JP2004145028A - 光学ユニット及び撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】移動可能なレンズ鏡筒の内部に位置検出手段を設けてその位置を検出することにより、装置全体の小型化を図ることができると共に、レンズ部間の衝突を防止できる光学ユニット及びその光学ユニットを備えた撮像装置を提供する。
【解決手段】固定環15及び後部鏡筒17に対して2群レンズ枠13が光軸方向に沿って移動可能であり、2群レンズ枠13の背後に固体撮像素子24を備えた沈胴式の光学ユニットにおいて、移動可能な2群レンズ枠13に、2群レンズ枠13の位置を検出する位置検出手段を設ける。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学系を使用位置と収納位置との間に移動可能な沈胴式の光学ユニット、及びその光学ユニットを備えたデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等の撮像装置に関し、特に、固定鏡筒に対して移動可能に支持されたレンズ鏡筒の位置を検出することによりレンズの位置情報(例えば、ズーム位置に関する情報等)を得ることができるようにした光学ユニット及びその光学ユニットを備えた撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置においては、携帯性の向上や使い勝手の向上が求められ、カメラ全体の小型化が追求されており、撮像装置に用いられる光学系レンズ鏡筒やレンズの小型化も進められている。更に、撮影された画像のさらなる高画質化・高画素化の要望も強く、光学系の構成部材であるレンズは大型化しても駆動機構を小型化することによって光学系レンズ鏡筒の小型化が要望されることが多い。このような要望は、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置に使用されている、いわゆる沈胴式レンズに関しても同様であり、携帯の利便性という観点から小型化及び薄型化等が要望されている。
【0003】
図3は、沈胴式レンズを備えた、例えばデジタルスチルカメラの不使用時のレンズ収納状態、つまりレンズの沈胴位置の外観斜視図を示すものである。図4は、レンズ鏡筒が伸長したカメラ使用状態を示すもので、ワイド(広角)位置若しくはテレ(望遠)位置の外観斜視図である。図5a、b及びcに従来の沈胴式レンズの断面図を示し、図5aが不使用時のレンズ収納位置、図5bがワイド(広角)位置、図5cがテレ(望遠)位置の各断面図である。また、図6は、沈胴式レンズの分離状態の斜視図である。
【0004】
まず、図3及び図4において、デジタルスチルカメラの主な機能について説明する。符号1がデジタルスチルカメラのカメラ本体部であり、符号2がカメラ本体部1の一側前面に設けられている沈胴式の撮像レンズ部である。図3の沈胴状態では、バリア3により撮像レンズ部2の前玉レンズ面が保護されている。また、カメラ本体部1の前面側にはファインダレンズ4と、ストロボ5と、被写体との距離を検出するためのオートフォーカス補助光受光部6が配置されている。また、符号7はファインダ窓、8はシャッターボタン、9はモード切り換えつまみである。
【0005】
次に、図5a、b及びc並びに図6を参照して、沈胴式の光学ユニットである撮像レンズ部2の詳細な構成について説明する。
【0006】
符号10は、複数のレンズ11を保持した1群レンズ枠であり、1群レンズ枠10はカム環12の第1のカム溝12aに嵌合される複数のカムピン10aを備えている。1群レンズ枠10は、例えばガラス繊維を含有する黒色のポリカーボネート樹脂で成形され、強度及び遮光性を有している。
【0007】
符号13は、複数のレンズ13aを保持した2群レンズ枠であり、2群レンズ枠13はカム環12の第2のカム溝12bに嵌合される複数のカムピン13bを備えている。2群レンズ枠13は、例えばガラス繊維を含有する黒色のポリカーボネート樹脂で成形され、強度及び遮光性を有している。また、2群レンズ枠13にはアイリスシャッター機構を構成している場合もある。
