JP2004137438A - 1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シート - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた熱伝導性を有する1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及びそれを用いて常温で作製できる熱伝導性シートを提供する。
【解決手段】バインダ樹脂が変成シリコーン/エポキシ混合樹脂からなる1液湿気硬化形樹脂組成物を用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】バインダ樹脂が変成シリコーン/エポキシ混合樹脂からなる1液湿気硬化形樹脂組成物を用いる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
優れた熱伝導性を有する1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及びそれを用いて常温で作製できる熱伝導性シートを提供する。
【0002】
【従来の技術】
これまで、熱伝導性樹脂組成物として、シリコーンゴムやシリコーンオイルをベースとした材料に、比較的熱伝導性の高い充填材を充填させた樹脂組成物が知られている。このような熱伝導性樹脂組成物は、電気・電子部品からの発熱を放熱させる目的で使用されている。しかしながら、電子部品等の発熱体と放熱フィンとの間に使用した場合、柔軟性で形状追従性が優れ効果的に熱伝導を行うことができるが、強度が弱いため取扱い作業性に難点があた。
【0003】
このような欠点を改良するために、種々の改良案が提案されているが、性能、価格面でかならずしも十分な熱伝導性樹脂組成物及びそれを用いた熱伝導性シートが得られていない。
【0004】
例えば、特開平10−189838号公報ではシリコーンゴムシートをより柔らかくし形状追従性を改善することが提案されている。すなわち、縮合硬化型の液状シリコーンゲルがバインダとして使用されている。しかしながら、この方法により形状追従性は改善されたが、官能基を持たない低分子量成分が揮発しやすく電子部品の動作に悪影響を及ぼすといった新たな問題が生じている。
【0005】
一方、またシリコーンを含まないバインダ樹脂を用いた例として、ウレタン系樹脂をバインダとして使用した熱伝導性シートが提案されている。(特開平11−111899号公報、特開2002−30212号公報など)。たとえば、特開2002−30212号公報では、バインダ樹脂として、アクリル系ポリウレタン樹脂を用いることにより、熱伝導性及び形状追従性に優れる熱伝導性シートが提案されている。しかしながら、製造工程で120℃程度の加熱を要するなど連続生産性に難点がある。
【0006】
さらにまた、反応性高分子化合物とこれと反応する化合物に熱伝導性充填材を分散させ、形状追従性を改善するために発泡体とする提案(特開2002−3732号公報)もあるが、発泡のための加熱工程を必要とするなど製造工程面で課題を残している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に鑑み、優れた熱伝導性とともに、形状追従性を兼ね備え生産性に優れる1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シートに関する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は次のものに関する。
(1)(A)バインダ樹脂と、該バインダ樹脂中に分散せしめられた(B)熱伝導性充填材とを含む熱伝導性シートであって、前記バインダ樹脂が変成シリコーン/エポキシ混合樹脂組成物からなる1液湿気硬化型樹脂である1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シート。
(2)前記変成シリコーン/エポキシ混合樹脂組成物が、(a)変成シリコーン樹脂、(b)変成シリコーン樹脂硬化用触媒、(c)エポキシ樹脂、(d)エポキシ樹脂用硬化剤からなる1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シート。
(3)(d)エポキシ樹脂用硬化剤が親水性ケチミンである1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シート。
(4)(a)変成シリコーン樹脂と(c)エポキシ樹脂の混合比100/0〜50/50であって、(b)変成シリコーン樹脂硬化用触媒は、(a)変成シリコーン樹脂100重量部に対して、1〜25重量部、(d)エポキシ樹脂用硬化剤は、(c)エポキシ樹脂100重量部に対して、5〜300重量部である1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シート。
(5)(B)熱伝導性充填材が、無機充填材の粒子である1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シート。
(6)(A)バインダ樹脂に対する(B)熱伝導性充填材の配合割合が、体積分率で、15〜75%の範囲である1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シート。
