JP2004134994A - トランシーバ - Google Patents

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Abstract

【課題】信号線に対して十分大きな電位を印加可能なトランシーバを提供する。
【解決手段】電界伝達用媒体である生体12に誘起された電界に基づいて情報の送信を行うトランシーバ1。生体12に絶縁体11を介して設けられた送信側信号電極10と、グランド電極7を有しており、グランド電極7に対する電位差を持ち、かつ情報に対応する電圧信号を発生して送信側信号電極10に印加することにより、送信側信号電極10を介して電圧信号に対応する電界を生体12に誘起させる信号発生器5、グランド線6および信号線9と、グランド電極7を囲んで遮蔽する誘電体8とを備えている。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体等の電界伝達用媒体に誘起された電界に基づいて情報の送信を行うトランシーバに関する。
【0002】
【従来の技術】
ユピキタス社会の到来を迎え、ウェアラブルコンピュータ(身体に装着可能なコンピュータ)が注目を浴びている。
【0003】
そして、このウェアラブルコンピュータと他のコンピュータ(他のウェアラブルコンピュータ等)との間の情報通信手段として、ウェアラブルコンピュータが装着された生体を介して情報を通信できるトランシーバの研究・開発が進められている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−352298号公報(第5−10頁、第1図〜第4図)
【0005】
上記生体を介して情報を通信できるトランシーバ間の情報送信原理について図7を用いて説明する。
【0006】
図7は、生体112の任意の部位に装着された第1のウェアラブルコンピュータにおける第1のトランシーバの送信部104、および生体112の他の部位に装着された第2のウェアラブルコンピュータにおける第2のトランシーバの受信部120をそれぞれ示す図である。
【0007】
図7に示すように、第1のトランシーバの送信部104は、送信対象となる情報に対応する電圧信号を発生するための信号発生器105を備えている。
【0008】
この信号発生器105は、グランド線106を介してグランド電極107に接続されており、このグランド電極107の電位(グランド電位振幅V)を基準電位として、例えば、Vsinωt(V:電位振幅、ω:角周波数、t:時間)の電位差を有する電圧信号を発生する。
【0009】
すると、一般に、グランド電極107に接続されたグランド線106の電位は−Vsinωtとなり、信号発生器105に接続された信号線109の電位はVsinωt(V:信号線の電位振幅)となる。但し、V+V=Vである。
【0010】
信号線109に印加された電圧信号Vsinωtは、第1のトランシーバにおける生体112に接触された図示しない送信用電極を介して生体112に与えられ、生体112内に電界が誘起される。この誘起された電界は、生体112を介して、その生体112に接触された第2のトランシーバの受信部120における図示しない受信用電極に受信される。
【0011】
このとき、受信部120には、2枚の平行電極(信号電極124およびグランド電位に接続されたグランド電極126)間に介在する電気光学結晶部材(Electric−Optic結晶、以下、電気光学結晶と記載する)122が設けられており、受信用電極に受信された、上記電圧信号に対応する電界は、信号線を介して信号電極124に送られ、信号電極124およびグランド電極126間の電位差として電気光学結晶(図2および図7においては、EO結晶と略記する)122に印加される。
【0012】
このとき、電気光学結晶122には、上記電極に平行なレーザ光等の検出光が入射されており、電気光学結晶122の屈折率が印加電圧(電位差)に比例して変化するため、電気光学結晶122内を通過する検出光は、電気光学結晶122の屈折率変化に応じて偏光状態が変化する。したがって、受信部120において、検出光の偏光状態変化を、例えば受光量の変化として検出することにより、上記第1のトランシーバ側からの情報を、第2のトランシーバの受信部120にて受信することができる。
【0013】
図7においては、第1のトランシーバから第2のトランシーバへ情報を送信する一方向送信について説明したが、第1のトランシーバに受信部120を、第2のトランシーバに送信部104をそれぞれ搭載することにより、第1のトランシーバおよび第2のトランシーバ間で双方向通信が可能になる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した図7に示すトランシーバ(送信側の第1のトランシーバ)は、生体112に装着されて使用されるため、そのグランド線106を大地(グランド)G等の安定した電位に接地することができなかった。
【0015】
このため、上記トランシーバにおいては、例えば大気を基準電位とする浮遊したグランド電極107にグランド線106を接続している。
