JP3512378B2 - 回分式水処理装置における原水流入量取得方法 - Google Patents

回分式水処理装置における原水流入量取得方法

Info

Publication number
JP3512378B2
JP3512378B2 JP2000286034A JP2000286034A JP3512378B2 JP 3512378 B2 JP3512378 B2 JP 3512378B2 JP 2000286034 A JP2000286034 A JP 2000286034A JP 2000286034 A JP2000286034 A JP 2000286034A JP 3512378 B2 JP3512378 B2 JP 3512378B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
raw water
tank
water
batch
pump
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000286034A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002086182A (ja
Inventor
敬藏 渡辺
Original Assignee
株式会社渡辺コンサルタンツ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社渡辺コンサルタンツ filed Critical 株式会社渡辺コンサルタンツ
Priority to JP2000286034A priority Critical patent/JP3512378B2/ja
Publication of JP2002086182A publication Critical patent/JP2002086182A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3512378B2 publication Critical patent/JP3512378B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

Landscapes

  • Activated Sludge Processes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、生活排水や化学
工場等からの廃水を原水として受け入れて処理する回分
式水処理装置における原水の流入水量を、電磁流量計や
超音波流量計などの高価な流量指示積算計を全く使用し
ないで取得する方法に関し、特に、COD、リン、窒素
の負荷量、PCB,ビスフェノールAなどの環境ホルモ
ンやトリクロロエチレン,テトラクロロエチレンなどの
有機物質の排出量の他、工場排水に含まれるシアン,ク
ローム,水銀などの排出量を概算するのに十分な精度で
原水流入量を取得できるものである。
【0002】
【従来の技術】回分式水処理装置では、原水槽に流入し
た原水を原水槽のポンプ(本書では原水ポンプと略記す
る。)により流量調整槽に供給し、流量調整槽から流量
調整槽のポンプ(本書では流調ポンプと略記する。)で
複数の回分槽に時間を違えて供給するか、原水槽がな
く、流量調整槽に直接流入した原水を流調ポンプで複数
の回分槽に時間を違えて供給し、各回分槽で原水を曝
気、攪拌、沈殿処理し、各回分槽で処理した水を時間を
違えて消毒槽を経て処理水として放流する。
【0003】回分式水処理装置での時間当たりの処理量
をいくらにするか、時間当たりの曝気用の空気量をいく
らにするかなどの操作条件を設定するには、排水処理装
置への24時間当りの原水の流入水量を知ることが必要
である。又、排水処理装置からのCOD負荷量や、窒素
負荷量、リン負荷量を求めるためには処理水の24時間
当りの放流水量(処理水量)を知ることが必要である。
従って、回分式排水処理装置では原水の流入水量を検出
するために、原水を原水槽から原水ポンプで流量調整槽
に供給する流路、又は原水槽がなく流量調整槽に直接流
入した原水を該槽から調流ポンプで各回分槽に原水を供
給する流路に第1流量計を設け、又、処理水の放流水量
を求めるために消毒槽の下流もしくは上流に第2流量計
を設け、例えば消毒槽の上流に設けたCOD測定器の出
力と上記第2流量計の出力とにより処理装置から放流さ
れる処理水の24時間当たりのCOD排出量をCOD演
算器又はパソコンで演算して求めていたが、本特許出願
人は特許第2808230号(特開平7−232190
号公報)により第2流量計を廃止して放流される処理水
の24時間当りのCOD排出量を求め、これにより高価
な流量計を1台使用しない分、設備や、電気計装工事の
低コスト化を図った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本出願
人の上記特許では原水の流入水量を検出するために第1
流量計を使用している。従って、この第1流量計も廃止
して流入する原水の流入水量や、放流する処理水の放流
水量を求め、それに基づいて時間当たりの処理水量など
の操作条件を設定したり、COD排出量や窒素負荷量、
リン負荷量などを知ることができれば処理装置の低コス
ト化、電気計装工事の省略が可能になる。更に、第1流
量計が無いのでそのメンテナンス費用も不要になる。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に係る発明は、原水槽に流入した原水を原
水ポンプにより流量調整槽に供給し、流量調整槽から流
調ポンプにより複数の回分槽に供給し、各回分槽内で原
水を処理して排出する回分式水処理装置における原水流
入量取得方法であって、水位変化に基づく変化容量を知
ることができる流量調整槽には水位検出手段を設け、各
回分槽は排水開始水位と排水終了水位が一定であること
に基づき一回の処理水排出量を既知とし、任意の期間の
前後で全回分槽が排出した処理水排出と全回分槽が
流量調整槽から受けた原水受入総量とが等しいと扱える
ようにマスバランスを保持できる期間をサンプリングサ
イクルとし、上記マスバランスを保持できる全回分槽の
処理水排出総量を、原水槽から流量調整槽への原水受入
総量と看做して、この原水受入量を当該サンプリングサ
イクル中における原水ポンプの総稼働時間Tiで除する
ことにより、原水ポンプが単位時間当りに流量調整槽へ
原水を供給する吐出量Qiを求め、上記原水ポンプの吐
出量Qiと原水ポンプの実際の稼働時間との積を、原水
等への原水流入量QIN と看做すようにしたことを特徴と
する。
【0006】また、請求項2に係る発明は、原水槽に流
入した原水を原水ポンプにより流量調整槽に供給し、流
量調整槽から流調ポンプにより複数の回分槽に供給し、
各回分槽内で原水を処理して排出する回分式水処理装置
における原水流入量取得方法であって、水位変化に基づ
く変化容量を知ることができる流量調整槽には水位検出
手段を設け、各回分槽は排水開始水位と排水終了水位が
一定であることに基づき一回の処理水排出量を既知と
し、任意の期間の前後で全回分槽が排出した処理水排出
総量と全回分槽が流量調整槽から受けた原水受入総量と
が等しいと扱えるようにマスバランスを保持できる期間
をサンプリングサイクルとし、上記マスバランスを保持
できる全回分槽の処理水排出総量を、原水槽から流量調
整槽への原水受入総量と看做して、この原水受入量を当
該サンプリングサイクル中における原水ポンプの総稼働
時間Tiで除することにより、原水ポンプが単位時間当
りに流量調整槽へ原水を供給する吐出量Qiを求め、
水槽から流量調整槽へ原水を供給する原水ポンプは、原
水槽の水位が予め定めた上限水位に達することで稼働を
開始し、原水槽の水位が予め定めた下限水位に達するこ
とで停止するものとし、且つ、原水槽には上限水位と下
限水位の間における1箇所以上の水位を検出できる水位
検出手段を設けると共に、該水位検出手段により検出し
た水位変化量に基づく原水の変化容量を知ることができ
るものとし、原水ポンプが稼働していない間は、原水槽
の水位変化量に基づく変化容量Vidを水位変化に要し
た経過時間Tiで除することにより、原水槽への単位時
当りの原水流入量QIを求め、原水ポンプが稼働して
いる間は、原水槽の水位が下限方向へ変化することを正
の方向とした原水槽の水位変化量に基づく変化容量Vi
dを水位変化に要した経過時間Tidで除することにより
求めた単位時間当りの変化容量を原水ポンプの吐出量Q
iから減ずることで、原水槽への単位時間当りの原水流
入量QIを求め、原水ポンプが稼働していない間におけ
る原水槽への原水流入量Q IN は単位時間当りの原水流入
量QIと経過時間との積として求め、原水ポンプが稼働
している間における原水槽への原水流入量Q IN は単位時
間当りの原水流入量QIと原水ポンプ稼働時間との積に
よって求めるようにしたことを特徴とする。
【0007】また、請求項3に係る発明は、原水槽およ
び流量調整槽の機能を兼ねる原水受入槽に流入した原水
を該原水受入槽から流調ポンプにより複数の回分槽に供
給し、各回分槽内で原水を処理して排出する回分式水処
理装置における原水流入量取得方法であって、水位変化
に基づく変化容量を知ることができる原水受入槽には水
位検出手段を設け、各回分槽は排水開始水位と排水終了
水位が一定であることに基づき一回の処理水排出量を既
知とし、任意の期間の前後で全回分槽が排出した処理水
排出と全回分槽が原水受入槽から受けた原水受入総
量とが等しいと扱えるようにマスバランスを保持できる
期間をサンプリングサイクルとし、上記マスバランスを
保持できる全回分槽の処理水排出総量を、原水受入槽へ
の原水流入総量と看做し、この原水流入量を当該サン
プリングサイクル中における流調ポンプの総稼働時間T
i′で除することにより、流調ポンプが単位時間当りに
回分槽へ原水を供給する吐出量Qi′を求め、上記流調
ポンプの吐出量Qi′と流調ポンプの実際の稼働時間と
の積を、原水受入槽への原水流入量QIN と看做すように
したことを特徴とする。
【0008】また、請求項4に係る発明は、原水槽およ
び流量調整槽の機能を兼ねる原水受入槽に流入した原水
を該原水受入槽から流調ポンプにより複数の回分槽に供
給し、各回分槽内で原水を処理して排出する回分式水処