(7)前記熱伝導性シートが無溶剤プロセスによって製造されることを特徴とする1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シート。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において用いる(a)変成シリコーン樹脂とは、下記化1で示される加水分解性けい素官能基を末端に有するポリエーテル共重合体である。該変成シリコーン樹脂は、硬化した1液湿気硬化型組成物に可撓性を賦与し、形状追従性発現に有効である。なお、末端以外の骨格部分は、エーテル結合を有するものであれば、任意であるが、一般的にはポリオキシアルキレンエーテルである。
【化1】
(式中、R1は炭素数1〜12のアルキル基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは0〜2の整数である。)
このような変成シリコーン樹脂の具体例としては、ポリ(メチルジメトキシシリルエーテル)等があろ。本発明においては、変成シリコーン樹脂として一般的に市販されているものであれば、どのようなものでも使用することができる。
【0010】
本発明で用いる(b)変成シリコーン樹脂硬化用触媒は、上記変成シリコーン樹脂を湿気硬化させるための触媒であって、この作用を有するものであれば特に限定しないが、一般的には、オクチル酸錫、ステアリン酸錫、ナフテン酸鉄、オクチル酸鉛などの金属有機カルボン酸塩、ジ−n−ブチル錫−ジラウレート、ジ−n−ブチル錫−ジラウレート、ジ−n−ブチル錫−ジフタレートなどの有機錫、アルキルチタン酸塩などが単独もしくは混合して用いられる。
【0011】
本発明で用いる(c)エポキシ樹脂としては、硬化して良好な接着性を示すものであれば特に限定しないが、一般に知られているエポキシ樹脂を用いることができる。具体的にはビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビフェニール等とエピクロールヒドリンを反応させて得られる、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等や、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリブタジエンあるいはNBRを含有するゴム変性エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、メタキシレンジアミンやヒダントインなどをエポキシ化した含窒素エポキシ樹脂等を単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
【0012】
本発明で用いる(d)エポキシ樹脂用硬化剤としては、常温湿気硬化ができる硬化剤が挙げられ、水分によって分解して生成した一級アミンがエポキシ樹脂の硬化剤となるケチミンや、同様に水分によってアミノ基を生成しエポキシ樹脂の硬化剤となるオキサゾリジンを用いることができる。
【0013】
本発明における(a)変成シリコーン樹脂と(c)エポキシ樹脂の混合比は、常温近くで均一に混合できる範囲として、100/0から50/50である。エポキシ樹脂の割合が50重量部より多くなると、約60℃程度以上でないと均一混合が得られないため、加熱混合装置が必要となる。
【0014】
本発明における(B)熱伝導性充填材は、熱伝導性充填材であれば特に限定しないが、好適には、酸化アルミニウム、二酸化珪素、二酸化チタンなどの酸化物粒子、窒化ホウ素、窒化珪素、窒化アルミニウムなどの窒化物粒子、炭化珪素などの炭化物粒子、銅、アルミニウムなどの金属粒子を用いることができる。これらの無機充填材の粒子は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0015】
使用する熱伝導性充填材の粒子の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、針状、繊維状、平板状、鱗片状などの粒子である。また、かかる粒子の寸法(平均粒径)は、通常、約1〜200μmの範囲であり、好ましくは約10〜100μmの範囲である。充填材粒子の粒径が1μmを下回ると、シートの製造が煩雑になったり、バインダ樹脂中に充填材粒子を均一に分散させることが困難になったりする。反対に、充填材粒子の粒径が200μmを上回ると、なるべく薄くしたいという要求とはうらはらに、熱伝導性シートの厚膜化を避けることができなくなる。なお、かかる熱伝導性充填材の粒子を使用する際に、もしも好適であるならば、同一種類の充填材粒子を異なる粒径で使用してもよく、さもなければ、異なる種類の充填材粒子を同一もしくは異なる粒径で使用してもよい。
【0016】
また、バインダ樹脂に対する熱伝導性充填材の配合量は、その充填材に求められている添加の効果などに応じて広く変更することができるというものの、通常、体積分率で、約15〜75%の範囲であるのが好ましい。充填材の配合量が15%より少ないと、熱伝導性が十分でなくなり、反対に75%を越えた場合には、1液湿気硬化形組成物が脆くなりシート化が困難になる。
【0017】
