JP2004136489A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録物製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録面のインク乾燥定着を行うための加熱手段を備えたインクジェット記録装置において、加熱不具合による記録媒体の変色やシワ、さらには火災等の発生を防止し、均一な加熱を実現する。
【解決手段】加熱手段と記録媒体を相対移動しながら記録を行うインクジェット記録装置において、記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動動作をモニターするモニター手段、前記モニター結果に対し連続的に加熱量を制御する加熱制御手段を有する。
【選択図】 図1
【解決手段】加熱手段と記録媒体を相対移動しながら記録を行うインクジェット記録装置において、記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動動作をモニターするモニター手段、前記モニター結果に対し連続的に加熱量を制御する加熱制御手段を有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体に付着したインクの乾燥定着を促進する加熱手段を備えたインクジェット記録装置およびインクジェット記録物製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置は、プリンタ、複写機、ファクシミリ、捺染、プロッターなどに応用され、高速度で記録し、普通紙にも記録可能で、カラー化も容易であるなどの特徴をもっているため、近年パーソナルコンピュータの高速処理化に伴いその普及が目覚しい。
【0003】
普通紙に対する記録は、インクの吸収性を高めた専用紙に比べてインクの吸収速度が遅く、普通紙記録面の不均一による画像ムラを起こしやすい。また普通紙は世界各地の製紙メーカーから供給されるため材料・製法の変動によりインクの吸収性も大きく変動する。特に、カラー画像の記録を行う場合には、モノクロ記録と比べてインク量が多く定着に時間を要するため、記録紙を加熱してインクの定着を促進することは普通紙での高速記録に有効な手段となる。記録媒体および記録液を加熱して定着させる、いわゆる「加熱定着」技術としては、記録媒体を熱板に接触させる熱板加熱方式、記録液に温風を吹き付ける温風加熱方式、赤外線ランプ・赤外線ヒータなどの輻射熱によって記録媒体を加熱する輻射熱加熱方式等が開発されている。
【0004】
ところが、上記のような「加熱定着」技術を用いるインクジェット記録装置においては、次のような問題がある。
【0005】
記録が途中で中断して記録媒体がセットされたままになったり、何らかの不具合のため記録媒体が停滞して加熱手段上の通過時間が過大になったりすると、記録媒体が変色したり、あるいは加熱手段に触れている部分が他の部分より長時間加熱されることによってその部分のみ収縮して記録媒体にシワが生じるなどの不具合が起こる。また、そのような長期停滞が生じると、記録媒体の被加熱部分とその他の部分、すなわち加熱領域を既に通過した部分との境界において、吸湿量の差や変形などの問題が顕著となる。このようなことが起こると、画像品位が乱されるのみならず、ジャムの原因となったり、記録ヘッドと記録媒体との間の距離が変化して不都合も生じる。極端な場合には、装置変形、さらには火災を引き起こす危険性もある。
【0006】
これに対して、下記のような先願が開示されている。
【0007】
停滞時間を検知し、これに対し対処を行う、
・加熱手段に対し記録媒体が一定時間以上停滞した時、これを検知し排出する(特許文献1参照。)。
・加熱手段に対する記録媒体の必要以上の停滞を検知し加熱領域をシフトする(特許文献2参照。)。
・記録及びシート送りが行われることなく一定時間以上停滞した場合、加熱手段の表面温度を降下させる(特許文献3参照。)。
【0008】
上記はいずれも、加熱手段と記録媒体の相対移動動作に着眼すると、動作が停止(加熱手段上に記録媒体が停滞)した際に加熱温度を下げる等の手法により、加熱不具合を回避する手法であり、動作時と停止時で2段階の加熱制御を行うものである。このため停止時以外において、相対移動動作変化が起因で発生する加熱不具合に関しては、これを回避することができない。例えば、印字条件、又印字環境情報等を基に、全印字領域を十分加熱できるよう加熱量にマージンを持って設定した場合に、相対移動動作が想定より遅くなると、加熱過多になり紙の変色等を起こす可能性が有り、一方でこれを防ぐためにマージンを少なく設定した場合に、相対速度が想定より速くなると加熱定着不足に陥る可能性がある。
【0009】
一方で、相対移動動作中に加熱量を制御する方法として、
・印字密度に応じて加熱量を制御する(特許文献4、特許文献5。)。
・印字信号の発生期間にのみ加熱を行う(特許文献6参照。)。
等が開示されている。これによると、印字(印字量、印字信号)情報に対応し加熱量を制御するので、相対移動動作時の加熱制御の問題は前記と比較し改善される。しかしながら、相対移動動作に関しては考慮されていない事から、やはり加熱不具合を生じる可能性が残る。
【0010】
【特許文献1】
特開平01−113250号公報
【特許文献2】
特許第02752414号公報
【特許文献3】
特許第02729801号公報
【特許文献4】
特開平01−113249号公報
【特許文献5】
特開平04−169236号公報
【特許文献6】
特開平03−083647号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を鑑み、記録面のインク乾燥定着を行うための加熱手段を備えたインクジェット記録装置において、加熱手段と記録媒体の相対移動動作が停止(加熱手段上に記録媒体が停滞)した場合のみならず、相対移動動作中の動作変化に対しても、記録媒体の変色やシワ、また火災等の加熱不具合発生を防止し、均一な加熱ができるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、
第1の発明に係わるインクジェット記録装置は、
インク乾燥定着用の加熱手段を備え、
