JP2004136584A - 両面印刷装置及び用紙搬送部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも1つの版胴12と、版胴12に用紙Pを押圧する少なくとも1つのプレスローラ13とを有し、用紙Pの一方の面に印刷した後、3秒以内に用紙Pの他方の面に印刷する両面印刷装置1において、用紙Pの他方の面を版胴12に押圧するプレスローラ13の外周面に、先端部半径R0.04mm以下で形成された突起13hを平均ピッチL0.4mm以下で多数有する凹凸部13eを設けた。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、用紙の一方の面及び他方の面に印刷を行う両面印刷装置に関し、詳しくは用紙の印刷面に接触して印刷後の用紙を版胴に押圧するプレスローラの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、簡便な印刷方法としてデジタル式感熱孔版印刷が知られている。この孔版印刷に用いられる孔版印刷装置は、微細な発熱素子が一列に配置されたサーマルヘッドを感熱孔版マスタ(以下、「マスタ」という)に接触させ、パルス的に発熱素子に通電させながらマスタを搬送することで画像情報に応じてマスタを加熱溶融穿孔し、このマスタを多孔性円筒状の版胴の外周面に巻装した後に用紙を介して版胴の外周面をプレスローラ等の押圧手段によって押圧することで、マスタ穿孔部よりインキを透過させてこれを用紙に転移させることにより印刷画像を得るものである。
【0003】
この孔版印刷において、近年では用紙の消費量及び書類の保管スペースを低減させるため等の目的から、用紙の両面に印刷を行う両面印刷が頻繁に行われるようになってきている。この両面印刷は、従来の方法では給紙部に積載した用紙を印刷部に通紙し、一面に印刷をした後に用紙を裏返して再度印刷部に通紙して他面に印刷をすることで両面印刷物を得ていたが、一度排紙された用紙を再度給紙部にセットしたり片面印刷後の用紙を揃えたりする作業が面倒であるという問題点があった。また、印刷部への通紙を2回行うために、正味の印刷時間においても片面印刷に比べて2倍の時間を要し、時間がかかりすぎるという問題点もあった。
【0004】
上述の問題点を解決するため、第1の版胴と、用紙搬送路を介して第1の版胴に対向配置され第1の版胴に対して圧接・離間可能に設けられた第1の押圧手段と、第1の版胴より用紙搬送方向下流側であって用紙搬送路を介して第1の版胴と対向する側に配置された第2の版胴と、用紙搬送路を介して第2の版胴に対向配置され第2の版胴に対して圧接・離間可能に設けられた第2の押圧手段とを具備し、第1の版胴と第1の押圧手段とを圧接させた後、第2の版胴と第2の押圧手段とを圧接させることにより両面印刷を行う孔版印刷装置が、例えば「特許文献1」に開示されている。
【0005】
また、用紙の一方の面に印刷される第1の画像と用紙の他方の面に印刷される第2の画像とを有する分割製版済みマスタを版胴に巻き付け、第1のプレスローラにより用紙を版胴に押圧して用紙の一方の面に第1の画像を印刷した後、付勢手段により片面印刷済み用紙を再給紙して第2のプレスローラにより用紙の他方の面に第2の画像を印刷することにより両面印刷を行う孔版印刷装置が、例えば「特許文献2」に開示されている。
【0006】
上述した各公報に開示された技術を用いることにより、1回の通紙で用紙の両面に印刷を行うことができ、従来に比較して印刷作業時間を半分程度に短縮することが可能となる。
【0007】
さらに、両面印刷時において、上流側の印刷部で印刷された片面印刷済み用紙を下流側の印刷部で印刷する際に、未定着状態のインキが押圧ロールに転写され、この押圧ロールに転写されたインキがさらに用紙の裏面に再転写されるという不具合を防止するため、下流側の印刷部に用いられる押圧ロールの外周面に微小な凹凸を設ける技術が、例えば「特許文献3」に開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−103768号公報 (第4−6頁、図1)
【特許文献2】
特開平9−95033号公報 (第3−6頁、図1)
【特許文献3】
特開2002−219849号公報 (第2−3頁、図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、「特許文献1」及び「特許文献2」に開示された技術では、用紙の一方の面に印刷を行った後に用紙の他方の面に印刷を行っているため、用紙の他方の面に印刷を行う際に用紙の一方の面に付着しているインキがプレスローラ表面に転移し、次の用紙の一方の面に印刷を行う際にこの用紙の他方の面に先の用紙から転移したインキが付着して裏汚れが発生してしまうという問題点がある。
【0010】
そこで、上記各技術に「特許文献3」で開示されたプレスローラを適用して両面印刷を行うことが考えられるが、「特許文献3」の図11(B)に示されるようなほぼ同一形状の球状体を表面が平滑となるように並べたものでは、用紙の画像面に接触する球状体の総合面積がそれほど平面と変わらなくなり、インキ転移汚れの防止には効果が低いことが判明した。また、同図10(B)に示されるような構造でも結果的には用紙の画像面に接触する面積が大きくなり、さほどの効果は得られなかった。
【0011】
このインキ転移汚れを完全に防止するためには、用紙の画像面に接触するプレスローラの面積を小さくすることが効果的であるが、接触面積を小さくすると接触部の先端形状が鋭角状となり、用紙に押圧された際に用紙あるいは用紙を介してマスタにまで穴をあけてしまう虞があり、接触面積の低減には限界がある。
【0012】
さらに本発明者は、1工程で用紙の両面に印刷を行うことが可能な両面印刷装置を用い、用紙の一方の面に印刷を行った後にこの用紙の一方の面をプレスローラで押圧して用紙の他方の面に印刷を行う際に、一方の面の印刷後、どの程度の時間をおいて他方の面に印刷を行えばインキ転移汚れの発生が減少するのかを調査した。この結果を図24に示す。図から明らかなように、一方の面の印刷後、5秒以上経過した後に他方の面に印刷を行えばインキ転移汚れの発生をほとんど防止できることが判明したが、実際の印刷時において孔版印刷はその高速性にメリットがあるため、3秒以内で他方の面の印刷が行われることを避けられない。
【0013】
本発明は上述の問題点を解決し、インキ転移汚れの発生を効果的に防止することが可能な両面印刷装置の提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、少なくとも1つの版胴と、前記版胴に用紙を押圧する前記版胴に対応して設けられた少なくとも1つのプレスローラとを有し、前記用紙の一方の面に印刷した後、3秒以内に前記用紙の他方の面に印刷する両面印刷装置であって、前記用紙の他方の面を前記版胴に押圧するプレスローラの外周面には、先端部半径0.04mm以下で形成された突起を平均ピッチ0.4mm以下で多数有する凹凸部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項2記載の発明は、用紙の一方の面に印刷される第1の画像と前記用紙の他方の面に印刷される第2の画像とが版胴の円周方向に並ぶように製版された分割製版済みマスタを前記版胴に巻き付け、プレスローラにより前記用紙を前記版胴に押圧して前記一方の面に第1の画像を印刷した後、次にこの表面印刷済み用紙を再給紙して前記プレスローラにより前記版胴に押圧することにより、第1の画像印刷後から3秒以内に前記他方の面に第2の画像を印刷する両面印刷装置であって、前記プレスローラの外周面には、先端部半径0.04mm以下で形成された突起を平均ピッチ0.4mm以下で多数有する凹凸部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の発明は、用紙の一方の面に印刷される第1の画像が製版された第1のマスタを巻装する第1の版胴と、第1の版胴に対向して配置され前記用紙を第1の版胴に押圧する第1のプレスローラと、第1の版胴よりも前記用紙の搬送方向下流側に対向配置され前記用紙の他方の面に印刷される第2の画像が製版された第2のマスタを巻装する第2の版胴と、第2の版胴に対向して配置され前記用紙を第2の版胴に押圧する第2のプレスローラとを有し、第1のプレスローラにより前記用紙を第1の版胴に押圧して前記用紙の一方の面に第1の画像を印刷した後、3秒以内に第2のプレスローラにより前記用紙を第2の版胴に押圧して前記用紙の他方の面に第2の画像を印刷する両面印刷装置であって、少なくとも第2のプレスローラの外周面には、先端部半径0.04mm以下で形成された突起を平均ピッチ0.4mm以下で多数有する凹凸部が設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし請求項3のうちの何れか1つに記載の両面印刷装置において、さらに前記突起はその頂角が100度以下の多角錘形状あるいは円錐形状を呈する合成樹脂からなることを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の両面印刷装置において、さらに前記凹凸部は一定幅を有する長尺のシート部材を前記プレスローラの外周面に螺旋状に巻き付けたものであることを特徴とする。
【0019】
請求項6記載の発明は、少なくとも1つの版胴と、前記版胴に用紙を押圧する前記版胴に対応して設けられた少なくとも1つのプレスローラとを有し、前記用紙の一方の面に印刷した後、3秒以内に前記用紙の他方の面に印刷する両面印刷装置であって、さらに前記用紙の他方の面を前記版胴に押圧するプレスローラの外周面には、平均直径0.1mm以下の球状体を最大段差0.03mm以上かつ最大突出部間の平均ピッチ0.15mm以上で多数有する段差部が設けられていることを特徴とする。
【0020】
請求項7記載の発明は、用紙の一方の面に印刷される第1の画像と前記用紙の他方の面に印刷される第2の画像とが版胴の円周方向に並ぶように製版された分割製版済みマスタを前記版胴に巻き付け、プレスローラにより前記用紙を前記版胴に押圧して前記一方の面に第1の画像を印刷した後、次にこの表面印刷済み用紙を再給紙して前記プレスローラにより前記版胴に押圧することにより、第1の画像印刷後から3秒以内に前記他方の面に第2の画像を印刷する両面印刷装置であって、前記プレスローラの外周面には、平均直径0.1mm以下の球状体を最大段差0.03mm以上かつ最大突出部間の平均ピッチ0.15mm以上で多数有する段差部が設けられていることを特徴とする。
【0021】
請求項8記載の発明は、用紙の一方の面に印刷される第1の画像が製版された第1のマスタを巻装する第1の版胴と、第1の版胴に対向して配置され前記用紙を第1の版胴に押圧する第1のプレスローラと、第1の版胴よりも前記用紙の搬送方向下流側に対向配置され前記用紙の他方の面に印刷される第2の画像が製版された第2のマスタを巻装する第2の版胴と、第2の版胴に対向して配置され前記用紙を第2の版胴に押圧する第2のプレスローラとを有し、第1のプレスローラにより前記用紙を第1の版胴に押圧して前記用紙の一方の面に第1の画像を印刷した後、3秒以内に第2のプレスローラにより前記用紙を第2の版胴に押圧して前記用紙の他方の面に第2の画像を印刷する両面印刷装置であって、少なくとも第2のプレスローラの外周面には、平均直径0.1mm以下の球状体を最大段差0.03mm以上かつ最大突出部間の平均ピッチ0.15mm以上で多数有する段差部が設けられていることを特徴とする。
【0022】
請求項9記載の発明は、請求項6ないし請求項8のうちの何れか1つに記載の両面印刷装置において、さらに前記球状体はガラスからなることを特徴とする。
【0023】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の両面印刷装置において、さらに前記段差部は一定幅を有する長尺のシート部材を前記プレスローラの外周面に螺旋状に巻き付けたものであることを特徴とする。
【0024】
請求項11記載の発明は、請求項1ないし請求項10のうちの何れか1つに記載の両面印刷装置において、さらに前記プレスローラの外周面に付着したインキを除去するクリーニング手段を有することを特徴とする。
【0025】
請求項12記載の発明は、請求項11記載の両面印刷装置において、さらに前記クリーニング手段が多孔性のクリーニングローラであり、該クリーニングローラは印刷時における前記プレスローラの回転周速度よりも低速で回転駆動されることを特徴とする。
【0026】
請求項13記載の発明は、請求項12記載の両面印刷装置において、さらに前記クリーニングローラは3N以下の付勢力で前記プレスローラの外周面に付勢されていることを特徴とする。
【0027】
請求項14記載の発明は、印刷画像が形成された用紙の印刷面に、印刷後3秒以内に接触して前記用紙を搬送する用紙搬送部材であって、さらに先端部半径0.04mm以下で形成された突起を平均ピッチ0.4mm以下で多数有する凹凸部をその外周面に有することを特徴とする。
【0028】
請求項15記載の発明は、請求項14記載の用紙搬送部材において、さらに前記突起はその頂角が100度以下の多角錘形状あるいは円錐形状を呈する合成樹脂からなることを特徴とする。
【0029】
請求項16記載の発明は、請求項15記載の用紙搬送部材において、さらに前記凹凸部は一定幅を有する長尺のシート部材を前記外周面に螺旋状に巻き付けたものであることを特徴とする。
【0030】
【実施例】
図1は、本発明の第1の実施例を採用した両面印刷装置を示している。両面印刷装置1は、印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、排紙部6、画像読取部7、補助トレイ8、再給紙手段9、切換部材10等を有している。
【0031】
装置本体11のほぼ中央に配設された印刷部2は、版胴12とプレスローラ13とを有している。
版胴12は、インキ供給パイプを兼ねた支軸14に回転自在に支持された図示しない一対の端板と、各端板の外周面に巻装された図示しない多孔性支持板と、図示しない多孔性支持板の外周面に巻装された図示しないメッシュスクリーンとから主に構成されており、版胴駆動手段121(図14参照)によって回転駆動されると共に装置本体11に対して着脱可能に構成されている。本実施例において版胴12は、片面印刷時において最大でA3サイズの印刷物を得ることが可能な大きさを有している。
