JP2004131045A - 小型船舶の排気管路、排気管の接続方法、およびウォーターマフラー - Google Patents
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Abstract
【課題】「ウェット式」でない、しかも振動系として別の状態を維持できる接続部分を有する排気管路等を提供することを目的とする。
【解決手段】小型船舶に搭載されるエンジンの排気管路が、第1の排気管と第2の排気管とを有し、第1の排気管1の接続端部1Aに、第2の排気管2の接続端部2Bに向かって突設した筒状の内嵌部1aを形成するとともに、第2の排気管2の接続端部2Bに、内嵌部1aを内径方に収容するための筒状の外嵌部2aを形成し、内嵌部1aの外周面に、該内嵌部を周回するようにリング溝1dを設け、その溝に拡径側付勢された状態でシールリング3を配設して、第1の排気管1と第2の排気管2を接続した排気管路Ep。
【選択図】 図1
【解決手段】小型船舶に搭載されるエンジンの排気管路が、第1の排気管と第2の排気管とを有し、第1の排気管1の接続端部1Aに、第2の排気管2の接続端部2Bに向かって突設した筒状の内嵌部1aを形成するとともに、第2の排気管2の接続端部2Bに、内嵌部1aを内径方に収容するための筒状の外嵌部2aを形成し、内嵌部1aの外周面に、該内嵌部を周回するようにリング溝1dを設け、その溝に拡径側付勢された状態でシールリング3を配設して、第1の排気管1と第2の排気管2を接続した排気管路Ep。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型滑走艇( Personal Watercraft(パーソナルウォータークラフト); PWCとも呼ばれる) 等の小型船舶に搭載されるエンジンの排気ポートから排出される排気ガス(燃焼ガス)の排気管路および排気管路の先端部を収容するウォーターマフラーに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
小型船舶、例えば、所謂ジェット推進型の小型滑走艇は、レジャー用,スポーツ用としてあるいはレスキュー用として、近年多用されている。この小型滑走艇では、一般に艇の底面に設けられた吸水口から吸い込んだ水を、ウォータージェットポンプで加圧・加速して後方へ噴射することによって船体を推進させる。
【0003】
そして、このジェット推進型の小型滑走艇の場合、前記ウォータージェットポンプの噴射口の後方に配置したステアリングノズルを、バー型操舵ハンドルを左右に操作することによって左右に揺動させて、後方への水の噴射方向を左右に変更させて、艇を右側あるいは左側に操舵する。
【0004】
ところで、エンジンに一体的に固着されている排気管と、該エンジンからの排気ガスを船外に消音して排出するべく延設されている消音器を含む排気管は、二つの排気管がそれぞれ異なる振動系であるため、ゴムチューブによって接続されている。
ところが、ゴムチューブで接続した場合、高い排気ガス温度に直にさらされると耐久性が低下するため、ゴムチューブの配置されている接続部分の上流側(排気ガス流の上流側)には、水落とし穴を形成して、排気ガスに水を混入させて排気ガス温度を低下させる所謂「ウェット式」にする必要がある。
【0005】
しかしながら、接続部分の形態に、この「ウェット式」を採用すると、エンジン停止状態では排気管路内に水が溜まり、エンジンの再始動時等には、この排気管路内の水がエンジンの燃焼室側に逆流することも考えられる。
【0006】
ところで、小型滑走艇では、全長が3〜4m程度と短く、且つエンジンが艇の中央部位に配置されることから、排気管路の全長を長くすることができない。このため、短い長さでも低いピーク出力特性が得られるように、排気管路の周囲にウォータージャケットを設けて排気ガス温度を下げるような構造が、一般に採用されている。加えて、マフラー内に水を噴霧状態で供給して、同様に排気ガス温度を低下させて消音効果を高めるような所謂「ウォーターマフラー」も、一般に採用されている。
【0007】
ところが、エンジン停止状態では、ウォーターマフラー内の底部に水が溜まることから、エンジンの再始動時に、この底部に溜まった水がエンジン側に吸い込まれることが考えられる。
【0008】
また、艇が転倒状態になったときに、艇外の水がウォーターマフラー内に侵入することも考えられる。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みておこなわれたものであって、「ウェット式」でない、しかも振動系として別の状態を維持できる接続部分を有する排気管路を提供することを第1の目的とし、ウォーターマフラー内の底部に溜まった水がエンジン側に逆流することがない排気管路を提供することを第2の目的とし、船外からウォーターマフラー内に侵入しようとする水を可及的に阻止可能なウォーターマフラーを提供することを第3の目的とする。また、上記に加え、排気管路を構成する複数の排気管同士を容易に接続することができる排気管路の構成及びその接続方法を提供することも目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、以下のような構成からなる小型船舶の排気管路によって解決することができる。即ち、
前記第1の課題を解決するための本第1の発明にかかる小型船舶の排気管路は、小型船舶の推進機構を駆動するエンジンからの排気を通す排気管路であって、
前記排気管路が、第1の排気管と第2の排気管とを有し、
前記第1の排気管の接続端部に、接続しようとする前記第2の排気管の接続端部に向かって突設した、筒状の内嵌部を形成するとともに、
前記第2の排気管の接続端部に、前記第1の排気管の筒状の内嵌部を内径方に収容するための筒状の外嵌部を形成し、
前記内嵌部の外周面に、該内嵌部を周回するようにリング溝を設け、
該リング溝に、拡径する方向に外周面が付勢された状態でシールリングを配設した、接続構造によって、
前記第1の排気管と第2の排気管を接続したことを特徴とする。
【0011】
しかして、このように構成された排気管路の接続構造によれば、第1の排気管の内嵌部と第2の排気管の外嵌部とが、シールリングを介して、シールされた状態で接続される。しかも、拡径する方向に外周面が付勢された状態のシールリングによるシールのために、該シールリングの収縮によって、接続部分において自由度が生まれる。この結果、シール状態を維持したまま第1の排気管と第2の排気管を、相対的な自由度を具備した状態で接続することができる。
【0012】
前記第1の課題を解決するための本第2の発明にかかる小型船舶の排気管路は、小型船舶の推進機構を駆動するエンジンからの排気を通す排気管路であって、
前記排気管路が、第1の排気管と第2の排気管とを有し、
前記第1の排気管の接続端部に、接続しようとする前記第2の排気管の接続端部に向かって突設した、筒状の内嵌部を形成するとともに、
前記第2の排気管の接続端部に、前記第1の排気管の筒状の内嵌部を内径方に収容するための筒状の外嵌部を形成し、
前記外嵌部の内周面に、該内周面を周回するようにリング溝を設け、
該リング溝に、縮径する方向に内周面が付勢された状態でシールリングを配設した、接続構造によって、
前記第1の排気管と第2の排気管を接続したことを特徴とする。
【0013】
しかして、このように構成された排気管路の接続構造によれば、前記第1の発明と同じく、第1の排気管の内嵌部と第2の排気管の外嵌部とが、シールリングを介して、シールされた状態で接続される。しかも、縮径する方向に内周面が付勢された状態のシールリングによるシールのために、該シールリングの収縮によって、接続部分において自由度が生まれる。この結果、シール状態を維持したまま第1の排気管と第2の排気管を、相対的な自由度を具備した状態で接続することができる。
【0014】
また、前記第1の発明にかかる接続構造において、前記シールリングの外周面が当接する第2の排気管の内周面に高耐久性のスリーブ部材を配置し、シールリングと第2の排気管が、このスリーブ部材を介して、接触するような構成にすると、シールリングと当接する第2の排気管の内周面が磨耗することはない。そして、スリーブ部材が磨耗すれば、該スリーブ部材のみ交換すれば足りる。
【0015】
また、前記スリーブ部材が筒状であって、該スリーブ部材における前記第2の排気管の接続端側の開口端部が、開口端側へ向かうに従ってその内径が拡大されていてもよい。この場合には、第2の排気管内へ第1の排気管を挿入していく際に、スリーブ部材の拡径された部位によって、該スリーブ部材の内面に接触しながらシールリングは滑らかに移動する。従って、排気管を接続する作業が容易となり、生産性が向上する。
【0016】
また、前記第2の発明にかかる接続構造において、前記シールリングの内周面が当接する第1の排気管の外周面に高耐久性のスリーブ部材を配置し、シールリングと第1の排気管が、このスリーブ部材を介して、接触するような構成にすると、シールリングと当接する第1の排気管の外周面が磨耗することはない。そして、スリーブ部材が磨耗すれば、該スリーブ部材のみ交換すれば足りる。
【0017】
また、前記スリーブ部材が筒状であって、該スリーブ部材における前記第1の排気管の接続端側の開口端部が、開口端側へ向かうに従ってその外径が縮小されていてもよい。この場合には、第2の排気管内へ第1の排気管を挿入していく際に、スリーブ部材の縮径された部位によって、該スリーブ部材の外面に接触しながらシールリングは滑らかに移動する。従って、排気管を接続する作業が容易となり、生産性が向上する。
【0018】
また、前記第1の発明にかかる接続構造において、前記第1の排気管の壁面に冷却水を通水するための通水路を設け、この通水路を前記リング溝に細穴で連通して、リング溝内に冷却水の一部を供給するよう構成するか、あるいは、前記第2の発明にかかる接続構造において、前記第2の排気管の壁面に冷却水を通水するための通水路を設け、この通水路を前記リング溝に細穴で連通して、リング溝内に冷却水の一部を供給するよう構成すると、冷却水が潤滑効果を奏して、シールリングおよびシールリングと当接する部分の磨耗が防止でき、且つ、第1の排気管および第2の排気管との動きも円滑になり、密着性も向上してシール効果も増加する。
【0019】
また、前記シールリングを形状記憶合金製とした場合、排気管を接続する際には、マルテンサイト状態のシールリングを接続し易い形状に変形しておき、排気管同士を接続したのちに該シールリングを加熱することにより、変形したシールリングを適度なシール効果を有する元の形状に復元することができる。従って、排気管の接続が容易となると共に接続箇所を確実にシールすることができる。
【0020】
また、前記第1の発明あるいは第2の発明にかかる接続構造において、前記第1の排気管の内嵌部に続く前記第1の排気管の外周と、第2の排気管の外嵌部の外周とを、実質的に同じ外径になるよう構成するとともに、