前記加熱手段と記録媒体を相対移動しながら記録を行うインクジェット記録装置において、
記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動動作をモニターするモニター手段、
前記モニター結果に対し連続的に加熱量を制御する加熱制御手段、
を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
本発明では、加熱手段と記録媒体の相対移動動作に対し連続的に加熱量を制御するものであり、相対移動動作状態の変化に対し、動作時と停止時という2段階のみでなく動作変化に追随して連続的に加熱制御し、あらゆる相対移動動作状態に対して加熱不具合また加熱不足の発生を防ぎ、均一な加熱を実現することが可能となる。
【0014】
第2の発明に係わるインクジェット記録装置は、
前記モニター手段は、記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動速度をモニターするものであって、
前記加熱制御手段が、前記モニター速度結果に対し連続的に加熱量を制御することを特徴とするものである。
【0015】
本発明では、相対移動速度と同期し連続的に加熱量を制御するものであり、これにより、印字領域の単位面積当たりの加熱総量(加熱量[W]*加熱時間[t])を均一かつ所望の値に調整できる。その結果、記録動作の中で相対移動速度が変化しても、過不足なく均一な加熱を実現することが可能となる。
【0016】
第3の発明に係わるインクジェット記録装置は、
前記相対移動動作が、予め設定した範囲を超えて大きくなる場合には、
相対移動動作上限に基づく加熱量以下に加熱制御することを特徴とするものである。
【0017】
本発明によると、誤動作等により事前の仕様で想定されていないような相対移動動作(速度)になった場合にも、予想外の問題の発生を防止する事ができる。
【0018】
第4の発明に係わるインクジェット記録装置は、
インク乾燥定着用の加熱手段を備え、
記録に伴う前記加熱手段と記録媒体を相対移動しながら記録を行うインクジェット記録装置において、
前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動動作をモニターするモニター手段、
前記モニター結果に対し少なくとも3段階以上に加熱量を制御する加熱制御手段、
を備えたことを特徴とするものである。
【0019】
本発明では、相対移動動作時と停止時という2段階でなく、相対移動動作の変化に対して少なくとも3段階以上の加熱制御テーブルを準備し、これを切り替え加熱量を制御するものであり、相対移動動作中の加熱不具合、また加熱不足の発生を回避すると同時に、加熱量制御プロセスの簡略化を実現し、高速化をはかるような場合に効果的である。
【0020】
以上、本発明についてその詳細を説明したが、これを下記に整理して記述する。
【0021】
(1)インク乾燥定着用の加熱手段を備え、前記加熱手段と記録媒体を相対移動しながら記録を行うインクジェット記録装置において、記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動動作をモニターするモニター手段、前記モニター結果に対し連続的に加熱量を制御する加熱制御手段、を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【0022】
(2)前記モニター手段は、記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動速度をモニターするものであって、前記加熱制御手段が、前記モニター速度結果に対し連続的に加熱量を制御することを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録装置。
【0023】
(3)前記相対移動動作が、予め設定した範囲を超えて大きくなる場合には、相対移動動作上限に基づく加熱量以下に加熱制御することを特徴とする前記(1)または(2)に記載のインクジェット記録装置。
【0024】
(4)インク乾燥定着用の加熱手段を備え、前記加熱手段と記録媒体を相対移動しながら記録を行うインクジェット記録装置において、記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動動作をモニターするモニター手段、前記モニター結果に対し少なくとも3段階以上に加熱量を制御する加熱制御手段、を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【0025】
(5)前記インクジェット記録装置は、記録ヘッドが記録媒体の幅方向に往復移動しつつ記録を行うシリアル記録方式であって、前記加熱手段がキャリッジ上に設けられ、キャリッジ動作に基づき加熱量を制御することを特徴とする前記(1)ないし(4)いずれかに記載のインクジェット記録装置。
【0026】
(6)前記インクジェット記録装置は、記録ヘッドが記録媒体の最大記録幅を有し、全幅一括して記録を行うフルライン記録方式であって、前記加熱手段が記録ヘッド直後に設けられ、記録媒体搬送動作に基づき加熱量を制御することを特徴とする前記(1)ないし(4)いずれかに記載のインクジェット記録装置。
【0027】
(7)インク乾燥定着用の加熱工程を有し、前記加熱手段と記録媒体を相対移動しながら記録を行うインクジェット記録物製造方法において、記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動動作をモニターする工程、前記モニター結果に対し連続的に加熱量を制御する工程、を有することを特徴とするインクジェット記録物製造方法。
【0028】
(8)前記モニター工程においては、記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動速度のモニターを行い、前記加熱量制御工程においては、前記モニター速度結果に対し連続的に加熱量を制御する、ことを特徴とする前記(7)に記載のインクジェット記録物製造方法。
【0029】
(9)前記相対移動動作が、予め設定した範囲を超えて大きくなる場合には、相対移動動作上限に基づく加熱量以下に加熱制御することを特徴とする前記(7)または(8)に記載のインクジェット記録物製造方法。
