JP2004131545A - アクリルゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)(メタ)アクリル酸エステル単量体単位80〜99.9重量%およびα,β―エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位0.1〜20重量%からなるアクリルゴム100重量部に対して、(B)合成シリカ5〜200重量部、(C)Al2 O3 の含有率が5重量%以上で、且つ、SiO2 の含有率およびAl2 O3 の含有率の合計が60重量%以上である珪酸アルミニウム5〜200重量部ならびに(D)架橋剤0.05〜20重量部を配合してなるアクリルゴム組成物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリルゴム組成物に関し、詳しくは貯蔵安定性が高く、機械的特性、耐熱性および耐圧縮永久歪み特性に優れる架橋物を与えるアクリルゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリルゴムは、耐熱性、耐油性に優れているため、自動車関連の分野などで広く用いられている。しかし、最近ではシール材、ホース材、防振材、チューブ材、ベルト材またはブーツ材といった部材において、低圧縮永久歪み特性、耐熱性などに一層優れたアクリルゴムが強く要望されるようになっている。さらに、アクリルゴムには架橋前の組成物の粘度が貯蔵時に上昇して加工しにくくなるという貯蔵安定性の問題があり、その改善が要求されている。
また、アクリルゴムは上記長所を活かして着色して使用する用途に多用されるので、カーボンブラックに代えて白色充填剤(合成シリカ等の充填材、いわゆるホワイトカーボン)が使用されることが多い。ところが、白色充填剤はカーボンブラックに比して粒子の比表面積が小さい上にゴム重合体との相互作用が小さいため架橋物の機械的特性を低下させるので、白色充填剤配合アクリルゴム架橋物の機械的特性の改善も求められている。
【0003】
白色充填剤を配合したアクリルゴム架橋物の機械的特性を改善する試みとして、pHが6.5〜8.5で比表面積が約150m2 /g以上のシリカを使用することが提案された(特許文献1参照)。しかし、このアクリルゴム組成物の架橋物は圧縮永久歪みが必ずしも十分小さくない。また、貯蔵安定性および機械的特性の改善を目的として、ハロゲン含有アクリルゴムにトリアジンチオール架橋剤、ジチオカルバミン酸誘導体、ハイドロタルサイト、芳香族カルボン酸等と共に、pH2〜10の白色充填剤およびシランカップリング剤を配合するアクリルゴム組成物が開示された(特許文献2参照)。しかし、この組成物の貯蔵安定性は十分ではなかった。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−109302号公報
【特許文献2】
特開平10−53684号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、貯蔵安定性が高く、機械的特性、耐熱性および耐圧縮永久歪み特性に優れる架橋物を与えるアクリルゴム組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究した結果、カルボキシル基を架橋点に持つアクリルゴム、合成シリカ、および、SiO2 とAl2 O3 の含有率が特定である無機充填剤を含有するアクリルゴム組成物により上記目的が達成されることを見出し、この知見に基づいてさらに研究を進め、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、(A)(メタ)アクリル酸エステル単量体単位80〜99.9重量%およびα,β―エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位0.1〜20重量%からなるアクリルゴム100重量部に対して、(B)合成シリカ5〜200重量部、(C)Al2 O3 の含有率が5重量%以上で、且つ、SiO2 の含有率およびAl2 O3 の含有率の合計が60重量%以上である珪酸アルミニウム5〜200重量部ならびに(D)架橋剤0.05〜20重量部を配合してなるアクリルゴム組成物が提供される。
また、好ましい態様として、架橋剤が多価アミン化合物である上記アクリルゴム組成物、および、さらに、シランカップリング剤0.1〜10重量部を配合してなる上記アクリルゴム組成物が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明組成物に使用するアクリルゴム(A)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体〔アクリル酸エステル単量体または/およびメタクリル酸エステル単量体の意。以下、(メタ)アクリル酸メチルなど同様。〕単位80〜99.9重量%およびα,β―エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位0.1〜20重量%からなるゴムである。
【0008】
