JP2004205745A - 熱現像装置 - Google Patents
熱現像装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004205745A JP2004205745A JP2002373842A JP2002373842A JP2004205745A JP 2004205745 A JP2004205745 A JP 2004205745A JP 2002373842 A JP2002373842 A JP 2002373842A JP 2002373842 A JP2002373842 A JP 2002373842A JP 2004205745 A JP2004205745 A JP 2004205745A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- heating drum
- heat
- roller
- drum
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Photographic Developing Apparatuses (AREA)
- Rolls And Other Rotary Bodies (AREA)
Abstract
【課題】熱現像感光フィルムを対向ローラとの間で挟んで搬送しながら加熱し現像する加熱ドラムがその表面にフッ素樹脂等のような滑面層を有する場合に、フィルムを安定して搬送でき、加熱ドラムからの熱供給を均一化できる熱現像装置を提供する。
【解決手段】この熱現像装置は、フィルムを加熱しかつ所定曲率を有し回転駆動される加熱ドラム14と、加熱ドラムに対向するように配置された複数の対向ローラ16と、を含み、加熱ドラムが回転しながらフィルムを加熱ドラムと対向ローラとの間で搬送し現像する。加熱ドラムは、基体の周囲に設けられた弾性層と、弾性層の外表面に形成された滑面層と、を有し、対向ローラを加熱ドラムに付勢するための付勢手段と、対向ローラを強制的に回転駆動するための回転駆動手段14a、16aと、を具備する。
【選択図】 図15
【解決手段】この熱現像装置は、フィルムを加熱しかつ所定曲率を有し回転駆動される加熱ドラム14と、加熱ドラムに対向するように配置された複数の対向ローラ16と、を含み、加熱ドラムが回転しながらフィルムを加熱ドラムと対向ローラとの間で搬送し現像する。加熱ドラムは、基体の周囲に設けられた弾性層と、弾性層の外表面に形成された滑面層と、を有し、対向ローラを加熱ドラムに付勢するための付勢手段と、対向ローラを強制的に回転駆動するための回転駆動手段14a、16aと、を具備する。
【選択図】 図15
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像感光材料を加熱して現像する熱現像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱現像感光フィルム(以下、単に「フィルム」ともいう。)を加熱して現像する熱現像プロセスにおいて、フィルムを加熱する加熱手段として下記特許文献1に開示されているように、加熱ドラムの表面層に耐熱性かつ高伝導率の弾性体(シリコンゴム)を被覆したものを使用したものが実用化されている。
【0003】
【特許文献1】
特表平10−500497号公報
【0004】
また、特に有機溶剤を使用した銀塩熱現像感光フィルムなどを現像する熱現像部では、フィルムが現像される際にフィルム表面層の界面活性剤や乳剤層からの有機溶剤または有機酸などがフィルムから遊離し、加熱ドラムの表面層の弾性体(シリコンゴム)にアタックすることで弾性体(シリコンゴム)が劣化し、弾性体(シリコンゴム)の膨潤や摩耗が発生してしまい、安定した仕上がり画質が得られない問題があった。
【0005】
そこで、本出願人は、かかる問題を解決すべく、特願2002−208438において、高伝導率弾性体(シリコン)表面層にテフロン(商品名)等のフッ素樹脂コーティングをすることで、フィルムが現像される際にフィルム表面層の界面活性剤や乳剤層からの有機溶剤または有機酸などによって高伝導率弾性体(シリコンゴム)がアタックされないようにすることを提案した。これにより、経時的にシリコンゴム等の弾性体が劣化することを防止することができ、安定な仕上がり画質を得ることが可能になった。
【0006】
しかしながら、弾性層表面にフッ素樹脂コーティングを施すことで、加熱ドラム長寿命化・加熱ドラム清掃メンテサイクル延長は達成可能であるが、フッ素樹脂特有の以下の課題を有している。
【0007】
(1)低摩擦係数による搬送力不足
(2)熱伝導率の低下による現像不活性化
(3)フッ素樹脂コーティングのドラムの場合、対向ローラに反り等が生じると、複数の対向ローラが回転しないことが起き得る。
【0008】
上記の課題の内の(1)について以下に説明する。テフロン(商品名)は周知のとうり摺動部にも使用されるほどの低摩擦係数材料である。したがって、加熱ドラムの周囲に配置される対向ローラのニップ圧がシリコンゴムの弾性体を有する加熱ドラムと同一条件であると、熱現像中の搬送力が極端に低下してしまい、フィルムがスリップしてしまうおそれが生じる。フィルムのスリップは全体的な現像時間が実質的に延長されることになり濃度変化を招くと共にしわが発生したり、フィルム表面をキズつけることになり易い。
【0009】
熱現像感光フィルムの現像進行は加熱温度×加熱時間で決定されるため、フィルムの先頭から後端まで一定の加熱時間つまり一定の搬送速度でないと、濃度ムラが発生してしまう。このため、従来のシリコンゴムの弾性体による表面層を形成した加熱ドラムを有する熱現像装置においては、濃度ムラの防止としわムラ防止のため、熱現像部及び熱現像部の上流・下流側における搬送速度に関し、上流側搬送速度<熱現像部搬送速度<下流搬送速度としている。
【0010】
上記(2)、(3)の課題について以下に説明する。熱現像感光フィルムに効率よく熱エネルギーを供給し、所望の濃度仕上がりとフィルムのカブリを抑制する熱現像装置がフィルムを高伝導率弾性体(シリコンゴム)表面に対向ローラで付勢しながら熱現像し搬送することで達成されていた。しかしながら、テフロン(商品名)は従来使用していた高伝導率弾性体の約1/3の伝導率であるため、あまり厚みを増すと現像不活性となり所望の濃度がえられなくなる。
【0011】
また、シリコンゴム層を表面に有する加熱ドラムと対向ローラとによるフィルムニップ時、加熱ドラム軸線方向(母線方向)の加熱ドラムと対向ローラと間で多少平行度がずれていても、ゴム弾性層により、加熱ドラムとフィルムと対向ローラは互いに均一に密着可能である。これに対し、テフロン(商品名)の表面コート層が存在すると、対向ローラのニップ圧及び母線平行度がシリコンゴムの加熱ドラムの場合と同一条件だと、互いに均一に密着しないおそれが生じる。従って、従来よりも加熱面との密着性も重視されるように上記(1)の問題とも相まって付勢力及び対向ローラと加熱ドラムアライメントの最適化が重要となる。
【0012】
また、反り等が生じた対向ローラがドラムの回転に追従せずに回転しないことが起きると、フィルムの安定な搬送ができなくなり、また裏面側からのフィルムへの熱供給が不均一になったり、傷を招くおそれがある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、熱現像感光材料を対向ローラとの間で挟んで搬送しながら加熱し現像する加熱ドラムがその表面にフッ素樹脂等のような滑面層を有する場合に、熱現像感光材料を安定して搬送でき、加熱ドラムからの熱供給を均一化できる熱現像装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による熱現像装置は、熱現像感光材料を加熱しかつ所定曲率を有し回転駆動される加熱ドラムと、前記加熱ドラムに対向するように配置された複数の対向ローラと、を含み、前記加熱ドラムが回転しながら前記熱現像感光材料を前記加熱ドラムと前記対向ローラとの間で搬送し現像する熱現像装置であって、前記加熱ドラムは、前記所定曲率を有する基体と、前記基体の周囲に設けられた弾性層と、前記弾性層の外表面に形成された滑面層と、を有し、前記対向ローラを前記加熱ドラムに付勢するための付勢手段と、前記対向ローラを強制的に回転駆動するための回転駆動手段と、を具備することを特徴とする。
【0015】
この熱現像装置によれば、加熱ドラムの滑面層に付勢される対向ローラが回転駆動手段により強制的に回転駆動されるので、対向ローラに反り(振れ)が存在しても、対向ローラが確実に回転できる。このため、熱現像感光材料を安定して搬送できるとともに、熱現像感光材料の裏面側からの熱供給が均一化される。
【0016】
この場合、前記加熱ドラムの滑面層がフッ素樹脂により形成されていることが好ましい。これにより、現像時に熱現像感光材料から発生するガスによる例えばシリコンゴムのような弾性層の劣化を防止できる。フッ素樹脂により形成された滑面層を有する加熱ドラムの場合、対向ローラに反り等が生じると、複数の対向ローラが回転しないことが起き得るが、上述のように対向ローラを強制的に回転駆動することでかかる不具合は発生しない。
【0017】
また、前記熱現像感光材料を前記滑面層に付勢する前記対向ローラのニップ力が0.06乃至1N/cmの範囲内にあることが好ましく、0.1乃至1N/cmの範囲内にあることが更に好ましい。かかるニップ圧は、熱現像感光材料を対向ローラから加熱ドラムに付勢する付勢手段の付勢力を調整することで制御可能である。これにより、熱現像感光材料を加熱ドラムの滑面層に対し密着させることができる。
【0018】
また、前記回転駆動手段が転位歯車を備えることが好ましい。また、前記回転駆動手段が、前記加熱ドラムに設けられた第1ギア部と、前記第1ギア部と噛み合うように前記対向ローラに設けられた第2ギア部と、を備え、前記加熱ドラムの回転に伴い前記第1ギア部と前記第2ギア部とを介して前記対向ローラが回転するように構成することが好ましい。
【0019】
この場合、前記第1ギア部及び前記第2ギア部を前記加熱ドラムの軸線方向の一端側に設け、前記付勢手段を同じ前記一端側に設けることで、第1ギア部及び第2ギア部側でギアの圧力角の影響による対向ローラの加熱ドラムからの浮き上がりを防止できる。
【0020】
また、前記第1ギア部及び前記第2ギア部を前記加熱ドラムの軸線方向の一端側に設け、前記付勢手段を前記軸線方向の両端側にそれぞれ設け、前記軸線方向の一端側の付勢手段による付勢力を前記他端側よりも大きくすることで、第1ギア部及び第2ギア部側でギアの圧力角の影響による対向ローラの加熱ドラムからの浮き上がりを防止できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による実施の形態について図面を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態による熱現像装置を概略的に示す正面図であり、図2は図1の熱現像装置の左側面図である。
【0022】
図1,図2に示すように、熱現像装置100は、シート状の熱現像感光材料であるフィルムFを1枚ずつ給送する給送部110と、給送されたフィルムFを露光する露光部120と、露光されたフィルムFを現像する熱現像部130と、を有している。図1,2を参照して、熱現像装置100について説明する。
【0023】
図2において、給送部110は上下2段に設けられ、ケースCに収納されたフィルムF(図3,4参照)を、ケースCごと格納する。不図示の取り出し装置により、フィルムFをケースCから取り出し、図中矢印(1)に示す方向(水平方向)に引き出す。更に、ケースCから引き出されたフィルムFを、ローラ対からなる搬送装置141により、図中矢印(2)に示す方向(下方)に搬送する。
【0024】
熱現像装置100の下方に搬送されてきたフィルムFを、更に熱現像装置100の下部にある搬送方向変換部145へと搬送し、搬送方向変換部145で搬送方向を変換し(図2の矢印(3)及び図1の矢印(4))、露光準備段階に移行する。更にフィルムFを、熱現像装置100の左側面から、図1の矢印(5)に示す方向(上方)に、ローラ対からなる搬送装置142が搬送し、その際露光部120から、赤外域780〜860nm範囲内のレーザ光Lで走査し露光する。
【0025】
