JP2004135403A - 電磁クラッチ付モータ - Google Patents

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Abstract

【課題】全体の小型化を図ることができる電磁クラッチ付モータを提供する。
【解決手段】正逆回転可能なモータ軸26に形成されたウォーム27と、ウォーム27に噛合するウォームホイール35と、ウォームホイール35に連係されてモータ軸26の動力の伝達を断続する電磁クラッチ40を備えた電磁クラッチ付モータ10において、ウォームホイール35の外歯35aをウォーム27に噛合させると共にその内歯35bに円環状のトルク伝達プレート36の外歯36aを噛合させ、ウォームホイール35の軸方向と電磁クラッチ40の出力軸側クラッチ板47の吸着・離反方向を同一方向とし、かつ、電磁クラッチ40の入力軸43の先端外周の外側スプライン43aをトルク伝達プレート36の内側スプライン36bに噛合させ、入力軸43の外側スプライン43aに対してウォームホイール35をトルク伝達プレート36を介して軸方向に移動自在にした。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、自動車の車体後端部に開閉自在に設けられたバックドア等の自動車用開閉体を開閉するための駆動源として使用される電磁クラッチ付モータに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の電磁クラッチ付モータとして、図12に示すものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図12に示すように、電磁クラッチ付モータ60のギヤケース60aは、減速機構61のケース61aに取り付けられている。このケース61a内には、モータ60の出力ギヤ60bに第1減速ギヤ62の大径ギヤ部62aが噛み合っている。この第1減速ギヤ62の小径ギヤ部62bには、モータ60の動力の伝達を断続する電磁クラッチ63の入力ギヤ63aが噛み合っている。
【0004】
電磁クラッチ63の出力ギヤ63bには、第2減速ギヤ64の大径ギヤ部64aが噛み合っている。また、第2減速ギヤ64の大径ギヤ部64aには、電気パルスを検出するロータリエンコーダ65の入力ギヤ65aが噛み合っている。さらに、第2減速ギヤ64の小径ギヤ部64bには、ピニオン66の大径ギヤ部66aが噛み合っており、このピニオン66の出力ギヤ部66bは減速機構61のケース61aより外へ突出している。このケース61aより突出するピニオン66の出力ギヤ部66bは、後述するバックドア(開閉体)3を開閉させるラック5に噛み合っている。
【0005】
図11に示すように、バックドア3は、自動車の車体1の後端開口2の上縁部にヒンジ4により揺動自在に支持されている。このバックドア3の上部の室内側に突出したアーム部3aとラック5の一端は支軸6により回転可能に支持されており、このラック5は減速機構61のケース61aに取り付けられた保持部67を介して長手方向に往復移動可能に保持されている。また、車体1の後端部とバックドア3には、該バックドア3の開閉を補助する付勢力を発生させるガスステー7の両端部7a,7bを連結してある。
【0006】
そして、図11に実線で示すバックドア3の全閉位置Aにおいて、電磁クラッチ63を接続(オン)状態にし、モータ60を正回転させると、減速機構61を介してピニオン66が正回転し、該ピニオン66に噛み合ったラック5が後方に移動する。これにより、バックドア3が中立位置Bを通過し全開位置Cに到達して開かれる。同様に、モータ60を逆回転させると、ピニオン66を介してラック5が前方に移動してバックドア3が閉じられる。
【0007】
また、電磁クラッチ63を切断(オフ)状態にし、モータ60を駆動させないでバックドア3を開閉させることができる。この際、ロータリエンコーダ65の入力は、電磁クラッチ63の出力ギヤ63b側である第2減速ギヤ64から取っているので、手動によるバックドア3の開閉の際の移動も検出可能となっている。これにより、バックドア3が中立位置Bを越えると、ガスステー7の補助付勢力によりバックドア3は自ら中立位置Bから全開位置C或いは中立位置Bから全閉位置Aに揺動されて自動的に開閉される。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−188361号公報(第3頁、図3)
