JP2004142854A - レベルワウンドコイル積層体、レベルワウンドコイルの梱包体及びレベルワウンドコイルからの管供給方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ETS方式により多段積みのLWCを連続的にアンコイルしても、管の折れ、変形、窪み及び擦り疵が発生せず、且つコイルの荷崩れ及び変色が発生しないLWC積層体、LWCの梱包体及びLWC積層体からの管供給方法を提供する。
【解決手段】奇数層目のコイルの巻き数をnとするとき偶数層目のコイルの巻き数が(n−1)であり、奇数層目のコイルの巻き方向と偶数層目のコイルの巻き方向とが相互に逆であるLWC20を、コイル軸方向が垂直になり、巻き始め部位が上側になるようにしてパレット11上に2個以上積載し、上段に位置するLWC20の巻終端及び上段のLWC20に隣接して下側に位置するLWC20の巻始端を接続部材60により接続し、上段のLWC20及び上段のLWC20に隣接して下側に位置するLWC20との間にスペーサ61を設ける。
【選択図】 図4
【解決手段】奇数層目のコイルの巻き数をnとするとき偶数層目のコイルの巻き数が(n−1)であり、奇数層目のコイルの巻き方向と偶数層目のコイルの巻き方向とが相互に逆であるLWC20を、コイル軸方向が垂直になり、巻き始め部位が上側になるようにしてパレット11上に2個以上積載し、上段に位置するLWC20の巻終端及び上段のLWC20に隣接して下側に位置するLWC20の巻始端を接続部材60により接続し、上段のLWC20及び上段のLWC20に隣接して下側に位置するLWC20との間にスペーサ61を設ける。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアコン等の空調冷凍機の伝熱管、並びに建物用の給湯及び給水配管等に使用される銅又は銅合金管等のレベルワウンドコイル積層体、レベルワウンドコイルの梱包体、及びレベルワウンドコイルからの管供給方法に関する。特に、コイル軸を垂直に載置し、管を上方に引き上げて連続的にコイルを巻き解くのに適したレベルワウンドコイル積層体、レベルワウンドコイルの梱包体及びレベルワウンドコイルからの管供給方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明のレベルワウンドコイル積層体を構成するレベルワウンドコイル(Level Wound Coil:以下、LWCという)は、整列巻きした金属又は合金管より構成されるが、以下においてはその一例として銅又は銅合金管を使用する場合について説明する。銅又は銅合金管(以下、単に銅管というときは、銅合金管も含む)は、エアコン等の空調機器用の伝熱管(内面溝付管及び平滑管等)、並びに建築用の給湯配管及び給水配管等に使用されている。この銅管は、製造工程において、例えば、コイル状に巻き取られてから焼鈍が行われて所定の調質とされ、LWCの状態で保管、及び搬送される。
【0003】
図12は従来のLWC110の巻き方法を示す断面図である。但し、図12においては、図示の簡略化のために、管101の断面を円で示している。また、以下の図においても同様とする。図13は回転軸が水平のアンコイラーを示す斜視図であり、図14は回転軸が垂直のアンコイラーを示す斜視図である。図13又は図14に示すように、取り外し可能の側板102a及び内筒102bで構成されるボビン102を、その軸方向を水平又は垂直にして、回転装置103又は104に取り付け、前記回転装置103又は104により、ボビン102を回転方向(巻き取り)の矢印で示す方向に回転駆動する。これにより、銅管101がボビン102に巻き取られる。
【0004】
図12に示すように、先ず、銅管101をボビン102の内筒102bの外周面に、図示の左端の位置を始端111として、右方向に整列巻きする。この場合の整列巻きとは、銅管101の1ターンと隣接する1ターンとが相互に接触するように、即ち隙間が出ないように密に銅管101を巻回していくことをいう。次に、図示の右端まで銅管101がきて1層目の巻回が終了した後、右端から左端に向けて2層目を巻回する。2層目の巻始端となる銅管部分112は1層目の終端となる銅管部分と側板102aとの間の隙間上に位置し、順次、左方に向けて、1層目のコイルにおいて隣接する銅管部分間に形成される凹部に嵌まるようにして巻回されていく。その後、3層目のコイルを2層目のコイルの上に積層する。このような、円筒状の1層のコイルを形成した後、その上に2層目の円筒状コイルを、管軸方向(反対方向)に巻回していくことにより形成するような巻き方をトラバース巻きという。従来、トラバース巻きされる各層のコイルの巻き数は、各層で同一であったが、銅管101をこのような方法で巻回することにより、体積が小さいLWC110を製作することができ、保管及び輸送に必要なスペースの低減が可能となる。前記LWC110の質量は1コイルあたり、100乃至500kgである。更に、前記LWC110は、最外周に銅バンド等で解き止めの処理をした後、ボビン102と内筒102aを取り外し、例えばローラーハース型の連続焼鈍炉により所定の調質に焼鈍される。
【0005】
焼鈍したLWC110を輸送する際には、例えば、再度ボビン102を装着し、又はLWC110のみの状態で、LWC110のコイル軸が垂直になるようにパレット上に載置する。その際、1コイルのみをパレット上に載置する場合、及びコイル間に緩衝材を介装して複数のコイルを積み上げて載置する場合がある。更に、運搬時の衝撃で荷崩れ又は当たり疵が付かないように、外面を段ボール等で覆うと共に、パレットの4隅又はパレット各辺の中央部に固定のための支柱を立て、コイルを支柱に固定した状態で、エアコン組立工場等の銅管使用先に輸送する(例えば、特許文献1乃至4参照)。図15は輸送時におけるLWC110の一例を示す斜視図である。図15(a)に示すように、LWC110はボビン102を取り外され、巻回状態が崩れないようにひも106で固定されていると共に、コイル110の間に緩衝材として段ボール製のライナー105が介装されている。このようにして使用先まで輸送されたLWC110は、梱包を解いた後、図15(b)に示すように、コイルの中心に1コイルずつ内筒102bを挿入し、更に前記内筒102bに側板102aをねじ等により固定してボビン102を組み立て、前記ボビン102に巻回された状態で回転装置103又は104に装着される。そして、前記回転装置103又は104の回転軸を回転方向(巻き解き)の矢印で示す方向に回転駆動し、図12に示す終端113の銅管部分を握持して引き出すことにより、LWC110はその外周側から巻き解かれる。
【0006】
輸送及び保管時には外観上は認められないが、コイルをアンコイルしていくと、コイルの中央部付近に巻かれている銅管の外面が変色していることがある。この変色は酸化膜の形成により発生し、あんこ変色といわれている。銅管101にこのような変色が発生した場合、銅管101をろう付けする際の信頼性が低下する虞があると共に、外観上も好ましくないため、使用することができずに廃棄される。このため、変色が発生すると、歩留が低下し、生産性が阻害される。
【0007】
また、上述した工程においては、LWC110を回転装置103又は104に装着する作業が必要である。その際、LWC110の質量が大きいことから、安全性確保及びコイル110の変形防止のために、十分な注意を払う必要があり、作業能率が低下しやすい。
【0008】
更に、図13に示す回転装置103を使用して、コイル110をそのコイル軸を水平にして巻き解く場合、銅管101の引抜力が大きいと、コイル110を巻き締める状態となる。この巻き締めにより、側板102aに隣接する銅管部分は側板102aと銅管101との隙間に入り込み、抜け難くなるため、この部分が変形してしまうことがしばしば発生し、これが歩留り及び生産性を低下させる要因になっている。また、前記回転装置103は、コイルを水平の回転軸により片持ち張りの状態で支持すると共に、前記回転軸を回転駆動して銅管を送り出す必要があるため、構造が複雑で、装置コストが高い。
【0009】
また、図14に示す回転装置104を使用して、コイル110をそのコイル軸を垂直にしてコイル外面側から巻き解く場合、この場合も銅管101に作用する張力によりコイルに対してコイルが巻き締まる方向の力が作用する。このため、銅管101が相互に擦れて擦り疵又は変形が発生し、歩留及び生産性を低下させる要因になっている。更に、LWC110をそのコイル軸を垂直にしてアンコイルする場合は、LWC110を載置するためのターンテーブル107が必要になるため、前記回転装置104も、装置コストが高い。
【0010】
このように、従来からあるアンコイル方法では、アンコイルするための装置を導入するために、多大の投資が必要となる。特に、巻き解く管の張力を一定に制御しようとすると、ターンテーブル107を含む回転装置104において、前記ターンテーブル107の回転速度を複雑に制御する必要があり、装置コストが極めて高くなる。
【0011】
そこで、上記問題を解決するために、ETS(Eye To the Sky)といわれるコイルの巻き解き方法が提案されている。図16はETS方式によるアンコイルを示す斜視図である。
【0012】
この方法は、図16に示すように、輸送中にボビン102が装着されていた場合は、前記ボビン102の側板102a及び内筒102bを取り外し、またボビン102が装着されていない場合はそのままの状態で、LWC110を台114上に載置するものである。この場合に、LWC110はそのコイル軸を垂直にし、且つ図12に示すようにコイル内面側に存在するコイル巻回時の始端111が上側になるようにして配置される。そして、このコイル巻回時の銅管始端111を引き上げ、台114の上方に設置された湾曲した筒状のガイド115に銅管101を挿入してその進路を変更し、銅管101の使用先に供給する。このように、コイル110が回転することなく、銅管101がコイル110から引き出され、コイル110がその内面側から巻き解かれるので、コイル110から引き出された直後の銅管101は螺旋状にループを形成しているが、ガイド115を通過して引き出されていく間に、徐々にその巻き癖が解消されていく。なお、0.2%耐力が60〜70N/mm2程度の軟質のりん脱酸銅管をETS方式によりアンコイルすると、銅管に塑性加工が加わるため0.2%耐力は90〜105N/mm2程度に上昇する。
【0013】
このように、ETS方式によりアンコイルされる場合は、アンコイル時の内筒及び側板の除去が不要であるため、通常、LWCはボビンなしの状態でパレット上に複数個載置して輸送され、使用場所において梱包が解かれて、パレットに載せた状態で上段のLWCより順にアンコイルされる。そのため、前記ETS方式を採用すると、側板及び内筒が不要となり、輸送コストが低減されると共に、梱包及び開梱作業の能率が大幅に向上する。更に、アンコイル時にコイルを回転させる必要がなく、コイル内面側から引き出された銅管は螺旋状に上昇して所定の銅管加工場所まで導かれるため、縦型アンコイラー又はターンテーブル等の特別な設備が不要となる。また、銅管の使用先においては、LWC受入後は使用場所に運搬して解梱するだけで、多段積の状態でも上側のLWCより順にアンコイルできるため、前述の作業能率の問題が大幅に軽減される。更に、コイルが内面側から巻き解かれるので、引き出される銅管に作用している張力は、コイルを開放する方向に作用する。即ち、銅管の張力によりコイルを締め付ける方向に力が作用することがないため、縦型アンコイルにおける管の変形又は横型アンコイルにおける管の擦り疵及び変形が防止され、管の歩留りが大幅に向上すると考えられている。
【0014】
【特許文献1】
実開平4−91891号公報 (第2頁、図1−3)
【特許文献2】
実開平4−19556号公報 (第3頁、図1)
【特許文献3】
実開平2−124859号公報 (第4頁、図1−4)
【特許文献4】
実開平7−21590号公報 (第4−5頁、図1−3)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、LWCをETS方式によりアンコイルする場合、偶数層で最初に巻き解かれるのは最下段の銅管になる。この位置の銅管には上部の銅管による押圧力が作用しており、巻き解くためにはこの押圧力に打ち勝って銅管を引き出してやることが必要になる。そのため、押圧力が大きい場合、管の耐力が小さい場合、又は管の焼きつきが発生している場合等には巻き解きの張力により管の折れ、変形、窪み及び擦り疵が発生してしまうことがあり、これらが歩留まり向上の障害となっている。
【0016】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、ETS方式により多段積みのLWCを連続的にアンコイルしても、管の折れ、変形、窪み及び擦り疵が発生せず、且つコイルの荷崩れ及び変色が発生しないLWC積層体、LWCの梱包体及びLWC積層体からの管供給方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本願第1発明に係るLWC積層体は、管を整列巻きして1層目コイルを形成した後、前記1層目コイル上に2層目コイルを前記1層目コイルの外面の管間の凹部に嵌め込んで整列巻きし、以後同様に、2層目コイル上に3層目コイル、3層目コイルの上に4層目コイルを整列巻きした複数層のコイルからなるLCWにおいて、奇数層目のコイルの巻き数をnとするとき偶数層目のコイルの巻き数が(n−1)であり、且つ奇数層目のコイルの巻き方向と偶数層目のコイルの巻き方向とが相互に逆であるLCWを、コイル軸方向が垂直に、巻き始め部位が上側になるようにしてパレット上に2個以上積載し、更に上段に位置するLWCの巻終端及び前記上段のLWCに隣接して下側に位置するLWCの巻始端を接続部材により接続し、且つ前記上段のLWC及び前記上段のLWCに隣接して下側に位置するLWCとの間に前記接続部材を通過させる間隔を保持するためのスペーサーが設けられていることを特徴とする。
【0018】
前記LWC積層体を構成するLWCは、その巻き層の数が奇数であり、且つ最外層の巻き数がnであることが望ましい。
【0019】
本願第2発明に係るLWC積層体は、管を整列巻きして1層目コイルを形成した後、前記1層目コイル上に2層目コイルを前記1層目コイルの外面の管間の凹部とその両隣に配置して整列巻きし、以後同様に、2層目コイル上に3層目コイル、3層目コイル上に4層目コイルを整列巻きした複数層のコイルからなるLWCにおいて、奇数層目のコイルの巻き数をnとするとき偶数層目のコイルの巻き数が(n+1)であり、且つ奇数層目のコイルの巻き方向と偶数層目のコイルの巻き方向とが相互に逆であるLWCを、コイル軸方向が垂直に、巻き始め部位が下側になるようにしてパレット上に2個以上積載し、更に上段に位置するLWCの巻終端及び前記上段のLWCルに隣接して下側に位置するLWCの巻始端を接続部材により接続し、且つ上段のLWC及び前記上段のLWCに隣接して下側に位置するLWCとの間に前記接続部材を通過させる間隔を保持するためのスペーサーが設けられていることを特徴とする。
【0020】
前記LWC積層体を構成するLWCは、その巻き層の数が偶数であり、且つ最外層の巻き数がn+1であることが望ましい。
【0021】
本願第3発明に係るLWC積層体は、管を整列巻きして1層目コイルを形成した後、前記1層目コイル上に2層目コイルをその巻始端が前記1層目コイルの最終巻及びその直前巻の管間の凹部に嵌め込まれるようにして前記1層目コイルの外面の管間の凹部とその外側に配置して整列巻きし、以後同様に、2層目コイル上に3層目コイル、3層目コイル上に4層目コイルを整列巻きした複数層のコイルからなるLWCにおいて、奇数層目のコイルの巻き数をnとするとき偶数層目のコイルの巻き数がnであり、且つ奇数層目のコイルの巻き方向及び偶数層目のコイルの巻き方向とが相互に逆であるLWCを、コイル軸方向が垂直に、巻き始め部位が上側又は下側になるようにしてパレット上に2個以上積載し、上段に位置するLWCの巻終端及び前記上段のLWCに隣接し下側に位置するLWCの巻始端を接続部材により接続し、且つ前記上段のLWC及び前記上段のLWCに隣接して下側に位置するLWCとの間に前記接続部材を通過させる間隔を保持するためのスペーサーが設けられていることを特徴とする。
【0022】
前記LWC積層体を構成するLWCは、その巻き層の数が、巻き始め部位が上になるように設置されている場合は奇数であり、又は巻き始め部位が下になるように設置されている場合は偶数であり、且つ最外層の巻き数がnであることが望ましい。
【0023】