フィルムFはレーザ光Lを受けることにより潜像を形成する。その後、フィルムFを図1の矢印(6)に示す方向(上方)に搬送し、供給ローラ対143に到達した時点で、そのまま加熱ドラム14に供給する。すなわち、ランダムなタイミングで供給する。また、その到達した時点で一旦停止させるようにしても良い。この場合、供給ローラ対143は、一定の回転速度で回転する熱現像部130の加熱ドラム14に、フィルムFを供給するタイミングを決定する機能を有し、かかる加熱ドラム14周上の次の被供給位置に回転したとき、供給ローラ対143が回転を開始することで、フィルムFを、加熱ドラム14の外周上に供給するようにしても良い。供給ローラ対143は制御装置150により制御されながらモータ151により回転駆動される。
【0026】
更に、加熱ドラム14は、フィルムFを加熱ドラム14の外周上に保持しながら、図1の矢印(7)に示す方向に回転する。かかる状態で、フィルムFを加熱ドラム14が加熱して熱現像して、潜像から可視画像を形成する。その後、図1の加熱ドラム右方まで回転したときに、加熱ドラム14からフィルムFを離脱させ、図1の矢印(8)に示す方向に冷却搬送部150Aへ搬送し冷却した後、複数の搬送ローラ対144a(図5),144により、図1の矢印(9)、(10)に示す方向に搬送し、熱現像装置100の上部から取り出せるように排出トレイ160に排出する。
【0027】
図3は、露光部120の構成を示す概略図である。露光部120は、画像信号Sに基づき強度変調されたレーザ光Lを、回転多面鏡113によって偏向して、フィルムF上を主走査すると共に、フィルムFをレーザ光Lに対して主走査の方向と略直角な方向に相対移動させることにより副走査し、レーザ光Lを用いてフィルムFに潜像を形成するものである。
【0028】
露光部120のより具体的な構成を以下に述べる。図3において、画像信号出力装置121から出力されたデジタル信号である画像信号Sは、D/A変換器122においてアナログ信号に変換され、変調回路123に入力される。変調回路123は、かかるアナログ信号に基づき、レーザ光源部110aのドライバ124を制御して、レーザ光源部110aから変調されたレーザ光Lを照射させるようになっている。
【0029】
レーザ光源部110aから照射されたレーザ光Lは、レンズ112を通過し、シリンドリカルレンズ115により上下方向にのみ収束されて、図中矢印A方向に回転する回転多面鏡113に対し、その駆動軸に垂直な線像として入射するようになっている。回転多面鏡113は、レーザ光Lを主走査方向に反射し偏向し、偏向されたレーザ光Lは、2枚のレンズを組み合わせてなるシリンドリカルレンズを含むfθレンズ114を通過した後、光路上に主走査方向に延在して設けられたミラー116で反射されて、搬送装置142により、矢印Y方向に搬送されている(副走査される)フィルムFの被走査面117上を、矢印X方向に繰り返し主走査する。すなわち、レーザ光Lを、フィルムF上の被走査面117の全面にわたって走査する。
【0030】
fθレンズ114のシリンドリカルレンズは、入射したレーザ光LをフィルムFの被走査面117上に、副走査方向にのみ収束させるものとなっており、また前記fθレンズ114から前記被走査面までの距離は、fθレンズ114全体の焦点距離と等しくなっている。このように、露光部120においては、シリンドリカルレンズを含むfθレンズ114及びミラー116を配設しており、レーザ光Lが回転多面鏡113上で、一旦副走査方向にのみ収束させるようになっているので、回転多面鏡113に面倒れや軸ブレが生じても、フィルムFの被走査面117上において、レーザ光Lの走査位置が副走査方向にずれることがなく、等ピッチの走査線を形成することができるようになっている。回転多面鏡113は、例えばガルバノメータミラー等、その他の光偏光器に比べ走査安定性の点で優れているという利点がある。以上のようにして、フィルムFに画像信号Sに基づく潜像が形成されることとなる。
【0031】
上述のように潜像が形成される具体的な化学的反応の内容について図7を参照して説明する。図7は、熱現像材料から構成されるフィルムFの断面図であり、露光時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した図である。
【0032】
フィルムFは、PETからなる支持体(基層)上に、耐熱性バインダを主成分とする感光層が形成され、更に、その上に耐熱性バインダを主成分とする保護層が形成されている。感光層には、ハロゲン化銀粒子と、有機酸銀の一種であるベヘン酸銀(Beh.Ag)と、還元剤及び調色剤とが配合されている。また、支持体の裏面にも耐熱性バインダを主成分とする裏面層が設けられている。
【0033】
露光時に、露光部120よりレーザ光LがフィルムFに対して照射されると、図7に示すように、レーザ光Lが照射された領域に、ハロゲン化銀粒子が感光し、潜像が形成される。
【0034】
図4乃至6は、フィルムFを加熱する熱現像部130の構成を示す図であり、より具体的には、図4は、熱現像部130の斜視図であり、図5は、図4の構成をIV−IV線で切断して矢印方向に見た断面図であり、図6は、図4の構成を正面から見た図である。
【0035】
熱現像部130は、フィルムFを外周にほぼ密着して保持しつつ加熱可能な加熱部材としての加熱ドラム14を有している。加熱ドラム14は、フィルムFを所定の最低熱現像温度以上に、所定の熱現像時間維持することによって、フィルムFに、形成された潜像を可視画像として形成する機能を有する。ここで、最低熱現像温度とは、フィルムFに形成された潜像が熱現像され始める最低温度のことであり、本実施の形態のフィルムにおいては80℃以上である。一方、熱現像時間とは、フィルムFの潜像を所望の現像特性に現像するために、最低熱現像温度以上に維持するべき時間をいう。なお、フィルムFは、40℃以下では実質的に熱現像されないものであることが好ましい。
【0036】
上述の加熱により潜像が可視化される具体的な化学的反応の内容について図8を参照して説明する。図8は、加熱時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した、図7と同様な断面図である。
【0037】
フィルムFが加熱されて最低熱現像温度以上になると、図8に示すように、ベヘン酸銀から銀イオン(Ag+)が放出され、銀イオンを放出したベヘン酸は調色剤と錯体を形成する。その後銀イオンが拡散して、感光したハロゲン化銀粒子を核として還元剤が作用し、化学的反応により銀画像が形成されると思われる。このようにフィルムFは、感光性ハロゲン化銀粒子と、有機銀塩と、銀イオン還元剤とを含有し、40℃以下の温度では実質的に熱現像されず、80℃以上である最低現像温度以上の温度で熱現像される。
【0038】
なお、熱現像部130は、本実施の形態においては、露光部120と共に熱現像装置100に組み込まれているが、露光部120とは独立した装置であっても良い。かかる場合、露光部120から熱現像部130へとフィルムFを搬送する搬送部があることが好ましい。
【0039】
加熱ドラム14の外方には、案内部材かつ対向部材として小径の回転自在の対向ローラ16が複数本設けられており、加熱ドラム14に対して平行に対向しかつ加熱ドラム14の周方向に等間隔に配置されている。対向ローラ16としては、外側の直径が1〜2cmであり、肉厚が2mmのアルミニウム製の管を用いている。
【0040】
加熱ドラム14の両端には、フレーム18に支持されている案内ブラケット21が片側に3個ずつ備えられている。案内ブラケット21を組み合わせることにより、加熱ドラム14の両端において、対向するC字形状が形成されるようになっている。
【0041】
各案内ブラケット21は、半径方向に延びた長孔42を9つ形成している。この長孔42から、対向ローラ16の両端部に設けられたシャフト40が突出する。シャフト40には、それぞれ各コイルばね28の一端が取り付けられており、各コイルばね28の他端は、案内ブラケット21の内方縁近傍に取り付けられている。従って、各対向ローラ16は、各コイルばね28の付勢力に基づく所定の力で、加熱ドラム14の外周にそれぞれ付勢される。フィルムFは、加熱ドラム14の外周と対向ローラ16との間に侵入したときに、かかる所定の力で加熱ドラム14の外周面に対して押圧され、それによりフィルムFを全面的に均一に加熱する。
【0042】
加熱ドラム14に同軸に連結されたシャフト22は、フレーム18の端部部材20から外方に延在しており、シャフトベアリング24により、端部部材20に対して回転自在に支承されている。シャフト22の下方に配置され、端部部材20に取り付けられたマイクロステップモータ(図示省略)の回転軸23には、ギヤ(図示省略)が形成されている。一方、シャフト22にもギヤが形成されている。両ギヤを連結するタイミングベルト(ギヤが刻まれているベルト)25を介して、マイクロステップモータの動力がシャフト22に伝達され、それにより加熱ドラム14が回転する。なお、回転軸23からシャフト22への動力の伝達は、タイミングベルトではなくチェーンやギヤ列を介して行っても良い。
【0043】
図5に示すように、本実施の形態において、対向ローラ16は、加熱ドラム14の周囲方向に設けられており、2本の補強部材30(図6)が、フレーム18の両端部部材20を連結し、両端部部材20を付加的に支持するようになっている。
【0044】
加熱ドラム14の内周には、板状のヒータ32が全周にわたって取り付けられており、図6に示す制御用の電子装置34の制御下で、加熱ドラム14の外周を加熱するようになっている。ヒータ32への電力の供給は、電子装置34に連結されたスリップ・リング・アセンブリ35を介して行われる。
【0045】
ヒータ32は、加熱ドラム14の外周面を加熱するべく、加熱ドラム14の内周に取り付けられている。加熱ドラム14を加熱するためのヒータ32は、例えばエッチングされた抵抗性のフォイル・ヒータを用いることができる。
【0046】
ヒーター制御用の電子装置34は、加熱ドラム14と共に回転し、加熱ドラム14に配置された温度検出手段により感知された温度情報に応じて、ヒータ32に供給される電力を調整することができるようになっている。制御用電子装置34はヒータ32を制御することにより、特定のフィルムFの現像に適した温度になるよう、加熱ドラム14の外表面温度調整を行う。本実施の形態においては加熱ドラム14を、60℃〜160℃の温度にまで加熱することができる。
【0047】
ここで、ヒータ32と制御用電子装置34とにより、加熱ドラム14の幅方向の温度を2.0℃以内(特に、1.0℃以内)に維持すると好ましい。本実施の形態では、0.5℃以内に維持される。
【0048】
図5に示すように、加熱ドラム14は、回転自在な円筒形状のアルミニウム製の支持チューブ36と、この支持チューブ36の外側に取り付けられたシリコンゴム等からなる柔軟な弾性層38と、弾性層38の外周にフッ素樹脂を塗布等でコーティングして最外周面として形成された滑面層39と、を備える。
【0049】
弾性層38の厚さと熱伝導率は、複数のフィルムFの連続的処理を効率的に行えるように選択される。なお、弾性層38は、支持チューブ36に間接的に取り付けられていても良い。
【0050】
滑面層39を形成するために塗布するフッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、テトラフルオロエチレンとハーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体(PFA)、エチレンとテトラフルオロエチレンとの共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロブロビレンとの共重合体(FEP)などの化合物が用いられる。
【0051】
フィルムFが加熱ドラム14の周囲で熱現像のため加熱されると、例えば有機酸などの薬品成分を含むガスを発生するが、弾性層38の表面に設けられた滑面層39を構成するフッ素樹脂は、耐化学反応性を有するので、有機酸などのガス成分とは反応せず劣化しない。また、フッ素樹脂はそれらのガス成分が透過しないよう遮断し、シリコンゴム等からなる弾性層38が有機酸などのガス成分に接触することはないので、そのガス成分により劣化せず、また変質しない。よって、弾性層38は、経時的にその形状や物性の変化をほとんど起こさないので、初期の弾性力や熱伝導性を維持できる。
【0052】
