079】
<比較例1>
比較例1においては、有機層として正孔輸送層/両電荷輸送性発光層/電子輸送層を、陽極側からこの順に積層してなる有機EL素子を作製した。このような比較例1の有機EL素子の作製は、上述した実施例1の製造手順において電子輸送性発光層403の形成を省略したこと以外は、実施例1と同様の手順で行った。ただし、両電荷輸送性発光層402の膜厚は、実施例1においては20nmであったのに対し、本比較例1においては35nmとした。
【0080】
<比較例2>
比較例2においては、有機層として、正孔輸送層/電子輸送性発光層/電子輸送層を、陽極側からこの順に積層してなる有機EL素子を作製した。このような比較例2の有機EL素子の作製は、上述した実施例1の製造手順において両電荷輸送性発光層402の形成を省略したこと以外は、実施例1と同様の手順で行った。
【0081】
<比較例3>
比較例3においては、有機層として、正孔輸送層/正孔輸送性発光層/電子輸送性発光層/電子輸送層を、陽極側からこの順に積層してなる有機EL素子を作製した。このような比較例3の有機EL素子の作製は、上述した実施例1の製造手順において、両電荷輸送性発光層402にかえて、正孔輸送性発光層を形成したこと以外は、実施例1と同様の手順で行った。
【0082】
すなわち、正孔輸送性発光層として、上記式(4)に示したαNPDに、発光ドーパントとして上記式(6)に示したBCzVBiを3%ドープした共蒸着層を20nmの厚さで成膜した。蒸着レートは0.1nm/秒とした。
【0083】
以上の用にして作製した実施例1,2および比較例1−3の有機EL素子について、▲1▼発光ピーク波長、▲2▼初期輝度、▲3▼輝度半減寿命の測定を行った結果を下記表2に示す。
【0084】
【表2】
【0085】
なお、▲1▼発光ピーク波長は、窒素雰囲気下で順バイアス直流電圧を加えた場合の発光を分光測定した。▲2▼初期輝度は、電流密度25mA/cm2を加えた場合の輝度を測定した。▲3▼輝度半減寿命の測定においては、電流密度25mA/cm2で通電して連続発光して強制劣化させた際に、輝度が半減するまでの時間を測定した。
【0086】
また、図3には、実施例1と比較例2の有機EL素子について、▲3▼輝度半減寿命の測定においての輝度(EL)の径時変化のグラフを示した。なお、縦軸の輝度(EL)は、初期輝度を1としている。
【0087】
以上の測定の結果、実施例1,2の有機EL素子においては、▲1▼発光ピーク波長から色純度の良好な青色の発光が得られ、また▲2▼初期輝度も十分であり、▲3▼輝度半減寿命の測定値から長期信頼性も高いことが確認された。さらに、有機EL素子を作製後、窒素雰囲気下に1カ月間放置したが、素子劣化は観察されず、このことからも長期信頼性の高さが確認された。
【0088】
これに対して比較例1の有機EL素子においては、▲1▼発光ピーク波長が2箇所測定され、色純度の良好な青色の発光を得ることができなかった。これは、両電荷輸送性発光層を一部の正孔が通過し、電子輸送層のAlq3が発光した影響と考えられる。また▲2▼初期輝度も、実施例1,2と比較して1桁程度低く、十分な輝度を得ることができなかった。
【0089】
さらに比較例2,3の有機EL素子においては、▲3▼輝度半減寿命の測定値から明らかなように、実施例1,2との比較において長期信頼性が半分以下の低い値しか得ることができなかった。
【0090】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の有機EL素子によれば、正孔輸送層と電子輸送層との間の発光層を両電荷輸送性発光層と電子輸送性発光層との2層構造にしたことで、両電荷輸送性発光層内および電子輸送性発光層における両電荷輸送性発光層の界面に近い部分にまで発光領域を拡大することが可能になると共に、電子輸送性発光層の存在により陽極側から注入された正孔が電子輸送層にまで達することを防止して電子輸送層の構成材料が発光に対して影響を及ぼすことを防止できる。この結果、色純度が高く、しかも発光領域の劣化を防止した高輝度かつ長時間安定な発光を有する有機EL素子を提供することが可能となる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL素子の第1の例を示す断面図である。
【図2】本発明の有機EL素子の第2の例を示す断面図である。
【図3】実施例1と比較例2の有機EL素子の輝度劣化を示すグラフである。
【符号の説明】
1,1’…有機EL素子(有機電界発光素子)、2…基板、3…下部電極(陽極)、4…有機層、5…上部電極(陰極)、401…正孔輸送層、402…両電荷輸送性発光層、403…電子輸送性発光層、404…電子輸送層
【発明の属する技術分野】
本発明は、陽極と陰極との間に電界発光層となる有機薄膜を狭持してなる有機電界発光素子(有機EL素子)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ブラウン管(CRT)に代わる表示装置として、軽量で消費電力の小さいフラットパネルディスプレイの研究、開発が盛に行われている。
【0003】
このうち、アクティブマトリックス駆動などの液晶ディスプレイが既に商品化されている。しかしながら、液晶ディスプレイは、視野角が狭く、また、自発光でないため周囲が暗い環境下ではバックライトの消費電力が大きいことや、今後実用化が期待されている高精細度の高速ビデオ信号に対して十分な応答性能を有しない等の問題点がある。特に、大画面サイズのディスプレイを製造することは困難であり、そのコストが高い等の課題もある。
