JP2004136658A - 液体吐出装置及びその溶液供給方法 - Google Patents

液体吐出装置及びその溶液供給方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、微細ノズルへの溶液の供給を図ることを目的とする。
【解決手段】 液滴の吐出を受ける受け面を有する基材に液滴を吐出する超微細径のノズル51と、このノズル51内に溶液を供給する溶液供給手段53と、ノズル内の溶液に吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段35と、ノズル内に溶液の吸引を行う溶液吸引手段40とを備え、溶液供給手段53は、溶液の貯留部61と、この貯留部とノズルとを連結する供給管路63と、この供給管路の途中に設けられた開閉弁62とを有し、溶液吸引手段40は、吸引を行うポンプ41と、外部からノズルに装着可能な装着体42と、ポンプと装着体とを連結する連結管43と、この連結管の途中に設けられると共にポンプと装着体との間の開通と不通とを切り替え可能な切替弁44を有している。
【選択図】   図11

Description

 本発明は、基材に液体を吐出する液体吐出装置及びその溶液供給方法に関する。
 従来のインクジェット記録方式としては、圧電素子の振動によりインク流路を変形させることによりインク液滴を吐出させるピエゾ方式、インク流路内に発熱体を設け、その発熱体を発熱させて気泡を発生させ、気泡によるインク流路内の圧力変化に応じてインク液滴を吐出させるサーマル方式、インク流路内のインクを帯電させてインクの静電吸引力によりインク液滴を吐出させる静電吸引方式が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開平8−238774号公報(第1図) 特開2000−127410号公報(第1図)
 しかしながら、上記各従来例には以下の問題あった。
(1)微小液滴形成の限界と安定性
 ノズル径が大きいため、ノズルから吐出される液滴の形状が安定しなく、且つ液面の微小化に限界がある。
(2)高印加電圧
 微小液滴の吐出のためには、ノズルの吐出口の微細化を図ることが重要因子となってくるが、従来の静電吸引方式の原理では、ノズル径が大きいことにより、ノズル先端部の電界強度が弱く、液滴を吐出するのに必要な電界強度を得るために、高い吐出電圧(例えば2000[V]に近い非常に高い電圧)を印加する必要があった。従って、高い電圧を印加するために、電圧の駆動制御が高価になり、さらに、安全性の面からも問題があった。
 そこで、微小液滴を吐出可能な液体吐出装置を提供することを第一の目的とする。また同時に、安定した液滴を吐出することが可能な液体吐出装置を提供することを第二の目的とする。さらに、印加電圧を低減することが可能としを可能とし、安価で安全性の高い液体吐出装置を提供することを第三の目的とする。
 また、液滴の微小化の実現のためにノズルの微細化を図る場合には、以下の問題があった。静電吸引方式は、ノズルまで溶液が満たされていれば、静電力によって、逐次溶液の供給源からの流動を促すことが可能である。そして、従来の静電吸引方式では、その吐出を行うノズルが微細ではないので、コンダクタンスが良好であり、特別な手段を設けるまでもなく溶液をノズルまで容易に誘導することが可能であった。そのため、上記従来例では、ノズルに溶液を積極的に導くための手段を何ら有していない、という問題があった。
 また、溶液の供給源からノズル内に至るまでに気泡が存在すると、吐出不良の原因となるので、気泡を生じないでノズルに溶液を導くことが特に必要となっていた。
 従って、ノズルの微細化に伴い、ノズルに積極的に溶液を導くことと気泡を排除することを可能とすることを、第四の目的とする。
 請求項1記載の発明は、帯電した溶液の液滴を基材に吐出する液体吐出装置であって、
 先端部から前記液滴を吐出する先端部の内部直径が30[μm]以下のノズルを有する液体吐出ヘッドと、前記ノズル内に溶液を供給する溶液供給手段と、前記ノズル内の溶液に吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段と、を備え、溶液供給手段は、溶液の貯留部と、この貯留部とノズルとを連結する供給管路と、この供給管路の途中に設けられた開閉弁とを有し、溶液吸引手段は、吸引を行うポンプと、外部からノズルに装着可能な装着体と、ポンプと装着体とを連結する連結管と、この連結管の途中に設けられると共にポンプと装着体との間の開通と不通とを切り替え可能な切り替え手段を有する、という構成を採っている。
 以下、ノズル径という場合には、液滴を吐出する先端部におけるノズルの内部直径(ノズルの先端部の内部直径)を示すものとする。なお、ノズル内の液体吐出穴の断面形状は円形に限定されるものではない。例えば、液体吐出穴の断面形状が多角形、星形その他の形状である場合にはその断面形状の外接円が30[μm]以下となることを示すものとする。以下、ノズル径或いはノズルの先端部の内部直径という場合において、他の数値限定を行っている場合にも同様とする。また、ノズル半径という場合には、このノズル径(ノズルの先端部の内部直径)の1/2の長さを示すものとする。
 上述の構成において、「基材」とは吐出された溶液の液滴の着弾を受ける対象物をいい材質的には特に限定されない。従って、例えば、上記構成をインクジェットプリンタに適応した場合には、用紙やシート等の記録媒体が基材に相当し、導電性ペーストを用いて回路の形成を行う場合には、回路が形成されるべきベースが基材に相当することとなる。
 また、「供給管路」とは、貯留部からノズルに溶液を導くことができるものであれば良く、一例として、溶液の通る溝を設けた構造物或いは管状物であっても良い。
 上記構成にあっては、溶液の吐出を行うためにはノズル先端部まで溶液が供給されていることが前提となる。しかし、上記溶液供給手段は、積極的に溶液をノズルに供給するものではなく、吐出を行ってもノズル内に溶液が減らないように補充するという、消極的な供給を行うものである。
 一方、溶液吸引手段は、しばらく未使用であった場合やメンテナンス、内部清掃等によりノズル内の溶液が空の状態にある場合に使用するものであって、溶液供給手段の貯留部から溶液をノズル内まで吸引するためのものである。
 かかる吸引を行う場合には、まず、溶液供給手段の開閉弁を閉じる。そして、装着体をノズルに装着すると共に、切替弁によりポンプと装着体との間を開通状態とし、ポンプの駆動を行う。これにより、溶液供給手段の開閉弁からノズル,装着体,連結管を通ってポンプまでの間に領域が減圧されることとなる。
 そして、十分に減圧された状態において、ポンプの駆動を停止し、切替弁を不通状態に切り替える。さらに、開閉弁を開くと、減圧された区間と溶液の貯留部とが連絡され、貯留部の溶液がノズルを通過して切替弁の近くまで吸引されることとなる。従って、ノズル内への強制的な溶液供給が実現する。その後、装着体はノズルから取り外される。これにより、微細化ノズルに積極的に溶液を導くことを可能とする。また、負圧環境に溶液を供給することとなるので、くまなく溶液が行き渡り、気泡の発生を効果的に抑制することができる。
 次に、溶液の吐出を行う場合には、ノズルの先端部に液滴の受け面が対向するように、ノズル又は基材が配置される。これら相互の位置関係を実現するための配置作業は、ノズルの移動又は基材の移動のいずれにより行っても良い。
 そして、溶液供給手段により液体吐出ヘッド内に溶液が供給される。ノズル内の溶液は吐出を行うために帯電した状態にあることが要求される。なお、溶液の帯電に必要な電圧印加を行う帯電専用の電極を設けても良い。
 一方、吐出を行う場合には、吐出電圧印加手段ノズル内の溶液に吐出電圧が印加されることで、溶液が電界から静電力を受けてノズル先端部から液滴が吐出される。