該アクリルゴム(A)の主成分である(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体などが挙げられる。
【0009】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、炭素数1〜8のアルカノールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸エチルおよび(メタ)アクリル酸n−ブチルが好ましい。
【0010】
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体としては、炭素数2〜8のアルコキシアルキルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチルなどが挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸2−エトキシエチルおよび(メタ)アクリル酸2−メトキシエチルが、特に、アクリル酸2−エトキシエチルおよびアクリル酸2−メトキシエチルが好ましい。
【0011】
アクリルゴム(A)中の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有量は、80〜99.9重量%、好ましくは90〜99.8重量%、より好ましくは95〜99.5重量%である。(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有量が少なすぎると、架橋物の耐候性、耐熱性および耐油性が低下するおそれがある。
【0012】
(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の内訳は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位30〜100重量%及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体単位70〜0重量%であることが好ましい。
【0013】
本発明に用いるアクリルゴム(A)は、α,β―エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を含有する。該単量体単位のカルボキシル基が、本発明組成物を架橋させる際の架橋点となる。重合反応により該単量体単位を形成する単量体としては、炭素数3〜12のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、炭素数4〜12のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸及び炭素数3〜11のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜8のアルカノールとのモノエステルが挙げられる。
【0014】
炭素数3〜12のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などが挙げられる。
炭素数4〜12のα,β−不飽和ジカルボン酸としては、フマル酸またはマレイン酸などのブテンジオン酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸などが挙げられる。
炭素数3〜11のα,β−不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜8のアルカノールとのモノエステルとしては、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル及びマレイン酸モノブチルなどのブテンジオン酸モノ鎖状アルキルエステル;フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘキセニル、マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル及びマレイン酸モノシクロヘキセニルなどの脂環構造を有するブテンジオン酸モノエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル及びイタコン酸モノブチルなどのイタコン酸モノエステル;フマル酸モノ−2−ヒドロキシエチル;等が挙げられる。なかでもブテンジオン酸モノ鎖状アルキルエステル又は脂環構造を有するブテンジオン酸モノエステルが好ましく、フマル酸モノブチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノシクロヘキシルおよびマレイン酸モノシクロヘキシルがより好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を併せて使用することができる。
尚、上記単量体のうち、ジカルボン酸は、無水物として共重合されていてもよく、架橋の際に加水分解してカルボキシル基を生成すればよい。
【0015】
