JP2004131497A - シスシクロプロパン誘導体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ヒスタミンH3受容体作動活性および/または拮抗活性を有し、アレルギー、炎症、心臓または脳血管疾患、胃腸障害、中枢神経系障害、中枢神経系の精神医学障害、癲癇、痙攣、肥満、睡眠障害等の予防および/または治療剤として有用なシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を提供すること。
【解決手段】 式(I)
【化19】

〔式中、R1は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル等を表し、R2およびR3は同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル等を表し、Qは-CR4=CR5-CHR6-(式中、R4、R5およびR6は同一または異なって、水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)、-CHR4-CHR5-または-CHR4-CHR5-CHR6-を表す〕で表されるシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を提供する。
【選択図】 なし

Description

 本発明は、ヒスタミンH3受容体作動活性および/または拮抗活性を有し、アレルギー、炎症、心臓または脳血管疾患、胃腸障害、中枢神経系障害、中枢神経系の精神医学障害、癲癇、痙攣、肥満、睡眠障害等の予防および/または治療剤として有用なシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩に関する。
 生体内ヒスタミンは、ごく一部がニューロン、エンテロクロマフィン様細胞、マクロファージ等に存在する以外は、殆どが組織のマスト細胞と血液中の好塩基性白血球に分布している。それらから放出されたヒスタミンは、細胞表面または標的細胞内部のヒスタミン受容体と相互作用し、その作用を発現する。ヒスタミン受容体はGタンパク質共役型受容体(GPCR)であり、現在、H1〜H4の4種類のサブタイプが報告されている。
 それらのうちのH3受容体は、中枢神経系(CNS)のヒスタミン作働性神経シナプス前節に存在し、もともと神経終末でのヒスタミンの合成・遊離を制御するオートレセプターとして同定された。
 H3受容体の作動薬としては、(R)-α-メチルヒスタミン〔(R)-α-methylhistamine〕、イメティット(imetit)、インメピップ(immepip)等が、拮抗薬としてはチオペラミド(thioperamide)、クロベンプロピット(clobenpropit)等が知られている。ヒスタミン作働性神経は、哺乳類の脳では、後部視床下部の乳頭様結節核から広範囲の脳組織に投射している。また、ヒスタミンは、CNS、特に視床下部の関与する行動(例えば睡眠、覚醒リズム、内分泌、摂食行動、摂水行動、性行動等)を制御している。このことから、ヒスタミン量を制御しているH3受容体のリガンドは、前記の中枢活動に大きく影響を与えると考えられ、睡眠不全または不眠症によって特徴づけられる睡眠障害、癲癇、痙攣等のような覚醒過敏状態等の予防や治療、または覚醒状態の維持に有効であることが示唆される。さらに、H3受容体はヒスタミン作働性神経シナプス前節以外の神経(例えばセロトニン、ノルアドレナリン、アセチルコリン、ドーパミン等の神経伝達物質の作働性神経シナプス前節)等の終末にも発現しており、これらの神経伝達物質の遊離を制御している。CNSでは、これら神経伝達物質が記憶や認知に深く関わっていることから、H3受容体リガンドが情緒不安定、不安、アルツハイマー病、注意力欠如反応性障害(ADHD)等の記憶障害、認識障害等によって特徴付けられる種々のCNS疾患等に有効であると考えられる。加えて、CNSのみならず、消化管、循環器、気道等の末梢器官、またはそれらの機能を支配する自律神経終末にもH3受容体の発現が確認されている。従って、H3受容体リガンドは、喘息、炎症、偏頭痛、不整脈、セプティックショック(septic shock)等に有効である可能性も示唆されている〔「トレンズ・イン・ファーマコロジカル・サイエンス(Trends in Pharmacological Science)」、1998年,第19巻、p.177-183/「アニュアル・レポーツ・イン・メディシナル・ケミストリー(Annual Report Medicinal Chemistry)」、1998年、第33巻、p.31-39〕。
 一方、4-イミダゾリルシクロプロパンをその構造中に含有する化合物として、2-(4-イミダゾリル)シクロプロピルアミン(A)が、ラット脳のモノアミンオキシダーゼ(MAO)をIC50= 7.5 μmol/Lで阻害すること、およびラット胃酸分泌に対して、(R)-α-メチルヒスタミンの5倍の作用を示すが、その強度はヒスタミンの1/60程度であることが報告されている(非特許文献1参照)。
 また、H3受容体拮抗作用を有する4-イミダゾリルシクロプロパン誘導体(B)が開示されている(特許文献1参照)。
(式中、nは0〜6の整数を表し、R1aは水素原子、炭素数3〜8のシクロアルキル、置換もしくは非置換のフェニル、炭素数1〜6のアルキル等を表し、R2aおよびR3aは同一または異なって、水素原子、メチルまたはエチルを表し、Xは水素原子、アミノ、モノメチルアミノ、ジメチルアミノ、ヒドロキシ、メトキシまたはメルカプトを表し、Xが水素原子であるとき、Aは-CH2NH2-、-CH2N(CH3)-、-NHCH2-、-N(CH3)CH2-等を表し、Xがアミノ、モノメチルアミノ、ジメチルアミノ等であるとき、Aは-CH2CH2-、-CH=CH-等を表す)
 H3受容体作動活性を示す2-(4-イミダゾリル)シクロプロピルアミン誘導体(C)が開示されている(特許文献2参照)。
(式中、R4aおよびR5aは同一または異なって、水素原子または低級アルキルを表し、R6aは水素原子、低級アルキルまたは低級アルコキシを表す)
 4-イミダゾリルシクロプロパン誘導体(D)が、ナトリウム/プロトン交換阻害(Sodium / Proton Exchange Inhibition)活性を示すことが報告されている
(特許文献3参照)。
(式中、R7aは低級アルキル、置換もしくは非置換のアリール等を表す)
 H3受容体に強い親和性(Ki = 4.5 nmol/L)を示す4-イミダゾリルシクロプロパン誘導体(E)が開示されている(特許文献4参照)。
 H3受容体に対し逆アゴニスト作用を有する2-(4-イミダゾリル)シクロプロピルアミン誘導体(F)が、抗肥満薬として有用であることが記載されている(特許文献5参照)。
 なお、これらに具体的に開示されている4-イミダゾリルシクロプロパン誘導体は、全てトランス体である。
国際公開第96/038141号パンフレット 国際公開第96/040126号パンフレット 国際公開第01/027107号パンフレット 国際公開第02/013821号パンフレット 国際公開第02/015905号パンフレット 「ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry)」、1970年、第13巻、p.33-35
 本発明の目的は、ヒスタミンH3受容体作動活性および/または拮抗活性を有し、アレルギー、炎症、心臓または脳血管疾患(例えば高血圧、低血圧、虚血、心筋梗塞、敗血症、偏頭痛等)、胃腸障害(例えば酸・消化管ホルモン分泌、運動障害等)、注意障害・認識障害のような中枢神経系障害〔例えばアルツハイマー病、ADHD、加齢に伴う記憶機能不全、卒中等〕、中枢神経系の精神医学障害(例えば不安、精神分裂病等)、癲癇、痙攣、肥満、睡眠障害(例えば睡眠発作、睡眠無呼吸、不眠、サーカディアンリズムの撹乱等)等の予防および/または治療剤として有用なシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を提供することある。
 本発明は、以下の(1)〜(12)に関する。
 (1) 式(I)
〔式中、R1は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノスルホニルまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルを表し、
R2およびR3は同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の低級アルカノイルまたは置換もしくは非置換のアロイルを表すか、またはR2とR3が隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成し、