本発明において、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分、の各配合量は、以下のようであるのが好ましい。即ち、(b)成分である変成シリコーン樹脂硬化用触媒は、(a)変成シリコーン樹脂100重量部に対して、1〜25重量部であるのが好ましく、特に3〜10重量部であるのがより好ましい。変成シリコーン樹脂硬化用触媒が1重量部未満であると、1液湿気硬化形組成物の硬化速度が遅くなる傾向が生じる。また、変成シリコーン樹脂硬化用触媒が25重量部を超えても、1液湿気硬化形組成物の硬化速度の更なる向上は望めない。
【0018】(d)成分であるエポキシ樹脂用硬化剤は、(c)成分であるエポキシ樹脂100重量部に対して、5〜300重量部で、より好ましくは20〜200重量部である。エポキシ樹脂用硬化剤が5重量部未満であると、1液湿気硬化形組成物の硬化速度が遅くなる傾向が生じる。また、エポキシ樹脂用硬化剤が300重量部を超えると、貯蔵時においても、1液湿気硬化形組成物が硬化しやすくなり、貯蔵安定性が低下したり、或いは1液湿気硬化形組成物の可使時間が短くなる傾向が生じる。
【0019】
本発明に係る1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物中には、上記した(a),(b),(c)、及び(d)成分の他に、公知の無機充填材、粘性改良剤、可塑剤等の各種改質剤或いは添加剤を所望量配合しても良い。なお、この組成物は、1液湿気硬化型であるため、水分の配合は極力控えるのが好ましい。例えば、無機充填材等の改質剤や添加剤に水分が含まれている場合には、加熱や減圧等の手段で脱水するのが好ましい。
【0020】
本発明に係る1液湿気硬化形熱伝導性組成物用材料の配合法は、以下のとおりである。攪拌機、コンデンサー、加熱装置、減圧脱水装置、窒素気流装置を備えたプラネタリーミキサー、バタフライミキサー等を用い、該ミキサー中に(a)変成シリコーン樹脂及び(c)エポキシ樹脂を仕込む。窒素気流装置を用い、窒素還流下で、(B)熱伝導性充填材、及び所望により他の添加剤を配合し均質混合する。これらの混合工程では、用いる(c)エポキシ樹脂種、混合比等にもよるが(a)変成シリコーン樹脂との相溶性が不十分な場合には、加熱して混合される。この後、さらに(b)変成シリコーン樹脂硬化用触媒及び(d)エポキシ樹脂用硬化剤を配合し均質混合して、1液湿気硬化型熱伝導性組成物を得る。なお、b)変成シリコーン樹脂硬化用触媒及び(d)エポキシ樹脂用硬化剤を配合するにあたっては、混合物の温度が50℃以下程度に冷却した後に行うことが好ましい。
【0021】
本発明の熱伝導性シートは、上記の方法により得られた1液湿気硬化形熱伝導性組成物を用いて以下の方法により行うことができる。たとえば、該組成物を離型フィルム(例えば、シリコーン表面処理したポリエステルフィルム)の間に挟み、所定の厚みとなるように間隙を調整したプレス機で加圧しシート化する。得られたシート状物を室温で放置し熱伝導性シートを得る。
【0022】
また、他の方法としては、間隙を調整した2本の圧延ロールの間に1液湿気硬化型熱伝導性組成物を供給し連続的にシート化を行うこともできる。さらに、1液湿気硬化型熱伝導性組成物で芯材をサンドイッチするようにして圧延ロールの間を通過させることによって、積層構造の熱伝導性シートを製造することも可能である。
【0023】
本発明による熱伝導性シートの厚さは、通常、0.01〜3mmの範囲の薄膜状態で形成することができる。シートの厚さが0.01mmを下回ると、十分な接着強度を得ることが困難になり、結果として十分な放熱性を得ることができない。また、反対に3mmを上回ると、熱伝導性シートの熱抵抗が大きくなり、放熱性が損なわれる結果となる。
【0024】
本発明における熱伝導性シートの発熱体への取付けは、1)自己粘着性を用いる。2)熱伝導性粘着シートを用いる。等の方法で行うことができる。例えば、PDPへの取付けを例に示すと、熱伝導シートを熱伝導性粘着シートを介して、PDPの背面に取り付けることができる。また、硬化型熱伝導性組成物を接着剤として用いることにより熱伝導シートをPDP背面に取付けることができる。この方法は、金属等の放熱体を平面でなく3次元的に複雑な形状をした発熱体に取付ける場合に特に有効である。
なお、本発明においては、熱伝導性組成物を発熱体へ直接塗付等の方法により配置することもできる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0026】
実施例1
変成シリコーン樹脂(鐘淵化学工業株式会社製、商品名MSポリマー SAT030)80重量部、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社、商品名エピコート828)20重量部、熱伝導性充填材として窒化ホウ素(昭和電工株式会社製、平均粒径、10ミクロン)150重量部を、攪拌機、コンデンサー、減圧脱水装置、窒素気流装置を備えた50リットルのプラネタリーミキサー中にて、25℃で15Torr及び2時間の条件下で減圧・加熱し、均一になるまで撹拌混合した。均一になった後、ケチミン(ジャパンエポキシレジン株式会社、エピキュアH−30)10重量部、変成シリコーン樹脂硬化用触媒としてジブチル錫化合物(三共有機合成株式会社製、商品名スタンNo.918)1.6重量部加え、減圧撹拌して1液湿気硬化形熱伝導性組成物を製造した。なお、この1液湿気硬化型組成物の配合割合を、表1に示した。表1中の配合割合は、いずれも重量部である。次ぎに、該方法により得られた1液湿気硬化形熱伝導性組成物を1mmの間隙に調整した2本の圧延ロール(ロール径;100mm、ロール面長70cm)の間に供給し、室温にて連続的にシート化を行い、さらに該シートをポリエチレンフィルム製の離型紙とラミネートし長さ約100mmに巻き取った。室温でやく1日放置した後、その一部を切り出して熱伝導性評価を行った。結果を表1に併記した。以下の実施例、比較例においても同様にシート化を行い、測定に供した。
