JP2004135607A - 魚釣用スピニングリール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の魚釣用スピニングリールの往復動機構は、スプール軸9の後端部に取り付けられ且つハンドル5の回転に伴ってリール本体1aの第1および第2の案内部68,39に沿って前後に往復動する摺動体67と、摺動体67に回転自在に支持され、ロータ8の釣糸巻取り回転方向でリール本体1aの第1の案内部68に当接することにより、リール本体1aに対する摺動体67の前後往復動を案内する軸受33と、摺動体67とリール本体1aの第2の案内部39との間に接触可能状態に介在され、スプール軸9を中心とする摺動体67の回転方向のガタを吸収する弾性体34とを具備している。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リール本体に装着されたハンドルの回転操作運動をスプールの前後往復動に変換するスプール往復動装置がリール本体内に設けられた魚釣用スピニングリールの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、魚釣用スピニングリールは、リール本体と、リール本体から延出する脚部と、脚部の端部に形成されて釣竿に取り付けられる竿取付部とを有している。前記リール本体内には、ハンドルが固定されるハンドル軸が回転可能に支持されている。また、ハンドル軸にはドライブギアが固定されており、このドライブギアには、ハンドル軸に対して直交する方向に延び且つリール本体に回転可能に支持された管状のピニオンギアが噛合している。また、ピニオンギアの先端部にはロータが一体的に取り付けられ、ハンドル軸と直交する方向に延在するスプール軸がピニオンギアを貫通している。また、スプール軸の先端部には釣糸が巻回されるスプールが取り付けられている。スプール軸は、ピニオンギアと同心的に配されており、ハンドルからの回転力をスプール軸の前後動に変換するスプール往復動機構(オシレーティング機構)を介して、ハンドル軸と直交する方向に沿って前後動できる。
【0003】
前記オシレーティング機構は、一般に、ハンドル軸(ドライブギア)の回転に伴ってリール本体内で前後方向に往復動する摺動体を備えており、スプール軸が前記摺動体と一体に結合されることにより、摺動体と共にスプール軸が前後に往復動し、スプール軸と共に前後動するスプールに釣糸が片寄ること無く均等に巻回される。
【0004】
実際に、摺動体およびスプール軸を前後動させながら釣糸をスプールに巻き上げる場合には、魚の引きや仕掛けの重量等によって釣糸に負荷が加わった状態となっているため、スプールは、この負荷が作用する方向すなわちロータの釣糸巻取り回転方向で力を受ける。また、釣糸によってスプールに加わるこの回転方向の力は、スプール軸を介して摺動体にも作用する。そのため、リール本体の案内部に沿って前後動する摺動体は、前記回転方向の力によって前記案内部に押し付けられた状態(摺接状態)で前後動することとなり、摩耗したり変形したりする場合がある。また、このような摺接抵抗の発生により、オシレート機能が低下し、スムーズな巻き上げ性が得られないといった問題も生じる。
【0005】
そこで、リール本体の案内部と摺動体との間に転がり軸受を介在させ、摺動体に作用する前記回転方向の力を前記転がり軸受で受けつつ、この転がり軸受によって摺動体をリール本体に対して円滑に前後動させるようにする技術が従来から提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、転がり軸受を円滑に転がす(摺動体を円滑に前後動案内する)ためには、転がり軸受とリール本体との間に適正なクリアランスが必要となるため、このクリアランスによって摺動体が回転方向でガタ付くこととなる。また、このようなガタ付きは、部品の寸法誤差や組み込み誤差等によって更に大きくなる可能性があるとともに、巻取り回転操作時に異音を発生させる。
【0007】
そのため、前記転がり軸受とリール本体の案内部との間に弾性体を介在させることにより、摺動体の回転方向のガタを吸収する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−203814号公報
【0009】
【特許文献2】