【0004】
これに対する代替として、発光ダイオードを用いたディスプレイの可能性があるが、やはり製造コストが高く、また、1つの基板上に発光ダイオードのマトリックス構造を形成することが難しい等の問題があり、ブラウン管に取って代わる低価格のディスプレイ候補としては、実用化までの課題が大きい。
【0005】
これらの諸課題を解決する可能性のあるフラットパネルディスプレイとして、有機電界発光素子(以下、有機EL素子)を用いた有機ELディスプレイが注目されている。有機EL素子は、陽極と陰極との間に、電流の注入によって発光する発光材料を含む有機薄膜を狭持してなる構成であり、各々の電極から有機膜中に注入された正孔と電子が再結合することにより発光し、応答速度が高速であると共に、自発光であるため視野角依存性の無いフラットパネルディスプレイの実現が期待されている。
【0006】
また、有機EL素子における発光は発光材料の基底状態と励起状態のエネルギーギャップに対応した波長帯で起きる。このため、発光材料に用いる有機化合物の分子構造を変化させることによって発光色を任意に変えることが可能であり、分子設計を施すことにより、フルカラーディスプレイに必要な色純度の良いR(赤)、G(緑)、B(青)の3色を揃えることは、無機物を用いた薄膜EL素子と比べて容易であると言える。例えば、青色発光素子については、特定のジスチリル化合物を有機EL材料として用いた構成が提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
このような有機EL素子においては、有機薄膜を、正孔輸送性材料層と電子輸送性材料層との2層とし、正孔輸送材料層または電子輸送材料層のいずれかが発光材料層を兼ねる、いわゆるシングルヘテロ構造とすることで、大幅な駆動電圧の低減と発光効率の改善が図られている(例えば非特許文献1参照)。またさらに、有機薄膜を、正孔輸送材料層、発光材料層および電子輸送材料層の3層構造(ダブルヘテロ構造)とする構造(非特許文献2参照)や、この電子輸送材料層中に発光材料を含ませた構造(非特許文献3参照)が提案され、駆動電圧のさらなる低減と発光輝度の向上が図られている。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−188649号
【非特許文献1】
C. W. Tang,S.A. VanSlyke,「Applied Physics Letters」(米),1987年,第51巻,第12号,p.913−915
【非特許文献2】
C. Adachi,S. Tokito,T. Tsutsui,S. Saito,「Japanese Journal of Applied Physics」,1988年,第27巻,第2号,p.L269−L271
【非特許文献3】
C. W. Tang,S. A. VanSlyke,C. H. Chen,「Journal of Applied Physics」(米),1989年,第65巻,第9号,p.3610−3616
【0009】
ところで、以上説明した有機EL素子を用いたディスプレイの商品化にあたっては、高輝度発光での長期信頼性が求められている。
【0010】
そこで、例えば電子輸送性の発光層に正孔輸送材料をドープすることで、有機層内における膜厚方向の正孔と電子の再結合領域を広くし、発光材料の局所的な劣化を抑制する構成が提案されている(非特許文献4,5参照)。
【0011】
また、正孔輸送層と電子輸送層の両方に発光中心となるドーパントを分散させることで発光効率を向上させる構成が提案されている(特許文献2参照)。
【0012】
また、アルミニウム錯体を電子輸送層に用いながら、有機EL素子の積層構造の中にエキシトン生成促進層を設けて正孔と電子のエネルギー的な閉じ込め構造を作ることにより、発光層にて正孔と電子とを効率良く結合させ、高い輝度および発光材料独自の発光色での発光を得る構成が提案されている(特許文献3−6参照)。
【0013】
さらに、励起子のエネルギー移動によって発光層からエネルギーが移動し効率が低下する素子の場合も、正孔ブロッキング層と呼ばれる層を発光層と電子輸送層の間に設けることによって高効率の発光を得る構成が提案されている(特許文献7,8参照)。
【0014】
【非特許文献4】
Vi−En Choong,「Applied Physics Letters」(米),1999年,第75巻,第2号,p.172−174
【非特許文献5】
Anna B. Chwang,「Applied Physics Letters」(米),2002年,第80巻,第5号,p.725−727
【特許文献2】
特開平6−158038
【特許文献3】
特開平10−79297
【特許文献4】
特開平11−204258
【特許文献5】
特開平11−204264
【特許文献6】
特開平11−204259
【特許文献7】
特開2001−237079
【特許文献8】
特開2001−237080
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した構成の有機EL素子においては、ある程度の長期信頼性は確保できるものの、R(赤),G(緑),B(青)各色に発光する各素子においての長期信頼性を確保することは困難であった。
【0016】
