JP2004137937A - エンジン用燃料供給モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジン用燃料供給モジュールにおいて,高圧燃料室でベーパが発生した場合には,そのベーパを圧力レギュレータを通して過剰圧力燃料と共に燃料タンクに排出し得るようにして,高圧燃料通路のベーパロックを防ぐ。
【解決手段】アウタハウジング37に,燃料ポンプP,電動モータMと,燃料ポンプPの吸入ポート2及び吐出ポート3の各外端がそれぞれ開口する低圧燃料室40及び高圧燃料室41及び高圧燃料室41の圧力を調整する圧力レギュレータRを備え,高圧燃料室41には燃料噴射弁Iに連なる高圧燃料通路71を接続したエンジン用燃料供給モジュールにおいて,圧力レギュレータRの弁室入口73aを,高圧燃料通路71の上流端71aの上方で高圧燃料室41に開口した。
【選択図】 図2
【解決手段】アウタハウジング37に,燃料ポンプP,電動モータMと,燃料ポンプPの吸入ポート2及び吐出ポート3の各外端がそれぞれ開口する低圧燃料室40及び高圧燃料室41及び高圧燃料室41の圧力を調整する圧力レギュレータRを備え,高圧燃料室41には燃料噴射弁Iに連なる高圧燃料通路71を接続したエンジン用燃料供給モジュールにおいて,圧力レギュレータRの弁室入口73aを,高圧燃料通路71の上流端71aの上方で高圧燃料室41に開口した。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,自動車,自動二輪車,船外機等に適用可能なエンジン用燃料供給モジュールに関し,特に,アウタハウジングに,燃料ポンプと,この燃料ポンプを駆動する電動モータと,燃料ポンプの吸入ポート及び吐出ポートの各外端がそれぞれ開口する低圧燃料室及び高圧燃料室と,この高圧燃料室の圧力が規定値以上になると,開弁して過剰圧力分の燃料をアウタハウジングの上方に配置される燃料タンクに排出する圧力レギュレータとを備え,低圧燃料室には燃料タンクの燃料出口を連通し,高圧燃料室には,エンジンの燃料噴射弁に連なる高圧燃料通路を接続したエンジン用燃料供給モジュールの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
かゝるエンジン用燃料供給モジュールは,例えば下記特許文献1に開示されているように既に知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−238680号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のエンジン用燃料供給モジュールでは,高圧燃料室でベーパが発生することについて考慮されておらず,したがって,高圧燃料室でベーパが発生すると,それによって燃料噴射弁に連なる高圧燃料通路にベーパロックを生じる虞がある。
【0005】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,高圧燃料室でベーパが発生した場合には,そのベーパを圧力レギュレータを通して過剰圧力燃料と共に燃料タンクに排出し得るようにして,高圧燃料通路のベーパロックを防ぐことができる前記エンジン用燃料供給モジュールを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,アウタハウジングに,燃料ポンプと,この燃料ポンプを駆動する電動モータと,燃料ポンプの吸入ポート及び吐出ポートの各外端がそれぞれ開口する低圧燃料室及び高圧燃料室と,この高圧燃料室の圧力が規定値以上になると,開弁して過剰圧力分の燃料をアウタハウジングの上方に配置される燃料タンクに戻す圧力レギュレータとを備え,低圧燃料室には燃料タンクの燃料出口を連通し,高圧燃料室には,エンジンの燃料噴射弁に連なる高圧燃料通路を接続したエンジン用燃料供給モジュールにおいて,前記圧力レギュレータの弁室入口を,前記高圧燃料通路の上流端の上方で高圧燃料室に開口したことを第1の特徴とする。
【0007】
この第1の特徴によれば,高圧燃料室の燃料中にベーパが発生した場合には,そのベーパを圧力レギュレータの弁室入口に集めて,これを,圧力レギュレータを通過する過剰圧力燃料と共に燃料タンク内に排出することができ,したがって高圧燃料通路のベーパロックを防いで,エンジンの,特に熱間始動性の向上を図ることができる。
【0008】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記アウタハウジングには,前記低圧燃料室から上方に延びて,前記圧力レギュレータの燃料出口孔に上端部を接続するベーパセパレータ室を設け,このベーパセパレータ室の上端部に集まったベーパを,前記圧力レギュレータから排出される過剰圧力燃料と共に燃料タンクに排出するようにしたことを第2の特徴とする。
【0009】
この第2の特徴によれば,低圧燃料室内の燃料にベーパが発生した場合には,そのベーパをベーパセパレータ室の上部に集めて,燃料ポンプには,ベーパを含まない良好な燃料を吸入させることができる。しかもベーパセパレータ室のベーパは,圧力レギュレータから排出する過剰圧力燃料と共に燃料タンク内に排出されるので,それらの排出のためには1本の燃料戻し導管で足り,燃料供給モジュール及び燃料タンク間の配管の簡素化を図ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて説明する。
【0011】
図1は本発明の燃料供給モジュールを装着した自動二輪車用エンジンの要部縦断側面図,図2は上記燃料供給モジュールの縦断面図,図3は図2の要部拡大図,図4は図2の4−4線断面図,図5は図2の5−5線断面図である。
【0012】
