JP2004136186A - 工場排水のpH制御方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】排水量が大きく変化した場合でも、常に安定したpH制御を達成する。
【解決手段】複数のサンプリングポンプ22a〜22cで吸引した中和槽pH計測後の中和槽排水と、そのバイパスライン26a〜26cの中和槽排水を希釈槽40に受け入れて、該希釈槽40で該pH制御の中和剤を投入して均一希釈した中和剤を中和槽20に拡散して戻して複数の曝気装置42a〜42dにより曝気撹拌して中和すると共に、排水量に応じてサンプリングポンプや曝気ブロア44a〜44dの運転台数を変化させて、pH制御の無駄時間が設定範囲内に収まるようにする。
【選択図】 図3
【解決手段】複数のサンプリングポンプ22a〜22cで吸引した中和槽pH計測後の中和槽排水と、そのバイパスライン26a〜26cの中和槽排水を希釈槽40に受け入れて、該希釈槽40で該pH制御の中和剤を投入して均一希釈した中和剤を中和槽20に拡散して戻して複数の曝気装置42a〜42dにより曝気撹拌して中和すると共に、排水量に応じてサンプリングポンプや曝気ブロア44a〜44dの運転台数を変化させて、pH制御の無駄時間が設定範囲内に収まるようにする。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工場排水のpH制御方法及び装置に係り、特に、製鋼設備等で使用されたアルカリ性又は酸性工場排水を連続的に中和して河川等に放出する際に用いるのに好適な、アルカリ性又は酸性工場排水を中和槽に導き、中和槽pHを測定して中和目標値になるように中和剤投入量を制御して投入すると共に、曝気撹拌により連続的に中和処理して外部に放出する際の工場排水のpH制御方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
製鋼設備等で使用されたアルカリ性又は酸性工場排水を中和処理する際には、中和槽pHを測定し、該中和槽pHが中和目標値になるようにPID制御する方法が一般的である。このPID制御は、比例+積分+微分動作であり、pH値の偏差に比例する応答と、pH偏差の大きさと持続時間に比例する積分動作と、pH制御量の変化速度に比例する微分動作を含む動作であるため、応答の行き過ぎが少なくでき、応答は速く、積分動作によるオフセットが消せる等の利点がある。
【0003】
しかしながら、工場排水を中和する場合に、その中和点近傍における中和測定曲線が、図1に示すように比較的急な傾斜曲線を持つ場合、前記のPID制御では、所定pHに調整するのは至難である。
【0004】
【特許文献1】
特開昭51−35671号公報
【特許文献2】
特公昭56−17018号公報
【特許文献3】
特公昭54−41079号公報
【特許文献4】
特開昭62−4900号公報
【0005】
そのため、(1)中和滴定特性と逆のゲイン特性を有する非線形PID制御を用いる方法、(2)特許文献1のように、予め設定した時間毎にpH値を確認し、それが予め設定した所期のpH値を超えていれば予め設定したタイマ間中和材を投入、超えていなければ投入しないというようにする方法、(3)特許文献2のように、設定時間周期毎にpHを測定し、その検出pHと予め作成した滴定曲線から中和剤投入量を求めて投入する方法が知られている。
【0006】
又、特許文献3には、対象流出液が間欠的に流出してくる場合に、pH調節槽よりの排出液の1部を、該pH計よりも下流位置からpH調節槽もしくはその上流に返送することが記載されている。
【0007】
又、出願人の先行出願である特許文献4には、鋼板の電解処理にあたり、pH計により測定したpH測定値を基礎として、前記処理に伴う反応によって上昇もしくは下降する単位時間当りのpH変動量とpH調整用に投入する薬液の影響によって下降もしくは上昇する単位時間当たりのpH変動量とを求め、その両者が常に等しくなるような薬液投入管理を行うことが記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記非線形PID制御を用いる方法や、特許文献1、特許文献2に記載された方法では、ある範囲内での中和適定曲線では効果があるが、急傾斜な曲線をもつ場合は、極端に応答性が悪くなる。又、工場排水の排水量は時々刻々変わるため、排水量が変化した場合に無駄時間が変わり、制御が乱れ、安定した制御結果が得られない。そのため、各種設定等を排水量に応じて一々変えなければならないという問題点を有していた。
【0009】
現状の一例を図2に示すが、中和槽pH値が大きく振動して、目標上限値及び下限値を逸脱し、良好なpH制御結果が得られていない。
【0010】
