JP2004137315A - インク組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】色材、分散剤および溶媒を少なくとも含むインク組成物において、主溶媒として炭化水素系溶媒を溶媒全体の55〜95重量%含み、かつ他の溶媒として(ポリ)アルキレングリコールのエステル誘導体を含むことを特徴とするインク組成物、とくに上記の(ポリ)アルキレングリコールのエステル誘導体が(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエステル化合物、モノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物またはジアルキルエステル化合物の中から選ばれる少なくとも1種である上記構成のインク組成物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、色材、分剤剤および溶媒を少なくとも含むインク組成物、とくに、インクジェット記録用の顔料インク組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、圧力、熱、電界などを駆動源として液状のインクをノズルから記録媒体に向けて吐出させ、印刷するものである。このようなインクジェット記録方式は、ランニングコストが低く、高画質化が可能なことより、近年、オフィス用のみならず民生用としても急速に普及している。
【0003】
インクジェット記録用のインクとしては、水溶性染料を水性媒体に溶解した水性染料インクが、着色力が大きい、ヘッドオリフィスでの目詰まりが少ないなどの理由により、使用されてきている。しかしながら、この水性染料インクは、耐水性および耐候性が十分でないという問題を抱えている。
【0004】
近年、A−Oサイズにも対応できる大型のインクジェットプリンターが開発され、屋外用ポスターなどの屋外用途での使用環境が増え、またデジタルカメラの普及により、印刷物の長期間保存する用途も増加している。このような背景のもと、耐水性や耐候性にすぐれた顔料インクの開発が盛んに行われている。
【0005】
しかしながら、溶媒に水および水溶性溶剤を用いた水性顔料インクは、普通紙やコート紙などに印刷した場合、コックリング(乾燥後に波打ち)を起こし、ポスター用などには不適切である。
また、主溶媒に脂肪族炭化水素を単独で用いた油性顔料インク、脂肪族炭化水素とアルコール類の混合溶媒を用いた油性顔料インクは、コックリングは少ないものの、難揮発性の溶媒を用いた場合にインクの乾燥性が遅く、印刷直後のインクの定着性に欠け印刷物の取り扱いに問題を生じやすい。また印刷後、溶媒が速やかに揮発または印刷物への浸透を起こし難く、にじみなどに起因した印刷像のフェザーリングが起きやすい(特許文献1〜4参照)。
【0006】
【特許文献1】
特表平9−511780号公報(第3〜7頁)
【特許文献2】
特表平10−507487号公報(第6〜8頁)
【特許文献3】
特開2000−38533号公報(第3〜5頁)
【特許文献4】
特開2001−329193号公報(第3〜5頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑み、印刷物上での浸透性にすぐれ、印刷直後のインクの定着性が良好で、また印刷像のにじみや乱れが少なく幅広い印刷媒体に印刷可能であり、かつ普通紙に対しコックリングなく印刷可能なインク組成物、とくにインクジェット記録用の顔料インク組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、主溶媒として炭化水素系溶媒を使用するとともに、他の溶媒として(ポリ)アルキレングリコールのエステル誘導体を併用したときに、普通紙、光沢紙のようなレジンコート紙、合成繊維など、幅広い印刷媒体に対するインク(溶媒)の浸透性が向上してくること、またこれにより印刷直後のインクの定着性が良好となり、さらに印刷像のフェザーリングが減少し、しかも普通紙にコックリングなく印刷でき、画質の高精彩化を実現できるとともに、ヘッド目詰まりを起こすことなくインクの長期保存にもすぐれたものとなることがわかった。
【0009】
本発明は、上記の知見をもとにして、完成されたものである。
すなわち、本発明は、色材、分散剤および溶媒を少なくとも含むインク組成物において、主溶媒として炭化水素系溶媒を溶媒全体の55〜95重量%含み、かつ他の溶媒として(ポリ)アルキレングリコールのエステル誘導体を含むことを特徴とするインク組成物に係るものである。とくに、本発明は、上記の(ポリ)アルキレングリコールのエステル誘導体が(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエステル化合物、モノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物またはジアルキルエステル化合物の中から選ばれる少なくとも1種である上記構成のインク組成物を、提供できるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明においては、主溶媒として、炭化水素系溶媒を使用する。主溶媒とは、炭化水素系溶媒を溶媒全体の55〜95重量%使用することを意味し、とくに、好ましくは60〜90重量%の範囲で使用するのがよい。炭化水素系溶媒は、その構造(主鎖の炭素数や側鎖の数とその炭素数など)により、粘度、表面張力、沸点などの特性が決定されるので、これらの単体または混合物を組み合わせ使用することで、目的とする物性を持つインク組成物を調製できる。
