JP4187384B2 - スクリーン印刷装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グリーンシートに所定パターンの導体を印刷するスクリーン印刷装置にするものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のスクリーン印刷装置としては図19に示すようなものが知られている。図19は従来のスクリーン印刷装置の概略構成図である。このスクリーン印刷装置は、予め表面にセラミックグリーンシート101を形成した帯状のキャリアフィルム102と、このキャリアフィルム102を収容した供給リール103と、供給リール103から引き出したキャリアフィルム102を巻き取る巻き取りリール104と、引き出したキャリアフィルム102に形成されているセラミックグリーンシート101に対して導電性ペースト105をスクリーン印刷するスクリーン106・スキージ107・支持台108と、セラミックグリーンシート101に印刷された導電性ペースト105を乾燥させる乾燥装置109とを備えている。
【0003】
支持台108はキャリアフィルム102を挟んでスクリーン106と対向した位置に配置されている。支持台108は、内側に気室110aが形成された支持台本体110と、キャリアフィルム102を支持するとともにキャリアフィルム102の移動とともに回転するベルト111とを備えている。ベルト111はメッシュ状の部材により形成されている。気室110aにはエアポンプ112が接続されており、このエアポンプ112により気室110aに負圧・正圧を作用させることができる。
【0004】
このようなスクリーン印刷装置は制御装置113の制御により以下のように動作する。まず、エアポンプ112が気室110aに負圧を作用させることによりメッシュ状のベルト111を介してキャリアフィルム102を支持台108に吸引する。これによりキャリアフィルム102が支持台108に保持される。そして、この状態でスクリーン106及びスキージ107を用いてセラミックグリーンシート101に導電性ペースト105を印刷する。印刷が終了すると、エアポンプ112は気室110aに対する負圧の作用を解除するとともに正圧をわずかに作用させ、支持台108へのキャリアフィルム102の吸着を解除する。この後に、巻き取りリール104及び供給リール103を回転させキャリアフィルム102を所定距離移動させる。このとき、キャリアテープ102の損傷等を防止するため、ベルト111はキャリアフィルム102の移動とともに該移動方向に回転移動させる。以上の動作を連続して行うことにより、セラミックグリーンシート101の表面に導電性ペースト105が印刷される。
【0005】
一方、キャリアフィルム102は巻き取りリール104で巻き取られるより前に乾燥装置109内を通過する。この乾燥装置109内においてセラミックグリーンシート101に印刷された導電性ペースト105が乾燥される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このスクリーン印刷装置では、ベルト111の耐久性が十分に確保できず、このため煩雑なベルト111の交換作業を頻繁に行う必要があるという問題があった。これは、ベルト111がキャリアフィルム102とともに回転移動するためであると考えられる。しかし、ベルト111には通気性を持たす必要があるため、ベルト111の材質変更によって問題解決を図るには至らなかった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、耐久性が高くメンテナンス頻度を低減できるスクリーン印刷装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1では、グリーンシートが表面に形成されたキャリアフィルムを支持台に載置し、前記グリーンシート上に所定パターンの導体をスクリーン印刷するスクリーン印刷装置において、前記支持台の表面を摩擦係数が小さいなめらかな多孔質体で形成するとともに、この多孔質体を介してキャリアフィルムを支持台方向に吸引する吸引手段を備え、前記支持台の内側には前記多孔質体が少なくとも一部の壁を構成する気室が形成されており、前記吸引手段は該気室内の空気を吸引し、前記支持台の気室内に多孔質体の歪みを防止する補強部材を設け、前記支持台の気室を複数の小気室に分割するとともに、前記吸引手段は各小気室の空気をそれぞれ独立して吸引可能とし、多孔質体表面の吸引領域が時間を追って広がるように各小気室の吸引開始時に時間差を設けて前記吸引手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とするものを提案する。
【0009】