一方、特許文献3によれば、排水量の大きな変動には、ある程度、対応できるが、サンプリングラインが一本であるため、pH調節槽内のpH分布の片寄りには対応できない。
【0011】
又、特許文献4は、工場排水ではなく、電解処理液のpH制御方法であり、複数箇所からのサンプリングについては開示がない。電解処理液の場合、厳密なpH制御が必要となるが、工場排水のように流量が大きく変動することはないので本願発明のような制御は不要である。
【0012】
本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされたもので、排水量が大きく変化する工場排水においても、目標pH内に安定に制御することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アルカリ性又は酸性工場排水を中和槽に導き、中和槽pHを測定して中和目標値になるように中和剤投入量を制御して投入すると共に、曝気撹拌により連続的に中和処理して外部に放出する際の工場排水のpH制御方法において、複数のサンプリングポンプ及びサンプリングラインで吸引した中和槽pHの平均値を測定すると共に、該中和槽pH計測後の中和槽排水と、そのバイパスラインの中和槽排水を希釈槽に受け入れて、該希釈槽でpH制御の中和剤を投入して均一希釈した中和剤を中和槽に拡散して戻して複数の曝気装置及び曝気ブロアにより曝気撹拌して中和し、更に、排水量に応じてサンプリングポンプや曝気ブロアの運転台数を変化させて、pH制御の無駄時間が設定範囲内に収まるようにして、前記課題を解決したものである。
【0014】
又、アルカリ性又は酸性工場排水を中和槽に導き、中和槽pHを測定して中和目標値になるように中和剤投入量を制御して投入すると共に、曝気撹拌により連続的に中和処理して外部に放出するための工場排水のpH制御装置において、前記中和槽内に設置した複数のサンプリングポンプ及びサンプリングラインと、前記中和槽内を曝気撹拌するための複数の曝気装置及び曝気ブロアと、前記複数のサンプリングポンプ及びサンプリングラインで吸引した中和槽pH計測後の中和槽排水と、そのバイパスラインの中和槽排水を受け入れ、pH制御の中和剤を投入して均一希釈した中和剤を中和槽に拡散して戻すための希釈槽と、前記複数のサンプリングポンプ及びサンプリングラインで吸引した中和槽pHの平均値を測定して、該計測中和槽pHの平均値を基に中和剤投入量を制御すると共に、排水量に応じてサンプリングポンプや曝気ブロアの運転台数を変化させて、pH制御の無駄時間が設定範囲内に収まるようにする制御手段と、を備えたものである。
【0015】
更に、前記複数のサンプリングポンプを、各サンプリングポンプによりサンプリングされ測定される計測中和槽pHの差が設定範囲内となるように配置したものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0017】
図3は、本発明の実施形態を示すブロック線図である。工場排水10は中和槽20に入り、そこで連続的に所定pHに中和されて、監視槽50、堰式流量計60を経て外部の河川等に放流される。
【0018】
前記中和槽20には複数(本実施形態では3台)のサンプリングポンプ22a〜22cが設置され、該サンプリングポンプ22a〜22cで吸引された工場排水10の一部は、各々サンプリングライン24a〜24cにより、共通のpH測定槽30に導かれ、pH検出器32によりpHが検出される。
【0019】
前記サンプリングポンプ22a〜22cは、各ステップ応答で得られる無駄時間が、ある範囲内に収まり、且つ、各サンプリングポンプ単独で吸引した中和槽pHのばらつきがある範囲内に収まるように配置されている。ここで、ある範囲内の無駄時間としては、例えば1.2分〜1.6分、ある範囲内のpHのばらつきとしては、概ね0.3〜0.5とすることができる。
【0020】
前記中和槽20には、更に、該中和槽20内を曝気撹拌するための複数(本実施形態では4台)の曝気装置42a〜42d及び曝気ブロア44a〜44dが設けられている。
【0021】
前記監視槽50には、堰式流量計60を通過する排水のレベルを計測する、例えば超音波レベル計52が設けられ、その測定値がレベル指示演算設定器54に入力されている。
【0022】
前記サンプリングポンプ22a〜22c及び曝気ブロア44a〜44dの運転台数は、前記レベル指示演算設定器54の出力に応じて、曝気ブロア・サンプリングポンプ制御装置56の出力により制御される。
【0023】
前記pH検出器32の出力に応じてpH指示調節計34により調節弁38の開度を調節することによって、希釈槽40に導入される硫酸(中和剤)36の流量が制御される。前記pH測定槽30でpHを計測後の中和槽排水とそのバイパスライン26a〜26cの中和槽排水は希釈槽40に導かれ、該希釈槽40でpH制御の中和剤36を投入して均一希釈された中和剤が中和槽20に拡散して戻して中和される。