また、コイルばね28の付勢力は、フィルムFが加熱ドラム14の外周面により確実に密着して、十分な熱伝達を受けながら安定して搬送されるように対向ローラ16の押圧力を決定するものであるため、その値の選定には注意する必要がある。即ち、コイルばね28の付勢力が過小であれば、フィルムFに熱が不均一に伝導するため画像の現像が不完全になるおそれがあり、またフィルムの搬送が不安定になるおそれがある。
【0053】
図5のように、フィルムFが供給ローラ対143に挟まれながら搬送され、ガイド部201を通って熱現像部130に供給され、加熱ドラム14と最も上流側の対向ローラ16aとの間のニップ部52で挟まれ加熱ドラム14へと送られるが、このときの、ニップ部52におけるフィルムFに対する搬送力F1と、供給ローラ対143によるフィルムFの搬送力F2との関係について図10,図11を参照して説明する。
【0054】
図10は、フィルムが加熱ドラムの周囲で搬送中にスリップ等により熱現像時間が変化したときの仕上がり濃度の与える影響を概念的に示す図であり、図11は加熱ドラム14と最も上流側の対向ローラ16aとの間のニップ部52におけるフィルムFに対する搬送力F1と、供給ローラ対143によるフィルムFの搬送力F2との関係を概念的に示す図である。
【0055】
図10に示すように、フィルムFは、熱現像時間にほぼ比例してその仕上がり濃度が変化することが分かり、例えば、熱現像時間が基準時間に対し+5%変動すると濃度もほぼ直線的に増加し、−5%変動すると濃度もほぼ直線的に減少する。このような濃度変動により画像ムラが発生してしまう。
【0056】
上述のように加熱ドラム14の最外周に形成されたフッ素樹脂からなる滑面層39は、フィルムFとの間の摩擦係数が従来のシリコンゴムの弾性層の場合よりも小さいため、フィルムFが搬送中にスリップし易くなり熱現像時間が変動することで画像ムラが生じてしまうが、本発明者等の検討によると、図5のように、フィルムFが供給ローラ対143に挟まれた状態で、フィルムの先端が加熱ドラム14の最外周の滑面層39と最も上流側の対向ローラ16aとの間のニップ部52で挟まれたときに、ニップ部52におけるフィルムFに対する搬送力F1と、供給ローラ対143によるフィルムFの搬送力F2との比(F1/F2)が1以上になると、画像ムラが殆ど発生しないことが分かった。
【0057】
即ち、F1/F2>1(F1>F2・・・(1))であると、画像ムラの発生防止に効果的である。これは、フィルムFが滑面層39においてスリップし難くなり、安定して加熱ドラム14へと送られるためと考えられる。式(1)の関係を満足することで、熱現像部130におけるフィルムの搬送速度がも最も間近な上流側の供給ローラ対143搬送速度よりも大きい状態を維持できるため、加熱ドラム14において、その最外周にあるフッ素樹脂の滑面層39とフィルムFとの間でスリップし易い場合でもフィルムFを熱現像感光材料を安定して搬送できる。
【0058】
上記式(1)の関係は、例えば、最も上流側の対向ローラ16aを加熱ドラム14側に付勢する図4のコイルばね28を調整することで実現できる。
【0059】
次に、フィルムFを加熱ドラム14と対向ローラ16との間で安定して搬送するために、コイルばね28による対向ローラ16の好ましい付勢力について図12,図13を参照して説明する。
【0060】
図12は対向ローラ16の付勢力fとフィルム搬送力F3との関係を示す図であり、図13は、フィルムFが対向ローラ16から付勢力fを受けることで搬送力F3を受ける様子を模式的に示す図である。なお、図12には、本実施の形態のフッ素樹脂による滑面層39とフィルムFとの間の摩擦係数μが0.5である場合に加えて、シリコンゴムによる弾性層とフィルムFとの間の摩擦係数μが0.8である場合を併せて示す。
【0061】
図13のように、フィルムFが対向ローラ16から付勢力fを受けると、フィルムFに対しフィルム搬送力F3が発生する。このフィルム搬送力F3は、付勢力fにより生じる加熱ドラム14の外周面上の垂直方向反力Nと、フィルムFと接触面である滑面層39との間の摩擦係数μとから次式のように求められる。
【0062】
F3=μN
【0063】
ここで、フィルムFを安定して搬送するためにフィルム搬送力F3は、100g以上あることが好ましい。フッ素樹脂による滑面層39とフィルムFとの間の摩擦係数μは約0.5であるため、対向ローラ16の1本当たりの付勢力fと、フィルム搬送力F3との関係は図12に示すようになるが、図12から100gのフィルム搬送力F3を得るには、対向ローラ16の1本当たりの付勢力fが約0.06N/cm必要であることが分かる。因みに、対向ローラ16の幅が14インチの場合、[0.06N/cm]×[14×2.54cm]=2.13Nの力が必要となり、対向ローラ16の重量が不足する場合は、対向ローラ16の両端に作用する付勢用のコイルばね28(図4)による調整等を併用すると良い。
【0064】
従って、各対向ローラ16を加熱ドラム14に付勢するコイルばね28(図4)及び自重による付勢力を0.06N/cm以上となるように調整することが好ましい。一方、対向ローラ16による付勢力は、対向ローラ16がフィルムFに圧痕を生じさせない程度に小さくする必要があることを考慮すると、0.06乃至1N/cmの範囲内にあることが好ましい。そして、本発明者等の更なる検討によれば、上記付勢力の間でフッ素樹脂による滑面層39とフィルムFとの密着性を向上させ、加熱ドラム14からの熱供給を効率よくするためには、付勢力は、0.1乃至1N/cmがより好ましい。
【0065】
加熱ドラム14は、現像されるフィルムFと略同一速度で移動することができるため、フィルムFの表面に傷(傷み、損傷)がつく恐れは低くなり、それにより高品質の画像を確保することができる。加熱ドラム14と対向ローラ16との間に搬送された後、現像されたフィルムFは、最も下流側に位置し分離直前の案内部材としての対向ローラ16bと加熱ドラム14とにより形成されたニップ部50に案内されて、後述のように、熱現像部130の加熱ドラム14から引き出されることとなる。
【0066】
熱現像部130は、例えば赤外線感光性ハロゲン化銀を含む感光性熱現像乳剤が0.178mmの支持体としてのPET(ポリエチレンテレフタレート)にコーティングされたフィルムFを現像するように構成されている。加熱ドラム14は、115℃〜138℃の温度、例えば、124℃に維持され、該加熱ドラム14は、フィルムFを所定時間である約15秒間、その外周面に当接状態で保持するような回転速度で回転せしめられる。当該所定時間及び当該温度で、フィルムFは、124℃の温度まで上昇せしめられ得る。なお、PETのガラス転移温度は約80℃である。
【0067】
次に、図1乃至図6の加熱ドラムの回転で対向ローラを強制的に回転駆動する構成について図15、図16により説明する。図15は、加熱ドラム14及び対向ローラ16の端部を示す斜視図であり、図16は、図15の加熱ドラム14及び対向ローラ16の1本を矢印X方向に見た図である。なお、図17では、対向ロ一ラ16を5本のみ示しているが、全ての対向ロ一ラ16において同様の構成を有している。
【0068】
図15、図16に示すように、各対向ローラ16の一端部にそれぞれギヤ歯16aを設け、加熱ドラム14の一端部にギヤ歯14aを設け、これらのギヤ歯16aとギヤ歯14aは互いに噛合し合い、各対向ローラ16はギヤ歯を介してドラム14により駆動され、フイルムFから駆動力を受けなくても、それによりローラ16の駆動力により回転し、各対向ローラ16が強制的に回転駆動される。ギヤ歯16aとギヤ歯14aとは転位歯車から構成されることが好ましい。
【0069】
上述の構成により、加熱ドラム14がフッ素樹脂からなる滑面層39を有し、対向ローラ16に反り等が生じると、複数の対向ローラ16が回転しないことが起き得るが、上述のように強制的に回転駆動することで、対向ローラ16に反り等があっても各対向ローラ16を回転させることができる。これにより、フィルムを安定して搬送でき、また裏面側からのフィルムへの熱供給が均一化し、更にフィルムに傷が生じることはない。
【0070】
更に、各対向ローラ16の回転が保証されるので、複数の対向ローラの反り(振れ)の影響が重畳して視認できる濃度むらとなることもない。また、仮に、反り(振れ)のある対向ローラを用いるときは、この影響が重畳しないよう位相(回転角)を初期に組み合わせれば、ギアの噛み合いにより、この状況が維持されるので、ローラ精度を必要以上に上げる必要も無い。例えば、図17のように、各対向ローラ16が反り(振れ)を有するため、曲線Aのように濃度変動する一方、複数の対向ローラ16の回転中の位相が揃うことで、例えば図17の曲線Bのように濃度変動が起きることが予想されるが、かかる位相が揃わないように対向ローラの位相を組み合わせることで、曲線Bのような濃度変動を抑えることができる。
【0071】
また、図15のように、各対向ローラ16の一端部にそれぞれギヤ歯16aを設け、加熱ドラム14の一端部にギヤ歯14aを設けた場合、図4において、付勢手段としてコイルばね28を各対向ローラ16の同じ一端部側のみに設けることで、この一端部側で各対向ローラ16が加熱ドラム14からギアの圧力角の影響分だけ持ち上げられて浮き上がることを防止できる。または、コイルばね28を各対向ローラ16の両端側に設けた場合には、一端側のコイルばね28による付勢力を他端側よりも大きくすることで同様に浮き上がりを防止するようにしてもよい。
【0072】
また、図15では、加熱ドラム14の一端部側(例えば左側)に大ギア(ギヤ歯)14aを、対向ローラ16の一端部側(左側)に小ギア(ギヤ歯)16aを設けているが、フィルム全面への浮き上がりの影響を分散し、仕上がり画像上で濃度むらをより目立たなくするために、大ギア14aを加熱ドラム14の左右両端部に設け、各対向ローラ16の小ギア16aを1本毎に左→右→左→右・・・のように互い違いに設けてもよい。この場合、上述のように対向ローラ16の小ギア16aのある側のコイルばね28を無い側のコイルばね28に対し強めて付勢力を大きくすることが好ましい。
【0073】
次に、図5の加熱ドラム14から離れたフィルムFを最初に案内するガイド部材について図9により説明する。図9は図5の加熱ドラム14の近傍に配置されたガイド部材を示す要部正面図である。
【0074】
図5、図9に示すように、現像されたフィルムFを加熱ドラム14から分離し搬送方向に案内するためのガイド部材210が最下流の案内部材16bの下方に加熱ドラム14と搬送ローラ対144aとの間に配置されている。即ち、ガイド部材210は、フィルムFが加熱ドラム14と対向ローラ16との間で搬送されて最外周の滑面層39から離れた後に最初にその案内面300がフィルムFを案内するように配置されている
【0075】
図9に示すように、ガイド部材210は、樹脂材料や不織布からなり断熱性を有する第1部材220と、第1部材220の下面に一体的に設けられアルミニウム等の金属材料からなり熱導伝性の第2部材230と、から構成されている。案内面300は、フィルムFが最初に当接する第2部材230による第1ガイド面23aと、次に当接する断熱性を有する第1部材220による第2ガイド面22aとを有する。
【0076】
また、ガイド部材210は、案内面300の反対側に第1傾斜面310と第2傾斜面320と第3傾斜面330とを有し、第1傾斜面310,第2傾斜面320及び第3傾斜面330は、加熱ドラム14側から順に傾斜角が重力方向下方から斜め方向に変わるように連続して形成されている。
【0077】
ガイド部材210の第1傾斜面310は、案内面300の反対側面において最も加熱ドラム14に近く配置され、加熱ドラム14の滑面層39から離れるように傾斜しており、重力方向の略下方を向いている。第2傾斜面320は重力方向の斜め方向を向き、第3傾斜面330は略水平方向を向いている。
【0078】
第3傾斜面330の図9の右端部は案内面300のフィルムの出口30aと接近している。また、第3傾斜面330には、その途中に、溝状の液だまり部340が形成されている。液だまり部340の溝内面の表面粗さは、Ra=1μ以上、及び、Rz=10μ以上に形成されている。
【0079】