アクリルゴム(A)中のα,β―エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位含有量は、0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%である。該単量体単位の量が少なすぎると架橋物の架橋密度が不十分で良好な機械的特性が得られなかったり、成形品の表面肌が滑らかさに欠けたりするおそれがあり、逆に多すぎると架橋物の伸びが低下したり圧縮応力歪みが増大したりする可能性がある。
【0016】
アクリルゴム(A)には、カルボキシル基以外の架橋点を有する単量体が共重合されていてもよい。このような単量体としては、ハロゲン原子、エポキシ基または水酸基を有する単量体;ジエン単量体;などが挙げられる。
【0017】
ハロゲン原子含有単量体としては特に限定されないが、例えば、ハロゲン含有飽和カルボン酸の不飽和アルコールエステル、(メタ)アクリル酸ハロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ハロアシロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸(ハロアセチルカルバモイルオキシ)アルキルエステル、ハロゲン含有不飽和エーテル、ハロゲン含有不飽和ケトン、ハロメチル基含有芳香族ビニル化合物、ハロゲン含有不飽和アミド、ハロアセチル基含有不飽和単量体などが挙げられる。
ハロゲン含有飽和カルボン酸の不飽和アルコールエステルとしては、クロロ酢酸ビニル、2−クロロプロピオン酸ビニル、クロロ酢酸アリル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸ハロアルキルエステルとしては、メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸1−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸1,2−ジクロロエチル、(メタ)アクリル酸2−クロロプロピル、(メタ)アクリル酸3−クロロプロピル、(メタ)アクリル酸2,3−ジクロロプロピル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸(ハロアセチルカルバモイルオキシ)アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−(クロロアセトキシ)エチル、(メタ)2−(クロロアセトキシ)プロピルアクリル酸、(メタ)アクリル酸3−(クロロアセトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸3−(ヒドロキシクロロアセトキシ)プロピル等が挙げられる。
【0018】
(メタ)アクリル酸(ハロアセチルカルバモイルオキシ)アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−(クロロアセチルカルバモイルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−(クロロアセチルカルバモイルオキシ)プロピル等が挙げられる。ハロゲン含有不飽和エーテルとしては、クロロメチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、3−クロロプロピルビニルエーテル、2−クロロエチルアリルエーテル、3−クロロプロピルアリルエーテル等が挙げられる。ハロゲン含有不飽和ケトンとしては、2−クロロエチルビニルケトン、3−クロロプロピルビニルケトン、2−クロロエチルアリルケトン等が挙げられる。ハロメチル基含有芳香族ビニル化合物としては、p−クロロメチルスチレン、p−クロロメチル−α−メチルスチレン、p−ビス(クロロメチル)スチレン等が挙げられる。ハロゲン含有不飽和アミドとしては、N−クロロメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。ハロアセチル基含有不飽和単量体としては、3−(ヒドロキシクロロアセトキシ)プロピルアリルエーテル、p−ビニルベンジルクロロ酢酸エステル等が挙げられる。
【0019】
エポキシ基含有単量体としては特に限定されないが、例えば、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルおよびエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エーテル等を挙げることができる。エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリルグリシジルエーテル等が、また、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エーテルとしてはアリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0020】
水酸基含有単量体としては特に限定されないが、例えば、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール等を挙げることができる。水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等を挙げることができる。水酸基含有(メタ)アクリルアミドとしてはN−メチロール(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