【0024】
以下実施形態の作用を説明する。
【0025】
3台設置したサンプリングポンプ22a〜22cの中から、超音波レベル計52により検出される排水量に応じたサンプリングポンプが運転され、それら中和槽排水がpH測定槽30に集まり、そのpH測定槽30内のpHがpH検出器32で計測され、pH指示調節計34に入力される。pH指示調節計34は、その計測pH値がオペレータによって設定されたpH設定値になるように中和剤(例えば硫酸)36の投入量を演算し、調節弁38に出力する。調節弁38は、その出力に見合った分の開度になり、中和剤36が希釈槽40に投入される。希釈槽40に投入された中和剤36は、前記のサンプリングポンプ22a〜22cのバイパスライン26a〜26cとpH測定槽30からの中和槽排水で均一希釈されながら中和槽20に拡散投入される。
【0026】
又、4台設置した曝気ブロア44a〜44dの中から、超音波レベル計52によって検出される排水量に応じた曝気ブロアが運転され、前記で拡散投入された希釈硫酸と連続的に入ってくる工場排水10を撹拌して、中和する。
【0027】
前記サンプリングポンプと曝気ブロアの台数は、実験及び操業結果により、例えばサンプリングポンプを3台、曝気ブロアを4台とし、排水量に応じて、図4に示すような台数を運転することができる。図4を適用した結果を図5に示すが、工場排水量が変化した場合でも、所定pH内に制御されるという良好な結果が得られた。
【0028】
なお、前記実施形態では、アルカリ性工場排水の場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、酸性を含む、あらゆるpHの排水にも同様に適用できる。又、サンプリングポンプ、曝気ブロアの台数や中和剤、レベル計等の種類も、前記実施形態に限定されない。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、複数のサンプリングポンプを中和槽内に設置して、該複数のサンプリングポンプで吸引した中和槽pH計測後の中和槽排水と、そのバイパスラインの中和槽排水を希釈槽に受け入れて、該希釈槽で該pH制御の中和剤を投入して均一希釈した中和剤を中和槽に拡散して戻して中和するようにすると共に、曝気撹拌量を変えられるようにした後、各工場排水量に応じて最適なサンプリングポンプの運転とその位置、及び、曝気撹拌量を制御するようにしたので、工場排水量が変化しても、無駄時間がある範囲内に収まったpHを、工場排水の変化に伴う中和槽pHへの影響を迅速に捉えつつ、平均pHを計測できるようになり、その中和槽平均pHを基に制御することができるので、制御性が安定し、良好な中和ができるようになる。その結果、排水量が大きく変化した場合においても、目標pH内に中和制御することができるようになり、公害防止の観点から大きく寄与すると共に、中和剤費用を大幅に削減可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の問題点を説明するための、中和適定曲線の一例を示す線図
【図2】従来のpH制御におけるpH値の時間的経過の例を示す線図
【図3】本発明の実施形態の構成を示すブロック線図
【図4】本実施形態における排水量とサンプリングポンプ及び曝気ブロアの運転台数の関係の例を示す線図
【図5】本発明のpH制御におけるpH値の時間的経過の例を示す線図
【符号の説明】
10…工場排水
20…中和槽
22a〜22c…サンプリングポンプ
24a〜24c…サンプリングライン
30…pH測定槽
32…pH検出器
34…pH指示調節計
36…中和剤(硫酸)
38…調節弁
40…希釈槽
42a〜42d…曝気装置
44a〜44d…曝気ブロア
50…監視槽
52…超音波レベル計
54…レベル指示演算設定器
56…曝気ブロア・サンプリングポンプ制御装置
60…堰式流量計
【発明の属する技術分野】
本発明は、工場排水のpH制御方法及び装置に係り、特に、製鋼設備等で使用されたアルカリ性又は酸性工場排水を連続的に中和して河川等に放出する際に用いるのに好適な、アルカリ性又は酸性工場排水を中和槽に導き、中和槽pHを測定して中和目標値になるように中和剤投入量を制御して投入すると共に、曝気撹拌により連続的に中和処理して外部に放出する際の工場排水のpH制御方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