本発明によれば、支持台表面が摩擦係数が小さいなめらかな多孔質体で形成されているので、吸引手段により該多孔質体を介してキャリアフィルムを支持台表面に吸引及び保持することができる。ここで、キャリアフィルムと接する支持台表面が多孔質体で形成されているので、耐久性の高いものとなる。また、前記支持台の内側には、前記多孔質体が少なくとも一部の壁を構成する気室が形成され、該気室の空気を吸引するので、多孔質体表面の吸引力を均一にすることができる。特に、前記気室が複数の小気室に分割されているので、多孔質体表面の吸引力分布を任意に設定することができる。さらに、キャリアテープの吸引が多孔質体表面で同時に行われないので、キャリアテープの吸引時に多孔質表面との間に気泡等を閉じ込めたり、キャリアテープのずれや皺を発生させることなく、安定した吸引及び保持を実現できる。さらに、本発明によれば、吸引手段により気室が負圧となり多孔質体に圧力がかかっても、補強部材により歪みの発生を防止できる。これにより、支持台表面を安定した面に保てるので、キャリアテープにずれや皺が生じることがない。特に、生産性向上のために印刷面積を大きくすると多孔質体のひずみが大きくなり印刷精度が悪化しやすいが、本発明では補強部材を設けたので当該印刷精度の悪化を防止することができる。また、補強部材を用いることにより、例えば低硬度のものや薄型形状のものなど多様な多孔質体を用いることができる。
【0014】
また、請求項では、グリーンシートが表面に形成されたキャリアフィルムを支持台に載置し、前記グリーンシート上に所定パターンの導体をスクリーン印刷するスクリーン印刷装置において、前記支持台の表面を多孔質体で形成するとともに、この多孔質体を介してキャリアフィルムを支持台方向に吸引する吸引手段を備え、前記支持台の内側には前記多孔質体が少なくとも一部の壁を構成する複数の小気室からなる気室が形成され、前記吸引手段は各小気室内の空気をそれぞれ独立に吸引するとともに、多孔質体表面の吸引領域が時間を追って広がるように各小気室の吸引開始時に時間差を設けて前記吸引手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とするものを提案する。
【0015】
本発明によれば、支持台表面が多孔質体で形成されているので、吸引手段により該多孔質体を介してキャリアフィルムを支持台表面に吸引及び保持することができる。ここで、キャリアフィルムと接する支持台表面が多孔質体で形成されているので、耐久性の高いものとなる。また、前記支持台の内側には、前記多孔質体が少なくとも一部の壁を構成する気室が形成され、該気室の空気を吸引するので、多孔質体表面の吸引力を均一にすることができる。これにより、吸引力の不均一から生じるキャリアテープのずれや皺を発生させることなく、安定した吸引及び保持を実現できる。キャリアテープの吸引が多孔質体表面で同時に行われないので、キャリアテープの吸引時に多孔質表面との間に気泡等を閉じ込めたり、キャリアテープのずれや皺を発生させることなく、安定した吸引及び保持を実現できる。
【0016】
また、請求項では、請求項記載のスクリーン印刷装置において、前記記支持台の気室内に多孔質体の歪みを防止する補強部材を設けたことを特徴とするものを提案する。
【0017】
本発明によれば、吸引手段により気室が負圧となり多孔質体に圧力がかかっても、補強部材により歪みの発生を防止できる。これにより、支持台表面を安定した面に保てるので、キャリアテープにずれや皺が生じることがない。特に、生産性向上のために印刷面積を大きくすると多孔質体のひずみが大きくなり印刷精度が悪化しやすいが、本発明では補強部材を設けたので当該印刷精度の悪化を防止することができる。また、補強部材を用いることにより、例えば低硬度のものや薄型形状のものなど多様な多孔質体を用いることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係るスクリーン印刷装置について図1及び図2を参照して説明する。図1は第1の実施の形態に係るスクリーン印刷装置の構成図、図2は第1の実施の形態に係る支持台の分解斜視図である。
【0019】
このスクリーン印刷装置は、例えば積層セラミックコンデンサ・積層セラミックインダクタ・セラミック多層基板などの製造工程において用いるセラミックグリーンシートの上面に、これら積層部品等の内部電極や導体パターン形成用の導電性ペーストを印刷する装置である。
【0020】
このスクリーン印刷装置は、図1に示すように、予め表面にセラミックグリーンシート1を形成した帯状のキャリアフィルム2と、このキャリアフィルム2を収容した供給リール3と、供給リール3から引き出したキャリアフィルム2を巻き取る巻き取りリール4とを備えている。キャリアフィルム2は例えばポリエチレンテフタレート(PET)を主成分としたものが用いられる。セラミックグリーンシート1は、ドクターブレード法などによりキャリアフィルム2上に予め形成されている。