【0021】
ジエン単量体としては共役ジエン単量体および非共役ジエン単量体がある。共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、ピペリレンなどを挙げることができる。非共役ジエン単量体としては、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸2−ジシクロペンタジエニルエチル等を挙げることができる。
【0022】
これらのカルボキシル基以外の架橋点を有する単量体の中では、ハロゲン原子含有単量体又はエポキシ基含有単量体が好ましい。カルボキシル基以外の架橋点を与える単量体は、1種単独でまたは2種以上を併せて使用することができる。アクリルゴム(A)中のカルボキシル基以外の架橋点を与える単量体単位の量は、0〜5重量%が好ましく、0〜3重量%がより好ましい。
【0023】
また、本発明に用いるアクリルゴム(A)には、(メタ)アクリル酸エステル単量体、α,β―エチレン性不飽和カルボン酸単量体、必要に応じて用いられるカルボキシル基以外の架橋点を有する単量体の他に、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じてこれらと共重合可能な単量体が共重合されていてもよい。かかる単量体としては、芳香族ビニル単量体、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、アクリロイルオキシ基を2個以上有する単量体(多官能アクリル単量体)、その他のオレフィン系単量体などが挙げられる。かかる単量体単位のアクリルゴム(A)中の量は、好ましくは0〜49.9重量%、より好ましくは0〜20重量%である。
【0024】
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどが例示される。
多官能アクリル単量体としては、エチレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル、プロピレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステルなどが挙げられる。
その他のオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、アクリロニトリルおよびメタアクリロニトリルが好ましい。
【0025】
本発明組成物で使用するアクリルゴム(A)のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、好ましくは10〜90、より好ましくは20〜80、特に好ましくは30〜70である。ムーニー粘度が小さすぎると成形加工性や架橋物の機械的特性が劣る場合があり、大きすぎると成形加工性が劣る場合がある。
【0026】
本発明で使用するアクリルゴム(A)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体、必要に応じて用いられるカルボキシル基以外の架橋点を有する単量体、および、必要に応じて用いられるこれらと共重合可能な単量体などの単量体混合物を、公知の方法によって重合することにより製造することができる。重合法としては、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法及び溶液重合法のいずれも用いることができるが、重合反応の制御の容易性等から、常圧下での乳化重合法によるのが好ましい。
【0027】
本発明組成物で(B)成分として使用する合成シリカは、ゴム配合用の白色充填剤(いわゆるホワイトカーボン)として知られているものであり、湿式法で合成された含水ケイ酸と乾式法で合成された無水ケイ酸のいずれも使用できる。含水ケイ酸は沈降法シリカでもシリカゲルでもよく、無水ケイ酸は燃焼法によるシリカでも加熱法によるシリカでもよい。
【0028】
本発明で用いる合成シリカ(B)の平均粒径は、好ましくは7〜70nm、より好ましくは、10〜50nmである。
合成シリカ(B)のBET比表面積は、好ましくは200m2 /g以下、より好ましくは50〜190m2 /gである。
合成シリカ(B)のpHは、好ましくは9以下、より好ましくは5.0〜8.5である。ここでpHの測定は、JIS K 5101に規定の顔料のpH測定法に準じて、合成シリカ4重量%の水性懸濁液のpHを測定することにより求めることができる。
平均粒径が過度に小さいか、または比表面積が過度に大きいとゴム組成物の加工時の溶融粘度が高くなって成形品の表面が粗くなるおそれがあり、逆に平均粒径が過度に大きいか、または比表面積が過度に小さいと架橋物の引張強度が不十分になる可能性がある。また、pHが過度に低いと架橋物の耐熱性や耐圧縮永久歪み特性が低下する恐れがあり、逆に過度に高いと混練中に架橋反応を起こす可能性がある。
合成シリカ(B)としては、シランカップリング剤などで表面を親油化処理したものを使用してもよい。