【0032】
版胴12の内部にはインキ供給手段15が配設されている。インキ供給手段15は、支軸14、インキローラ16、ドクターローラ17等を有している。
インキローラ16は、版胴12内に設けられた図示しない側板間に回転自在に支持されており、その周面を版胴12の内周面に近接して配置され、図示しない駆動手段によって版胴12と同方向に回転駆動される。ドクターローラ17も前記側板間に回転自在に支持されており、その周面をインキローラ16の周面に近接して配置され、図示しない駆動手段によって版胴12とは逆方向に回転駆動される。支軸14には複数の小さな孔が穿設されており、支軸14から供給されたインキがインキローラ16とドクターローラ17との近接部に形成される断面楔形状の空間に溜まることによりインキ溜まり18が形成される。
【0033】
版胴12の外周面上には、版胴12の一母線に沿った平面をなすステージ部19aが形成されており、この上には版胴12の外周面上にマスタの先端を保持させるクランパ19bが配設されている。クランパ19bは、版胴12が所定の位置まで回転されたときに図示しない開閉手段によって開閉される。
【0034】
版胴12の下方にはプレスローラ13が配設されている。プレスローラ13は、図2に示すように、アルミニウム等の軽量金属製の中空パイプ13b、中空パイプ13bの両端部に一体的に取り付けられた軽量金属製の一対の端板13c、各端板13cに一体的に取り付けられた金属製の一対の芯部13aによって基体を構成され、この基体の外周に厚さ5〜10mm程度のシリコンゴム等の弾性体13dを、さらにその外周に一定幅で長尺のシート部材13eを巻成されて構成されている。シート部材13eは、その隙間が0.3mm以下となるようにきれいな螺旋状に巻き付けられて弾性体13dの周面に接着されており、その端部にはほどけ止めのテープ13fが取り付けられている。プレスローラ13は、本実施例においてはその外径が70mm程度に形成され、その長さは版胴12の軸方向長さとほぼ同じとされている。
【0035】
図3は、シート部材13eの部分拡大断面図を示している。シート部材13eの、弾性体13dに接着される取付面13gと対向する面には複数の突起13hが形成されており、この複数の突起13hを有するシート部材13eによって凹凸部が形成されている。シート部材13eは、ポリウレタン系あるいはポリオレフィン系等の熱可塑性合成樹脂を特別な金型によって成型したものであり、本実施例においてその厚みTは0.3〜0.4mmに形成されている。各突起13hは円錐形状あるいは多角錘形状の同一形状を呈しており、各頂角13iの角度がθ、頂角13iの先端部半径がR、各頂角13i間のピッチがLとなるようにそれぞれ形成されている。なお、これら角度θ、先端部半径R、ピッチLについては後述する。
【0036】
プレスローラ13は、図4に示すように各芯部13aの端部を一対のアーム部材20によってそれぞれ回転自在に支持されている。ほぼL字形状を呈する各アーム部材20は、その曲折部近傍の部位に取り付けられた揺動軸21によってそれぞれ一体化されており、揺動軸21は装置本体11によって回動自在に支持されている。各アーム部材20間には、プレスローラ13の他、再給紙案内部材22、再給紙レジストローラ23、再給紙位置決め部材24、再給紙搬送ユニット25、クリーニング手段としてのクリーニングローラ26、ガイド板27等が設けられている。
【0037】
プレスローラ13の右方近傍に配設された再給紙案内部材22は、各支軸28a,29a,30a上にそれぞれ一体的に設けられそれぞれの周面をプレスローラ13の周面に圧接させた複数のころ状のローラ28,29,30と、表面印刷済み用紙PAをプレスローラ13の周面に沿わせるための曲面状に形成された用紙ガイド板31とを有している。各支軸28a,29a,30aはそれぞれの両端部を各アーム部材20に回転自在に支持されており、図示しない付勢手段によってそれぞれ芯部13aに向けて付勢されている。各ローラ28,29,30は、対応する支軸28a,29a,30aに、プレスローラ13のほぼ全幅にわたってそれぞれ所定の間隔をもって一体的に取り付けられている。
【0038】
用紙ガイド板31はプレスローラ13の周面から各ローラ28,29,30の半径よりも小さな距離である所定距離だけ離れた位置に配設されており、その両端部を各アーム部材20に固着されている。用紙ガイド板31は芯部13aを中心とした曲面となるように形成されており、用紙ガイド板31には各ローラ28,29,30の周面をプレスローラ13の周面に当接させるための図示しない複数の開口部が形成されている。
【0039】
プレスローラ13の下方には再給紙レジストローラ23が配設されている。ころ状の再給紙レジストローラ23は支軸23aに回転自在に支持されており、支軸23aは一対の揺動アーム32の一端間に取り付けられている。ほぼへ字形状を呈する各揺動アーム32は、各アーム部材20間に固設された支軸32aにその曲折部をそれぞれ揺動自在に支持されており、その配設位置は揺動時において各ローラ30と干渉しない位置となるようにそれぞれ定められている。
【0040】
一方の揺動アーム32の他端には、図示しないブラケットを介して一方のアーム部材20に取り付けられたソレノイド33のプランジャ33aと、一端を一方のアーム部材20に固着され揺動アーム32に対して支軸32aを中心に図4において反時計回り方向への回動付勢力を付与する引張ばね34の他端とが取り付けられている。この構成より再給紙レジストローラ23は、ソレノイド33が作動されるとその周面を所定の圧接力でプレスローラ13の周面に圧接する図4に実線で示す圧接位置を占め、ソレノイド33の作動が解除されると引張ばね34の付勢力によってその周面がプレスローラ13の周面から離間する図4に二点鎖線で示す離間位置を占める。
【0041】
プレスローラ13の左下方には再給紙搬送ユニット25が配設されている。再給紙搬送ユニット25は、搬送ユニット本体35、駆動ローラ36、従動ローラ37、無端ベルト38、吸引ファン39等を有しており、その上面に補助トレイ8を一体的に有している。
【0042】
上面が開放され、その幅が各アーム部材20間の間隔よりも若干小さくなるように形成された筐体である搬送ユニット本体35は、その用紙搬送方向上流側及び下流側の両側面に図示しない軸受を有しており、図示しない各軸受は駆動軸36a及び従動軸37aをそれぞれ回転自在に支持している。駆動軸36aはその両端部が搬送ユニット本体35の両側面を貫通しており、貫通した両端部は装置本体11に設けられた図示しない軸受部材によって回転自在に支持されている。また、駆動軸36aの一端には図示しない駆動ギヤが取り付けられており、駆動軸36aは装置本体11に設けられた搬送ユニット駆動モータ122(図14参照)によって回転駆動される。従動軸37aはその両端部が搬送ユニット本体35の両側面を貫通しないように構成されている。
【0043】
搬送ユニット本体35の用紙搬送方向上流側端部の両側面外側にはボス35aがそれぞれ一体的に設けられており、各ボス35aは各アーム部材20に形成された図示しない長穴にそれぞれ嵌合されている。この構成より搬送ユニット本体35は、後述するプレスローラ接離機構55によりプレスローラ13が版胴12に対して接離される際に、各アーム部材20の揺動に伴って駆動軸36aを中心とした揺動が可能となっている。
【0044】
ころ状をなす複数の駆動ローラ36はそれぞれ駆動軸36aに一体的に取り付けられており、各駆動ローラ36間にはそれぞれ所定の間隔が設けられている。駆動ローラ36と同形状である複数の従動ローラ37は、各駆動ローラ36と同じ間隔でそれぞれ従動軸37aに一体的に取り付けられている。各駆動ローラ36とこれに対応した各従動ローラ37との間には、無端ベルト38が所定の張力でそれぞれ掛け渡されている。摩擦抵抗部材からなる無端ベルト38は、搬送ユニット駆動モータ122によって駆動軸36aが回転駆動されることにより図4に矢印で示す方向に移動される。
【0045】
搬送ユニット本体35の下面には吸引ファン39が、上面には補助トレイ8がそれぞれ一体的に取り付けられている。補助トレイ8は各ローラ36,37の周面の一部が用紙搬送面に臨むように構成されており、図5に示すように、用紙搬送面上の各無端ベルト38の両側部にはそれぞれ複数の開孔8bが穿設され、その用紙搬送方向下流側端部には印刷部2より送られた表面印刷済み用紙PAの一端を受け止めるための2個のエンドフェンス8aがそれぞれ一体的に設けられている。
【0046】
補助トレイ8の用紙搬送方向上流側端部には、再給紙搬送ユニット25によって印刷部2へと再給紙される表面印刷済み用紙PAの他端を定位置で一時停止させるための再給紙位置決め部材24が配設されている。本実施例において再給紙位置決め部材24は2個設けられており、それぞれ補助トレイ8に一体的に取り付けられている。さらに補助トレイ8には、表面印刷済み用紙PAの他端が再給紙位置決め部材24に近接したことを検知するセンサ8cが配設されている。センサ8cは、表面印刷済み用紙PAの他端を検知した際に後述する制御手段129へ向けて信号を出力する。
【0047】
吸引ファン39の取付面である搬送ユニット本体35の下面には図示しない穴部が設けられており、これにより吸引ファン39が作動することで筐体である搬送ユニット本体35の内部に負圧を発生させ、移動する各無端ベルト38の上面に表面印刷済み用紙PAを吸引させる。吸引ファン39の吸引力及び無端ベルト38の摩擦抵抗力は、表面印刷済み用紙PAの他端が再給紙位置決め部材24に当接した際に、表面印刷済み用紙PAと各無端ベルト38との間で滑りが発生する程度の強さにそれぞれ設定されている。
【0048】
上述した補助トレイ8、再給紙案内部材22、再給紙レジストローラ23、再給紙位置決め部材24、及び再給紙搬送ユニット25によって再給紙手段9が構成されている。また、再給紙手段9は、図1、図4及び図5に示す用紙受け板40を有している。以下、この用紙受け板40について説明する。
【0049】
断面コ字形状を呈する用紙受け板40は、図5に示すようにその両側部に突起40a,40b,40c,40dを有しており、各突起40a,40b,40c,40dは搬送ユニット本体35の両側板に穿設された図示しない長穴にそれぞれ嵌合されている。また、用紙受け板40の一端部には各エンドフェンス8aが嵌合可能な切欠部40eが形成されており、用紙受け板40の両側部には他端側に延出したラック部40fがそれぞれ形成されている。用紙受け板40は各無端ベルト38よりも上方に離隔した位置に配設されており、その下面と各無端ベルト38との間隔は、表面印刷済み用紙PAが各無端ベルト38上を良好に搬送可能となる所定の間隔に設定されている。
【0050】
搬送ユニット本体35の一方の側板の外側には、その出力軸138a上に2個のピニオン139を有するステッピングモータ138が取り付けられている。出力軸138aの先端は搬送ユニット本体35の他方の側板に回転自在に支持されており、各ピニオン139は搬送ユニット本体35の両側板近傍の位置であって各ラック部40fとそれぞれ噛合する位置に配設されている。
【0051】
ステッピングモータ138の近傍には、用紙受け板40のホームポジションを検知するためのホームポジションセンサ140が配設されている。ホームポジションセンサ140は、突起40dの突出部を検知可能な位置に配設されており、ホームポジションセンサ140からの信号は後述する制御手段129に向けて出力される。
【0052】
上述の構成より、用紙受け板40はステッピングモータ138によって、プレスローラ13に最も近付き印刷部2より搬送される表面印刷済み用紙PAの一端を受け止める、図6に示すホームポジションである第1の位置と、プレスローラ13より最も離れその上面上に載置した表面印刷済み用紙PAの他端が各無端ベルト38に接触する、図7に示す第2の位置とを選択的に占めるべく往復動される。
【0053】
用紙受け板40の用紙搬送方向における長さは、用紙受け板40が第2の位置を占め、用紙受け板40上の表面印刷済み用紙PAの他端が用紙受け板40上より各無端ベルト38上に落下し、表面印刷済み用紙PAが再給紙搬送ユニット25によって搬送されてその他端が再給紙位置決め部材24に当接したときに、表面印刷済み用紙PAの一端が第2の位置を占めている用紙受け板40上より落下する長さに設定されている。
【0054】
プレスローラ13の近傍であって再給紙搬送ユニット25の上方に位置する部位には、プレスローラ13の周面をクリーニングするクリーニングローラ26が配設されている。プレスローラ13の幅とほぼ同じ幅を有するクリーニングローラ26は、図4に示すようにその中心に芯部26aを一体的に有している。クリーニングローラ26は、芯部26aを各アーム部材20に形成された図示しない長穴に嵌合されることで回転自在に支持されており、この長穴内に設けられた図示しない付勢手段によってプレスローラ13に向けて付勢され、その周面をプレスローラ13の周面に1〜3N程度の圧接力で常時圧接されている。
【0055】
クリーニングローラ26は、一方のアーム部材20に設けられた図示しないクリーニングローラ駆動手段によって、プレスローラ13の回転時においてプレスローラ13と同方向に、プレスローラ13の周速度の10分の1程度の周速度で回転駆動される。なお、プレスローラ13とクリーニングローラ26との回転周速度の差が大きいため、クリーニングローラ26をプレスローラ13とは逆方向に回転駆動してもクリーニング効果は得られるが、同方向に回転駆動した方がクリーニング効果は大きい。
【0056】
クリーニングローラ26は、少なくともその表面が多孔性の部材によって構成されている。多孔性の部材としては、和紙、スポンジ、吸湿性の高い発泡体ゴム、発泡体合成樹脂、不織布、フェルト、クリーナーシート等が挙げられる。また、オイルあるいは洗浄液等を含浸させたフェルトあるいはクリーナーシート等も効果的である。この場合、インキの拭き取り効果を大きくするためには、クリーニングローラ26をプレスローラ13の外周面に所定の押圧力で圧接させながら、プレスローラ13の周速度との間に速度差を与えて低速で回転駆動することが必要である。
【0057】
