JP2004135856A - 画像出力処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】マンモグラフィー撮影による乳房画像を熱現像感光材料に形成するときに熱現像感光材料の断裁の良し悪しに関わらずに最適なレイアウトで出力できる画像出力処理装置を提供する。
【解決手段】この画像出力処理装置は、熱現像感光材料Fを搬送する搬送部と、熱現像感光材料に潜像を形成する露光部と、潜像を現像するために熱現像感光材料を加熱する熱現像部と、熱現像部の下流側に配置され熱現像感光材料をガイドするガイド部材と、を有し、熱現像感光材料に可視像を形成して出力し、マンモグラフィー撮影による片側の乳房画像250aを熱現像感光材料に形成するとき、乳房の胸壁部251aが熱現像感光材料の搬送方向Hと平行の端部Fcに沿って配置されるように画像位置を調整する。
【選択図】 図7
【解決手段】この画像出力処理装置は、熱現像感光材料Fを搬送する搬送部と、熱現像感光材料に潜像を形成する露光部と、潜像を現像するために熱現像感光材料を加熱する熱現像部と、熱現像部の下流側に配置され熱現像感光材料をガイドするガイド部材と、を有し、熱現像感光材料に可視像を形成して出力し、マンモグラフィー撮影による片側の乳房画像250aを熱現像感光材料に形成するとき、乳房の胸壁部251aが熱現像感光材料の搬送方向Hと平行の端部Fcに沿って配置されるように画像位置を調整する。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱現像感光材料に可視像を形成して出力する画像出力処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、マンモグラフィー撮影では乳ガン検診等のため女性の双方の乳房をカセッテでそれぞれ撮影し、湿式自動現像機において現像処理されてきた。近年、医療機器においては、デジタル化およびネットワーク化が進み、デジタルで画像処理が可能な機器が急速に発展してきている。マンモグラフィー撮影においても、デジタルマンモグラフィーに関する入力装置および出力装置が開発されつつある。
【0003】
マンモグラフィーは、撮影された乳房のすべての部分を対象にして診断し、左右の乳房を比較診断するために胸壁部分を中心として左右の乳房を対象に並べて診断することが一般的である。また、従来、レーザにより露光され潜像が形成されたフィルム感光材料を加熱部材に接触させ加熱することにより熱現像する熱現像部を持つ熱現像装置が開発されている。
【0004】
【特許文献1】
特表平10−500497号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2002−158853公報
【0006】
デジタル出力装置において熱現像感光材料を処理するための熱現像部を有する場合、熱現像感光材料に与えた熱エネルギーを如何に均一に現像停止温度までコントロールするかが濃度変動を防止する観点から重要である。
【0007】
熱現像感光材料を熱現像部から次工程に導くためには、一般的にガイド部材を配置する。その際に、連続処理などの処理条件や高温環境条件などによっては、熱現像感光材料が現像停止温度になる前にガイド部材に接触して搬送されるが、熱現像感光材料の先端部の断裁の良悪によって感材の搬送軌跡が変動することで熱現像感光材料の搬送先端部の温度がガイド部材に奪われ、現像進行が急激に停止し、結果的に濃度低下が発生してしまう。
【0008】
従って、上述の熱現像部を有するマンモグラフィーの画像出力処理装置では、熱現像感光材料の断裁の良し悪しに関わらずに画像が安定する部分に乳房画像が位置するような最適レイアウトが必須となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題に鑑み、マンモグラフィー撮影による乳房画像を熱現像感光材料に形成するときに熱現像感光材料の断裁の良し悪しに関わらずに最適なレイアウトで出力できる画像出力処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による画像出力処理装置は、熱現像感光材料を搬送する搬送部と、前記熱現像感光材料に潜像を形成する露光部と、前記潜像を現像するために前記熱現像感光材料を加熱する熱現像部と、前記熱現像部の下流側に配置され前記熱現像感光材料をガイドするガイド部材と、を有し、前記熱現像感光材料に可視像を形成して出力する画像出力処理装置であって、マンモグラフィー撮影による片側の乳房画像を前記熱現像感光材料に形成するとき、乳房の胸壁部が前記熱現像感光材料の搬送方向の先端または後端に配置されないように画像位置を調整する画像調整手段を備えることを特徴とする。
【0011】
この画像出力処理装置によれば、乳房の胸壁部が熱現像感光材料の搬送方向の先端または後端に配置されないようにして片側の乳房画像が熱現像感光材料に形成されるので、熱現像感光材料の断裁やガイド部材への接触に起因する濃度の不安定部分である搬送方向の先端部にかかることなく片側の乳房画像を最適なレイアウトで形成することができ、熱現像感光材料の断裁の良悪に関わらず濃度的に安定した画像を得ることができる。
【0012】
この場合、前記乳房の胸壁部が前記熱現像感光材料の搬送方向と平行の端部に沿って配置されることが好ましい。これにより、乳房の胸壁部が熱現像感光材料の搬送方向と平行の端部に沿うようにして片側の乳房画像が熱現像感光材料に形成されるので、片側の乳房画像を搬送方向の先端部及び後端部にかかることなく最適なレイアウトで形成することができ、濃度的に安定した画像を得ることができる。また、もう一方の乳房画像を同様に形成した熱現像感光材料と並べ、左右の乳房画像を胸壁部を中心として対象に並べた比較診断が容易となる。
【0013】
本発明による別の画像出力処理装置は、熱現像感光材料を搬送する搬送部と、前記熱現像感光材料に潜像を形成する露光部と、前記潜像を現像するために前記熱現像感光材料を加熱する熱現像部と、前記熱現像部の下流側に配置され前記熱現像感光材料をガイドするガイド部材と、を有し、前記熱現像感光材料に可視像を形成して出力する画像出力処理装置であって、マンモグラフィー撮影による左右の乳房画像を1枚の前記熱現像感光材料に形成するとき、前記熱現像感光材料の搬送方向と略平行な方向に延びるように位置する略中央部に乳房の胸壁部が沿うとともに前記左右の乳房画像が前記胸壁部を中心に背中合わせに配置されるように画像位置を調整する画像調整手段を備えることを特徴とする。
【0014】
この画像出力処理装置によれば、乳房の胸壁部が熱現像感光材料の略中央部に沿うようにして左右の乳房画像が互いに背中合わせで熱現像感光材料に形成されるので、熱現像感光材料の断裁やガイド部材への接触に起因する濃度の不安定部分である搬送方向の先端部にかかることなく左右の乳房画像を最適なレイアウトで形成することができ、熱現像感光材料の断裁の良悪に関わらず濃度的に安定した画像を得ることができる。また、左右の乳房画像が胸壁部を中心にして1枚の熱現像感光材料に形成されるので、左右の乳房画像を胸壁部を中心として対象に並べた状態で比較診断することができる。
【0015】
本発明による更に別の画像出力処理装置は、熱現像感光材料を搬送する搬送部と、前記熱現像感光材料に潜像を形成する露光部と、前記潜像を現像するために前記熱現像感光材料を加熱する熱現像部と、前記熱現像部の下流側に配置され前記熱現像感光材料をガイドするガイド部材と、を有し、前記熱現像感光材料に可視像を形成して出力する画像出力処理装置であって、マンモグラフィー撮影による片側の乳房画像を前記熱現像感光材料に形成するとき、前記熱現像感光材料の搬送方向の先端側に未露光部分が形成されかつ乳房の胸壁部が前記搬送方向と平行の端部に沿って配置されるように画像位置を調整する画像調整手段を備えることを特徴とする。
【0016】
この画像出力処理装置によれば、熱現像感光材料の先端側に未露光部分を形成しかつ乳房の胸壁部が搬送方向と平行の端部に沿うようにして片側の乳房画像が熱現像感光材料に形成されるので、熱現像感光材料の断裁やガイド部材への接触による影響を極力排除し片側の乳房画像を搬送方向の先端部にかかることなく最適なレイアウトで形成することができ、熱現像感光材料の断裁の良悪に関わらず濃度的に安定した画像を確実に得ることができる。また、もう一方の乳房画像を同様に形成した熱現像感光材料と並べ、左右の乳房画像を胸壁部を中心として対象に並べた比較診断が容易となる。
【0017】
本発明による更に別の画像出力処理装置は、熱現像感光材料を搬送する搬送部と、前記熱現像感光材料に潜像を形成する露光部と、前記潜像を現像するために前記熱現像感光材料を加熱する熱現像部と、前記熱現像部の下流側に配置され前記熱現像感光材料をガイドするガイド部材と、を有し、前記熱現像感光材料に可視像を形成して出力する画像出力処理装置であって、マンモグラフィー撮影による左右の乳房画像を1枚の前記熱現像感光材料に形成するとき、前記熱現像感光材料の搬送方向の先端側に未露光部分が形成されかつ前記搬送方向と略平行な方向に延びるように位置する略中央部に乳房の胸壁部が沿うとともに前記左右の乳房画像が前記胸壁部を中心に背中合わせに配置されるように画像位置を調整する画像調整手段を備えることを特徴とする。
