JP2004139071A - トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】 高温高湿環境下に放置した後の画像濃度の低下や、低印字率でプリントした際のチャージアップ現象による画像濃度の低下を抑制し、かつ、定着性及び高温オフセット性に優れ、端部オフセットの発生を抑制するトナーを提供する。
【解決手段】 ポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂、ワックス及び着色剤を少なくとも含有し、メタノール−水混合溶媒に対するトナーの濡れ性を780nmの波長の光の透過率で測定した場合、透過率が80%及び10%のときのメタノール濃度がそれぞれ45〜65体積%であり、125℃、5kg荷重におけるトナーのMIが0.1〜10g/10minであり、THF不溶分を結着樹脂に対して5〜40質量%含有し、トナーのTHF可溶分のGPCにおいて分子量3000〜2万の領域にメインピークを有し、かつTHF可溶分中の分子量1万以下の成分の割合が50質量%以上であるトナー。
【選択図】 図1

Description

 本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法、トナージェット方式記録法の如き画像形成方法に用いられるトナーに関する。
 トナーの特定溶媒に対する疎水特性を制御することで、トナーの現像性と耐久性を向上させる技術に関して、数々の提案が行われている。このような技術としては、トナーをエタノール/水混合溶液に分散させてその時の吸光度を測定し、磁性トナー表面に存在している磁性酸化鉄の量を知ることで、磁性トナーに起因する帯電ローラの汚れや感光ドラムへの磁性トナーの融着がどの程度発生するかを簡便に知ることのできる技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、上記の技術としては、トナーが有する疎水特性をエタノール滴下透過率曲線で表してエタノール含有率に対する透過率を測定し、エタノールに対して一定の濡れ特性を有するトナーに関する技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。また、トナーをメタノール/水混合溶液に分散させて、そのときの吸光度と磁性トナーの表面状態とを関連付け、トナーの帯電特性を改良する技術も知られている(例えば、特許文献3参照)。
 しかしながら、これら特性を満足するだけでは、近年の電子写真装置の高速化に伴って問題となってきている端部オフセットのような定着周りの問題、トナーのチャージアップ現象による画像濃度の低下等、多くの問題の全てに対応することは難しい。
 トナー用のポリエステル樹脂としては、テトラヒドロフラン(THF)不溶分が5質量%以下であり、かつTHF可溶分の1×10以上の超高分子量体の割合、1×10以上の高分子量体の割合、1×10未満の領域の低分子量体の割合と1×10以上1×10未満の中分子量体の割合を規定したトナー用ポリエステル樹脂が知られている(例えば、特許文献4及び5参照。)。しかし、このようにポリエステル樹脂の各分画分子量の成分量を規定するだけでは、端部オフセットを解決することは難しい。
 また、トナー用のポリエステル樹脂としては、1×10以上8×10以下の領域に分子量の極大値を有し、Mw/Mnが20以上200以下であり、樹脂全体に占める分子量1×10以下の割合が80質量%以上であり、三価以上の多価カルボン酸及び/又は三価以上の多価アルコールを含有することを特徴とする電子写真トナー用ポリエステル系樹脂が知られている(例えば、特許文献6参照。)。これによれば、確かに非オフセット温度幅の広いトナーを得ることができるが、トナーの帯電制御については不十分であり、高速化に対応することが難しい。
 また、ポリエステル樹脂を含有するトナーとしては、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルを使用したポリエステル樹脂を含有するトナーが知られている(例えば、特許文献7及び8参照。)。しかし、前記ポリエステル樹脂はテトラヒドロフラン不溶分を含まないことを特徴としているため、高温オフセット性や現像性を高いレベルで満足させることは難しい。
 また、トナーバインダ用ポリエステル樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルを使用したトナーバインダ用ポリエステル樹脂が知られている(例えば、特許文献9参照。)。また、トナーに関しては、多価カルボン酸成分と多価ポリオール成分とからなるポリエステル樹脂で、多価ポリオール成分の少なくとも一部が三価以上のノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルであり、THF不溶分が0.1〜20質量%である樹脂を含むトナーが知られている(例えば、特許文献10参照。)。これら発明によれば、確かに定着性や高温オフセット性の問題点は改善されるものの、トナーの疎水化度を制御していない為、トナー特性の環境依存性が大きく、未だ改良の余地がある。
特開平11−194533号公報 特開2000−242027号公報 EP1241530A1 特開平10−60104号公報 特開平10−69126号公報 特開平9−251216号公報 特開平9−251217号公報 特開平11−24312号公報 特開平5−27478号公報 特開2000−242030号公報
 本発明の目的は、上述のごとき問題点を解決したトナーを提供することにある。
 本発明の目的は、高温高湿環境下に放置した後の画像濃度の低下や、低印字率でプリントした際のチャージアップ現象による画像濃度の低下を抑制することのできるトナーを提供することにある。
 更に、本発明の目的は、定着性及び高温オフセット性に優れ、端部オフセットの発生を抑制することのできるトナーを提供することにある。
 本発明は、ポリエステル樹脂を主成分として含む結着樹脂、ワックス及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーにおいて、メタノール及び水の混合溶媒に対するトナーの濡れ性を780nmの波長の光の透過率で測定した場合、透過率が80%のときのメタノール濃度が45〜65体積%の範囲内であり、かつ透過率が10%のときのメタノール濃度が45〜65体積%の範囲内であり、125℃、5kg荷重におけるトナーのメルトインデックスが0.1〜10g/10minであり、テトラヒドロフランに不溶な樹脂成分を結着樹脂に対して5〜40質量%含有し、トナーのテトラヒドロフラン可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したクロマトグラムにおいて、分子量3000〜2万の領域にメインピークを有し、かつテトラヒドロフラン可溶分中の分子量が1万以下の成分の割合が50質量%以上であるトナーに関する。
 本発明のトナーは、ポリエステル樹脂を主成分として含む結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有し、メタノール及び水の混合溶媒に対するトナーの濡れ性を780nmの波長の光の透過率で測定した場合、透過率が80%のときのメタノール濃度が45〜65体積%の範囲内であり、かつ透過率が10%のときのメタノール濃度が45〜65体積%の範囲内であり、125℃、5kg荷重におけるトナーのメルトインデックスが0.1〜10g/10minであり、テトラヒドロフランに不溶な有機成分を結着樹脂に対して5〜40質量%含有し、トナーのテトラヒドロフラン可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したクロマトグラムにおいて、分子量3000〜2万の領域にメインピークを有し、かつテトラヒドロフラン可溶分中の分子量が1万以下の成分の割合が50質量%以上であることから、本発明によれば、定着性、高温オフセット性に優れ、高温高湿環境下に放置後の画像濃度の低下や、低印字率プリント時のチャージアップ現象による画像濃度の低下を防止し、かつ、端部オフセットや尾引きを起こさないトナーを提供することができる。
 本発明では、ポリエステル樹脂は、テトラヒドロフラン可溶分のメインピーク分子量が3000〜2万であり、0〜3質量%のテトラヒドロフラン不溶分を有する低分子量ポリエステル成分と、10〜60質量%のテトラヒドロフラン不溶分を有する架橋ポリエステル成分とを含有し、かつ架橋ポリエステル成分と低分子量ポリエステル成分の質量比が10:90〜90:10であると、疎水特性、定着性、高温オフセット性、及び現像性等の、トナーの各種特性のバランスを適切に制御する上でより一層効果的である。
 本発明では、190℃、10kg荷重における架橋ポリエステル成分のメルトインデックスが0.1〜10g/10minであると、現像性、定着性、高温オフセット性、及び端部オフセット性等の、トナーの各種特性を高める上でより一層効果的である。
 本発明では、架橋ポリエステル成分は、そのモノマー成分として、三価以上の多価カルボン酸と三価以上の多価アルコールとを含有していると、トナーの濡れ性を適切に制御し、端部オフセットやチャージアップを抑制する上でより効果的であり、三価以上の多価アルコールはノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルであり、三価以上の多価カルボン酸はトリメリット酸であると、より一層効果的である。
 本発明では、結着樹脂100質量部に対し0.1〜5質量部のアルミニウムの芳香族ヒドロキシカルボン酸化合物と、結着樹脂100質量部に対し0.1〜10質量部のモノアゾ鉄化合物とを含有すると、トナーのチャージアップを防止し、かつトナーの帯電の環境変動を小さくする上でより一層効果的である。
 本発明では、結着樹脂100質量部に対して30〜200質量部の磁性体を含有すると、前述した優れた効果を奏する磁性トナーを構成する上でより一層効果的である。
 電子写真装置を高速化させる場合、十分な定着性を確保する為に定着器の設定温度を高くする必要があるが、特に連続で両面印刷をするような、機内に熱のこもりやすいモードでプリントを行うと、機内の温度が非常に高くなる(機内昇温)。このため、機内の相対湿度が低くなり、乾燥した状態になる。その結果、トナー粒子表面に吸着する水分量が極端に少なくなるので、トナーの電荷がリークされにくくなり、トナーが過度に高い帯電をし易い状態になる。この状態で低印字率の画像出力を続けると、現像スリーブ上のトナーはわずかしか消費されずに長時間スリーブ上にとどまり、現像スリーブや現像ブレードとの摩擦機会が多くなる為、トナーの帯電が高くなりすぎ、画像濃度が低くなるチャージアップと呼ばれる問題が発生する。
 またこの問題とは別に、定着温度を高く設定することによって、端部オフセットと呼ばれる問題も発生しやすくなる。これについて説明すると、小サイズ紙(例えば葉書)を連続で通紙した場合、定着器中央付近の通紙される定着ニップ部は紙に熱を奪われるので大きな昇温はしないが、定着器端部の非通紙部は紙に熱を奪われない為に蓄熱し、定着ニップ部の温度が非常に高くなる。この状態で普通サイズ紙(例えばA4)を通紙すると、紙の端部のみがオフセットするという問題(端部オフセット)が起こる。
 これは、単純に熱によってトナーの粘度が低くなりすぎて紙からトナーがはがされて発生する高温オフセット現象とは異なり、過熱されたニップ部で紙に含まれている水分が瞬間的に蒸発し、紙上に現像されているトナー像を紙から浮き上がらせてしまう為に、紙とトナーとの接着性が悪くなり、加熱ローラ側にトナーが転移して起こる現象である。特にフィルム加熱方式による定着装置を高速化した場合には、加圧力を熱ロール方式ほど高く設定することができず、紙にトナーを押圧する力が小さい為に、この端部オフセットの問題がより顕著となりやすい。
 このように、端部オフセットの発生メカニズムは、高温状態の定着器によって引き起こされるものである為、トナーは、十分な高温オフセット性を有した上で、さらに、端部オフセット性の問題点を改善する為の物性を有することが必要である。つまり、端部オフセットは高温オフセットと異なる為、通常高温オフセットの問題点の改善に用いられる手法のように、トナーの溶融粘度や弾性を大きくしたり、ワックスのような離型成分を含有させたりするだけでは、端部オフセットに対する改善の効果は不十分である。
 これら画像形成装置本体の高速化に伴い発生するチャージアップや端部オフセットの問題点を改善する為に、本発明者らが鋭意検討した結果、ポリエステル樹脂を含有するトナーの、メタノール及び水の混合溶媒に対する濡れ性、トナーのメルトインデックス(以下、「MI」とも記載する)、トナーのテトラヒドロフラン(以下、「THF」とも記載する)不溶有機成分量、及びトナー中のTHF可溶分の分子量分布を制御することで前述した問題点を解決できることが分かった。
 メタノール及び水の混合溶媒に対するトナーの濡れ性は、トナー表面の疎水化度を示すパラメーターであり、メタノール比率が高くなるまで濡れないもの程疎水性が高く、メタノール比率が低くても濡れてしまうものは疎水性が低いことを示す。
 チャージアップや端部オフセットに対しては、ポリエステルを含有するトナーのメタノール及び水の混合溶媒に対する濡れ性を780nmの波長の光の透過率で測定した場合、透過率が80%のときのメタノール濃度が45〜65体積%であり、透過率が10%のときのメタノール濃度が45〜65体積%の場合に効果を発揮する。
 ポリエステル樹脂は、全ての分子末端に酸基、あるいは水酸基を持つため、紙との親和性が高く、トナーが紙に強く付着する為、紙から蒸気が発生してもトナーを紙から浮き上がりにくくする効果があり、端部オフセットを抑制する。また、ポリエステル樹脂を含有するトナーのメタノール及び水の混合溶媒に対する濡れ性を上記範囲に設定することで、トナーの疎水化度が適正な範囲に制御され、紙との親和性をさらに高めることができ、端部オフセットの問題点を飛躍的に改善する効果がある。
 また、トナーの疎水化度を過度に大きくせず、適正な範囲に制御することで、機内昇温により湿度が低下した場合でも、トナー粒子表面に存在するポリエステル樹脂が適度に水分を吸着することが可能になる為、トナーの過剰な帯電をリークすることができ、チャージアップを抑制する。