【0021】
供給リール3と巻き取りリール4との間には、供給リール3から巻き取りリール4へと移動するセラミックグリーンシート1の表面に導電性ペースト5をスクリーン印刷するスクリーン6・スキージ7・支持台8が配置されている。また、スクリーン6に対して巻き取りリール4側には、セラミックグリーンシート1に印刷された導電性ペースト5を乾燥させる乾燥装置9が配置されている。
【0022】
支持台8は、キャリアフィルム2を介してスクリーン6と対向する位置に配置されており、スクリーン印刷の際にセラミックグリーンシート1が平面となるようにキャリアフィルム2を支持する。
【0023】
支持台8は、上面開口した箱状の支持台本体10と、支持台本体10の上面開口を閉鎖する平板状の多孔質板11とを備えている。多孔質板11は支持台本体10の内壁面に段差を設けることによって形成した支持部10aにより周縁部が支持されている。多孔質板11の上面は支持台本体10の上面と面一となっている。支持台8の内側には、この支持台本体10と多孔質板11とにより気室12が形成されている。すなわち、気室12の壁の一部は多孔質板11からなる。
【0024】
前記多孔質板11は、例えばセラミック焼結体、例えばジルコニア焼結金属体などの通気性を有する多孔質部材からなり、例えば気孔率が60〜80%程度、気孔径が10〜200μm程度のものが用いられる。また、多孔質板11の表面は、キャリアフィルム2が上面を擦動しても多孔質板11及びキャリアフィルム2の双方に損傷が発生しなように、摩擦係数の小さい滑らかなものが好ましい。
【0025】
支持台本体10の底面には通気口10bが形成されている。通気口10bにはパイプ13を介してエアポンプ14が接続されている。このエアポンプ14は制御装置15により駆動制御され、気室12に正圧及び負圧を作用可能としている。これにより、エアポンプ14の駆動により気室12に負圧を作用させると、多孔質板11を介してキャリアフィルム2が多孔質板11の上面方向に吸引され、多孔質板11の上面に保持される。また、この状態で気室12への負圧の作用を解除すれば、キャリアフィルム2の多孔質板11への吸着が解除される。さらに気室12に正圧を作用させれば、多孔質板11への吸着が積極的に解除され、キャリアフィルム2と多孔質板11との間に僅かな間隙を形成することができる。
【0026】
このようなスクリーン印刷装置は、制御装置15の制御により以下のように動作する。まず、エアポンプ14が気室12に負圧を作用させることにより多孔質板11を介してキャリアフィルム2を支持台8に吸引する。これによりキャリアフィルム2が支持台8に固定される。そして、この状態でスクリーン6及びスキージ7を用いてセラミックグリーンシート1に導電性ペースト5を印刷する。印刷が終了すると、エアポンプ14は気室12に対する負圧の作用を解除するとともに正圧をわずかに作用させる。これにより、支持台8へのキャリアフィルム2の吸着が解除され、支持台8とキャリアフィルム2との間に僅かな間隙が生じる。この後に、巻き取りリール4及び供給リール3を回転させキャリアフィルム2を所定距離移動させる。このキャリアフィルム2の移動中は、気室12に対する正圧の作用を維持しておく。以上の動作を連続して行うことにより、セラミックグリーンシート1の表面に所定パターンの導電性ペースト5が印刷される。
【0027】
一方、キャリアフィルム2は巻き取りリール4で巻き取られる前に乾燥装置9内を通過する。この乾燥装置9内においてセラミックグリーンシート1に印刷された導電性ペースト5が乾燥される。
【0028】
このように、本実施の形態にかかるスクリーン印刷装置は、支持台8の上面が多孔質板11で構成されているので、従来のメッシュベルトを用いたものと比較して高い耐久性を有している。したがって、支持台のメンテナンス頻度が低減した利便性の高いものとなる。
【0029】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係るスクリーン印刷装置について図3を参照して説明する。図3は第2の実施の形態に係る支持台の分解斜視図である。
【0030】
本実施の形態と第1の実施の形態に係るスクリーン印刷装置の相違点は、支持台の構造にあり、他の構成については同様である。そこで、ここでは支持台の構成のみについて説明し、他の構成については説明を省略する。
【0031】
本実施の形態にかかる支持台20は、上面開口した箱状の支持台本体21と、支持台本体21の上面開口を閉鎖する平板状の多孔質板22と、多孔質板22に歪みが生じることを防止するための補強板23を備えている。
【0032】