【0027】
実施例2
変成シリコーン樹脂(鐘淵化学工業株式会社製、商品名MSポリマー SAT030)70重量部、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社、商品名エピコート828)30重量部に変更した他は、実施例1と同様にして、1液湿気硬化型組成物を得た。ただし、変成シリコーン樹脂硬化用触媒は、変成シリコーン樹脂100重量部に対して2重量部し、エポキシ樹脂用硬化剤は、エポキシ樹脂100重量部に対して50重量部とした。以下、実施例3〜6及び比較例1および2においても同様に配合した。
【0028】
実施例3
変成シリコーン樹脂(鐘淵化学工業製、商品名MSポリマー SAT030)60重量部、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社、商品名エピコート828)40重量部に変更した他は、実施例1と同様にして、1液湿気硬化型組成物を得た。
【0029】
実施例4
窒化ホウ素(昭和電工株式会社製、平均粒径、10ミクロン)の量を表1に示したように、200重量部に変更した他は、実施例2と同様にして、1液湿気硬化型組成物を得た。
【0030】
実施例5
熱伝導性充填材を、アルミナ(昭和電工株式会社製、AS−50)250重量部に変更した他は、実施例2と同様にして、1液湿気硬化型組成物を得た。
【0031】
実施例6
熱伝導性充填材を、アルミナ(昭和電工株式会社製、AS−50)400重量部に変更した他は、実施例2と同様にして、1液湿気硬化型組成物を得た。
【0032】
比較例1
変成シリコーン樹脂(鐘淵化学工業製株式会社製、商品名MSポリマー303)30重量部、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社、商品名エピコート828)70重量部、に変更した他は、実施例1と同様にして、1液湿気硬化型組成物を得た。変成シリコーン樹脂とエポキシ樹脂を均一混合するためには、約70℃に加熱することが必要であった。
【0033】
比較例2
変成シリコーン樹脂(鐘淵化学工業株式会社製、商品名MSポリマー303)30重量部、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社、商品名エピコート828)70重量部、に変更した他は、実施例5と同様にして、1液湿気硬化型組成物を得た。比較例2と同様に変成シリコーン樹脂とエポキシ樹脂を均一混合するためには、約70℃に加熱することが必要であった。
【0034】
上記実施例及び比較例で得られた樹脂組成物及び熱伝導性シートについて、下
記の性能評価を行い、その結果を
【表1】に示した。
(1)熱伝導率:京都電子工業社製熱伝導率測定装置「QTM−D3」を用いて測定した。
(2)硬度:テクロック社製硬度計「ショアーD タイプ」を用い、室温にて測定した。
【0035】
【表1】
(a)変成シリコーン樹脂:鐘淵化学工業株式会社製、商品名MSポリマーSAT030
(b)変成シリコーン樹脂硬化用触媒(ジブチル錫化合物):三共有機合成株式会社製、商品名スタンNo.918
(c)エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン株式会社、商品名エピコート828
(d)エポキシ樹脂用硬化剤(ケチミン):ジャパンエポキシレジン株式会社、エピキュアH−30
(B)熱伝導性充填材
窒化ホウ素:昭和電工株式会社製、平均粒径、10ミクロン
アルミナ :昭和電工株式会社製、AS−50、平均粒径、5ミクロン
【0036】
【発明の効果】
本発明の1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及びそれを用いて作製する熱伝導性シートは、優れた熱伝導率を有する。シート化は常温にて可能なため、製造価格面でも有利である。またシートサイズも大きくとれるため、用いる対象も大面積を必要とする用途に有利である。
【発明の属する技術分野】
優れた熱伝導性を有する1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及びそれを用いて常温で作製できる熱伝導性シートを提供する。
【0002】
【従来の技術】
これまで、熱伝導性樹脂組成物として、シリコーンゴムやシリコーンオイルをベースとした材料に、比較的熱伝導性の高い充填材を充填させた樹脂組成物が知られている。このような熱伝導性樹脂組成物は、電気・電子部品からの発熱を放熱させる目的で使用されている。しかしながら、電子部品等の発熱体と放熱フィンとの間に使用した場合、柔軟性で形状追従性が優れ効果的に熱伝導を行うことができるが、強度が弱いため取扱い作業性に難点があた。