理装置における原水流入量取得方法であって、水位変化
に基づく変化容量を知ることができる原水受入槽には水
位検出手段を設け、各回分槽は排水開始水位と排水終了
水位が一定であることに基づき一回の処理水排出量を既
知とし、任意の期間の前後で全回分槽が排出した処理水
排出総量と全回分槽が原水受入槽から受けた原水受入総
量とが等しいと扱えるようにマスバランスを保持できる
期間をサンプリングサイクルとし、マスバランスを保持
できる全回分槽の処理水排出総量を、原水受入槽への原
水流入総量と看做し、この原水流入総量を当該サンプリ
ングサイクル中における流調ポンプの総稼働時間Ti′
で除することにより、流調ポンプが単位時間当りに回分
槽へ原水を供給する吐出量Qi′を求め、原水受入槽か
ら回分槽へ原水を供給する流調ポンプは、供給先の回分
槽の水位が予め定めた下限水位から予め定めた上限水位
に達することで停止するものとし、且つ、原水受入槽に
は上限水位と下限水位の間における1箇所以上の水位を
検出できる水位検出手段を設けると共に、該水位検出手
段により検出した水位変化量に基づく原水の変化容量を
知ることができるものとし、流調ポンプが稼働していな
い間は、原水受入槽の水位変化量に基づく変化容量Vi
dを水位変化に要した経過時間Tiで除することによ
り、原水受入槽への単位時間当りの原水流入量QIを求
め、流調ポンプが稼働している間は、流調ポンプの吐出
量Qi′から原水受入槽における単位時間当りの変化容
量を減ずることによって、原水受入槽への単位時間当り
の原水流入量QIを求め、原水ポンプが稼働していない
における原水受入槽への原水流入量Q IN は単位時間当
の原水流入量QIと経過時間との積として求め、原水
ポンプが稼働している間における原水槽への原水流入量
IN は単位時間当りの原水流入量QIと原水ポンプ稼働
時間との積によって求めるようにしたことを特徴とす
る。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は、第1実施形態に係る回分
式水処理装置の代表的な一例のフローシートで、破砕
機、粗目スクリーンなどを通過して原水槽11に流入し
た原水は原水ポンプP1で流量調整槽12に供給して貯
え、こゝから更に流調ポンプP2で汲上げ、図では省略
したスクリーン槽、汚水計量槽を経て2つの回分槽N
o.1,No.2に時間を違えて供給する(図では回分
槽No.2はNo.1と同一のため省略した)。なお、
スクリーン槽や汚水計量槽は必ずしも必要ではなく、流
量調整槽12から各回分槽へ原水を供給できれば良い
し、流調ポンプP2で各回分槽へ原水を供給する際に、
複数の回分槽へ同時並行的に原水を供給するようにして
も良い。各回分槽No.1,No.2の底部には図示を
省略したが、周知のように曝気と、攪拌とを同時にも、
個別にも行える曝気、撹拌装置が設けてある。
【0010】図1に示す回分式水処理装置においては、
流量調整槽の平面積は40m2、各回分槽の平面積は5
0m2とし、どちらの槽も平面積と水位との積により、
貯水量を簡便に求めることができる形態を採用した。な
お、高さ方向で平面積が変化する複雑な槽形状の原水
槽、流量調整槽、回分槽を用いる場合であっても、予め
用意された演算式や対応表に基づいて、水槽の水位に応
じた貯水量、或いは水位変化量に応じた変化容量を知る
ことができれば、後述する原水の流入量取得方法を実施
する上で支障はない。
【0011】また、各回分槽への1回の原水の流入量は
約60m3とし、各回分槽には水位検出手段として、例
えば、水位上昇方向で連続的に水位を検出できる水位計
LSを設け、回分槽内の水位が例えば5m(200
3)に達すると、これを検出した排水処理制御手段
(図示省略)が、各回分槽No.1,No.2へ分岐し
た原水の流入管13に設けた開閉弁Vを閉じる制御を行
う。斯くして、各回分槽へ規定量の原水が供給される毎
に原水の供給先が変更されるのである。なお、水位検出
手段としては、水位計LSに限らず、レベルスイッチ
(上限水位検出用のフリクトスイッチと下限水位検出用
のフリクトスイッチからなる。)を用いても良いし、超
音波やレーザ等の測距技術を用いた非接触で高精度の水
位検出法を用いても良い。しかしながら、レベルスイッ
チを用いれば、水位検出に際して100mm〜150m
m程度の誤差が含まれるものの、コストを最も抑えるこ
とができるし、COD負荷などを代表水質として採取す
る際の原水流入量の算定には格別の支障はないので、原
水槽11の水位検出手段としてはレベルスイッチLS1
を、流量調整槽12の水位検出手段としてはレベルスイ
ッチLS2を用いるものとした。
【0012】各回分槽No.1とNo.2の処理サイク
ルは通常6時間とし、回分槽No.1とNo.2は1日
4サイクルを3時間宛ずれて交互に行う。各回分槽にお
ける処理サイクルの詳細は、原水が2時間で所定量流入
し、その流入開始と同時に曝気、攪拌装置が曝気と攪拌
を3時間行い、その後、1時間静置して沈殿を行い、次
の1.5時間で上澄水をデカンタ(周知の旋回式上澄水
排水装置)14により次の消毒槽15に排水し、残りの
0.5時間内に槽内の汚泥を排泥するものである。な
お、他の処理サイクルの例としては沈殿、排水、排泥は
上記と同じであるが、脱窒を積極的に行うために原水が
流入する2時間と、その後の沈殿までの1時間の合計3
時間の間、攪拌と曝気を交互に30分宛行うこともあ
る。更に、原水が流入する2時間の間、攪拌だけを行
い、その後、沈殿までの残りの1時間は曝気だけを行う
こともある。
【0013】前記デカンタ14は各回分槽の槽内側壁
の、上澄水排水下限レベル付近に浸漬して設置してあ
り、フロート兼用の排水装置14′を先端に取付けたア
ームを上向きのほゞ垂直に保持しているときは排水を行
わないので、回分槽で攪拌、曝気を行っている間はその
状態に保持する。上澄水を消毒槽15に排水するときは
アームを下向きに旋回させてフロート兼用の排水装置1
4′を水面に位置させ、排水装置14′、アームを通じ
上澄水を消毒槽に排水する。消毒槽に排水する上澄水の
流量は排水装置14′ないし回分槽の液面の下降速度に
よって定まるが、この下降速度は一定で、例えば1.5
時間で消毒槽への排水が完了するように定めてある。排
水が完了すると、アームを上向きのほゞ垂直に保持す
る。消毒槽15に排水された上澄水は塩素消毒器などで
消毒されて放流可能な処理水となり、消毒槽に隣接した
放流槽16に流入し、放流槽からポンプ(図示せず)な
どで放流管17を通じ放流される。なお、工場廃水処理
システム等のように、大腸菌の流入が殆ど無い場合に
は、消毒槽が設置されないこともある。また、回分槽の
上澄水を排出する装置としては、上述したデカンタに限
らず、フロート式などを用いても良い。
【0014】原水槽11から流量調整槽12に原水を供
給する原水ポンプP1は槽内のレベルスイッチLS1で
制御され、槽内の水位がHレベルからLレベルになるま
で作動し、その作動時間に応じた量(例えば、20分で
20m3)の原水を流量調整槽12に供給する。流量調
整槽12から各回分槽No.1,No.2に原水を供給
する流調ポンプP2は各回分槽内の水位計LSで制御さ
れ、槽内の水位がLレベルからHレベルになるまで作動
し、例えば各回分槽に原水を前述のように60m3供給
する。尚、前述のデカンタ14も槽内の水位がHレベル
からLレベルになるまで作動し、消毒槽に上澄水を60
3排水する。
【0015】ここで、上述した水処理装置における流入
と排出に関する既知データと未知データとの関係を整理
し、流量計を使用することなく原水の流入量QINをどの
ように取得するかを明確にする。
【0016】まず、各回分槽No.1,No.2の一回
当たりの原水の受入量V〔m3〕は、下記の(1)式で
示される。
【0017】
【数1】
【0018】また、各回分槽から消毒槽へ上澄水を排出
するデカンターの1時間当りの排水量Qeは、下記の
(2)式で示される。
【0019】
【数2】
【0020】一方、水処理装置としての流入・排出のマ
スバランスを見れば「流入量=排水量」が成立するの
で、原水ポンプP1の吐出量Qiと、流調ポンプP2の吐
出量Qi′と、上記したデカンターの排水量Qeとの間
には、下記の(3)式が成立する。
【0021】
【数3】
【0022】上記(3)式の意味するところは、水処理
装置への流入水処理装置からの排出のマスバラン
スが成立する所定時間幅のサンプリングサイクル中に、
原水ポンプP1が流量調整槽12へ供給した原水の総量
(単位時間当りの吐出量×稼働時間)と、サンプリング
サイクル中に流調ポンプP2が各回分槽へ供給した原水
の総量(単位時間当りの吐出量×稼働時間)と、サンプ
リングサイクル中に両回分槽が流量調整槽から受け入れ
た原水の総流入量(回分槽の1回当りの流入量×両回分
槽の延べ受入回数)と、サンプリングサイクル中に両回
分槽が処理して消毒槽へ放流した放流量(両回分槽の延
べ排水回数×デカンターの上澄水排水量×稼働時間)と
が等しく看做し得るということである。
【0023】なお、回分槽のデカンターによる1時間当
りの上澄排水量は、上記の(3)式および(1)式よ
り、(4)式として求められる。
【0024】
【数4】
【0025】又、原水ポンプP1の吐出量Qiは、上記
(3)式より、下記の(5)式として求められる。
【0026】
【数5】
【0027】同様に、流調ポンプP2の吐出量Qi′
は、下記の(6)式として求められる。
【0028】
【数6】
【0029】即ち、N、A、H、Ti、Ti′は既知、
又は時間計により計測できるものであるから、デカンタ
ーの上澄水排出量Qe、原水ポンプP1の吐出量Qi、
流調ポンプP2の吐出量Qi′はこれ等の知り得た数値
より計算により求めることが可能となる。
【0030】なお、水処理の技術分野においては、一般
に、原水ポンプによる吐出量を原水流入量に充ててCO
D負荷量などの測定に用いている。これは、標準的に用
いられる流量計の原理上、ある程度以上の吐出量になっ
ていなければ流量を検知できないため、少量の原水がチ
ョロチョロと流入することも多い原水流入口側で流量測
定を行うと、少なからぬ計測誤差を生じてしまう可能性
があり、却って原水流入量としての信憑性が薄れるた
め、一定以上の吐出圧で原水を揚送する原水ポンプの吐
出側に流量計を設けて流量測定を行う方が望ましいから