【0011】
しかし、この炭化水素系溶媒は、炭素鎖の短い化合物では、印字物の乾燥性は向上するが、ヘッドの目詰まりが起きやすく、印刷不良をきたすおそれがある。一方、炭素鎖の長い化合物では、ヘッド上でインクが乾燥し難いため、目詰まりは起こしにくいが、印刷後、溶媒が速やかに揮発または印刷物への浸透を起こし難く、印刷直後のインクの定着性に欠け印刷物の取り扱いに問題を生じやすく、また印刷像がフェザーリングを起こしやすい。
【0012】
本発明においては、炭化水素系溶媒として上記炭素鎖の長い化合物を使用し、これに(ポリ)アルキレングリコールのエステル誘導体を添加することにより、上記問題を解決することができた。すなわち、上記エステル誘導体は、分子内に極性基(ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基)と疎水基(アルキル基)を併せ持っているため、インク組成物の浸透性が向上し、印刷直後のインクの定着性にすぐれ、また普通紙、レジンコート紙、合成繊維など幅広い印刷媒体に滲みなく印刷可能となり、かつ難揮発性であるため、ヘッドでのインクの乾燥を防げ目詰まりを起こすことなくインクの長期保存が可能となる。
【0013】
本発明において用いられる炭化水素系溶媒は、通常、単一の成分または混合物からなる天然または合成の炭化水素混合物からの留出物である。このような炭化水素系溶媒には、ノルマルパラフィンやイソパラフィンなどのパラフィン、ナフテン、パラフィン/ナフテン混合系などがあり、性状は流動状でも固体状でもよい。これらの中でも、市販品として容易に入手可能である、イソパラフィン系溶剤、ノルマルパラフィン系溶剤、流動パラフィン系溶剤、パラフィン/ナフテン系溶剤などが好ましく用いられ、これらの中から、その1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0014】
具体的には、エクソン化学社製のイソパラフィン系溶剤である「アイソパーG,H,L,M」、「ノーパー12,13,15」、パラフィン/ナフテン混合系溶剤である「エクソノールD110,D130」、出光石油化学社製のイソパラフィン系溶剤である「IPソルベント1620,2028」、日本石油化学社製のノルマルパラフィン系溶剤である「ノルマルパラフィンSL,L,M,H」、「O型ソルベントL、M、H」、イソパラフィン系溶剤である「アイソゾール300,400」、ナフテン系溶剤である「AF−4、AF−7、AF−5,AF−6」、「テクリーンN16,N20,N22」,パラフィン系溶剤である「ドライソルベント、ドライソルベントハイソフト、クレンゾル、ミネラルスピリットA、Aソルベント、ハイアロム2S」、丸善石油化学社製のイソパラフィン系溶剤である「マルカゾールR」などが挙げられる。
【0015】
その他、出光興産社製のパラフィン系溶剤である「出光スーパゾルLA25,LA30,LA35,LA41,EP20、EP25、FP30、FP38,CA25」、「ダイアナフレシアP02,P05,S02」、シェルジャパン社製のイソパラフィン系溶剤である「シェルゾール71.72」、パラフィン/ナフテン混合系溶剤である「シェルゾールD100」、松村石油研究所製の流動パラフィン系溶剤である「モレスコホワイトP−40、P−40,P−55、P−60、P−70、P−80、P−85、P−100,P−120、P−150、P−200、P−230、P−260、P−300、P−350P」、「モレスコバイオレス」などが挙げられる。
【0016】
本発明において、上記の主溶媒のほかに、他の溶媒として用いられる(ポリ)アルキレングリコールのエステル誘導体としては、(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエステル化合物、モノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物またはジアルキルエステル化合物が好ましく用いられる。
これらの化合物の中から、その1種または2種以上を、溶媒全体の5〜45重量%、好ましくは10〜40重量%の割合で使用することにより、主溶媒単独の場合の印刷媒体への親和性不良が改善されて、インク組成物の浸透性が向上し、これにより印刷直後のインクの定着性が良くなり、またフェザーリングを防げ、もってすぐれた印刷性が得られるようになる。
【0017】