 上記構成にあっては、ノズルを従来にない超微細径とすることでノズル先端部に電界を集中させて電界強度を高めることに特徴がある。ノズルの小径化に関しては後の記載により詳述する。かかる場合、ノズルの先端部に対向する対向電極がなくとも液滴の吐出を行うことが可能である。例えば、対向電極が存在しない状態で、ノズル先端部に対向させて基材を配置した場合、当該基材が導体である場合には、基材の受け面を基準としてノズル先端部の面対称となる位置に逆極性の鏡像電荷が誘導され、基材が絶縁体である場合には、基材の受け面を基準として基材の誘電率により定まる対称位置に逆極性の映像電荷が誘導される。そして、ノズル先端部に誘起される電荷と鏡像電荷又は映像電荷間での静電力により液滴の飛翔が行われる。
 但し、本発明の構成は、対向電極を不要とする場合には、当該対向電極の対向面に沿わせた状態で基材を配置すると共に対向電極の対向面がノズルからの液滴吐出方向に垂直に配置されることが望ましく、これにより、ノズル−対向電極間での電界による静電力を飛翔電極の誘導のために併用することも可能となるし、対向電極を接地すれば、帯電した液滴の電荷を空気中への放電に加え、対向電極を介して逃がすことができ、電荷の蓄積を低減する効果も得られるので、むしろ併用することが望ましい構成といえる。
請求項2記載の発明は、吸引時において、ポンプは100[Torr](1.33×104[Pa])以下の負圧状態を形成し、請求項3記載の発明は、ポンプは20[Torr](1.33×104[Pa])以下の負圧状態を形成する。
 上記記載の「負圧」とは大気圧よりも低圧の状態をいうものとする。本明細書の記載において全て同様とする。
 負圧を100[Torr](1.33×104[Pa])以下とすることにより、液体吐出装置の溶液の貯留部からノズル先端部至るまでの気泡を除去することが可能となり、溶液吐出時の気泡を原因とする不吐出防止につながる。またさらに、ノズル、供給管路、貯留部のレイアウトにおいて溶液充填時の液胞抜き作業における制約がなくなり、設計上有利となる。
 負圧を20[Torr](2.66×103[Pa])以下とすることにより、液体吐出装置の溶液の貯留部からノズル先端部至るまでの気泡を除去することが可能となり、溶液吐出時の気泡を原因とする不吐出防止につながる。またさらに、ノズル、供給管路、貯留部のレイアウトにおいて溶液充填時の液胞抜き作業における制約がなくなり、設計上有利となる。
 請求項7記載の発明は、帯電した溶液の液滴を吐出する液体吐出装置であって、 先端部から液滴を吐出する内部直径が30[μm]以下のノズルを有する液体吐出ヘッドと、ノズル内に溶液を供給する溶液供給手段と、ノズル内の溶液に吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段とを備える液体吐出装置の溶液供給方法であって、ノズルに対して、その外側から負圧により吸引して溶液供給手段からノズルの先端部まで溶液を供給させる、という構成を採っている。
 上述の液体吐出装置は、ノズル内に溶液を供給されていることが吐出及びその後の溶液供給の前提となる。従って、ノズル内の溶液が空の場合には、溶液供給手段による供給が行われない。その一方で、超微細なノズルはその低コンダクタンス性により積極的に溶液の供給が行わなければ、ノズル内に溶液を満たすことができない。従って、ノズルの外側から負圧で吸引することで、溶液が流動する作用がその低コンダクタンス性にうち勝って、溶液がノズルの先端部まで満たされ、その後の吐出が可能となる。
 請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明と同様の構成を備えると共に、ノズルに対する吸引動作は、溶液供給手段からの溶液の供給を止めた状態で行い、負圧を維持しつつ吸引動作を止めてから、溶液供給手段からの溶液供給を可能とする、という構成を採っている。
 上述の方法により、溶液供給手段からの溶液の供給を止めた状態でノズルに対する吸引動作を行うと、少なくとも溶液供給手段からノズル先端部までの領域が負圧態となる。そして、十分に負圧となった状態で吸引動作をやめて、溶液供給手段からの溶液供給を可能とすると、溶液供給手段側から負圧の領域に溶液が流入することとなる。なお、上記「十分に負圧」とは、ノズルの低コンダクタンス性に抗して溶液をノズルの先端まで導くことが可能な程度の負圧状態のことをいうものとする。従って、ノズル先端部までの溶液を導くことができ、その後の吐出動作が可能となる。また、負圧環境に溶液を供給することとなるので、くまなく溶液が行き渡り、気泡の発生を効果的に抑制することができる。
請求項9記載の発明は、吸引時において、100[Torr](1.33×104[Pa])以下の負圧状態を形成し、請求項10記載の発明は、20[Torr](1.33×104[Pa])以下の負圧状態を形成する。
 負圧を100[Torr](1.33×104[Pa])以下とすることにより、液体吐出装置の溶液の貯留部からノズル先端部至るまでの気泡を除去することが可能となり、溶液吐出時の気泡を原因とする不吐出防止につながる。またさらに、吸引作業の対象となる液体吐出装置のノズル、供給管路、貯留部のレイアウトにおいて溶液充填時の液胞抜き作業における制約をなくし、設計上有利とすることができる。
 負圧を20[Torr](2.66×103[Pa])以下とすることにより、液体吐出装置の溶液の貯留部からノズル先端部至るまでの気泡を除去することが可能となり、溶液吐出時の気泡を原因とする不吐出防止につながる。またさらに、吸引作業の対象となる液体吐出装置のノズル、供給管路、貯留部のレイアウトにおいて溶液充填時の液胞抜き作業における制約をなくし、設計上有利とすることができる。
 上述した各請求項記載の発明において、液体吐出装置のノズル径を20[μm]未満とすることにより、電界強度分布が狭くなる。このことにより、電界を集中させることができる。その結果、形成される液滴を微小で且つ形状の安定化したものとすることができると共に、総印加電圧を低減することができる。また、液滴は、ノズルから吐出された直後、電界と電荷の間に働く静電力により加速されるが、ノズルから離れると電界は急激に低下するので、その後は、空気抵抗により減速する。しかしながら、微小液滴でかつ電界が集中した液滴は、対向電極に近づくにつれ、鏡像力により加速される。この空気抵抗による減速と鏡像力による加速とのバランスをとることにより、微小液滴を安定に飛翔させ、着弾精度を向上させることが可能となる。
 また、ノズルの内部直径は、10[μm]以下であることが好ましい。
 この構成により、さらに電界を集中させることが可能となり、さらなる液滴の微小化と、飛翔時に対向電極の距離の変動が電界強度分布に影響することを低減させることができるので、対向電極の位置精度や基材の特性や厚さの液滴形状への影響や着弾精度への影響を低減することができる。
 また、ノズルの内部直径は、8[μm]以下であることが好ましい。ノズルの内部直径を8[μm]以下とすることにより、さらに電界を集中させることが可能となり、さらなる液滴の微小化と、飛翔時に対向電極の距離の変動が電界強度分布に影響することを低減させることができるので、対向電極の位置精度や基材の特性や厚さの液滴形状への影響や着弾精度への影響を低減することができる。
 さらに、電界集中の度合いが高まることにより、多ノズル化時のノズルの高密度化で課題となる電界クロストークの影響が軽減し、一層の高密度化が可能となる。
 さらに、ノズルの内部直径を4[μm]以下とすることにより、顕著な電界の集中を図ることができ、最大電界強度を高くすることができ、形状の安定な液滴の超微小化と、液滴の初期吐出速度を大きくすることができる。これにより、飛翔安定性が向上することにより、着弾精度をさらに向上させ、吐出応答性を向上することができる。
 さらに、電界集中の度合いが高まることにより、多ノズル化時のノズルの高密度化で課題となる電界クロストークの影響が受けにくくなり、より一層の高密度化が可能となる。
 また、ノズルの内部直径は0.2[μm]より大きい方が望ましい。ノズルの内径を0.2[μm]より大きくすることで、液滴の帯電効率を向上させることができるので、液滴の吐出安定性を向上させることができる。