【0009】
【特許文献2】
特開2001−280000号公報(第3頁、図8)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の電磁クラッチ付モータ60では、その出力を減速させるために大径の第1減速ギヤ62と第2減速ギヤ64を備えた大型の減速機構61が必要不可欠なため、全体の構造が大型になった。
【0011】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、ウォームとウォームホイールから成る小型の減速機構を内蔵して全体の小型化を図ることができる電磁クラッチ付モータを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、正逆回転可能なモータ軸と、このモータ軸の一端近傍に形成されたウォームと、このウォームに噛合するウォームホイールと、このウォームホイールに連係されて前記モータ軸の動力の伝達を断続する電磁クラッチとを備えた電磁クラッチ付モータにおいて、前記ウォームホイールを外歯と内歯とを有した構造に形成し、このウォームホイールの外歯を前記ウォームに噛合させると共に、該ウォームホイールの内歯にトルク伝達プレートの外周に形成された外歯を噛合させる一方、前記電磁クラッチを、クラッチ本体と、このクラッチ本体に巻装されたコイルと、先端外周に外側スプラインを形成すると共に基端に入力軸側クラッチ板を設けて前記クラッチ本体内に回転自在に支持された入力軸と、基部に前記入力軸側クラッチ板に吸着・離反される出力軸側クラッチ板を設けると共に基端に負荷に連係される出力ギヤを形成して前記入力軸内に回転自在に支持された出力軸と、前記コイルの非通電時に前記出力軸側クラッチ板を前記入力軸側クラッチ板より離反する方向に付勢する付勢部材とで構成し、前記ウォームホイールの軸方向と前記出力軸側クラッチ板の吸着・離反方向とを同一方向とし、かつ、前記入力軸の先端外周の外側スプラインを前記トルク伝達プレートの内周に形成された内側スプラインに噛合させ、前記入力軸の先端外周の外側スプラインに対して前記ウォームホイールを前記トルク伝達プレートを介して前記軸方向に移動自在にしたことを特徴とする。
【0013】
この電磁クラッチ付モータでは、ウォームに噛合するウォームホイールをトルク伝達プレートを介して電磁クラッチの入力軸の先端外周の外側スプラインに対して軸方向に移動自在にしたので、減速機構の一部を構成するウォームホイールと電磁クラッチの入力軸とが同軸的に配置され、その分モータ全体の小型化が図られる。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1記載の電磁クラッチ付モータであって、前記モータ軸のウォームと前記ウォームホイールとをギヤケース内に各軸受を介して回動自在に収納し、このギヤケースのウォームホイール用の軸受と前記ウォームホイールとの間に補強部材を介在したことを特徴とする。
【0015】
この電磁クラッチ付モータでは、ギヤケースのウォームホイール用の軸受とウォームホイールとの間に補強部材を介在したので、ウォームホイール用の軸受の摺動部の摩耗が確実に防がれ、ウォームホイールが常にスムーズに回転される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は本発明の一実施形態の電磁クラッチ付モータを示す分解斜視図、図2は同電磁クラッチ付モータの分解断面図、図3は同電磁クラッチ付モータのモータ部分の底面図、図4は同モータ部分の断面図、図5は同電磁クラッチ付モータの断面図、図6(a)は同電磁クラッチ付モータに用いる電磁クラッチの平面図、図6(b)は同電磁クラッチの断面図、図6(c)は同電磁クラッチの底面図、図7は同電磁クラッチの分解断面図、図8は同電磁クラッチ付モータの要部の分解断面図、図9(a)は同電磁クラッチ付モータに用いるウォームホイールの断面図、図9(b)は同ウォームホイールの平面図、図10(a)は同電磁クラッチ付モータに用いるトルク伝達プレートの断面図、図10(b)は同トルク伝達プレートの平面図である。尚、図11は援用する。
【0018】
