JP2004134415A - 積層電子部品とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】積層セラミックコンデンサ10は、セラミックに電極層24を複数層積層させている。この積層された電極層24間のそれぞれに介在するセラミック層は、電極間の絶縁層として機能し、厚みの厚い厚肉セラミック層23を電極積層のほぼ中央位置に有し、他の箇所では、対向する電極層24の誘電体となる薄厚のセラミック層22とされている。その製造には、電極層24を有するセラミックグリーンシート22aを複数層積層した後、シートの延びに余裕がある厚みを持った厚肉セラミックグリーンシート23aを重ね、再度、セラミックグリーンシート22aをその上に複数層積層する。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電極層を絶縁層を介して複数積層させた積層電子部品とこのような積層電子部品をセラミックグリーンシートを用いて製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の積層電子部品、例えば絶縁層をセラミック層で形成した積層セラミック電子部品の製造に際しては、同一形状のセラミックグリーンシートを所定枚数だけ重ねることが通常行われている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平3−241890号公報
【特許文献2】
特開平3−283490号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の積層セラミック電子部品では、次のような問題点が指摘されるに到った。
【0005】
こうした積層セラミック電子部品は、積層セラミックコンデンサや積層セラミックインダクタとして広く普及している。これら電子部品では、その製造過程でセラミックグリーンシートにコンデンサ電極或いはインダクタ電極を例えば印刷手法にて形成し、こうしたセラミックグリーンシートを積層させている。
【0006】
積層された上下のシートでは、その電極のパターンや形成位置等が相違したりする都合上、シートとシートが直に接触して積層する部分と電極が介在してシートが積層する部分がある。図12はこうした様子を模式的に示す説明図である。こうしたことが積層された総てのシートについて起きるので、図示するように、全体としては、図におけるシートの中央部分は、シート100間に電極101が介在する都合上、その他のシート部分(図の左右端部分)よりも凸となる。
【0007】
こうした凸のままグリーンシートの焼結を行うと、焼結後の完成品(積層セラミック電子部品)にも凸形状が残ることから、通常は、凸形状がなくなりほぼ平となるように積層方向に押圧処理に処される。この押圧の際、セラミックグリーンシートは、電極端部周縁部(エッジ)で、押圧による曲がりを起こす。こうしたエッジでの曲がりの様子は、セラミックグリーンシートのシートの延びの程度でほぼ定まる。一般に、積層セラミックコンデンサでは、コンデンサ機能の向上のため、セラミックグリーンシートをその厚みが約5μm程度と薄くするので、シートの延びに余裕が無い。このため、上記のエッジでの曲がり箇所をシートの延びではカバーできず、エッジでクラックを発生させてしまう虞がある。こうしたクラックは、焼結時の際の割れや電子部品機能の低下をもたらすことから、クラック発生を防止することが好ましいものの、上記の特許文献を始めとする従来のものでは、こうしたクラック回避に対して対策が十分ではなく改善の余地が残されていた。なお、こうしたクラック発生は、セラミックグリーンシートを用いる場合に限られるものではなく、熱硬化性樹脂シートを用いた積層電子部品においても起き得るものである。
【0008】
また、セラミックグリーンシートを用いたものでは、次のような特有の問題も指摘されるに到った。
積層セラミックコンデンサでは、セラミックグリーンシートを介在して位置する電極間を導通させる都合上、積層状のセラミックグリーンシートの状態で或いは焼結後において、積層方向に貫通する貫通孔を形成し、その貫通孔に導電材料を充填させている。なお、上記の特許文献では、この導電材料充填に関して詳しく述べられている。
【0009】
ところで、上記した貫通孔の形成には、メカパンチやドリルを用いた孔形成手法の他、レーザー照射による熱溶融を利用した孔形成手法があるが、多数の貫通孔を必要とする製品においては生産効率の観点から後者の手法が多用されている。
【0010】
積層セラミック電子部品に形成した貫通孔には、上記特許文献でも示されているように、導電材料が充填されるので、充填のしやすさや確実性の観点から、貫通孔はできるだけストレートな形状であることが望ましい。しかしながら、レーザー照射による貫通孔形成手法では、貫通孔が中央部分で中膨れする現象が起きることが判明した。こうした現象は、次のような原因で起きると予想される。
【0011】
貫通孔はレーザー照射による熱溶融が進んで孔が深くなることで形成される。積層シートの積層の途中部位では、周囲がシート(セラミックグリーンシート)および電極で取り囲まれていることから、貫通孔形成過程で熱がこもる。シートと電極層では、通常、電極層の方が低融点であることから、電極層が先に熱溶融する。シートを構成するセラミックは、通常、電極層より高融点であるが、バインダ等の有機成分が消失するため脆くなる。各層のシートそれぞれは約数μm〜十数μm程度の厚みしかないので、電極層がなくなることにより非常に加工されやすい状態となり、上記したような貫通孔の中膨れが起きると考えられる。