補強板23は、少なくとも多孔質板22よりも剛性の高い材質からなる。例えば鉄板などである。この補強板23には多数の通気孔23aが形成されている。補強板23は、支持台本体21の内壁面に段差を設けることによって形成した支持部21aにより周縁部が支持されている。多孔質板22は、補強板23の上に重ねて配置されている。多孔質板22の上面は支持台本体21の上面と面一となっている。支持台8の内側には、この支持台本体21と多孔質板22及び補強板23とにより気室24が形成されている。すなわち、気室24の壁の一部は、補強板23の通気孔23aから露出した多孔質板22からなる。なお、多孔質板22の材質等は第1の実施の形態と同様である。
【0033】
支持台本体21の底面には通気口21bが形成されている。通気口21bにはパイプ(図示省略)を介してエアポンプ(図示省略)が接続されている。このエアポンプは制御装置(図示省略)により駆動制御され、気室24に正圧及び負圧を作用可能としている。これにより、エアポンプの駆動により気室24に負圧を作用させると、多孔質板22の上方にあるキャリアフィルムが多孔質板22の上面方向に吸引され、該多孔質板22の上面に保持される。また、この状態で気室24への負圧の作用を解除すれば、キャリアフィルムの多孔質板22への吸着が解除される。さらに気室24に正圧を作用させれば、多孔質板22への吸着が積極的に解除され、キャリアフィルムと多孔質板22との間に僅かな間隙を形成することができる。
【0034】
このように本実施の形態にかかる支持台20では、多孔質板22の気室24側に補強板23が配置されているので、スクリーン印刷の際にスキージが押し当てられても多孔質板22の歪み・変形を防止できる。また、同様に、気室24が負圧となることによる多孔質板22の歪み・変形を防止できる。したがって、多孔質板22の歪み・変形によるセラミックグリーンシートのずれや皺の発生を防止できるので、確実にスクリーン印刷を行うことができる。このことは、生産性向上のために印刷面積を大きくしたときに特に有効である。すなわち、一般に印刷面積の拡大とともに多孔質板22の歪み・変形が生じやすく、このため印刷精度が悪化するが、本実施の形態にかかる支持台20では当該歪み・変形が生じにくいので、印刷精度を低下させることなく印刷面積を拡大することができる。他の効果については第1の実施の形態と同様である。
【0035】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態にかかるスクリーン印刷装置について図4を参照して説明する。図4は第3の実施の形態に係る支持台の分解斜視図である。
【0036】
本実施の形態と第1の実施の形態に係るスクリーン印刷装置の相違点は、支持台の構造にあり、他の構成については同様である。そこで、ここでは支持台の構成のみについて説明し、他の構成については説明を省略する。
【0037】
本実施の形態にかかる支持台30は、上面開口した箱状の支持台本体31と、支持台本体31の上面開口を閉鎖する平板状の多孔質板32とを備えている。支持台本体31は、内壁面に段差を設けることにより形成した第1支持部31aと、第1支持部31aと上面が同一であり対向する壁面に亘って架設された第2支持部31bとを備えている。多孔質板32は、支持台本体31の第1支持部31aによる周縁部が支持され、第2支持部31bにより中央部が支持されている。多孔質板32の上面は支持台本体31の上面と面一となっている。支持台30の内側には、この支持台本体31と多孔質板32とにより気室33が形成されている。すなわち、気室33の壁の一部は多孔質板32からなる。なお、多孔質板22の材質等は第1の実施の形態と同様である。
【0038】
支持台本体31の底面には通気口31cが形成されている。通気口31cにはパイプ(図示省略)を介してエアポンプ(図示省略)が接続されている。このエアポンプは制御装置(図示省略)により駆動制御され、気室33に正圧及び負圧を作用可能としている。これにより、エアポンプの駆動により気室33に負圧を作用させると、多孔質板32の上方にあるキャリアフィルムが多孔質板32の上面方向に吸引され、該多孔質板32の上面に保持される。また、この状態で気室33への負圧の作用を解除すれば、キャリアフィルムの多孔質板32への吸着が解除される。さらに気室33に正圧を作用させれば、多孔質板32への吸着が積極的に解除され、キャリアフィルムと多孔質板32との間に僅かな間隙を形成することができる。
【0039】
このように本実施の形態にかかる支持台30では、多孔質板32の気室33側に補強部材である第2支持部31bが多孔質板32の中央部を支持するように形成されているで、スクリーン印刷の際にスキージが押し当てられても多孔質板32の歪み・変形を防止できる。また、同様に、気室33が負圧となることによる多孔質板32の歪み・変形を防止できる。したがって、多孔質板32の歪み・変形によるセラミックグリーンシートのずれや皺の発生を防止できるので、確実にスクリーン印刷を行うことができる。このことは、生産性向上のために印刷面積を大きくしたときに特に有効である。すなわち、一般に印刷面積の拡大とともに多孔質板32の歪み・変形が生じやすく、このため印刷精度が悪化するが、本実施の形態にかかる支持台30では当該歪み・変形が生じにくいので、印刷精度を低下させることなく印刷面積を拡大することができる。他の効果については第1の実施の形態と同様である。