【0018】
この画像出力処理装置によれば、熱現像感光材料の先端側に未露光部分を形成しかつ乳房の胸壁部が熱現像感光材料の略中央部に沿うようにして左右の乳房画像が互いに背中合わせで熱現像感光材料に形成されるので、熱現像感光材料の断裁やガイド部材への接触による影響を極力排除し左右の乳房画像を搬送方向の先端部にかかることなく最適なレイアウトで形成することができ、熱現像感光材料の断裁の良悪に関わらず濃度的に安定した画像を確実に得ることができる。また、左右の乳房画像が胸壁部を中心にして1枚の熱現像感光材料に形成されるので、左右の乳房画像を胸壁部を中心として対象に並べた状態で比較診断することができる。
【0019】
また、前記ガイド部材は、前記熱現像部から搬送された前記熱現像感光材料が未だ現像停止温度に至らない位置に配置された場合に、熱現像感光材料にガイド部材への接触による濃度変動が生じてもかかる濃度の不安定部分に乳房画像が形成されない。
【0020】
また、前記画像調整手段は前記露光部における前記熱現像感光材料に対するレーザ露光の開始位置を調整する手段を有することで画像位置の調整が可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による実施の形態について図面を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態による画像出力処理装置を概略的に示す正面図であり、図2は図1の画像出力処理装置の左側面図である。
【0022】
図1、図2に示すように、画像出力処理装置100は、シート状の熱現像感光材料であるフィルムFを1枚ずつ給送する給送部110と、給送されたフィルムFを露光する露光部120と、露光されたフィルムFを現像する熱現像部130とを有している。
【0023】
図2において、給送部110は堆積された複数枚のフィルムFを収容するトレイTが上下二段に設けられている。各トレイTの前方端部側の上部には、フィルムFの前端部を吸着して上下動する吸着ユニット111が設けられている。また、吸着ユニット111の近傍には、吸着ユニット111により供給されたフィルムFを矢印(1)方向(水平方向)へ給送する給送ローラ対112が設けられている。また、吸着ユニット111は前後にも移動可能で吸着したフィルムFを給送ローラ対112へ運ぶことができる。そして、給送ローラ対112により給送されたフィルムFを垂直方向に搬送する複数の搬送ローラ対141が設けられている。これらの搬送ローラ対141により、フィルムFを図2の矢印(2)に示す方向(下方)に搬送する。
【0024】
画像出力処理装置100の下部には、搬送方向変換部145が設けられている。この搬送方向変換部145は、図1及び図2に示すように、搬送ローラ対141により図2の矢印(2)に示す鉛直方向下方に搬送されたフィルムFを矢印(3)で示すように水平方向に搬送し、次いで、搬送方向を矢印(3)から矢印(4)へ直角に変換して搬送し次いで、搬送方向を変換され搬送されたフィルムFを図1の矢印(5)に示す鉛直方向上方に搬送方向を変えて搬送する。
【0025】
そして、図1に示すように、搬送方向変換部145から搬送されたフィルムFを図1の矢印(6)で示す鉛直方向上方に搬送する複数の搬送ローラ対142が設けられ、フィルムFを画像出力処理装置100の左側面から図1の矢印(6)で示す鉛直方向上方に搬送する。
【0026】
上述の鉛直方向上方への搬送途中で、露光部120は、フィルムFの感光面を赤外域の波長780〜860nmの範囲内のレーザ光Lで走査しながら露光し、露光画像信号に応じた潜像を形成させる。
【0027】
画像出力処理装置100の装置の上部には熱現像部130が設けられ、熱現像部130の加熱ドラム14の近傍には、搬送ローラ対142で図1の矢印(6)に示す鉛直方向上方に搬送されたフィルムFを加熱ドラム14へ供給する供給ローラ対143が設けられている。加熱ドラム14へフィルムFを供給するタイミングは、成り行きによるランダムなタイミングで供給する。
【0028】
なお、ランダムなタイミングによる供給の代わりに、タイミングを図って供給してもよい。タイミングを図って供給する例としては、供給ローラ対143が、加熱ドラム14の周上の次の被供給位置が所定回転位置に到達するまで停止し、加熱ドラム14の周上の次の被供給位置が所定回転位置に到達した時点で回転するようにしても良い。すなわち、供給ローラ対143の回転を制御することにより、加熱ドラム14の所定の被供給位置に、フィルムFを供給するようにしてもよい。
【0029】
熱現像部130の加熱ドラム14は、加熱ドラム14の外周面と複数の案内ローラ16との間でフィルムFが加熱ドラム14の外周面に密着した状態で、図1の矢印(7)に示す方向に共に回転しながら、加熱ドラム14がフィルムFを加熱し熱現像することでフィルムFの潜像を可視画像に形成する。その後、図1の加熱ドラム14に対し右方まで回転したときに、加熱ドラム14からフィルムFを離す。熱現像部130の右側方には、複数の搬送ローラ対144が設けられており、加熱ドラム14から離れたフィルムFを、図1の矢印(8)に示すように右斜め下方に搬送しつつ、冷却する。そして、搬送ローラ対144が冷却されたフィルムFを搬送しつつ、濃度計118がフィルムFの濃度を測定する。その後、複数の搬送ローラ対144は、加熱ドラム14から離れたフィルムFを図1の矢印(9)に示すように水平方向に搬送し、画像出力処理装置100の上部から取り出せるように、画像出力処理装置100の右上方部に設けられた排出トレイ160に排出する。
【0030】
熱現像部130について更に説明すると、図1、図2に示すように、熱現像部130は、回転軸17a、17bを中心として回転しフィルムFの熱現像に供する加熱ドラム14と、加熱ドラム14の外周に沿うようにほぼ等間隔で配設され、所定の圧接力で加熱ドラム14の外周面にフィルムFを圧接させ、フィルムFの搬送に供する複数の案内ローラ16と、を備える。
【0031】
加熱ドラム14は、中空円筒状のドラム本体19の内部に熱源となる棒状の加熱手段としてハロゲンヒータ20を備え、また、ドラム本体19の外周面14aに一例として0.1〜2mm程度の厚さの弾性層を形成することによって構成されている。ハロゲンヒータ20は、ドラム本体19の回転中心付近に回転軸に沿って延びるようにして1本設けられており、このような構成とすることでドラム本体19の内周面がハロゲンヒータ20からの輻射熱で円周方向に更には回転軸方向にも均等に加熱される。
【0032】
また、案内ローラ16は熱伝導率の大きな材料、例えばアルミニウム、真鍮、ステンレス鋼等の金属製が好ましく、このような構成とすることにより加熱ドラム14の熱はこれに圧接されている案内ローラ16の存在によって回転軸17a、17b方向でも均一となる。また、加熱ドラム14はアルミニウムからなるが、真鍮、ステンレス鋼等の他の金属から構成してもよい。
【0033】
次に、図3により露光部及び制御系について説明する。図3(a)は露光部及び制御系の概略的構成を示す図であり、図3(b)はフィルムFに対する露光部からのレーザ光の露光開始位置の制御について説明するための図である。
【0034】
図3(a)のように、露光部120は、発光部121からのレーザ光をポリゴンミラー122等を介してフィルムFに照射しながら主走査し、フィルムFに対してレーザ露光による画像の書き込みを行う。
【0035】
また、制御系として、画像処理部125aを有し露光部120を制御する制御部125と、搬送ローラ対142を駆動するモータ129等を制御するメカ制御部126と、を備える。制御部125は画像出力処理装置100のメインボード127とPCIバスで接続され画像信号が入力される。メカ制御部126はメインボード127との間で通信で情報の交換を行う。図3(a)のように、垂直方向センサ128がフィルムの位置を検出するように配置され、その検知信号が制御部125及びメカ制御部126に入力するようになっている。
【0036】
図3(a)、(b)のように、搬送ローラ対142により搬送方向HにフィルムFが搬送され、垂直方向センサ128がフィルムFの先端Faを検知すると、その検知信号が制御部125に入力し、フィルムFの先端Faから所定距離yだけ搬送方向に離れたところから、制御部125からの画像信号に基づいて露光部120からのレーザ光により画像の書き込みを開始する。このとき、制御部125が外部領域にあるレーザ光初期位置mからフィルムFの搬送方向Hに平行な一端Fcに向けた走査開始時からの時間をタイマで制御することで画像位置を調整し、例えば、フィルムFの一端Fcに達した時にレーザ光による実際の書き込みを行うようになっている。また、フィルムの内部の所定位置に達した時に実際の書き込みを行うようにタイマで実際の書き込み開始までの時間が制御される。
【0037】
また、フィルムFの先端Faからの所定距離yは制御部125において垂直方向センサ128が先端Faを検知してからの時間で調整することができる。この所定距離yによりフィルムFの先端Fa側部分に未露光部分を設けることができる。
【0038】
上述のフィルムFにおける露光部120による潜像形成について図4により説明する。図4は、本実施の形態におけるフィルムFの断面図であり、上述のような露光時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した図である。
【0039】
フィルムFは、PETからなる支持体(基層)上に、ポリビニルブチラールを主材とする感光層が形成され、更に、その上にセルロースブチレートからなる保護層が形成されている。感光層には、感光性ハロゲン粒子と、有機酸銀であるベヘン酸銀(Beh.Ag)と、銀イオン還元剤とを含有し、現像性の向上と最大濃度の向上と銀画像色調の向上のために、調色剤が配合されている。露光部120からレーザビームLがフィルムFに対して照射されると、図4に示すように、レーザビームLが照射された領域に、ハロゲン化銀粒子が感光し、潜像が形成される。
【0040】
潜像の形成されたフィルムFは、次に、図1のように、矢印方向(6)へ複数の搬送ローラ対142,143により熱現像部130内へと搬送され、ヒータ20により加熱された加熱ドラム14と複数の案内ローラ16との間に挟まれて加熱ドラム14の外周面に密着した状態で加熱ドラム14及び案内ローラ16の回転により搬送されながら115℃以上135℃以下の所定温度で加熱され熱現像され、次に、冷却部150Aを通って排出トレイ160へ排出される。
【0041】
図5は、上述のような加熱時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した、図3と同様な断面図である。フィルムFは、40℃以下の温度では実質的に熱現像されないが、上述のようにフィルムFを最低現像温度以上の現像温度に加熱すると、熱現像される。これは、図5に示すように、ベヘン酸銀から銀イオン(Ag+)が放出され、銀イオンを放出したべヘン酸は、調色剤と錯体を形成して、銀イオンの拡散能力が高くなり、感光したハロゲン化銀粒子まで拡散し、感光したハロゲン化銀粒子を核として還元剤が作用し、化学的反応により銀画像が形成されるからと思われる。
【0042】
次に、乳ガン検診等のためのマンモグラフィ撮影について図6を参照して説明する。図6は乳房の放射線撮影時の様子を示す側面図である。図6の上下方向にカセッテ200と圧迫板261との間に被験者の乳房250を挟み込むとともに、カセッテ200を被験者の胸壁251に当てた状態で、圧迫板261の図の上方に配置された放射線管260から放射線を放射して放射線撮影を行う。これにより、カセッテ200内の輝尽性蛍光体シート280に乳房の放射線画像を記録する。なお、乳房撮影は図6のようなカセッテ200、圧迫板261、放射線管260等の相対関係を保ったまま、角度を変えて行うことができ、例えば水平方向に撮影することもできる。また、カセッテ200の図の下方には自動露出機構(フォトタイマ)のためのセンサ部262が配置されており、カセッテ200を透過した放射線の強度をセンサ部262で測定し露出を制御するようになっている。
【0043】
図6のようにして放射線撮影された乳房画像は、公知の放射線画像読取装置で輝尽性蛍光体シート280から読み取られてから所定の画像処理が行われ、その画像信号が図3(a)のメインボード127及び制御部125を介して露光部120に入力する。上述のレーザ露光による画像書き込みで乳房画像の潜像がフィルムFに形成され、熱現像部130で熱現像されてフィルムFに可視像として形成される。
【0044】
上述のようにしてフィルムFに可視像として形成された乳房画像を図7に概略的に示すが、胸壁部画像251aがフィルムFの搬送方向Hに平行な一端Fcに沿うようにレイアウトされて形成され、その胸壁部画像251aからフィルムFの内側に片方の乳房画像250aが形成されるとともに、乳房画像250aがフィルムFの搬送方向の先端部Faと後端部Fbとから離れて形成されている。ここで、フィルムFの搬送方向Hは、図1のフィルム搬送方向(6)、(7)、(8)と一致する。
【0045】
図7に示す胸壁部画像251a及び乳房画像250aの潜像形成について更に説明する。図3(a),(b)のように、搬送中のフィルムFの先端Faを垂直方向センサ128が検知すると、先端Faから所定距離yだけ搬送方向Hに離れた外部領域にあるレーザ光初期位置mから露光部120のレーザ光が画像書き込みを開始し、タイマで制御した所定時間経過後にフィルムFの一端Fcに達した時に実際の画像書き込みを行うことで、図7のように胸壁部画像251aをフィルムFの搬送方向Hに平行な一端Fcに沿って形成できる。また、フィルムFの先端Faを垂直方向センサ128が検知してから書き込み開始までの時間を制御することで、先端Faからの距離yを調整することができ、先端Faから距離yの範囲に未露光部分を形成することができる。
【0046】
図7のように、フィルムFに片側の乳房画像を出力する場合は、一般的に六切サイズ、24cm×30cmサイズを使用し、胸壁部をフィルムFの搬送方向Hと平行の一端Fcにレイアウトすることで、後述のように画像濃度が不安定な部分が診断画像部分にかかることがなくなり、濃度的に安定した乳房画像を得ることができる。
【0047】
また、もう片方の乳房画像を胸壁部を同様にフィルムの搬送方向に平行な一端に沿って胸壁部画像が形成されるようにして形成し、両フィルムを胸壁部画像を中心にして並べることで、左右の乳房画像を胸壁部画像を中心として対象に並べた比較診断が容易となる。
【0048】
次に、図8により左右の乳房画像を1枚のフィルムFに形成した例を説明する。図8はフィルムFに可視像として形成された左右の乳房画像を概略的に示す図である。図8のように、胸壁部画像251aがフィルムFの搬送方向Hと略平行な方向に延びるような略中央部にレイアウトされて形成され、この胸壁部画像251aを中心にして片方の乳房画像250aが例えば搬送方向Hに平行な一端Fc側にかつもう片方の乳房画像252aが例えば搬送方向Hに平行な他端Fd側に互いに背中合わせになるように形成されている。左右の乳房画像250a、252aはフィルムFの搬送方向の先端部Faと後端部Fbとから離れて形成されている。
【0049】
図8のように、双方の乳房画像を1枚のフィルムに同時にプリントする場合、一般的に大四サイズを使用し、胸壁部をフィルム搬送方向と平行にかつフィルムの中央部に配置するようにレイアウトすることで、後述のように画像濃度が不安定な部分が診断画像部分にかかることがなくなり、濃度的に安定した画像を得ることができる。
【0050】
また、図8では、左右の乳房画像が胸壁部画像を中心にして1枚のフィルムに形成されるので、左右の乳房画像を胸壁部を中心として対象に並べた状態で比較診断することができる。
【0051】
なお、図8に示す胸壁部画像251a及び左右の乳房画像250a、252aの潜像は、図3(a),(b)のように、フィルムF先端Faから所定距離yだけ搬送方向Hに離れた外部領域にあるレーザ光初期位置mから露光部120のレーザ光が画像書き込みを開始し、タイマで制御した所定時間経過後にフィルムFの略中央部に胸壁部画像251aが形成されるような位置に達した時に実際の画像書き込みを行うことで形成できる。また、フィルムFの先端Faを垂直方向センサ128が検知してから書き込み開始までの時間を制御することで、先端Faからの距離yを調整することができ、先端Faから距離yの範囲に未露光部分を形成することができる。
【0052】
この場合、図8に示す胸壁部画像251a及び左右の乳房画像250a、252aは、予め制御部125の画像処理部125aでそのようなレイアウトに画像処理されてから露光部120に入力されるので、1枚撮りを並べたときにでき易い左右の乳房画像間に余白が生じるようなことはなく、観察し易く、比較診断に好適である。
【0053】
以上のように、図7及び図8において、片方の乳房画像及び左右の乳房画像をフィルムF上に搬送方向の先端部Fa及び後端部Fbにかかることなく最適なレイアウトで形成することができるので、濃度的に安定した画像を得ることができる。この効果を図9,図10,図12を参照して説明する。図9は加熱ドラムと付勢部材との間を搬送されるフィルムの先端部を示す拡大側面図であり、図10は加熱ドラムから出た直後のフィルムの先端部及びガイド部材を示す側面図である。図12は、実際のフィルムの先端部分を拡大して模式的に示す拡大斜視図である。
【0054】
即ち、図9に示すように、潜像の形成されたフィルムFが離間した配置された複数の付勢部材16により付勢されてドラム19の外周面14aに当接しながら搬送されるが、このとき、その先端部Faが付勢部材16とその次の付勢部材16との間で浮き上がり外周面14aに密着しない場合がある。これにより、フィルムFの先端部Faで濃度不足が発生し易くなる。また、同様の理由でフィルムFの後端部Fb(図7,図8)でも濃度不足が発生し易くなる。
【0055】
図10に示すように、フィルムFがドラム19から出た直後にガイド部材146に先端部Faが接触し軌跡を描きながら搬送されるが、先端部Faがガイド部材146に接触し、未だ115℃以上の現像温度である先端部Faが比較的急冷され、濃度不足が発生し易い。また、フィルムFの先端断面はフィルム製造時における断裁により図12のように形成されるが、この場合、フィルム断裁の良悪に応じて図の上側の乳剤面(感光面)側において乳剤層(感光層)が剥がれ易くなり、この乳剤層が剥がれると、ガイド部材146に付着し、ガイド部材146が汚れてしまい、その汚れなどによる搬送抵抗の上昇のためにフィルムFの搬送軌跡が変動することなどにより、先端部Faで濃度不足が発生し易くなる。
【0056】
上述のように、フィルムFの先端部Fa及び後端部Fbでは、画像濃度が変動し不安定になり易く、特にフィルム断裁が悪いと先端部で濃度不足が発生し易いのであるが、本実施の形態では、図7,図8のように片方の乳房画像も左右の乳房画像もフィルムFの先端部Fa及び後端部Fbから離れるようなレイアウトで形成されるので、先端部Fa及び後端部Fbにおいて濃度変動が生じたとしても、乳房画像に影響を与えることがない。従って、濃度的に安定した乳房画像を得ることができるのである。このように、フィルム断裁の良悪に関わらず、画像が安定した部分に診断部位をレイアウトすることで、診断に支障のないに安定した仕上がりの乳房画像を形成できる。
【0057】
また、左右の乳房画像を1枚のフィルムに同時に形成し、比較読影する場合は、一般的に大四サイズを使用し、乳房の胸壁面を搬送方向と平行にかつフィルムの中央部に胸壁部を背中合わせに配置することで、上述した画像濃度が不安定な部分が診断画像部分にかかることがなくなり、安定した画像を得ることができ、かつ1枚のフィルムのみでシャーカステンでの比較診断ができ、作業の煩雑性もなくなる。また、左右の乳房画像を1枚づつ別々のフィルムに形成する場合よりも、コスト的に有利である。
【0058】
更に、フィルムFの先端から所定範囲に未露光部分を形成することで、フィルム断裁の影響を極力小さくでき、先端側において濃度の不安定な部分を確実に回避して乳房画像を形成できるとともに、乳房画像のレイアウト可能領域が大きくでき、レイアウトの自由度が広がるため更に好ましい。
【0059】
以上のように本発明を実施の形態により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、図11の変形例に示すように、1枚のフィルムに左右の乳房画像を形成する場合に、胸壁部画像251aをフィルムFの搬送方向Hと略直交する方向に延びるような略中央部にレイアウトし形成してもよい。即ち、胸壁部画像251aを中心にして片方の乳房画像250aが例えば先端部Fa側に、かつ、他方の乳房画像252aが例えば後端部Fb側に互いに背中合わせになるように形成されるが、両乳房画像250a、252aともに先端部Fa及び後端部Fbから離れて形成されるので、濃度的に安定した乳房画像を得ることができる。図11の例でも、左右の乳房画像を胸壁部を中心として対象に並べた状態で比較診断できる。
【0060】
また、図13に図8の別の変形例を示す。図13の例は、図8のように片方の乳房画像250aがフィルムFの搬送方向Hに平行な一端Fc側にかつ他方の乳房画像252aが搬送方向Hに平行な他端Fd側に互いに背中合わせになるように形成されているが、両乳房画像250a、252aの胸壁部画像251a間に対称軸部253を設けている。
【0061】
図13の例では、一般に両乳房画像250a、252aのフィルム濃度が1.0〜2.0の範囲内であり、画像の形成されないハッチングで示すバックグラウンド部分のフィルム濃度が3.0〜4.0の範囲内である。対称軸部253は細ければよく、シャープな黒線となる。
【0062】
図13のように、左右の乳房画像250aと252aとの間の対称軸部253が黒線になることで、左右の乳房画像250aと252aの間の境界を明確にすることができ、また、フィルムFのシャーカステン上での観察のときに左右の乳房画像250aと252aの間から光が洩れないため、フィルムFの観察が行い易くなる。更に、対称軸部253を細く、例えば1mm以下とすることで、左右の乳房画像250aと252aとを比較診断し易くなる。なお、このような対称軸部253は、図3の制御部125の画像処理部125aにおける画像処理で形成することができる。
【0063】
また、図7のように、胸壁部画像251aがフィルムFの搬送方向Hに平行な一端Fcに沿うようにして片側の乳房画像を形成できるが、本発明は、これに限定されず、フィルムFの先端Fa、後端Fbを避けるようにすれば、他の態様で胸壁部画像251aを配置してもよい。例えば、壁部画像251aを先端Faから離れて先端Faに平行に形成してもよく、また、一端Fcに対し傾斜するように形成してもよい。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、マンモグラフィー撮影による乳房画像を熱現像感光材料の断裁の良し悪しに関わらずに安定した画像でかつ最適なレイアウトで出力できる画像出力処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態による画像出力処理装置を概略的に示す正面図である。
【図2】図1の画像出力処理装置の左側面図である。
【図3】図3(a)は図1の画像出力処理装置の露光部及び制御系の概略的構成を示す図であり、図3(b)はフィルムFに対する露光部からのレーザ光の露光開始位置の制御について説明するための図である。
【図4】本実施の形態におけるフィルムの断面図であり、光走査部からのレーザビームによる露光時におけるフィルム内の化学的反応を模式的に示した図である。
【図5】本実施の形態におけるフィルムの断面図であり、図4のような潜像の形成されたフィルムを加熱した時におけるフィルム内の化学的反応を模式的に示した図である。
【図6】本実施の形態におけるマンモグラフィ撮影により乳房の放射線撮影時の様子を示す側面図である。
【図7】本実施の形態においてフィルムFに可視像として形成された片方の乳房画像を概略的に示す図である。
【図8】本実施の形態において1枚のフィルムFに可視像として形成された左右の乳房画像を概略的に示す図である。
【図9】図1の加熱ドラムと付勢部材との間を搬送されるフィルムの先端部を示す拡大側面図である。
【図10】図1の加熱ドラムから出た直後のフィルムの先端部及びガイド部材を示す側面図である。
【図11】図8の変形例を説明するための図であり、フィルムFに図8とは別の配置形態で形成された左右の乳房画像を概略的に示す図である。
【図12】実際のフィルムの先端部分を拡大して模式的に示す拡大斜視図である。
【図13】図8の別の変形例を説明するための図であり、フィルムFに可視像として形成された左右の乳房画像を概略的に示す図である。
【符号の説明】
100 画像出力処理装置
120 露光部
125 制御部(画像位置調整手段)
130 熱現像部
14 加熱ドラム(加熱部材)
14a 加熱ドラムの外周面
16 付勢部材
19 ドラム本体
146 ガイド部材
250a、252a 乳房画像
251a 胸壁部画像
F フィルム(熱現像感光材料)
Fa フィルムの先端部
Fb フィルムの後端部
Fc フィルムの一端(端部)
Fd フィルムの他端
H フィルムの搬送方向
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱現像感光材料に可視像を形成して出力する画像出力処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、マンモグラフィー撮影では乳ガン検診等のため女性の双方の乳房をカセッテでそれぞれ撮影し、湿式自動現像機において現像処理されてきた。近年、医療機器においては、デジタル化およびネットワーク化が進み、デジタルで画像処理が可能な機器が急速に発展してきている。マンモグラフィー撮影においても、デジタルマンモグラフィーに関する入力装置および出力装置が開発されつつある。
【0003】
マンモグラフィーは、撮影された乳房のすべての部分を対象にして診断し、左右の乳房を比較診断するために胸壁部分を中心として左右の乳房を対象に並べて診断することが一般的である。また、従来、レーザにより露光され潜像が形成されたフィルム感光材料を加熱部材に接触させ加熱することにより熱現像する熱現像部を持つ熱現像装置が開発されている。
【0004】
【特許文献1】
特表平10−500497号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2002−158853公報
【0006】
デジタル出力装置において熱現像感光材料を処理するための熱現像部を有する場合、熱現像感光材料に与えた熱エネルギーを如何に均一に現像停止温度までコントロールするかが濃度変動を防止する観点から重要である。
【0007】
熱現像感光材料を熱現像部から次工程に導くためには、一般的にガイド部材を配置する。その際に、連続処理などの処理条件や高温環境条件などによっては、熱現像感光材料が現像停止温度になる前にガイド部材に接触して搬送されるが、熱現像感光材料の先端部の断裁の良悪によって感材の搬送軌跡が変動することで熱現像感光材料の搬送先端部の温度がガイド部材に奪われ、現像進行が急激に停止し、結果的に濃度低下が発生してしまう。
【0008】
従って、上述の熱現像部を有するマンモグラフィーの画像出力処理装置では、熱現像感光材料の断裁の良し悪しに関わらずに画像が安定する部分に乳房画像が位置するような最適レイアウトが必須となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題に鑑み、マンモグラフィー撮影による乳房画像を熱現像感光材料に形成するときに熱現像感光材料の断裁の良し悪しに関わらずに最適なレイアウトで出力できる画像出力処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による画像出力処理装置は、熱現像感光材料を搬送する搬送部と、前記熱現像感光材料に潜像を形成する露光部と、前記潜像を現像するために前記熱現像感光材料を加熱する熱現像部と、前記熱現像部の下流側に配置され前記熱現像感光材料をガイドするガイド部材と、を有し、前記熱現像感光材料に可視像を形成して出力する画像出力処理装置であって、マンモグラフィー撮影による片側の乳房画像を前記熱現像感光材料に形成するとき、乳房の胸壁部が前記熱現像感光材料の搬送方向の先端または後端に配置されないように画像位置を調整する画像調整手段を備えることを特徴とする。
【0011】
この画像出力処理装置によれば、乳房の胸壁部が熱現像感光材料の搬送方向の先端または後端に配置されないようにして片側の乳房画像が熱現像感光材料に形成されるので、熱現像感光材料の断裁やガイド部材への接触に起因する濃度の不安定部分である搬送方向の先端部にかかることなく片側の乳房画像を最適なレイアウトで形成することができ、熱現像感光材料の断裁の良悪に関わらず濃度的に安定した画像を得ることができる。
【0012】
この場合、前記乳房の胸壁部が前記熱現像感光材料の搬送方向と平行の端部に沿って配置されることが好ましい。これにより、乳房の胸壁部が熱現像感光材料の搬送方向と平行の端部に沿うようにして片側の乳房画像が熱現像感光材料に形成されるので、片側の乳房画像を搬送方向の先端部及び後端部にかかることなく最適なレイアウトで形成することができ、濃度的に安定した画像を得ることができる。また、もう一方の乳房画像を同様に形成した熱現像感光材料と並べ、左右の乳房画像を胸壁部を中心として対象に並べた比較診断が容易となる。
【0013】
本発明による別の画像出力処理装置は、熱現像感光材料を搬送する搬送部と、前記熱現像感光材料に潜像を形成する露光部と、前記潜像を現像するために前記熱現像感光材料を加熱する熱現像部と、前記熱現像部の下流側に配置され前記熱現像感光材料をガイドするガイド部材と、を有し、前記熱現像感光材料に可視像を形成して出力する画像出力処理装置であって、マンモグラフィー撮影による左右の乳房画像を1枚の前記熱現像感光材料に形成するとき、前記熱現像感光材料の搬送方向と略平行な方向に延びるように位置する略中央部に乳房の胸壁部が沿うとともに前記左右の乳房画像が前記胸壁部を中心に背中合わせに配置されるように画像位置を調整する画像調整手段を備えることを特徴とする。
【0014】
この画像出力処理装置によれば、乳房の胸壁部が熱現像感光材料の略中央部に沿うようにして左右の乳房画像が互いに背中合わせで熱現像感光材料に形成されるので、熱現像感光材料の断裁やガイド部材への接触に起因する濃度の不安定部分である搬送方向の先端部にかかることなく左右の乳房画像を最適なレイアウトで形成することができ、熱現像感光材料の断裁の良悪に関わらず濃度的に安定した画像を得ることができる。また、左右の乳房画像が胸壁部を中心にして1枚の熱現像感光材料に形成されるので、左右の乳房画像を胸壁部を中心として対象に並べた状態で比較診断することができる。
【0015】
本発明による更に別の画像出力処理装置は、熱現像感光材料を搬送する搬送部と、前記熱現像感光材料に潜像を形成する露光部と、前記潜像を現像するために前記熱現像感光材料を加熱する熱現像部と、前記熱現像部の下流側に配置され前記熱現像感光材料をガイドするガイド部材と、を有し、前記熱現像感光材料に可視像を形成して出力する画像出力処理装置であって、マンモグラフィー撮影による片側の乳房画像を前記熱現像感光材料に形成するとき、前記熱現像感光材料の搬送方向の先端側に未露光部分が形成されかつ乳房の胸壁部が前記搬送方向と平行の端部に沿って配置されるように画像位置を調整する画像調整手段を備えることを特徴とする。
【0016】
この画像出力処理装置によれば、熱現像感光材料の先端側に未露光部分を形成しかつ乳房の胸壁部が搬送方向と平行の端部に沿うようにして片側の乳房画像が熱現像感光材料に形成されるので、熱現像感光材料の断裁やガイド部材への接触による影響を極力排除し片側の乳房画像を搬送方向の先端部にかかることなく最適なレイアウトで形成することができ、熱現像感光材料の断裁の良悪に関わらず濃度的に安定した画像を確実に得ることができる。また、もう一方の乳房画像を同様に形成した熱現像感光材料と並べ、左右の乳房画像を胸壁部を中心として対象に並べた比較診断が容易となる。
【0017】
本発明による更に別の画像出力処理装置は、熱現像感光材料を搬送する搬送部と、前記熱現像感光材料に潜像を形成する露光部と、前記潜像を現像するために前記熱現像感光材料を加熱する熱現像部と、前記熱現像部の下流側に配置され前記熱現像感光材料をガイドするガイド部材と、を有し、前記熱現像感光材料に可視像を形成して出力する画像出力処理装置であって、マンモグラフィー撮影による左右の乳房画像を1枚の前記熱現像感光材料に形成するとき、前記熱現像感光材料の搬送方向の先端側に未露光部分が形成されかつ前記搬送方向と略平行な方向に延びるように位置する略中央部に乳房の胸壁部が沿うとともに前記左右の乳房画像が前記胸壁部を中心に背中合わせに配置されるように画像位置を調整する画像調整手段を備えることを特徴とする。
【0018】
この画像出力処理装置によれば、熱現像感光材料の先端側に未露光部分を形成しかつ乳房の胸壁部が熱現像感光材料の略中央部に沿うようにして左右の乳房画像が互いに背中合わせで熱現像感光材料に形成されるので、熱現像感光材料の断裁やガイド部材への接触による影響を極力排除し左右の乳房画像を搬送方向の先端部にかかることなく最適なレイアウトで形成することができ、熱現像感光材料の断裁の良悪に関わらず濃度的に安定した画像を確実に得ることができる。また、左右の乳房画像が胸壁部を中心にして1枚の熱現像感光材料に形成されるので、左右の乳房画像を胸壁部を中心として対象に並べた状態で比較診断することができる。
【0019】
また、前記ガイド部材は、前記熱現像部から搬送された前記熱現像感光材料が未だ現像停止温度に至らない位置に配置された場合に、熱現像感光材料にガイド部材への接触による濃度変動が生じてもかかる濃度の不安定部分に乳房画像が形成されない。
【0020】
また、前記画像調整手段は前記露光部における前記熱現像感光材料に対するレーザ露光の開始位置を調整する手段を有することで画像位置の調整が可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による実施の形態について図面を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態による画像出力処理装置を概略的に示す正面図であり、図2は図1の画像出力処理装置の左側面図である。
【0022】
図1、図2に示すように、画像出力処理装置100は、シート状の熱現像感光材料であるフィルムFを1枚ずつ給送する給送部110と、給送されたフィルムFを露光する露光部120と、露光されたフィルムFを現像する熱現像部130とを有している。
【0023】
図2において、給送部110は堆積された複数枚のフィルムFを収容するトレイTが上下二段に設けられている。各トレイTの前方端部側の上部には、フィルムFの前端部を吸着して上下動する吸着ユニット111が設けられている。また、吸着ユニット111の近傍には、吸着ユニット111により供給されたフィルムFを矢印(1)方向(水平方向)へ給送する給送ローラ対112が設けられている。また、吸着ユニット111は前後にも移動可能で吸着したフィルムFを給送ローラ対112へ運ぶことができる。そして、給送ローラ対112により給送されたフィルムFを垂直方向に搬送する複数の搬送ローラ対141が設けられている。これらの搬送ローラ対141により、フィルムFを図2の矢印(2)に示す方向(下方)に搬送する。
【0024】
画像出力処理装置100の下部には、搬送方向変換部145が設けられている。この搬送方向変換部145は、図1及び図2に示すように、搬送ローラ対141により図2の矢印(2)に示す鉛直方向下方に搬送されたフィルムFを矢印(3)で示すように水平方向に搬送し、次いで、搬送方向を矢印(3)から矢印(4)へ直角に変換して搬送し次いで、搬送方向を変換され搬送されたフィルムFを図1の矢印(5)に示す鉛直方向上方に搬送方向を変えて搬送する。
【0025】
そして、図1に示すように、搬送方向変換部145から搬送されたフィルムFを図1の矢印(6)で示す鉛直方向上方に搬送する複数の搬送ローラ対142が設けられ、フィルムFを画像出力処理装置100の左側面から図1の矢印(6)で示す鉛直方向上方に搬送する。
【0026】
上述の鉛直方向上方への搬送途中で、露光部120は、フィルムFの感光面を赤外域の波長780〜860nmの範囲内のレーザ光Lで走査しながら露光し、露光画像信号に応じた潜像を形成させる。
【0027】
画像出力処理装置100の装置の上部には熱現像部130が設けられ、熱現像部130の加熱ドラム14の近傍には、搬送ローラ対142で図1の矢印(6)に示す鉛直方向上方に搬送されたフィルムFを加熱ドラム14へ供給する供給ローラ対143が設けられている。加熱ドラム14へフィルムFを供給するタイミングは、成り行きによるランダムなタイミングで供給する。
【0028】
なお、ランダムなタイミングによる供給の代わりに、タイミングを図って供給してもよい。タイミングを図って供給する例としては、供給ローラ対143が、加熱ドラム14の周上の次の被供給位置が所定回転位置に到達するまで停止し、加熱ドラム14の周上の次の被供給位置が所定回転位置に到達した時点で回転するようにしても良い。すなわち、供給ローラ対143の回転を制御することにより、加熱ドラム14の所定の被供給位置に、フィルムFを供給するようにしてもよい。
【0029】
熱現像部130の加熱ドラム14は、加熱ドラム14の外周面と複数の案内ローラ16との間でフィルムFが加熱ドラム14の外周面に密着した状態で、図1の矢印(7)に示す方向に共に回転しながら、加熱ドラム14がフィルムFを加熱し熱現像することでフィルムFの潜像を可視画像に形成する。その後、図1の加熱ドラム14に対し右方まで回転したときに、加熱ドラム14からフィルムFを離す。熱現像部130の右側方には、複数の搬送ローラ対144が設けられており、加熱ドラム14から離れたフィルムFを、図1の矢印(8)に示すように右斜め下方に搬送しつつ、冷却する。そして、搬送ローラ対144が冷却されたフィルムFを搬送しつつ、濃度計118がフィルムFの濃度を測定する。その後、複数の搬送ローラ対144は、加熱ドラム14から離れたフィルムFを図1の矢印(9)に示すように水平方向に搬送し、画像出力処理装置100の上部から取り出せるように、画像出力処理装置100の右上方部に設けられた排出トレイ160に排出する。
【0030】
熱現像部130について更に説明すると、図1、図2に示すように、熱現像部130は、回転軸17a、17bを中心として回転しフィルムFの熱現像に供する加熱ドラム14と、加熱ドラム14の外周に沿うようにほぼ等間隔で配設され、所定の圧接力で加熱ドラム14の外周面にフィルムFを圧接させ、フィルムFの搬送に供する複数の案内ローラ16と、を備える。
【0031】
加熱ドラム14は、中空円筒状のドラム本体19の内部に熱源となる棒状の加熱手段としてハロゲンヒータ20を備え、また、ドラム本体19の外周面14aに一例として0.1〜2mm程度の厚さの弾性層を形成することによって構成されている。ハロゲンヒータ20は、ドラム本体19の回転中心付近に回転軸に沿って延びるようにして1本設けられており、このような構成とすることでドラム本体19の内周面がハロゲンヒータ20からの輻射熱で円周方向に更には回転軸方向にも均等に加熱される。
【0032】
また、案内ローラ16は熱伝導率の大きな材料、例えばアルミニウム、真鍮、ステンレス鋼等の金属製が好ましく、このような構成とすることにより加熱ドラム14の熱はこれに圧接されている案内ローラ16の存在によって回転軸17a、17b方向でも均一となる。また、加熱ドラム14はアルミニウムからなるが、真鍮、ステンレス鋼等の他の金属から構成してもよい。
【0033】
次に、図3により露光部及び制御系について説明する。図3(a)は露光部及び制御系の概略的構成を示す図であり、図3(b)はフィルムFに対する露光部からのレーザ光の露光開始位置の制御について説明するための図である。
【0034】
図3(a)のように、露光部120は、発光部121からのレーザ光をポリゴンミラー122等を介してフィルムFに照射しながら主走査し、フィルムFに対してレーザ露光による画像の書き込みを行う。
【0035】
また、制御系として、画像処理部125aを有し露光部120を制御する制御部125と、搬送ローラ対142を駆動するモータ129等を制御するメカ制御部126と、を備える。制御部125は画像出力処理装置100のメインボード127とPCIバスで接続され画像信号が入力される。メカ制御部126はメインボード127との間で通信で情報の交換を行う。図3(a)のように、垂直方向センサ128がフィルムの位置を検出するように配置され、その検知信号が制御部125及びメカ制御部126に入力するようになっている。
【0036】
図3(a)、(b)のように、搬送ローラ対142により搬送方向HにフィルムFが搬送され、垂直方向センサ128がフィルムFの先端Faを検知すると、その検知信号が制御部125に入力し、フィルムFの先端Faから所定距離yだけ搬送方向に離れたところから、制御部125からの画像信号に基づいて露光部120からのレーザ光により画像の書き込みを開始する。このとき、制御部125が外部領域にあるレーザ光初期位置mからフィルムFの搬送方向Hに平行な一端Fcに向けた走査開始時からの時間をタイマで制御することで画像位置を調整し、例えば、フィルムFの一端Fcに達した時にレーザ光による実際の書き込みを行うようになっている。また、フィルムの内部の所定位置に達した時に実際の書き込みを行うようにタイマで実際の書き込み開始までの時間が制御される。
【0037】
また、フィルムFの先端Faからの所定距離yは制御部125において垂直方向センサ128が先端Faを検知してからの時間で調整することができる。この所定距離yによりフィルムFの先端Fa側部分に未露光部分を設けることができる。
【0038】
上述のフィルムFにおける露光部120による潜像形成について図4により説明する。図4は、本実施の形態におけるフィルムFの断面図であり、上述のような露光時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した図である。
【0039】
フィルムFは、PETからなる支持体(基層)上に、ポリビニルブチラールを主材とする感光層が形成され、更に、その上にセルロースブチレートからなる保護層が形成されている。感光層には、感光性ハロゲン粒子と、有機酸銀であるベヘン酸銀(Beh.Ag)と、銀イオン還元剤とを含有し、現像性の向上と最大濃度の向上と銀画像色調の向上のために、調色剤が配合されている。露光部120からレーザビームLがフィルムFに対して照射されると、図4に示すように、レーザビームLが照射された領域に、ハロゲン化銀粒子が感光し、潜像が形成される。
【0040】
潜像の形成されたフィルムFは、次に、図1のように、矢印方向(6)へ複数の搬送ローラ対142,143により熱現像部130内へと搬送され、ヒータ20により加熱された加熱ドラム14と複数の案内ローラ16との間に挟まれて加熱ドラム14の外周面に密着した状態で加熱ドラム14及び案内ローラ16の回転により搬送されながら115℃以上135℃以下の所定温度で加熱され熱現像され、次に、冷却部150Aを通って排出トレイ160へ排出される。
【0041】
図5は、上述のような加熱時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した、図3と同様な断面図である。フィルムFは、40℃以下の温度では実質的に熱現像されないが、上述のようにフィルムFを最低現像温度以上の現像温度に加熱すると、熱現像される。これは、図5に示すように、ベヘン酸銀から銀イオン(Ag+)が放出され、銀イオンを放出したべヘン酸は、調色剤と錯体を形成して、銀イオンの拡散能力が高くなり、感光したハロゲン化銀粒子まで拡散し、感光したハロゲン化銀粒子を核として還元剤が作用し、化学的反応により銀画像が形成されるからと思われる。
【0042】
次に、乳ガン検診等のためのマンモグラフィ撮影について図6を参照して説明する。図6は乳房の放射線撮影時の様子を示す側面図である。図6の上下方向にカセッテ200と圧迫板261との間に被験者の乳房250を挟み込むとともに、カセッテ200を被験者の胸壁251に当てた状態で、圧迫板261の図の上方に配置された放射線管260から放射線を放射して放射線撮影を行う。これにより、カセッテ200内の輝尽性蛍光体シート280に乳房の放射線画像を記録する。なお、乳房撮影は図6のようなカセッテ200、圧迫板261、放射線管260等の相対関係を保ったまま、角度を変えて行うことができ、例えば水平方向に撮影することもできる。また、カセッテ200の図の下方には自動露出機構(フォトタイマ)のためのセンサ部262が配置されており、カセッテ200を透過した放射線の強度をセンサ部262で測定し露出を制御するようになっている。
【0043】
図6のようにして放射線撮影された乳房画像は、公知の放射線画像読取装置で輝尽性蛍光体シート280から読み取られてから所定の画像処理が行われ、その画像信号が図3(a)のメインボード127及び制御部125を介して露光部120に入力する。上述のレーザ露光による画像書き込みで乳房画像の潜像がフィルムFに形成され、熱現像部130で熱現像されてフィルムFに可視像として形成される。
【0044】
上述のようにしてフィルムFに可視像として形成された乳房画像を図7に概略的に示すが、胸壁部画像251aがフィルムFの搬送方向Hに平行な一端Fcに沿うようにレイアウトされて形成され、その胸壁部画像251aからフィルムFの内側に片方の乳房画像250aが形成されるとともに、乳房画像250aがフィルムFの搬送方向の先端部Faと後端部Fbとから離れて形成されている。ここで、フィルムFの搬送方向Hは、図1のフィルム搬送方向(6)、(7)、(8)と一致する。
【0045】
図7に示す胸壁部画像251a及び乳房画像250aの潜像形成について更に説明する。図3(a),(b)のように、搬送中のフィルムFの先端Faを垂直方向センサ128が検知すると、先端Faから所定距離yだけ搬送方向Hに離れた外部領域にあるレーザ光初期位置mから露光部120のレーザ光が画像書き込みを開始し、タイマで制御した所定時間経過後にフィルムFの一端Fcに達した時に実際の画像書き込みを行うことで、図7のように胸壁部画像251aをフィルムFの搬送方向Hに平行な一端Fcに沿って形成できる。また、フィルムFの先端Faを垂直方向センサ128が検知してから書き込み開始までの時間を制御することで、先端Faからの距離yを調整することができ、先端Faから距離yの範囲に未露光部分を形成することができる。
【0046】
図7のように、フィルムFに片側の乳房画像を出力する場合は、一般的に六切サイズ、24cm×30cmサイズを使用し、胸壁部をフィルムFの搬送方向Hと平行の一端Fcにレイアウトすることで、後述のように画像濃度が不安定な部分が診断画像部分にかかることがなくなり、濃度的に安定した乳房画像を得ることができる。
【0047】
また、もう片方の乳房画像を胸壁部を同様にフィルムの搬送方向に平行な一端に沿って胸壁部画像が形成されるようにして形成し、両フィルムを胸壁部画像を中心にして並べることで、左右の乳房画像を胸壁部画像を中心として対象に並べた比較診断が容易となる。
【0048】
次に、図8により左右の乳房画像を1枚のフィルムFに形成した例を説明する。図8はフィルムFに可視像として形成された左右の乳房画像を概略的に示す図である。図8のように、胸壁部画像251aがフィルムFの搬送方向Hと略平行な方向に延びるような略中央部にレイアウトされて形成され、この胸壁部画像251aを中心にして片方の乳房画像250aが例えば搬送方向Hに平行な一端Fc側にかつもう片方の乳房画像252aが例えば搬送方向Hに平行な他端Fd側に互いに背中合わせになるように形成されている。左右の乳房画像250a、252aはフィルムFの搬送方向の先端部Faと後端部Fbとから離れて形成されている。
【0049】
図8のように、双方の乳房画像を1枚のフィルムに同時にプリントする場合、一般的に大四サイズを使用し、胸壁部をフィルム搬送方向と平行にかつフィルムの中央部に配置するようにレイアウトすることで、後述のように画像濃度が不安定な部分が診断画像部分にかかることがなくなり、濃度的に安定した画像を得ることができる。
【0050】
また、図8では、左右の乳房画像が胸壁部画像を中心にして1枚のフィルムに形成されるので、左右の乳房画像を胸壁部を中心として対象に並べた状態で比較診断することができる。
【0051】
なお、図8に示す胸壁部画像251a及び左右の乳房画像250a、252aの潜像は、図3(a),(b)のように、フィルムF先端Faから所定距離yだけ搬送方向Hに離れた外部領域にあるレーザ光初期位置mから露光部120のレーザ光が画像書き込みを開始し、タイマで制御した所定時間経過後にフィルムFの略中央部に胸壁部画像251aが形成されるような位置に達した時に実際の画像書き込みを行うことで形成できる。また、フィルムFの先端Faを垂直方向センサ128が検知してから書き込み開始までの時間を制御することで、先端Faからの距離yを調整することができ、先端Faから距離yの範囲に未露光部分を形成することができる。
【0052】
この場合、図8に示す胸壁部画像251a及び左右の乳房画像250a、252aは、予め制御部125の画像処理部125aでそのようなレイアウトに画像処理されてから露光部120に入力されるので、1枚撮りを並べたときにでき易い左右の乳房画像間に余白が生じるようなことはなく、観察し易く、比較診断に好適である。
【0053】
以上のように、図7及び図8において、片方の乳房画像及び左右の乳房画像をフィルムF上に搬送方向の先端部Fa及び後端部Fbにかかることなく最適なレイアウトで形成することができるので、濃度的に安定した画像を得ることができる。この効果を図9,図10,図12を参照して説明する。図9は加熱ドラムと付勢部材との間を搬送されるフィルムの先端部を示す拡大側面図であり、図10は加熱ドラムから出た直後のフィルムの先端部及びガイド部材を示す側面図である。図12は、実際のフィルムの先端部分を拡大して模式的に示す拡大斜視図である。
【0054】
即ち、図9に示すように、潜像の形成されたフィルムFが離間した配置された複数の付勢部材16により付勢されてドラム19の外周面14aに当接しながら搬送されるが、このとき、その先端部Faが付勢部材16とその次の付勢部材16との間で浮き上がり外周面14aに密着しない場合がある。これにより、フィルムFの先端部Faで濃度不足が発生し易くなる。また、同様の理由でフィルムFの後端部Fb(図7,図8)でも濃度不足が発生し易くなる。
【0055】
図10に示すように、フィルムFがドラム19から出た直後にガイド部材146に先端部Faが接触し軌跡を描きながら搬送されるが、先端部Faがガイド部材146に接触し、未だ115℃以上の現像温度である先端部Faが比較的急冷され、濃度不足が発生し易い。また、フィルムFの先端断面はフィルム製造時における断裁により図12のように形成されるが、この場合、フィルム断裁の良悪に応じて図の上側の乳剤面(感光面)側において乳剤層(感光層)が剥がれ易くなり、この乳剤層が剥がれると、ガイド部材146に付着し、ガイド部材146が汚れてしまい、その汚れなどによる搬送抵抗の上昇のためにフィルムFの搬送軌跡が変動することなどにより、先端部Faで濃度不足が発生し易くなる。
【0056】
上述のように、フィルムFの先端部Fa及び後端部Fbでは、画像濃度が変動し不安定になり易く、特にフィルム断裁が悪いと先端部で濃度不足が発生し易いのであるが、本実施の形態では、図7,図8のように片方の乳房画像も左右の乳房画像もフィルムFの先端部Fa及び後端部Fbから離れるようなレイアウトで形成されるので、先端部Fa及び後端部Fbにおいて濃度変動が生じたとしても、乳房画像に影響を与えることがない。従って、濃度的に安定した乳房画像を得ることができるのである。このように、フィルム断裁の良悪に関わらず、画像が安定した部分に診断部位をレイアウトすることで、診断に支障のないに安定した仕上がりの乳房画像を形成できる。
【0057】
また、左右の乳房画像を1枚のフィルムに同時に形成し、比較読影する場合は、一般的に大四サイズを使用し、乳房の胸壁面を搬送方向と平行にかつフィルムの中央部に胸壁部を背中合わせに配置することで、上述した画像濃度が不安定な部分が診断画像部分にかかることがなくなり、安定した画像を得ることができ、かつ1枚のフィルムのみでシャーカステンでの比較診断ができ、作業の煩雑性もなくなる。また、左右の乳房画像を1枚づつ別々のフィルムに形成する場合よりも、コスト的に有利である。
【0058】