 一方、トナーの疎水化度を下げすぎるとトナーが吸湿しやすくなり、高湿環境に放置すると帯電量が低くなりすぎて画像濃度が低くなるという問題が起こるので、端部オフセットやチャージアップ防止の為に疎水化度を下げすぎることも好ましくない。
 つまり本発明は、適切な範囲にトナーの疎水化度を制御するという点で、単にトナーの疎水化度を高くすることを目的とするような従来の技術とは異なっている。
 トナーのメタノール及び水の混合溶媒に対する濡れ性を780nmの波長の光の透過率で測定した場合、透過率が80%のときのメタノール濃度が65体積%を超えたり、透過率が10%のときのメタノール濃度が65体積%を超えたりする場合には、トナーの疎水化度が高すぎ、トナーと紙の親和性が低下して端部オフセットが悪化する上に、チャージアップによる画像濃度の低下も起こりやすい。
 トナーのメタノール及び水の混合溶媒に対する濡れ性を780nmの波長の光の透過率で測定した場合、透過率が80%のときのメタノール濃度が45体積%未満、あるいは透過率が10%のときのメタノール濃度が45体積%未満である場合、トナーの疎水性が低くなりすぎるので、高湿環境にトナーを放置すると、トナーが吸湿して帯電を持ちにくくなり、画像濃度の低下が発生しやすい。
 なお本発明では、前述した効果をより高める観点から、メタノール及び水の混合溶媒に対するトナーの濡れ性を780nmの波長の光の透過率で測定した場合、透過率が80%のときのメタノール濃度が50体積%以上65体積%未満の範囲内であり、かつ透過率が10%のときのメタノール濃度が50体積%以上65体積%未満の範囲内であることが好ましく、さらには、透過率が80%のときのメタノール濃度が55〜64体積%であり、透過率が10%のときのメタノール濃度が60体積%以上65体積%未満であることがより好ましい。
 本発明のトナーは、125℃、5kg荷重のMIが0.1〜10g/10minであり、テトラヒドロフラン(THF)不溶分を結着樹脂に対して5〜40質量%含有し、トナーのTHF可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したクロマトグラムにおいて、分子量3000〜2万の領域にメインピークを有し、かつTHF可溶分中の分子量が1万以下の成分の割合が50質量%以上である。
 トナーのメタノール及び水の混合溶媒に対する濡れ性を制御する為には、トナー粒子表面の状態、特にワックスや着色剤等のトナー粒子表面への露出状態を精密に制御する必要がある。トナーのMI、THF不溶分量、GPCクロマトグラムを上記範囲にすることで、溶融混練工程で原材料を微分散させるのに適したトナーの溶融粘度となる為、トナー粒子表面への材料の露出状態が均一になり、トナーのメタノール及び水の混合溶媒に対する濡れ性を制御しやすくなる。また同時に定着性や帯電性の面からも、好適な特性が得られるようになる。
 本発明においては、前記透過率及びメタノール濃度の関係、すなわちトナーの濡れ性、すなわちトナーの疎水特性は、メタノール滴下透過率曲線を用いて測定する。具体的には、その測定装置として、例えば(株)レスカ社製の粉体濡れ性試験機WET−100Pが挙げられ、具体的な測定操作としては、以下に例示する方法が挙げられる。
 まず、メタノール40体積%と水60体積%とからなる含水メタノール液70mlを容器中に入れ、その測定用サンプル中の気泡等を除去するために超音波分散器で5分間分散を行う。この中に検体であるトナーを0.5g精秤して添加し、トナーの疎水特性を測定するためのサンプル液を調製する。
 次に、この測定用サンプル液を6.67s−1の速さ(マグネティックスターラーの回転速度)で攪拌しながら、メタノールを1.3ml/min.の滴下速度で連続的に添加し、波長780nmの光で透過率を測定し、図1に示したようなメタノール滴下透過率曲線を作成する。この際にメタノールを滴定溶媒としたのは、トナー粒子に含有される染料、顔料、荷電制御剤等の様々なトナー材料が溶出するおそれが少なく、トナーの表面状態がより正確に観察できるためである。尚、この測定において、容器としては、底面の直径5cmの円筒形で、厚さ1.75mmのガラス製のビーカーを用い、マグネティックスターラーとしては、長さ25mm、最大径8mmの紡錘形でありフッ素樹脂でコーティングを施されたものを用いた。
 トナーが、メタノール濃度40体積%未満で濡れる場合は、混合溶媒中にトナーを添加し、攪拌しただけで波長780nmの光での透過率が急激に低下し0%に近づいてしまう。
 上記トナーの濡れ性は、トナー粒子表面におけるトナー材料の露出状態を均一にすることで達成され、各材料のトナー中での分散性の制御によって適宜調整することができる。特に本発明では、ポリエステル樹脂、ワックス、及び着色剤の組み合せを考慮することで、トナーの濡れ性を精度よくコントロールすることができる。
 トナーと紙との親和性を高めて端部オフセットを改善したり、チャージアップ現象を抑止したりするのにはポリエステル樹脂が有利であることは既に述べたが、特に端部オフセットの改善には、ポリエステル樹脂と、酸基や水酸基などの極性基を持たない非極性ワックスを組み合わせることが好ましく、特にパラフィンワックスやポリオレフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスを組み合わせることがより好ましい。
 極性が小さいこれらのワックスは、ポリエステル樹脂との極性の差が大きいので、定着時の熱でトナーが溶融した際のワックスの相分離速度が大きく、トナー粒子表面にワックスが瞬時に染み出して、トナーの紙への接着力を強めるので好ましい。
 しかし、ポリエステル樹脂との極性差の大きいワックスをトナー粒子中に均一に分散させるには、ワックスが溶けて再凝集しないような製造条件を選ぶ必要があり、トナーの混練温度を低温に設定し、強い力をかけて樹脂中にワックスを分散させ、更に混練物の温度を低く保つことが重要である。
 これに対して、磁性体等の着色剤のように、トナー粒子中に粒子状態で分散される成分を均一に分散させる為には、混練温度を高温に設定して、樹脂が溶融して軟らかくなった状態で混練する条件が好ましい。特にTHF不溶分のような、硬い成分を含む結着樹脂を用いる場合には、結着樹脂を高温で軟らかくして混練することで、磁性体等の着色剤を均一に分散させやすい。
 このように、ポリエステル樹脂に極性の低いワックスを均一に分散させ易いのは低温混練であり、磁性体等の着色剤を均一に分散させ易いのは高温混練であるために、好ましい混練条件が全く異なるので、ポリエステル樹脂を使ったトナー粒子中に均一にワックスと磁性体等の着色剤を分散させることは非常に難しく、それぞれの材料の物性を考慮して組み合わせる必要がある。
 本発明者らは、着色剤として磁性体を用いる場合において、ポリエステル樹脂に非極性或いは極性の低いワックスと磁性体を均一に近い状態で分散させるためには、ワックスの溶解度パラメーター(SP値)と、磁性体のゼータ電位から求められる等電点を管理することが重要であることを見出した。
 具体的には、ポリエステル樹脂に非極性ワックスと磁性体を均一に近い状態で分散させるためには、SP値が9以下(好ましくは7〜9)の炭化水素ワックスと、等電点がpH=5〜9(好ましくは6〜8)の範囲にある磁性体を組み合わせて使用することが好ましい。ポリエステル樹脂は分子構造に酸性基を多く有するために、ポリエステル樹脂中に存在する磁性体は、混練時に酸性環境に置かれる。等電点が上記範囲にある磁性体は、混練時に正のゼータ電位を持ち、ポリエステル樹脂の極性を局部的に弱める働きをするため、ポリエステル樹脂とワックスとの極性の差が小さくなり、ワックスの分散性を大幅に向上させる働きをする。
 その結果、混練条件を磁性体の分散に有利な条件に設定することが可能になり、ワックスと磁性体の分散を高いレベルで両立させることができるので、トナー粒子表面に各トナー材料を均一に近い状態で露出させることができ、端部オフセットやチャージアップ、放置後濃度薄を抑制するのに最適な濡れ性を持つトナーを得ることが可能になる。また、混練温度を磁性体の分散に有利な高い温度に設定できることで、アルミニウムの芳香族ヒドロキシカルボン酸化合物をトナー粒子に含有させた際に、混練による熱架橋反応が進みやすくなり、トナーに適正な量のTHF不溶分を持たせることも可能になる。
 トナーの製造法の一つとして、本発明においては、図2、図3及び図4に示したような機械式粉砕機を用いることが、粉体原料の粉砕処理及び表面処理を行うことができるので効率向上が図られ、好ましい。この粉砕機において、粉砕時の温度を調整し、結着樹脂の主成分としてポリエステル樹脂、SP値が9以下のワックス、等電点がpH=5〜9の磁性体を用い、上記トナーのMI、THF不溶分量、GPCクロマトグラムを満足することで、トナーの表面状態をより精密に制御できる。
 以下、図2、図3及び図4に示した機械式粉砕機について説明する。図2は、本発明において使用される機械式粉砕機の一例の概略断面図を示しており、図3は図2におけるD−D’面での概略的断面図を示しており、図4は図2に示す回転子314の斜視図を示している。
 前記機械式粉砕機は、図2に示されているように、ケーシング313、ジャケット316、ディストリビュータ220、ケーシング313内にあって中心回転軸312に取り付けられた回転体からなり高速回転する表面に多数の溝が設けられている回転子314、回転子314の外周に一定間隔を保持して配置されている表面に多数の溝が設けられている固定子310、さらに、被処理原料を導入するための原料投入口311、処理後の粉体を排出する為の原料排出口302とを有する。尚、微粉砕物は、バグフィルター222、吸引ブロワー224及び捕集サイクロンを有する微粉回収装置によって回収される。
 通常、粉砕原料を機械式粉砕機で粉砕する際には機械式粉砕機の渦巻き室212の温度T1や後室320の温度T2の温度を制御し、結着樹脂のTg以下で粉砕を行い、表面改質を行わない方法を選択している。しかし、本発明のトナーを得るために、排出口302の温度を結着樹脂のTgから−25〜−5℃に設定し、実際の粉砕状態では結着樹脂のTgから−20〜±0℃の温度にすることで、トナー粒子表面に露出するもののうち、露出量が大きすぎるものは回転子や固定子表面に衝突した際の衝撃でトナー粒子内部に打ち込まれるように粉砕を行う。これにより、トナー表面での原材料の分布が均一となりやすく、本発明の特徴とする疎水特性をトナーに付与することができる。
 本発明のトナーは、125℃、5kg荷重のMIが0.1〜10g/10min(好ましくは0.1〜5g/10min)の範囲にあることが必要であり、この範囲にある場合、混練時の溶融物の粘度がワックスと磁性体を均一に分散させるのに適した状態になり、トナーの表面状態の制御が容易である上に、端部オフセット、高温オフセットに対しても優れた特性を示す。また、機械式粉砕機によるトナー粒子の表面処理も効果的に行われる為、トナーの濡れ性を制御しやすい。
 トナーのMIが0.1g/10minより小さい場合、混練時の溶融物の粘度が高すぎて特に磁性体の分散が悪化しやすく、トナー中に均一に分散させにくい。また、粉砕条件を上記設定で行ってもトナー粒子が硬すぎてトナーの表面処理がされにくく、本発明の特徴とする疎水特性を得られないことがある。トナーのMIが10g/10minより大きい場合には、混練時の溶融物の粘度が高すぎてワックスの分散が悪化したり、トナーの粘度が低すぎて高温オフセットが悪化することがある。さらに、端部オフセットが発生するような条件では高温オフセットも同時に発生してしまう傾向にあるので、10g/10minより大きい場合では、上記疎水特性を満足していても端部オフセットの問題点を改善することができないことがある。
 本発明のトナーは、テトラヒドロフラン(THF)不溶分を結着樹脂基準で5〜40質量%(好ましくは10〜30質量%)含有する。また本発明のトナーは、トナーのTHF可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したクロマトグラムにおいて、分子量3000〜2万の領域にメインピークを有し、かつ、THF可溶分中に分子量が1万以下の成分を50質量%以上含有することが必要である。
 なお、前記テトラヒドロフラン(THF)不溶分とは、トナー粒子中に含まれる成分のうち、THFに不溶な樹脂成分のことである。THFに不溶な成分で樹脂成分に該当しないトナー材料としては、例えばワックス、荷電制御剤、磁性体や顔料等の着色剤や、無機微粉体等の外添剤が挙げられる。これらの成分のトナー中における含有量は、含有量の算出や、灰分の測定等によって求められ、本発明におけるTHF不溶分とは区別される。
 本発明のトナーでは、5〜40質量%のTHF不溶分と、THF可溶分中に分子量が1万以下の成分を50質量%以上含有するため、溶融粘度の高い高分子量成分と溶融粘度の低い低分子量成分を所定量含むことになり、混練時の温度変動に対するトナーの溶融粘度の変化が小さくなり、一定の混練シェアを混練物に与えることができるので、ワックスや磁性体等の原材料の分散性が向上し、トナーの疎水特性を制御しやすくする。その結果、端部オフセットやチャージアップの問題点を改善できる。また、このような結着樹脂は分子量分布が広いため、優れた定着性と高温オフセット性を両立させることも可能となる。
 さらに本発明のトナーでは、メインピークのピークトップ分子量が3000〜2万の領域に存在することで、トナーの機械的な強度を強くすることができ、過粉砕が防止されるので、粉砕時のトナーの表面処理が適切に行われ、所望のトナーの疎水特性を得られる。
 トナーのTHF不溶分が5質量%より少ないと、混練時の溶融粘度が低くなりすぎ、ワックスの分散が悪化してトナーの疎水性を制御しにくくなったり、トナーの機械的強度が低下して、現像機内の負荷でトナーが劣化しやすくなったり、現像耐久性が悪化したりすることがある。トナーのTHF不溶分が40質量%より多いと混練時の負荷が大きく、材料分散性が悪化して所望の疎水特性を得られなくなったり、現像性が悪化したり、定着性を阻害したりすることがある。