すなわち、非特許文献4,5に示されているように、電子輸送性の発光層に正孔輸送材料をドープすることで、有機層内における膜厚方向の正孔と電子の再結合領域を広くした構成では、緑色発光素子についての信頼性の向上は確認されたものの、青色発光素子に適用した場合には、青色の発光材料のバンドギャップが広いため、正孔が電子輸送層まで到達し、バンドギャップの狭いアルミニウム錯体からなる電子輸送層からの発光も生じてしまい、色純度および効率の高い青色発光は得られない。これを解決するためには、電子輸送層にバンドギャップの大きく、安定性の高い材料を使用することが有効と考えられるが、青色発光に適したバンドギャップの広い電子輸送材料はないのが現状である。
【0017】
また、特許文献2に示されているように、正孔輸送層と電子輸送層の両方に発光中心となるドーパントを分散させた構造は、正孔輸送層と電子輸送層の界面で生成する励起子のエネルギーを効率よく発光に利用ことは可能であるが、発光領域を膜厚方向に拡大することによるデバイスの劣化抑制の効果は小さい。
【0018】
さらに、特許文献3−6のようなエキシトン生成促進層によって電荷の閉じ込めを行う構成では、正孔と電子の再結合領域を非常に狭くし、再結合部位の発光材料の局所的な負荷が大きく、デバイスの劣化抑制の効果は小さい。また、発光層とエキシトン生成促進層との注入障壁が大きいため界面に多量に蓄積する正孔によって有機分子は不安定な状態になり、分解、失活を起こすと考えられる。
【0019】
以上の理由により、各色(特に青色)に発光する有機EL素子において、色純度が高く、フルカラーパネルにおいて使用した場合に白色300(cd/m2)で1000時間以上の半減寿命を達成することができなかった。
【0020】
そこで本発明は、色純度を維持しながらも、高輝度での長時間の安定した発光が可能な有機EL素子を提供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するための本発明の有機EL素子は、陽極と陰極との間に有機層を狭持してなり、特に有機層の構成が、陽極側から順に、正孔輸送層、両電荷輸送性発光層、電子輸送性発光層および電子輸送層を積層してなることを特徴としている。
【0022】
このような構成の有機EL素子では、陽極から注入された正孔は、正孔輸送層を介して、両電荷輸送性発光層内および電子輸送性発光層における両電荷輸送性発光層の界面に近い部分にまで供給される。一方、陰極から注入された電子は、電子輸送層を介して、電子輸送性発光層内および両電荷輸送性発光層内にまで供給される。したがって、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子とが結合する領域、すなわち発光領域は、両電荷輸送性発光層内および電子輸送性発光層における両電荷輸送性発光層の界面に近い部分にまで拡大される。しかもこの際、電子輸送性発光層の存在により、陽極側から注入された正孔が電子輸送層にまで達することはないため、電子輸送層の構成材料が発光に対して影響を及ぼすことを防止でき、両電荷輸送性発光層および電子輸送性発光層に含有されている発光材料に特有の発光色を色純度良く発光させることが可能になる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の有機EL素子の構成を図面に基づいて詳細に説明する。図1および図2は、本発明の有機EL素子を模式的に示す断面図である。
【0024】
これら図に示す有機EL素子1,1’は、基板2上に、下部電極3、有機層4及び上部電極5を順次積層してなり、保護膜6で気密に覆われた構成となっている。特に、図1に示す有機EL素子1は、この素子で発光した発光光20を上部電極5側から取り出す、いわゆる上面発光型として構成されている。一方、図2に示す有機EL素子1’は、この素子で発光した発光光20を下部電極3および基板2側から取り出す、いわゆる透過型として構成されている。
【0025】
次に、これらの有機EL素子1,1’を構成する各部の詳細な構成を、基板2、下部電極3及び上部電極5、さらには本発明に特有の構成を備えた有機層4の順に説明する。
【0026】
先ず、基板2は、ガラス、シリコン、プラスチック基板、さらにはTFT(thin film transistor)が形成されたTFT基板などからなり、特に図2に示す透過型の有機EL素子1’の場合には、この基板2は光透過性を有する材料で構成されることとする。さらに、有機EL素子1,1’を他の表示素子と組み合わせて用いる場合には、他の表示素子と基板を共用することもできる。
【0027】
そして、下部電極3は、陽極または陰極として用いられるものである一方、上部電極5は、下部電極3が陽極である場合には陰極として用いられ、下部電極3が陰極である場合には陽極として用いられる。そして、これらの下部電極3および上部電極5間には、電流注入用の駆動電源7が接続されている。尚、図1,図2においては、下部電極3が陽極であり、上部電極5が陰極である場合を例示した。
【0028】
ここで、下部電極3は、有機EL素子1,1’の駆動方式によって適する形状にパターニングされていることとする。例えば、この有機EL素子1,1’を用いた表示装置の駆動方式が単純マトリックス型である場合には、この下部電極3は例えばストライプ状に形成される。また、表示装置の駆動方式が画素毎にTFTを備えたアクティブマトリックス型である場合には、下部電極3は複数配列された各画素に対応させてパターン形成され、同様に各画素に設けられたTFTに対して、これらのTFTを覆う層間絶縁膜に形成されたコンタクトホール(図示省略)を介してそれぞれが接続される状態で形成されることとする。