図1,図2に示すように、電磁クラッチ付モータ10は、例えば自動車の車体1の後端開口2を開閉するバックドア(負荷)3の駆動源として用いられるものであり、上面が開口した底部11aを有する金属製で箱形のハウジング11と、このハウジング11の段差部11dにビス12により締結固定されるモータ20と、ハウジング11内の底部11aとモータ20との間に収納され、該モータ20の動力の伝達を断続する電磁クラッチ40とを備えている。
【0019】
図1〜図5に示すように、モータ20は、一端側が開口した略円筒状のヨーク(モータケース)21と、このヨーク21の開口端21aの周りのフランジ部21bをビス13を介して締結固定したダイキャスト製のギヤケース22とを備えている。ヨーク21の内周面21cには一対のマグネット24,24を接着剤等を介して固着してある。そして、ヨーク21の他端の有底筒部21dに嵌合された軸受25aと、ギヤケース22の軸穴22aの両端近傍に嵌合された軸受25b,25cとでアーマチュア軸(モータ軸)26を回転自在に支持してある。
【0020】
図4に示すように、アーマチュア軸26は、その一端近傍にウォーム27を形成してある。このアーマチュア軸26の他端面の中央にはスチールボール28aを半分収納する凹部26aを形成してある。このスチールボール28aはヨーク21の有底筒部21dに嵌合固定された軸受板29aに当接している。さらに、アーマチュア軸26の一端面の中央にはスチールボール28bを半分収納する凹部26bを形成してある。このスチールボール28bはギヤケース22の軸穴22aのねじ孔22bに螺合されたスラストプラグ29bに当接している。
【0021】
また、アーマチュア軸26の一対のマグネット24,24に対向する位置にはアーマチュア30を取り付けてある。このアーマチュア30は、アーマチュア軸26に固定され、所定のスロット数のコイル巻回部30bを持つアーマチュアコア30aと、このアーマチュアコア30aのコイル巻回部30bに巻き回されたアーマチュアコイル30cとで構成されている。
【0022】
さらに、アーマチュア軸26のヨーク21とギヤケース22との境部分に対向する位置には、コンミュテータ31を固定してある。このコンミュテータ31はアーマチュアコア30aのコイル巻回部30bと同数のコンミュテータ片31aを備えていて、各コンミュテータ片31aとアーマチュアコイル30cとは電気的にそれぞれ接続されている。
【0023】
さらに、ギヤケース22の軸穴22aの開口端は大径穴部22cとなっており、この大径穴部22c内のコンミュテータ31に対向する位置には、ホルダ32を介して一対のブラシ33,33をコンミュテータ片31aに接触するように取り付けてある。各ブラシ33は図示しないモータ制御回路にそれぞれ電気的に接続されている。そして、このモータ制御回路のドア開スイッチをオフからオンに切り替えると、電流がアーマチュア30等に流れてアーマチュア軸26が正回転すると共に、モータ制御回路のドア閉スイッチをオフからオンに切り替えると、電流がアーマチュア30等に流れてアーマチュア軸26が逆回転するようになっている。
【0024】
図2,図4に示すように、ギヤケース22の略中央には軸穴22aを形成してあり、この軸穴22aに連通して円環凹状の減速機構収納部22dを形成してある。この減速機構収納部22dの中央には、円筒状のボス(ウォームホイール用の軸受)23を一体突出形成してある。このボス23には金属製で略円筒のブッシュ(補強部材)34を圧入等により嵌め込んである。このブッシュ34の外周にはウォームホイール35を回転自在に支持してある。
【0025】
図8,図9(a),(b)に示すように、ウォームホイール35は合成樹脂により円環状に形成してあり、その外側及び内側に外歯35a及び内歯35bを一体形成してある。また、ウォームホイール35の内側の軸方向中央には円環状の鍔部35cを径方向の中心に向って一体突出してあり、その上側に内歯35bを形成してあると共に、下側に円環凹状の摺動部35dを形成してある。このウォームホイール35の外歯35aはアーマチュア軸26のウォーム27に噛合されていると共に、該ウォームホイール35の鍔部35cより下側の円環凹状の摺動部35dはブッシュ34の外周に摺動されるようになっている。そして、ウォーム27とウォームホイール35はギヤケース22の減速機構収納部22d内に収納され、減速機構を構成している。
【0026】