【0012】
本発明は、上記問題点を解決するためになされ、積層電子部品の製造に際してのシート積層に伴うクラックの回避の信頼性を高めることを目的とし、特にセラミック層を絶縁層とする積層電子部品にあってはレーザー照射により形成する貫通孔形状をストレート形状に近づけることも併せてその目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
かかる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の積層電子部品は、電極層を絶縁層を介して複数積層させた積層電子部品であって、
前記絶縁層のうち、少なくとも一の絶縁層は、他の絶縁層より厚みが厚くされ、
該厚みの厚い絶縁層は、電極層積層箇所の上下端を除く積層途中部位に位置する、ことをその要旨とする。
【0014】
上記構成を有する本発明の積層電子部品では、厚みの厚い絶縁層(以下、説明の便宜上、厚肉絶縁層と称する)を電極層積層箇所の上下端を除く積層途中部位に位置させる。この厚肉絶縁層は、厚肉である都合上、シートの延びに余裕がある。従って、積層電子部品の製造に際してシート積層がなされて積層方向に押圧されると、シートの延びに余裕のある厚肉絶縁層にて積層時の圧縮によるシート延びを大きなものとし、他の絶縁層でのシート延びを小さくできる。この結果、押圧に伴う他の絶縁層の曲げを少なくできるので、曲げ部分のクラック回避の信頼性を高めることができる。
【0015】
上記の構成を有する本発明の積層電子部品は、種々の態様で実現される。例えば、絶縁層と電極層の積層方向に沿って貫通孔を有するものとできるほか、更に、絶縁層をセラミック層とし、貫通孔をレーザー照射を経て形成したものとすることもできる。このように絶縁層をセラミック層とし、貫通孔をレーザー照射形成した積層電子部品では、次のような利点がある。なお、以下の説明では、厚肉絶縁層を厚肉セラミック層と称して説明する。
【0016】
電極層の積層途中部位に位置する厚肉セラミック層の部分にあっても、レーザー照射による貫通孔形成に際して、電極層の熱溶融によりレーザーの熱に晒されるが、厚みが厚い分だけセラミック層自体の熱溶融の進行は抑制される。つまり、厚肉セラミック層部分で、孔の膨らみが抑制されることになる。こうして厚肉セラミック層の熱溶融・孔の膨らみが抑制されている間にも、それより下方のセラミック層および電極層溶融が起きて貫通孔が形成される。この結果、積層電子部品全体としてみれば、これを貫通する貫通孔は、ストレートな孔形状に近似したものとなる。
【0017】
上記の構成を有する本発明の積層電子部品は、また別の態様で実現される。例えば、厚肉絶縁層を、前記他の絶縁層の略等倍〜約20倍の厚みを有するものとすることができる。こうすれば、厚肉絶縁層(厚肉セラミック層)のレーザー照射に伴う熱溶融をより確実に抑制でき、貫通孔形状をより確実にストレートなものとできる。この場合、電極層は一般に数十層積層されることから、厚肉絶縁層が他の絶縁層の約20倍程度の厚みであれば、積層電子部品で厚肉絶縁層が占める厚みの割合を著しく大きくしない。よって、不用意に電子部品の小型化を著しく阻害しない。
【0018】
また、厚肉絶縁層を、電極積層の略中央部位に位置するようにすることもできる。こうすれば、レーザー照射による貫通孔形成過程で熱が一番こもりやすいと予想される電極積層の略中央部位での孔の膨らみが抑制され、貫通孔形状のストレート化に好ましい。
【0019】
また、厚肉絶縁層を、電極積層厚みを略n分割(nは3以上の自然数、例えば、略3分割、略4分割・・・)するよう複数設けるようにすることもできる。こうすれば、それぞれの厚肉絶縁層で既述したシート延びの余裕によるシート曲げ・クラックの発生を回避できるので、より好ましい。しかも、それぞれの厚肉絶縁層で貫通孔の膨らみ抑制を図ることもできるので、積層電子部品全体としての貫通孔形状をより一層ストレートなものとでき好ましい。なお、この分割の上限は、積層電子部品の厚みを考慮して定めればよく、積層電子部品の厚みが約1mm程度であれば、電極積層厚みを略3〜5分割するようにすれば、クラック発生回避の信頼性向上と、十分な貫通孔のストレート化とを図ることができる。
【0020】
このように厚肉絶縁層を複数設けるに当たっては、それぞれの厚肉絶縁層の間には、当該厚肉絶縁層以上の厚みで、前記他の絶縁層と前記電極層とが交互に積層されていることが好ましい。こうすれば、厚肉絶縁層が複数存在しても、電極層がもたらす電子部品機能を著しく低下させないようにできる。
【0021】
上記した課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の製造方法では、電極層をセラミック層を介して複数積層させた積層電子部品を製造するに当たり、前記電極層の積層方向に前記セラミックおよび前記電極を貫通する貫通孔形成工程および焼結工程とに先だって、次の工程を実行する。
【0022】