本願第4発明に係るLWCの積層体は、管を整列巻きして1層目コイルを形成した後、前記1層目コイル上に2層目コイルをその巻始端が前記1層目コイルの最終巻の外側に配置され、前記第2層目コイルの第2巻き以降は前記1層目コイルの最終巻及びその直前巻の管間の凹部に嵌め込まれるようにして、前記1層目コイルの外面の管間の凹部及びその外側に配置して整列巻きし、以後同様に、2層目コイル上に3層目コイル、3層目コイル上に4層目コイルを整列巻きした複数層のコイルからなるLWCおいて、奇数層目及び偶数層目のコイルの巻き数がいずれもn(nは自然数)であり、奇数層目のコイルの巻き方向と偶数層目のコイルの巻き方向とが相互に逆であり、巻層の数をm(mは自然数)、m/2の小数点以下を切り捨てて整数とした値をm′、コイルの質量をWとしたときW/m′が18.0kg以下である2個以上のLWCを、コイル軸方向が垂直に、且つ巻き始め部位が上側になるようにしてパレット上に2個以上積載し、上段に位置するLWCの巻終端及び前記上段のLWCに隣接して下側に位置するLWCの巻始端を接続部材により接続し、且つ前記上段のLWC及び前記上段のLWCに隣接して下側に位置するLWCとの間に前記接続部材を通過させる間隔を保持するためのスペーサーが設けられていることを特徴とする。
【0024】
前記LWC積層体を構成するLWCは、その巻き層の数が奇数であり、且つ最外層の巻き数がnであることが望ましい。
【0025】
本願第5発明に係るLWCの梱包体は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のLWC積層体において、積層されたLWC全体が樹脂製の袋で包まれ、更にその外側を帯状の樹脂フィルムにより緊張巻きされていることを特徴とする。
【0026】
前記LWCの梱包体は、例えば、最上段のLWCの上が緩衝材で覆われている。そして、前記LWCと前記パレットとは前記樹脂袋の上から固定部材により相互に固定することができる。
【0027】
本願第6発明に係るLWC積層体からの管供給方法は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のLWC積層体又は請求項9乃至11のいずれか1項に記載のLWCの梱包体を、コイル軸方向が垂直になるように載置し、前記梱包体の場合は樹脂製袋及び樹脂製フィルムを解き、又はLWCの側面に緊張巻きされている樹脂製フィルムを解かずに、巻き始め部位の管端を上方に引き上げて管を引き出すことを特徴とする。
【0028】
図12に示す従来のLWC110を使用し、本願第1発明と同様のLWC積層体を作製し、図16に示すETS方式により最上段のコイルから銅管を引き出そうとしても、前述の如く、周期的に管の折れ、変形、窪み又は擦り疵が発生してしまい、多段積みのコイルを連続的にアンコイルすることは困難である。アンコイル時に、奇数層の最下段の銅管部分がコイル内面から離脱した後、偶数層の最下段の銅管部分がコイル内面から離脱することになるが、前記偶数層の最下段の銅管部分は、この列におけるその上方の銅管部分とスペーサー又はパレットとの間で挟まれており、上方の銅管部分からスペーサー又はパレットに向けて押圧されている。このため、引き出しが前記偶数層の最下段に移った時に、銅管101の引き出しに大きな抵抗力が作用して詰まったような現象となり、引き出すのに大きな力が必要になる。その際、無理に引き出そうとすると、変形が発生してしまう。
【0029】
これに対し、本願第1発明及び第3発明においては、コイル軸方向を垂直にし、巻き始め部位を上方にしてLWC積層体をパレットに載置した場合、どの段のLWCにおいても、2層目のコイルは、1層目コイルの最後の部分が引き上げられた後に、その下側の部位から順次引き上げられていく。この場合に、2層目コイルの最下段の管部分は、スペーサー又はパレットに接触していない。前記2層目コイルの最下段の管部分(最初に引き出される部分)は、その上の管部分とパレットとの間で拘束されていないため、前記2層目のコイルの始端は、円滑に引き出され、コイル内面から離脱する。このため、管の折れ、変形、窪み及び擦り疵は発生しない。更に、本願第1発明及び第3発明においては、最上段のLWCの巻終端がその下のLWCの巻始端に接続部材を介して接続されているので、最上段のLWCのアンコイルが終了すると、第2段目のLWCも同様にアンコイルされていく。このようにして多段積みされているLWC全てを連続的にアンコイルすることができる。
【0030】
本願第2発明においては、コイル軸方向を垂直にし、巻き始め部位を下方にしてLWC積層体を載置した場合、2層目のコイルはその最下段の管部分がパレットに接触してその上段の管部分とパレットとの間で拘束されているが、管を引き出す際に、1層目のコイルの巻き始め部位(下方に配置されている)の管端を上方に引き出したとき、1層目のコイルの最後の引き出し部分は最上段の管部分であり、従って2層目のコイルは最上段の管部分から引き出されることとなる。このため、2層目のコイルも円滑に引き出される。3層目のコイルは、その引き出し始端が最下段の管部分であるが、その最下段の管部分は、パレットとの間に間隙があるので、3層目のコイルも円滑に引き出される。このため、管の折れ、変形、窪み及び擦り疵が発生しない。最上段のLWCのアンコイルが終了すると、最上段のLWCの巻終端はその下のLWCの巻始端に接続部材を介して接続されているので、第2段目のLWCも同様にアンコイルされていく。このようにして多段積みされているLWC全てを連続的にアンコイルすることができる。
【0031】
本願第3発明においては、巻始端が下方になるようにLWC積層体をパレットに載置してもよい。この場合、奇数層及び偶数層のコイル最下段の管部分については、第2発明と全く同一の配列となり、第2発明と同様にして管を引き出すことができる。
【0032】
なお、本願第1乃至第3発明において、LWCがETS方式により巻き解かれる場合、偶数層又は奇数層の最下段の銅管は、上部の銅管による押圧力又は下部のスペーサー若しくは緩衝材との摩擦力が存在していても離脱できるが、上部の銅管による押圧力又は下部のスペーサー若しくは緩衝材との摩擦力は小さいほうが望ましい。即ち、各LWCの偶数層と奇数層を合わせた巻き層mの内、LWCの過重を支えるのはm/2であるが、各LWCの質量をm/2で割った値が22以下であることが望ましく、18以下であることが更に望ましい。
【0033】
本願第4発明は、LWCの巻き方そのものは図12に示す従来のものと同じであるが、巻層の数を所定の数にすることにより、前記押圧力の増大を抑制し、偶数層の銅管が円滑に引き出され、コイル内面から離脱することを可能にしたものである。このため、管の折れ、変形、窪み及び擦り疵が発生しない。したがって、多段積みのLWCから連続的に銅管をアンコイルすることができる。
【0034】
本願第5発明においては、LWC積層体を梱包する際に、パレット上の多段のLWC全体が樹脂製の袋で包まれ、更にその外側を帯状の樹脂フィルムにより緊張巻きされるので、保管及び運搬中に湿気がコイルの内部に侵入することが抑制され、コイル内部の酸化による変色が防止される。
【0035】
本願第6発明によると、LWC積層体又はLWC積層体の梱包体を、コイル軸方向が垂直になるように載置し、巻き始め部位の管端を上方に引き上げて管を引き出すだけで、多段積みされているLWC全てが連続的に、且つ極めて容易に銅管を引き出すことができ、更に大がかりな装置が不要となり、設備コストを著しく低減することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、ETS方式における問題点を解決するため、巻き解き時に最下段の銅管にかかる押圧力が大きくならないような構成のLWCを特願2002−93382及び特願2002−93369で提案した。特願2002−93382では、(奇数層のコイル巻き数,偶数層のコイル巻き数=(n,n−1)、(n,n+1)及び(n,n)の3種類のLWCを提案している。3番目の(n,n)のものは従来のLWCと偶数層及び奇数層の巻き数は同じであるが、巻き方に工夫をすることにより従来のETS方式の問題点を解決している。また、特願2002−93369で提案したLWCも、巻き数及び巻き方は従来のものと同じであるが、巻き層の数を限定することにより最下段の銅管にかかる押圧力を制限し、従来のETS方式の問題点を解決している。しかしながら、前述のLWCでは、ETS方式でアンコイルする際の巻き解きによる管の折れ、変形、窪み又は擦り疵等の問題を改善することができたものの、多段積みしたLWCから複数のコイルをETS方式により巻き解く場合には、最上段のコイルの巻き解きが終った後、第2段目のコイルの巻き解くために、改めてその始端を引き出し、ガイドを通して使用場所まで導くことが必要であった。そこで、本発明は、このように、1コイル毎に作業を中断し、改めてセットを行う必要性をなくし、作業能率を向上させることができる技術を提案するものである。
【0037】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。初めに、本願第1発明に係る第1実施形態のLWC積層体について説明する。図1は前記第1実施形態のLWC積層体を構成するLWC20の巻き方法を示す断面図であり、図2は前記LWC20の上半部を示す模式図であり、更に図3は前記LWC20の巻き解き方法を示す模式図である。
【0038】
ボビン2は、円筒状の内筒2bと、この内筒2bの両端部分に取り付けられた側板2aとを有する。そして、前記ボビン2は図13又は図14の回転装置103又は104の回転軸に装着されている。本実施形態のLWCにおいては、先ず、銅管1を内筒2bの左端に位置させ、これを巻始端21として、ボビン2を回転装置103又は104により回転駆動し、銅管1を内筒2bに、図1における右方向に巻回して整列巻きする(トラバース巻き)。即ち、銅管1を内筒2bに、銅管部分に隙間がなく常に接触しているように、整列巻きで巻き付けていく。本実施形態においては、1層目のコイルを巻回し終わると、1層目の終端の銅管部分は側板2aに接触する。従って、内筒2bの軸方向の長さは、銅管1の外径の整数倍であり、この1層目のコイルの巻き数をn、銅管1の外径をDとすると、内筒2bの長さは、実質的にnDとなる。1層目のコイルの巻回が終了すると、2層目はその始端の銅管部分22を、1層目のコイルの終端(n回目)の銅管部分とその直前(n−1回目)の銅管部分との間の凹部に位置させて、順次、図1における左方向に整列巻きで巻回していく。2層目のコイルはその左端の終端において、側板2aとの間に更に1コイルが入るだけの余裕がないため、側板2aとの間に隙間を残したまま、3層目の巻回に移る。従って、2層目のコイルの巻き数は、1層目のコイルの巻き数nより1回少なく、n−1となる。3層目のコイルは、1層目と同じくn回、図1の右方向に巻回する。この場合に、3層目も1層目と同様に、その左端及び右端の銅管部分は側板2aと接触する。4層目は2層目と同様に、始端の銅管部分23を側板2aとの間に隙間があるようにして配置し、図1における左方に銅管を巻回していく。奇数層目のコイルの巻き数をnとすると、偶数層目のコイルの巻き数は(n−1)であり、奇数層目のコイルの巻き方向と偶数層目のコイルの巻き方向とが相互に逆であるLWC20が得られる。前記LWC20は、最外周に銅バンド等で解き止めの処理をした後、ボビン2と内筒2bを取り外し、所定の調質に焼鈍される。焼鈍時にLWCに焼付きが発生すると、ETS方式によりアンコイルするときに折れ、疵及び変形等が発生するため、焼鈍時に管が焼付かないように、コイルの巻き張力及び巻き方向、積層方向のコイル数、管外面油、焼鈍温度、焼鈍時間並びに焼鈍雰囲気等を選択することが必要である。
【0039】
なお、LWCに焼付きが発生しなければ、例えば、材質がりん脱酸銅(JISH3300−C1201及びC1220)の場合は、焼鈍後の銅管の0.2%耐力が50乃至150N/mm2、伸びが35乃至55%であり、このような耐力及び伸びを有するLWCの場合は、管に曲がり、折れ及び疵等を発生させずにETS方式によりアンコイルすることができる。但し、これは一例であって、本発明は、このような機械的特性を有するLWCに限定されるものではない。
【0040】
上述の方法により作製されたLWC20は、ボビン2を取り外した状態で、図3に示すように、そのコイル軸を垂直にして、巻始端21が上方になるようにして載置し、始端21を上方に引き出す。それにより、LWC20の内面側のコイル(1層目コイル)が巻き解かれて、コイル内面から離脱していく。そして、1層目コイルの最下端(図1においては最右端)の銅管部分がコイル内面から離脱すると、2層目コイルの最下端(最右端)の巻始端の銅管部分22がコイル内面から離脱することになるが、本実施形態においては、この2層目始端の銅管部分22は側板2aと接触しておらず、側板2aとの間に隙間を有しているため、銅管部分22はその上層(左方)の銅管部分と、側板2aとの間で拘束されていない。このため、銅管部分22は容易に且つ円滑にコイル内面から離脱し、コイル20から円滑に引き出される。
【0041】
図4は、第1実施形態のLCW積層体の作製方法をその工程順に示す図である。本発明の第1実施形態のLWC積層体は、前記LWC20を使用し、図4に示すような手順で製作することが可能である。▲1▼先ず、木製又は樹脂製等のパレット11を用意する(図4(a))。▲2▼パレット11上に例えば50μmの膜厚のポリエチレンシート12を載せる(図4(b))。▲3▼前記ポリエチレンシート12上に、例えば厚さ5mmのポリエチレン発泡材からなるクッション材13を載置し(図4(C))、前記クッション材13上にボビン2が取り外されたLWC20をその軸方向を垂直に、巻き始め部位が上になるように載置して最下段のLWC20とする(図4(d))。▲4▼前記最下段のLWC20の始端に適当な長さの接続部材60を接続する(図4(e))。▲5▼前記最下段LWC20の上面の適当な位置に半円状のスペーサー61を設置し、最下段のLWC20に取り付けた接続部材60をスペーサーの隙間より引き出す(図4(f1)及び(f2))。▲6▼前記最下段のLWC20上に載置するLWC20(2段目LWC20)を、キャリア62により最下段のLWC20の上に浮かした状態で保持し、前記接続部材60を2段目LWC20の終端(LWC外周側)に接続した後、前記接続部材60が弛まないように2段目LWC20をコイル軸方向に適当な角度だけ回転させる(図4(g))。▲7▼2段目LWC20を最下段LWC20上のスペーサー61の上にコイル軸中心を合わせて載置する(図4(h))。▲8▼3段以上のLWC積層体を製作する場合は、前記▲4▼乃至▲7▼の工程を繰り返す。
【0042】
なお、図4に示すような形状のスペーサーを使用した場合、上段のLWCを巻き解く際に、下段のLWCの位置まで管が垂れ下がり、管が折れやすくなる。このような問題を防止するためには、スペーサーの上に穴のない円板状のカートンを載置する、又は穴のないスペーサーを使用する等の対応をすれば良い。
【0043】
LWC20をETS方式により巻き解く場合、奇数層は上から下に、偶数層は下から上にそれぞれ巻き解かれる。即ち、それぞれの列で最後に巻き解かれる管の位置は奇数層では最下段、偶数層では最上段になる。そのため、下段のLWC20と上段のLWC20とを接続する接続部材の長さをなるべく短くするため、及び巻き解きに伴う管変形等の問題を少なくするためには、各LWCの巻きの列数を奇数とし、且つ最外層が下端まで巻かれている、即ち巻き数をnとすることが望ましい。
【0044】
なお、ETS方式による巻き解きでは、管が上方に引き上げられるため、下から巻き解かれる場合、その後の巻き層による拘束が存在しない最終列においては、列全体が上方に持ち上げられやすく、その際に管の曲がり及び引っ掛かり等の問題が発生しやすい。
【0045】
LWC積層体を製作するために使用する接続部材及び接続方法としては、LWCの銅管の内径とほぼ等しい外径を有する軟質な銅管、アルミ管、銅棒及びアルミ棒等をLWC銅管に挿入し、樹脂系接着等剤、はんだ、ろう及びかしめ等の方法により接続する、又はLWCの銅管の外径にほぼ等しい内径を有する軟質な銅管、アルミ管及びゴム管等をLWC銅管にかぶせ、樹脂系接着等剤、はんだ、ろう及びかしめ等の方法により接続する等が挙げられる。本実施形態においては、ETS方式により巻き解かれる際、銅管に加わる張力に絶えうる強度を有する接続部材及び接続方法を用いることができる。
【0046】
また、上下のLWCの間に載置するスペーサーは、前記接続部材が上下のLWCに挟まれないように空間を確保するためのものであるから、適当な強度を有し、輸送時の衝撃より保護するための衝撃吸収性があり、軽量な材質より選択することができる。例えば、ポリエチレン発泡材、ダンボール、又はそれらの積層体等から選択することができる。その形状は、扇型、切り欠きを設けた円板状及び矩形等から選択し、厚さについては接続部材の寸法を考慮し、適当な値を選択することができる。また、スペーサーとLWCの間に疵防止のために、円板状のポリエチレンシート及びカートン等を置いても良い。これらの円板状のポリエチレンシート及びカートン等は、前述の理由から穴のないものを使用することが望ましい。
【0047】
なお、従来は各層のコイルの巻き数はnで同一であったが、本実施形態では、奇数層がn、偶数層がn−1である。このようなLWC20を製造するための工程の変更は、トラバース巻きの際、巻き付け角の制御方法の変更、及び側板2a間の間隔の変更等により、容易に実施可能である。
【0048】
