JP2004333515A - 熱現像装置及び加熱ドラム - Google Patents
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Abstract
【課題】シート状のヒータを内周面に貼り付けて構成しても外周面における温度分布を均一化できる加熱ドラム及びこの加熱ドラムを備える熱現像装置を提供する。
【解決手段】この熱現像装置は、シート状のヒータ200が内周面に貼り付けられフィルムを加熱しながら搬送する加熱ドラム14を備え、内周面に貼り付けられたヒータの互いに対向する両端部21と31との間に形成されるヒータ断絶領域の面積に相当するヒータワット数に基づいてヒータのヒータ密度を両端部近傍で増加させている。
【選択図】 図6
【解決手段】この熱現像装置は、シート状のヒータ200が内周面に貼り付けられフィルムを加熱しながら搬送する加熱ドラム14を備え、内周面に貼り付けられたヒータの互いに対向する両端部21と31との間に形成されるヒータ断絶領域の面積に相当するヒータワット数に基づいてヒータのヒータ密度を両端部近傍で増加させている。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱現像感光材料を加熱し現像する熱現像装置及び熱現像装置に適用可能な加熱ドラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱現像感光材料に熱を供給する手段として加熱ドラムを使用している熱現像装置が公知であるが、かかる加熱ドラムの従来例を図12に示す。同図のように、面状ヒータ502を円筒状に丸めてアルミニウム製の素管501内に挿入し素管501の内面に貼り付け、また素管501の外面にゴム状の弾性体を焼き付けて弾性層を形成している。面状ヒータ502は1枚の矩形状のシートであり、それを素管501の内面に沿って接着剤で貼り付けると、面状ヒータ502の互いに対向する両端間に隙間500が形成され、この隙間500に対応して加熱ドラムの周方向に対してヒータ部が部分的に欠落する部分が生じる。これにより、熱現像感光材料のフィルムが密着し搬送させられる加熱ドラムのゴム弾性体層の表面上の温度分布に何らかの影響を与える。
【0003】
この温度分布は、加熱ドラムを構成する素管の厚さやゴム弾性体層の厚さが大きくなると小さくなるが、素管の厚さを厚くすると熱容量が大きくなるために加熱ドラムの昇温時間が遅くなったり、加熱ドラムの重量が重くなるなどの不都合が発生する。
【0004】
また、ゴム弾性体層を厚くすると熱伝達率に影響を及ぼすためにフィルムの熱現像特性に影響を及ぼす。また、周方向に温度分布が発生すると、加熱ドラムが回転するために、時間軸でみると周期的な温度変動となる。このような加熱ドラムにフィルムが連続的に挿入され、フィルムの挿入間隔による周期的な温度変動が同期し重なり合うと、さらに大きな温度分布となってしまい温度不均一による濃度むらが発生するおそれが生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題に鑑み、シート状のヒータを内周面に貼り付けて構成したときに外周面における温度分布を均一化できる加熱ドラム及びこの加熱ドラムを備える熱現像装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による熱現像装置は、シート状のヒータが内周面に貼り付けられるとともに熱現像感光材料を加熱しながら搬送する加熱ドラムを備える熱現像装置であって、前記内周面に貼り付けられた前記シート状のヒータの互いに対向する両端部の近傍にヒータ密度を増加したヒータ高密度部を設けたことを特徴とする。
【0007】
この熱現像装置によれば、シート状のヒータを加熱ドラムの内周面に貼り付けたとき、ヒータの互いに対向する両端部間で発熱部分が欠落してヒータ断絶領域が形成されても、各端部の近傍にヒータ高密度部を設けたので、両端部間でヒータの発熱部分が欠落することによる温度分布の発生を抑え、加熱ドラムの外周面における温度分布を均一化できる。従って、熱現像した熱現像感光材料において加熱ドラムの外周面の温度分布に起因した濃度むらの発生を抑えることができる。
【0008】
この場合、前記ヒータ高密度部は、前記シート状のヒータの互いに対向する両端部間に形成されるヒータ断絶領域の面積に相当するヒータワット数に基づいて前記ヒータのヒータ密度を増加させたものであることが好ましい。これにより、シート状のヒータの互いに対向する両端部間で発熱部分が欠落して形成されたヒータ断絶領域の面積に相当するヒータワット数に基づいてヒータ密度を両端部近傍で増加させるので、両端部間でヒータの発熱部分が欠落することによる温度分布の発生を効果的に抑え、加熱ドラムの外周面における温度分布を均一化できる。
【0009】
本発明による別の熱現像装置は、シート状のヒータが内周面に貼り付けられるとともに熱現像感光材料を加熱しながら搬送する加熱ドラムを備える熱現像装置であって、前記内周面に貼り付けられた前記シート状のヒータの互いに対向する各端部がその端部に沿って凹んだ凹部と突き出た凸部とを交互に備え、前記一方の端部の凸部が前記他方の端部の凹部に入り込むように配置されていることを特徴とする。
【0010】
この熱現像装置によれば、シート状のヒータを加熱ドラムの内周面に貼り付けたとき、ヒータの互いに対向する両端部間で発熱部分が欠落しても、ヒータの各端部に凹部と凸部とを交互に配置し、一方の端部の凸部が他方の端部の凹部に入り込むことでヒータ断絶領域が直線状にならないので、温度分布の発生を抑え、加熱ドラムの外周面における温度分布を均一化できる。従って、熱現像した熱現像感光材料において加熱ドラムの外周面の温度分布に起因した濃度むらの発生を抑えることができる。
【0011】
上記各熱現像装置において、前記シート状のヒータの互いに対向する各端部がその端部に沿って凹んだ凹部と突き出た凸部とを交互に備え、前記一方の端部の凸部が前記他方の端部の凹部に入り込むように配置されていることが好ましい。この場合、前記凸部内にもヒータが形成されていることが好ましい。
【0012】
また、前記ヒータは線状抵抗加熱体またはパターン状抵抗加熱体から構成された所定のヒータパターンを有することが好ましい。また、前記ヒータが耐熱性シートで被覆されることが好ましい。
【0013】
また、前記加熱ドラムは、その素管の材質をアルミニウムとし、外周面を耐熱性弾性体で被覆し、前記ヒータの温度を測定可能な温度センサを備えるように構成できる。
【0014】
本発明による加熱ドラムは、シート状のヒータが内周面に貼り付けられた加熱ドラムであって、前記内周面に貼り付けられた前記シート状のヒータの互いに対向する両端部の近傍にヒータ密度を増加したヒータ高密度部を設けたことを特徴とする。
【0015】
この加熱ドラムによれば、シート状のヒータを加熱ドラムの内周面に貼り付けたとき、ヒータの互いに対向する両端部間で発熱部分が欠落してヒータ断絶領域が形成されても、各端部の近傍にヒータ高密度部を設けたので、両端部間でヒータの発熱部分が欠落することによる温度分布の発生を抑え、加熱ドラムの外周面における温度分布を均一化できる。
【0016】
この場合、前記ヒータ高密度部は、前記シート状のヒータの互いに対向する両端部間に形成されるヒータ断絶領域の面積に相当するヒータワット数に基づいて前記ヒータのヒータ密度を増加させたものであることが好ましい。これにより、シート状のヒータの互いに対向する両端部間で発熱部分が欠落して形成されたヒータ断絶領域の面積に相当するヒータワット数に基づいてヒータ密度を両端部近傍で増加させるので、両端部間でヒータの発熱部分が欠落することによる温度分布の発生を効果的に抑え、加熱ドラムの外周面における温度分布を均一化できる。
【0017】
本発明による別の加熱ドラムは、シート状のヒータが内周面に貼り付けられた加熱ドラムであって、前記内周面に貼り付けられた前記シート状のヒータの互いに対向する各端部がその端部に沿って凹んだ凹部と突き出た凸部とを交互に備え、前記一方の端部の凸部が前記他方の端部の凹部に入り込むように配置されていることを特徴とする。
【0018】