【0008】
上述したカム環12は、ギアユニット14のギア14aにより固定環15の内径内で回転駆動するためのギア部12cと、固定環15のカム溝15aに嵌合される複数のカムピン12dを備えている。カム環12は、例えばガラス繊維を含有する黒色のポリカーボネート樹脂で成形され、強度及び遮光性を有している。第1のカム溝12a及び第2のカム溝12bは、1群レンズ枠10及び2群レンズ枠13を所定のカーブに沿って光軸L方向に移動させるズーミング動作が行われる。
【0009】
符号16は直進案内環であり、カム環12と一体的に固定環15の内径で光軸L方向に移動する部材である。この直進案内環16には、1群レンズ枠10を光軸方向にガイドする複数の案内溝16aと、2群レンズ枠13を光軸方向にガイドする複数の案内溝16bを備えている。この直進案内環16は、例えばガラス繊維を含有する黒色のポリカーボネート樹脂で成形され、強度及び遮光性を有している。
【0010】
固定環15は、後部鏡筒17に固定される部材である。この固定環15は、例えばガラス繊維を含有する黒色のポリカーボネート樹脂で成形され、強度及び遮光性を有している。
【0011】
符号18は、レンズ19を保持した3群レンズ枠である。この3群レンズ枠18は、例えばガラス繊維を含有する黒色のポリカーボネート樹脂で成形され、強度及び遮光性を有している。この3群レンズ枠18は、後部鏡筒17に対して光軸方向に移動可能に保持されており、図示しないステッピングモータ等の動力源によって光軸方向に微小に変移するようになっている。
【0012】
後部鏡筒17には固定環15と、バリア駆動機構20と、ギアユニット14が固定される。また、後部鏡筒17には3群レンズ枠18に対面するようにした保持部21に光学式ローパスカットフィルタや赤外カットフィルタからなる光学フィルタ22がシールゴム23で弾性付勢されるようにして位置決め固定されている。更に、後部鏡筒17には光学フィルタ22の背後にCCDやCMOS等の固体撮像素子24が位置決め固定されている。
【0013】
バリア駆動機構20は、撮像レンズ部2の沈胴時に連動してバリア3を閉止駆動するための突起部材である。また、ギアユニット14はギア14aと噛み合うギア部12cを介してカム環12を回転駆動するものであり、そのギア比は沈胴状態→ワイド状態→テレ状態及びテレ状態→ワイド状態→沈胴状態の範囲において十分な駆動力を得られるように決められている。
【0014】
次に、上述した撮像レンズ部2の動作について説明する。
図5aの沈胴状態から図5bのワイド位置の間の動作において、カム環12はギア部12cがギアユニット14のギア14aがDCモータ等の駆動源によって駆動され、カムピン12dが固定環15のカム溝15aに沿って回転しながら光軸方向に被写体に向けて移動する。このとき、直進案内環16はカム環12と一体に矢印A方向に移動する。
【0015】
これと同時に1群レンズ枠10はそのカムピン10aがカム環12の第1のカム溝12a及び直進案内環16の案内溝16aに沿って矢印B方向へ移動する。これと同時に2群レンズ枠13はそのカムピン13bがカム環12の第2のカム溝12b及び直進案内環16の案内溝16bに沿って矢印C方向へ移動する。以上のような動作により1群レンズ枠10及び2群レンズ枠13は光学的にワイド位置となる。
【0016】
そして、ワイド位置から図5cのテレ位置の間の動作においても、カム環12はギアユニット14により駆動されるが、この範囲においてカムピン12dはカム溝15aの水平なカム溝15bを移動することでカム環12が光軸方向に移動しないことから、直進案内環16も矢印Dに示すように光軸方向には移動しない。このとき、1群レンズ枠10は、そのカムピン10aがカム環12のカム溝12a及び直進案内環16の案内溝16aに沿って矢印E方向に移動する。
【0017】