【0029】
一方、上部電極5は、この有機EL素子1,1’を用いた表示装置が、単純マトリックス型である場合には、下部電極3のストライプと交差するストライプ状に形成され、これらが交差して積層された部分が有機EL素子1,1’となる。また、この表示装置が、アクティブマトリックス型である場合には、この上部電極5は、基板2上の一面を覆う状態で成膜されたベタ膜状に形成され、各画素に共通の電極として用いられることとする。尚、表示装置の駆動方式としてアクティブマトリックス型を採用する場合には、図1に示した上面発光型の有機EL素子1を用いることで素子の開口率を向上させることが好ましい。
【0030】
また下部電極3(または上部電極5)を構成する陽極材料としては,仕事関数がなるべく大きなものがよく、たとえば、ニッケル、金、白金、パラジウム、セレン、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、レニウム、タングステン、モリブデン、クロム、タンタル、ニオブやこれらの合金、あるいは酸化錫(SnO2)、酸化インジウム錫(ITO:Indium tin oxide)、酸化亜鉛、酸化チタン等が好ましい。
【0031】
一方、上部電極5(または下部電極3)を構成する陰極材料としては仕事関数がなるべく小さなものがよく、例えば、Li、Mg、Ca等の活性な金属とAg、Al、In等の金属との合金、或いはこれらを積層した構造を使用できる。
【0032】
以上説明した下部電極3および上部電極5のうち、この有機層4で生じた発光光を取り出す側となる電極は、上述した材料の中から光透過性を有する材料を適宜選択して用いることとし、用途に合った光透過率が得られるようにその膜厚が調整されていることとする。一方、他方の電極には、反射率の良好な材料を適宜選択して用いることとする。
【0033】
そして、有機層4は、陽極側(図面においては下部電極3側)から順に、正孔輸送層401、両電荷輸送性発光層402、電子輸送性発光層403、電子輸送層404を積層してなる、いわゆるダブルヘテロ構造となっている。なお、この有機EL素子1,1’が、下部電極3を陰極とし、上部電極5を陽極として用いた場合、上述した有機層4は、陽極となる上部電極5側から順に、正孔輸送層401、両電荷輸送性発光層402、電子輸送性発光層403、電子輸送層404を積層された構成となる。
【0034】
以下、これらの各層401−404の構成を、陽極側から順次説明する。
【0035】
正孔輸送層401は、正孔を輸送するように設計された層である。この正孔輸送層401は、正孔輸送性能を向上させるために、複数種の正孔輸送材料を積層した構成であっても良い。
【0036】
この正孔輸送層401を形成する材料(正孔輸送性材料)としては、例えばベンジジン又はその誘導体、スチリルアミン又はその誘導体、トリフェニルメタン又はその誘導体をはじめ、ポルフィリン又はその誘導体、トリアゾール又はその誘導体、イミダゾール又はその誘導体、オキサジアゾール又はその誘導体、ポリアリールアルカン又はその誘導体、フェニレンジアミン又はその誘導体、アリールアミン又はその誘導体、オキサゾール又はその誘導体、アントラセン又はその誘導体、フルオレノン又はその誘導体、ヒドラゾン又はその誘導体、スチルベン又はその誘導体、フタロシアニンまたはその誘導体、ポリシラン系化合物、ビニルカルバゾール系化合物、チオフェン系化合物、アニリン系化合物等の複素環式共役系のモノマー、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。
【0037】
正孔輸送性材料の具体的な例としては、:α−ナフチルフェニルジアミン(αNPD)、ポルフィリン、金属テトラフェニルポルフィリン、金属ナフタロシアニン、4,4’,4”−トリメチルトリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、N,N,N’,N’−テトラキス(p−トリル)p−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル、N−フェニルカルバゾール、4−ジ−p−トリルアミノスチルベン、ポリ(パラフェニレンビニレン)、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリ(2,2’−チエニルピロール)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
両電荷輸送性発光層402は、正孔および電子を輸送すると共に、発光層としても機能するように設計された層であり、電荷の再結合領域が両電荷輸送性発光層402の陽極側の界面から陰極側の界面にまで広がっていることが好ましい。このため、この両電荷輸送性発光層402は、a)正孔輸送性材料、b)電子輸送性材料、c)両電荷輸送性材料、d)発光材料(蛍光性または燐光性)、e)正孔輸送性発光材料、f)電子輸送性発光材料、さらにはg)両電荷輸送性発光材料のなかから適宜必要とされる材料を組み合わせて構成される。これらの各材料は、発光性能および電子輸送性能を確保するために、必要に応じて各材料カテゴリーから単数または複数の材料が適宜選択して用いられる。
【0039】