また、本実施形態においては、LWC20のコイル巻層の数、1層当たりのコイル巻き数n(奇数層目)及びLWCの質量には特に制限はない。一般に、巻層の数は10乃至200回程度、1層当たりの巻数nは10乃至100回程度、LWC20の質量は50乃至500kg程度である。
【0049】
更に、管の材質についても特に制限はない。本発明は、伝熱管並びに給湯及び建築配管等に使用する銅又は銅合金管のコイルに適用することができるが、それらに限定されるものではなく、アルミニウム又はアルミニウム合金、鋼、鉄合金及びステンレス鋼等、整列巻きしてLWCの作製が可能な材質の管であれば適用できる。
【0050】
更にまた、管の寸法についても特に制限はない。但し、管の肉厚が薄すぎると、アンコイル時に捻じり力が管に作用するため変形しやすくなる。一般的には、外径が4乃至25mm程度、肉厚が0.15乃至1.5mm程度であることが好ましい。
【0051】
更にまた、管の調質についても特に制限はない。一般的に、銅管の場合は軟質材又は半硬材に適用することが好ましいが、硬質材にも適用可能である。硬質材によりLWCを作製した後、焼鈍して軟質材又は半硬材とすることもできる。
【0052】
次に、本願第2発明に係る第2実施形態のLWC積層体について説明する。図5は前記第2実施形態のLWC積層体を構成するLWC30の巻き方法を示す断面図であり、図6は前記LWC30の巻き解き方法を示す模式図である。本実施形態のLWCにおいては、図5に示すように、1層目のコイルを始端31からn回整列巻きし、その後、1層目の最終巻きの管部分とボビンの側板2aとの間に2層目の始端の管部分を配置して、2層目のコイルを整列巻きにより巻回する。そして、この2層目のコイルの終端の管部分を、1層目のコイルの始端の管部分と側板2aとの間に配置し、その後、3層目のコイルを、2層目のコイルの管間の凹部に嵌め込んで整列巻きする。従って、1層目のコイルの巻き数をnとすると、2層目のコイルの巻き数はn+1、2層目のコイルの巻き数は、nであり、奇数層はn回、偶数層はn+1回の整列巻きとなる。なお、側板2a間の距離は、管の外径の(n+1)倍を基準に設定される。
【0053】
このように構成されたLWC30においては、図6に示すように、始端31を下方にして、そのコイル軸を垂直にしてパレット上に載置する。そして、始端31から上方に引き出すと、矢印にて示すように下方から順次上方に向かって、1層目のコイルが引き出されていき、その最上段の管部分が引き出された後、2層目の最上段の管部分が引き出される。そして、2層目のコイルは、上方から順次下方に向かって引き出されていく。2層目のコイルの最下段が引き出された後、3層目のコイルの最下段の管部分が引き出されるが、この3層目のコイルの最下段の管部分は、パレットとの間に間隙が存在するため、拘束されていない。このため、3層目のコイルも円滑に引き出される。このようにして、本実施形態のLWC30も、銅管を円滑に引き出すことができる。
【0054】
第2実施形態のLWC積層体は、前述のようにして製作したLWC30を使用し、第1実施形態と同様な手順で製作することができる。但し、各LWC30を積層する場合、軸方向を垂直にし、巻き始め部位が上になるように載置する。
【0055】
前記LWC30をETS方式により巻き解く場合、奇数層は下から上に、偶数層は上から下にそれぞれ巻き解かれる。即ち、それぞれの列で最後に巻き解かれる管の位置は奇数層では最上段、偶数層では最下段になる。そのため、下段のLWCと上段のLWCとを接続する接続部材の長さをなるべく短くし、巻き解きに伴う管の変形等の問題を防止するためには、積層体を構成する各LWCの巻き層の数を偶数とし、且つ最外層が下端まで巻かれている、即ち巻き数をn+1とすることが望ましい。
【0056】
なお、LWCの焼鈍、LWC積層体を製作するために用いる接続部材及び接続方法、上下のLWC間に載置するスペーサーの材質、形状及び寸法、緩衝材の材質、形状及び寸法、LWCのコイル巻層の数、1層当たりのコイル巻き数n、LWCの質量、並びに銅管の材質、寸法及び調質等についても第1実施形態と同じ考え方に基づいて決定すれば良い。
【0057】
次に、本願第3発明に係る第3実施形態のLWC積層体について説明する。図7は前記第3実施形態のLWC積層体を構成するLWC40の巻き方法を示す断面図であり、図8は前記LWC40の巻き解き方法を示す模式図である。本実施形態のLWCにおいては、図7に示すように、1層目のコイルをn回整列巻きし、2層目のコイルの始端の管部分を、1層目のコイルの最終巻き(n回目)の管部分と、その直前の巻き(n−1回目)の管部分との間に配置し、以後、2層目のコイルを整列巻きする。そして、2層目のコイルの終端の管部分を、1層目のコイルの始端の管部分と、側板2aとの間に配置して、2層目の整列巻きを終了する。次いで、3層目及び4層目のコイルを、始端の管部分が、下層のコイルの始端の管部分と、次の巻きの管部分との間に配置して、n回整列巻きする。本実施形態においては、奇数層及び偶数層のコイルの巻き数は全てn回である。
【0058】
このように構成されたLWC40においては、始端41を上方にして、LWC40をパレット上に載置する。そして、始端41から管部分を上方に引き出す。そうすると、最下段まで1層目のコイルを引き出した後、2層目に移るが、その最初に引き出されてくる2層目の管部分は最下段であり、この最下段の管部分はパレットとの間に間隙があるので、容易に離脱し、円滑に引き出される。このようにして、本実施形態においても、同様に円滑に管を引き出すことができる。
【0059】
前記LWC40は、始端41を下方にして、LWCをパレット上に載置してもよい。この場合に、奇数層及び偶数層の最下段の管部分は、パレットとの関係で、図5、6に示す第2実施形態の最下段の管部分と同一に配列されている。本実施形態においても、始端41を下方にして、第1層目のコイルを下方から上方に順次引き上げていくと、2層目のコイルは上方から下方に順次引き出され、この2層目コイルの引き出しがその最下段に達したときに、3層目のコイルの最下段の管部分とパレットとの間には間隙があるので、3層目のコイルも円滑に引き出される。前記LWC40においては、その始端41を上方にしてパレット上に載置してもよいし、始端41を下方にしてパレット上に載置してもよい。
【0060】
第3実施形態のLWC積層体は、前記LWC40を使用し、第1実施形態と同様の手順で製作することができる。また、各LWC40を積層する場合、軸方向を垂直にし、巻き始め部位が上になるように載置しても、又は下になるように載置しても、積層体より連続的に管を巻き解くことが可能である。
【0061】
前記LWC40を巻き始め部位が上になるように載置してETS方式により巻き解く場合、奇数層は上から下に、偶数層は下から上にそれぞれ巻き解かれる。即ち、それぞれの列で最後に巻き解かれる管の位置は奇数層では最下段、偶数層では最上段になる。そのため、下段のLWCと上段のLWCとを接続する接続部材の長さをなるべく短くし、巻き解きに伴う管の変形等の問題を防止するためには、各LWCの巻きの列数を奇数とし、且つ最外層が下端まで巻かれている、即ち巻き数をnとすることが望ましい。また、LWC40を巻き始め部位が下になるように載置してETS方式により巻き解く場合は、同様の理由で各LWCの巻きの列数を偶数とし、且つ最外層が下端まで巻かれている、即ち巻き数をnとすることが望ましい。
【0062】
なお、LWCの焼鈍、LWC積層体を製作するために使用する接続部材及び接続方法、上下のLWC間に載置するスペーサーの材質、形状及び寸法、緩衝材の材質、形状及び寸法、LWCのコイル巻層の数、1層当たりのコイル巻き数n、LWCの質量、並びに銅管の材質、寸法及び調質等についても第1実施形態と同じ考え方に基づいて決定すれば良い。
【0063】
次に、本願第4発明に係る第4実施形態のLWC積層体について説明する。図9は前記第4実施形態のLWC積層体を構成するLWC50の巻き方法を示す断面図であり、図10は前記LWC50の巻き解き方法を示す模式図である。ボビン2は、円筒状の内筒2bと、前記内筒2bの両端部分に取り付けられた側板2aとを有する。そして、前記ボビン2は図13又は図14の回転装置103又は104の回転軸に装着されている。本実施形態においては、先ず、銅管1を内筒2bの左端に位置させて巻始端51とし、前記ボビン2を回転装置103又は104により回転駆動し、銅管1を内筒2bに図9における右方向に巻回して整列巻きする(トラバース巻き)。即ち、銅管1を内筒2bに銅管部分に隙間がなく、常に接触しているように整列巻きで巻き付けていく。本実施形態においては、1層目のコイルを巻回し終わると、1層目の終端の銅管部分と側板2aの間には管外径の1/2に等しい隙間が形成されている。1層目のコイルの巻回が終了すると、2層目は、その始端の銅管部分52を、1層目のコイルの終端(n回目)の銅管部分と側板2aとの隙間の部分に側板2aに接触して位置させて、順次、図9の左方向に整列巻きで巻回していく。2層目のコイルはその左端の終端において、側板2aとの間に更に1コイルが入るだけの余裕がないため、側板2aとの間に管外径の1/2に等しい隙間を残したまま、3層目の巻回に移る。従って、2層目のコイルの巻き数は、1層目のコイルの巻き数nと同じになる。3層目のコイルは、1層目と同じくn回、図1の右方向に巻回する。この場合に、3層目も1層目と同様に、その左端の銅管部分は側板2aと接触し、また右端の銅管部分と側板2aとの間には管外径の1/2に等しい隙間が形成されている。4層目は2層目と同様に、始端の銅管部分23を側板2aと接触するようにして配置し、図9の左方に銅管を巻回していく。
【0064】
このようにしてm層だけ巻層を形成するが、ETS方式によるアンコイルを可能とするためには、巻層数mのうち、コイルの荷重を支えている偶数層の数、即ち、m/2の小数点以下を切り捨てて整数とした値をm′とし、LWCの作製に使用した銅管の質量をW(kg)とすると、W/m′は18.0kg以下でなければならない。W/m′の値が18.0kgを超えると、LWC焼鈍時の銅管の焼付きによる密着が発生し安く、また密着が発生しない場合においても巻始め端が上になるようにコイル軸を垂直にしてETS方式により巻解く場合、偶数層の最下段の銅管にかかる押圧力が大きくなり、銅管の折れ、曲がり及び擦り傷等が発生し易くなる。なお、ETS方式によるアンコイルをより円滑に行うには、W/m′は16.0kg以下であることが好ましい。
【0065】
前記LWC50においては、図10に示すように、ボビン2を取り外した状態で、LWC50をそのコイル軸を垂直にし、始端51が上方になるようにして載置して、始端51を上方に引き出す。そうすることにより、前記LWC50の内面側のコイル(1層目コイル)が巻き解かれて、コイル内面から離脱していく。1層目コイルの最下端(図1においては最右端)の銅管部分がコイル内面から離脱した後、2層目コイルの最下端(最右端)の巻始端の銅管部分52がコイル内面から離脱することになる。本実施形態においては、この2層目始端の銅管部分52は緩衝材等と接触しており、その上層(左方)の銅管部分と、緩衝材等との間で拘束されておりため、LWCの質量と巻層mとの比が18.0kg以下となり、銅管部分52は容易に且つ円滑にコイル内面から離脱し、LWC50から円滑に引き出される。
【0066】
なお、本実施形態では、始端51を上方になるように載置して巻き解くことを説明したが、始端51を下方になるようにして載置して始端51を上方に引き出すことによってもLWC50全長に渡って円滑に巻き解くことが可能である。
【0067】
第4実施形態のLWC積層体は、前記LWC50を使用し、第1実施形態と同様の手順で製作することができる。また、各LWC50を積層する場合、軸方向を垂直にし、巻き始め部位が上になるように載置しても、あるいは下になるように載置しても、共に積層体より連続的に管を巻き解くことが可能である。
【0068】
前記LWC50を巻き始め部位が上になるように載置してETS方式により巻き解く場合、奇数層は上から下に、偶数層は下から上にそれぞれ巻き解かれる。即ち、それぞれの列で最後に巻き解かれる管の位置は奇数層では最下段、偶数層では最上段になる。そこで、下段のLWCと上段のLWCとを接続する接続部材の長さをなるべく短くし、巻き解きに伴う管の変形等の問題を防止するためには、各LWCの巻きの列数を奇数とし、且つ最外層が下端まで巻かれている、即ち巻き数をnとすることが望ましい。また、前記LWC50を巻き始め部位が下になるように載置してETS方式により巻き解く場合は、同様の理由から各LWCの巻きの列数を偶数とすることが望ましい。
【0069】
本実施形態において、LWCの焼鈍、LWC積層体を製作するために用いる接続部材及び接続方法、上下のLWC間に載置するスペーサーの材質、形状及び寸法、緩衝材の材質、形状及び寸法、LWCのコイル巻層の数、1層当たりのコイル巻き数n、LWCの質量、並びに銅管の材質、寸法及び調質等についても第1実施形態と同じ考え方に基づいて決定すれば良い。
【0070】
前記第1乃至第4実施形態のLWC積層体を構成するLWCにおいては、前記LWCを作製する際に張力が加えられた状態で銅管が巻き付けられていくため、銅管断面形状は内筒の軸方向に伸び、巻層の方向に縮んだ楕円形となる。この楕円の長径と短径の差が0.2mmを超えると焼鈍時に管の焼付き密着が発生しやすく、LWCとしての歩留りが低下してしまう。また、ETS方式により巻き解く場合、銅管の変形、擦り傷などの原因となりやすい。このため、管軸直角断面における銅管の長径と短径との差が0.2mm以下であることが望ましい。なお、断面における長径と短径の測定は、焼鈍後のLWCの第1巻層より引き出した銅管より測定すれば良い。前記長径と短径との差は0.15mm以下であることがより望ましい。
【0071】
次に、本願第5発明に係る第5実施形態のLWC積層体の梱包方法について説明する。図11は第5実施形態のLWC積層体の梱包方法を示す側面図である。本実施形態のLWC梱包体は、図4に示す工程で製作された第1乃至4実施形態のLWC積層体を使用し、図11(a)乃至(e)に示す工程により製作される。以下、図4に示す手順により作製された3段積みのLWC積層体である3段コイル16(図11(a))を例として説明する。▲1▼最上段のLWC20上にもカートン円板15を積載する(図11(b))。▲2▼例えば、50μmの厚さのポリエチレン製の袋17を3段コイル16に被せて、3段コイル16を覆う(図11(c)。▲3▼例えば、幅が500mm、厚さが25μmのポリエチレンからなる帯状の樹脂フィルム14を用意し、この樹脂フィルム14の伸張状態を保ちつつ、3段コイル16の周囲をその上部から下部までコイル側面に密着させて巻回しながら覆い、更にパレット11まで覆う(図11(d))。ここで、図中の矢印は、テープ14の巻回方向を示す。▲4▼再度、3段コイル16の周囲をその下部から上部まで、伸張状態の樹脂フィルム14で巻回する(図11(e))。これにより、3段コイル16はパレット11と共に2重の樹脂フィルム14によりストレッチ包装される。この場合、樹脂フィルム14は、例えば、長さが約2倍になるように張力をかけて伸ばしながら巻く。そうすることにより、樹脂フィルム14は、幅がもとの約7乃至8割程度に細くなる。
【0072】
本実施形態では、3段コイル16をパレット11と共に、ポリエチレン袋17及び樹脂フィルム14によりストレッチ包装するので、3段コイル16をほぼ完全に密閉することができる。なお、図11(e)の梱包体より管を引き出すためには、梱包体を作業場所に運搬し、最上段のコイル上面の樹脂フィルム14及びポリエチレン製の袋17をカッター等により切断し、カートン円板15を取り除き、コイルの内側の管を上方に引き出せばよい。また、梱包体を覆う樹脂フィルム14及びポリエチレン製の袋17を全て取り去ってからコイルを巻きほどいてもよい。
【0073】
また、3段コイル16の外面を被覆する袋17及び樹脂フィルム14は、ポリエチレン製のもの等を使用することができる。前記樹脂は若干の透湿性を有するが、多層巻きすることにより、コイル内部に水分が侵入することを防止でき、変色を防止することができる。また、樹脂フィルムの厚さは特に制限されるものではないが、10乃至100μm程度のものから選べばよい。通常は30乃至70μm程度のものを使用すると良く、シール効果を高めるためには、多層巻きにすることが好ましい。
【0074】
本実施形態においては、パレット11とコイル20との間に介装するクッション材13及びコイル20間に介装するスペーサー及び緩衝材としてのカートン円板15は、発泡ポリエチレン製のもの等を使用することができるが、コイル内部の変色の虞がない場合は、前記緩衝材として段ボール等を使用することができる。なお、LWC20を梱包する際の雰囲気の露点は低い方が望ましく、梱包時の露点は22℃以下とすることが好ましい。
【0075】
更に、必要に応じて、輸送時にLWC20が動かないように、LWC20をパレット11に固定することができる。例えば、パレット11の4辺の各中央部に、その高さが最上段のLWC20の上面に等しいLWC固定用の木製支柱を固定した後、対向する前記支柱同士の上端部を木製の板材で十字状に固定して補強し、パレットの底部から最上段のLWCの上面まで、支柱及び板材に鉄バンドをかけて締め付ける等の方法が用いられる。この状態で、パレット下面から最上段のLWCの上面まで複数層の樹脂フィルムでストレッチ包装し、外部の雰囲気がコイル内部に侵入しにくいようにすることができる。