 また、上述した各範囲の微細径のノズルに対し、請求項7〜10の溶液供給方法を実施することにより、その微細ゆえにコンダクタンスが低いノズルに対してノズル先端部までの溶液を導くことができ、液体吐出装置の吐出動作の良好化を図ることが可能となる。また、負圧環境に溶液を供給することとなるので、くまなく溶液が行き渡り、液体吐出装置の気泡の発生を効果的に抑制でき、不吐出の発生を抑制し、吐出の安定化を図ることが可能となる。
 さらに、上記各請求項の構成において、
(1)ノズルを電気絶縁材で形成し、ノズル内に吐出電圧印加用の電極を挿入あるいは当該電極として機能するメッキ形成を行うことが好ましい。
(2)上記各請求項の構成又は上記(1)の構成において、ノズルを電気絶縁材で形成し、ノズル内に電極を挿入或いは電極としてのメッキを形成すると共にノズルの外側にも吐出用の電極を設けることが好ましい。
 ノズルの外側の吐出用電極は、例えば、ノズルの先端側端面或いは、ノズルの先端部側の側面の全周若しくは一部に設けられる。
 (1)及び(2)により、上記各請求項による作用効果に加え、吐出力を向上させることができるので、ノズル径をさらに微細化しても、低電圧で液を吐出することができる。
(3)上記各請求項の構成、上記(1)又は(2)の構成において、基材を導電性材料または絶縁性材料により形成することが好ましい。
(4)上記各請求項の構成、上記(1)、(2)又は(3)の構成において、ノズルに印加する電圧Vを
Figure 2004136658
で表される領域において駆動することが好ましい。
ただし、γ:溶液の表面張力(N/m)、ε0:真空の誘電率(F/m)、d:ノズル直径(m)、h:ノズル−基材間距離(m)、k:ノズル形状に依存する比例定数(1.5<k<8.5)とする。
(5)上記各請求項の構成、上記(1)、(2)、(3)又は(4)の構成において、印加する吐出電圧が1000V以下であることが好ましい。
 吐出電圧の上限値をこのように設定することにより、吐出制御を容易とすると共に装置の耐久性の向上及び安全対策の実行により確実性の向上を容易に図ることが可能となる。
(6)上記各請求項の構成、上記(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)の構成において、印加する吐出電圧が500V以下であることが好ましい。
 吐出電圧の上限値をこのように設定することにより、吐出制御をより容易とすると共に装置の耐久性のさらなる向上及び安全対策の実行により確実性のさらなる向上を容易に図ることが可能となる。
(7)上記各請求項の構成、上記(1)〜(6)いずれかの構成において、ノズルと基材との距離が500[μm]以下とすることが、ノズル径を微細にした場合でも高い着弾精度を得ることができるので好ましい。
(8)上記各請求項の構成、上記(1)〜(7)いずれかの構成において、ノズル内の溶液に圧力を印加するように構成することが好ましい。
(9)上記各請求項の構成、上記(1)〜(8)いずれかの構成において、単一パルスによって吐出する場合、
Figure 2004136658
により決まる時定数τ以上のパルス幅Δtを印加する構成としても良い。ただし、ε:溶液の誘電率(F/m)、σ:溶液の導電率(S/m)とする。
 本発明は、溶液供給手段側の開閉弁と溶液吸引手段側の切替弁との協働により、ノズルを含む領域に一時的に負圧状態を作り出し、開閉弁を開放することで、溶液供給手段からノズル外部まで積極的に流動させることを可能としているので、低コンダクタンスである超微細のノズル内まで積極的に溶液を導くことが可能となる。また、一定の負圧状態まで圧力の低下を図った上で一度に溶液の吸引を行うので、くまなく溶液が行き渡り、微細ノズルの吐出不良の原因ともなりうる気泡を排除することができ、吐出不良の低減による信頼性の向上を図ることが可能となる。また、高圧をかけて溶液をノズルに押し込むのではなく、負圧によりノズル内に引き込むので、溶液の供給がより円滑に行うことが可能となる。
 さらに、本発明にあっては、ノズルを従来にない超微細径とすることでノズル先端部に電界を集中させて電界強度を高めると共にその際に誘導される基材側の鏡像電荷或いは映像電荷までの間に生じる電界の静電力により液滴の飛翔を行っている。
 従って、微細ノズルでありながら従来考えられていたよりも低電圧で液滴の吐出を行うことが可能となると共に、基材が導電体であっても絶縁体であっても良好に液滴の吐出を行うことが可能となる。また、対向電極の存在を不要とすることが可能となる。さらに、これにより、装置構成における備品点数の低減を図ることが可能となる。従って、本発明を業務用インクジェットシステムに適用した場合、システム全体の生産性の向上に貢献し、コスト低減をも図ることが可能となる。
 以下の各実施形態で説明する液体吐出装置のノズル径は、30[μm]以下であることが好ましく、さらに好ましくは20[μm]未満、さらに好ましくは10[μm]以下、さらに好ましくは8[μm]以下、さらに好ましくは4[μm]以下とすることが好ましい。また、ノズル径は、0.2[μm]より大きいことが好ましい。以下、ノズル径と電界強度との関係について、図1〜図6を参照しながら以下に説明する。図1〜図6に対応して、ノズル径をφ0.2,0.4,1,8,20[μm]及び参考として従来にて使用されているノズル径φ50[μm]の場合の電界強度分布を示す。
 ここで、各図において、ノズル中心位置とは、ノズル先端の液体吐出孔の液体吐出面の中心位置を示す。また、各々の図の(a)は、ノズルと対向電極との距離が2000[μm]に設定されたときの電界強度分布を示し、(b)は、ノズルと対向電極との距離が100[μm]に設定されたときの電界強度分布を示す。なお、印加電圧は、各条件とも200[V]と一定にした。図中の分布線は、電荷強度が1×106[V/m]から1×107[V/m]までの範囲を示している。
 図7に、各条件下での最大電界強度を示す図表を示す。
 図1〜図6から、ノズル径がφ20[μm](図5)以上だと電界強度分布は広い面積に広がっていることが分かった。また、図7の図表から、ノズルと対向電極の距離が電界強度に影響していることも分かった。
 これらのことから、ノズル径がφ8[μm](図4)以下であると電界強度は集中すると共に、対向電極の距離の変動が電界強度分布にほとんど影響することがなくなる。従って、ノズル径がφ8[μm]以下であれば、対向電極の位置精度及び基材の材料特性のバラ付きや厚さのバラツキの影響を受けずに安定した吐出が可能となる。
 次に、上記ノズルのノズル径とノズルの先端位置に液面があるとした時の最大電界強度と強電界領域の関係を図8に示す。
 図8に示すグラフから、ノズル径がφ4[μm]以下になると、電界集中が極端に大きくなり最大電界強度を高くすることができるのが分かった。これによって、溶液の初期吐出速度を大きくすることができるので、液滴の飛翔安定性が増すと共に、ノズル先端部での電荷の移動速度が増すために吐出応答性が向上する。
 続いて、吐出した液滴における帯電可能な最大電荷量について、以下に説明する。液滴に帯電可能な電荷量は、液滴のレイリー分裂(レイリー限界)を考慮した以下の(3)式で示される。
Figure 2004136658
 ここで、qはレイリー限界を与える電荷量(C)、ε0は真空の誘電率(F/m)、γは溶液の表面張力(N/m)、d0は液滴の直径(m)である。
 上記(3)式で求められる電荷量qがレイリー限界値に近いほど、同じ電界強度でも静電力が強く、吐出の安定性が向上するが、レイリー限界値に近すぎると、逆にノズルの液体吐出孔で溶液の霧散が発生してしまい、吐出安定性に欠けてしまう。
 ここで、ノズルのノズル径とノズル先端部で吐出する液滴が飛翔を開始する吐出開始電圧、該初期吐出液滴のレイリー限界での電圧値及び吐出開始電圧とレイリー限界電圧値の比との関係を示すグラフを図9に示す。