【0003】
このような欠点を改良するために、種々の改良案が提案されているが、性能、価格面でかならずしも十分な熱伝導性樹脂組成物及びそれを用いた熱伝導性シートが得られていない。
【0004】
例えば、特開平10−189838号公報ではシリコーンゴムシートをより柔らかくし形状追従性を改善することが提案されている。すなわち、縮合硬化型の液状シリコーンゲルがバインダとして使用されている。しかしながら、この方法により形状追従性は改善されたが、官能基を持たない低分子量成分が揮発しやすく電子部品の動作に悪影響を及ぼすといった新たな問題が生じている。
【0005】
一方、またシリコーンを含まないバインダ樹脂を用いた例として、ウレタン系樹脂をバインダとして使用した熱伝導性シートが提案されている。(特開平11−111899号公報、特開2002−30212号公報など)。たとえば、特開2002−30212号公報では、バインダ樹脂として、アクリル系ポリウレタン樹脂を用いることにより、熱伝導性及び形状追従性に優れる熱伝導性シートが提案されている。しかしながら、製造工程で120℃程度の加熱を要するなど連続生産性に難点がある。
【0006】
さらにまた、反応性高分子化合物とこれと反応する化合物に熱伝導性充填材を分散させ、形状追従性を改善するために発泡体とする提案(特開2002−3732号公報)もあるが、発泡のための加熱工程を必要とするなど製造工程面で課題を残している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に鑑み、優れた熱伝導性とともに、形状追従性を兼ね備え生産性に優れる1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シートに関する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は次のものに関する。
(1)(A)バインダ樹脂と、該バインダ樹脂中に分散せしめられた(B)熱伝導性充填材とを含む熱伝導性シートであって、前記バインダ樹脂が変成シリコーン/エポキシ混合樹脂組成物からなる1液湿気硬化型樹脂である1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シート。
(2)前記変成シリコーン/エポキシ混合樹脂組成物が、(a)変成シリコーン樹脂、(b)変成シリコーン樹脂硬化用触媒、(c)エポキシ樹脂、(d)エポキシ樹脂用硬化剤からなる1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シート。
(3)(d)エポキシ樹脂用硬化剤が親水性ケチミンである1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シート。
(4)(a)変成シリコーン樹脂と(c)エポキシ樹脂の混合比100/0〜50/50であって、(b)変成シリコーン樹脂硬化用触媒は、(a)変成シリコーン樹脂100重量部に対して、1〜25重量部、(d)エポキシ樹脂用硬化剤は、(c)エポキシ樹脂100重量部に対して、5〜300重量部である1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シート。
(5)(B)熱伝導性充填材が、無機充填材の粒子である1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シート。
(6)(A)バインダ樹脂に対する(B)熱伝導性充填材の配合割合が、体積分率で、15〜75%の範囲である1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シート。
(7)前記熱伝導性シートが無溶剤プロセスによって製造されることを特徴とする1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シート。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において用いる(a)変成シリコーン樹脂とは、下記化1で示される加水分解性けい素官能基を末端に有するポリエーテル共重合体である。該変成シリコーン樹脂は、硬化した1液湿気硬化型組成物に可撓性を賦与し、形状追従性発現に有効である。なお、末端以外の骨格部分は、エーテル結合を有するものであれば、任意であるが、一般的にはポリオキシアルキレンエーテルである。
【化1】
(式中、R1は炭素数1〜12のアルキル基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは0〜2の整数である。)
このような変成シリコーン樹脂の具体例としては、ポリ(メチルジメトキシシリルエーテル)等があろ。本発明においては、変成シリコーン樹脂として一般的に市販されているものであれば、どのようなものでも使用することができる。
【0010】
本発明で用いる(b)変成シリコーン樹脂硬化用触媒は、上記変成シリコーン樹脂を湿気硬化させるための触媒であって、この作用を有するものであれば特に限定しないが、一般的には、オクチル酸錫、ステアリン酸錫、ナフテン酸鉄、オクチル酸鉛などの金属有機カルボン酸塩、ジ−n−ブチル錫−ジラウレート、ジ−n−ブチル錫−ジラウレート、ジ−n−ブチル錫−ジフタレートなどの有機錫、アルキルチタン酸塩などが単独もしくは混合して用いられる。