また、図5,図8に示すように、ウォームホイール35の内歯35bには、金属製で円板環状のトルク伝達プレート36の外周に形成された外歯36aが噛合されている。図8,図10(a),(b)に示すように、トルク伝達プレート36の内周には内側スプライン36bが形成されている。この内側スプライン36bは後述する電磁クラッチ40の入力軸43の先端外周の外側スプライン43aに噛合されている。
【0027】
さらに、図5,図8に示すように、ウォームホイール35の内歯35bの上端には、合成樹脂製で円環板状のスペーサ37が嵌め込まれいる。これにより、トルク伝達プレート36の外歯36aはウォームホイール35の内歯35bに対して該ウォームホイール35の鍔部35cとスペーサ37との間で所定量(例えば0.3mm)その軸方向に沿って摺動するようになっている。また、ギヤケース22の減速機構収納部22dの一端開口は該ギヤケース22にビス14で締結された金属製で円環板状のストッパプレート38で覆われている。これにより、ウォームホイール35はギヤケース22の減速機構収納部22dの底面22eとストッパプレート38との間で所定量(例えば0.2mm)だけ、その軸方向に沿って移動可能になっている。
【0028】
図1,図2及び図4〜図7に示すように、電磁クラッチ40は、円環状のクラッチ本体(フィールドヨーク)41と、このクラッチ本体41に巻装されたコイル42と、先端外周に外側スプライン43aを形成すると共に基端43bに入力軸側クラッチ板としての入力軸側摩擦板44を固定して円環状のクラッチ本体41内に軸受45を介して回転自在に支持された円筒状の入力軸43と、基部の円環板状の鍔部46aに入力軸側摩擦板44に吸着・離反される出力軸側クラッチ板としての出力軸側摩擦板47を取り付けると共に基端にバックドア(負荷)3に連係される出力ギヤ46cを一体形成して円筒状の入力軸43内を貫通して該入力軸43に一対の軸受48,48を介して回動自在に支持された出力軸46と、コイル42の非通電時に出力軸側摩擦板47を入力軸側摩擦板44より離反する方向に付勢する板バネ(付勢部材)50と、出力軸46の先端46dにホルダ54とウェーブワッシャ55及び止め輪56を介して取り付けられたマグネットリング57とを備えている。
【0029】
図2,図5〜図7に示すように、クラッチ本体41は例えば鉄等の金属製で肉厚の円環状になって磁路を形成するものであり、ハウジング11の周壁部11c内に圧入されてその中間段差部11eに図示しないビスを介して締結固定されている。また、クラッチ本体41の中央には断面円形のセンタ孔41aを形成してある。そして、クラッチ本体41の下面のセンタ孔41aの周りには円環状の凹部41bを形成してあり、この円環状の凹部41bにコイル42を環状に巻き付けてある。
【0030】
図1,図2,図5〜図7に示すように、入力軸(クラッチ軸)43は金属製で円筒状に形成してあり、該入力軸43と円環状のクラッチ本体41のセンタ孔41aとの間に介在された軸受45を介してクラッチ本体41のセンタ孔41a内に回転自在にされている。この入力軸43の中央には上下に貫通した貫通孔43cを形成してあり、該貫通孔43c内には一対の軸受48,48を介して出力軸46を回転自在に支持してある。また、入力軸43の先端外周には外側スプライン43aを形成してあり、この外側スプライン43aはトルク伝達プレート36の内側スプライン36bに噛合されている。
【0031】
そして、入力軸43の先端外周の外側スプライン43aに対してウォームホイール35は上記トルク伝達プレート36を介してその軸方向である上下方向に所定量だけ移動可能になっている。さらに、ウォームホイール35の内歯35bに対してトルク伝達プレート36の外歯36aもその軸方向である上下方向に所定量摺動可能なように噛合されている。即ち、電磁クラッチ40の入力軸43の同軸上にウォームホイール35及びトルク伝達プレート36を配置してあり、ウォームホイール35の軸方向と入力軸43の入力軸側摩擦板44に対する出力軸46の出力軸側摩擦板47の吸着・離反方向とは同一方向になっている。
【0032】
また、入力軸43の基端43bには入力軸側摩擦板44のセンタ孔44aを圧入等により固定してある。この入力軸側摩擦板44は例えば鉄等の強磁性体で円盤状に形成してあり、その表面44b側はクラッチ本体41の凹部41b内に収納されてコイル42に近接している。
【0033】