Qは-CR4=CR5-CHR6-(式中、R4、R5およびR6は同一または異なって、水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)、-CHR4-CHR5-(式中、R4およびR5はそれぞれ前記と同義である)または-CHR4-CHR5-CHR6-(式中、R4、R5およびR6はそれぞれ前記と同義である)を表す〕で表されるシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
 (2) R1が水素原子または置換低級アルキルである上記(1)記載のシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
 (3) R1が水素原子である上記(1)記載のシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
 (4) R1が置換低級アルキルであり、該置換低級アルキルにおける置換基が置換もしくは非置換のアリールである上記(1)記載のシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
 (5) R2およびR3がいずれも水素原子である上記(1)〜(4)のいずれかに記載のシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
 (6) R2が水素原子であり、R3が置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニルまたは置換もしくは非置換の低級アルキニルである上記(1)〜(4)のいずれかに記載のシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
 (7) R2が水素原子であり、R3が置換低級アルキルである上記(1)〜(4)のいずれかに記載のシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
 (8) R2が水素原子であり、R3が置換低級アルキルであり、該置換低級アルキルにおける置換基が置換もしくは非置換のアリールである上記(1)〜(4)のいずれかに記載のシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
 (9) Qが-CHR4-CHR5-(式中、R4およびR5はそれぞれ前記と同義である)である上記(1)〜(8)のいずれかに記載のシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
 (10) Qが-CH2-CH2-である上記(1)〜(8)のいずれかに記載のシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
 (11) 上記(1)〜(10)のいずれかに記載のシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
 (12) 上記(1)〜(10)のいずれかに記載のシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するヒスタミンH3受容体作動および/または拮抗剤。
 本発明により、ヒスタミンH3受容体作動活性および/または拮抗活性を有し、アレルギー、炎症、心臓または脳血管疾患(例えば高血圧、低血圧、虚血、心筋梗塞、敗血症、偏頭痛等)、胃腸障害(例えば酸・消化管ホルモン分泌、運動障害等)、注意障害・認識障害のような中枢神経系障害〔例えばアルツハイマー病、ADHD、加齢に伴う記憶機能不全、卒中等〕、中枢神経系の精神医学障害(例えば不安、精神分裂病等)、癲癇、痙攣、肥満、睡眠障害(例えば睡眠発作、睡眠無呼吸、不眠、サーカディアンリズムの撹乱等)等の予防および/または治療剤として有用なシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩が提供される。
 以下、式(I)で表される化合物を化合物(I)という。他の式番号の化合物についても同様である。
 式(I)の各基の定義において、
 低級アルキル、低級アルカノイル、ジ低級アルキルアミノスルホニルおよび低級アルコキシカルボニルの低級アルキル部分としては、例えば直鎖または分枝状の炭素数1〜8のアルキル、炭素数3〜8のシクロアルキル等があげられる。具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等のアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等のシクロアルキル等があげられる。
 ジ低級アルキルアミノスルホニルの2つの低級アルキル部分は、同一でも異なっていてもよい。
 低級アルケニルとしては、例えば直鎖または分枝状の炭素数2〜8のアルケニル、具体的にはビニル、アリル、1-プロペニル、メタクリル、クロチル、1-ブテニル、3-ブテニル、2-ペンテニル、4-ペンテニル、2-ヘキセニル、5-ヘキセニル、2-ヘプテニル、2-オクテニル等があげられる。
 低級アルキニルとしては、例えば直鎖または分枝状の炭素数2〜8のアルキニル、具体的にはエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル等があげられる。
 アリールおよびアロイルのアリール部分としては、例えば炭素数6〜14のアリール、具体的にはフェニル、ナフチル、ビフェニル、アントリル等があげられる。
 隣接する窒素原子と一緒になって形成される複素環基は、酸素原子、硫黄原子または他の窒素原子を含んでいてもよく、例えばピロリジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、N−メチルピペラジニル、ピラゾリジニル、ピペリジノ、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピロリル、インドリル、イソインドリル、スクシンイミジル、ピロリドニル、グルタルイミジル、ピペリドニル等があげられる。
 置換低級アルキル、置換低級アルケニル、置換低級アルキニル、置換低級アルカノイル、置換ジ低級アルキルアミノスルホニルおよび置換低級アルコキシカルボニルにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、アリール、置換アリール(該置換アリールにおける置換基は、後記の置換アリールにおける置換基と同義である)、低級アルキル、モノまたはジ低級アルキルアミノ、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルカノイル、低級アルカノイルアミノ、フタルイミジル、アラルキル、アラルキルオキシ等があげられる。ここで示したハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を表す。低級アルキル、モノまたはジ低級アルキルアミノ、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルカノイルおよび低級アルカノイルアミノの低級アルキル部分は、前記低級アルキルと同義である。アラルキルおよびアラルキルオキシのアルキレン部分は前記低級アルキルの定義から水素原子を1つ除いたものと同義であり、アラルキルおよびアラルキルオキシのアリール部分は前記アリールと同義である。ジ低級アルキルアミノの2つの低級アルキル部分は、同一でも異なっていてもよい。
 置換アリール、置換アロイルおよび隣接する窒素原子と一緒になって形成される置換複素環基における置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、低級アルキル、モノまたはジ低級アルキルアミノ、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルカノイル、トリフルオロメチル、アラルキル等があげられ、また、2つの置換基が一緒になってメチレンジオキシ等を形成してもよい。ここで示したハロゲンは前記と同義であり、低級アルキル、モノまたはジ低級アルキルアミノ、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニルおよび低級アルカノイルの低級アルキル部分は、前記低級アルキルと同義である。アラルキルのアルキレン部分は前記低級アルキルの定義から水素原子を1つ除いたものと同義であり、アラルキルのアリール部分は前記アリールと同義である。ジ低級アルキルアミノの2つの低級アルキル部分は、同一でも異なっていてもよい。
 化合物(I)の薬理学的に許容される塩としては、薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等があげられる。
 化合物(I)の薬理学的に許容される酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩があげられ、薬理学的に許容される金属塩としては、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等があげられ、薬理学的に許容されるアンモニウム塩としては、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム等の塩があげられ、薬理学的に許容される有機アミン付加塩としては、モルホリン、ピペリジン等の付加塩があげられ、薬理学的に許容されるアミノ酸付加塩としては、リジン、グリシン、フェニルアラニン等の付加塩があげられる。