この加熱ドラムによれば、シート状のヒータを加熱ドラムの内周面に貼り付けたとき、ヒータの互いに対向する両端部間で発熱部分が欠落しても、ヒータの各端部に凹部と凸部とを交互に配置し、一方の端部の凸部が他方の端部の凹部に入り込むことでヒータ断絶領域が直線状にならないので、温度分布の発生を抑え、加熱ドラムの外周面における温度分布を均一化できる。
【0019】
上記各加熱ドラムにおいて、前記シート状のヒータの互いに対向する各端部がその端部に沿って凹んだ凹部と突き出た凸部とを交互に備え、前記一方の端部の凸部が前記他方の端部の凹部に入り込むように配置されていることが好ましい。この場合、前記凸部内にもヒータが形成されていることが好ましい。
【0020】
また、前記ヒータは線状抵抗加熱体またはパターン状抵抗加熱体から構成された所定のヒータパターンを有することが好ましい。また、前記ヒータが耐熱性シートで被覆されることが好ましい。
【0021】
また、前記加熱ドラムは、その素管の材質をアルミニウムとし、外周面を耐熱性弾性体で被覆し、前記ヒータの温度を測定可能な温度センサを備えるように構成できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による実施の形態について図面を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態による熱現像装置を概略的に示す正面図であり、図2は図1の熱現像装置の左側面図である。
【0023】
図1、図2に示すように、熱現像装置100は、シート状の熱現像感光材料であるフィルムFを1枚ずつ給送する給送部110と、給送されたフィルムFを露光する露光部120と、露光されたフィルムFを現像する熱現像部130と、現像のため加熱されたフィルムFを冷却しながら搬送する冷却搬送部150と、を有している。
【0024】
図2において、給送部110は堆積された複数枚のフィルムFを収容するトレイTが上下二段に設けられている。各トレイTの前方端部側の上部には、フィルムFの前端部を吸着して上下動する吸着ユニット111が設けられている。また、吸着ユニット111の近傍には、吸着ユニット111により供給されたフィルムFを矢印(1)方向(水平方向)へ給送する給送ローラ対112が設けられている。また、吸着ユニット111は前後にも移動可能で吸着したフィルムFを給送ローラ対112へ運ぶことができる。そして、給送ローラ対112により給送されたフィルムFを垂直方向に搬送する複数の搬送ローラ対141が設けられている。これらの搬送ローラ対141により、フィルムFを図2の矢印(2)に示す方向(下方)に搬送する。
【0025】
熱現像装置100の下部には、搬送方向変換部145が設けられている。この搬送方向変換部145は、図1及び図2に示すように、搬送ローラ対141により図2の矢印(2)に示す鉛直方向下方に搬送されたフィルムFを矢印(3)で示すように水平方向に搬送し、次いで、搬送方向を矢印(3)から矢印(4)へ直角に変換して搬送し次いで、搬送方向を変換され搬送されたフィルムFを図1の矢印(5)に示す鉛直方向上方に搬送方向を変えて搬送する。
【0026】
そして、図1に示すように、搬送方向変換部145から搬送されたフィルムFを図1の矢印(6)で示す鉛直方向上方に搬送する複数の搬送ローラ対142が設けられ、フィルムFを熱現像装置100の左側面から図1の矢印(6)で示す鉛直方向上方に搬送する。
【0027】
上述の鉛直方向上方への搬送途中で、露光部120は、フィルムFの感光面を赤外域の波長780〜860nmの範囲内のレーザ光Lで走査しながら露光し、露光画像信号に応じた潜像を形成させる。
【0028】
熱現像装置100の装置の上部には熱現像部130が設けられ、熱現像部130の加熱ドラム14の近傍には、搬送ローラ対142で図1の矢印(6)に示す鉛直方向上方に搬送されたフィルムFを加熱ドラム14へ供給する供給ローラ対143が設けられている。加熱ドラム14へフィルムFを供給するタイミングは、成り行きによるランダムなタイミングで供給する。
【0029】
なお、ランダムなタイミングによる供給の代わりに、タイミングを図って供給してもよい。タイミングを図って供給する例としては、供給ローラ対143が、加熱ドラム14の周上の次の被供給位置が所定回転位置に到達するまで停止し、加熱ドラム14の周上の次の被供給位置が所定回転位置に到達した時点で回転するようにしても良い。すなわち、供給ローラ対143の回転を制御することにより、加熱ドラム14の所定の被供給位置に、フィルムFを供給するようにしてもよい。
【0030】
熱現像部130の加熱ドラム14は、加熱ドラム14の外周面と複数の案内ローラ16との間でフィルムFが加熱ドラム14の外周面に密着した状態で、図1の矢印(7)に示す方向に共に回転しながら、加熱ドラム14がフィルムFを加熱し熱現像することでフィルムFの潜像を可視画像に形成する。その後、図1の加熱ドラム14に対し右方まで回転したときに、加熱ドラム14からフィルムFを離す。
【0031】
熱現像部130の右側方の冷却搬送部150には、複数の搬送ローラ対144が設けられており、加熱ドラム14から離れたフィルムFを、ガイド部材(図示省略)がその案内面で案内し、搬送ローラ対144が図1の矢印(8)に示すように右斜め下方に搬送しつつ、冷却する。そして、搬送ローラ対144が冷却されたフィルムFを搬送しつつ、濃度計118がフィルムFの濃度を測定する。その後、複数の搬送ローラ対144は、加熱ドラム14から離れたフィルムFを図1の矢印(9)に示すように水平方向に搬送し、熱現像装置100の上部から取り出せるように、熱現像装置100の右上方部に設けられた排出トレイ160に排出する。
【0032】
熱現像部130について更に説明すると、図1、図2に示すように、熱現像部130は、回転軸17a、17bを中心として回転しフィルムFの熱現像に供する加熱ドラム14と、加熱ドラム14の外周に沿うようにほぼ等間隔で配設され、所定の圧接力で加熱ドラム14の外周面にフィルムFを圧接させ、フィルムFの搬送に供する複数の案内ローラ16と、を備える。
【0033】
加熱ドラム14は、中空円筒状のドラム部19の内周面に貼り付けられたシート状のヒータ20を備え、また、ドラム部19の外周面14aに一例として0.1〜2mm程度の厚さの弾性層19a(図11)を形成することによって構成されている。
【0034】
また、案内ローラ16は熱伝導率の大きな材料、例えばアルミニウム、真鍮、ステンレス鋼等の金属製が好ましく、このような構成とすることにより加熱ドラム14の熱はこれに圧接されている案内ローラ16の存在によって回転軸17a、17b方向でも均一となる。また、加熱ドラム14はアルミニウムからなるが、真鍮、ステンレス鋼等の他の金属から構成してもよい。
【0035】
次に、加熱ローラ14のヒータ20の第1の構成について図3及び図4を参照して説明する。図3は図1の加熱ドラム14のためのシート状のヒータの一例を示す平面図であり、図4は図1の加熱ドラムの内面に貼り付けた図3のヒータをその外面に位置するドラム部19を省略して示す斜視図である。
【0036】
図3に示すシート状のヒータ20は、矩形状の耐熱性樹脂シートの上に、パターン状の抵抗加熱体をエッチング等により所定のヒータパターンに形成されたものである。即ち、ヒータ20は、図3の縦方向略左半分に形成された矩形状の第1のヒータパターン29と、略右半分に形成された矩形状の第2のヒータパターン30と、左側端に細長く形成された第3のヒータパターン39と、右側端に細長く形成された第4のヒータパターン40と、を備える。
【0037】
図3のように、上側にあるヒータ20の一端部21には、この一端部21に沿って突き出た凸部22,24,26,28と、凹んだ凹部23,25,27と、が交互に形成されている。即ち、図3の左から順に、凸部22、凹部23、凸部24、凹部25、凸部26、凹部27、凸部28が形成されている。
【0038】
下側にあるヒータ20の他端部31には、この他端部31に沿って凹んだ凹部32,34,36,38と、突き出た凸部33,35,37と、が交互に形成されている。即ち、図3の左から順に、凹部32、凸部33、凹部34、凸部35、凹部36、凸部37、凹部38が形成されている。
【0039】
図3のように、一端部21及び他端部31の各凸部22,24,26,28及び33,35,37内にもヒータパターンが形成され、各凸部が発熱するようになっている。