である。従って、本発明において、原水ポンプによる流
量調整槽への原水吐出量を原水の流入量Q INと看做して
取り扱うことに何ら不都合はない。
【0031】上述した如く、原水の流入量QINは、原水
ポンプP1により原水槽から流量調整槽へ吐出された原
水の総量であるから、原水ポンプの吐出量Qiと稼働時
間Tiとの積として求められる。ここにおいて、上記
(3)式は、流入と排出のマスバランスが保たれた所定
時間幅のサンプリングサイクル(S〔h〕)中における
原水流入量QIN〔m3〕=Qi〔m3/h〕×Ti〔h〕
を表しているから、QIN×(24/S)とすれば、1日
当りの原水流入量(サンプリングサイクル中における1
時間当りの平均原水流入量を24倍した総量)を求める
ことが可能となる。
【0032】なお、上述したように原水ポンプP1の吐
出量Qiを求めて原水の流入量を取得する方法を適用す
るためには、少なくとも、サンプリングサイクルの開始
時と終了時における流量調整槽および各回分槽の貯水量
が一定となって、サンプリングサイクル中における流量
調整槽への原水流入量と全回分槽からの処理水放出量と
のマスバランスが保たれていなければならない。この条
件を満たす最も単純なケースは、サンプリングサイクル
の開始時における流量調整槽および各回分槽の水位とサ
ンプリングサイクルの終了時における流量調整槽および
各回分槽の水位が一致していることである。
【0033】また、サンプリングサイクルの開始時と終
了時で流量調整槽および各回分槽の水位が異なっている
場合には、その水位差に応じた原水流入量もしくは処理
水放出量の過不足分を補正することでマスバランスを保
つことができる。そのためには、流量調整槽および各回
分槽の水位差(サンプリングサイクルの開始時と終了時
の貯留容量差)が明確になっていなければならない。
【0034】従って、流量調整槽や回分槽の水位を連続
に計測できる場合であれば、サンプリングサイクルの
開始時と終了時を比較的自由に設定できるのであるが、
上限と下限の2カ所でしか水位を検出できないレベルス
イッチを流量調整槽12の水位検出手段として用いた本
実施形態の回分式水処理装置においては、流入と流出の
マスバランスが保たれるサンプリングサイクルとして、
流量調整槽および各回分槽の水位が同じになる期間を見
い出し、このサンプリングサイクルにおける原水ポンプ
1の吐出量Qiを求め、原水流入量QINを取得しなけ
ればならない。しかしながら、きわめて安価なレベルス
イッチのみを流量調整槽や回分槽に設けた回分式水処理
装置においても原水流入量QINを取得できる点で実用的
価値の高いものである。
【0035】上記のようにして原水流入量QINを取得で
きれば、旧来の如く、高価で電気工事の必要な流量計を
用いることなく、COD、リン、窒素の負荷量、PC
B,ビスフェノールAなどの環境ホルモンやトリクロロ
エチレン,テトラクロロエチレンなどの有機物質の排出
量の他、工場排水に含まれるシアン,クローム,水銀な
どの排出量も求めることができる。なお、COD負荷
は、処理水量とCOD値との積により求めることとなっ
ているが、流入水量と処理水量とが概略同一であること
が分かっている場合には、簡便な処理施設などの処理水
量に換えて流入水量を採用しても特に支障はない。この
ように、流入水量と処理水量をほぼ等しいと看做して良
い水処理装置においては、原水流入量QINを処理水量の
代用としてCOD負荷等を求めることができるので、高
価な流量計などを用いずに回分式水処理装置における原
水流入量QINを取得できる本発明方法は、COD負荷等
を求める上で有用性が高いのである。
【0036】以下、図2〜図10に基づいて、第1実施
形態に係る回分式水処理装置における原水ポンプP1
吐出量Qiの具体的な求め方と、原水流入量QINの求め
方を説明する。
【0037】図2は或る1週間の日曜日から水曜日まで
の各1日の原水ポンプによる流量調整槽への流入パター
ン、図3は木曜日から土曜日までの各1日の原水ポンプ
による流量調整槽への流入パターンであり、図4は上記
1週間の日曜日における回分槽No.1,No.2の水
位と流量調整槽の水位を、図5は上記1週間の月曜日に
おける回分槽No.1,No.2の水位と流量調整槽の
水位を、図6は上記1週間の火曜日における回分槽N
o.1,No.2の水位と流量調整槽の水位を、図7は
上記1週間の水曜日における回分槽No.1,No.2
の水位と流量調整槽の水位を、図8は上記1週間の木曜
日における回分槽No.1,No.2の水位と流量調整
槽の水位を、図9は上記1週間の金曜日における回分槽
No.1,No.2の水位と流量調整槽の水位を、図1
0は上記1週間の土曜日における回分槽No.1,N
o.2の水位と流量調整槽の水位を、各々示す。
【0038】なお、これら図2〜図10では、以下の説
明と演算を容易にするため、実際のパターンよりも単純
化して示してある。原水ポンプや流調ポンプ等の稼働パ
ターンは水処理装置の規模(原水槽や流量調整槽の受入
容量、原水ポンプや流調ポンプの吐出能力)は元より、
原水の流入状況にも大きく左右されるため、標準的なパ
ターンは提示し難いが、例えば、受入容量の小さい原水
槽の原水を流量調整槽へ汲み上げる処理(原水槽の水位
をHレベルからLレベルにする処理)であれば、原水ポ
ンプは6〜10分程度の短時間しか必要としない。一
方、原水槽が大きいと20〜30分程度かかることとな
る。
【0039】まず、第1パターンとして、日曜日に着目
する。日曜日は、図4に示すように、流量調整槽と回分
No.2の水位が共にHレベルの状態から丸1日(2
4時間)経過後に再び同じ状態(共にHレベル)とな
り、回分槽No.1の水位がLレベルの状態から丸1日
(24時間)経過後に再び同じ状態(Lレベル)とな
り、日曜日0時における流量調整槽と回分槽NO.1,
No.2に貯留された総貯留量と、日曜日24時(月曜
日の0時)における流量調整槽と回分槽NO.1,N
o.2に貯留された総貯留量が一致し、この間における
流量調整槽への原水流入量と回分槽NO.1,No.2
からの処理水放出量とのマスバランスが保持される。よ
って、この24時間をサンプリングサイクルに設定すれ
ば、この日のQi(必要に応じて、Qi′又はQe)を
求めることができる。
【0040】この日、回分槽No1,No2は、共に4
回の処理サイクルを行っているから、両回分槽の受水と
排水の延べ回数Nは8回となり、上述した如く各回分槽
の1回の原水の流入量は約60m3であるから、2つの
回分槽を合わせた原水の受け入れ水量の総計は480
〔m3/サイクル〕である。一方、原水ポンプP1の稼動
時間Tiは、図2から480〔分/サイクル〕=8〔h
/サイクル〕と分かる。よって、上記(5)式より、Q
i=8×60/8=60〔m3/h〕を原水ポンプP1
吐出量として得ることができる。
【0041】上記のようにして原水ポンプP1の吐出量
Qiが求まれば、原水ポンプP1の稼働時間との積によ
り原水の流入量QINを取得できる。なお、原水ポンプP
1の稼働時間は図2に示されているように既知である。
【0042】例えば、0時から1時における原水ポンプ
1の稼働時間Ti01は20〔分〕=1/3〔h〕であ
るから、原水流入量QIN 00-01=Qi×Ti01=60×
(1/3)=20〔m3〕となる。以下、1時間毎の稼
働時間から同様に、QIN 01-02=0、QIN 02-03=20、
IN 03-04=0、QIN 04-05=0、QIN 05-06=20、Q
IN 06-07=20、QIN 07-08=60、QIN 08-09=20、
IN 09-10=20、QIN 10 -11=0、QIN 11-12=20、
IN 12-13=20、QIN 13-14=20、QIN 14-15=0、
IN 15-16=20、QIN 16-17=20、QIN 17-18=4
0、QIN 18-19=40、QIN 19-20=40、QIN 20-21
20、QIN 21-22=20、QIN 22-23=20、QIN 23-24
=20が求められる。なお、原水流入量QIN 00-01〜Q
IN 23-24までの24時間分を加算すると480〔m3〕と
なる。
【0043】上述したように、比較的頻繁に稼働・停止
が繰り返される原水ポンプP1の吐出量Qiが求まれ
ば、原水の流入量QINを細かい時間単位で取得できるの
であるが、流調ポンプP2の吐出量Qi′を求めて原水
の流入量QINを取得することも不可能ではない。そこ
で、以下に、第1パターンにおける流調ポンプP2の吐
出量Qi′の求め方およびQi′を用いたQINの取得方
法につき説明しておく。
【0044】流調ポンプP2の稼動時間Ti′は、図4
における回分槽の水位上昇部分から把握でき、2時間の
稼働が各回分槽毎に4回あるので、Ti′=2×4×2
=16〔h/サイクル〕と分かる。そして、2つの回分
槽を合わせた原水の受け入れ水量の総計は480〔m3
/サイクル〕であるから、上記(6)式より、流調ポン
プP2の吐出量Qi′=480/16=30〔m3/h〕
と求まる。
【0045】例えば、0時から1時における流調ポンプ
2の稼働時間Ti′01は1.0〔h〕であるから、原
水流入量QIN 00-01=Qi′×Ti′01=30×1=3
0〔m3〕となる。以下、1時間毎の稼働時間から同様
に、QIN 01-02=30、QIN 02 -03=0、QIN 03-04=3
0、QIN 04-05=30、QIN 05-06=0、QIN 06-07=3
0、QIN 07-08=30、QIN 08-09=0、QIN 09-10=3
0、QIN 10-11=30、Q IN 11-12=0、QIN 12-13=3
0、QIN 13-14=30、QIN 14-15=0、QIN 15-16=3
0、QIN 16-17=30、QIN 17-18=0、QIN 18-19=3
0、QIN 19-20=30、QIN 20-21=0、QIN 21-22=3
0、QIN 22-23=30、QIN 23-24=0が求められる。な
お、流調ポンプP2の吐出量Qi′を使って求めた原水
流入量QIN 00-01〜QIN 23-24までの24時間分を加算す
ると480〔m3〕となる。このように、原水ポンプP1
によって原水槽11から流量調整槽12へ汲み上げられ
た水量として取得した24時間分の原水流入量(480