合成シリカ(B)の使用量は、(A)成分のアクリルゴム100重量部に対して5〜200重量部、好ましくは5〜150重量部、より好ましくは10〜100重量部である。合成シリカ(B)の使用量が過度に少ないと架橋物が機械的特性に劣るおそれがある。逆に過度に多いとゴム組成物の溶融粘度が高くなって成形加工性に劣る可能性がある。
【0029】
本発明組成物では(C)成分として、Al2 O3 の含有率が5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上で、且つ、SiO2 の含有率およびAl2 O3 の含有率の合計が60重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上である珪酸アルミニウムを使用する。
Al2 O3 の含有率が少なすぎると、架橋物の機械的強度が低下するおそれがある。また、SiO2 およびAl2 O3の含有率の合計が少なすぎると、架橋物の耐圧縮永久ひずみ特性が低下するおそれがある。
SiO2 の含有率とAl2 O3 の含有率(重量)の比は、好ましくは18/1〜1/1である。
(C)成分としては、カオリンクレー、焼成クレー、ロウ石、セリサイト、マイカ、ネフェリンシナイトなどが挙げられる。中でもカオリンクレー、焼成クレーなどが好ましい。これらの珪酸アルミニウムは1種単独で、または2種以上併せて使用することができる。珪酸アルミニウム(C)は平均粒径が、通常、0.1〜10μm、好ましくは0.3〜5μmであり、pH(JIS K5101による)が、通常、3〜10、好ましくは4〜9である。また、珪酸アルミニウム(C)の粒子形状は板状ないし薄片状であり、比重は2.6〜2.8である。
(C)成分の配合量は、(A)成分のアクリルゴム100重量部に対して5〜200重量部、好ましくは5〜150重量部、より好ましくは10〜100重量部である。(C)成分の配合量が過度に少ないと組成物の貯蔵安定性や耐熱性が低下するおそれがある。また、(C)成分の配合量が過度に多いと架橋物の機械的特性が低下する可能性がある。
【0030】
本発明のアクリルゴム組成物は、架橋剤(D)を含有する。架橋剤としては、ゴムの加工でカルボキシル基を架橋点とするゴムに対して通常用いられる架橋剤であれば限定なく使用することができ、アミン化合物が好ましく、特に炭素数4〜30の多価アミン化合物が好ましい。
多価アミン化合物の例としては、脂肪族多価アミン化合物、芳香族多価アミン化合物などが挙げられ、グアニジン化合物のように非共役の窒素−炭素二重結合を有するものは含まれない。
脂肪族多価アミン化合物としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメ−ト、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミンなどが挙げられる。芳香族多価アミン化合物としては、4,4’−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2’−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミンなどが挙げられる。
【0031】
架橋剤(D)の配合量は、(A)成分のアクリルゴム100重量部に対し、0.05〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜7重量部、特に好ましくは0.3〜5重量部である。架橋剤の配合量が少なすぎると架橋が不十分で架橋物の形状維持が困難になるおそれがあり、多すぎると架橋物が硬くなりすぎ、架橋ゴムとしての弾性が損なわれる可能性がある。
【0032】
本発明のアクリルゴム組成物は、その他必要に応じてシランカップリング剤、架橋促進剤、老化防止剤、光安定剤、可塑剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、防黴剤、帯電防止剤、着色剤、補強剤などの添加剤を含有してもよい。
【0033】
特に、シランカップリング剤は、(B)成分である合成シリカの表面にある親水性のシラノール基を疎水化して、合成シリカとアクリルゴムとの親和性を向上させる作用があるので配合することが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、アミノ基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリロキシ基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤、ビニル基含有シランカップリング剤等が挙げられる。
アミノ基含有シランカップリング剤としては、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。エポキシ基含有シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。(メタ)アクリロキシ基含有シランカップリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等が挙げられる。メルカプト基含有シランカップリング剤としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトメチルトリメトキシラン、γ−メルカプトメチルトリエトキシラン、γ−メルカプトヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。ビニル基含有シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン等が挙げられる。