前記内嵌部と外嵌部とを連結した部分およびそれらに隣接した部分を覆う長さを有する、被覆スリーブを設けた構成にすると、被覆スリーブによって、シール効果を高めることができる。また、被覆スリーブによって、第1の排気管と第2の排気管とが、適度な屈曲抵抗を有する自由度を具備することが可能となる。
【0021】
また、前記被覆スリーブを可撓性の部材で構成するとともに、該被覆スリーブの両端をバンドで止着すると、被覆スリーブと第1あるいは第2の排気管の外周との隙間を効果的に無くすことが可能となる。
【0022】
ところで、一方の排気管に他方の排気管を外嵌させてその接続部分の隙間にシールリングを介在させた形態の排気管路の場合、両排気管を嵌め合わせるときにシールリングがぐらつくなどして作業が煩瑣になることがある。
【0023】
従って、上述したような排気管路の接続方法においては、互いに接続される2つの排気管のうち、一方の排気管の接続端部にシールリングを外嵌すると共に、該シールリングを可燃性又は熱溶解性の止着材によって止着し、その後に一方の排気管の接続端部を他方の排気管へ嵌挿することにより、前記シールリングを挟んで2つの排気管を接続してもよい。
【0024】
この場合には、シールリングを一方の排気管の外周に止着しているのでぐらつきが生じにくく、一方の排気管の接続端部を他方の排気管へ嵌挿し易くなる。
【0025】
止着材としては、セロハンテープ,マスキングテープなどのテープ類の他、接着剤などを用いてもよいが、可燃性又は熱溶解性のものを用いる。可燃性又は熱溶解性の止着材を用いることにより、エンジンから排出される高温の排気ガスで加熱され、止着材が燃焼又は溶解して消失するため、接続部分を確実にシールすることができる。
【0026】
止着材としてテープ類を用いた場合には、一方の排気管の外周面と、該外周面から突出したシールリングの外周部との間に、テープ自身によってテーパ面を形成するようにしてシールリングを止着することができる。この場合、一方の排気管の接続端側にテーパ面を形成することにより、より一層、該一方の排気管を他方の排気管へより嵌挿し易くなる。
【0027】
なお、シールリングを一方の排気管の接続端部に内嵌すると共に止着材によって止着し、他方の排気管の接続端部を前記一方の排気管へ嵌挿することにより、2つの排気管を接続してもよく、この場合にも上述したのと同様の効果を得ることができる。
【0028】
前記第2の課題を解決するための本第3の発明にかかる排気管路は、小型船舶に搭載されるエンジンの排気ポート側に連結される排気管路であって、
前記排気管路を構成する排気管の先端部がウォーターマフラー内に挿入されており、
この排気管の先端部が、ウォーターマフラー内において基端側に比べて先端が上方位置に位置するように構成されていることを特徴とする。
【0029】
しかして、このように構成された排気管によれば、ウォーターマフラーの底部に水が溜まっていても、排気管の先端がウォーターマフラーの底部から上方に離間した位置に位置させることができるため、底部に溜まっている水が、エンジン再始動時等にエンジン側に逆流するようなことはない。
また、スポーツ的な用途で使用されて転倒状態に近い状態になっても、排気管の先端が基端に比べて上位に位置しているため、ウォーターマフラー内の水が重力によって逆流することはない。
【0030】
また、前記排気管路において、前記排気管の先端の位置が、少なくとも、ウォーターマフラーの上下方向の中心線近傍に位置していることが、実用上好ましい実施形態となる。
【0031】
また、前記排気管路において、前記排気管が外周部にウォータージャケットが形成された水冷式の排気管であって、前記排気管の先端にウォータージャケットからの水落とし口が設けられていると、ウォータージャケット内の空気を抜く空気抜き孔として機能するとともに、ウォーターマフラー内への水落とし口となる。しかも、この水落とし口からの水は、排気管の出口に位置するため排気ガスに直接当接して、排気ガス温度を効果的に低減する。また、排気ガスの流れによって、ウォータージャケット内に効果的に噴霧状態となって供給されることになり、ウォータージャケット内に流入する排気ガス全体に均等に温度低減効果をもたらす。
【0032】
また、前記排気管路において、前記排気管の先端の端面が、垂直又はそれ以上の鋭角になって、前記水落とし口が、排気管のその下方の部位に対して先端方に略突出しているように構成すると、該水落とし口から吐出する水が排気管内に入らない点において、好ましい実施形態となる。
【0033】
また、前記排気管路において、前記ウォータージャケット内に、下部ウォータージャケットと上部ウォータージャケットに区画する区画壁が設けられていると、冷却水が排気管の上部および下部の全体を均等に冷却する構成となる。
【0034】
また、前記排気管路において、前記ウォータージャケットの先端部の区画壁に、下部ウォータージャケットと上部ウォータージャケットを連通する連通口が形成されていると、下部ウォータージャケットを冷却して温度が上昇した冷却水が上方の上部ウォータージャケットに自然に供給される構成を実現できる。
【0035】
また、前記排気管路において、前記ウォータージャケットの基端部の下部ウォータージャケットに冷却水を供給する冷却水供給口が形成されるとともに、該基端部の上部ウォータージャケットに冷却水を排出する排出口が形成されていると、好ましい実施形態となる。
【0036】
前記第3の課題を解決するための本第4の発明にかかるウォーターマフラーは、前記第2の発明の排気管の先端部が挿入されているウォーターマフラーであって、
このウォーターマフラーが、内部の排気ガスを外側に排出する排気室を具備し、この排気室の底部に凹所を有するとともに、
この排気室の上方から前記凹所に向けて、下端が凹所の底面より上方に位置するように、該ウォーターマフラーから外部に排気ガスを排出するための第2の排気管を、配設したことを特徴とする。
【0037】
しかして、このように構成されたウォーターマフラーによれば、第2の排気管の下端をウォーターマフラーの高さ方向の中心線よりより下方に位置させることができ、転倒状態において、船外から第2の排気管を通ってウォーターマフラー内へ侵入しようとする水を阻止することができる構成となる。また、該排気室の底部に設けた凹所に、該ウォーターマフラー内の水が有効に溜めることができるため、該ウォーターマフラー内の水を速やかに外部に排出することが可能となる。
【0038】
また、前記ウォーターマフラーにおいて、前記ウォーターマフラーが、前方から順に第1室,第2室、第3室を有し、前記排気管の先端は第2室に位置し、前記排気室が前記第3室であってよい。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態にかかる小型船舶の一種である小型滑走艇の排気管路を例に挙げて、図面を参照しながら、具体的に説明する。しかし、小型滑走艇以外の小型船舶にも実施できることは言うまでもない。
【0040】
図1は本発明の実施形態にかかる小型滑走艇の4サイクルエンジンに付設された接続部分を含む排気管路の構成を示す側面断面図、図2は図1に示す接続部分の構成を示す部分拡大断面図、図7は図1,図2の排気管路を含む小型滑走艇の排気管路全体を船体のハルとデッキを一部切欠いて示す小型滑走艇の全体側面図、図8は本発明の実施形態にかかる小型滑走艇の全体側面図、図9は図8の平面図である。
【0041】
図8,図9において、Aは船体で、この船体Aは、ハルHとその上方を覆うデッキDから構成され、これらハルHとデッキDを全周で接続する接続ラインはガンネルラインGと呼ばれる。この図において、Lは喫水線を示している。
【0042】
そして、前記デッキDの中央よりやや後部には、図9に図示するように、船体Aの上面に長手方向に延びる平面視において略長方形の開口部16が形成され、図8,図9に図示するように、この開口部16上方に騎乗用のシートSが配置されている。
【0043】
また、エンジンEは、前記シートS下方のハルHとデッキDに囲まれた横断面形状が「凸」状の空間20内に配置される。
この実施形態の場合、エンジンEは、多気筒(この実施例では4気筒)の4サイクル式のエンジンEで、図8に図示するように、クランクシャフト26が船体Aの長手方向に沿うような向きで搭載されており、このクランクシャフト26の出力端は、プロペラ軸27を介して、インペラ21が取着されているウォータージェットポンプPのポンプ軸21S側に、一体的に回転可能に連結されている。そして、このインペラ21は、その外周方が、ポンプケーシング21Cで覆われ、小型滑走艇の底面に設けられた吸水口17から取り入れた水を吸水通路28を介して取り込んで、ウォータージェットポンプPで加圧・加速して、通水断面積が後方にゆくに従って小さくなったポンプノズル(噴出部)21Rを通って、後端の噴射口21Kから吐出して、推進力を得るよう構成されている。
【0044】
また、図8において、21VはウォータージェットポンプP内を通過する水を整流するための静翼である。また、図8,図9において、24はバー型の操舵ハンドルで、このハンドル24を左右に操作することによって、図9に一点鎖線で示すケーブル25を介して、前記ポンプノズル21R後方のステアリングノズル18を左右に揺動させて、ウォータージェットポンプPの稼働時に、艇を所望の方向に操舵できるよう構成されている。また、図9において、Ltはエンジンの回転数を操作するためのスロットルレバーである。
【0045】
また、図8に図示するように、前記ステアリングノズル18の上後方には、水平に配置された揺動軸19aを中心に下方に揺動可能に、ボウル形状のリバース用のデフレクター19が配置され、このデフレクター19をステアリングノズル18後方の下方位置へ揺動動作させることによって、ステアリングノズル18から後方に吐出される水を前方に転向させて、後進できるよう構成されている。
【0046】
また、図8,図9において、22は後部デッキで、この後部デッキ22には、開閉式のハッチカバー29が設けられ、ハッチカバー29の下方に小容量の収納ボックスが形成されている。また、図8あるいは図9において、23は前部ハッチカバーで、このハッチカバー23の下方には備品等を収納するボックス(図示せず)が設けられている。
【0047】
ところで、図7に図示するように、この小型滑走艇の前記エンジンEの各排気ポートは、排気ガスを船外へ排出する排気管路Epに接続されている。この排気管路Epは、基端が前記排気ポートの出口に接続される排気マニフォルド15と、該排気マニフォルド15の先端に接続される第1排気管(この実施形態において、請求項1及び4の「第1の排気管」,請求項12及び13の「一方の排気管」に相当)1と、この第1排気管1の後流側に接続される第2排気管(この実施形態において、請求項1,4及び8の「第2の排気管」,請求項12及び13の「他方の排気管」に相当に相当)2、および、ウォーターマフラーWmと、該ウォーターマフラーWmから船外に排気ガスを導く第3排気管14を有する。