まず、前記電極層を表面に備える第1セラミックグリーンシートを、複数層積層する(工程(a))。次いで、前記第1セラミックグリーンシートより厚みの厚い第2セラミックグリーンシートを、複数層積層済みの前記第1セラミックグリーンシートに重ねる(工程(b))。この第2セラミックグリーンシートは、焼成後に本発明の積層電子部品における厚みの厚い絶縁層(厚肉セラミック層)となる。
【0023】
この後に、前記第1セラミックグリーンシートを前記第2セラミックグリーンシートに重ねて複数層積層する(工程(c))。こうすることで、第2セラミックグリーンシートを挟んでその上下に、電極層を有する第1セラミックグリーンシートが複数層積層された状態となる。よって、その後に、貫通孔形成工程の一手法としてレーザー照射を行えば、第2セラミックグリーンシートでは厚みが厚い分だけレーザー照射に伴う熱溶融が抑制され、貫通孔形状のストレート化をもたらすことができる。この場合、上下の第1セラミックグリーンシートの積層を同程度とすれば、第2セラミックグリーンシートが電極積層の略中央部位に位置した積層電子部品とできる。なお、レーザー照射工程は、焼結工程後に行うようにすることもできる。
【0024】
上記の構成を有する本発明の積層電子部品の製造方法は、種々の態様で実現される。例えば、工程(a)〜(c)に続いて、前記工程(b)と工程(c)を2回以上繰り返せば、第1セラミックグリーンシートの積層部分、第2セラミックグリーンシート、第1セラミックグリーンシートの積層部分、第2セラミックグリーンシート、第1セラミックグリーンシートの積層部分というように順次これらが積層される。よって、工程(b)、(c)の繰り返しの際に、電極層を有する第1セラミックグリーンシートの積層を同程度とすれば、複数の第2セラミックグリーンシートで電極積層厚みを略3分割、4分割等した積層セラミック電子部品とできる。
【0025】
こうした本発明の製造方法における工程(b)では、その第2セラミックグリーンシートは、前記第1セラミックグリーンシートの略等倍〜約20倍の厚みを有するものとできる。また、第2セラミックグリーンシートを電極層を表面に備えたものとすることもできる。この場合、第2セラミックグリーンシートが第1セラミックグリーンシートと略等倍の厚みであると、厚みの厚いシート部分ができない。よって、第2セラミックグリーンシートが電極層を有する場合には、第2セラミックグリーンシートを第1セラミックグリーンシートの約2倍〜約20倍の厚みとすればよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の手順で説明する。なお、この実施例は、絶縁層をセラミックで形成した積層セラミックコンデンサについてのものである。
A.実施例
A−1.積層セラミックコンデンサ10の全体構成
A−2.積層セラミックコンデンサ10の製造工程
A−3.作用効果
B.変形例
【0027】
A.実施例:
A−1.積層セラミックコンデンサ10の全体構成:
図1は本発明の一実施例である積層セラミックコンデンサ10の縦断面を示す説明図である。
【0028】
積層セラミックコンデンサ10は、後述するようにセラミックグリーンシートの積層を経て製造されるが、焼成を経ると各シートは焼結一体化する。図1はこの焼結後の様子を示している。この図1に示すように、積層セラミックコンデンサ10は、導電性金属からなる電極層24をセラミック中に複数積層させている。電極層24の間隙にはセラミックが介在し、当該間隙部分のセラミックは、電極層24間の誘導体(絶縁層)として機能するセラミック層となる。本実施例では、このセラミック層は、図示するように電極積層のほぼ中央位置にある厚肉部分の厚肉セラミック層23と、当該セラミック層より薄いセラミック層22とされている。
【0029】
各電極層24は、一層おきに、外部から電圧を供給するビア電極28に導通されている。従って、ビア電極28から各電極層24に電圧を加えると、誘電体であるセラミック層22を介在して対向する電極層24では、一方に正の電荷の蓄積が、他方に負の電荷の蓄積が起こる。こうした現象が対向する各電極で起き、積層セラミックコンデンサ10はコンデンサとして機能する。しかも、この積層セラミックコンデンサ10では、上記のような電荷の蓄積が起きる部位が多層に亘ることから、積層セラミックコンデンサ10によれば、小型で大きな静電容量を有するコンデンサを提供することができる。
【0030】
A−2.積層セラミックコンデンサ10の製造工程:
図2は積層セラミックコンデンサ10の製造工程を示す工程図、図3は図2の工程の様子を説明する説明図である。積層セラミックコンデンサ10は、この図2のステップS100〜S180の各工程を経て製造される。各工程の内容につき、以下、工程順に説明する。
【0031】
A−2−1.キャリアフィルム上へのシート形成(ステップS100):
まず、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等の長尺状のキャリアフィルムにチタン酸バリウムなどから成るセラミックスラリを均一に薄く塗布して乾燥させる。これにより、キャリアフィルム上にセラミックグリーンシート22aが形成される。このセラミックグリーンシート22aは、焼成後にセラミック層22となる。
【0032】
A−2−2.シート上への電極層の形成(ステップS110):