特開2000−245313号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記転がり軸受とリール本体の案内部との間に弾性体を介在させると、摺動体に作用する前記回転方向の力(釣糸巻取り時に釣糸によってスプールに加わる力)によって弾性体が変形し、その変形に転がり軸受が追従してしまうため、剛性感がなく、軽快で円滑な巻取り操作性が得られなくなってしまう。
【0011】
また、摺動体に作用する前記回転方向の力によって弾性体が変形してしまうと、その回転方向に摺動体が動いてしまうため、スムーズにドラグが滑り出せず(スムーズにスプールが回転せず)、更に、弾性体がその弾性復元力によって元の形状に戻ることにより脈動が生じてしまい、結果的に、良好なドラグ作用が得られなくなる。
【0012】
本発明は前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、摺動体の回転方向のガタを防止して、釣糸の巻取り操作を円滑に行なうことができるとともに、滑らかなドラグ作用を得ることができる魚釣用スピニングリールを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、ハンドルの回転を、リール本体内に設けられた往復動機構を介して、先端にスプールを有するスプール軸の前後往復動に変換するとともに、ハンドルの回転に伴うロータの釣糸巻取り方向の回転によって前記スプールに釣糸を巻き取る魚釣用スピニングリールにおいて、前記往復動機構は、前記スプール軸の後端部に取り付けられ且つ前記ハンドルの回転に伴ってリール本体の第1および第2の案内部に沿って前後に往復動する摺動体と、前記摺動体に回転自在に支持され、前記ロータの釣糸巻取り回転方向でリール本体の前記第1の案内部に当接することにより、リール本体に対する前記摺動体の前後往復動を案内する軸受と、前記摺動体とリール本体の前記第2の案内部との間に接触可能状態に介在され、前記スプール軸を中心とする前記摺動体の回転方向のガタを吸収する弾性体とを具備することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。
【0015】
図1〜図7は本発明の第1の実施形態を示している。これらの図に示されるように、本実施形態の魚釣用スピニングリール1は、リール本体1aと、リール本体1aから延出する脚部1bと、脚部1bの端部に形成され且つ釣竿に取り付けられる竿取付部1cを有している。リール本体1a内には、スプールに釣糸を巻回するための巻取駆動機構が設けられている。具体的には、ハンドル5が固定されるハンドル軸2がリール本体1a内に回転可能に支持されている。ハンドル軸2にはドライブギア3が固定されており、このドライブギア3にはピニオンギア13が噛合している。
【0016】
ピニオンギア13は、ハンドル軸2に対して直交する方向に延び且つリール本体1aに軸受60A,60Bを介して回転可能に支持された軸筒62に設けられている。また、軸筒62の先端部には、ベール6および釣糸案内部15を備えたロータ8が一体的に取り付けられている。
【0017】
ハンドル軸2と直交する方向に延在するスプール軸9が軸筒62を貫通している。この場合、スプール軸9は、軸筒62と同心的に配されており、ハンドル軸2と直交する方向に沿って前後動できる。また、スプール軸9の先端部には釣糸が巻回されるスプール10が取り付けられている。
【0018】
また、ハンドル軸2には、オシレーティング機構(往復動機構)65の連動歯車66と噛合する歯車63が形成されている。オシレーティング機構65は、いわゆるギヤ方式のものであり、歯車63に噛み合ってこれと連動回転する連動歯車66と、連動歯車66に突設され且つ連動歯車66の回転中心軸から偏心して位置する係合突起(係合部)66aと、スプール軸9の後端部にビス69を介して取り付けられ且つ係合突起66aと係合するカム溝67aを有する摺動体67と、リール本体1aに形成され且つ摺動体67の往復動を案内する第1の案内部68とを備えている。
【0019】
このようなオシレーティング機構65は、ハンドル軸2がハンドル5の回転操作によって回転されると、ハンドル軸2上の歯車63と噛み合う連動歯車66が回転し、それに伴って、連動歯車66の係合突起66aが回転するとともに、係合突起66aと係合するカム溝67aの案内によって摺動体67が前後に往復動する。したがって、摺動体67に取り付けられたスプール軸9が軸方向に沿って往復駆動(前後動)する(図6には、摺動体67が前方に移動した状態が示されており、図7には、摺動体67が後方に移動した状態が示されている)。すなわち、この場合、係合突起66aとカム溝67aは、ハンドル軸2の回転運動をスプール軸9の直線往復運動に変換する変換手段を構成している。