 次に、化合物(I)およびその中間体の製造法について説明する。
 なお、以下に示す製造法において、定義した基が実施方法の条件下で変化するか、または方法を実施するのに不適切な場合、有機合成化学で常用される保護基の導入および離脱方法[例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス第2版(Protective Groups in Organic Synthesis 2nd Edition)、グリーン(T. W. Greene)・ワッツ(P. G. M. Wuts)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons Inc.)(1991年)]等を用いることにより、目的化合物を得ることができる。また、必要に応じて置換基導入等の反応工程の順序を変えることもできる。
製造法1
 化合物(I)のうち、Qが-CH2-CHR5-(式中、R5は前記と同義である)である化合物(Ia)は、以下の工程によって製造することができる。
(式中、R1、R2、R3およびR5は、それぞれ前記と同義である)
(工程1−1)
 化合物(III)は、化合物(II)と、1当量〜過剰量のPh3P+-CH(R5)OCH3Cl-(式中、Phはフェニルを表し、R5は前記と同義である)等のホスホニウム塩を、当該ホスホニウム塩に対して当量の塩基存在下、溶媒中、-78℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で0.5分間〜24時間反応させ〔ウイティッヒ(Wittig)反応〕、次いで得られた生成物を加水分解することにより得ることができる。
 塩基としては、例えば水素化ナトリウム、tert-ブトキシカリウム、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(NaHMDS)、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)等が用いられる。
 溶媒としては、例えばエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類が単独でまたは混合して用いられる。
 加水分解条件としては、例えば水、ジオキサン、THF等のエーテル類、メタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類、酢酸等の有機酸類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等中、またはこれらの混合溶媒中、過剰量の塩酸、臭化水素酸、硫酸等の無機酸、またはトリフルオロ酢酸等の有機酸等で、0℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で1分間〜24時間処理する方法等があげられる。
 化合物(II)はシス体であり、例えばジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J. Org. Chem.)、67巻、1669-1677頁(2002年)等に記載された方法またはそれらに準じて得ることができる。
(工程1−2)
 化合物(Ia)は、化合物(III)のカルボニル炭素に、アミノ基を導入することにより得ることができる。
 例えば、化合物(III)と1当量〜過剰量のアミンR2R3NH(式中、R2およびR3は、それぞれ前記と同義である)を、必要に応じて塩基または酸の存在下、溶媒中、0℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で、還元剤の存在下で反応させる方法等があげられる。
 溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、エーテル、THF、ジオキサン等のエーテル類等が単独でまたは混合して用いられる。
 塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン等のアルキルアミン類、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩等が用いられ、酸としては、例えば塩酸、硫酸等が用いられる。
 還元剤としては、例えば水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム等の金属水素錯化合物等が用いられる。
 より具体的には、例えばアミンとしてR2aR3aNH(式中、R2aおよびR3aは、それぞれ前記R2およびR3の定義と同義であるが、どちらか一方が水素原子である)を用いる場合には、予め当該アミンと化合物(III)を溶媒中、必要に応じて塩基の存在下、0℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で30分間〜24時間反応させて、イミン〔シッフ(Schiff)塩基〕を形成させる。次いで、該イミンを例えば1〜10当量の還元剤で30分間〜24時間処理することにより、化合物(Ia)のうちR2またはR3のどちらか一方が水素原子である化合物(Ia-i)が得られる。また、該イミンを通常の接触還元等の条件下で水素添加に付すことによっても、化合物(Ia-i)を得ることができる。
 接触還元は、通常、常圧で触媒量〜10当量のパラジウム炭素(Pd-C)、ラネーニッケル等の触媒の存在下、溶媒中、水素雰囲気下、必要に応じてアンモニアの存在下、または酢酸等の有機酸、塩酸、硫酸等の無機酸等の存在下、室温と用いる溶媒の沸点の間の温度で30分間〜12時間処理することにより行われる。また、水素源として、ヒドラジン、ぎ酸、ぎ酸アンモニウム、ぎ酸トリエチルアンモニウム、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、トリエチルシラン等を添加してもよい。
 接触還元に用いられる溶媒としては、例えば水、メタノール、エタノール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類、THF、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N-メチルピロリジノン(NMP)等のアミド類等が単独でまたは混合して用いられる。
 また、化合物(Ia)のうちR2およびR3が水素原子である化合物(Ia-ii)は、上記R2aR3aNHの代わりに例えばヒドロキシルアミン、メトキシアミン、ベンジルオキシアミン等でSchiff塩基を形成させ、次いで上述の還元剤で処理することにより得ることができる。
 イミンの形成および還元剤での処理に用いられる溶媒、塩基ならびに還元剤としては、それぞれ上記と同様のものが用いられる。
(工程1−3)
 化合物(Ia)のうちR1が水素原子である化合物(Ib)は、化合物(Ia)のうちR1がジ低級アルキルアミノスルホニルまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルである化合物(Ia-iii)から以下の方法によっても得ることができる。
 例えば、化合物(Ia-iii)を溶媒中、塩酸、臭化水素酸、硫酸等の無機酸または水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物で、室温と用いる溶媒の沸点の間の温度で1〜24時間処理することにより、化合物(Ib)が得られる。
 溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類等が単独でまたは混合して用いられる。
 また、化合物(Ia)のうちR1が置換メトキシカルボニルであり、該置換メトキシカルボニルにおける置換基が置換もしくは非置換のアリール(該アリールおよび該置換アリールにおける置換基はそれぞれ前記と同義である)である化合物(Ia-iv)を、通常の接触還元の条件に付すことによっても、化合物(Ib)を得ることができる。
 また、化合物(Ia)のうちR1が置換もしくは非置換のジアリールメチル(該ジアリールメチルのアリール部分および該置換ジアリールメチルにおける置換基はそれぞれ前記アリールおよび置換アリールにおける置換基と同義である)またはトリアリールメチル(該トリアリールメチルのアリール部分および該置換トリアリールメチルにおける置換基はそれぞれ前記アリールおよび置換アリールにおける置換基と同義である)である化合物(Ia-v)は、例えば水、メタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類、ぎ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸類等またはこれらの混合溶媒中、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸等の無機酸で、室温と用いる溶媒の沸点の間の温度で1〜24時間処理することによっても、化合物(Ib)を得ることができる。