 ピークトップ分子量が3000より小さいと、トナーの機械的強度が低下し、過粉砕が起こり易くなり、トナーのメタノール及び水の混合溶媒に対する濡れ性を制御しにくくなり、端部オフセットやチャージアップを防止できない上に、現像耐久性が低下することがある。ピークトップ分子量が2万より大きいと粉砕性が悪化し、所望の粒径のトナーが得られなくなったり、粉砕時の発熱量が大きくなりすぎてトナーの表面処理が適切に行われなくなったりすることがある。また、混練時の溶融粘度が高くなって着色剤の分散が悪化したり、定着性が悪化したりすることがある。
 また、THF可溶分中に含まれる分子量が1万以下の成分の含有量が50質量%よりも少ないと、混練物の溶融粘度が高くなり、着色剤の分散が悪化してトナーの疎水性を制御できなくなることがある。
 なお、トナーのMI、THF不溶分の含有量、GPCにおけるメインピーク領域、及びTHF可溶分の分子量が1万以下の成分の割合は、トナー粒子を構成する材料(例えば結着樹脂や荷電制御剤等)の種類や配合量、トナーの製造条件によって適宜調整される。
 本発明のトナーは、THF可溶分の重量平均分子量(Mw)が20万以上(好ましくは50万)であることが、トナーの機械的強度を高め、現像耐久性を向上させる上で好ましい。
 さらに本発明のトナーは、THF可溶分をGPCにより測定したクロマトグラムにおいて、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比、Mw/Mnが20以上(好ましくは50以上)、さらに好ましくはz平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)の比、Mz/Mwが30以上(より好ましくは50以上)であることが、より優れた定着性と高温オフセット性を得る上で好ましい。なお、前記各種平均分子量は、結着樹脂の重合度の調整や、使用するトナー材料の種類や配合量等によって適宜調整される。
 本発明のトナーは、ポリエステル樹脂を主成分として含む結着樹脂を含有するものであるが、その他の樹脂成分としては、ビニル系樹脂やハイブリッド樹脂などの公知の樹脂を含有していてもよい。本発明において、「ポリエステル樹脂を主成分として含む」とは、結着樹脂中の50質量%以上がポリエステル樹脂であるということを意味する。
 本発明で用いられるポリエステル樹脂は、THF可溶分のメインピーク分子量が3000〜2万であって且つTHF不溶分を0乃至3質量%含有する低分子量ポリエステル成分と、THF不溶分を10〜60質量%含有する架橋ポリエステル成分とを含有し、かつ架橋ポリエステル成分と低分子量ポリエステル成分の質量の比が10:90〜90:10であることが好ましい。前記質量の比は、30:70〜70:30であることがより好ましく、40:60〜60:40であることがさらに好ましい。
 このような比率で低分子量ポリエステル成分と架橋ポリエステル成分を混合することで、単一ポリエステル成分では達成の難しい分子量分布やTHF不溶分量を容易に得ることが可能となるので、ワックスや着色剤の分散をより制御し易くなり、疎水特性、定着性、高温オフセット性、現像性のバランスを取りやすくなる。これよりも低分子量ポリエステルの比率が多くなると、ワックスの分散性が悪化して所望の疎水特性が得られなくなったり、耐高温オフセット性や現像耐久性が悪化する可能性があり、少なくなると低温定着性が悪化したり、着色剤の分散が悪化する可能性がある。
 さらには、架橋ポリエステル成分は、そのモノマー成分として、三価以上の多価カルボン酸と三価以上の多価アルコールを含有していることが好ましい。
 三価以上の多価カルボン酸や多価アルコールは、主にポリエステルに架橋成分を持たせる為に使われるが、酸成分及びアルコール成分の両成分として、これらの三価以上の成分を用いることによって、酸価と水酸基価のバランスがとりやすく、トナーの濡れ性を制御しやすく、端部オフセットやチャージアップの問題点を改善しやすい。
 さらに本発明では、三価以上の多価アルコールがノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルであり、三価以上の多価カルボン酸はトリメリット酸であることが、定着性を悪化させずに高温オフセット性を高める上で好ましい。ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルを用いると、分子量が非常に大きくて架橋点と架橋点の間が長い(架橋点間分子量が大きくなり)、熱による分子運動の起こり易いフレキシブルな架橋体が生成される。このような架橋成分は低分子ポリエステル成分を分子内に取り込みやすく熱による軟化を起こしやすい。さらに分子量が非常に大きいので必要以上に粘度が低くならない。したがって、定着性を阻害せずに高温オフセット性を高める上でより好ましい。
 また、三価以上の多価カルボン酸としてトリメリット酸を用いると、アルミニウムの芳香族ヒドロキシカルボン酸化合物を含有させた際に、混練時の熱により熱架橋反応が起こりやすく、混練時の剪断により減少するトナーのTHF不溶分を補填することが可能になるので好ましい。
 本発明で用いられるポリエステル樹脂は、酸価が5〜40mgKOH/g、水酸基価が10〜50mgKOH/gであることが好ましい。酸価が5mgKOH/g未満であったり、水酸基価が10mgKOH/g未満であったりする場合には、トナーがメタノール及び水の混合溶媒に対して濡れ難くなり、疎水化度が高くなりやすく、端部オフセットやチャージアップが悪化する場合がある。酸価が40mgKOH/gより大きかったり、水酸基価が50mgKOH/gより大きかったりする場合には、トナーの疎水化度が低くなりやすく、高温高湿環境に放置後の画像濃度の低下が大きくなる可能性がある。また、前記酸価が高すぎると、磁性体の等電点を制御してもポリエステル樹脂の極性を弱める働きが十分でなくなり、ワックス分散を改良する効果が得られにくくなる。
 本発明で用いられる架橋ポリエステル成分は、190℃、10kg荷重でのMIが0.1〜10g/10min(好ましくは0.1〜5g/10min、さらに好ましくは0.3〜3g/10min)であることが、現像性、定着性、高温オフセット、端部オフセットを高いレベルで満足する上で好ましい。
 前記架橋ポリエステル成分のMIが0.1g/10minより小さい場合、架橋ポリエステル成分の溶融粘度が高すぎて、低分子量ポリエステル成分との粘度差が大きくなり、トナー化時の溶融混練で架橋ポリエステル成分と低分子量ポリエステル成分を均一に混合することが難しくなる。その結果、トナー粒子ごとの架橋ポリエステル成分と低分子量ポリエステル成分比率や、ワックスや着色剤等の原材料の分散状態が不均一になり易く、トナー粒子毎のメタノール及び水の混合溶媒に対する濡れ性のばらつきが大きくなり、透過率が80%のときと10%のときのメタノール濃度が45〜65体積%になるように制御することが難しくなる。その結果、濡れ性の不均一なトナー粒子が得られ易く、チャージアップや端部オフセットが悪化したり、定着性が悪化する場合がある。前記架橋ポリエステル成分のMIが10g/10minより大きい場合には、高温オフセットが悪化したり、混練時の溶融粘度が低くなりすぎてワックスの分散が悪化する場合がある。
 本発明に用いられるポリエステル樹脂を構成するモノマー成分を以下に示す。二価のアルコール成分としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、下記(A)式で表されるビスフェノール及びその誘導体;及び下記(B)式で示されるジオール類が挙げられる。
Figure 2004139071
Figure 2004139071
 二価の酸成分としては、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸の如きアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、又はその無水物、低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステルが挙げられる。
 また本発明では、前述したように、架橋成分として働く三価以上のアルコール成分と三価以上の酸成分を併用することが好ましいが、三価以上の多価アルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンが挙げられる。特に好ましい三価以上の多価アルコール成分として、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルが挙げられる。
 ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルは、ノボラック型フェノール樹脂と、分子中1個のエポキシ環を有する化合物とがエーテル結合した構造を有する。
 前記ノボラック型フェノール樹脂としては、例えばエンサイクロベディア・オブ・ポリマーサイエンス・アンド・テクノロジー(インターサイエンス・パブリッシャーズ)第10巻1頁のフエノリツク・レジンズの項に記載されるように、塩酸、リン酸、硫酸等の無機酸又はパラトルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸又は酢酸亜鉛等の金属塩を触媒としてフェノール類とアルデヒド類からの重縮合により製造されるものが挙げられる。
 前記フェノール類としては、フェノールや炭素数1〜35の炭化水素基及び/又はハロゲン基を1個以上置換基として有する置換フェノールが挙げられる。置換フェノールの具体例としては、クレゾール(オルト体、メタ体もしくはパラ体)、エチルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、フェニルフェノール、スチレン化フェノール、イソプロペニルフェノール、3−クロルフェノール、3−ブロムフェノール、3,5−キシレノール、2,4−キシレノール、2,6−キシレノール、3,5−ジクロルフェノール、2,4−ジクロルフェノール、3−クロル−5−メチルフェノール、ジクロルキシレノール、ジブロムキシレノール、2,4,5−トリクロルフェノール、6−フェニル−2−クロルフェノールが挙げられる。フェノール類は二種以上併用してもよい。
 これらの中ではフェノール及び炭化水素基で置換された置換フェノールが好ましく、その中でも特にフェノール、クレゾール、t−ブチルフェノール及びノニルフェノールが好ましい。フェノールとクレゾールは価格及びトナーの耐オフセット性を付与する点で好ましく、t−ブチルフェノール及びノニルフェノールに代表される、炭化水素基で置換された置換フェノールはトナーの帯電量の温度依存性を小さくする点で好ましい。
 前記アルデヒド類としては、例えばホルマリン(各種濃度のホルムアルデヒド溶液)、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ヘキサメチレンテトラミンが挙げられる。
 ノボラック型フェノール樹脂中のフェノール類の数平均の核体数は通常3〜60、好ましくは3〜20、さらに好ましくは4〜15である。また軟化点(JIS K 7231;環球法)は、通常40〜180℃、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは50〜130℃である。軟化点が40℃未満では常温でブロッキングし取り扱いが困難となる。また軟化点が180℃を超えるとポリエステル樹脂の製造過程でゲル化を引き起こすことがあり好ましくない。
 前記分子中1個のエポキシ環を有する化合物の具体例としては、例えばエチレンオキサイド(EO)、1,2−プロピレンオキサイド(PO)、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリンを挙げることができる。また炭素数1〜20の脂肪族一価アルコールもしくは一価フェノールのグリシジルエーテルも使用できる。これらの中ではEO及び/又はPOが好ましい。
 ノボラック型フェノール樹脂1モルに対する、分子中1個のエポキシ環を有する化合物の付加モル数は通常1〜30モル、好ましくは2〜15モル、さらに好ましくは2.5〜10モルであり、またノボラック型フェノール樹脂中のフェノール性水酸基1個に対する分子中1個のエポキシ環を有する化合物の平均付加モル数は通常0.1〜10モル、好ましくは0.1〜4モル、さらに好ましくは0.2〜2モルである。
 本発明で特に好ましく用いられるノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの構造を例示する。
Figure 2004139071
    (C)
(式中、Rはエチレン基又はプロピレン基であり、xは0以上の整数であり、y1〜y3は0以上の同一又は異なった整数であり、xが2以上であるとき、それぞれのy2は同じ値でも良いし異なる値でも良い。)
 ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの数平均分子量は通常300〜10000、好ましくは350〜5000、さらに好ましくは450〜3000である。数平均分子量が300未満ではトナーの耐オフセット性が不十分となることがあり、10000を超えるとポリエステル樹脂の製造過程でゲル化を引き起こすことがあり好ましくない。
 ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの水酸基価(アルコール性及びフェノール性水酸基の合計)は通常10〜550mgKOH/g、好ましくは50〜500mgKOH/g、さらに好ましくは100〜450mgKOH/gである。また、水酸基価のうち、フェノール性水酸基価は通常0〜500mgKOH/g、好ましくは0〜350mgKOH/g、さらに好ましくは5〜250mgKOH/gである。
 ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの製法を例示すると、必要により触媒(塩基性触媒又は酸性触媒)の存在下、ノボラック型フェノール樹脂に、分子中1個のエポキシ環を有する化合物を付加反応させることにより得られる。反応温度は通常20〜250℃、好ましくは70〜200℃であり、常圧下、又は加圧下、さらには減圧下においても行うことができる。また反応は溶媒(例えばキシレン、ジメチルホルムアミド等)あるいは他の二価アルコール類及び/又は他の三価以上のアルコール類の存在下で行うこともできる。