【0016】
しかしながら、上記構成では、グランド電極107の電位(グランド電位)の振幅Vが容易に変動してしまう。このとき、グランド線106の電位は、−Vsinωtと表されているように、信号発生器105が発生した電位に対して逆位相で大幅に変動することになる。
【0017】
この結果、信号線109の電位Vsinωt、すなわち、生体112に印加される電位が小さく(V<V)なってしまい、生体112を介した情報通信の感度を低下させる恐れが生じていた。
【0018】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、信号線に対して十分大きな電位を印加可能なトランシーバを提供することをその目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、本発明によれば、請求項1に記載したように、電界伝達用媒体に誘起された電界に基づいて情報の送信を行うトランシーバであって、前記電界伝達媒体に当接あるいは近接して設けられた送信用電極と、グランド電極を有しており、当該グランド電極に対する電位差を持ち、かつ前記情報に対応する電圧信号を発生して前記送信用電極に印加することにより、当該送信用電極を介して前記電圧信号に対応する電界を前記電界伝達用媒体に誘起させる信号発生手段と、前記グランド電極を囲んで遮蔽する誘電体部材と、を備えている。
【0020】
請求項2に記載した本発明では、前記誘電体部材は、前記グランド電極の全表面を被覆する。
【0021】
請求項3に記載した本発明では、前記グランド電極は略球体形状を有し、前記誘電体部材は、当該グランド電極の形状に対応する中空部を含む略球体形状を有する。
【0022】
請求項4に記載した本発明では、前記グランド電極は略方形体形状を有し、前記誘電体部材は、当該グランド電極の形状に対応する中空部を含む略方形体形状を有する。
【0023】
請求項5に記載した本発明では、前記グランド電極は略平板形状を有し、前記誘電体部材は、当該グランド電極の形状に対応する中空部を含む略平板形状を有する。
【0024】
請求項6に記載した本発明では、前記電界伝達用媒体に当接あるいは近接する側の伝達面を含む複数の面を有し、前記グランド電極を除く信号発生手段を内包するケース部材をさらに備え、前記送信用電極は前記伝達面に取り付けられている一方、前記グランド電極は、前記ケース部材の複数の面における前記伝達面を除く少なくとも1つの面を、その少なくとも1つの面とは非接触で囲むように形成されており、前記誘電体部材は、前記グランド電極の全表面をそれぞれ被覆している。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明に係るトランシーバの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0026】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るトランシーバ1の概略構成を示す図である。
【0027】
すなわち、図1に示すように、トランシーバ1は、ウェアラブルコンピュータ等のコンピュータ2と通信可能であり、コンピュータ2に対する情報送受信機能を有している。
【0028】
すなわち、トランシーバ1は、コンピュータ2から送信された情報である送信データを入力するI/O(Input/Output;入出力)回路3と、このI/O回路3に接続されており、I/O回路3を介して入力された送信データに対応する電位差を有する電圧信号を送信するための送信部4とを備えている。
【0029】
この送信部4は、図1に示すように、上記送信データに対応する電圧信号を発生するための信号発生器5を備えている。この信号発生器5には、グランド線6が接続されており、このグランド線6は浮遊したグランド電極7に接続されている。
【0030】
すなわち、信号発生器5は、グランド電極7の電位(グランド電位)を基準電位として、所定の電位差を有する電圧信号を発生させるようになっている。
【0031】
そして、本実施形態において、グランド電極7は、誘電体部材(以下、誘電体とする)8により囲まれて遮蔽されている。具体的には、図1に断面として示されるように、グランド電極7は、その全表面が誘電体8により層状に被覆されており、グランド線6は、その誘電体層を貫通して信号発生器6に接続されている。
【0032】
なお、層状に被覆された誘電体8の厚さ(層厚)は、より厚いほうが好ましいが、トランシーバ1内のスペースを考慮した適切な厚さに設定されている。
【0033】
また、送信部4は、信号発生器5の出力側に接続された信号線9を備えており、信号発生器5にて発生された電圧信号は、信号線9を介して送信されるようになっている。
【0034】
なお、本実施形態における信号発生器5、グランド線6および信号線9が信号発生手段に相当する。
【0035】