製造法2
 化合物(I)のうち、Qが-CHR4a-CHR5-(式中、R4aはR4の定義のうち置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)である化合物(Ic)は、以下の工程によって製造することができる。
(式中、R1、R2、R3、R4aおよびR5は、それぞれ前記と同義である)
(工程2−1)
 化合物(IV)は、化合物(II)のホルミル基に、対応する求核剤を反応させることにより得ることができる。
 例えば、化合物(II)をエーテル、THF等のエーテル類中、1〜10当量の対応する求核剤の存在下、-78℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で0.5〜24時間処理することにより、化合物(IV)が得られる。
 対応する求核剤としては、例えばR4aMgX〔グリニャール(Grignard)試薬:式中、Xは塩素原子または臭素原子を表し、R4aは前記と同義である〕、R4aLi(R4aは前記と同義である)等の有機金属試薬が用いられる。
(工程2−2)
 化合物(V)は、化合物(IV)の水酸基を酸化〔モファット(Moffatt)酸化、スワン(Swern)酸化等〕することにより得ることができる。
 例えば、化合物(IV)を、溶媒中、例えばクロム酸、DMSO等の酸化剤で、-78℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で0.5〜72時間処理することにより、化合物(V)が得られる。
 溶媒としては、例えばクロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が単独でまたは混合して用いられる。
(工程2−3)
 化合物(VI)は、化合物(V)から工程1−1に記載の方法に準じて得ることができる。
(工程2−4)
 化合物(Ic)は、化合物(VI)から工程1−2に記載の方法に準じて得ることができる。
(工程2−5)
 化合物(Ic)のうち、R1が水素原子である化合物(Id)は、化合物(Ic)のうちR1がジ低級アルキルアミノスルホニルまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルである化合物(Ic-i)から工程1−3に記載の方法に準じて得ることもできる。
製造法3
 化合物(I)のうち、Qが-CH2-CHR5-CH2-(式中、R5は前記と同義である)である化合物(Ie)は、以下の工程によって製造することができる。
〔式中、R7は低級アルキル(該低級アルキルは前記と同義である)を表し、R1、R2、R3およびR5は、それぞれ前記と同義である〕
(工程3−1)
 化合物(VIII)は、Wittig反応またはホーナー−エモンズ(Honor-Emmonds)反応により、化合物(II)から得ることができる。
 例えば、化合物(II)を、溶媒中、塩基の存在下、例えばPh3P+CHR5CO2R7X1-(式中、Ph、R5およびR7はそれぞれ前記と同義であり、X1は塩素原子または臭素原子を表す)等の対応するWittig試薬または(YO)2P(O)CHR5CO2R7〔式中、R5およびR7はそれぞれ前記と同義であり、Yは低級アルキル(該低級アルキルは前記と同義である)を表す〕等の対応するHornor-Emmonds試薬と、-78℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で1〜24時間反応させることにより化合物(VIII)が得られる。
 塩基としては、例えば水素化ナトリウム、tert-ブトキシカリウム、NaHMDS、n-ブチルリチウム、LDA等が用いられる。
 溶媒としては、例えばエーテル、THF等のエーテル類等が用いられる。
(工程3−2)
 化合物(IX)は、化合物(VIII)を接触還元に付すことにより得ることができる。
 接触還元は、工程1−2に記載の方法と同様に行われる。
(工程3−3)
 化合物(X)は、化合物(IX)を還元剤で処理することにより得ることができる。
 例えば、化合物(IX)を、溶媒中、0.5〜10当量の還元剤で、-78℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で1〜24時間処理することにより化合物(X)が得られる。
 還元剤としては、例えば水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、トリエチル水素化ホウ素リチウム、水素化ジイソプロピルアルミニウム等の金属水素錯化合物等が用いられる。
 溶媒としては、例えばエーテル、THF等のエーテル類、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等が単独でまたは混合して用いられる。
(工程3−4)
 化合物(XI)は、化合物(X)から工程2−2に記載の方法に準じて得ることができる。
(工程3−5)
 化合物(Ie)は、化合物(XI)から工程1−2に記載の方法に準じて得ることができる。
(工程3−6)
 化合物(Ie)のうち、R1が水素原子である化合物(If)は、化合物(Ie)のうちR1がジ低級アルキルアミノスルホニルまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルである化合物(Ie-i)から工程1−3に記載の方法に準じて得ることもできる。
製造法4
 化合物(I)のうち、Qが-CHR4a-CHR5-CH2-(式中、R4aおよびR5はそれぞれ前記と同義である)である化合物(Ig)は、以下の工程によって製造することができる。
(式中、R1、R2、R3、R4a、R5およびR7は、それぞれ前記と同義である)
(工程4−1)
 化合物(XII)は、化合物(V)から工程3−1に記載の方法に準じて得ることができる。
(工程4−2)
 化合物(XIII)は、化合物(XII)から工程3−2に記載の方法に準じて得ることができる。
(工程4−3)
 化合物(XIV)は、化合物(XIII)から工程3−3に記載の方法に準じて得ることができる。
(工程4−4)
 化合物(XV)は、化合物(XIV)から工程2−2に記載の方法に準じて得ることができる。
(工程4−5)
 化合物(Ig)は、化合物(XV)から工程1−2に記載の方法に準じて得ることができる。
(工程4−6)
 化合物(Ig)のうち、R1が水素原子である化合物(Ih)は、化合物(Ig)のうちR1がジ低級アルキルアミノスルホニルまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルである化合物(Ig-i)から工程1−3に記載の方法に準じて得ることもできる。
製造法5
 化合物(I)のうち、Qが-CH2-CHR5-CHR6a-(式中、R5およびR6aはそれぞれ前記と同義である)である化合物(Ii)は、以下の工程によって製造することができる。
(式中、R1、R2、R3、R5およびR6aは、それぞれ前記と同義である)
(工程5−1)
 化合物(XVI)は、化合物(XI)を工程2−1に記載の方法におけるR4aMgXまたはR4aLiの代わりに、R6aMgX(式中、R6aおよびXはそれぞれ前記と同義である)またはR6aLi(式中、R6aは前記と同義である)を用いて、工程2−1に記載の方法と同様に反応させることにより得ることができる。
(工程5−2)
 化合物(XVII)は、化合物(XVI)から工程2−2に記載の方法に準じて得ることができる。
(工程5−3)
 化合物(Ii)は、化合物(XVII)から工程1−2に記載の方法に準じて得ることができる。
(工程5−4)
 化合物(Ii)のうち、R1が水素原子である化合物(Ij)は、化合物(Ii)のうちR1がジ低級アルキルアミノスルホニルまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルである化合物(Ii-i)から工程1−3に記載の方法に準じて得ることができる。
製造法6
 化合物(I)のうち、Qが-CHR4a-CHR5-CHR6a-(式中、R6aはR6の定義のうち置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、R4aおよびR5はそれぞれ前記と同義である)である化合物(Ik)は、以下の工程によって製造することができる。
(式中、R1、R2、R3、R4a、R5およびR6aは、それぞれ前記と同義である)
(工程6−1)
 化合物(XVIII)は、化合物(XV)を工程2−1に記載の方法におけるR4aMgXまたはR4aLiの代わりに、R6aMgX(式中、R6aおよびXはそれぞれ前記と同義である)またはR6aLi(式中、R6aは前記と同義である)を用いて、工程2−1に記載の方法と同様に反応させることにより得ることができる。