(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエステル化合物、モノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物またはジアルキルエステル化合物としては、エチレングリコールモノアルキルエステル、ジエチレングリコールモノアルキルエステル、トリエチレングリコールモノアルキルエステル、プロピレングリコールモノアルキルエステル、ジプロピレングリコールモノアルキルエステル、トリプロピレングリコールモノアルキルエステル、エチレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、トリエチレングリールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、エチレングリールジアルキルエステル、ジエチレングリコールジアルキルエステル、トリエチレングリコールジアルキルエステル、プロピレングリコールジアルキルエステル、ジプロピレングリコールジアルキルエステル、トリプロピレングリコールジアルキルエステルなどが挙げられる。これらの中から、その1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0018】
具体的には、エチレングリコールモノメチルエステル、エチレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールモノイソプロピルエステル、エチレングリコールモノブチルエステル、ジエチレングリコールモノメチルエステル、ジエチレングリコールモノエチルエステル、ジエチレングリコールモノブチルエステル、トリエチレングリコールモノメチルエステル、トリエチレングリコールモノエチルエステル、トリエチレングリコールモノブチルエステル、プロピレングリコールモノメチルエステル、プロピレングリコールモノエチルエステル、ジプロピレングリコールモノメチルエステル、ジプロピレングリコールモノエチルエステル、ジプロピレングリコールモノブチルエステル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノメチルエステル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノエチルエステル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノブチルエステル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルモノメチルエステル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルモノメチルエステル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテルモノメチルエステル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステル、ジエチレングリコールジメチルエステル、トリエチレングリコールジメチルエステルなどが挙げられる。
【0019】
本発明において、色材としては、耐水性、耐候性などの点から、顔料が好ましく、無機顔料や有機顔料が用いられる
無機顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、酸化亜鉛、トリポン、酸化鉄、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、カオリナイト、モンモリロナイト、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、クロムバーミリオン、モリブデートオレンジ、黄鉛、クロムイエロー、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ピリジアン、コバルトグリーン、チタンコバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、群青、ウルトラマンブルー、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、マイカなどが挙げられる。
【0020】
有機顔料としては、アゾ系、アゾメチン系、アンサンスロン系、アントラピリミジン系、インダンスロン系、ポリアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、キナクリドンキノン系、ジオキサジン系、アンスラキノン系、インジゴ系、チオインジゴ系、キノフタロン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリン系、イソインドリノン系、ペリノン系、ペリレン系顔料などが挙げられる。酸性、中性または塩基性カーボンからなるカーボンブラックも用いられる。
【0021】
とくに、シアンインク組成物用の顔料としては、「C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、15:34、16、22、60」などが用いられ、とくに好ましくは「C.I.ピグメントブルー15:3、15:4」から選択される1種または2種以上の混合物が用いられる。