図9のガイド部材210によれば、加熱ドラム14直近に配置されたガイド部材210の案内面300と反対側の面を第1乃至第3傾斜面310,320,330から構成し、全体的に傾斜構造とすることで、熱現像部130でフィルムFを加熱することでガスが発生し、そのガスが凝集と再溶融を繰り返し固着物ができても、加熱ドラム14の滑面層39に近づくことがないため加熱ドラム14に損傷が発生するおそれはない。また、凝集・再溶融を繰り返すガスが液体となれば、第2傾斜面320,第3傾斜面330へと流れ、固着物が大きく成長し難いので、加熱ドラム14の滑面層39に損傷を与えない。
【0080】
図1の熱現像装置では、フィルムの現像処理のときフィルムから高級脂肪酸等のガス類が発生する一方、熱現像後で軟化状態のフィルムを、加熱ドラム14に近づけて配置した図9のガイド部材210で次工程の冷却搬送部150Aに安定して導くことができる。
【0081】
従来の金属材料から形成されているガイド部材は現像処理の停止後には冷め易く、フィルム等から脂肪酸等のガスが発生すると、そのガスが凝集し固着し易くなるとともに、再処理開始に伴い、一旦凝集したガスが再溶融し、大きな溜まりとなり、これを繰り返すと大きく成長し、ついには加熱ドラムと接触し、加熱ドラムに損傷を与えるおそれがあったのに対し、図9のガイド部材210によれば、案内面300の反対側面が加熱ドラム14の滑面層39から離れるように傾斜した傾斜構造を有しているので、第1傾斜面310等にたとえフィルムの現像処理で発生した脂肪酸等のガスが凝集し固着したとしても、加熱ドラム14に損傷を与えてしまうことはない。
【0082】
また、凝集・再溶融を繰り返すガスが液体となって第2傾斜面320,第3傾斜面330へと流れても、その液体が第3傾斜面330に設けた液だまり部340に溜まり、そこで所定量以上に成長しようとすると自身の重力により落下するので、ガイド部材210の清掃サイクルの延長を図ることができる。即ち、凝集した固着物による加熱ドラムの損傷防止のために固着物をアルコール等で清掃し除去するメンテナンス作業の必要性が低下し、好ましい。また、案内面300と反対側面は、第1乃至第3傾斜面310,320,330で傾斜していることからメンテナンスを行うことがあっても清掃し易く、作業を行い易い。
【0083】
また、案内面300の第2ガイド面22aは第1部材220の樹脂材料や不織布から断熱性に構成されるので、加熱されているフィルムFが急冷されない。このため、加熱され軟化したフィルムFが案内面300に付いて搬送の障害になるようなことはない。また、熱現像処理後に熱導伝性の第2部材230は急速に冷却され、周囲のガスが第2部材230に凝集し固着するので、ガスの付着場所が制御可能となり、上述の加熱ドラム14の損傷防止に効果的である。
【0084】
図9のように、フィルムFが、最も下流側に位置する対向ローラ16bと加熱ドラム14との間のニップ部50から加熱ドラム14の回転とともにでてくると、図9の実線のように、ガイド部材210の第1ガイド面23aに当接してから、フィルムFの先端Faが図9の破線のように第2ガイド面22a上を移動するようにその搬送方向を変えて進む。この後、フィルムFは、図5のように、回転するローラ対144aの間のニップ部に挟まれると、図5の破線のようにガイド部材210から離れ、図1の冷却搬送部150A内へと搬送される。
【0085】
上述の図5,図9におけるフィルムFの搬送過程において、熱現像部130におけるフィルムFの搬送速度V1,熱現像部130の下流側(搬送冷却部150Aにおける)におけるフィルムFの搬送速度V2との関係は、V1<V2が好ましく、フィルムFの安定な搬送が可能になる。
【0086】
また、熱現像部130において加熱ドラム14の滑面層39と対向ローラ16群とによるフィルムFに対する搬送力F5と、熱現像部130の下流側(搬送冷却部150Aにおける)におけるフィルムFに対する搬送力F6との関係は、F5>F6が好ましい。これにより、フィルムを安定して搬送できるとともに、フィルムが搬送冷却部150Aにおいてガラス転移点まで冷却される工程でフィルムに一定の張力を与えつつ、一定時間の熱現像時間を確保できることができるため、安定した画像としわやカールの無い仕上がり画質を得ることができる。
【0087】
更に、図9の実線のように、ガイド部材210の第1ガイド面23aに当接したときの搬送抵抗力F7は、熱現像部130におけるフィルムFに対する搬送力F5よりも小さいことが好ましく、100g以下であることが画像ムラの防止上好ましい。
【0088】
図14は、フィルムFがガイド部材210の第1ガイド面23aに当接したときに第1ガイド面23a側から受ける搬送抵抗力F7と、フィルムFの第1ガイド面23aにおける接触角度θとの関係を示す図である。
【0089】
図9のように、加熱ドラム14がガイド部材210の第1ガイド面23aに最も近接する点における加熱ドラム14上の接線tとフィルムFとがなす接触角度θは、フィルムFの搬送とともに変化するが、この接触角度θにより搬送抵抗力F7が図14のように変化する。従って、接触角度θは、図7から、搬送抵抗力F7が100g以下となる50度以下が好ましく、10度以上が好ましい。また、第1ガイド面23aにおいてフィルムFが接触する長さは5mm以下が好ましい。ガイド部材210は、接触角度θが10乃至50度となるように加熱ドラム14に対し配置される。
【0090】
また、接触角度θが50度以下であることで、ガイド部材210の配置の関係から小型化に寄与できるとともに、搬送抵抗が大きくなりすぎないので、フィルム先端における膜剥がれを抑制することができる。なお、この膜剥がれ抑制のためには、フィルムに対し潜像を形成するときにフィルム搬送方向の先端部分を2〜3mm未露光部を設け、乳剤と基体(ベース)との間の膜強度を上げることを併用すると更に良い。
【0091】
以上のように、熱現像部130の下流側においてフィルムの搬送の安定化を図ることができ、フィルム搬送軌跡が安定するため、熱現像プロセスに特有のカールや過剰冷却による濃度低下も抑制可能となる。
【0092】
また、ガイド部材210をアルミニウム押し出し加工と、不織布とで構成し、加熱ドラム14から離間するフィルム先端がまずアルミニウムの第1ガイド面23aに接触し案内され、このとき、高温状態の乳剤面が瞬時に冷却され膜強度がアップし、この後、加熱ドラム14の回転に伴い不織布からなる第2ガイド面22aで案内される。このアルミニウムの第1ガイド面23aでフィルムの先端を搬送する距離が5mmを越えるように長すぎると、過剰冷却で先端部のカール大となったり、フィルム断裁面近傍の膜剥がれを生じたりし、いきなり不織布で案内すると加熱ドラムから剥離した高温・軟化状態のフィルムの姿勢が安定せず、不織布のケバにフィルム両端が同時に接触するとは限らず、曲がりや3次元的な捻れを生じやすいが、着地点がアルミニウムからなる第1ガイド面23aであると、3次元的なねじれ発生を抑制できる。
【0093】
なお、上述のニップローラの搬送力は、14インチ幅のフィルムの先端部をニップローラに挟み、フィルムの後端部にバネばかり等を取り付け、ニップローラを駆動し、フィルムがスリップし始める時のバネはかりを読むようにして測定できる。搬送力100gとは、この時のバネはかりの値が100gである。また、加熱ドラムと対向ローラとによる搬送力も同様にして測定できる。
【0094】
また、フィルムの搬送抵抗に関しては、フィルムの後端をバネはかりで押すと、押し始めにはフィルムは移動しないが、バネ荷重を増していき、ある値より大きくなると、フィルム先端が移動し始めるが、この時のバネ荷重値を搬送抵抗力とする。
【0095】
以上のように本発明を実施の形態により説明したが、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば熱現像部130は、本実施の形態においては、露光部120と共に熱現像装置100に組み込まれているが、露光部120とは別個の構成であっても良い。かかる場合、露光部120から熱現像部130へとフィルムFを搬送する搬送部が必要となる。
【0096】
また、対向ローラの強制的な回転駆動手段は、歯車以外の構成であってもよく、例えば、加熱ドラムの回転が対向ローラに効率よく伝達するように加熱ドラムと対向ローラとの少なくとも一方の端部側に高摩擦係数を有する摩擦ローラ等を設ける構成としてもよい。
【0097】
【発明の効果】
本発明の熱現像装置によれば、熱現像感光材料を対向ローラとの間で挟んで搬送しながら加熱し現像する加熱ドラムがその表面にフッ素樹脂等のような滑面層を有し、対向ローラに反りが生じていた場合であっても、対向ローラを安定して回転させることができ、熱現像感光材料を安定して搬送でき、加熱ドラムからの熱供給を均一化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態による熱現像装置を概略的に示す正面図である。
【図2】図1の熱現像装置の左側面図である。
【図3】図1の露光部120の構成を示す概略図である。
【図4】図1の熱現像部130の斜視図である。
【図5】図4の構成をIV−IV線で切断して矢印方向に見た要部断面図である。
【図6】図4の構成を正面から見た図である。
【図7】本実施の形態におけるフィルムの断面図であり、レーザビームによる露光時におけるフィルム内の化学的反応を模式的に示した図である。
【図8】本実施の形態におけるフィルムの断面図であり、図7のような潜像の形成されたフィルムを加熱した時におけるフィルム内の化学的反応を模式的に示した図である。
【図9】図5の加熱ドラム14の下流側の近傍に配置されたガイド部材及び搬送ローラ対を示す要部正面図である。
【図10】フィルムが加熱ドラムの周囲で搬送中にスリップ等により熱現像時間が変化したときの仕上がり濃度の与える影響を概念的に示す図である。
【図11】加熱ドラム14と最も上流側の対向ローラ16aとの間のニップ部52におけるフィルムFに対する搬送力F1と、供給ローラ対143によるフィルムFの搬送力F2との関係を示す図である。
【図12】加熱ドラム14において対向ローラ16の付勢力fとフィルム搬送力F3との関係を示す図である。
【図13】フィルムFが加熱ドラム14において対向ローラ16から付勢力fを受けることで搬送力F3を受ける様子を模式的に示す図である。
【図14】フィルムFがガイド部材210の第1ガイド面23aに当接したときに第1ガイド面23a側から受ける搬送抵抗力F7と、フィルムFの第1ガイド面23aにおける接触角度θとの関係を示す図である。
【図15】加熱ドラム14及び対向ローラ16の端部を示す斜視図である。
【図16】図15の加熱ドラム14及び対向ローラ16の1本を矢印X方向に見た図である。
【図17】各対向ローラ16が反り(振れ)を有したときに予想される相対的濃度変動の曲線A,Bを示す図である。
【符号の説明】
100・・・熱現像装置
130・・・熱現像部
14・・・加熱ドラム
16・・・対向ローラ
28・・・コイルばね(付勢手段)
38・・・弾性層
39・・・滑面層
14a・・・加熱ドラム14の一端部に設けたギヤ歯(第1ギア部)
16a・・・各対向ローラ16の一端部に設けたギヤ歯(第2ギア部)
F・・・フィルム(熱現像感光材料)
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像感光材料を加熱して現像する熱現像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱現像感光フィルム(以下、単に「フィルム」ともいう。)を加熱して現像する熱現像プロセスにおいて、フィルムを加熱する加熱手段として下記特許文献1に開示されているように、加熱ドラムの表面層に耐熱性かつ高伝導率の弾性体(シリコンゴム)を被覆したものを使用したものが実用化されている。
【0003】
【特許文献1】
特表平10−500497号公報
【0004】
また、特に有機溶剤を使用した銀塩熱現像感光フィルムなどを現像する熱現像部では、フィルムが現像される際にフィルム表面層の界面活性剤や乳剤層からの有機溶剤または有機酸などがフィルムから遊離し、加熱ドラムの表面層の弾性体(シリコンゴム)にアタックすることで弾性体(シリコンゴム)が劣化し、弾性体(シリコンゴム)の膨潤や摩耗が発生してしまい、安定した仕上がり画質が得られない問題があった。
【0005】