なかでもアミノ基含有シランカップリング剤およびエポキシ基含有シランカップリング剤が好ましい。これらのシランカップリング剤は、1種単独または2種以上併せて使用することができる。
シランカップリング剤の配合量は、アクリルゴム(A)100重量部に対して、通常、0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜8重量部である。多すぎると、架橋ゴムの常態物性が低下して、ゴム弾性が損なわれるおそれがある。
【0034】
架橋促進剤に限定はないが、特に前記多価アミン化合物架橋剤と組み合わせて用いることができる架橋促進剤として、水中、25℃での塩基解離定数が10−12〜106 であるものが好ましく、例えばグアニジン化合物、イミダゾール化合物、第四級オニウム塩、多価第三級アミン化合物、第三級ホスフィン化合物、弱酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。
グアニジン化合物としては、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジンなどが挙げられる。イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。第四級オニウム塩としては、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリn−ブチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。多価第三級アミン化合物としては、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7などが挙げられる。第三級ホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィンなどが挙げられる。弱酸のアルカリ金属塩としては、ナトリウムまたはカリウムのリン酸塩、炭酸塩などの無機弱酸塩あるいはステアリン酸塩、ラウリン酸塩などの有機弱酸塩が挙げられる。
【0035】
架橋促進剤の使用量は、アクリルゴム(A)100重量部あたり、通常、0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜15重量部、より好ましくは0.3〜10重量部である。架橋促進剤が多すぎると、架橋時に架橋速度が早くなりすぎたり、架橋物表面ヘの架橋促進剤のブルームが生じたり、架橋物が硬くなりすぎたりするおそれがある。架橋促進剤が少なすぎると、架橋物の引張強度が著しく低下したり、熱負荷後の伸びや引張強度の変化が大きすぎたりする可能性がある。
【0036】
また、上記アクリルゴム組成物には、必要に応じて、アクリルゴム以外のゴム、エラストマー、樹脂などをさらに配合してもよい。例えば、天然ゴム、アクリルゴム(A)以外のアクリルゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどのゴム;オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリシロキサン系エラストマーなどのエラストマー;ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂などの樹脂;などを配合することができる。
【0037】
本発明のアクリルゴム組成物を調製するには、ロール混合、バンバリー混合、スクリュー混合、溶液混合などの適宜の混合方法が採用できる。配合手順は特に限定されないが、先ず、熱による反応や分解を起こしにくい成分を充分に混ぜ合わせた後、熱による反応や分解を起こしやすい成分、例えば架橋剤、架橋促進剤などを、反応や分解を起こさない温度で短時間に混合する手順を採ると好ましい。
【0038】
本発明のアクリルゴム組成物は、押出成形、型物成形(射出成形、トランスファー成形、圧縮成形など)等の成形法により成形される。
押出成形には、ゴムの加工に一般的に採用されている押出成形法を用いることができる。すなわち、ロール混合などで調製したアクリルゴム組成物を、押出機のホッパからフィードしてスクリューに巻き込ませ、バレルからの加熱により軟化させつつヘッド部に送り、ヘッド部に設置した所定形状のダイスに通すことにより、目的の断面形状を有する長尺の押出成形品(板、棒、パイプ、ホース、異形品など)を得る。バレル温度は、通常、50〜120℃、好ましくは60〜100℃である。ヘッド温度は、通常、60〜130℃、好ましくは60〜110℃であり、ダイス温度は、通常、70〜130℃、好ましくは80〜100℃である。