【0022】
また、マゼンタインク組成物用の顔料としては、「C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112,122,123,168,184、202、209、C.I.ピグメントバイオレット19」などが用いられ、とくに好ましくは「C.I.ピグメントレッド57:1、122、202、209」、「C.I.ピグメントバイオレット19」から選択される1種または2種以上の混合物が用いられる。
【0023】
さらに、イエローインク組成物用の顔料としては、「C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14C、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、130、138、150、151、154、155、180、185」などが用いられ、とくに好ましくは「C.I.ピグメントイエロー14、74、83、109、110、120、151、155、180」から選択される1種または2種以上の混合物が用いられる。
【0024】
また、ブラックインク組成物用の顔料としては、三菱化学社製の「HCF、MCF、RCF、LFF、SCF」、キャボット社製の「モナーク、リーガル」、デグサ・ヒュルス社製の「カラーブラック、スペシャルブラック、プリンテックス」、東海カーボン社製の「トーカブラック」、コロンビア社製の「ラヴェン」などが用いられる。また、三菱化学社製の「HCF#2650、#2600、#2350、#2300、MCF#1000、#980、#970、#960、MCF88、LFFMA7、MA8、MA11、MA77、MA100」、デグサ・ヒュルス社製の「プリンテックス95、85、75、55」などから選択される1種または2種以上の混合物がとくに好ましく用いられる。
【0025】
本発明において、分散剤としては、ビニル樹脂、アクリル樹脂、アミノ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、セルロース系樹脂、天然たんぱく質、これらの共重合体など、公知の一般的な樹脂が用いられる。
これら分散剤の市販品としては、ゼネカ社製の「SOLSPERSE」、ビックケミー社製の「DISPERBYK」、エフカアディティブズ社製の「EFKA」などがあり、これらをインク全体の1〜20重量%、好ましくは2〜10重量%使用することにより、その効果が発揮される場合が多い。
【0026】
本発明においては、上記の色材、分散剤および溶媒を必須成分として、必要により、任意成分として、界面活性剤や、バインダ、表面調整剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、pH調整剤、電荷付与剤、殺菌剤、防腐剤、防臭剤、電荷調整剤、湿潤剤、皮はり防止剤、香料、紫外線吸収剤、顔料誘導体など、公知の一般的な添加剤を、適宜使用することができる。
【0027】
本発明のインク組成物は、上記の各成分を、ボールミル、遠心ミル、遊星ボールミルなどの容器駆動媒体ミル、サンドミルなどの高速回転ミル、攪拌槽型ミルなどの媒体撹拌ミル、ディスパーなどの簡単な分散機により、よく撹拌混合し、分散させることにより、調製することができる。
【0028】
本発明のインク組成物は、インクジェット印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、感熱転写印刷などのあらゆる印刷方式のインクとして、使用することができる。上記印刷方式の中でも、とくにインクジェット印刷に適用すると、前記した本発明の効果がより良く発現できるので、望ましい。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味するものとする。
【0030】
実施例1
100ccのプラスチック製ビンに、顔料として大日本インキ化学工業社製の銅フタロシアニン顔料である「ファストゲンブルーTGR」を3.8部、分散剤としてゼネカ社製のポリエステルアミン超分散剤である「SOLSPERSE 13940」を2部、ゼネカ社製の置換アンモニウムフタロシアニンである「SOLSPERSE 5000」を0.2部、溶媒として松村石油研究所製の流動パラフィン系溶剤である「モレスコホワイトP−40」を14部、直径3mmのジルコニアビーズ100部を計り取り、ペイントシェーカー(東洋精機社製)で、2時間分散した。
この分散後、顔料濃度が10重量%になるように、上記と同じ溶媒で希釈して、顔料分散体を調製した。この分散体10部に、ジエチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステル2部を加え、顔料濃度が5重量%となるように、上記分散に用いた溶媒で希釈して、インク組成物Aを調製した。なお、ジエチレングリコールモノブチルエーテルモノメチルエステルは、流動パラフィン系溶剤との合計量中、10重量%であった。
【0031】
実施例2