そして、この第2排気管2の先端部2A(図1,図2参照:図7において右端部)は、ウォーターマフラーWmに収容されている。
そして、この実施形態にかかる排気管路Epの、前記第1排気管1の先端部(排気ガス流の後流端部)1Aと前記第2排気管2の基端部(排気ガス流の上流端部)2Bとは、図1あるいは該図1の部分拡大断面図である図2に示すような接続構造によって、接続されている。
即ち、前記第1排気管1の接続端部である先端部1Aに、接続しようとする前記第2排気管2の接続端部である基端部2B側に向かって突設した、筒状の内嵌部1aが形成されている。
一方、前記第2排気管2の基端部2Bに、前記第1排気管1の筒状の内嵌部1aを内径方に収容するための筒状の外嵌部2aが形成されている。
また、図2に図示するように、前記第1排気管1の前記内嵌部1aの外周面に、該内嵌部1aを周回するようにリング溝1dが形成されている。
そして、このリング溝1dには、シールリング3が配設されている。このシールリング3は、この実施形態の場合、所謂「ばね鋼」で構成されており、外力が作用しない状態では、該シールリング3の外周面は、前記外嵌部2aの内周面の内径より大きな外径となり、且つ、外力が作用した状態では、前記外嵌部2aの内周面より小径になる範囲で収縮可能となっている。
つまり、このシールリング3は、周知のエンジンのピストンリングのように、前記リング溝1d内に収容(嵌合)されて、外周が前記外嵌部2aの内周面(あるいは外嵌部2aの内周面に後述するスリーブ4が挿着される場合には該スリーブ4の内面)に、ばね力(収縮されて生じる自己のばね力)によって該内周面側に付勢された状態で、当接(圧接)する。そして、その状態において、シールリング3の内周面とリング溝1dの底部との間には、隙間が形成されて、該シールリング3が収縮することができるようになっている。
ところで、この実施形態の場合、前記外嵌部2aの内周面の内径側には、前記シールリング3との当接による耐磨耗性を向上させるために、高耐久性のスリーブ部材として、ステンレススチール製であり筒状のスリーブ4が該外嵌部2aの内周面に嵌合(密着)するような状態で挿着されている。該スリーブ4は、一方の開口端部4aがその開口端へ向かうに従ってその内径が拡大されてラッパ状になっており、この開口端部4aを外向きにして前記外嵌部2aに挿着されている。このスリーブ4の材質については、ステンレススチールに限定されるものではなく、その他の材質、例えば、チタン合金あるいはクロム合金、又はセラミックであってもよい。
また、二重管で構成されるこの第1排気管1の外周域に形成されているウォータージャケット1Jから、細径の通水路1gが延設され、冷却水の一部がウォータージャケット1J側からシールリング3とリング溝1dがある第1排気管1と第2排気管2の重なり部分の空間へ供給され、シールリング3とリング溝1dとの摺動が円滑におこなわれるように構成されている。
なお、この実施形態では、前記第1排気管1は、内部に排気通路の合流部を有し、前記排気マニフォルド15(図7参照)で4本の排気通路を2本の排気通路に集合した該2本の排気通路に接続される、2本の排気通路1r,1fを、この第1排気管1内で1本の排気通路1nに集合するよう構成されている。
そして、この実施形態では、前記第1排気管1と第2排気管2の接続部分に隣接した箇所の外径を、図1あるいは図2に図示するように、実質上、同じ寸法にしている。つまり、図1あるいは図2に図示するように、両者を接続した状態では、接続部分では同じ外径になる。
そして、この第1排気管1と第2排気管2の接続部を跨ぐような長さを有する被覆スリーブ5で覆っている。この被覆スリーブ5は、ゴム製で、具体的には、耐熱ゴム製のもの、例えばNBRあるいはPVC等で構成することができる。
しかし、スチール製の内周面にゴム被覆したような複合的な材質のものであっても、あるいは補強材入りのゴムであってもよい。
そして、前記被覆スリーブ5は、接続部分の外周に装着された状態において、図2に図示するように、その両側を締付金具7付きのスチールバント6で締めつけることによって、シール効果をさらに具備させることが望ましい。なお、図1では、締付金具7付きのスチールバンド6を省略している。
また、図1あるいは図2に図示するように、第2排気管2も第1排気管1と同じく二重管で構成され、該第2排気管2の外周域にウォータージャケット2Jが形成されている。
そして、この第2排気管2の先端部2Aは、図1に図示するように、前記ウォーターマフラーWm内に位置しており、この先端部分は、先端方に行くにしたがって徐々に上方に曲がっている。この実施形態の場合、該第2排気管2の先端は、その径の中心L2が、ウォーターマフラーWmの上下方向の中心線Luに略一致している。
そして、図1に図示するように、第2排気管2の先端の上端部には、前記ウォータージャケット2Jに連通する水落とし口2yが形成され、この水落とし口2yから該ウォータージャケット2J内の冷却水の一部がウォーターマフラーWm内に供給されるよう構成されている。
また、このウォーターマフラーWmは、図1に図示するように、概略の全体の形状がドラム缶を横に寝かせたような形状を有し、内部は膨張室10を構成している。前記膨張室10となる内部は、縦方向に設けられた仕切り壁10A,10Bによって、艇の前方(図1において左方)から順に、第1室Ch1、第2室Ch2、第3室Ch3の3つの部屋に分割されている。
そして、前記第2排気管2の先端は、中央の第2室Ch2に開口している。
また、前記第2室Ch2と前記第1室Ch1とは、第1の連通管81で連通され、また、前記第1室Ch1と前記第3室Ch3とは、第2の連通管82で連通されている。
従って、太線の矢印で図示するように、前記第2排気管2の先端から第2室Ch2に入った排気ガスは、この第2室Ch2から第1室Ch1へ連通管81によって排出され、この第1室Ch1から第3室Ch3へ第2の連通管82によって排出される。
そして、この第3室Ch3には、該第3室Ch3内に基端11Bが開口する排出管11が略立設された状態で配設され、この排出管11の先端11Aは、図7に図示するように、前記第3排気管14の基端に接続されている。
そして、このウォーターマフラーWmは、小型滑走艇の喫水線Lとの関係から言えば、図7に図示するように、該ウォーターマフラーWmの上端が喫水線Lと略等しい位置(正確には、上端よりやや下方位置で前記第2排気管2の上端より上方の位置)になるよう構成されている。
【0048】
なお、前記実施形態に代えて、シールリングの配置を逆に、つまり、シールリングを、第1排気管の内嵌部でなく、第2排気管の外嵌部の内周面に形成したリング溝に、このシールリングを縮径する方向に内周面が付勢された状態で配置した構成としても、実施できる。
【0049】
図10は、このような図2とは異なる第1排気管及び第2排気管の接続構造を示す部分拡大断面図である。なお、既に説明した構成と同様の構成を成す部分は、図10においても同じ参照符号を付し、以下の記載ではその構成についての説明を省略する。
【0050】
図10に示すように、第1排気管31の接続端部である先端部31Aは、該第1排気管31と同軸を成す筒状の内嵌部31aになっており、第2排気管32の接続端部である基端部32Bは、該第2排気管32と同軸を成す筒状の外嵌部32aになっている。該外嵌部32aの内径は前記内嵌部31aの外径より若干大きくなっており、前記外嵌部32aを前記内嵌部31aに対して外嵌した場合、前記外嵌部32aの内面と前記内嵌部31aの外面との間には若干の隙間を有する。
【0051】
前記内嵌部31aには、その外周面に密着するようにして筒状のスリーブ34が外嵌されている。該スリーブ34は、第1排気管31の先端側の開口端部34aをその開口端へ向かうに従って外径が縮小した構成となっており、この開口端部34aを外向きにして前記内嵌部31aに外嵌されている。
【0052】
前記外嵌部32aの内周面には、該外嵌部32aを周回するようにリング溝32dが形成されている。該リング溝32dにはシールリング33が収容(嵌合)されている。該シールリング33は径方向へ拡縮可能であり、外力が作用しない状態ではその内径が前記内嵌部31aの外径より小さく、外力が作用することによって前記内嵌部31aの外径より大きくなることができる。
【0053】
前記外嵌部32aが前記内嵌部31aに対して外嵌している状態では、前記リング溝32dに収容されたシールリング33は内側へ付勢されてその内周面が前記内嵌部31a周りのスリーブ34の外周面に当接(圧接)している。また、この状態ではリング溝32dの底部とシールリング33の外周面との間には隙間が生じている。従って、第1排気管31及び第2排気管32の相対的な位置・向きの変化に対し、シールリング33が前記隙間の範囲で外側へ拡大することにより、柔軟に対応して接続状態を維持することができる。
【0054】
なお、第2排気管32に形成されたウォータージャケット2Jから、内嵌部31及び外嵌部32の間の隙間まで、細径の通水路32gが延設されている。前記ウォータージャケット2J内の冷却水は、前記通水路32gを通って前記シールリング33とリング溝32dとへ供給され、該シールリング33の拡縮動作が円滑に行われるようになっている。
【0055】
しかして、このように構成された本排気管路によれば、以下のような作用効果を奏する。即ち、
排気管路の接続部分について述べると、前述のように構成されているため、エンジンEとウォーターマフラーWmが異なる振動系に属して、別々の振動を呈しても、前記接続構造に起因して、この振動を容易に吸収することができる。しかも、従来のように所謂「ウェット式」でなく、排気通路内(この実施形態では第1排気管1の排気通路内)に水を混入しない所謂「ドライ式」とすることができる。
具体的には、図2に図示するように、ウォーターマフラーWm側に固着されている第2排気管2と、エンジンE側に固着されている第1排気管1が別々の振動を呈しても、両者は、シールリング3の外周面とスリーブ4の内周面と接触し、且つこの接触が、シールリング3のばね力によって行われているため、両者の振動の相違を吸収し、且つシールすることが可能となる。しかも、シール自体が、基本的に耐熱性の高い材質、この実施形態の場合には金属であるため、接続部分を「ドライ式」にすることができる。
この結果、接続部分の上流側で排気通路内に水を混入する必要がないため、背圧が上昇せず、排気性能を損わない排気管路が実現できる。
【0056】
また、上記シールリング3は「ばね鋼」で構成したが、これに代えて形状記憶合金製としてもよい。マルテンサイト状態の形状記憶合金は、外力によって大きく変形した場合であっても、加熱することによって元の形状に復元する。従って、適度なシール効果を有する形状を元の形状とする形状記憶合金製のシールリングを用いる。第1排気管1及び第2排気管2を接続する際には、両排気管が接続し易いように前記シールリングを変形しておき、接続後にその接続部分を加熱する。その結果、両排気管が接続された状態でシールリングはその形状を復元し、接続部分に適度なシール効果を発揮する。接続部分の加熱は、ヒータを用いて外部から行ってもよいし、エンジンEを駆動して排出される高温の排気ガスによって行ってもよい。
