JP2004143972A - エンジンオイル供給装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】機械式オイルポンプと電動オイルポンプを直列に接続し、電動オイルポンプの吸入口をエンジン各部に潤滑油を供給する潤滑経路に接続し、機械式オイルポンプの吐出口の圧力を第1の設定圧以下に制限するリリーフ弁を設け、電動オイルポンプの吐出口と可変バルブタイミング装置、または、オイルジェット装置との連通を選択的に切り替えるスイッチングバルブを設け、電動オイルポンプの吸入口から可変バルブタイミング装置への油の流れのみを許容する逆止弁を設け、スイッチングバルブは第1の設定圧以下の所定の第2の設定圧で作動し、第2の設定圧以下では電動オイルポンプの吐出口と可変バルブタイミング装置を連通し、第2の設定圧以上では電動オイルポンプの吐出口と前記オイルジェット装置との連通する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの潤滑系に使われるオイル供給装置に関し、特に、エンジンの潤滑と、可変バルブタイミング装置とオイルジェット装置を備えたエンジンに適用できる。
【0002】
【従来の技術】
エンジンはその潤滑のために、オイルポンプによりオイルパンからオイルをくみ上げ、部品の潤滑、冷却を行っている。また、オイルジェット装置により、エンジンオイルをピストンに噴射し、ピストンの冷却を行っている(特許文献1参照)。ここでは、エンジンの出力軸に直結した機械式オイルポンプによりオイルパンからオイルをくみ上げて油圧を発生させ、エンジンの各部品にオイルを供給すると共に、制御弁を介してオイルジェットにオイルを供給している。
【0003】
また、オイルジェット装置に供給するオイルを独立したオイルポンプを使ってくみ上げる技術(特許文献2参照)もある。
【0004】
一方、エンジンのバルブの開閉タイミングをずらすことで給排気の効率を向上させるための可変バルブタイミング装置がある。機械式オイルポンプの吐出圧はエンジンの回転数に依存する。エンジンの回転が低い時には低圧となる。ここで、可変バルブタイミング装置はエンジン回転が低いときから高いときまで常に作動させる必要があることから、電動オイルポンプが用いられる。電動オイルポンプが用いられる技術として、出力を制御可能な電動オイルポンプを用いてオイルパンからオイルをくみ出して油圧を発生させ、可変バルブタイミング装置を作動させる技術(特許文献3参照)がある。尚、この技術では、エンジンの潤滑油も同じ電動オイルポンプで供給している。また、メインオイルポンプとサブオイルポンプの並列の2台のオイルポンプを用意し、メインオイルポンプの吐出圧をサブオイルポンプでアシストする技術(特許文献4参照)がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−100619号公報(図1、図2、図6)
【0006】
【特許文献2】
実用新案登録第259045号公報(図1、図4)
【0007】
【特許文献3】
特開2000−345872号公報(図6)
【0008】
【特許文献4】
実開平4−132414号公報(図1)
【0009】
【本発明が解決しようとする課題】
機械式オイルポンプと電動オイルポンプを並列に接続した場合、次のような問題点がある。
【0010】
(1)エンジンの高回転時において、オイルジェット装置に必要な圧力が、可変バルブタイミング装置に必要な圧力よりも高い条件下においても、電動オイルポンプはオイルジェット装置と可変バルブタイミング装置の両負荷に同じ圧力を供給する必要があり、過剰な供給電力及び出力を必要とする。
【0011】
(2)このとき、機械式オイルポンプから両負荷へのオイルが本来負荷が必要としている量よりも過剰に流れてしまい、他の負荷への潤滑に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0012】
(3)オイルジェット装置に設置されているリリーフ弁は、電動オイルポンプに必要な出力を増大させている。オイルジェット装置自体の機能上は不要である。
【0013】