このような両電荷輸送性発光層402に使用可能な材料としては例えば、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、バソフェナントロリン誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、スチリルベンゼン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、アミノスチリル誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、アントラセン誘導体、ジフェニルアントラセン誘導体、ピレン誘導体、カルバゾール誘導体、オキサジアゾールダイマー、ビラゾリンダイマー、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロビウム錯体、イリジウム錯体、白金錯体等、中心金属にAl、Zn、Be、Pt、Ir、Tb、Eu、Dy等の金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体等が挙げられるが、これに限定されない。また、上記の両電荷輸送性発光層に使用可能な材料を複数用いてもよく、ドーピングしてもよい。
【0040】
なお、これらの材料は、例えば置換基の種類によって、上述したa)−g)のいずれか1つの材料となる。例えば、a)およびe)の具体例としてはαNPD、b)およびf)の具体例としてはスチリルアリーレン誘導体のDPVBi(下記式(1)に示す)が挙げられ、d)の具体例としてはペリレン、スチリルアリーレン誘導体のBCzVBi(下記式(2)に示す)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
【化1】
【0042】
以上の材料の具体的な組み合わせの例としては、▲1▼電子輸送性のDPVBiやジフェニルアントラセン誘導体に正孔輸送性発光材料としてαNPDをドープする、▲2▼正孔輸送性のαNPDに電子輸送性発光材料のスチルベン誘導体をドープする、▲3▼正孔および電子両電荷輸送性のアミノスチリル誘導体発光材料を使用する、▲4▼正孔および電子両電荷輸送性のアミノスチリル誘導体にペリレンを発光材料としてドープする、▲5▼正孔輸送性のαNPDと電子輸送性のDPVBiの混合ホストに青色の発光材料としてBCzVBiをドープする、等の手法が使用できる。
【0043】
以上のような両電荷輸送性発光層402は、発光層として十分に機能し、かつ膜厚方向に十分な電荷の再結合領域が確保できるように、適正な膜厚に設計されていることが重要である。このような膜厚としては、0.1〜200nm程度が好ましい。さらに好ましくは1〜100nmとすることで、発光機能を十分に発現させることができる。
【0044】
また、この両電荷輸送性発光層402は、単一層からなるものに限定されることはなく、複数層で構成されても良い。この場合、両電荷輸送性発光層402は、その電荷輸送性能を制御するために、例えば正孔輸送層401側に正孔輸送性材料または正孔輸送性発光材料をホストとして電子輸送性材料をドーピングした層を設け、電子輸送性発光層403側に電子輸送性材料または電子輸送性発光材料をホストとして正孔輸送性材料をドーピングした層を設けた2層構造としても良い。さらに、両電荷輸送性発光層402は、正孔輸送性材料または正孔輸送性発光材料をホストとして電子輸送性材料をドーピングした複数層を、正孔輸送層401側から電子輸送性発光層403側に向けてドーピング量を徐々に増加させるように積層させた構成であっても良い。
【0045】
そして、電子輸送性発光層403は、電子を輸送すると共に、発光層としても機能するように設計された層であり、発光性の電子輸送性材料で構成されており、さらに発光材料が添加されているか、または電子輸送性発光材料で構成されている。なお、この電子輸送性発光層403は、両電荷輸送性発光層402と同色の発光機能を持っていることが好ましい。
【0046】
また、この電子輸送性発光層403は、正孔や励起子を電子輸送層404に到達させないようにすることができれば良く、正孔輸送性を制御するために、例えば、正孔移動を妨げるような材料を含んでいてもよい。ただし、正孔が電子輸送層404に到達する場合であっても、電子輸送層404においての発光が所望の発光色(両電荷輸送性発光層402および電子輸送性発光層403での発光色)に影響を与えない範囲で正孔輸送材料を含んでいるか、あるいは正孔輸送性を持っていても良い。
【0047】
このような電子輸送性発光層403に使用可能な材料としては、例えば、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、オキサジアゾール誘導体、バソフェナントロリン誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、スチリルベンゼン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、アミノスチリル誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、アントラセン誘導体、ジフェニルアントラセン誘導体、ピレン誘導体、カルバゾール誘導体、オキサジアゾールダイマー、ビラゾリンダイマー、金属酸化物、金属フッ化物、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロビウム錯体、イリジウム錯体、白金錯体等、中心金属にAl、Zn、Be、Pt、Ir、Tb、Eu、Dy等の金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体等が挙げられるが、これに限定されない。また、所望の発光色を得るためにドーピングを行ってもよい。