【0040】
図4に示すように、図3のシート状のヒータ20を丸めて図4のようにドラム部19(図1)の内周面に貼り付けると、一端部21側の各凸部が他端部31の各凹部に入り込むように位置するとともに、他端部31側の各凸部が一端部21の各凹部に入り込むように位置する。
【0041】
即ち、一端部21側の凸部22,24,26,28が他端部31側の凹部32,34,36,38にそれぞれ入り込み、また、他端部31側の凸部33,35,37が一端部21側の凹部23,25,27にそれぞれ入り込む。
【0042】
図4のように、加熱ドラム14は、ドラム部19(図1)の両端に設けられたフランジ部17c、17dと、フランジ部17c、17dから突き出るように設けられた回転軸17a、17bと、を備える。
【0043】
また、図11の加熱ドラムの断面図に示すように、上記シート状のヒータ20がドラム部19の内周面に接着剤層41を介して貼り付けられており、そのヒータ20を例えば、
等の耐熱性シートからなる層42で被覆している。
【0044】
図1の加熱ドラム14は、各ヒータパターン29、30,39,40の他端部31側に設けられた各端子部29c,30c,39c,40cに接続されたリード線等を通して加熱ドラム14の外部電源(図示省略)から各ヒータパターン29,30,39,40に公知の手段で通電される。
【0045】
図4の破線で示すように、加熱ドラム14のドラム部19(図1)の回転軸方向の一端には温度センサ14bが設けられ、温度センサ14bの温度測定結果に基づいて加熱ドラム14の温度が一定に維持されるようにヒータ20への通電量を制御する。ヒータ20が通電により発熱することで、加熱ドラム14が一定温度まで昇温し、その外周面14aと案内ローラ16との間にフィルムFを挟んで搬送しながら加熱する。
【0046】
図4のように、シート状のヒータ20をドラム部19(図1)の内周面に貼り付けると、互いに対向する一端部21と他端部31との間に隙間が形成され、この隙間のためにヒータパターンが断絶する領域が生じ、両端部21と31との間でヒータ発熱部分が欠落するが、一端部21の各凸部が他端部31の凹部内に位置しかつ他端部31の各凸部が一端部21の凹部内に位置するのでヒータ断絶領域が直線状にならずに、かつ各凸部が発熱することで、加熱ドラム14の円周方向における温度分布の発生を抑えることができ、加熱ドラム14の外周面14aにおける温度分布を従来よりも均一化できる。従って、加熱ドラム14で熱現像したフィルムに加熱ドラム14の外周面14aの温度分布に起因した濃度むらの発生を抑えることができる。
【0047】
次に、加熱ローラ14のヒータ20の第2の構成について図5及び図6を参照して説明する。図5は図1の加熱ドラム14のためのシート状のヒータの別の例を示す平面図であり、図6は図1の加熱ドラムの内面に貼り付けた図5のヒータをその外面に位置するドラム部19を省略して示す斜視図である。
【0048】
図5に示すシート状のヒータ200は、図3のシート状のヒータ20と同様の構成であるが、一端部21及び他端部31近傍のヒータパターンにおけるヒータ密度を増やし、ヒータ断絶領域における発熱部分の欠落を積極的に補うようにしたものである。
【0049】
即ち、図5にように、シート状のヒータ200の第1のヒータパターン29は、一端部21側でヒータパターンのヒータ密度を増やしたヒータ高密度部29aと、他端部31側でヒータパターンのヒータ密度を増やしたヒータ高密度部29bとを有する。同じく、第2のヒータパターン30は、一端部21側にヒータ高密度部30aと、他端部31側にヒータ高密度部30bとを有する。
【0050】
同様にして、第3のヒータパターン39及び第4のヒータパターン40は、それぞれ一端部21側にヒータ高密度部39a,40aと、他端部31側にヒータ高密度部39b、40bとを有する。なお、上記各ヒータ高密度部を含む第1乃至第4のヒータパターン29、30,39,40はエッチングにより形成することができる。
【0051】
図5のように、一端部21側では、凸部22,24,26,28を含んで図5の縦方向の所定の範囲内で各ヒータ高密度部29a,30a,39a,40aがが形成されている。同様に、他端部31側では、凸部33,35,37を含んで図5の縦方向の所定の範囲内で各ヒータ高密度部29b,30b,39b,40bが形成されている。
【0052】
図6のように、図5のシート状ヒータ200を丸めてドラム部19(図1)の内周面に貼り付けると、互いに対向する一端部21と他端部31との間には隙間が形成され、この隙間のためにヒータパターンの断絶領域が生じ、両端部21と31との間でヒータ発熱部分が欠落するが、このヒータ断絶領域の面積に相当するヒータワット数に基づいて各ヒータ高密度部29a,30a,39a,40a及び29b,30b,39b,40bのヒータ密度を増加させている。
【0053】
また、加熱ドラム14は、各ヒータパターン29,39,40に設けられた各端子部29d,39d,40dに接続されたリード線等を通して加熱ドラム14の外部電源(図示省略)から各ヒータパターン29,30,39,40に公知の手段で通電される。図6の破線のように、図4と同様に温度センサ14bが設けられ、温度センサ14bの温度測定結果に基づいて加熱ドラム14の温度が一定に維持されるようにヒータ200への通電量を制御する。ヒータ200が通電により発熱することで、加熱ドラム14が一定温度まで昇温し、その外周面14aと案内ローラ16との間にフィルムFを挟んで搬送しながら加熱する。
【0054】
以上のように、図5のシート状のヒータ200をドラム部の内周面に貼り付けて加熱ドラム14を構成したとき、互いに対向する一端部21と他端部31との間で発熱部分が欠落してヒータ断絶領域が形成されるが、そのヒータ断絶領域の面積に相当するヒータワット数に基づいてヒータ密度を両端部21,31の近傍の図6のハッチングで示す領域において増加させるので、ヒータ200の両端部21,31においてヒータ発熱部分の欠落のために減少した分の発熱量を補うことができる。
【0055】
上述のようにして、加熱ドラム14の円周方向における温度分布の発生を効率的に抑えることができ、加熱ドラム14の外周面14aにおける温度分布を図3,図4の場合よりも更に均一化できる。従って、加熱ドラム14で熱現像したフィルムに加熱ドラム14の外周面14aの温度分布に起因した濃度むらの発生をより効果的に抑えることができる。
【0056】
以上のように、本実施の形態によれば、加熱ドラム14の円周方向における温度分布を均一化できるので、加熱ドラム14を構成する素管の厚さや外周面14aのゴム弾性体層の厚さを増やす必要はなく、このため熱容量が大きくなり加熱ドラムの昇温時間が遅くなったり加熱ドラムの重量が重くなるような問題は起きない。また、ゴム弾性体層を厚くすることによるフィルムの熱現像特性への影響も生じない。
【0057】
また、円周方向に温度分布が発生した加熱ドラムが回転すると周期的な温度変動が生じ、かかる加熱ドラムにフィルムが連続的に挿入され、フィルムの挿入間隔による周期的な温度変動が同期し重なり合うと、さらに大きな温度分布となってしまい温度不均一による濃度むらが発生するおそれが生じるのであるが、本実施の形態の加熱ドラム14では、円周方向の温度分布の発生を抑えているので、かかる濃度むらの発生を抑えることができる。
【0058】
次に、上述のフィルムFにおける露光部120による潜像形成及び現像部130による熱現像(可視像化)について図7、図8により説明する。図7は、本実施の形態におけるフィルムFの断面図であり、上述のような露光時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した図である。
【0059】
フィルムFは、PETからなる支持体(基層)上に、ポリビニルブチラールを主材とする感光層が形成され、更に、その上にセルロースブチレートからなる保護層が形成されている。感光層には、感光性ハロゲン粒子と、有機酸銀であるベヘン酸銀(Beh.Ag)と、銀イオン還元剤とを含有し、現像性の向上と最大濃度の向上と銀画像色調の向上のために、調色剤が配合されている。露光部120からレーザビームLがフィルムFに対して照射されると、図7に示すように、レーザビームLが照射された領域に、ハロゲン化銀粒子が感光し、潜像が形成される。