次に、乾燥後のセラミックグリーンシート22aに、スクリーン印刷手法などによってAg−Pd製の電極パターンを印刷する。これにより、セラミックグリーンシート22aの表面には、電極パターンが印刷された部分に電極層24が形成される。また、セラミックグリーンシート22aの表面には、電極パターンが印刷されていない部分もあり、この電極層24が形成されていない部分のことを窓部25という(図3を参照)。本実施例では、電極層24の厚みが約2〜3μm、セラミックグリーンシート22aが約5μmとなるようにされている。
【0033】
A−2−3.積層用セラミックシートの切り出しおよびキャリアフィルムの剥離(ステップS120、S130):
次に、上記のセラミックグリーンシート22aが形成された長尺状のキャリアフィルムを搬送させながらセラミックグリーンシート22aを、その表面の電極層24と共に一定形状で切り出す。切り出したセラミックグリーンシート22aは、キャリアフィルムの巻き取り等によりこのキャリアフィルムから剥離される。こうしたセラミックグリーンシート22aの切り出しに際しては、図3(A)、(B)に示すように、電極層24および窓部25のレイアウトが異なる2種類のセラミックグリーンシート22aの切り出しが行われる。
【0034】
こうした2種類のセラミックグリーンシート22aの切り出しと並行して、電極層を有さずその厚みが厚くされた厚肉セラミックグリーンシート23aをセラミックグリーンシート22aと同一形状での切り出しを行う(図3(C)参照)。この厚肉セラミックグリーンシート23aは、焼成後に積層セラミックコンデンサ10における厚肉セラミック層23となる。この場合、厚肉セラミックグリーンシート23aの厚みdは、セラミックグリーンシート22aの厚みd0(約5μm)の略等倍〜約20倍の厚みとされ、本実施例では、厚みdを約50μmとした。つまり、本実施例では、厚肉セラミックグリーンシート23aの厚みdをセラミックグリーンシート22aの厚みd0(約5μm)の約10倍とした。
【0035】
厚肉セラミックグリーンシート23aの厚みdの設定に際しては、積層セラミックコンデンサ10におけるセラミックグリーンシート22aの厚みやその積層数を考慮すればよい。上記したように、セラミックグリーンシート22aを約5μmの厚みdとした場合には、厚肉セラミックグリーンシート23aを厚みdの略等倍〜約20倍(約5〜約100μm)の厚みとすれば、後述する効果(貫通孔のストレート化)を得ることができたことが確認された。そして、厚肉セラミックグリーンシート23aがこの厚みd0の下限値約5μmより薄いと、貫通孔のストレート化にやや不十分な点が観られ、厚みd0の上限値約100μm以下であれば、積層セラミックコンデンサ10を不用意に厚くしないので好ましい。こうしたことを考慮すると、セラミックグリーンシート22aを約5μmの厚みdとした場合、厚肉セラミックグリーンシート23aはその厚みd0が厚みdの約4倍〜約20倍の約20〜約100μmとすることが好ましい。なお、セラミックグリーンシート22aの厚みdに応じて厚肉セラミックグリーンシート23aの厚みd0を適宜変更することができる。
【0036】
A−2−4.セラミックシートの積層(ステップS140):
図4はシートの積層が完了したときの状況と後述するステップにおけるレーザー照射の様子を模式的に表す説明図である。
次に、上記のように形成された複数枚のセラミックグリーンシート22aと厚肉セラミックグリーンシート23aとを積層する。この積層に際しては、まず、ダミーシート34を予め敷設しておく。このダミーシート34は、PET(ポリエチレンテレフタレート)製の剥離シート33上にセラミックスラリを厚めに塗布して乾燥させて形成したベースセラミック層32を有する。
【0037】
続いて、敷設されたダミーシート34のベースセラミック層32上に、図3(A)、(B)に示した二種類のセラミックグリーンシート22aを図4に示すように交互にm層(mは20〜200の正数)積層する。この積層に際しては、図示するように、最下段のセラミックグリーンシート22aをその電極層24がベースセラミック層32に接するようにし、その後は、次のセラミックグリーンシート22aをその電極層24が積層済みのセラミックグリーンシート22aに重なるようにする。
【0038】
こうしたm層の積層に続いては、図3(C)に示す厚肉セラミックグリーンシート23aを積層済みのセラミックグリーンシート22aに重ねる。次に、図3(A)、(B)に示した二種類のセラミックグリーンシート22aを、上記したようにm層交互に積層する。こうすることで、2m層のセラミックグリーンシート22aがその半分のm層ずつ厚肉セラミックグリーンシート23aで仕切られたセラミックシート積層体ができあがる。
【0039】
この積層体では、厚肉セラミックグリーンシート23aの上下でセラミックグリーンシート22aの積層数が同じであることから、厚肉セラミックグリーンシート23aは、上記積層体における2m層の電極積層の略中央部位に位置することになる。この場合、厚肉セラミックグリーンシート23aの上下でセラミックグリーンシート22aの積層数を異なるようにすることもでき、こうすれば、積層数の相違に応じて、厚肉セラミックグリーンシート23aの位置を変更することができる。