先ず,図1において,符号Eは自動二輪車のエンジンを示すもので,そのクランクケース31には前傾姿勢のシリンダブロック32が連設される。このシリンダブロック32に接合されるシリンダヘッド33の上面にスロットルボディ34が結合される。スロットルボディ34は,シリンダヘッド33の吸気ポート33aに連なる吸気道34aを有しており,その吸気道34aを開閉するバタフライ型のスロットルバルブ35がスロットルボディ34に軸支される。
【0013】
またスロットルボディ34の一側壁には,スロットルバルブ35より下流の吸気道34aを通して吸気ポート33aに燃料を噴射する電磁式の燃料噴射弁Iと,この燃料噴射弁Iに燃料を供給する燃料供給モジュールAとが取り付けられる。この燃料供給モジュールAの上方に燃料タンクTが配設され,その内部に貯留する燃料が低圧燃料導管66を通して燃料供給モジュールAに流下し,また燃料供給モジュールAからは過剰圧力燃料が燃料戻し導管83を通して燃料タンクT内に還流するようになっている。
【0014】
上記燃料供給モジュールAについて図2〜図5を参照しながら説明する。
【0015】
図2及び図3に示すように,燃料供給モジュールAは,ウエスコ型の燃料ポンプPと,この燃料ポンプPを駆動するブラシレス型の電動モータMと,燃料ポンプPの吸入燃料を濾過する燃料ストレーナSと,燃料ポンプPの吐出燃料を濾過する燃料フィルタFと,燃料ポンプPの吐出側圧力を調整する圧力レギュレータRと,燃料噴射弁Iを保持する噴射弁ホルダ70とを備える。
【0016】
燃料ポンプPのポンプハウジング1は,吸入ポート2を有するアルミ合金製の下部ポンプハウジング半体1aと,吐出ポート3を有して下部ポンプハウジング半体1aと結合される,同じくアルミ合金製の上部ポンプハウジング半体1bとからなっている。上部ポンプハウジング半体1bには,吸入ポート2及び吐出ポート3の各内端が開口するポンプ室5が形成され,このポンプ室5にポンプインペラ6が回転自在に嵌装される。
【0017】
電動モータMは,ステータ10及びアウタロータ11からなっている。そのステータ10は,ステータコア12と,それに巻装されるステータコイル13とから構成され,またアウタロータ11は,ステータ10を囲繞する有底円筒状のロータ本体14と,このロータ本体14の内周面に付設される永久磁石15と,ロータ本体14の端壁中心部のハブ14aに固着された出力軸16とから構成される。
【0018】
ステータコア12は,前記上部ポンプハウジング半体1bの上面に一体に突設された中空円筒状のモータ支持部20の外周面に圧入により固定される。
【0019】
上記モータ支持部20の基部及び先端部の内周面には第1及び第2軸受ハウジング21,22が形成され,これらに第1及び第2軸受23,24がそれぞれ圧入により装着され,これら第1及び第2軸受23,24によって前記出力軸16の両端部が支承される。図示例の場合,第1及び第2軸受23,24にはメタル軸受が使用される。
【0020】
出力軸16は,断面半月状の先端部16aを有しており,これを前記ポンプインペラ6中心部の半月状の連結孔6aに嵌合することにより,ポンプインペラ6と連結される。
【0021】
ロータ本体14の端壁には,その内外を連通する複数の透孔17が穿設されている。
【0022】
上部ポンプハウジング半体1bの,ポンプ室5に開口する凹部25において,出力軸16には,出力軸16の第1及び第2軸受23,24からの抜け出しを阻止する抜け止め部材26が圧入される。
【0023】
図2〜図4に示すように,電動モータM及び燃料ポンプP間に配設される環状のカプラベース56が配設される。このカプラベース56は合成樹脂製であって,一側にL字状に屈曲した端子支持部56cを一体に有しており,その成形時に接続端子57が埋設される。この接続端子57は,その内端をカプラベース56の内周面から,また外端を端子支持部56cの上端面からそれぞれ突出させており,その内端に前記ステータコイル13から引き出されるリード線13aが接続される。
【0024】
カプラベース56は,外周部から上方に突出する円筒状の上向き嵌合部56aと,同外周部から下方に突出する円筒状の下向き嵌合部56bとを有しており,その下向き嵌合部56bは,前記上部ポンプハウジング半体1bの外周面にシール部材58を介して嵌合し,固定される。
【0025】
カプラベース56の上向き嵌合部56aの外周面には,電動モータMを収容する有底円筒状の上部アウタハウジング半体37aがシール部材59を介して嵌合される。この上部アウタハウジング半体37aは合成樹脂製であって,前記端子支持部56cの上方起立部外周に嵌合するカプラ55を一体に備えおり,端子支持部56cの上端から突出した接続端子57がこのカプラ55の内部に達している。またカプラ55は,外部カプラ(図示せず)との接続口55aを上方に向けている。カプラ55と端子支持部56cとの間には,端子支持部56cの上方起立部を囲繞するシール部材62が介装される。
【0026】
上部アウタハウジング半体37aの下端面には,燃料ポンプPを収容する合成樹脂製の下部アウタハウジング半体37bの上端面がシール部材60を介して接合される。而して,上部及び下部アウタハウジング半体37a,37bは,電動モータM及び燃料ポンプPを収容,保持するアウタハウジング37を構成する。
【0027】
図2及び図3に示すように,上記アウタハウジング37内は,カプラベース56によって,燃料ポンプPを収容する低圧燃料室40と,電動モータMを収容する高圧燃料室41とに仕切られ,低圧燃料室40に燃料ポンプPの吸入ポート2の外端が,また高圧燃料室41に燃料ポンプPの吐出ポート3の外端がそれぞれ開口する。
【0028】
上記低圧燃料室40には,カプラベース56に設けられた開口部52を通して前記接続端子57の中間部が露出させてある。
【0029】
下部ポンプハウジング半体1aには,上記吸入ポート2を覆うようにして燃料ストレーナSが装着される。
【0030】
下部アウタハウジング半体37bは,低圧燃料室40に開口する燃料入口管63を底壁に備えており,これに燃料タンクTの燃料出口に連なる前記低圧燃料導管66が接続され,その途中に1次燃料ストレーナ67(図1参照)が介装される。