クリーニングローラ26の左上方にはガイド板27が配設されている。板材であるガイド板27はその両端部を各アーム部材20に固設されており、印刷部2より送られる表面印刷済み用紙PAがクリーニングローラ26に触れないように、かつ補助トレイ8に向かうように案内する。ガイド板27はプレスローラ13及びクリーニングローラ26の各周面に近接する位置に配設されている。ガイド板として、図8に示すように、再給紙手段9によって再給紙される表面印刷済み用紙PAがクリーニングローラ26に接触することをも防止可能なガイド板27aを用いてもよい。クリーニングローラ26を設けることにより、プレスローラ13表面に転移されたインキを拭き取ることでプレスローラ13から用紙Pあるいは表面印刷済み用紙PAへのインキの再転移をより確実に抑制することが可能となり、より一層良好な印刷物を得ることができる。
【0058】
各アーム部材20の、プレスローラ13が支持された一端側と対向する他端側には、それぞれ回転自在なカムフォロア41が互いに外側を向く態様で配設されている。また、各アーム部材20のカムフォロア41が配設された位置の近傍には、一端を装置本体11に固着された印圧ばね42の他端がそれぞれ取り付けられている。これにより各アーム部材20は、揺動軸21を中心に図4において時計回り方向への回動付勢力をそれぞれ付与されている。
【0059】
各カムフォロア41の左方近傍には、3枚のカム板43A,43B,43Cを有する多段カム43がそれぞれ配設されている。各カム板43A,43B,43Cは、両端を装置本体11に回転自在かつ図4の紙面方向に移動自在に支持されたカム軸44にそれぞれ所定の間隙をもって固着されており、装置手前側からカム板43B、カム板43A、カム板43Cの順に配設されている。各カム板43A,43B,43Cは、カム軸44と同心の円板である基部とそれぞれ同一突出量の凸部とを有している。多段カム43は、図9に示すように、カム軸44に取り付けられた駆動ギヤ45及び装置本体11に回転自在に支持された支軸46に取り付けられた伝達ギヤ47を介して版胴駆動手段121からの回転力を伝達され、図4において時計回り方向に回転駆動される。
【0060】
プレスローラ13は、各カム板43A,43B,43Cの何れかの凸部がカムフォロア41と当接したときにその周面が版胴12の周面より離間する図4に示す離間位置を占め、何れかの凸部とカムフォロア41との当接が解除されたときに印圧ばね42の付勢力によってその周面が版胴12の周面に圧接する図10に示す圧接位置を占める。各カム板43A,43B,43Cは、プレスローラ13が圧接位置を占めたときにその基部とカムフォロア41とが接触しないように構成されている。
【0061】
各カム板43A,43B,43Cの凸部の形状は、プレスローラ13と版胴12との接触範囲が、カム板43Aでは図1に示す表面領域と中間領域と裏面領域とを全て合わせた範囲となるように、カム板43Bでは表面領域と同じ範囲となるように、カム板43Cでは表面領域の下流側部分と中間領域と裏面領域とを合わせた範囲となるようにそれぞれ形成されている。また、各カム板43A,43B,43C間の間隔は、アーム部材20の板厚よりも十分に大きくなるように設定されている。
【0062】
図4において各アーム部材20の右方近傍には、プレスローラ13が離間位置を占めた状態で各アーム部材20の揺動を禁止する、図示しないプレスローラ係止手段が配設されている。図示しないプレスローラ係止手段は図示しないソレノイドを有しており、この図示しないソレノイドのオン・オフの切り換えによって各アーム部材20を保持する状態と保持を解除する状態とが選択的に切り換えられる。図示しないソレノイドは、カムフォロア41が各カム板43A,43B,43Cの何れかの凸部と当接した状態で作動される。
【0063】
カム軸44の下方近傍には、図9に示すように移動アーム48と段差カム49とが配設されている。ほぼL字形状を呈する移動アーム48は、装置本体11に回転自在に支持された支軸48aにその曲折部を取り付けられており、移動アーム48の一端にはローラ48bが、他端にはカムフォロア48cがそれぞれ回転自在に取り付けられている。さらに移動アーム48の他端と曲折部との間の部位には、一端を装置本体11に取り付けられた引張ばね50の他端が取り付けられており、移動アーム48には支軸48aを中心に、図において時計回り方向への回動付勢力が付与されている。
【0064】
ローラ48bはカム軸44の中程に間隔をおいて固着された円板44a,44b間に配置されており、カムフォロア48cは引張ばね50の付勢力によってその周面を段差カム49の周面に当接させている。各円板44a,44b間の間隔は、ローラ48bの直径よりも僅かに大きくなるように設定されている。
【0065】
段差カム49はその周面に3箇所のカム部49a,49b,49cを有しており、装置本体11に回転自在に支持された支軸51に固着されている。支軸51には、装置本体11に取り付けられたステッピングモータ52の出力軸に取り付けられたギヤ53と噛合するギヤ54が取り付けられており、ステッピングモータ52の作動により段差カム49は図9の矢印方向に回転駆動される。この構成より、ステッピングモータ52が作動して段差カム49が回転すると移動アーム48が支軸48aを中心に揺動し、ローラ48bが円板44aあるいは円板44bを押すことでカム軸44が図9の左右方向に移動する。
【0066】
各カム部49a,49b,49cは、カムフォロア48cとカム部49aとが当接したときにカム板43Bがカムフォロア41と当接可能位置となるように、カムフォロア48cとカム部49bとが当接したときにカム板43Aがカムフォロア41と当接可能位置となるように、カムフォロア48cとカム部49cとが当接したときにカム板43Cがカムフォロア41と当接可能位置となるようにカム軸44を移動させる形状にそれぞれ形成されている。
【0067】
上述したカムフォロア41、印圧ばね42、多段カム43、図示しないプレスローラ係止手段、移動アーム48、段差カム49によってプレスローラ接離機構55が構成されており、このプレスローラ接離機構55の作動によってプレスローラ13は、図4に示す離間位置と図10に示す圧接位置とを選択的に占める。
【0068】
版胴12とプレスローラ13との接触位置の左方であって用紙Pの搬送経路上には、用紙Pの搬送経路を切り換える切換部材10が配設されている。版胴12及びプレスローラ13とほぼ同じ幅を有する板材からなる切換部材10は、その用紙搬送方向下流側端部を装置本体11に回動自在に支持された支軸に固着されており、ソレノイド123(図14参照)が作動することによって断面鋭角状に形成された用紙搬送方向上流側端部を図1に実線で示す第1の位置と二点鎖線で示す第2の位置とに選択的に位置決めされる。
【0069】
切換部材10は、第1の位置を占めたときにその先端がプレスローラ13の周面に近接すると共に版胴12上のクランパ19bと干渉しない位置に置かれ、第2の位置を占めたときにその先端が版胴12の周面に近接する位置に置かれる。版胴12とプレスローラ13との間を通過した表面印刷済み用紙PAは、切換部材10が第1の位置を占めたときに排紙部6へと案内され、切換部材10が第2の位置を占めたときにガイド板27と装置本体11に固着されたガイド板56との間を通って補助トレイ8へと案内される。
【0070】
装置本体11の右上部には製版部3が配設されている。製版部3は、マスタ保持部材57、プラテンローラ58、サーマルヘッド59、切断手段60、マスタストック部61、テンションローラ対62、反転ローラ対63等を有している。製版部3は後述するマスタ64に製版を行い、図11に示すような第1の画像としての第1製版画像65Aと第2の画像としての第2製版画像65Bとを有する分割製版済みマスタ65、あるいは図12に示すような第1製版画像65Aと第2製版画像65Bとの2面分の画像領域を有する第3製版画像66Aを有する製版済みマスタ66を作成する。第1製版画像65Aは、分割製版済みマスタ65が版胴12の外周面上に巻装されたときに図1に示す表面領域と対応する位置に形成され、第2製版画像65Bは裏面領域と対応する位置に形成される。
【0071】
マスタ保持部材57は製版部3の図示しない側板対にそれぞれ設けられており、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタ64をロール状に巻成してなるマスタロール64aの芯部64bの両端を回転自在かつ着脱自在に支持する。
【0072】
マスタ保持部材57の左方に設けられたプラテンローラ58は製版部3の図示しない側板に回転自在に支持されており、ステッピングモータを含む製版駆動手段124(図14参照)によって回転駆動される。プラテンローラ58の下方に位置し多数の発熱素子を有するサーマルヘッド59も製版部3の図示しない側板に取り付けられており、図示しない付勢手段の付勢力によってその発熱素子面をプラテンローラ58に圧接されている。サーマルヘッド59はマスタ64の熱可塑性樹脂フィルム面に接触しつつ発熱素子を選択的に発熱させ、マスタ64に対して熱溶融穿孔製版を行う。
【0073】
プラテンローラ58及びサーマルヘッド59の左方には切断手段60が配設されている。製版部3の図示しない側板に固設された固定刃60aと、この固定刃60aに移動自在に支持された可動刃60bとを有する切断手段60は、固定刃60aに対して可動刃60bが回転移動することによりマスタ64を切断する周知の構成である。
【0074】
切断手段60のマスタ搬送方向下流側下方にはマスタストック部61が配設されている。分割製版済みマスタ65あるいは製版済みマスタ66を一時的に貯容する空間であるマスタストック部61は複数の板部材によってその内部を仕切られており、その最奥部には図示しない吸引ファンが配設されている。この吸引ファンが作動することにより密閉された空間であるマスタストック部61の内部に負圧が発生し、製版搬送されてきた分割製版済みマスタ65あるいは製版済みマスタ66はマスタストック部61の最奥部に向けて貯容される。
【0075】
切断手段60とマスタストック部61との間の部位にはテンションローラ対62が配設されている。それぞれ製版部3の図示しない側板に回転自在に支持された駆動ローラ62aと従動ローラ62bとからなるテンションローラ対62は、従動ローラ62bが図示しない付勢手段によってその周面を駆動ローラ62aの周面に圧接されており、製版駆動手段124によって駆動ローラ62aが回転駆動されることによりマスタ64を挟持して搬送する。駆動ローラ62aは、その周速度がプラテンローラ58の周速度よりも若干速く設定されていると共にその内部には図示しないトルクリミッタが設けられており、プラテンローラ58とテンションローラ対62との間においてマスタ64に対して所定の張力が付与されるように構成されている。
【0076】
マスタストック部61のマスタ搬送方向下流側には、それぞれ製版部3の図示しない側板に回転自在に支持された駆動ローラ63aと従動ローラ63bとからなる反転ローラ対63が配設されている。反転ローラ対63は、製版駆動手段124によって回転駆動される駆動ローラ63aと、図示しない付勢手段によってこれに圧接配置された従動ローラ63bとによってマスタ64を挟持して搬送する。駆動ローラ63aの内部には、図示しないワンウェイクラッチが設けられている。
【0077】
また、テンションローラ対62と反転ローラ対63との間の部位には、図示しない可動マスタガイド板が配設されている。この可動マスタガイド板は図示しない支持部材に揺動自在に支持されており、図示しないソレノイドによってその上面がマスタ64の搬送路を構成する搬送位置と、マスタ64のマスタストック部61への進入を妨げない退避位置とに選択的に位置決めされる。
【0078】
製版部3の下方には給紙部4が配設されている。給紙部4は、給紙トレイ67、給紙ローラ68、分離ローラ69、分離パッド70、レジストローラ対71等を有している。
上面に多数の用紙Pを積載可能な給紙トレイ67は装置本体11に上下動自在に支持されており、昇降手段を含む給紙駆動手段125(図14参照)によって上下動される。A3サイズの用紙Pを縦置き可能な給紙トレイ67の上面には、図示しないレール部材によって用紙搬送方向と直行する用紙幅方向に移動自在に支持された一対のサイドフェンス72が設けられている。また、給紙トレイ67の自由端部側には、積載された用紙Pのサイズを検知する複数の用紙サイズ検知センサ73が設けられている。
【0079】
給紙トレイ67の上方には、表面に高摩擦抵抗部材を有する給紙ローラ68が配設されている。給紙ローラ68は装置本体11に揺動自在に支持された図示しないブラケットに回転自在に支持されており、給紙トレイ67が図示しない昇降手段によって上昇されたときに所定の圧接力で給紙トレイ67上の最上位の用紙Pに圧接する。給紙ローラ68は給紙駆動手段125によって回転駆動される。
【0080】
給紙ローラ68の左方には、表面にそれぞれ高摩擦抵抗部材を有する分離ローラ69と分離パッド70とが配設されている。分離ローラ69はタイミングベルト69aを介して給紙ローラ68に駆動連結されており、給紙ローラ68の回転駆動時にこれと同期して同方向に回転駆動される。分離パッド70は図示しない付勢手段の付勢力によって分離ローラ69に圧接されている。
【0081】
分離ローラ69及び分離パッド70の左方にはレジストローラ対71が配設されている。駆動ローラ71aと従動ローラ71bとからなるレジストローラ対71は、版胴駆動手段121からの回転駆動力をギヤやカム等の図示しない駆動力伝達手段によって伝達されることで駆動ローラ71aが版胴12と同期した所定のタイミングで回転し、駆動ローラ71aに圧接された従動ローラ71bとによって用紙Pを印刷部2に向けて所定のタイミングで給送する。
【0082】
レジストローラ対71の用紙搬送方向上流側及び下流側には、給紙部4から印刷部2へと給送される用紙Pの搬送をガイドするための給紙ガイド板136,137がそれぞれ配設されている。各給紙ガイド板136,137は、装置本体11の図示しない側板間にそれぞれ固定されている。
【0083】
印刷部2の左上方には排版部5が配設されている。排版部5は、上排版部材74、下排版部材75、排版ボックス76、圧縮板77等を有している。