【0060】
潜像の形成されたフィルムFは、次に、図1のように、矢印方向(6)へ複数の搬送ローラ対142,143により熱現像部130内へと搬送され、ヒータ20により加熱された加熱ドラム14と複数の案内ローラ16との間に挟まれて加熱ドラム14の外周面に密着した状態で加熱ドラム14及び案内ローラ16の回転により搬送されながら115℃以上135℃以下の所定温度で加熱され熱現像され、次に、冷却搬送部150を通って排出トレイ160へ排出される。
【0061】
図8は、上述の現像部130における加熱時のフィルムF内の化学的反応を模式的に示した、図7と同様な断面図である。フィルムFは、40℃以下の温度では実質的に熱現像されないが、上述のようにフィルムFを最低現像温度以上の現像温度に加熱すると、熱現像される。これは、図8に示すように、ベヘン酸銀から銀イオン(Ag+)が放出され、銀イオンを放出したべヘン酸は、調色剤と錯体を形成して、銀イオンの拡散能力が高くなり、感光したハロゲン化銀粒子まで拡散し、感光したハロゲン化銀粒子を核として還元剤が作用し、化学的反応により銀画像が形成されるからと思われる。
【0062】
次に、本発明を実施例及び比較例により更に説明する。実施例として図5,図6のヒータ200及び加熱ドラム14を図1,図2に適用した熱現像装置を製造し、この熱現像装置においてフィルム40枚を連続的に現像処理したときの加熱ドラム14の外周面14aの温度測定を温度センサを配置して行った。温度測定は、図6に示すように、図の左端側位置(a)、左中間位置(b)、中央位置(c)、右中間位置(d)、右端側位置(e)の回転軸方向にほぼ等間隔に離れた5箇所で行った。その結果を各測定位置(a)乃至(e)と対応させて図9(a)乃至(e)に示す。
【0063】
また、比較例として従来の図12のヒータ502を用いた以外は同様の構成の熱現像装置を製造し、同様にフィルムを連続的に現像処理したときの加熱ドラムの外周面の温度測定を図6と同じようにして行った。その結果を図10(a)乃至(e)に示す。
【0064】
図9,図10から各フィルムの搬送及び現像処理に対応してドラム温度が周期的に変動していることが分かるが、その温度変動の幅は、全ての測定位置(a)乃至(e)で比較例よりも実施例の方が少ないことが分かる。これは、比較例では、加熱ドラムの円周方向に発生した温度分布に加え、加熱ドラムにフィルムが連続的に挿入され、フィルムの挿入間隔による周期的な温度変動が同期し重なり合って大きな温度分布を生じたからと考えられるのに対し、本実施の形態の加熱ドラム14では、円周方向の温度分布の発生を抑えているので、フィルムの挿入間隔による周期的な温度変動があっても加熱ドラム14の円周方向における温度変化を抑えることができたためと考えられる。
【0065】
以上のように本発明を実施の形態及び実施例により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、図5,図6では、ヒータをドラム部の内周面に貼り付けたときに、互いに対向する一端部21と他端部31に凸部と凹部とをそれぞれ交互に形成したが、特に凸部と凹部を形成せずに直線状の一端部21及び他端部31の各近傍にヒータ高密度部を設けてもよい。
【0066】
また、各ヒータ高密度部は、ヒータ密度を端から内部へと密から粗へと変化させるようにしてもよい。即ち、両端部の最も端側を密なヒータ密度にヒータパターンを形成し、内部に入るに従い比較的粗いヒータ密度にヒータパターンを形成するようにしてもよい。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、シート状のヒータを内周面に貼り付けて構成したときに外周面における温度分布を均一化できる加熱ドラム及びこの加熱ドラムを備える熱現像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態による熱現像装置を概略的に示す正面図である。
【図2】図1の熱現像装置の左側面図である。
【図3】図1の加熱ドラム14のためのシート状のヒータの一例を示す平面図である。
【図4】図1の加熱ドラムの内面に貼り付けた図3のヒータをその外面に位置するドラム部19を省略して示す斜視図である。
【図5】図1の加熱ドラム14のためのシート状のヒータの別の例を示す平面図である。
【図6】図1の加熱ドラムの内面に貼り付けた図5のヒータをその外面に位置するドラム部19を省略して示す斜視図である。
【図7】本実施の形態におけるフィルムの断面図であり、レーザビームによる露光時におけるフィルム内の化学的反応を模式的に示した図である。
【図8】本実施の形態におけるフィルムの断面図であり、図7のような潜像の形成されたフィルムを加熱した時におけるフィルム内の化学的反応を模式的に示した図である。
【図9】本実施例において加熱ドラム14の外周面14aの図6に示す測定位置(a)乃至(e)で行った温度測定結果を示す図である。
【図10】本比較例において加熱ドラムの外周面の図9と同じ測定位置(a)乃至(e)で行った温度測定結果を示す図である。
【図11】図1の加熱ドラム14の縦断面の一部を示す断面図である。
【図12】従来の加熱ドラム及びヒータを示す斜視図である。
【符号の説明】
100・・・熱現像装置
130・・・現像部
14・・・加熱ドラム
14a・・・外周面
14b・・・温度センサ
19・・・ドラム部
20、200・・・シート状のヒータ
21・・・ヒータの一端部
31・・・ヒータの他端部
22,24,26,28・・・一端部21側の凸部
23,25,27・・・一端部21側の凹部
32,34,36,38・・・他端部31側の凹部
33,35,37・・・他端部31側の凸部
29・・・第1のヒータパターン
29a、29b・・・ヒータ高密度部
30・・・第2のヒータパターン
30a、30b・・・ヒータ高密度部
39・・・第3のヒータパターン
39a、39b・・・ヒータ高密度部
40・・・第4のヒータパターン
40a、40b・・・ヒータ高密度部
F・・・フィルム(熱現像感光材料)
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱現像感光材料を加熱し現像する熱現像装置及び熱現像装置に適用可能な加熱ドラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱現像感光材料に熱を供給する手段として加熱ドラムを使用している熱現像装置が公知であるが、かかる加熱ドラムの従来例を図12に示す。同図のように、面状ヒータ502を円筒状に丸めてアルミニウム製の素管501内に挿入し素管501の内面に貼り付け、また素管501の外面にゴム状の弾性体を焼き付けて弾性層を形成している。面状ヒータ502は1枚の矩形状のシートであり、それを素管501の内面に沿って接着剤で貼り付けると、面状ヒータ502の互いに対向する両端間に隙間500が形成され、この隙間500に対応して加熱ドラムの周方向に対してヒータ部が部分的に欠落する部分が生じる。これにより、熱現像感光材料のフィルムが密着し搬送させられる加熱ドラムのゴム弾性体層の表面上の温度分布に何らかの影響を与える。
【0003】
この温度分布は、加熱ドラムを構成する素管の厚さやゴム弾性体層の厚さが大きくなると小さくなるが、素管の厚さを厚くすると熱容量が大きくなるために加熱ドラムの昇温時間が遅くなったり、加熱ドラムの重量が重くなるなどの不都合が発生する。
【0004】
また、ゴム弾性体層を厚くすると熱伝達率に影響を及ぼすためにフィルムの熱現像特性に影響を及ぼす。また、周方向に温度分布が発生すると、加熱ドラムが回転するために、時間軸でみると周期的な温度変動となる。このような加熱ドラムにフィルムが連続的に挿入され、フィルムの挿入間隔による周期的な温度変動が同期し重なり合うと、さらに大きな温度分布となってしまい温度不均一による濃度むらが発生するおそれが生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題に鑑み、シート状のヒータを内周面に貼り付けて構成したときに外周面における温度分布を均一化できる加熱ドラム及びこの加熱ドラムを備える熱現像装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による熱現像装置は、シート状のヒータが内周面に貼り付けられるとともに熱現像感光材料を加熱しながら搬送する加熱ドラムを備える熱現像装置であって、前記内周面に貼り付けられた前記シート状のヒータの互いに対向する両端部の近傍にヒータ密度を増加したヒータ高密度部を設けたことを特徴とする。