【0031】
アウタハウジング37の一側壁には,低圧燃料室40から上方に延びるベーパセパレータ室65が形成される。下部ポンプハウジング半体1aは,その下面1afより,吸入ポート2の外端開口部と,燃料ストレーナSが嵌合する環状壁86とを突出させており,その下面1afをベーパセパレータ室65に開放する通孔87が環状壁86に設けられる。
【0032】
図5に示すように,上部アウタハウジング半体37aの天井壁には燃料出口管69一体に成形されており,この燃料出口管69の拡径した外端部69aには,エルボ状の噴射弁ホルダ70の一端部がシール部材64を介して回転可能に嵌合され,その他端部に前記燃料噴射弁Iがシール部材88を介して装着される。上記燃料出口管69及び噴出弁ホルダ70は,高圧燃料室41から燃料噴射弁Iに至る一連の高圧燃料通路71を形成するもので,この高圧燃料通路71の上流側には,燃料ポンプPの作動停止時,高圧燃料通路71に一定の圧力を保持するための残圧保持弁Cが設けられる。
【0033】
再び図2及び図4において,上部アウタハウジング半体37aの天井壁に前記圧力レギュレータRが取り付けられる。即ち,上部アウタハウジング半体37aの天井壁には,圧力レギュレータRの円筒状の弁室体72の小径部72a及び大径部72bがそれぞれシール部材80,80′を介して嵌装され,その大径部72bの内部が弁室73となる。小径部72aには,高圧燃料室41に開口する弁室入口73aと,弁室73に臨む弁座76とが形成され,この弁座76と協働して弁室入口73aを開閉するボール状の弁体68と,この弁体68の上端に接するカップ状の押圧部材77と,この押圧部材77を介して弁体68を弁座76側に規定のセット荷重をもって付勢する調圧ばね78とが弁室73に収容される。また大径部72bの内周面には,調圧ばね78の固定端を支承するリテーナ79がシール部材74を介して摺動可能に嵌合され,またこのリテーナ79を進退させて調圧ばね78のセット荷重を調整する調整ねじ75が螺着される。
【0034】
弁室体72には,弁室73を前記ベーパセパレータ室65に開放する弁室出口73bが設けられる。
【0035】
さらに上部アウタハウジング半体37aの天井壁には,ベーパセパレータ室65の上部に開口する燃料戻し管81が一体に形成され,これに前記燃料戻し導管83が接続される。
【0036】
而して,燃料供給モジュールAは,自動二輪車のスタンドによる起立姿勢から走行姿勢において図2に示すように,高圧燃料室41の天井面41fが,その天井面41fに開口する高圧燃料通路71の上流端71a側から弁室入口73a側に向かって上向きに傾斜するように配置される。したがって,圧力レギュレータRの弁室入口73aは,高圧燃料通路71の上流端71aの上方位置を占めることになる。
【0037】
また低圧燃料室40では,下部ポンプハウジング半体1aの下面1afがベーパセパレータ室65に向かって上向きに傾斜し,ポンプ室5で発生したベーパを上記下面1af側に排出するベーパ排出孔85が下部ポンプハウジング半体1aに穿設される。
【0038】
高圧燃料室41には,上記上流端71a及び弁室入口73aを覆うようにして燃料フィルタFが配設される。
【0039】
次に,この実施例の作用について説明する。
【0040】
電動モータMが作動すると,その出力軸16によりポンプインペラ6が回転駆動される。これに伴い,先ず燃料ストレーナSにより濾過された,低圧燃料室40の燃料が吸入ポート2からポンプ室5に吸入され,回転するポンプインペラ6により昇圧されて吐出ポート3から高圧燃料室41に吐出され,そして燃料フィルタFにより濾過され,残圧保持弁Cを開き,高圧燃料通路71を通して燃料噴射弁Iに供給され,その開弁時に,エンジンEの吸気ポート33aへ向けて噴射される。
【0041】
この間,高圧燃料室41では,流動する燃料により電動モータMの各部及び第2軸受24が冷却され,上部ポンプハウジング半体1bの凹部25では,第1軸受23がポンプ室5の燃料により冷却される。
【0042】
高圧燃料室41の圧力が規定値以上に上昇すると,圧力レギュレータRにおいて,弁体68が調整ばね78の荷重に抗して弁座76から離座し,弁室入口73aを開放する。したがって,燃料室41の燃料は過剰圧力分だけ弁室入口73aから弁室73,弁室出口73b,ベーパセパレータ室65及び燃料戻し導管83を経て燃料タンクT内に還流し,これによって燃料室41の圧力は一定に調整される。
【0043】
高圧燃料室41内の燃料にベーパが発生すると,そのベーパは,高圧燃料室41の天井面41fに沿って上昇して,高圧燃料通路71の上流端71aより高い位置を占める圧力レギュレータRの弁室入口73aに集まることになる。その結果,前述のように,弁体68の開弁時,高圧燃料室41の過剰圧力燃料と共に弁室入口73aから弁室73に移行し,燃料タンクTに排出されることになる。したがって,高圧燃料通路71のベーパロックを防いで,エンジンEの,特に熱間始動性の向上を図ることができる。
【0044】
一方,低圧燃料室40内の燃料にベーパが発生すると,そのベーパは下部ポンプハウジング半体1aの傾斜した下面1afに沿って上昇しながらベーパセパレータ室65に移る。またポンプ室5内で発生したベーパは,下部ポンプハウジング半体1aのベーパ排出孔85を通して低圧燃料室40に排出され,同じく下部ポンプハウジング半体1aの傾斜した下面1afに沿って上昇しながらベーパセパレータ室65に移る。ベーパセパレータ室65に移ったこれらベーパは,更に上昇して該室65の上部に集り,そして圧力レギュレータRから排出される過剰圧力燃料と合流し,燃料戻し導管83を経て燃料タンクT内に排出される。こうして低圧燃料室40からもベーパが排除されるので,燃料ポンプPには,ベーパを含まない良好な燃料を吸入させることができる。
【0045】