〔m3〕)と、流調ポンプP2によって流量調整槽12か
ら各回分槽へ汲み上げら得た水量として取得した24時
間分の原水流入量とが同じになるので、原水ポンプP1
の吐出量Qiに基づく原水流入量の取得が困難なケース
においては、流調ポンプP2の吐出量Qi′に基づく原
水流入量の取得方法で代用できる。
【0046】また、第1パターンにおけるデカンターの
上澄水排出量Qeの求め方と処理水排出量QOUTの取得
方法についても説明しておく。
【0047】サンプリングサイクル中に回分槽No.
1,No.2は各々4回宛て処理サイクルを行ってお
り、各処理サイクルでデカンターが規定量(60m3
の上澄水を排出するのに一律2時間を要しているから、
Te=2〔h/回〕である。よって、(4)式より、デ
カンターの上澄水排出量Qe=60〔m3/回〕/2
〔h/回〕=30〔m3/h〕が求められる。
【0048】例えば、0時から1時には何れの回分槽も
処理水の排出を行っていないので、デカンターの上澄水
排出時間Te01は0〔h〕であるから、処理水排出量Q
OUT 0 0-01=0,1時から2時には回分槽No.2が処理
水の排出を行っており、デカンターの上澄水排出時間T
02は1〔h〕であるから、処理水排出量QOUT 01-02
30×Te02=30×1=30〔m3〕となる。以下、
1時間毎のデカンターの排出時間から同様に、QOUT
02-03=30、QOUT 03-04=0、QOUT 04-05=30、Q
OUT 05-06=30、QOUT 06-07=0、QOUT 07-08=30、
OUT 08-09=30、QOUT 09-10=0、QOUT 10-11=3
0、QOUT 11-12=30、QOUT 12-13=0、QOU T 13-14
30、QOUT 14-15=30、QOUT 15-16=0、QOUT 16-17
=30、QOUT 1 7-18=30、QOUT 18-19=0、QOUT
19-20=30、QOUT 20-21=30、QOUT 21- 22=0、Q
OUT 22-23=30、QOUT 23-24=30が求められる。な
お、デカンターの上澄水排出量Qeを使って求めた処理
水排出量QOUT 00-01〜QOUT 23-24までの24時間分を加
算しても480〔m3〕となることから、上述したQi
もしくはQi′に基づき取得した24時間分のQINと一
致し、流入と排出のバランスが保たれていることが確認
できた。
【0049】次に、第2パターンとして、流量調整槽と
回分槽の貯水状態が再び同じになる(マスバランスが保
持される)のに1日以上を要する場合、例えば、図5の
月曜0時から図6の火曜21時迄をサンプリングサイク
ルに設定し、原水ポンプP1の吐出量Qiの具体的な求
め方と、原水流入量QINの求め方を説明する。
【0050】このサンプリングサイクル中に、回分槽N
o.1,No.2は各々6回宛て処理サイクルを行って
おり(N=6×2=12)、2つの回分槽を合わせた原
水の受け入れ水量の総計は720〔m3/サイクル〕で
ある。一方、サンプリングサイクル中における原水ポン
プP1の稼動時間Tiは、図2の月曜および火曜の稼働
状況から360+360=720〔分/サイクル〕=1
2〔h/サイクル〕と分かる。よって、上記(5)式よ
り、Qi=12×60/12=60〔m3/h〕を原水
ポンプP1の吐出量として求められる。そして、原水ポ
ンプP1の吐出量Qiが求まれば、上述した第1パター
ンと同様に、原水ポンプP1の稼働時間との積により原
水の流入量QINを取得できる。
【0051】なお、この第2パターンにおける流調ポン
プP2の吐出量Qi′およびデカンターの上澄水排出量
Qeの求め方も、上述した第1パターンのそれと同様で
あるから、省略する。
【0052】次に、第3パターンとして、流量調整槽と
回分槽の状態が同じになるのに4日以上を要する場合、
例えば、図6の火曜21時から図10の土曜24時迄を
サンプリングサイクルに設定した例を説明する。
【0053】このサンプリングサイクル中に、回分槽N
o.1,No.2は各々14回宛て処理サイクルを行っ
ており(N=14×2=28)、2つの回分槽を合わせ
た原水の受け入れ水量の総計は1680〔m3/サイク
ル〕である。一方、原水ポンプP1の稼動時間Tiは、
図2および図3から40+400+380+400+4
60=1680〔分/サイクル〕=28〔h/サイク
ル〕と分かる。よって、上記(7)式より、Qi=28
×60/28=60〔m3/h〕として、原水ポンプP1
の吐出量を求めることができる。
【0054】このように、原水ポンプP1の吐出量Qi
が求まれば、原水ポンプTiとの積によって原水流入量
を取得できるのは、上述した第1パターンおよび第2パ
ターンと同様である。また、この第3パターンにおける
流調ポンプP2の吐出量Qi′およびデカンターの上澄
水排出量Qeの求め方も、上述した第1パターンのそれ
と同様であるから、省略する。
【0055】ここで、上述した第1パターン〜第3パタ
ーンにより求めた原水ポンプP1の吐出量が、いずれも
Qi=60〔m3/h〕であることが分かる。すなわ
ち、サンプリングサイクルとして例示した24時間,4
5時間,99時間といった比較的短いスパンで見ると、
原水ポンプP1や流調ポンプP2、デカンター等の機器性
能に劣化が生じない一定性能と看做すことができるし、
流入する原水の水質もポンプ等の吐出性能に影響を与え
る程に顕著な変化も無いものとして取り扱って差し支え
ないのである。従って、Qiが一度求まれば、その後に
逐次Qiを求めるまでもなく、このQiと原水ポンプP
1の稼働時間とから原水流入量を取得するようにしても
良い。
【0056】斯くすれば、最初の日曜日の24時間で原
水ポンプP1の吐出量Qiが求まった後は、このQiと
原水ポンプP1の稼働時間Tiに基づいて、原水の流入
量QI Nを求めることができるので、敢えて月曜日0時か
ら火曜日21時にかけてのサンプリングサイクルが終了
して原水ポンプP1の吐出量Qiが求まるのを待つこと
なく、リアルタイムに原水流入量を取得することが可能
となる。
【0057】なお、既に求まった原水ポンプP1の吐出
量Qiを用いて原水流入量QINを取得してゆく場合で
も、サンプリングサイクルが経過した時点で、検証のた
めに原水ポンプP1の吐出量Qiを求め、その直前のサ
ンプリングサイクルで求まった原水ポンプP1の吐出量
Qiと比較するようにしても良い。そして、比較結果に
無視できない程の差異がある場合には、その数値の正当
性について判断できることが望ましい。このため、サン
プリングサイクル毎に求めた原水ポンプP1の吐出量Q
iをデータベース化しておけば、新たに求まった数値が
予測不可能な誤差要因に基づくものか、原水ポンプP1
の故障等による慢性的な変化状態であるのかを判断する
材料として利用できる。
【0058】次に、流量調整槽の水位(すなわち貯水
量)と各回分槽の水位がサンプリングサイクルの開始時
と終了時で異なっている場合のQiの求め方を説明す
る。なお、この方法による場合は、流量調整槽の水位検
出手段として、上限及び下限の水位検出しかできなレベ
ルスイッチのみでは不十分であり、少なくとも上限と下
限の間における水位を適宜間隔で測定できるようにして
おく必要がある。すなわち、既述したように、サンプリ
ングサイクルの開始時と終了時における回分式水処理装
置への流入と排出のマスバランスが保持されていなけれ
ば、原水ポンプP1の吐出量Qiを求めることはでき
ず、従って、原水流入量QINも求められないのである。
【0059】サンプリングサイクルの開始時と終了時の
水位が違う第4パターンとして、月曜日の0時〜24時
の24hをサンプリングサイクルに採用して、Qiを求
める例を説明する。
【0060】まず、図5にて流量調整槽の水位変化を調
べると、サンプリングサイクルの開始時である0時には
水位が3.0mであるのに対して、サンプリングサイク
ルの終了時である24時には水位が1.5mとなってい
るから、その水位差H′=−1.5である。流量調整槽
の平面積A′=40m2であるから、この差分容量Vo
=A′・H′=−1.5×40=−60m3である。
【0061】一方、このサンプリングサイクル中、回分
槽No.1は3回の上澄水排出を行い、回分槽No.2
は4回の上澄水排出を行っているからN=7〔回/サイ
クル〕で、回分槽から消毒槽へ移された上澄水の総量
は、N×V=60×7=420〔m3/サイクル〕であ
る。すなわち、サンプリングサイクルの開始時と終了時
における流量調整槽の水位が同じならば、当該サンプリ
ングサイクル中に流量調整槽から各回分槽へ移された原
水の総量は420〔m3/サイクル〕なのである。
【0062】しかしながら、実際には、原水ポンプP1
が原水槽から流量調整槽へ移した水量よりもVo〔m3
/サイクル〕だけ多く回分槽へ移されたこととなるか
ら、原水ポンプP1の吐出量として考えると、下記の
(7)式が成立する。
【0063】
【数7】
【0064】したがって、Qi={420+(−6
0)}/Ti=360/Tiとなる。そして、図2から
分かるように、月曜日の原水ポンプP1の稼働時間Ti
=360分=6hであるから、上式に代入して、原水ポ
ンプP1の吐出量Qi=360/6=60〔m3/h〕と
なり、第1〜第3パターンにて取得したQiと一致する
ことが分かる。
【0065】このように、サンプリングサイクルの開始
時と終了時で流量調整槽の水位が違う場合には、その水
位差に基づく流量調整槽の変化容量Voをを用いて、サ
ンプリングサイクル中における流量調整槽への原水流入
量とサンプリングサイクル中における全回分槽からの処
理水放出量が等しくなるように補正することでマスバ
ランスを保持することが可能となり、上述した第1パタ
ーン〜第3パターンと同様に、原水ポンプP1の吐出量
Qiを求めることができ、原水ポンプP1の稼働時間を
積算することで原水の流入量QINを取得できるのであ
る。
【0066】また、変化容量Voは、流量調整槽の水位
がサンプリングサイクルの開始時と終了時で異なる場合
だけでなく、回分槽の水位が異なる場合のマスバランス
補正にも適用できるし、流量調整槽と回分槽の両方の水
位がサンプリングサイクルの開始時と終了時で異なる場
合のマスバランス補正にも適用できる。
【0067】以上説明した如く、原水ポンプP1の吐出
量Qiを用いて原水流入量QINを取得する方法によれ