上排版部材74は、駆動ローラ78、従動ローラ79、無端ベルト80等を有し、排版駆動手段126(図14参照)によって駆動ローラ78が図の時計回り方向に回転駆動されることにより無端ベルト80が図1の矢印方向に移動する。下排版部材75は、駆動ローラ81、従動ローラ82、無端ベルト83等を有し、駆動ローラ78を回転駆動する排版駆動手段126の駆動力をギヤやベルト等の図示しない駆動力伝達手段によって伝達されることで駆動ローラ81が図の反時計回り方向に回転駆動されることにより、無端ベルト83が図1の矢印方向に移動する。また、下排版部材75は排版駆動手段126に含まれる図示しない移動手段によって移動自在に設けられており、図に示す位置と従動ローラ82の外周面上に位置する無端ベルト83が版胴12の外周面に当接する位置とを選択的に占める。
【0084】
内部に使用済みマスタ64cを貯容する排版ボックス76は、装置本体11に対して着脱自在に設けられている。上排版部材74と下排版部材75とによって運ばれた使用済みマスタ64cを排版ボックス76の内部に押し込む圧縮板77は装置本体11に上下動自在に支持されており、排版駆動手段126に含まれる図示しない昇降手段によって上下動される。
【0085】
排版部5の下方には排紙部6が配設されている。排紙部6は、剥離爪84、排紙搬送ユニット85、排紙トレイ86等を有している。
剥離爪84は版胴12の幅方向に複数配置され、装置本体11に揺動自在に支持された支軸にそれぞれ一体的に取り付けられている。複数の剥離爪84は図示しない爪揺動手段によって揺動され、その先端が版胴12の周面に近接する図に示す位置と、クランパ19b等の障害物を回避するためにその先端が版胴12の外周面から離間する位置とを選択的に占める。図示しない爪揺動手段は、版胴駆動手段121からの駆動力を図示しない駆動力伝達手段により伝達され、版胴12の回転と同期して剥離爪84を揺動させる。
【0086】
剥離爪84の下方であって切換部材10の左方に配設された排紙搬送ユニット85は、駆動ローラ87、従動ローラ88、無端ベルト89、吸引ファン90等を有している。ころ状の駆動ローラ87は図示しないユニット側板に回転自在に支持された図示しない支軸に所定の間隔で複数取り付けられており、排紙駆動手段127(図14参照)によってそれぞれ一体的に回転駆動される。従動ローラ88も同側板に回転自在に支持された図示しない支軸に各駆動ローラ87と等間隔で複数設けられており、各駆動ローラ87及びこれと対応する各従動ローラ88には無端ベルト89がそれぞれ掛け渡されている。駆動ローラ87、従動ローラ88、無端ベルト89の下方には吸引ファン90が配設されている。排紙搬送ユニット85は、吸引ファン90の吸引力によって各無端ベルト89上に用紙Pを吸引し、各駆動ローラ87の回転によって印刷済み用紙PBを図1の矢印方向に搬送する。
【0087】
排紙搬送ユニット85によって搬送された印刷済み用紙PBをその上面に積載する排紙トレイ86は、用紙搬送方向に移動自在な1個のエンドフェンス91と用紙幅方向に移動自在な一対のサイドフェンス92とを有している。
【0088】
装置本体11の上部には画像読取部7が配設されている。画像読取部7は、原稿を載置するコンタクトガラス93、コンタクトガラス93に対して接離自在に設けられた圧板94、原稿画像を走査して読み取る反射ミラー95,96,97,98及び蛍光灯99、走査された原稿画像を集束するレンズ100、集束された画像を処理するCCD等の画像センサ101、原稿のサイズを検知する複数の原稿サイズ検知センサ102、読み取られた画像データを記憶する画像メモリ135等を有しており、原稿画像の読取動作は読取駆動手段128(図14参照)の作動によって行われる。
【0089】
また、図1に示すように、版胴12を構成する図示しない端板の外面にはドグ133が取り付けられており、版胴12の周囲近傍には装置本体11に取り付けられたホームポジションセンサ134が配設されている。ホームポジションセンサ134は、クランパ19bがプレスローラ13と対向する位置を版胴12が占めたときに、ドグ133を検知して後述する制御手段129に向けて信号を出力する。
【0090】
図13は両面印刷装置1の操作パネルを示している。同図において装置本体11の上部前面に設けられた操作パネル103は、その上面に製版スタートキー104、印刷スタートキー105、試し刷りキー106、連続キー107、クリア/ストップキー108、テンキー109、エンターキー110、プログラムキー111、モードクリアキー112、印刷速度設定キー113、4方向キー114、用紙サイズ設定キー115、用紙厚み設定キー116、両面印刷キー117、片面印刷キー118、7セグメントLEDからなる表示装置119、LCDからなる表示装置120等を有している。
【0091】
製版スタートキー104は両面印刷装置1に製版動作を行わせる際に押下され、製版スタートキー104が押下されると排版動作及び原稿読取動作が行われた後に製版動作が行われ、その後、版付け動作が行われて両面印刷装置1は印刷待機状態となる。印刷スタートキー105は両面印刷装置1に印刷動作を行わせる際に押下され、両面印刷装置1が印刷待機状態となり各種印刷条件が設定された後に印刷スタートキー105が押下されることにより印刷動作が行われる。試し刷りキー106は両面印刷装置1に試し刷りを行わせる際に押下され、各種条件が設定された後に試し刷りキー106が押下されることにより1枚だけ印刷が行われる。連続キー107は製版動作と印刷動作とを連続して行う際に製版スタートキー104の押下前に押下され、連続キー107の押下後、印刷条件が入力された後に製版スタートキー104が押下されると、排版動作、原稿読取動作、製版動作に引き続いて印刷動作が行われる。
【0092】
クリア/ストップキー108は両面印刷装置1の動作を停止させる際あるいは置数のクリア時に押下され、テンキー109は数値入力に用いられる。エンターキー110は各種設定時に数値等を設定する際に、プログラムキー111はよく行う操作を登録したりそれを呼び出したりする際にそれぞれ押下され、モードクリアキー112は各種のモードをクリアして初期状態に戻す際に押下される。印刷速度設定キー113は印刷動作に先立って印刷速度を設定する際に押下され、濃いめの画像を得たい場合あるいは雰囲気温度が低い場合等には印刷速度を遅く、薄めの画像を得たい場合あるいは雰囲気温度が高い場合等には印刷速度を速く設定する。4方向キー114は上キー114a、下キー114b、左キー114c、右キー114dを有しており、画像編集時に画像位置を調整する場合あるいは各種設定時に数値や項目等を選択する場合等に押下される。
【0093】
用紙サイズ設定キー115は用紙サイズを任意で入力する際に押下され、用紙サイズ設定キー115で入力された用紙サイズは用紙サイズ検知センサ73によって検知された用紙サイズに優先される。用紙厚み設定キー116は両面印刷に先立って用紙Pの厚みを入力する際に押下され、本実施例では「普通紙」、「薄紙」、「厚紙」の3種類のうちの何れかを選択する構成となっている。
【0094】
両面印刷キー117は両面印刷装置1に両面印刷動作を行わせる際に製版スタートキー104の押下前に押下され、両面印刷キー117が押下されるとその近傍に配置されたLED117aが点灯してオペレータに両面印刷モードであることが表示される。また、両面印刷キー117が押下された際には、用紙厚み設定キー116によって使用する用紙Pの厚みを入力した後でないと製版スタートキー104の入力が拒否される。片面印刷キー118も両面印刷キー117と同様に両面印刷装置1に片面印刷動作を行わせる際にスタートキー104の押下前に押下され、片面印刷キー118が押下されるとその近傍に配置されたLED118aが点灯してオペレータに片面印刷モードであることが表示される。両面印刷装置1は初期状態時においてLED118aが点灯しており、片面印刷モードとなっている。
【0095】
7セグメントLEDからなる表示装置119は、主に印刷枚数等の数字を表示する。LCDからなる表示装置120は階層表示構造となっており、その下方に設けられた選択設定キー120a,120b,120c,120dを押下することにより、変倍や位置調整等の様々なモードへの変更及び各モードでの設定が可能に構成されている。また表示装置120には、図示したように「製版・プリントできます」のような両面印刷装置1の状態が表示される他、製版あるいは排版ジャム、給紙あるいは排紙ジャム等のアラーム、印刷用紙、マスタ、インキ等のサプライの供給指示等も表示される。
【0096】
図14は、両面印刷装置1に用いられる制御手段のブロック図を示している。同図において制御手段129は、内部にCPU130、ROM131、RAM132を有する周知のマイクロコンピュータであり、装置本体11の内部に設けられている。
【0097】
CPU130は、操作パネル103からの各種信号及び装置本体11に設けられた各種センサからの検知信号及びROM131から呼び出された動作プログラムに基づいて、印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、排紙部6、画像読取部7に設けられた各駆動手段、再給紙手段9に設けられたソレノイド33及び搬送ユニット駆動モータ122、切換部材10を作動させるソレノイド123の作動等を制御し、両面印刷装置1全体の動作を制御する。ROM131には両面印刷装置1全体の動作プログラムが記憶されており、この動作プログラムはCPU130によって適宜呼び出される。RAM132は、CPU130の計算結果を一時的に記憶する機能、操作パネル103上の各種キー及び各種センサから設定及び入力されたデータ信号及びオン・オフ信号を随時記憶する機能等を有している。また制御手段129は、ホームポジションセンサ134からのホームポジション信号と、版胴駆動手段121に設けられた図示しないエンコーダからの信号とに基づいて、版胴12の位置の把握も行っている。
【0098】
上述の構成に基づき、以下に両面印刷装置1の動作を説明する。
オペレータは給紙トレイ67上に印刷に使用される用紙Pを積載し、圧板94を開放してコンタクトガラス93上に印刷すべき原稿を載置した後、再び圧板94を閉じる。その後、操作パネル103上の各種キーによって製版条件を設定した後、両面印刷キー117あるいは片面印刷キー118を押下して印刷モードを設定して製版スタートキー104を押下する。先ず、片面印刷キー118を押下して片面印刷を行う場合を説明する。
【0099】
オペレータは片面印刷モードであることをLED118aの点灯によって確認した後、製版スタートキー104を押下する。製版スタートキー104が押下されると、用紙サイズ検知センサ73から用紙サイズ検知信号が、また原稿サイズ検知センサ102から原稿サイズ検知信号がそれぞれ制御手段129に送られ、信号を受けた制御手段129は各信号を比較する。このとき、用紙サイズと原稿サイズとが同じ場合は直ちに画像読取動作が行われ、用紙サイズと原稿サイズとが異なる場合には、制御手段129はその旨を表示装置120に表示してオペレータに注意を促す。用紙サイズと原稿サイズとが異なる場合に、制御手段129からの指令で自動的に拡大または縮小の変倍を行い、原稿サイズと画像サイズとを整合させるように構成してもよい。
【0100】
製版スタートキー104が押下されると、画像読取部7では原稿画像の読取動作が行われる。原稿画像の読み取りは、蛍光灯99によって露光された反射光を各反射ミラー95,96,97,98によって反射することにより行われ、読み取られた原稿画像はレンズ100で集束された後に画像センサ101に入射されて光電変換される。光電変換された電気信号は装置本体11内の図示しないA/D変換器に入力された後、画像メモリ135内に画像データ信号として格納される。
【0101】
画像読取部7での画像読取動作と並行して、排版部5では版胴12の外周面から使用済みマスタを剥離する排版動作が行われる。製版スタートキー104が押下されると版胴12が回転を開始し、版胴12が図1に示すホームポジションに達するとドグ133がホームポジションセンサ134に検知され、ホームポジションセンサ134から制御手段129に向けてホームポジション信号が送られる。ホームポジション信号を受けた制御手段129は、このホームポジションを基点として図示しないエンコーダが発するパルス数を計測し、版胴12の外周面上に巻装された使用済みマスタの先端が従動ローラ82の外周面上に位置する無端ベルト83と対応する所定の排版位置に達したと判断すると、版胴駆動手段121の作動を停止させる。
【0102】
版胴駆動手段121が停止されて版胴12が所定の排版位置で停止すると、版胴駆動手段121及び排版駆動手段126が作動して各駆動ローラ78,81が回転駆動されると共に下排版部材75が版胴12側に移動し、従動ローラ82の外周面上に位置する無端ベルト83が版胴12上の使用済みマスタ64cと当接する。すると、版胴12の回転及び無端ベルト83の移動によって版胴12の外周面上よりすくい上げられた使用済みマスタ64cは、下排版部材75と上排版部材74とで挟持搬送されて版胴12の外周面より剥離される。剥離された使用済みマスタ64cは排版ボックス76内に廃棄された後、圧縮板77によって圧縮される。
【0103】
外周面上より使用済みマスタ64cが全て剥離された後も版胴12は回転を継続し、クランパ19bが右上方に位置する所定の給版待機位置まで回転して停止する。版胴12が給版待機位置で停止すると図示しない開閉手段が作動してクランパ19bが開放され、両面印刷装置1は給版待機状態となる。
【0104】
排版動作と並行して、製版部3では製版動作が行われる。製版スタートキー104が押下されると、プラテンローラ58、テンションローラ対62、反転ローラ対63がそれぞれ回転駆動されてマスタロール64aよりマスタ64が引き出される。このとき図示しない可動マスタガイド板は搬送位置に位置決めされている。マスタ64が引き出されてその画像形成領域がサーマルヘッド59の発熱素子と対応する位置に達すると、画像メモリ135内に格納されている画像データ信号が画像処理を施された後に呼び出され、図示しないサーマルヘッドドライバがサーマルヘッド59の各発熱素子を選択的に発熱させることにより、マスタ64の熱可塑性樹脂フィルム面に第3製版画像66Aが形成される。マスタ64は製版されつつ搬送され、その先端部が反転ローラ対63に挟持されると図示しない可動マスタガイド板が退避位置に移動されると共に、反転ローラ対63の回転が停止される。
【0105】