【0040】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態にかかるスクリーン印刷装置について図5及び図6を参照して説明する。図5は第4の実施の形態に係る支持台の分解斜視図、図6は図5にかかる支持台のAA’線矢視方向断面図である。
【0041】
本実施の形態と第1の実施の形態に係るスクリーン印刷装置の相違点は、支持台の構造にあり、他の構成については同様である。そこで、ここでは支持台の構成のみについて説明し、他の構成については説明を省略する。
【0042】
本実施の形態にかかる支持台40は、上面に4つの矩形の開口部を形成した箱状の支持台本体41と、支持台本体41の各開口部を閉鎖する平板状の4つの多孔質板42とを備えている。支持台本体41は、対向する壁面に亘って懸架された枠41aにより上面が4分割されている。枠41aの下縁部及び支持台本体41の内壁面には開口部の内側に向かって形成された支持部41bが形成されている。各多孔質板42は各開口部において該支持部41bにより周縁部が支持される。多孔質板42の上面は支持台本体41の上面と面一となっている。支持台40の内側には、この支持台本体41と多孔質板42とにより一つの気室43が形成されている。すなわち、気室43の壁の一部は多孔質板42からなる。なお、多孔質板42の材質等は第1の実施の形態と同様である。
【0043】
支持台本体41の底面には通気口41cが形成されている。通気口41cにはパイプ44を介してエアポンプ(図示省略)が接続されている。このエアポンプは制御装置(図示省略)により駆動制御され、気室43に正圧及び負圧を作用可能としている。これにより、エアポンプの駆動により気室43に負圧を作用させると、多孔質板42の上方にあるキャリアフィルムが多孔質板42の上面方向に吸引され、該多孔質板42の上面に保持される。また、この状態で気室43への負圧の作用を解除すれば、キャリアフィルムの多孔質板42への吸着が解除される。さらに気室43に正圧を作用させれば、多孔質板42への吸着が積極的に解除され、キャリアフィルムと多孔質板42との間に僅かな間隙を形成することができる。
【0044】
このように本実施の形態にかかる支持台40では、上面に4つの多孔質板42が配置されている。これにより、第1の実施の形態と比較して多孔質板42の面積が小さくなるので、多孔質板42の歪み・変形を防止できる。したがって、多孔質板42の歪み・変形によるセラミックグリーンシートのずれや皺の発生を防止できるので、確実にスクリーン印刷を行うことができる。このことは、生産性向上のために印刷面積を大きくしたときに特に有効である。他の効果については第1の実施の形態と同様である。
【0045】
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態にかかるスクリーン印刷装置について図7乃至図9を参照して説明する。図7は第5の実施の形態に係る支持台の分解斜視図、図8は図7にかかる支持台のBB’線矢視方向断面図、図9は第5の実施の形態にかかる支持台の吸引構造を説明する図である。
【0046】
本実施の形態と第1の実施の形態に係るスクリーン印刷装置の主な相違点は、支持台の構造及び吸引構造にあり、他の構成については同様である。そこで、ここでは支持台の構成及び吸引構造のみについて説明し、他の構成については説明を省略する。
【0047】
本実施の形態にかかる支持台50は、上面に4つの矩形の開口部を形成した箱状の支持台本体51と、支持台本体51の各開口部を閉鎖する平板状の4つの多孔質板52とを備えている。支持台本体51は、対向する壁面に亘って形成された仕切壁51aが設けられている。仕切壁51aの上面は支持台本体51の上面と面一になっている。支持台本体51の内壁面及び仕切壁51aには段差を設けることにより支持部51bが形成されている。各多孔質板52は、各開口部において該支持部51bにより周縁部が支持される。多孔質板52の上面は支持台本体51の上面と面一となっている。支持台50の内側には、この支持台本体51及び仕切壁51a並びに多孔質板52により仕切られた4つの気室53が形成されている。すなわち、各気室53の壁の一部は多孔質板52からなる。なお、多孔質板52の材質等は第1の実施の形態と同様である。
【0048】
