JP2004142337A - 樹脂凸版固定構造およびそれを備えた印刷装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂削れによる印刷不良を発生させることなく、且つ、印刷装置を小型化することができる樹脂凸版固定構造及び印刷装置を提供する。
【解決手段】版胴11の周面に複数の吸引孔14を設け、吸引孔14から空気を吸引して版胴11の周面に樹脂凸版31の裏面を密着させて樹脂凸版31を版胴11に固定する。吸引孔14が配置された位置に応じて複数のエリアを設定し、このエリアごとに順に吸着を開始することができるようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】版胴11の周面に複数の吸引孔14を設け、吸引孔14から空気を吸引して版胴11の周面に樹脂凸版31の裏面を密着させて樹脂凸版31を版胴11に固定する。吸引孔14が配置された位置に応じて複数のエリアを設定し、このエリアごとに順に吸着を開始することができるようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、液晶表示装置の薄膜パターン形成工程などにおいて用いられる、樹脂凸版を版胴に固定する樹脂凸版固定構造およびそれを備えた印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高分子材料からなる液晶用配向膜材料などの印刷材料を、基板の表面に薄膜パターンとして転写する工程において、図4に示すような樹脂凸版印刷装置が用いられている。この印刷装置は次のようなものである。
【0003】
印刷材料を供給する供給装置21として、アニロックスロール22、ドクターロール23、ディスペンサー24を備え、ディスペンサー24からアニロックスロール22上に、液状の印刷材料41を滴下し、ドクターロール23により膜厚を均一化する。版胴11には樹脂凸版31が取り付けられており、アニロックスロール22から印刷材料を転写し、次いでステージ51上の基板42に転写を行い、基板42上に薄膜パターンの形成を行う。
【0004】
樹脂凸版31を版胴11に固定する構造としては、たとえば特許文献1に記載されたもののように、版胴に予め形成された固定部及び引張り部の固定ピンに、樹脂凸版の両端に形成された固定孔を差込み装着する構造がある。また、樹脂凸版を装着する時の作業性を改善することを目的として、特許文献2のもののように樹脂凸版の両端に形成された固定孔を、挟み込み部材の固定ピンに差込み固定し、次いでこの挟み込み部材を、版胴に予め形成されている引掛け部及び引張り部に取り付けることにより樹脂凸版を版胴に装着するものがある。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−189155号公報 (第1図)
【0006】
【特許文献2】
特開平5−154992号公報 (図1および図2)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これら従来の樹脂凸版の固定構造は、いずれも樹脂凸版に固定孔を設け、これを版胴のピンに差込む構造を有するものである。このものにあっては、印刷時の樹脂凸版の位置ずれが無いように、固定ピンと固定孔が、ほぼ同径で形成されており、樹脂凸版を版胴に直接、または挟み込み部材に固定する際には、固定孔周囲の樹脂が削れ、この削れた樹脂が印刷面に付着して印刷不良を発生させることがあった。
【0008】
また、これらの固定構造に用いられる樹脂凸版31においては、図5に示すように、固定孔33もしくは挟み込み部を形成するための固定しろ32が必要となるが、版胴11には、これらの固定しろ32に対応するスペースが必要となる。樹脂凸版31の全長をAとし、固定しろ32に対応するスペースの円弧距離をαとすると、図6に示すように版胴11の円周長Bは、B=(A+α)となり、版胴径Dは、D=(A+α)/πとなる。版胴11にこれら固定ピンもしくは挟み込み部材を取り付けるスペースは、樹脂凸版31のサイズにもよるが、版胴11の円周距離にして150〜300mm程度である。薄膜パターンを形成する印刷装置において、版胴径Dは印刷装置を構成する上で極めて重要な要素となる。
【0009】
通常、印刷装置においては、基板42上の決まった位置に樹脂凸版31が接触し、正しいパターン寸法で印刷するために、ステージ51の走行速度と樹脂凸版31の周速度とが等しくなるように構成されている。