【0030】
(10)インク乾燥定着用の加熱工程を有し、前記加熱手段と記録媒体を相対移動しながら記録を行うインクジェット記録物製造方法において、記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動動作をモニターする工程、前記モニター結果に対し少なくとも3段階以上に加熱量を制御する工程、を有することを特徴とするインクジェット記録物製造方法。
【0031】
(11)前記インクジェット記録物製造方法は、記録ヘッドが記録媒体の幅方向に往復移動しつつ記録を行うシリアル記録方式であって、前記加熱手段がキャリッジ上に設けられ、キャリッジ動作に基づき加熱量を制御することを特徴とする、前記(7)ないし(10)いずれかに記載のインクジェット記録物製造方法。
【0032】
(12)前記インクジェット記録物製造方法は、記録ヘッドが記録媒体の最大記録幅を有し、全幅一括して記録を行うフルライン記録方式であって、前記加熱手段が記録ヘッド直後に設けられ、記録媒体搬送動作に基づき加熱量を制御することを特徴とする、前記(7)ないし(10)いずれかに記載のインクジェット記録物製造方法。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照してこの発明の実施形態を示す。
【0034】
(第一の実施形態)
図1は、本発明によるインクジェット記録装置の構成を示す概略図である。
【0035】
シリアル記録方式のインクジェット記録装置において、加熱手段をキャリッジ上に設けたものである。
【0036】
このインクジェット記録装置において、キャリッジ12は無端ベルト13に固定され且つガイドシャフト18にそって移動可能になっている。無端ベルト13は、プーリ14および20に巻回されている。プーリ20には、キャリッジ駆動モータ19の駆動軸が連結されている。したがって、キャリッジ12は、モータ19の回転駆動によってガイドシャフト18にそって往復方向(A方向)にスキャン走査される。
【0037】
キャリッジ12上には、複数のインク吐出ノズルが並設された記録ヘッド10及びインクを収納する容器としてのインクタンクIT、及び印字直後に加熱定着を行うための加熱手段11が搭載されている。
【0038】
加熱手段11は、ここでは片側にのみ配置した例を示しているがこれに限られるものでなく、往復印字に備えキャリッジの両側に配置、また極端には各々のヘッド間すべてに配置しても良い。また、加熱手段11は、加熱源及び加熱源からの放射エネルギーを印字領域へ導くリフレクタから構成され、加熱源の熱エネルギーを最大限活用できるようになっている。複数の領域を同時に加熱するような場合には、一つの加熱源からの放射エネルギーをリフレクタで分配して行うこともできる。加熱源としては、応答が急峻な(立上がり、立ち下がり特性の良い)赤外線を利用した光源が好ましいが、これに限られるものでなく、その他の電磁波光源、セラミックヒータ、熱風また熱板等を用いても良い。リフレクタはその内表面を高度な反射率を持つアルミニウムで構成するのが好ましい。
【0039】
記録ヘッド10には、記録媒体としての用紙Pと対向する面に、用紙Pの搬送方向に並設された複数個のインク吐出口が形成されている。記録ヘッド10には、この複数個の吐出口のそれぞれに連通してインク路が設けられ、それぞれのインク路に対応して、インク吐出のための熱エネルギーを発生する電気熱変換体が設けられている。電気熱変換体は、駆動データに応じて電気パルスを印可されることによって熱を発生し、これによりインクに膜沸騰を生じさせ、その気泡の生成に伴って上記吐出口からインクを吐出させる。各インク路には、これらに共通に連通する共通液室が設けれており、この共通液室は、インクタンクITに接続されている。
【0040】
また、この装置には、キャリッジの移動位置を検出するなどのためにリニアエンコーダ16が設けられている。すなわち、キャリッジ12の移動方向に沿ってリニアスケール15があり、このリニアスケール15には1インチ間に1200個などの等間隔でスリットが形成されている。一方、キャリッジ12には、例えば、発光部及び受光センサを有するスリットの検出系17および信号処理回路が設けられている。従って、エンコーダー16からは、キャリッジ12が移動されるに従って、インク吐出タイミングを示す吐出タイミング信号及びキャリッジの位置情報が出力される。スリット検出毎にインクを吐出すれば、主走査方向に1200dpiの解像度の印刷を実行することが可能となる。
【0041】
記録媒体としての記録紙Pは、キャリッジ12のスキャン方向と直交する矢印B方向に間欠的に搬送される。記録紙Pは上流側の一対のローラユニット23、24と、下流側一対のローラユニット21、22とにより支持され、一定の張力を印可されてヘッド1に対する平面性を確保した状態で搬送される。各ローラユニットに対する駆動力は、この場合図示しない記録媒体搬送モータによって付与される。
【0042】
このような構成によって、キャリッジ12の移動に伴いヘッド吐出口の配列幅に対応した幅の印字と記録紙Pの送りを交互に繰り返しながら、記録紙P全体に印字がなされる。
【0043】
図2は、記録動作及び、本発明の特徴を表す加熱動作の動作手順を表すフローチートである。
【0044】
記録動作は、フロー左側に示してある。CPUによって、ホストより受け取った受信データの解析処理を行い、1行分の印字データが作成されたところで印字準備終了フラグが立つ(ステップ100)。そして、ステップ101においてキャリッジモータが起動し始め、ステップ102で印字を行う。1行分の印字が終了した時点でキャリッジモータが停止し(ステップ103)、ステップ104で記録媒体搬送モータが起動し記録媒体を次の記録ライン位置まで送る。
【0045】
これに同期して、本発明の特徴である加熱手段はフロー右側のように制御されるものである。
【0046】
ステップ200において、ステップ100印字準備終了フラグ及び、ステップ101加熱手段動作開始を受けて、続くステップ201に移り加熱手段動作状況のモニターを開始する。その結果に基づきステップ202では、後述する加熱量決定手法に基づき加熱量を決定し、加熱(ステップ203)を行う。この工程(ステップ201−203)は、ステップ103からの加熱手段動作停止情報を受けるまで続けられる。これにより、記録に伴う加熱手段と記録媒体の相対移動動作中は、その動作に応じ連続的に加熱量を制御し続ける。