また圧力レギュレータRからの過剰圧力燃料と,ベーパセパレータ室65のベーパとを,共通1本の燃料戻し導管83を通して燃料タンクTに排出することで,燃料供給モジュールA及び燃料タンクT間の配管の簡素化を図ることができる。
【0046】
燃料供給モジュールAに組み立てに際して,先ず,カプラベース56の単体時に,接続端子57の内端に電動モータMのステータコイル13から延びるリード線13aを接続しておく。したがって,その接続作業は,アウタハウジング37や燃料ポンプPに全く邪魔されることなく容易に能率良く行うことができ,その接続作業の自動化も可能となる。その後,カプラベース56に燃料ポンプP,電動モータM,上部アウタハウジング半体37b及び下部アウタハウジング半体37bを順次組み付けいく。
【0047】
上記接続端子57の内端は高圧燃料室41に露出することになるが,該端子57はカプラベース56に埋設されているので,該端子57とカプラベース56との密着が強力で,高圧燃料室41の燃料の接続端子57周りへの浸入を防ぐことができる。
【0048】
また万一,接続端子57とカプラベース56との間に高圧燃料室41の燃料が浸入したとしても,接続端子57の中間部がカプラベース56の開口部52を通して低圧燃料室40に臨んでいるので,上記浸入燃料は,低圧の開口部52側へ移行して,低圧燃料室40に排出される。したがって,カプラ55の接続口55aへの燃料リークを防ぐことができる。しかも開口部52からのリーク燃料を受ける低圧燃料室40は,燃料タンクTから受け入れた燃料を燃料ポンプPに吸入させるところであるから,リーク燃料を貯留する特別な場所を用意する必要がないばかりか,そのリーク燃料は再び燃料ポンプPに吸入されることになり,無駄がない。
【0049】
またポンプ室5を有する上部ポンプハウジング半体1bにはモータ支持部20が一体成形され,このモータ支持部20の外周に電動モータMのステータ10が固定されると共に,その内周でアウタロータ11の出力軸16の両端部が一対の軸受21,22を介して支承されるので,ポンプ室5に嵌装されるポンプインペラ6及び出力軸16の,集積製作誤差による同軸性の狂いを防ぐことができ,したがって製作を容易にしつゝポンプインペラ6及び出力軸16の同軸精度を高めて,ポンプインペラ6の連結孔6aと出力軸16の先端部16aとの嵌合隙間を小さくし,その嵌合部の叩き摩耗や振動を防ぐことができ,同時に出力軸16の支持を安定させてアウタロータ11の回転振動や軸受23,24の偏摩耗を防ぐことができる。
【0050】
しかも電動モータMは,これをポンプハウジング1のモータ支持部20に取り付けたとき,燃料ポンプPとの連結が完了するので,その時点で電動モータM及び燃料ポンプPの性能検査を行うことができ,合理的である。
【0051】
本発明は,上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を変更することなく種々の設計変更が可能である。例えば,下部及び上部ポンプハウジング半体1a,1bを合成樹脂製とすることもできる。
【0052】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1の特徴によれば,アウタハウジングに,燃料ポンプと,この燃料ポンプを駆動する電動モータと,燃料ポンプの吸入ポート及び吐出ポートの各外端がそれぞれ開口する低圧燃料室及び高圧燃料室と,この高圧燃料室の圧力が規定値以上になると,開弁して過剰圧力分の燃料をアウタハウジングの上方に配置される燃料タンクに戻す圧力レギュレータとを備え,低圧燃料室には燃料タンクの燃料出口を連通し,高圧燃料室には,エンジンの燃料噴射弁に連なる高圧燃料通路を接続したエンジン用燃料供給モジュールにおいて,前記圧力レギュレータの弁室入口を,前記高圧燃料通路の上流端の上方で高圧燃料室に開口したので,高圧燃料室の燃料中にベーパが発生した場合には,そのベーパを圧力レギュレータの弁室入口に集めて,これを,圧力レギュレータを通過する過剰圧力燃料と共に燃料タンク内に排出することができ,したがって高圧燃料通路のベーパロックを防いで,エンジンの,特に熱間始動性の向上を図ることができる。
【0053】
また本発明の第2の特徴によれば,第1の特徴に加えて,前記アウタハウジングには,前記低圧燃料室から上方に延びて,前記圧力レギュレータの燃料出口孔に上端部を接続するベーパセパレータ室を設け,このベーパセパレータ室の上端部に集まったベーパを,前記圧力レギュレータから排出される過剰圧力燃料と共に燃料タンクに排出するようにしたので,低圧燃料室内の燃料にベーパが発生した場合には,そのベーパをベーパセパレータ室の上部に集めて,燃料ポンプには,ベーパを含まない良好な燃料を吸入させることができる。しかもベーパセパレータ室のベーパは,圧力レギュレータから排出する過剰圧力燃料と共に燃料タンク内に排出されるので,それらの排出のためには1本の燃料戻し導管で足り,燃料供給モジュール及び燃料タンク間の配管の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料供給モジュールを装着した自動二輪車用エンジンの要部縦断側面図
【図2】上記燃料供給モジュールの縦断面図
【図3】図2の要部拡大図
【図4】図2の4−4線断面図
【図5】図2の5−5線断面図
【符号の説明】
A・・・・・燃料供給モジュール
E・・・・・エンジン
I・・・・・燃料噴射弁
M・・・・・電動モータ
P・・・・・燃料ポンプ
R・・・・・圧力レギュレータ
T・・・・・燃料タンク
1・・・・・ポンプハウジング
2・・・・・吸入ポート
3・・・・・吐出ポート
37・・・・アウタハウジング
40・・・・低圧燃料室
41・・・・高圧燃料室
65・・・・ベーパセパレータ室
71・・・・高圧燃料通路
71a・・・高圧燃料通路の上流端
73・・・・圧力レギュレータの弁室
73a・・・圧力レギュレータの弁室入口
73b・・・圧力レギュレータの弁室出口