同時に2群レンズ枠13は、そのカムピン13bがカム環12のカム溝12b及び直進案内環16の案内溝16bに沿って矢印F方向に移動する。以上のような動作により、1群レンズ枠10及び2群レンズ枠13は光学的にワイド位置からテレ位置の間を移動することによってズーミング動作を行う。尚、テレ位置からワイド位置、ワイド位置から沈胴状態については、ギアユニット14のギア14aを逆回転駆動することで、カム環12を逆向きに回転させることによって行う。
【0018】
ここで、1群レンズ枠10及び2群レンズ枠13がズーミング動作を行ったとき、これとは別の図示しない、例えばステッピングモータ等からなる駆動源によって3群レンズ枠18が光軸方向に微小に変位することによりフォーカッシング動作を行う。
【0019】
このように撮像レンズ部2が被写体の位置に応じて1群レンズ枠10及び2群レンズ枠13を移動させてズーミング動作及びフォーカッシング動作を選択的に行うため、撮像レンズ部2には、レンズの位置を検出する手段が必要となる。従来の沈胴式レンズのズーム位置検出方法としては、例えば、カム環の回転角度による位置検出方法や、カム環の繰り出し方向の位置による位置検出方法等が知られている。
【0020】
更に、カム環の回転角度による位置検出方法には、カム環の外形部に電気的なパターンを配し、その導通の変化によって位置を検出する方法や、カム環の外形部に回転位置を検出するための突起と、その外側に配したスイッチを設け、その突起でスイッチを動作させてズーム位置を検出する方法等がしられている。
【0021】
図7は、前者の電気的接点(ブラシ)による回転位置の検出手段を示すものである。図7において、符号50は沈胴式レンズの撮像レンズ部であり、不使用時のレンズ収納状態である沈胴位置と、ワイド(広角)位置と、テレ(望遠)位置を選択的に取ることができるようになっている。撮像レンズ部50の左上部にはファインダレンズ51が配置されている。この撮像レンズ部50の上部に、電気的接点による回転位置検出手段52が設けられている。この回転位置検出手段52は、レンズ鏡筒の回転部に設けられた電気接点パターン53と、カメラ本体等の固定部に取り付けられたブラシ部54とからなり、ブラシ部54に設けられた複数のブラシ55が電気接点パターン53に摺動可能に接触されている
【0022】
かくして、レンズ鏡筒の回転部の回転位置によって複数のブラシ55と電気接点パターン53の接触位置が変化するため、その回転位置に応じて電気的出力が変更される。この電気的出力の変化を見ることにより、回転位置検出手段52でレンズのズーム位置を検出することができる。
【0023】
図8は、後者の可変抵抗器による回転位置の検出手段を示すものである。図8において、符号60は沈胴式レンズの撮像レンズ部であり、同じく沈胴位置とワイド(広角)位置とテレ(望遠)位置を選択的に取ることができる。撮像レンズ部60の左上部にファインダレンズ61が配置されており、その下方である撮像レンズ部60の左下部に、可変抵抗器による回転位置検出手段62が設けられている。
【0024】
この回転位置検出手段62は、カメラ本体等の固定部に取り付けられた可変抵抗器63と、この可変抵抗器63の検出片63aを支持する支持部材64と、この支持部材64を撮像レンズ部60の光軸方向に移動させるリードスクリュー65と、レンズ鏡筒の回転部に設けられたギア部に噛合してその回転力をリードスクリュー65に伝達するギア列66とから構成されている。ギア列66は、レンズ鏡筒のギア部に噛合される駆動ギアと、リードスクリュー65に固定されるスクリュー部ギアと、このスクリュー部ギアと駆動ギアとの間を動力伝達可能に連結するアイドラギアとからなっている。
【0025】
かくして、レンズ鏡筒の回転部の回転位置によって可変抵抗器63の抵抗値が変化する。その可変抵抗器63から出力される抵抗値を見ることにより、回転位置検出手段62でレンズのズーム位置を検出することができる。
【0026】
また、上述したような位置検出方法を用いた光学装置としては、例えば、特許文献1のようなものもある。この特許文献1に記載された光学装置は、光学系を構成する第1のレンズユニットと、前記第1のレンズユニットを駆動する第1のモータと、前記光学系を構成する、前記第1のレンズユニットの後方に設けられる第2のレンズユニットと、前記光学系の収納指示に応答して前記第2のレンズユニットを繰り込み、前記第2のレンズユニットを繰り込みが完了した後に前記第1のレンズユニットの繰り込みを開始し、前記第2のレンズユニットを繰り込みによって空けられたスペースに前記第1のレンズユニットを繰り込むように前記第1、第2のモータを制御する制御手段を有する、ことを特徴としている。