【0076】
上述の如く、前記3段コイル16を樹脂フィルム14によりストレッチ包装することにより、保管中及び搬送中にLWC20内部への湿気の侵入及びコイルの変色発生を防止することができる。
【0077】
前記3段コイル16をアンコイルし、銅管1をヘアピン管等へ加工する場所まで連続的に供給する場合は、先ず、図11(e)に示すように梱包された3段コイル16をそのまま使用場所に載置し、カートン円板15を裏当材にして、樹脂フィルム14をカッター等により切断し、更に、このカートン円板15を取り外した後、袋17を除去して3段コイル16を開梱する。その後、図16と同様に、LWC20の巻始端21を握持して上方に持ち上げ、ガイド115等を経て銅管1を使用場所に供給する。そうすることにより、コイル20の内面から銅管1が巻き解かれていき、偶数層のコイル列においては、その最初に巻き解かれる銅管部分22がその上層の銅管部分と側板2aとの間に拘束されていないので、奇数層及び偶数層の全てのコイル列がコイル20から円滑に巻き解かれていく。各段のLWCの終端は、その下の段にあるLWCの始端に接続されているので、最上段のLWCがアンコイルされた後は、連続して2段目及び最下段のLWCがアンコイルされる。本実施形態においては、ガイド115は、銅管を挿通させる管状のものに限らず、ろうと状、円錐状、又はロール状のものを使用することができる。
【0078】
又は、図11(e)に示す最上段のLWCの上面のみ梱包を解き、LWC側面の緊張巻きは解除しない状態で、LWC20の巻始端21を握持して上方に持ち上げ、ガイド115等を経て銅管1を使用場所に供給することもできる。この場合、最外層の銅管は緊張巻きした樹脂フィルム14により拘束を受ける状態で巻き解かれていくため、最外層の銅管の崩れによる変形又は折れ等の発生を防止することができ、最下段のコイルを連続的に且つ円滑に巻き解くことが可能である。最上段のコイルの巻き解きが終了した時点で、最上段のコイルを覆っていた樹脂フィルム14を除去してもよい。
【0079】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、その効果を比較例と比較して具体的に説明する。
【0080】
第1試験例
本実施例は本願第1発明に対応するもので、ETS方式で3段積みの連結LWC積層体をアンコイルしたものである。
【0081】
初めに、内筒に側板を取り付け、内筒に外径が9.52mmの内面溝付銅管(底肉厚が0.20mm、溝深さが0.18mm、溝数が60、リード角が18°、JIS H3300−C1220組成)をトラバース巻きして1個あたり約300kgのLWCを2種類作製した。表1に前記LCWの銅管の巻き数、巻き層の数及び寸法を示す。表1に示すNo.2のLCWは図12に示す従来の巻き方で作製した。前記LCWは、内筒及び側板を外し、ローラーハース炉を用いて銅管を焼鈍して軟質材とした(0.2%耐力:85N/mm2)。
【0082】
【表1】
【0083】
次に、表1に示すLWCを用いて、始端を上又は下として、図4の方法により、3段積みのLWC積層体を作製した。接続部材としては、外径8.7mm、肉厚0.35mmに調整した軟質のりん脱酸銅管を使用し、前記接続部材をLWCの内面溝付管に30mm程度挿入して、挿入部をはんだ付け(90Sn−10Pbはんだ)することにより接続した。その後、図11に示す方法により、前記LWC積層体をポリエチレン樹脂フィルムでストレッチ包装(4層巻き)した梱包体を製作した(実施例1及び比較例1乃至3)。また、ストレッチ包装の樹脂フィルムの代わりに、段ボールで巻き包装したものも作製した(実施例2)。その際、梱包雰囲気の露点は20℃とした。
【0084】
前記梱包体を30℃(露点は25℃)の雰囲気下で1ヶ月間保管した後、ストレッチ包装のものはコイル側面の緊張巻きした樹脂フィルムはそのままで、梱包上面を覆うフィルムのみ除去し、段ボールで巻き包装したものは開梱し、ETS方式により最上段のLWCよりアンコイルした。アンコイルは、最上段のLWCより巻き始めの銅管端部を引き出して、LWC積層体の上面より約1.5m上方に設置した円錐パイプ状ガイドを通し、更に、同じ高さに設置した長さ10mの塩化ビニル管(内径150mm)を通した後、床面に設置した引っ張り装置により1.5m/秒の速度で連続的に引き出すことにより行った。供給中に銅管の外面変色の有無、銅管の引っ掛かり及び変形を記録した。供給時に引っ掛かり又は銅管の変形等が発生した場合は、その時点で銅管の供給を中止し、供給長さを記録した。この結果を表2に示す。
【0085】
【表2】
【0086】
表2に示すように、実施例1及びのLWC積層体は、接続部のはずれ及び引っ掛かり等も無く、接続したコイル全長に渡り銅管を変形させずにアンコイルすることが可能であった。一方、比較例1のLWC積層体は、始端の位置を下方にしてLWCを載置したため、奇数層の銅管が巻き解かれるときその最下段の位置で引っかかりが発生しやすく、軽い変形が発生した。また、従来の巻き方をしたの.2のLWCを用いて作製した比較例2及び3のLWC積層体においては、比較例4では偶数層のコイルを、比較例5では奇数層のコイルを巻き戻す際、引っ掛かりやすく、管に変形が発生した。
【0087】
第2試験例
本実施例は本願第2発明に対応するもので、ETS方式で3段積みの連結LWC積層体をアンコイルしたものである。
【0088】
初めに、内筒に側板を取り付け、内筒に外径が8.0mmの内面溝付銅管(底肉厚が0.24mm、溝深さが0.20mm、溝数が60、リード角が20°、JIS H3300−C1220組成)をトラバース巻きして1個あたり約270kgのLWCを作製した。表3に、前記LCWの銅管の巻き数、巻き層の数及び寸法を示す。前記LWCは、内筒と側板をはずした後、ローラーハース炉を用いて銅管を焼鈍し、軟質材とした(0.2%耐力:70N/mm2)。
【0089】
【表3】
【0090】
次に、表3に示すLWCを用いて、始端を下又は上として、図4の方法により、3段積みのLWC積層体を作製した。接続部材としては、内径8.0mm、肉厚0.5mmに調整した軟質のアルミニウム管を使用し、外周面に樹脂系接着剤を塗布したLWCの内面溝付管を前記接続部材に30mm程度挿入することにより接続した。その後、接続部の接着を強固にするため、室温で24時間放置し、図11に示す方法により、前記LWC積層体をポリエチレン樹脂フィルムでストレッチ包装(4層巻き)した梱包体を作製し、第1試験例と同じ方法でアンコイルした。その結果を表4に示す。
【0091】
【表4】
【0092】
表4に示すように、実施例3のLWC積層体においては、接続部のはずれ及び引っ掛かり等も無く、接続したコイル全長に渡り銅管を変形させずにアンコイルすることができた。一方、比較例4のLWC積層体においては、始端の位置を上にしてLWCを載置したため、偶数層の銅管が巻き解かれる際、最下段の位置で引っかかりが発生しやすく、何カ所か軽い変形が発生した。
【0093】
第3試験例
本実施例は本願第3発明に対応するもので、ETS方式により4段積みの連結LWC積層体をアンコイルしたものである。
【0094】
初めに、内筒に側板を取り付け、内筒に外径が7.0mmの内面溝付銅管(底肉厚が0.24mm、溝深さが0.25mm、溝数が55、リード角が15°、JIS H3300−C1220組成)をトラバース巻きして1個あたり約270kgのLWCを作製した。表5に、試作したLCWの銅管の巻き数、巻き層の数及び寸法を示す。前記LWCは、内筒と側板をはずした後、ローラーハース炉を用いて銅管を焼鈍し、軟質材とした(0.2%耐力:65N/mm2)。
【0095】
【表5】
【0096】
表5に示すLWCを用いて、始端を下又は上として、図4に示す方法により、4段積みのLWC積層体を作製した。なお、始端を下にしたLWC積層体には巻き層数40のLWCを、始端を上にしたLWC積層体には巻き層の数が39のLWCを使用した。接続部材としては、直径6mmの銅の軟質棒材を使用し、前記LWCの内面溝付管に30mm程度挿入した後、ろう付け(BCuP2)することにより接続した。その後、このLWC積層体を梱包体とし、第1試験例と同じ方法によりアンコイルした。その結果を表6に示す。表6に示すように、本実施例4及び5のLWC積層体は、接続部のはずれ及び引っ掛かり等がなく、接続したコイル全長に渡り、銅管を変形させずにアンコイルすることができた。
【0097】
【表6】
【0098】
第4試験例
本実施例は本願第4発明に対応するもので、ETS方式で3段積みの連結LWC積層体をアンコイルしたものである。
【0099】
初めに、内筒に側板を取り付け、内筒に外径が9.52mmの内面溝付銅管(底肉厚が0.20mm、溝深さが0.18mm、溝数が60、リード角が18°、JIS H3300−C1220組成)をトラバース巻きして1個あたり約300kgのLWCを2種類作製した。表7に、試作したLCWの銅管の巻き数、巻き層の数及び寸法を示す。表7において、WはLWCの質量、mは巻き層の数、m′はm/2の小数点以下を切り捨てて整数とした値である。前記LWCは、内筒と側板をはずした後、ローラーハース炉を用いて銅管を焼鈍し、軟質材とした(0.2%耐力:85N/mm2)。
【0100】
【表7】
【0101】
次に、表7に示すLWCを用いて、始端を上又は下として、図4に示す方法により、3段積みのLWC積層体を作製した。上下のコイルの間をゴム管により接続した後、第1試験例と同じ条件及び方法で、アンコイルを行った。その結果を表8に示す。表8に示すように、実施例6のLWC積層体は、W/m′の値が18.0kg以下であったため、接続部のはずれ及び引っ掛かり等が無く、接続したコイル全長に渡り銅管を変形させずにアンコイルすることができた。一方、比較例5のLWCは、W/m′の値が18.0kgを超えていたため、アンコイルの途中で引っかかりによる管の変形が発生し、アンコイルを中止した。
【0102】
【表8】
【0103】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、管の巻回方法を適切に規定したので、LWCをアンコイルする際に、管の折れ、変形、窪み及び擦り疵等のように、ETS方式によるアンコイルで従来より発生していた問題点が解消され、更に最上段のコイルの巻き終わり端をその下のコイルの巻き始め端に接続部材を介して接続したので、1コイル毎に作業を中断し、改めてセットを行う必要がなくなり、作業能率を向上させることができる。また、本発明により梱包することにより、コイル内部の変色が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るLWC積層体を構成するLWC20の巻き方法を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るLWC積層体を構成するLWC20の上半部を示す模式図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るLWC積層体を構成するLWC20の巻き解き方法を示す模式図である。
【図4】(a)乃至(h)は、本発明の第1実施形態に係るLCW積層体の作製方法をその工程順に示す側面図であり、(f2)は(f1)の上面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るLWC積層体を構成するLWC30の巻き方法を示す断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るLWC積層体を構成するLWC30の巻き解き方法を示す模式図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係るLWC積層体を構成するLWC40の巻き方法を示す断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係るLWC積層体を構成するLWC40の巻き解き方法を示す模式図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係るLWC積層体を構成するLWC50の巻き方法を示す断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係るLWC積層体を構成するLWC50の巻き解き方法を示す模式図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係るLWCの梱包方法をその工程順に示す側面図である。
【図12】従来のLWCの巻き方法を示す断面図である。
【図13】縦型アンコイラー(回転装置103)を示す斜視図である。
【図14】横型アンコイラー(回転装置104)を示す斜視図である。
【図15】(a)はリールなしのLWCを示す斜視図であり、(b)はリール有りのLWCを示す斜視図である。
【図16】ETS方式によるアンコイルを示す斜視図である。
【符号の説明】
1、101:銅管
2、102:ボビン
2a、102a:側板
2b、102b:内筒
11:パレット
12:ポリエチレンシート
13:クッション材
14:樹脂フィルム
15:カートン円板
16:3段コイル
17:袋
20、30、40、50、100、110:LWC
21、31、41、51、111:始端
22、52、112:銅管部分
23、53、113:終端
60:接続部材
61:スペーサー
62:キャリア
103:回転装置(縦型アンコイラー)
104:回転装置(横型アンコイラー)
105:ライナー
106:ひも
107:ターンテーブル
114:台
115:ガイド
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアコン等の空調冷凍機の伝熱管、並びに建物用の給湯及び給水配管等に使用される銅又は銅合金管等のレベルワウンドコイル積層体、レベルワウンドコイルの梱包体、及びレベルワウンドコイルからの管供給方法に関する。特に、コイル軸を垂直に載置し、管を上方に引き上げて連続的にコイルを巻き解くのに適したレベルワウンドコイル積層体、レベルワウンドコイルの梱包体及びレベルワウンドコイルからの管供給方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明のレベルワウンドコイル積層体を構成するレベルワウンドコイル(Level Wound Coil:以下、LWCという)は、整列巻きした金属又は合金管より構成されるが、以下においてはその一例として銅又は銅合金管を使用する場合について説明する。銅又は銅合金管(以下、単に銅管というときは、銅合金管も含む)は、エアコン等の空調機器用の伝熱管(内面溝付管及び平滑管等)、並びに建築用の給湯配管及び給水配管等に使用されている。この銅管は、製造工程において、例えば、コイル状に巻き取られてから焼鈍が行われて所定の調質とされ、LWCの状態で保管、及び搬送される。
【0003】
図12は従来のLWC110の巻き方法を示す断面図である。但し、図12においては、図示の簡略化のために、管101の断面を円で示している。また、以下の図においても同様とする。図13は回転軸が水平のアンコイラーを示す斜視図であり、図14は回転軸が垂直のアンコイラーを示す斜視図である。図13又は図14に示すように、取り外し可能の側板102a及び内筒102bで構成されるボビン102を、その軸方向を水平又は垂直にして、回転装置103又は104に取り付け、前記回転装置103又は104により、ボビン102を回転方向(巻き取り)の矢印で示す方向に回転駆動する。これにより、銅管101がボビン102に巻き取られる。
【0004】
図12に示すように、先ず、銅管101をボビン102の内筒102bの外周面に、図示の左端の位置を始端111として、右方向に整列巻きする。この場合の整列巻きとは、銅管101の1ターンと隣接する1ターンとが相互に接触するように、即ち隙間が出ないように密に銅管101を巻回していくことをいう。次に、図示の右端まで銅管101がきて1層目の巻回が終了した後、右端から左端に向けて2層目を巻回する。2層目の巻始端となる銅管部分112は1層目の終端となる銅管部分と側板102aとの間の隙間上に位置し、順次、左方に向けて、1層目のコイルにおいて隣接する銅管部分間に形成される凹部に嵌まるようにして巻回されていく。その後、3層目のコイルを2層目のコイルの上に積層する。このような、円筒状の1層のコイルを形成した後、その上に2層目の円筒状コイルを、管軸方向(反対方向)に巻回していくことにより形成するような巻き方をトラバース巻きという。従来、トラバース巻きされる各層のコイルの巻き数は、各層で同一であったが、銅管101をこのような方法で巻回することにより、体積が小さいLWC110を製作することができ、保管及び輸送に必要なスペースの低減が可能となる。前記LWC110の質量は1コイルあたり、100乃至500kgである。更に、前記LWC110は、最外周に銅バンド等で解き止めの処理をした後、ボビン102と内筒102aを取り外し、例えばローラーハース型の連続焼鈍炉により所定の調質に焼鈍される。