製鋼設備等で使用されたアルカリ性又は酸性工場排水を中和処理する際には、中和槽pHを測定し、該中和槽pHが中和目標値になるようにPID制御する方法が一般的である。このPID制御は、比例+積分+微分動作であり、pH値の偏差に比例する応答と、pH偏差の大きさと持続時間に比例する積分動作と、pH制御量の変化速度に比例する微分動作を含む動作であるため、応答の行き過ぎが少なくでき、応答は速く、積分動作によるオフセットが消せる等の利点がある。
【0003】
しかしながら、工場排水を中和する場合に、その中和点近傍における中和測定曲線が、図1に示すように比較的急な傾斜曲線を持つ場合、前記のPID制御では、所定pHに調整するのは至難である。
【0004】
【特許文献1】
特開昭51−35671号公報
【特許文献2】
特公昭56−17018号公報
【特許文献3】
特公昭54−41079号公報
【特許文献4】
特開昭62−4900号公報
【0005】
そのため、(1)中和滴定特性と逆のゲイン特性を有する非線形PID制御を用いる方法、(2)特許文献1のように、予め設定した時間毎にpH値を確認し、それが予め設定した所期のpH値を超えていれば予め設定したタイマ間中和材を投入、超えていなければ投入しないというようにする方法、(3)特許文献2のように、設定時間周期毎にpHを測定し、その検出pHと予め作成した滴定曲線から中和剤投入量を求めて投入する方法が知られている。
【0006】
又、特許文献3には、対象流出液が間欠的に流出してくる場合に、pH調節槽よりの排出液の1部を、該pH計よりも下流位置からpH調節槽もしくはその上流に返送することが記載されている。
【0007】
又、出願人の先行出願である特許文献4には、鋼板の電解処理にあたり、pH計により測定したpH測定値を基礎として、前記処理に伴う反応によって上昇もしくは下降する単位時間当りのpH変動量とpH調整用に投入する薬液の影響によって下降もしくは上昇する単位時間当たりのpH変動量とを求め、その両者が常に等しくなるような薬液投入管理を行うことが記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記非線形PID制御を用いる方法や、特許文献1、特許文献2に記載された方法では、ある範囲内での中和適定曲線では効果があるが、急傾斜な曲線をもつ場合は、極端に応答性が悪くなる。又、工場排水の排水量は時々刻々変わるため、排水量が変化した場合に無駄時間が変わり、制御が乱れ、安定した制御結果が得られない。そのため、各種設定等を排水量に応じて一々変えなければならないという問題点を有していた。
【0009】
現状の一例を図2に示すが、中和槽pH値が大きく振動して、目標上限値及び下限値を逸脱し、良好なpH制御結果が得られていない。
【0010】
一方、特許文献3によれば、排水量の大きな変動には、ある程度、対応できるが、サンプリングラインが一本であるため、pH調節槽内のpH分布の片寄りには対応できない。
【0011】
又、特許文献4は、工場排水ではなく、電解処理液のpH制御方法であり、複数箇所からのサンプリングについては開示がない。電解処理液の場合、厳密なpH制御が必要となるが、工場排水のように流量が大きく変動することはないので本願発明のような制御は不要である。
【0012】
本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされたもので、排水量が大きく変化する工場排水においても、目標pH内に安定に制御することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アルカリ性又は酸性工場排水を中和槽に導き、中和槽pHを測定して中和目標値になるように中和剤投入量を制御して投入すると共に、曝気撹拌により連続的に中和処理して外部に放出する際の工場排水のpH制御方法において、複数のサンプリングポンプ及びサンプリングラインで吸引した中和槽pHの平均値を測定すると共に、該中和槽pH計測後の中和槽排水と、そのバイパスラインの中和槽排水を希釈槽に受け入れて、該希釈槽でpH制御の中和剤を投入して均一希釈した中和剤を中和槽に拡散して戻して複数の曝気装置及び曝気ブロアにより曝気撹拌して中和し、更に、排水量に応じてサンプリングポンプや曝気ブロアの運転台数を変化させて、pH制御の無駄時間が設定範囲内に収まるようにして、前記課題を解決したものである。
【0014】