【発明の属する技術分野】
本発明は,自動車,自動二輪車,船外機等に適用可能なエンジン用燃料供給モジュールに関し,特に,アウタハウジングに,燃料ポンプと,この燃料ポンプを駆動する電動モータと,燃料ポンプの吸入ポート及び吐出ポートの各外端がそれぞれ開口する低圧燃料室及び高圧燃料室と,この高圧燃料室の圧力が規定値以上になると,開弁して過剰圧力分の燃料をアウタハウジングの上方に配置される燃料タンクに排出する圧力レギュレータとを備え,低圧燃料室には燃料タンクの燃料出口を連通し,高圧燃料室には,エンジンの燃料噴射弁に連なる高圧燃料通路を接続したエンジン用燃料供給モジュールの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
かゝるエンジン用燃料供給モジュールは,例えば下記特許文献1に開示されているように既に知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−238680号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のエンジン用燃料供給モジュールでは,高圧燃料室でベーパが発生することについて考慮されておらず,したがって,高圧燃料室でベーパが発生すると,それによって燃料噴射弁に連なる高圧燃料通路にベーパロックを生じる虞がある。
【0005】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,高圧燃料室でベーパが発生した場合には,そのベーパを圧力レギュレータを通して過剰圧力燃料と共に燃料タンクに排出し得るようにして,高圧燃料通路のベーパロックを防ぐことができる前記エンジン用燃料供給モジュールを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,アウタハウジングに,燃料ポンプと,この燃料ポンプを駆動する電動モータと,燃料ポンプの吸入ポート及び吐出ポートの各外端がそれぞれ開口する低圧燃料室及び高圧燃料室と,この高圧燃料室の圧力が規定値以上になると,開弁して過剰圧力分の燃料をアウタハウジングの上方に配置される燃料タンクに戻す圧力レギュレータとを備え,低圧燃料室には燃料タンクの燃料出口を連通し,高圧燃料室には,エンジンの燃料噴射弁に連なる高圧燃料通路を接続したエンジン用燃料供給モジュールにおいて,前記圧力レギュレータの弁室入口を,前記高圧燃料通路の上流端の上方で高圧燃料室に開口したことを第1の特徴とする。
【0007】
この第1の特徴によれば,高圧燃料室の燃料中にベーパが発生した場合には,そのベーパを圧力レギュレータの弁室入口に集めて,これを,圧力レギュレータを通過する過剰圧力燃料と共に燃料タンク内に排出することができ,したがって高圧燃料通路のベーパロックを防いで,エンジンの,特に熱間始動性の向上を図ることができる。
【0008】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記アウタハウジングには,前記低圧燃料室から上方に延びて,前記圧力レギュレータの燃料出口孔に上端部を接続するベーパセパレータ室を設け,このベーパセパレータ室の上端部に集まったベーパを,前記圧力レギュレータから排出される過剰圧力燃料と共に燃料タンクに排出するようにしたことを第2の特徴とする。
【0009】
この第2の特徴によれば,低圧燃料室内の燃料にベーパが発生した場合には,そのベーパをベーパセパレータ室の上部に集めて,燃料ポンプには,ベーパを含まない良好な燃料を吸入させることができる。しかもベーパセパレータ室のベーパは,圧力レギュレータから排出する過剰圧力燃料と共に燃料タンク内に排出されるので,それらの排出のためには1本の燃料戻し導管で足り,燃料供給モジュール及び燃料タンク間の配管の簡素化を図ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて説明する。
【0011】
図1は本発明の燃料供給モジュールを装着した自動二輪車用エンジンの要部縦断側面図,図2は上記燃料供給モジュールの縦断面図,図3は図2の要部拡大図,図4は図2の4−4線断面図,図5は図2の5−5線断面図である。
【0012】
先ず,図1において,符号Eは自動二輪車のエンジンを示すもので,そのクランクケース31には前傾姿勢のシリンダブロック32が連設される。このシリンダブロック32に接合されるシリンダヘッド33の上面にスロットルボディ34が結合される。スロットルボディ34は,シリンダヘッド33の吸気ポート33aに連なる吸気道34aを有しており,その吸気道34aを開閉するバタフライ型のスロットルバルブ35がスロットルボディ34に軸支される。
【0013】
またスロットルボディ34の一側壁には,スロットルバルブ35より下流の吸気道34aを通して吸気ポート33aに燃料を噴射する電磁式の燃料噴射弁Iと,この燃料噴射弁Iに燃料を供給する燃料供給モジュールAとが取り付けられる。この燃料供給モジュールAの上方に燃料タンクTが配設され,その内部に貯留する燃料が低圧燃料導管66を通して燃料供給モジュールAに流下し,また燃料供給モジュールAからは過剰圧力燃料が燃料戻し導管83を通して燃料タンクT内に還流するようになっている。
【0014】
上記燃料供給モジュールAについて図2〜図5を参照しながら説明する。
【0015】
図2及び図3に示すように,燃料供給モジュールAは,ウエスコ型の燃料ポンプPと,この燃料ポンプPを駆動するブラシレス型の電動モータMと,燃料ポンプPの吸入燃料を濾過する燃料ストレーナSと,燃料ポンプPの吐出燃料を濾過する燃料フィルタFと,燃料ポンプPの吐出側圧力を調整する圧力レギュレータRと,燃料噴射弁Iを保持する噴射弁ホルダ70とを備える。
【0016】