【0057】
また、内部に溜まった水が逆流することのない排気管路について述べると、前記第2排気管2の先端部2Aが先端方で基端方に比べて上方に位置するように構成し且つ、第2排気管2の先端の径の中心L2をウォーターマフラーWmの上下方向の中心Luと略一致させているため、仮にウォーターマフラーWmの第2室Ch2の底部に水が溜まっても、その水位よりこの第2排気管2の先端を高く保つことができ、エンジンの再始動時等において、可及的にエンジン側への水の逆流を防止できる。
しかも、前述のように、第1排気管から第2排気管にかけての排気管路が「ドライ式」となっているため、前記ウォーターマフラーWmの第2室Ch2内に溜まる水の量そのものも少なくなることから、エンジン側へ逆流する可能性のある水の量自体も少なくできる。
【0058】
また、本実施形態にかかる排気管路の場合には、図1に図示するように、前記第2排気管2のウォータージャケット2Jを上下方向に区画する隔壁2mを先端の連通口2vを除いて設け、冷却水を該第2排気管2の基端部2Bの下方に設けられた冷却水供給口2kから供給し、前記連通口2vを経て、基端部2Bの上方に設けられた冷却水排出口2uから外に排出するよう構成されている。
このため、第2排気管2を均等に且つ効率よく冷却水によって冷却することができる。
【0059】
そして、この排気管路Epの排気ガスの流れと消音作用について説明すると、図7に図示する排気マニフォルド15側から、図1に示す、前記第1排気管1に排出された排気ガスは、前記第1排気管1と第2排気管2の接続部を経て、第2排気管2の先端から、ウォーターマフラーWmの第2室Ch2へ排出される。この間、排気ガスは、周囲のウォータージャケット1J,2Jによって冷却され、該排気ガスが有するエネルギーが低減され、消音される。
次に、この第2排気間2の先端からウォーターマフラーWmの第2室Ch2内に排出されるが、この際、膨張して消音される。特に、この実施形態のように、第2排気管2の先端で水落とし口2yから冷却水が供給されると、排気ガスが冷却水によって効果的に冷却されて消音効果が生じるとともに、該冷却水が排気ガス流の速度によって噴霧された状態となるため、この噴霧状態となった水によっても排気音が吸収される。
そして、ウォーターマフラーWmの第2室Ch2から、連通管81を経て、第1室Ch1に排気され、ここで膨張して再び消音されることになる。
そして、この第1室Ch1から第3室Ch3へ連通管82によって排出され、同様に膨張して、消音される。
そして、第3室Ch3から前記排出管11を経て、ウォーターマフラーWmの外へ排出されるが、この際、第3室Ch3底部に溜まっている水を、排気ガス流によってウォーターマフラーWm外に排気ガスと共に排出する。このため、排気ガスのエネルギーがこの作用によっても低減することから、消音される。加えて、この水との接触によって排気音、特に音域の高い排気音が噴霧状になった水に吸収されて、効果的に低減することになる。
【0060】
さらに、この実施形態にかかる排気管路Epの場合には、図7に図示するように、喫水線Lに略等しくウォーターマフラーWmの上端が位置するように構成されるとともに、このウォーターマフラーWm内に、第2排気管2の先端が基端方に比べて上位になるよう構成され、且つこの第2排気管2の径の中心L2が該ウォーターマフラーWmの上下方向の中心線Luに略一致するような構成となっているため、スポーツ的な航行中に一時的に上下逆向きに近い状態になったとしても、ウォーターマフラーWm内に排気管路Epの先端側から艇の周囲の水が侵入することがなく、しかも、仮にウォーターマフラーWm内に水が侵入したとしても、第2排気管2から第1排気管1側に水が侵入することはない。
【0061】
ところで、この実施形態における第2排気管2の先端の端面を、図3に図示するように、該先端の端面2qが、垂直あるいはそれ以上の鋭角(この実施形態の場合には鋭角)にして、該水落とし口2yが第2排気管2の先端の下方の部位に対して先端方に突出するよう構成することが望ましい。かかる構成にすると、前記水落とし口2yから噴出される冷却水が該第2排気管2内に落下することがない。
また、図3において、図1と同じあるいは対応する主な構成要素については、同じ参照符号を付している。
【0062】
上述したような構成を成す第1排気管1と第2排気管2とを接続する場合、両排気管の間に介在させるシールリング3がぐらつき、両排気管を嵌め合わせる作業が容易でない場合がある。従って、前記第1排気管1と第2排気管2との接続方法について以下に説明する。
【0063】
図11は、前記第1排気管1と第2排気管2との接続の手順を示す模式図である。図11(a)に示すように、初めに、第2排気管2との接続前に第1排気管1の内嵌部1aに形成されたリング溝1dにシールリング3を外嵌し、第2排気管2の外嵌部2aにスリーブ4を内嵌しておく。
【0064】
次に、図11(b)に示すように、リング溝1dに外嵌されたシールリング3の外周方からテープ(止着材)40を貼り、シールリング3を内嵌部1aの外周面に止着する。テープ40を貼る際には、内嵌部1aの先端側における該内嵌部1aの外周面とシールリング3の外周部との間に、該テープ40自身によってテーパ面41が形成されるようにする。なお、前記テープ40は、可燃性又は熱溶解性のものを用いる。また、テープ40に代えて可燃性又は熱溶解性の接着剤を用いて止着してもよい。
【0065】
更に、シールリング3を内嵌部1aの外周面に止着した状態で、前記第1排気管1を第2排気管2へ嵌挿していき(図11(c)参照)、最も深くまで嵌挿することにより(図11(d)参照)前記第1排気管1及び第2排気管2は接続される。
【0066】
このような方法によって排気管を接続した場合、シールリング3のぐらつきを容易に抑えることができる。また、テープ40によってテーパ面41が形成されているため、第1排気管1を第2排気管2へ嵌挿し易い。テープ40を貼る際に、シールリング3を縮径させた状態で止着した場合は、更に嵌挿し易くなる。また、スリーブ4の開口端部4aはその内径がラッパ状に拡大されているため、より一層、第1排気管1を第2排気管2へ嵌挿し易い。
【0067】
なお、シールリングの配置を逆に、即ち、図10に示す接続構造においても、同様の方法によって第1排気管と第2排気管とを容易に接続することができる。
【0068】
図12は、図10に示す第1排気管31と第2排気管32との接続手順を示す模式図である。図12(a)に示すように、初めに、第1排気管31との接続前に第2排気管32の外嵌部32aに形成されたリング溝32dにシールリング33を内嵌し、第1排気管31の内嵌部31aにスリーブ34を外嵌しておく。
【0069】
次に、図12(b)に示すように、リング溝32dに内嵌されたシールリング33の内周方からテープ(止着材)40を貼り、シールリング33を外嵌部32aの内周面に止着する。テープ40を貼る際には、外嵌部32aの基端側における該外嵌部32aの内周面とシールリング33の内周部との間に、該テープ40自身によってテーパ面41が形成されるようにする。なお、前記テープ40は、可燃性又は熱溶解性のものを用いる。また、テープ40に代えて可燃性又は熱溶解性の接着剤を用いて止着してもよい。
【0070】
更に、シールリング33を外嵌部32aの内周面に止着した状態で、前記第1排気管1を第2排気管2へ嵌挿していき(図12(c)参照)、最も深くまで嵌挿することにより(図12(d)参照)前記第1排気管31及び第2排気管32は接続される。
(実施形態2)
別の実施形態として、図4に図示するように、第2排気管2を直線状のパイプ(二重管を含む)で構成し、先端を基端側に比べて上位位置になるように傾斜状に配置された構成とすることもできる。その他の構成においては、図1に図示する排気管路Epと基本的に同じ構成を具備し、同じ作用効果を奏する。また、図4において、図1と同じあるいは対応する主な構成要素については、同じ参照符号を付している。
(実施形態3)
さらに、別の実施形態として、図5に図示するように、ウォーターマフラーWmの第3室Ch3の底部に、水を溜める凹所12を形成し、この凹所12の底面からやや上方の位置、この実施形態では、前記第1室Ch1と前記第2室Ch2の底面と略同じ位置まで前記排出管11の下端を延設すると、第3室Ch3において、底部に有効に集めた水Waをより効果的にウォーターマフラーWm外に排出できる構成となる。また、このように構成すると、小型滑走艇が転倒状態あるいはそれに近い状態になったときにも、前記排出管11の下端(転倒状態で上端)が、そのときの喫水より上方に位置することになるため、排気管の後流端から水が侵入しても、この排出管11内でそれ以上エンジン側へ侵入するのを止めることができることになる。
その他の点では、この実施形態も、前記図1,図4に図示する実施形態と基本的に同じ構成を具備し、同じ作用効果を奏する。また、図5において、図1と同じあるいは対応する主な構成要素については、同じ参照符号を付している。
(実施形態4)
さらに、本第1の発明にかかる排気管路Epの別の実施形態として、図6に図示するように、第2排気管2を逆U字状の管(二重管を含む)で構成し、且つ該第2排気管2を、接続管2Mで接続した前管2Fと後管2Rの二つの管で構成することもできる。
そして、この実施形態では、前記第2排気管2の先端部を、ウォーターマフラーWmの上方から下方を向けて略縦方向に第2室Ch2に収容している。
このように構成することによって、第2排気管2の前管2F部分を簡単に上方に取り外すことができる構成となり、エンジンあるいはウォーターマフラーWmをエンジンルームから外に取り外すのに便利な構成となる。
そして、このように構成することによって、艇が一時的に上下逆向きに近い状態になったときに、この第2排気管2部分で、エンジン側への水の侵入を防止することができる。また、このように構成すると、排気管路Epの長さを長くして、エンジンの排気効率を向上させることが可能となる。
そして、このように構成した場合には、この第2排気管2のU字状の屈曲部2Tに取付フランジ金具13を取着しておいて、該第2排気管2の前管2Fを、艇のエンジンルームの側壁に固定するように構成してもよい。
【0071】
ところで、前記各実施形態において、請求項1及び4の「第1の排気管」,請求項12及び13の「一方の排気管」として第1排気管1を対応させ、且つ「第2の排気管」,「他方の排気管」として第2排気管2を対応させているが、逆にしてもよい。つまり、「第1の排気管」,「一方の排気管」として第2排気管2を対応させ、且つ「第2の排気管」,「他方の排気管」として第1排気管1を対応させてもよい。かかる場合には、「内嵌部」を第2排気管2の基端部に、「外嵌部」を第1排気管1の先端部に形成することになる。
【0072】