 また、本発明に用いられるポリエステル樹脂を構成するモノマー成分としての三価以上の多価カルボン酸成分としては、例えばピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル;下記式で表されるテトラカルボン酸等、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル等の多価カルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。なかでも、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸及びこれらの無水物、低級アルキルエステルが好ましい。
Figure 2004139071
 本発明に用いられるポリエステル樹脂中の成分割合については、アルコール成分としては、好ましくは40〜60mol%であり、より好ましくは45〜55mol%である。また酸成分としては、好ましくは60〜40mol%であり、より好ましくは55〜45mol%である。また三価以上の多価の成分は、総量で全成分中の5〜60mol%であることが好ましい。
 前記ポリエステル樹脂は、通常一般に知られている縮重合によって得られる。ポリエステル樹脂の重合反応は、通常触媒の存在下で150〜300℃、好ましくは170〜280℃程度の温度条件下で行われる。また反応は常圧下、減圧下、もしくは加圧下で行うことができるが、所定の反応率(例えば30〜90%程度)に到達後は反応系を200mmHg以下、好ましくは25mmHg以下、さらに好ましくは10mmHg以下に減圧し、反応を行うことが望ましい。
 上記触媒としては、通常ポリエステル化に用いられる触媒、例えばスズ、チタン、アンチモン、マンガン、ニッケル、亜鉛、鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、ゲルマニウム等の金属;及びこれら金属含有化合物(ジブチルスズオキサイド、オルソジブチルチタネート、テトラブチルチタネート、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸コバルト、酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン等)が挙げられる。反応物の性質(例えば酸価、軟化点等)が所定の値に到達した時点、あるいは反応機の攪拌トルク又は攪拌動力が所定の値に到達した時点で反応を停止させることによって得られるポリエステル樹脂の物性を調整することができる。
 さらに本発明のトナーは着色剤を含有するものであり、トナーの種類に応じて様々な種類の公知の着色剤を用いることができる。
 また、本発明のトナーは、磁性トナーであることが好ましく、磁性体の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して30〜200質量部(好ましくは50〜150質量部)含有することが好ましい。この場合、磁性体に着色剤の役割を兼ねさせることもできる。磁性体をトナー粒子中に均一に分散し、トナー表面に適度に磁性体を露出させることで、トナーの帯電を安定化させることができ、特にチャージアップ抑制に効果がある。
 本発明で特に好ましく用いられる磁性体として、ゼータ電位から求められる等電点がpH=5〜9(好ましくは6〜8)の範囲にあるものが挙げられる。磁性体の等電点がこの範囲にあると、酸性領域での磁性体のゼータ電位がプラスの値を示すので、酸価を有するポリエステル樹脂と溶融混合されると、混練物中において磁性体はプラスの電位を持ち易い。その結果、磁性体の近傍に存在するポリエステル樹脂の極性が局所的に弱められ、ポリエステル樹脂との極性の差の大きなワックスであっても分散しやすくなり、また混練条件を磁性体の分散に有利な条件に設定することができる。
 等電点がpH=5より小さいと、酸性領域での磁性体のゼータ電位が小さくなったり、マイナスになったりして、ポリエステル樹脂の極性を弱める働きが少なくなって、ワックスの分散が悪化する場合がある。等電点がpH=9より大きいと磁性体の吸湿性が高くなり、トナーの疎水性が低くなったり、高湿環境に放置後の濃度低下が大きくなったりする場合がある。
 磁性体の等電点はゼータ電位より求められる。ゼータ電位は例えばDT−1200(ディスパージョンテクノロジー社製)で測定できる。磁性体を0.01mol/リットルのKNO溶液に5質量%の濃度で分散させて、ゼータ電位のpH変化のグラフを描き、グラフより等電点を算出する。なお、等電点とは、ゼータ電位が0になるときのpHの値である。
 本発明に用いられる磁性体としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金及びその混合物が用いられ、その磁性体表面あるいは内部に非鉄元素を含有するものが好ましい。
 本発明に用いられる磁性体には、異種元素を含有するマグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄及びその混合物が好ましく用いられる。中でもリチウム、ベリリウム、ボロン、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、錫、鉛、亜鉛、カルシウム、バリウム、スカンジウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、ニッケル、ガリウム、カドミウム、インジウム、銀、パラジウム、金、水銀、白金、タングステン、モリブデン、ニオブ、オスミウム、ストロンチウム、イットリウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ビスマスから選ばれる少なくとも一つ以上の元素を含有する磁性酸化鉄であることが好ましい。特にリチウム、ベリリウム、ボロン、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、ゲルマニウム、ジルコニウム、錫、第4周期の遷移金属元素が好ましい元素である。これらの元素は酸化鉄結晶格子の中に取り込まれても良いし、酸化物として酸化鉄中に取り込まれても良いし、表面に酸化物あるいは水酸化物として存在しても良いが、酸化物として含有されているのが好ましい形態である。
 特に、磁性酸化鉄表面にマグネシウム、銅、亜鉛及びチタンからなる群より選ばれるいずれか一種以上の元素と、シリコンとが存在しているものが好ましく、さらにはこのような磁性酸化鉄の最表面にアルミニウム元素が存在しているものが磁性体のゼータ電位を制御する上で好ましい。
 磁性酸化鉄の等電点は、pHなどの製造条件、添加金属元素の量、添加金属元素の磁性酸化鉄表面への露出具合など、磁性酸化鉄表面の組成や表面状態で調製できる。
 本発明に用いられる磁性酸化鉄は、シリコン元素を含む適当な塩、及び、マグネシウム、銅、亜鉛、チタンの四種のうちから選ばれるいずれか一種以上の元素を含む適当な塩を用い、通常の磁性酸化鉄を製造する際に反応系内のpHを適切に調整することで製造することが可能である。元素として亜鉛を用いる場合を例に、本発明に使用される磁性酸化鉄の製造法について以下に説明する。
 本発明に係る磁性酸化鉄は、第一鉄塩水溶液に所定量のZnの金属塩及びケイ酸塩等を添加した後に、鉄成分に対して当量以上の水酸化ナトリウムの如きアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHをpH7以上(好ましくはpH8乃至10)に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応を行い、磁性酸化鉄粒子の芯となる種晶をまず生成する。
 次に、種晶を含むスラリー状の液に、前に加えたアルカリの添加量を基準として第1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。その後、液のpHを6乃至10に維持しながら空気を吹き込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粒子を成長させる。このとき、酸化反応の進行をpHの調整と組み合わせて段階を追って進行させることで、例えば、反応初期はpHを9〜10に、反応中期にはpHを8〜9に、そして反応後期にはpHを6〜8にというように、酸化反応をpHにより段階的に進行させていくことで、磁性酸化鉄の表面の組成比をコントロールすることができ、磁性酸化鉄の等電点を制御しやすい。また、酸化反応がすすむにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは6未満にしないようにコントロールする。
 次いで、アルミニウム元素を最表面に存在させる為に、アルミ水酸化物で処理する場合は、該ケイ素元素を含有する磁性酸化鉄粒子が生成しているアルカリ性懸濁液中に水可溶性アルミニウム塩を生成粒子に対してアルミ元素換算で0.01〜2.0質量%になるように添加した後、pHを6〜8の範囲に調整して、磁性酸化鉄表面にアルミ水酸化物として析出させる。次いでロ過、水洗、乾燥、解砕することにより、アルミ水酸化物を有する磁性酸化鉄を得る。更に、平滑度、比表面積を好ましい範囲に調整する方法として、ミックスマーラー又はらいかい機等を用いて圧縮、せん断及びへらなですることが好ましい。
 添加される鉄以外の金属塩としては、例えば硫酸塩、硝酸塩、塩化物が挙げられる。また、添加されるケイ酸塩としては、例えばケイ酸ナトリウム及びケイ酸カリウムが挙げられる。
 第一鉄塩としては、一般的に硫酸法チタン製造に副生する硫酸鉄、銅板の表面洗浄に伴って副生する硫酸鉄を利用することが可能であり、さらに塩化鉄等も利用することが可能である。
 水溶液法による磁性酸化鉄の製造方法では、一般に反応時の粘度の上昇を防ぐこと、及び、硫酸鉄の溶解度から、鉄の塩は、鉄濃度にして0.5乃至2mol/リットル程度で用いられる。なお硫酸鉄の濃度は、一般に薄いほど製品の粒度が細かくなる傾向を有する。反応に際しては、空気量が多い程、そして反応温度が低いほど微粒化しやすい。
 また、場合により、本発明のトナーに用いられる磁性体は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等で処理されていても良い。
 前述した磁性体以外で本発明のトナーに使用し得る着色剤としては、任意の適当な顔料又は染料が挙げられる。例えば顔料としてカーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー等が挙げられる。
 着色剤として、磁性体以外のものを用いる場合には、定着画像の光学濃度を維持するのに必要十分な量が用いられ、結着樹脂100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜10質量部の添加量が良い。また同様の目的で、さらに染料が用いられる。例えばアゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料等があり、結着樹脂100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは0.3〜10質量部の添加量が良い。
 本発明において、トナーには、帯電性をより安定させるために、荷電制御剤として金属化合物を結着樹脂100質量部に対し、0.1〜15質量部(より好ましくは0.1〜10質量部)トナー粒子中に配合(内添)、またはトナー粒子と混合(外添)することが好ましい。荷電制御剤によって、現像システムに応じた最適な荷電量コントロールが容易に可能となる。
 トナーを負荷電性に制御するものとしては、例えば、有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属化合物が挙げられる。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸、及びそれらの金属塩、それらの無水物、それらのエステル類、ビスフェノールのごときフェノール誘導体類が挙げられる。
 本発明のトナーには、必要に応じて正荷電性の荷電制御剤を用いることもできる。トナーを正荷電性に制御するものとしては、例えばニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変成物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。これらは単独で或いは二種類以上組み合わせて用いることができる。
 これらの中でも、トリフェニルメタン化合物、カウンターイオンがハロゲンでない四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。また、下記一般式(1)で表されるモノマーの単重合体、或いは、スチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの如き重合性モノマーとの共重合体を正荷電性制御剤として用いることができ、これらは、結着樹脂(全部又は一部)を構成し得る。
Figure 2004139071
 正荷電性の荷電制御剤として、特に下記一般式(2)で表される化合物が本発明の構成においては好ましい。
Figure 2004139071
 上述した荷電制御剤は微粒子状として用いることが好ましい。
 本発明では、混練時にポリエステル樹脂中の多価カルボン酸との間で架橋反応が起こり、THF不溶分を生成させることのできるアルミニウムの芳香族ヒドロキシカルボン酸化合物と、長期にわたる耐久において帯電性が安定しており、チャージアップや高湿環境に放置後の濃度低下に効果のある、モノアゾ鉄化合物とを併用して使用することが好ましい。この場合には、アルミニウムの芳香族ヒドロキシカルボン酸化合物は、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部用いられることが好ましく、モノアゾ鉄化合物は、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部用いられることが好ましい。