【0005】
焼鈍したLWC110を輸送する際には、例えば、再度ボビン102を装着し、又はLWC110のみの状態で、LWC110のコイル軸が垂直になるようにパレット上に載置する。その際、1コイルのみをパレット上に載置する場合、及びコイル間に緩衝材を介装して複数のコイルを積み上げて載置する場合がある。更に、運搬時の衝撃で荷崩れ又は当たり疵が付かないように、外面を段ボール等で覆うと共に、パレットの4隅又はパレット各辺の中央部に固定のための支柱を立て、コイルを支柱に固定した状態で、エアコン組立工場等の銅管使用先に輸送する(例えば、特許文献1乃至4参照)。図15は輸送時におけるLWC110の一例を示す斜視図である。図15(a)に示すように、LWC110はボビン102を取り外され、巻回状態が崩れないようにひも106で固定されていると共に、コイル110の間に緩衝材として段ボール製のライナー105が介装されている。このようにして使用先まで輸送されたLWC110は、梱包を解いた後、図15(b)に示すように、コイルの中心に1コイルずつ内筒102bを挿入し、更に前記内筒102bに側板102aをねじ等により固定してボビン102を組み立て、前記ボビン102に巻回された状態で回転装置103又は104に装着される。そして、前記回転装置103又は104の回転軸を回転方向(巻き解き)の矢印で示す方向に回転駆動し、図12に示す終端113の銅管部分を握持して引き出すことにより、LWC110はその外周側から巻き解かれる。
【0006】
輸送及び保管時には外観上は認められないが、コイルをアンコイルしていくと、コイルの中央部付近に巻かれている銅管の外面が変色していることがある。この変色は酸化膜の形成により発生し、あんこ変色といわれている。銅管101にこのような変色が発生した場合、銅管101をろう付けする際の信頼性が低下する虞があると共に、外観上も好ましくないため、使用することができずに廃棄される。このため、変色が発生すると、歩留が低下し、生産性が阻害される。
【0007】
また、上述した工程においては、LWC110を回転装置103又は104に装着する作業が必要である。その際、LWC110の質量が大きいことから、安全性確保及びコイル110の変形防止のために、十分な注意を払う必要があり、作業能率が低下しやすい。
【0008】
更に、図13に示す回転装置103を使用して、コイル110をそのコイル軸を水平にして巻き解く場合、銅管101の引抜力が大きいと、コイル110を巻き締める状態となる。この巻き締めにより、側板102aに隣接する銅管部分は側板102aと銅管101との隙間に入り込み、抜け難くなるため、この部分が変形してしまうことがしばしば発生し、これが歩留り及び生産性を低下させる要因になっている。また、前記回転装置103は、コイルを水平の回転軸により片持ち張りの状態で支持すると共に、前記回転軸を回転駆動して銅管を送り出す必要があるため、構造が複雑で、装置コストが高い。
【0009】
また、図14に示す回転装置104を使用して、コイル110をそのコイル軸を垂直にしてコイル外面側から巻き解く場合、この場合も銅管101に作用する張力によりコイルに対してコイルが巻き締まる方向の力が作用する。このため、銅管101が相互に擦れて擦り疵又は変形が発生し、歩留及び生産性を低下させる要因になっている。更に、LWC110をそのコイル軸を垂直にしてアンコイルする場合は、LWC110を載置するためのターンテーブル107が必要になるため、前記回転装置104も、装置コストが高い。
【0010】
このように、従来からあるアンコイル方法では、アンコイルするための装置を導入するために、多大の投資が必要となる。特に、巻き解く管の張力を一定に制御しようとすると、ターンテーブル107を含む回転装置104において、前記ターンテーブル107の回転速度を複雑に制御する必要があり、装置コストが極めて高くなる。
【0011】
そこで、上記問題を解決するために、ETS(Eye To the Sky)といわれるコイルの巻き解き方法が提案されている。図16はETS方式によるアンコイルを示す斜視図である。
【0012】
この方法は、図16に示すように、輸送中にボビン102が装着されていた場合は、前記ボビン102の側板102a及び内筒102bを取り外し、またボビン102が装着されていない場合はそのままの状態で、LWC110を台114上に載置するものである。この場合に、LWC110はそのコイル軸を垂直にし、且つ図12に示すようにコイル内面側に存在するコイル巻回時の始端111が上側になるようにして配置される。そして、このコイル巻回時の銅管始端111を引き上げ、台114の上方に設置された湾曲した筒状のガイド115に銅管101を挿入してその進路を変更し、銅管101の使用先に供給する。このように、コイル110が回転することなく、銅管101がコイル110から引き出され、コイル110がその内面側から巻き解かれるので、コイル110から引き出された直後の銅管101は螺旋状にループを形成しているが、ガイド115を通過して引き出されていく間に、徐々にその巻き癖が解消されていく。なお、0.2%耐力が60〜70N/mm2程度の軟質のりん脱酸銅管をETS方式によりアンコイルすると、銅管に塑性加工が加わるため0.2%耐力は90〜105N/mm2程度に上昇する。
【0013】
このように、ETS方式によりアンコイルされる場合は、アンコイル時の内筒及び側板の除去が不要であるため、通常、LWCはボビンなしの状態でパレット上に複数個載置して輸送され、使用場所において梱包が解かれて、パレットに載せた状態で上段のLWCより順にアンコイルされる。そのため、前記ETS方式を採用すると、側板及び内筒が不要となり、輸送コストが低減されると共に、梱包及び開梱作業の能率が大幅に向上する。更に、アンコイル時にコイルを回転させる必要がなく、コイル内面側から引き出された銅管は螺旋状に上昇して所定の銅管加工場所まで導かれるため、縦型アンコイラー又はターンテーブル等の特別な設備が不要となる。また、銅管の使用先においては、LWC受入後は使用場所に運搬して解梱するだけで、多段積の状態でも上側のLWCより順にアンコイルできるため、前述の作業能率の問題が大幅に軽減される。更に、コイルが内面側から巻き解かれるので、引き出される銅管に作用している張力は、コイルを開放する方向に作用する。即ち、銅管の張力によりコイルを締め付ける方向に力が作用することがないため、縦型アンコイルにおける管の変形又は横型アンコイルにおける管の擦り疵及び変形が防止され、管の歩留りが大幅に向上すると考えられている。
【0014】
【特許文献1】
実開平4−91891号公報 (第2頁、図1−3)
【特許文献2】
実開平4−19556号公報 (第3頁、図1)
【特許文献3】
実開平2−124859号公報 (第4頁、図1−4)
【特許文献4】
実開平7−21590号公報 (第4−5頁、図1−3)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、LWCをETS方式によりアンコイルする場合、偶数層で最初に巻き解かれるのは最下段の銅管になる。この位置の銅管には上部の銅管による押圧力が作用しており、巻き解くためにはこの押圧力に打ち勝って銅管を引き出してやることが必要になる。そのため、押圧力が大きい場合、管の耐力が小さい場合、又は管の焼きつきが発生している場合等には巻き解きの張力により管の折れ、変形、窪み及び擦り疵が発生してしまうことがあり、これらが歩留まり向上の障害となっている。
【0016】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、ETS方式により多段積みのLWCを連続的にアンコイルしても、管の折れ、変形、窪み及び擦り疵が発生せず、且つコイルの荷崩れ及び変色が発生しないLWC積層体、LWCの梱包体及びLWC積層体からの管供給方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本願第1発明に係るLWC積層体は、管を整列巻きして1層目コイルを形成した後、前記1層目コイル上に2層目コイルを前記1層目コイルの外面の管間の凹部に嵌め込んで整列巻きし、以後同様に、2層目コイル上に3層目コイル、3層目コイルの上に4層目コイルを整列巻きした複数層のコイルからなるLCWにおいて、奇数層目のコイルの巻き数をnとするとき偶数層目のコイルの巻き数が(n−1)であり、且つ奇数層目のコイルの巻き方向と偶数層目のコイルの巻き方向とが相互に逆であるLCWを、コイル軸方向が垂直に、巻き始め部位が上側になるようにしてパレット上に2個以上積載し、更に上段に位置するLWCの巻終端及び前記上段のLWCに隣接して下側に位置するLWCの巻始端を接続部材により接続し、且つ前記上段のLWC及び前記上段のLWCに隣接して下側に位置するLWCとの間に前記接続部材を通過させる間隔を保持するためのスペーサーが設けられていることを特徴とする。
【0018】
前記LWC積層体を構成するLWCは、その巻き層の数が奇数であり、且つ最外層の巻き数がnであることが望ましい。
【0019】
本願第2発明に係るLWC積層体は、管を整列巻きして1層目コイルを形成した後、前記1層目コイル上に2層目コイルを前記1層目コイルの外面の管間の凹部とその両隣に配置して整列巻きし、以後同様に、2層目コイル上に3層目コイル、3層目コイル上に4層目コイルを整列巻きした複数層のコイルからなるLWCにおいて、奇数層目のコイルの巻き数をnとするとき偶数層目のコイルの巻き数が(n+1)であり、且つ奇数層目のコイルの巻き方向と偶数層目のコイルの巻き方向とが相互に逆であるLWCを、コイル軸方向が垂直に、巻き始め部位が下側になるようにしてパレット上に2個以上積載し、更に上段に位置するLWCの巻終端及び前記上段のLWCルに隣接して下側に位置するLWCの巻始端を接続部材により接続し、且つ上段のLWC及び前記上段のLWCに隣接して下側に位置するLWCとの間に前記接続部材を通過させる間隔を保持するためのスペーサーが設けられていることを特徴とする。
【0020】
前記LWC積層体を構成するLWCは、その巻き層の数が偶数であり、且つ最外層の巻き数がn+1であることが望ましい。
【0021】
本願第3発明に係るLWC積層体は、管を整列巻きして1層目コイルを形成した後、前記1層目コイル上に2層目コイルをその巻始端が前記1層目コイルの最終巻及びその直前巻の管間の凹部に嵌め込まれるようにして前記1層目コイルの外面の管間の凹部とその外側に配置して整列巻きし、以後同様に、2層目コイル上に3層目コイル、3層目コイル上に4層目コイルを整列巻きした複数層のコイルからなるLWCにおいて、奇数層目のコイルの巻き数をnとするとき偶数層目のコイルの巻き数がnであり、且つ奇数層目のコイルの巻き方向及び偶数層目のコイルの巻き方向とが相互に逆であるLWCを、コイル軸方向が垂直に、巻き始め部位が上側又は下側になるようにしてパレット上に2個以上積載し、上段に位置するLWCの巻終端及び前記上段のLWCに隣接し下側に位置するLWCの巻始端を接続部材により接続し、且つ前記上段のLWC及び前記上段のLWCに隣接して下側に位置するLWCとの間に前記接続部材を通過させる間隔を保持するためのスペーサーが設けられていることを特徴とする。
【0022】
前記LWC積層体を構成するLWCは、その巻き層の数が、巻き始め部位が上になるように設置されている場合は奇数であり、又は巻き始め部位が下になるように設置されている場合は偶数であり、且つ最外層の巻き数がnであることが望ましい。
【0023】
本願第4発明に係るLWCの積層体は、管を整列巻きして1層目コイルを形成した後、前記1層目コイル上に2層目コイルをその巻始端が前記1層目コイルの最終巻の外側に配置され、前記第2層目コイルの第2巻き以降は前記1層目コイルの最終巻及びその直前巻の管間の凹部に嵌め込まれるようにして、前記1層目コイルの外面の管間の凹部及びその外側に配置して整列巻きし、以後同様に、2層目コイル上に3層目コイル、3層目コイル上に4層目コイルを整列巻きした複数層のコイルからなるLWCおいて、奇数層目及び偶数層目のコイルの巻き数がいずれもn(nは自然数)であり、奇数層目のコイルの巻き方向と偶数層目のコイルの巻き方向とが相互に逆であり、巻層の数をm(mは自然数)、m/2の小数点以下を切り捨てて整数とした値をm′、コイルの質量をWとしたときW/m′が18.0kg以下である2個以上のLWCを、コイル軸方向が垂直に、且つ巻き始め部位が上側になるようにしてパレット上に2個以上積載し、上段に位置するLWCの巻終端及び前記上段のLWCに隣接して下側に位置するLWCの巻始端を接続部材により接続し、且つ前記上段のLWC及び前記上段のLWCに隣接して下側に位置するLWCとの間に前記接続部材を通過させる間隔を保持するためのスペーサーが設けられていることを特徴とする。
【0024】
前記LWC積層体を構成するLWCは、その巻き層の数が奇数であり、且つ最外層の巻き数がnであることが望ましい。
【0025】
本願第5発明に係るLWCの梱包体は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のLWC積層体において、積層されたLWC全体が樹脂製の袋で包まれ、更にその外側を帯状の樹脂フィルムにより緊張巻きされていることを特徴とする。
【0026】
前記LWCの梱包体は、例えば、最上段のLWCの上が緩衝材で覆われている。そして、前記LWCと前記パレットとは前記樹脂袋の上から固定部材により相互に固定することができる。
【0027】
本願第6発明に係るLWC積層体からの管供給方法は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のLWC積層体又は請求項9乃至11のいずれか1項に記載のLWCの梱包体を、コイル軸方向が垂直になるように載置し、前記梱包体の場合は樹脂製袋及び樹脂製フィルムを解き、又はLWCの側面に緊張巻きされている樹脂製フィルムを解かずに、巻き始め部位の管端を上方に引き上げて管を引き出すことを特徴とする。
【0028】
図12に示す従来のLWC110を使用し、本願第1発明と同様のLWC積層体を作製し、図16に示すETS方式により最上段のコイルから銅管を引き出そうとしても、前述の如く、周期的に管の折れ、変形、窪み又は擦り疵が発生してしまい、多段積みのコイルを連続的にアンコイルすることは困難である。アンコイル時に、奇数層の最下段の銅管部分がコイル内面から離脱した後、偶数層の最下段の銅管部分がコイル内面から離脱することになるが、前記偶数層の最下段の銅管部分は、この列におけるその上方の銅管部分とスペーサー又はパレットとの間で挟まれており、上方の銅管部分からスペーサー又はパレットに向けて押圧されている。このため、引き出しが前記偶数層の最下段に移った時に、銅管101の引き出しに大きな抵抗力が作用して詰まったような現象となり、引き出すのに大きな力が必要になる。その際、無理に引き出そうとすると、変形が発生してしまう。
【0029】
これに対し、本願第1発明及び第3発明においては、コイル軸方向を垂直にし、巻き始め部位を上方にしてLWC積層体をパレットに載置した場合、どの段のLWCにおいても、2層目のコイルは、1層目コイルの最後の部分が引き上げられた後に、その下側の部位から順次引き上げられていく。この場合に、2層目コイルの最下段の管部分は、スペーサー又はパレットに接触していない。前記2層目コイルの最下段の管部分(最初に引き出される部分)は、その上の管部分とパレットとの間で拘束されていないため、前記2層目のコイルの始端は、円滑に引き出され、コイル内面から離脱する。このため、管の折れ、変形、窪み及び擦り疵は発生しない。更に、本願第1発明及び第3発明においては、最上段のLWCの巻終端がその下のLWCの巻始端に接続部材を介して接続されているので、最上段のLWCのアンコイルが終了すると、第2段目のLWCも同様にアンコイルされていく。このようにして多段積みされているLWC全てを連続的にアンコイルすることができる。
【0030】
本願第2発明においては、コイル軸方向を垂直にし、巻き始め部位を下方にしてLWC積層体を載置した場合、2層目のコイルはその最下段の管部分がパレットに接触してその上段の管部分とパレットとの間で拘束されているが、管を引き出す際に、1層目のコイルの巻き始め部位(下方に配置されている)の管端を上方に引き出したとき、1層目のコイルの最後の引き出し部分は最上段の管部分であり、従って2層目のコイルは最上段の管部分から引き出されることとなる。このため、2層目のコイルも円滑に引き出される。3層目のコイルは、その引き出し始端が最下段の管部分であるが、その最下段の管部分は、パレットとの間に間隙があるので、3層目のコイルも円滑に引き出される。このため、管の折れ、変形、窪み及び擦り疵が発生しない。最上段のLWCのアンコイルが終了すると、最上段のLWCの巻終端はその下のLWCの巻始端に接続部材を介して接続されているので、第2段目のLWCも同様にアンコイルされていく。このようにして多段積みされているLWC全てを連続的にアンコイルすることができる。
【0031】