【0047】
そして、ステップ204において加熱手段の動作停止を受けたところで、ステップ205に移り、加熱量を低減もしくは加熱を停止する。
【0048】
上記加熱制御フローはステップ200に信号が入った場合のフロー、すなわち記録媒体への記録に伴う相対移動動作時中の加熱制御に関するもので、非記録時に関しては、加熱不具合を生じないよう、加熱オフまたは記録媒体を加熱しないレベルまで加熱量を低減させるものである。次に、図2のステップ202の加熱量決定方法について例を挙げて詳細に説明する。
【0049】
(第一の実施例)
記録時の相対移動速度に比例して加熱制御を行い、それ以外の状況では加熱量を低減またはオフとする。
【0050】
また、仕様で規定される相対移動速度上限値で必要とされる加熱量を加熱量上限とし、これを超えた場合は一定とする。
【0051】
P=Av+B(記録時)
P=C(v>v0 v0:仕様で規定される相対移動速度上限値)
P=B(非記録時)
P:加熱量(W)
v:相対移動速度
A:印字環境、印字条件よりあらかじめ決定される係数
B:非加熱時の加熱量(0、または媒体を加熱しない程度の加熱量)
C:加熱量上限値(Av0+B)
【0052】
【表1】
【0053】
(第二の実施例)
非加熱時と加熱量上限値との間を複数の加熱制御テーブルを設け、記録時の相対移動速度に応じて加熱制御を行うものである(ここでは、4段階で制御する例を示す)。
【0054】
P=C(v>v0 v0:仕様で規定される相対移動速度上限値)
P=B(v1>v>0また非記録時)
P=D(v2>v>v1)
P=E(v0>v>v2)
(v1、v2は、v0>v1、v2>0を満たす相対移動速度)
P、v、B、C:第一の実施例と同様
D、E:B<D<E<Cなる加熱量
【0055】
【表2】
【0056】
上記第一、第二の実施例では、相対移動速度が仕様上限値を超えた場合、上限値で規定される加熱量で一定としているが、これに限るものでなく、これを装置異常とみなし加熱量を相対移動速度0の状態まで低減しても良い。
【0057】
相対移動速度のモニターは、リニアエンコーダを利用して読み取ることができるがこれに限られるものでなく、速度センサ等、モニター手段を別途設けてもよい。
【0058】
上記では、相対移動速度に対する加熱量制御の代表的な例を挙げたが、相対移動速度に対し連続的に加熱量を制御するものであればこれに限られるものではない。
【0059】
さらに、上記では加熱量決定に際して相対移動動作速度を制御パラメータとしているが、これに限られるものでなく、例えばパルスモーターにおけるパルス制御値等を制御パラメータとしてもよい。
【0060】
(第二の実施形態)
第一の実施形態は、記録ヘッドが記録媒体の幅方向に往復移動しつつ記録を行うシリアル記録方式であるのに対して、第二の実施形態では、記録ヘッドが記録媒体の最大記録幅を有し、全幅一括して記録を行うフルライン記録方式の場合を示す。
【0061】
図3に、記録動作及び本発明の特徴を表す加熱動作の動作手順を表すフローチートを示す。
【0062】
第一の実施形態との違いは、ステップ401,405において起動するのが記録媒体搬送モータとなった点であり、記録媒体の搬送動作にあわせて加熱手段の加熱制御を行う。これ以外は、第一の実施形態と同様である。
【0063】
【発明の効果】
以上本発明によると、加熱手段と記録媒体の相対移動が停止(加熱手段上にシートが停滞)した場合のみならず、相対移動動作中の動作変化に対しても、記録媒体の変色やシワ、また火災等の加熱不具合発生を防止し、均一な加熱ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施形態におけるインクジェット記録装置の該略図。
【図2】第一の実施形態における、記録動作及び加熱動作の動作手順を表すフローチャートである。
【図3】第二の実施形態における、記録動作及び加熱動作の動作手順を表すフローチャートである。
【符号の説明】
10 記録ヘッド
11 加熱手段
12 キャリッジ
13 無端ベルト
14,20 プーリ
15 リニアスケール
16 リニアエンコーダ
17 リニアスケール検出系
18 ガイドシャフト
19 キャリッジ駆動モータ
21〜24 搬送ローラー
A キャリッジ走査方向
B 記録媒体搬送方向
P 記録媒体
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体に付着したインクの乾燥定着を促進する加熱手段を備えたインクジェット記録装置およびインクジェット記録物製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置は、プリンタ、複写機、ファクシミリ、捺染、プロッターなどに応用され、高速度で記録し、普通紙にも記録可能で、カラー化も容易であるなどの特徴をもっているため、近年パーソナルコンピュータの高速処理化に伴いその普及が目覚しい。
【0003】
普通紙に対する記録は、インクの吸収性を高めた専用紙に比べてインクの吸収速度が遅く、普通紙記録面の不均一による画像ムラを起こしやすい。また普通紙は世界各地の製紙メーカーから供給されるため材料・製法の変動によりインクの吸収性も大きく変動する。特に、カラー画像の記録を行う場合には、モノクロ記録と比べてインク量が多く定着に時間を要するため、記録紙を加熱してインクの定着を促進することは普通紙での高速記録に有効な手段となる。記録媒体および記録液を加熱して定着させる、いわゆる「加熱定着」技術としては、記録媒体を熱板に接触させる熱板加熱方式、記録液に温風を吹き付ける温風加熱方式、赤外線ランプ・赤外線ヒータなどの輻射熱によって記録媒体を加熱する輻射熱加熱方式等が開発されている。
【0004】
ところが、上記のような「加熱定着」技術を用いるインクジェット記録装置においては、次のような問題がある。
【0005】