 本発明で好ましく用いられるヒドロキシカルボン酸(I)〜(III)及びアゾ化合物(IV)及び(V)の例を下記に示す。
Figure 2004139071
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 さらに上記ヒドロキシカルボン酸或いはアゾ化合物を用いた具体的金属化合物の例を下記に示す。
Figure 2004139071
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Figure 2004139071
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 本発明のトナーは、ワックスを含有する。本発明で用いられるワックスは、DSC(示差走査熱量計)で測定される昇温時の吸熱ピークにおいて最大吸熱ピークのピークトップ温度が70〜120℃(好ましくは90〜110℃)であることが好ましい。
 本発明に用いられるワックスには、例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;又は、それらのブロック共重合物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろうの如き植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろうの如き動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムの如き鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの如き脂肪族エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪族エステルを一部又は全部を脱酸化したものが挙げられる。
 さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、或いはさらに長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸の如き不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カウナビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、或いはさらに長鎖のアルキル基を有するアルキルアルコールの如き飽和アルコール;ソルビトールの如き多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪族アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪族ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
 また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は融液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましい。
 中でも好ましく用いられるワックスとしては、溶解度パラメーター(SP値)が9以下(好ましくは7〜9)の極性基を持たないワックスが挙げられる。SP値が9以下のワックスは、ポリエステル樹脂との極性の差が非常に大きく、相分離しやすい為、定着時の熱でトナーが溶融した際に素早くトナー粒子表面に染み出し、端部オフセットの抑止や定着性の改良に効果を発揮する。SP値が9より大きいと樹脂との極性差が小さくなり、ワックスが相分離し難くなり、端部オフセットや定着性を改良できなかったり、高温オフセットが悪化したりすることがある。また、SP値が7未満であると、磁性体の等電点を制御してもワックスの分散性が低下してしまう傾向がある。
 好ましく用いられるワックスとしては、例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンなどのポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスがあり、特に好ましくは低分子量ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックスが挙げられる。
 ワックスの溶解度パラメーター(SP)値は、原子団の加成性を利用したFedorsの方法〔Polym.Eng.Sci.,14(2)147(1974)〕を用いて算出する方法が挙げられる。
 これらのワックスは、結着樹脂100質量部に対して1〜10質量部含有されていることが好ましく、特に、ポリエステル樹脂重合時にモノマーと一緒に反応槽に仕込むか、樹脂重合終了後、取り出し前の反応槽に温度がかかっている状態で添加して攪拌し、樹脂に分散させることが、結着樹脂中にワックスを均一に分散する上で好ましい。
 また、本発明のトナーは、Carrの噴流性指数が80より大きく、Carrの流動性指数が60より大きいことが好ましい。
 噴流性指数が80よりも大きい値を示すような、噴流性の良いトナーであれば、撹拌部材の一部に極端な力がかかることに起因したトナーの付着や画像白抜け等が生じず、例えばカートリッジ使用初期からトナーがなくなるまで安定してトナーを撹拌でき、良好な現像性を与えることができる。さらに高温多湿環境で保存しても凝集しにくく、その後プリンターで画像を出しても良好な画像が得られる。
 また、流動性指数が60よりも大きい場合、高温多湿環境での長期耐久においてもトナーの供給量を一定にでき、画像濃度の低下が抑制された安定した画像特性を得ることが可能となる。
 また、噴流性指数と流動性指数を上記の値より大きくすることで、トナー流動性がよくなり、トナーが密に詰まりやすくなる。その結果、定着時のトナー同士の熱伝導性がよくなるため、より良い定着性が得られる。
 噴流性指数が80以下の場合、高い流動性は得られても、一度詰まってしまうと力を加えてもなかなか流動しにくいため、撹拌部材でトナーを搬送しようとしても、なかなか搬送されず、その結果、例えばカートリッジ内において、トナーがスリーブまで搬送されにくく、スリーブ上に不均一にトナーが載った状態で帯電されるため、トナーの帯電も不均一になり画像にムラが生じる傾向にある。
 さらに、噴流性指数が80以下で流動性指数が60以下の場合、トナー同士が凝集しやすく、また流動しにくい傾向にあり、例えばカートリッジ内のトナー収容部から隣の収容部へトナーが搬送されにくい。そのため、トナーが搬送されずに画像白抜け等を起こしたり、スリーブ上で適正量のトナーが存在せず、スリーブ上へのトナーの載り量が低くなり、結果として、スリーブゴーストを起こしたり、また、スリーブに担持されたトナーのトリボの高くなり過ぎ、カブリが生じる傾向にある。
 上記の噴流性指数、流動性指数は、流動性向上剤等の外添剤の種類と量を十分に調整することによって、調整することができる。トナーの外添処方を吟味することで、各外添剤の存在状態が変化し、ゆえにトナーの粉体特性が変わり、噴流性指数を変化させることができるからである。
 流動性向上剤は、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものであり、通常、トナーと同極性に帯電するものが用いられる。このような流動性向上剤としては、例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフウルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ;酸化亜鉛、酸化スズの如き酸化物;チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウムやジルコン酸カルシウムの如き複酸化物;炭酸カルシウム及び、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩化合物等が挙げられる。
 好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉末であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のようなものである。
  SiCl+2H+O→SiO+4HCl
 この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、シリカとしてはそれらも包含する。その粒径は、平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内であることが好ましく、特に0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用することのが好ましい。
 ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えばAEROSIL(日本アエロジル社)130、200、300、380、TT600、MOX170、MOX80、COK84、Ca−O−SiL(CABOTCo.社)M−5、MS−7、MS−75、HS−5、EH−5、WackerHDKN20(WACKER−CHEMIEGMBH社)V15、N20E、T30、T40、D−CFineSilica(ダウコーニングCo.社)、Fransol(Fransil社)等の商品名で市販されているものがあり、本発明ではこれらも好適に用いることができる。
 本発明に用いられる流動性向上剤としては、前記ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。前記処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。
 疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応或いは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
 前記有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルフェニルジクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ブロモメチルジメチルクロロシラン、α−クロロエチルトリクロロシラン、β−クロロエチルトリクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当たり2〜12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサンの如きシランカップリング剤が挙げられる。さらに、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルの如きシリコーンオイルが挙げられる。これらは一種或いは二種以上の混合物で用いられる。また、シリコーンワニスを処理剤として用いることもでき、例えば、信越シリコーン社製のKR−251、KP−112等を用いることができる。
 さらに、シリカ微粉体は、シランカップリング剤と、シリコーンオイル又はシリコーンワニスとの両者を組み合わせて処理することが好ましい。その中での好ましい処理形態としては、まず、シランカップリング剤で処理した後、シリコーンオイル又はシリコーンワニスで処理することが挙げられる。その中でも特に、ヘキサメチルジシラザンで処理した後、ジメチルシリコーンオイルで処理する形態が好ましい。
 前記流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m/g以上のものが好ましく、より好ましくは50m/g以上、更に好ましくは70〜150m/gのものが良好な結果を与える。トナー粒子100質量部に対して流動性向上剤を0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜4質量部、より好ましくは0.5〜3質量部使用することが良い。
 上記の噴流性・流動性を達成する具体的な構成としては、例えば、上記した如き流動性向上剤としての疎水性シリカ微粉体(トナーと同極性に帯電)とトナーと同極性に帯電する微粒子凝集体と用いる構成、更に第3の外添剤としてトナーとは逆極性に帯電する樹脂微粒子を加える構成、更に第4の外添剤として金属酸化物を加える構成が例示される。
 本発明に用いられる微粒子凝集体は、微粒子とシリコーンオイル又はシリコーンワニスとから成り、シリコーンオイル又はシリコーンワニスの存在量が微粒子凝集体全体に対して総量で20〜90質量%と多量に含む。
 前記微粒子としては、無機化合物の微粒子及び有機化合物の微粒子のいずれか一方又は両方が使用される。前記有機化合物としては、例えばスチレン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂粒子脂肪族系化合物等が挙げられる。
 また前記無機化合物としては、例えばSiO、GeO、TiO、SnO、Al、B、P、As等の酸化物;ケイ酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、ゲルマン酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノホウ酸塩、アルミノホウケイ酸塩、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、テルル酸塩等の金属酸化物塩;及びこれらの複合化合物;炭化ケイ素、窒化ケイ素、アモルファスカーボン;等が挙げられる。これらは単独あるいは複数種を混合して用いる。前記無機化合物としては、乾式法及び湿式法で製造した無機化合物微粉体が使用できる。
 前記微粒子凝集体に含まれるシリコーンオイル及びシリコーンワニスには、上述したような一般的なものが使用できる。
 前記微粒子凝集体は、上述の如く、シリコーンオイル又はシリコーンワニスの如き離型性の良好な物質を20質量%〜90質量%と比較的多量に含んでおり、それがトナーと静電潜像担持体表面との離型性の向上に働く。シリコーンオイル又はシリコーンワニスの量が20質量%未満の場合、環境安定性に欠けやすく、一方90質量%を超える場合は、シリコーンオイル又はシリコーンワニスを微粒子に保持しにくくなり、過剰のシリコーンオイル又はシリコーンワニスがトナー粒子を凝集させ、画質の劣化を起こし易くなる。微粒子凝集体におけるシリコーンオイル又はシリコーンワニスの量は、好ましくは27〜85質量%であり、さらに好ましくは40〜80質量%である。