支持台本体51の各気室53の底面にはそれぞれ通気口51cが形成されている。通気口51cにはそれぞれパイプ54が接続されている。図9に示すように、各パイプ54は、主パイプ55に合流するように接続されており、主パイプ55を介してエアポンプ56が接続されている。エアポンプ56は制御装置57により駆動制御され、各気室53に対して同時に正圧及び負圧を作用可能としている。これにより、エアポンプ56の駆動により各気室53に負圧を作用させると、多孔質板52の上方にあるキャリアフィルムが多孔質板52の上面方向に吸引され、多孔質板52の上面に保持される。また、この状態で各気室53への負圧の作用を解除すれば、キャリアフィルムの多孔質板52への吸着が解除される。さらに気室53に正圧を作用させれば、多孔質板52への吸着が積極的に解除され、キャリアフィルムと多孔質板52との間に僅かな間隙を形成することができる。
【0049】
このように本実施の形態にかかる支持台50では、上面が4つの多孔質板52が配置されている。これにより、第1の実施の形態と比較して多孔質板52の面積が小さくなるので、多孔質板52の歪み・変形を防止できる。このことは、生産性向上のために印刷面積を大きくしたときに特に有効である。また、支持台50の内側には複数の気室54が形成されているので、第1の実施の形態と比較して、多孔質板52の上面において吸引力のムラを防止できる。したがって、セラミックグリーンシートのずれや皺の発生を防止できるので、確実にスクリーン印刷を行うことができる。他の効果については第1の実施の形態と同様である。
【0050】
なお、本実施の形態では、パイプ54を1つの主パイプ55に合流させ一つのエアポンプ56により各気室53の吸引等を行っていたが、図10に示すように、各パイプ54にそれぞれエアポンプ56を接続するようにしてもよい。また、図11に示すように、各パイプ54にバルブ58を設け、該バルブ58を制御装置57により吸引等のオン・オフを制御するようにしてもよい。図10及び図11で示した例では、各気室53に対する吸引等のオン・オフの制御をそれぞれ独立に行うことができるが、この場合には当該オン・オフのタイミングを各気室53で同時に行っても、時間差を設けて行ってもよい。
【0051】
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態にかかるスクリーン印刷装置について図12及び図13を参照して説明する。図12は第6の実施の形態に係る支持台の分解斜視図、図13は図12にかかる支持台のCC’線矢視方向断面図である。
【0052】
本実施の形態と第1の実施の形態に係るスクリーン印刷装置の主な相違点は、支持台の構造及び吸引構造にあり、他の構成については同様である。そこで、ここでは支持台の構成及び吸引構造のみについて説明し、他の構成については説明を省略する。
【0053】
本実施の形態にかかる支持台60は、上面開口の箱状の支持台本体61と、支持台本体61の開口部を閉鎖する平板状の多孔質板62とを備えている。支持台本体61は、対向する壁面に亘って形成された仕切壁61aが設けられている。仕切壁61aの上面は、支持台本体61の内壁面に段差をもうけることによって形成された支持部61bの上面と面一になっている。多孔質板62は、支持部61bにより周縁部が支持され、仕切壁61aにより中央部が支持される。多孔質板62の上面は支持台本体61の上面と面一となっている。支持台60の内側には、この支持台本体61及び仕切壁61a並びに多孔質板62により仕切られた4つの気室63が形成されている。すなわち、各気室63の壁の一部は多孔質板62からなる。なお、多孔質板62の材質等は第1の実施の形態と同様である。
【0054】
支持台本体61の各気室63の底面にはそれぞれ通気口61cが形成されている。通気口61cにはそれぞれパイプ64が接続されている。各パイプ64は、第5の実施の形態と同様に、主パイプ(図示省略)に合流するように接続されており該主パイプを介してエアポンプ(図示省略)が接続されている。このエアポンプは制御装置(図示省略)により駆動制御され、各気室63に対して同時に正圧及び負圧を作用可能としている。これにより、エアポンプの駆動により各気室63に負圧を作用させると、多孔質板62の上方にあるキャリアフィルムが多孔質板62の上面方向に吸引され、上面に保持される。また、この状態で各気室63への負圧の作用を解除すれば、キャリアフィルムの多孔質板62への吸着が解除される。さらに気室63に正圧を作用させれば、多孔質板62への吸着が積極的に解除され、キャリアフィルムと多孔質板62との間に僅かな間隙を形成することができる。
【0055】