【0027】
この光学装置は、レンズの位置を検出するためのリニアセンサを備えており、そのリニアセンサはベースにネジ止め等により固定されている。このリニアセンサは可変抵抗器からなり、端子間に所定の電圧を印加した状態で摺動子がスライドすることにより、リニアに変化する出力が端子間から出力される。
【0028】
【特許文献1】
特開2000−194046号公報(第5頁、図12等)
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したようなレンズ位置検出方法において、前者のカム環の回転角度による位置検出方法では、カム環の外形部に突起やスイッチ或いは電気的パターン等を配する必要があるため、外形部が大きくなって大型化されると共に、部品点数や加工工数が増加して不経済になってしまうという課題があった。
【0030】
また、後者のカム環の繰り出し方向の位置による位置検出方法では、外形部に突起を設け、この突起に対応させてスイッチや板バネを所定位置に設ける必要があるため、前者に比べて部品点数の増加は少ないが、外形部が大きくなり、小型化については不利になっているという課題があった。更に、どちらの位置検出方法においても、機械的スイッチや導通を検出するブラシ等の摺動部分が存在し、その摺動部分の摩擦抵抗によってレンズに対する負荷が発生する。そのため、駆動力に対するレンズの移動効率が下がってしまうという課題もある。
【0031】
本発明は、上述したような課題を解消するためになされたものであり、移動可能なレンズ鏡筒の内部に位置検出手段を設け、レンズ鏡筒の内部でその位置を検出することにより、装置全体の小型化を図ることができると共に、レンズ鏡筒内に配置されたレンズ部間の衝突を防止できる光学ユニット及びその光学ユニットを備えた撮像装置を提供することを目的としている。
【0032】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本出願の光学ユニットは、固定鏡筒に対して少なくとも1つのレンズ鏡筒が光軸方向に沿って移動可能であり、レンズ鏡筒の背後に撮像手段を備えた沈胴式の光学ユニットにおいて、固定鏡筒内でレンズ鏡筒に、レンズ鏡筒の位置を検出する位置検出手段を設けたことを特徴としている。
【0033】
また、本出願の光学ユニットを備えた撮像装置は、固定鏡筒と、固定鏡筒に対して光軸方向に沿って移動可能とされた少なくとも1つのレンズ鏡筒と、レンズ鏡筒の背後に配置された撮像手段と、固定鏡筒内でレンズ鏡筒の位置を検出する位置検出手段と、を有する沈胴式の光学ユニットを備えた撮像装置において、撮像装置は、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ装置であることを特徴としている。
【0034】
上述した光学ユニットでは、固定鏡筒内でレンズ鏡筒の位置を検出する位置検出手段を設ける構成としたため、外形部の突起等をなくして小型化を図ることができると共に、部品点数や加工工数の増加を最小限に抑えることができる。
【0035】
また、本出願の光学ユニットを備えた撮像装置では、小型化の可能な光学ユニットを用いることができるため、装置全体の小型化、軽量化を図ることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による沈胴式の光学ユニット及びその光学ユニットを備えた撮像装置の実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0037】
図1a、b及びcは本発明による沈胴式レンズの断面図であり、図1aが不使用時のレンズ収納状態である沈胴位置、図1bがワイド(広角)位置、図1cがテレ(望遠)位置の各状態を示すものである。尚、図1a、b及びcにおいて、上述した図5a、b及びcで説明した構成部分と同一部分には同一符号を付して説明する。