ば、簡便な方法で原水流入量QINを概算できる。しかし
ながら、この方法により求めた原水ポンプP1の吐出量
Qiと原水ポンプP1との積として取得した原水流入量
INは、原水ポンプP1の稼働時間にのみ依存した値と
なってしまうため、原水流入量の少ない深夜などには、
実際の流入状況とは随分異なるものとなってしまう。例
えば、深夜だと2〜4時間に一度しか原水ポンプP 1
稼働しないようなこともあるため、原水ポンプP1の稼
働していない間は原水流入量がゼロとなってしまうので
ある。しかし、実際には、少量ながらも原水は流入して
いることが通常であり、上述した原水ポンプP1の吐出
量Qiと原水ポンプP1との積として原水流入量QIN
取得する方法では、このような実際の流入状況を反映し
た原水流入量を取得することができないのである。
【0068】そこで、以下に、より実際の原水流入状況
を反映した原水流入量QINの取得方法を説明する。な
お、そのためには、原水槽の水位変化量Hiを細かく測
定できる必要があるため、上限と下限の間に少なくとも
1個以上のレベルスイッチを配したり、精度の良い水位
計などを水位検出手段に用いる。
【0069】まず、原水ポンプP1が停止している間
は、原水槽の水位増加に基づく変化容量Vid〔m3〕が
そのまま原水流入量QINとなるから、原水槽の平面積を
Ai〔m2〕、水位の変化量をHi〔m〕、変化に要し
た時間をTi〔h〕とすると、単位時間当りの原水流入
量を示すQI〔m3/h〕は、下記の(8)式で表され
る。
【0070】
【数8】
【0071】このQIと経過時間TIとの積を求めるこ
とにより、原水流入量QINを取得できる。なお、1時間
を単位として原水流入量QINを取得する場合であれば、
例えば、日曜日の午前1時〜2時の間や3時〜5時の間
に対してはそのまま適用することができ、経過時間TI
=1〔h〕であるから、原水の流入量QIN=QI×TI
=QI×1=QI〔m3〕として原水流入量を取得でき
る。
【0072】上述した(8)式において必要となる原水
槽内変化容量Vid(本実施形態においては、原水槽の
高さ方向で平面積Aiを一定としたので、実質的には水
位の変化量Hi〔m〕)は、原水ポンプP1が稼働して
いない時間内の変化量として取得することが最低条件で
あるから、例えば、原水ポンプP1が停止するLレベル
から次に原水ポンプP1が稼働を始めるHレベルまでの
水位差を水位の変化量Hiとすれば、Hiは常に一定値
と取り扱って良いから、実質的には原水ポンプP1が再
稼働するまでの時間を変化に要した時間Tiとして計時
できればQIを求めることが可能となり、回分式水処理
装置からのデータ収集やQINの演算が簡単になるという
利点がある。
【0073】その反面、生活排水の少ない深夜など、原
水ポンプP1が再稼働するまで(原水槽の水位がLレベ
ルからHレベルになる迄)の時間が3時間〜4時間にも
及ぶ場合には、その間における各時間毎の原水流入量Q
INが単位時間当たりの原水流入量QIと同じになってし
まうため、実際の流入状況を反映しているとは言えなく
なってしまう。これを回避するためには、変化に要した
時間Tiが長くなり過ぎない程度(例えば1時間)に抑
え、Tiが経過した時の水位の変化量をHiとして求め
れば良い。しかしながら、水位の変化量Hi〔m〕や変
化に要した時間Ti〔h〕をどのようなタイミングで計
測するかは任意設計事項の範囲のもので、回分式水処理
装置の利用環境に応じたノウハウにより適宜に定めれば
良いことである。無論、上述したと同様に、平面積が高
さ方向で同一となる形状の原水槽を用いなくても、水位
変化量に基づく変化容量を知ることができれば、どのよ
うな形状の原水槽を用いても良い。
【0074】続いて、原水ポンプP1が稼働している場
合に、実際の流入状況を反映した原水流入量QINを取得
する方法について説明する。
【0075】原水ポンプP1が稼働している間は、原水
ポンプP1の吐出量Qiに応じて原水槽から流量調整槽
へ原水が移されているために、原水槽内の水検出手段に
より検出した水位変化に基づく変化容量Vidと変化に
要した時間Tidのみから、単位時間当たりの原水流入
量QIを直接取得することはできない。しかしながら、
原水槽における原水ポンプ稼働時における流入と排出の
マスバランスで考えると、原水ポンプP1によって原水
槽の水位がHレベルからLレベルになるまでに流量調整
槽へ移された原水量は、原水ポンプP1が稼働する前に
原水槽のLレベルからHレベルまでに貯留されていた原
水量αと原水ポンプP1が稼働している間に原水槽へ流
入した原水量βとを合わせた量に等しくなる。
【0076】従って、原水ポンプP1の吐出量Qi〔m3
/h〕と原水槽の平面積Ai〔m2〕と原水槽のHレベ
ルからLレベルの水位差HiL-H〔m〕と原水ポンプP1
の稼働時間Ti〔h〕との間には、下記の(9)式の関
係が成り立つ。
【0077】
【数9】
【0078】上記(9)式におけるβとは、原水ポンプ
1が稼働しているTi時間中に原水槽へ流入した原水
の総量QINであるから、これを時間Tiで除すれば、単
位時間当りの原水流入量QI〔m3/h〕を求めること
ができる。
【0079】
【数10】
【0080】このように、原水ポンプP1が稼働してい
る間における原水槽への原水流入量QINは、原水槽の水
位がHレベルからLレベルになるまでに要した時間Ti
が分かれば、ポンプP1の吐出量Qi〔m3/h〕と既知
である原水槽の平面積Ai〔m2〕と原水槽のHレベル
からLレベルの水位差HiL-H〔m〕のみによって求め
ることができるので、原水槽のHレベルとLレベルとの
間に別途設けたレベルスイッチの検出情報やその所要時
間を取り扱う必要がないので、データ処理が簡単にな
る。
【0081】なお、一般的な水処理装置においては、原
水ポンプP1が原水槽の水位をHレベルからLレベルに
するのに長時間を要することは極めてまれであるが、全
く起こり得ない訳ではない。このように、原水ポンプP
1が原水槽の水位をHレベルからLレベルにするまでの
稼働時間が長時間に亘るような場合には、原水流入量Q
I〔m3/h〕が求まるまでに長時間を要することとな
るため、原水流入量QIを取得する際の即時性に欠けて
しまう。そこで、以下に、原水ポンプP1が稼働を開始
してから停止するまでの時間Tiが経過する前に原水流
入量QIを求める方法について説明する。
【0082】例えば、原水槽への原水流入の計測を行う
基準時から時間Tid〔h〕だけ経過した時の原水槽に
おける水位変化量をHid〔m〕、該水位変化に基づく
変化容量をVid〔m3〕とすると、その間における単位
時間当たりの原水流入量QI〔m3/h〕は、下記の
(11)式のように表される。
【0083】
【数11】
【0084】なお、上記の(11)式における水位変化
量Hidは、HレベルからLレベルへの水位変化を正の
符号とし、逆にLレベルからHレベルへの変化を負の符
号とする。一般的な水処理装置では、「原水ポンプの吐
出量Qi>原水の流入量QI」であるから、通常時は原
水槽の水位が減って行くこととなる。しかし、原水ポン
プP1が稼働しているにも拘わらず、原水槽の水位が上
昇する場合は、原水流入量QI〔m3/h〕が原水ポン
プP1の吐出量Qi〔m3/h〕を上回っているためであ
り、原水ポンプP1の吐出量Qiを上回って増加した量
(Ai×Hid/Tid)だけ多く流入していることか
ら、QI>Qiとなるのである。
【0085】また、原水槽の水位変化量Hid=0の場
合は、Ai×Hid/Tid=0であるから、QI=Qi
となることを示す。つまり、原水の流入と原水ポンプP
1による流調槽への吐出量とが平衡しているため、見か
け上は原水槽の水位が変化しないのである。
【0086】更に、上述した(11)式における経過時
間Tidは、「計測基準時間≦Tid≦Ti」の範囲にお
いて有効な数値としての信頼性が高いものとなる。例え
ば、Tidが計測基準時間よりも短い場合、具体的に例
示すると、COD測定の計測が1時間毎(薬品を使用し
て求める場合)で経過時間Tidが20分であった場合
には、水位変化量Hidを計測したTid(経過時間20
分)の間だけ原水流入量が多かったり、逆に少なかった
りしても、この流入状況を残りの40分にも同様に適用
してしまうこととなるため、却って誤差が広がる可能性
も有り、現実に近い原水流入量の取得という観点からは
望ましくないのである。なお、近時はCODをUV値と
の相関により換算して求める計測法が一般的で、その計
測時間は通常2分間隔である。因みに、Tid=計測基
準時間(例えば2分)となるようにHidの測定を行え
ば、COD測定毎に実際の原水流入量を取得できるが、
それには原水槽の水位を細かく測定できなければならな
いため、極めて短い間隔でリミットスイッチを設けたり
高価な水位計を設ける必要が生じ、コスト増は否めな
い。
【0087】次に、原水槽および流量調整槽の機能を兼
ねる原水受入槽に原水が直接流入する回分式水処理装置
の場合について説明する。
【0088】第2実施形態を示す図11は、受水容量の
大きな流量調整槽12を、原水槽の機能を兼ねる原水受
入槽として用いた回分式水処理装置のフローシートであ
り、原水は流量調整槽12へ直接流入するものである。
尚、流量調整槽の機能を兼ねる原水槽を原水受入槽とし
て用いるようにしても良い。また、本図において、図1
と同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
【0089】この流量調整槽12が原水槽を兼ねる第2
実施形態の回分式水処理装置も、図1で示した第1実施
形態に係る回分式水処理装置と同様に、流量調整槽への
流入量と回分槽からの排出量とのマスバランスが保持さ
れるサンプリングサイクルにおいては、上述した(6)
式が成り立つから、流調ポンプP2の吐出量Qi′を求
めることができ、流調ポンプP2の稼働時間Ti′との
積から原水の流入量QI Nを求めることができる。なお、
各回分槽から消毒槽へ上澄水を排出するデカンターの1
時間当りの排水量Qeは、原水槽を有する上記第1実施
形態と同様に考えることができるから、既述の(4)式
がそのまま適用できる。
【0090】また、サンプリングサイクルの開始時にお
ける流量調整槽および各回分槽の水位と、サンプリング
サイクルの終了時における流量調整槽および各回分槽の