このように本実施の形態にかかる支持台60では、多孔質板62の中央部が仕切壁61aにより支持されているので、スクリーン印刷の際にスキージが押し当てられても多孔質板62の歪み・変形を防止できる。また、同様に、各気室63が負圧となることによる多孔質板62の歪み・変形を防止できる。このことは、生産性向上のために印刷面積を大きくしたときに特に有効である。すなわち、一般に印刷面積の拡大とともに多孔質板62の歪み・変形が生じやすく、このため印刷精度が悪化するが、本実施の形態にかかる支持台60では当該歪み・変形が生じにくいので、印刷精度を低下させることなく印刷面積を拡大することができる。さらに、支持台60の内側には複数の気室64が形成されているので、第1の実施の形態と比較して、多孔質板62の上面において吸引力のムラを防止できる。したがって、セラミックグリーンシートのずれや皺の発生を防止できるので、確実にスクリーン印刷を行うことができる。他の効果については、第1の実施の形態と同様である。
【0056】
なお、本実施の形態では、パイプ64を1つの主パイプに合流させ一つのエアポンプにより各気室63の吸引等を行っていたが、第5の実施の形態において図10及び図11を参照して説明したように、各パイプ64にそれぞれエアポンプを接続したり、各パイプ64にバルブ(図示省略)を設け、該バルブを制御装置により吸引等のオン・オフを制御するようにしてもよい。
【0057】
(第7の実施の形態)
本発明の第7の実施の形態にかかるスクリーン印刷装置について図14乃至図18を参照して説明する。図14は第7の実施の形態に係る支持台の多孔質板を取り除いた上面平面図、図15〜図18は第7の実施の形態に係る支持台における吸引方法を説明する図である。
【0058】
本実施の形態と第6の実施の形態に係るスクリーン印刷装置の主な相違点は、支持台の構造及び吸引制御にあり、他の構成については同様である。そこで、ここでは支持台の構成及び吸引制御のみについて説明し、他の構成については説明を省略する。
【0059】
本実施の形態にかかる支持台70が、第6の実施の形態にかかる支持台60と相違する主な点は、内側に形成される気室の数にある。すなわち、支持台70は、上面開口の支持台本体71と、支持台本体71の開口部を閉鎖する平板状の多孔質板(図14では図示省略)とを備えている。支持台本体71は、対向する壁面に亘って形成された多数の仕切壁71aが設けられている。仕切壁71aの上面は、支持台本体71の内壁面に段差をもうけることによって形成された支持部(図示省略)の上面と面一になっている。多孔質板は、支持部により周縁部が支持され、仕切壁71aにより中央部が支持される。多孔質板の上面は支持台本体71の上面と面一となっている。支持台70の内側には、この支持台本体71及び仕切壁71a並びに多孔質板により仕切られた多数(図14では81個)の気室73が形成されている。すなわち、各気室73の壁の一部は多孔質板72からなる。なお、多孔質板の材質等は第1の実施の形態と同様である。
【0060】
支持台本体71の各気室73の底面にはそれぞれ通気口71cが形成されている。通気口71cにはそれぞれパイプ(図示省略)が接続されている。各パイプは、第5の実施の形態において図11を参照して説明したように、バルブ(図示省略)を介して主パイプ(図示省略)に合流し、該主パイプを介してエアポンプ(図示省略)が接続されている。このエアポンプ及び各バルブは制御装置(図示省略)により駆動制御され、各気室73に対して個別に正圧及び負圧を作用可能としている。これにより、エアポンプの駆動により各気室73に負圧を作用させると、多孔質板の上方にあるキャリアフィルムが多孔質板の上面方向に吸引され、上面に保持される。また、この状態で各気室73への負圧の作用を解除すれば、キャリアフィルムの多孔質板への吸着が解除される。さらに気室73に正圧を作用させれば、多孔質板への吸着が積極的に解除され、キャリアフィルムと多孔質板72との間に僅かな間隙を形成することができる。
【0061】
ここで、キャリアフィルムの吸引時の動作について詳述する。本実施の形態では、図15〜図18に示すように、キャリアフィルム74を吸引する際には、多孔質板72の上面における吸引領域が時間とともに増大するように制御する。なお、図15〜図18においてハッチング(斜線)を付した領域は、エアポンプの駆動により負圧が作用して吸引が行われている領域を示している。
【0062】
例えば、図15では、キャリアフィルム74の進行方向に対して前方から後方に向かって吸引領域が増大するように、各気室73に接続しているパイプに対応するバルブを制御している。また、図16では、キャリアフィルム74の進行方向に直交する方向に向かって吸引領域が増大するように、各気室73に接続しているパイプに対応するバルブを制御している。さらに、図17では、キャリアフィルム74の進行方向に関係なく、多孔質板72の中心部から周縁部に向かって吸引領域が増大するように、各気室73に接続しているパイプに対応するバルブを制御している。さらに、図18では、キャリアフィルム74の進行方向に対して前方端部から斜め後方に向かって吸引領域が増大するように、各気室73に接続しているパイプに対応するバルブを制御している。