【0040】
ダミーシート34を含むセラミックシート積層体全体の厚みdaは、完成品の積層セラミックコンデンサ10の厚みを規定する。この厚みdaを定めるセラミックグリーンシート22aの厚みd0やその総積層数2m、厚肉セラミックグリーンシート23aの厚みd、ダミーシート34の厚みは、所望される積層セラミックコンデンサ10のスペック、サイズで定まる。本実施例では、セラミックシート積層体全体の厚みdaを約1mmとした。
【0041】
こうして積層が終わった状況では、グリーンシートである都合上、窓部25においてその上部のグリーンシートが撓んで当該窓部にある程度入り込んでいる。
【0042】
A−2−5.レーザー照射による貫通孔の形成(ステップS150):
次に、レーザー加工機を用いて、上記の積層体に導電材料充填用の貫通孔26を次のようにして形成する。本実施例では、この貫通孔26に充填された導電材料は、製品完成後に図1に示すビア電極28となる。
図4に示すように、上記の積層体では、セラミックグリーンシート22aに設けられたそれぞれの窓部25が、一層おきにシート積層方向に上下に並ぶ。レーザー加工機は、この上下に並んだ窓部25の中心を結ぶ軸線(図4における一点鎖線)に沿ってレーザービーム50を照射する。これにより、上記軸線上に位置するセラミックグリーンシート22a、電極層24、厚肉セラミックグリーンシート23aおよびダミーシート34がレーザー照射による熱で溶融され、上記軸線の周囲に、積層体を上下に貫通する貫通孔26が形成される。図5は貫通形成された貫通孔26をその形状がストレート状であると仮定して模式的に示す説明図である。この図5に示すように、貫通孔26は、窓部25を取り囲む電極層24と貫通孔26に充填形成されたビア電極28とを非導通の状態に維持するために、窓部25よりも小さな孔径で形成される。
【0043】
図4に示すシート積層体は、上面視すれば方形形状であるため、窓部25をマトリックス状に有する。従って、上記のレーザービーム50の照射は、図5に示した4箇所のみならず、方形形状のシート積層体の上面から、マトリックス状の個々の窓部25について、同様に行なわれる。このため、シート積層体には多数の貫通孔26がマトリックス状に形成されることになる。
【0044】
このようにシート積層体の異なる複数の位置に貫通孔26を形成する手法として、本実施例では、いわゆるサイクル加工法を採用している。サイクル加工法は、図4に示すように、各貫通孔形成位置に順次にレーザービーム50を照射する工程CYを何回か繰り返し、各貫通孔形成位置における穴の深さを徐々に深めながら、最終的に全ての貫通孔形成位置に貫通孔を形成する手法である。
【0045】
本実施例では、厚肉セラミックグリーンシート23aを介在させる分だけ貫通孔深さが深くなるので、一回当たりのエネルギを一定とした上で、ショット数を多くすることとした。
【0046】
上記したステップS150までの工程において、工程の前後を変更することもできる。例えば、ステップS130のキャリアフィルム剥離とステップS140のシート積層を逆に行ったり、ステップS120のシート切り出しをステップS110の配線層の形成に先だって行うこともできる。なお、ステップS120とステップS110の順に工程を行って、更にステップS140、ステップS130の順に工程を行うようにすることもできる。
【0047】
A−2−6.貫通孔への導電材料の充填(ステップS160):
次に、シート積層体の各貫通孔26に導電材料を充填する。充填された導電材料は、貫通孔26内から電極層24にまで達して固化する。このように固化した導電材料が、既述したビア電極28として機能する(図1参照)。
【0048】
A−2−7.本圧着・表面電極の形成(ステップS170):
次に、こうして得られたシート積層体に図示しないベースセラミック層を、ダミーシート34と反対側に接触させ、これらを高温・高圧プレスによって圧着する。こうした圧着により、シート積層体に含まれるそれぞれのセラミックグリーンシート22aおよび厚肉セラミックグリーンシート23aは、ダミーシート34と上記のベースセラミック層で挟まれた状態で、互いに密着する。また、窓部25にあっては、その上下のグリーンシートが押圧されて窓部内に入り込み、窓部25はほぼ埋まることになる。
【0049】
続いて、シート積層体の表面のダミーシート34から剥離シート33を剥離する。こうした剥離により、シート積層体は、剥離シート33内で固化した部分のビア電極28を外部に突出させる。本実施例では、ビア電極28の突出した部分を、電池等の供給電源に接続される表面電極として機能させているが、表層印刷などにより別途表面電極を設けても良い。
【0050】
A−2−8.溝入れ・脱脂・焼成・ブレーク(ステップS180):
次に、積層体に、使用される積層セラミックコンデンサ10の大きさに合わせて溝を入れ、溝入れ後の積層体を脱脂した後に焼成する。こうした焼成の後に、図1に示したようなセラミックコンデンサ10が形成される。なお、焼成後の積層体を、溝入れ工程において入れられた溝(図示せず)に沿ってブレークすれば、より小型のセラミックコンデンサ10を形成することができる。
【0051】
A−3.実施例の作用効果:
以上説明した製造工程を取ることで得られる効果について図面を用いて説明する。