【0048】
電子輸送性発光層の材料の具体的な例としては、上記式(1)に示したDPVBiが挙げられ、これらにペリレン、上記式(2)に示したBCzVBi等をドープしてもよいし、正孔輸送性を下げるために、バソクプロイン(BCP)や4,4’−ビス(N−カルバゾイル)ビフェニル(CBP)等を混合してもよいが、これらに限定されるものではない。
【0049】
また、電子輸送層404は、電子を輸送するように設計された層である。この電子輸送層404は、電子輸送性能を向上させるために、複数種の電子輸送材料を積層した構成であっても良い。
【0050】
このような電子輸送性材料として使用可能な材料としては、例えば、キノリン系誘導体、ペリレン系誘導体、スチリル系誘導体、ビススチリル系誘導体、ピラジン系誘導体等が挙げられる。
【0051】
電子輸送性材料の具体的な例としては、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)、8−ヒドロキシメチルキノリンアルミニウム、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、スチルベン、又はこれらの誘導体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に、有機EL素子1,1’の安定駆動をため、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム、8−ヒドロキシメチルキノリンアルミニウム等のキノリン系誘導体とアルミニウムの錯体が好ましく用いられる。
【0052】
なお、有機層4は、以上の説明したような積層構造に限定されることはなく、正孔輸送層401〜電子輸送層404までの層構造が上述した構成に保たれていれば、例えば、正孔輸送層401と陽極との間に正孔注入層を設けたり、電子輸送層404と陰極との間に電子注入層を設けた構成であっても良い。
【0053】
また、以上述べたような積層構造で構成された有機層4は、周知の方法にて合成された各有機材料を用いて、真空蒸着やスピンコートなどの周知の方法を適用して行うことができる。この際、各層401−404が単一材料で構成されているか、より少ない材料構成であれば、成膜の際の組成制御が容易であるため好ましい。
【0054】
以上説明した構成の有機EL素子1,1’の駆動は、下部電極3(陽極)と上部電極5(陰極)との間に直流電圧を印加することにより、陽極から注入された正孔が正孔輸送層401を経て、また陰極から注入された電子が電子輸送層404を経て電子輸送性発光層403および、両電荷輸送性発光層402に到達する。この結果、両電荷輸送性発光層402および電子輸送性発光層403において電子/正孔の再結合が生じて励起子が生成し、この励起子が基底状態に戻る際に発光光20としてエネルギーを放出する。
【0055】
そして特にこのような構成の有機EL素子1,1’においては、上述した発光の際には、陽極から注入された正孔は、正孔輸送層401を介して、両電荷輸送性発光層402内および電子輸送性発光層403における両電荷輸送性発光層の界面に近い部分にまで供給される。一方、陰極から注入された電子は、電子輸送層404を介して、電子輸送性発光層403内および両電荷輸送性発光層402内にまで供給される。したがって、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子とが結合する再結合領域、すなわち発光領域aは、両電荷輸送性発光層402内および電子輸送性発光層403における両電荷輸送性発光層402の界面に近い部分にまで拡大される。
【0056】
これにより、発光領域aが狭いことによるその局所的な劣化を防止することが可能となり、長期にわたって発光輝度を維持した表示が可能になる。
【0057】
しかもこの際、電子輸送性発光層403の存在により、陽極側から注入された正孔が電子輸送層404にまで達することはないため、電子輸送層404の構成材料が発光に対して影響を及ぼすことを防止でき、両電荷輸送性発光層402および電子輸送性発光層403に含有されている発光材料に特有の発光色を色純度良く発光させることが可能になる。
【0058】
このため例えば電子輸送層404が、Alq3のような緑色に発光する材料で構成されていたとしても、この電子輸送層404に正孔が達することはないため、電子輸送層404において緑色の発光が生じることはない。特に、両電荷輸送性発光層402と電子輸送性発光層403において青色の発光を行う場合、電子輸送層404が緑色に発光する電子輸送材料を用いて構成されていても、すなわち、両電荷輸送性発光層402および電子輸送性発光層403の発光中心のエネルギーギャップが、電子輸送層404を構成する電子輸送性材料のエネルギーギャップよりも大き場合であっても、電子輸送層404が発光領域aとなることがないため、両電荷輸送性発光層402および電子輸送性発光層403で青色発光の色純度を確保することができる。
【0059】
また、以上のようにして長期信頼性に優れた輝度の高い青色発光が可能となったことで、上述した構成の有機EL素子1,1’を青色発光素子とし、赤色発光素子及び緑色発光素子と組み合わせて表示装置を構成することで、色表現性の高いフルカラー表示が可能になる。