 図9に示すグラフから、ノズル径がφ0.2[μm]からφ4[μm]の範囲において、吐出開始電圧とレイリー限界電圧値の比が0.6を超え、液滴の帯電効率が良い結果となっており、該範囲において安定した吐出が行えることが分かった。
 例えば、図10に示すノズル径とノズル先端部の強電界(1×106[V/m]以上)の領域の関係で表されるグラフでは、ノズル径がφ0.2[μm]以下になると電界集中の領域が極端に狭くなることが示されている。このことから、吐出する液滴は、加速するためのエネルギーを十分に受けることができず飛翔安定性が低下することを示す。よって、ノズル径はφ0.2[μm]より大きく設定することが好ましい。
[液体吐出装置]
 (液体吐出装置の全体構成)
 以下、液体吐出装置について図11乃至図13に基づいて説明する。図11は後述するノズル51に沿った液体吐出装置50の断面図であり、図12は溶液の吐出動作に直接関わりある構成のみを図示したノズル51に沿った液体吐出装置50の断面図である。また、図13は溶液に印加される電圧との関係を示す説明図であって、図13(A)は吐出を行わない状態であり、図13(B)は吐出状態を示す。
 この液体吐出装置50は、帯電可能な溶液の液滴をその先端部から吐出する超微細径のノズル51と、ノズル51の先端部に対向する対向面を有すると共にその対向面で液滴の着弾を受ける基材Kを支持する対向電極23と、ノズル51内の流路52に溶液を供給する溶液供給手段53と、ノズル51内の溶液に吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段35と、ノズル51内に溶液の吸引を行う溶液吸引手段40とを備えている。なお、上記ノズル51と溶液供給手段53の一部の構成と吐出電圧印加手段35の一部の構成は液体吐出ヘッド56により一体的に形成されている。
 なお、説明の便宜上、図11ではノズル51の先端部が側方を向き、図2ではノズル51の先端部が上方を向いた状態で図示されているが、実際上は、ノズル51が水平方向か或いはそれよりも下方、より望ましくは垂直下方に向けた状態で使用される。
 ここで、吐出の対象となる溶液と液体吐出装置50の液滴の吐出に直接関わりある構成について(溶液吸引手段40を除く構成)、図12及び図13に基づいて先に説明することとする。
 (溶液)
 上記液体吐出装置20による吐出を行う溶液の例としては、無機液体としては、水、COCl2、HBr、HNO3、H3PO4、H2SO4、SOCl2、SO2Cl2、FSO3Hなどが挙げられる。有機液体としては、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、tert−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、ベンジルアルコール、α−テルピネオール、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのアルコール類;フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、などのフェノール類;ジオキサン、フルフラール、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、エピクロロヒドリンなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−4−ペンタノン、アセトフェノンなどのケトン類;ギ酸、酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸などの脂肪酸類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−3−メトキシブチル、酢酸−n−ペンチル、プロピオン酸エチル、乳酸エチル、安息香酸メチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、セロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、アセト酢酸エチル、シアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチルなどのエステル類;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、o−トルイジン、p−トルイジン、ピペリジン、ピリジン、α−ピコリン、2,6−ルチジン、キノリン、プロピレンジアミン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N,N',N'−テトラメチル尿素、N−メチルピロリドンなどの含窒素化合物類;ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫黄化合物類;ベンゼン、p−シメン、ナフタレン、シクロヘキシルベンゼン、シクロヘキセンなどの炭化水素類;1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン(cis−)、テトラクロロエチレン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、2−クロロ−2−メチルプロパン、ブロモメタン、トリブロモメタン、1−ブロモプロパンなどのハロゲン化炭化水素類、などが挙げられる。また、上記各液体を二種以上混合して溶液として用いても良い。
 さらに、高電気伝導率の物質(銀粉等)が多く含まれるような導電性ペーストを溶液として使用し、吐出を行う場合には、上述した液体に溶解又は分散させる目的物質としては、ノズルで目詰まりを発生するような粗大粒子を除けば、特に制限されない。PDP、CRT、FEDなどの蛍光体としては、従来より知られているものを特に制限なく用いることができる。例えば、赤色蛍光体として、(Y,Gd)BO3:Eu、YO3:Euなど、緑色蛍光体として、Zn2SiO4:Mn、BaAl1219:Mn、(Ba,Sr,Mg)O・α−Al23:Mnなど、青色蛍光体として、BaMgAl1423:Eu、BaMgAl1017:Euなどが挙げられる。上記の目的物質を記録媒体上に強固に接着させるために、各種バインダーを添加するのが好ましい。用いられるバインダーとしては、例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースおよびその誘導体;アルキッド樹脂;ポリメタクリタクリル酸、ポリメチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート・メタクリル酸共重合体、ラウリルメタクリレート・2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などの(メタ)アクリル樹脂およびその金属塩;ポリN−イソプロピルアクリルアミド、ポリN,N−ジメチルアクリルアミドなどのポリ(メタ)アクリルアミド樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、スチレン・マレイン酸共重合体、スチレン・イソプレン共重合体などのスチレン系樹脂;スチレン・n−ブチルメタクリレート共重合体などのスチレン・アクリル樹脂;飽和、不飽和の各種ポリエステル樹脂;ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー;ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;エポキシ系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のポリアセタール樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合樹脂などのポリエチレン系樹脂;ベンゾグアナミン等のアミド樹脂;尿素樹脂;メラミン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂及びそのアニオンカチオン変性;ポリビニルピロリドンおよびその共重合体;ポリエチレンオキサイド、カルボキシル化ポリエチレンオキサイド等のアルキレンオキシド単独重合体、共重合体及び架橋体;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール;ポリエーテルポリオール;SBR、NBRラテックス;デキストリン;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン及びその誘導体、カゼイン、トロロアオイ、トラガントガム、プルラン、アラビアゴム、ローカストビーンガム、グアガム、ペクチン、カラギニン、にかわ、アルブミン、各種澱粉類、コーンスターチ、こんにゃく、ふのり、寒天、大豆蛋白等の天然或いは半合成樹脂;テルペン樹脂;ケトン樹脂;ロジン及びロジンエステル;ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンイミン、ポリスチレンスルフォン酸、ポリビニルスルフォン酸などを用いることができる。