顔料として「ファストゲンブルーTGR」に代えて、三菱化学社製の酸性カーボンブラックである「MA8」を同量使用した以外は、実施例1と同様にして、顔料分散体を調製した。この分散体10部に、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステル8部を加え、顔料濃度が5重量%となるように、分散に用いた溶媒で希釈して、インク組成物Bを調製した。なお、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステルは、流動パラフィン系溶剤との合計量中、40重量%であった。
【0032】
実施例3
顔料として「ファストゲンブルーTGR」に代えて、大日本インキ化学工業社製のアゾ顔料である「シミュラーファーストイエロー4190」を同量使用した以外は、実施例1と同様にして、顔料分散体を調製した。この分散体10部に、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステル2部を加え、顔料濃度が5重量%となるように、分散に用いた溶媒で希釈して、インク組成物Cを調製した。なお、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステルは、流動パラフィン系溶剤との合計量中、10重量%であった。
【0033】
実施例4
顔料として「ファストゲンブルーTGR」に代えて、クラリアント社製のジスアゾ顔料である「ノボパームイエローP−HG」を同量使用した以外は、実施例1と同様にして、顔料分散体を調製した。この分散体10部に、プロピレングリコールジメチルエステル5部を加え、顔料濃度が5重量%となるように、分散に用いた溶媒で希釈して、インク組成物Dを調製した。なお、プロピレングリコールジメチルエステルは、流動パラフィン系溶剤との合計量中、25重量%であった。
【0034】
実施例5
顔料として「ファストゲンブルーTGR」に代えて、クラリアント社製のキナクリドン顔料である「ホスタパーンピンクEB trans」を同量使用した以外は、実施例1と同様にして、顔料分散体を調製した。この分散体10部に、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステル4部を加え、顔料濃度が5重量%となるように、分散に用いた溶媒で希釈して、インク組成物Eを調製した。なお、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノメチルエステルは、流動パラフィン系溶剤との合計量中、20重量%であった。
【0035】
実施例6
顔料として「ファストゲンブルーTGR」に代えて、大日本インキ化学工業社製のフタロシアニン顔料である「ファストゲンブルー5430SD」を同量使用し、溶媒として「モレスコホワイトP−40」に代えて、新日本石油社製のノルマルパラフィンである「O型ソルベントM」を同量使用した以外は、実施例1と同様にして、顔料分散体を調製した。この分散体10部に、トリエチレングリコールモノメチルエステル5部を加え、顔料濃度が5重量%となるように、分散に用いた溶媒で希釈して、インク組成物Fを調製した。なお、トリエチレングリコールモノメチルエステルは、ノルマルパラフィンとの合計量中、25重量%であった。
【0036】
実施例7
溶媒として「モレスコホワイトP−40」に代えて、出光興産社製の低アロマパラフィンである「スーパゾルLA35」を同量使用した以外は、実施例1と同様にして、顔料分散体を調製した。この分散体10部に、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノメチルエステル5部を加え、顔料濃度が5重量%となるように、分散に用いた溶媒で希釈して、インク組成物Gを調製した。なお、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノメチルエステルは、低アロマパラフィンとの合計量中、25重量%であった。
【0037】
比較例1
実施例1で調製した顔料分散体10部に、顔料濃度が5重量%となるように、分散に用いた溶媒で希釈して、インク組成物Hを調製した。
【0038】
比較例2
溶媒として「モレスコホワイトP−40」に代えて、水/トリエチレングリコール(重量比90/10)の混合溶媒を同量使用し、分散剤として「SOLSPERSE 13940」に代えて、ジョンソンポリマー社製のスチレン−アクリル共重合体分散剤である「ジョンクリル62」を同量使用した以外は、実施例1と同様にして、顔料分散体を調製した。この分散体10部に、顔料濃度が5重量%となるように、分散に用いた溶媒で希釈して、インク組成物Iを調製した。
【0039】
上記の実施例1〜7のインク組成物A〜Gおよび比較例1,2のインク組成物H,Iについて、下記の方法により、乾燥性(定着性)、フェザーリング(印刷性)およびコックリングを評価した。これらの結果は、表1に示されるとおりであった。なお、表1中、乾燥性およびフェザーリングの欄における「X」は普通紙、「Y」は光沢紙、「Z」はポリエステル布、である。
【0040】
<乾燥性(定着性)>