又、アルカリ性又は酸性工場排水を中和槽に導き、中和槽pHを測定して中和目標値になるように中和剤投入量を制御して投入すると共に、曝気撹拌により連続的に中和処理して外部に放出するための工場排水のpH制御装置において、前記中和槽内に設置した複数のサンプリングポンプ及びサンプリングラインと、前記中和槽内を曝気撹拌するための複数の曝気装置及び曝気ブロアと、前記複数のサンプリングポンプ及びサンプリングラインで吸引した中和槽pH計測後の中和槽排水と、そのバイパスラインの中和槽排水を受け入れ、pH制御の中和剤を投入して均一希釈した中和剤を中和槽に拡散して戻すための希釈槽と、前記複数のサンプリングポンプ及びサンプリングラインで吸引した中和槽pHの平均値を測定して、該計測中和槽pHの平均値を基に中和剤投入量を制御すると共に、排水量に応じてサンプリングポンプや曝気ブロアの運転台数を変化させて、pH制御の無駄時間が設定範囲内に収まるようにする制御手段と、を備えたものである。
【0015】
更に、前記複数のサンプリングポンプを、各サンプリングポンプによりサンプリングされ測定される計測中和槽pHの差が設定範囲内となるように配置したものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0017】
図3は、本発明の実施形態を示すブロック線図である。工場排水10は中和槽20に入り、そこで連続的に所定pHに中和されて、監視槽50、堰式流量計60を経て外部の河川等に放流される。
【0018】
前記中和槽20には複数(本実施形態では3台)のサンプリングポンプ22a〜22cが設置され、該サンプリングポンプ22a〜22cで吸引された工場排水10の一部は、各々サンプリングライン24a〜24cにより、共通のpH測定槽30に導かれ、pH検出器32によりpHが検出される。
【0019】
前記サンプリングポンプ22a〜22cは、各ステップ応答で得られる無駄時間が、ある範囲内に収まり、且つ、各サンプリングポンプ単独で吸引した中和槽pHのばらつきがある範囲内に収まるように配置されている。ここで、ある範囲内の無駄時間としては、例えば1.2分〜1.6分、ある範囲内のpHのばらつきとしては、概ね0.3〜0.5とすることができる。
【0020】
前記中和槽20には、更に、該中和槽20内を曝気撹拌するための複数(本実施形態では4台)の曝気装置42a〜42d及び曝気ブロア44a〜44dが設けられている。
【0021】
前記監視槽50には、堰式流量計60を通過する排水のレベルを計測する、例えば超音波レベル計52が設けられ、その測定値がレベル指示演算設定器54に入力されている。
【0022】
前記サンプリングポンプ22a〜22c及び曝気ブロア44a〜44dの運転台数は、前記レベル指示演算設定器54の出力に応じて、曝気ブロア・サンプリングポンプ制御装置56の出力により制御される。
【0023】
前記pH検出器32の出力に応じてpH指示調節計34により調節弁38の開度を調節することによって、希釈槽40に導入される硫酸(中和剤)36の流量が制御される。前記pH測定槽30でpHを計測後の中和槽排水とそのバイパスライン26a〜26cの中和槽排水は希釈槽40に導かれ、該希釈槽40でpH制御の中和剤36を投入して均一希釈された中和剤が中和槽20に拡散して戻して中和される。
【0024】
以下実施形態の作用を説明する。
【0025】
3台設置したサンプリングポンプ22a〜22cの中から、超音波レベル計52により検出される排水量に応じたサンプリングポンプが運転され、それら中和槽排水がpH測定槽30に集まり、そのpH測定槽30内のpHがpH検出器32で計測され、pH指示調節計34に入力される。pH指示調節計34は、その計測pH値がオペレータによって設定されたpH設定値になるように中和剤(例えば硫酸)36の投入量を演算し、調節弁38に出力する。調節弁38は、その出力に見合った分の開度になり、中和剤36が希釈槽40に投入される。希釈槽40に投入された中和剤36は、前記のサンプリングポンプ22a〜22cのバイパスライン26a〜26cとpH測定槽30からの中和槽排水で均一希釈されながら中和槽20に拡散投入される。
【0026】
又、4台設置した曝気ブロア44a〜44dの中から、超音波レベル計52によって検出される排水量に応じた曝気ブロアが運転され、前記で拡散投入された希釈硫酸と連続的に入ってくる工場排水10を撹拌して、中和する。
【0027】
前記サンプリングポンプと曝気ブロアの台数は、実験及び操業結果により、例えばサンプリングポンプを3台、曝気ブロアを4台とし、排水量に応じて、図4に示すような台数を運転することができる。図4を適用した結果を図5に示すが、工場排水量が変化した場合でも、所定pH内に制御されるという良好な結果が得られた。
【0028】