また、トランシーバ1は、信号線9に接続された送信側信号電極10を備えており、この送信側信号電極10の例えば一表面は、例えばゴム等のフレキシブルな絶縁体部材(以下、絶縁体として記載する)11に覆われており、送信側信号電極10は、絶縁体11を介して生体12に接触されている。
【0036】
一方、トランシーバ1は、例えばゴム等のフレキシブルな絶縁体部材(以下、絶縁体として記載する)15に例えばその一表面が覆われている受信側信号電極16を備えており、この受信側信号電極16は、絶縁体15を介して生体12に接触されている。
【0037】
また、トランシーバ1は、受信側信号電極16に接続され、この受信側信号電極16より受信された電界を後述する受信部へ伝達するための信号線17と、信号線17を介して伝達された電界を受信するための受信部20とを備えている。
【0038】
すなわち、受信部20は、信号線17に接続され、この受信側信号電極16を介して入力された電界(電圧信号)を光学的に検出し、電気信号に変換して出力する電界検出光学部21と、この電界検出光学部21に接続されており、電界検出光学部21から出力された電気信号に対して、増幅処理および雑音除去(フィルタリング)処理等の信号処理を施す信号処理回路22とを備えている。
【0039】
さらに、トランシーバ1は、信号処理回路22に接続され、この信号処理回路22により信号処理された電気信号に対して波形整形処理を施し、I/O回路3の信号レベルに対応する電気信号に変換し、その電気信号を受信データとしてI/O回路3に送信する波形整形回路25を備えており、I/O回路3は、波形整形回路25から送信されてきた受信データをコンピュータ2に送信する機能を有している。
【0040】
図2は、コンピュータ2と図示しない他のコンピュータとの間の情報の送受信を、それぞれコンピュータの情報送受信用であるトランシーバ1を用いて行う場合の概略構成を示す図である。
【0041】
すなわち、トランシーバ1の電界検出光学部21は、図2に示すように、電界を検出するための検出光として、略単一波長の検出光を所定の方向に沿って出力する検出光出力部32を備えている。なお、検出光出力部32としては、レーザダイオードを用いたレーザ光出力装置や、発光ダイオード(LED)を用いた装置等を用いることができる。また、波長帯域に広がりを有する検出光を出力する光源についても、帯域透過フィルタを組み合わせることにより、検出光出力部として適用することが可能である。
【0042】
また、電界検出光学部21は、印加される電圧(電位差)に比例して、その屈折率が変化する特性、いわゆるポッケルス効果を有する電気光学結晶部材(以下、電気光学結晶と記載する)34を備えている。この電気光学結晶(図2においては、EO結晶と略記する)34は、例えば方形体状に形成されており、その長手側の第1および第2の側面が検出光出力部32から出力された検出光の光路方向に沿って当該検出光の光路を挟んで対向するように配置されており、電気光学結晶34の短手側一端面には、検出光出力部32から出力された検出光が入射されるようになっている。
【0043】
また、電気光学結晶34の上記長手側の第1の側面には、信号線17に接続された信号電極36が取り付けられており、また、上記長手側の第1の側面に対応する第2の側面には、グランド電位に接続されたグランド電極38が取り付けられている。
【0044】
本実施形態の電気光学結晶34は、信号電極36およびグランド電極38間の電位差に比例してその屈折率が変化する特性を有している。
【0045】
また、電界検出光学部21は、電気光学結晶34内を通過してきた検出光の偏光状態変化を、偏光ビームスプリッタ、偏光フィルタ等の偏光検出光学系により検出光の強度変化として検出し、検出した検出光の強度変化をフォトディテクタ等の光電変換器を介して電気信号に変換する検出部40を備えており、この検出部40により得られた電気信号は、信号処理回路22に送信されるようになっている。
【0046】
次に、本実施形態の全体動作として、例えば、図2においてコンピュータ2から他のコンピュータに対して情報を送信する場合の動作について説明する。なお、説明の都合上、図2における向かって右側のトランシーバ1をコンピュータ2に対する情報送受信用のトランシーバ1aとし、図2における向かって左側のトランシーバ1を他のコンピュータに対する情報送受信用のトランシーバ1bとする。
【0047】
図1に示すように、コンピュータ2は、トランシーバ1aのI/O回路3に対して送信対象となる情報(送信データ)を送信する。この送信データは、I/O回路3を介して入力され、信号発生器5に送られる。
【0048】
このとき、信号発生器5は、図2に示すように、グランド電極7の電位(グランド電位V)を基準電位として、例えば、Vsinωt(V:振幅、ω:角周波数、t:時間)の電位差を有する電圧信号を発生し、送信データをこの電圧信号により変調する。
【0049】
すると、一般に、グランド電極7に接続されたグランド線6の電位は−Vsinωtとなり、信号発生器5に接続された信号線の電位は、Vsinωt(V:振幅)となる(但し、V+V=V)。
【0050】