図2,図5〜図7に示すように、出力軸(クラッチ軸)46は金属製で円柱状に形成してあり、その基部に円板環状の鍔部46aを一体突出形成してある。この鍔部46aの外周には外側スプライン46bを形成してあり、この外側スプライン46bに出力軸側摩擦板47の内周に形成された内側スプライン47aを上下方向に摺動自在に噛合している。この出力軸側摩擦板47は鉄等の強磁性体で円環状に形成してあり、その裏面47cに付勢部材としての円環状の板バネ50を複数のピン51を介して固定してある。また、出力軸46の基端に一体形成された出力ギヤ46cは、バックドア3を開閉させるラック5に噛合されている。また、出力軸46の基部はハウジング11の底部11aの孔部11bに嵌合された軸受49により回転自在に支持されている。さらに、出力軸46の先端46dは入力軸43の先端外周の外側スプライン43aより外に露出しており、この露出状態は先端46dの下方に形成された係止溝46eに係止される止め輪52によって規制されている。
【0034】
そして、コイル42の通電時(即ち、電磁クラッチ40の接続時)に、出力軸側摩擦板47の表面47bはコイル42及び入力軸側摩擦板44の磁力により該入力軸側摩擦板44の裏面44cに吸着されるようになっている。これにより、出力軸46は入力軸43と一緒になって回転してモータ20の動力が出力軸46の出力ギヤ46cとラック5を介してバックドア3に伝達されるようになっている。また、コイル42の非通電時(即ち、電磁クラッチ40の切断時)に、出力軸側摩擦板47は板バネ50の引っ張り力(付勢力)により入力軸側摩擦板44から離反されるようになっている。これにより、モータ20の駆動時にその動力は入力軸43に伝達されるが、出力軸46に伝達されずに切断状態となり、モータ20の停止時においてバックドア3を手動で開閉させる場合に、出力軸46のみが回転(空転)して停止状態のモータ20が手動によるバックドア3の開閉の負荷にならないようになっている。尚、本実施形態では電磁クラッチとして摩擦クラッチ構造を例に示したが、噛合い構造の電磁クラッチであってもよい。
【0035】
以上実施形態の電磁クラッチ付モータ10によれば、図11に実線で示すバックドア3の全閉位置Aにおいて、電磁クラッチ40を接続(オン)状態にし、モータ20を正回転させると、ウォーム27とウォームホイール35から成る減速機構を介して電磁クラッチ40の出力ギヤ46cが正回転し、該出力ギヤ46cに噛み合ったラック5が後方に移動する。これにより、バックドア3が中立位置Bを通過し全開位置Cに到達して開かれる。同様に、モータ20を逆回転させると、出力ギヤ46cを介してラック5が前方に移動してバックドア3が閉じられる。
【0036】
また、電磁クラッチ40を切断(オフ)状態にすれば、モータ20を駆動させないでバックドア3を手動で開閉させることができる。
【0037】
この電磁クラッチ付モータ10によれば、ウォーム27に噛合するウォームホイール35をトルク伝達プレート36を介して電磁クラッチ40の入力軸43の先端外周の外側スプライン43aに対して軸方向に移動自在にしたことにより、減速機構の一部を構成するウォームホイール35と電磁クラッチ40の入力軸43とを同軸的に配置することができる。これにより、電磁クラッチ付モータ10全体の小型化を図ることができる。
【0038】
また、ウォームホイール35の内歯35bに対してトルク伝達プレート36の外歯36aをその軸方向に摺動自在に噛合したことにより、ウォームホイール35にかかるスラスト荷重をより確実に吸収することができ、ウォームホイール35をスムーズに回転させることができる。特に、金属製のギヤケース22のウォームホイール用の軸受である円筒状のボス23と合成樹脂製のウォームホイール35との間に補強部材である金属製のブッシュ34を介在したことにより、円筒状のボス23の摺動部が摩擦により摩耗することなく、ブッシュ34でウォームホイール35のラジアル荷重及びスラスト荷重を確実に受ける。従って、ボス23及びウォームホイール35の耐久性を向上させることができると共に、ウォームホイール35を常にスムーズに回転させることができる。
【0039】
尚、前記実施形態によれば、電磁クラッチ付モータ10を自動車の車体1の後端開口2を開閉するバックドア3の駆動源として使用する場合について説明したが、駆動対象は車両のバックドアに限られず、スイングドアやスライドドア、トランクリッド等の他の開閉体の駆動源として用いることができることは勿論である。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、ウォームに噛合するウォームホイールをトルク伝達プレートを介して電磁クラッチの入力軸の先端外周の外側スプラインに対して軸方向に移動自在にしたので、減速機構の一部を構成するウォームホイールと電磁クラッチの入力軸とを同軸的に配置することができ、その分モータ全体の小型化を図ることができる。