(工程6−2)
 化合物(XIX)は、化合物(XVIII)から工程2−2に記載の方法に準じて得ることができる。
(工程6−3)
 化合物(Ik)は、化合物(XIX)から工程1−2に記載の方法に準じて得ることができる。
(工程6−4)
 化合物(Ik)のうち、R1が水素原子である化合物(IL)は、化合物(Ik)のうちR1がジ低級アルキルアミノスルホニルまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルである化合物(Ik-i)から工程1−3に記載の方法に準じて得ることもできる。
製造法7
 化合物(I)のうち、Qが-CH=CR5-CH2-(式中、R5は前記と同義である)である化合物(Im)は、以下の工程によって製造することができる。
(式中、R1、R2、R3、R5およびR7は、それぞれ前記と同義である)
(工程7−1)
 化合物(XX)は、化合物(VIII)を、溶媒中、0.5当量〜10当量の還元剤で、-78℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で0.5〜24時間処理することにより得ることができる。
 溶媒としては、例えばエーテル、THF等のエーテル類、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等が単独でまたは混合して用いられる。
 還元剤としては、例えば水素化ジイソプロピルアルミニウム、水素化リチウムアルミニウム、ビス(2-メトキシエトキシ)水素化アルミニウム等が用いられ、中でも2当量の水素化ジイソプロピルアルミニウムが好ましい。
(工程6−2)
 化合物(XXI)は、化合物(XX)から工程2−2に記載の方法に準じて得られる。
 また、化合物(XXI)は、化合物(XX)を溶媒中、5当量〜大過剰の例えば活性二酸化マンガンで、室温と用いる溶媒の沸点の間の温度で1〜48時間処理することによっても得ることができる。
 溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等が単独でまたは混合して用いられる。
(工程7−3)
 化合物(Im)は、化合物(XXI)から工程1−2に記載の方法に準じて得ることができる。
(工程7−4)
 化合物(Im)のうち、R1が水素原子である化合物(In)は、化合物(Im)のうちR1がジ低級アルキルアミノスルホニルまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルである化合物(Im-i)から工程1−3に記載の方法に準じて得ることもできる。
製造法8
 化合物(I)のうち、Qが-CR4a=CR5-CH2-(式中、R4aおよびR5はそれぞれ前記と同義である)である化合物(Io)は、以下の工程によって製造することができる。
(式中、R1、R2、R3、R4a、R5およびR7は、それぞれ前記と同義である)
(工程8−1)
 化合物(XXII)は、化合物(XII)から工程7−1に記載の方法に準じて得ることができる。
(工程8−2)
 化合物(XXIII)は、化合物(XXII)から工程2−2または工程7−2に記載の方法に準じて得ることができる。
(工程8−3)
 化合物(Io)は、化合物(XXIII)から工程1−2に記載の方法に準じて得ることができる。
(工程8−4)
 化合物(Io)のうち、R1が水素原子である化合物(Ip)は、化合物(Io)のうちR1がジ低級アルキルアミノスルホニルまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルである化合物(Io-i)から工程1−3に記載の方法に準じて得ることもできる。
製造法9
 化合物(I)のうち、Qが-CR4a=CR5-CHR6a-(式中、R4a、R5およびR6aはそれぞれ前記と同義である)である化合物(Iq)は、以下の工程によって製造することができる。
(式中、R1、R2、R3、R4a、R5およびR6aは、それぞれ前記と同義である)
(工程9−1)
 化合物(XXIV)は、化合物(XXIII)から工程5−1に記載の方法に準じて得ることができる。
(工程9−2)
 化合物(XXV)は、化合物(XXIV)から工程2−2または工程7−2に記載の方法に準じて得ることができる。
(工程9−3)
 化合物(Iq)は、化合物(XXV)から工程1−2に記載の方法に準じて得ることができる。
(工程9−4)
 化合物(Iq)のうち、R1が水素原子である化合物(Ir)は、化合物(Iq)のうちR1がジ低級アルキルアミノスルホニルまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルである化合物(Iq-i)から工程1−3に記載の方法に準じて得ることもできる。
製造法10
 化合物(I)のうち、Qが-CH=CR5-CHR6a-(式中、R5およびR6aはそれぞれ前記と同義である)である化合物(Is)は、以下の工程によって製造することができる。
(式中、R1、R2、R3、R5およびR6aは、それぞれ前記と同義である)
(工程10−1)
 化合物(XXVI)は、化合物(XXI)から工程5−1に記載の方法に準じて得ることができる。
(工程10−2)
 化合物(XXVII)は、化合物(XXVI)から工程2−2または工程7−2に記載の方法に準じて得ることができる。
(工程10−3)
 化合物(Is)は、化合物(XXVII)から工程1−2に記載の方法に準じて得ることができる。
(工程10−4)
 化合物(Is)のうち、R1が水素原子である化合物(It)は、化合物(Is)のうちR1がジ低級アルキルアミノスルホニルまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルである化合物(Is-i)から工程1−3に記載の方法に準じて得ることもできる。
製造法11
 化合物(I)のうち、Qが-CH2-CH2-である化合物(Iu)は、以下の工程によって製造することもできる。
(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ前記と同義である)
(工程11−1)
 化合物(XXVIII)は、例えばテトラヘドロン(Tetrahedron)、43巻、4767-4776頁(1987年)等に記載の方法またはそれらに準じて得ることができる。
 例えば、製造法1の工程1−1で得られる化合物(III)のうちR5が水素原子である化合物(IIIa)を、溶媒中、1〜5当量のリン酸二水素ナトリウム二水和物および1〜10当量の2-メチル-2-ブテンの存在下、1〜10当量の亜塩素酸ナトリウムで、0〜50℃の間の温度で0.5〜24時間処理することにより化合物(XXVIII)が得られる。
 溶媒としては、例えば水、tert-ブタノール等が単独でまたは混合して用いられる。
(工程11−2)
 化合物(XXIX)は、化合物(XXVIII)と1〜30当量のアミンR2R3NH(式中、R2およびR3は、それぞれ前記と同義である)を、溶媒中、必要に応じて塩基または添加剤の存在下、1〜30当量の縮合剤で、-78℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で0.5〜48時間処理することにより得ることができる。
 溶媒としては、例えばDMF、THF、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、ピリジン等が単独でまたは混合して用いられる。
 縮合剤としては、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、カルボニルジイミダゾール(CDI)等が用いられる。
 塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)等が用いられる。
 添加剤としては、例えば1-ヒドロキシベンゾトリアゾール等が用いられる。
(工程11−3)
 化合物(Iu)は、化合物(XXIX)を、溶媒中、0.5〜10当量の還元剤で、0℃と用いる溶媒の沸点の間の温度で1〜24時間処理することにより得ることができる。
 溶媒としては、例えばジエチルエーテル、THF、ジオキサン、ジメトキシエタン等が単独でまたは混合して用いられる。
 還元剤としては、例えば水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、トリエチル水素化ホウ素リチウム、水素化アルミニウム、水素化リチウムアルミニウムと塩化アルミニウムにより調製されるアラン等が用いられる。
(工程11−4)
 化合物(Iu)のうち、R1が水素原子である化合物(Iv)は、化合物(Iu)のうちR1がトリアリールメチル(該トリアリールメチルのアリール部分は前記アリールと同義であり、3つのアリール部分は同一でも異なっていてもよい)である化合物(Iu-i)から工程1−3に記載の方法に準じて得ることもできる。