【0020】
以上の構成によれば、ハンドル5を釣糸巻取り方向に回転操作してハンドル軸2を回転させると、オシレーティング機構65を介してスプール軸9に取り付けられたスプール10が前後に往復動するとともに、ドライブギア3、ピニオンギア13、軸筒62を介してロータ8が釣糸巻取り方向(スプール10側からリールを見て時計周り方向、後側(図2の方向)からリールを見て反時計周り方向)に回転駆動する。したがって、スプール10には、釣糸案内部15を介して、釣糸が均等に巻回される。
【0021】
なお、本実施形態において、リール本体1aの後端壁部1a’の後端面には、所定の位置に、開口22が形成されている。この開口22は、オシレーティング機構65の摺動体67がその往復動における最後端位置に位置した際(その状態が図5に示されている)に、摺動体67の後側の一部をその内側に受け入れるように、その位置および形状が設定されている。また、本実施形態では、開口22を塞ぐための有底皿状のカバー部材20が、リール本体1aの後端壁部1a’の後側から被せられている。また、リール本体1aの後端壁部1a’には、図1に示されるように、ロータ8の逆回転(釣糸繰り出し方向の回転)を防止する逆転防止機構の切換ロッド30の端部が貫通しており、後端壁部1a’から外部に突出する切換ロッド30の端部には、切換レバー32が取り付けられている。
【0022】
図2および図3に示されるように、リール本体1aの側部には、リール本体1aの一部を成すボディーカバー37が取り付けられている。このボディーカバー37のうち、ロータ8の釣糸巻取り回転方向でリール本体1aの第1の案内部68と対向する面は、第1の案内部68と共に摺動体67の往復動を案内する第2の案内部39として形成されている。
【0023】
また、図4〜図7に拡大して示されるように、摺動体67には、その底部の前後に、一対の軸部67b,67cが突設されている。前方(スプール10側)に位置する第1の軸部67bは、摺動体67の軸方向(前後方向)に延びる中心軸に対し、リール本体1aに形成された第1の案内部68側(魚の引きや仕掛けの重量等によって釣糸に負荷が加わるロータ8の釣糸巻取り回転方向側・・・高負荷側)に偏って位置している。また、後方(カバー部材20側)に位置する第2の軸部67cは、摺動体67の軸方向(前後方向)に延びる中心軸に対し、ボディーカバー37に形成された第2の案内部39側に偏って位置している。そして、第1の軸部67bには転がり軸受(ボールベアリング)33が回転可能に支持され、また、第2の軸部67cにはOリング等から成る弾性体34が装着されている。すなわち、転がり軸受33は、ロータ8の釣糸巻取り回転方向(高負荷側)で第1の案内部68と対向しており、弾性体34は、第2の案内部39と接触可能状態で対向している。
【0024】
この場合、転がり軸受33は、釣糸巻取り時に釣糸によってスプール10に加わる回転方向の力をスプール軸9および摺動体67を介して受けることにより、リール本体1aの第1の案内部68に当接しながら摺動体67をリール本体1aに対して前後方向に円滑に転がり案内する。また、弾性体34は、ボディーカバー37の第2の案内部39と接触することによる変形作用により、スプール軸9を中心とした摺動体67の回転方向のガタ(各部品の寸法不良や組み込み誤差等)を吸収することができ、転がり軸受33の軽快な転がり案内作用を助長する。特に、本実施形態において、弾性体34は、第2の案内部39に常時接触して、転がり軸受33に予圧を付与しており(転がり軸受33を付勢してリール本体1aの第1の案内部68に常時当接させており)、これにより、確実に摺動体67の回転方向のガタの発生を防止している。
【0025】
以上説明したように、本実施形態の魚釣用スピニングリール1のオシレーティング機構65は、摺動体67に回転自在に支持され且つロータ8の釣糸巻取り回転方向でリール本体1aの第1の案内部68に当接することによりリール本体1aに対する摺動体67の前後往復動を案内する軸受33を備えている。したがって、釣糸巻取り操作時に釣糸によってスプール10に加わる回転方向の力がスプール軸9を介して摺動体67に作用しても、この回転方向の力が軸受33で受けられつつ、軸受33によって摺動体67がリール本体1aに対して円滑に前後動されるため、摺動体67がリール本体1aに摺接して摩耗したり変形したりすることを防止でき、また、摺接抵抗の発生によってオシレート機能が低下してスムーズな巻き上げ性が得られないといった問題も生じなくなる。