【発明の効果】
本第1の発明によれば、「ウェット式」でない、しかも、第1の排気管と第2の排気管が別の振動系に属するような排気管路を実現できる。
【0073】
また、本第2の発明によれば、ウォーターマフラーの底部に溜まった水がエンジン側に逆流することがない排気管路を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる小型滑走艇の4サイクルエンジンに付設された接続部分を含む排気管路の構成を示す要部を断面した図である。
【図2】図1に示す接続部分の構成を示す部分拡大断面図である。
【図3】図1とは排気管路の先端の構成が異なる別の実施形態を示す排気管路の構成を示す要部を断面した図である。
【図4】図1とは別の第2の実施形態にかかる小型滑走艇の4サイクルエンジンに付設された接続部分を含む排気管路の構成を示す要部を断面した図である。
【図5】図1とは別の第3の実施形態にかかる小型滑走艇の4サイクルエンジンに付設された接続部分を含む排気管路の構成を示す要部を断面した図である。
【図6】図1とは別の第4の実施形態にかかる小型滑走艇の4サイクルエンジンに付設された接続部分を含む排気管路の構成を示す要部を断面した図である。
【図7】図1,図4〜図6に示す構成の排気管路を含む小型滑走艇の排気管路全体を船体のハルとデッキを一部切欠いて示す小型滑走艇の全体側面図である。
【図8】本発明の実施形態にかかるジェット推進型の小型滑走艇の全体側面図である。
【図9】図8に示す小型滑走艇の全体平面図である。
【図10】図2とは異なる第1排気管及び第2排気管の接続構造を示す部分拡大図である。
【図11】図2に示す第1排気管と第2排気管との接続の手順を示す模式図である。
【図12】図10に示す第1排気管と第2排気管との接続手順を示す模式図である。
【符号の説明】
Wm……ウォーターマフラー
Ep……排気管路
1……第1排気管
1a……内嵌部
1d……リング溝
2……第2排気管
2a……外嵌部
3……シールリング
40……テープ(止着材)
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型滑走艇( Personal Watercraft(パーソナルウォータークラフト); PWCとも呼ばれる) 等の小型船舶に搭載されるエンジンの排気ポートから排出される排気ガス(燃焼ガス)の排気管路および排気管路の先端部を収容するウォーターマフラーに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
小型船舶、例えば、所謂ジェット推進型の小型滑走艇は、レジャー用,スポーツ用としてあるいはレスキュー用として、近年多用されている。この小型滑走艇では、一般に艇の底面に設けられた吸水口から吸い込んだ水を、ウォータージェットポンプで加圧・加速して後方へ噴射することによって船体を推進させる。
【0003】
そして、このジェット推進型の小型滑走艇の場合、前記ウォータージェットポンプの噴射口の後方に配置したステアリングノズルを、バー型操舵ハンドルを左右に操作することによって左右に揺動させて、後方への水の噴射方向を左右に変更させて、艇を右側あるいは左側に操舵する。
【0004】
ところで、エンジンに一体的に固着されている排気管と、該エンジンからの排気ガスを船外に消音して排出するべく延設されている消音器を含む排気管は、二つの排気管がそれぞれ異なる振動系であるため、ゴムチューブによって接続されている。
ところが、ゴムチューブで接続した場合、高い排気ガス温度に直にさらされると耐久性が低下するため、ゴムチューブの配置されている接続部分の上流側(排気ガス流の上流側)には、水落とし穴を形成して、排気ガスに水を混入させて排気ガス温度を低下させる所謂「ウェット式」にする必要がある。
【0005】
しかしながら、接続部分の形態に、この「ウェット式」を採用すると、エンジン停止状態では排気管路内に水が溜まり、エンジンの再始動時等には、この排気管路内の水がエンジンの燃焼室側に逆流することも考えられる。
【0006】
ところで、小型滑走艇では、全長が3〜4m程度と短く、且つエンジンが艇の中央部位に配置されることから、排気管路の全長を長くすることができない。このため、短い長さでも低いピーク出力特性が得られるように、排気管路の周囲にウォータージャケットを設けて排気ガス温度を下げるような構造が、一般に採用されている。加えて、マフラー内に水を噴霧状態で供給して、同様に排気ガス温度を低下させて消音効果を高めるような所謂「ウォーターマフラー」も、一般に採用されている。
【0007】
ところが、エンジン停止状態では、ウォーターマフラー内の底部に水が溜まることから、エンジンの再始動時に、この底部に溜まった水がエンジン側に吸い込まれることが考えられる。
【0008】
また、艇が転倒状態になったときに、艇外の水がウォーターマフラー内に侵入することも考えられる。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みておこなわれたものであって、「ウェット式」でない、しかも振動系として別の状態を維持できる接続部分を有する排気管路を提供することを第1の目的とし、ウォーターマフラー内の底部に溜まった水がエンジン側に逆流することがない排気管路を提供することを第2の目的とし、船外からウォーターマフラー内に侵入しようとする水を可及的に阻止可能なウォーターマフラーを提供することを第3の目的とする。また、上記に加え、排気管路を構成する複数の排気管同士を容易に接続することができる排気管路の構成及びその接続方法を提供することも目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、以下のような構成からなる小型船舶の排気管路によって解決することができる。即ち、
前記第1の課題を解決するための本第1の発明にかかる小型船舶の排気管路は、小型船舶の推進機構を駆動するエンジンからの排気を通す排気管路であって、
前記排気管路が、第1の排気管と第2の排気管とを有し、
前記第1の排気管の接続端部に、接続しようとする前記第2の排気管の接続端部に向かって突設した、筒状の内嵌部を形成するとともに、
前記第2の排気管の接続端部に、前記第1の排気管の筒状の内嵌部を内径方に収容するための筒状の外嵌部を形成し、
前記内嵌部の外周面に、該内嵌部を周回するようにリング溝を設け、
該リング溝に、拡径する方向に外周面が付勢された状態でシールリングを配設した、接続構造によって、
前記第1の排気管と第2の排気管を接続したことを特徴とする。
【0011】
しかして、このように構成された排気管路の接続構造によれば、第1の排気管の内嵌部と第2の排気管の外嵌部とが、シールリングを介して、シールされた状態で接続される。しかも、拡径する方向に外周面が付勢された状態のシールリングによるシールのために、該シールリングの収縮によって、接続部分において自由度が生まれる。この結果、シール状態を維持したまま第1の排気管と第2の排気管を、相対的な自由度を具備した状態で接続することができる。
【0012】
前記第1の課題を解決するための本第2の発明にかかる小型船舶の排気管路は、小型船舶の推進機構を駆動するエンジンからの排気を通す排気管路であって、
前記排気管路が、第1の排気管と第2の排気管とを有し、
前記第1の排気管の接続端部に、接続しようとする前記第2の排気管の接続端部に向かって突設した、筒状の内嵌部を形成するとともに、
前記第2の排気管の接続端部に、前記第1の排気管の筒状の内嵌部を内径方に収容するための筒状の外嵌部を形成し、
前記外嵌部の内周面に、該内周面を周回するようにリング溝を設け、
該リング溝に、縮径する方向に内周面が付勢された状態でシールリングを配設した、接続構造によって、
前記第1の排気管と第2の排気管を接続したことを特徴とする。
【0013】
しかして、このように構成された排気管路の接続構造によれば、前記第1の発明と同じく、第1の排気管の内嵌部と第2の排気管の外嵌部とが、シールリングを介して、シールされた状態で接続される。しかも、縮径する方向に内周面が付勢された状態のシールリングによるシールのために、該シールリングの収縮によって、接続部分において自由度が生まれる。この結果、シール状態を維持したまま第1の排気管と第2の排気管を、相対的な自由度を具備した状態で接続することができる。
【0014】
また、前記第1の発明にかかる接続構造において、前記シールリングの外周面が当接する第2の排気管の内周面に高耐久性のスリーブ部材を配置し、シールリングと第2の排気管が、このスリーブ部材を介して、接触するような構成にすると、シールリングと当接する第2の排気管の内周面が磨耗することはない。そして、スリーブ部材が磨耗すれば、該スリーブ部材のみ交換すれば足りる。
【0015】
また、前記スリーブ部材が筒状であって、該スリーブ部材における前記第2の排気管の接続端側の開口端部が、開口端側へ向かうに従ってその内径が拡大されていてもよい。この場合には、第2の排気管内へ第1の排気管を挿入していく際に、スリーブ部材の拡径された部位によって、該スリーブ部材の内面に接触しながらシールリングは滑らかに移動する。従って、排気管を接続する作業が容易となり、生産性が向上する。
【0016】
また、前記第2の発明にかかる接続構造において、前記シールリングの内周面が当接する第1の排気管の外周面に高耐久性のスリーブ部材を配置し、シールリングと第1の排気管が、このスリーブ部材を介して、接触するような構成にすると、シールリングと当接する第1の排気管の外周面が磨耗することはない。そして、スリーブ部材が磨耗すれば、該スリーブ部材のみ交換すれば足りる。
【0017】
また、前記スリーブ部材が筒状であって、該スリーブ部材における前記第1の排気管の接続端側の開口端部が、開口端側へ向かうに従ってその外径が縮小されていてもよい。この場合には、第2の排気管内へ第1の排気管を挿入していく際に、スリーブ部材の縮径された部位によって、該スリーブ部材の外面に接触しながらシールリングは滑らかに移動する。従って、排気管を接続する作業が容易となり、生産性が向上する。
【0018】
また、前記第1の発明にかかる接続構造において、前記第1の排気管の壁面に冷却水を通水するための通水路を設け、この通水路を前記リング溝に細穴で連通して、リング溝内に冷却水の一部を供給するよう構成するか、あるいは、前記第2の発明にかかる接続構造において、前記第2の排気管の壁面に冷却水を通水するための通水路を設け、この通水路を前記リング溝に細穴で連通して、リング溝内に冷却水の一部を供給するよう構成すると、冷却水が潤滑効果を奏して、シールリングおよびシールリングと当接する部分の磨耗が防止でき、且つ、第1の排気管および第2の排気管との動きも円滑になり、密着性も向上してシール効果も増加する。
【0019】