 上記の各製造法における中間体および目的化合物は、有機合成化学で常用される精製法、例えば、中和、濾過、抽出、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して単離精製することができる。また、中間体においては、特に精製することなく次の反応に供することも可能である。
 化合物(I)の塩を取得したいとき、化合物(I)が塩の形で得られる場合には、そのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られる場合には、化合物(I)を適当な溶媒に溶解または懸濁させ、酸または塩基を加える方法により塩を形成させて単離精製すればよい。
 また、化合物(I)およびその薬理学的に許容される塩は、水または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これら付加物も本発明に包含される。
 なお、化合物(I)の中には光学異性体等が存在し得るものもあるが、本発明は、これらを含め、全ての可能な異性体およびそれらの混合物も包含する。ただし、化合物(I)におけるシクロプロパン環はシス配置のみを有している。
 上記製造法で得られる化合物(I)の具体例を第1表〜第4表に示すが、本発明の化合物はこれらに限定されることはない。
 次に代表的な化合物(I)の薬理作用について試験例で説明する。
試験例:ヒスタミンH3受容体結合試験
 8〜10週齢のSprague-Dawley系雄性ラットの脳に、19倍量の50 mmol/L Na2HPO4/KH2PO4緩衝液(pH 7.5)を加えホモジナイズした。ホモジネートを遠心分離し(40,000 x g、4℃、15分間)、得られた沈殿をさらに同条件で遠心分離した。
得られた沈殿に、19倍量の50 mmol/L Na2HPO4/KH2PO4緩衝液(pH 7.5)を加えて懸濁し、この組織ホモジネートを試験に用いた。
 試験化合物を50 mmol/L Na2HPO4/KH2PO4緩衝液(pH 7.5)に溶解し、[3H]-N-α-メチルヒスタミン 0.25 nmol/L、および組織ホモジネート800 μg(湿重量)を加え、混合物を25℃で1時間インキュベートした。次いで、ガラスフィルター(GF/B:ワットマン社)上で急速吸引濾過することにより反応を停止した。このフィルターをシンチレーション液〔トルエン(2 L)、トリトンX-100(1 L)、2,5-ジフェニルオキサゾール(15 g)、1,4-ビス(5-フェニルオキサゾール-2-イル)ベンゼン(0.3 g)〕に一晩浸し、抽出された放射活性成分を液体シンチレーションカウンターで測定した。非特異的結合量は、10μmol/Lチオペラミド存在下での結合量とした。結合阻害作用は、Cheng-Prusoffの式により算出した阻害定数(Ki値)で表した。その結果、化合物2、化合物4および化合物6は、それぞれ1.3、4.8および13.6 nmol/LのKi値を示した。
 従って、本願記載の化合物(I)は、ヒスタミンH3受容体作動活性および/または拮抗活性を有し、アレルギー、炎症、心臓または脳血管疾患(例えば高血圧、低血圧、虚血、心筋梗塞、敗血症、偏頭痛等)、胃腸障害(例えば酸・消化管ホルモン分泌、運動障害等)、注意障害・認識障害のような中枢神経系障害〔例えばアルツハイマー病、ADHD、加齢に伴う記憶機能不全、卒中等〕、中枢神経系の精神医学障害(例えば不安、精神分裂病等)、癲癇、痙攣、肥満、睡眠障害(例えば睡眠発作、睡眠無呼吸、不眠、サーカディアンリズムの撹乱等)等の予防および/または治療剤として有用であると考えられる。
 化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、その薬理作用およびその投与目的等に応じ、そのまままたは各種の製薬形態で使用することができる。
 本発明に関わる医薬製剤は、活性成分として有効な量の化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩を単独で、または任意の他の治療のための有効成分との混合物として含有することができる。また、それら医薬製剤は、活性成分と薬理学的に許容される担体を混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造できる。該担体は投与に対して望ましい製剤の形態に応じて、広い範囲の形態をとることができる。
 投与経路としては、治療に際し最も効果的なものを使用するのが望ましく、経口または静脈内等の非経口をあげることができる。
 投与形態としては、例えば錠剤、注射剤等があげられる。
 錠剤の調製にあたっては、例えば乳糖、マンニット等の賦形剤、デンプン等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロース等の結合剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤等を常法に従って用いればよい。錠剤1個あたり1〜300 mgの活性成分を含有する錠剤が好適である。
 注射剤の調製にあたっては、水、生理食塩水、植物油、可溶化剤、保存剤、抗酸化剤等を常法に従って用いればよい。
 化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、経口的方法または注射剤等の非経口的方法で投与可能である。その有効用量および投与回数は投与形態、患者の年齢、体重、症状等により異なるが、通常一日当たり、0.01〜20 mg/kgを1〜4回投与するのが好ましい。
 以下に、実施例によって本発明をより詳細に説明する。
(1S,2S)-2-(2-アミノエチル)-1-(1-トリフェニルメチル-1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン(化合物1)
工程1:
 塩化メトキシメチルトリフェニルホスホニウム(120 mg, 0.35 mmol)をTHF(2 mL)に懸濁した。懸濁液に0℃にてNaHMDS(1.0 mol/L THF溶液, 0.3 mL, 0. 3 mmol)を滴下し、反応混合物を0℃で5分間攪拌することで、Wittig試薬を調製した。ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J. Org. Chem.)、67巻、1669-1677頁(2002年)に記載の方法で得た(1S,2R)-2-ホルミル-1-(1-トリフェニルメチル-1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン(化合物IIa:38 mg, 0.10 mmol)をTHF(2 mL)に溶解し、0℃に冷却した。ここに上記で調製したWittig試薬を添加し、0℃で0.5時間攪拌した後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた。反応液を減圧下で濃縮し、残渣にクロロホルムと水を加え分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル= 1:1)で精製した。得られた白色結晶物(32 mg)をアセトン(2 mL)に溶解し、この溶液に濃塩酸(1 mL)を添加した後、これを直ちに飽和重曹水に注いだ。アセトンを減圧下で留去し、さらに水を添加した後、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル = 1:1〜クロロホルム:メタノール= 10:1)で精製することにより、(1S,2S)-2-ホルミルメチル-1-(1-トリフェニルメチル-1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン(化合物IIIa-i:30 mg, 76%)を黄色油状物として得た。
[α]D 23 +17.9 (c = 1.02, CHCl3)
1H-NMR (500 MHz, CDCl3)δ(ppm): 0.79 (1H, m), 1.10 (1H, m), 1.30 (1H, m), 2.10 (1H, m), 2.35 (2H, m), 6.58 (1H, s), 7.12-7.14 (6H, m), 7.32-7.33 (10H, m), 9.66 (1H, brs)
13C-NMR (125 MHz, CDCl3)δ(ppm): 9.85, 12.06, 13.58, 42.87, 75.14, 119.52, 127.97, 127.99, 129.65, 138.16, 139.23, 142.41, 202.94
LR-MS (FAB) m/z 393 ((M+H)+, 9.0%)
工程2:
 化合物IIIa-i(39 mg, 0.1 mmol)およびベンジルオキシアミン・塩酸塩(32 mg, 0.2 mmol)にTHF(3 mL)を加え、モレキュラーシーブス4A(10 mg)存在下、室温で5時間攪拌した。反応液をフロリジルで濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル = 1:1)で精製した。得られた白色結晶物(49 mg, 定量的)のTHF(2 mL)溶液に水素化リチウムアルミニウム(1.0 mmol/L THF溶液, 0.3 mL, 0.3 mmol)を滴下し、反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応液にメタノールを添加し、溶媒を減圧下で留去した。残渣にクロロホルムと水を加えて分液し、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液、次いで飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール = 9:1〜4:1)で精製することにより、(1S,2S)-2-(2-アミノエチル)-1-(1-トリフェニルメチル-1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン(化合物1:38 mg, 97%)を白色結晶として得た。
[α]D 24 +17.1 (c = 0.28, CH3OH)
1H-NMR (500 MHz, CDCl3)δ(ppm): 0.26 (1H, m), 0.98 (1H, m), 1.07 (1H, m), 1.23-1.32 (2H, m), 2.03 (1H, m), 3.16-3.26 (2H, m), 6.61 (1H, s), 7.09-7.11 (6H, m), 7.34-7.37 (10H, m), 9.11 (2H, brs)
13C-NMR (125 MHz, CD3OD)δ(ppm): 10.22, 13.46, 13.62, 26.10, 38.94, 75.56, 121.89, 128.15, 128.17, 129.67, 137.74, 139.49, 142.08
HR-MS (FAB) 計算値 C27H28N3394.2283; 実測値 394.2298 ((M+H)+)
(1S,2S)-2-(2-アミノエチル)-1-(1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン・二塩酸塩(化合物2の二塩酸塩)
 実施例1で得られた化合物1(24 mg, 60 μmol)のメタノール(2 mL)溶液に、3 mol/L塩酸(1 mL)を加え、3時間加熱還流した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をエーテルとエタノールの混合溶媒でトリチュレーションすることにより、(1S,2S)-2-(2-アミノエチル)-1-(1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン・二塩酸塩(化合物2の二塩酸塩:13 mg, 99%)を白色結晶として得た。
[α]D 22 -35.1 (c = 0.32, CH3OH)
1H-NMR (500 MHz, CD3OD)δ(ppm): 0.87 (1H, m), 1.23-1.39 (3H, m), 1.67 (1H, m), 2.16 (1H, m), 2.92-3.03 (2H, m), 7.35 (1H, s), 8.83 (1H, d, J = 1.1 Hz)
13C-NMR (125 MHz, CD3OD)δ(ppm): 10.91, 11.27, 16.78, 27.75, 40.28, 118. 06, 133.70, 135.01
HR-MS (EI) 計算値 C8H13N3151.1109; 実測値 151.1101 (M+)
(1R,2R)-2-(2-アミノエチル)-1-(1-トリフェニルメチル-1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン(化合物3)
 ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J. Org. Chem.)、67巻、1669-1677頁(2002年)に記載の方法で得た(1R,2S)-2-ホルミル-1-(1-トリフェニルメチル-1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン(化合物IIb)から、実施例1に記載した方法に準じて、(1R,2R)-2-(2-アミノエチル)-1-(1-トリフェニルメチル-1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン(化合物3)を得た。
[α]D 24 -17.4 (c = 0.48, CH3OH)
LR-MS (FAB) m/z 394 (M+H)+
(1R,2R)-2-(2-アミノエチル)-1-(1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン・二塩酸塩(化合物4の二塩酸塩)
 実施例3で得られた化合物3から、実施例2に記載の方法に準じて、(1R,2R)-2-(2-アミノエチル)-1-(1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン・二塩酸塩(化合物4の二塩酸塩)を得た。
[α]D 17 +36.1 (c = 0.22, CH3OH)
LR-MS (EI) m/z 151 (M+)
(1S,2S)-2-(N-ベンジル-2-アミノエチル)-1-(1-トリフェニルメチル-1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン(化合物5)
工程1:
 実施例1の工程1で得られる化合物IIIa-i(216 mg, 0.550 mmol)をtert-ブタノール(3.9 mL)に溶解し、水(1.1 mL)、リン酸二水素ナトリウム二水和物(86.0 mg, 0.550 mmol)および2-メチル-2-ブテン(0.262 mL, 2.48 mmol)を加えた。さらに、80% 亜塩素酸ナトリウム水溶液(218 mg, 1.93 mmol)を、反応混合物に滴下し、室温で30分間撹拌した。反応液に1 mol/L 塩酸(10 mL)を加えて酸性にした後、クロロホルム(30 mL x 5)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0〜4% メタノール-クロロホルム)で精製することにより、(1S,2R)-1-(1-トリフェニルメチル-1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン-2-酢酸(化合物XXVIII-i:202 mg, 0.495 mmol, 90%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ(ppm):0.54 (1H, m), 1.14 (1H, m), 1.51 (1H, m), 1.93 (1H, m), 2.08 (2H, m), 2.69 (1H, m), 6.49 (1H, s), 7.09-7.12 (6H, m), 7.37-7.40 (9H, m), 7.49 (1H, s)
HR-MS (FAB) 計算値 C27H25N2O2409.1916; 実測値 409.1906 ((M+H)+)
工程2:
 化合物XXVIII-i(76 mg, 0.19 mmol)を塩化メチレン(2.5 mL)に溶解し、EDC(46 mg, 0.24 mmol)、ベンジルアミン(0.026 mL, 0.24 mmol)およびDMAP(微量)を加え、室温で4時間撹拌した。さらに、反応液にEDC(19 mg, 0.10 mmol)およびベンジルアミン(0.0020 mL, 0.018 mmol)を加え、室温で7時間撹拌した。反応液にクロロホルム(20 mL)と水(7 mL)を加えて分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル = 6:1〜3:1〜1:1〜1:2〜酢酸エチルのみ)で精製し、2-[(1S,2S)-1-(1-トリフェニルメチル-1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン-2-イル]-N-ベンジルアセトアミド(化合物XXIX-i:61 mg, 0.12 mmol, 64%)を薄黄色油状物として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ(ppm):0.49 (1H, m), 1.03 (1H, m), 1.35 (1H, m), 1.85 (1H, dd, J = 15.1, 10.1 Hz), 2.06 (1H, m), 2.43 (1H, dd, J = 15.1, 4.0 Hz), 4.32 (1H, dd, J = 14.8, 5.1 Hz), 4.50 (1H, dd, J = 14.8, 6.3 Hz), 6.52 (1H, s), 7.04-7.07 (6H, m), 7.14-7.33 (15H, m), 7.45 (1H, dd, J = 6.3, 5.1 Hz)
HR-MS (FAB) 計算値 C34H32N3O 498.2545; 実測値 498.2536 ((M+H)+)