図6は本実施例の奏する効果を従来のものと比較して模式的に示す説明図である。
貫通孔26の形成過程では、既述したようにレーザービーム50が孔形成箇所に繰り返し照射され、その都度、孔深さは増していく。今、図6(A)に示すように厚肉セラミックグリーンシート23aの周辺にレーザービーム照射が達しつつある状況を想定する。
【0052】
Ag−Pdの電極パターンである電極層24は、セラミックグリーンシート22aや厚肉セラミックグリーンシート23aに比して低融点であるので、レーザービーム照射に伴う熱により、その端面24aから先に溶融する。この溶融の様子は図中に波線矢印で示されており、端面24aは貫通孔26の形成箇所から後退する。一方、シートはバインダ等の有機成分が消失するため脆くなり、電極層が無くなることのよりわずか5μmのシートは非常に加工されやすい状態となる。このように、電極層24,セラミックグリーンシート22aが順次加工されていくことにより、セラミックグリーンシート22aの端面は、貫通孔26の形成箇所から比較的大きく後退する。
【0053】
セラミックグリーンシート22aや厚肉セラミックグリーンシート23aも同様にバインダ等の有機成分が消失するが、厚肉セラミックグリーンシート23aでは厚みが厚いためにある程度の強度を維持し、貫通孔の中膨れが抑制される。
【0054】
また、厚肉セラミックグリーンシート23aは、既述したようにシート積層体におけるほぼ中央位置にあるので、レーザービーム照射の過程で熱がこもりやすい。よって、図6(B)の従来品では、このこもった熱によるセラミックグリーンシート22aおよび電極層24の溶融が更に進むので、貫通孔26の中膨れを引き起こす。ところが、図6(A)の実施例品では、厚肉セラミックグリーンシート23aが厚肉であることから、こうした溶融は抑制され、中膨れも抑制されることになる。こうして厚肉セラミックグリーンシート23aでの熱溶融・孔の膨らみが抑制されている間にも、それより下方ではセラミックグリーンシート22aおよび電極層24の熱溶融が起きて貫通孔26が形成される。
【0055】
上記のように貫通孔26を形成した実施例品および従来品を焼成後に切断して、貫通孔26の孔形状を顕微鏡にて観察したところ、貫通孔26の中央部分で、従来品では中膨れが明らかに起きているのに対し、実施例品では中膨れの程度は少なかった。また、この実施例品では、厚肉セラミックグリーンシート23aの上下にある多層のセラミックグリーンシート22aの積層部分で僅かに中膨れがあったものの、従来品における貫通孔中央部近辺の中膨れに比せばその程度は十分に小さかった。そして、シート積層体(完成品としての積層セラミックコンデンサ10)として見れば、その上端から下端までに亘る貫通孔26の孔形状は、実用上、ストレート形状に近似したものであった。
【0056】
また、本実施例によれば、厚肉セラミックグリーンシート23aを有することで、既述したステップS170の本圧着の際に、次のような利点もある。
まず、本実施例での本圧着の様子について説明する。この本圧着では、高温・高圧プレスを行う際にシート積層体を方形の加圧容器に入れ約59MPa(約600kgf/cm2)の条件で高圧プレスされ、押圧板を経て加熱(約80℃)される。加圧容器は、シート積層体の方形形状を崩さないように機能すると共に、積層体側面からのエア抜きも行う。
【0057】
こうした本圧着を行うと、既述したように窓部25および電極パターン端部において上下のグリーンシートが押圧されて入り込む。図7は本圧着時の窓部25および電極パターン端部におけるセラミックグリーンシート22aの様子を誇張して模式的に示す説明図、図8はセラミックグリーンシート22aと厚肉セラミックグリーンシート23aを有する場合の窓部25および電極パターン端部におけるグリーンシートの様子を誇張して模式的に示す説明図である。
【0058】
図示するように、電極層24とセラミックグリーンシート22aは交互に積層しているものの、窓部25が上下に並んだ箇所では、窓部25が空隙を残しているのに対し、窓部間では、こうした空隙はない。また、電極パターン端部では、シート積層の各層において電極層24が存在しないので、シートごとに空隙を残した状態となる。よって、本圧着前のシート積層体では、窓部間では窓部25形成箇所に比べて若干の盛り上がりがあり、電極パターン端部では電極層24の存在する箇所と電極パターンが無いシート端部とではその盛り上がりの差が顕著となる。こうした状態で本圧着を行うことで、セラミックグリーンシート22aと電極層24とは、窓部25および電極パターン端部にセラミックグリーンシート22aが入り込んだ状態で密着する。
【0059】
この際、窓部25の周縁部(エッジ)では、窓部25に入り込むセラミックグリーンシート22aに押圧による曲がりが起きる。また、電極パターン端部では、上記した盛り上がりが顕著なことにより、窓部25の周縁部に比して大きな押圧による曲がりが起きる。こうした窓部エッジおよび電極パターン端部での曲がりの様子は、セラミックグリーンシート22aのシートの延びの程度でほぼ定まり、シート延びに余裕があれば、窓部エッジおよび電極パターン端部での曲がりをシートの延びではカバーしてその曲がり箇所に不用意にクラックを発生させることはない。
【0060】