【0038】
ここで、複数のレンズ11を保持した1群レンズ枠10及び複数のレンズ13aを保持した2群レンズ枠13がカム環12の回転駆動により、図1aの沈胴位置から図1bのワイド位置及び図1bのワイド位置から図1cのテレ位置にズーミング動作を行うときの動作は、図5a、b及びcで説明した場合と同様である。
【0039】
また、本発明の特徴とする部分は、固定鏡筒に対して少なくとも1つのレンズ鏡筒が光軸方向に沿って移動可能であり、レンズ鏡筒の背後に撮像手段を備えた沈胴式の光学ユニットにおいて、移動可能なレンズ鏡筒の内部に、レンズ鏡筒の位置を検出する位置検出手段を設けたことであり、これによりフォーカスレンズ部の動作範囲の制御を行い、レンズ鏡筒内におけるレンズ部間の衝突を防止して動作不良を回避すると共に、光学位置精度を向上させるものである。
【0040】
以下に、光学ユニットのレンズ位置検出機構を、図1a〜c及び図2を参照して説明する。図2は光学ユニットの分解斜視図である。
【0041】
図1a〜cにおいて、10は、複数のレンズ11を保持する1群レンズ枠であり、12は、1群レンズ枠10を光軸方向へ移動可能に支持するカム環である。また、13は、複数のレンズ13aを保持する2群レンズ枠であり、16は、2群レンズ枠13を光軸方向へ移動可能に支持する直進案内環である。更に、15は、カム環12を光軸方向へ移動可能に支持する固定環であり、固定環15は後部鏡筒17の前面に一体的に固定されている。後部鏡筒17には、光学フィルタ22と固体撮像素子24が保持されていて、両者の間にはシールゴム23が介在されている。ぞして、光学フィルタ22の前方には、3群レンズ枠18に保持されたレンズ19が配置されている。
【0042】
また、2群レンズ枠13の背面側には、後部鏡筒17側に突出するフィン状の突起部71が設けられている。この突起部71は、撮像レンズ部2の光軸と略平行となるように延在されていて、レンズ19を保持する3群レンズ枠18の外周面より外側に位置するように配置されている。この突起部71を検出するフォトセンサ72が、取付ブラケット73を介して後部鏡筒17に取り付けられている。フォトセンサ72の検出部には突起部71が対向されており、突起部71がその検出部内に入り込むことによって2群レンズ枠13の位置が検出される。
【0043】
この実施例では、突起部71とフォトセンサ72とによってレンズ鏡筒の位置を検出するための位置検出手段の一具体例が構成されている。この位置検出手段では、2群レンズ枠13が後退して最も3群レンズ枠18に近づいた状態を検出することができる。この場合、3群レンズ枠18に当接する直前で2群レンズ枠13が停止するように突起部71及びフォトセンサ72を取り付ける。
【0044】
次に、レンズの動作について説明する。
レンズの沈胴状態から、カム環12がギア部12cで駆動されることにより、カムピン12dが、固定環15のカム溝15aに沿って回転しながらワイド位置まで前方に移動する(矢印A)。このとき、1群レンズ枠10及び2群レンズ枠13は、それぞれカムピン10aがカム溝12aに沿って前後方向に移動し、カムピン13bがカム溝12bに沿って前後方向に移動する。これにより、光学ユニットが所定の光学ワイド位置になる(矢印B及びC)。
【0045】
また、光学ワイド−テレ位置の間も、カム環12がギア部12cで駆動されることにより回転する。この範囲の固定環15のカム溝15aは、カム環12が前後方向には移動しないように形成してあるため、矢印Dの動きとなる。このとき、1群レンズ枠10は、カムピン10aがカム溝15aに沿って前後方向に移動し、2群レンズ枠13は、カムピン13bがカム溝12bに沿って前後方向に移動することにより、所定の光学位置を経由しながら、光学ワイド−テレ位置間を移動する(矢印E及びF)。
【0046】