【0063】
このように本実施の形態にかかる支持台70では、キャリアフィルム74を吸引する際には、多孔質板72の上面における吸引領域が時間とともに増大するように制御しているので、キャリアフィルム74と多孔質板72との間に気泡が閉じ込められることない。したがって、キャリアフィルム74のずれや皺の発生を防止できるので、確実にスクリーン印刷を行うことができる。他の効果については第6の実施の形態と同様である。
【0064】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、支持台表面が多孔質体で形成されているので、吸引手段により該多孔質体を介してキャリアフィルムを支持台表面に吸引及び保持することができる。ここで、キャリアフィルムと接する支持台表面が多孔質体で形成されているので、耐久性の高いものとなる。したがって、支持台のメンテナンス頻度が低減した利便性の高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係るスクリーン印刷装置の構成図
【図2】第1の実施の形態に係る支持台の分解斜視図
【図3】第2の実施の形態に係る支持台の分解斜視図
【図4】第3の実施の形態に係る支持台の分解斜視図
【図5】第4の実施の形態に係る支持台の分解斜視図
【図6】図5にかかる支持台のAA’線矢視方向断面図
【図7】第5の実施の形態に係る支持台の分解斜視図
【図8】図7にかかる支持台のBB’線矢視方向断面図
【図9】第5の実施の形態にかかる支持台の吸引構造を説明する図
【図10】第5の実施の形態にかかる支持台の他の例の吸引構造を説明する図
【図11】第5の実施の形態にかかる支持台の他の例の吸引構造を説明する図
【図12】第6の実施の形態に係る支持台の分解斜視図
【図13】図12にかかる支持台のCC’線矢視方向断面図
【図14】第7の実施の形態に係る支持台の多孔質板を取り除いた上面平面図
【図15】第7の実施の形態に係る支持台における吸引方法を説明する図
【図16】第7の実施の形態に係る支持台における吸引方法を説明する図
【図17】第7の実施の形態に係る支持台における吸引方法を説明する図
【図18】第7の実施の形態に係る支持台における吸引方法を説明する図
【図19】従来のスクリーン印刷装置の概略構成図
【符号の説明】
1…セラミックグリーンシート、2…キャリアテープ、3…供給リール、4…巻き取りリール、5…導電性ペースト、6…スクリーン、7…スキージ、8,20,30,40,50,60,70…支持台、9…乾燥装置、10,21,31,41,51,61,71…支持台本体、11,22,32,42,52,62,72…多孔質板、

Claims (3)

  1. グリーンシートが表面に形成されたキャリアフィルムを支持台に載置し、前記グリーンシート上に所定パターンの導体をスクリーン印刷するスクリーン印刷装置において、
    前記支持台の表面を摩擦係数が小さいなめらかな多孔質体で形成するとともに、この多孔質体を介してキャリアフィルムを支持台方向に吸引する吸引手段を備え、
    前記支持台の内側には前記多孔質体が少なくとも一部の壁を構成する気室が形成されており、前記吸引手段は該気室内の空気を吸引し、
    前記支持台の気室内に多孔質体の歪みを防止する補強部材を設け
    前記支持台の気室を複数の小気室に分割するとともに、前記吸引手段は各小気室の空気をそれぞれ独立して吸引可能とし、
    多孔質体表面の吸引領域が時間を追って広がるように各小気室の吸引開始時に時間差を設けて前記吸引手段を制御する制御手段を備えた
    ことを特徴とするスクリーン印刷装置。
  2. グリーンシートが表面に形成されたキャリアフィルムを支持台に載置し、前記グリーンシート上に所定パターンの導体をスクリーン印刷するスクリーン印刷装置において、
    前記支持台の表面を多孔質体で形成するとともに、この多孔質体を介してキャリアフィルムを支持台方向に吸引する吸引手段を備え、
    前記支持台の内側には前記多孔質体が少なくとも一部の壁を構成する複数の小気室からなる気室が形成され、前記吸引手段は各小気室内の空気をそれぞれ独立に吸引するとともに、
    多孔質体表面の吸引領域が時間を追って広がるように各小気室の吸引開始時に時間差を設けて前記吸引手段を制御する制御手段を備えた
    ことを特徴とするスクリーン印刷装置。
  3. 前記支持台の気室内に多孔質体の歪みを防止する補強部材を設けた
    ことを特徴とする請求項記載のスクリーン印刷装置。
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