【0007】
この熱現像装置によれば、シート状のヒータを加熱ドラムの内周面に貼り付けたとき、ヒータの互いに対向する両端部間で発熱部分が欠落してヒータ断絶領域が形成されても、各端部の近傍にヒータ高密度部を設けたので、両端部間でヒータの発熱部分が欠落することによる温度分布の発生を抑え、加熱ドラムの外周面における温度分布を均一化できる。従って、熱現像した熱現像感光材料において加熱ドラムの外周面の温度分布に起因した濃度むらの発生を抑えることができる。
【0008】
この場合、前記ヒータ高密度部は、前記シート状のヒータの互いに対向する両端部間に形成されるヒータ断絶領域の面積に相当するヒータワット数に基づいて前記ヒータのヒータ密度を増加させたものであることが好ましい。これにより、シート状のヒータの互いに対向する両端部間で発熱部分が欠落して形成されたヒータ断絶領域の面積に相当するヒータワット数に基づいてヒータ密度を両端部近傍で増加させるので、両端部間でヒータの発熱部分が欠落することによる温度分布の発生を効果的に抑え、加熱ドラムの外周面における温度分布を均一化できる。
【0009】
本発明による別の熱現像装置は、シート状のヒータが内周面に貼り付けられるとともに熱現像感光材料を加熱しながら搬送する加熱ドラムを備える熱現像装置であって、前記内周面に貼り付けられた前記シート状のヒータの互いに対向する各端部がその端部に沿って凹んだ凹部と突き出た凸部とを交互に備え、前記一方の端部の凸部が前記他方の端部の凹部に入り込むように配置されていることを特徴とする。
【0010】
この熱現像装置によれば、シート状のヒータを加熱ドラムの内周面に貼り付けたとき、ヒータの互いに対向する両端部間で発熱部分が欠落しても、ヒータの各端部に凹部と凸部とを交互に配置し、一方の端部の凸部が他方の端部の凹部に入り込むことでヒータ断絶領域が直線状にならないので、温度分布の発生を抑え、加熱ドラムの外周面における温度分布を均一化できる。従って、熱現像した熱現像感光材料において加熱ドラムの外周面の温度分布に起因した濃度むらの発生を抑えることができる。
【0011】
上記各熱現像装置において、前記シート状のヒータの互いに対向する各端部がその端部に沿って凹んだ凹部と突き出た凸部とを交互に備え、前記一方の端部の凸部が前記他方の端部の凹部に入り込むように配置されていることが好ましい。この場合、前記凸部内にもヒータが形成されていることが好ましい。
【0012】
また、前記ヒータは線状抵抗加熱体またはパターン状抵抗加熱体から構成された所定のヒータパターンを有することが好ましい。また、前記ヒータが耐熱性シートで被覆されることが好ましい。
【0013】
また、前記加熱ドラムは、その素管の材質をアルミニウムとし、外周面を耐熱性弾性体で被覆し、前記ヒータの温度を測定可能な温度センサを備えるように構成できる。
【0014】
本発明による加熱ドラムは、シート状のヒータが内周面に貼り付けられた加熱ドラムであって、前記内周面に貼り付けられた前記シート状のヒータの互いに対向する両端部の近傍にヒータ密度を増加したヒータ高密度部を設けたことを特徴とする。
【0015】
この加熱ドラムによれば、シート状のヒータを加熱ドラムの内周面に貼り付けたとき、ヒータの互いに対向する両端部間で発熱部分が欠落してヒータ断絶領域が形成されても、各端部の近傍にヒータ高密度部を設けたので、両端部間でヒータの発熱部分が欠落することによる温度分布の発生を抑え、加熱ドラムの外周面における温度分布を均一化できる。
【0016】
この場合、前記ヒータ高密度部は、前記シート状のヒータの互いに対向する両端部間に形成されるヒータ断絶領域の面積に相当するヒータワット数に基づいて前記ヒータのヒータ密度を増加させたものであることが好ましい。これにより、シート状のヒータの互いに対向する両端部間で発熱部分が欠落して形成されたヒータ断絶領域の面積に相当するヒータワット数に基づいてヒータ密度を両端部近傍で増加させるので、両端部間でヒータの発熱部分が欠落することによる温度分布の発生を効果的に抑え、加熱ドラムの外周面における温度分布を均一化できる。
【0017】
本発明による別の加熱ドラムは、シート状のヒータが内周面に貼り付けられた加熱ドラムであって、前記内周面に貼り付けられた前記シート状のヒータの互いに対向する各端部がその端部に沿って凹んだ凹部と突き出た凸部とを交互に備え、前記一方の端部の凸部が前記他方の端部の凹部に入り込むように配置されていることを特徴とする。
【0018】
この加熱ドラムによれば、シート状のヒータを加熱ドラムの内周面に貼り付けたとき、ヒータの互いに対向する両端部間で発熱部分が欠落しても、ヒータの各端部に凹部と凸部とを交互に配置し、一方の端部の凸部が他方の端部の凹部に入り込むことでヒータ断絶領域が直線状にならないので、温度分布の発生を抑え、加熱ドラムの外周面における温度分布を均一化できる。
【0019】
上記各加熱ドラムにおいて、前記シート状のヒータの互いに対向する各端部がその端部に沿って凹んだ凹部と突き出た凸部とを交互に備え、前記一方の端部の凸部が前記他方の端部の凹部に入り込むように配置されていることが好ましい。この場合、前記凸部内にもヒータが形成されていることが好ましい。
【0020】
また、前記ヒータは線状抵抗加熱体またはパターン状抵抗加熱体から構成された所定のヒータパターンを有することが好ましい。また、前記ヒータが耐熱性シートで被覆されることが好ましい。
【0021】
また、前記加熱ドラムは、その素管の材質をアルミニウムとし、外周面を耐熱性弾性体で被覆し、前記ヒータの温度を測定可能な温度センサを備えるように構成できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による実施の形態について図面を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態による熱現像装置を概略的に示す正面図であり、図2は図1の熱現像装置の左側面図である。
【0023】
図1、図2に示すように、熱現像装置100は、シート状の熱現像感光材料であるフィルムFを1枚ずつ給送する給送部110と、給送されたフィルムFを露光する露光部120と、露光されたフィルムFを現像する熱現像部130と、現像のため加熱されたフィルムFを冷却しながら搬送する冷却搬送部150と、を有している。
【0024】
図2において、給送部110は堆積された複数枚のフィルムFを収容するトレイTが上下二段に設けられている。各トレイTの前方端部側の上部には、フィルムFの前端部を吸着して上下動する吸着ユニット111が設けられている。また、吸着ユニット111の近傍には、吸着ユニット111により供給されたフィルムFを矢印(1)方向(水平方向)へ給送する給送ローラ対112が設けられている。また、吸着ユニット111は前後にも移動可能で吸着したフィルムFを給送ローラ対112へ運ぶことができる。そして、給送ローラ対112により給送されたフィルムFを垂直方向に搬送する複数の搬送ローラ対141が設けられている。これらの搬送ローラ対141により、フィルムFを図2の矢印(2)に示す方向(下方)に搬送する。
【0025】
熱現像装置100の下部には、搬送方向変換部145が設けられている。この搬送方向変換部145は、図1及び図2に示すように、搬送ローラ対141により図2の矢印(2)に示す鉛直方向下方に搬送されたフィルムFを矢印(3)で示すように水平方向に搬送し、次いで、搬送方向を矢印(3)から矢印(4)へ直角に変換して搬送し次いで、搬送方向を変換され搬送されたフィルムFを図1の矢印(5)に示す鉛直方向上方に搬送方向を変えて搬送する。
【0026】
そして、図1に示すように、搬送方向変換部145から搬送されたフィルムFを図1の矢印(6)で示す鉛直方向上方に搬送する複数の搬送ローラ対142が設けられ、フィルムFを熱現像装置100の左側面から図1の矢印(6)で示す鉛直方向上方に搬送する。