そこで、本出願人は、かかる問題を解決すべく、特願2002−208438において、高伝導率弾性体(シリコン)表面層にテフロン(商品名)等のフッ素樹脂コーティングをすることで、フィルムが現像される際にフィルム表面層の界面活性剤や乳剤層からの有機溶剤または有機酸などによって高伝導率弾性体(シリコンゴム)がアタックされないようにすることを提案した。これにより、経時的にシリコンゴム等の弾性体が劣化することを防止することができ、安定な仕上がり画質を得ることが可能になった。
【0006】
しかしながら、弾性層表面にフッ素樹脂コーティングを施すことで、加熱ドラム長寿命化・加熱ドラム清掃メンテサイクル延長は達成可能であるが、フッ素樹脂特有の以下の課題を有している。
【0007】
(1)低摩擦係数による搬送力不足
(2)熱伝導率の低下による現像不活性化
(3)フッ素樹脂コーティングのドラムの場合、対向ローラに反り等が生じると、複数の対向ローラが回転しないことが起き得る。
【0008】
上記の課題の内の(1)について以下に説明する。テフロン(商品名)は周知のとうり摺動部にも使用されるほどの低摩擦係数材料である。したがって、加熱ドラムの周囲に配置される対向ローラのニップ圧がシリコンゴムの弾性体を有する加熱ドラムと同一条件であると、熱現像中の搬送力が極端に低下してしまい、フィルムがスリップしてしまうおそれが生じる。フィルムのスリップは全体的な現像時間が実質的に延長されることになり濃度変化を招くと共にしわが発生したり、フィルム表面をキズつけることになり易い。
【0009】
熱現像感光フィルムの現像進行は加熱温度×加熱時間で決定されるため、フィルムの先頭から後端まで一定の加熱時間つまり一定の搬送速度でないと、濃度ムラが発生してしまう。このため、従来のシリコンゴムの弾性体による表面層を形成した加熱ドラムを有する熱現像装置においては、濃度ムラの防止としわムラ防止のため、熱現像部及び熱現像部の上流・下流側における搬送速度に関し、上流側搬送速度<熱現像部搬送速度<下流搬送速度としている。
【0010】
上記(2)、(3)の課題について以下に説明する。熱現像感光フィルムに効率よく熱エネルギーを供給し、所望の濃度仕上がりとフィルムのカブリを抑制する熱現像装置がフィルムを高伝導率弾性体(シリコンゴム)表面に対向ローラで付勢しながら熱現像し搬送することで達成されていた。しかしながら、テフロン(商品名)は従来使用していた高伝導率弾性体の約1/3の伝導率であるため、あまり厚みを増すと現像不活性となり所望の濃度がえられなくなる。
【0011】
また、シリコンゴム層を表面に有する加熱ドラムと対向ローラとによるフィルムニップ時、加熱ドラム軸線方向(母線方向)の加熱ドラムと対向ローラと間で多少平行度がずれていても、ゴム弾性層により、加熱ドラムとフィルムと対向ローラは互いに均一に密着可能である。これに対し、テフロン(商品名)の表面コート層が存在すると、対向ローラのニップ圧及び母線平行度がシリコンゴムの加熱ドラムの場合と同一条件だと、互いに均一に密着しないおそれが生じる。従って、従来よりも加熱面との密着性も重視されるように上記(1)の問題とも相まって付勢力及び対向ローラと加熱ドラムアライメントの最適化が重要となる。
【0012】
また、反り等が生じた対向ローラがドラムの回転に追従せずに回転しないことが起きると、フィルムの安定な搬送ができなくなり、また裏面側からのフィルムへの熱供給が不均一になったり、傷を招くおそれがある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、熱現像感光材料を対向ローラとの間で挟んで搬送しながら加熱し現像する加熱ドラムがその表面にフッ素樹脂等のような滑面層を有する場合に、熱現像感光材料を安定して搬送でき、加熱ドラムからの熱供給を均一化できる熱現像装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による熱現像装置は、熱現像感光材料を加熱しかつ所定曲率を有し回転駆動される加熱ドラムと、前記加熱ドラムに対向するように配置された複数の対向ローラと、を含み、前記加熱ドラムが回転しながら前記熱現像感光材料を前記加熱ドラムと前記対向ローラとの間で搬送し現像する熱現像装置であって、前記加熱ドラムは、前記所定曲率を有する基体と、前記基体の周囲に設けられた弾性層と、前記弾性層の外表面に形成された滑面層と、を有し、前記対向ローラを前記加熱ドラムに付勢するための付勢手段と、前記対向ローラを強制的に回転駆動するための回転駆動手段と、を具備することを特徴とする。
【0015】
この熱現像装置によれば、加熱ドラムの滑面層に付勢される対向ローラが回転駆動手段により強制的に回転駆動されるので、対向ローラに反り(振れ)が存在しても、対向ローラが確実に回転できる。このため、熱現像感光材料を安定して搬送できるとともに、熱現像感光材料の裏面側からの熱供給が均一化される。
【0016】
この場合、前記加熱ドラムの滑面層がフッ素樹脂により形成されていることが好ましい。これにより、現像時に熱現像感光材料から発生するガスによる例えばシリコンゴムのような弾性層の劣化を防止できる。フッ素樹脂により形成された滑面層を有する加熱ドラムの場合、対向ローラに反り等が生じると、複数の対向ローラが回転しないことが起き得るが、上述のように対向ローラを強制的に回転駆動することでかかる不具合は発生しない。
【0017】
また、前記熱現像感光材料を前記滑面層に付勢する前記対向ローラのニップ力が0.06乃至1N/cmの範囲内にあることが好ましく、0.1乃至1N/cmの範囲内にあることが更に好ましい。かかるニップ圧は、熱現像感光材料を対向ローラから加熱ドラムに付勢する付勢手段の付勢力を調整することで制御可能である。これにより、熱現像感光材料を加熱ドラムの滑面層に対し密着させることができる。
【0018】
また、前記回転駆動手段が転位歯車を備えることが好ましい。また、前記回転駆動手段が、前記加熱ドラムに設けられた第1ギア部と、前記第1ギア部と噛み合うように前記対向ローラに設けられた第2ギア部と、を備え、前記加熱ドラムの回転に伴い前記第1ギア部と前記第2ギア部とを介して前記対向ローラが回転するように構成することが好ましい。
【0019】
この場合、前記第1ギア部及び前記第2ギア部を前記加熱ドラムの軸線方向の一端側に設け、前記付勢手段を同じ前記一端側に設けることで、第1ギア部及び第2ギア部側でギアの圧力角の影響による対向ローラの加熱ドラムからの浮き上がりを防止できる。
【0020】
また、前記第1ギア部及び前記第2ギア部を前記加熱ドラムの軸線方向の一端側に設け、前記付勢手段を前記軸線方向の両端側にそれぞれ設け、前記軸線方向の一端側の付勢手段による付勢力を前記他端側よりも大きくすることで、第1ギア部及び第2ギア部側でギアの圧力角の影響による対向ローラの加熱ドラムからの浮き上がりを防止できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による実施の形態について図面を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態による熱現像装置を概略的に示す正面図であり、図2は図1の熱現像装置の左側面図である。
【0022】
図1,図2に示すように、熱現像装置100は、シート状の熱現像感光材料であるフィルムFを1枚ずつ給送する給送部110と、給送されたフィルムFを露光する露光部120と、露光されたフィルムFを現像する熱現像部130と、を有している。図1,2を参照して、熱現像装置100について説明する。
【0023】
図2において、給送部110は上下2段に設けられ、ケースCに収納されたフィルムF(図3,4参照)を、ケースCごと格納する。不図示の取り出し装置により、フィルムFをケースCから取り出し、図中矢印(1)に示す方向(水平方向)に引き出す。更に、ケースCから引き出されたフィルムFを、ローラ対からなる搬送装置141により、図中矢印(2)に示す方向(下方)に搬送する。
【0024】
熱現像装置100の下方に搬送されてきたフィルムFを、更に熱現像装置100の下部にある搬送方向変換部145へと搬送し、搬送方向変換部145で搬送方向を変換し(図2の矢印(3)及び図1の矢印(4))、露光準備段階に移行する。更にフィルムFを、熱現像装置100の左側面から、図1の矢印(5)に示す方向(上方)に、ローラ対からなる搬送装置142が搬送し、その際露光部120から、赤外域780〜860nm範囲内のレーザ光Lで走査し露光する。
【0025】
フィルムFはレーザ光Lを受けることにより潜像を形成する。その後、フィルムFを図1の矢印(6)に示す方向(上方)に搬送し、供給ローラ対143に到達した時点で、そのまま加熱ドラム14に供給する。すなわち、ランダムなタイミングで供給する。また、その到達した時点で一旦停止させるようにしても良い。この場合、供給ローラ対143は、一定の回転速度で回転する熱現像部130の加熱ドラム14に、フィルムFを供給するタイミングを決定する機能を有し、かかる加熱ドラム14周上の次の被供給位置に回転したとき、供給ローラ対143が回転を開始することで、フィルムFを、加熱ドラム14の外周上に供給するようにしても良い。供給ローラ対143は制御装置150により制御されながらモータ151により回転駆動される。
【0026】
更に、加熱ドラム14は、フィルムFを加熱ドラム14の外周上に保持しながら、図1の矢印(7)に示す方向に回転する。かかる状態で、フィルムFを加熱ドラム14が加熱して熱現像して、潜像から可視画像を形成する。その後、図1の加熱ドラム右方まで回転したときに、加熱ドラム14からフィルムFを離脱させ、図1の矢印(8)に示す方向に冷却搬送部150Aへ搬送し冷却した後、複数の搬送ローラ対144a(図5),144により、図1の矢印(9)、(10)に示す方向に搬送し、熱現像装置100の上部から取り出せるように排出トレイ160に排出する。
【0027】
図3は、露光部120の構成を示す概略図である。露光部120は、画像信号Sに基づき強度変調されたレーザ光Lを、回転多面鏡113によって偏向して、フィルムF上を主走査すると共に、フィルムFをレーザ光Lに対して主走査の方向と略直角な方向に相対移動させることにより副走査し、レーザ光Lを用いてフィルムFに潜像を形成するものである。
【0028】
露光部120のより具体的な構成を以下に述べる。図3において、画像信号出力装置121から出力されたデジタル信号である画像信号Sは、D/A変換器122においてアナログ信号に変換され、変調回路123に入力される。変調回路123は、かかるアナログ信号に基づき、レーザ光源部110aのドライバ124を制御して、レーザ光源部110aから変調されたレーザ光Lを照射させるようになっている。
【0029】
レーザ光源部110aから照射されたレーザ光Lは、レンズ112を通過し、シリンドリカルレンズ115により上下方向にのみ収束されて、図中矢印A方向に回転する回転多面鏡113に対し、その駆動軸に垂直な線像として入射するようになっている。回転多面鏡113は、レーザ光Lを主走査方向に反射し偏向し、偏向されたレーザ光Lは、2枚のレンズを組み合わせてなるシリンドリカルレンズを含むfθレンズ114を通過した後、光路上に主走査方向に延在して設けられたミラー116で反射されて、搬送装置142により、矢印Y方向に搬送されている(副走査される)フィルムFの被走査面117上を、矢印X方向に繰り返し主走査する。すなわち、レーザ光Lを、フィルムF上の被走査面117の全面にわたって走査する。
【0030】
fθレンズ114のシリンドリカルレンズは、入射したレーザ光LをフィルムFの被走査面117上に、副走査方向にのみ収束させるものとなっており、また前記fθレンズ114から前記被走査面までの距離は、fθレンズ114全体の焦点距離と等しくなっている。このように、露光部120においては、シリンドリカルレンズを含むfθレンズ114及びミラー116を配設しており、レーザ光Lが回転多面鏡113上で、一旦副走査方向にのみ収束させるようになっているので、回転多面鏡113に面倒れや軸ブレが生じても、フィルムFの被走査面117上において、レーザ光Lの走査位置が副走査方向にずれることがなく、等ピッチの走査線を形成することができるようになっている。回転多面鏡113は、例えばガルバノメータミラー等、その他の光偏光器に比べ走査安定性の点で優れているという利点がある。以上のようにして、フィルムFに画像信号Sに基づく潜像が形成されることとなる。
【0031】
上述のように潜像が形成される具体的な化学的反応の内容について図7を参照して説明する。図7は、熱現像材料から構成されるフィルムFの断面図であり、露光時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した図である。