 前記シリコーンオイル又はシリコーンワニスのうち、シリコーンオイルは、シリコーンワニスよりも静電潜像担持体表面に塗布され易いので好ましい。またシリコーンオイルにはアルコキシ基は含まれないことが、中抜けの効果の点において好ましい。
 また、そのシリコーンオイル又はシリコーンワニスは、微粒子とともに粒子状に成形され安定に粒子として保持されており、トナーの保存中にシリコーンオイル又はシリコーンワニスによってトナーが凝集することがなく、ガサツキ、トビチリ等のない良好な画質の画像を得る上で大きく寄与している。
 また前記微粒子凝集体は、前記疎水性シリカで使用される疎水化処理剤と同様の化合物を多量に含むことから、帯電特性が前記疎水性シリカと同極性になり、前述したように前記疎水性シリカと電気的に反発しあい、トナー粒子表面における疎水性シリカの均一分散に寄与している。
 微粒子凝集体のBET比表面積は、0.01〜50m/g(より好ましくは0.05〜30m/g)であることが好ましい。微粒子凝集体のBET比表面積が0.01m/g未満では、画質が劣化する傾向にあり、50m/gよりも大きい場合はシリコーンオイル又はシリコーンワニスが粒子として保持しにくく、トナーの凝集を引き起こし、画質の劣化が起こりやすい。
 前記微粒子凝集体の添加量は、トナー粒子100質量部に対し0.01〜3.0質量部であることが好ましい。微粒子凝集体の添加量が0.01質量部未満だと前記疎水性シリカ微粉体の分散が悪くなり、3.0質量部よりも多くなるとチャージアップを生じやすい。
 本発明に用いられる樹脂微粒子は、トナーとは逆極性に帯電する樹脂で構成さされる微粒子である。前記樹脂微粒子は、トナーとは逆極性に帯電する樹脂であれば特に限定されないが、本発明のトナーは、結着樹脂にポリエステル樹脂が用いられることから、通常は負帯電性であり、このような帯電特性から、樹脂微粒子の樹脂には、通常、メラミン系樹脂が用いられる。このようなメラミン系樹脂としては、例えばメラミンとホルムアルデヒドの縮合により生成されたものを、脂肪族アルコールでエーテル化したもの、あるいはこのメラミン樹脂をパラトルエンスルホンアミド等で変性したもの等が好ましくは挙げられるが、これに限定されるものではない。
 前記樹脂微粒子のBET比表面積は、5.0〜70m/g(より好ましくは10〜40m/g)であることが好ましい。樹脂微粒子のBET比表面積が5.0m/gよりも小さい場合、遊離した微粒子凝集体を吸着する量が減少し好ましくない。70m/gよりも大きい場合には、金属酸化物による静電潜像担持体の削れを十分に緩和することが困難となる。
 前記樹脂微粒子の添加量は、トナー粒子100質量部に対し0.005〜0.5質量部であることが好ましい。樹脂微粒子の添加量が0.005質量部未満だと金属酸化物の研磨力をバランス良く緩和できなくなり、0.5質量部よりも多い場合にはクリーニング不良が生じ帯電ローラ汚れが顕著となることがある。
 本発明に用いられる金属酸化物には、各種の金属酸化物を用いることができる。前記金属酸化物は、トナーとは逆極性に帯電するものが好ましい。前記金属酸化物としては、例えばマグネシウム、亜鉛、アルミニウム、コバルト、ジルコニウム、マンガン、セリウム、ストロンチウム等の酸化物、及びチタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複合金属酸化物が挙げられる。中でも静電潜像担持体への研磨性及びトナーの帯電性から、チタン酸ストロンチウム及び酸化セリウムが最も好ましい。
 金属酸化物のBET比表面積は、0.5〜10.0m/g(より好ましくは1〜10m/g)であることが好ましい。前記金属酸化物のBET比表面積が0.5m/gよりも小さいと静電潜像担持体表面や現像剤担持体(スリーブ)の削れが顕著となり好ましくない。10.0m/gよりも大きいと静電潜像担持体表面の付着物を除去できなかったり、クリーニング部材をすり抜けて画像欠陥につながったりする場合がある。
 前記金属酸化物の添加量は、トナー粒子100質量部に対し0.05〜5.0質量部(より好ましくは0.05〜2.0質量部)であることが好ましい。金属酸化物の添加量が0.05質量部未満であると静電潜像担持体への研磨力が不十分となる傾向にあり、5.0質量部よりも多いと静電潜像担持体が必要以上にしかも不均一に削れ、さらにトナー流動性を低下させてしまうことがある。
 また本発明では、前述した四種の外添剤全てを添加すると、個々のトナー粒子表面上で四種の外添剤が電気的なバランスによって均一に存在するため、帯電量を長期にわたり安定させ、高速での現像システムにおいても尾引き等の問題の発生を防止する上でより好ましい。
 本発明に用いられる外添剤の種類とその組み合せとの効果を以下にまとめる。
・疎水性シリカは流動性を向上させ、高湿環境でも吸湿することなく安定的な現像性能を示す。さらにドラム上に付着した不純物を削り取り、この不純物が再びドラム表面に付着するのを防ぐ。
・疎水性シリカに同極性の微粒子凝集体を加えることで、外添剤同士において電気的な反発力が生じ、疎水性シリカの凝集を押さえ、トナー表面上で疎水性シリカを均一に分散させる効果がある。さらにはドラム上の微細な不純物を削り取る効果も有する。
・上記負極性粒子に正極性に帯電した金属酸化物を加えることで、帯電性が安定し、さらにはドラム上の強く固着したような不純物を削り取り、高温高湿環境においても画像流れやドラム融着等のない安定した画像を提供する。
・さらにこれらに正極性に帯電した樹脂微粒子を加えることで、帯電性がさらに安定し、高速での現像システムにおいても尾引き等のない高画質な画像を提供できる。
 本稿で記載の流動性指数及び噴流性指数の測定については、特公昭51−14278号公報に詳しく記載されており、特に限定されないが、本発明では以下の方法で測定する。
 すなわちパウダテスターP−100(ホソカワミクロン社製)を使用し、安息角、崩潰角、差角、圧縮度、凝集度、スパチュラ角、分散度の各パラメーターを測定する。それぞれについて求められた値を下記のCarrの流動性指数表、噴流性指数表(ChemicalEngineering.Jan.18.1965)に当てはめ、各25以下のそれぞれの指数に換算し、各パラメーターから求められた指数の合計を流動性指数・噴流性指数として算出する。
 以下に各パラメーターの測定方法の一例を示す。
 (1)安息角
 トナー150gを目開き710μmのメッシュに通し、直径8cmの円形テーブルの上にトナーを堆積させる。このとき、テーブルの端部からトナーがあふれる程度に堆積させる。このときのテーブル上に堆積したトナーの稜線と円形テーブル面との間に形成された角度をレーザー光で測定する。これを安息角とする。
 (2)圧縮度
 疎充填かさ密度(緩み見かけ比重、「A」とする)と、タッピングかさ密度(固め見かけ比重、「P」とする)から下記式により圧縮度を求めることができる。
  圧縮度(%)=100(P−A)/P
 緩み見かけ比重は、例えば直径5cm、高さ5.2cm、容量100mlのカップにトナー150gを静かに流し込み、測定用カップにトナーが山盛りに充填されたところで、トナー表面をすりきり、カップに充填されているトナーの量とカップの容量からカップに充填されているトナーの比重を算出することによって求められる。
 固め見かけ比重は、例えば緩み見かけ比重で使用した測定用カップに、付属のキャップを継ぎ足し、トナーをカップに充填し、カップを180回タップさせ、タッピングが終了した時点でキャップを外し、カップに山盛りになっている余分なトナーをすりきり、カップに充填されているトナーの量とカップの容量からカップに充填されているトナーの比重を算出することによって求められる。両見かけ比重値を上記式に挿入し、圧縮度を求める。
 (3)スパチュラ角
 10cm×15cmのバットの底に3cm×8cmのスパチュラが接するように置き、スパチュラの上にトナーを堆積させる。このとき、トナーがスパチュラの上に盛り上がるように堆積させる。その後、バットだけを静かに下ろし、スパチュラ上に残ったトナー側面の傾斜角をレーザー光により測定する。その後、スパチュラに取り付けたショッカーで一回衝撃を加えた後、再度スパチュラ角を測定する。この測定値と衝撃を与える前の測定値との平均をスパチュラ角とする。
 (4)凝集度
 振動台の上に、上から目開き250μm、150μm、75μmの順でふるいをセットする。振動振り幅を1mm、振動時間を20秒とし、トナー5gを静かにのせて振動させる。振動停止後、それぞれのふるいに残った重量を測定する。それぞれのふるいに残ったトナーの重量を下記式に当てはめ、各式よりa、b、及びcの各値を求める。a、b、及びcの総和を凝集度(%)とする。
a=(上段のふるいに残ったトナー量)÷5(g)×100
b=(中段のふるいに残ったトナー量)÷5(g)×100×0.6
c=(下段のふるいに残ったトナー量)÷5(g)×100×0.2
 (5)崩潰角
 安息角測定後、測定用円形テーブルを乗せているバットにショッカーで3回衝撃を加える。その後、テーブルに残ったトナーの角度をレーザー光を用いて測定する。これを崩潰角とする。
 (6)差角
 安息角と崩潰角の差を求める。これを差角とする。
 (7)分散度
 トナー10gを約60センチの高さから直径10cmのウォッチグラス上に一塊として落とす。そして、ウォッチグラス上に残ったトナーを測り、下記式により分散度を求める。
  分散度(%)=[10−(皿上に残ったトナー量)]×10
 上記(1)、(2)、(3)、及び(4)の各パラメーターにおける指数の総和((1)+(2)+(3)+(4))がCarrの流動性指数となる。また、このCarrの流動性指数、及び(5)、(6)、及び(7)の各パラメーターにおける指数の総和がCarrの噴流性指数となる。
Figure 2004139071
Figure 2004139071
 本発明のトナーは、一成分現像剤として用いることができ、またキャリアと混合して二成分現像剤として用いることもできる。二成分現像剤に用いる場合のキャリアとしては、従来知られているものがすべて使用可能であるが、具体的には、表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金又は酸化物等の、体積平均粒径20〜300μmの粒子が好ましくは使用される。
 また、それらキャリア粒子の表面に、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂等の物質を付着又は被覆させたもの等が好ましく使用される。
 本発明のトナーは、前述した物性等を備えるものであれば、その製造方法については特に限定されず、公知の種々の製造方法を採用し得る。本発明のトナーを製造する方法として一例を以下に示す。
 本発明のトナーを作製する方法としては、ポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂、ワックス及び着色剤を少なくとも含有する混合物が材料として用いられるが、必要に応じて磁性体や荷電制御剤、その他の添加剤等が用いられる。これらの材料をヘンシェルミキサー又はボールミルの如き混合機により十分混合してから、ロール、ニーダー及びエクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和及び混練して、樹脂類を互いに相溶せしめた中にワックスや磁性体を分散せしめ、冷却固化後、粉砕及び分級を行ってトナーを得ることができる。本発明のトナーの製造方法は、状況に応じて以下の公知の製造装置を用いることができる。
 トナー製造装置としては、例えば混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられ、混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)が挙げられる。
 粉砕機としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製)スーパーローター(日清エンジニアリング社製)が挙げられる。
 分級機としては、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラッシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボジェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げられる。
 粗粒等をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
 本発明のトナーは、その種類に応じて適切な構成を有する公知の画像形成装置を用い、画像形成に利用することができる。また、本発明のトナーを画像形成に用いる際、上述の如きトナーを有する現像装置と像担持体(感光ドラム等)、帯電部材、クリーニング部材等の構成要素のうち、複数のものを装置ユニットとして一体に結合してプロセスカートリッジを構成し、このプロセスカートリッジを装置本体に対して着脱可能に装着して使用するのも好ましい形態の一つである。例えば、帯電部材及び現像装置を感光ドラムとともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱可能な単一ユニットとし、装置本体のレール等の案内手段を用いて着脱可能に装着される構成にすることができる。
 本発明のトナーに係る各種物性の測定について以下に説明する。本発明では、トナー及び架橋ポリエステル成分のMI、トナー及び結着樹脂のTHF可溶分の分子量分布、THF不溶分の含有量、Tg(ガラス転移温度)、結着樹脂の酸価、水酸基価は、以下に示す方法によって測定することができる。
 (1)トナー及び架橋ポリエステル成分のMI測定法
 メルトインデックス(MI)は、JIS K 7210に記載されている如き構成を有する装置(メルトインデクサ荷重移動装置;宝工業(株))を用いて、下記測定条件下、手動切り取り法で測定を行う。この時、測定値は10分値に換算する。