水位が異なっている場合でも、図1の実施形態と同様、
その水位差に応じた流入量と排出量の不均衡を補正して
やれば、マスバランスを保持できる。例えば、サンプリ
ングサイクルの開始時と終了時とで、各回分槽の水位は
同じであるが、原水槽を兼ねる流量調整槽の水位が低か
った場合は、流調ポンプP2が流量調整槽から各回分槽
へ移した水量よりも流量調整槽の水位差に応じた容量V
o〔m3/サイクル〕だけ多く回分槽へ移されたことと
なるから、流調ポンプP2の吐出量Qi′として考える
と、下記の(12)式が成立する。
【0091】
【数12】
【0092】したがって、上述した第1実施形態に係る
回分式水処理装置と同様に、流量調整槽の水位と各回分
槽の水位がどちらも同じになるまでの期間をサンプリン
グサイクルとしなくても、流調ポンプP2の吐出量Q
i′〔m3/h〕を求めることができ、流調ポンプP2
吐出量Qi′と流調ポンプP2の稼働時間Tiとの積に
よって、原水の流入量QIN〔m3〕を取得できるのであ
る。
【0093】また、随時サンプリングサイクルを設定し
て流調ポンプP2の吐出量Qi′を求めるまでもなく、
既に求まった流調ポンプP2の吐出量Qi′を流用し
て、その後の流調ポンプP2の稼働時間Tiから原水の
流入量QINを取得するようにしても良い。
【0094】続いて、上述した第1実施形態と同様に、
実際の流入状況に即した原水流入量を取得する方法につ
いて説明する。この場合、この第2実施形態に係る回分
式水処理装置では、流量調整槽の水位変化量Hiを細か
く測定できる必要があるため、流量調整槽の上限と下限
の間に少なくとも1個以上のレベルスイッチを配した
り、精度の良い水位計などを水位検出手段に用いるもの
とする。
【0095】まず、流調ポンプP2が停止している間
は、流量調整槽の水位増加に基づく変化容量Vid′
〔m3〕がそのまま原水流入量QINとなるから、流量調
整槽の平面積をAi′〔m2〕、水位の変化量をHi′
〔m〕、変化に要した時間をTi′〔h〕とすると、単
位時間当りの原水流入量を示すQI〔m3/h〕は、下
記の(13)式で表される。
【0096】
【数13】
【0097】このQIと経過時間TIとの積を求めるこ
とにより、原水流入量QINを取得できる。
【0098】なお、原水槽を流量調整槽が兼ねる第2実
施形態においては、流量調整槽から回分槽への原水供給
タイミングは、回分槽の処理サイクルに依存することと
なるので、ほぼ一定の周期で流調ポンプP2が稼働し
て、回分槽の水位をLレベルからHレベルにすると停止
する。この時、流調ポンプP2の吐出量Qi′は変化し
ないものと考えて良いので、流調ポンプP2が稼働する
時間Ti′もほぼ一定となる。なお、流量調整槽12か
ら図示を省略した汚水計量槽を介して各回分槽へ原水を
供給する場合、流調ポンプP2の吐出量自体は流量調整
槽の水位によって多少変化することとなるものの、流調
ポンプP2により汚水計量槽を経て回分槽に供給される
原水の流入速度〔m3/h〕は、汚水計量槽の構造によ
り一定となるので、汚水計量槽から各回分槽への原水流
入速度を流調ポンプP2の吐出量Qi′〔m3/h〕と看
做せば、実質的な影響はない。これらを踏まえて、流調
ポンプP2が稼働している間の原水流入量QINの求め方
を説明する。
【0099】流調ポンプP2が稼働している間は、流調
ポンプP2の吐出量Qi′に応じて流量調整槽から回分
槽へ原水が移されているために、流量調整槽内の水検出
手段により検出した水位変化に基づく変化容量Vid′
と変化に要した時間Tid′のみから、単位時間当たり
の原水流入量QIを直接取得することはできない。しか
しながら、流量調整槽における流調ポンプ稼働時におけ
る流入と排出のマスバランスで考えると、流調ポンプP
2によって回分槽の水位がレベル1(流調ポンプP2の作
動開始時の水位レベル)からレベル2(流調ポンプP2
の停止時の水位レベル)になるまでに移された原水量
は、回分槽の1回の受入容量V〔m3〕に等しい。
【0100】そこで、先ず、流調ポンプP2の稼働時に
流量調整槽へ原水が流入していない場合を考えると、流
調ポンプP2の稼働時の流量調整槽の水位をレベル1、
吐出量Qi′でTi′時間かけて回分槽の水位をHレベ
ルにした時の流量調整槽の水位をレベル2とし、レベル
1からレベル2までの水位差をHi1-2〔m〕、流量調
整槽の水面積をAi′〔m2〕とすれば、下記の(1
4)式が成立する。
【0101】
【数14】
【0102】一方、流調ポンプP2の稼働中に流量調整
槽へ原水が流入すると、流調ポンプが停止した時点の水
位はレベル2よりも高いレベル(レベル1に近いレベ
ル)に止まることとなり、レベル1からの水位差をHi
d′〔m〕とすると、上述したHi1-2とHid′との水
位差に相当する原水が流入したものと考えられる。従っ
て、流調ポンプP2が稼働したTi′〔h〕の間におけ
る流量調整槽への原水流入量QIN〔m3〕は、下記の
(15)式によって取得できる。
【0103】
【数15】
【0104】なお、上記の(15)式で取得できるQIN
〔m3〕は、流調ポンプP2が稼働したTi′時間の総流
入量であるから、これを時間Ti′で除すれば、単位時
間当りの原水流入量QI〔m3/h〕を求めることがで
きる。すなわち、QIは下記の(16)式のようにな
る。
【0105】
【数16】
【0106】このように、単位時間当りの原水流入量Q
Iを求めておけば、回分槽の水位がHレベルとなって流
調ポンプが停止するまでの時間Tiを待つことなく、流
調ポンプP2の稼働時間Tid′とその間における流量調
整槽の水位変化量Hid′を検出することで、流調ポン
プP2が稼働している間における流量調整槽への原水流
入量QINを取得できるのである。
【0107】なお、(16)式における「Ai′×Hi
d′/Ti′」は、流量調整槽における単位時間当りの
変化容量を求めるものである。すなわち、原水の流入が
なければ、流量調整槽における単位時間当りの変化容量
は流調ポンプP2の吐出量に等しくなるのであるが、原
水が流入しているために変化容量が減少し、その差分が
単位時間当りの原水流入量となるのである。因みに、流
調ポンプP2の稼働中におけるTid′経過時に水位が増
えていた場合には、水位変化がマイナスとなる(流量調
整槽のHレベルからLレベル方向への水位変化を正と
し、その逆の水位変化をマイナスとする)ために、単位
時間当りの変化容量もマイナスとなって、単位時間当り
の原水流入量は流調ポンプP2の吐出量Qi′よりも大
きいものとなる。
【0108】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発
明によれば、原水槽から流量調整槽へ原水を供給する原
水ポンプの吐出量Qiを求め、この原水ポンプの吐出量
Qiを原水ポンプの稼働時間と積によって原水流入量Q
INを取得できるので、旧来の如く、高価で電気工事の必
要な流量計を用いることなく、COD、リン、窒素の負
荷量、PCB,ビスフェノールAなどの環境ホルモンや
トリクロロエチレン,テトラクロロエチレンなどの有機
物質の排出量の他、工場排水に含まれるシアン,クロー
ム,水銀などの排出量も求めることができる。しかも、
原水ポンプの吐出量Qiと原水ポンプの稼働時間との積
による原水流入量の取得方法が適用できるのはサンプリ
ングサイクル中だけでなく、一旦、原水ポンプの吐出量
Qiが求まれば、その後の原水ポンプの稼働時間との積
により原水流入量QINを時間差無く随時取得できる。
【0109】また、請求項2に係る発明によれば、原水
ポンプが稼働してない時の原水流入量と原水ポンプが稼
働しているときの原水流入量とを個別に取得できるの
で、より現実の流入状況に即した原水流入量を取得する
ことが可能となる。
【0110】また、請求項3に係る発明によれば、原水
槽および流量調整槽の機能を兼ねる原水受入槽から回分
槽へ原水を供給する流調ポンプの吐出量Qi′を求め、
この流調ポンプの吐出量を流調ポンプの稼働時間と積に
よって原水流入量QINを取得できるので、旧来の如く、
高価で電気工事の必要な流量計を用いることなく、CO
D、リン、窒素の負荷量、PCB,ビスフェノールAな
どの環境ホルモンやトリクロロエチレン,テトラクロロ
エチレンなどの有機物質の排出量の他、工場排水に含ま
れるシアン,クローム,水銀などの排出量も求めること
ができる。しかも、流調ポンプの吐出量Qi′と流調ポ
ンプの稼働時間との積による原水流入量の取得方法が適
用できるのはサンプリングサイクル中だけでなく、一
旦、流調ポンプの吐出量Qi′が求まれば、その後の流
調ポンプの稼働時間との積により原水流入量QINを時間
差無く随時取得できる。
【0111】また、請求項4に係る発明によれば、流調
ポンプが稼働してない時の原水流入量と流調ポンプが稼
働しているときの原水流入量とを個別に取得できるの
で、より現実の流入状況に即した原水流入量を取得する
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る回分式水処理装置のフロー
シートである。
【図2】或る1週間の日曜日から水曜日までの各1日の
原水ポンプによる流量調整槽への流入パターン図であ
る。
【図3】或る1週間の木曜日から土曜日までの各1日の
原水ポンプによる流量調整槽への流入パターン図であ
る。
【図4】日曜日における回分槽No.1,No.2の水
位と流量調整槽の水位変化を示す図である。
【図5】月曜日における回分槽No.1,No.2の水
位と流量調整槽の水位変化を示す図である。
【図6】火曜日における回分槽No.1,No.2の水
位と流量調整槽の水位変化を示す図である。
【図7】水曜日における回分槽No.1,No.2の水
位と流量調整槽の水位変化を示す図である。
【図8】木曜日における回分槽No.1,No.2の水
位と流量調整槽の水位変化を示す図である。
【図9】金曜日における回分槽No.1,No.2の水
位と流量調整槽の水位変化を示す図である。
【図10】土曜日における回分槽No.1,No.2の
水位と流量調整槽の水位変化を示す図である。
【図11】流量調整槽が原水槽を兼ねる第2実施形態に
係る回分式水処理装置のフローシートである。
【符号の説明】
11 原水槽 12 流量調整槽 15 消毒槽 16 放流槽 P1 原水ポンプ P2 流調ポンプ