【0032】
フィルムFは、PETからなる支持体(基層)上に、耐熱性バインダを主成分とする感光層が形成され、更に、その上に耐熱性バインダを主成分とする保護層が形成されている。感光層には、ハロゲン化銀粒子と、有機酸銀の一種であるベヘン酸銀(Beh.Ag)と、還元剤及び調色剤とが配合されている。また、支持体の裏面にも耐熱性バインダを主成分とする裏面層が設けられている。
【0033】
露光時に、露光部120よりレーザ光LがフィルムFに対して照射されると、図7に示すように、レーザ光Lが照射された領域に、ハロゲン化銀粒子が感光し、潜像が形成される。
【0034】
図4乃至6は、フィルムFを加熱する熱現像部130の構成を示す図であり、より具体的には、図4は、熱現像部130の斜視図であり、図5は、図4の構成をIV−IV線で切断して矢印方向に見た断面図であり、図6は、図4の構成を正面から見た図である。
【0035】
熱現像部130は、フィルムFを外周にほぼ密着して保持しつつ加熱可能な加熱部材としての加熱ドラム14を有している。加熱ドラム14は、フィルムFを所定の最低熱現像温度以上に、所定の熱現像時間維持することによって、フィルムFに、形成された潜像を可視画像として形成する機能を有する。ここで、最低熱現像温度とは、フィルムFに形成された潜像が熱現像され始める最低温度のことであり、本実施の形態のフィルムにおいては80℃以上である。一方、熱現像時間とは、フィルムFの潜像を所望の現像特性に現像するために、最低熱現像温度以上に維持するべき時間をいう。なお、フィルムFは、40℃以下では実質的に熱現像されないものであることが好ましい。
【0036】
上述の加熱により潜像が可視化される具体的な化学的反応の内容について図8を参照して説明する。図8は、加熱時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した、図7と同様な断面図である。
【0037】
フィルムFが加熱されて最低熱現像温度以上になると、図8に示すように、ベヘン酸銀から銀イオン(Ag+)が放出され、銀イオンを放出したベヘン酸は調色剤と錯体を形成する。その後銀イオンが拡散して、感光したハロゲン化銀粒子を核として還元剤が作用し、化学的反応により銀画像が形成されると思われる。このようにフィルムFは、感光性ハロゲン化銀粒子と、有機銀塩と、銀イオン還元剤とを含有し、40℃以下の温度では実質的に熱現像されず、80℃以上である最低現像温度以上の温度で熱現像される。
【0038】
なお、熱現像部130は、本実施の形態においては、露光部120と共に熱現像装置100に組み込まれているが、露光部120とは独立した装置であっても良い。かかる場合、露光部120から熱現像部130へとフィルムFを搬送する搬送部があることが好ましい。
【0039】
加熱ドラム14の外方には、案内部材かつ対向部材として小径の回転自在の対向ローラ16が複数本設けられており、加熱ドラム14に対して平行に対向しかつ加熱ドラム14の周方向に等間隔に配置されている。対向ローラ16としては、外側の直径が1〜2cmであり、肉厚が2mmのアルミニウム製の管を用いている。
【0040】
加熱ドラム14の両端には、フレーム18に支持されている案内ブラケット21が片側に3個ずつ備えられている。案内ブラケット21を組み合わせることにより、加熱ドラム14の両端において、対向するC字形状が形成されるようになっている。
【0041】
各案内ブラケット21は、半径方向に延びた長孔42を9つ形成している。この長孔42から、対向ローラ16の両端部に設けられたシャフト40が突出する。シャフト40には、それぞれ各コイルばね28の一端が取り付けられており、各コイルばね28の他端は、案内ブラケット21の内方縁近傍に取り付けられている。従って、各対向ローラ16は、各コイルばね28の付勢力に基づく所定の力で、加熱ドラム14の外周にそれぞれ付勢される。フィルムFは、加熱ドラム14の外周と対向ローラ16との間に侵入したときに、かかる所定の力で加熱ドラム14の外周面に対して押圧され、それによりフィルムFを全面的に均一に加熱する。
【0042】
加熱ドラム14に同軸に連結されたシャフト22は、フレーム18の端部部材20から外方に延在しており、シャフトベアリング24により、端部部材20に対して回転自在に支承されている。シャフト22の下方に配置され、端部部材20に取り付けられたマイクロステップモータ(図示省略)の回転軸23には、ギヤ(図示省略)が形成されている。一方、シャフト22にもギヤが形成されている。両ギヤを連結するタイミングベルト(ギヤが刻まれているベルト)25を介して、マイクロステップモータの動力がシャフト22に伝達され、それにより加熱ドラム14が回転する。なお、回転軸23からシャフト22への動力の伝達は、タイミングベルトではなくチェーンやギヤ列を介して行っても良い。
【0043】
図5に示すように、本実施の形態において、対向ローラ16は、加熱ドラム14の周囲方向に設けられており、2本の補強部材30(図6)が、フレーム18の両端部部材20を連結し、両端部部材20を付加的に支持するようになっている。
【0044】
加熱ドラム14の内周には、板状のヒータ32が全周にわたって取り付けられており、図6に示す制御用の電子装置34の制御下で、加熱ドラム14の外周を加熱するようになっている。ヒータ32への電力の供給は、電子装置34に連結されたスリップ・リング・アセンブリ35を介して行われる。
【0045】
ヒータ32は、加熱ドラム14の外周面を加熱するべく、加熱ドラム14の内周に取り付けられている。加熱ドラム14を加熱するためのヒータ32は、例えばエッチングされた抵抗性のフォイル・ヒータを用いることができる。
【0046】
ヒーター制御用の電子装置34は、加熱ドラム14と共に回転し、加熱ドラム14に配置された温度検出手段により感知された温度情報に応じて、ヒータ32に供給される電力を調整することができるようになっている。制御用電子装置34はヒータ32を制御することにより、特定のフィルムFの現像に適した温度になるよう、加熱ドラム14の外表面温度調整を行う。本実施の形態においては加熱ドラム14を、60℃〜160℃の温度にまで加熱することができる。
【0047】
ここで、ヒータ32と制御用電子装置34とにより、加熱ドラム14の幅方向の温度を2.0℃以内(特に、1.0℃以内)に維持すると好ましい。本実施の形態では、0.5℃以内に維持される。
【0048】
図5に示すように、加熱ドラム14は、回転自在な円筒形状のアルミニウム製の支持チューブ36と、この支持チューブ36の外側に取り付けられたシリコンゴム等からなる柔軟な弾性層38と、弾性層38の外周にフッ素樹脂を塗布等でコーティングして最外周面として形成された滑面層39と、を備える。
【0049】
弾性層38の厚さと熱伝導率は、複数のフィルムFの連続的処理を効率的に行えるように選択される。なお、弾性層38は、支持チューブ36に間接的に取り付けられていても良い。
【0050】
滑面層39を形成するために塗布するフッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、テトラフルオロエチレンとハーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体(PFA)、エチレンとテトラフルオロエチレンとの共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロブロビレンとの共重合体(FEP)などの化合物が用いられる。
【0051】
フィルムFが加熱ドラム14の周囲で熱現像のため加熱されると、例えば有機酸などの薬品成分を含むガスを発生するが、弾性層38の表面に設けられた滑面層39を構成するフッ素樹脂は、耐化学反応性を有するので、有機酸などのガス成分とは反応せず劣化しない。また、フッ素樹脂はそれらのガス成分が透過しないよう遮断し、シリコンゴム等からなる弾性層38が有機酸などのガス成分に接触することはないので、そのガス成分により劣化せず、また変質しない。よって、弾性層38は、経時的にその形状や物性の変化をほとんど起こさないので、初期の弾性力や熱伝導性を維持できる。
【0052】
また、コイルばね28の付勢力は、フィルムFが加熱ドラム14の外周面により確実に密着して、十分な熱伝達を受けながら安定して搬送されるように対向ローラ16の押圧力を決定するものであるため、その値の選定には注意する必要がある。即ち、コイルばね28の付勢力が過小であれば、フィルムFに熱が不均一に伝導するため画像の現像が不完全になるおそれがあり、またフィルムの搬送が不安定になるおそれがある。
【0053】
図5のように、フィルムFが供給ローラ対143に挟まれながら搬送され、ガイド部201を通って熱現像部130に供給され、加熱ドラム14と最も上流側の対向ローラ16aとの間のニップ部52で挟まれ加熱ドラム14へと送られるが、このときの、ニップ部52におけるフィルムFに対する搬送力F1と、供給ローラ対143によるフィルムFの搬送力F2との関係について図10,図11を参照して説明する。
【0054】
図10は、フィルムが加熱ドラムの周囲で搬送中にスリップ等により熱現像時間が変化したときの仕上がり濃度の与える影響を概念的に示す図であり、図11は加熱ドラム14と最も上流側の対向ローラ16aとの間のニップ部52におけるフィルムFに対する搬送力F1と、供給ローラ対143によるフィルムFの搬送力F2との関係を概念的に示す図である。
【0055】
図10に示すように、フィルムFは、熱現像時間にほぼ比例してその仕上がり濃度が変化することが分かり、例えば、熱現像時間が基準時間に対し+5%変動すると濃度もほぼ直線的に増加し、−5%変動すると濃度もほぼ直線的に減少する。このような濃度変動により画像ムラが発生してしまう。
【0056】
上述のように加熱ドラム14の最外周に形成されたフッ素樹脂からなる滑面層39は、フィルムFとの間の摩擦係数が従来のシリコンゴムの弾性層の場合よりも小さいため、フィルムFが搬送中にスリップし易くなり熱現像時間が変動することで画像ムラが生じてしまうが、本発明者等の検討によると、図5のように、フィルムFが供給ローラ対143に挟まれた状態で、フィルムの先端が加熱ドラム14の最外周の滑面層39と最も上流側の対向ローラ16aとの間のニップ部52で挟まれたときに、ニップ部52におけるフィルムFに対する搬送力F1と、供給ローラ対143によるフィルムFの搬送力F2との比(F1/F2)が1以上になると、画像ムラが殆ど発生しないことが分かった。
【0057】
即ち、F1/F2>1(F1>F2・・・(1))であると、画像ムラの発生防止に効果的である。これは、フィルムFが滑面層39においてスリップし難くなり、安定して加熱ドラム14へと送られるためと考えられる。式(1)の関係を満足することで、熱現像部130におけるフィルムの搬送速度がも最も間近な上流側の供給ローラ対143搬送速度よりも大きい状態を維持できるため、加熱ドラム14において、その最外周にあるフッ素樹脂の滑面層39とフィルムFとの間でスリップし易い場合でもフィルムFを熱現像感光材料を安定して搬送できる。
【0058】
上記式(1)の関係は、例えば、最も上流側の対向ローラ16aを加熱ドラム14側に付勢する図4のコイルばね28を調整することで実現できる。
【0059】
次に、フィルムFを加熱ドラム14と対向ローラ16との間で安定して搬送するために、コイルばね28による対向ローラ16の好ましい付勢力について図12,図13を参照して説明する。
【0060】
図12は対向ローラ16の付勢力fとフィルム搬送力F3との関係を示す図であり、図13は、フィルムFが対向ローラ16から付勢力fを受けることで搬送力F3を受ける様子を模式的に示す図である。なお、図12には、本実施の形態のフッ素樹脂による滑面層39とフィルムFとの間の摩擦係数μが0.5である場合に加えて、シリコンゴムによる弾性層とフィルムFとの間の摩擦係数μが0.8である場合を併せて示す。
【0061】
図13のように、フィルムFが対向ローラ16から付勢力fを受けると、フィルムFに対しフィルム搬送力F3が発生する。このフィルム搬送力F3は、付勢力fにより生じる加熱ドラム14の外周面上の垂直方向反力Nと、フィルムFと接触面である滑面層39との間の摩擦係数μとから次式のように求められる。