このとき、本実施形態では、グランド電極7の全表面が電気絶縁性を有する誘電体8により被覆されているため、この誘電体8の誘電分極作用により、グランド電極7近傍の電界強度が減少する。このため、グランド電極7の電位の振幅Vは、誘電体8に被覆されていない場合に比べて小さい値で安定化する。
【0051】
すなわち、誘電体8に被覆されたグランド電極7の電位変動は、誘電体8に被覆されていない場合と比べて非常に小さい値で安定化するため、グランド電極7は、大地グランドGに接地されていないにもかかわらず、その大地グランドGに接地している状態と略同様の効果を得ることができる。
【0052】
したがって、信号発生器5により信号線−グランド線間に電位差Vsinωtが発生すると、従来と比べて、グランド電極7の電位振幅Vが非常に小さく(V>V)、かつ変動しないため、信号線9の電位Vは非常に大きく、かつ安定する。
【0053】
この結果、信号線9には、非常に大きく、かつ安定した電圧信号Vsinωt(但し、V+V=V)が印加される。
【0054】
信号線9に印加された電圧信号Vsinωtは、送信側信号電極10および絶縁体11を介して生体12に与えられ、生体12内に、上記電圧信号Vsinωtに対応する電界が誘起される。
【0055】
この生体12内に誘起された電界は、生体12を介して、その生体12に絶縁体15を介して接触されたトランシーバ1bの受信側信号電極16により受信される。そして、受信された電界は、信号線17を介して受信部20における電気光学結晶34の長手側第1の側面に取り付けられた信号電極36に供給される。
【0056】
このとき、電気光学結晶34は、平行な信号電極36およびグランド電極38の間に介在しているため、信号電極36に供給された電界は、信号電極36およびグランド電極38間の電位差として電気光学結晶34に印加される。
【0057】
一方、電気光学結晶34には、その短手側一端面を介して検出光出力部32から出力された検出光が入射されており、この電気光学結晶34に入射され該電気光学結晶34内を通過する検出光は、電気光学結晶34の印加電圧(電位差)に応じた屈折率変化に応じて偏光状態が変化する。
【0058】
この検出光の偏光状態変化は、検出部40により、検出光の強度変化に対応する電気信号として検出される。
【0059】
このとき、本実施形態では、電気光学結晶34に対する印加電圧(電位差)が大きいため、検出部40により検出される、検出光の強度変化に対応する電気信号も増大するため、トランシーバ1bの受信部20における受信感度が増大する。
【0060】
このようにして検出された電気信号は、信号処理回路22に送信されて増幅処理等の信号処理が施され、さらに波形整形回路25を介して波形整形された後、I/O回路3を介して他のコンピュータに送信される。
【0061】
この結果、コンピュータ2から他のコンピュータに対して、トランシーバ1a、生体12およびトランシーバ1bを介して情報を送信することができる。
【0062】
また、図2においては、コンピュータ2側のトランシーバ1aから他のコンピュータ側のトランシーバ1bへ情報を送信する場合について説明したが、トランシーバ1bからトランシーバ1aに対して情報を送信する場合についても、同様に行うことができる。
【0063】
以上述べたように、本実施形態によれば、トランシーバ1の信号発生器5から発生される電圧信号(電位差)の基準となるグランド電極7を誘電体8で被覆しているため、グランド電極7の電圧変動を低減することができる。
【0064】
この結果、信号発生器5により発生され信号線9に印加される電圧信号を従来に比べて大きくすることができ、この結果、生体12内に誘起される電界を増大することできる。
【0065】
したがって、生体12内に誘起された電界を受信する他のトランシーバの受信部における検出感度を向上させることができ、トランシーバ間の情報送受信をスムーズに行うことができる。
【0066】
なお、本実施形態においては、グランド電極7の形状については特に言及していない。
【0067】
この点、グランド線の電位変動を小さくするためには、一般に、そのグランド線に接続されるグランド電極の体積や表面積が大きい程良いことが知られている。
【0068】
上記点を考慮した場合のトランシーバの変形例を図3〜図5に示す。
【0069】
すなわち、第1の変形例に係わるトランシーバ51は、図3に断面として示されるように、グランド線6に接続されており、略球体形状を有する球型グランド電極52を備えている。
【0070】
また、トランシーバ51は、グランド電極52の全表面を層状に被覆する誘電体53を備えている。
【0071】
すなわち、誘電体53は、グランド電極52の形状に対応する略球形の中空部を含む略球体形状を有しており、その中空部にグランド電極52が収納された状態で、電極全表面が誘電体53に被覆される。
【0072】
また、第2の変形例に係わるトランシーバ61は、グランド線6に接続されており、略直方体(方形体)形状を有する直方体型グランド電極62を備えている。
【0073】
さらに、トランシーバ61は、グランド電極62の全表面を層状に被覆する誘電体63を備えている。