【0010】
図7にて具体的に説明すると、まず基板42の中心位置aから、版胴11の中心位置bまでの距離a−bと、版胴11に固定された樹脂凸版31のパターン中心位置cが版胴11の回転により基板42の表面に接する位置(dの位置)に移動するまでの円弧距離c−dとを等しくする。さらにステージ51の走行速度と版胴11の周速度とを等しくすることにより、基板42の決まった位置に正しいパターン寸法で印刷することが出来るようにしている。
【0011】
この際、版胴径Dが大きくなるほど円弧距離c−dは長くなり、それに従って基板42の中心位置aから版胴11の中心位置bの距離a−bも長くなってしまい、印刷装置全体のサイズが大きくなってしまう。
【0012】
本発明は上記のような樹脂削れによる印刷不良を発生させることなく、且つ、印刷装置を従来より小型化することができる樹脂凸版固定構造及び印刷装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明に基づいた樹脂凸版固定構造に従えば、樹脂凸版を版胴に固定する樹脂凸版固定構造において、上記版胴の周面に吸引孔を複数設け、上記吸引孔から空気を吸引して上記版胴の周面に樹脂凸版裏面を密着させて固定している。
【0014】
上記構成によれば、樹脂凸版の裏面を吸着して、樹脂凸版を版胴に固定するので、従来の樹脂凸版の固定構造のように、固定ピンや固定孔が不要となり、固定孔の周囲の樹脂が削れてこれが印刷面に付着することによる印刷不良を防止することができる。固定ピンや挟みこみ部を版胴に設ける必要がないので、版胴の直径を小さくすることができ、版胴の円周長を短くすることができる。これにより、版胴の周速度と、基板の送り速度とが常に一定の印刷装置においては、その基板を保持するステージの移動距離を短くすることができ、その結果、印刷装置を小型化することができる。
【0015】
上記樹脂凸版固定構造において好ましくは、上記吸引孔が配置された位置に応じて複数のエリアを設定し、そのエリアごとに順に吸着を開始することができるようにしている。また、このとき上記エリアごとに独立の吸引経路を設けてもよい。上記エリアを、版胴の周方向に順に設定しておくことにより、樹脂凸版の一端を版胴に当接してまず吸着を行ない、隣接するエリアを次に吸着するというようにして、樹脂凸版を固定することができ、その作業性が向上する。
【0016】
上記樹脂凸版固定構造を備えた版胴と、上記版胴に固定される樹脂凸版に印刷材料を供給する供給装置と、被印刷物を固定するステージと、上記版胴に連通する真空ポンプとを設けて印刷装置を構成することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本実施の形態における樹脂凸版固定構造およびそれを用いた印刷装置の構造について、図を参照しながら説明する。
【0018】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態における樹脂凸版固定構造およびそれを用いた印刷装置について、図1および図2を参照して説明する。なお、図1は、本実施の形態における樹脂凸版固定構造を用いた印刷装置の主要部の構造を示す斜視図であり、図2は、同側面図である。
【0019】
(印刷装置の構造)
図1および図2を参照して、樹脂凸版固定構造および印刷装置について説明する。
【0020】
本実施の形態の印刷装置は、大略、樹脂凸版31が取り付けられる版胴11と、上記版胴11に固定される樹脂凸版31に印刷材料41を供給する供給装置21と、被印刷物である基板42を固定するステージ51と、上記版胴11に連通する真空ポンプ36とを備えている。
【0021】
版胴11は、図1および図2に示すように、断面円形かつ中空の円筒状に形成され、その両端面には、これを支持する支持軸12が突設されている。この支持軸12は、図示しない軸受けに保持され、これを駆動する駆動装置に連結されている。また、支持軸12の内部には、通気管13が貫通している。通気管13の一端は、版胴11内部の中空部に連通しており、他端は、真空ポンプ36に連通している。
【0022】
版胴11は、金属などで構成され、その周面には、貫通孔からなる吸引孔14が複数形成されている。吸引孔14は、版胴11の内部の中空部に連通しており、通気管13を介して真空ポンプ36に連通している。吸引孔14は、図1に示すように、円孔であり版胴11の軸方向に複数列設けられている。また、吸引孔14は、印刷時に樹脂凸版31が位置ずれすることがないように、樹脂凸版31を均一な圧力で密着させることができる適切な孔径および配置密度で配設されている。