燃料ポンプPのポンプハウジング1は,吸入ポート2を有するアルミ合金製の下部ポンプハウジング半体1aと,吐出ポート3を有して下部ポンプハウジング半体1aと結合される,同じくアルミ合金製の上部ポンプハウジング半体1bとからなっている。上部ポンプハウジング半体1bには,吸入ポート2及び吐出ポート3の各内端が開口するポンプ室5が形成され,このポンプ室5にポンプインペラ6が回転自在に嵌装される。
【0017】
電動モータMは,ステータ10及びアウタロータ11からなっている。そのステータ10は,ステータコア12と,それに巻装されるステータコイル13とから構成され,またアウタロータ11は,ステータ10を囲繞する有底円筒状のロータ本体14と,このロータ本体14の内周面に付設される永久磁石15と,ロータ本体14の端壁中心部のハブ14aに固着された出力軸16とから構成される。
【0018】
ステータコア12は,前記上部ポンプハウジング半体1bの上面に一体に突設された中空円筒状のモータ支持部20の外周面に圧入により固定される。
【0019】
上記モータ支持部20の基部及び先端部の内周面には第1及び第2軸受ハウジング21,22が形成され,これらに第1及び第2軸受23,24がそれぞれ圧入により装着され,これら第1及び第2軸受23,24によって前記出力軸16の両端部が支承される。図示例の場合,第1及び第2軸受23,24にはメタル軸受が使用される。
【0020】
出力軸16は,断面半月状の先端部16aを有しており,これを前記ポンプインペラ6中心部の半月状の連結孔6aに嵌合することにより,ポンプインペラ6と連結される。
【0021】
ロータ本体14の端壁には,その内外を連通する複数の透孔17が穿設されている。
【0022】
上部ポンプハウジング半体1bの,ポンプ室5に開口する凹部25において,出力軸16には,出力軸16の第1及び第2軸受23,24からの抜け出しを阻止する抜け止め部材26が圧入される。
【0023】
図2〜図4に示すように,電動モータM及び燃料ポンプP間に配設される環状のカプラベース56が配設される。このカプラベース56は合成樹脂製であって,一側にL字状に屈曲した端子支持部56cを一体に有しており,その成形時に接続端子57が埋設される。この接続端子57は,その内端をカプラベース56の内周面から,また外端を端子支持部56cの上端面からそれぞれ突出させており,その内端に前記ステータコイル13から引き出されるリード線13aが接続される。
【0024】
カプラベース56は,外周部から上方に突出する円筒状の上向き嵌合部56aと,同外周部から下方に突出する円筒状の下向き嵌合部56bとを有しており,その下向き嵌合部56bは,前記上部ポンプハウジング半体1bの外周面にシール部材58を介して嵌合し,固定される。
【0025】
カプラベース56の上向き嵌合部56aの外周面には,電動モータMを収容する有底円筒状の上部アウタハウジング半体37aがシール部材59を介して嵌合される。この上部アウタハウジング半体37aは合成樹脂製であって,前記端子支持部56cの上方起立部外周に嵌合するカプラ55を一体に備えおり,端子支持部56cの上端から突出した接続端子57がこのカプラ55の内部に達している。またカプラ55は,外部カプラ(図示せず)との接続口55aを上方に向けている。カプラ55と端子支持部56cとの間には,端子支持部56cの上方起立部を囲繞するシール部材62が介装される。
【0026】
上部アウタハウジング半体37aの下端面には,燃料ポンプPを収容する合成樹脂製の下部アウタハウジング半体37bの上端面がシール部材60を介して接合される。而して,上部及び下部アウタハウジング半体37a,37bは,電動モータM及び燃料ポンプPを収容,保持するアウタハウジング37を構成する。
【0027】
図2及び図3に示すように,上記アウタハウジング37内は,カプラベース56によって,燃料ポンプPを収容する低圧燃料室40と,電動モータMを収容する高圧燃料室41とに仕切られ,低圧燃料室40に燃料ポンプPの吸入ポート2の外端が,また高圧燃料室41に燃料ポンプPの吐出ポート3の外端がそれぞれ開口する。
【0028】
上記低圧燃料室40には,カプラベース56に設けられた開口部52を通して前記接続端子57の中間部が露出させてある。
【0029】
下部ポンプハウジング半体1aには,上記吸入ポート2を覆うようにして燃料ストレーナSが装着される。
【0030】
下部アウタハウジング半体37bは,低圧燃料室40に開口する燃料入口管63を底壁に備えており,これに燃料タンクTの燃料出口に連なる前記低圧燃料導管66が接続され,その途中に1次燃料ストレーナ67(図1参照)が介装される。
【0031】
アウタハウジング37の一側壁には,低圧燃料室40から上方に延びるベーパセパレータ室65が形成される。下部ポンプハウジング半体1aは,その下面1afより,吸入ポート2の外端開口部と,燃料ストレーナSが嵌合する環状壁86とを突出させており,その下面1afをベーパセパレータ室65に開放する通孔87が環状壁86に設けられる。
【0032】
図5に示すように,上部アウタハウジング半体37aの天井壁には燃料出口管69一体に成形されており,この燃料出口管69の拡径した外端部69aには,エルボ状の噴射弁ホルダ70の一端部がシール部材64を介して回転可能に嵌合され,その他端部に前記燃料噴射弁Iがシール部材88を介して装着される。上記燃料出口管69及び噴出弁ホルダ70は,高圧燃料室41から燃料噴射弁Iに至る一連の高圧燃料通路71を形成するもので,この高圧燃料通路71の上流側には,燃料ポンプPの作動停止時,高圧燃料通路71に一定の圧力を保持するための残圧保持弁Cが設けられる。
【0033】