記録が途中で中断して記録媒体がセットされたままになったり、何らかの不具合のため記録媒体が停滞して加熱手段上の通過時間が過大になったりすると、記録媒体が変色したり、あるいは加熱手段に触れている部分が他の部分より長時間加熱されることによってその部分のみ収縮して記録媒体にシワが生じるなどの不具合が起こる。また、そのような長期停滞が生じると、記録媒体の被加熱部分とその他の部分、すなわち加熱領域を既に通過した部分との境界において、吸湿量の差や変形などの問題が顕著となる。このようなことが起こると、画像品位が乱されるのみならず、ジャムの原因となったり、記録ヘッドと記録媒体との間の距離が変化して不都合も生じる。極端な場合には、装置変形、さらには火災を引き起こす危険性もある。
【0006】
これに対して、下記のような先願が開示されている。
【0007】
停滞時間を検知し、これに対し対処を行う、
・加熱手段に対し記録媒体が一定時間以上停滞した時、これを検知し排出する(特許文献1参照。)。
・加熱手段に対する記録媒体の必要以上の停滞を検知し加熱領域をシフトする(特許文献2参照。)。
・記録及びシート送りが行われることなく一定時間以上停滞した場合、加熱手段の表面温度を降下させる(特許文献3参照。)。
【0008】
上記はいずれも、加熱手段と記録媒体の相対移動動作に着眼すると、動作が停止(加熱手段上に記録媒体が停滞)した際に加熱温度を下げる等の手法により、加熱不具合を回避する手法であり、動作時と停止時で2段階の加熱制御を行うものである。このため停止時以外において、相対移動動作変化が起因で発生する加熱不具合に関しては、これを回避することができない。例えば、印字条件、又印字環境情報等を基に、全印字領域を十分加熱できるよう加熱量にマージンを持って設定した場合に、相対移動動作が想定より遅くなると、加熱過多になり紙の変色等を起こす可能性が有り、一方でこれを防ぐためにマージンを少なく設定した場合に、相対速度が想定より速くなると加熱定着不足に陥る可能性がある。
【0009】
一方で、相対移動動作中に加熱量を制御する方法として、
・印字密度に応じて加熱量を制御する(特許文献4、特許文献5。)。
・印字信号の発生期間にのみ加熱を行う(特許文献6参照。)。
等が開示されている。これによると、印字(印字量、印字信号)情報に対応し加熱量を制御するので、相対移動動作時の加熱制御の問題は前記と比較し改善される。しかしながら、相対移動動作に関しては考慮されていない事から、やはり加熱不具合を生じる可能性が残る。
【0010】
【特許文献1】
特開平01−113250号公報
【特許文献2】
特許第02752414号公報
【特許文献3】
特許第02729801号公報
【特許文献4】
特開平01−113249号公報
【特許文献5】
特開平04−169236号公報
【特許文献6】
特開平03−083647号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を鑑み、記録面のインク乾燥定着を行うための加熱手段を備えたインクジェット記録装置において、加熱手段と記録媒体の相対移動動作が停止(加熱手段上に記録媒体が停滞)した場合のみならず、相対移動動作中の動作変化に対しても、記録媒体の変色やシワ、また火災等の加熱不具合発生を防止し、均一な加熱ができるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、
第1の発明に係わるインクジェット記録装置は、
インク乾燥定着用の加熱手段を備え、
前記加熱手段と記録媒体を相対移動しながら記録を行うインクジェット記録装置において、
記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動動作をモニターするモニター手段、
前記モニター結果に対し連続的に加熱量を制御する加熱制御手段、
を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
本発明では、加熱手段と記録媒体の相対移動動作に対し連続的に加熱量を制御するものであり、相対移動動作状態の変化に対し、動作時と停止時という2段階のみでなく動作変化に追随して連続的に加熱制御し、あらゆる相対移動動作状態に対して加熱不具合また加熱不足の発生を防ぎ、均一な加熱を実現することが可能となる。
【0014】
第2の発明に係わるインクジェット記録装置は、
前記モニター手段は、記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動速度をモニターするものであって、
前記加熱制御手段が、前記モニター速度結果に対し連続的に加熱量を制御することを特徴とするものである。
【0015】
本発明では、相対移動速度と同期し連続的に加熱量を制御するものであり、これにより、印字領域の単位面積当たりの加熱総量(加熱量[W]*加熱時間[t])を均一かつ所望の値に調整できる。その結果、記録動作の中で相対移動速度が変化しても、過不足なく均一な加熱を実現することが可能となる。
【0016】
第3の発明に係わるインクジェット記録装置は、
前記相対移動動作が、予め設定した範囲を超えて大きくなる場合には、
相対移動動作上限に基づく加熱量以下に加熱制御することを特徴とするものである。
【0017】
本発明によると、誤動作等により事前の仕様で想定されていないような相対移動動作(速度)になった場合にも、予想外の問題の発生を防止する事ができる。
【0018】
第4の発明に係わるインクジェット記録装置は、
インク乾燥定着用の加熱手段を備え、
記録に伴う前記加熱手段と記録媒体を相対移動しながら記録を行うインクジェット記録装置において、
前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動動作をモニターするモニター手段、
前記モニター結果に対し少なくとも3段階以上に加熱量を制御する加熱制御手段、
を備えたことを特徴とするものである。
【0019】
本発明では、相対移動動作時と停止時という2段階でなく、相対移動動作の変化に対して少なくとも3段階以上の加熱制御テーブルを準備し、これを切り替え加熱量を制御するものであり、相対移動動作中の加熱不具合、また加熱不足の発生を回避すると同時に、加熱量制御プロセスの簡略化を実現し、高速化をはかるような場合に効果的である。
【0020】
以上、本発明についてその詳細を説明したが、これを下記に整理して記述する。