そこで、本発明は、エンジンのオイル供給装置において、低出力で高信頼性を有し、かつ低コストとすることを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は、請求項1に記載したように、エンジン回転により駆動される機械式オイルポンプと、電力を受け制御装置により制御される電動オイルポンプと、油圧により作動しエンジンのバルブの開閉時期を調整する可変バルブタイミング装置と、エンジンのピストンに向けてオイルを噴出するオイルジェット装置とを備えるエンジンのオイル供給装置において、機械式オイルポンプの吐出口と電動オイルポンプの吸入口をオイルフィルターを介してつなぐことにより機械式オイルポンプと電動オイルポンプを直列に接続し、電動オイルポンプの吸入口をエンジン各部に潤滑油を供給する潤滑経路に接続し、機械式オイルポンプの吐出口の圧力が第1の設定圧以上になると開いて機械式オイルポンプの吐出口の圧力を第1の設定圧以下に制限するリリーフ弁を設け、電動オイルポンプの吐出口、電動オイルポンプの吸入口、可変バルブタイミング装置、及びオイルジェット装置に接続され、電動オイルポンプの吸入口の圧力に応じて動作し、電動オイルポンプの吐出口と可変バルブタイミング装置、または、電動オイルポンプの吐出口とオイルジェット装置との連通を選択的に切り替えるスイッチングバルブを設け、電動オイルポンプの吸入口から可変バルブタイミング装置への油の流れのみを許容する逆止弁を設け、スイッチングバルブは第1の設定圧以下の所定の第2の設定圧で作動し、第2の設定圧以下では電動オイルポンプの吐出口と可変バルブタイミング装置を連通し、第2の設定圧以上では電動オイルポンプの吐出口とオイルジェット装置との連通する。
【0015】
これによれば、エンジンの回転に対応して機械式オイルポンプが作動する。このオイルは潤滑経路を介してエンジンの各部品の潤滑に使われる。機械式オイルポンプの吐出圧はリリーフ弁の作用により第1の設定圧以下に制限される。エンジン回転数がある程度高まってくると、機械式オイルポンプの吐出圧が高まり、機械式オイルポンプの吐出圧は第1の設定圧となる。エンジン回転数が低いときは、機械式オイルポンプの吐出圧が低くなるが、この場合、スイッチングバルブは電動オイルポンプと可変バルブタイミング装置の間を接続している。ここで電動オイルポンプを駆動すると、電動オイルポンプの吐出口の圧力は、機械式オイルポンプの吐出圧よりも高い圧となる。よって、機械式オイルポンプの吐出圧が低いときでも、可変バルブタイミング装置には高い圧を供給可能となり、可変バルブタイミング装置を動作させることができる。機械式オイルポンプの吐出圧が第2の設定値以上になると、スイッチングバルブが作動し、オイルジェット装置にオイルが供給可能になる。尚、オイルジェット装置はピストンの冷却を目的とするためエンジンが高回転の時に必要となる。ここで、電動オイルポンプを駆動すると、第1の設定圧に電動オイルポンプの吐出圧を加えた高い油圧をオイルジェット装置に供給できるようになる。
【0016】
即ち、エンジン回転数が低いときは、電動オイルポンプを作動させることにより、可変バルブタイミング装置を作動させうる。エンジン回転数が高いときは、電動オイルポンプを停止させることができる。また、エンジン回転数が高いときに電動オイルポンプを駆動することでオイルジェット装置を駆動することができる。このとき、電動オイルポンプの必要出力圧力は、可変バルブタイミング装置の必要油圧と、オイルジェット装置の必要油圧から第1の設定圧を引いた圧力の内のいずれか高いほうに設定すればよい。電動オイルポンプの必要流量は、可変バルブタイミング装置に必要な流量と、オイルジェット装置に必要な流量のいずれか高いほうに設定すればよい。よって、低出力、及び低流量の電動オイルポンプを使うことができる。
【0017】
また、上記の課題を解決するため、本発明は、請求項2に記載したように、請求項1において、電動オイルポンプの吸入口から可変バルブタイミング装置への油の流れのみを許容する逆止弁を設けた。
【0018】
これによれば、スイッチングバルブが電動オイルポンプとオイルジェット装置を接続している間でも、逆止弁を介して電動オイルポンプの吸入口から可変バルブタイミング装置へオイルを供給可能になる。この場合、電動オイルポンプの吸入口の圧力は第2の設定圧以上になっており、この圧を可変バルブタイミング装置の動作に必要な圧力以上に設定しておくことで、エンジン回転数が高いときでも可変バルブタイミング装置を作動可能になる。
【0019】
また、上記の課題を解決するため、本発明は、請求項3に記載したように、請求項1において、電動オイルポンプの吸入口と可変バルブタイミング装置の間にオリフィスを設けた。
【0020】
これによれば、電動オイルポンプの吐出したオイルのうち、可変バルブタイミング装置で使われない分は、このオリフィスを介して戻される。これにより、ポンプの過負荷による無駄なエネルギー消費と発熱を抑える。
【0021】