型物成形は、製品1個分の又は数個分の形状をした金型のキャビティにアクリルゴム組成物を充填して賦形し、金型を、通常、130〜220℃、好ましくは140℃〜200℃に加熱することにより架橋(一次架橋)させ、必要によりさらに、オーブン、熱風、蒸気などで上記温度に1〜48時間加熱して架橋(二次架橋)させる。
【0039】
本発明のアクリルゴム組成物は、貯蔵安定性が高く、耐熱性、耐圧縮永久歪み特性、および、引張強度などの機械的特性に優れる架橋物を与える。本発明の架橋物は、これらの特性を活かして、例えば自動車等の輸送機械、一般機器、電気機器等の幅広い分野において、O−リング、ガスケット、オイルシール、ベアリングシール等のシール材;緩衝材、防振材;電線被覆材;工業用ベルト類;チューブ・ホース類;シート類;等として有用である。
【0040】
【実施例】
以下に実施例、比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。これらの例中の〔部〕及び〔%〕は、特に断わりのない限り重量基準である。
【0041】
(1)貯蔵安定性
アクリルゴム組成物の貯蔵安定性は、ASTM D5289に従ってロータレス加硫試験機(ムービングダイレオメータMDR2000P、アルファテクノロジーズ社製)を使用して、先ず、混練直後の未架橋組成物の架橋特性(最低トルク)を温度180℃で測定する。次に、温度40℃、相対湿度80%の環境下に7日間放置した未架橋組成物の架橋特性(最低トルク)を温度180℃で測定し、混練直後と放置後との最低トルクの差を求める。差の値が0に近いほど、貯蔵安定性に優れる。
【0042】
(2)機械的特性及び耐熱性
アクリルゴム組成物を温度170℃、20分間のプレスによって成形、架橋し、縦15cm、横15cm、高さ2mmの成形品を得、さらに温度170℃のオーブン内に4時間放置して二次架橋して作成したシートを用い、所定の形状に打ち抜いた試験片を用いて以下の測定を行う。
先ず、JIS K6251の引張試験に従って引張強度及び破断伸び(伸び)を、又、JIS K6253の硬さ試験に従って硬さをそれぞれ測定する。次いで、JIS K6257に従い、温度175℃の環境下で336時間置いて空気加熱による熱老化を行い、再度伸び及び硬度を測定する。熱老化試料の測定値と常態試料(空気加熱老化前)の測定値とを対比し、伸びでは変化率(百分率)を、硬さでは変化量(差)を求める。これらの数値が0に近いほど耐熱性に優れる。
【0043】
(3)圧縮永久歪み率
アクリルゴム組成物を170℃、20分間のプレスによって成形、架橋して直径29mm、高さ12.5mmの円柱型試験片を作製し、さらに温度170℃で4時間放置して二次架橋する。JIS K 6262に従い、上記試験片を25%圧縮させたまま、温度175℃の環境下に70時間置いた後、圧縮を解放して圧縮永久歪み率を測定する。
【0044】
アクリルゴム製造例1
温度計、攪拌装置を備えた重合反応器に、水200部、ラウリル硫酸ナトリウム3部およびアクリル酸エチル50部、アクリル酸n−ブチル34部、アクリル酸2−メトキシエチル14%、フマル酸モノブチル2部を仕込み、減圧による脱気および窒素置換をくり返して酸素を十分除去した後、クメンハイドロパーオキシド0.005部およびナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.002部を加えて常圧下、温度20℃で乳化重合を開始し、重合転化率が95%に達するまで反応を継続した。得られた乳化重合液を塩化カルシウム水溶液で凝固させ、水洗、乾燥してアクリルゴムaを得た。
アクリルゴムaの組成は、アクリル酸エチル単量体単位50%、アクリル酸n−ブチル単量体単位34%、アクリル酸2−メトキシエチル単量体単位14%、フマル酸モノブチル単量体単位2%であり、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は35であった。
【0045】
アクリルゴム比較製造例1
アクリルゴム製造例1において、反応器に仕込むアクリル酸n−ブチルの量を34部から28部に、アクリル酸2−メトキシエチルの量を14部から20部に、フマル酸モノブチル2部をクロロ酢酸ビニル2部に変更する他はアクリルゴム製造例1と同様に行ってアクリルゴムbを得た。
アクリルゴムbの組成はアクリル酸エチル単量体単位50%、アクリル酸n−ブチル単量体単位28.5%、アクリル酸2−メトキシエチル単量体単位20%、クロロ酢酸ビニル単量体単位1.5%であり、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は50であった。
【0046】
実施例1
アクリルゴムaを100部、合成シリカ1(Nipsil ER、日本シリカ社製、湿式シリカ、平均粒径32nm、BET比表面積90m2/g、pH7.8)を30部、(C)成分の珪酸アルミニウム1を40部、ステアリン酸(軟化剤)を3部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを1部、オクタデシルアミン(加工助剤)を0.5部および4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(ノクラックCD、大内新興社製、老化防止剤)を2部バンバリーに入れて50℃で混練し、その後、ヘキサメチレンジアミンカーバメート(架橋剤)0.6部および1,3−ジ−o−トリルグアニジン(架橋促進剤)2部を加えて40℃にてオープンロールで混練してアクリルゴム組成物を調製した。