しかしながら、図6(B)に示したようなセラミックグリーンシート22aのみを用いた従来品では、セラミックグリーンシート22aは、その厚みが約5μm程度と薄いことからシートの延びに余裕が無い。このため、窓部エッジおよび電極パターン端部での曲がり箇所をシートの延びではカバーできず、窓部エッジ或いは電極パターン端部でクラックを発生させてしまうことがあり、クラック回避の信頼性が十分とはいえない。こうしたクラックは、焼結時の際の割れや電子部品機能の低下をもたらすことから、クラック発生を防止することが好ましい。
【0061】
その一方、厚肉の厚肉セラミックグリーンシート23aを介在させた本実施例品では、この厚肉セラミックグリーンシート23aのシート延びに余裕がある。本圧縮は方形加圧容器内で行われることから、厚肉セラミックグリーンシート23aは、外形方向のシート延びが物理的に制約された状況でシート延びを起こす。つまり、厚肉セラミックグリーンシート23aは、自身の圧縮を起こしつつ、その分のシート延びを、図8に示すように、空隙がある窓部25および電極パターン端部への入り込みに代える。このため、窓部25および電極パターン端部におけるセラミックグリーンシート22aの曲げも少なくて済むので、上記したクラック回避の信頼性を高めることができる。
【0062】
また、上記実施例の積層セラミックコンデンサ10の製造工程では、焼成前のシート積層体に対して貫通孔26を形成するようにした。これにより、未焼結のセラミックグリーンシート22aや厚肉セラミックグリーンシート23aをレーザービーム50により熱溶融すればよい。このため、少ない照射量で貫通孔26を形成することができる。
【0063】
B.変形例:
以上、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【0064】
図9は第1変形例の積層セラミックコンデンサ10Aを模式的に示す説明図である。
図示するように、この変形例では、厚肉セラミック層23は、電極層24全体の積層厚みを略3分割するように、2箇所形成されている。この変形例の積層セラミックコンデンサ10Aによれば、それぞれの厚肉セラミック層23を形成するための厚肉セラミックグリーンシート23aにおいて、既述したような貫通孔26の膨らみ抑制を図ることができる。よって、積層セラミック電子部品全体としての貫通孔形状をより一層ストレートなものとできる。この場合、厚肉セラミックグリーンシート23aによる分割の上限は、積層セラミックコンデンサ10Aの厚みを考慮して定めればよく、積層セラミック電子部品の厚みが約1mm程度であれば、電極積層厚みを略3〜5分割するようにすれば、十分な貫通孔のストレート化を図ることができる。
【0065】
この変形例の積層セラミックコンデンサ10Aの製造に際しては、図2に示すステップS140までで、最下層部領域についてセラミックグリーンシート22aの積層と厚肉セラミックグリーンシート23aの重ね合わせと、その上へのセラミックグリーンシート22aの積層とを行い、その後に、厚肉セラミックグリーンシート23aを再度重ね合わせ、続いて最上層部領域についてセラミックグリーンシート22aを積層すればよい。こうすれば、図9に示すような厚肉セラミック層23で電極積層厚みを略3分割した積層セラミックコンデンサ10Aを容易に製造できる。
【0066】
また、次のように変形することもできる。
図10は他の変形例で用いるセラミックグリーンシート22aと厚肉セラミックグリーンシート23aを示す説明図である。
図示するように、この変形例では、厚肉セラミックグリーンシート23aは、その表面にスクリーン印刷手法等により電極層24を備え、窓部25を形成する点でセラミックグリーンシート22aと同じである。こうした厚肉セラミックグリーンシート23aを用いても、既述した製造工程を経て図1に示す積層セラミックコンデンサ10を容易に製造できる。
【0067】
なお、このように電極層24を有する厚肉セラミックグリーンシート23aを用いる場合には、その厚みdをセラミックグリーンシート22aの約2倍〜20倍とすることが好ましい。つまり、厚みdがセラミックグリーンシート22aの厚みd0の約2倍であれば、厚みが他の部分より厚い厚肉セラミック層23を確実に形成できる。
【0068】
また、上記の実施例では、レーザー照射に当たり、サイクル加工法を採用したが、レーザービームを連続的に照射するバースト加工法を採ることもできる。このバースト加工法でのレーザー照射によっても、貫通孔26の形状をよりストレート状にできる。
【0069】
また、上記実施例では、積層セラミックコンデンサを例としてその製造工程について説明したが、上記の製造工程を積層セラミックコンデンサ以外の他の積層電子部品に適用することも可能である。例えば、上記の製造工程を積層セラミックインダクタに適用した場合にあっても、クラック回避の信頼性を高めることができる。
【0070】
また、上記の実施例および変形例では、貫通孔を有するものについて説明したが、貫通孔を有しない積層電子部品について適用することができる。図11はまた別の変形例の積層セラミックコンデンサ10Bを説明するための説明図である。
【0071】