本願第3発明においては、巻始端が下方になるようにLWC積層体をパレットに載置してもよい。この場合、奇数層及び偶数層のコイル最下段の管部分については、第2発明と全く同一の配列となり、第2発明と同様にして管を引き出すことができる。
【0032】
なお、本願第1乃至第3発明において、LWCがETS方式により巻き解かれる場合、偶数層又は奇数層の最下段の銅管は、上部の銅管による押圧力又は下部のスペーサー若しくは緩衝材との摩擦力が存在していても離脱できるが、上部の銅管による押圧力又は下部のスペーサー若しくは緩衝材との摩擦力は小さいほうが望ましい。即ち、各LWCの偶数層と奇数層を合わせた巻き層mの内、LWCの過重を支えるのはm/2であるが、各LWCの質量をm/2で割った値が22以下であることが望ましく、18以下であることが更に望ましい。
【0033】
本願第4発明は、LWCの巻き方そのものは図12に示す従来のものと同じであるが、巻層の数を所定の数にすることにより、前記押圧力の増大を抑制し、偶数層の銅管が円滑に引き出され、コイル内面から離脱することを可能にしたものである。このため、管の折れ、変形、窪み及び擦り疵が発生しない。したがって、多段積みのLWCから連続的に銅管をアンコイルすることができる。
【0034】
本願第5発明においては、LWC積層体を梱包する際に、パレット上の多段のLWC全体が樹脂製の袋で包まれ、更にその外側を帯状の樹脂フィルムにより緊張巻きされるので、保管及び運搬中に湿気がコイルの内部に侵入することが抑制され、コイル内部の酸化による変色が防止される。
【0035】
本願第6発明によると、LWC積層体又はLWC積層体の梱包体を、コイル軸方向が垂直になるように載置し、巻き始め部位の管端を上方に引き上げて管を引き出すだけで、多段積みされているLWC全てが連続的に、且つ極めて容易に銅管を引き出すことができ、更に大がかりな装置が不要となり、設備コストを著しく低減することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、ETS方式における問題点を解決するため、巻き解き時に最下段の銅管にかかる押圧力が大きくならないような構成のLWCを特願2002−93382及び特願2002−93369で提案した。特願2002−93382では、(奇数層のコイル巻き数,偶数層のコイル巻き数=(n,n−1)、(n,n+1)及び(n,n)の3種類のLWCを提案している。3番目の(n,n)のものは従来のLWCと偶数層及び奇数層の巻き数は同じであるが、巻き方に工夫をすることにより従来のETS方式の問題点を解決している。また、特願2002−93369で提案したLWCも、巻き数及び巻き方は従来のものと同じであるが、巻き層の数を限定することにより最下段の銅管にかかる押圧力を制限し、従来のETS方式の問題点を解決している。しかしながら、前述のLWCでは、ETS方式でアンコイルする際の巻き解きによる管の折れ、変形、窪み又は擦り疵等の問題を改善することができたものの、多段積みしたLWCから複数のコイルをETS方式により巻き解く場合には、最上段のコイルの巻き解きが終った後、第2段目のコイルの巻き解くために、改めてその始端を引き出し、ガイドを通して使用場所まで導くことが必要であった。そこで、本発明は、このように、1コイル毎に作業を中断し、改めてセットを行う必要性をなくし、作業能率を向上させることができる技術を提案するものである。
【0037】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。初めに、本願第1発明に係る第1実施形態のLWC積層体について説明する。図1は前記第1実施形態のLWC積層体を構成するLWC20の巻き方法を示す断面図であり、図2は前記LWC20の上半部を示す模式図であり、更に図3は前記LWC20の巻き解き方法を示す模式図である。
【0038】
ボビン2は、円筒状の内筒2bと、この内筒2bの両端部分に取り付けられた側板2aとを有する。そして、前記ボビン2は図13又は図14の回転装置103又は104の回転軸に装着されている。本実施形態のLWCにおいては、先ず、銅管1を内筒2bの左端に位置させ、これを巻始端21として、ボビン2を回転装置103又は104により回転駆動し、銅管1を内筒2bに、図1における右方向に巻回して整列巻きする(トラバース巻き)。即ち、銅管1を内筒2bに、銅管部分に隙間がなく常に接触しているように、整列巻きで巻き付けていく。本実施形態においては、1層目のコイルを巻回し終わると、1層目の終端の銅管部分は側板2aに接触する。従って、内筒2bの軸方向の長さは、銅管1の外径の整数倍であり、この1層目のコイルの巻き数をn、銅管1の外径をDとすると、内筒2bの長さは、実質的にnDとなる。1層目のコイルの巻回が終了すると、2層目はその始端の銅管部分22を、1層目のコイルの終端(n回目)の銅管部分とその直前(n−1回目)の銅管部分との間の凹部に位置させて、順次、図1における左方向に整列巻きで巻回していく。2層目のコイルはその左端の終端において、側板2aとの間に更に1コイルが入るだけの余裕がないため、側板2aとの間に隙間を残したまま、3層目の巻回に移る。従って、2層目のコイルの巻き数は、1層目のコイルの巻き数nより1回少なく、n−1となる。3層目のコイルは、1層目と同じくn回、図1の右方向に巻回する。この場合に、3層目も1層目と同様に、その左端及び右端の銅管部分は側板2aと接触する。4層目は2層目と同様に、始端の銅管部分23を側板2aとの間に隙間があるようにして配置し、図1における左方に銅管を巻回していく。奇数層目のコイルの巻き数をnとすると、偶数層目のコイルの巻き数は(n−1)であり、奇数層目のコイルの巻き方向と偶数層目のコイルの巻き方向とが相互に逆であるLWC20が得られる。前記LWC20は、最外周に銅バンド等で解き止めの処理をした後、ボビン2と内筒2bを取り外し、所定の調質に焼鈍される。焼鈍時にLWCに焼付きが発生すると、ETS方式によりアンコイルするときに折れ、疵及び変形等が発生するため、焼鈍時に管が焼付かないように、コイルの巻き張力及び巻き方向、積層方向のコイル数、管外面油、焼鈍温度、焼鈍時間並びに焼鈍雰囲気等を選択することが必要である。
【0039】
なお、LWCに焼付きが発生しなければ、例えば、材質がりん脱酸銅(JISH3300−C1201及びC1220)の場合は、焼鈍後の銅管の0.2%耐力が50乃至150N/mm2、伸びが35乃至55%であり、このような耐力及び伸びを有するLWCの場合は、管に曲がり、折れ及び疵等を発生させずにETS方式によりアンコイルすることができる。但し、これは一例であって、本発明は、このような機械的特性を有するLWCに限定されるものではない。
【0040】
上述の方法により作製されたLWC20は、ボビン2を取り外した状態で、図3に示すように、そのコイル軸を垂直にして、巻始端21が上方になるようにして載置し、始端21を上方に引き出す。それにより、LWC20の内面側のコイル(1層目コイル)が巻き解かれて、コイル内面から離脱していく。そして、1層目コイルの最下端(図1においては最右端)の銅管部分がコイル内面から離脱すると、2層目コイルの最下端(最右端)の巻始端の銅管部分22がコイル内面から離脱することになるが、本実施形態においては、この2層目始端の銅管部分22は側板2aと接触しておらず、側板2aとの間に隙間を有しているため、銅管部分22はその上層(左方)の銅管部分と、側板2aとの間で拘束されていない。このため、銅管部分22は容易に且つ円滑にコイル内面から離脱し、コイル20から円滑に引き出される。
【0041】
図4は、第1実施形態のLCW積層体の作製方法をその工程順に示す図である。本発明の第1実施形態のLWC積層体は、前記LWC20を使用し、図4に示すような手順で製作することが可能である。▲1▼先ず、木製又は樹脂製等のパレット11を用意する(図4(a))。▲2▼パレット11上に例えば50μmの膜厚のポリエチレンシート12を載せる(図4(b))。▲3▼前記ポリエチレンシート12上に、例えば厚さ5mmのポリエチレン発泡材からなるクッション材13を載置し(図4(C))、前記クッション材13上にボビン2が取り外されたLWC20をその軸方向を垂直に、巻き始め部位が上になるように載置して最下段のLWC20とする(図4(d))。▲4▼前記最下段のLWC20の始端に適当な長さの接続部材60を接続する(図4(e))。▲5▼前記最下段LWC20の上面の適当な位置に半円状のスペーサー61を設置し、最下段のLWC20に取り付けた接続部材60をスペーサーの隙間より引き出す(図4(f1)及び(f2))。▲6▼前記最下段のLWC20上に載置するLWC20(2段目LWC20)を、キャリア62により最下段のLWC20の上に浮かした状態で保持し、前記接続部材60を2段目LWC20の終端(LWC外周側)に接続した後、前記接続部材60が弛まないように2段目LWC20をコイル軸方向に適当な角度だけ回転させる(図4(g))。▲7▼2段目LWC20を最下段LWC20上のスペーサー61の上にコイル軸中心を合わせて載置する(図4(h))。▲8▼3段以上のLWC積層体を製作する場合は、前記▲4▼乃至▲7▼の工程を繰り返す。
【0042】
なお、図4に示すような形状のスペーサーを使用した場合、上段のLWCを巻き解く際に、下段のLWCの位置まで管が垂れ下がり、管が折れやすくなる。このような問題を防止するためには、スペーサーの上に穴のない円板状のカートンを載置する、又は穴のないスペーサーを使用する等の対応をすれば良い。
【0043】
LWC20をETS方式により巻き解く場合、奇数層は上から下に、偶数層は下から上にそれぞれ巻き解かれる。即ち、それぞれの列で最後に巻き解かれる管の位置は奇数層では最下段、偶数層では最上段になる。そのため、下段のLWC20と上段のLWC20とを接続する接続部材の長さをなるべく短くするため、及び巻き解きに伴う管変形等の問題を少なくするためには、各LWCの巻きの列数を奇数とし、且つ最外層が下端まで巻かれている、即ち巻き数をnとすることが望ましい。
【0044】
なお、ETS方式による巻き解きでは、管が上方に引き上げられるため、下から巻き解かれる場合、その後の巻き層による拘束が存在しない最終列においては、列全体が上方に持ち上げられやすく、その際に管の曲がり及び引っ掛かり等の問題が発生しやすい。
【0045】
LWC積層体を製作するために使用する接続部材及び接続方法としては、LWCの銅管の内径とほぼ等しい外径を有する軟質な銅管、アルミ管、銅棒及びアルミ棒等をLWC銅管に挿入し、樹脂系接着等剤、はんだ、ろう及びかしめ等の方法により接続する、又はLWCの銅管の外径にほぼ等しい内径を有する軟質な銅管、アルミ管及びゴム管等をLWC銅管にかぶせ、樹脂系接着等剤、はんだ、ろう及びかしめ等の方法により接続する等が挙げられる。本実施形態においては、ETS方式により巻き解かれる際、銅管に加わる張力に絶えうる強度を有する接続部材及び接続方法を用いることができる。
【0046】
また、上下のLWCの間に載置するスペーサーは、前記接続部材が上下のLWCに挟まれないように空間を確保するためのものであるから、適当な強度を有し、輸送時の衝撃より保護するための衝撃吸収性があり、軽量な材質より選択することができる。例えば、ポリエチレン発泡材、ダンボール、又はそれらの積層体等から選択することができる。その形状は、扇型、切り欠きを設けた円板状及び矩形等から選択し、厚さについては接続部材の寸法を考慮し、適当な値を選択することができる。また、スペーサーとLWCの間に疵防止のために、円板状のポリエチレンシート及びカートン等を置いても良い。これらの円板状のポリエチレンシート及びカートン等は、前述の理由から穴のないものを使用することが望ましい。
【0047】
なお、従来は各層のコイルの巻き数はnで同一であったが、本実施形態では、奇数層がn、偶数層がn−1である。このようなLWC20を製造するための工程の変更は、トラバース巻きの際、巻き付け角の制御方法の変更、及び側板2a間の間隔の変更等により、容易に実施可能である。
【0048】
また、本実施形態においては、LWC20のコイル巻層の数、1層当たりのコイル巻き数n(奇数層目)及びLWCの質量には特に制限はない。一般に、巻層の数は10乃至200回程度、1層当たりの巻数nは10乃至100回程度、LWC20の質量は50乃至500kg程度である。
【0049】
更に、管の材質についても特に制限はない。本発明は、伝熱管並びに給湯及び建築配管等に使用する銅又は銅合金管のコイルに適用することができるが、それらに限定されるものではなく、アルミニウム又はアルミニウム合金、鋼、鉄合金及びステンレス鋼等、整列巻きしてLWCの作製が可能な材質の管であれば適用できる。
【0050】
更にまた、管の寸法についても特に制限はない。但し、管の肉厚が薄すぎると、アンコイル時に捻じり力が管に作用するため変形しやすくなる。一般的には、外径が4乃至25mm程度、肉厚が0.15乃至1.5mm程度であることが好ましい。
【0051】
更にまた、管の調質についても特に制限はない。一般的に、銅管の場合は軟質材又は半硬材に適用することが好ましいが、硬質材にも適用可能である。硬質材によりLWCを作製した後、焼鈍して軟質材又は半硬材とすることもできる。
【0052】
次に、本願第2発明に係る第2実施形態のLWC積層体について説明する。図5は前記第2実施形態のLWC積層体を構成するLWC30の巻き方法を示す断面図であり、図6は前記LWC30の巻き解き方法を示す模式図である。本実施形態のLWCにおいては、図5に示すように、1層目のコイルを始端31からn回整列巻きし、その後、1層目の最終巻きの管部分とボビンの側板2aとの間に2層目の始端の管部分を配置して、2層目のコイルを整列巻きにより巻回する。そして、この2層目のコイルの終端の管部分を、1層目のコイルの始端の管部分と側板2aとの間に配置し、その後、3層目のコイルを、2層目のコイルの管間の凹部に嵌め込んで整列巻きする。従って、1層目のコイルの巻き数をnとすると、2層目のコイルの巻き数はn+1、2層目のコイルの巻き数は、nであり、奇数層はn回、偶数層はn+1回の整列巻きとなる。なお、側板2a間の距離は、管の外径の(n+1)倍を基準に設定される。
【0053】
このように構成されたLWC30においては、図6に示すように、始端31を下方にして、そのコイル軸を垂直にしてパレット上に載置する。そして、始端31から上方に引き出すと、矢印にて示すように下方から順次上方に向かって、1層目のコイルが引き出されていき、その最上段の管部分が引き出された後、2層目の最上段の管部分が引き出される。そして、2層目のコイルは、上方から順次下方に向かって引き出されていく。2層目のコイルの最下段が引き出された後、3層目のコイルの最下段の管部分が引き出されるが、この3層目のコイルの最下段の管部分は、パレットとの間に間隙が存在するため、拘束されていない。このため、3層目のコイルも円滑に引き出される。このようにして、本実施形態のLWC30も、銅管を円滑に引き出すことができる。
【0054】
第2実施形態のLWC積層体は、前述のようにして製作したLWC30を使用し、第1実施形態と同様な手順で製作することができる。但し、各LWC30を積層する場合、軸方向を垂直にし、巻き始め部位が上になるように載置する。
【0055】
前記LWC30をETS方式により巻き解く場合、奇数層は下から上に、偶数層は上から下にそれぞれ巻き解かれる。即ち、それぞれの列で最後に巻き解かれる管の位置は奇数層では最上段、偶数層では最下段になる。そのため、下段のLWCと上段のLWCとを接続する接続部材の長さをなるべく短くし、巻き解きに伴う管の変形等の問題を防止するためには、積層体を構成する各LWCの巻き層の数を偶数とし、且つ最外層が下端まで巻かれている、即ち巻き数をn+1とすることが望ましい。
【0056】
なお、LWCの焼鈍、LWC積層体を製作するために用いる接続部材及び接続方法、上下のLWC間に載置するスペーサーの材質、形状及び寸法、緩衝材の材質、形状及び寸法、LWCのコイル巻層の数、1層当たりのコイル巻き数n、LWCの質量、並びに銅管の材質、寸法及び調質等についても第1実施形態と同じ考え方に基づいて決定すれば良い。
【0057】
次に、本願第3発明に係る第3実施形態のLWC積層体について説明する。図7は前記第3実施形態のLWC積層体を構成するLWC40の巻き方法を示す断面図であり、図8は前記LWC40の巻き解き方法を示す模式図である。本実施形態のLWCにおいては、図7に示すように、1層目のコイルをn回整列巻きし、2層目のコイルの始端の管部分を、1層目のコイルの最終巻き(n回目)の管部分と、その直前の巻き(n−1回目)の管部分との間に配置し、以後、2層目のコイルを整列巻きする。そして、2層目のコイルの終端の管部分を、1層目のコイルの始端の管部分と、側板2aとの間に配置して、2層目の整列巻きを終了する。次いで、3層目及び4層目のコイルを、始端の管部分が、下層のコイルの始端の管部分と、次の巻きの管部分との間に配置して、n回整列巻きする。本実施形態においては、奇数層及び偶数層のコイルの巻き数は全てn回である。
【0058】