【0026】
また、本実施形態の魚釣用スピニングリール1は、摺動体67とリール本体1aの第2の案内部39との間に介在され且つ第2の案内部39に当接することによりスプール軸9を中心とする摺動体67の回転方向のガタを吸収する弾性体34を備えている。したがって、軸受33とリール本体1aとの間のクリアランスや、部品の寸法誤差、組み込み誤差等によって生じる摺動体67の回転方向のガタ付きを弾性体34によって可及的に吸収できるとともに、釣糸巻取り操作時の異音発生等の不具合も防止でき、円滑な巻取り操作が行なえる。
【0027】
また、従来のように軸受33とリール本体1aとの間に弾性体34を介在させる(釣糸巻取り回転方向で弾性体34をリール本体1aに当接させる)のではなく、摺動体67とリール本体1aの第2の案内部39との間にこれらに接触可能に弾性体34を介在させている(釣糸繰り出し回転方向で弾性体34を第2の案内部39に当接させている)ため、スプール軸9を介して摺動体67に作用する前記回転方向の力(釣糸巻取り操作時に釣糸によってスプール10に加わる回転方向の力)によって弾性体34が変形することはなく、また、弾性体34の変形に軸受33が追従してしまうこともなくなる。したがって、剛性感がある軽快で円滑な巻取り操作性を得ることができるとともに、スムーズにドラグを滑り出させることができ、更に、弾性体がその弾性復元力によって元の形状に戻ることによって脈動が生じることもなくなる。
【0028】
また、本実施形態において、弾性体34は、リール本体1aと常時接触して、軸受33に予圧を付与するようになっている。したがって、前述した作用効果を更に促進させることができる。すなわち、ガタ発生の防止を図りながら、摺動体67の前後往復動を確実且つ円滑に案内でき、高い剛性感が得られる(安定した前後動案内が得られる)。
【0029】
図8〜図11は本発明の第2の実施形態を示している。なお、本実施形態において、第1の実施形態と共通する構成部分については、以下、同一符号を付してその説明を省略する。
【0030】
図8〜図11に示されるように、本実施形態の魚釣用スピニングリール1Aのオシレーティング機構65Aでは、転がり軸受33と弾性体34とがスプール軸9を堺に上下に振り分け配置されている。具体的には、摺動体67Aの往復動を案内する第1の案内部42と第2の案内部41とが上下に位置してリール本体1aに突設されており、第2の案内部41に向かって上方に延びる摺動体67Aの上側延在部67Aaには、軸部43を介して、Oリング等から成る弾性体34が装着され、また、第1の案内部42に向かって下方に延びる摺動体67Aの下側延在部67Abには、軸部44を介して、転がり軸受(ボールベアリング)33が回転可能に支持されている。
【0031】
転がり軸受33は、ロータ8の釣糸巻取り回転方向(魚の引きや仕掛けの重量等によって釣糸に負荷が加わるロータ8の釣糸巻取り回転方向・・・高負荷側)で第1の案内部42と対向しており、釣糸巻取り時に釣糸によってスプール10に加わる回転方向の力をスプール軸9および摺動体67Aを介して受けることにより、リール本体1aの第1の案内部42に当接しながら摺動体67Aをリール本体1aに対して前後方向に円滑に転がり案内する。
【0032】
また、弾性体34は、第2の案内部41と接触可能状態で対向しており、リール本体1aの第2の案内部41と接触することにより、スプール軸9を中心とした摺動体67Aの回転方向のガタを吸収することができる。特に、本実施形態において、弾性体34は、第2の案内部41に常時接触して、転がり軸受33に予圧を付与する(転がり軸受33を付勢してリール本体1aの第1の案内部33に常時当接させる)ことが望ましい。
【0033】
以上説明したように、本実施形態の魚釣用スピニングリール1Aのオシレーティング機構65Aは、摺動体67Aに回転自在に支持され且つロータ8の釣糸巻取り回転方向でリール本体1aの第1の案内部42に当接することによりリール本体1aに対する摺動体67Aの前後往復動を案内する軸受33と、摺動体67Aとリール本体1aの第2の案内部41との間に介在され且つ第2の案内部41と当接することによりスプール軸9を中心とする摺動体67Aの回転方向のガタを吸収する弾性体34とを備えている。したがって、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0034】