【0023】
樹脂凸版31は、表面に印刷するパターンが形成された、感光性樹脂などの軟質性の樹脂で形成されている。
【0024】
版胴11に取り付けられた樹脂凸版31に、配向膜材料からなる印刷材料41を供給する供給装置21は、アニロックスロール22、ドクターロール23、ディスペンサー24を備えている。ディスペンサー24からアニロックスロール22上に滴下された液状の印刷材料41は、ドクターロール23により膜厚を均一化され、樹脂凸版31の表面に均一に塗布される。
【0025】
ステージ51は、基板42をその主表面上に吸着支持するものであり、版胴11の回転に連動して、基板42とともに直線方向に走行する。
【0026】
(印刷装置の操作方法)
まず、版胴11に樹脂凸版31を吸着する。この工程においては、まず版胴11の表面の所定の位置に樹脂凸版31を位置させ、真空ポンプ36を作動させて吸引を開始する。真空ポンプ36により、版胴11内部の空気が吸引され、同時に吸引孔14から空気が吸引されて、版胴11の表面に、樹脂凸版31の裏面が密着する。
【0027】
次に版胴11を駆動させるとともに、ディスペンサー24から印刷材料41を滴下し、印刷材料41を樹脂凸版31の表面に塗布する。さらに、基板42を吸着したステージ51を矢印の方向に走行させ、印刷を開始する。このとき樹脂凸版31の周速度と、ステージ51の走行速度とは等しくしているので、樹脂凸版31表面のパターンを基板42表面に正しく転写することができる。複数枚の基板42に印刷を行なうときは、このまま連続して行なうことができる。
【0028】
印刷が終了すると、真空ポンプ36を停止させ、吸引孔14からの吸引を止めることで、樹脂凸版31は版胴11から解放され、取り外し可能となる。
【0029】
(作用・効果)
樹脂凸版31の裏面を吸着して、樹脂凸版31を版胴11に固定するので、従来の樹脂凸版31の固定構造のように、固定ピンや固定孔が不要となり、固定孔の周囲の樹脂が削れ、この削れた樹脂が印刷面に付着することによる印刷不良を防止することができる。固定ピンや挟みこみ部を版胴11に設ける必要がないので、版胴11の直径を小さくすることができ、版胴11の円周長を短くすることができる。これにより、版胴11の周速度と、基板42の送り速度とが常に一定の印刷装置においては、その基板を保持するステージの移動距離を短くすることができ、その結果、印刷装置を小型化することができる。
【0030】
一例をあげると、基板42の大きさが、横550mm、縦(印刷方向)650mmの場合に、従来の樹脂凸版固定構造では、、版胴11の円周長としては850mm以上、版胴径としては、270mm以上が必要であったが、本実施の形態における樹脂凸版固定構造では、円周長は700mm、版胴径は、223mmとなり、従来より約80%の小型化を達成することができる。
【0031】
また、複数の基板42に連続的に印刷を行なう印刷ラインを構成する場合には、第1の基板42と、それに続く第2の基板42との間隔を短くすることができるので、処理効率が向上する。
【0032】
(実施の形態2)
本発明の異なる実施の形態について図面を用いて上記実施の形態と異なる構成のみを説明する。なお図3は、本実施の形態における樹脂凸版固定構造を用いた印刷装置の主要部の構造を示す斜視図である。
【0033】
図3に示すように、版胴11の周面には、吸引孔14が複数列形成されているが、この吸引孔14は、2列分を一つのエリアとして、それぞれのエリアに異なる系統の吸引経路を形成している。吸引経路は、版胴11内部に設けられた複数の本管15と、一端が本管15に接続され、他端が吸引孔14に接続される枝管16とで構成されており、本管15はいずれも図示しない開閉弁を介して、それぞれ真空ポンプ36に接続されている。
【0034】
この版胴11に、樹脂凸版31を吸着するにあたっては、まず第1のエリアに樹脂凸版31の一端を当接し、対応する本管15の開閉弁を開放して第1のエリアのみ吸引を行なう。次に隣接する第2のエリアに樹脂凸版31の連続する部分を当接し、第2のエリアも吸引する。この手順で順次樹脂凸版31を吸着させて樹脂凸版31の裏面全面を、版胴11に密着させる。取り外す際には、全く逆の手順で、順に開閉弁を閉じて吸引を停止させながら、樹脂凸版31の終端部から順に取り外すことができる。
