JP2016026927A - ステルス型非水系インクを用いたインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溶媒と、可視光線下では視認できないが紫外線または赤外線の照射下では可視光を発光するステルス性色材とを少なくとも含み、前記溶媒の30質量%以上が、沸点180℃以上350℃以下の非水系溶剤から構成されてなるステルス型非水系インクを用いて、インクジェット印刷により浸透性記録媒体の被印刷面にマーキングした後、該被印刷面に有色インクでインクジェット印刷することを特徴とするインクジェット記録方法。ステルス型非水系インクのマーキング直後に記録媒体に透き通しが生じるので、ステルス型インクの吐出不良を目視検査でき、非水系溶剤の揮発後(印刷から約1日後)は可視光線下では視認できなくなるため、ステルス性に優れたものとなる。
【選択図】なし
Description
本発明で使用するステルス型非水系インクは、可視光線下では視認できないが、紫外線又は赤外線の照射下では可視光を発光するインクであり、溶媒及びステルス性色材から主として構成されるが、必要に応じて、その他の成分を含有してもよい。
本発明のステルス型非水系インクを構成する溶媒は、インクの溶媒すなわちビヒクルとして機能するものであるが、沸点が180℃以上350℃以下の非水系溶剤を含有する必要があり、好ましくは210℃以上320℃以下、より好ましくは220℃以上280℃以下の非水系溶剤を含有する。該溶媒は、沸点が180℃以上350℃以下の非水系溶剤を溶媒全量の30〜100質量%含むことが必要であり、50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましい。それ以外の非水系溶剤、すなわち、沸点が180℃未満又は350℃超の非水系溶剤を非水系溶剤全量の0〜70質量%含んでもよい。沸点が180℃以上350℃以下の非水系溶剤の量を溶媒全量の30質量%以上とすることで、インクを浸透性記録媒体に印刷した後、透き通しが生じやすくなり、マーキングの状態を容易に判定できるとともに、判定後のステルス性が優れたものとなる。なお、沸点が350℃超の非水系溶剤には、沸点を示さない非水系溶剤も含まれる。
ステルス性色材としては、可視光線下では視認できないが紫外線又は赤外線の照射下では可視光を発光するステルス性色材が使用される。かかるステルス性色材は、顔料及び染料の何れであってもよく、それぞれ単独で使用しても両者を併用してもよい。印刷物の耐久性及び発色性の点から、色材として顔料を使用することが好ましい。
ステルス性色材が顔料である場合、インク中における顔料の分散を良好にするために、上記非水系インクに顔料分散剤を添加することが好ましい。本発明で使用できる顔料分散剤としては、顔料を溶媒中に安定して分散させるものであれば特に限定されないが、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物(例えば、ビニルピロリドンと炭素数12〜28の長鎖アルケンとの共重合体)、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテート等が好適に使用され、そのうち、高分子分散剤を使用するのが好ましい。
本発明のステルス型非水系インクには、インクの性状に悪影響を与えない限り、上記溶媒、ステルス性色材、顔料分散剤以外に、例えば、界面活性剤、定着剤、防腐剤等の他の成分を添加できる。
本発明のステルス型非水系インクは、例えばビーズミル等の公知の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。例えば、予め溶媒の一部とステルス性色材の全量を均一に混合させた混合液を調製して分散機にて分散させた後、この分散液に残りの成分を添加してろ過機を通すことにより調製することができる。
