JP2004132782A - 車輪軸受装置の回転センサ取付構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】磁気リング12取り付け側の外方部材3の端部に形成した軸方向の張出部13に、回転センサ14のケース14aが半径方向に挿入される孔15を設けて、ケース14aの側面に、孔15の周縁面に押し当てられて挿入方向の位置決めをする鍔16を設けるとともに、孔15の内周面に対向する部位の側面の向きが異なる3箇所で、孔15の内周面に押圧される弓状の板ばね17を取り付けることにより、これらの板ばね17の孔15内周面に対する異なる3方向への押圧力で、ケース14aを孔15にガタつきなく固定し、かつ、修理や交換のために簡単に着脱できるようにした。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車輪の回転速度を検出する回転センサの車輪軸受装置への取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車の車輪軸受装置には、アンチロックブレーキシステム等の制御用に、車輪の回転速度を検出する回転検出装置が取り付けられたものがある。この回転検出装置は、車輪と一体に回転する回転部材側に取り付けられ、円周方向で磁気特性が交互に変化する磁気リングと、車体に固定される固定部材側に取り付けられ、磁気リングの回転に伴う磁界の変化によって車輪の回転速度を検出する回転センサとから成る。通常、磁気リングが車輪軸受装置の内方部材(内輪)側に取り付けられ、回転センサは外方部材(外輪)側に取り付けられることが多い。
【0003】
この回転センサは磁気リングに対向させてガタつかないように固定する必要があり、故障したときには、修理や交換のために簡単に着脱できることが望ましい。この要望に応えて、車輪軸受装置の回転センサ取付構造をクリップオン方式としたものが、特開平6−308145号公報、特開平9−263221号公報、特開2000−221203号公報等に記載されている。
【0004】
これらはいずれも、環状の支持部材を固定部材(固定輪)に取り付け、この支持部材または回転センサのケースに弾性変形部を設けて、回転センサのケースを支持部材にクリップオンするようにしている。特開平6−308145号公報に記載されたものでは、支持部材もクリップオン方式で固定部材に取り付け、着脱できるようにしている。後の2者は、支持部材を固定部材に固定し、回転センサのみを着脱するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のクリップオン方式の回転センサ取付構造は、環状の支持部材を介して回転センサを固定部材に取り付けているので、固定部材と支持部材間および支持部材と回転センサ間との2箇所に取付箇所が存在し、ガタつきが生じやすい問題がある。また、支持部材には、固定部材用と回転センサ用の取付部を別々に設ける必要があるので、支持部材が複雑で嵩張る形状となり、広い取付スペースを必要とするとともに、支持部材が高価なものになる問題もある。
【0006】
そこで、この発明は、回転センサをガタつきなく、固定部材に直接クリップオンできる車輪軸受装置の回転センサ取付構造を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明は、車体側に固定される外方部材の内周に複列の軌道面を設け、車輪と一体に回転する内方部材の外周に、前記外方部材の各軌道面と対向する軌道面を設けて、これらの対向する各軌道面間に転動体を介在させた車輪軸受装置に、前記車輪と一体に回転する内方部材側の一端側で、円周方向で磁気特性が交互に変化する磁気リングを内方部材の回転軸と同軸上に取り付け、この磁気リングの回転に伴う磁界の変化によって車輪の回転速度を検出する回転センサを、磁気リングに対向させて前記外方部材側に取り付けた車輪軸受装置の回転センサ取付構造において、前記磁気リング取り付け側の外方部材の端部に軸方向に張り出す張出部を形成し、この張出部に前記回転センサのケースが半径方向に挿入される孔を設けて、この孔に挿入される回転センサケースを挿入方向で位置決めする手段を設け、前記孔の内周面に対向する前記回転センサケースの側面に、その面の向きが異なる少なくとも3箇所で、前記対向する孔の内周面に押圧される弾性部材を設けて、これらの弾性部材の前記孔の内周面に対する異なる3方向への押圧力により、前記張出部の孔に挿入される回転センサケースを固定する構成を採用したものである。