【0035】
このように、樹脂凸版31を、端から順に固定していくことができるので、樹脂凸版31の位置合わせなどが容易に行なうことができ、より作業性が向上する。
【0036】
本実施の形態では、エリアごとに吸引を開始するために、複数の吸引経路を設けたが、たとえば、吸引経路は一系統で構成し、吸引孔14の遮蔽板がスライドして順に開放解放するような構成にするなど、他の構成でもよい。
【0037】
上記二つの実施の形態では、図1および図3に示すような吸引孔14を円孔で構成したが、スリットなど他の形状の孔で構成してもよい。また、吸引孔14を、版胴11の表面に複数列配設した溝の底部に設け、吸引孔14を介して溝内部の空気を吸引し、この溝に樹脂凸版31を吸着するようにしてもよい。
【0038】
さらに、上記実施の形態では、版胴11が停止しながら回転し、ステージ51が走行するステージ走行方式を用いたが、ステージ51を停止させておき、版胴11が回転しながら基板42の表面を転がるように走行する版胴走行方式を用いてもよい。
【0039】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるのではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に基づいた実施の形態1における樹脂凸版固定構造を用いた印刷装置の主要部の構造を示す斜視図である。
【図2】この発明に基づいた実施の形態1における樹脂凸版固定構造を用いた印刷装置の主要部の構造を示す側面図である
【図3】この発明に基づいた実施の形態2における樹脂凸版固定構造を用いた印刷装置の主要部の構造を示す斜視図である。
【図4】従来の印刷装置の主要部の構造を示す側面図である。
【図5】従来の樹脂凸版の構造を示す展開図である。
【図6】従来の版胴を示す側面図である。
【図7】従来の印刷装置の動作を説明する側面図である。
【符号の説明】
11 版胴、14 吸引孔、21 供給装置、31 樹脂凸版、36 真空ポンプ、41 印刷材料、42 基板、51 ステージ。
【発明の属する技術分野】
この発明は、液晶表示装置の薄膜パターン形成工程などにおいて用いられる、樹脂凸版を版胴に固定する樹脂凸版固定構造およびそれを備えた印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高分子材料からなる液晶用配向膜材料などの印刷材料を、基板の表面に薄膜パターンとして転写する工程において、図4に示すような樹脂凸版印刷装置が用いられている。この印刷装置は次のようなものである。
【0003】
印刷材料を供給する供給装置21として、アニロックスロール22、ドクターロール23、ディスペンサー24を備え、ディスペンサー24からアニロックスロール22上に、液状の印刷材料41を滴下し、ドクターロール23により膜厚を均一化する。版胴11には樹脂凸版31が取り付けられており、アニロックスロール22から印刷材料を転写し、次いでステージ51上の基板42に転写を行い、基板42上に薄膜パターンの形成を行う。
【0004】
樹脂凸版31を版胴11に固定する構造としては、たとえば特許文献1に記載されたもののように、版胴に予め形成された固定部及び引張り部の固定ピンに、樹脂凸版の両端に形成された固定孔を差込み装着する構造がある。また、樹脂凸版を装着する時の作業性を改善することを目的として、特許文献2のもののように樹脂凸版の両端に形成された固定孔を、挟み込み部材の固定ピンに差込み固定し、次いでこの挟み込み部材を、版胴に予め形成されている引掛け部及び引張り部に取り付けることにより樹脂凸版を版胴に装着するものがある。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−189155号公報 (第1図)
【0006】
【特許文献2】
特開平5−154992号公報 (図1および図2)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これら従来の樹脂凸版の固定構造は、いずれも樹脂凸版に固定孔を設け、これを版胴のピンに差込む構造を有するものである。このものにあっては、印刷時の樹脂凸版の位置ずれが無いように、固定ピンと固定孔が、ほぼ同径で形成されており、樹脂凸版を版胴に直接、または挟み込み部材に固定する際には、固定孔周囲の樹脂が削れ、この削れた樹脂が印刷面に付着して印刷不良を発生させることがあった。