図12は第2の実施形態の変形例を示している。この変形例では、ゴム材等から成る弾性体47が第2の案内部41に装着されており、軸部43を介して摺動体67Aの上側延在部67Aaに回転自在に装着された金属体46が弾性体47と接触している。この場合、弾性体47は、摺動体67Aの前後往復動のストロークにわたって延在している。なお、それ以外の構成は第2の実施形態と同一であり、第2の実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0035】
このように、摺動体67A側に弾性体を設けるのではなく、第2の案内部41側に弾性体を設けても、第1および第2の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0036】
図13〜図16は本発明の第3の実施形態を示している。なお、本実施形態において、第1の実施形態と共通する構成部分については、以下、同一符号を付してその説明を省略する。
【0037】
図13〜図16に示されるように、本実施形態の魚釣用スピニングリール1Bのオシレーティング機構65Bは、スプール軸9と平行に配置され且つ軸受部を介してリール本体1aに回転可能に支持されたトラバースカム軸(ウォームシャフト)52と、スプール軸9の後端に止めネジ90によって固定され且つトラバースカム軸52のカム溝59に沿って前後方向に摺動する摺動体54とを備えている。トラバースカム軸52は、ギヤ56を介してピニオン13に連結されており、一方、摺動体54には、トラバースカム軸52に常時係合する係合ピン58が設けられている。
【0038】
このようなオシレーティング機構65Bによれば、ハンドル5の回転操作によって駆動歯車3を介してピニオン13を回転させると、このピニオン13に噛合したギヤ56が回転し、このギヤ56の回転と共にトラバースカム軸52が回転する。この時、トラバースカム軸52のカム溝59に係合した係合ピン58がトラバースカム軸52の回転に伴って前後動することにより、摺動体54がトラバースカム軸52に沿って前後動する。この結果、この摺動体54に止めネジ90を介して連結しているスプール軸9を前後動させることができる。
【0039】
摺動体54には、その底部の左右に、一対の軸部54a,54bが突設されている。第1の軸部54bは、摺動体54の軸方向(前後方向)に延びる中心軸に対し、リール本体1aに形成された第1の案内部68側(魚の引きや仕掛けの重量等によって釣糸に負荷が加わるロータ8の釣糸巻取り回転方向側・・・高負荷側)に偏って位置している。また、第2の軸部54aは、摺動体54の軸方向(前後方向)に延びる中心軸に対し、ボディーカバー37に形成された第2の案内部39側に偏って位置している。そして、第1の軸部54bには転がり軸受(ボールベアリング)33が回転可能に支持され、また、第2の軸部54aにはOリング等から成る弾性体34が装着されている。すなわち、転がり軸受33は、ロータ8の釣糸巻取り回転方向(高負荷側)で第1の案内部68と対向しており、弾性体34は、第2の案内部39と接触可能状態で対向している。そして、転がり軸受33は、釣糸巻取り時に釣糸によってスプール10に加わる回転方向の力をスプール軸9および摺動体54を介して受けることにより、リール本体1aの第1の案内部68に当接しながら摺動体54をリール本体1aに対して前後方向に円滑に転がり案内する。また、弾性体34は、ボディーカバー37の第2の案内部39と接触することにより、スプール軸9を中心とした摺動体54の回転方向のガタを吸収することができる。特に、本実施形態において、弾性体34は、第2の案内部39に常時接触して、転がり軸受33に予圧を付与している(転がり軸受33を付勢してリール本体1aの第1の案内部68に常時当接させている)。
【0040】
このように、本実施形態は、ウォームシャフト方式のオシレーティング機構において、第1の実施形態と同様の構成を成しているため、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0041】
図17および図18は第3の実施形態の変形例を示している。この変形例では、第3の実施形態の第1および第2の案内部68,39の代わりに、摺動体54の2つの軸部54a,54b間で前後方向に延びるピラー70を設け、このピラー70に対して転がり軸受33および弾性体34を当て付けるようにしたものである。この場合、第3の実施形態と同様の作用効果を得るため、第2の軸部54aに転がり軸受33を回転自在に支持するとともに、第1の軸部54bに弾性体34を装着する。特に、本実施形態では、第1の軸部54bに転がり軸受33を装着し、この転がり軸受33の外周に弾性体34を装着している。なお、それ以外の構成は第3の実施形態と同一であり、第3の実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0042】