【0008】
すなわち、磁気リング取り付け側の外方部材の端部に設けた軸方向の張出部に、回転センサのケースが半径方向に挿入される孔を設けて、この孔に挿入される回転センサケースを挿入方向で位置決めする手段を設けるとともに、孔の内周面に対向する回転センサケースの側面に、その面の向きが異なる少なくとも3箇所で、孔の内周面に押圧される弾性部材を設けることにより、これらの弾性部材の孔内周面に対する異なる3方向への押圧力で回転センサケースを張出部の孔に固定し、回転センサを固定部材である外方部材に、ガタつきなく直接クリップオンできるようにした。
【0009】
前記回転センサケースの挿入方向での位置決め手段としては、前記回転センサケースの側面に鍔を設け、この鍔を前記回転センサケースが孔に挿入される側の張出部の孔縁面に押し当てて位置決めする方法や、前記張出部の孔の内周面に、前記各弾性部材が弾性変形して嵌まり込む凹部を設け、この凹部に弾性変形した各弾性部材を嵌め込んで位置決めする方法を採用することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図6に基づき、この発明の実施形態を説明する。図1乃至図4は、第1の実施形態を示す。図1に示すように、この車輪軸受装置は、車体側への固定用フランジ1が設けられ、内周に複列の軌道面2が設けられた外方部材3と、車輪取り付け用フランジ4と車軸嵌合用スプライン孔5が設けられ、外周に各軌道面2と対向する複列の軌道面6が設けられた内方部材7と、各軌道面2、6間に介在させた複列の転動体8とで基本的に構成されている。なお、内方部材7のインボード側の軌道面6は、別体の内輪9に形成されている。
【0011】
前記複列の転動体8が介在する環状軸受空間の両端部はシール部材10、11でシールされ、インボード側のシール部材10に、円周方向で磁気特性が交互に変化する磁気リング12が取り付けられている。外方部材3には、インボード側端部で軸方向に張り出す環状の張出部13が形成され、磁気リング12の回転に伴う磁界の変化によって車輪の回転速度を検出する回転センサ14が取り付けられている。回転センサ14は、後述するように、張出部13に設けられた孔15にクリップオン方式で取り付けられている。
【0012】
図2に示すように、前記インボード側のシール部材10は、外方部材3側に取り付けられたシールリング10aと、内輪9側に取り付けられたスリンガ10bとから成り、磁気リング12はスリンガ10bに軸方向へ向けて取り付けられている。
【0013】
図2および図3に示すように、前記回転センサ14のケース14aと張出部13の孔15とは、丸みを帯びた矩形断面に形成され、ケース14aの側面には孔15の周縁面に押し当てられる鍔16が設けられている。また、ケース14aの孔15の内周面と対向する側面には、張出部13の周方向の反対側で対向する2箇所と、張出部13の軸方向外方側で対向する1箇所とに、弾性部材である弓状の板ばね17が、縦長の凹部18に係止されて縦向きに取り付けられている。各板ばね17は、自由状態で孔15の内周寸法よりも外側に突出するように設計されており、ケース14aが孔15に挿入されたときに、その弾性復元力で対向する孔15の内周面を押圧するようになっている。
【0014】
前記回転センサ14を張出部13に取り付ける際には、図4に示すように、ケース14aを孔15の断面に合わせて張出部13の外周側から挿入し、鍔16を孔15の周縁面に押し当てることにより、回転センサ14の検出面が磁気リング12と対向するように位置決めされる。このとき、3つの板ばね17が孔15の内周面に異なる向きで押圧され、各板ばね17の孔15内周面に対する異なる3方向への押圧力により、ケース14aがガタつきなく固定される。
【0015】
図5および図6は、第2の実施形態を示す。この車輪軸受装置の回転センサ取付構造の基本的な構成は、第1の実施形態のものと同じであり、前記回転センサ14のケース14aの挿入方向での位置決め方法のみが異なる。この実施形態では、ケース14aに鍔16がなく、その替わりに、張出部13の孔15の内周面に、前記各弓状の板ばね17が嵌まり込む上下に縦長で円弧状縦断面の溝19が、張出部13の周方向で対向する2箇所と、張出部13の軸方向外方側の1箇所とに設けられている。