【0060】
さらに、以上のように構成された有機層4は、例えば特開2001−43980や特開2002−198182に記載のように、共振器構造を最適化して取り出し光の強度が高められるように設計されていても良い。この場合、有機層4の光学的膜厚には、発光色に応じた適正値が存在する。このため、発光領域aを広げるために、ただ単に発光層の膜厚を増加させた場合には、共振構造を確保することが困難になるが、発光層を両電荷輸送性発光層402と電子輸送性発光層403との2層構造にした本発明では、共振構造を維持したまま発光領域aのみを広げることも可能となる。
【0061】
なお、有機EL素子1,1’に印加する電流は通常、直流であるが、パルス電流や交流を用いてもよい。電流値、電圧値は、素子破壊しない範囲内であれば特に制限はないが、有機EL素子の消費電力や寿命を考慮すると、なるべく小さい電気エネルギーで効率良く発光させることが望ましい。
【0062】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例1,2、及びこれらの実施例に対する比較例1−3の有機EL素子の製造手順を説明し、その後これらの評価結果を説明する。なお、下記表1には、参考のため実施例1で用いた材料を示し、実施例2、比較例1−3に付いては実施例1と異なる材料のみを示した。
【0063】
【表1】
【0064】
<実施例1>
実施例1では、図2を用いて説明した透過型の有機EL素子を作製した。
【0065】
まず、30mm×30mmのガラス板からなる基板2上に、陽極となる下部電極3としてITO(膜厚約100nm)を形成し、さらにSiO2蒸着により2mm×2mmの発光領域以外を絶縁膜(図示省略)でマスクした有機EL素子用のセルを作製した。
【0066】
次に、各発光領域となる下部電極3(ITO)の露出部上に他に開口を有する金属マスクを基板2上に近接して配置し、10−4Pa以下の真空下での真空蒸着法により、以下の有機層を順次形成した。
【0067】
先ず、正孔輸送層401として下記式(3)に示すm−MTDATA(4,4’,4”−トリス(3―メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミンを16nmの厚さで成膜した。蒸着レートは0.1nm/秒とした。
【0068】
【化2】
【0069】
次いで、両電荷輸送性発光層402として、下記式(4)に示すα−NPD(α−ナフチルジアミン)と下記式(5)に示すDPVBiとを、α−NPD:DPVBi=1:3の比率で用いてこれをホストとし、青色の発光ドーパントとして下記式(6)に示すBCzVBiを3%ドープした共蒸着層を20nmの厚さで成膜した。蒸着レートは0.1nm/秒とした。
【0070】
【化3】
【0071】
さらに、電子輸送性発光層403として、上記式(5)に示したDPVBiをホストとし、発光ドーパントとして上記式(6)に示したBCzVBiを3%ドープした共蒸着層を35nmの厚さに電子輸送性発光層として成膜した。蒸着レートは0.1nm/秒とした。
【0072】
そして、電子輸送層404として、下記式(7)に示すAlq3(8−ヒドロキシキノリンアルミニウム)を12nmの厚さで成膜した。蒸着レートは0.2nm/秒とした。
【0073】
【化4】
【0074】
次に、陰極となる上部電極5として、MgとAgの共蒸着比10:1の薄膜を50nmの膜厚で成膜し、さらにAgを150nmの厚さに形成した。蒸着レートは0.5nm/秒とした。
【0075】
以上により、実施例1による有機EL素子を作製した。
【0076】
<実施例2>
実施例2では、図1を用いて説明した上面発光型の有機EL素子を作製した。
【0077】
実施例2における有機EL素子1’の作製は、上述した実施例1の製造手順において、陽極となる下部電極3および陰極となる上部電極5の材料を変更したこと以外は、実施例1と同様の手順で行った。
【0078】
すなわち、陽極となる下部電極3として、100nmの厚さのクロム(Cr)からなる陽極を形成した。また、陰極となる上部電極5として、MgとAgの共蒸着比10:1を12nmの膜厚で成膜し、さらにITOを150nmの膜厚で成膜した。蒸着レートは0.5nm/秒とした。
【0079】
<比較例1>
比較例1においては、有機層として正孔輸送層/両電荷輸送性発光層/電子輸送層を、陽極側からこの順に積層してなる有機EL素子を作製した。このような比較例1の有機EL素子の作製は、上述した実施例1の製造手順において電子輸送性発光層403の形成を省略したこと以外は、実施例1と同様の手順で行った。ただし、両電荷輸送性発光層402の膜厚は、実施例1においては20nmであったのに対し、本比較例1においては35nmとした。
【0080】
<比較例2>
比較例2においては、有機層として、正孔輸送層/電子輸送性発光層/電子輸送層を、陽極側からこの順に積層してなる有機EL素子を作製した。このような比較例2の有機EL素子の作製は、上述した実施例1の製造手順において両電荷輸送性発光層402の形成を省略したこと以外は、実施例1と同様の手順で行った。
【0081】
<比較例3>
比較例3においては、有機層として、正孔輸送層/正孔輸送性発光層/電子輸送性発光層/電子輸送層を、陽極側からこの順に積層してなる有機EL素子を作製した。このような比較例3の有機EL素子の作製は、上述した実施例1の製造手順において、両電荷輸送性発光層402にかえて、正孔輸送性発光層を形成したこと以外は、実施例1と同様の手順で行った。