測定温度:125℃(トナー)、190℃(架橋ポリエステル成分)
荷重:5kg(トナー)、10kg(架橋ポリエステル成分)
試料充填量:5〜10g
 (2)トナーのTHF可溶分の分子量の測定
 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
 40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流す。カラムとしては、10〜2×10の分子量領域を適確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合せや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合せを挙げることができるが、特に昭和電工社製のshodexKF−801、802、803、804、805、806、807の7連カラムの組み合せが好ましい。
 一方で、トナーをTHFに分散し溶解後、1晩静置した後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2〜0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製)などを使用できる。)で濾過し、その濾液を試料として用いる。試料濃度として樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整したトナーのTHF溶液を50〜200μl注入して測定する。なお、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
 試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、PressureChemicalCo.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。
 (3)THF不溶分量
 ポリエステル樹脂又はトナーを秤量し、円筒ろ紙(例えばNo.86Rサイズ28×10mm東洋ろ紙社製)に入れてソックスレー抽出器にかける。溶媒としてTHF200mlを用いて、16時間抽出する。このとき、THFの抽出サイクルが約4〜5分に1回になるような還流速度で抽出を行う。抽出終了後、円筒ろ紙を取り出し、秤量することによってポリエステル樹脂又はトナーの不溶分を得る。
 トナーが、磁性体又は顔料の如き樹脂成分以外のTHF不溶分を含有している場合、円筒ろ紙に入れたトナーの質量をWgとし、抽出されたTHF可溶樹脂成分の質量をWgとし、トナーに含まれている樹脂成分以外のTHF不溶成分の質量をWgとすると、トナー中の樹脂成分のTHF不溶分量は下記式から求められる。
  THF不溶分量(質量%)=[W−(W+W)]/(W−W)×100
 (4)ガラス転移温度の測定(Tg)の測定
 トナー及び結着樹脂のTgは、示差走査熱量計(DSC測定装置)、DSC−7(パーキンエルマー社製)、DSC2920(TAインスツルメンツジャパン社製)や他機種を用いて、ASTM D3418−82に準じて測定する。
 測定試科は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。この昇温過程で、温度40〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間の線と示差熱曲線との交点を、本発明におけるトナー及び結着樹脂のガラス転移温度(Tg)とする。
 (5)酸価の測定
下記1)〜5)の操作により求められる。基本操作はJIS K 0070に属する。
1)試料はあらかじめ結着樹脂(重合体成分)以外の添加物を除去して使用するか、試料の結着樹脂以外の成分の酸価を求めておく。トナー又は結着樹脂の粉砕品0.5〜2.0gを精秤する。このときの結着樹脂成分をWgとする。
2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1)の混合液150(ml)を加え溶解する。
3)0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定測定装置を用いて測定する。この滴定には、例えば、京都電子株式会社の電位差滴定測定装置AT−400(winworkstation)とABP−410電動ビュレットとを用いての自動滴定が利用できる。
4)この時のKOH溶液の使用量をS(ml)とする。同時にブランクを測定して、この時のKOHの使用量をB(ml)とする。
5)下記式により酸価を計算する。なお下記式中のfはKOHのファクターである。
  酸価(mgKOH/g)={(S−B)×f×5.61}/W
 (6)水酸基価の測定
 下記1)〜8)の操作により求められる。基本操作はJIS K 0070に準ずる。
1)試料はあらかじめ結着樹脂(重合体成分)以外の添加物を除去して使用するか、試料の結着樹脂以外の成分の含有量を求めておく。トナー又は結着樹脂の粉砕品0.5〜2.0gを200ml平底フラスコに精秤する。
2)これにアセチル化試薬(無水酢酸25gを全量フラスコ(100ml)に取り、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分攪拌する)を5mlを加える。なお試料が溶解しにくい場合は、少量のピリジンを追加するか、キシレン又はトルエンを加え溶解する。
3)フラスコの口に小さなロートを置き、温度95〜100℃のグリセリン浴中に底部約1cmを浸して加熱する。フラスコの首がグリセリン浴の熱を受けて温度が上がるのを防ぐために、中に丸い穴をあけた厚紙の円板をフラスコの首の付け根に被せる。
4)1時間後フラスコにグリセリン浴から取り出し、放冷後ロートから水1mlを加えて振り動かし無水酢酸を分解する。
5)さらに分解を完全にするため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱し、放冷後エタノール5mlでロート及びフラスコ壁を洗う。
6)フェノールフタレイン溶液数滴を指示薬として加え、0.5kmol/m水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときを終点とする。
7)樹脂を入れないで2)〜6)を空試験として行う。
8)下記式により水酸基価を計算する。
  A=[{(B−C)×28.05×f}/S]+D
(但し、Aは水酸基価(mgKOH/g)であり、Bは空試験に用いた0.5kmol/m水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)であり、Cは滴定に用いた0.5kmol/m水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)であり、fは0.5kmol/m水酸化カリウムエタノール溶液のファクターであり、Sは試料中に含まれる結着樹脂の量(g)であり、Dは試料の酸価である。なお式中「28.05」は水酸化カリウムの式量(56.11×1/2)である)。
 〔実施例〕
 以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。
 [結着樹脂製造例]
 (ポリエステル樹脂製造例1)
・テレフタル酸               25質量部
・無水トリメリット酸             3質量部
・式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基、x+yの平均値=2.2)                72質量部
 これらに触媒としてジブチルスズオキサイド0.5質量部を添加し、220℃で縮合重合して、THF不溶分を含まない低分子量ポリエステル樹脂L−1(Tg:56℃、THF不溶分:0質量%、Mn:4000、Mw:7600、ピーク分子量:9100、酸価:11mgKOH/g、水酸基価:34mgKOH/g)を得た。
 (ポリエステル樹脂製造例2)
・テレフタル酸                18質量部
・イソフタル酸                 3質量部
・無水トリメリット酸              7質量部
・式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基、x+yの平均値=2.2)                 70質量部
・式(C)で表されるノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル(R=エチレン基、xの平均値=2.6、y1〜y3の平均値=1.0)                   2質量部
 これらに触媒としてジブチルスズオキサイド0.5質量部を添加し、240℃で縮合重合して、架橋ポリエステル樹脂H−1(Tg:56℃、THF不溶分:37質量%、MI(190℃):1.1、Mn:5300、Mw:11万、ピーク分子量:8600、酸価:24mgKOH/g、水酸基価:21mgKOH/g)を得た。
 (ポリエステル樹脂製造例3)
・テレフタル酸                15質量部
・イソフタル酸                 4質量部
・無水トリメリット酸              9質量部
・式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基、x+yの平均値=2.2)                 70質量部
・式(C)で表されるノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル(R=エチレン基、xの平均値=2.6、y1〜y3の平均値=1.0)                   2質量部
 これらに触媒としてジブチルスズオキサイド0.5質量部を添加し、240℃で縮合重合して、架橋ポリエステル樹脂H−2(Tg:58℃、THF不溶分:49質量%、MI(190℃):0.2、Mn:5400、Mw:13万、ピーク分子量:9000、酸価:16mgKOH/g、水酸基価:15mgKOH/g)を得た。
 (ポリエステル樹脂製造例4)
・テレフタル酸                 21質量部
・イソフタル酸                  5質量部
・無水トリメリット酸               3質量部
・式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基、x+yの平均値=2.2)                  70質量部
・式(C)で表されるノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル(R=エチレン基、xの平均値=2.6、y1〜y3の平均値=1.0)                    1質量部
 これらに触媒としてジブチルスズオキサイド0.5質量部を添加し、240℃で縮合重合して、架橋ポリエステル樹脂H−3(Tg:55℃、THF不溶分:22質量%、MI(190℃):6.3、Mn:5100、Mw:10万、ピーク分子量:8200、酸価:35mgKOH/g、水酸基価:26mgKOH/g)を得た。
 (ポリエステル樹脂製造例5)
・テレフタル酸                  18質量部
・イソフタル酸                   5質量部
・無水トリメリット酸                5質量部
・式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基、x+yの平均値=2.2)                   70質量部
・式(C)で表されるノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル(R=エチレン基、xの平均値=2.6、y1〜y3の平均値=1.0)                     2質量部
 これらに触媒としてジブチルスズオキサイド0.5質量部を添加し、240℃で縮合重合して、架橋ポリエステル樹脂H−4(Tg:57℃、THF不溶分:13質量%、MI(190℃):11.1、Mn:4800、Mw:7万、ピーク分子量:7900、酸価:15mgKOH/g、水酸基価:40mgKOH/g)を得た。
 (ポリエステル樹脂製造例6)
・テレフタル酸                  18質量部
・イソフタル酸                   3質量部
・無水トリメリット酸                7質量部
・式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基、x+yの平均値=2.2)                   72質量部
 これらに触媒としてジブチルスズオキサイド0.5質量部を添加し、240℃で縮合重合して、架橋ポリエステル樹脂H−5(Tg:59℃、THF不溶分:15質量%、MI(190℃):11.8、Mn:4700、Mw:7万、ピーク分子量:7800、酸価:37mgKOH/g、水酸基価:18mgKOH/g)を得た。
 (ポリエステル樹脂製造例7)
・テレフタル酸                  11質量部
・イソフタル酸                   5質量部
・無水トリメリット酸               10質量部
・式(A)で表されるビスフェノール誘導体(R:プロピレン基、x+yの平均値=2.2)                   74質量部
 これらに触媒としてジブチルスズオキサイド0.5質量部を添加し、240℃で縮合重合して、架橋ポリエステル樹脂H−6(Tg:54℃、THF不溶分:12質量%、MI(190℃):18.3、Mn:4200、Mw:6万、ピーク分子量:23100、酸価:33mgKOH/g、水酸基価:35mgKOH/g)を得た。
 [結着樹脂1〜5、及び7の製造]
 表3に示すような比率で低分子量ポリエステル樹脂と架橋ポリエステル樹脂を秤量し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)で予備混合し、KRCニーダーS1(栗本鉄工所社製)にて吐出の樹脂温度が150℃になるような条件で溶融ブレンドを行い、結着樹脂を得た。得られた結着樹脂の酸価、水酸基価を表3に示す。尚、結着樹脂6については、架橋ポリエステル樹脂H−6を低分子量ポリエステル樹脂とブレンドせずにそのまま結着樹脂として使用したため、上記溶融ブレンドは行っていないので、架橋ポリエステル樹脂H−6の酸価、水酸基価を示す。