上記の1群レンズ枠10、2群レンズ枠13及びカム環12の駆動は、レンズの沈胴及びズームの動作を行うが、これとは別の駆動源により、3群レンズ枠18であるフォーカスレンズ部が合焦の目的のため前後に駆動される(矢印G)。この際、図1aの沈胴状態から図1bのワイド状態の間では、フォーカスレンズ部が所定の光学範囲全てを移動すると、2群レンズ枠13が3群レンズ枠18に衝突してしまうことになる。一方、図1bのワイド状態から図1cのテレ状態の間では、2群レンズ枠13が前方に移動するためレンズ部同士が衝突することはない。
【0047】
このため、レンズのズーム位置を検出し、沈胴位置からワイド位置までの間では、フォーカスレンズ部を動かす範囲に制限をかける必要がある。そこで、本発明では、2群レンズ枠13に設けた検出用の突起部71を、後部鏡筒17に取り付けたフォトセンサ72で検知することにより、レンズのズーム状態を検出することができる。即ち、2群レンズ枠13は、図1aの沈胴状態から図1cのテレ状態までの間では常に前方向に移動するため、2群レンズ枠13の最後部に検出用突起部71を設け、図1aの沈胴状態ではフォトセンサ72の検出部に挿入され、図1bのワイド状態ではフォトセンサ72から退避するように配置することでワイド位置を検出することができる。また、図1bのワイド状態から図1cのテレ状態までの間では、検出用突起部71はフォトセンサ72から常に退避した状態となる。
【0048】
これにより、フォトセンサ72がON状態のときは、フォーカスレンズ部の作動範囲に制限をかけておき、OFF状態のときは全作動範囲を動くことができるように制御することができる。従って、かかる制御を行うことにより、2群レンズ枠13とフォーカスレンズ部である3群レンズ枠18が衝突するのを回避することができる。更に、位置検出手段を設けたことによってワイド位置を検出することができるため、ズームの位置制度を向上させることを目的として使用することも可能である。
【0049】
本発明は、上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0050】
例えば、上記実施例では、2群レンズ枠13に突起部71を設け、後部鏡筒17にフォトセンサ72を取り付ける構成としたが、これとは逆に、2群レンズ枠13にフォトセンサ72を取り付け、後部鏡筒17に突起部71を設ける構成としてもよい。更に、フォトセンサ以外のセンサを用いて突起部を検出する構成とすることもできる。更に又、突起部71の形状も上記実施例のものに限定されるものではなく、例えば、丸棒や角棒等の棒状部材、その他各種形状のものを適用することができる。
【0051】
また、本実施例では、フォトセンサ72を後部鏡筒17に取り付けた例について説明したが、フォトセンサ72又は突起部71を固定環15の内側に設ける構成としてもよい。更に、本発明の光学ユニットは3つの群からなるレンズ構成に限定されるものではなく、固定鏡筒に対して相対的に移動するレンズ鏡筒が2個又は3個以上ある場合には、それらレンズ鏡筒の位置を検出するために2個又は3個以上の位置検出手段を設ける構成とすることも可能である。
【0052】
更に、沈胴式レンズの駆動源は、一般的なDCモータやステッピングモータ以外にも、超音波モータ等を使用することもできる。また、ギア機構を必ずしも使用する必要はなく、例えば超音波モータやリニアモータ等によるダイレクト駆動としてもよい。更に又、沈胴式レンズの沈胴構造は、カム溝やカムピンによるカム機構に限定されるものではなく、光学レンズ系を沈胴式に薄型に収納する機構にも広く採用可能である。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本出願の光学ユニットによれば、固定鏡筒内で光軸方向に沿って移動可能とされたレンズ鏡筒に位置検出手段を設ける構成としたため、外形部の突起等をなくして小型化を図ることができると共に、部品点数や加工工数の増加を最小限に抑えることができる。また、位置検出手段として非接触式のセンサを用いることにより、レンズに対する負荷等の機械的ロスを発生させることなく位置情報を得ることができるという効果が得られる。
【0054】