工程3:
 減圧下で加熱乾燥した塩化アルミニウム(80 mg, 0.60 mmol)をTHF (5 mL) に懸濁し、1 mol/L 水素化リチウムアルミニウムのTHF溶液(1.0 mL, 1.0 mmol)を滴下してアランのTHF溶液を調製した。化合物XXIX-i(52 mg, 0.10 mmol)をTHF(2 mL)に溶解し、アランのTHF溶液(1.4 mL, 0.30 mmol)を滴下し、室温で7時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて攪拌した後、溶媒を減圧下で留去した。残渣にクロロホルム(30 mL x 2)と飽和塩化アンモニウム水溶液(10 mL)を加えて分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル〜1〜3% メタノール-クロロホルム)で精製することにより、 (1S,2S)-2-(N-ベンジル-2-アミノエチル)-1-(1-トリフェニルメチル-1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン(化合物5:43 mg, 0.089 mmol, 89%)を薄黄色油状物として得た。
1H-NMR (270 MHz, CDCl3)δ(ppm):0.29 (1H, m), 0.86 (1H, m), 0.98 (1H, m), 1.15-1.21 (2H, m), 1.98 (1H, m), 3.01-3.07 (2H, m), 4.00 (2H, d, J = 13.3 Hz), 4.18 (2H, d, J = 13.3 Hz), 6.61 (1H, s), 7.06-7.10 (8H, m), 7.33-7.36 (11H, m), 7.47-7.51 (2H, m)
LR-MS (FAB) m/z 484 ((M+H)+)
HR-MS (FAB) 計算値 C34H34N3484.2753; 実測値 484.2741 ((M+H)+)
(1S,2S)-2-(N-ベンジル-2-アミノエチル)-1-(1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン・二塩酸塩(化合物6の二塩酸塩)
 実施例5で得られた化合物5(32 mg, 0.066 mmol)をメタノール(2 mL)に溶解し、1 mol/L 塩酸(2 mL)を加えて1時間加熱還流した。反応液にエタノール(3 mL x 3)を加えて共沸させながら濃縮した。残渣をトリチュレーションすることにより、(1S,2S)-2-(N-ベンジル-2-アミノエチル)-1-(1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン・二塩酸塩(化合物6の二塩酸塩:21 mg, 0.066 mmol, 定量的)を白色固体として得た。
1H-NMR (270 MHz, CD3OD)δ(ppm):0.89 (1H, m), 1.31-1.44 (3H, m), 1.73 (1H, m), 2.19 (1H, m), 3.01-3.20 (2H, m), 4.21 (2H, s), 7.36 (1H, brs), 7.46-7.53 (5H, m), 8.82 (1H, d, J = 1.2 Hz)
HR-MS (FAB) 計算値 C15H20N3242.1657; 実測値 242.1669 ((M+H)+)
(1S,2S)-2-[N-(2-フェニルエチル)-2-アミノエチル]-1-(1-トリフェニルメチル-1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン(化合物7)
 実施例5の工程2において、ベンジルアミンの代わりにフェネチルアミンを用いる以外は、実施例5に記載の方法に準じて、(1S,2S)-2-[N-(2-フェニルエチル)-2-アミノエチル]-1-(1-トリフェニルメチル-1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン(化合物7)を得た。
LR-MS (FAB) m/z 498 ((M+H)+)
(1S,2S)-2-[N-(2-フェニルエチル)-2-アミノエチル]-1-(1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン・二塩酸塩(化合物8の二塩酸塩)
 実施例7で得られた化合物7から、実施例6に記載の方法に準じて、(1S,2S)-2-[N-(2-フェニルエチル)-2-アミノエチル]-1-(1H-イミダゾール-4-イル)シクロプロパン・二塩酸塩(化合物8の二塩酸塩)を得た。
1H-NMR (270 MHz, CD3OD)δ(ppm):0.91 (1H, m), 1.35 (3H, m), 1.74 (1H, m), 2.20 (1H, m), 3.03 (2H, dd, J = 7.4, 8.8 Hz), 3.11 (2H, m), 3.25 (2H, dd, J = 7.4, 8.8 Hz), 7.33 (6H, m), 8.95 (1H, s)
LR-MS (FAB) m/z 256 ((M+H)+)

Claims (12)

  1. 式(I)

    〔式中、R1は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノスルホニルまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルを表し、
    R2およびR3は同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の低級アルカノイルまたは置換もしくは非置換のアロイルを表すか、またはR2とR3が隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成し、
    Qは-CR4=CR5-CHR6-(式中、R4、R5およびR6は同一または異なって、水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)、-CHR4-CHR5-(式中、R4およびR5はそれぞれ前記と同義である)または-CHR4-CHR5-CHR6-(式中、R4、R5およびR6はそれぞれ前記と同義である)を表す〕で表されるシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
  2. R1が水素原子または置換低級アルキルである請求項1記載のシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
  3. R1が水素原子である請求項1記載のシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
  4. R1が置換低級アルキルであり、該置換低級アルキルにおける置換基が置換もしくは非置換のアリールである請求項1記載のシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
  5. R2およびR3がいずれも水素原子である請求項1〜4のいずれかに記載のシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
  6. R2が水素原子であり、R3が置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニルまたは置換もしくは非置換の低級アルキニルである請求項1〜4のいずれかに記載のシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
  7. R2が水素原子であり、R3が置換低級アルキルである請求項1〜4のいずれかに記載のシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
  8. R2が水素原子であり、R3が置換低級アルキルであり、該置換低級アルキルにおける置換基が置換もしくは非置換のアリールである請求項1〜4のいずれかに記載のシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
  9. Qが-CHR4-CHR5-(式中、R4およびR5はそれぞれ前記と同義である)である請求項1〜8のいずれかに記載のシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
  10. Qが-CH2-CH2-である請求項1〜8のいずれかに記載のシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載のシスシクロプロパン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するヒスタミンH3受容体作動および/または拮抗剤。
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