【0021】
(1)インク乾燥定着用の加熱手段を備え、前記加熱手段と記録媒体を相対移動しながら記録を行うインクジェット記録装置において、記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動動作をモニターするモニター手段、前記モニター結果に対し連続的に加熱量を制御する加熱制御手段、を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【0022】
(2)前記モニター手段は、記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動速度をモニターするものであって、前記加熱制御手段が、前記モニター速度結果に対し連続的に加熱量を制御することを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録装置。
【0023】
(3)前記相対移動動作が、予め設定した範囲を超えて大きくなる場合には、相対移動動作上限に基づく加熱量以下に加熱制御することを特徴とする前記(1)または(2)に記載のインクジェット記録装置。
【0024】
(4)インク乾燥定着用の加熱手段を備え、前記加熱手段と記録媒体を相対移動しながら記録を行うインクジェット記録装置において、記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動動作をモニターするモニター手段、前記モニター結果に対し少なくとも3段階以上に加熱量を制御する加熱制御手段、を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【0025】
(5)前記インクジェット記録装置は、記録ヘッドが記録媒体の幅方向に往復移動しつつ記録を行うシリアル記録方式であって、前記加熱手段がキャリッジ上に設けられ、キャリッジ動作に基づき加熱量を制御することを特徴とする前記(1)ないし(4)いずれかに記載のインクジェット記録装置。
【0026】
(6)前記インクジェット記録装置は、記録ヘッドが記録媒体の最大記録幅を有し、全幅一括して記録を行うフルライン記録方式であって、前記加熱手段が記録ヘッド直後に設けられ、記録媒体搬送動作に基づき加熱量を制御することを特徴とする前記(1)ないし(4)いずれかに記載のインクジェット記録装置。
【0027】
(7)インク乾燥定着用の加熱工程を有し、前記加熱手段と記録媒体を相対移動しながら記録を行うインクジェット記録物製造方法において、記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動動作をモニターする工程、前記モニター結果に対し連続的に加熱量を制御する工程、を有することを特徴とするインクジェット記録物製造方法。
【0028】
(8)前記モニター工程においては、記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動速度のモニターを行い、前記加熱量制御工程においては、前記モニター速度結果に対し連続的に加熱量を制御する、ことを特徴とする前記(7)に記載のインクジェット記録物製造方法。
【0029】
(9)前記相対移動動作が、予め設定した範囲を超えて大きくなる場合には、相対移動動作上限に基づく加熱量以下に加熱制御することを特徴とする前記(7)または(8)に記載のインクジェット記録物製造方法。
【0030】
(10)インク乾燥定着用の加熱工程を有し、前記加熱手段と記録媒体を相対移動しながら記録を行うインクジェット記録物製造方法において、記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動動作をモニターする工程、前記モニター結果に対し少なくとも3段階以上に加熱量を制御する工程、を有することを特徴とするインクジェット記録物製造方法。
【0031】
(11)前記インクジェット記録物製造方法は、記録ヘッドが記録媒体の幅方向に往復移動しつつ記録を行うシリアル記録方式であって、前記加熱手段がキャリッジ上に設けられ、キャリッジ動作に基づき加熱量を制御することを特徴とする、前記(7)ないし(10)いずれかに記載のインクジェット記録物製造方法。
【0032】
(12)前記インクジェット記録物製造方法は、記録ヘッドが記録媒体の最大記録幅を有し、全幅一括して記録を行うフルライン記録方式であって、前記加熱手段が記録ヘッド直後に設けられ、記録媒体搬送動作に基づき加熱量を制御することを特徴とする、前記(7)ないし(10)いずれかに記載のインクジェット記録物製造方法。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照してこの発明の実施形態を示す。
【0034】
(第一の実施形態)
図1は、本発明によるインクジェット記録装置の構成を示す概略図である。
【0035】
シリアル記録方式のインクジェット記録装置において、加熱手段をキャリッジ上に設けたものである。
【0036】
このインクジェット記録装置において、キャリッジ12は無端ベルト13に固定され且つガイドシャフト18にそって移動可能になっている。無端ベルト13は、プーリ14および20に巻回されている。プーリ20には、キャリッジ駆動モータ19の駆動軸が連結されている。したがって、キャリッジ12は、モータ19の回転駆動によってガイドシャフト18にそって往復方向(A方向)にスキャン走査される。
【0037】
キャリッジ12上には、複数のインク吐出ノズルが並設された記録ヘッド10及びインクを収納する容器としてのインクタンクIT、及び印字直後に加熱定着を行うための加熱手段11が搭載されている。
【0038】
加熱手段11は、ここでは片側にのみ配置した例を示しているがこれに限られるものでなく、往復印字に備えキャリッジの両側に配置、また極端には各々のヘッド間すべてに配置しても良い。また、加熱手段11は、加熱源及び加熱源からの放射エネルギーを印字領域へ導くリフレクタから構成され、加熱源の熱エネルギーを最大限活用できるようになっている。複数の領域を同時に加熱するような場合には、一つの加熱源からの放射エネルギーをリフレクタで分配して行うこともできる。加熱源としては、応答が急峻な(立上がり、立ち下がり特性の良い)赤外線を利用した光源が好ましいが、これに限られるものでなく、その他の電磁波光源、セラミックヒータ、熱風また熱板等を用いても良い。リフレクタはその内表面を高度な反射率を持つアルミニウムで構成するのが好ましい。