【0027】
上述の鉛直方向上方への搬送途中で、露光部120は、フィルムFの感光面を赤外域の波長780〜860nmの範囲内のレーザ光Lで走査しながら露光し、露光画像信号に応じた潜像を形成させる。
【0028】
熱現像装置100の装置の上部には熱現像部130が設けられ、熱現像部130の加熱ドラム14の近傍には、搬送ローラ対142で図1の矢印(6)に示す鉛直方向上方に搬送されたフィルムFを加熱ドラム14へ供給する供給ローラ対143が設けられている。加熱ドラム14へフィルムFを供給するタイミングは、成り行きによるランダムなタイミングで供給する。
【0029】
なお、ランダムなタイミングによる供給の代わりに、タイミングを図って供給してもよい。タイミングを図って供給する例としては、供給ローラ対143が、加熱ドラム14の周上の次の被供給位置が所定回転位置に到達するまで停止し、加熱ドラム14の周上の次の被供給位置が所定回転位置に到達した時点で回転するようにしても良い。すなわち、供給ローラ対143の回転を制御することにより、加熱ドラム14の所定の被供給位置に、フィルムFを供給するようにしてもよい。
【0030】
熱現像部130の加熱ドラム14は、加熱ドラム14の外周面と複数の案内ローラ16との間でフィルムFが加熱ドラム14の外周面に密着した状態で、図1の矢印(7)に示す方向に共に回転しながら、加熱ドラム14がフィルムFを加熱し熱現像することでフィルムFの潜像を可視画像に形成する。その後、図1の加熱ドラム14に対し右方まで回転したときに、加熱ドラム14からフィルムFを離す。
【0031】
熱現像部130の右側方の冷却搬送部150には、複数の搬送ローラ対144が設けられており、加熱ドラム14から離れたフィルムFを、ガイド部材(図示省略)がその案内面で案内し、搬送ローラ対144が図1の矢印(8)に示すように右斜め下方に搬送しつつ、冷却する。そして、搬送ローラ対144が冷却されたフィルムFを搬送しつつ、濃度計118がフィルムFの濃度を測定する。その後、複数の搬送ローラ対144は、加熱ドラム14から離れたフィルムFを図1の矢印(9)に示すように水平方向に搬送し、熱現像装置100の上部から取り出せるように、熱現像装置100の右上方部に設けられた排出トレイ160に排出する。
【0032】
熱現像部130について更に説明すると、図1、図2に示すように、熱現像部130は、回転軸17a、17bを中心として回転しフィルムFの熱現像に供する加熱ドラム14と、加熱ドラム14の外周に沿うようにほぼ等間隔で配設され、所定の圧接力で加熱ドラム14の外周面にフィルムFを圧接させ、フィルムFの搬送に供する複数の案内ローラ16と、を備える。
【0033】
加熱ドラム14は、中空円筒状のドラム部19の内周面に貼り付けられたシート状のヒータ20を備え、また、ドラム部19の外周面14aに一例として0.1〜2mm程度の厚さの弾性層19a(図11)を形成することによって構成されている。
【0034】
また、案内ローラ16は熱伝導率の大きな材料、例えばアルミニウム、真鍮、ステンレス鋼等の金属製が好ましく、このような構成とすることにより加熱ドラム14の熱はこれに圧接されている案内ローラ16の存在によって回転軸17a、17b方向でも均一となる。また、加熱ドラム14はアルミニウムからなるが、真鍮、ステンレス鋼等の他の金属から構成してもよい。
【0035】
次に、加熱ローラ14のヒータ20の第1の構成について図3及び図4を参照して説明する。図3は図1の加熱ドラム14のためのシート状のヒータの一例を示す平面図であり、図4は図1の加熱ドラムの内面に貼り付けた図3のヒータをその外面に位置するドラム部19を省略して示す斜視図である。
【0036】
図3に示すシート状のヒータ20は、矩形状の耐熱性樹脂シートの上に、パターン状の抵抗加熱体をエッチング等により所定のヒータパターンに形成されたものである。即ち、ヒータ20は、図3の縦方向略左半分に形成された矩形状の第1のヒータパターン29と、略右半分に形成された矩形状の第2のヒータパターン30と、左側端に細長く形成された第3のヒータパターン39と、右側端に細長く形成された第4のヒータパターン40と、を備える。
【0037】
図3のように、上側にあるヒータ20の一端部21には、この一端部21に沿って突き出た凸部22,24,26,28と、凹んだ凹部23,25,27と、が交互に形成されている。即ち、図3の左から順に、凸部22、凹部23、凸部24、凹部25、凸部26、凹部27、凸部28が形成されている。
【0038】
下側にあるヒータ20の他端部31には、この他端部31に沿って凹んだ凹部32,34,36,38と、突き出た凸部33,35,37と、が交互に形成されている。即ち、図3の左から順に、凹部32、凸部33、凹部34、凸部35、凹部36、凸部37、凹部38が形成されている。
【0039】
図3のように、一端部21及び他端部31の各凸部22,24,26,28及び33,35,37内にもヒータパターンが形成され、各凸部が発熱するようになっている。
【0040】
図4に示すように、図3のシート状のヒータ20を丸めて図4のようにドラム部19(図1)の内周面に貼り付けると、一端部21側の各凸部が他端部31の各凹部に入り込むように位置するとともに、他端部31側の各凸部が一端部21の各凹部に入り込むように位置する。
【0041】
即ち、一端部21側の凸部22,24,26,28が他端部31側の凹部32,34,36,38にそれぞれ入り込み、また、他端部31側の凸部33,35,37が一端部21側の凹部23,25,27にそれぞれ入り込む。
【0042】
図4のように、加熱ドラム14は、ドラム部19(図1)の両端に設けられたフランジ部17c、17dと、フランジ部17c、17dから突き出るように設けられた回転軸17a、17bと、を備える。
【0043】
また、図11の加熱ドラムの断面図に示すように、上記シート状のヒータ20がドラム部19の内周面に接着剤層41を介して貼り付けられており、そのヒータ20を例えば、
等の耐熱性シートからなる層42で被覆している。
【0044】
図1の加熱ドラム14は、各ヒータパターン29、30,39,40の他端部31側に設けられた各端子部29c,30c,39c,40cに接続されたリード線等を通して加熱ドラム14の外部電源(図示省略)から各ヒータパターン29,30,39,40に公知の手段で通電される。
【0045】
図4の破線で示すように、加熱ドラム14のドラム部19(図1)の回転軸方向の一端には温度センサ14bが設けられ、温度センサ14bの温度測定結果に基づいて加熱ドラム14の温度が一定に維持されるようにヒータ20への通電量を制御する。ヒータ20が通電により発熱することで、加熱ドラム14が一定温度まで昇温し、その外周面14aと案内ローラ16との間にフィルムFを挟んで搬送しながら加熱する。
【0046】
図4のように、シート状のヒータ20をドラム部19(図1)の内周面に貼り付けると、互いに対向する一端部21と他端部31との間に隙間が形成され、この隙間のためにヒータパターンが断絶する領域が生じ、両端部21と31との間でヒータ発熱部分が欠落するが、一端部21の各凸部が他端部31の凹部内に位置しかつ他端部31の各凸部が一端部21の凹部内に位置するのでヒータ断絶領域が直線状にならずに、かつ各凸部が発熱することで、加熱ドラム14の円周方向における温度分布の発生を抑えることができ、加熱ドラム14の外周面14aにおける温度分布を従来よりも均一化できる。従って、加熱ドラム14で熱現像したフィルムに加熱ドラム14の外周面14aの温度分布に起因した濃度むらの発生を抑えることができる。
【0047】
次に、加熱ローラ14のヒータ20の第2の構成について図5及び図6を参照して説明する。図5は図1の加熱ドラム14のためのシート状のヒータの別の例を示す平面図であり、図6は図1の加熱ドラムの内面に貼り付けた図5のヒータをその外面に位置するドラム部19を省略して示す斜視図である。
【0048】
図5に示すシート状のヒータ200は、図3のシート状のヒータ20と同様の構成であるが、一端部21及び他端部31近傍のヒータパターンにおけるヒータ密度を増やし、ヒータ断絶領域における発熱部分の欠落を積極的に補うようにしたものである。
【0049】