【0011】
本発明で用いる(c)エポキシ樹脂としては、硬化して良好な接着性を示すものであれば特に限定しないが、一般に知られているエポキシ樹脂を用いることができる。具体的にはビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビフェニール等とエピクロールヒドリンを反応させて得られる、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等や、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリブタジエンあるいはNBRを含有するゴム変性エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、メタキシレンジアミンやヒダントインなどをエポキシ化した含窒素エポキシ樹脂等を単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
【0012】
本発明で用いる(d)エポキシ樹脂用硬化剤としては、常温湿気硬化ができる硬化剤が挙げられ、水分によって分解して生成した一級アミンがエポキシ樹脂の硬化剤となるケチミンや、同様に水分によってアミノ基を生成しエポキシ樹脂の硬化剤となるオキサゾリジンを用いることができる。
【0013】
本発明における(a)変成シリコーン樹脂と(c)エポキシ樹脂の混合比は、常温近くで均一に混合できる範囲として、100/0から50/50である。エポキシ樹脂の割合が50重量部より多くなると、約60℃程度以上でないと均一混合が得られないため、加熱混合装置が必要となる。
【0014】
本発明における(B)熱伝導性充填材は、熱伝導性充填材であれば特に限定しないが、好適には、酸化アルミニウム、二酸化珪素、二酸化チタンなどの酸化物粒子、窒化ホウ素、窒化珪素、窒化アルミニウムなどの窒化物粒子、炭化珪素などの炭化物粒子、銅、アルミニウムなどの金属粒子を用いることができる。これらの無機充填材の粒子は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0015】
使用する熱伝導性充填材の粒子の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、針状、繊維状、平板状、鱗片状などの粒子である。また、かかる粒子の寸法(平均粒径)は、通常、約1〜200μmの範囲であり、好ましくは約10〜100μmの範囲である。充填材粒子の粒径が1μmを下回ると、シートの製造が煩雑になったり、バインダ樹脂中に充填材粒子を均一に分散させることが困難になったりする。反対に、充填材粒子の粒径が200μmを上回ると、なるべく薄くしたいという要求とはうらはらに、熱伝導性シートの厚膜化を避けることができなくなる。なお、かかる熱伝導性充填材の粒子を使用する際に、もしも好適であるならば、同一種類の充填材粒子を異なる粒径で使用してもよく、さもなければ、異なる種類の充填材粒子を同一もしくは異なる粒径で使用してもよい。
【0016】
また、バインダ樹脂に対する熱伝導性充填材の配合量は、その充填材に求められている添加の効果などに応じて広く変更することができるというものの、通常、体積分率で、約15〜75%の範囲であるのが好ましい。充填材の配合量が15%より少ないと、熱伝導性が十分でなくなり、反対に75%を越えた場合には、1液湿気硬化形組成物が脆くなりシート化が困難になる。
【0017】
本発明において、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分、の各配合量は、以下のようであるのが好ましい。即ち、(b)成分である変成シリコーン樹脂硬化用触媒は、(a)変成シリコーン樹脂100重量部に対して、1〜25重量部であるのが好ましく、特に3〜10重量部であるのがより好ましい。変成シリコーン樹脂硬化用触媒が1重量部未満であると、1液湿気硬化形組成物の硬化速度が遅くなる傾向が生じる。また、変成シリコーン樹脂硬化用触媒が25重量部を超えても、1液湿気硬化形組成物の硬化速度の更なる向上は望めない。
【0018】(d)成分であるエポキシ樹脂用硬化剤は、(c)成分であるエポキシ樹脂100重量部に対して、5〜300重量部で、より好ましくは20〜200重量部である。エポキシ樹脂用硬化剤が5重量部未満であると、1液湿気硬化形組成物の硬化速度が遅くなる傾向が生じる。また、エポキシ樹脂用硬化剤が300重量部を超えると、貯蔵時においても、1液湿気硬化形組成物が硬化しやすくなり、貯蔵安定性が低下したり、或いは1液湿気硬化形組成物の可使時間が短くなる傾向が生じる。
【0019】
本発明に係る1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物中には、上記した(a),(b),(c)、及び(d)成分の他に、公知の無機充填材、粘性改良剤、可塑剤等の各種改質剤或いは添加剤を所望量配合しても良い。なお、この組成物は、1液湿気硬化型であるため、水分の配合は極力控えるのが好ましい。例えば、無機充填材等の改質剤や添加剤に水分が含まれている場合には、加熱や減圧等の手段で脱水するのが好ましい。
【0020】