また、前記シールリングを形状記憶合金製とした場合、排気管を接続する際には、マルテンサイト状態のシールリングを接続し易い形状に変形しておき、排気管同士を接続したのちに該シールリングを加熱することにより、変形したシールリングを適度なシール効果を有する元の形状に復元することができる。従って、排気管の接続が容易となると共に接続箇所を確実にシールすることができる。
【0020】
また、前記第1の発明あるいは第2の発明にかかる接続構造において、前記第1の排気管の内嵌部に続く前記第1の排気管の外周と、第2の排気管の外嵌部の外周とを、実質的に同じ外径になるよう構成するとともに、
前記内嵌部と外嵌部とを連結した部分およびそれらに隣接した部分を覆う長さを有する、被覆スリーブを設けた構成にすると、被覆スリーブによって、シール効果を高めることができる。また、被覆スリーブによって、第1の排気管と第2の排気管とが、適度な屈曲抵抗を有する自由度を具備することが可能となる。
【0021】
また、前記被覆スリーブを可撓性の部材で構成するとともに、該被覆スリーブの両端をバンドで止着すると、被覆スリーブと第1あるいは第2の排気管の外周との隙間を効果的に無くすことが可能となる。
【0022】
ところで、一方の排気管に他方の排気管を外嵌させてその接続部分の隙間にシールリングを介在させた形態の排気管路の場合、両排気管を嵌め合わせるときにシールリングがぐらつくなどして作業が煩瑣になることがある。
【0023】
従って、上述したような排気管路の接続方法においては、互いに接続される2つの排気管のうち、一方の排気管の接続端部にシールリングを外嵌すると共に、該シールリングを可燃性又は熱溶解性の止着材によって止着し、その後に一方の排気管の接続端部を他方の排気管へ嵌挿することにより、前記シールリングを挟んで2つの排気管を接続してもよい。
【0024】
この場合には、シールリングを一方の排気管の外周に止着しているのでぐらつきが生じにくく、一方の排気管の接続端部を他方の排気管へ嵌挿し易くなる。
【0025】
止着材としては、セロハンテープ,マスキングテープなどのテープ類の他、接着剤などを用いてもよいが、可燃性又は熱溶解性のものを用いる。可燃性又は熱溶解性の止着材を用いることにより、エンジンから排出される高温の排気ガスで加熱され、止着材が燃焼又は溶解して消失するため、接続部分を確実にシールすることができる。
【0026】
止着材としてテープ類を用いた場合には、一方の排気管の外周面と、該外周面から突出したシールリングの外周部との間に、テープ自身によってテーパ面を形成するようにしてシールリングを止着することができる。この場合、一方の排気管の接続端側にテーパ面を形成することにより、より一層、該一方の排気管を他方の排気管へより嵌挿し易くなる。
【0027】
なお、シールリングを一方の排気管の接続端部に内嵌すると共に止着材によって止着し、他方の排気管の接続端部を前記一方の排気管へ嵌挿することにより、2つの排気管を接続してもよく、この場合にも上述したのと同様の効果を得ることができる。
【0028】
前記第2の課題を解決するための本第3の発明にかかる排気管路は、小型船舶に搭載されるエンジンの排気ポート側に連結される排気管路であって、
前記排気管路を構成する排気管の先端部がウォーターマフラー内に挿入されており、
この排気管の先端部が、ウォーターマフラー内において基端側に比べて先端が上方位置に位置するように構成されていることを特徴とする。
【0029】
しかして、このように構成された排気管によれば、ウォーターマフラーの底部に水が溜まっていても、排気管の先端がウォーターマフラーの底部から上方に離間した位置に位置させることができるため、底部に溜まっている水が、エンジン再始動時等にエンジン側に逆流するようなことはない。
また、スポーツ的な用途で使用されて転倒状態に近い状態になっても、排気管の先端が基端に比べて上位に位置しているため、ウォーターマフラー内の水が重力によって逆流することはない。
【0030】
また、前記排気管路において、前記排気管の先端の位置が、少なくとも、ウォーターマフラーの上下方向の中心線近傍に位置していることが、実用上好ましい実施形態となる。
【0031】
また、前記排気管路において、前記排気管が外周部にウォータージャケットが形成された水冷式の排気管であって、前記排気管の先端にウォータージャケットからの水落とし口が設けられていると、ウォータージャケット内の空気を抜く空気抜き孔として機能するとともに、ウォーターマフラー内への水落とし口となる。しかも、この水落とし口からの水は、排気管の出口に位置するため排気ガスに直接当接して、排気ガス温度を効果的に低減する。また、排気ガスの流れによって、ウォータージャケット内に効果的に噴霧状態となって供給されることになり、ウォータージャケット内に流入する排気ガス全体に均等に温度低減効果をもたらす。
【0032】
また、前記排気管路において、前記排気管の先端の端面が、垂直又はそれ以上の鋭角になって、前記水落とし口が、排気管のその下方の部位に対して先端方に略突出しているように構成すると、該水落とし口から吐出する水が排気管内に入らない点において、好ましい実施形態となる。
【0033】
また、前記排気管路において、前記ウォータージャケット内に、下部ウォータージャケットと上部ウォータージャケットに区画する区画壁が設けられていると、冷却水が排気管の上部および下部の全体を均等に冷却する構成となる。
【0034】
また、前記排気管路において、前記ウォータージャケットの先端部の区画壁に、下部ウォータージャケットと上部ウォータージャケットを連通する連通口が形成されていると、下部ウォータージャケットを冷却して温度が上昇した冷却水が上方の上部ウォータージャケットに自然に供給される構成を実現できる。
【0035】
また、前記排気管路において、前記ウォータージャケットの基端部の下部ウォータージャケットに冷却水を供給する冷却水供給口が形成されるとともに、該基端部の上部ウォータージャケットに冷却水を排出する排出口が形成されていると、好ましい実施形態となる。
【0036】
前記第3の課題を解決するための本第4の発明にかかるウォーターマフラーは、前記第2の発明の排気管の先端部が挿入されているウォーターマフラーであって、
このウォーターマフラーが、内部の排気ガスを外側に排出する排気室を具備し、この排気室の底部に凹所を有するとともに、
この排気室の上方から前記凹所に向けて、下端が凹所の底面より上方に位置するように、該ウォーターマフラーから外部に排気ガスを排出するための第2の排気管を、配設したことを特徴とする。
【0037】
しかして、このように構成されたウォーターマフラーによれば、第2の排気管の下端をウォーターマフラーの高さ方向の中心線よりより下方に位置させることができ、転倒状態において、船外から第2の排気管を通ってウォーターマフラー内へ侵入しようとする水を阻止することができる構成となる。また、該排気室の底部に設けた凹所に、該ウォーターマフラー内の水が有効に溜めることができるため、該ウォーターマフラー内の水を速やかに外部に排出することが可能となる。
【0038】
また、前記ウォーターマフラーにおいて、前記ウォーターマフラーが、前方から順に第1室,第2室、第3室を有し、前記排気管の先端は第2室に位置し、前記排気室が前記第3室であってよい。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態にかかる小型船舶の一種である小型滑走艇の排気管路を例に挙げて、図面を参照しながら、具体的に説明する。しかし、小型滑走艇以外の小型船舶にも実施できることは言うまでもない。
【0040】
図1は本発明の実施形態にかかる小型滑走艇の4サイクルエンジンに付設された接続部分を含む排気管路の構成を示す側面断面図、図2は図1に示す接続部分の構成を示す部分拡大断面図、図7は図1,図2の排気管路を含む小型滑走艇の排気管路全体を船体のハルとデッキを一部切欠いて示す小型滑走艇の全体側面図、図8は本発明の実施形態にかかる小型滑走艇の全体側面図、図9は図8の平面図である。
【0041】
図8,図9において、Aは船体で、この船体Aは、ハルHとその上方を覆うデッキDから構成され、これらハルHとデッキDを全周で接続する接続ラインはガンネルラインGと呼ばれる。この図において、Lは喫水線を示している。
【0042】
そして、前記デッキDの中央よりやや後部には、図9に図示するように、船体Aの上面に長手方向に延びる平面視において略長方形の開口部16が形成され、図8,図9に図示するように、この開口部16上方に騎乗用のシートSが配置されている。
【0043】
また、エンジンEは、前記シートS下方のハルHとデッキDに囲まれた横断面形状が「凸」状の空間20内に配置される。
この実施形態の場合、エンジンEは、多気筒(この実施例では4気筒)の4サイクル式のエンジンEで、図8に図示するように、クランクシャフト26が船体Aの長手方向に沿うような向きで搭載されており、このクランクシャフト26の出力端は、プロペラ軸27を介して、インペラ21が取着されているウォータージェットポンプPのポンプ軸21S側に、一体的に回転可能に連結されている。そして、このインペラ21は、その外周方が、ポンプケーシング21Cで覆われ、小型滑走艇の底面に設けられた吸水口17から取り入れた水を吸水通路28を介して取り込んで、ウォータージェットポンプPで加圧・加速して、通水断面積が後方にゆくに従って小さくなったポンプノズル(噴出部)21Rを通って、後端の噴射口21Kから吐出して、推進力を得るよう構成されている。
【0044】
また、図8において、21VはウォータージェットポンプP内を通過する水を整流するための静翼である。また、図8,図9において、24はバー型の操舵ハンドルで、このハンドル24を左右に操作することによって、図9に一点鎖線で示すケーブル25を介して、前記ポンプノズル21R後方のステアリングノズル18を左右に揺動させて、ウォータージェットポンプPの稼働時に、艇を所望の方向に操舵できるよう構成されている。また、図9において、Ltはエンジンの回転数を操作するためのスロットルレバーである。
【0045】
また、図8に図示するように、前記ステアリングノズル18の上後方には、水平に配置された揺動軸19aを中心に下方に揺動可能に、ボウル形状のリバース用のデフレクター19が配置され、このデフレクター19をステアリングノズル18後方の下方位置へ揺動動作させることによって、ステアリングノズル18から後方に吐出される水を前方に転向させて、後進できるよう構成されている。
【0046】
また、図8,図9において、22は後部デッキで、この後部デッキ22には、開閉式のハッチカバー29が設けられ、ハッチカバー29の下方に小容量の収納ボックスが形成されている。また、図8あるいは図9において、23は前部ハッチカバーで、このハッチカバー23の下方には備品等を収納するボックス(図示せず)が設けられている。
【0047】