本発明のインクジェット記録方法は、上記本発明のステルス型非水系インクを用いてインクジェット印刷により浸透性記録媒体の被印刷面にマーキングした後、該被印刷面に有色インクでインクジェット印刷することによって行うことができる。浸透性記録媒体の被印刷面にマーキングした後、前記非水系インクの溶媒は浸透性記録媒体に浸透するが、その際、浸透性記録媒体に透き通しを生じさせるので、該溶媒の大部分が揮発する前であれば、この透き通しを肉眼で観察することにより、マーキングが適正に行われたかどうか、例えば、インクジェットプリンタの吐出ノズルに目詰まりが無いかどうかなどを目視で判定できる。本発明のステルス型非水系インクの溶媒の大部分は、通常、印刷後24時間以内に揮発するので、上記判定は、本発明のステルス型非水系インクの印刷後24時間以内に行うことが好ましい。
(1)ステルス型非水系インクの作製
表1に示す各成分を表1に示す割合で混合し、その後、ビーズミルでステルス性色材を十分に分散し、得られた分散液をメンブレンフィルター(開口径3μm)でろ過し、ステルス型非水系インクを得た。
上記(1)で得られたステルス型非水系インクと有色インクをオルフィスX9050(商品名;理想科学工業株式会社製インクジェットプリンタ)の吐出経路に導入し、まず、表1に記載の印刷順番1のインクを、理想用紙薄口(商品名;理想科学工業株式会社製普通紙)の片面に印刷した。続いて、印刷順番1のインクがステルス型非水系インクである場合は下記(3)の評価を行った後、印刷順番2のインクを印刷した。印刷順番1のインクが有色インクである場合は、印刷順番2のステルス型非水系インクを印刷した後に下記(3)の評価を行った。印刷した画像は、10ptの文字と10cm角のベタが複数混在していて、ステルス型非水系インクのベタ部分と有色インクのベタ部分、ステルス型非水系インクの文字部分と有色インクのベタ部分、ステルス型非水系インクのベタ部分と有色インクの文字部分が、それぞれ一部重複している画像である。
なお、印刷は、解像度300×300dpiにて、1ドット当りのインク量が30pLの吐出条件で行った。非水系有色インクとしては、上掲オルフィスX9050用の黒インク(理想科学工業株式会社製)を用いた。水系有色インクとしては、PIXUS MP−280(商品名:キャノン株式会社製)用の黒インク(キャノン株式会社製)を用いた。
上記(2)において、ステルス型非水系インクの印刷直後(概ね1分以内)にステルス型非水系インクが印刷された部分の画像を肉眼で観察し、印刷用紙に透き通しが見えるかどうか判定を行った。なお、印刷順番1のインクが有色インクである場合は、ステルス型非水系インクと有色インクの重複部分を観察した。結果を下記評価基準に従い表1に示す。
評価基準:
◎:印刷箇所がわかり、文字も読み取れる
○:印刷箇所はわかるが、文字は読み取りづらい
×:印刷箇所がわからない
上記(2)で得られた印刷物の印刷から1日後の被印刷面(両インクの重複部分)に365nmの紫外線を照射して蛍光強度を肉眼で観察し、下記評価基準で判定した。結果を表1に示す。
評価基準:
○:ステルス型非水系インクで印刷された文字を読み取れる
△:ステルス型非水系インクで印刷されたベタはわかるが、文字は読み取れない
×:ステルス型非水系インクの印刷箇所がわからない
上記(2)で得られた印刷物の印刷から1日後の被印刷面(ステルスインクのみ印刷されている部分)を肉眼で観察し、ステルス型非水系インクのステルス性を下記基準で評価した。結果を表1に示す。
◎:印刷箇所が目視で確認できない
○:印刷物をプレート上で100℃1時間加熱することにより、印刷箇所が目視で確認できない
×:印刷物をプレート上で100℃1時間加熱後でも、印刷箇所が目視で確認できる
上記(2)で得られた印刷物の印刷から1日後の被印刷面を肉眼で観察し、有色インクの画像性能を評価した。結果を表1に示す。
◎:有色インクの文字が鮮明である
△:有色インクの文字にややにじみがある
・CARTAX CXDP(商品名):クラリアントジャパン株式会社製 有機蛍光色素
・ルミシスE−400(商品名):セントラルテクノ株式会社製 有機蛍光色素
・アンタロンV216(商品名):アイ・エス・ピー・ジャパン株式会社製 ビニルピロリドン・ヘキサデセン共重合体