【0041】
請求項2の発明によれば、ギヤケースのウォームホイール用の軸受とウォームホイールとの間に補強部材を介在したので、ウォームホイール用の軸受の摺動部の摩耗を確実に防止することができ、ウォームホイールを常にスムーズに回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の電磁クラッチ付モータを示す分解斜視図である。
【図2】上記電磁クラッチ付モータの分解断面図である。
【図3】上記電磁クラッチ付モータのモータ部分の底面図である。
【図4】上記モータ部分の断面図である。
【図5】上記電磁クラッチ付モータの断面図である。
【図6】(a)は上記電磁クラッチ付モータに用いる電磁クラッチの平面図、(b)は同電磁クラッチの断面図、(c)は同電磁クラッチの底面図である。
【図7】上記電磁クラッチの分解断面図である。
【図8】上記電磁クラッチ付モータの要部の分解断面図である。
【図9】(a)は上記電磁クラッチ付モータに用いるウォームホイールの断面図、(b)は同ウォームホイールの平面図である。
【図10】(a)は上記電磁クラッチ付モータに用いるトルク伝達プレートの断面図、(b)は同トルク伝達プレートの平面図である。
【図11】電磁クラッチ付モータを用いる車両の概略側面図である。
【図12】従来の電磁クラッチ付モータの断面図である。
【符号の説明】
3 バックドア(負荷)
10 電磁クラッチ付モータ
23 ボス(ウォームホイール用の軸受)
25a,25b,25c 軸受
26 アーマチュア軸(モータ軸)
27 ウォーム
34 ブッシュ(補強部材)
35 ウォームホイール
35a 外歯
35b 内歯
36 トルク伝達プレート
36a 外歯
36b 内側スプライン
40 電磁クラッチ
41 クラッチ本体
42 コイル
43 入力軸
43a 外側スプライン
43b 基端
44 入力軸側摩擦板(入力軸側クラッチ板)
46 出力軸
46a 鍔部(基部)
46c 出力ギヤ
46d 先端
47 出力軸側摩擦板(出力軸側クラッチ板)
50 板バネ(付勢部材)

Claims (2)

  1. 正逆回転可能なモータ軸と、このモータ軸の一端近傍に形成されたウォームと、このウォームに噛合するウォームホイールと、このウォームホイールに連係されて前記モータ軸の動力の伝達を断続する電磁クラッチとを備えた電磁クラッチ付モータにおいて、
    前記ウォームホイールを外歯と内歯とを有した構造に形成し、このウォームホイールの外歯を前記ウォームに噛合させると共に、該ウォームホイールの内歯にトルク伝達プレートの外周に形成された外歯を噛合させる一方、前記電磁クラッチを、クラッチ本体と、このクラッチ本体に巻装されたコイルと、先端外周に外側スプラインを形成すると共に基端に入力軸側クラッチ板を設けて前記クラッチ本体内に回転自在に支持された入力軸と、基部に前記入力軸側クラッチ板に吸着・離反される出力軸側クラッチ板を設けると共に基端に負荷に連係される出力ギヤを形成して前記入力軸内に回転自在に支持された出力軸と、前記コイルの非通電時に前記出力軸側クラッチ板を前記入力軸側クラッチ板より離反する方向に付勢する付勢部材とで構成し、前記ウォームホイールの軸方向と前記出力軸側クラッチ板の吸着・離反方向とを同一方向とし、かつ、前記入力軸の先端外周の外側スプラインを前記トルク伝達プレートの内周に形成された内側スプラインに噛合させ、前記入力軸の先端外周の外側スプラインに対して前記ウォームホイールを前記トルク伝達プレートを介して前記軸方向に移動自在にしたことを特徴とする電磁クラッチ付モータ。
  2. 請求項1記載の電磁クラッチ付モータであって、
    前記モータ軸のウォームと前記ウォームホイールとをギヤケース内に各軸受を介して回動自在に収納し、このギヤケースのウォームホイール用の軸受と前記ウォームホイールとの間に補強部材を介在したことを特徴とする電磁クラッチ付モータ。
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