また、上記の課題を解決するため、本発明は、請求項4に記載したように、請求項1において、前記制御装置は、前記可変バルブタイミング装置に必要な油圧が前記機械式オイルポンプから得られないほどエンジン回転の低いとき、及び、前記オイルジェット装置が作動を必要とするエンジン回転の高いときのみ、電動オイルポンプを駆動した。
【0022】
これによれば、エンジンには第1の設定圧以下の油圧で潤滑油が送られ、エンジンが低回転のときには、電動オイルポンプが作動し可変バルブタミング装置を動作させ、また、エンジンが高回転のときには、電動オイルポンプが作動し、オイルジェット装置が高圧で作動する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0024】
図1にエンジンのオイル供給装置を示す。図1において、エンジン3の出力軸は機械式オイルポンプ1に接続されており、エンジン回転により機械式オイルポンプ1が駆動される。機械式オイルポンプ1はオイルパン23から吸入口14を介してオイルをくみ上げ吐出口15にオイルを供給する。吐出口15はオイルフィルタ22を介して油路16に接続されている。油路16はリリーフ弁4を介してオイルパン23につながる油路17に接続されている。リリーフ弁4は、油路16の圧力(すなわち、機械式オイルポンプ1の吐出圧)が、第1の設定圧以上になると開いて油路16の圧力を第1の設定圧以下に制限する。したがって、油路16の圧力はエンジン回転の上昇と共に上昇するが、第1の設定圧以上には上がらない。油路16はエンジン3の潤滑経路につながっており。エンジン3のメインギャラリーやチェーンジェットなどの各部11を潤滑したのち、排出油路21を介してオイルパン23に戻される。
【0025】
電動オイルポンプ2は、電力を受け制御装置10により制御される。電動オイルポンプ2の吸入口は油路16に接続されており、即ち、オイルフィルタ22を介して機械式オイルポンプ1の吐出口につながれている。機械式オイルポンプ1と電動オイルポンプ2は直列に接続される。電動オイルポンプ2の吐出口はスイッチングバルブ7に接続されている。スイッチングバルブ7は、油路19を介して可変バルブタイミング装置13に、また、油路18を介してオイルジェット装置12に接続されている。可変バルブタイミング装置13は油路19の油圧により作動しエンジンのバルブの開閉時期を調整する。オイルジェット装置12は油路18からの油圧によりエンジンのピストンに向けてオイルを噴出する。可変バルブタイミング装置13及びオイルジェット装置12を通ったオイルは排出油路21を介してオイルパン23に戻される。
【0026】
スイッチングバルブ7は内部にバネ9により付勢されたバルブ8を備える。バルブ8の一端には、油路16の油圧が加えられ、他端は油路20を介して排出油路21につながれている。油路16の油圧が高まると、バルブ8がバネ9の付勢力に抗して移動する。バルブ8は、油路16の油圧の油圧が低いとき電動オイルポンプ2の吐出口と油路19を、油路16の油圧の油圧が高いとき電動オイルポンプ2の吐出口と油路18を、それぞれ選択的に接続する。両者が切り替わる圧力は、第1の設定圧よりも低い第2の設定圧としておく。
【0027】
油路19と油路16の間には、油路16から油路19への油の流れを許容する逆止弁5と、オリフィス6が設けられている。電動オイルポンプ2が稼動していないときには、逆止弁5と油路19を通して可変バルブタイミング装置13にオイルが供給される。また、可変バルブタイミング装置13に必要な油量よりもオイルの供給量が多い時には、オリフィス6を介してオイルが油路16に戻される。
【0028】
以上のように、エンジンには第1の設定圧以下の油圧で潤滑油が送られ、エンジンが低回転で機械式オイルポンプの吐出圧が第2の設定圧より低いときには、電動オイルポンプ2を作動させることで可変バルブタイミング装置13を動作可能であり、また、エンジンが高回転で機械式オイルポンプの吐出圧が第2の設定圧より高いときには、電動オイルポンプ2のオン/オフ作動に応じてオイルジェット装置12がオン/オフ動作する。
【0029】
例えば、可変バルブタイミング装置13の駆動時には、電動オイルポンプ2の出力は、電動オイルポンプの入出力での圧力差100kPa、4L/min(6.5W)、角度固定時には10kPa、0.5L/min(0.8W)でよい。また、オイルジェット装置12の作動時では、30kPa、3L/min(1.5W)でよい。従来技術では、電動オイルポンプは、オイルジェット時に最大100kPa、7L/min(11.4W)を要してしまうため、この出力を出すのに必要な電動オイルポンプが必要になる。しかし、本実施態様では、約半分の低出力化が可能になる。また、これに伴い、制御装置10の出力電力も低減でき、コスト削減ができる。