再び図2及び図4において,上部アウタハウジング半体37aの天井壁に前記圧力レギュレータRが取り付けられる。即ち,上部アウタハウジング半体37aの天井壁には,圧力レギュレータRの円筒状の弁室体72の小径部72a及び大径部72bがそれぞれシール部材80,80′を介して嵌装され,その大径部72bの内部が弁室73となる。小径部72aには,高圧燃料室41に開口する弁室入口73aと,弁室73に臨む弁座76とが形成され,この弁座76と協働して弁室入口73aを開閉するボール状の弁体68と,この弁体68の上端に接するカップ状の押圧部材77と,この押圧部材77を介して弁体68を弁座76側に規定のセット荷重をもって付勢する調圧ばね78とが弁室73に収容される。また大径部72bの内周面には,調圧ばね78の固定端を支承するリテーナ79がシール部材74を介して摺動可能に嵌合され,またこのリテーナ79を進退させて調圧ばね78のセット荷重を調整する調整ねじ75が螺着される。
【0034】
弁室体72には,弁室73を前記ベーパセパレータ室65に開放する弁室出口73bが設けられる。
【0035】
さらに上部アウタハウジング半体37aの天井壁には,ベーパセパレータ室65の上部に開口する燃料戻し管81が一体に形成され,これに前記燃料戻し導管83が接続される。
【0036】
而して,燃料供給モジュールAは,自動二輪車のスタンドによる起立姿勢から走行姿勢において図2に示すように,高圧燃料室41の天井面41fが,その天井面41fに開口する高圧燃料通路71の上流端71a側から弁室入口73a側に向かって上向きに傾斜するように配置される。したがって,圧力レギュレータRの弁室入口73aは,高圧燃料通路71の上流端71aの上方位置を占めることになる。
【0037】
また低圧燃料室40では,下部ポンプハウジング半体1aの下面1afがベーパセパレータ室65に向かって上向きに傾斜し,ポンプ室5で発生したベーパを上記下面1af側に排出するベーパ排出孔85が下部ポンプハウジング半体1aに穿設される。
【0038】
高圧燃料室41には,上記上流端71a及び弁室入口73aを覆うようにして燃料フィルタFが配設される。
【0039】
次に,この実施例の作用について説明する。
【0040】
電動モータMが作動すると,その出力軸16によりポンプインペラ6が回転駆動される。これに伴い,先ず燃料ストレーナSにより濾過された,低圧燃料室40の燃料が吸入ポート2からポンプ室5に吸入され,回転するポンプインペラ6により昇圧されて吐出ポート3から高圧燃料室41に吐出され,そして燃料フィルタFにより濾過され,残圧保持弁Cを開き,高圧燃料通路71を通して燃料噴射弁Iに供給され,その開弁時に,エンジンEの吸気ポート33aへ向けて噴射される。
【0041】
この間,高圧燃料室41では,流動する燃料により電動モータMの各部及び第2軸受24が冷却され,上部ポンプハウジング半体1bの凹部25では,第1軸受23がポンプ室5の燃料により冷却される。
【0042】
高圧燃料室41の圧力が規定値以上に上昇すると,圧力レギュレータRにおいて,弁体68が調整ばね78の荷重に抗して弁座76から離座し,弁室入口73aを開放する。したがって,燃料室41の燃料は過剰圧力分だけ弁室入口73aから弁室73,弁室出口73b,ベーパセパレータ室65及び燃料戻し導管83を経て燃料タンクT内に還流し,これによって燃料室41の圧力は一定に調整される。
【0043】
高圧燃料室41内の燃料にベーパが発生すると,そのベーパは,高圧燃料室41の天井面41fに沿って上昇して,高圧燃料通路71の上流端71aより高い位置を占める圧力レギュレータRの弁室入口73aに集まることになる。その結果,前述のように,弁体68の開弁時,高圧燃料室41の過剰圧力燃料と共に弁室入口73aから弁室73に移行し,燃料タンクTに排出されることになる。したがって,高圧燃料通路71のベーパロックを防いで,エンジンEの,特に熱間始動性の向上を図ることができる。
【0044】
一方,低圧燃料室40内の燃料にベーパが発生すると,そのベーパは下部ポンプハウジング半体1aの傾斜した下面1afに沿って上昇しながらベーパセパレータ室65に移る。またポンプ室5内で発生したベーパは,下部ポンプハウジング半体1aのベーパ排出孔85を通して低圧燃料室40に排出され,同じく下部ポンプハウジング半体1aの傾斜した下面1afに沿って上昇しながらベーパセパレータ室65に移る。ベーパセパレータ室65に移ったこれらベーパは,更に上昇して該室65の上部に集り,そして圧力レギュレータRから排出される過剰圧力燃料と合流し,燃料戻し導管83を経て燃料タンクT内に排出される。こうして低圧燃料室40からもベーパが排除されるので,燃料ポンプPには,ベーパを含まない良好な燃料を吸入させることができる。
【0045】
また圧力レギュレータRからの過剰圧力燃料と,ベーパセパレータ室65のベーパとを,共通1本の燃料戻し導管83を通して燃料タンクTに排出することで,燃料供給モジュールA及び燃料タンクT間の配管の簡素化を図ることができる。
【0046】
燃料供給モジュールAに組み立てに際して,先ず,カプラベース56の単体時に,接続端子57の内端に電動モータMのステータコイル13から延びるリード線13aを接続しておく。したがって,その接続作業は,アウタハウジング37や燃料ポンプPに全く邪魔されることなく容易に能率良く行うことができ,その接続作業の自動化も可能となる。その後,カプラベース56に燃料ポンプP,電動モータM,上部アウタハウジング半体37b及び下部アウタハウジング半体37bを順次組み付けいく。
【0047】
上記接続端子57の内端は高圧燃料室41に露出することになるが,該端子57はカプラベース56に埋設されているので,該端子57とカプラベース56との密着が強力で,高圧燃料室41の燃料の接続端子57周りへの浸入を防ぐことができる。
【0048】
また万一,接続端子57とカプラベース56との間に高圧燃料室41の燃料が浸入したとしても,接続端子57の中間部がカプラベース56の開口部52を通して低圧燃料室40に臨んでいるので,上記浸入燃料は,低圧の開口部52側へ移行して,低圧燃料室40に排出される。したがって,カプラ55の接続口55aへの燃料リークを防ぐことができる。しかも開口部52からのリーク燃料を受ける低圧燃料室40は,燃料タンクTから受け入れた燃料を燃料ポンプPに吸入させるところであるから,リーク燃料を貯留する特別な場所を用意する必要がないばかりか,そのリーク燃料は再び燃料ポンプPに吸入されることになり,無駄がない。