【0016】
この回転センサ14を張出部13に取り付ける際には、第1の実施形態の場合と同様に、ケース14aを孔15の断面に合わせて張出部13の外周側から挿入することにより、各板ばね17が孔15の各溝19の上下方向位置に来たときに、各板ばね17が弾性変形して各溝19に嵌まり込み、回転センサ14の検出面が磁気リング12と対向するように位置決めされて、ケース14aがガタつきなく固定される。
【0017】
上述した各実施形態では、回転センサのケースを固定する弾性部材を弓状の板ばねとしたが、この弾性部材は実施形態のものに限定されることはなく、他のタイプのばねやゴム等の弾性部材とすることもできる。また、これらの弾性部材のケース側面への配置も、実施形態のものに限定されることはなく、張出部の孔の内周面に対する向きが異なる位置に、少なくとも3箇所で設ければよい。
【0018】
【発明の効果】
以上のように、この発明の車輪軸受装置の回転センサ取付構造は、磁気リング取り付け側の外方部材の端部に設けた軸方向の張出部に、回転センサのケースが半径方向に挿入される孔を設けて、この孔に挿入される回転センサケースを挿入方向で位置決めする手段を設けるとともに、孔の内周面に対向する回転センサケースの側面に、その面の向きが異なる少なくとも3箇所で、孔の内周面に押圧される弾性部材を設けたので、これらの弾性部材の孔内周面に対する異なる3方向への押圧力で、回転センサケースを張出部の孔にガタつきなく固定でき、かつ、修理や交換のために簡単に着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の車輪軸受装置の回転センサ取付構造を示す縦断面図
【図2】図1の要部拡大図
【図3】図2のIII −III 線に沿った断面図
【図4】図1の回転センサを取り付ける手順を説明する斜視図
【図5】第2の実施形態の車輪軸受装置の回転センサ取付構造の要部を拡大して示す縦断面図
【図6】図5のVI−VI線に沿った断面図
【符号の説明】
1 フランジ
2 軌道面
3 外方部材
4 フランジ
5 スプライン孔
6 軌道面
7 内方部材
8 転動体
9 内輪
10、11 シール部材
10a シールリング
10b スリンガ
12 磁気リング
13 張出部
14 回転センサ
14a ケース
15 孔
16 鍔
17 板ばね
18 凹部
19 溝
Claims (3)
- 車体側に固定される外方部材の内周に複列の軌道面を設け、車輪と一体に回転する内方部材の外周に、前記外方部材の各軌道面と対向する軌道面を設けて、これらの対向する各軌道面間に転動体を介在させた車輪軸受装置に、前記車輪と一体に回転する内方部材側の一端側で、円周方向で磁気特性が交互に変化する磁気リングを内方部材の回転軸と同軸上に取り付け、この磁気リングの回転に伴う磁界の変化によって車輪の回転速度を検出する回転センサを、磁気リングに対向させて前記外方部材側に取り付けた車輪軸受装置の回転センサ取付構造において、前記磁気リング取り付け側の外方部材の端部に軸方向に張り出す張出部を形成し、この張出部に前記回転センサのケースが半径方向に挿入される孔を設けて、この孔に挿入される回転センサケースを挿入方向で位置決めする手段を設け、前記孔の内周面に対向する前記回転センサケースの側面に、その面の向きが異なる少なくとも3箇所で、前記対向する孔の内周面に押圧される弾性部材を設けて、これらの弾性部材の前記孔の内周面に対する異なる3方向への押圧力により、前記張出部の孔に挿入される回転センサケースを固定するようにしたことを特徴とする車輪軸受装置の回転センサ取付構造。
- 前記回転センサケースの挿入方向での位置決め手段が、前記回転センサケースの側面に鍔を設け、この鍔を前記回転センサケースが孔に挿入される側の張出部の孔縁面に押し当てて位置決めするものである請求項1に記載の車輪軸受装置の回転センサ取付構造。
- 前記回転センサケースの挿入方向での位置決め手段が、前記張出部の孔の内周面に、前記各弾性部材が弾性変形して嵌まり込む凹部を設け、この凹部に弾性変形した各弾性部材を嵌め込んで位置決めするものである請求項1に記載の車輪軸受装置の回転センサ取付構造。
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2002
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