反転ローラ対63の回転停止後もプラテンローラ58及びテンションローラ対62は回転を継続しており、サーマルヘッド59によって製版された製版済みマスタ66はマスタストック部61内に貯容される。反転ローラ対63の停止時においてマスタストック部61に設けられた図示しない吸引ファンが作動されており、製版済みマスタ66は図示しない吸引ファンに吸引されることによって良好にマスタストック部61内に貯容される。
【0106】
上述の製版動作中、排版動作が完了して両面印刷装置1が給版待機状態となると、反転ローラ対63が回転を開始してマスタストック部61内に貯容されている製版済みマスタ66がステージ部19aと開放されているクランパ19bとの間に向けて搬送される。そして、製版済みマスタ66の先端部がクランパ19bによって挟持可能な所定位置まで搬送されると、図示しない開閉手段が作動してクランパ19bが閉じられ、製版済みマスタ66はその先端部をステージ部19aとクランパ19bとによって版胴12の外周面上に保持される。
【0107】
その後、版胴12が図1において時計回り方向に間欠的に回転駆動され、製版済みマスタ66の版胴12への巻装動作が行われる。このとき反転ローラ対63は回転を停止しており、駆動ローラ63aは内部に設けられた図示しないワンウェイクラッチによって製版済みマスタ66の引き出しに伴い連れ回りする。そして、画像メモリ135からの画像データ信号が途絶えるとサーマルヘッド59の作動が停止し、1版分の製版済みマスタ66が製版搬送されるとプラテンローラ58、テンションローラ対62、反転ローラ対63の回転がそれぞれ停止されると共に、切断手段60が作動して製版済みマスタ66が切断される。切断された製版済みマスタ66は版胴12の回転によって製版部3より引き出され、版胴12がホームポジションまで回転して停止することで製版動作及び給版動作が完了する。
【0108】
給版動作に引き続き版付け動作が行われる。版胴12がホームポジションで停止すると、ソレノイド123が作動して切換部材10が第1の位置に位置決めされた後、図示しないプレスローラ係止手段が作動すると共にステッピングモータ52が作動して段差カム49が回転され、そのカム部49bをカムフォロア48cに当接させる。これにより移動アーム48が支軸48aを中心に揺動され、カム軸44がカム板43Aをカムフォロア41に対して当接可能となる位置に移動された後、図示しないプレスローラ係止手段の作動が解除される。
【0109】
その後、給紙ローラ68、分離ローラ69、駆動ローラ87、吸引ファン90がそれぞれ駆動されると共に版胴12が低速で図1の時計回り方向に回転駆動され、給紙トレイ67上に積載された用紙Pの最上位の1枚が引き出されてその先端をレジストローラ対71に挟持される。そして、版胴12上に巻装された製版済みマスタ66の版胴回転方向における第3製版画像66Aの画像領域先端部がプレスローラ13と対応する位置に到達する所定のタイミングで駆動ローラ71aが回転駆動され、引き出された用紙Pは版胴12とプレスローラ13との間に向けて給送される。
【0110】
版胴12の回転に同期して、プレスローラ接離機構55ではカム軸44及びこれと一体に設けられた多段カム43が回転駆動されており、上述したようにカムフォロア41と当接可能となる位置に移動されたカム板43Aは、上記所定のタイミングにおいてその凸部をカムフォロア41から離脱させる。これによりプレスローラ13がその周面を版胴12の外周面に印圧ばね42の付勢力によって圧接させ、レジストローラ対71によって給送された用紙Pが版胴12に巻装された製版済みマスタ66に押圧される。この押圧動作によりプレスローラ13と用紙Pと製版済みマスタ66と版胴12とが圧接し、インキローラ16によって版胴12の内周面に供給されたインキが版胴12の開口部より滲出し、版胴12を構成する図示しない多孔性支持板及び図示しないメッシュスクリーン及び版胴12に巻装された製版済みマスタ66の多孔性支持体に充填された後に、製版済みマスタ66の穿孔部を介して用紙Pに転写され、いわゆる版付けが行われる。
【0111】
版付けにより第3製版画像66Aに応じた画像を印刷された用紙Pは、印刷済み用紙PBとなって第1の位置を占めた切換部材10により排紙搬送ユニット85へと案内されると共に、剥離爪84によってその先端部から版胴外周面上の製版済みマスタ66より剥離される。剥離された印刷済み用紙PBは下方へと落下して排紙搬送ユニット85に受け止められ、吸引ファン90の吸引力によって無端ベルト89の上面に引き付けられつつ左方へと搬送されて排紙トレイ86上に排出される。その後、版胴12が再びホームポジションまで回転して停止し、版付け動作を終えて両面印刷装置1は印刷待機状態となる。
【0112】
両面印刷装置1が印刷待機状態となった後、印刷速度設定キー113及び操作パネル103上の各種キーによって印刷条件を入力した後に試し刷りキー106が押下されると試し刷りが行われる。試し刷りキー106が押下されると、設定された印刷速度で版胴12が回転駆動されると共に、給紙部4から用紙Pが1枚給送される。給送された用紙Pはレジストローラ対71で一時停留された後に版付け時と同じタイミングで給送され、プレスローラ13によって版胴外周面上の製版済みマスタ66に圧接される。画像を印刷された印刷済み用紙PBは切換部材10によって排紙部6へと案内された後、剥離爪84によって版胴外周面上の製版済みマスタ66より剥離され、排紙搬送ユニット85により搬送されて排紙トレイ86上に排出される。
【0113】
試し刷りにより画像の位置あるいは濃度等が確認され、テンキー109によって印刷枚数が入力された後に印刷スタートキー105が押下されると、給紙部4から用紙Pが連続的に給送され、試し刷りと同条件で印刷動作が行われる。そして、設定された印刷枚数が消化されると版胴12がホームポジションで停止し、両面印刷装置1は再び印刷待機状態となる。
【0114】
次に、両面印刷キー117を押下して両面印刷を行う場合を説明する。オペレータは両面印刷モードであることをLED117aの点灯によって確認した後、用紙厚み設定キー116を押下して使用する用紙Pの厚みを設定する。この両面印刷モードでは、用紙厚み設定キー116が押下されない場合には製版スタートキー104の入力を拒否し、用紙厚み設定キー116が押下されずに製版スタートキー104が押下された場合には、制御手段129は用紙の厚みを設定して下さいという旨の表示を表示装置120に表示させる。本実施例において、用紙厚み設定キー116によって設定された用紙Pの厚みが「普通紙」あるいは「薄紙」の場合には製版スタートキー104の入力が許容され、「厚紙」が設定された場合には用紙Pの搬送ジャムを防止するために製版スタートキー104の入力が拒否されると共に、制御手段129は表示装置120に正しい用紙をセットして下さいという旨の警告を表示させる。
【0115】
給紙トレイ67上に「普通紙」あるいは「薄紙」である用紙Pがセットされ、用紙Pに基づいた用紙厚みが用紙厚み設定キー116によって設定された後に製版スタートキー104が押下されると、片面印刷時と同様に各センサ73,102から用紙サイズ検知信号及び原稿サイズ検知信号がそれぞれ制御手段129に送られ、制御手段129は入力された各信号を比較する。本実施例では、版胴12で印刷可能な最大用紙サイズがA3サイズであるため、両面印刷時において使用可能な用紙サイズはA4横置きまでである。原稿サイズと用紙サイズとを比較した結果、両サイズが同じ場合には直ちに画像読取動作が行われ、両サイズが異なる場合には、制御手段129はその旨を表示装置120に警告として表示してオペレータに注意を促す。用紙サイズと原稿サイズとが異なる場合に、制御手段129からの指令で自動的に拡大または縮小の変倍を行って原稿サイズと画像サイズとを整合させる構成、表示装置120に縮小や画像データの回転等の手順を表示してオペレータの操作の手助けを行う構成としてもよい。また、用紙サイズがA4横置きを超える大きさの場合には、制御手段129は両面印刷を禁止して片面印刷を促す旨を表示装置120に表示させてもよい。
【0116】
製版スタートキー104が押下されると、画像読取部7では片面印刷時と同様に1枚目の原稿画像が読み取られる。読み取られた原稿画像は画像メモリ135内に1枚目の画像データ信号として格納される。1枚目の原稿の読取動作が完了して画像データ信号が画像メモリ135内に格納されると、制御手段129は表示装置120に2枚目の原稿をセットして下さいという旨の表示を行わせる。オペレータは、この表示に従って圧板94を開放してコンタクトガラス93上より1枚目の原稿を取り除き、2枚目の原稿を載置して再び圧板94を閉じる。圧板94が閉じられたことを図示しないセンサが検知し、コンタクトガラス93上に原稿があることを他の図示しないセンサが検知すると、1枚目と同様に2枚目の原稿の読取動作が行われる。読み取られた原稿画像は、画像メモリ135内に2枚目の画像データ信号として格納される。
【0117】
なお、本実施例において、片面印刷モード時及び両面印刷モード時における原稿の読取動作は、オペレータが圧板94を開閉してコンタクトガラス93上に読み取られる原稿をセットする構成としたが、ADFを用いて自動的に原稿をコンタクトガラス93上に搬送する構成、あるいは図示しない外部装置から画像データを取り込む構成としてもよい。また、両面印刷モード時において1枚の原稿を反転させて搬送し、その表面及び裏面から2枚分の画像データを取得する構成としてもよい。
【0118】
画像読取部7での画像読取動作と並行して、排版部5では片面印刷時と同様に排版動作が行われる。外周面上より使用済みマスタ64cを剥離された版胴12は給版待機位置で停止し、図示しない開閉手段によってクランパ19bが開放される。また、この排版動作と並行して製版部3では製版動作が行われる。製版動作は片面印刷モード時と同様の手順で行われるが、マスタ64にはその熱可塑性樹脂フィルム面に第1製版画像65Aと第2製版画像65Bとが形成される。このとき第1製版画像65Aと第2製版画像65Bとの間には、図11に示すように所定の空白部Sが設けられるように各画像65A,65Bが製版される。この所定の空白部Sは、分割製版済みマスタ65が版胴12の外周面上に巻装されたときに、図1に示す中間領域と対応する位置に設けられる。
【0119】
各画像65A,65Bが形成された分割製版済みマスタ65はマスタストック部61内に貯容され、排版動作が完了して両面印刷装置1が給版待機状態となると、反転ローラ対63の作動によって分割製版済みマスタ65がステージ部19aと開放されているクランパ19bとの間に向けて搬送される。その後、版胴12が片面印刷モード時と同様に間欠回転され、分割製版済みマスタ65の版胴12への巻装が行われる。そして、画像メモリ135から2枚分の画像データが全て送られると、切断手段60が作動して分割製版済みマスタ65が切断される。切断された分割製版済みマスタ65は版胴12の回転によって製版部3より引き出され、版胴12がホームポジションで停止して製版動作及び給版動作が完了する。
【0120】
給版動作に引き続き版付け動作が行われる。版胴12がホームポジションで停止すると、ステッピングモータ52が作動して段差カム49が回転されると共に、図示しないプレスローラ係止手段が作動され、カム部49aをカムフォロア48cに当接させる。これにより移動アーム48が支軸48aを中心に揺動され、カム軸44がカム板43Bをカムフォロア41に対して当接可能となる位置に移動された後、図示しないプレスローラ係止手段の作動が解除される。
【0121】
その後、給紙ローラ68、分離ローラ69、各駆動ローラ36,87、各吸引ファン39,90がそれぞれ駆動されると共に版胴12が低速で図1の時計回り方向に回転駆動され、給紙トレイ67上から1枚目の用紙Pが引き出されてその先端をレジストローラ対71に挟持される。そして、クランパ19bが切換部材10と対応する位置を通過するとソレノイド123が作動して切換部材10が第2の位置に位置決めされ、その後、版胴12上に巻装された分割製版済みマスタ65の版胴回転方向における第1製版画像65Aの画像領域先端部がプレスローラ13と対応する位置に到達する所定のタイミングで駆動ローラ71aが回転駆動されることで、引き出された1枚目の用紙Pは版胴12とプレスローラ13との間に向けて給送される。
【0122】
上記所定のタイミングにおいて、カムフォロア41と当接可能である位置に移動されたカム板43Bはその凸部をカムフォロア41から離脱させ、プレスローラ13が印圧ばね42の付勢力によってその周面を版胴12の外周面に圧接させる。これによりプレスローラ13と1枚目の用紙Pの一方の面と分割製版済みマスタ65の第1製版画像65A形成部と版胴12とが圧接し、インキローラ16によって版胴12の内周面に供給されたインキが版胴12の開口部より滲出し、版胴12に巻装された図示しない多孔性支持板及び図示しないメッシュスクリーン、及び分割製版済みマスタ65の多孔性支持体に充填された後に第1製版画像65Aの穿孔部を介して1枚目の用紙Pの一方の面に転写され、分割製版済みマスタ65のうちの第1製版画像65Aが形成された部分の版付けが行われる。
【0123】
版付けにより第1製版画像65Aに応じた画像をその一方の面に印刷され、表面印刷済み用紙PAとなった1枚目の用紙Pは、切換部材10の先端によってその一端から版胴外周面上の分割製版済みマスタ65から剥離されつつ、第2の位置を占めた切換部材10によって再給紙手段9へと案内される。
【0124】
切換部材10によって下方へと導かれた表面印刷済み用紙PAは、各ガイド板27,56間を通って図6に示すように第1の位置を占めている用紙受け板40にその一端を当接させる。そして、版胴12及びこれに圧接して従動回転するプレスローラ13の回転と同期して移動する用紙受け板40が図7に示す第2の位置を占めることにより、一端をエンドフェンス8aに当接させると共に他端を補助トレイ8上に接触させる。
【0125】
補助トレイ8上に接触された表面印刷済み用紙PAの他端は、吸引ファン39の吸引力によって無端ベルト38に保持されつつ図1の矢印方向に搬送され、再給紙位置決め部材24に当接される。このときセンサ8cが表面印刷済み用紙PAの他端を検知し、センサ8cからの検知信号が制御手段129へ向けて出力されることにより、制御手段129から指令が送られて駆動ローラ36及び吸引ファン39の作動が停止される。
【0126】