【0074】
ここで、図4は、グランド電極62および誘電体63をその長手方向に直交する方向に沿って切断した際の縦断面をそれぞれ示している。
【0075】
すなわち、図4に示すように、誘電体63は、グランド電極62の形状に対応する略直方体形状の中空部を含む略直方体形状を有しており、その中空部にグランド電極62が収納された状態で、電極全表面が誘電体63に被覆される。
【0076】
そして、第3の変形例に係わるトランシーバ71は、グランド線6に接続されており、略平板形状を有する平板型グランド電極72を備えている。
【0077】
また、トランシーバ71は、グランド電極72の全表面を層状に被覆する誘電体73を備えている。
【0078】
ここで、図5は、グランド電極72および誘電体73をその板厚方向に直交する方向に沿って切断した際の縦断面をそれぞれ示している。
【0079】
すなわち、図5に示すように、誘電体73は、グランド電極72の形状に対応する略平板形の中空部を含む略平板形状を有しており、その中空部にグランド電極72が収納された状態で、電極全表面が誘電体73に被覆される。
【0080】
上述した図3〜図5に示したトランシーバ5、61および71によれば、グランド電極52、62および72の体積および/または表面積を、例えば短冊形状の電極に比べて大幅に増大することができ、その全面を被覆する誘電体53、63および73の効果と併せて、グランド線6の電位変動を大幅に抑制することができる。
【0081】
(第2の実施の形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係るトランシーバ80の概略構成を示す図である(一部断面図)。
【0082】
第2の実施形態に係わるトランシーバ80は、図6に断面として示されるように、生体12に当接あるいは近接する側の伝達面81aを含む複数の面を有し、I/O回路3、グランド電極を除く送信部4、受信部20および波形整形回路25をそれぞれ内包する例えば方形体状のケース部材81を備えている。
【0083】
このケース部材81の伝達面81aには、送信側信号電極10が貫設されており、この送信側信号電極10における外側の電極面に絶縁体11が取り付けられている。
【0084】
同様に、ケース部材81の伝達面81aには、受信側信号電極16が貫設されており、この受信側信号電極16における外側の電極面に絶縁体16が取り付けられている。
【0085】
そして、トランシーバ80は、図6に断面として示されるように、ケース部材81における伝達面81aを除く全ての面を、その全ての面とは非接触で囲むように形成された、全体として伝達面81aに対応する面が開放された略方形体形状を有するグランド電極82と、このグランド電極82の全表面を被覆するように形成された誘電体83とを備えている。なお、その他の構成要素については、図1に示すトランシーバ1と同一であるため、その説明は省略する。
【0086】
すなわち、本実施形態によれば、グランド電極82を、ケース部材81における伝達面81aを除く全ての面を非接触で囲むように形成しているため、グランド電極82の表面積および/または体積を、上述した図3〜図5に示すグランド電極と比べてさらに増大させることができる。
【0087】
なお、この構成においては、グランド電極82が信号発生器5の基準電位であるため、このグランド電極82がケース部材81に接触すると、ケース部材81が生体12に接触した際にグランド電極82との間でショートが発生してしまう。
【0088】
このため、上述したグランド電極82のケース部材81側の面を含む全表面を、誘電体83で被覆することにより、ケース部材81等のグランド線6以外の部位にグランド電極82が接触することを回避することができ、信号発生器5から安定して電圧信号を発生させることができる。
【0089】
なお、第1の実施の形態の変形例として、図3〜図5に示す形状を有するグランド電極および誘電体について示したが、本発明におけるグランド電極および誘電体の形状は図3〜図5に示すものに限定されるものではない。
【0090】
また、第1および第2の実施の形態においては、グランド電極の全表面を誘電体により被覆したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、誘電体によりグランド電極を囲んで遮蔽する構成であればよく、グランド電極の電位変動を抑制することが可能になる。
【0091】
さらに、第2の実施の形態において、ケース部材81の形状を略方形体としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、略球形、楕円体等、任意の形状とすることができる。
【0092】
この場合、グランド電極は、ケース部材における伝達面を除く全ての面を、その全ての面とは非接触で囲むことができる形状を有していればよく、誘電体は、このグランド電極の全表面を被覆可能に形成されていればよい。
【0093】