即ち、図5にように、シート状のヒータ200の第1のヒータパターン29は、一端部21側でヒータパターンのヒータ密度を増やしたヒータ高密度部29aと、他端部31側でヒータパターンのヒータ密度を増やしたヒータ高密度部29bとを有する。同じく、第2のヒータパターン30は、一端部21側にヒータ高密度部30aと、他端部31側にヒータ高密度部30bとを有する。
【0050】
同様にして、第3のヒータパターン39及び第4のヒータパターン40は、それぞれ一端部21側にヒータ高密度部39a,40aと、他端部31側にヒータ高密度部39b、40bとを有する。なお、上記各ヒータ高密度部を含む第1乃至第4のヒータパターン29、30,39,40はエッチングにより形成することができる。
【0051】
図5のように、一端部21側では、凸部22,24,26,28を含んで図5の縦方向の所定の範囲内で各ヒータ高密度部29a,30a,39a,40aがが形成されている。同様に、他端部31側では、凸部33,35,37を含んで図5の縦方向の所定の範囲内で各ヒータ高密度部29b,30b,39b,40bが形成されている。
【0052】
図6のように、図5のシート状ヒータ200を丸めてドラム部19(図1)の内周面に貼り付けると、互いに対向する一端部21と他端部31との間には隙間が形成され、この隙間のためにヒータパターンの断絶領域が生じ、両端部21と31との間でヒータ発熱部分が欠落するが、このヒータ断絶領域の面積に相当するヒータワット数に基づいて各ヒータ高密度部29a,30a,39a,40a及び29b,30b,39b,40bのヒータ密度を増加させている。
【0053】
また、加熱ドラム14は、各ヒータパターン29,39,40に設けられた各端子部29d,39d,40dに接続されたリード線等を通して加熱ドラム14の外部電源(図示省略)から各ヒータパターン29,30,39,40に公知の手段で通電される。図6の破線のように、図4と同様に温度センサ14bが設けられ、温度センサ14bの温度測定結果に基づいて加熱ドラム14の温度が一定に維持されるようにヒータ200への通電量を制御する。ヒータ200が通電により発熱することで、加熱ドラム14が一定温度まで昇温し、その外周面14aと案内ローラ16との間にフィルムFを挟んで搬送しながら加熱する。
【0054】
以上のように、図5のシート状のヒータ200をドラム部の内周面に貼り付けて加熱ドラム14を構成したとき、互いに対向する一端部21と他端部31との間で発熱部分が欠落してヒータ断絶領域が形成されるが、そのヒータ断絶領域の面積に相当するヒータワット数に基づいてヒータ密度を両端部21,31の近傍の図6のハッチングで示す領域において増加させるので、ヒータ200の両端部21,31においてヒータ発熱部分の欠落のために減少した分の発熱量を補うことができる。
【0055】
上述のようにして、加熱ドラム14の円周方向における温度分布の発生を効率的に抑えることができ、加熱ドラム14の外周面14aにおける温度分布を図3,図4の場合よりも更に均一化できる。従って、加熱ドラム14で熱現像したフィルムに加熱ドラム14の外周面14aの温度分布に起因した濃度むらの発生をより効果的に抑えることができる。
【0056】
以上のように、本実施の形態によれば、加熱ドラム14の円周方向における温度分布を均一化できるので、加熱ドラム14を構成する素管の厚さや外周面14aのゴム弾性体層の厚さを増やす必要はなく、このため熱容量が大きくなり加熱ドラムの昇温時間が遅くなったり加熱ドラムの重量が重くなるような問題は起きない。また、ゴム弾性体層を厚くすることによるフィルムの熱現像特性への影響も生じない。
【0057】
また、円周方向に温度分布が発生した加熱ドラムが回転すると周期的な温度変動が生じ、かかる加熱ドラムにフィルムが連続的に挿入され、フィルムの挿入間隔による周期的な温度変動が同期し重なり合うと、さらに大きな温度分布となってしまい温度不均一による濃度むらが発生するおそれが生じるのであるが、本実施の形態の加熱ドラム14では、円周方向の温度分布の発生を抑えているので、かかる濃度むらの発生を抑えることができる。
【0058】
次に、上述のフィルムFにおける露光部120による潜像形成及び現像部130による熱現像(可視像化)について図7、図8により説明する。図7は、本実施の形態におけるフィルムFの断面図であり、上述のような露光時におけるフィルムF内の化学的反応を模式的に示した図である。
【0059】
フィルムFは、PETからなる支持体(基層)上に、ポリビニルブチラールを主材とする感光層が形成され、更に、その上にセルロースブチレートからなる保護層が形成されている。感光層には、感光性ハロゲン粒子と、有機酸銀であるベヘン酸銀(Beh.Ag)と、銀イオン還元剤とを含有し、現像性の向上と最大濃度の向上と銀画像色調の向上のために、調色剤が配合されている。露光部120からレーザビームLがフィルムFに対して照射されると、図7に示すように、レーザビームLが照射された領域に、ハロゲン化銀粒子が感光し、潜像が形成される。
【0060】
潜像の形成されたフィルムFは、次に、図1のように、矢印方向(6)へ複数の搬送ローラ対142,143により熱現像部130内へと搬送され、ヒータ20により加熱された加熱ドラム14と複数の案内ローラ16との間に挟まれて加熱ドラム14の外周面に密着した状態で加熱ドラム14及び案内ローラ16の回転により搬送されながら115℃以上135℃以下の所定温度で加熱され熱現像され、次に、冷却搬送部150を通って排出トレイ160へ排出される。
【0061】
図8は、上述の現像部130における加熱時のフィルムF内の化学的反応を模式的に示した、図7と同様な断面図である。フィルムFは、40℃以下の温度では実質的に熱現像されないが、上述のようにフィルムFを最低現像温度以上の現像温度に加熱すると、熱現像される。これは、図8に示すように、ベヘン酸銀から銀イオン(Ag+)が放出され、銀イオンを放出したべヘン酸は、調色剤と錯体を形成して、銀イオンの拡散能力が高くなり、感光したハロゲン化銀粒子まで拡散し、感光したハロゲン化銀粒子を核として還元剤が作用し、化学的反応により銀画像が形成されるからと思われる。
【0062】
次に、本発明を実施例及び比較例により更に説明する。実施例として図5,図6のヒータ200及び加熱ドラム14を図1,図2に適用した熱現像装置を製造し、この熱現像装置においてフィルム40枚を連続的に現像処理したときの加熱ドラム14の外周面14aの温度測定を温度センサを配置して行った。温度測定は、図6に示すように、図の左端側位置(a)、左中間位置(b)、中央位置(c)、右中間位置(d)、右端側位置(e)の回転軸方向にほぼ等間隔に離れた5箇所で行った。その結果を各測定位置(a)乃至(e)と対応させて図9(a)乃至(e)に示す。
【0063】
また、比較例として従来の図12のヒータ502を用いた以外は同様の構成の熱現像装置を製造し、同様にフィルムを連続的に現像処理したときの加熱ドラムの外周面の温度測定を図6と同じようにして行った。その結果を図10(a)乃至(e)に示す。
【0064】
図9,図10から各フィルムの搬送及び現像処理に対応してドラム温度が周期的に変動していることが分かるが、その温度変動の幅は、全ての測定位置(a)乃至(e)で比較例よりも実施例の方が少ないことが分かる。これは、比較例では、加熱ドラムの円周方向に発生した温度分布に加え、加熱ドラムにフィルムが連続的に挿入され、フィルムの挿入間隔による周期的な温度変動が同期し重なり合って大きな温度分布を生じたからと考えられるのに対し、本実施の形態の加熱ドラム14では、円周方向の温度分布の発生を抑えているので、フィルムの挿入間隔による周期的な温度変動があっても加熱ドラム14の円周方向における温度変化を抑えることができたためと考えられる。
【0065】
以上のように本発明を実施の形態及び実施例により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、図5,図6では、ヒータをドラム部の内周面に貼り付けたときに、互いに対向する一端部21と他端部31に凸部と凹部とをそれぞれ交互に形成したが、特に凸部と凹部を形成せずに直線状の一端部21及び他端部31の各近傍にヒータ高密度部を設けてもよい。
【0066】
