JP2004137622A - 高密度織物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】合成樹脂が塗付された高密度織物であり、該高密度織物は、合成繊維マルチフィラメントを用いて製織されており、該合成樹脂の塗付量が0.5〜10.0g/m2であり、カバーファクターが2100〜2600であり、通気度指数A(50/40)が1.5以下であることを特徴とする高密度織物。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車用安全装置の一つであるエアバッグ用織物に関するものであり、更に詳しくは、必要な機械的特性を保持しつつ、高圧時の通気度特性が変化しにくい高密度織物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車安全部品の一つとしてのエアバックは乗員の安全意識の向上に伴い、急速に装着率が向上している。エアバックは自動車の衝突事故の際、衝撃をセンサーが感知し、インフレーターから高温、高圧のカ゛スを発生させ、このカ゛スによってエアバックを急激に展開させ、乗員保護に役立つものである。
【0003】
従来、エアバックにはクロロプレン、クロルスルフォン化オレフィン、シリコーンなどの合成ゴムが塗布された基布が、耐熱性、空気遮断性(通気度)、難燃性の目的から使用されていた。
【0004】
しかしながら、これらのコーテイング基布は基布重量の増加、柔軟性の低下、製造コストの増加、リサイクルが難しいのため、エアバック用基布に使用するには不具合な点が多かった。現在でも一部で使用されているシリコーンコーティング基布は上記不具合点がかなり改善されてはきたが、まだ満足できるものではない。
【0005】
そこで、最近はコーテイングを施さないノンコートエアバック用基布が主流になっており、軽量で良好な収納性と低通気度化のために様々な提案がなされている。このような現状において、乗員のエアバック展開時初期拘束性及び乗員への衝撃性を低減させるため、更なる低通気性及び軽量性を有するエアバック基布が求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の方法では解決できていない樹脂塗布量を少なくした時の高圧時の通気特性が大きくなることを抑え、軽量で安定した織物強度物性と高差圧下での低通気特性を有する低通気性織物を得ることによりエアバッグに適した高密度織物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来の方法では達成できなかった課題を解決するために、鋭意検討した結果、高圧時の低通気性能を維持するためには、カバーファクターを大きくした時には、塗布する樹脂の破断伸度を大きくすることで通気度指数A(a/b)が1.5以下の高密度織物を得ることができることを見出し本発明に到達した。すなわち、本発明の第1は、合成樹脂が塗付された高密度織物であり、該高密度織物は、合成繊維マルチフィラメントを用いて製織されており、該合成樹脂の塗付量が0.5〜10.0g/m2であり、(式1)によるカバーファクターが2100〜2600であり、(式2)による通気度指数A(50/40)が1.5以下であることを特徴とする高密度織物であり、
カバーファクタ−=√(経糸繊度 dtex)×(経糸密度 本/inch)+√(緯糸繊度 dtex)×(緯糸密度 本/inch) ―――(式1)
Α(50/40)=log(P50/P40)/log(B50/B40)
―――(式2)
A(50/40):50(kPa)及び40(kPa)差圧下の通気度より計算される通気度指数。
B50:50(差圧kPa)
B40:40(差圧kPa)
50:差圧50(kPa)時の通気度(L/cm2/min.)
P40:差圧40(kPa)時の通気度(L/cm2/min.)
【0008】
その第2は、50kPa差圧下の通気度(P50)が0.5L/cm2/min.以下 である請求項1記載の高密度織物であり、
【0009】
その第3は、合成樹脂の破断伸度が400%以上である請求項1または2記載の高密度織物であり、
【0010】
その第4は、通気度指数A(50/40)が1.2以下である請求項1乃至3のいずれかに記載の高密度織物であり、
【0011】
その第5は、P50が0.5L/cm2/min.以下 である請求項1乃至4のいずれかに記載の高密度織物であり、
【0012】
その第6は、合成樹脂の破断伸度が600%以上である請求項1乃至5のいずれかに記載の高密度織物である。
【0013】
ここで本発明のエアバッグに適した高密度織物の特徴を詳細に説明すると、織物に塗布される樹脂は、ポリエステル系ウレタン、ポリエーテル系ウレタン、ポリエステル、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド、ポリアミド系エラストマー、シリコン系ゴム等を用いることができるがこの限りでない。本発明に塗布される樹脂の量は、0.5〜10g/m2である事が望ましい。更に望ましくは、1〜7g/m2である。0.5g/m2未満であると、低通気度が得られなくなり、10g/m2を超えると高密度織物の剛軟度が高くなり良くない。低圧域での初期の通気度は、樹脂の塗布量に反比例する。本発明の樹脂の塗布方法は、溶剤で希釈し塗布しても、水系のエマルジョンとし含侵した後、100〜160℃で乾燥すれば良い。但し、塗布方法は、限定するものでなく、既存の方法を用いることができる。また、乾燥温度も特に限定するものでない。
【0014】
本発明の高密度織物は、40kPa及び50kPa差圧における通気度より式1で求めた通気度指数が1.5以下であことが好ましい。更に好ましくは、通気度指数が1.2以下である。通気度指数が、1.5を超えると、高圧時の通気度が大きくなり、通気度性能が好ましくない。通気度指数のコントロールは、使用樹脂の破断伸度及び高密度織物のカバーファクターと密接な関係があり、カバーファクターを大きくすると塗布する樹脂の伸度を大きくすることが高圧時の低通気性を維持するためには必要となる。
【0015】