1枚目の用紙Pが補助トレイ8上に案内されている間も版胴12は回転を継続しており、プレスローラ13は版胴12の表面領域との接触を終えるとカム板43Bの凸部がカムフォロア41に当接することで離間位置を占める。このカム板43Bの働きにより、用紙Pが存在しない状態で版胴12の裏面領域とプレスローラ13とが圧接することがなく、プレスローラ13の周面へのインキの転移を防止できる。このとき図示しないプレスローラ係止手段が作動してプレスローラ13を離間位置で保持した後、ステッピングモータ52が作動して段差カム49が回転され、そのカム部49bをカムフォロア48cに当接させる。これにより移動アーム48が支軸48aを中心に揺動され、カム軸44がカム板43Aをカムフォロア41に対して当接可能となる位置に移動される。
【0127】
上述の動作とほぼ同時に給紙ローラ68及び分離ローラ69が駆動され、給紙トレイ67上から2枚目の用紙Pが引き出されてその先端をレジストローラ対71に挟持される。そして、上述と同様の所定のタイミングで駆動ローラ71aが回転駆動され、引き出された2枚目の用紙Pは版胴12とプレスローラ13との間に向けて給送される。
【0128】
一方、プレスローラ接離機構55では、移動されたカム板43Aの凸部がカムフォロア41と当接可能な位置までカム軸44が回転すると、図示しないプレスローラ係止手段の作動が解除される。このときカム軸44と同期して回転している版胴12は、表面領域及び裏面領域及び中間領域以外の部位である非開孔部がプレスローラ13と対向する位置を占めている。また、版胴12の表面領域がプレスローラ13との対向部を通過し、クランパ19bが再び切換部材10と対応する位置を占めるまでの間にソレノイド123が作動され、切換部材10が第2の位置から第1の位置に変位される。
【0129】
2枚目の用紙Pがレジストローラ対71によって給送される所定のタイミングにおいて、カム板43Aがその凸部をカムフォロア41から離脱させることにより、プレスローラ13が印圧ばね42の付勢力によってその周面を版胴12の外周面に圧接させる。これによりプレスローラ13と2枚目の用紙Pの一方の面と分割製版済みマスタ65の第1製版画像65A形成部と版胴12とが圧接し、インキローラ16によって版胴12の内周面に供給されたインキが版胴12の開口部、図示しない多孔性支持板及び図示しないメッシュスクリーン、第1製版画像65Aの穿孔部を介して2枚目の用紙Pの一方の面に転写される。
【0130】
第1製版画像65Aに応じた画像をその一方の面に印刷され印刷済み用紙PBとなった2枚目の用紙Pは、第1の位置を占めた切換部材10によって排紙搬送ユニット85へと案内されると共に、剥離爪84によってその一端から版胴外周面上の分割製版済みマスタ65より剥離される。剥離された印刷済み用紙PBは下方へと落下し、排紙搬送ユニット85へと送られた後に排紙トレイ86上に排出される。
【0131】
レジストローラ対71によって2枚目の用紙Pが給送された後、分割製版済みマスタ65の版胴回転方向における第2製版画像65Bの画像領域先端部がプレスローラ13と対応する位置に到達するよりもやや早いタイミングである所定のタイミングでソレノイド33が作動され、揺動アーム32が支軸32aを中心に図3における時計回り方向に揺動される。これにより再給紙レジストローラ23が離間位置から圧接位置に揺動され、他端を再給紙位置決め部材24に当接させた状態で停留されていた表面印刷済み用紙PAが版胴12と当接して従動回転しているプレスローラ13の周面に当接される。
【0132】
再給紙レジストローラ23によりプレスローラ13の周面に当接された表面印刷済み用紙PAは、プレスローラ13の回転力によってその回転方向下流側へと搬送され、用紙ガイド板31及び各ローラ28,29,30によってプレスローラ13の周面に密着した状態で版胴12との当接部に向けて搬送される。このとき表面印刷済み用紙PAの一方の面には第1製版画像65Aに応じた画像が印刷されているが、再給紙案内部材22の働きによって表面印刷済み用紙PAがプレスローラ13の周面に密着されているので、一度プレスローラ13の周面に接触した表面印刷済み用紙PAがずれることがなく、擦れ汚れあるいは画線の太りといった不具合の発生が防止される。そして、2枚目の用紙Pの後端及び中間領域がプレスローラ13と対応する位置を通過した後、裏面領域の先端部がプレスローラ13と対応する位置に到達するタイミングで表面印刷済み用紙PAが版胴12とプレスローラ13との当接部に送り込まれる。
【0133】
これによりプレスローラ13と表面印刷済み用紙PAの他方の面と分割製版済みマスタ65の第2製版画像65B形成部と版胴12とが圧接し、インキローラ16によって版胴12の内周面に供給されたインキが版胴12の開口部、図示しない多孔性支持板及び図示しないメッシュスクリーン、第2製版画像65Bの穿孔部を介して表面印刷済み用紙PAの他方の面に転写され、分割製版済みマスタ65のうちの第2製版画像65Bが形成された部分の版付けが行われる。
【0134】
第1製版画像65Aに応じた画像を一方の面に、第2製版画像65Bに応じた画像を他方の面にそれぞれ印刷され印刷済み用紙PBとなった1枚目の用紙Pは、第1の位置を占めた切換部材10によって排紙搬送ユニット85へと案内されると共に、剥離爪84によってその一端から版胴外周面上の分割製版済みマスタ65より剥離される。剥離された印刷済み用紙PBは下方へと落下して排紙搬送ユニット85に受け止められた後に排紙トレイ86上に排出され、これにより分割製版済みマスタ65の版付け動作が完了して両面印刷装置1は印刷待機状態となる。
【0135】
両面印刷装置1が印刷待機状態となった後、印刷速度設定キー113及び操作パネル103上の各種キーによって印刷条件を入力した後に試し刷りキー106が押下されると、試し刷りが行われる。この試し刷りキー106の押下時においても制御手段129は用紙の厚みを設定して下さいという旨の表示を表示装置120に表示させ、「厚紙」が設定された場合には試し刷りキー106の入力を拒否して表示装置120に正しい用紙をセットして下さいという旨の警告を表示させる。
【0136】
試し刷りキー106が押下されると、版付け時と同様にカム板43Bがカムフォロア41に当接可能となる位置にカム軸44が移動された後に設定された印刷速度で版胴12が回転駆動され、さらに版付け時と同様に切換部材10が第2の位置に位置決めされる。版胴12の回転開始後、給紙部4から1枚目の用紙Pが給送され、給送された1枚目の用紙Pはレジストローラ対71で一時停留された後に版付け時と同じタイミングで給送され、プレスローラ13によって分割製版済みマスタ65の第1製版画像65Aに圧接される。
【0137】
一方の面に第1製版画像65Aに対応した画像を印刷されて表面印刷済み用紙PAとなった1枚目の用紙Pは、切換部材10によって版胴外周面上の分割製版済みマスタ65より剥離されつつ第1の位置を占めている用紙受け板40上へと案内される。用紙受け板40上に搬送された表面印刷済み用紙PAは、用紙受け板40が第2の位置へと移動することによりその一端をエンドフェンス8aに当接させると共にその他端を無端ベルト38上に接触させ、吸引ファン39の吸引力によって無端ベルト38上に保持されつつ他端を再給紙位置決め部材24に当接させた状態で停留される。
【0138】
その後、図示しないプレスローラ係止手段が作動してプレスローラ13が離間位置で保持され、段差カム49が回転してカム板43Aをカムフォロア41に対して当接可能となる位置にカム軸44が移動された後、図示しないプレスローラ係止手段の作動が解除される。切換部材10は、クランパ19bが再び切換部材10と対応する位置を占めるまでの間に第2の位置から第1の位置に変位される。また、この動作とほぼ同時に給紙部4から2枚目の用紙Pが給送され、給送された2枚目の用紙Pはレジストローラ対71で一時停留された後、1枚目の用紙Pと同じタイミングで印刷部2に向けて給送される。
【0139】
給送された2枚目の用紙Pは、揺動するプレスローラ13によって分割製版済みマスタ65の第1製版画像65Aに圧接され、一方の面に第1製版画像65Aに対応した画像を印刷されて印刷済み用紙PBとなった2枚目の用紙Pは、第1の位置を占めた切換部材10によって排紙搬送ユニット85へと案内される。印刷済み用紙PBは剥離爪84によって分割製版済みマスタ65より剥離され、下方へと落下して排紙搬送ユニット85に受け止められた後、搬送されて排紙トレイ86上に排出される。
【0140】
レジストローラ対71によって2枚目の用紙Pが給送された後、版付け時と同じタイミングでソレノイド33が作動されて再給紙レジストローラ23が離間位置から圧接位置へと変位され、補助トレイ8上で一時停留されていた表面印刷済み用紙PAが回転しているプレスローラ13の周面に当接される。表面印刷済み用紙PAは版胴12に接触することで従動回転しているプレスローラ13の回転力によって搬送され、再給紙案内部材22によってプレスローラ13の周面に密着した状態で印刷部2へと搬送される。
【0141】
搬送された表面印刷済み用紙PAは、揺動するプレスローラ13によって分割製版済みマスタ65の第2製版画像65Bに圧接され、その他方の面に第2製版画像65Bに対応する画像を転写される。両面に各製版画像65A,65Bに対応した画像を印刷されて印刷済み用紙PBとなった1枚目の用紙Pは、切換部材10によって排紙搬送ユニット85へと案内される。その後、印刷済み用紙PBが剥離爪84によって分割製版済みマスタ65より剥離され、排紙搬送ユニット85によって搬送されて排紙トレイ86上に排出されることにより試し刷りが完了する。
【0142】
試し刷りにより画像の位置あるいは濃度等が確認され、テンキー109によって印刷枚数が入力された後に印刷スタートキー105が押下されると、印刷動作が行われる。この印刷スタートキー105の押下時においても制御手段129は用紙の厚みを設定して下さいという旨の表示を表示装置120に表示させ、「厚紙」が設定された場合には印刷スタートキー105の入力を拒否して表示装置120に正しい用紙をセットして下さいという旨の警告を表示させる。本実施例では、印刷枚数としてN枚が入力された場合を説明する。
【0143】
印刷スタートキー105が押下されると、版付け時及び試し刷り時と同様に、カム板43Bがカムフォロア41に対して当接可能となる位置にカム軸44が移動された後に設定された印刷速度で版胴12が回転駆動され、版付け時及び試し刷り時と同様に切換部材10が第2の位置に位置決めされる。版胴12の回転開始後に給紙部4から1枚目の用紙Pが給送され、給送された1枚目の用紙Pはレジストローラ対71で一時停留された後に、試し刷り時と同じタイミングで給送される。1枚目の用紙Pはプレスローラ13によって分割製版済みマスタ65の第1製版画像65Aに圧接されることで、その一方の面に第1製版画像65Aに対応した画像を印刷されて1枚目の表面印刷済み用紙PAとなる。
【0144】
表面印刷済み用紙PAは、第2の位置を占めた切換部材10によって版胴12の外周面上より剥離されつつ案内され、第1の位置を占めている用紙受け板40にその一端を当接させる。そして用紙受け板40が第2の位置を占めることにより、表面印刷済み用紙PAは一端をエンドフェンス8aに当接させると共に他端を補助トレイ8上に接触させる。補助トレイ8上の各無端ベルト38によって搬送された表面印刷済み用紙PAは、他端を再給紙位置決め部材24に当接させた状態で停留される。
【0145】
その後、図示しないプレスローラ係止手段が作動してプレスローラ13が離間位置で保持され、カム板43Aがカムフォロア41に対して当接可能となる位置にカム軸44が移動された後、図示しないプレスローラ係止手段の作動が解除される。また、この動作とほぼ同時に給紙部4から2枚目の用紙Pが給送され、2枚目の用紙Pはレジストローラ対71で一時停留された後に1枚目の用紙Pと同じタイミングで印刷部2に向けて給送される。切換部材10はクランパ19bとの衝突を回避すべく第1の位置に位置決めされた後、クランパ19bの通過後に再び第2の位置に位置決めされる。
【0146】
給送された2枚目の用紙Pはプレスローラ13によって分割製版済みマスタ65の第1製版画像65Aに圧接され、一方の面に第1製版画像65Aに対応した画像を印刷されて2枚目の表面印刷済み用紙PAとなった後、第2の位置を占めた切換部材10によって剥離案内され、第1の位置を占めている用紙受け板40を介して補助トレイ8上に搬送される。このとき試し刷り時と同じタイミングでソレノイド33が作動され、補助トレイ8上に停留されていた1枚目の表面印刷済み用紙PAがプレスローラ13の回転力によって印刷部2へと搬送される。
【0147】
2枚目の表面印刷済み用紙PAの、補助トレイ8への搬送時において、用紙受け板40の働きにより2枚目の表面印刷済み用紙PAの一端が1枚目の表面印刷済み用紙PAの一端側に接触することが防止され、各表面印刷済み用紙PA同士が接触することによって発生する、2枚目の表面印刷済み用紙PAの一端部及び裏面部への擦れ汚れの発生、及び1枚目の表面印刷済み用紙PAの一端側への擦れ汚れの発生を防止することができる。
【0148】
また、このときに2枚目の表面印刷済み用紙PAの一端は図6において左方に向けて搬送されなければならないが、用紙受け板40がない場合には2枚目の表面印刷済み用紙PAの一端が図6において右方に向けて搬送される1枚目の表面印刷済み用紙PAの一端に接触し、1枚目の表面印刷済み用紙PA上のインキの粘着力及び図6の右方への搬送力によって2枚目の表面印刷済み用紙PAの図中左方への搬送力が打ち消され、2枚目の表面印刷済み用紙PAがその場に止まってしまい搬送ジャムが発生してしまう。
【0149】
さらにその後、送られてきた2枚目の表面印刷済み用紙PAは1枚目の表面印刷済み用紙PAが送られて用紙がない状態となった補助トレイ8上に直接落下し、作動している吸引ファン39の吸引力によって補助トレイ8上に引き付けられると共に無端ベルト38の摩擦力によっても図中左方への搬送力を打ち消され、2枚目の表面印刷済み用紙PAの良好な搬送が妨げられて搬送ジャムが発生してしまう。
用紙受け板40が印刷部2から搬送される表面印刷済み用紙PAの一端を受け止めることにより、上述したような不具合の発生を防止することができ、良好な印刷動作を継続的に行うことができる。
【0150】