【0008】
また、これらの固定構造に用いられる樹脂凸版31においては、図5に示すように、固定孔33もしくは挟み込み部を形成するための固定しろ32が必要となるが、版胴11には、これらの固定しろ32に対応するスペースが必要となる。樹脂凸版31の全長をAとし、固定しろ32に対応するスペースの円弧距離をαとすると、図6に示すように版胴11の円周長Bは、B=(A+α)となり、版胴径Dは、D=(A+α)/πとなる。版胴11にこれら固定ピンもしくは挟み込み部材を取り付けるスペースは、樹脂凸版31のサイズにもよるが、版胴11の円周距離にして150〜300mm程度である。薄膜パターンを形成する印刷装置において、版胴径Dは印刷装置を構成する上で極めて重要な要素となる。
【0009】
通常、印刷装置においては、基板42上の決まった位置に樹脂凸版31が接触し、正しいパターン寸法で印刷するために、ステージ51の走行速度と樹脂凸版31の周速度とが等しくなるように構成されている。
【0010】
図7にて具体的に説明すると、まず基板42の中心位置aから、版胴11の中心位置bまでの距離a−bと、版胴11に固定された樹脂凸版31のパターン中心位置cが版胴11の回転により基板42の表面に接する位置(dの位置)に移動するまでの円弧距離c−dとを等しくする。さらにステージ51の走行速度と版胴11の周速度とを等しくすることにより、基板42の決まった位置に正しいパターン寸法で印刷することが出来るようにしている。
【0011】
この際、版胴径Dが大きくなるほど円弧距離c−dは長くなり、それに従って基板42の中心位置aから版胴11の中心位置bの距離a−bも長くなってしまい、印刷装置全体のサイズが大きくなってしまう。
【0012】
本発明は上記のような樹脂削れによる印刷不良を発生させることなく、且つ、印刷装置を従来より小型化することができる樹脂凸版固定構造及び印刷装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明に基づいた樹脂凸版固定構造に従えば、樹脂凸版を版胴に固定する樹脂凸版固定構造において、上記版胴の周面に吸引孔を複数設け、上記吸引孔から空気を吸引して上記版胴の周面に樹脂凸版裏面を密着させて固定している。
【0014】
上記構成によれば、樹脂凸版の裏面を吸着して、樹脂凸版を版胴に固定するので、従来の樹脂凸版の固定構造のように、固定ピンや固定孔が不要となり、固定孔の周囲の樹脂が削れてこれが印刷面に付着することによる印刷不良を防止することができる。固定ピンや挟みこみ部を版胴に設ける必要がないので、版胴の直径を小さくすることができ、版胴の円周長を短くすることができる。これにより、版胴の周速度と、基板の送り速度とが常に一定の印刷装置においては、その基板を保持するステージの移動距離を短くすることができ、その結果、印刷装置を小型化することができる。
【0015】
上記樹脂凸版固定構造において好ましくは、上記吸引孔が配置された位置に応じて複数のエリアを設定し、そのエリアごとに順に吸着を開始することができるようにしている。また、このとき上記エリアごとに独立の吸引経路を設けてもよい。上記エリアを、版胴の周方向に順に設定しておくことにより、樹脂凸版の一端を版胴に当接してまず吸着を行ない、隣接するエリアを次に吸着するというようにして、樹脂凸版を固定することができ、その作業性が向上する。
【0016】
上記樹脂凸版固定構造を備えた版胴と、上記版胴に固定される樹脂凸版に印刷材料を供給する供給装置と、被印刷物を固定するステージと、上記版胴に連通する真空ポンプとを設けて印刷装置を構成することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本実施の形態における樹脂凸版固定構造およびそれを用いた印刷装置の構造について、図を参照しながら説明する。
【0018】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態における樹脂凸版固定構造およびそれを用いた印刷装置について、図1および図2を参照して説明する。なお、図1は、本実施の形態における樹脂凸版固定構造を用いた印刷装置の主要部の構造を示す斜視図であり、図2は、同側面図である。
【0019】
(印刷装置の構造)
図1および図2を参照して、樹脂凸版固定構造および印刷装置について説明する。