・エクソールD30(商品名):東燃ゼネラル石油株式会社製 石油系炭化水素溶剤、初留点145℃、終点163℃
・エクソールD40(商品名):東燃ゼネラル石油株式会社製 石油系炭化水素溶剤、初留点166℃、終点191℃
・アイソパーH(商品名):東燃ゼネラル石油株式会社製 石油系炭化水素溶剤、初留点180℃、終点188℃
・エクソールD80(商品名):東燃ゼネラル石油株式会社製 石油系炭化水素溶剤、初留点205℃、終点240℃
・エクソールD95(商品名):東燃ゼネラル石油株式会社製 石油系炭化水素溶剤、初留点222℃、終点242℃
・エクソールD110(商品名):東燃ゼネラル石油株式会社製 石油系炭化水素溶剤、初留点248℃、終点265℃
・AFソルベント7号(商品名):JX日鉱日石エネルギー株式会社製 石油系炭化水素溶剤、初留点260℃、終点278℃
・エクソールD130(商品名):東燃ゼネラル石油株式会社製 石油系炭化水素溶剤、初留点279℃、終点313℃
・イソステアリルアルコール:日産化学工業株式会社製 高級アルコール系溶剤、初留点306℃、終点316℃
・パルミチン酸イソオクチル:日光ケミカルズ株式会社製 脂肪酸エステル系溶剤、初留点 認められず
本発明のステルス型非水系インクを印刷した後、有色インクを印刷した実施例1〜13では、ステルス型非水系インクの透き通し形成による印刷直後の視認性、蛍光強度(印刷1日後)、ステルス性(印刷1日後)及び画像性能は何れも良好であった。特に、溶媒を沸点が210℃以上の非水系溶剤のみから構成した実施例3〜8及び11〜13では透き通し形成が良好であった。
非水系溶剤として沸点が本発明の範囲より低い(145〜163℃)炭化水素系溶剤を使用した比較例2は、溶媒が迅速に揮発したため、ステルス型非水系インクの印刷直後に透き通しが見られず、目視での視認性が十分確保できなかった。
非水系有色インクを印刷した後に本発明のステルス型非水系インクを印刷した比較例3、4、6及び7は、先に印刷された有色インクに遮られたため、ステルス型非水系インクの印刷直後に透き通しが見られず、目視での視認性が十分確保できず、蛍光強度も劣った。
非水系有色インクを印刷した後に比較例1のステルス型非水系インクを印刷した比較例5は、先に印刷された有色インクに遮られたため、ステルス型非水系インクの印刷直後に透き通しが見られず、目視での視認性が十分確保できず、蛍光強度も劣り、ステルス性も示さなかった。
非水系有色インクを印刷した後に比較例2と同様のステルス型非水系インクを印刷した比較例8は、比較例2と同様に、ステルス型非水系インクの印刷直後に透き通しが見られず、目視での視認性が十分確保できず、蛍光強度も劣った。
水系有色インクを印刷した後に本発明のステルス型非水系インクを印刷した比較例9は、先に印刷された有色インクに遮られたため、ステルス型非水系インクの印刷直後に透き通しが見られず、目視での視認性が十分確保できず、蛍光強度も劣った。
Claims (4)
- 溶媒と、可視光線下では視認できないが紫外線または赤外線の照射下では可視光を発光するステルス性色材とを少なくとも含み、前記溶媒の30質量%以上が、沸点180℃以上350℃以下の非水系溶剤から構成されてなるステルス型非水系インクを用いて、インクジェット印刷により浸透性記録媒体の被印刷面にマーキングした後、該被印刷面に有色インクでインクジェット印刷することを特徴とするインクジェット記録方法 。
- 前記溶媒の30質量%以上が、沸点220℃以上280℃以下の非水系溶剤から構成されてなる、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記溶媒の70質量%以上が前記非水系溶剤から構成されてなる、請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
- 前記有色インクは、非水系インクである、請求項1〜3の何れか一項に記載のインクジェット記録方法。
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