これらの樹脂は、ホモポリマーとしてだけでなく、相溶する範囲でブレンドして用いても良い。
 液体吐出装置20をパターンニング方法として使用する場合には、代表的なものとしてはディスプレイ用途に使用することができる。具体的には、プラズマディスプレイの蛍光体の形成、プラズマディスプレイのリブの形成、プラズマディスプレイの電極の形成、CRTの蛍光体の形成、FED(フィールドエミッション型ディスプレイ)の蛍光体の形成、FEDのリブの形成、液晶ディスプレイ用カラーフィルター(RGB着色層、ブラックマトリクス層)、液晶ディスプレイ用スペーサー(ブラックマトリクスに対応したパターン、ドットパターン等)などが挙げることができる。ここでいうリブとは一般的に障壁を意味し、プラズマディスプレイを例に取ると各色のプラズマ領域を分離するために用いられる。その他の用途としては、マイクロレンズ、半導体用途として磁性体、強誘電体、導電性ペースト(配線、アンテナ)などのパターンニング塗布、グラフィック用途としては、通常印刷、特殊媒体(フィルム、布、鋼板など)への印刷、曲面印刷、各種印刷版の刷版、加工用途としては粘着材、封止材などの本発明を用いた塗布、バイオ、医療用途としては医薬品(微量の成分を複数混合するような)、遺伝子診断用試料等の塗布等に応用することができる。
 (ノズル)
 上記ノズル51は、後述するノズルプレート56cのプレート部と共に一体的に形成されており、当該ノズルプレート56cの平板面上から垂直に立設されている。また、液滴の吐出時においては、ノズル51は、基材Kの受け面(液滴が着弾する面)に対して垂直に向けて使用される。さらに、ノズル51にはその先端部からノズル51の中心に沿って貫通するノズル内流路52が形成されている。
 ノズル51についてさらに詳説する。ノズル51は、その先端部における開口径とノズル内流路52とが均一であって、前述の通り、これらが超微細径で形成されている。具体的な各部の寸法の一例を挙げると、ノズル内流路52の内部直径は、30[μm]以下、さらに20[μm]未満、さらに10[μm]以下、さらに8[μm]以下、さらに4[μm]以下が好ましく、本実施形態ではノズル内流路52の内部直径が1[μm]に設定されている。そして、ノズル51の先端部における外部直径は2[μm]、ノズル51の根元の直径は5[μm]、ノズル51の高さは100[μm]に設定されており、その形状は限りなく円錐形に近い円錐台形に形成されている。また、ノズルの内部直径は0.2[μm]より大きい方が好ましい。なお、ノズル51の高さは、0[μm]でも構わない。
 なお、ノズル内流路52の形状は、図14に示すような、内径一定の直線状に形成しなくとも良い。例えば、図14(A)に示すように、ノズル内流路52の後述する溶液室54側の端部における断面形状が丸みを帯びて形成されていても良い。また、図14(B)に示すように、ノズル内流路52の後述する溶液室54側の端部における内径が吐出側端部における内径と比して大きく設定され、ノズル内流路52の内面がテーパ周面形状に形成されていても良い。さらに、図14(C)に示すように、ノズル内流路52の後述する溶液室54側の端部のみがテーパ周面形状に形成されると共に当該テーパ周面よりも吐出端部側は内径一定の直線状に形成されていても良い。
 (溶液供給手段)
 溶液供給手段53は、液体吐出ヘッド56の内部であってノズル51の根元となる位置に設けられると共にノズル内流路52に連通する溶液室54と、溶液室54へ供給する溶液を貯留する貯留部61と、この貯留部61から溶液室54に溶液を導く供給路57と、貯留部61とノズル51とを連結する供給管路63と、この供給管路63の途中に設けられた開閉弁62とを有している。
 上記貯留部61は、自重により緩やかな圧力で溶液室54への溶液の供給を行うが、単独では、超微細径による低コンダクタンス性によりノズル内流路52内まで溶液を供給することはできない。図示とは異なり、通常は自重による流動圧力付与のために、貯留部61は液体吐出ヘッド56よりも高位置に配置される。
 また、供給管路63は、その一端部が貯留部61に接続され、他端部が液体吐出ヘッド56の供給路57と接続されている。また、この供給管路63の途中に設けられた開閉弁62は、手動により開通状態と不通状態とを切り替え可能となっている。ノズル内流路52に既に溶液が満たされた状態の場合には、供給路57に供給された溶液は溶液室54を介してノズル内流路52に供給される。
 (吐出電圧印加手段)
 吐出電圧印加手段35は、液体吐出ヘッド56の内部であって溶液室54とノズル内流路52との境界位置に設けられた吐出電圧印加用の吐出電極58と、この吐出電極58に常時,直流のバイアス電圧を印加するバイアス電源30と、吐出電極28にバイアス電圧に重畳して吐出に要する電位とする吐出パルス電圧を印加する吐出電圧電源31と、を備えている。
 上記吐出電極58は、溶液室54内部において溶液に直接接触し、溶液を帯電させると共に吐出電圧を印加する。
 バイアス電源30によるバイアス電圧は、溶液の吐出が行われない範囲で常時電圧印加を行うことにより、吐出時に印加すべき電圧の幅を予め低減し、これによる吐出時の反応性の向上を図っている。
 吐出電圧電源31は、溶液の吐出を行う際にのみパルス電圧をバイアス電圧に重畳させて印加する。このときの重畳電圧Vは次式(1)の条件を満たすようにパルス電圧の値が設定されている。
Figure 2004136658
 ただし、γ:溶液の表面張力(N/m)、ε0:真空の誘電率(F/m)、d:ノズル直径(m)、h:ノズル−基材間距離(m)、k:ノズル形状に依存する比例定数(1.5<k<8.5)とする。
 一例を挙げると、バイアス電圧はDC300[V]で印加され、パルス電圧は100[V]で印される。従って、吐出の際の重畳電圧は400[V]となる。
 (液体吐出ヘッド)
 液体吐出ヘッド56は、図12において最も下層に位置するベース層56aと、その上に位置する溶液の供給路を形成する流路層56bと、この流路層56bのさらに上に形成されるノズルプレート56cとを備え、流路層56bとノズルプレート56cとの間には前述した吐出電極58が介挿されている。
 上記ベース層56aは、シリコン基板或いは絶縁性の高い樹脂又はセラミックにより形成され、その上に溶解可能な樹脂層を形成すると共に供給路57及び溶液室54を形成するための所定のパターンに従う部分のみを残して除去し、除去された部分に絶縁樹脂層を形成する。この絶縁樹脂層が流路層56bとなる。そして、この絶縁樹脂層の上面に導電素材(例えばNiP)のメッキにより吐出電極58を形成し、さらにその上から絶縁性のレジスト樹脂層を形成する。このレジスト樹脂層がノズルプレート56cとなるので、この樹脂層はノズル51の高さを考慮した厚みで形成される。そして、この絶縁性のレジスト樹脂層を電子ビーム法やフェムト秒レーザにより露光し、ノズル形状を形成する。ノズル内流路52も露光・現像により形成される。そして、供給路57及び溶液室54のパターンに従う溶解可能な樹脂層を除去し、これら供給路57及び溶液室54が開通して液体吐出ヘッド56が完成する。