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原水槽に流入した原水を原水ポンプによ
    り流量調整槽に供給し、流量調整槽から流調ポンプによ
    り複数の回分槽に供給し、各回分槽内で原水を処理して
    排出する回分式水処理装置における原水流入量取得方法
    であって、 水位変化に基づく変化容量を知ることができる流量調整
    槽には水位検出手段を設け、各回分槽は排水開始水位と
    排水終了水位が一定であることに基づき一回の処理水排
    出量を既知とし、任意の期間の前後で 全回分槽が排出した処理水排出
    と全回分槽が流量調整槽から受けた原水受入総量が等し
    いと扱えるようにマスバランスを保持できる期間をサン
    プリングサイクルとし、 上記マスバランスを保持できる全回分槽の処理水排出総
    量を、原水槽から流量調整槽への原水受入総量と看做し
    て、この原水受入量を当該サンプリングサイクル中に
    おける原水ポンプの総稼働時間Tiで除することによ
    り、原水ポンプが単位時間当りに流量調整槽へ原水を供
    給する吐出量Qiを求め、上記 原水ポンプの吐出量Qiと原水ポンプの実際の稼働
    時間との積を、原水槽への原水流入量QIN と看做すよう
    にしたことを特徴とする回分式水処理装置における原水
    流入量取得方法。
  2. 【請求項2】 原水槽に流入した原水を原水ポンプによ
    り流量調整槽に供給し、流量調整槽から流調ポンプによ
    り複数の回分槽に供給し、各回分槽内で原水を処理して
    排出する回分式水処理装置における原水流入量取得方法
    であって、 水位変化に基づく変化容量を知ることができる流量調整
    槽には水位検出手段を設け、各回分槽は排水開始水位と
    排水終了水位が一定であることに基づき一回の処理水排
    出量を既知とし、 任意の期間の前後で全回分槽が排出した処理水排出総量
    と全回分槽が流量調整槽から受けた原水受入総量が等し
    いと扱えるようにマスバランスを保持できる期間をサン
    プリングサイクルとし、 上記マスバランスを保持できる全回分槽の処理水排出総
    量を、原水槽から流量 調整槽への原水受入総量と看做し
    て、この原水受入総量を当該サンプリングサイクル中に
    おける原水ポンプの総稼働時間Tiで除することによ
    り、原水ポンプが単位時間当りに流量調整槽へ原水を供
    給する吐出量Qiを求め、 原水槽から流量調整槽へ原水を供給する原水ポンプは、
    原水槽の水位が予め定めた上限水位に達することで稼働
    を開始し、原水槽の水位が予め定めた下限水位に達する
    ことで停止するものとし、且つ、原水槽には上限水位と
    下限水位の間における1箇所以上の水位を検出できる水
    位検出手段を設けると共に、該水位検出手段により検出
    した水位変化量に基づく原水の変化容量を知ることがで
    きるものとし、 原水ポンプが稼働していない間は、原水槽の水位変化量
    に基づく変化容量Vidを水位変化に要した経過時間T
    iで除することにより、原水槽への単位時間当りの原水
    流入量QIを求め、 原水ポンプが稼働している間は、原水槽の水位が下限方
    向へ変化することを正の方向とした原水槽の水位変化量
    に基づく変化容量Vidを水位変化に要した経過時間T
    idで除することにより求めた単位時間当りの変化容量
    を原水ポンプの吐出量Qiから減ずることで、原水槽へ
    単位時間当りの原水流入量QIを求め、 原水ポンプが稼働していない間における原水槽への原水
    流入量Q IN は単位時間当りの原水流入量QIと経過時間
    との積として求め、原水ポンプが稼働している間におけ
    る原水槽への原水流入量Q IN は単位時間当りの原水流入
    量QIと原水ポンプ稼働時間との積によって求めるよう
    にしたことを特徴とする回分式水処理装置における原水
    流入量取得方法。
  3. 【請求項3】 原水槽および流量調整槽の機能を兼ねる
    原水受入槽に流入した原水を該原水受入槽から流調ポン
    プにより複数の回分槽に供給し、各回分槽内で原水を処
    理して排出する回分式水処理装置における原水流入量取
    得方法であって、 水位変化に基づく変化容量を知ることができる原水受入
    槽には水位検出手段を設け、各回分槽は排水開始水位と
    排水終了水位が一定であることに基づき一回の処理水排
    出量を既知とし、任意の期間の前後で 全回分槽が排出した処理水排出
    と全回分槽が原水受入槽から受けた原水受入総量とが等
    しいと扱えるようにマスバランスを保持できる期間をサ
    ンプリングサイクルとし、 上記マスバランスを保持できる全回分槽の処理水排出総
    量を、原水受入槽への原水流入総量と看做し、この原水
    流入量を当該サンプリングサイクル中における流調ポ
    ンプの総稼働時間Ti′で除することにより、流調ポン
    プが単位時間当りに回分槽へ原水を供給する吐出量Q
    i′を求め、上記 流調ポンプの吐出量Qi′と流調ポンプの実際の稼
    働時間との積を、原水受入槽への原水流入量QIN と看做
    ようにしたことを特徴とする回分式水処理装置におけ
    る原水流入量取得方法。
  4. 【請求項4】 原水槽および流量調整槽の機能を兼ねる
    原水受入槽に流入した原水を該原水受入槽から流調ポン
    プにより複数の回分槽に供給し、各回分槽内で原水を処
    理して排出する回分式水処理装置における原水流入量取
    得方法であって、 水位変化に基づく変化容量を知ることができる原水受入
    槽には水位検出手段を設け、各回分槽は排水開始水位と
    排水終了水位が一定であることに基づき一回の処理水排
    出量を既知とし、 任意の期間の前後で全回分槽が排出した処理水排出総量
    と全回分槽が原水受入槽から受けた原水受入総量とが等
    しいと扱えるようにマスバランスを保持できる期間をサ
    ンプリングサイクルとし、 マスバランスを保持できる全回分槽の処理水排出総量
    を、原水受入槽への原水流入総量と看做し、この原水流
    入総量を当該サンプリングサイクル中における流調ポン
    プの総稼働時間Ti′で除することにより、流調ポンプ
    が単位時間当りに回分槽へ原水を供給する吐出量Qi′
    を求め、 原水受入槽から回分槽へ原水を供給する流調ポンプは、
    供給先の回分槽の水位が予め定めた下限水位から予め定
    めた上限水位に達することで停止するものとし、且つ、
    原水受入槽には上限水位と下限水位の間における1箇所
    以上の水位を検出できる水位検出手段を設けると共に、
    該水位検出手段により検出した水位変化量に基づく原水
    の変化容量を知ることができるものとし、 流調ポンプが稼働していない間は、原水受入槽の水位変
    化量に基づく変化容量Vidを水位変化に要した経過時
    間Tiで除することにより、原水受入槽への単位時間
    の原水流入量QIを求め、 流調ポンプが稼働している間は、流調ポンプの吐出量Q
    i′から流量調整槽における単位時間当りの変化容量を
    減ずることによって、原水受入槽への単位時間当りの原
    水流入量QIを求め、 原水ポンプが稼働していない間における原水受入槽への
    原水流入量Q IN は単位時間当りの原水流入量QIと経過
    時間との積として求め、原水ポンプが稼働している間
    おける原水槽への原水流入量Q IN は単位時間当りの原水
    流入量QIと原水ポンプ稼働時間との積によって求め
    ようにしたことを特徴とする回分式水処理装置における
    原水流入量取得方法。
JP2000286034A 2000-09-20 2000-09-20 回分式水処理装置における原水流入量取得方法 Expired - Fee Related JP3512378B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000286034A JP3512378B2 (ja) 2000-09-20 2000-09-20 回分式水処理装置における原水流入量取得方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000286034A JP3512378B2 (ja) 2000-09-20 2000-09-20 回分式水処理装置における原水流入量取得方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002086182A JP2002086182A (ja) 2002-03-26
JP3512378B2 true JP3512378B2 (ja) 2004-03-29