そして、第1および第2の実施の形態においては、送信および受信機能を有するトランシーバについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、送信機能のみを有する一方向送信型のトランシーバに対しても適用可能である。
【0094】
さらに、第1および第2の実施の形態では、送信側信号電極および受信側信号電極を異なるものとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、送信側信号電極および受信側信号電極を一体化してもよい。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のトランシーバによれば、信号発生手段から発生される電圧信号の電位差の基準となるグランド電極を誘電体部材により囲んで遮蔽しているため、グランド電極近傍の電界強度が減少し、グランド電極の電位変動を小さくすることができる。
【0096】
このため、信号発生手段から発生される、グランド電極を基準とした電圧信号の電位差を大きくすることができ、その電圧信号に対応して電界伝達媒体に誘起される電界を増大することができる。
【0097】
この結果、電界伝達媒体に誘起された電界を受信する機器の受信感度を増大させることができる。すなわち、本発明のトランシーバを用いることにより、電界伝達媒体を介した情報の通信感度を増大することができ、電界伝達媒体を介した情報の通信を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るトランシーバの概略構成を示す図(一部断面図)。
【図2】図1に示すコンピュータと図示しない他のコンピュータとの間の情報の送受信を、それぞれコンピュータの情報送受信用であるトランシーバを用いて行う場合の概略構成を示す図。
【図3】図1に示す第1の実施形態に係わるトランシーバの変形例を示す図(一部断面図)。
【図4】図1に示す第1の実施形態に係わるトランシーバの変形例を示す図(一部断面図)。
【図5】図1に示す第1の実施形態に係わるトランシーバの変形例を示す図(一部断面図)。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るトランシーバの概略構成を示す図(一部断面図)。
【図7】生体の任意の部位に装着された第1のウェアラブルコンピュータにおける第1のトランシーバの送信部、および生体の他の部位に装着された第2のウェアラブルコンピュータにおける第2のトランシーバの受信部をそれぞれ示す図。
【符号の説明】
1、1a、1b、51、61、71、80 トランシーバ
2 コンピュータ
3 I/O回路
4 送信部
5 信号発生器
6 グランド線
7、52、62、72、82 グランド電極
8.53、63、73、83 誘電体
9 信号線
10 送信側信号電極
11 絶縁体
12 生体
15 絶縁体
16 受信側信号電極
17 信号線
20 受信部
21 電界光学検出部
22 信号処理回路
25 波形整形回路
32 検出光出力部
34 電気光学結晶部材
36 信号電極
38 グランド電極
40 検出部

Claims (6)

  1. 電界伝達用媒体に誘起された電界に基づいて情報の送信を行うトランシーバであって、
    前記電界伝達媒体に当接あるいは近接して設けられた送信用電極と、
    グランド電極を有しており、当該グランド電極に対する電位差を持ち、かつ前記情報に対応する電圧信号を発生して前記送信用電極に印加することにより、当該送信用電極を介して前記電圧信号に対応する電界を前記電界伝達用媒体に誘起させる信号発生手段と、
    前記グランド電極を囲んで遮蔽する誘電体部材と、
    を備えたことを特徴とするトランシーバ。
  2. 前記誘電体部材は、前記グランド電極の全表面を被覆することを特徴とする請求項1記載のトランシーバ。
  3. 前記グランド電極は略球体形状を有し、前記誘電体部材は、当該グランド電極の形状に対応する中空部を含む略球体形状を有することを特徴とする請求項1または2記載のトランシーバ。
  4. 前記グランド電極は略方形体形状を有し、前記誘電体部材は、当該グランド電極の形状に対応する中空部を含む略方形体形状を有することを特徴とする請求項1または2記載のトランシーバ。
  5. 前記グランド電極は略平板形状を有し、前記誘電体部材は、当該グランド電極の形状に対応する中空部を含む略平板形状を有することを特徴とする請求項1または2記載のトランシーバ。
  6. 前記電界伝達用媒体に当接あるいは近接する側の伝達面を含む複数の面を有し、前記グランド電極を除く信号発生手段を内包するケース部材をさらに備え、
    前記送信用電極は前記伝達面に取り付けられている一方、
    前記グランド電極は、前記ケース部材の複数の面における前記伝達面を除く少なくとも1つの面を、その少なくとも1つの面とは非接触で囲むように形成されており、
    前記誘電体部材は、前記グランド電極の全表面をそれぞれ被覆したことを特徴とする請求項1記載のトランシーバ。
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