Figure 2004139071
 <磁性酸化鉄の製造例1>
 硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対しケイ素元素の含有量が0.60質量%となるようにケイ酸ソーダを添加した後、苛性ソーダ溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液のpHを10に調整しながら空気を吹き込み、80乃至90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
 種晶の生成が確認されたら、このスラリー液にさらに硫酸第一鉄水溶液を適宜加え、スラリー液のpHを10に調整しながら空気を吹き込み酸化反応を進めた。その間に、未反応の水酸化第一鉄濃度を調べながら反応の進行率を調べつつ、適宜硫酸亜鉛を加え、さらに水溶液のpHを酸化反応の初期はpHを9に、反応中期にはpHを8に、反応後期にはpHを6にというように段階的に調整することで磁性酸化鉄内での金属元素の分布を制御し、酸化反応を完結させた。
 次いで、アルミニウム元素を含有させるために、該ケイ素元素を含有する磁性酸化鉄粒子が生成しているアルカリ性懸濁液中に水可溶性アルミニウム塩を生成粒子に対してアルミニウム元素換算で0.20%になるように添加した後、pHを6〜8の範囲に調整して、磁性酸化鉄表面にアルミ水酸化物として析出させた。
 次いで濾過、水洗、乾燥、解砕することにより、磁性酸化鉄表面にアルミニウム元素を有する磁性酸化鉄を得た。生成した磁性酸化鉄粒子を常法により洗浄、ろ過乾燥した。
 得られた磁性酸化鉄粒子の一次粒子は、凝集して凝集体を形成しているので、ミックスマーラーを使用して磁性酸化鉄粒子の凝集体に圧縮力及びせん断力を付与して、前記凝集体を解砕して磁性酸化鉄粒子を一次粒子にすると共に、磁性酸化鉄粒子の表面を平滑にし、表4に示すような特性を有する磁性酸化鉄1を得た。
 <磁性酸化鉄粒子の製造例2〜5>
 ケイ酸ソーダ、硫酸亜鉛、水可溶性アルミニウム塩の添加量、添加時期、及び水溶液のpH等を変化させて、表4に示す物性を有する磁性酸化鉄2〜5を得た。
Figure 2004139071
 〔実施例1〕
・結着樹脂1                  100質量部
・磁性酸化鉄1                 100質量部
・モノアゾ鉄化合物(前記式VI)          2質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物(前記式VIII)                     0.5質量部
・フィッシャートロプシュワックス(DSCの吸熱ピーク温度:105℃、Mw:2500、Mn:1500、SP値:8.4)  4質量部
 上記原材料をヘンシェルミキサーで予備混合した後、150℃、250rpmに設定した二軸混練押し出し機(PCM30:池貝鉄工所社製)によって混練した。得られた混練物を冷却しカッターミルで粗粉砕した後、得られた粗粉砕物を、ターボミル(T−250:ターボ工業社製)を用いて、排出口の温度が45℃になるように設定して微粉砕し、得られた微粉砕粉を固定壁型風力分級機で分級して、重量平均粒径(D4)6.4μm、トナーの個数分布における粒径4.00μm以下のトナー粒子の割合23.2個数%、体積分布における粒径10.1μm以上のトナー粒子の割合0.8体積%の負帯電性磁性トナー粒子を得た。
 このトナー粒子100質量部に負帯電性疎水性シリカ微粉体(BET比表面積200m/gの乾式シリカを、ヘキサメチルジシラザン10質量%とジメチルシリコーンオイル(粘度100mm/s)20質量%で疎水化処理;メタノールウェッタビリティ80%、BET比表面積120m/g)1.2質量部をヘンシェルミキサーで外添混合しトナー1を得た。トナー1の処方を表5に、トナー1の物性を表6にそれぞれ示す。
Figure 2004139071
Figure 2004139071
 このトナーを以下の項目について評価した。
 [定着試験]
 ・定着開始温度
 ヒューレットパッカード社製レーザービームプリンター:LaserJet4100の定着器を取り出し、定着装置の定着温度を任意に設定できるようにし、かつプロセススピードを290mm/secとなるようにした外部定着器を用いた。この外部定着器を160〜220℃の範囲で5℃おきに温調し、普通紙(75g/m)紙に現像したベタ黒(紙上トナー現像量を0.6mg/cmに設定)未定着画像の定着を行い、得られた画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が10%以下になる点を定着開始温度とした。この温度が低いほど低温定着性に優れたトナーである。
 ・高温オフセット温度
 高温オフセット性については、プロセススピードを100mm/secにし、200〜240℃の範囲で5℃おきに温調し、未定着画像の定着を行い、画像上のオフセット現象による汚れを目視で確認し、発生した温度を高温オフセット温度とした。この温度が高いほど高温オフセット性に優れたトナーである。
 [現像耐久試験]
 ・常温常湿環境下における耐久後の画像濃度
 HewlettPackard社製レーザービームプリンター:LaserJet4100(A4タテ24枚/分:)を2倍のプロセススピード(290mm/sec)に改造して、常温常湿(23℃、60%RH)環境にて、転写紙としては75g/mの転写紙(A4サイズ)を用いて、画像面積率4%のE文字パターン画像形成を1000枚行った後ベタ黒画像を形成し、画像濃度の測定を行った。画像濃度の測定は、マクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して反射濃度を測定することにより行い、5点平均で算出した。
 ・チャージアップ評価
 また、常温低湿(23℃、5%RH)環境にて、転写紙としては75g/mの転写紙(A4サイズ)を用いて、画像面積率1%の画像の両面プリントを連続で5000枚行った。この後にベタ黒画像を10枚出力し、先のベタ黒画像濃度の測定と同様に画像濃度の測定を行った。この1枚目のベタ黒画像濃度と10枚目のベタ黒画像濃度を下記の表7に示す。画像濃度の差がない場合はチャージアップしていないことを示し、チャージアップしている場合は1枚目の画像濃度が薄く、10枚目の画像濃度は濃くなる傾向がある。
 ・高温高湿環境下放置後の画像濃度低下
 また、高温高湿(32.5℃、80%RH)環境で5000枚画出し試験を行った後、3日間放置してベタ黒画像を出力して画像濃度を測定し、高温高湿環境放置後の画像濃度の低下を確認した。
 [端部オフセット]
 A5サイズの転写紙に100枚画出しを行った後、連続してA4サイズの転写紙に100枚の画出しを行い、A4サイズ紙端部に何枚目まで端部オフセットが発生しているかを目視で観察し、以下の基準で評価した。トナー1の評価結果を表7に示す。
A:発生なし
B:10枚目までに消える
C:30枚目までに消える
D:50枚目までに消える
E:50枚を過ぎても消えない
 〔実施例2〜8〕
 表5に示したようなトナー材料構成に変える以外は、実施例1と同様にして、トナー2〜8を得た。トナーの処方を表5に、得られたトナーの物性を表6にそれぞれ示す。また、得られたトナーをトナー1と同様に評価した。得られたトナーの評価結果を表7に示す。
 〔実施例9〕
 実施例1で得られたトナー粒子に、以下の外添剤をヘンシェルミキサーで外添混合しトナー9を得た。トナー9の物性を表6に示す。
・BET比表面積200m/gの乾式シリカを、ヘキサメチルジシラザン10質量%とジメチルシリコーンオイル(粘度100mm/s)20質量%で疎水化処理した負帯電性疎水性シリカ微粉体(メタノールウェッタビリティ80%、BET比表面積120m/g)   1.35部
・ジメチルシリコーンオイルを60質量%含有する負帯電性シリカ微粒子凝集体(BET比表面積2.5m/g)   0.1部
・正帯電性メラミン系樹脂粒子(BET比表面積25m/g)   0.08部
・正帯電性チタン酸ストロンチウム粒子(BET比表面積2.0m/g)   1.0部
 得られたトナー9をトナー1と同様に評価した。得られたトナーの評価結果を表7に示す。
 <比較例1、2>
 表5に示したようなトナー材料構成に変え、衝突式気流粉砕による微粉砕機を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較トナー1、2を得た。トナーの処方を表5、得られたトナーの物性を表6にそれぞれ示す。また、得られたトナーをトナー1と同様に評価した。得られたトナーの評価結果を表7に示す。
Figure 2004139071
実施例1におけるトナー1のメタノール濃度に対する透過率を示したグラフである。 本発明のトナーの製造における粉砕工程で用いることのできる機械式粉砕機の概略断面図である。 図2におけるD−D’面での断面図である。 図2における回転子の斜視図である。
符号の説明
 212 渦巻き室
 219 パイプ
 220 ディストリビュータ
 222 バグフィルター
 224 吸引ブロワー
 229 捕集サイクロン
 301 機械式粉砕機
 310 固定子
 311 粉体入口
 312 回転軸
 313 ケーシング
 314 回転子
 315 定量供給機
 316 ジャケット
 320 後室

Claims (12)

  1.  ポリエステル樹脂を主成分として含む結着樹脂、ワックス及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーであって、
     メタノール及び水の混合溶媒に対するトナーの濡れ性を780nmの波長の光の透過率で測定した場合、透過率が80%のときのメタノール濃度が45〜65体積%の範囲内であり、かつ透過率が10%のときのメタノール濃度が45〜65体積%の範囲内であり、
     125℃、5kg荷重におけるトナーのメルトインデックス(MI)が0.1〜10g/10minであり、
     トナーは、テトラヒドロフランに不溶な樹脂成分(THF不溶分)を結着樹脂に対して5〜40質量%含有し、
     トナーのテトラヒドロフラン可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したクロマトグラムにおいて、分子量3000〜2万の領域にメインピークを有し、かつテトラヒドロフラン可溶分中の分子量が1万以下の成分の割合が50質量%以上であることを特徴とするトナー。
  2.  前記ポリエステル樹脂は、i)テトラヒドロフラン可溶分のメインピーク分子量が3000〜2万であり、0〜3質量%のテトラヒドロフラン不溶分を有する低分子量ポリエステル成分と、ii)10〜60質量%のテトラヒドロフラン不溶分を有する架橋ポリエステル成分とを含有し、かつ架橋ポリエステル成分と低分子量ポリエステル成分の質量比が10:90〜90:10であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3.  前記架橋ポリエステル成分は、190℃、10kg荷重におけるメルトインデックスが0.1〜10g/10minであることを特徴とする請求項2に記載のトナー。
  4.  前記架橋ポリエステル成分は、そのモノマー成分として、三価以上の多価カルボン酸と三価以上の多価アルコールとを含有していることを特徴とする請求項2又は3に記載のトナー。
  5.  前記三価以上の多価アルコールはノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルであり、三価以上の多価カルボン酸はトリメリット酸或いは無水トリメリット酸であることを特徴とする請求項4に記載のトナー。
  6.  該トナー粒子が、結着樹脂100質量部に対し0.1〜5質量部のアルミニウムの芳香族ヒドロキシカルボン酸化合物と、結着樹脂100質量部に対し0.1〜10質量部のモノアゾ鉄化合物とを含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトナー。
  7.  該トナー粒子が、結着樹脂100質量部に対して30〜200質量部の磁性体を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のトナー。
  8.  該磁性体のゼータ電位から求められる等電点がpH5〜9であり、該ワックスの溶解度パラメーター(SP値)が9以下であることを特徴とする請求項7に記載のトナー。
  9.  透過率が80%のときのメタノール濃度が50体積%以上65体積%未満の範囲内であり、かつ透過率が10%のときのメタノール濃度が50体積%以上65体積%未満の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のトナー。
  10.  前記トナーは、Carrの噴流性指数が80より大きい値であり、Carrの流動性指数が60より大きい値であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のトナー。
  11.  前記トナーは、少なくともトナーと同極性に帯電する疎水性シリカ微粉体と、トナーと同極性に帯電し、シリコーンオイル又はシリコーンワニスの含有量が20〜90質量%の微粒子凝集体とを含有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のトナー。
  12.  前記トナーは、少なくともトナーと同極性に帯電する疎水性シリカ微粉体と、トナーと同極性に帯電し、シリコーンオイル又はシリコーンワニスの含有量が20〜90質量%の微粒子凝集体と、トナーと逆極性に帯電する樹脂微粒子及び金属酸化物とを含有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のトナー。
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