【0039】
記録ヘッド10には、記録媒体としての用紙Pと対向する面に、用紙Pの搬送方向に並設された複数個のインク吐出口が形成されている。記録ヘッド10には、この複数個の吐出口のそれぞれに連通してインク路が設けられ、それぞれのインク路に対応して、インク吐出のための熱エネルギーを発生する電気熱変換体が設けられている。電気熱変換体は、駆動データに応じて電気パルスを印可されることによって熱を発生し、これによりインクに膜沸騰を生じさせ、その気泡の生成に伴って上記吐出口からインクを吐出させる。各インク路には、これらに共通に連通する共通液室が設けれており、この共通液室は、インクタンクITに接続されている。
【0040】
また、この装置には、キャリッジの移動位置を検出するなどのためにリニアエンコーダ16が設けられている。すなわち、キャリッジ12の移動方向に沿ってリニアスケール15があり、このリニアスケール15には1インチ間に1200個などの等間隔でスリットが形成されている。一方、キャリッジ12には、例えば、発光部及び受光センサを有するスリットの検出系17および信号処理回路が設けられている。従って、エンコーダー16からは、キャリッジ12が移動されるに従って、インク吐出タイミングを示す吐出タイミング信号及びキャリッジの位置情報が出力される。スリット検出毎にインクを吐出すれば、主走査方向に1200dpiの解像度の印刷を実行することが可能となる。
【0041】
記録媒体としての記録紙Pは、キャリッジ12のスキャン方向と直交する矢印B方向に間欠的に搬送される。記録紙Pは上流側の一対のローラユニット23、24と、下流側一対のローラユニット21、22とにより支持され、一定の張力を印可されてヘッド1に対する平面性を確保した状態で搬送される。各ローラユニットに対する駆動力は、この場合図示しない記録媒体搬送モータによって付与される。
【0042】
このような構成によって、キャリッジ12の移動に伴いヘッド吐出口の配列幅に対応した幅の印字と記録紙Pの送りを交互に繰り返しながら、記録紙P全体に印字がなされる。
【0043】
図2は、記録動作及び、本発明の特徴を表す加熱動作の動作手順を表すフローチートである。
【0044】
記録動作は、フロー左側に示してある。CPUによって、ホストより受け取った受信データの解析処理を行い、1行分の印字データが作成されたところで印字準備終了フラグが立つ(ステップ100)。そして、ステップ101においてキャリッジモータが起動し始め、ステップ102で印字を行う。1行分の印字が終了した時点でキャリッジモータが停止し(ステップ103)、ステップ104で記録媒体搬送モータが起動し記録媒体を次の記録ライン位置まで送る。
【0045】
これに同期して、本発明の特徴である加熱手段はフロー右側のように制御されるものである。
【0046】
ステップ200において、ステップ100印字準備終了フラグ及び、ステップ101加熱手段動作開始を受けて、続くステップ201に移り加熱手段動作状況のモニターを開始する。その結果に基づきステップ202では、後述する加熱量決定手法に基づき加熱量を決定し、加熱(ステップ203)を行う。この工程(ステップ201−203)は、ステップ103からの加熱手段動作停止情報を受けるまで続けられる。これにより、記録に伴う加熱手段と記録媒体の相対移動動作中は、その動作に応じ連続的に加熱量を制御し続ける。
【0047】
そして、ステップ204において加熱手段の動作停止を受けたところで、ステップ205に移り、加熱量を低減もしくは加熱を停止する。
【0048】
上記加熱制御フローはステップ200に信号が入った場合のフロー、すなわち記録媒体への記録に伴う相対移動動作時中の加熱制御に関するもので、非記録時に関しては、加熱不具合を生じないよう、加熱オフまたは記録媒体を加熱しないレベルまで加熱量を低減させるものである。次に、図2のステップ202の加熱量決定方法について例を挙げて詳細に説明する。
【0049】
(第一の実施例)
記録時の相対移動速度に比例して加熱制御を行い、それ以外の状況では加熱量を低減またはオフとする。
【0050】
また、仕様で規定される相対移動速度上限値で必要とされる加熱量を加熱量上限とし、これを超えた場合は一定とする。
【0051】
P=Av+B(記録時)
P=C(v>v0 v0:仕様で規定される相対移動速度上限値)
P=B(非記録時)
P:加熱量(W)
v:相対移動速度
A:印字環境、印字条件よりあらかじめ決定される係数
B:非加熱時の加熱量(0、または媒体を加熱しない程度の加熱量)
C:加熱量上限値(Av0+B)
【0052】
【表1】
【0053】
(第二の実施例)
非加熱時と加熱量上限値との間を複数の加熱制御テーブルを設け、記録時の相対移動速度に応じて加熱制御を行うものである(ここでは、4段階で制御する例を示す)。
【0054】
P=C(v>v0 v0:仕様で規定される相対移動速度上限値)
P=B(v1>v>0また非記録時)
P=D(v2>v>v1)
P=E(v0>v>v2)
(v1、v2は、v0>v1、v2>0を満たす相対移動速度)
P、v、B、C:第一の実施例と同様
D、E:B<D<E<Cなる加熱量
【0055】
【表2】
【0056】
上記第一、第二の実施例では、相対移動速度が仕様上限値を超えた場合、上限値で規定される加熱量で一定としているが、これに限るものでなく、これを装置異常とみなし加熱量を相対移動速度0の状態まで低減しても良い。
【0057】
相対移動速度のモニターは、リニアエンコーダを利用して読み取ることができるがこれに限られるものでなく、速度センサ等、モニター手段を別途設けてもよい。
【0058】
上記では、相対移動速度に対する加熱量制御の代表的な例を挙げたが、相対移動速度に対し連続的に加熱量を制御するものであればこれに限られるものではない。
【0059】
さらに、上記では加熱量決定に際して相対移動動作速度を制御パラメータとしているが、これに限られるものでなく、例えばパルスモーターにおけるパルス制御値等を制御パラメータとしてもよい。