Family

ID=18770008

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000286034A Expired - Fee Related JP3512378B2 (ja) 2000-09-20 2000-09-20 回分式水処理装置における原水流入量取得方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3512378B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5042805B2 (ja) * 2007-12-25 2012-10-03 フジクリーン工業株式会社 水質監視システム
CN115124097B (zh) * 2022-07-08 2024-05-03 陕西新泓水艺环境科技有限公司 平衡进水的控制方法、装置、进水器、系统及介质

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002086182A (ja) 2002-03-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5143003B2 (ja) 脱窒プロセス及び脱窒装置
JPS6369595A (ja) 間欠曝気式活性汚泥処理方法における運転制御方法および運転制御装置
JP5775296B2 (ja) 下水処理場の運転支援装置及び運転支援方法
KR100638158B1 (ko) 하수 처리 시스템
JP4008694B2 (ja) 下水処理場水質制御装置
JP3512378B2 (ja) 回分式水処理装置における原水流入量取得方法
JP7171445B2 (ja) 水処理システム
JP2006315004A (ja) 下水処理場水質制御装置
JPH0938690A (ja) 水処理における凝集剤注入制御方法
KR100978706B1 (ko) 폐수 처리 장치
JP3512384B2 (ja) 押し出し流れ式水処理装置における原水流入量取得方法および処理水排出量取得方法
JP6818951B1 (ja) 水処理装置および水処理方法
JP4248043B2 (ja) 生物学的りん除去装置
JP4620391B2 (ja) 汚水処理装置
KR101272273B1 (ko) 슬러지 계면 관리 수처리 시스템
JP3934823B2 (ja) 下水処理場のコスト演算装置
JP2657940B2 (ja) 廃水処理装置、及び複数の廃水処理装置の集中管理方式
JP2808230B2 (ja) 回分式廃水処理装置と、その集中管理方法
JP3018220B2 (ja) オキシデーションディッチ式廃水処理装置と、その集中管理方法
JPS58219994A (ja) ばつ気槽内溶存酸素の監視制御方法
JP2000010627A (ja) 計測器の異常値検出方法およびその装置
JPS6228717B2 (ja)
JP6805024B2 (ja) 水処理プロセスのための水処理装置および処理方法
JP3104764B2 (ja) 余剰汚泥流量制御装置
JPH06328091A (ja) 生物学的処理装置の制御システムにおける汚泥容量指標推定方法

Legal Events

Date Code Title Description
A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040106

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080116

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090116

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100116

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110116

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees