JP3724250B2 - 熱現像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性熱現像材料を加熱して熱現像する熱現像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の感光性熱現像材料を加熱して熱現像する熱現像装置では、回る加熱部材と、前記加熱部材に対向し、感光性熱現像材料を前記加熱部材の表面上に付勢する案内部材とを有し、感光性熱現像材料を前記案内部材により前記加熱部材の表面に感光性熱現像材料を密着させながら、前記加熱部材により感光性熱現像材料を加熱して熱現像する熱現像部を備えるものである。
【0003】
【発明の解決すべき課題】
しかし、このような熱現像装置では、感光性熱現像材料を連続して熱現像すると、案内部材の温度が低下し、特に、感光性熱現像材料の搬送方向上流側の案内部材の温度が低下し、熱現像温度の低下や実質的な熱現像時間の短縮となり、結果として熱現像後の感光性熱現像材料において所定濃度特性が得られなくなる。この対策として、熱現像後の感光性熱現像材料の濃度を測定し、この測定濃度から露光部の露光量へフィードバックすることが考えられるが、感光性熱現像材料の熱現像履歴やフィードバックの時間的な遅れ等があるため、熱現像後の感光性熱現像材料の濃度特性が十分に安定しない。
【0004】
本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、熱現像後の感光性熱現像材料の濃度特性の変動を抑えることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、下記手段により解決することができる。
【0006】
感光性熱現像材料を露光する露光部と、加熱部材と、前記加熱部材に対向し、感光性熱現像材料を前記加熱部材の表面上に付勢する案内部材とを有し、前記露光部で露光された感光性熱現像材料を前記案内部材により前記加熱部材の表面に感光性熱現像材料を密着させながら、前記加熱部材により感光性熱現像材料を加熱して熱現像する熱現像部と、を備える熱現像装置において、複数の前記感光性熱現像材料が熱現像される際の熱現像履歴に応じて前記案内部材の温度を推定し、この推定温度に応じて前記露光部からの露光量を制御することにより、前記案内部材の温度の変動への主要因である複数の前記感光性熱現像材料が熱現像される際の熱現像履歴から露光量を制御するので、熱現像後の感光性熱現像材料の濃度特性の変動を抑えられ、また前記案内部材の温度の変動の影響を現像条件を制御することで補正できるから、熱現像後の感光性熱現像材料の濃度特性の変動を抑えられる。
【0007】
また、回る加熱部材と、前記加熱部材に対向し、感光性熱現像材料を前記加熱部材の表面上に付勢する案内部材とを有し、感光性熱現像材料を前記案内部材により前記加熱部材の表面に感光性熱現像材料を密着させながら、前記加熱部材により感光性熱現像材料を加熱して熱現像する熱現像部を備える熱現像装置において、熱現像された感光性熱現像材料の濃度に基づいて前記案内部材の温度を推定し、この推定温度に基づいて前記熱現像部の現像条件を制御することにより、感光性熱現像材料の熱現像履歴に対応でき、露光部にフィードバックするよりもフィードバックの時間的な遅れの悪影響が少なく、熱現像後の感光性熱現像材料の濃度特性の変動を良好に抑えられ、更に感光性熱現像材料の熱現像履歴に対応でき、露光部にフィードバックするよりもフィードバックの時間的な遅れの悪影響が少なく、熱現像後の感光性熱現像材料の濃度特性の変動を良好に抑えられる。
【0008】
また、回る加熱部材と、前記加熱部材に対向し、感光性熱現像材料を前記加熱部材の表面上に付勢する案内部材とを有し、感光性熱現像材料を前記案内部材により前記加熱部材の表面に感光性熱現像材料を密着させながら、前記加熱部材により感光性熱現像材料を加熱して熱現像する熱現像部を備える熱現像装置において、熱現像された感光性熱現像材料の濃度を測定する濃度計を具備し、前記濃度計の測定濃度に基づいて前記案内部材の温度を推定し、この推定温度に基づいて、前記熱現像部の現像条件を制御することにより、感光性熱現像材料の熱現像履歴に対応でき、露光部にフィードバックするよりもフィードバックの時間的な遅れの悪影響が少なく、熱現像後の感光性熱現像材料の濃度特性の変動を良好に抑えられ、更に感光性熱現像材料の熱現像履歴に対応でき、露光部にフィードバックするよりもフィードバックの時間的な遅れの悪影響が少なく、熱現像後の感光性熱現像材料の濃度特性の変動を良好に抑えられる。
【0009】
また、回る加熱部材と、前記加熱部材に対向し、感光性熱現像材料を前記加熱部材の表面上に付勢する案内部材とを有し、感光性熱現像材料を前記案内部材により前記加熱部材の表面に感光性熱現像材料を密着させながら、前記加熱部材により感光性熱現像材料を加熱して熱現像する熱現像部を備える熱現像装置において、前記加熱部材の回る速度を変えることにより、前記熱現像時間を制御し、前記加熱部材と前記案内部材との間に一方向クラッチを組み込まれた駆動ローラを有し、感光性熱現像材料を搬送する前搬送部を有し、前記加熱部材の回る速度を変えても、前記加熱部材の回る周速度は、前記前搬送部の搬送速度以上であることにより、前記案内部材の温度の変動の影響を現像条件を制御することで補正できるから、熱現像後の感光性熱現像材料の濃度特性の変動を抑えられる。そして、上述の装置で、前記現像条件として熱現像時間を制御することにより、熱現像後の感光性熱現像材料の濃度特性の変動を抑えられる。これは、案内部材の温度低下により、感光性熱現像材料の昇温時間がかかり、熱現像に必要な温度に到達するまでの時間が相対的に長くなっても、この長くなる時間分を熱現像時間を増すことにより補償することができるからである。特に、前記加熱部材の回る速度を変えることにより、前記熱現像時間を制御することにより、特に簡単な制御で、前記熱現像時間を制御することができ、熱現像後の感光性熱現像材料の濃度特性の変動を抑えられる。この場合、前記加熱部材と前記案内部材との間に感光性熱現像材料を搬送する前搬送部を有し、前記加熱部材の回る速度を変えても、前記加熱部材の回る周速度は、前記前搬送部の搬送速度以上であることにより、熱現像後の感光性熱現像材料の濃度特性の変動を抑えられるだけでなく、前搬送部の搬送速度の方が速いために生じる折れや加熱部材上での感光性熱現像材料の撓みやズレなども抑制できる。そして、さらに、前記前搬送部は、一方向クラッチを組み込まれた駆動ローラを有することにより、加熱部材の回る周速度と前搬送部の搬送速度との速度差が大きくなっても感光性熱現像材料に引っ張り傷や加熱部材上での撓みやズレなどの発生を防止できるので、前記案内部材の温度の変動の影響を補正できる制御範囲を広くでき、熱現像後の感光性熱現像材料の濃度特性の変動をより安定的抑えられる。
【0010】
また、前記加熱部材から離れた感光性熱現像材料を搬送する後搬送部を有し、前記加熱部材の回る速度を変えても、前記加熱部材の回る周速度は、前記後搬送部の搬送速度以下であることにより、熱現像後の感光性熱現像材料の濃度特性の変動を抑えられるだけでなく、後搬送部の搬送速度の方が遅いために生じる折れや加熱部材上での感光性熱現像材料の撓みやズレなども抑制できる。前記後搬送部は、一方向クラッチを組み込まれた駆動ローラを有することにより、加熱部材の回る周速度と後搬送部の搬送速度との速度差が大きくなっても感光性熱現像材料に引っ張り傷や加熱部材上での撓みやズレなどの発生を防止できるので、前記案内部材の温度の変動の影響を補正できる制御範囲を広くでき、熱現像後の感光性熱現像材料の濃度特性の変動をより安定的抑えられる。
【0011】
なお、本出願において、熱現像履歴とは、今回の感光性熱現像材料を熱現像するまでの感光性熱現像材料を熱現像したことの履歴のことである。この熱現像履歴としては、例えば、直前に熱現像された感光性熱現像材料を熱現像してから今回の感光性熱現像材料を熱現像するまでの時間であってもよいし、今回の1〜3枚前に熱現像された感光性熱現像材料のそれぞれが熱現像されてから今回の感光性熱現像材料を熱現像するまでのそれぞれの時間であってもよいし、今回の感光性熱現像材料を熱現像する時刻より所定時間前の時刻以降に熱現像された感光性熱現像材料の枚数でもよいし、感光性熱現像材料を連続して熱現像するとき、所定時間間隔毎に感光性熱現像材料を熱現像する装置の場合に、今回の感光性熱現像材料までに所定時間間隔毎に熱現像した感光性熱現像材料の枚数でもよいが、これらに限られない。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一例である発明の実施の形態及び実施例を説明する。従って、発明の用語の意義や発明自体を、発明の実施の形態及び実施例の記載により限定して解釈すべきではなく、適宜変更/改良が可能であることは言うまでもない。
実施形態
図1は、本実施形態の熱現像装置の正面図であり、図2は、この熱現像装置の左側面図である。熱現像装置100は、シート状の熱現像材料であるフィルムFを1枚ずつ給送する給送部110と、給送されたフィルムFを露光する露光部120と、露光されたフィルムFを現像する熱現像部130とを有している。以下、図面を用いて本実施形態の画像形成装置を説明する。
【0023】
図2において、給送部110は堆積された複数枚のフィルムFを収容するトレイTが上下二段に設けられている。各トレイTの前方端部側の上部には、フィルムFの前端部を吸着して上下動する吸着ユニット111が設けられている。また、吸着ユニット111の近傍には、吸着ユニット111により供給されたフィルムFを矢印(1)方向(水平方向)へ給送する給送ローラ対112が設けられている。また、吸着ユニット111は前後にも移動可能で吸着したフイルムFを給送ローラ対112へ運ぶことができる。そして、給送ローラ対112により給送されたフイルムFを垂直方向に搬送する複数の搬送ローラ対141が設けられいる。これらの搬送ローラ対141により、フィルムFを図2の矢印(2)に示す方向(下方)に搬送する。
【0024】
熱現像装置100の下部には、搬送方向変換部145が設けられている。この搬送方向変換部145は、図1及び図2に示すように、搬送ローラ対141により図2の矢印(2)に示す鉛直方向下方に搬送されたフィルムFを矢印(3)で示すように水平方向に搬送し、次いで、搬送方向を矢印(3)から矢印(4)へ直角に変換して搬送し次いで、搬送方向を変換され搬送されたフイルムFを図1の矢印(5)に示す鉛直方向上方に搬送方向を変えて搬送する。
【0025】
そして、図1に示すように、搬送方向変換部145から搬送されたフイルムFを図1の矢印(6)で示す鉛直方向上方に搬送する複数の搬送ローラ対142が設けられ、フィルムFを熱現像装置100の左側面から図1の矢印(6)で示す鉛直方向上方に搬送する。
【0026】
この鉛直方向上方への搬送途中で、露光部120は、フィルムFの感光面を赤外域780〜860nmの範囲のレーザ光(本実施形態では810nm)で走査露光し、露光画像信号に応じた潜像を形成させる。
【0027】
熱現像装置100の装置の上部には熱現像部130が設けられ、熱現像部130のドラム14の近傍には、搬送ローラ対142で図1の矢印(6)に示す鉛直方向上方に搬送されたフィルムFをドラム14へ供給する供給ローラ対143が設けられている。
【0028】
ドラム14へフィルムFを供給するタイミングは、成り行きによるランダムなタイミングで供給する。
【0029】
なお、ランダムなタイミングによる供給の代わりに、タイミングを図って供給してもよい。タイミングを図って供給する例としては、供給ローラ対143が、ドラム14の周上の次の被供給位置が所定回転位置に到達するまで停止し、ドラム14の周上の次の被供給位置が所定回転位置に到達した時点で回転するようにしても良い。すなわち、供給ローラ対143の回転を制御することにより、ドラム14の所定の被供給位置に、フィルムFを供給するようにしてもよい。
【0030】
熱現像部130のドラム14は、フィルムFとドラム14の外周面とが密着した状態で、図1の矢印(7)に示す方向に共に回転しながら、ドラム14がフィルムFを加熱し熱現像する。すなわち、フイルムFの潜像を可視画像に形成する。その後、図1のドラム14に対し右方まで回転したときに、ドラム14からフィルムFを離す。熱現像部130の右側方には、複数の搬送ローラ対144が設けられており、ドラム14から離れたフイルムFを、図1の矢印(8)に示すように右斜め下方に搬送しつつ、冷却する。そして、搬送ローラ対144が冷却されたフイルムFを搬送しつつ、濃度計118がフイルムFの濃度を測定する。その後、複数の搬送ローラ対144は、ドラム14から離れたフイルムFを図1の矢印(9)に示すように水平方向に搬送し、熱現像装置100の上部から取り出せるように、熱現像装置100の右上方部に設けられた排出トレイ160に排出する。
【0031】
図3は、露光部120の構成を示す概略図である。露光部120は、デジタル画像信号Sに基づき強度変調されたレーザ光Lを、回転多面鏡113によって偏向して、フィルムF上を主走査すると共に、フィルムFをレーザ光Lに対して主走査の方向と略直角な方向に相対移動させることにより副走査し、レーザ光Lを用いてフィルムFに潜像を形成するものである。
【0032】
熱現像装置100は、放射線CT装置、スキャナ等の画像発信装置121から送信されたデジタル画像信号Sを画像I/F122を介して受信し、変調部123に入力される。変調部123は、アナログ変換された露光画像信号をドライバ124に送り、ドライバ124は送られた露光画像信号に応じてレーザ光源部125がレーザ光を照射するように制御する。
【0033】
レーザ光源部125から出射したレーザ光Lは、集光レンズ126で平行光とされ、シリンドリカルレンズ115で一方向(本実施形態では、上下方向)にのみ収束され、図5で矢印Aに示す回転方向に回転する回転多面鏡113に対し、その回転軸に垂直な線像として入射するようになっている。回転多面鏡113は、レーザ光Lを主走査方向に反射偏向し、偏向されたレーザ光Lは、4枚のレンズを組み合わせてなるシリンドリカルレンズを含むfθレンズ114を通過した後、光路上に主走査方向に延在して設けられたミラー116で反射されて、搬送装置142により矢印Y方向に搬送されている(副走査されている)フィルムFの被走査面上を、矢印X方向に繰り返し主走査される。このようにして、レーザ光Lは、フィルムF上の被走査面全面にわたって走査する。
【0034】
fθレンズ114のシリンドリカルレンズは、入射したレーザ光LをフィルムFの被走査面上に、副走査方向にのみ収束させる。このように、本露光部120においては、シリンドリカルレンズを含むfθレンズ114及びミラー116を配設しており、レーザ光Lが回転多面鏡113上で、一旦副走査方向にのみ収束させるようになっているので、回転多面鏡113に面倒れや軸ブレが生じても、フィルムFの被走査面上において、レーザ光Lの走査位置が副走査方向にずれることがなく、等ピッチの走査線を形成することができるようになっている。回転多面鏡113は、たとえばガルバノメータミラー等、その他の光偏光器に比べ走査安定性の点で優れているという利点がある。以上のようにして、フィルムFに画像信号Sに基づく潜像が形成される。
【0035】
図4乃至6は、フィルムFを加熱する熱現像部130の構成を示す図であり、より具体的には、図4は、熱現像部130の斜視図であり、図5(a)は、図4の構成をIV−IV線で切断して矢印方向に見た断面図であり、図5(b)はドラムの部分的側面図であり、図6は、図4の構成を正面から見た図である。また、図9は、熱現像部130における熱現像温度、熱現像時間等を制御する制御系を示すブロック図である。
【0036】
熱現像部130は、フィルムFを所定の最低熱現像温度以上の温度に、所定の熱現像時間維持することによって、フィルムFを熱現像する。すなわち、フイルムFに形成された潜像を可視画像として形成する。ここで、最低熱現像温度とは、フィルムFに形成された潜像が熱反応により現像され始める最低温度のことであり、本実施の形態のフィルムFにおいては110℃前後の温度である。一方、熱現像時間とは、フイルムFの潜像を所望の現像特性で現像するのに最低熱現像温度以上の温度に維持すべき時間をいう。尚、本実施形態では、フィルムFは、本装置の設置可能環境温度である40℃以下では実質的に熱現像されないものであることが好ましい。
【0037】
熱現像部130は、フィルムFを外周面上に保持しつつ加熱できるドラム14を有している。ドラム14は、本発明の加熱部材の一例であり、フィルムFを所定の最低熱現像温度以上に、所定の熱現像時間維持することによって、フィルムFに、形成された潜像を可視画像として形成させる。
【0038】
尚、熱現像部130は、本実施の形態においては、露光部120と共に熱現像装置100に組み込まれているが、露光部120とは独立した装置であっても良い。かかる場合、露光部120から熱現像部130へとフィルムFを搬送する搬送部があることが好ましい。
【0039】
ドラム14の外方には、小径のローラ16が20本設けられている。そして、これら20本のローラ16は、本発明の案内部材の一例であり、その回転軸がドラム14の回転軸に対して平行になるように、ドラム14に対向しかつ、ドラム14の周方向に等間隔に配置されている。ドラム14の両端には、フレーム18に支持されている案内ブラケット21が片側に3個ずつ備えられている。尚、案内ブラケット21を組み合わせることにより、ドラム14の両端において、対向するC字形状が形成されるようになっている。
【0040】
各案内ブラケット21は、半径方向に延びた長孔42を9つ形成している。この長孔42から、ローラ16の両端部に設けられたシャフト40が突出する。シャフト40には、それぞれコイルばね28の一端が取り付けられており、コイルばね28の他端は、案内ブラケット21の内方縁近傍に取り付けられている。従って、各ローラ16は、コイルばね28の付勢力に基づく所定の力で、ドラム14の外周に付勢される。フィルムFは、ドラム14の外周とローラ16との間に侵入したときに、かかる所定の力でドラム14の外周面に対して押圧され、それによりフィルムFを全面的に均一に加熱する。
【0041】
ドラム14に同軸に連結されたシャフト22は、フレーム18の端部部材20から外方に延在しており、シャフトベアリング24により、端部部材20に対して回転自在に支承されている。シャフト22の下方に配置され、端部部材20に取り付けられたステッピングモータ26の回転軸23には、ギヤ23aが形成されている。一方、シャフト22にもギヤ22aが形成されている。そして、ギヤ23aとギヤ22aを巻回するタイミングベルト(ギアが刻まれたベルト)25を介して、ステップモータの回転はシャフト22へ伝達され、ドラム14が回転する。なお、回転軸23からシャフト22への動力の伝達は、タイミングベルトの代わりに、チェーンやギヤ列を用いてもよい。
【0042】
図5(a)に示すように、本実施の形態において、ローラ16は、ドラム14の周囲方向に凡そ179度の角度範囲にわたって設けられている。2本の補強部材30(図5)が、フレーム18の両端部部材20を連結し、両端部部材20を付加的に支持するようになっている。
【0043】
ドラム14の内周には、板状のヒータ32が全周にわたって取り付けられており、図6に示す電子装置34の制御下で、ドラム14の外周を加熱するようになっている。ヒータ32への電力の供給は、電子装置34に連結されたスリップ・リング・アセンブリ35を介して行われる。
【0044】
尚、本実施の形態においては、熱現像装置100の構成をコンパクトにするために、ドラム14を回転自在な円筒形状としているが、フィルムFを加熱する手段として別な構成を用いても良い。たとえば、ヒータを備えたベルトコンベヤにフィルムFを載置し、かかるベルトコンベヤによりフィルムFを搬送しつつ加熱することが考えられる。
【0045】
図5(a),(b)に示すように、ドラム14は、金属製の支持部材であるアルミ製の支持チューブ36と、この支持チューブ36の外側に取り付けられた柔軟な柔軟層(弾性層)38を備えている。尚、柔軟層38は、支持チューブ36に間接的に取り付けられていても良い。本実施の形態による支持チューブ36は、長さが45.7cm、肉厚が0.64cmであり、外径が16cmとなっている。
【0046】
一方、支持チューブ36の肉厚のムラは、たとえば4%以内に収めることが好ましい。更に、柔軟層38は、加熱すべきフィルムFに対する密着度を高めるため、十分に滑らかな面を有するようになっており、その表面粗さRaは、5μm(特に2μm)よりも小さいことが望ましい。
【0047】
しかしながら、柔軟層38の表面粗さRaは、フィルムFがドラム14に粘着することを防止するために、0.3μm以上とした方が良い。尚、表面粗さRaが0.3μm以上であれば、ガス、特に揮発性材料が、柔軟層38とフィルムFとの間から排出され易くなる。特に、柔軟層が、熱伝導率を高めるための添加物と、シリコンゴムとを含有している場合、表面粗さRaは、フィルムFがドラム14に粘着することを防止するために、0.3μm以上とした方が良い。
【0048】
柔軟層38は、0.3W/m/K以上の十分な熱伝導率を有しており、これによりドラム14の外周面の表面温度が均一に維持される。尚、本実施の形態においては、柔軟層38の熱伝導率は、0.4W/m/K以上としている。
【0049】
柔軟層38を用いているために、耐摩耗性を犠牲にすることなく、ローラ16によりフィルムFがドラム14に対し、より確実に密着するようになっている。柔軟層38は、デュロメータで測定されるショアA硬さで70以下(特に60以下)であることが好ましい。本実施の形態では、デュロメータで測定されるショアA硬さで55以下の硬度である。
【0050】
柔軟層38の厚さは、0.1mmから2mmの範囲にあることが好ましく、これよりも薄い柔軟層38を用いることも可能であるが、薄くなるにつれ、柔軟層30の機能が低下すると共に、その製造が困難になるという問題がある。そこで、柔軟層38の厚さは、0.1mm以上であることが好ましい。さらに、柔軟層38の厚さのバラツキは、表面領域上で、20%以下(特に10%以下)であれば好ましい。本実施の形態では、5%以下に抑えられている。
【0051】
本実施形態では、ローラ16として、外側の直径が1〜2cmであり、肉厚が2mmのアルミ製の管を用いる。ローラ16が中空になっていることにより、熱伝導の抑止が支援され、これにより、現像時における、ローラ16の熱の影響を極力排除することができる。なお、ローラ16を、中空とせず、中実又は充填された円筒部材で形成してもよい。
【0052】
尚、上述したように、コイルばね28の付勢力は、フィルムFがドラム14の外周面により確実に密着して、十分な熱伝達を受けることができるよう、ローラ16の押圧力を決定するものであるため、その値の選定には注意する必要がある。コイルばね28の付勢力が過小であれば、フィルムFに、熱が不均一に伝導するため画像の現像が不完全になる恐れがある。従って、フィルムFの幅1cm当たりのローラ16からの付勢力は3g以上(特に5g以上)であることが好ましい。 また、フィルムFの幅1cm当たりのローラ16からの付勢力が14gより過小であると、ローラ16がドラム14に対してつれ回りしない恐れが生じてくる。特に、この付勢力が7g以下だと連れ回りしない。このような場合、フィルムFがドラム14と共に回転移動し、かつローラ16がフィルムFに接しているとき、フィルムFは、ローラ16により傷つけられる恐れがある。このような場合、これらのローラ16の両端に被回転駆動部を設け、この被回転駆動部を介して、ギヤ駆動、摩擦駆動などにより、回転駆動させることが望ましい。
【0053】
一方、コイルばね28の付勢力は、ローラ16がフィルムFに圧痕を生じさせない程度に小さくする必要がある。
【0054】
従って、フィルムFの幅1cm当たりのローラ16からの付勢力は、200g以下(特に100g以下)にあることが好ましい。本実施の形態では、この力は、フィルムFの幅方向1cm当たり5〜7gの間にある。加えて、ローラ16の両端に被回転駆動部を設け、この被回転駆動部を介して、ギヤ駆動により回転駆動させて、この範囲内に力を維持することにより、圧痕の低減と、画像の不均一の低減との調和を確保することができる。
【0055】
フィルムF自体の熱膨張や熱収縮により不均一に伸びることや、これらや剛性により、その前縁がローラ16同士の間で接線方向に延びることを抑えるべく、ローラ16同士は、十分に近接していなければならない。かかる配置は、フィルムFをローラ16とドラム14との間に保持するために重要である。このようにするためには、ドラム14の直径が5cm〜30cmで、ローラ16の間隔が1〜5cmで、直径が0.5〜2cmであることが好ましい。そして、これは、特に、べースの厚さが0.1〜0.2mmのフイルムを熱現像するのに有用である。
【0056】
図4〜6に示すように、20個のローラ16は、ドラム14の回転方向において171度にわたって設けられ、各スぺースは、中心から中心に対して9度だけ隔てられている。この構成は、ドラム14の直径が16cmであり、ローラ16の直径が1.2cmである場合に、べースの厚さが0.1〜0.2mmのフイルム、例えば、べースの厚さが0.18mmであるポリエステルフィルム等の比較的硬質であるフイルムや、べースの厚さが0.10mmであるポリエステルフィルム等の硬度がより小さいフイルムに対して有効に作用するものとなっている。また、図6のように、複数のローラ16のうちフィルムの搬送方向最上流側のローラ161、4番目のローラ164,6番目のローラ166の近傍には、それぞれ各ローラの温度を検知するための案内部材用熱電対301,304,306が各ローラの表面近傍に配置されている。
【0057】
ドラム14を回転方向に当分割する4つの領域の各々に、ヒータ32がドラム14の内面に設けられており、ドラム14の外周面を加熱する。ドラム14を加熱するためのヒータ32には、エッチングされた抵抗性のフォイル・ヒータを用いることができる。
【0058】
ドラム14の4つのヒータ32の3つの隙間の各々にドラム14の温度を検出する温度センサ39が配置されている。そして、電子装置34は、ドラム14と共に回転し、3つの温度センサ39からの温度検知信号に応じて、ヒータ32に供給される電力を調整する。本実施形態においてはドラム14を、60℃〜160℃の温度範囲内で一定温度に温度制御できる。ヒータ32と電子装置34とにより、ドラム14の幅方向の温度を2.0℃以内(特に、1.0℃以内)に維持すると好ましい。本実施の形態では、0.5℃以内に維持される。
【0059】
供給ローラ対143から供給される未現像のフィルムFは、熱現像部130において、ドラム14と、最も上流側のローラ161とによって形成されるニップ部52に供給される。次いで、フィルムFは、ドラム14と共に回転する。このとき、フィルムFは、ローラ16によりドラム14に対して付勢され、回転の間に所定時間、ドラム14の外周に当接せしめられる。
【0060】
また、図5(a)に示すように、ドラム14のフィルムの供給口201の近傍には、フォトインタラプタ308が配置されており、その発光素子308aと受光素子308bとの間に搬送されてきたフィルムFが位置すると、その時間を検知し、次のフィルムが搬送されてきて検知することにより、フィルムの現像熱現像履歴を検知するようになっている。なお、発光素子308aはフィルムの感光波長域外の光が発するものであることが好ましい。
【0061】
ドラム14は、現像されるフィルムFと略同一速度で移動することができるため、フィルムFの表面に傷(傷み、損傷)がつく恐れは低くなり、それにより高品質の画像を確保することができる。ドラム14とローラ16との間に搬送された後、現像されたフィルムFは、最も下流側に位置するローラ16とドラム14とにより形成されたニップ部50に案内されて、熱現像部130のドラム14から引き出されることとなる。
【0062】
熱現像部130は、例えば実施例に示す赤外線感光性ハロゲン化銀を含む感光性熱現像乳剤がコーティングされた0.178mmのポリエステル基層等の種々のフィルムFを現像するように構成されることができる。ドラム14は、115℃〜138℃の温度、たとえば、124℃に維持され、該ドラム14は、フィルムFを所定時間である約15秒間、その外周面に当接状態で保持するような回転速度で回転せしめられる。当該所定時間及び当該温度で、フィルムFは、124℃の温度まで上昇せしめられることができる。
【0063】
熱現像に続いて、フィルムFを熱現像部130のドラム14の表面から離し、隔てられる方向に案内し、その後、冷却装置150Aの方向に案内する。これにより、傷(損傷)が付く恐れが低くなり、またその表面の摩耗の恐れも低くなる。尚、現像されたフィルムFは、冷却装置において、最初は徐々に冷却され、その後急速に冷却される。
【0064】
図7は、実施例に示すフィルムFの断面図であり、露光時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した図である。図8は、加熱時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した、図7と同様な断面図である。フィルムFは、PETからなる支持体(基層)上に、ポリビニルブチラールを主材とする感光層が形成され、更に、その上にセルロースブチレートからなる保護層が形成されている。感光層には、ベヘン酸銀(Beh.Ag)と、還元剤及び調色剤とが配合されている。
【0065】
露光時に、露光部120よりレーザ光LがフィルムFに対して照射されると、図7に示すように、レーザ光Lが照射された領域に、ハロゲン化銀粒子が感光し、潜像が形成される。一方、フィルムFが加熱されて最低熱現像温度以上になると、図8に示すように、ベヘン酸銀から銀イオン(Ag+)が放出され、銀イオンを放出したベヘン酸は調色剤と錯体を形成する。その後銀イオンが拡散して、感光したハロゲン化銀粒子を核として還元剤が作用し、化学的反応により銀画像が形成されると思われる。このようにフィルムFは、感光性ハロゲン化銀粒子と、有機銀塩と、銀イオン還元剤とを含有し、40℃以下の温度では実質的に熱現像されず、80℃以上である最低現像温度以上の温度で熱現像されるようになっている。
【0066】
また、本実施形態においては、ドラム14の外周面の温度を均一化する機構が設けられている。これについて図5に基づいて説明する。固定式フレーム203が、複数の中実の高熱伝導ローラ203をドラム14の外周面(本実施形態では柔軟層38)に付勢した状態になるように回転自在に保持している。高熱伝導ローラ203の熱伝導度は、20W/m/K以上(特に50W/m/K以上)であることが好ましい。このような熱伝導度の高い素材としては、アルミニウム、銅、黄銅などが挙げられるがこれらに限られない。これにより、ドラム14の外周面(本実施形態では柔軟層38)の温度ムラを実質的に問題にならない程度に均一化させることができる。高熱伝導ローラ203のドラム14への高熱伝導ローラの幅1cm当たりの付勢力は、7g以上(特に14g以上(さらに30g以上)であることが、高熱伝導ローラ203がドラム14と一緒に連れ回りすることによりドラム14の外周面の温度ムラを抑制し、かつ、傷付きを抑制するので好ましく、また、300g以下(特に100g以下)が、ドラム14の柔軟層38の熱圧力によるクリープ現象や塑性変形を抑制するのに好ましい。実施例の実験では30〜40gであった。
【0067】
これにより、たとえ、熱容量が大きいフィルムFが供給された場合でも、ドラム14の外周面温度を一定に維持することができる。
【0068】
次に、図9により、熱現像部130の熱現像条件を制御する制御系について説明する。この制御系は、ドラム14の温度制御は、ドラム14と一体的に回転する電子装置34がドラム温度センサ309により検出された温度に応じてヒータ32への電力の供給を制御することにより行う。
【0069】
また、熱電対301,304,306が、それぞれ1番目の案内ローラ161、4番目の案内ローラ164、6番目の案内ローラ166の温度に応じた起電力を発生し、発生した起電力に応じた信号が制御部302に送られる。制御部302は、熱電対301,304,306の起電力に応じた各信号をA/D変換するA/D変換回路を有し、A/D変換し、このデジタル信号から案内ローラ161、164、166の温度を検出し、検出した温度から、これら検出温度に応じた適切な熱現像時間を求め、求めた熱現像時間から熱現像距離はほぼ一定なので、ドラム14の回転速度を求め、求めた回転速度に応じたステップモータ303の制御信号を発生するモータ駆動回路を有し、回転速度に応じたステップモータ303の制御信号を発生し、ステップモータ303を制御してドラム14の回転速度を制御する。なお、制御部302では、上述の処理段階を一気にしてもよく、熱電対301,304,306の起電力に応じた各信号をA/D変換した信号から回転速度を一気に求めてもよく、また、熱電対301,304,306の起電力に応じた各信号からステッピングモータの制御信号を発生させる回路を有していてもよい。
【0070】
なお、1番目の案内ローラ161、4番目の案内ローラ164、6番目の案内ローラ166と3つの案内ローラに熱電対を設ける必要はなく、例えば、1番目の案内ローラ161だけに温度検出センサを設けてもよく、また、2番目以降の案内ローラに設けてもよい。
【0071】
次に、ドラム14の周囲に対向するように配置した複数のローラ16の温度はフィルムFを連続的に熱現像すると、低下する。この様子を、フィルムFを連続的に熱現像した時の経過時間に対するローラ16の温度を示す図10に模式的に示す。図10に示すように、最上流のローラ(1番目のローラ)161,4番目のローラ164,6番目のローラ166の各温度が、フィルムが順に通過するたびに変化し、上流のローラほど温度の減少が大きいことが分かる。従って、加熱部材に対向し、感光性熱現像材料を前記加熱部材の表面上に付勢する複数のローラ16を有する場合、温度変化の検出しやすさの観点から、4番目までのローラの温度を検知する温度検知手段を設けることが好ましく、特に、2番目までのローラの温度を検知する温度検知手段を設けることが好ましく、本実施形態のように、1番目のローラの温度を検知する温度検知手段を設けることが一番好ましい。
【0072】
次に、図11に、フィルムの熱現像温度が違う2つの現像条件下での、連続的に熱現像したフイルム枚数と現像濃度との関係を示す。曲線Aで示すデータは熱現像時のドラム14の温度を124.5℃に設定し、曲線Bで示すデータは123℃に設定したものである。これから、熱現像温度が高いと、熱現像されたフイルムの濃度が高くなることが分かる。また、連続して通過したフィルムの枚数ごとに現像濃度が低下することが分かる。これは、ローラの温度が低下することに起因して熱現像されたフィルムの濃度が低下してしまうためと考えられる。
【0073】
以上のような、熱現像装置100の熱現像部130の動作について説明する。図5に示すように、図4に示す搬送ローラ対143が露光部120で潜像の形成されたフィルムFを、破線で示すように、熱現像部130のドラム14に搬送し、ドラム14とローラ161との間のニップ部52に入り込ませる。そして、ドラム14が、回転することにより、ニップ部52からドラム14の外周面に密着したフイルムFを、ドラム14の外周面と一体的に回転させ、次々とドラム14のローラ16とのニップ部を通って搬送し、剥離部材202aがドラム14の外周面上からフイルムFを剥離し、冷却装置150Aに送る。そして、送られたフイルムFを、複数の搬送ローラ対144が搬送しながら、濃度計118が濃度を測定する。このようなプロセスを連続して行うことにより、複数のフイルムFを連続的に熱現像する。
【0074】
このように連続的にフイルムFを熱現像する際は、ローラ16の温度が所定のローラ標準温度より低下するので、ローラ16の温度に応じて熱現像部130の現像条件を制御する。具体的には、本実施形態では、現像条件として熱現像時間を制御する。そのため、前述のように、ドラム14の回転速度を制御する。すなわち、ローラ16の温度がローラ標準温度より低ければ、その温度差だけドラム14の回転速度を低下させることにより熱現像時間を長くする。これにより、フィルムの現像濃度の低下を防止でき、連続して熱現像されるフイルムFの濃度特性を一定にできる。
【0075】
これは、このようなローラ16の温度低下により、フィルムFの昇温時間がかかり、熱現像に必要な温度に到達するまでの時間が相対的に長くなっても、この長くなる時間分を熱現像時間を増すことにより補償することができるからである。この例を、本実施形態の熱現像装置100の一例における最上流側のローラ(一番目のローラ)161の温度(℃)に対する、濃度特性を一定にするための熱現像時間(秒)を示す図13により示す。図13に示すように、最上流のローラ161の温度に応じて熱現像時間を制御することにより、熱現像されたフィルムFの濃度特性を一定にできる。そして、熱現像時間は、熱現像パスは一定であるので、ドラム14の回転速度の逆数となるから、ドラム14の回転を制御することにより、すなわち、ドラム14の回転速度を制御することにより、熱現像時間を制御でき、熱現像されたフィルムFの濃度特性を一定にできる。
【0076】
また、複数のフイルムFを熱現像する際の熱現像履歴に応じて、熱現像部130の現像条件を制御するようにしてもよい。例えば、複数のフイルムFを所定の時間間隔で連続して熱現像する場合、予め、複数のテスト画像を露光されたフイルムFを所定の時間間隔で連続して熱現像し、熱現像されたフイルムFの濃度特性を測定することにより、フイルムFの連続現像枚数に対する濃度特性がわかるので、逆に一定の濃度特性になる熱現像時間を上述のデータから求めることができる。そして、このようにして求めたフイルムFの連続現像枚数に対する熱現像時間のデータに基づいて、今までの連続現像枚数から最適な熱現像時間を求めて、前記熱現像部の現像条件を制御するとよい。このようなデータの一例を図12に示す。図12は、フィルムの連続現像枚数に対する濃度特性を一定にする熱現像時間を示す図である。このように、フィルムの連続現像枚数が増えたときでも、熱現像時間を長くすることにより、フィルム現像濃度を一定にできる。
【0077】
また、図10から推測できるように、ドラム14において連続して熱現像するフィルムの時間間隔が短ければ短いほど、ローラ16の温度がより低下してしまう。従って、図5のフォトインタラプタ308により、フィルムの通過を検知し、この検知したフィルムの時間間隔に基づいてローラ16の温度を推定し、この推定温度に基づいて、上述のようにローラ16のヒータ32の制御によりローラ16の温度を制御するか、またはステッピングモータ26の制御によりドラム14の回転速度を変えて熱現像時間を制御することができる。これにより、フィルムの現像濃度の低下を防止でき、一定濃度とできる。
【0078】
また、ローラ161,164,166の熱電対301,304,306による各検知温度に基づいて、図14のように、CPU302が図3の露光部120の変調回路123を制御し、ローラ温度が低下したら、露光量を大きくするように制御することにより、所定の現像濃度を得ることができる。ローラの温度低下により、フィルムの昇温時間がかかり、所定の熱現像時間のままでは充分な濃度が得られないのであるが、フィルムに対する潜像形成のための露光量を増すことによって補償することができる。なお、図5のフォトインタラプタ308により、フィルム通過の間隔を検知し、この検知したフィルム間隔に基づいてローラの温度を推定し、この推定温度に基づいて上述のように露光量を制御することができる。
【0079】
また、ローラ161自体に加熱手段としてのローラヒータ311(図14)をその内部に設け、図14のように、ローラ161等の熱電対301等による検知温度に基づいて、ヒータ制御部310を介してローラヒータ311を制御し、ローラを一定温度に制御してもよい。例えば、図13のローラ161の温度を一定にしその対応する熱現像時間で現像することにより、一定現像濃度を得ることができる。このように、ローラ自体でその温度低下を補償でき、フィルムの温度低下が生じることはなく、このため濃度低下がなく、所定の現像濃度を得ることができる。なお、加熱手段としては、ローラ内に配置したヒータ以外に、ローラの近傍に配置した遠赤外線ヒータ等、またはローラのフィルム通過の反対側にバックローラとして設置した加熱ローラ等であってもよい。なお、ヒータを設けるローラは、ローラ161以外の他のローラでもよいが、ローラ温度の低下大きい部分のローラ(上流側)が好ましい。また、現像時にフィルムに供給する熱量をフィルムがドラムを通過するごとにローラのローラヒータ311から供給するようにしてもよい。
【0080】
また、ローラ161,164,166の熱電対301,304,306による各検知温度を電子装置34からCPU302に送り、CPU302が電子装置34を介してドラムヒータ32を制御することにより、ドラム温度を上昇させてもよい。ローラ16の温度低下により、フィルムの昇温時間がかかるが、ドラム14の温度を上げることにより昇温時間を短くすると、フィルムのローラ側の温度低下は大きいが、フィルムは図7の支持体側からの加熱になるため乳剤に与える影響は小さい。これに対しドラム14は直接乳剤を加熱するため、ドラム14による熱現像温度の制御により、わずかな温度上昇でも充分にローラによる温度低下を補償することができる。このようにして、ローラ161,164,166の各検知温度に基づいてドラム14の熱現像温度を制御することにより、熱現像温度の低下によるフィルムの現像濃度の低下を防止でき、一定濃度とできる。
【0081】
また、熱現像されたフイルムFの濃度を濃度計118で測定した結果に応じて、熱現像部130の現像条件を制御してもよい。例えば、濃度計118で測定したフイルムFの濃度から最上流のローラ161の温度を推定し、推定した温度から、図13に示すように、最上流のローラ161の温度に応じて熱現像時間を制御することにより、熱現像されたフィルムFの濃度特性を一定にできる。もちろん、このような演算処理をしなくても、例えば、濃度計118で測定したフイルムFの濃度から最適な熱現像時間を求めるデータを予め作成しておき、濃度計118で測定したフイルムFの濃度からこのデータを用いて、熱現像時間を求めても良い。もちろん、この場合も、ドラム14の回転速度を変えることにより熱現像時間を制御することが好ましい。
【0082】
また、ドラム14の回転速度を変えられる範囲が広い方が熱現像時間を調整できる範囲が広がり好ましいが、その周速度が、ドラム14の前搬送部である搬送ローラ対142,143の搬送速度より低くなったり、ドラム14の後搬送部である搬送ローラ対144の搬送速度より速くなったりすると、フイルムFの折れが発生したり、フイルムFのドラム14上の撓みやズレが発生したりする問題がある。
【0083】
そこで、ドラム14の前搬送部の搬送ローラ対142,143の搬送速度を、ドラム14の後搬送部である搬送ローラ対144の搬送速度より低くしておき、ドラム14の回転速度を変えても、ドラム14の周速度は、前搬送部の搬送ローラ対142,143の搬送速度以上であり、後搬送部の搬送ローラ対144の搬送速度以下になるようにすることにより、フイルムFの折れの発生やフイルムFのドラム14上の撓みやズレの発生などを抑制できる。
【0084】
そして、この場合、前搬送部の搬送ローラ対142,143を一方向クラッチを組み込まれた駆動ローラにすることにより、ドラム14が回転する周速度と前搬送部の搬送速度との速度差が大きくなってもフイルムFに引っ張り傷やドラム14上での撓みやズレなどの発生を防止できる。また、後搬送部の搬送ローラ対144を、一方向クラッチを組み込まれた駆動ローラにすることにより、ドラム14が回転する周速度と後搬送部の搬送速度との速度差が大きくなってもフイルムFに引っ張り傷やドラム14上での撓みやズレなどの発生を防止できる。
【0085】
以上のように本発明を実施の形態により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。また、温度検知手段として、熱電対以外に、サーミスタ、白金抵抗測温体等の温度センサを用いることもできる。
【0086】
【発明の効果】
本発明により、感光性熱現像材料を熱現像する際の加熱部材に対向する案内部材の温度低下に起因する濃度低下を防止し所定濃度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる熱現像装置の正面図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる熱現像装置の左側面図である。
【図3】露光部120の構成を示す概略図である。
【図4】フィルムFを加熱する熱現像部130の構成を示す図であり、熱現像部130の斜視図である。
【図5】図4の構成をIV−IV線で切断して矢印方向に見た断面図(a)、及びドラムの部分的側面図(b)である。
【図6】図4の構成を正面から見た図である。
【図7】フィルムFの断面図であり、露光時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した図である。
【図8】加熱時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した、図7と同様な断面図である。
【図9】本発明の実施の形態にかかる熱現像装置の熱現像部の制御系を示すブロック図である。
【図10】ローラの温度がフィルムのドラム周囲での通過のに減少する関係を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態においてフィルムの熱現像温度と現像濃度との関係、及び通過したフィルムの枚数ごとの熱現像温度の変化を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態において現像濃度を一定(2.05)にするためのフィルムの現像枚数と熱現像時間との関係を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態において現像濃度を一定(2.05)にするための最上流のローラ161と熱現像時間との関係を示す図である。
【符号の説明】
14 ドラム
16 ローラ
32 ドラムヒータ
161 最上流のローラ
100 熱現像装置
110 格納部
120 露光部
123 変調回路
130 熱現像部
301,304,306 案内部材(ローラ)用熱電対
302 CPU
303 ステップモータ
308 フォトインタラプタ
311 ローラヒータ
F フィルム
Claims (5)
- 感光性熱現像材料を露光する露光部と、
加熱部材と、
前記加熱部材に対向し、感光性熱現像材料を前記加熱部材の表面上に付勢する案内部材とを有し、
前記露光部で露光された感光性熱現像材料を前記案内部材により前記加熱部材の表面に感光性熱現像材料を密着させながら、前記加熱部材により感光性熱現像材料を加熱して熱現像する熱現像部と、
を備える熱現像装置において、
複数の前記感光性熱現像材料が熱現像される際の熱現像履歴に応じて前記案内部材の温度を推定し、この推定温度に応じて前記露光部からの露光量を制御することを特徴とする熱現像装置。 - 回る加熱部材と、前記加熱部材に対向し、感光性熱現像材料を前記加熱部材の表面上に付勢する案内部材とを有し、感光性熱現像材料を前記案内部材により前記加熱部材の表面に感光性熱現像材料を密着させながら、前記加熱部材により感光性熱現像材料を加熱して熱現像する熱現像部を備える熱現像装置において、熱現像された感光性熱現像材料の濃度に基づいて前記案内部材の温度を推定し、この推定温度に基づいて前記熱現像部の現像条件を制御することを特徴とする熱現像装置。
- 回る加熱部材と、前記加熱部材に対向し、感光性熱現像材料を前記加熱部材の表面上に付勢する案内部材とを有し、感光性熱現像材料を前記案内部材により前記加熱部材の表面に感光性熱現像材料を密着させながら、前記加熱部材により感光性熱現像材料を加熱して熱現像する熱現像部を備える熱現像装置において、熱現像された感光性熱現像材料の濃度を測定する濃度計を具備し、前記濃度計の測定濃度に基づいて前記案内部材の温度を推定し、この推定温度に基づいて、前記熱現像部の現像条件を制御することを特徴とする熱現像装置。
- 回る加熱部材と、前記加熱部材に対向し、感光性熱現像材料を前記加熱部材の表面上に付勢する案内部材とを有し、感光性熱現像材料を前記案内部材により前記加熱部材の表面に感光性熱現像材料を密着させながら、前記加熱部材により感光性熱現像材料を加熱して熱現像する熱現像部を備える熱現像装置において、前記加熱部材の回る速度を変えることにより、前記熱現像時間を制御し、
前記加熱部材と前記案内部材との間に一方向クラッチを組み込まれた駆動ローラを有し、感光性熱現像材料を搬送する前搬送部を有し、前記加熱部材の回る速度を変えても、前記加熱部材の回る周速度は、前記前搬送部の搬送速度以上であることを特徴とする熱現像装置。 - 一方向クラッチを組み込まれた駆動ローラを有し、前記加熱部材から離れた感光性熱現像材料を搬送する後搬送部を有し、前記加熱部材の回る速度を変えても、前記加熱部材の回る周速度は、前記後搬送部の搬送速度以下であることを特徴とする請求項4記載の熱現像装置。
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