【0060】
(第二の実施形態)
第一の実施形態は、記録ヘッドが記録媒体の幅方向に往復移動しつつ記録を行うシリアル記録方式であるのに対して、第二の実施形態では、記録ヘッドが記録媒体の最大記録幅を有し、全幅一括して記録を行うフルライン記録方式の場合を示す。
【0061】
図3に、記録動作及び本発明の特徴を表す加熱動作の動作手順を表すフローチートを示す。
【0062】
第一の実施形態との違いは、ステップ401,405において起動するのが記録媒体搬送モータとなった点であり、記録媒体の搬送動作にあわせて加熱手段の加熱制御を行う。これ以外は、第一の実施形態と同様である。
【0063】
【発明の効果】
以上本発明によると、加熱手段と記録媒体の相対移動が停止(加熱手段上にシートが停滞)した場合のみならず、相対移動動作中の動作変化に対しても、記録媒体の変色やシワ、また火災等の加熱不具合発生を防止し、均一な加熱ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施形態におけるインクジェット記録装置の該略図。
【図2】第一の実施形態における、記録動作及び加熱動作の動作手順を表すフローチャートである。
【図3】第二の実施形態における、記録動作及び加熱動作の動作手順を表すフローチャートである。
【符号の説明】
10 記録ヘッド
11 加熱手段
12 キャリッジ
13 無端ベルト
14,20 プーリ
15 リニアスケール
16 リニアエンコーダ
17 リニアスケール検出系
18 ガイドシャフト
19 キャリッジ駆動モータ
21〜24 搬送ローラー
A キャリッジ走査方向
B 記録媒体搬送方向
P 記録媒体
Claims (12)
- インク乾燥定着用の加熱手段を備え、
前記加熱手段と記録媒体を相対移動しながら記録を行うインクジェット記録装置において、
記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動動作をモニターするモニター手段、
前記モニター結果に対し連続的に加熱量を制御する加熱制御手段、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記モニター手段は、
記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動速度をモニターするものであって、
前記加熱制御手段が、前記モニター速度結果に対し連続的に加熱量を制御することを特徴とする、請求項1に記載のインクジェット記録装置。 - 前記相対移動動作が、予め設定した範囲を超えて大きくなる場合には、相対移動動作上限に基づく加熱量以下に加熱制御することを特徴とする、請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
- インク乾燥定着用の加熱手段を備え、
前記加熱手段と記録媒体を相対移動しながら記録を行うインクジェット記録装置において、
記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動動作をモニターするモニター手段、
前記モニター結果に対し少なくとも3段階以上に加熱量を制御する加熱制御手段、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記インクジェット記録装置は、記録ヘッドが記録媒体の幅方向に往復移動しつつ記録を行うシリアル記録方式であって、
前記加熱手段がキャリッジ上に設けられ、キャリッジ動作に基づき加熱量を制御することを特徴とする、請求項1ないし4いずれかに記載のインクジェット記録装置。 - 前記インクジェット記録装置は、記録ヘッドが記録媒体の最大記録幅を有し、全幅一括して記録を行うフルライン記録方式であって、前記加熱手段が記録ヘッド直後に設けられ、記録媒体搬送動作に基づき加熱量を制御することを特徴とする、請求項1ないし4いずれかに記載のインクジェット記録装置。
- インク乾燥定着用の加熱工程を有し、
前記加熱手段と記録媒体を相対移動しながら記録を行うインクジェット記録物製造方法において、
記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動動作をモニターする工程、
前記モニター結果に対し連続的に加熱量を制御する工程、
を有することを特徴とするインクジェット記録物製造方法。 - 前記モニター工程においては、記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動速度のモニターを行い、
前記加熱量制御工程においては、前記モニター速度結果に対し連続的に加熱量を制御する、
ことを特徴とする、請求項7に記載のインクジェット記録物製造方法。 - 前記相対移動動作が、予め設定した範囲を超えて大きくなる場合には、相対移動動作上限に基づく加熱量以下に加熱制御することを特徴とする、請求項7または8に記載のインクジェット記録物製造方法。
- インク乾燥定着用の加熱工程を有し、
前記加熱手段と記録媒体を相対移動しながら記録を行うインクジェット記録物製造方法において、
記録に伴う前記加熱手段と前記記録媒体の相対移動動作をモニターする工程、
前記モニター結果に対し少なくとも3段階以上に加熱量を制御する工程、
を有することを特徴とするインクジェット記録物製造方法。 - 前記インクジェット記録物製造方法は、記録ヘッドが記録媒体の幅方向に往復移動しつつ記録を行うシリアル記録方式であって、
前記加熱手段がキャリッジ上に設けられ、キャリッジ動作に基づき加熱量を制御することを特徴とする、請求項7ないし10いずれかに記載のインクジェット記録物製造方法。 - 前記インクジェット記録物製造方法は、記録ヘッドが記録媒体の最大記録幅を有し、全幅一括して記録を行うフルライン記録方式であって、
前記加熱手段が記録ヘッド直後に設けられ、記録媒体搬送動作に基づき加熱量を制御することを特徴とする、請求項7ないし10いずれかに記載のインクジェット記録物製造方法。
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2002
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