更に、フィルムFの先端から所定範囲に未露光部分を形成することで、フィルム断裁の影響を極力小さくでき、先端側において濃度の不安定な部分を確実に回避して乳房画像を形成できるとともに、乳房画像のレイアウト可能領域が大きくでき、レイアウトの自由度が広がるため更に好ましい。
【0059】
以上のように本発明を実施の形態により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、図11の変形例に示すように、1枚のフィルムに左右の乳房画像を形成する場合に、胸壁部画像251aをフィルムFの搬送方向Hと略直交する方向に延びるような略中央部にレイアウトし形成してもよい。即ち、胸壁部画像251aを中心にして片方の乳房画像250aが例えば先端部Fa側に、かつ、他方の乳房画像252aが例えば後端部Fb側に互いに背中合わせになるように形成されるが、両乳房画像250a、252aともに先端部Fa及び後端部Fbから離れて形成されるので、濃度的に安定した乳房画像を得ることができる。図11の例でも、左右の乳房画像を胸壁部を中心として対象に並べた状態で比較診断できる。
【0060】
また、図13に図8の別の変形例を示す。図13の例は、図8のように片方の乳房画像250aがフィルムFの搬送方向Hに平行な一端Fc側にかつ他方の乳房画像252aが搬送方向Hに平行な他端Fd側に互いに背中合わせになるように形成されているが、両乳房画像250a、252aの胸壁部画像251a間に対称軸部253を設けている。
【0061】
図13の例では、一般に両乳房画像250a、252aのフィルム濃度が1.0〜2.0の範囲内であり、画像の形成されないハッチングで示すバックグラウンド部分のフィルム濃度が3.0〜4.0の範囲内である。対称軸部253は細ければよく、シャープな黒線となる。
【0062】
図13のように、左右の乳房画像250aと252aとの間の対称軸部253が黒線になることで、左右の乳房画像250aと252aの間の境界を明確にすることができ、また、フィルムFのシャーカステン上での観察のときに左右の乳房画像250aと252aの間から光が洩れないため、フィルムFの観察が行い易くなる。更に、対称軸部253を細く、例えば1mm以下とすることで、左右の乳房画像250aと252aとを比較診断し易くなる。なお、このような対称軸部253は、図3の制御部125の画像処理部125aにおける画像処理で形成することができる。
【0063】
また、図7のように、胸壁部画像251aがフィルムFの搬送方向Hに平行な一端Fcに沿うようにして片側の乳房画像を形成できるが、本発明は、これに限定されず、フィルムFの先端Fa、後端Fbを避けるようにすれば、他の態様で胸壁部画像251aを配置してもよい。例えば、壁部画像251aを先端Faから離れて先端Faに平行に形成してもよく、また、一端Fcに対し傾斜するように形成してもよい。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、マンモグラフィー撮影による乳房画像を熱現像感光材料の断裁の良し悪しに関わらずに安定した画像でかつ最適なレイアウトで出力できる画像出力処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態による画像出力処理装置を概略的に示す正面図である。
【図2】図1の画像出力処理装置の左側面図である。
【図3】図3(a)は図1の画像出力処理装置の露光部及び制御系の概略的構成を示す図であり、図3(b)はフィルムFに対する露光部からのレーザ光の露光開始位置の制御について説明するための図である。
【図4】本実施の形態におけるフィルムの断面図であり、光走査部からのレーザビームによる露光時におけるフィルム内の化学的反応を模式的に示した図である。
【図5】本実施の形態におけるフィルムの断面図であり、図4のような潜像の形成されたフィルムを加熱した時におけるフィルム内の化学的反応を模式的に示した図である。
【図6】本実施の形態におけるマンモグラフィ撮影により乳房の放射線撮影時の様子を示す側面図である。
【図7】本実施の形態においてフィルムFに可視像として形成された片方の乳房画像を概略的に示す図である。
【図8】本実施の形態において1枚のフィルムFに可視像として形成された左右の乳房画像を概略的に示す図である。
【図9】図1の加熱ドラムと付勢部材との間を搬送されるフィルムの先端部を示す拡大側面図である。
【図10】図1の加熱ドラムから出た直後のフィルムの先端部及びガイド部材を示す側面図である。
【図11】図8の変形例を説明するための図であり、フィルムFに図8とは別の配置形態で形成された左右の乳房画像を概略的に示す図である。
【図12】実際のフィルムの先端部分を拡大して模式的に示す拡大斜視図である。
【図13】図8の別の変形例を説明するための図であり、フィルムFに可視像として形成された左右の乳房画像を概略的に示す図である。
【符号の説明】
100 画像出力処理装置
120 露光部
125 制御部(画像位置調整手段)
130 熱現像部
14 加熱ドラム(加熱部材)
14a 加熱ドラムの外周面
16 付勢部材
19 ドラム本体
146 ガイド部材
250a、252a 乳房画像
251a 胸壁部画像
F フィルム(熱現像感光材料)
Fa フィルムの先端部
Fb フィルムの後端部
Fc フィルムの一端(端部)
Fd フィルムの他端
H フィルムの搬送方向
Claims (7)
- 熱現像感光材料を搬送する搬送部と、前記熱現像感光材料に潜像を形成する露光部と、前記潜像を現像するために前記熱現像感光材料を加熱する熱現像部と、前記熱現像部の下流側に配置され前記熱現像感光材料をガイドするガイド部材と、を有し、前記熱現像感光材料に可視像を形成して出力する画像出力処理装置であって、
マンモグラフィー撮影による片側の乳房画像を前記熱現像感光材料に形成するとき、乳房の胸壁部が前記熱現像感光材料の搬送方向の先端または後端に配置されないように画像位置を調整する画像調整手段を備えることを特徴とする画像出力処理装置。 - 前記乳房の胸壁部が前記熱現像感光材料の搬送方向と平行の端部に沿って配置されることを特徴とする請求項1に記載の画像出力処理装置。
- 熱現像感光材料を搬送する搬送部と、前記熱現像感光材料に潜像を形成する露光部と、前記潜像を現像するために前記熱現像感光材料を加熱する熱現像部と、前記熱現像部の下流側に配置され前記熱現像感光材料をガイドするガイド部材と、を有し、前記熱現像感光材料に可視像を形成して出力する画像出力処理装置であって、
マンモグラフィー撮影による左右の乳房画像を1枚の前記熱現像感光材料に形成するとき、前記熱現像感光材料の搬送方向と略平行な方向に延びるように位置する略中央部に乳房の胸壁部が沿うとともに前記左右の乳房画像が前記胸壁部を中心に背中合わせに配置されるように画像位置を調整する画像調整手段を備えることを特徴とする画像出力処理装置。 - 熱現像感光材料を搬送する搬送部と、前記熱現像感光材料に潜像を形成する露光部と、前記潜像を現像するために前記熱現像感光材料を加熱する熱現像部と、前記熱現像部の下流側に配置され前記熱現像感光材料をガイドするガイド部材と、を有し、前記熱現像感光材料に可視像を形成して出力する画像出力処理装置であって、
マンモグラフィー撮影による片側の乳房画像を前記熱現像感光材料に形成するとき、前記熱現像感光材料の搬送方向の先端側に未露光部分が形成されかつ乳房の胸壁部が前記搬送方向と平行の端部に沿って配置されるように画像位置を調整する画像調整手段を備えることを特徴とする画像出力処理装置。 - 熱現像感光材料を搬送する搬送部と、前記熱現像感光材料に潜像を形成する露光部と、前記潜像を現像するために前記熱現像感光材料を加熱する熱現像部と、前記熱現像部の下流側に配置され前記熱現像感光材料をガイドするガイド部材と、を有し、前記熱現像感光材料に可視像を形成して出力する画像出力処理装置であって、
マンモグラフィー撮影による左右の乳房画像を1枚の前記熱現像感光材料に形成するとき、前記熱現像感光材料の搬送方向の先端側に未露光部分が形成されかつ前記搬送方向と略平行な方向に延びるように位置する略中央部に乳房の胸壁部が沿うとともに前記左右の乳房画像が前記胸壁部を中心に背中合わせに配置されるように画像位置を調整する画像調整手段を備えることを特徴とする画像出力処理装置。 - 前記ガイド部材は、前記熱現像部から搬送された前記熱現像感光材料が未だ現像停止温度に至らない位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像出力処理装置。
- 前記画像調整手段は前記露光手段における前記熱現像感光材料に対するレーザ露光の開始位置を調整する手段を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像出力処理装置。
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