【0062】
F3=μN
【0063】
ここで、フィルムFを安定して搬送するためにフィルム搬送力F3は、100g以上あることが好ましい。フッ素樹脂による滑面層39とフィルムFとの間の摩擦係数μは約0.5であるため、対向ローラ16の1本当たりの付勢力fと、フィルム搬送力F3との関係は図12に示すようになるが、図12から100gのフィルム搬送力F3を得るには、対向ローラ16の1本当たりの付勢力fが約0.06N/cm必要であることが分かる。因みに、対向ローラ16の幅が14インチの場合、[0.06N/cm]×[14×2.54cm]=2.13Nの力が必要となり、対向ローラ16の重量が不足する場合は、対向ローラ16の両端に作用する付勢用のコイルばね28(図4)による調整等を併用すると良い。
【0064】
従って、各対向ローラ16を加熱ドラム14に付勢するコイルばね28(図4)及び自重による付勢力を0.06N/cm以上となるように調整することが好ましい。一方、対向ローラ16による付勢力は、対向ローラ16がフィルムFに圧痕を生じさせない程度に小さくする必要があることを考慮すると、0.06乃至1N/cmの範囲内にあることが好ましい。そして、本発明者等の更なる検討によれば、上記付勢力の間でフッ素樹脂による滑面層39とフィルムFとの密着性を向上させ、加熱ドラム14からの熱供給を効率よくするためには、付勢力は、0.1乃至1N/cmがより好ましい。
【0065】
加熱ドラム14は、現像されるフィルムFと略同一速度で移動することができるため、フィルムFの表面に傷(傷み、損傷)がつく恐れは低くなり、それにより高品質の画像を確保することができる。加熱ドラム14と対向ローラ16との間に搬送された後、現像されたフィルムFは、最も下流側に位置し分離直前の案内部材としての対向ローラ16bと加熱ドラム14とにより形成されたニップ部50に案内されて、後述のように、熱現像部130の加熱ドラム14から引き出されることとなる。
【0066】
熱現像部130は、例えば赤外線感光性ハロゲン化銀を含む感光性熱現像乳剤が0.178mmの支持体としてのPET(ポリエチレンテレフタレート)にコーティングされたフィルムFを現像するように構成されている。加熱ドラム14は、115℃〜138℃の温度、例えば、124℃に維持され、該加熱ドラム14は、フィルムFを所定時間である約15秒間、その外周面に当接状態で保持するような回転速度で回転せしめられる。当該所定時間及び当該温度で、フィルムFは、124℃の温度まで上昇せしめられ得る。なお、PETのガラス転移温度は約80℃である。
【0067】
次に、図1乃至図6の加熱ドラムの回転で対向ローラを強制的に回転駆動する構成について図15、図16により説明する。図15は、加熱ドラム14及び対向ローラ16の端部を示す斜視図であり、図16は、図15の加熱ドラム14及び対向ローラ16の1本を矢印X方向に見た図である。なお、図17では、対向ロ一ラ16を5本のみ示しているが、全ての対向ロ一ラ16において同様の構成を有している。
【0068】
図15、図16に示すように、各対向ローラ16の一端部にそれぞれギヤ歯16aを設け、加熱ドラム14の一端部にギヤ歯14aを設け、これらのギヤ歯16aとギヤ歯14aは互いに噛合し合い、各対向ローラ16はギヤ歯を介してドラム14により駆動され、フイルムFから駆動力を受けなくても、それによりローラ16の駆動力により回転し、各対向ローラ16が強制的に回転駆動される。ギヤ歯16aとギヤ歯14aとは転位歯車から構成されることが好ましい。
【0069】
上述の構成により、加熱ドラム14がフッ素樹脂からなる滑面層39を有し、対向ローラ16に反り等が生じると、複数の対向ローラ16が回転しないことが起き得るが、上述のように強制的に回転駆動することで、対向ローラ16に反り等があっても各対向ローラ16を回転させることができる。これにより、フィルムを安定して搬送でき、また裏面側からのフィルムへの熱供給が均一化し、更にフィルムに傷が生じることはない。
【0070】
更に、各対向ローラ16の回転が保証されるので、複数の対向ローラの反り(振れ)の影響が重畳して視認できる濃度むらとなることもない。また、仮に、反り(振れ)のある対向ローラを用いるときは、この影響が重畳しないよう位相(回転角)を初期に組み合わせれば、ギアの噛み合いにより、この状況が維持されるので、ローラ精度を必要以上に上げる必要も無い。例えば、図17のように、各対向ローラ16が反り(振れ)を有するため、曲線Aのように濃度変動する一方、複数の対向ローラ16の回転中の位相が揃うことで、例えば図17の曲線Bのように濃度変動が起きることが予想されるが、かかる位相が揃わないように対向ローラの位相を組み合わせることで、曲線Bのような濃度変動を抑えることができる。
【0071】
また、図15のように、各対向ローラ16の一端部にそれぞれギヤ歯16aを設け、加熱ドラム14の一端部にギヤ歯14aを設けた場合、図4において、付勢手段としてコイルばね28を各対向ローラ16の同じ一端部側のみに設けることで、この一端部側で各対向ローラ16が加熱ドラム14からギアの圧力角の影響分だけ持ち上げられて浮き上がることを防止できる。または、コイルばね28を各対向ローラ16の両端側に設けた場合には、一端側のコイルばね28による付勢力を他端側よりも大きくすることで同様に浮き上がりを防止するようにしてもよい。
【0072】
また、図15では、加熱ドラム14の一端部側(例えば左側)に大ギア(ギヤ歯)14aを、対向ローラ16の一端部側(左側)に小ギア(ギヤ歯)16aを設けているが、フィルム全面への浮き上がりの影響を分散し、仕上がり画像上で濃度むらをより目立たなくするために、大ギア14aを加熱ドラム14の左右両端部に設け、各対向ローラ16の小ギア16aを1本毎に左→右→左→右・・・のように互い違いに設けてもよい。この場合、上述のように対向ローラ16の小ギア16aのある側のコイルばね28を無い側のコイルばね28に対し強めて付勢力を大きくすることが好ましい。
【0073】
次に、図5の加熱ドラム14から離れたフィルムFを最初に案内するガイド部材について図9により説明する。図9は図5の加熱ドラム14の近傍に配置されたガイド部材を示す要部正面図である。
【0074】
図5、図9に示すように、現像されたフィルムFを加熱ドラム14から分離し搬送方向に案内するためのガイド部材210が最下流の案内部材16bの下方に加熱ドラム14と搬送ローラ対144aとの間に配置されている。即ち、ガイド部材210は、フィルムFが加熱ドラム14と対向ローラ16との間で搬送されて最外周の滑面層39から離れた後に最初にその案内面300がフィルムFを案内するように配置されている
【0075】
図9に示すように、ガイド部材210は、樹脂材料や不織布からなり断熱性を有する第1部材220と、第1部材220の下面に一体的に設けられアルミニウム等の金属材料からなり熱導伝性の第2部材230と、から構成されている。案内面300は、フィルムFが最初に当接する第2部材230による第1ガイド面23aと、次に当接する断熱性を有する第1部材220による第2ガイド面22aとを有する。
【0076】
また、ガイド部材210は、案内面300の反対側に第1傾斜面310と第2傾斜面320と第3傾斜面330とを有し、第1傾斜面310,第2傾斜面320及び第3傾斜面330は、加熱ドラム14側から順に傾斜角が重力方向下方から斜め方向に変わるように連続して形成されている。
【0077】
ガイド部材210の第1傾斜面310は、案内面300の反対側面において最も加熱ドラム14に近く配置され、加熱ドラム14の滑面層39から離れるように傾斜しており、重力方向の略下方を向いている。第2傾斜面320は重力方向の斜め方向を向き、第3傾斜面330は略水平方向を向いている。
【0078】
第3傾斜面330の図9の右端部は案内面300のフィルムの出口30aと接近している。また、第3傾斜面330には、その途中に、溝状の液だまり部340が形成されている。液だまり部340の溝内面の表面粗さは、Ra=1μ以上、及び、Rz=10μ以上に形成されている。
【0079】
図9のガイド部材210によれば、加熱ドラム14直近に配置されたガイド部材210の案内面300と反対側の面を第1乃至第3傾斜面310,320,330から構成し、全体的に傾斜構造とすることで、熱現像部130でフィルムFを加熱することでガスが発生し、そのガスが凝集と再溶融を繰り返し固着物ができても、加熱ドラム14の滑面層39に近づくことがないため加熱ドラム14に損傷が発生するおそれはない。また、凝集・再溶融を繰り返すガスが液体となれば、第2傾斜面320,第3傾斜面330へと流れ、固着物が大きく成長し難いので、加熱ドラム14の滑面層39に損傷を与えない。
【0080】
図1の熱現像装置では、フィルムの現像処理のときフィルムから高級脂肪酸等のガス類が発生する一方、熱現像後で軟化状態のフィルムを、加熱ドラム14に近づけて配置した図9のガイド部材210で次工程の冷却搬送部150Aに安定して導くことができる。
【0081】
従来の金属材料から形成されているガイド部材は現像処理の停止後には冷め易く、フィルム等から脂肪酸等のガスが発生すると、そのガスが凝集し固着し易くなるとともに、再処理開始に伴い、一旦凝集したガスが再溶融し、大きな溜まりとなり、これを繰り返すと大きく成長し、ついには加熱ドラムと接触し、加熱ドラムに損傷を与えるおそれがあったのに対し、図9のガイド部材210によれば、案内面300の反対側面が加熱ドラム14の滑面層39から離れるように傾斜した傾斜構造を有しているので、第1傾斜面310等にたとえフィルムの現像処理で発生した脂肪酸等のガスが凝集し固着したとしても、加熱ドラム14に損傷を与えてしまうことはない。
【0082】
また、凝集・再溶融を繰り返すガスが液体となって第2傾斜面320,第3傾斜面330へと流れても、その液体が第3傾斜面330に設けた液だまり部340に溜まり、そこで所定量以上に成長しようとすると自身の重力により落下するので、ガイド部材210の清掃サイクルの延長を図ることができる。即ち、凝集した固着物による加熱ドラムの損傷防止のために固着物をアルコール等で清掃し除去するメンテナンス作業の必要性が低下し、好ましい。また、案内面300と反対側面は、第1乃至第3傾斜面310,320,330で傾斜していることからメンテナンスを行うことがあっても清掃し易く、作業を行い易い。
【0083】
また、案内面300の第2ガイド面22aは第1部材220の樹脂材料や不織布から断熱性に構成されるので、加熱されているフィルムFが急冷されない。このため、加熱され軟化したフィルムFが案内面300に付いて搬送の障害になるようなことはない。また、熱現像処理後に熱導伝性の第2部材230は急速に冷却され、周囲のガスが第2部材230に凝集し固着するので、ガスの付着場所が制御可能となり、上述の加熱ドラム14の損傷防止に効果的である。
【0084】
図9のように、フィルムFが、最も下流側に位置する対向ローラ16bと加熱ドラム14との間のニップ部50から加熱ドラム14の回転とともにでてくると、図9の実線のように、ガイド部材210の第1ガイド面23aに当接してから、フィルムFの先端Faが図9の破線のように第2ガイド面22a上を移動するようにその搬送方向を変えて進む。この後、フィルムFは、図5のように、回転するローラ対144aの間のニップ部に挟まれると、図5の破線のようにガイド部材210から離れ、図1の冷却搬送部150A内へと搬送される。
【0085】
上述の図5,図9におけるフィルムFの搬送過程において、熱現像部130におけるフィルムFの搬送速度V1,熱現像部130の下流側(搬送冷却部150Aにおける)におけるフィルムFの搬送速度V2との関係は、V1<V2が好ましく、フィルムFの安定な搬送が可能になる。
【0086】
また、熱現像部130において加熱ドラム14の滑面層39と対向ローラ16群とによるフィルムFに対する搬送力F5と、熱現像部130の下流側(搬送冷却部150Aにおける)におけるフィルムFに対する搬送力F6との関係は、F5>F6が好ましい。これにより、フィルムを安定して搬送できるとともに、フィルムが搬送冷却部150Aにおいてガラス転移点まで冷却される工程でフィルムに一定の張力を与えつつ、一定時間の熱現像時間を確保できることができるため、安定した画像としわやカールの無い仕上がり画質を得ることができる。
【0087】