本発明に係る1液湿気硬化形熱伝導性組成物用材料の配合法は、以下のとおりである。攪拌機、コンデンサー、加熱装置、減圧脱水装置、窒素気流装置を備えたプラネタリーミキサー、バタフライミキサー等を用い、該ミキサー中に(a)変成シリコーン樹脂及び(c)エポキシ樹脂を仕込む。窒素気流装置を用い、窒素還流下で、(B)熱伝導性充填材、及び所望により他の添加剤を配合し均質混合する。これらの混合工程では、用いる(c)エポキシ樹脂種、混合比等にもよるが(a)変成シリコーン樹脂との相溶性が不十分な場合には、加熱して混合される。この後、さらに(b)変成シリコーン樹脂硬化用触媒及び(d)エポキシ樹脂用硬化剤を配合し均質混合して、1液湿気硬化型熱伝導性組成物を得る。なお、b)変成シリコーン樹脂硬化用触媒及び(d)エポキシ樹脂用硬化剤を配合するにあたっては、混合物の温度が50℃以下程度に冷却した後に行うことが好ましい。
【0021】
本発明の熱伝導性シートは、上記の方法により得られた1液湿気硬化形熱伝導性組成物を用いて以下の方法により行うことができる。たとえば、該組成物を離型フィルム(例えば、シリコーン表面処理したポリエステルフィルム)の間に挟み、所定の厚みとなるように間隙を調整したプレス機で加圧しシート化する。得られたシート状物を室温で放置し熱伝導性シートを得る。
【0022】
また、他の方法としては、間隙を調整した2本の圧延ロールの間に1液湿気硬化型熱伝導性組成物を供給し連続的にシート化を行うこともできる。さらに、1液湿気硬化型熱伝導性組成物で芯材をサンドイッチするようにして圧延ロールの間を通過させることによって、積層構造の熱伝導性シートを製造することも可能である。
【0023】
本発明による熱伝導性シートの厚さは、通常、0.01〜3mmの範囲の薄膜状態で形成することができる。シートの厚さが0.01mmを下回ると、十分な接着強度を得ることが困難になり、結果として十分な放熱性を得ることができない。また、反対に3mmを上回ると、熱伝導性シートの熱抵抗が大きくなり、放熱性が損なわれる結果となる。
【0024】
本発明における熱伝導性シートの発熱体への取付けは、1)自己粘着性を用いる。2)熱伝導性粘着シートを用いる。等の方法で行うことができる。例えば、PDPへの取付けを例に示すと、熱伝導シートを熱伝導性粘着シートを介して、PDPの背面に取り付けることができる。また、硬化型熱伝導性組成物を接着剤として用いることにより熱伝導シートをPDP背面に取付けることができる。この方法は、金属等の放熱体を平面でなく3次元的に複雑な形状をした発熱体に取付ける場合に特に有効である。
なお、本発明においては、熱伝導性組成物を発熱体へ直接塗付等の方法により配置することもできる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0026】
実施例1
変成シリコーン樹脂(鐘淵化学工業株式会社製、商品名MSポリマー SAT030)80重量部、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社、商品名エピコート828)20重量部、熱伝導性充填材として窒化ホウ素(昭和電工株式会社製、平均粒径、10ミクロン)150重量部を、攪拌機、コンデンサー、減圧脱水装置、窒素気流装置を備えた50リットルのプラネタリーミキサー中にて、25℃で15Torr及び2時間の条件下で減圧・加熱し、均一になるまで撹拌混合した。均一になった後、ケチミン(ジャパンエポキシレジン株式会社、エピキュアH−30)10重量部、変成シリコーン樹脂硬化用触媒としてジブチル錫化合物(三共有機合成株式会社製、商品名スタンNo.918)1.6重量部加え、減圧撹拌して1液湿気硬化形熱伝導性組成物を製造した。なお、この1液湿気硬化型組成物の配合割合を、表1に示した。表1中の配合割合は、いずれも重量部である。次ぎに、該方法により得られた1液湿気硬化形熱伝導性組成物を1mmの間隙に調整した2本の圧延ロール(ロール径;100mm、ロール面長70cm)の間に供給し、室温にて連続的にシート化を行い、さらに該シートをポリエチレンフィルム製の離型紙とラミネートし長さ約100mmに巻き取った。室温でやく1日放置した後、その一部を切り出して熱伝導性評価を行った。結果を表1に併記した。以下の実施例、比較例においても同様にシート化を行い、測定に供した。
【0027】
実施例2
変成シリコーン樹脂(鐘淵化学工業株式会社製、商品名MSポリマー SAT030)70重量部、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社、商品名エピコート828)30重量部に変更した他は、実施例1と同様にして、1液湿気硬化型組成物を得た。ただし、変成シリコーン樹脂硬化用触媒は、変成シリコーン樹脂100重量部に対して2重量部し、エポキシ樹脂用硬化剤は、エポキシ樹脂100重量部に対して50重量部とした。以下、実施例3〜6及び比較例1および2においても同様に配合した。
【0028】
実施例3
変成シリコーン樹脂(鐘淵化学工業製、商品名MSポリマー SAT030)60重量部、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社、商品名エピコート828)40重量部に変更した他は、実施例1と同様にして、1液湿気硬化型組成物を得た。
【0029】