本発明におけるカバーファクターは、2100〜2600である事が好ましい、更に好ましくは、2200〜2500である。カバーファクターが、2100未満であると樹脂塗布量を小さくして低通気な織物が得られず良くない、カバーファクターが、2600を超えると製織時のトラブルが多くなり生産性が低下して好ましくない。
【0016】
本発明に用いられる熱可塑性繊維の沸水収縮率は、5〜15%で有ることが必要である。沸水収縮率が、5%より小さいと低通気度が得られず、15%より大きいと収縮後の織物の厚さが厚くなりコンパクト性を損ねることとなり良くない。沸水収縮率の値は、5〜15%程度の物を用いるのが好ましいが、さらに好ましくは、8〜12%である。
【0017】
本発明における加熱処理温度は特に規定するものではなく、通常100〜200℃で実施する、好ましくは、160℃以下で処理をするのが低通気性を得るのにはよい。処理は、ヒートセッター、沸水バス等特に規定はしない。処理時の経緯に対するオーバーフィード率は、適時設定される。
【0018】
製織の仕方としては特に限定するものではないが、基布物性の均一性を勘案すると平織りが良く、織機は、エアージェットルーム、レピアルーム、ウオータージェットルーム等特に限定するものでない。
【0019】
本発明におけるエアバッグを構成する熱可塑性繊維としては、特に素材を限定するものではないが、特にナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン12等の脂肪族ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレートやポロブチレンテレフタレートなどのホモポリエステルが使用されるが特に限定するものではない。ただし、経済性や耐衝撃性を勘案するとナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、が特に好ましい。また、これらの合成繊維には原糸製造工程や後加工工程での工程通過性を向上させるために、各種添加剤を含有または付与していても何ら問題はない。例えば、酸化防止剤、熱安定剤、平滑剤、帯電防止剤、難燃剤等である。
【0020】
また、使用する原糸の総繊度および単糸繊度は総繊度が100〜550dtex、単糸繊度が6dtex以下が良い。好ましくは総繊度150dtex〜470dtex、単糸繊度4.4dtex以下である。更に好ましくは、総繊度200dtex〜400dtex、単糸繊度3.3dtex以下である。すなわち、総繊度が100dtex未満場合にはその部分での引張強力及び引裂強力が不足し、550dtexを超える場合には織物の柔軟性が損なわれ、収納性にとって不利になる。単糸繊度が6dtexを超える場合には、これも織物の柔軟性が損なわれ、収納性にとって不利になる。
【0021】
【実施例】
次に実施例により、本発明を更に詳しく説明する。なお、実施例中の物性は下記の方法で測定した。
【0022】
通気度(50kPa及び40kPa 差圧下):高圧通気度測定機を用い差圧50kPa及び40kPaで通気度を測定した。
【0023】
沸水収縮率:JIS L1013 熱水収縮率B法 100℃
【0024】
織密度:JIS L1096 6.6
【0025】
破断強度及び破断伸度:JIS L1096 6.12 A法
【0026】
合成樹脂の破断伸度:フィルム厚さ100〜200μm(室温乾燥後、140℃で5分乾燥し作成)を用い測定。
【0027】
実施例1〜実施例8及び比較例1〜比較例6
経糸及び緯糸に表1に示す物性のナイロン66原糸(沸水収縮率=9.5%)を用い、ウオータージェットルームで平織物を製織後、沸水にて収縮加工し、130℃で乾燥仕上げし、ノンコート高密度織物を得た。この高密度織物に表1に示すポリウレタン樹脂を含侵塗布し140℃で乾燥した物の評価結果を表1〜2に示す。
【0028】
表1〜2の結果より、本発明の高密度織物が、高圧差圧下で優れた低通気度特性を有していることが分る。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】
本発明は、エアバッグ用織物として必要な軽量で安定した織物強度物性と高差圧下における低通気性能を有する低通気織物を得ることにができエアバッグに適した高密度織物を提供することにある。
Claims (6)
- 合成樹脂が塗付された高密度織物であり、該高密度織物は、合成繊維マルチフィラメントを用いて製織されており、該合成樹脂の塗付量が0.5〜10.0g/m2であり、(式1)によるカバーファクターが2100〜2600であり、(式2)による通気度指数A(50/40)が1.5以下であることを特徴とする高密度織物。
カバーファクタ−=√(経糸繊度 dtex)×(経糸密度 本/inch)+√(緯糸繊度 dtex)×(緯糸密度 本/inch) ―――(式1)
Α(50/40)=log(P50/P40)/log(B50/B40) ―――(式2)
A(50/40):50(kPa)及び40(kPa)差圧下の通気度より計算される通気度指数。
B50:50(差圧kPa)
B40:40(差圧kPa)
P50:差圧50(kPa)時の通気度(L/cm2/min.)
P40:差圧40(kPa)時の通気度(L/cm2/min.) - 50kPa差圧下の通気度(P50)が0.5L/cm2/min.以下 である請求項1記載の高密度織物。
- 合成樹脂の破断伸度が400%以上である請求項1または2記載の高密度織物。
- 通気度指数A(50/40)が1.2以下である請求項1乃至3のいずれかに記載の高密度織物。
- P50が0.5L/cm2/min.以下 である請求項1乃至4のいずれかに記載の高密度織物。
- 合成樹脂の破断伸度が600%以上である請求項1乃至5のいずれかに記載の高密度織物。
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WO2012026455A1 (ja) * | 2010-08-23 | 2012-03-01 | 旭化成せんい株式会社 | エアバッグ用基布 |
JP5100895B2 (ja) * | 2010-08-23 | 2012-12-19 | 旭化成せんい株式会社 | エアバッグ用基布 |
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