【0049】
またポンプ室5を有する上部ポンプハウジング半体1bにはモータ支持部20が一体成形され,このモータ支持部20の外周に電動モータMのステータ10が固定されると共に,その内周でアウタロータ11の出力軸16の両端部が一対の軸受21,22を介して支承されるので,ポンプ室5に嵌装されるポンプインペラ6及び出力軸16の,集積製作誤差による同軸性の狂いを防ぐことができ,したがって製作を容易にしつゝポンプインペラ6及び出力軸16の同軸精度を高めて,ポンプインペラ6の連結孔6aと出力軸16の先端部16aとの嵌合隙間を小さくし,その嵌合部の叩き摩耗や振動を防ぐことができ,同時に出力軸16の支持を安定させてアウタロータ11の回転振動や軸受23,24の偏摩耗を防ぐことができる。
【0050】
しかも電動モータMは,これをポンプハウジング1のモータ支持部20に取り付けたとき,燃料ポンプPとの連結が完了するので,その時点で電動モータM及び燃料ポンプPの性能検査を行うことができ,合理的である。
【0051】
本発明は,上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を変更することなく種々の設計変更が可能である。例えば,下部及び上部ポンプハウジング半体1a,1bを合成樹脂製とすることもできる。
【0052】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1の特徴によれば,アウタハウジングに,燃料ポンプと,この燃料ポンプを駆動する電動モータと,燃料ポンプの吸入ポート及び吐出ポートの各外端がそれぞれ開口する低圧燃料室及び高圧燃料室と,この高圧燃料室の圧力が規定値以上になると,開弁して過剰圧力分の燃料をアウタハウジングの上方に配置される燃料タンクに戻す圧力レギュレータとを備え,低圧燃料室には燃料タンクの燃料出口を連通し,高圧燃料室には,エンジンの燃料噴射弁に連なる高圧燃料通路を接続したエンジン用燃料供給モジュールにおいて,前記圧力レギュレータの弁室入口を,前記高圧燃料通路の上流端の上方で高圧燃料室に開口したので,高圧燃料室の燃料中にベーパが発生した場合には,そのベーパを圧力レギュレータの弁室入口に集めて,これを,圧力レギュレータを通過する過剰圧力燃料と共に燃料タンク内に排出することができ,したがって高圧燃料通路のベーパロックを防いで,エンジンの,特に熱間始動性の向上を図ることができる。
【0053】
また本発明の第2の特徴によれば,第1の特徴に加えて,前記アウタハウジングには,前記低圧燃料室から上方に延びて,前記圧力レギュレータの燃料出口孔に上端部を接続するベーパセパレータ室を設け,このベーパセパレータ室の上端部に集まったベーパを,前記圧力レギュレータから排出される過剰圧力燃料と共に燃料タンクに排出するようにしたので,低圧燃料室内の燃料にベーパが発生した場合には,そのベーパをベーパセパレータ室の上部に集めて,燃料ポンプには,ベーパを含まない良好な燃料を吸入させることができる。しかもベーパセパレータ室のベーパは,圧力レギュレータから排出する過剰圧力燃料と共に燃料タンク内に排出されるので,それらの排出のためには1本の燃料戻し導管で足り,燃料供給モジュール及び燃料タンク間の配管の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料供給モジュールを装着した自動二輪車用エンジンの要部縦断側面図
【図2】上記燃料供給モジュールの縦断面図
【図3】図2の要部拡大図
【図4】図2の4−4線断面図
【図5】図2の5−5線断面図
【符号の説明】
A・・・・・燃料供給モジュール
E・・・・・エンジン
I・・・・・燃料噴射弁
M・・・・・電動モータ
P・・・・・燃料ポンプ
R・・・・・圧力レギュレータ
T・・・・・燃料タンク
1・・・・・ポンプハウジング
2・・・・・吸入ポート
3・・・・・吐出ポート
37・・・・アウタハウジング
40・・・・低圧燃料室
41・・・・高圧燃料室
65・・・・ベーパセパレータ室
71・・・・高圧燃料通路
71a・・・高圧燃料通路の上流端
73・・・・圧力レギュレータの弁室
73a・・・圧力レギュレータの弁室入口
73b・・・圧力レギュレータの弁室出口
Claims (2)
- アウタハウジング(37)に,燃料ポンプ(P)と,この燃料ポンプ(P)を駆動する電動モータ(M)と,燃料ポンプ(P)の吸入ポート(2)及び吐出ポート(3)の各外端がそれぞれ開口する低圧燃料室(40)及び高圧燃料室(41)と,この高圧燃料室(41)の圧力が規定値以上になると,開弁して過剰圧力分の燃料をアウタハウジング(37)の上方に配置される燃料タンク(T)に戻す圧力レギュレータ(R)とを備え,低圧燃料室(40)には燃料タンク(T)の燃料出口を連通し,高圧燃料室(41)には,エンジン(E)の燃料噴射弁(I)に連なる高圧燃料通路(71)を接続したエンジン用燃料供給モジュールにおいて,
前記圧力レギュレータ(R)の弁室入口(73a)を,前記高圧燃料通路(71)の上流端(71a)の上方で高圧燃料室(41)に開口したことを特徴とする,エンジン用燃料供給モジュール。 - 請求項1記載のエンジン用燃料供給モジュールにおいて,
前記アウタハウジング(37)には,前記低圧燃料室(40)から上方に延びて,前記圧力レギュレータ(R)の弁室出口(73b)に上端部を接続するベーパセパレータ室(65)を設け,このベーパセパレータ室(65)の上端部に集まったベーパを,前記圧力レギュレータ(R)からの排出燃料と共に燃料タンク(T)に排出するようにしたことを特徴とする,エンジン用燃料供給モジュール。
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