【0020】
本実施の形態の印刷装置は、大略、樹脂凸版31が取り付けられる版胴11と、上記版胴11に固定される樹脂凸版31に印刷材料41を供給する供給装置21と、被印刷物である基板42を固定するステージ51と、上記版胴11に連通する真空ポンプ36とを備えている。
【0021】
版胴11は、図1および図2に示すように、断面円形かつ中空の円筒状に形成され、その両端面には、これを支持する支持軸12が突設されている。この支持軸12は、図示しない軸受けに保持され、これを駆動する駆動装置に連結されている。また、支持軸12の内部には、通気管13が貫通している。通気管13の一端は、版胴11内部の中空部に連通しており、他端は、真空ポンプ36に連通している。
【0022】
版胴11は、金属などで構成され、その周面には、貫通孔からなる吸引孔14が複数形成されている。吸引孔14は、版胴11の内部の中空部に連通しており、通気管13を介して真空ポンプ36に連通している。吸引孔14は、図1に示すように、円孔であり版胴11の軸方向に複数列設けられている。また、吸引孔14は、印刷時に樹脂凸版31が位置ずれすることがないように、樹脂凸版31を均一な圧力で密着させることができる適切な孔径および配置密度で配設されている。
【0023】
樹脂凸版31は、表面に印刷するパターンが形成された、感光性樹脂などの軟質性の樹脂で形成されている。
【0024】
版胴11に取り付けられた樹脂凸版31に、配向膜材料からなる印刷材料41を供給する供給装置21は、アニロックスロール22、ドクターロール23、ディスペンサー24を備えている。ディスペンサー24からアニロックスロール22上に滴下された液状の印刷材料41は、ドクターロール23により膜厚を均一化され、樹脂凸版31の表面に均一に塗布される。
【0025】
ステージ51は、基板42をその主表面上に吸着支持するものであり、版胴11の回転に連動して、基板42とともに直線方向に走行する。
【0026】
(印刷装置の操作方法)
まず、版胴11に樹脂凸版31を吸着する。この工程においては、まず版胴11の表面の所定の位置に樹脂凸版31を位置させ、真空ポンプ36を作動させて吸引を開始する。真空ポンプ36により、版胴11内部の空気が吸引され、同時に吸引孔14から空気が吸引されて、版胴11の表面に、樹脂凸版31の裏面が密着する。
【0027】
次に版胴11を駆動させるとともに、ディスペンサー24から印刷材料41を滴下し、印刷材料41を樹脂凸版31の表面に塗布する。さらに、基板42を吸着したステージ51を矢印の方向に走行させ、印刷を開始する。このとき樹脂凸版31の周速度と、ステージ51の走行速度とは等しくしているので、樹脂凸版31表面のパターンを基板42表面に正しく転写することができる。複数枚の基板42に印刷を行なうときは、このまま連続して行なうことができる。
【0028】
印刷が終了すると、真空ポンプ36を停止させ、吸引孔14からの吸引を止めることで、樹脂凸版31は版胴11から解放され、取り外し可能となる。
【0029】
(作用・効果)
樹脂凸版31の裏面を吸着して、樹脂凸版31を版胴11に固定するので、従来の樹脂凸版31の固定構造のように、固定ピンや固定孔が不要となり、固定孔の周囲の樹脂が削れ、この削れた樹脂が印刷面に付着することによる印刷不良を防止することができる。固定ピンや挟みこみ部を版胴11に設ける必要がないので、版胴11の直径を小さくすることができ、版胴11の円周長を短くすることができる。これにより、版胴11の周速度と、基板42の送り速度とが常に一定の印刷装置においては、その基板を保持するステージの移動距離を短くすることができ、その結果、印刷装置を小型化することができる。
【0030】
一例をあげると、基板42の大きさが、横550mm、縦(印刷方向)650mmの場合に、従来の樹脂凸版固定構造では、、版胴11の円周長としては850mm以上、版胴径としては、270mm以上が必要であったが、本実施の形態における樹脂凸版固定構造では、円周長は700mm、版胴径は、223mmとなり、従来より約80%の小型化を達成することができる。
【0031】
また、複数の基板42に連続的に印刷を行なう印刷ラインを構成する場合には、第1の基板42と、それに続く第2の基板42との間隔を短くすることができるので、処理効率が向上する。
【0032】
(実施の形態2)