 なお、ノズルプレート56c及びノズル51の素材は、具体的には、エポキシ、PMMA、フェノール、ソーダガラス、石英ガラス等の絶縁材の他、Siのような半導体、Ni、SUS等のような導体であっても良い。但し、導体によりノズルプレート56c及びノズル51を形成した場合には、少なくともノズル51の先端部における先端部端面、より望ましくは先端部における周面については、絶縁材による被膜を設けることが望ましい。ノズル51を絶縁材から形成し又はその先端部表面に絶縁材被膜を形成することにより、溶液に対する吐出電圧印加時において、ノズル先端部から対向電極23への電流のリークを効果的に抑制することが可能となるからである。
 (対向電極)
 対向電極23は、ノズル51の突出方向に垂直な対向面を備えており、かかる対向面に沿うように基材Kの支持を行う。ノズル51の先端部から対向電極23の対向面までの距離は、500[μm]以下さらには100[μm]以下が好ましく、一例としては100[μm]に設定される。
 また、この対向電極23は接地されているため、常時,接地電位を維持している。従って、パルス電圧の印加時にはノズル51の先端部と対向面との間に生じる電界による静電力により吐出された液滴を対向電極23側に誘導する。
 なお、液体吐出装置50は、ノズル51の超微細化による当該ノズル51の先端部での電界集中により電界強度を高めることで液滴の吐出を行うことから、対向電極23による誘導がなくとも液滴の吐出を行うことは可能ではあるが、ノズル51と対向電極23との間での静電力による誘導が行われた方が望ましい。また、帯電した液滴の電荷を対向電極23の接地により逃がすことも可能である。
 (液体吐出装置による微小液滴の吐出動作)
 図12及び図13により液体吐出装置50の吐出動作の説明を行う。
 後述する溶液吸引手段40よりノズル内流路52には溶液が供給された状態にあり、かかる状態でバイアス電源30により吐出電極58を介してバイアス電圧が溶液に印加されている。かかる状態で、溶液は帯電すると共に、ノズル51の先端部において溶液による凹状に窪んだメニスカスが形成される(図13(A))。
 そして、吐出電圧電源31により吐出パルス電圧が印加されると、ノズル51の先端部では集中された電界の電界強度による静電力により溶液がノズル51の先端側に誘導され、外部に突出した凸状メニスカスが形成されると共に、かかる凸状メニスカスの頂点により電界が集中し、ついには溶液の表面張力に抗して微小液滴が対向電極側に吐出される(図13(B))。
 上記液体吐出装置50は、従来にない微細径のノズル51により液滴の吐出を行うので、ノズル内流路52内で帯電した状態の溶液により電界が集中され、電界強度が高められる。このため、従来のように電界の集中化が行われない構造のノズル(例えば内径100[μm])では吐出に要する電圧が高くなり過ぎて事実上吐出不可能とされていた微細径でのノズルによる溶液の吐出を従来よりも低電圧で行うことを可能としている。
 そして、微細径であるがために、ノズルコンダクタンスの低さによりその単位時間あたりの吐出流量を低減する制御を容易に行うことができると共に、パルス幅を狭めることなく十分に小さな液滴径(上記各条件によれば0.8[μm])による溶液の吐出を実現している。
 さらに、吐出される液滴は帯電されているので、微小の液滴であっても蒸気圧が低減され、蒸発を抑制することから液滴の質量の損失を低減し、飛翔の安定化を図り、液滴の着弾精度の低下を防止する。
 (溶液吸引手段)
 次に、溶液吸引手段40について説明する。この溶液吸引手段40は、液体吐出装置50が使用開始前の状態にある場合や、ノズルプレート56がしばらく未使用であった場合や、掃除或いはメンテナンスの後である場合等のように、ノズル内流路52内に溶液が未供給状態である場合に使用される。
 この溶液吸引手段40は、吸引を行うポンプ41と、外部からノズル51に装着可能な装着体42と、ポンプ41と装着体42とを連結する連結管43と、この連結管43の途中に設けられると共にポンプ41と装着体42との間の開通と不通とを切り替え可能な三方切替弁44と、この三方切替弁44を介して連結管43から分岐する排出管45と、この排出管45の開通と不通とを切り替え可能な開閉弁46とを備えている。
 装着体42は、ノズル51の外形形状に応じた凹部42bを備えており、凹部42bの周囲にはパッキング42aが形成されている。そして、凹部42bの最深部には連結管43に連なる吸引孔42cが形成されている。従って、凹部42bにノズル51を挿入させた状態でノズルプレート56に装着体42を装着すると、外部に対しては高い気密性を発揮し、ノズル51内の空気を効果的に吸引することが可能である。
 三方切替弁44は、装着体42とポンプ41との接続状態と、装着体42と排出管45との接続状態を切り替えることが可能である。
 そして、吸引動作を行う場合には、まず、溶液供給手段53の開閉弁62を閉じる。そして、装着体42をノズル51に装着すると共に、三方切替弁44によりポンプ41と装着体42との間を開通状態とし、排出管46の開閉弁46を閉じた状態とし、ポンプ41の駆動を行う。これにより、溶液供給手段53の開閉弁62からノズル51,装着体42,連結管43を通ってポンプ41までの間に領域が減圧されることとなる。
 そして、十分に減圧された状態において、ポンプ41の駆動を停止し、切替弁44を装着体42と排出管45とが接続される状態に切り替える。これにより装着体42とポンプ41とは不通状態となる。また、開閉弁62からノズル51を介して開閉弁46までの領域が負圧状態となり、かかる状態で、開閉弁62を開くと、減圧された区間と溶液の貯留部61とが連絡され、貯留部61の溶液がノズル51を通過して開閉弁46まで吸引されることとなる。従って、ノズル51内への強制的な溶液供給が実現する。その後、開閉弁46を開通し、装着体42をノズル51から取り外すと、装着体42から開閉弁46までに導かれた溶液は排出管45の末端から排出される一方で、微細化されたノズル51の先端部まで積極的に溶液を導くことを可能とする。従って、その後は前述した動作により、ノズル51の先端部から液滴を吐出することが可能となる。
 また、本実施形態の構成において、負圧を100[Torr](1.33×104[Pa])で溶液を供給管路及び液体吐出ヘッドに供給した結果、泡抜きを目的として初期実施していた10分間の空吐出動作が30[sec]に短縮できた。またさらに、負圧を15[Torr]( 2.00×104[Pa])で溶液を供給管路及び液体吐出ヘッドに供給した結果、泡抜きを目的として初期実施していた10分間の空吐出動作を不要にでき、しかも、連続吐出時に不定期に発生していた泡を起因とする吐出変動を抑制することが可能となった。
 (その他)
 なお、ノズル51にエレクトロウェッティング効果を得るために、ノズル21の外周に電極を設けるか、また或いは、ノズル内流路22の内面に電極を設け、その上から絶縁膜で被覆しても良い。そして、この電極に電圧を印加することで、吐出電極28により電圧が印加されている溶液に対して、エレクトロウェッティング効果によりノズル内流路22の内面のぬれ性を高めることができ、ノズル内流路22への溶液の供給を円滑に行うことができ、良好に吐出を行うと共に、吐出の応答性の向上を図ることが可能となる。