得られたアクリルゴム組成物を用いて、貯蔵安定性、機械的特性(引張強度、伸び、硬さ)、耐熱性(伸び変化率、硬さ変化量)および圧縮永久歪み率を試験した。結果を表1に示す。
【0047】
実施例2および比較例1〜5
合成シリカ、珪酸アルミニウム又はそれらの代替物として、表1に示す成分を、表1に示す量用いたこと以外は実施例1と同様に操作を行いアクリルゴム組成物を調製した。
得られた各々のアクリルゴム組成物を用いて、貯蔵安定性、機械的特性(引張強度、伸び、硬さ)、耐熱性(伸び変化率、硬さ変化量)および圧縮永久歪み率を試験した。結果を表1に示す。
【0048】
比較例6
実施例1において、アクリルゴムaに代えてアクリルゴムbを、ヘキサメチレンジアミンカーバメート(架橋剤)0.6部に代えて2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン0.5部を、また、1,3−ジ−o−トリルグアニジン(架橋促進剤)2部に代えてジブチルジチオカルバミン酸亜鉛1.5部を用いた他は実施例1と同様に行ってアクリルゴム組成物を調製した。
得られたアクリルゴム組成物を用いて、貯蔵安定性、機械的特性(引張強度、伸び、硬さ)、耐熱性(伸び変化率、硬さ変化量)および圧縮永久歪み率を試験した。結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
注
*1:Ultrasil 7006GR、デグサ社製、湿式シリカ、平均粒径800nm、pH6.5、BET比表面積127m2/g。
*2:SiO2 含有率49.1%、Al2 O3 含有率44.3%、合計82.9%、平均粒径800nm。
*3:SiO2 含有率45%、Al2 O3 含有率38%、合計83%、平均粒径0.3μ、pH4.5、BET比表面積24m2/g、該珪酸アルミニウムに対して1重量%重量のN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランで表面が処理されたもの。
*4:SiO2 含有率0.1%、Al2 O3 含有率0.3%、合計0.4%、平均粒径0.04μ、pH8.8。
*5:SiO2 含有率91.9%、Al2 O3 含有率2.6%、合計94.5%、平均流形6.8nm、pH10、BET比表面積2.3m2/g。
*6:SiO2 含有率50.9%、Al2 O3 含有率0.3%、合計51.2%、pH9.5。
*7:SiO2 含有率0.3%、Al2 O3 含有率0.1%、合計0.4%、平均粒径23μ。
【0051】
表1が示すように、本発明のアクリルゴム組成物は、いずれも貯蔵安定性に優れ、機械的特性、耐熱性および耐圧縮永久歪み特性に優れる架橋物を与えた(実施例1、2)。
一方、カルボキシル基含有アクリルゴム、合成シリカおよび架橋剤を含有する組成物に珪酸アルミニウム(C)を配合しなかった組成物の架橋物は、圧縮永久歪みが著しく大きくなった(比較例1)。(C)成分の代わりに炭酸カルシウムを用いると架橋物の耐熱老化性が大きく低下し(比較例2)、珪藻土を用いると架橋物の引張強度および加熱後の伸びが著しく低下し(比較例3)、メタ珪酸カルシウムやグラファイトを使用すると架橋物の引張強度が大きく低下した(比較例4、5)。比較例2〜5に用いた充填剤は、いずれも、SiO2 との含有率およびAl2 O3 の含有率の合計が60重量%未満であるか、又は、Al2O3 の含有率が5重量%未満である。
また、カルボキシル基含有アクリルゴムの架橋点をカルボキシル基から塩素に変更したアクリルゴムを用いた組成物は、貯蔵安定性が著しく低下した(比較例6)。
【0052】
【発明の効果】
本発明により、貯蔵安定性が高く、機械的特性、耐熱性および耐圧縮永久歪み特性に優れる架橋物を与えるアクリルゴム組成物が提供される。
Claims (4)
- (A)(メタ)アクリル酸エステル単量体単位80〜99.9重量%およびα,β―エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位0.1〜20重量%からなるアクリルゴム100重量部に対して、(B)合成シリカ5〜200重量部、(C)Al2 O3 の含有率が5重量%以上で、且つ、SiO2 の含有率およびAl2 O3 の含有率の合計が60重量%以上である珪酸アルミニウム5〜200重量部ならびに(D)架橋剤0.05〜20重量部を配合してなるアクリルゴム組成物。
- 架橋剤が多価アミン化合物である請求項1記載のアクリルゴム組成物。
- さらに、シランカップリング剤0.1〜10重量部を配合してなる請求項1または2記載のアクリルゴム組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のアクリルゴム組成物を架橋してなる架橋物。
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