本発明の異なる実施の形態について図面を用いて上記実施の形態と異なる構成のみを説明する。なお図3は、本実施の形態における樹脂凸版固定構造を用いた印刷装置の主要部の構造を示す斜視図である。
【0033】
図3に示すように、版胴11の周面には、吸引孔14が複数列形成されているが、この吸引孔14は、2列分を一つのエリアとして、それぞれのエリアに異なる系統の吸引経路を形成している。吸引経路は、版胴11内部に設けられた複数の本管15と、一端が本管15に接続され、他端が吸引孔14に接続される枝管16とで構成されており、本管15はいずれも図示しない開閉弁を介して、それぞれ真空ポンプ36に接続されている。
【0034】
この版胴11に、樹脂凸版31を吸着するにあたっては、まず第1のエリアに樹脂凸版31の一端を当接し、対応する本管15の開閉弁を開放して第1のエリアのみ吸引を行なう。次に隣接する第2のエリアに樹脂凸版31の連続する部分を当接し、第2のエリアも吸引する。この手順で順次樹脂凸版31を吸着させて樹脂凸版31の裏面全面を、版胴11に密着させる。取り外す際には、全く逆の手順で、順に開閉弁を閉じて吸引を停止させながら、樹脂凸版31の終端部から順に取り外すことができる。
【0035】
このように、樹脂凸版31を、端から順に固定していくことができるので、樹脂凸版31の位置合わせなどが容易に行なうことができ、より作業性が向上する。
【0036】
本実施の形態では、エリアごとに吸引を開始するために、複数の吸引経路を設けたが、たとえば、吸引経路は一系統で構成し、吸引孔14の遮蔽板がスライドして順に開放解放するような構成にするなど、他の構成でもよい。
【0037】
上記二つの実施の形態では、図1および図3に示すような吸引孔14を円孔で構成したが、スリットなど他の形状の孔で構成してもよい。また、吸引孔14を、版胴11の表面に複数列配設した溝の底部に設け、吸引孔14を介して溝内部の空気を吸引し、この溝に樹脂凸版31を吸着するようにしてもよい。
【0038】
さらに、上記実施の形態では、版胴11が停止しながら回転し、ステージ51が走行するステージ走行方式を用いたが、ステージ51を停止させておき、版胴11が回転しながら基板42の表面を転がるように走行する版胴走行方式を用いてもよい。
【0039】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるのではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に基づいた実施の形態1における樹脂凸版固定構造を用いた印刷装置の主要部の構造を示す斜視図である。
【図2】この発明に基づいた実施の形態1における樹脂凸版固定構造を用いた印刷装置の主要部の構造を示す側面図である
【図3】この発明に基づいた実施の形態2における樹脂凸版固定構造を用いた印刷装置の主要部の構造を示す斜視図である。
【図4】従来の印刷装置の主要部の構造を示す側面図である。
【図5】従来の樹脂凸版の構造を示す展開図である。
【図6】従来の版胴を示す側面図である。
【図7】従来の印刷装置の動作を説明する側面図である。
【符号の説明】
11 版胴、14 吸引孔、21 供給装置、31 樹脂凸版、36 真空ポンプ、41 印刷材料、42 基板、51 ステージ。
Claims (4)
- 樹脂凸版を版胴に固定する樹脂凸版固定構造であって、
前記版胴の周面に複数の吸引孔を設け、前記吸引孔から空気を吸引して前記版胴の周面に樹脂凸版裏面を密着させて固定する、樹脂凸版固定構造。 - 前記吸引孔が配置された位置に応じて複数のエリアを設定し、前記エリアごとに順に吸着を開始することができるようにした、請求項1に記載の樹脂凸版固定構造。
- 前記エリアごとに独立の吸引経路を設けた、請求項2に記載の樹脂凸版固定構造。
- 前記請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂凸版固定構造を備えた版胴と、前記版胴に固定される樹脂凸版に印刷材料を供給する供給装置と、被印刷物を固定するステージと、前記版胴に連通する真空ポンプとを備えた印刷装置。
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- 2002-10-25 JP JP2002311467A patent/JP2004142337A/ja not_active Withdrawn
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