このように、リール本体1aによって案内部を形成するのではなく、リール本体1aと別個の部材によって案内部を形成しても、第1ないし第3の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の魚釣用スピニングリールによれば、摺動体の回転方向のガタを防止して、釣糸の巻取り操作を円滑に行なうことができるとともに、滑らかなドラグ作用を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る魚釣用スピニングリールの側断面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】図1のB−B線に沿う断面図である。
【図4】図1の要部拡大断面図であり、摺動体がその往復動における最前端位置に位置した状態を示す図である。
【図5】図1の要部拡大断面図であり、摺動体がその往復動における最後端位置に位置した状態を示す図である。
【図6】図2の要部拡大図である。
【図7】図3の要部拡大図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る魚釣用スピニングリールの側断面図である。
【図9】図8の要部拡大断面図であり、摺動体がその往復動における最後端位置に位置した状態を示す図である。
【図10】図8の要部拡大断面図であり、摺動体がその往復動における最前端位置に位置した状態を示す図である。
【図11】図8のC−C線に沿う断面図である。
【図12】第2の実施形態の変形例に係る魚釣用スピニングリールの図11に対応する図である。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る魚釣用スピニングリールの側断面図である。
【図14】図13のD−D線に沿う断面図である。
【図15】図13の要部拡大断面図である、摺動体がその往復動における最後端位置に位置した状態を示す図である。
【図16】図14の要部拡大断面図である。
【図17】第3の実施形態の変形例に係る魚釣用スピニングリールの図15に対応する図である。
【図18】図17の魚釣用スピニングリールの図16に対応する図である。
【符号の説明】
1,1A,1B…魚釣用スピニングリール
1a…リール本体
5…ハンドル
8…ロータ
9…スプール軸
10…スプール
33…軸受
34…弾性体
39…第2の案内部
54,67…摺動体
65,65A,65B…オシレーティング機構(往復動機構)
68…第1の案内部
Claims (2)
- ハンドルの回転を、リール本体内に設けられた往復動機構を介して、先端にスプールを有するスプール軸の前後往復動に変換するとともに、ハンドルの回転に伴うロータの釣糸巻取り方向の回転によって前記スプールに釣糸を巻き取る魚釣用スピニングリールにおいて、
前記往復動機構は、
前記スプール軸の後端部に取り付けられ且つ前記ハンドルの回転に伴ってリール本体の第1および第2の案内部に沿って前後に往復動する摺動体と、
前記摺動体に回転自在に支持され、前記ロータの釣糸巻取り回転方向でリール本体の前記第1の案内部に当接することにより、リール本体に対する前記摺動体の前後往復動を案内する軸受と、
前記摺動体とリール本体の前記第2の案内部との間に接触可能状態に介在され、前記スプール軸を中心とする前記摺動体の回転方向のガタを吸収する弾性体と、
を具備することを特徴とする魚釣用スピニングリール。 - 前記弾性体は、リール本体と常時接触して、前記軸受に予圧を付与することを特徴とする請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
Priority Applications (1)
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CN108990927A (zh) * | 2017-06-07 | 2018-12-14 | 纯钓日本公司 | 纺车式渔轮 |
GB2582193A (en) * | 2018-12-26 | 2020-09-16 | Shimano Kk | Spinning reel |
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