また、本出願の光学ユニットを備えた撮像装置によれば、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ装置として小型化の可能な光学ユニットを用いることができるため、撮像装置全体の小型化、軽量化を図ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1aは本発明の光学ユニットの第一の実施例の沈胴状態を示す断面図である。図1bは同じく光学ユニットの第一の実施例のワイド位置を示す断面図である。図1cは同じく光学ユニットの第一の実施例のテレ位置を示す断面図である。
【図2】図1の光学ユニットを分解して示す斜視図である。
【図3】光学ユニットが沈胴状態であるデジタルスチルカメラの外観斜視図である。
【図4】光学ユニットがワイド状態又はテレ状態に伸長したデジタルスチルカメラの外観斜視図である。
【図5】図1aは従来の光学ユニットの沈胴状態を示す断面図である。図1bは同じく光学ユニットのワイド位置を示す断面図である。図1cは同じく光学ユニットのテレ位置を示す断面図である。
【図6】従来の光学ユニットを分解して示す斜視図である。
【図7】従来の光学ユニットのレンズ位置を検出する手段が電気的接点による方式である例を示す正面図である。
【図8】従来の光学ユニットのレンズ位置を検出する手段が可変抵抗器による方式である例を示す正面図である。
【符号の説明】
10…1群レンズ枠、 10a…カムピン、 12…カム環、 12a,12b…カム溝、 12c…ギア部、 12d…カムピン、 13…2群レンズ枠、
13b…カムピン、 15…固定環、 16…直進案内環、 16a,16b…案内溝、 17…後部鏡筒、 18…3群レンズ枠、 22…光学フィルタ、
24…固体撮像素子(撮像手段)、 71…突起部、 72…フォトセンサ

Claims (6)

  1. 固定鏡筒に対して少なくとも1つのレンズ鏡筒が光軸方向に沿って移動可能であり、上記レンズ鏡筒の背後に撮像手段を備えた沈胴式の光学ユニットにおいて、
    上記固定鏡筒内で上記レンズ鏡筒に、当該レンズ鏡筒の位置を検出する位置検出手段を設けたことを特徴とする光学ユニット。
  2. 請求項1記載の光学ユニットにおいて、
    上記位置検出手段は、上記固定鏡筒及び移動可能なレンズ鏡筒の一方に設けられたフィン状の突起部と、上記固定鏡筒及び移動可能なレンズ鏡筒の他方に設けられたフォトセンサとからなることを特徴とする光学ユニット。
  3. 請求項1記載の光学ユニットにおいて、
    上記1つのレンズ鏡筒は、上記光軸方向に沿って移動可能とされた2群レンズ枠を有する直進案内環であり、上記位置検出手段によって上記2群レンズ枠の位置を検出するようにしたことを特徴とする光学ユニット。
  4. 請求項3記載の光学ユニットにおいて、
    上記2群レンズ枠は、上記光軸方向の位置を変えることによりズーム領域を設定することができるズームレンズであり、上記位置検出手段によって上記レンズのズーム領域を検出するようにしたことを特徴とする光学ユニット。
  5. 請求項4記載の光学ユニットにおいて、
    上記ズームレンズが沈胴位置からテレ位置までの間に位置するときに当該ズームレンズを上記テレ位置側に移動させる移動手段を設け、
    上記沈胴位置からワイド位置までは上記位置検出手段によって上記2群レンズ枠の位置を検出し、ワイド位置からテレ位置までは位置検出手段が2群レンズ枠の位置を検出しないようにしたことを特徴とする光学ユニット。
  6. 固定鏡筒と、上記固定鏡筒に対して光軸方向に沿って移動可能とされた少なくとも1つのレンズ鏡筒と、上記レンズ鏡筒の背後に配置された撮像手段と、上記固定鏡筒内でレンズ鏡筒の位置を検出する位置検出手段と、を有する沈胴式の光学ユニットを備えた撮像装置において、
    上記撮像装置は、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ装置であることを特徴とする撮像装置。
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