ところで、図7に図示するように、この小型滑走艇の前記エンジンEの各排気ポートは、排気ガスを船外へ排出する排気管路Epに接続されている。この排気管路Epは、基端が前記排気ポートの出口に接続される排気マニフォルド15と、該排気マニフォルド15の先端に接続される第1排気管(この実施形態において、請求項1及び4の「第1の排気管」,請求項12及び13の「一方の排気管」に相当)1と、この第1排気管1の後流側に接続される第2排気管(この実施形態において、請求項1,4及び8の「第2の排気管」,請求項12及び13の「他方の排気管」に相当に相当)2、および、ウォーターマフラーWmと、該ウォーターマフラーWmから船外に排気ガスを導く第3排気管14を有する。
そして、この第2排気管2の先端部2A(図1,図2参照:図7において右端部)は、ウォーターマフラーWmに収容されている。
そして、この実施形態にかかる排気管路Epの、前記第1排気管1の先端部(排気ガス流の後流端部)1Aと前記第2排気管2の基端部(排気ガス流の上流端部)2Bとは、図1あるいは該図1の部分拡大断面図である図2に示すような接続構造によって、接続されている。
即ち、前記第1排気管1の接続端部である先端部1Aに、接続しようとする前記第2排気管2の接続端部である基端部2B側に向かって突設した、筒状の内嵌部1aが形成されている。
一方、前記第2排気管2の基端部2Bに、前記第1排気管1の筒状の内嵌部1aを内径方に収容するための筒状の外嵌部2aが形成されている。
また、図2に図示するように、前記第1排気管1の前記内嵌部1aの外周面に、該内嵌部1aを周回するようにリング溝1dが形成されている。
そして、このリング溝1dには、シールリング3が配設されている。このシールリング3は、この実施形態の場合、所謂「ばね鋼」で構成されており、外力が作用しない状態では、該シールリング3の外周面は、前記外嵌部2aの内周面の内径より大きな外径となり、且つ、外力が作用した状態では、前記外嵌部2aの内周面より小径になる範囲で収縮可能となっている。
つまり、このシールリング3は、周知のエンジンのピストンリングのように、前記リング溝1d内に収容(嵌合)されて、外周が前記外嵌部2aの内周面(あるいは外嵌部2aの内周面に後述するスリーブ4が挿着される場合には該スリーブ4の内面)に、ばね力(収縮されて生じる自己のばね力)によって該内周面側に付勢された状態で、当接(圧接)する。そして、その状態において、シールリング3の内周面とリング溝1dの底部との間には、隙間が形成されて、該シールリング3が収縮することができるようになっている。
ところで、この実施形態の場合、前記外嵌部2aの内周面の内径側には、前記シールリング3との当接による耐磨耗性を向上させるために、高耐久性のスリーブ部材として、ステンレススチール製であり筒状のスリーブ4が該外嵌部2aの内周面に嵌合(密着)するような状態で挿着されている。該スリーブ4は、一方の開口端部4aがその開口端へ向かうに従ってその内径が拡大されてラッパ状になっており、この開口端部4aを外向きにして前記外嵌部2aに挿着されている。このスリーブ4の材質については、ステンレススチールに限定されるものではなく、その他の材質、例えば、チタン合金あるいはクロム合金、又はセラミックであってもよい。
また、二重管で構成されるこの第1排気管1の外周域に形成されているウォータージャケット1Jから、細径の通水路1gが延設され、冷却水の一部がウォータージャケット1J側からシールリング3とリング溝1dがある第1排気管1と第2排気管2の重なり部分の空間へ供給され、シールリング3とリング溝1dとの摺動が円滑におこなわれるように構成されている。
なお、この実施形態では、前記第1排気管1は、内部に排気通路の合流部を有し、前記排気マニフォルド15(図7参照)で4本の排気通路を2本の排気通路に集合した該2本の排気通路に接続される、2本の排気通路1r,1fを、この第1排気管1内で1本の排気通路1nに集合するよう構成されている。
そして、この実施形態では、前記第1排気管1と第2排気管2の接続部分に隣接した箇所の外径を、図1あるいは図2に図示するように、実質上、同じ寸法にしている。つまり、図1あるいは図2に図示するように、両者を接続した状態では、接続部分では同じ外径になる。
そして、この第1排気管1と第2排気管2の接続部を跨ぐような長さを有する被覆スリーブ5で覆っている。この被覆スリーブ5は、ゴム製で、具体的には、耐熱ゴム製のもの、例えばNBRあるいはPVC等で構成することができる。
しかし、スチール製の内周面にゴム被覆したような複合的な材質のものであっても、あるいは補強材入りのゴムであってもよい。
そして、前記被覆スリーブ5は、接続部分の外周に装着された状態において、図2に図示するように、その両側を締付金具7付きのスチールバント6で締めつけることによって、シール効果をさらに具備させることが望ましい。なお、図1では、締付金具7付きのスチールバンド6を省略している。
また、図1あるいは図2に図示するように、第2排気管2も第1排気管1と同じく二重管で構成され、該第2排気管2の外周域にウォータージャケット2Jが形成されている。
そして、この第2排気管2の先端部2Aは、図1に図示するように、前記ウォーターマフラーWm内に位置しており、この先端部分は、先端方に行くにしたがって徐々に上方に曲がっている。この実施形態の場合、該第2排気管2の先端は、その径の中心L2が、ウォーターマフラーWmの上下方向の中心線Luに略一致している。
そして、図1に図示するように、第2排気管2の先端の上端部には、前記ウォータージャケット2Jに連通する水落とし口2yが形成され、この水落とし口2yから該ウォータージャケット2J内の冷却水の一部がウォーターマフラーWm内に供給されるよう構成されている。
また、このウォーターマフラーWmは、図1に図示するように、概略の全体の形状がドラム缶を横に寝かせたような形状を有し、内部は膨張室10を構成している。前記膨張室10となる内部は、縦方向に設けられた仕切り壁10A,10Bによって、艇の前方(図1において左方)から順に、第1室Ch1、第2室Ch2、第3室Ch3の3つの部屋に分割されている。
そして、前記第2排気管2の先端は、中央の第2室Ch2に開口している。
また、前記第2室Ch2と前記第1室Ch1とは、第1の連通管81で連通され、また、前記第1室Ch1と前記第3室Ch3とは、第2の連通管82で連通されている。
従って、太線の矢印で図示するように、前記第2排気管2の先端から第2室Ch2に入った排気ガスは、この第2室Ch2から第1室Ch1へ連通管81によって排出され、この第1室Ch1から第3室Ch3へ第2の連通管82によって排出される。
そして、この第3室Ch3には、該第3室Ch3内に基端11Bが開口する排出管11が略立設された状態で配設され、この排出管11の先端11Aは、図7に図示するように、前記第3排気管14の基端に接続されている。
そして、このウォーターマフラーWmは、小型滑走艇の喫水線Lとの関係から言えば、図7に図示するように、該ウォーターマフラーWmの上端が喫水線Lと略等しい位置(正確には、上端よりやや下方位置で前記第2排気管2の上端より上方の位置)になるよう構成されている。
【0048】
なお、前記実施形態に代えて、シールリングの配置を逆に、つまり、シールリングを、第1排気管の内嵌部でなく、第2排気管の外嵌部の内周面に形成したリング溝に、このシールリングを縮径する方向に内周面が付勢された状態で配置した構成としても、実施できる。
【0049】
図10は、このような図2とは異なる第1排気管及び第2排気管の接続構造を示す部分拡大断面図である。なお、既に説明した構成と同様の構成を成す部分は、図10においても同じ参照符号を付し、以下の記載ではその構成についての説明を省略する。
【0050】
図10に示すように、第1排気管31の接続端部である先端部31Aは、該第1排気管31と同軸を成す筒状の内嵌部31aになっており、第2排気管32の接続端部である基端部32Bは、該第2排気管32と同軸を成す筒状の外嵌部32aになっている。該外嵌部32aの内径は前記内嵌部31aの外径より若干大きくなっており、前記外嵌部32aを前記内嵌部31aに対して外嵌した場合、前記外嵌部32aの内面と前記内嵌部31aの外面との間には若干の隙間を有する。
【0051】
前記内嵌部31aには、その外周面に密着するようにして筒状のスリーブ34が外嵌されている。該スリーブ34は、第1排気管31の先端側の開口端部34aをその開口端へ向かうに従って外径が縮小した構成となっており、この開口端部34aを外向きにして前記内嵌部31aに外嵌されている。
【0052】
前記外嵌部32aの内周面には、該外嵌部32aを周回するようにリング溝32dが形成されている。該リング溝32dにはシールリング33が収容(嵌合)されている。該シールリング33は径方向へ拡縮可能であり、外力が作用しない状態ではその内径が前記内嵌部31aの外径より小さく、外力が作用することによって前記内嵌部31aの外径より大きくなることができる。
【0053】
前記外嵌部32aが前記内嵌部31aに対して外嵌している状態では、前記リング溝32dに収容されたシールリング33は内側へ付勢されてその内周面が前記内嵌部31a周りのスリーブ34の外周面に当接(圧接)している。また、この状態ではリング溝32dの底部とシールリング33の外周面との間には隙間が生じている。従って、第1排気管31及び第2排気管32の相対的な位置・向きの変化に対し、シールリング33が前記隙間の範囲で外側へ拡大することにより、柔軟に対応して接続状態を維持することができる。
【0054】
なお、第2排気管32に形成されたウォータージャケット2Jから、内嵌部31及び外嵌部32の間の隙間まで、細径の通水路32gが延設されている。前記ウォータージャケット2J内の冷却水は、前記通水路32gを通って前記シールリング33とリング溝32dとへ供給され、該シールリング33の拡縮動作が円滑に行われるようになっている。
【0055】
しかして、このように構成された本排気管路によれば、以下のような作用効果を奏する。即ち、
排気管路の接続部分について述べると、前述のように構成されているため、エンジンEとウォーターマフラーWmが異なる振動系に属して、別々の振動を呈しても、前記接続構造に起因して、この振動を容易に吸収することができる。しかも、従来のように所謂「ウェット式」でなく、排気通路内(この実施形態では第1排気管1の排気通路内)に水を混入しない所謂「ドライ式」とすることができる。
具体的には、図2に図示するように、ウォーターマフラーWm側に固着されている第2排気管2と、エンジンE側に固着されている第1排気管1が別々の振動を呈しても、両者は、シールリング3の外周面とスリーブ4の内周面と接触し、且つこの接触が、シールリング3のばね力によって行われているため、両者の振動の相違を吸収し、且つシールすることが可能となる。しかも、シール自体が、基本的に耐熱性の高い材質、この実施形態の場合には金属であるため、接続部分を「ドライ式」にすることができる。
この結果、接続部分の上流側で排気通路内に水を混入する必要がないため、背圧が上昇せず、排気性能を損わない排気管路が実現できる。
【0056】