このように構成されたLWC40においては、始端41を上方にして、LWC40をパレット上に載置する。そして、始端41から管部分を上方に引き出す。そうすると、最下段まで1層目のコイルを引き出した後、2層目に移るが、その最初に引き出されてくる2層目の管部分は最下段であり、この最下段の管部分はパレットとの間に間隙があるので、容易に離脱し、円滑に引き出される。このようにして、本実施形態においても、同様に円滑に管を引き出すことができる。
【0059】
前記LWC40は、始端41を下方にして、LWCをパレット上に載置してもよい。この場合に、奇数層及び偶数層の最下段の管部分は、パレットとの関係で、図5、6に示す第2実施形態の最下段の管部分と同一に配列されている。本実施形態においても、始端41を下方にして、第1層目のコイルを下方から上方に順次引き上げていくと、2層目のコイルは上方から下方に順次引き出され、この2層目コイルの引き出しがその最下段に達したときに、3層目のコイルの最下段の管部分とパレットとの間には間隙があるので、3層目のコイルも円滑に引き出される。前記LWC40においては、その始端41を上方にしてパレット上に載置してもよいし、始端41を下方にしてパレット上に載置してもよい。
【0060】
第3実施形態のLWC積層体は、前記LWC40を使用し、第1実施形態と同様の手順で製作することができる。また、各LWC40を積層する場合、軸方向を垂直にし、巻き始め部位が上になるように載置しても、又は下になるように載置しても、積層体より連続的に管を巻き解くことが可能である。
【0061】
前記LWC40を巻き始め部位が上になるように載置してETS方式により巻き解く場合、奇数層は上から下に、偶数層は下から上にそれぞれ巻き解かれる。即ち、それぞれの列で最後に巻き解かれる管の位置は奇数層では最下段、偶数層では最上段になる。そのため、下段のLWCと上段のLWCとを接続する接続部材の長さをなるべく短くし、巻き解きに伴う管の変形等の問題を防止するためには、各LWCの巻きの列数を奇数とし、且つ最外層が下端まで巻かれている、即ち巻き数をnとすることが望ましい。また、LWC40を巻き始め部位が下になるように載置してETS方式により巻き解く場合は、同様の理由で各LWCの巻きの列数を偶数とし、且つ最外層が下端まで巻かれている、即ち巻き数をnとすることが望ましい。
【0062】
なお、LWCの焼鈍、LWC積層体を製作するために使用する接続部材及び接続方法、上下のLWC間に載置するスペーサーの材質、形状及び寸法、緩衝材の材質、形状及び寸法、LWCのコイル巻層の数、1層当たりのコイル巻き数n、LWCの質量、並びに銅管の材質、寸法及び調質等についても第1実施形態と同じ考え方に基づいて決定すれば良い。
【0063】
次に、本願第4発明に係る第4実施形態のLWC積層体について説明する。図9は前記第4実施形態のLWC積層体を構成するLWC50の巻き方法を示す断面図であり、図10は前記LWC50の巻き解き方法を示す模式図である。ボビン2は、円筒状の内筒2bと、前記内筒2bの両端部分に取り付けられた側板2aとを有する。そして、前記ボビン2は図13又は図14の回転装置103又は104の回転軸に装着されている。本実施形態においては、先ず、銅管1を内筒2bの左端に位置させて巻始端51とし、前記ボビン2を回転装置103又は104により回転駆動し、銅管1を内筒2bに図9における右方向に巻回して整列巻きする(トラバース巻き)。即ち、銅管1を内筒2bに銅管部分に隙間がなく、常に接触しているように整列巻きで巻き付けていく。本実施形態においては、1層目のコイルを巻回し終わると、1層目の終端の銅管部分と側板2aの間には管外径の1/2に等しい隙間が形成されている。1層目のコイルの巻回が終了すると、2層目は、その始端の銅管部分52を、1層目のコイルの終端(n回目)の銅管部分と側板2aとの隙間の部分に側板2aに接触して位置させて、順次、図9の左方向に整列巻きで巻回していく。2層目のコイルはその左端の終端において、側板2aとの間に更に1コイルが入るだけの余裕がないため、側板2aとの間に管外径の1/2に等しい隙間を残したまま、3層目の巻回に移る。従って、2層目のコイルの巻き数は、1層目のコイルの巻き数nと同じになる。3層目のコイルは、1層目と同じくn回、図1の右方向に巻回する。この場合に、3層目も1層目と同様に、その左端の銅管部分は側板2aと接触し、また右端の銅管部分と側板2aとの間には管外径の1/2に等しい隙間が形成されている。4層目は2層目と同様に、始端の銅管部分23を側板2aと接触するようにして配置し、図9の左方に銅管を巻回していく。
【0064】
このようにしてm層だけ巻層を形成するが、ETS方式によるアンコイルを可能とするためには、巻層数mのうち、コイルの荷重を支えている偶数層の数、即ち、m/2の小数点以下を切り捨てて整数とした値をm′とし、LWCの作製に使用した銅管の質量をW(kg)とすると、W/m′は18.0kg以下でなければならない。W/m′の値が18.0kgを超えると、LWC焼鈍時の銅管の焼付きによる密着が発生し安く、また密着が発生しない場合においても巻始め端が上になるようにコイル軸を垂直にしてETS方式により巻解く場合、偶数層の最下段の銅管にかかる押圧力が大きくなり、銅管の折れ、曲がり及び擦り傷等が発生し易くなる。なお、ETS方式によるアンコイルをより円滑に行うには、W/m′は16.0kg以下であることが好ましい。
【0065】
前記LWC50においては、図10に示すように、ボビン2を取り外した状態で、LWC50をそのコイル軸を垂直にし、始端51が上方になるようにして載置して、始端51を上方に引き出す。そうすることにより、前記LWC50の内面側のコイル(1層目コイル)が巻き解かれて、コイル内面から離脱していく。1層目コイルの最下端(図1においては最右端)の銅管部分がコイル内面から離脱した後、2層目コイルの最下端(最右端)の巻始端の銅管部分52がコイル内面から離脱することになる。本実施形態においては、この2層目始端の銅管部分52は緩衝材等と接触しており、その上層(左方)の銅管部分と、緩衝材等との間で拘束されておりため、LWCの質量と巻層mとの比が18.0kg以下となり、銅管部分52は容易に且つ円滑にコイル内面から離脱し、LWC50から円滑に引き出される。
【0066】
なお、本実施形態では、始端51を上方になるように載置して巻き解くことを説明したが、始端51を下方になるようにして載置して始端51を上方に引き出すことによってもLWC50全長に渡って円滑に巻き解くことが可能である。
【0067】
第4実施形態のLWC積層体は、前記LWC50を使用し、第1実施形態と同様の手順で製作することができる。また、各LWC50を積層する場合、軸方向を垂直にし、巻き始め部位が上になるように載置しても、あるいは下になるように載置しても、共に積層体より連続的に管を巻き解くことが可能である。
【0068】
前記LWC50を巻き始め部位が上になるように載置してETS方式により巻き解く場合、奇数層は上から下に、偶数層は下から上にそれぞれ巻き解かれる。即ち、それぞれの列で最後に巻き解かれる管の位置は奇数層では最下段、偶数層では最上段になる。そこで、下段のLWCと上段のLWCとを接続する接続部材の長さをなるべく短くし、巻き解きに伴う管の変形等の問題を防止するためには、各LWCの巻きの列数を奇数とし、且つ最外層が下端まで巻かれている、即ち巻き数をnとすることが望ましい。また、前記LWC50を巻き始め部位が下になるように載置してETS方式により巻き解く場合は、同様の理由から各LWCの巻きの列数を偶数とすることが望ましい。
【0069】
本実施形態において、LWCの焼鈍、LWC積層体を製作するために用いる接続部材及び接続方法、上下のLWC間に載置するスペーサーの材質、形状及び寸法、緩衝材の材質、形状及び寸法、LWCのコイル巻層の数、1層当たりのコイル巻き数n、LWCの質量、並びに銅管の材質、寸法及び調質等についても第1実施形態と同じ考え方に基づいて決定すれば良い。
【0070】
前記第1乃至第4実施形態のLWC積層体を構成するLWCにおいては、前記LWCを作製する際に張力が加えられた状態で銅管が巻き付けられていくため、銅管断面形状は内筒の軸方向に伸び、巻層の方向に縮んだ楕円形となる。この楕円の長径と短径の差が0.2mmを超えると焼鈍時に管の焼付き密着が発生しやすく、LWCとしての歩留りが低下してしまう。また、ETS方式により巻き解く場合、銅管の変形、擦り傷などの原因となりやすい。このため、管軸直角断面における銅管の長径と短径との差が0.2mm以下であることが望ましい。なお、断面における長径と短径の測定は、焼鈍後のLWCの第1巻層より引き出した銅管より測定すれば良い。前記長径と短径との差は0.15mm以下であることがより望ましい。
【0071】
次に、本願第5発明に係る第5実施形態のLWC積層体の梱包方法について説明する。図11は第5実施形態のLWC積層体の梱包方法を示す側面図である。本実施形態のLWC梱包体は、図4に示す工程で製作された第1乃至4実施形態のLWC積層体を使用し、図11(a)乃至(e)に示す工程により製作される。以下、図4に示す手順により作製された3段積みのLWC積層体である3段コイル16(図11(a))を例として説明する。▲1▼最上段のLWC20上にもカートン円板15を積載する(図11(b))。▲2▼例えば、50μmの厚さのポリエチレン製の袋17を3段コイル16に被せて、3段コイル16を覆う(図11(c)。▲3▼例えば、幅が500mm、厚さが25μmのポリエチレンからなる帯状の樹脂フィルム14を用意し、この樹脂フィルム14の伸張状態を保ちつつ、3段コイル16の周囲をその上部から下部までコイル側面に密着させて巻回しながら覆い、更にパレット11まで覆う(図11(d))。ここで、図中の矢印は、テープ14の巻回方向を示す。▲4▼再度、3段コイル16の周囲をその下部から上部まで、伸張状態の樹脂フィルム14で巻回する(図11(e))。これにより、3段コイル16はパレット11と共に2重の樹脂フィルム14によりストレッチ包装される。この場合、樹脂フィルム14は、例えば、長さが約2倍になるように張力をかけて伸ばしながら巻く。そうすることにより、樹脂フィルム14は、幅がもとの約7乃至8割程度に細くなる。
【0072】
本実施形態では、3段コイル16をパレット11と共に、ポリエチレン袋17及び樹脂フィルム14によりストレッチ包装するので、3段コイル16をほぼ完全に密閉することができる。なお、図11(e)の梱包体より管を引き出すためには、梱包体を作業場所に運搬し、最上段のコイル上面の樹脂フィルム14及びポリエチレン製の袋17をカッター等により切断し、カートン円板15を取り除き、コイルの内側の管を上方に引き出せばよい。また、梱包体を覆う樹脂フィルム14及びポリエチレン製の袋17を全て取り去ってからコイルを巻きほどいてもよい。
【0073】
また、3段コイル16の外面を被覆する袋17及び樹脂フィルム14は、ポリエチレン製のもの等を使用することができる。前記樹脂は若干の透湿性を有するが、多層巻きすることにより、コイル内部に水分が侵入することを防止でき、変色を防止することができる。また、樹脂フィルムの厚さは特に制限されるものではないが、10乃至100μm程度のものから選べばよい。通常は30乃至70μm程度のものを使用すると良く、シール効果を高めるためには、多層巻きにすることが好ましい。
【0074】
本実施形態においては、パレット11とコイル20との間に介装するクッション材13及びコイル20間に介装するスペーサー及び緩衝材としてのカートン円板15は、発泡ポリエチレン製のもの等を使用することができるが、コイル内部の変色の虞がない場合は、前記緩衝材として段ボール等を使用することができる。なお、LWC20を梱包する際の雰囲気の露点は低い方が望ましく、梱包時の露点は22℃以下とすることが好ましい。
【0075】
更に、必要に応じて、輸送時にLWC20が動かないように、LWC20をパレット11に固定することができる。例えば、パレット11の4辺の各中央部に、その高さが最上段のLWC20の上面に等しいLWC固定用の木製支柱を固定した後、対向する前記支柱同士の上端部を木製の板材で十字状に固定して補強し、パレットの底部から最上段のLWCの上面まで、支柱及び板材に鉄バンドをかけて締め付ける等の方法が用いられる。この状態で、パレット下面から最上段のLWCの上面まで複数層の樹脂フィルムでストレッチ包装し、外部の雰囲気がコイル内部に侵入しにくいようにすることができる。
【0076】
上述の如く、前記3段コイル16を樹脂フィルム14によりストレッチ包装することにより、保管中及び搬送中にLWC20内部への湿気の侵入及びコイルの変色発生を防止することができる。
【0077】
前記3段コイル16をアンコイルし、銅管1をヘアピン管等へ加工する場所まで連続的に供給する場合は、先ず、図11(e)に示すように梱包された3段コイル16をそのまま使用場所に載置し、カートン円板15を裏当材にして、樹脂フィルム14をカッター等により切断し、更に、このカートン円板15を取り外した後、袋17を除去して3段コイル16を開梱する。その後、図16と同様に、LWC20の巻始端21を握持して上方に持ち上げ、ガイド115等を経て銅管1を使用場所に供給する。そうすることにより、コイル20の内面から銅管1が巻き解かれていき、偶数層のコイル列においては、その最初に巻き解かれる銅管部分22がその上層の銅管部分と側板2aとの間に拘束されていないので、奇数層及び偶数層の全てのコイル列がコイル20から円滑に巻き解かれていく。各段のLWCの終端は、その下の段にあるLWCの始端に接続されているので、最上段のLWCがアンコイルされた後は、連続して2段目及び最下段のLWCがアンコイルされる。本実施形態においては、ガイド115は、銅管を挿通させる管状のものに限らず、ろうと状、円錐状、又はロール状のものを使用することができる。
【0078】
又は、図11(e)に示す最上段のLWCの上面のみ梱包を解き、LWC側面の緊張巻きは解除しない状態で、LWC20の巻始端21を握持して上方に持ち上げ、ガイド115等を経て銅管1を使用場所に供給することもできる。この場合、最外層の銅管は緊張巻きした樹脂フィルム14により拘束を受ける状態で巻き解かれていくため、最外層の銅管の崩れによる変形又は折れ等の発生を防止することができ、最下段のコイルを連続的に且つ円滑に巻き解くことが可能である。最上段のコイルの巻き解きが終了した時点で、最上段のコイルを覆っていた樹脂フィルム14を除去してもよい。
【0079】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、その効果を比較例と比較して具体的に説明する。
【0080】
第1試験例
本実施例は本願第1発明に対応するもので、ETS方式で3段積みの連結LWC積層体をアンコイルしたものである。
【0081】
初めに、内筒に側板を取り付け、内筒に外径が9.52mmの内面溝付銅管(底肉厚が0.20mm、溝深さが0.18mm、溝数が60、リード角が18°、JIS H3300−C1220組成)をトラバース巻きして1個あたり約300kgのLWCを2種類作製した。表1に前記LCWの銅管の巻き数、巻き層の数及び寸法を示す。表1に示すNo.2のLCWは図12に示す従来の巻き方で作製した。前記LCWは、内筒及び側板を外し、ローラーハース炉を用いて銅管を焼鈍して軟質材とした(0.2%耐力:85N/mm2)。
【0082】
【表1】
【0083】
次に、表1に示すLWCを用いて、始端を上又は下として、図4の方法により、3段積みのLWC積層体を作製した。接続部材としては、外径8.7mm、肉厚0.35mmに調整した軟質のりん脱酸銅管を使用し、前記接続部材をLWCの内面溝付管に30mm程度挿入して、挿入部をはんだ付け(90Sn−10Pbはんだ)することにより接続した。その後、図11に示す方法により、前記LWC積層体をポリエチレン樹脂フィルムでストレッチ包装(4層巻き)した梱包体を製作した(実施例1及び比較例1乃至3)。また、ストレッチ包装の樹脂フィルムの代わりに、段ボールで巻き包装したものも作製した(実施例2)。その際、梱包雰囲気の露点は20℃とした。
【0084】
前記梱包体を30℃(露点は25℃)の雰囲気下で1ヶ月間保管した後、ストレッチ包装のものはコイル側面の緊張巻きした樹脂フィルムはそのままで、梱包上面を覆うフィルムのみ除去し、段ボールで巻き包装したものは開梱し、ETS方式により最上段のLWCよりアンコイルした。アンコイルは、最上段のLWCより巻き始めの銅管端部を引き出して、LWC積層体の上面より約1.5m上方に設置した円錐パイプ状ガイドを通し、更に、同じ高さに設置した長さ10mの塩化ビニル管(内径150mm)を通した後、床面に設置した引っ張り装置により1.5m/秒の速度で連続的に引き出すことにより行った。供給中に銅管の外面変色の有無、銅管の引っ掛かり及び変形を記録した。供給時に引っ掛かり又は銅管の変形等が発生した場合は、その時点で銅管の供給を中止し、供給長さを記録した。この結果を表2に示す。
【0085】
【表2】
【0086】