実施例4
窒化ホウ素(昭和電工株式会社製、平均粒径、10ミクロン)の量を表1に示したように、200重量部に変更した他は、実施例2と同様にして、1液湿気硬化型組成物を得た。
【0030】
実施例5
熱伝導性充填材を、アルミナ(昭和電工株式会社製、AS−50)250重量部に変更した他は、実施例2と同様にして、1液湿気硬化型組成物を得た。
【0031】
実施例6
熱伝導性充填材を、アルミナ(昭和電工株式会社製、AS−50)400重量部に変更した他は、実施例2と同様にして、1液湿気硬化型組成物を得た。
【0032】
比較例1
変成シリコーン樹脂(鐘淵化学工業製株式会社製、商品名MSポリマー303)30重量部、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社、商品名エピコート828)70重量部、に変更した他は、実施例1と同様にして、1液湿気硬化型組成物を得た。変成シリコーン樹脂とエポキシ樹脂を均一混合するためには、約70℃に加熱することが必要であった。
【0033】
比較例2
変成シリコーン樹脂(鐘淵化学工業株式会社製、商品名MSポリマー303)30重量部、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社、商品名エピコート828)70重量部、に変更した他は、実施例5と同様にして、1液湿気硬化型組成物を得た。比較例2と同様に変成シリコーン樹脂とエポキシ樹脂を均一混合するためには、約70℃に加熱することが必要であった。
【0034】
上記実施例及び比較例で得られた樹脂組成物及び熱伝導性シートについて、下
記の性能評価を行い、その結果を
【表1】に示した。
(1)熱伝導率:京都電子工業社製熱伝導率測定装置「QTM−D3」を用いて測定した。
(2)硬度:テクロック社製硬度計「ショアーD タイプ」を用い、室温にて測定した。
【0035】
【表1】
(a)変成シリコーン樹脂:鐘淵化学工業株式会社製、商品名MSポリマーSAT030
(b)変成シリコーン樹脂硬化用触媒(ジブチル錫化合物):三共有機合成株式会社製、商品名スタンNo.918
(c)エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン株式会社、商品名エピコート828
(d)エポキシ樹脂用硬化剤(ケチミン):ジャパンエポキシレジン株式会社、エピキュアH−30
(B)熱伝導性充填材
窒化ホウ素:昭和電工株式会社製、平均粒径、10ミクロン
アルミナ :昭和電工株式会社製、AS−50、平均粒径、5ミクロン
【0036】
【発明の効果】
本発明の1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及びそれを用いて作製する熱伝導性シートは、優れた熱伝導率を有する。シート化は常温にて可能なため、製造価格面でも有利である。またシートサイズも大きくとれるため、用いる対象も大面積を必要とする用途に有利である。
Claims (7)
- (A)バインダ樹脂と、該バインダ樹脂中に分散せしめられた(B)熱伝導性充填材とを含む1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シートであって、前記バインダ樹脂が変成シリコーン/エポキシ混合樹脂からなることを特徴とする1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シート。
- 前記変成シリコーン/エポキシ混合樹脂が、(a)変成シリコーン樹脂、(b)変成シリコーン樹脂硬化用触媒、(c)エポキシ樹脂、及び(d)エポキシ樹脂用硬化剤からなることを特徴とする請求項1に記載の1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シート。
- (d)エポキシ樹脂用硬化剤がケチミンであることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シート。
- (a)変成シリコーン樹脂と(c)エポキシ樹脂の混合比が、100/0〜50/50であって、(b)変成シリコーン樹脂硬化用触媒は、(a)変成シリコーン樹脂100重量部に対して、1〜25重量部、(d)エポキシ樹脂用硬化剤は、(c)エポキシ樹脂100重量部に対して、5〜300重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シート。
- (B)熱伝導性充填材が、無機充填材の粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シート。
- (A)バインダ樹脂に対する(B)熱伝導性充填材の配合割合が、体積分率で、15〜75%の範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シート。
- 前記熱伝導性シートが無溶剤プロセスによって製造されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の1液湿気硬化形熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性シート。
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