【0030】
電動オイルポンプ2の制御装置10は図2のフローチャートに沿って動作する。ここでは、エンジン回転数が1000rpm以下のとき又は4000rpm以上のとき電動モータを回転させ電動オイルポンプ2を駆動する。また、これ以外の条件のとき、電動モータを停止させ電動オイルポンプ2を停止する。尚、具体的な回転数の条件はエンジンの種類、大きさ等を考慮して定めると良い。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、電動オイルポンプを低出力、低流量の安価なポンプとすることができる。またこれともない、電動オイルポンプの制御装置も低コスト化できる。
【0032】
また、オイルジェット装置は電動オイルポンプのオン/オフに応じて動作するので、別途制御バルブ等の制御部品を置く必要がない。
【0033】
また、可変バルブタイミング装置はエンジン回転が低いときでも動作可能である。
【0034】
また、電動オイルポンプは必要なときのみ通電させるので、通常の使用領域ではオフとなり、消費電力が少ない。
【0035】
また、エンジン潤滑系への油量の低下がない。
【0036】
また、電動オイルポンプの初期磨耗紛が油圧回路に与える影響が少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態におけるエンジンのオイル供給装置の油圧回路図である。
【図2】図1における制御装置のフローチャートである。
【符号の説明】
1 機械式オイルポンプ
2 電動オイルポンプ
3 エンジン
4 リリーフ弁
5 逆止弁
6 オリフィス
7 スイッチングバルブ
8 バルブ
9 バネ
10 制御装置
11 各部
12 オイルジェット装置
13 可変バルブタイミング装置
14 吸入口
15 吐出口
16,17,18,19,20 油路
21 排出油路
22 オイルフィルタ
23 オイルパン
Claims (4)
- エンジン回転により駆動される機械式オイルポンプと、電力を受け制御装置により制御される電動オイルポンプと、油圧により作動しエンジンのバルブの開閉時期を調整する可変バルブタイミング装置と、エンジンのピストンに向けてオイルを噴出するオイルジェット装置とを備えるエンジンのオイル供給装置において、前記機械式オイルポンプの吐出口と電動オイルポンプの吸入口をオイルフィルターを介してつなぐことにより前記機械式オイルポンプと電動オイルポンプを直列に接続し、前記電動オイルポンプの吸入口をエンジン各部に潤滑油を供給する潤滑経路に接続し、前記機械式オイルポンプの吐出口の圧力が第1の設定圧以上になると開いて前記機械式オイルポンプの吐出口の圧力を第1の設定圧以下に制限するリリーフ弁を設け、前記電動オイルポンプの吐出口、前記電動オイルポンプの吸入口、前記可変バルブタイミング装置、及び前記オイルジェット装置に接続され、前記電動オイルポンプの吸入口の圧力に応じて動作し、前記電動オイルポンプの吐出口と前記可変バルブタイミング装置、または、前記電動オイルポンプの吐出口と前記オイルジェット装置との連通を選択的に切り替えるスイッチングバルブを設け、前記電動オイルポンプの吸入口から前記可変バルブタイミング装置への油の流れのみを許容する逆止弁を設け、前記スイッチングバルブは前記第1の設定圧以下の所定の第2の設定圧で作動し、第2の設定圧以下では前記電動オイルポンプの吐出口と前記可変バルブタイミング装置を連通し、第2の設定圧以上では前記電動オイルポンプの吐出口と前記オイルジェット装置との連通することを特徴とするエンジンのオイル供給装置。
- 請求項1において、前記電動オイルポンプの吸入口から前記可変バルブタイミング装置への油の流れのみを許容する逆止弁を設けたことを特徴とするエンジンのオイル供給装置。
- 請求項1において、前記電動オイルポンプの吸入口と前記可変バルブタイミング装置の間にオリフィスを設けたことを特徴とするエンジンのオイル供給装置。
- 請求項1において、前記制御装置は、前記可変バルブタイミング装置に必要な油圧が前記機械式オイルポンプから得られないほどエンジン回転の低いとき、及び、前記オイルジェット装置が作動を必要とするエンジン回転の高いときのみ、電動オイルポンプを駆動することを特徴とするエンジンのオイル供給装置。
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