更に、図9の実線のように、ガイド部材210の第1ガイド面23aに当接したときの搬送抵抗力F7は、熱現像部130におけるフィルムFに対する搬送力F5よりも小さいことが好ましく、100g以下であることが画像ムラの防止上好ましい。
【0088】
図14は、フィルムFがガイド部材210の第1ガイド面23aに当接したときに第1ガイド面23a側から受ける搬送抵抗力F7と、フィルムFの第1ガイド面23aにおける接触角度θとの関係を示す図である。
【0089】
図9のように、加熱ドラム14がガイド部材210の第1ガイド面23aに最も近接する点における加熱ドラム14上の接線tとフィルムFとがなす接触角度θは、フィルムFの搬送とともに変化するが、この接触角度θにより搬送抵抗力F7が図14のように変化する。従って、接触角度θは、図7から、搬送抵抗力F7が100g以下となる50度以下が好ましく、10度以上が好ましい。また、第1ガイド面23aにおいてフィルムFが接触する長さは5mm以下が好ましい。ガイド部材210は、接触角度θが10乃至50度となるように加熱ドラム14に対し配置される。
【0090】
また、接触角度θが50度以下であることで、ガイド部材210の配置の関係から小型化に寄与できるとともに、搬送抵抗が大きくなりすぎないので、フィルム先端における膜剥がれを抑制することができる。なお、この膜剥がれ抑制のためには、フィルムに対し潜像を形成するときにフィルム搬送方向の先端部分を2〜3mm未露光部を設け、乳剤と基体(ベース)との間の膜強度を上げることを併用すると更に良い。
【0091】
以上のように、熱現像部130の下流側においてフィルムの搬送の安定化を図ることができ、フィルム搬送軌跡が安定するため、熱現像プロセスに特有のカールや過剰冷却による濃度低下も抑制可能となる。
【0092】
また、ガイド部材210をアルミニウム押し出し加工と、不織布とで構成し、加熱ドラム14から離間するフィルム先端がまずアルミニウムの第1ガイド面23aに接触し案内され、このとき、高温状態の乳剤面が瞬時に冷却され膜強度がアップし、この後、加熱ドラム14の回転に伴い不織布からなる第2ガイド面22aで案内される。このアルミニウムの第1ガイド面23aでフィルムの先端を搬送する距離が5mmを越えるように長すぎると、過剰冷却で先端部のカール大となったり、フィルム断裁面近傍の膜剥がれを生じたりし、いきなり不織布で案内すると加熱ドラムから剥離した高温・軟化状態のフィルムの姿勢が安定せず、不織布のケバにフィルム両端が同時に接触するとは限らず、曲がりや3次元的な捻れを生じやすいが、着地点がアルミニウムからなる第1ガイド面23aであると、3次元的なねじれ発生を抑制できる。
【0093】
なお、上述のニップローラの搬送力は、14インチ幅のフィルムの先端部をニップローラに挟み、フィルムの後端部にバネばかり等を取り付け、ニップローラを駆動し、フィルムがスリップし始める時のバネはかりを読むようにして測定できる。搬送力100gとは、この時のバネはかりの値が100gである。また、加熱ドラムと対向ローラとによる搬送力も同様にして測定できる。
【0094】
また、フィルムの搬送抵抗に関しては、フィルムの後端をバネはかりで押すと、押し始めにはフィルムは移動しないが、バネ荷重を増していき、ある値より大きくなると、フィルム先端が移動し始めるが、この時のバネ荷重値を搬送抵抗力とする。
【0095】
以上のように本発明を実施の形態により説明したが、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば熱現像部130は、本実施の形態においては、露光部120と共に熱現像装置100に組み込まれているが、露光部120とは別個の構成であっても良い。かかる場合、露光部120から熱現像部130へとフィルムFを搬送する搬送部が必要となる。
【0096】
また、対向ローラの強制的な回転駆動手段は、歯車以外の構成であってもよく、例えば、加熱ドラムの回転が対向ローラに効率よく伝達するように加熱ドラムと対向ローラとの少なくとも一方の端部側に高摩擦係数を有する摩擦ローラ等を設ける構成としてもよい。
【0097】
【発明の効果】
本発明の熱現像装置によれば、熱現像感光材料を対向ローラとの間で挟んで搬送しながら加熱し現像する加熱ドラムがその表面にフッ素樹脂等のような滑面層を有し、対向ローラに反りが生じていた場合であっても、対向ローラを安定して回転させることができ、熱現像感光材料を安定して搬送でき、加熱ドラムからの熱供給を均一化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態による熱現像装置を概略的に示す正面図である。
【図2】図1の熱現像装置の左側面図である。
【図3】図1の露光部120の構成を示す概略図である。
【図4】図1の熱現像部130の斜視図である。
【図5】図4の構成をIV−IV線で切断して矢印方向に見た要部断面図である。
【図6】図4の構成を正面から見た図である。
【図7】本実施の形態におけるフィルムの断面図であり、レーザビームによる露光時におけるフィルム内の化学的反応を模式的に示した図である。
【図8】本実施の形態におけるフィルムの断面図であり、図7のような潜像の形成されたフィルムを加熱した時におけるフィルム内の化学的反応を模式的に示した図である。
【図9】図5の加熱ドラム14の下流側の近傍に配置されたガイド部材及び搬送ローラ対を示す要部正面図である。
【図10】フィルムが加熱ドラムの周囲で搬送中にスリップ等により熱現像時間が変化したときの仕上がり濃度の与える影響を概念的に示す図である。
【図11】加熱ドラム14と最も上流側の対向ローラ16aとの間のニップ部52におけるフィルムFに対する搬送力F1と、供給ローラ対143によるフィルムFの搬送力F2との関係を示す図である。
【図12】加熱ドラム14において対向ローラ16の付勢力fとフィルム搬送力F3との関係を示す図である。
【図13】フィルムFが加熱ドラム14において対向ローラ16から付勢力fを受けることで搬送力F3を受ける様子を模式的に示す図である。
【図14】フィルムFがガイド部材210の第1ガイド面23aに当接したときに第1ガイド面23a側から受ける搬送抵抗力F7と、フィルムFの第1ガイド面23aにおける接触角度θとの関係を示す図である。
【図15】加熱ドラム14及び対向ローラ16の端部を示す斜視図である。
【図16】図15の加熱ドラム14及び対向ローラ16の1本を矢印X方向に見た図である。
【図17】各対向ローラ16が反り(振れ)を有したときに予想される相対的濃度変動の曲線A,Bを示す図である。
【符号の説明】
100・・・熱現像装置
130・・・熱現像部
14・・・加熱ドラム
16・・・対向ローラ
28・・・コイルばね(付勢手段)
38・・・弾性層
39・・・滑面層
14a・・・加熱ドラム14の一端部に設けたギヤ歯(第1ギア部)
16a・・・各対向ローラ16の一端部に設けたギヤ歯(第2ギア部)
F・・・フィルム(熱現像感光材料)
Claims (7)
- 熱現像感光材料を加熱しかつ所定曲率を有し回転駆動される加熱ドラムと、前記加熱ドラムに対向するように配置された複数の対向ローラと、を含み、前記加熱ドラムが回転しながら前記熱現像感光材料を前記加熱ドラムと前記対向ローラとの間で搬送し現像する熱現像装置であって、
前記加熱ドラムは、前記所定曲率を有する基体と、前記基体の周囲に設けられた弾性層と、前記弾性層の外表面に形成された滑面層と、を有し、
前記対向ローラを前記加熱ドラムに付勢するための付勢手段と、
前記対向ローラを強制的に回転駆動するための回転駆動手段と、を具備することを特徴とする熱現像装置。 - 前記加熱ドラムの滑面層がフッ素樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱現像装置。
- 前記熱現像感光材料を前記滑面層に付勢する前記対向ローラのニップ力が0.06乃至1N/cmの範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱現像装置。
- 前記回転駆動手段が転位歯車を備えることを特徴とする請求項1,2または3に記載の熱現像装置。
- 前記回転駆動手段が、前記加熱ドラムに設けられた第1ギア部と、前記第1ギア部と噛み合うように前記対向ローラに設けられた第2ギア部と、を備え、
前記加熱ドラムの回転に伴い前記第1ギア部と前記第2ギア部とを介して前記対向ローラが回転することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱現像装置。 - 前記第1ギア部及び前記第2ギア部を前記加熱ドラムの軸線方向の一端側に設け、前記付勢手段を同じ前記一端側に設けたことを特徴とする請求項5に記載の熱現像装置。
- 前記第1ギア部及び前記第2ギア部を前記加熱ドラムの軸線方向の一端側に設け、前記付勢手段を前記軸線方向の両端側にそれぞれ設け、
前記軸線方向の一端側の付勢手段による付勢力を前記他端側よりも大きくすることを特徴とする請求項5に記載の熱現像装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002373842A JP2004205745A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | 熱現像装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002373842A JP2004205745A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | 熱現像装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004205745A true JP2004205745A (ja) | 2004-07-22 |
Family
ID=32812022
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002373842A Pending JP2004205745A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | 熱現像装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004205745A (ja) |
-
2002
- 2002-12-25 JP JP2002373842A patent/JP2004205745A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5754230B2 (ja) | 定着装置 | |
JPH07199703A (ja) | 加熱装置 | |
JP6218522B2 (ja) | 定着装置 | |
JP2008275755A (ja) | 加熱装置 | |
JP2004205745A (ja) | 熱現像装置 | |
JP2010107728A (ja) | 像加熱装置 | |
JP2004205740A (ja) | 熱現像装置 | |
JP3382403B2 (ja) | 定着装置 | |
JP2004205739A (ja) | 熱現像装置 | |
JP2004205744A (ja) | 熱現像装置 | |
JP2004205746A (ja) | 熱現像装置及び熱現像方法 | |
JP2000321744A (ja) | 熱現像装置 | |
JP2004333516A (ja) | 熱現像装置及び熱現像方法 | |
JP2004219526A (ja) | 熱現像装置 | |
JPH06348156A (ja) | 加熱装置 | |
JP2003076192A (ja) | 加熱定着装置 | |
JP2000292893A (ja) | 熱現像装置 | |
JP2003043657A (ja) | 熱現像装置及び熱現像装置の組立方法 | |
JP3724250B2 (ja) | 熱現像装置 | |
JP2000292902A (ja) | 熱現像装置 | |
JPH04305675A (ja) | 熱定着装置 | |
JP2005003890A (ja) | 熱現像装置 | |
JP2021189263A (ja) | 定着装置 | |
JP2000321746A (ja) | 画像形成装置 | |
JP2001242608A (ja) | 熱現像装置 |