また、各ヒータ高密度部は、ヒータ密度を端から内部へと密から粗へと変化させるようにしてもよい。即ち、両端部の最も端側を密なヒータ密度にヒータパターンを形成し、内部に入るに従い比較的粗いヒータ密度にヒータパターンを形成するようにしてもよい。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、シート状のヒータを内周面に貼り付けて構成したときに外周面における温度分布を均一化できる加熱ドラム及びこの加熱ドラムを備える熱現像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態による熱現像装置を概略的に示す正面図である。
【図2】図1の熱現像装置の左側面図である。
【図3】図1の加熱ドラム14のためのシート状のヒータの一例を示す平面図である。
【図4】図1の加熱ドラムの内面に貼り付けた図3のヒータをその外面に位置するドラム部19を省略して示す斜視図である。
【図5】図1の加熱ドラム14のためのシート状のヒータの別の例を示す平面図である。
【図6】図1の加熱ドラムの内面に貼り付けた図5のヒータをその外面に位置するドラム部19を省略して示す斜視図である。
【図7】本実施の形態におけるフィルムの断面図であり、レーザビームによる露光時におけるフィルム内の化学的反応を模式的に示した図である。
【図8】本実施の形態におけるフィルムの断面図であり、図7のような潜像の形成されたフィルムを加熱した時におけるフィルム内の化学的反応を模式的に示した図である。
【図9】本実施例において加熱ドラム14の外周面14aの図6に示す測定位置(a)乃至(e)で行った温度測定結果を示す図である。
【図10】本比較例において加熱ドラムの外周面の図9と同じ測定位置(a)乃至(e)で行った温度測定結果を示す図である。
【図11】図1の加熱ドラム14の縦断面の一部を示す断面図である。
【図12】従来の加熱ドラム及びヒータを示す斜視図である。
【符号の説明】
100・・・熱現像装置
130・・・現像部
14・・・加熱ドラム
14a・・・外周面
14b・・・温度センサ
19・・・ドラム部
20、200・・・シート状のヒータ
21・・・ヒータの一端部
31・・・ヒータの他端部
22,24,26,28・・・一端部21側の凸部
23,25,27・・・一端部21側の凹部
32,34,36,38・・・他端部31側の凹部
33,35,37・・・他端部31側の凸部
29・・・第1のヒータパターン
29a、29b・・・ヒータ高密度部
30・・・第2のヒータパターン
30a、30b・・・ヒータ高密度部
39・・・第3のヒータパターン
39a、39b・・・ヒータ高密度部
40・・・第4のヒータパターン
40a、40b・・・ヒータ高密度部
F・・・フィルム(熱現像感光材料)
Claims (16)
- シート状のヒータが内周面に貼り付けられるとともに熱現像感光材料を加熱しながら搬送する加熱ドラムを備える熱現像装置であって、
前記内周面に貼り付けられた前記シート状のヒータの互いに対向する両端部の近傍にヒータ密度を増加したヒータ高密度部を設けたことを特徴とする熱現像装置。 - 前記ヒータ高密度部は、前記シート状のヒータの互いに対向する両端部間に形成されるヒータ断絶領域の面積に相当するヒータワット数に基づいて前記ヒータのヒータ密度を増加させたことを特徴とする請求項1に記載の熱現像装置。
- 前記シート状のヒータの互いに対向する各端部がその端部に沿って凹んだ凹部と突き出た凸部とを交互に備え、前記一方の端部の凸部が前記他方の端部の凹部に入り込むように配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の熱現像装置。
- シート状のヒータが内周面に貼り付けられるとともに熱現像感光材料を加熱しながら搬送する加熱ドラムを備える熱現像装置であって、
前記内周面に貼り付けられた前記シート状のヒータの互いに対向する各端部がその端部に沿って凹んだ凹部と突き出た凸部とを交互に備え、前記一方の端部の凸部が前記他方の端部の凹部に入り込むように配置されていることを特徴とする熱現像装置。 - 前記凸部内にもヒータが形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の熱現像装置。
- 前記ヒータは線状抵抗加熱体またはパターン状抵抗加熱体から構成された所定のヒータパターンを有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱現像装置。
- 前記ヒータが耐熱性シートで被覆された構成であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熱現像装置。
- 前記加熱ドラムは、その素管の材質をアルミニウムとし、外周面を耐熱性弾性体で被覆し、前記ヒータの温度を測定可能な温度センサを備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の熱現像装置。
- シート状のヒータが内周面に貼り付けられた加熱ドラムであって、
前記内周面に貼り付けられた前記シート状のヒータの互いに対向する両端部の近傍にヒータ密度を増加したヒータ高密度部を設けたことを特徴とする加熱ドラム。 - 前記ヒータ高密度部は、前記シート状のヒータの互いに対向する両端部間に形成されるヒータ断絶領域の面積に相当するヒータワット数に基づいて前記ヒータのヒータ密度を増加させたことを特徴とする請求項9に記載の加熱ドラム。
- 前記シート状のヒータの互いに対向する各端部がその端部に沿って凹んだ凹部と突き出た凸部とを交互に備え、前記一方の端部の凸部が前記他方の端部の凹部に入り込むように配置されていることを特徴とする請求項9または10に記載の加熱ドラム。
- シート状のヒータが内周面に貼り付けられた加熱ドラムであって、
前記内周面に貼り付けられた前記シート状のヒータの互いに対向する各端部がその端部に沿って凹んだ凹部と突き出た凸部とを交互に備え、前記一方の端部の凸部が前記他方の端部の凹部に入り込むように配置されていることを特徴とする加熱ドラム。 - 前記凸部内にもヒータが形成されていることを特徴とする請求項11または12に記載の加熱ドラム。
- 前記ヒータは線状抵抗加熱体またはパターン状抵抗加熱体から構成された所定のヒータパターンを有することを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載の加熱ドラム。
- 前記ヒータが耐熱性シートで被覆された構成であることを特徴とする請求項9乃至14のいずれか1項に記載の加熱ドラム。
- 前記加熱ドラムは、その素管の材質をアルミニウムとし、外周面を耐熱性弾性体で被覆し、前記ヒータの温度を測定可能な温度センサを備えることを特徴とする請求項9乃至15のいずれか1項に記載の加熱ドラム。
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JP2003124671A JP2004333515A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 熱現像装置及び加熱ドラム |
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JP2003124671A JP2004333515A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 熱現像装置及び加熱ドラム |
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JP2003124671A Pending JP2004333515A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 熱現像装置及び加熱ドラム |
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2003
- 2003-04-30 JP JP2003124671A patent/JP2004333515A/ja active Pending
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