1枚目の表面印刷済み用紙PAは、2枚目の表面印刷済み用紙PAの後端が版胴12とプレスローラ13との当接部を抜けきった後、版胴12の中間領域がプレスローラ13と対向する位置を通過して裏面領域がプレスローラ13と対向するタイミングで版胴12とプレスローラ13との当接部に送られ、プレスローラ13によって分割製版済みマスタ65の第2製版画像65Bに圧接されることで、その他方の面に第2製版画像65Bに対応した画像を印刷されて印刷済み用紙PBとなる。
【0151】
上述の動作中、版胴12の中間領域がプレスローラ13と対向する位置を占める直前にソレノイド123が作動され、切換部材10が第2の位置から第1の位置に変位される。これにより切換部材10によって案内されていた2枚目の表面印刷済み用紙PAの他端は、切換部材10の下面10aとプレスローラ13の周面との間の僅かな隙間を通って用紙受け板40を介して補助トレイ8上に案内され、これに続いて搬送された1枚目の印刷済み用紙PBの一端は、切換部材10の上面10bに沿って排紙搬送ユニット85へと案内される。1枚目の印刷済み用紙PBは、剥離爪84によって分割製版済みマスタ65より剥離された後に排紙搬送ユニット85によって搬送され、排紙トレイ86上に排出される。
【0152】
その後、給紙部4から3枚目の用紙Pが給送され、3枚目の用紙Pはレジストローラ対71で一時停留された後に1枚目及び2枚目の用紙Pと同じタイミングで印刷部2に向けて給送される。切換部材10はクランパ19bとの衝突を回避すべく第1の位置に位置決めされ、クランパ19bの通過後に再び第2の位置に位置決めされる。給送された3枚目の用紙Pは、一方の面に第1製版画像65Aに対応した画像を印刷されて表面印刷済み用紙PAとなった後、切換部材10によって用紙受け板40を介して補助トレイ8上に案内される。そして所定のタイミングでソレノイド33が作動され、補助トレイ8上に停留されていた2枚目の表面印刷済み用紙PAが印刷部2へと搬送される。
【0153】
2枚目の表面印刷済み用紙PAは1枚目の表面印刷済み用紙PAと同様のタイミングで版胴12とプレスローラ13との当接部に送られ、その他方の面に第2製版画像65Bに対応した画像を印刷されて2枚目の印刷済み用紙PBとなる。切換部材10は上述と同様のタイミングで第2の位置から第1の位置に変位され、3枚目の表面印刷済み用紙PAの他端は切換部材10の下面10aとプレスローラ13の周面との間の僅かな隙間を通り、用紙受け板40を介して補助トレイ8上に案内される。
【0154】
これに続いて補助トレイ8上より搬送された2枚目の印刷済み用紙PBの一端は、切換部材10の上面10bに沿って排紙搬送ユニット85へと案内され、2枚目の印刷済み用紙PBは剥離爪84によって分割製版済みマスタ65より剥離された後に、排紙搬送ユニット85によって搬送されて排紙トレイ86上に排出される。
【0155】
以下、上述と同様の印刷動作が(N―1)枚目まで行われる。そして、N枚目の用紙Pが給紙部4から給送されてその一方の面に第1製版画像65Aに対応した画像を印刷され、N枚目の表面印刷済み用紙PAとして用紙受け板40を介して補助トレイ8上に案内された後、(N−1)枚目の表面印刷済み用紙PAがその他方の面に第2製版画像に対応した画像を印刷されて(N−1)枚目の印刷済み用紙PBとして排紙トレイ86上に排出されると、図示しないプレスローラ係止手段が作動してプレスローラ13が離間位置で保持され、カム板43Cをカムフォロア41に対して当接可能となる位置にカム軸44が移動された後、図示しないプレスローラ係止手段の作動が解除される。このとき切換部材10は第1の位置を占めた状態を維持している。
【0156】
そして、分割製版済みマスタ65の版胴回転方向における第2製版画像65Bの画像領域先端部がプレスローラ13と対応する位置に到達するよりも早い第1のタイミングでカムフォロア41と当接可能である位置に移動されたカム板43Cはその凸部をカムフォロア41から離脱させ、プレスローラ13が印圧ばね42の付勢力によってその周面を版胴12の外周面に圧接させる。その後、分割製版済みマスタ65の版胴回転方向における第2製版画像65Bの画像領域先端部がプレスローラ13と対応する位置に到達するよりもやや早い第2のタイミングでソレノイド33が作動され、揺動アーム32が支軸32aを中心に図4における時計回り方向に揺動される。これにより再給紙レジストローラ23が離間位置から圧接位置に揺動され、他端を再給紙位置決め部材24に当接させた状態で停留されていたN枚目の表面印刷済み用紙PAが版胴12と当接して従動回転しているプレスローラ13の周面に当接される。
【0157】
N枚目の表面印刷済み用紙PAは、1枚目の表面印刷済み用紙PAと同様のタイミングで版胴12とプレスローラ13との当接部に送られ、その他方の面に第2製版画像65Bに対応した画像を印刷されてN枚目の印刷済み用紙PBとなる。N枚目の印刷済み用紙PBは切換部材10の上面10bに沿って排紙搬送ユニット85へと案内され、剥離爪84によって分割製版済みマスタ65より剥離された後に排紙搬送ユニット85によって搬送され、排紙トレイ86上に排出される。その後、プレスローラ13は版胴12の裏面領域との接触を終えるとカム板43Cの凸部がカムフォロア41に当接することで離間位置を占める。このカム板43Cの働きにより、用紙Pが存在しない状態で版胴12の表面領域とプレスローラ13とが圧接することがなく、プレスローラ13の周面へのインキの転移を防止できる。このとき図示しないプレスローラ係止手段が作動してプレスローラ13が離間位置で保持され、その後に版胴12がホームポジションで停止して両面印刷装置1は印刷動作を終えて再び印刷待機状態となる。
【0158】
上述した両面印刷時における連続印刷時において、プレスローラ13に代えて、図15に示すように、シート部材13eを有しておらず金属製の一対の芯部141aと軽量金属製の中空パイプ141bと軽量金属製の一対の端板141cと厚さ5〜10mm程度の弾性体141dとからなる一般的に用いられているプレスローラ141を用いた場合の問題点を以下に説明する。
【0159】
図16は、給紙部4より給送された1枚目の用紙P1が印刷部2においてその一方の面にインキ142を転写された後に補助トレイ8上に送られて表面印刷済み用紙PA1となり、用紙P1に続いて給紙部4より給送された2枚目の用紙P2が印刷部2においてその一方の面にインキ142を転写されて表面印刷済み用紙PA2として補助トレイ8に送られると共に、補助トレイ8上から表面印刷済み用紙PA1が印刷部2に向けて再給紙される状態を示している。
【0160】
図17は、図16に示した状態からさらに時間が経過し、補助トレイ8上から再給紙された表面印刷済み用紙PA1がプレスローラ141によって版胴12に押圧され、その他方の面にもインキ142を転写されて印刷済み用紙PB1となる状態を示している。この再給紙手段9によって補助トレイ8上から再給紙される表面印刷済み用紙PA1は、その一方の面に転写されたインキ142が未乾燥状態であり、この未乾燥状態のインキ142がプレスローラ141によって押圧されると、プレスローラ141の表面に再転移して再転移インキ143を形成してしまう。
【0161】
このようにプレスローラ141の表面上に形成された再転移インキ143は、さらに印刷動作が進んで図18に示すように給紙部4より3枚目の用紙P3が給送されたときに、印刷部2において用紙P3の他方の面に転写されて裏汚れとなると共に、補助トレイ8上より再給紙される表面印刷済み用紙PA2の一方の面にも転写されて画像不良を引き起こしてしまう。
【0162】
本発明は、上述の問題点を解決すべく発明されたものであり、プレスローラとしてその表面にシート部材13eを有するプレスローラ13を用いることにより、上述した再転移インキ143の発生を極力抑え、良好な両面印刷物を得ることを目的としている。そこで本発明者は、図3に示したシート部材13eの頂角13iの先端部半径R、頂角13iの角度θ、頂角13i間のピッチLをそれぞれ変化させて両面印刷を行い、印刷面の画像品質並びに再転移インキ143によるインキ転移汚れの発生を調査した。以下にその結果を示す。
【0163】
【表1】
【0164】
実験の結果、以下のことが判明した。頂角13iの先端部半径Rは、0.04mmを超えると再転移インキ143が付着し易く転移汚れが多く発生するが、0.04mm以下では再転移インキ143が付着しにくくなり、特に0.03mm以下では再転移インキ143の付着が抑制され転移汚れがほとんど目立たなくなった。頂角13iの角度θは、100度を超えると再転移インキ143が付着し易く転移汚れが多く発生するが、100度以下では再転移インキ143が付着しにくくなり、特に90度以下では再転移インキ143の付着が抑制され転移汚れがほとんど目立たなくなった。しかし、60度以下とすると突起13hの強度が不足し、耐久性が悪化した。頂角13i間のピッチLは、0.4mmを超えると見かけの平滑度が得られずにプレスローラとしての画像形成機能が低下して印刷画像に点状のむらが発生してしまい良好な画像を得ることができなかったが、0.4mm以下ではむらが目立たなくなり良好な画像が得られ、特に0.3mm以下ではむらの発生がほとんどなく良好な画像が得られた。しかし、0.1mmを下回ると、十分な溝深さが取れずに転移汚れが発生した。
【0165】
上述の結果、頂角13iの先端部半径Rを0.04mm以下、望ましくは0.03mm以下、頂角13iの角度θを100度以下、望ましくは70〜90度、各頂角13i間のピッチLを0.4mm以下、望ましくは0.1〜0.3mmとしたシート部材13eを有するプレスローラ13を用いることにより、再転移インキ143の発生を極力抑えて転移汚れの発生を防止し、かつ上質の画像品質を有する両面印刷物を得ることができる。
【0166】
図19は、第1の実施例の変形例に用いられるシート部材13qの部分平面図である。凹凸部であるシート部材13qは、シート部材13eと同様に熱可塑性合成樹脂を特別な金型によって成型することにより形成されており、三角錐形状の複数の突起13rが規則正しく並べられた形状を呈している。同図において、太線は各突起13rの底辺部を、細線は各突起13rの稜線を、黒点は各突起13rの頂点をそれぞれ示している。このシート部材13qを用いた場合であっても、各頂点の先端部半径、各頂点の角度、各頂点間のピッチを第1の実施例と同様に設定することにより、第1の実施例と同様の作用効果を得ることができる。本変形例では突起13rの形状を三角錐としたが、円錐あるいは多角錘で突起を形成してもよい。
【0167】
図20は、本発明の第2の実施例に用いられるシート部材13jの部分拡大断面図である。シート部材13jは、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる厚さ0.05〜0.1mm程度の樹脂シート13kの表面に、ガラスからなる複数の球状体13lをポリウレタン系あるいはエポキシ系の接着剤13mによって、各球状体13lが平面をなさないように接着することにより構成されており、シート部材13jによって段差部が形成される。
【0168】
シート部材13jはシート部材13eに代えて用いられ、その厚みTが0.15〜0.2mmとなるように形成されている。複数の球状体13lとしては平均直径Dのものが用いられ、各球状体13lは、その各頂点の凹凸最大段差がH、最大突出部間の平均ピッチがWとなるようにそれぞれ配置されている。また、各球状体13lの表面には、低粘度の接着剤を塗布して皮膜13nを形成することが望ましく、これにより各球状体13lの凹凸段差を確保するための強度が増加すると共に再転移インキ143が付着しにくい表面状態を得ることができる。
【0169】
ここで再び本発明者は、シート部材13jを構成する各球状体13lの平均直径D、最大段差H、最大突出部間の平均ピッチWをそれぞれ変化させて両面印刷を行い、印刷面の画像品質並びに再転移インキ143によるインキ転移汚れの発生を調査した。以下にその結果を示す。
【0170】
【表2】
【0171】
実験の結果、以下のことが判明した。球状体13lの平均直径Dは、0.1mmを超えると点状の転移汚れが多く発生するが、0.1mm以下では転移汚れが目立たなくなり、特に0.08mm以下とすると転移汚れの発生がほとんど見られなかった。なお、0.03mm以下とした場合には最大段差Hと平均ピッチWとを後述する適正値とすることが難しくなることが解った。最大段差Hは、0.03mmを下回ると球状体13lの表面が平滑となりすぎて砂目状の転移汚れが発生するが、0.03mm以上とすると転移汚れがほとんど発生しなくなった。しかし、0.10mmを超えると段差が大きくなりすぎ、画像にむらが発生した。平均ピッチWは、0.4mmを超えると画像に点状のむらが発生するが、0.4mm以下ではむらが発生することなく良好な画像を得ることができた。しかし、0.15mmを下回ると、球状体13lの表面が平滑となりすぎ、砂目状の転移汚れが発生した。
【0172】
上述の結果、各球状体13lの平均直径Dを0.1mm以下、望ましくは0.04mm〜0.08mm、各球状体13lの最大段差Hを0,03mm以上、望ましくは0.03mm〜0.10mm、各球状体13lの最大突出部間の平均ピッチWを0.15mm以上、望ましくは0.15mm〜0.40mmとしたシート部材13jを有するプレスローラ13を用いることにより、再転移インキ143の発生を極力抑えて転移汚れの発生を防止し、かつ上質の画像品質を有する両面印刷物を得ることができる。
【0173】
図21は、第2の実施例の変形例に用いられるシート部材13sの部分断面図を示している。段差部であるシート部材13sは、平均直径Dが80μmの球状体13tと平均直径Dが30μmの球状体13uとを一定の割合(この例では1:3)で混合して樹脂シート13k上に接着することにより構成されている。このシート部材13sを用いた場合には、球状体13tの平均ピッチを0.15mm以上、望ましくは0.15mm〜0.40mmとすることにより第2の実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【0174】