 また、吐出電圧印加手段35ではバイアス電圧を常時印加すると共にパルス電圧をトリガーとして液滴の吐出を行っているが、吐出に要する振幅で常時交流又は連続する矩形波を印加すると共にその周波数の高低を切り替えることで吐出を行う動作制御を行う周波数制御手段を有する構成としても良い。液滴の吐出を行うためには溶液の帯電が必須であり、溶液の帯電する速度を上回る周波数で吐出電圧を印加していても吐出が行われず、溶液の帯電が十分に図れる周波数に替えると吐出が行われる。従って、吐出を行わないときには吐出可能な周波数より大きな周波数で吐出電圧を印加し、吐出を行う場合にのみ吐出可能な周波数帯域まで周波数を低減させる制御を行うことで、溶液の吐出を制御することが可能となる。かかる場合、溶液に印加される電位自体に変化はないので、より時間応答性を向上させると共に、これにより液滴の着弾精度を向上させることが可能となる。
[液体吐出装置の理論説明]
 以下に、本発明による液体吐出の理論説明及びこれに基づく基本例の説明を行う。なお、以下に説明する理論及び基本例におけるノズルの構造、各部の素材及び吐出液体の特性、ノズル周囲に付加する構成、吐出動作に関する制御条件等全ての内容は、可能な限り上述した各実施形態中に適用しても良いことはいうまでもない。
(印加電圧低下および微少液滴量の安定吐出実現の方策)
 従前は以下の条件式により定まる範囲を超えて液滴の吐出は不可能と考えられていた。
Figure 2004136658
 λCは静電吸引力によりノズル先端部からの液滴の吐出を可能とするための溶液液面における成長波長(m)であり、λC=2πγh20V2で求められる。
Figure 2004136658
Figure 2004136658
 本発明では、静電吸引型インクジェット方式において果たすノズルの役割を再考察し、従来吐出不可能として試みられていなかった領域において、マクスウェル力などを利用することで、微小液滴を形成することができる。
 このような駆動電圧低下および微少量吐出実現の方策のための吐出条件等を近似的に表す式を導出したので以下に述べる。
 以下の説明は、上記各本発明の実施形態で説明した液体吐出装置に適用可能である。
 いま、内径dのノズルに導電性溶液を注入し、基材としての無限平板導体からhの高さに垂直に位置させたと仮定する。この様子を図15に示す。このとき、ノズル先端部に誘起される電荷は、ノズル先端の半球部に集中すると仮定し、以下の式で近似的に表される。
Figure 2004136658
 ここで、Q:ノズル先端部に誘起される電荷(C)、ε0:真空の誘電率(F/m)、ε:基材の誘電率(F/m)、h:ノズル−基材間距離(m)、d:ノズル内部の直径(m)、V:ノズルに印加する総電圧(V)である。α:ノズル形状などに依存する比例定数で、1〜1.5程度の値を取り、特にd<<hのときほぼ1程度となる。
 また、基材としての基板が導体基板の場合、基板内の対称位置に反対の符号を持つ鏡像電荷Q’が誘導されると考えられる。基板が絶縁体の場合は、誘電率によって定まる対称位置に同様に反対符号の映像電荷Q’が誘導される。
 ところで、ノズル先端部に於ける凸状メニスカスの先端部の電界強度Eloc.[V/m]は、凸状メニスカス先端部の曲率半径をR[m]と仮定すると、
Figure 2004136658
で与えられる。ここでk:比例定数で、ノズル形状などにより異なるが、1.5〜8.5程度の値をとり、多くの場合5程度と考えられる。(P. J. Birdseye and D.A. Smith, Surface Science, 23 (1970) 198-210)。
 今簡単のため、d/2=Rとする。これは、ノズル先端部に表面張力で導電性溶液がノズルの半径と同じ半径を持つ半球形状に盛り上がっている状態に相当する。
 ノズル先端の液体に働く圧力のバランスを考える。まず、静電的な圧力は、ノズル先端部の液面積をS[m2]とするとすると、
Figure 2004136658
(7)、(8)、(9)式よりα=1とおいて、
Figure 2004136658
と表される。
 一方、ノズル先端部に於ける液体の表面張力をPsとすると、
Figure 2004136658
 ここで、γ:表面張力(N/m)、である。
静電的な力により流体の吐出が起こる条件は、静電的な力が表面張力を上回る条件なので、
Figure 2004136658
となる。十分に小さいノズル直径dをもちいることで、静電的な圧力が、表面張力を上回らせる事が可能である。
この関係式より、Vとdの関係を求めると、
Figure 2004136658
が吐出の最低電圧を与える。すなわち、式(6)および式(13)より、
Figure 2004136658
が、本発明の動作電圧となる。
 ある内径dのノズルに対し、吐出限界電圧Vcの依存性を前述した図9に示す。この図より、微細ノズルによる電界の集中効果を考慮すると、吐出開始電圧は、ノズル径の減少に伴い低下する事が明らかになった。
 従来の電界に対する考え方、すなわちノズルに印加する電圧と対向電極間の距離によって定義される電界のみを考慮した場合では、微細ノズルになるに従い、吐出に必要な電圧は増加する。一方、局所電界強度に注目すれば、微細ノズル化により吐出電圧の低下が可能となる。
 静電吸引による吐出は、ノズル端部における液体(溶液)の帯電が基本である。帯電の速度は誘電緩和によって決まる時定数程度と考えられる。
Figure 2004136658
 ここで、ε:溶液の誘電率(F/m)、σ:溶液の導電率(S/m)である。溶液の比誘電率を10、導電率を10-6 S/m を仮定すると、τ=1.854×10-5secとなる。あるいは、臨界周波数をfc[Hz]とすると、
Figure 2004136658
となる。このfcよりも早い周波数の電界の変化に対しては、応答できず吐出は不可能になると考えられる。上記の例について見積もると、周波数としては10 kHz程度となる。このとき、ノズル半径2μm、電圧500V弱の場合、ノズル内流量Gは10-13m3/sと見積もることができるが、上記の例の液体の場合、10kHzでの吐出が可能なので、1周期での最小吐出量は10fl(フェムトリットル、1fl:10-15 l)程度を達成できる。
 なお、各上記本実施の形態においては、図15に示したようにノズル先端部に於ける電界の集中効果と、対向基板に誘起される鏡像力の作用を特徴とする。このため、先行技術のように基板または基板支持体を導電性にすることや、これら基板または基板支持体への電圧の印加は必ずしも必要はない。すなわち、基板として絶縁性のガラス基板、ポリイミドなどのプラスチック基板、セラミックス基板、半導体基板などを用いることが可能である。
 また、上記各実施形態において電極への印加電圧はプラス、マイナスのどちらでも良い。
 さらに、ノズルと基材との距離は、500[μm]以下に保つことにより、溶液の吐出を容易にすることができる。また、図示しないが、ノズル位置検出によるフィードバック制御を行い、ノズルを基材に対し一定に保つようにすることが望ましい。
 また、基材を、導電性または絶縁性の基材ホルダーに裁置して保持するようにしても良い。
 図16は、本発明の他の基本例の一例としての液体吐出装置のノズル部分の側面断面図を示したものである。ノズル1の側面部には電極15が設けられており、ノズル内溶液3との間に制御された電圧が印加される。この電極15の目的は、Electrowetting 効果を制御するための電極である。十分な電場がノズルを構成する絶縁体にかかる場合この電極がなくともElectrowetting効果は起こると期待される。しかし、本基本例では、より積極的にこの電極を用いて制御することで、吐出制御の役割も果たすようにしたものである。ノズル1を絶縁体で構成し、先端部におけるノズルの管厚が1μm、ノズル内径が2μm、印加電圧が300Vの場合、約30気圧のElectrowetting効果になる。この圧力は、吐出のためには、不十分であるが溶液のノズル先端部への供給の点からは意味があり、この制御電極により吐出の制御が可能と考えられる。
 前述した図9は、本発明における吐出開始電圧のノズル径依存性を示したものである。液体吐出装置として、図11に示すものを用いた。微細ノズルになるに従い吐出開始電圧が低下し、従来より低電圧で吐出可能なことが明らかになった。