インク組成物を、No.4ワイヤーバー(東洋精機社製)を用いて、普通紙、光沢紙(日立マクセル社製のフォト光沢紙)、ポリエステル布(KIMOTO社製のDP330)に塗布し、10秒後、印刷物を指で擦った。これにより、指にインクが付着しなかったものを○、付着したものを×、と評価した。
【0041】
<フェザーリング(印刷性)>
インク組成物を、No.4ワイヤーバー(東洋精機社製)を用いて、普通紙、光沢紙(日立マクセル社製のフォト光沢紙)、ポリエステル布(KIMOTO社製のDP330)に塗布したのち、フェザーリングを起こさなかったものを○、フェザーリングを起こしたものを×、と評価した。
【0042】
<コックリング>
インク組成物を、No.4ワイヤーバー(東洋精機社製)を用いて、普通紙上に塗布し、乾燥したのちに、コックリング(波打ち)のないものを○、コックリンのあるものを×、と評価した。
【0043】
表1
【0044】
上記の表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜7のインク組成物A〜Gは、いずれも、すべての印刷媒体に対してすぐれた定着性、印刷性を示しており、普通紙に印刷してもコックリングがなく、すべての評価項目においてすぐれていることがわかる。これに対し、比較例1のインク組成物Hは、光沢紙に対する定着性が不十分であり、またポリエステル布に印刷した際にフェザーリングを起こした。また、比較例2のインク組成物Iは、すべての印刷媒体に対して定着性はあるものの、普通紙やポリエステル布に印刷した際にフェザーリングを起こし、また普通紙に対してはコックリングを起こした。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、炭化水素系溶媒を主溶媒として使用し、これに(ポリ)アルキレングリコールのエステル誘導体を添加する構成としたことにより、従来に比べて、幅広い印刷媒体に対する定着性、印刷性にすぐれたものとなり、しかも普通紙やコート紙に対してもコックリングなく印刷できる、インク特性が大幅に改善されたインク組成物を提供することができる。
Claims (3)
- 色材、分散剤および溶媒を少なくとも含むインク組成物において、主溶媒として炭化水素系溶媒を溶媒全体の55〜95重量%含み、かつ他の溶媒として(ポリ)アルキレングリコールのエステル誘導体を含むことを特徴とするインク組成物。
- (ポリ)アルキレングリコールのエステル誘導体は、(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエステル化合物、モノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物またはジアルキルエステル化合物の中から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のインク組成物。
- 色材が顔料である請求項1または請求項2に記載のインク組成物。
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JP2002301369A Pending JP2004137315A (ja) | 2002-10-16 | 2002-10-16 | インク組成物 |
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JP (1) | JP2004137315A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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US9617438B2 (en) | 2010-06-29 | 2017-04-11 | Riso Kagaku Corporation | Oily inkjet ink |
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-
2002
- 2002-10-16 JP JP2002301369A patent/JP2004137315A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005330460A (ja) * | 2004-11-01 | 2005-12-02 | Hitachi Maxell Ltd | 油性顔料インク組成物 |
JP2006290976A (ja) * | 2005-04-08 | 2006-10-26 | Hitachi Maxell Ltd | 油性顔料分散体 |
US9617438B2 (en) | 2010-06-29 | 2017-04-11 | Riso Kagaku Corporation | Oily inkjet ink |
WO2024122422A1 (en) * | 2022-12-07 | 2024-06-13 | Ricoh Company, Ltd. | Ink compositions |
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