【0082】
すなわち、正孔輸送性発光層として、上記式(4)に示したαNPDに、発光ドーパントとして上記式(6)に示したBCzVBiを3%ドープした共蒸着層を20nmの厚さで成膜した。蒸着レートは0.1nm/秒とした。
【0083】
以上の用にして作製した実施例1,2および比較例1−3の有機EL素子について、▲1▼発光ピーク波長、▲2▼初期輝度、▲3▼輝度半減寿命の測定を行った結果を下記表2に示す。
【0084】
【表2】
【0085】
なお、▲1▼発光ピーク波長は、窒素雰囲気下で順バイアス直流電圧を加えた場合の発光を分光測定した。▲2▼初期輝度は、電流密度25mA/cm2を加えた場合の輝度を測定した。▲3▼輝度半減寿命の測定においては、電流密度25mA/cm2で通電して連続発光して強制劣化させた際に、輝度が半減するまでの時間を測定した。
【0086】
また、図3には、実施例1と比較例2の有機EL素子について、▲3▼輝度半減寿命の測定においての輝度(EL)の径時変化のグラフを示した。なお、縦軸の輝度(EL)は、初期輝度を1としている。
【0087】
以上の測定の結果、実施例1,2の有機EL素子においては、▲1▼発光ピーク波長から色純度の良好な青色の発光が得られ、また▲2▼初期輝度も十分であり、▲3▼輝度半減寿命の測定値から長期信頼性も高いことが確認された。さらに、有機EL素子を作製後、窒素雰囲気下に1カ月間放置したが、素子劣化は観察されず、このことからも長期信頼性の高さが確認された。
【0088】
これに対して比較例1の有機EL素子においては、▲1▼発光ピーク波長が2箇所測定され、色純度の良好な青色の発光を得ることができなかった。これは、両電荷輸送性発光層を一部の正孔が通過し、電子輸送層のAlq3が発光した影響と考えられる。また▲2▼初期輝度も、実施例1,2と比較して1桁程度低く、十分な輝度を得ることができなかった。
【0089】
さらに比較例2,3の有機EL素子においては、▲3▼輝度半減寿命の測定値から明らかなように、実施例1,2との比較において長期信頼性が半分以下の低い値しか得ることができなかった。
【0090】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の有機EL素子によれば、正孔輸送層と電子輸送層との間の発光層を両電荷輸送性発光層と電子輸送性発光層との2層構造にしたことで、両電荷輸送性発光層内および電子輸送性発光層における両電荷輸送性発光層の界面に近い部分にまで発光領域を拡大することが可能になると共に、電子輸送性発光層の存在により陽極側から注入された正孔が電子輸送層にまで達することを防止して電子輸送層の構成材料が発光に対して影響を及ぼすことを防止できる。この結果、色純度が高く、しかも発光領域の劣化を防止した高輝度かつ長時間安定な発光を有する有機EL素子を提供することが可能となる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL素子の第1の例を示す断面図である。
【図2】本発明の有機EL素子の第2の例を示す断面図である。
【図3】実施例1と比較例2の有機EL素子の輝度劣化を示すグラフである。
【符号の説明】
1,1’…有機EL素子(有機電界発光素子)、2…基板、3…下部電極(陽極)、4…有機層、5…上部電極(陰極)、401…正孔輸送層、402…両電荷輸送性発光層、403…電子輸送性発光層、404…電子輸送層
Claims (7)
- 陽極と陰極との間に有機層を狭持してなる有機電界発光素子において、
前記有機層は、前記陽極側から順に、正孔輸送層、両電荷輸送性発光層、電子輸送性発光層および電子輸送層を積層してなる
ことを特徴とする有機電界発光素子。 - 請求項1記載の有機電界発光素子において、
前記両電荷輸送性発光層および電子輸送性発光層の発光中心のエネルギーギャップは、前記電子輸送層を構成する電子輸送性材料のエネルギーギャップよりも大きい
ことを特徴とする有機電界発光素子。 - 請求項1記載の有機電界発光素子において、
前記両電荷輸送性発光層は、正孔輸送性材料と電子輸送性材料とを含有する
ことを特徴とする有機電界発光素子。 - 請求項3記載の有機電界発光素子において、
前記電子輸送性材料は、電子輸送性発光材料である
ことを特徴とする有機電界発光素子。 - 請求項3記載の有機電界発光素子において、
前記両電荷輸送性発光層には、前記正孔輸送性材料および電子輸送性材料と共に、発光材料が含有されている
こととを特徴とする有機電界発光素子。 - 請求項1記載の有機電界発光素子において、
前記陽極、陰極および有機層は、前記両電荷輸送性発光層および電子輸送性発光層で生じた発光光を共振させる共振器構造を構成している
ことを特徴とする有機電界発光素子。 - 請求項1記載の有機電界発光素子において、
前記陽極は、光反射性材料を用いて基板上に設けられ、
前記陰極は、光透過性材料を用いて前記陽極および有機層を介して前記基板上に設けられている
ことを特徴とする有機電界発光素子。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050203 |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050208 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20050408 |