 上記各実施形態において、溶液吐出の条件は、ノズル基材間距離(h)、印加電圧の振幅(V)、印加電圧振動数(f)のそれぞれの関数になり、それぞれにある一定の条件を満たすことが吐出条件として必要になる。逆にどれか一つの条件を満たさない場合他のパラメーターを変更する必要がある。
 この様子を図17を用いて説明する。
 まず吐出のためには、それ以上の電界でないと吐出しないというある一定の臨界電界Ecが存在する。この臨界電界は、ノズル径、溶液の表面張力、粘性などによって変わってくる値で、Ec以下での吐出は困難である。臨界電界Ec以上すなわち吐出可能電界強度において、ノズル基材間距離(h)と印加電圧の振幅(V)の間には、おおむね比例の関係が生じ、ノズル間距離を縮めた場合、臨界印加電圧Vを小さくする事が出来る。
 逆に、ノズル基材間距離(h)を極端に離し、印加電圧Vを大きくした場合、仮に同じ電界強度を保ったとしても、コロナ放電による作用などによって、流体液滴の破裂すなわちバーストが生じてしまう。
ノズル径をφ0.2 [μm]とした場合の電界強度分布を示し、図1(a)はノズルと対向電極との距離が2000[μm]に設定されたときの電界強度分布を示し、図1(b)は、ノズルと対向電極との距離が100[μm]に設定されたときの電界強度分布を示す。 ノズル径をφ0.4 [μm]とした場合の電界強度分布を示し、図2(a)はノズルと対向電極との距離が2000[μm]に設定されたときの電界強度分布を示し、図2(b)は、ノズルと対向電極との距離が100[μm]に設定されたときの電界強度分布を示す。 ノズル径をφ1 [μm]とした場合の電界強度分布を示し、図3(a)はノズルと対向電極との距離が2000[μm]に設定されたときの電界強度分布を示し、図3(b)は、ノズルと対向電極との距離が100[μm]に設定されたときの電界強度分布を示す。 ノズル径をφ8 [μm]とした場合の電界強度分布を示し、図4(a)はノズルと対向電極との距離が2000[μm]に設定されたときの電界強度分布を示し、図4(b)は、ノズルと対向電極との距離が100[μm]に設定されたときの電界強度分布を示す。 ノズル径をφ20 [μm]とした場合の電界強度分布を示し、図5(a)はノズルと対向電極との距離が2000[μm]に設定されたときの電界強度分布を示し、図5(b)は、ノズルと対向電極との距離が100[μm]に設定されたときの電界強度分布を示す。 ノズル径をφ50 [μm]とした場合の電界強度分布を示し、図6(a)はノズルと対向電極との距離が2000[μm]に設定されたときの電界強度分布を示し、図6(b)は、ノズルと対向電極との距離が100[μm]に設定されたときの電界強度分布を示す。 図1〜図6の各条件下での最大電界強度を示す図表を示す。 ノズルのノズル径のメニスカス部の最大電界強度と強電界領域の関係を示す線図である。 ノズルのノズル径とメニスカス部で吐出する液滴が飛翔を開始する吐出開始電圧、該初期吐出液滴のレイリー限界での電圧値及び吐出開始電圧とレイリー限界電圧値の比との関係を示す線図である。 本発明の実施の形態における印字ドット径のノズル径依存性を示したものである。 ノズルに沿った液体吐出装置の断面図である。 溶液の吐出動作に直接関わりある構成のみを図示したノズルに沿った液体吐出装置の断面図である。 溶液に印加される電圧との関係を示す説明図であって、図13(A)は吐出を行わない状態であり、図13(B)は吐出状態を示す。 ノズル内流路の他の形状の例を示す一部切り欠いた斜視図であり、図14(A)は溶液室側に丸みを設けた例であり、図14(B)は流路内壁面をテーパ周面とした例であり、図14(C)はテーパ周面と直線状の流路とを組み合わせた例を示す。 本発明の実施の形態として、ノズルの電界強度の計算を説明するために示したものである。 本発明の一例としての液体吐出機構の側面断面図を示したものである。 本発明の実施の形態の液体吐出装置における距離−電圧の関係による吐出条件を説明した図である。
符号の説明
 1 ノズル
 3 流体(溶液)
 13 基板
 15 ノズル外側の電極
 35 吐出電圧印加手段
 40 溶液吸引手段
 41 ポンプ
 42 装着体
 43 連結管
 44 三方切替弁(切替弁)
 50 液体吐出装置
 51 ノズル
 53 溶液供給手段
 61 貯留部
 62 開閉弁
 63 供給管路
 K 基材

Claims (15)

  1. 帯電した溶液の液滴を基材に吐出する液体吐出装置であって、
     先端部から前記液滴を吐出する先端部の内部直径が30[μm]以下のノズルを有する液体吐出ヘッドと、前記ノズル内に溶液を供給する溶液供給手段と、前記ノズル内の溶液に吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段と、を備え、
     前記溶液供給手段は、溶液の貯留部と、この貯留部と前記ノズルとを連結する供給管路と、この供給管路の途中に設けられた開閉弁とを有し、
     前記溶液吸引手段は、吸引を行うポンプと、外部から前記ノズルに装着可能な装着体と、前記ポンプと前記装着体とを連結する連結管と、この連結管の途中に設けられると共に前記ポンプと前記装着体との間の開通と不通とを切り替え可能な切替弁を有することを特徴とする液体吐出装置
  2. 前記ポンプは100[Torr](1.33×104[Pa])以下の負圧状態を形成可能であることを特徴とする請求項1記載の液体吐出装置。
  3. 前記ポンプは20[Torr](2.66×103[Pa])以下の負圧状態を形成可能であることを特徴とする請求項2記載の液体吐出装置。
  4. 前記ノズルの前記内部直径が20[μm]未満であることを特徴とする請求項1から3いずれかに記載の液体吐出装置。
  5. 前記ノズルの前記内部直径が10[μm]以下であることを特徴とする請求項4記載の液体吐出装置。
  6. 前記ノズルの前記内部直径が8[μm]以下であることを特徴とする請求項5記載の液体吐出装置。
  7. 前記ノズルの前記内部直径が4[μm]以下であることを特徴とする請求項6記載の液体吐出装置。
  8. 帯電した溶液の液滴を基材に吐出する液体吐出装置であって、
     先端部から前記液滴を吐出する先端部の内部直径が30[μm]以下のノズルを有する液体吐出ヘッドと、前記ノズル内に溶液を供給する溶液供給手段と、前記ノズル内の溶液に吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段とを備える液体吐出装置の溶液供給方法であって、
     前記ノズルに対して、その外側から負圧により吸引して前記溶液供給手段から前記ノズルの先端部まで溶液を供給させる液体吐出装置の溶液供給方法。
  9. 前記ノズルに対する吸引動作は、前記溶液供給手段からの溶液の供給を止めた状態で行い、
     負圧を維持しつつ吸引動作を止めてから、前記溶液供給手段からの溶液供給を可能とする請求項8記載の液体吐出装置の溶液供給方法。
  10. 前記吸引時の負圧を100[Torr](1.33×104[Pa])以下とすることを特徴とする請求項8又は9記載の液体吐出装置の溶液供給方法。
  11. 前記吸引時の負圧を20[Torr](2.66×103[Pa])以下とすることを特徴とする請求項10記載の液体吐出装置の溶液供給方法。
  12. 前記ノズルの前記内部直径が20[μm]未満である液体吐出装置を対象とすることを特徴とする請求項8から11いずれかに記載の液体吐出装置の溶液供給方法。
  13. 前記ノズルの前記内部直径が10[μm]以下である液体吐出装置を対象とすることを特徴とする請求項12記載の液体吐出装置の溶液供給方法。
  14. 前記ノズルの前記内部直径が8[μm]以下である液体吐出装置を対象とすることを特徴とする請求項13記載の液体吐出装置の溶液供給方法。
  15. 前記ノズルの前記内部直径が4[μm]以下である液体吐出装置を対象とすることを特徴とする請求項14記載の液体吐出装置の溶液供給方法。
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