なお、前記実施形態では、アルカリ性工場排水の場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、酸性を含む、あらゆるpHの排水にも同様に適用できる。又、サンプリングポンプ、曝気ブロアの台数や中和剤、レベル計等の種類も、前記実施形態に限定されない。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、複数のサンプリングポンプを中和槽内に設置して、該複数のサンプリングポンプで吸引した中和槽pH計測後の中和槽排水と、そのバイパスラインの中和槽排水を希釈槽に受け入れて、該希釈槽で該pH制御の中和剤を投入して均一希釈した中和剤を中和槽に拡散して戻して中和するようにすると共に、曝気撹拌量を変えられるようにした後、各工場排水量に応じて最適なサンプリングポンプの運転とその位置、及び、曝気撹拌量を制御するようにしたので、工場排水量が変化しても、無駄時間がある範囲内に収まったpHを、工場排水の変化に伴う中和槽pHへの影響を迅速に捉えつつ、平均pHを計測できるようになり、その中和槽平均pHを基に制御することができるので、制御性が安定し、良好な中和ができるようになる。その結果、排水量が大きく変化した場合においても、目標pH内に中和制御することができるようになり、公害防止の観点から大きく寄与すると共に、中和剤費用を大幅に削減可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の問題点を説明するための、中和適定曲線の一例を示す線図
【図2】従来のpH制御におけるpH値の時間的経過の例を示す線図
【図3】本発明の実施形態の構成を示すブロック線図
【図4】本実施形態における排水量とサンプリングポンプ及び曝気ブロアの運転台数の関係の例を示す線図
【図5】本発明のpH制御におけるpH値の時間的経過の例を示す線図
【符号の説明】
10…工場排水
20…中和槽
22a〜22c…サンプリングポンプ
24a〜24c…サンプリングライン
30…pH測定槽
32…pH検出器
34…pH指示調節計
36…中和剤(硫酸)
38…調節弁
40…希釈槽
42a〜42d…曝気装置
44a〜44d…曝気ブロア
50…監視槽
52…超音波レベル計
54…レベル指示演算設定器
56…曝気ブロア・サンプリングポンプ制御装置
60…堰式流量計
Claims (3)
- アルカリ性又は酸性工場排水を中和槽に導き、中和槽pHを測定して中和目標値になるように中和剤投入量を制御して投入すると共に、曝気撹拌により連続的に中和処理して外部に放出する際の工場排水のpH制御方法において、
複数のサンプリングポンプ及びサンプリングラインで吸引した中和槽pHの平均値を測定すると共に、
該中和槽pH計測後の中和槽排水と、そのバイパスラインの中和槽排水を希釈槽に受け入れて、該希釈槽でpH制御の中和剤を投入して均一希釈した中和剤を中和槽に拡散して戻して複数の曝気装置及び曝気ブロアにより曝気撹拌して中和し、
更に、排水量に応じてサンプリングポンプや曝気ブロアの運転台数を変化させて、pH制御の無駄時間が設定範囲内に収まるようにしたことを特徴とする工場排水のpH制御方法。 - アルカリ性又は酸性工場排水を中和槽に導き、中和槽pHを測定して中和目標値になるように中和剤投入量を制御して投入すると共に、曝気撹拌により連続的に中和処理して外部に放出するための工場排水のpH制御装置において、
前記中和槽内に設置した複数のサンプリングポンプ及びサンプリングラインと、
前記中和槽内を曝気撹拌するための複数の曝気装置及び曝気ブロアと、
前記複数のサンプリングポンプ及びサンプリングラインで吸引した中和槽pH計測後の中和槽排水と、そのバイパスラインの中和槽排水を受け入れ、pH制御の中和剤を投入して均一希釈した中和剤を中和槽に拡散して戻すための希釈槽と、
前記複数のサンプリングポンプ及びサンプリングラインで吸引した中和槽pHの平均値を測定して、該計測中和槽pHの平均値を基に中和剤投入量を制御すると共に、排水量に応じてサンプリングポンプや曝気ブロアの運転台数を変化させて、pH制御の無駄時間が設定範囲内に収まるようにする制御手段と、
を備えたことを特徴とする工場排水のpH制御装置。 - 前記複数のサンプリングポンプが、各サンプリングポンプによりサンプリングされ測定される計測中和槽pHの差が設定範囲内となるように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の工場排水のpH制御装置。
Priority Applications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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2002
- 2002-10-16 JP JP2002302216A patent/JP2004136186A/ja active Pending
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