第2の実施例及び変形例では、複数の球状体13l,13t,13uを樹脂シート13k上に接着によって固定したシート部材13j,13sを弾性体13dの周面に螺旋状に巻き付けた例を示したが、図22に示すように、弾性体13dの周面にプライマ処理を兼ねた特定の表面硬化剤13oを塗布し、この上に複数の球状体13lを固定して作成した段差部としてのシート部材13pを用いてもよい。この構成は、第1の実施例及び変形例で示したシート部材13e,13qに代えて用いることも可能である。
【0175】
第1及び第2の実施例及び変形例で示したシート部材13e,13j,13p,13q,13sが適用可能な両面印刷装置は、各実施例で示した両面印刷装置1に限られることはなく、特開平9−95033号公報に開示された孔版印刷装置1あるいは特開2002−103768号公報に開示された孔版印刷装置1のように、複数のプレスローラを有する両面印刷装置に適用することも可能である。この場合、用紙搬送方向上流側に位置するプレスローラで用紙を押圧する際には、用紙上に画像が形成されていないために用紙からプレスローラへのインキの再転移が行われないため、各実施例で示したシート部材13e,13j,13p,13q,13sは、少なくとも用紙搬送方向下流側に位置するプレスローラに適用すればよい。
【0176】
図23は、本発明の第3の実施例を示している。同図において、符号144は孔版印刷装置を、符号145は孔版印刷装置144に接続されたソータをそれぞれ示している。
【0177】
孔版印刷装置144は、図示しない画像読取部、図示しない製版部、図示しない排版部、図示しない給紙部、版胴146、プレスローラ147、レジストローラ対148、排紙コンベヤ149を有しており、図示しない給紙部から分離給送された用紙をレジストローラ対148によって所定のタイミングで版胴146とプレスローラ147との間に向けて給送し、プレスローラ147によって版胴146の外周面に用紙を押圧して画像を転写した後、排紙コンベヤ149によって機外に排出する通常の構成を有する。
【0178】
ソータ145は、排紙コンベヤ149によって排出された印刷済み用紙を受け入れて水平方向に搬送する水平搬送コンベヤ150、印刷済み用紙の搬送をガイドするガイド板151,152、印刷済み用紙を搬送する用紙搬送部材としての用紙搬送ローラ対153,154、印刷済み用紙を垂直方向に搬送する垂直搬送コンベヤ155、固定配置された複数のビントレイ156、ガイド板152と用紙搬送ローラ対154とを垂直方向に一体的に移動させるインデクサ157を有する通常の構成である。各用紙搬送ローラ対153,154はそれぞれ2個のローラ153a,153b及び154a,154bを有しており、通常は一方が駆動ローラで他方が駆動ローラに圧接された従動ローラである。
【0179】
上述の構成によれば、孔版印刷装置144によって画像を転写された用紙はソータ145へと送られ、水平搬送コンベヤ150、用紙搬送ローラ対153、垂直搬送コンベヤ155によって搬送された後、インデクサ157によって所定の位置を占めた用紙搬送ローラ対154によって所定のビントレイ156に排出される。通常、孔版印刷装置144による印刷後、印刷済み用紙は3秒以内に各ビントレイ156に排出される。
【0180】
このソータ145における印刷済み用紙の排出時において、ローラ153aとローラ154aとには印刷済み用紙の印刷面が接触することとなり、第1の実施例で説明したプレスローラ13と同様に、その表面には印刷済み用紙からの再転移インキ143が付着することとなる。各ローラ153a,154aに再転移インキ143が付着すると、次に送られた印刷済み用紙の印刷面に再転移インキ143が再び転写され、画像のだぶりが発生して印刷不良を引き起こしてしまう。そこで、各ローラ153a,154aの表面に、上記各実施例及び各変形例で示したシート部材13e,13j,13p,13q,13sと同様の構成を有するシート部材を設けることにより、再転移インキ143の付着を抑制して良好な印刷物を得ることが可能となる。
【0181】
【発明の効果】
本発明によれば、先端部半径0.04mm以下で形成された突起を平均ピッチ0.4mm以下で多数有する凹凸部をプレスローラの外周面に設けることにより、プレスローラ外周面への再転移インキの付着を抑制して転移汚れの発生を防止することができ、良好な印刷物を得ることができる。
【0182】
本発明によれば、平均直径0.1mm以下の球状体を最大段差0.03mm以上かつ最大突出部間の平均ピッチ0.15mm以上で多数有する段差部をプレスローラの外周面に設けることにより、プレスローラ外周面への再転移インキの付着を抑制して転移汚れの発生を防止することができ、良好な印刷物を得ることができる。
【0183】
本発明によれば、先端部半径0.04mm以下で形成された突起を平均ピッチ0.4mm以下で多数有する凹凸部を用紙搬送部材の外周面に設けることにより、用紙搬送部材外周面への再転移インキの付着を抑制して転移汚れの発生を防止することができ、良好な印刷物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を採用した両面印刷装置の概略正面図である。
【図2】本発明の第1の実施例に用いられるプレスローラの概略構成図である。
【図3】本発明の第1の実施例に用いられるシート部材を説明する概略図である。
【図4】本発明の第1の実施例に用いられるプレスローラ接離機構及び版胴外周面から離間したプレスローラを説明する概略正面図である。
【図5】本発明の第1の実施例に用いられる再給紙搬送ユニット及び用紙受け板を説明する概略平面図である。
【図6】本発明の第1の実施例に用いられる両面印刷装置の連続印刷時における用紙の挙動を説明するための印刷部要部の概略正面図である。
【図7】本発明の第1の実施例に用いられる両面印刷装置の連続印刷時における用紙の挙動を説明するための印刷部要部の概略正面図である。
【図8】本発明の第1の実施例に用いられる他のガイド板を示す概略図である。
【図9】本発明の第1の実施例に用いられるプレスローラ接離機構を説明する概略側面図である。
【図10】本発明の第1の実施例に用いられるプレスローラ接離機構及び版胴外周面に圧接したプレスローラを説明する概略正面図である。
【図11】本発明の第1の実施例に用いられる分割製版済みマスタを説明する概略図である。
【図12】本発明の第1の実施例に用いられる製版済みマスタを説明する概略図である。
【図13】本発明の第1の実施例に用いられる操作パネルを示す概略図である。
【図14】本発明の第1の実施例に用いられる制御手段のブロック図である。
【図15】通常用いられるプレスローラの概略構成図である。
【図16】本発明の第1の実施例における問題点を説明するための概略図である。
【図17】本発明の第1の実施例における問題点を説明するための概略図である。
【図18】本発明の第1の実施例における問題点を説明するための概略図である。
【図19】本発明の第1の実施例の変形例に用いられるシート部材の平面図である。
【図20】本発明の第2の実施例に用いられるシート部材の概略構成図である。
【図21】本発明の第2の実施例の変形例に用いられるシート部材の概略構成図である。
【図22】本発明の第1及び第2の実施例の変形例として適用可能なシート部材を示す概略構成図である。
【図23】本発明の第3の実施例を採用した孔版印刷装置及びソータを示す概略構成図である。
【図24】印刷間隔時間とインキ転移汚れの度合いとの相関関係を示す線図である。
【符号の説明】
1 両面印刷装置
12 版胴
13 プレスローラ
13e,13q シート部材(凹凸部)
13h,13r 突起
13i 頂角
13j,13p,13s シート部材(段差部)
13l,13t,13u 球状体
26 クリーニング手段(クリーニングローラ)
65 分割製版済みマスタ
65A 第1の画像(第1製版画像)
65B 第2の画像(第2製版画像)
153 用紙搬送部材(用紙搬送ローラ対)
154 用紙搬送部材(用紙搬送ローラ対)
P 用紙
PA 表面印刷済み用紙
θ 頂角の角度
R 頂角の先端部半径
L 頂角間の平均ピッチ
D 球状体の平均直径
H 球状体の最大段差
W 最大突出部間の平均ピッチ
Claims (16)
- 少なくとも1つの版胴と、前記版胴に用紙を押圧する前記版胴に対応して設けられた少なくとも1つのプレスローラとを有し、前記用紙の一方の面に印刷した後、3秒以内に前記用紙の他方の面に印刷する両面印刷装置であって、
前記用紙の他方の面を前記版胴に押圧するプレスローラの外周面には、先端部半径0.04mm以下で形成された突起を平均ピッチ0.4mm以下で多数有する凹凸部が設けられていることを特徴とする両面印刷装置。 - 用紙の一方の面に印刷される第1の画像と前記用紙の他方の面に印刷される第2の画像とが版胴の円周方向に並ぶように製版された分割製版済みマスタを前記版胴に巻き付け、プレスローラにより前記用紙を前記版胴に押圧して前記一方の面に第1の画像を印刷した後、次にこの表面印刷済み用紙を再給紙して前記プレスローラにより前記版胴に押圧することにより、第1の画像印刷後から3秒以内に前記他方の面に第2の画像を印刷する両面印刷装置であって、
前記プレスローラの外周面には、先端部半径0.04mm以下で形成された突起を平均ピッチ0.4mm以下で多数有する凹凸部が設けられていることを特徴とする両面印刷装置。 - 用紙の一方の面に印刷される第1の画像が製版された第1のマスタを巻装する第1の版胴と、第1の版胴に対向して配置され前記用紙を第1の版胴に押圧する第1のプレスローラと、第1の版胴よりも前記用紙の搬送方向下流側に対向配置され前記用紙の他方の面に印刷される第2の画像が製版された第2のマスタを巻装する第2の版胴と、第2の版胴に対向して配置され前記用紙を第2の版胴に押圧する第2のプレスローラとを有し、第1のプレスローラにより前記用紙を第1の版胴に押圧して前記用紙の一方の面に第1の画像を印刷した後、3秒以内に第2のプレスローラにより前記用紙を第2の版胴に押圧して前記用紙の他方の面に第2の画像を印刷する両面印刷装置であって、
少なくとも第2のプレスローラの外周面には、先端部半径0.04mm以下で形成された突起を平均ピッチ0.4mm以下で多数有する凹凸部が設けられていることを特徴とする両面印刷装置。 - 請求項1ないし請求項3のうちの何れか1つに記載の両面印刷装置において、前記突起はその頂角が100度以下の多角錘形状あるいは円錐形状を呈する合成樹脂からなることを特徴とする両面印刷装置。
- 請求項4記載の両面印刷装置において、
前記凹凸部は一定幅を有する長尺のシート部材を前記プレスローラの外周面に螺旋状に巻き付けたものであることを特徴とする両面印刷装置。 - 少なくとも1つの版胴と、前記版胴に用紙を押圧する前記版胴に対応して設けられた少なくとも1つのプレスローラとを有し、前記用紙の一方の面に印刷した後、3秒以内に前記用紙の他方の面に印刷する両面印刷装置であって、
前記用紙の他方の面を前記版胴に押圧するプレスローラの外周面には、平均直径0.1mm以下の球状体を最大段差0.03mm以上かつ最大突出部間の平均ピッチ0.15mm以上で多数有する段差部が設けられていることを特徴とする両面印刷装置。 - 用紙の一方の面に印刷される第1の画像と前記用紙の他方の面に印刷される第2の画像とが版胴の円周方向に並ぶように製版された分割製版済みマスタを前記版胴に巻き付け、プレスローラにより前記用紙を前記版胴に押圧して前記一方の面に第1の画像を印刷した後、次にこの表面印刷済み用紙を再給紙して前記プレスローラにより前記版胴に押圧することにより、第1の画像印刷後から3秒以内に前記他方の面に第2の画像を印刷する両面印刷装置であって、
前記プレスローラの外周面には、平均直径0.1mm以下の球状体を最大段差0.03mm以上かつ最大突出部間の平均ピッチ0.15mm以上で多数有する段差部が設けられていることを特徴とする両面印刷装置。 - 用紙の一方の面に印刷される第1の画像が製版された第1のマスタを巻装する第1の版胴と、第1の版胴に対向して配置され前記用紙を第1の版胴に押圧する第1のプレスローラと、第1の版胴よりも前記用紙の搬送方向下流側に対向配置され前記用紙の他方の面に印刷される第2の画像が製版された第2のマスタを巻装する第2の版胴と、第2の版胴に対向して配置され前記用紙を第2の版胴に押圧する第2のプレスローラとを有し、第1のプレスローラにより前記用紙を第1の版胴に押圧して前記用紙の一方の面に第1の画像を印刷した後、3秒以内に第2のプレスローラにより前記用紙を第2の版胴に押圧して前記用紙の他方の面に第2の画像を印刷する両面印刷装置であって、
少なくとも第2のプレスローラの外周面には、平均直径0.1mm以下の球状体を最大段差0.03mm以上かつ最大突出部間の平均ピッチ0.15mm以上で多数有する段差部が設けられていることを特徴とする両面印刷装置。 - 請求項6ないし請求項8のうちの何れか1つに記載の両面印刷装置において、
前記球状体はガラスからなることを特徴とする両面印刷装置。 - 請求項9記載の両面印刷装置において、
前記段差部は一定幅を有する長尺のシート部材を前記プレスローラの外周面に螺旋状に巻き付けたものであることを特徴とする両面印刷装置。 - 請求項1ないし請求項10のうちの何れか1つに記載の両面印刷装置において、
前記プレスローラの外周面に付着したインキを除去するクリーニング手段を有することを特徴とする両面印刷装置。 - 請求項11記載の両面印刷装置において、
前記クリーニング手段が多孔性のクリーニングローラであり、該クリーニングローラは印刷時における前記プレスローラの回転周速度よりも低速で回転駆動されることを特徴とする両面印刷装置。 - 請求項12記載の両面印刷装置において、
前記クリーニングローラは3N以下の付勢力で前記プレスローラの外周面に付勢されていることを特徴とする両面印刷装置。 - 印刷画像が形成された用紙の印刷面に、印刷後3秒以内に接触して前記用紙を搬送する用紙搬送部材であって、
先端部半径0.04mm以下で形成された突起を平均ピッチ0.4mm以下で多数有する凹凸部をその外周面に有することを特徴とする用紙搬送部材。 - 請求項14記載の用紙搬送部材において、
前記突起はその頂角が100度以下の多角錘形状あるいは円錐形状を呈する合成樹脂からなることを特徴とする用紙搬送部材。 - 請求項15記載の用紙搬送部材において、
前記凹凸部は一定幅を有する長尺のシート部材を前記外周面に螺旋状に巻き付けたものであることを特徴とする用紙搬送部材。
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