表2に示すように、実施例1及びのLWC積層体は、接続部のはずれ及び引っ掛かり等も無く、接続したコイル全長に渡り銅管を変形させずにアンコイルすることが可能であった。一方、比較例1のLWC積層体は、始端の位置を下方にしてLWCを載置したため、奇数層の銅管が巻き解かれるときその最下段の位置で引っかかりが発生しやすく、軽い変形が発生した。また、従来の巻き方をしたの.2のLWCを用いて作製した比較例2及び3のLWC積層体においては、比較例4では偶数層のコイルを、比較例5では奇数層のコイルを巻き戻す際、引っ掛かりやすく、管に変形が発生した。
【0087】
第2試験例
本実施例は本願第2発明に対応するもので、ETS方式で3段積みの連結LWC積層体をアンコイルしたものである。
【0088】
初めに、内筒に側板を取り付け、内筒に外径が8.0mmの内面溝付銅管(底肉厚が0.24mm、溝深さが0.20mm、溝数が60、リード角が20°、JIS H3300−C1220組成)をトラバース巻きして1個あたり約270kgのLWCを作製した。表3に、前記LCWの銅管の巻き数、巻き層の数及び寸法を示す。前記LWCは、内筒と側板をはずした後、ローラーハース炉を用いて銅管を焼鈍し、軟質材とした(0.2%耐力:70N/mm2)。
【0089】
【表3】
【0090】
次に、表3に示すLWCを用いて、始端を下又は上として、図4の方法により、3段積みのLWC積層体を作製した。接続部材としては、内径8.0mm、肉厚0.5mmに調整した軟質のアルミニウム管を使用し、外周面に樹脂系接着剤を塗布したLWCの内面溝付管を前記接続部材に30mm程度挿入することにより接続した。その後、接続部の接着を強固にするため、室温で24時間放置し、図11に示す方法により、前記LWC積層体をポリエチレン樹脂フィルムでストレッチ包装(4層巻き)した梱包体を作製し、第1試験例と同じ方法でアンコイルした。その結果を表4に示す。
【0091】
【表4】
【0092】
表4に示すように、実施例3のLWC積層体においては、接続部のはずれ及び引っ掛かり等も無く、接続したコイル全長に渡り銅管を変形させずにアンコイルすることができた。一方、比較例4のLWC積層体においては、始端の位置を上にしてLWCを載置したため、偶数層の銅管が巻き解かれる際、最下段の位置で引っかかりが発生しやすく、何カ所か軽い変形が発生した。
【0093】
第3試験例
本実施例は本願第3発明に対応するもので、ETS方式により4段積みの連結LWC積層体をアンコイルしたものである。
【0094】
初めに、内筒に側板を取り付け、内筒に外径が7.0mmの内面溝付銅管(底肉厚が0.24mm、溝深さが0.25mm、溝数が55、リード角が15°、JIS H3300−C1220組成)をトラバース巻きして1個あたり約270kgのLWCを作製した。表5に、試作したLCWの銅管の巻き数、巻き層の数及び寸法を示す。前記LWCは、内筒と側板をはずした後、ローラーハース炉を用いて銅管を焼鈍し、軟質材とした(0.2%耐力:65N/mm2)。
【0095】
【表5】
【0096】
表5に示すLWCを用いて、始端を下又は上として、図4に示す方法により、4段積みのLWC積層体を作製した。なお、始端を下にしたLWC積層体には巻き層数40のLWCを、始端を上にしたLWC積層体には巻き層の数が39のLWCを使用した。接続部材としては、直径6mmの銅の軟質棒材を使用し、前記LWCの内面溝付管に30mm程度挿入した後、ろう付け(BCuP2)することにより接続した。その後、このLWC積層体を梱包体とし、第1試験例と同じ方法によりアンコイルした。その結果を表6に示す。表6に示すように、本実施例4及び5のLWC積層体は、接続部のはずれ及び引っ掛かり等がなく、接続したコイル全長に渡り、銅管を変形させずにアンコイルすることができた。
【0097】
【表6】
【0098】
第4試験例
本実施例は本願第4発明に対応するもので、ETS方式で3段積みの連結LWC積層体をアンコイルしたものである。
【0099】
初めに、内筒に側板を取り付け、内筒に外径が9.52mmの内面溝付銅管(底肉厚が0.20mm、溝深さが0.18mm、溝数が60、リード角が18°、JIS H3300−C1220組成)をトラバース巻きして1個あたり約300kgのLWCを2種類作製した。表7に、試作したLCWの銅管の巻き数、巻き層の数及び寸法を示す。表7において、WはLWCの質量、mは巻き層の数、m′はm/2の小数点以下を切り捨てて整数とした値である。前記LWCは、内筒と側板をはずした後、ローラーハース炉を用いて銅管を焼鈍し、軟質材とした(0.2%耐力:85N/mm2)。
【0100】
【表7】
【0101】
次に、表7に示すLWCを用いて、始端を上又は下として、図4に示す方法により、3段積みのLWC積層体を作製した。上下のコイルの間をゴム管により接続した後、第1試験例と同じ条件及び方法で、アンコイルを行った。その結果を表8に示す。表8に示すように、実施例6のLWC積層体は、W/m′の値が18.0kg以下であったため、接続部のはずれ及び引っ掛かり等が無く、接続したコイル全長に渡り銅管を変形させずにアンコイルすることができた。一方、比較例5のLWCは、W/m′の値が18.0kgを超えていたため、アンコイルの途中で引っかかりによる管の変形が発生し、アンコイルを中止した。
【0102】
【表8】
【0103】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、管の巻回方法を適切に規定したので、LWCをアンコイルする際に、管の折れ、変形、窪み及び擦り疵等のように、ETS方式によるアンコイルで従来より発生していた問題点が解消され、更に最上段のコイルの巻き終わり端をその下のコイルの巻き始め端に接続部材を介して接続したので、1コイル毎に作業を中断し、改めてセットを行う必要がなくなり、作業能率を向上させることができる。また、本発明により梱包することにより、コイル内部の変色が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るLWC積層体を構成するLWC20の巻き方法を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るLWC積層体を構成するLWC20の上半部を示す模式図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るLWC積層体を構成するLWC20の巻き解き方法を示す模式図である。
【図4】(a)乃至(h)は、本発明の第1実施形態に係るLCW積層体の作製方法をその工程順に示す側面図であり、(f2)は(f1)の上面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るLWC積層体を構成するLWC30の巻き方法を示す断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るLWC積層体を構成するLWC30の巻き解き方法を示す模式図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係るLWC積層体を構成するLWC40の巻き方法を示す断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係るLWC積層体を構成するLWC40の巻き解き方法を示す模式図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係るLWC積層体を構成するLWC50の巻き方法を示す断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係るLWC積層体を構成するLWC50の巻き解き方法を示す模式図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係るLWCの梱包方法をその工程順に示す側面図である。
【図12】従来のLWCの巻き方法を示す断面図である。
【図13】縦型アンコイラー(回転装置103)を示す斜視図である。
【図14】横型アンコイラー(回転装置104)を示す斜視図である。
【図15】(a)はリールなしのLWCを示す斜視図であり、(b)はリール有りのLWCを示す斜視図である。
【図16】ETS方式によるアンコイルを示す斜視図である。
【符号の説明】
1、101:銅管
2、102:ボビン
2a、102a:側板
2b、102b:内筒
11:パレット
12:ポリエチレンシート
13:クッション材
14:樹脂フィルム
15:カートン円板
16:3段コイル
17:袋
20、30、40、50、100、110:LWC
21、31、41、51、111:始端
22、52、112:銅管部分
23、53、113:終端
60:接続部材
61:スペーサー
62:キャリア
103:回転装置(縦型アンコイラー)
104:回転装置(横型アンコイラー)
105:ライナー
106:ひも
107:ターンテーブル
114:台
115:ガイド
Claims (12)
- 管を整列巻きして1層目コイルを形成した後、前記1層目コイル上に2層目コイルを前記1層目コイルの外面の管間の凹部に嵌め込んで整列巻きし、以後同様に、2層目コイル上に3層目コイル、3層目コイルの上に4層目コイルを整列巻きした複数層のコイルからなるレベルワウンドコイルにおいて、奇数層目のコイルの巻き数をnとするとき偶数層目のコイルの巻き数が(n−1)であり、且つ奇数層目のコイルの巻き方向と偶数層目のコイルの巻き方向とが相互に逆であるレベルワウンドコイルを、コイル軸方向が垂直に、巻き始め部位が上側になるようにしてパレット上に2個以上積載し、更に上段に位置するレベルワウンドコイルの巻終端及び前記上段のレベルワウンドコイルに隣接して下側に位置するレベルワウンドコイルの巻始端を接続部材により接続し、且つ前記上段のレベルワウンドコイル及び前記上段のレベルワウンドコイルに隣接して下側に位置するレベルワウンドコイルとの間に前記接続部材を通過させる間隔を保持するためのスペーサーが設けられていることを特徴とするレベルワウンドコイル積層体。
- 請求項1に記載のレベルワウンドコイル積層体を構成するレベルワウンドコイルにおいて、その巻き層の数が奇数であり、且つ最外層の巻き数がnであることを特徴とする請求項1に記載のレベルワウンドコイル積層体。
- 管を整列巻きして1層目コイルを形成した後、前記1層目コイル上に2層目コイルを前記1層目コイルの外面の管間の凹部とその両隣に配置して整列巻きし、以後同様に、2層目コイル上に3層目コイル、3層目コイル上に4層目コイルを整列巻きした複数層のコイルからなるレベルワウンドコイルにおいて、奇数層目のコイルの巻き数をnとするとき偶数層目のコイルの巻き数が(n+1)であり、且つ奇数層目のコイルの巻き方向と偶数層目のコイルの巻き方向とが相互に逆であるレベルワウンドコイルを、コイル軸方向が垂直に、巻き始め部位が下側になるようにしてパレット上に2個以上積載し、更に上段に位置するレベルワウンドコイルの巻終端及び前記上段のレベルワウンドコイルに隣接して下側に位置するレベルワウンドコイルの巻始端を接続部材により接続し、且つ上段のレベルワウンドコイル及び前記上段のレベルワウンドコイルに隣接して下側に位置するレベルワウンドコイルとの間に前記接続部材を通過させる間隔を保持するためのスペーサーが設けられていることを特徴とするレベルワウンドコイル積層体。
- 請求項3に記載のレベルワウンドコイル積層体を構成するレベルワウンドコイルにおいて、その巻き層の数が偶数であり、且つ最外層の巻き数がn+1であることを特徴とする請求項3に記載のレベルワウンドコイル積層体。
- 管を整列巻きして1層目コイルを形成した後、前記1層目コイル上に2層目コイルをその巻始端が前記1層目コイルの最終巻及びその直前巻の管間の凹部に嵌め込まれるようにして前記1層目コイルの外面の管間の凹部とその外側に配置して整列巻きし、以後同様に、2層目コイル上に3層目コイル、3層目コイル上に4層目コイルを整列巻きした複数層のコイルからなるレベルワウンドコイルにおいて、奇数層目のコイルの巻き数をnとするとき偶数層目のコイルの巻き数がnであり、且つ奇数層目のコイルの巻き方向及び偶数層目のコイルの巻き方向とが相互に逆であるレベルワウンドコイルを、コイル軸方向が垂直に、巻き始め部位が上側又は下側になるようにしてパレット上に2個以上積載し、上段に位置するレベルワウンドコイルの巻終端及び前記上段のレベルワウンドコイルに隣接し下側に位置するレベルワウンドコイルの巻始端を接続部材により接続し、且つ前記上段のレベルワウンドコイル及び前記上段のレベルワウンドコイルに隣接して下側に位置するレベルワウンドコイルとの間に前記接続部材を通過させる間隔を保持するためのスペーサーが設けられていることを特徴とするレベルワウンドコイル積層体。
- 請求項5に記載のレベルワウンドコイル積層体を構成するレベルワウンドコイルにおいて、巻き始め部位が上側になるように載置されている場合はその巻き層の数が奇数であり、又は巻き始め部位が下側になるように載置されている場合はその巻き層の数が偶数であり、且つ最外層の巻き数がnであることを特徴とする請求項5に記載のレベルワウンドコイル積層体。
- 管を整列巻きして1層目コイルを形成した後、前記1層目コイル上に2層目コイルをその巻始端が前記1層目コイルの最終巻の外側に配置され、前記第2層目コイルの第2巻き以降は前記1層目コイルの最終巻及びその直前巻の管間の凹部に嵌め込まれるようにして、前記1層目コイルの外面の管間の凹部及びその外側に配置して整列巻きし、以後同様に、2層目コイル上に3層目コイル、3層目コイル上に4層目コイルを整列巻きした複数層のコイルからなるレベルワウンドコイルにおいて、奇数層目及び偶数層目のコイルの巻き数がいずれもn(nは自然数)であり、奇数層目のコイルの巻き方向と偶数層目のコイルの巻き方向とが相互に逆であり、巻層の数をm(mは自然数)、m/2の小数点以下を切り捨てて整数とした値をm′、コイルの質量をWとしたときW/m′が18.0kg以下である2個以上のレベルワウンドコイルを、コイル軸方向が垂直に、且つ巻き始め部位が上側になるようにしてパレット上に2個以上積載し、上段に位置するレベルワウンドコイルの巻終端及び前記上段のレベルワウンドコイルに隣接して下側に位置するレベルワウンドコイルの巻始端を接続部材により接続し、且つ前記上段のレベルワウンドコイル及び前記上段のレベルワウンドコイルに隣接して下側に位置するレベルワウンドコイルとの間に前記接続部材を通過させる間隔を保持するためのスペーサーが設けられていることを特徴とするレベルワウンドコイル積層体。
- 請求項7に記載のレベルワウンドコイル積層体を構成するレベルワウンドコイルにおいて、その巻き層の数が奇数であり、且つ最外層の巻き数がnであることを特徴とする請求項7に記載のレベルワウンドコイル積層体。
- 請求項1乃至8のいずれか1項に記載のレベルワウンドコイル積層体において、積層されたレベルワウンドコイル全体が樹脂製の袋で包まれ、更にその外側を帯状の樹脂フィルムにより緊張巻きされていることを特徴とするレベルワウンドコイルの梱包体。
- 最上段のレベルワウンドコイルの上が緩衝材で覆われていることを特徴とする請求項9に記載のレベルワウンドコイルの梱包体。
- レベルワウンドコイル及びパレットが樹脂袋の上から固定部材により相互に固定されていることを特徴とする請求項9又は10に記載のレベルワウンドコイルの梱包体。
- 請求項1乃至8のいずれか1項に記載のレベルワウンドコイル積層体又は請求項9乃至11のいずれか1項に記載のレベルワウンドコイルの梱包体を、コイル軸方向が垂直になるように載置し、前記梱包体の場合は樹脂製袋及び樹脂製フィルムを解き、又はレベルワウンドコイルの側面に緊張巻きされている樹脂製フィルムを解かずに、巻き始め部位の管端を上方に引き上げて管を引き出すことを特徴とするレベルワウンドコイル積層体からの管供給方法。
Priority Applications (1)
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JP2002307475A JP2004142854A (ja) | 2002-10-22 | 2002-10-22 | レベルワウンドコイル積層体、レベルワウンドコイルの梱包体及びレベルワウンドコイルからの管供給方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007070026A (ja) * | 2005-09-06 | 2007-03-22 | Furukawa Electric Co Ltd:The | レベルワウンドコイル |
JP2007126178A (ja) * | 2005-11-04 | 2007-05-24 | Furukawa Electric Co Ltd:The | レベルワウンドコイル梱包体 |
CN103648939A (zh) * | 2011-07-28 | 2014-03-19 | 西门子公司 | 容纳和退绕至少一个线材卷的装置,由此构造的冶金设备和退绕线材的方法 |
-
2002
- 2002-10-22 JP JP2002307475A patent/JP2004142854A/ja active Pending
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