図示するように、この積層セラミックコンデンサ10は、電極層24をセラミック層22を介して複数積層させており、電極積層のほぼ中央位置に厚肉セラミック層23を有する点で上記の実施例と異なるものではないが、一層おきの電極層同士を、積層体外縁に装着された導電性の外部導通金具40で導通させている点で相違する。つまり、この変形例の積層セラミックコンデンサ10Bは、貫通孔を有しない。そして、この変形例にあっても、これらセラミック層を形成するための第1、第2のセラミックグリーンシート積層に際しては、図中中央部分が図12に示したように凸状となるが、積層途中に位置する厚肉セラミック層23(厚肉セラミックグリーンシート23a)の有するシート延びの余裕に基づいて、上記実施例と同様、クラック回避の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である積層セラミックコンデンサ10の縦断面を示す説明図である。
【図2】積層セラミックコンデンサ10の製造工程を示す工程図である。
【図3】図2の工程の様子を説明する説明図である。
【図4】シートの積層が完了したときの状況と後述するステップにおけるレーザー照射の様子を模式的に表す説明図である。
【図5】貫通形成された貫通孔26をその形状がストレート状であると仮定して模式的に示す説明図である。
【図6】本実施例の奏する効果を従来のものと比較して模式的に示す説明図である。
【図7】本圧着時の窓部25および電極パターン端部におけるセラミックグリーンシート22aの様子を誇張して模式的に示す説明図である。
【図8】セラミックグリーンシート22aと厚肉セラミックグリーンシート23aを有する場合の窓部25および電極パターン端部におけるグリーンシートの様子を誇張して模式的に示す説明図である。
【図9】第1変形例の積層セラミックコンデンサ10Aを模式的に示す説明図である。
【図10】他の変形例で用いるセラミックグリーンシート22aと厚肉セラミックグリーンシート23aを示す説明図である。
【図11】また別の変形例の積層セラミックコンデンサ10Bを説明するための説明図である。
【図12】従来の積層電子部品の問題点を説明するための説明図である。
【符号の説明】
10…積層セラミックコンデンサ
10A…積層セラミックコンデンサ
22…セラミック層
22a…セラミックグリーンシート
23…厚肉セラミック層
23a…厚肉セラミックグリーンシート
24…電極層
24a…端面
25…窓部
26…貫通孔
28…ビア電極
32…ベースセラミック層
33…剥離シート
34…ダミーシート
40…外部導通金具
50…レーザービーム
Claims (11)
- 電極層を絶縁層を介して複数積層させた積層電子部品であって、
前記絶縁層のうち、少なくとも一の絶縁層は、他の絶縁層より厚みが厚くされ、
該厚みの厚い絶縁層は、電極層積層箇所の上下端を除く積層途中部位に位置する、積層電子部品。 - 請求項1記載の積層電子部品であって、
前記絶縁層と電極層とには、積層方向に沿って貫通形成された貫通孔を備える、積層電子部品。 - 請求項2記載の積層電子部品であって、
前記絶縁層はセラミック層とされ、
前記貫通孔をレーザー照射を経て形成した、積層電子部品。 - 請求項1ないし請求項3いずれか記載の積層電子部品であって、
前記厚みの厚い絶縁層は、前記他の絶縁層の略等倍〜約20倍の厚みを有する、積層電子部品。 - 請求項1ないし請求項4いずれか記載の積層電子部品であって、
前記厚みの厚い絶縁層は、電極積層の略中央部位に位置する、積層電子部品。 - 請求項1ないし請求項4いずれか記載の積層電子部品であって、
前記厚みの厚い絶縁層は、電極積層厚みを略n分割(nは3以上の自然数)するよう複数位置する、積層電子部品。 - 請求項6記載の積層電子部品であって、
前記n分割する部位に位置する前記厚みの厚い絶縁層の間には、前記厚みの厚いセラミックの厚み以上の厚みで、前記他の絶縁層と前記電極層とが交互に積層されている、積層電子部品。 - 電極層をセラミック層を介して複数積層させた積層電子部品の製造方法であって、
前記電極層の積層方向に前記セラミックおよび前記電極を貫通する貫通孔形成のための貫通孔形成工程および焼結工程とに先だって行う工程として、
前記電極層を表面に備える第1セラミックグリーンシートを、複数層積層する工程(a)と、
工程(a)の後に、前記第1セラミックグリーンシートより厚みの厚い第2セラミックグリーンシートを、複数層積層済みの前記第1セラミックグリーンシートに重ねる工程(b)と、
工程(b)の後に、前記第1セラミックグリーンシートを前記第2セラミックグリーンシートに重ねて複数層積層する工程(c)と、を備える、積層電子部品の製造方法。 - 請求項8記載の積層電子部品の製造方法であって、
前記工程(a)〜(c)に続いて、前記工程(b)と工程(c)を2回以上繰り返す、積層電子部品の製造方法。 - 請求項8または請求項9記載の積層電子部品の製造方法であって、
前記工程(b)における第2セラミックグリーンシートは、前記第1セラミックグリーンシートの略等倍〜約20倍の厚みを有する、積層電子部品の製造方法。 - 請求項8記載の積層電子部品の製造方法であって、
前記工程(b)における前記第2セラミックグリーンシートは、前記電極層を表面に備え、前記第1セラミックグリーンシートの約2倍〜約20倍の厚みを有する、積層電子部品の製造方法。
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