また、上記シールリング3は「ばね鋼」で構成したが、これに代えて形状記憶合金製としてもよい。マルテンサイト状態の形状記憶合金は、外力によって大きく変形した場合であっても、加熱することによって元の形状に復元する。従って、適度なシール効果を有する形状を元の形状とする形状記憶合金製のシールリングを用いる。第1排気管1及び第2排気管2を接続する際には、両排気管が接続し易いように前記シールリングを変形しておき、接続後にその接続部分を加熱する。その結果、両排気管が接続された状態でシールリングはその形状を復元し、接続部分に適度なシール効果を発揮する。接続部分の加熱は、ヒータを用いて外部から行ってもよいし、エンジンEを駆動して排出される高温の排気ガスによって行ってもよい。
【0057】
また、内部に溜まった水が逆流することのない排気管路について述べると、前記第2排気管2の先端部2Aが先端方で基端方に比べて上方に位置するように構成し且つ、第2排気管2の先端の径の中心L2をウォーターマフラーWmの上下方向の中心Luと略一致させているため、仮にウォーターマフラーWmの第2室Ch2の底部に水が溜まっても、その水位よりこの第2排気管2の先端を高く保つことができ、エンジンの再始動時等において、可及的にエンジン側への水の逆流を防止できる。
しかも、前述のように、第1排気管から第2排気管にかけての排気管路が「ドライ式」となっているため、前記ウォーターマフラーWmの第2室Ch2内に溜まる水の量そのものも少なくなることから、エンジン側へ逆流する可能性のある水の量自体も少なくできる。
【0058】
また、本実施形態にかかる排気管路の場合には、図1に図示するように、前記第2排気管2のウォータージャケット2Jを上下方向に区画する隔壁2mを先端の連通口2vを除いて設け、冷却水を該第2排気管2の基端部2Bの下方に設けられた冷却水供給口2kから供給し、前記連通口2vを経て、基端部2Bの上方に設けられた冷却水排出口2uから外に排出するよう構成されている。
このため、第2排気管2を均等に且つ効率よく冷却水によって冷却することができる。
【0059】
そして、この排気管路Epの排気ガスの流れと消音作用について説明すると、図7に図示する排気マニフォルド15側から、図1に示す、前記第1排気管1に排出された排気ガスは、前記第1排気管1と第2排気管2の接続部を経て、第2排気管2の先端から、ウォーターマフラーWmの第2室Ch2へ排出される。この間、排気ガスは、周囲のウォータージャケット1J,2Jによって冷却され、該排気ガスが有するエネルギーが低減され、消音される。
次に、この第2排気間2の先端からウォーターマフラーWmの第2室Ch2内に排出されるが、この際、膨張して消音される。特に、この実施形態のように、第2排気管2の先端で水落とし口2yから冷却水が供給されると、排気ガスが冷却水によって効果的に冷却されて消音効果が生じるとともに、該冷却水が排気ガス流の速度によって噴霧された状態となるため、この噴霧状態となった水によっても排気音が吸収される。
そして、ウォーターマフラーWmの第2室Ch2から、連通管81を経て、第1室Ch1に排気され、ここで膨張して再び消音されることになる。
そして、この第1室Ch1から第3室Ch3へ連通管82によって排出され、同様に膨張して、消音される。
そして、第3室Ch3から前記排出管11を経て、ウォーターマフラーWmの外へ排出されるが、この際、第3室Ch3底部に溜まっている水を、排気ガス流によってウォーターマフラーWm外に排気ガスと共に排出する。このため、排気ガスのエネルギーがこの作用によっても低減することから、消音される。加えて、この水との接触によって排気音、特に音域の高い排気音が噴霧状になった水に吸収されて、効果的に低減することになる。
【0060】
さらに、この実施形態にかかる排気管路Epの場合には、図7に図示するように、喫水線Lに略等しくウォーターマフラーWmの上端が位置するように構成されるとともに、このウォーターマフラーWm内に、第2排気管2の先端が基端方に比べて上位になるよう構成され、且つこの第2排気管2の径の中心L2が該ウォーターマフラーWmの上下方向の中心線Luに略一致するような構成となっているため、スポーツ的な航行中に一時的に上下逆向きに近い状態になったとしても、ウォーターマフラーWm内に排気管路Epの先端側から艇の周囲の水が侵入することがなく、しかも、仮にウォーターマフラーWm内に水が侵入したとしても、第2排気管2から第1排気管1側に水が侵入することはない。
【0061】
ところで、この実施形態における第2排気管2の先端の端面を、図3に図示するように、該先端の端面2qが、垂直あるいはそれ以上の鋭角(この実施形態の場合には鋭角)にして、該水落とし口2yが第2排気管2の先端の下方の部位に対して先端方に突出するよう構成することが望ましい。かかる構成にすると、前記水落とし口2yから噴出される冷却水が該第2排気管2内に落下することがない。
また、図3において、図1と同じあるいは対応する主な構成要素については、同じ参照符号を付している。
【0062】
上述したような構成を成す第1排気管1と第2排気管2とを接続する場合、両排気管の間に介在させるシールリング3がぐらつき、両排気管を嵌め合わせる作業が容易でない場合がある。従って、前記第1排気管1と第2排気管2との接続方法について以下に説明する。
【0063】
図11は、前記第1排気管1と第2排気管2との接続の手順を示す模式図である。図11(a)に示すように、初めに、第2排気管2との接続前に第1排気管1の内嵌部1aに形成されたリング溝1dにシールリング3を外嵌し、第2排気管2の外嵌部2aにスリーブ4を内嵌しておく。
【0064】
次に、図11(b)に示すように、リング溝1dに外嵌されたシールリング3の外周方からテープ(止着材)40を貼り、シールリング3を内嵌部1aの外周面に止着する。テープ40を貼る際には、内嵌部1aの先端側における該内嵌部1aの外周面とシールリング3の外周部との間に、該テープ40自身によってテーパ面41が形成されるようにする。なお、前記テープ40は、可燃性又は熱溶解性のものを用いる。また、テープ40に代えて可燃性又は熱溶解性の接着剤を用いて止着してもよい。
【0065】
更に、シールリング3を内嵌部1aの外周面に止着した状態で、前記第1排気管1を第2排気管2へ嵌挿していき(図11(c)参照)、最も深くまで嵌挿することにより(図11(d)参照)前記第1排気管1及び第2排気管2は接続される。
【0066】
このような方法によって排気管を接続した場合、シールリング3のぐらつきを容易に抑えることができる。また、テープ40によってテーパ面41が形成されているため、第1排気管1を第2排気管2へ嵌挿し易い。テープ40を貼る際に、シールリング3を縮径させた状態で止着した場合は、更に嵌挿し易くなる。また、スリーブ4の開口端部4aはその内径がラッパ状に拡大されているため、より一層、第1排気管1を第2排気管2へ嵌挿し易い。
【0067】
なお、シールリングの配置を逆に、即ち、図10に示す接続構造においても、同様の方法によって第1排気管と第2排気管とを容易に接続することができる。
【0068】
図12は、図10に示す第1排気管31と第2排気管32との接続手順を示す模式図である。図12(a)に示すように、初めに、第1排気管31との接続前に第2排気管32の外嵌部32aに形成されたリング溝32dにシールリング33を内嵌し、第1排気管31の内嵌部31aにスリーブ34を外嵌しておく。
【0069】
次に、図12(b)に示すように、リング溝32dに内嵌されたシールリング33の内周方からテープ(止着材)40を貼り、シールリング33を外嵌部32aの内周面に止着する。テープ40を貼る際には、外嵌部32aの基端側における該外嵌部32aの内周面とシールリング33の内周部との間に、該テープ40自身によってテーパ面41が形成されるようにする。なお、前記テープ40は、可燃性又は熱溶解性のものを用いる。また、テープ40に代えて可燃性又は熱溶解性の接着剤を用いて止着してもよい。
【0070】
更に、シールリング33を外嵌部32aの内周面に止着した状態で、前記第1排気管1を第2排気管2へ嵌挿していき(図12(c)参照)、最も深くまで嵌挿することにより(図12(d)参照)前記第1排気管31及び第2排気管32は接続される。
(実施形態2)
別の実施形態として、図4に図示するように、第2排気管2を直線状のパイプ(二重管を含む)で構成し、先端を基端側に比べて上位位置になるように傾斜状に配置された構成とすることもできる。その他の構成においては、図1に図示する排気管路Epと基本的に同じ構成を具備し、同じ作用効果を奏する。また、図4において、図1と同じあるいは対応する主な構成要素については、同じ参照符号を付している。
(実施形態3)
さらに、別の実施形態として、図5に図示するように、ウォーターマフラーWmの第3室Ch3の底部に、水を溜める凹所12を形成し、この凹所12の底面からやや上方の位置、この実施形態では、前記第1室Ch1と前記第2室Ch2の底面と略同じ位置まで前記排出管11の下端を延設すると、第3室Ch3において、底部に有効に集めた水Waをより効果的にウォーターマフラーWm外に排出できる構成となる。また、このように構成すると、小型滑走艇が転倒状態あるいはそれに近い状態になったときにも、前記排出管11の下端(転倒状態で上端)が、そのときの喫水より上方に位置することになるため、排気管の後流端から水が侵入しても、この排出管11内でそれ以上エンジン側へ侵入するのを止めることができることになる。
その他の点では、この実施形態も、前記図1,図4に図示する実施形態と基本的に同じ構成を具備し、同じ作用効果を奏する。また、図5において、図1と同じあるいは対応する主な構成要素については、同じ参照符号を付している。
(実施形態4)
さらに、本第1の発明にかかる排気管路Epの別の実施形態として、図6に図示するように、第2排気管2を逆U字状の管(二重管を含む)で構成し、且つ該第2排気管2を、接続管2Mで接続した前管2Fと後管2Rの二つの管で構成することもできる。
そして、この実施形態では、前記第2排気管2の先端部を、ウォーターマフラーWmの上方から下方を向けて略縦方向に第2室Ch2に収容している。
このように構成することによって、第2排気管2の前管2F部分を簡単に上方に取り外すことができる構成となり、エンジンあるいはウォーターマフラーWmをエンジンルームから外に取り外すのに便利な構成となる。
そして、このように構成することによって、艇が一時的に上下逆向きに近い状態になったときに、この第2排気管2部分で、エンジン側への水の侵入を防止することができる。また、このように構成すると、排気管路Epの長さを長くして、エンジンの排気効率を向上させることが可能となる。
そして、このように構成した場合には、この第2排気管2のU字状の屈曲部2Tに取付フランジ金具13を取着しておいて、該第2排気管2の前管2Fを、艇のエンジンルームの側壁に固定するように構成してもよい。
【0071】
ところで、前記各実施形態において、請求項1及び4の「第1の排気管」,請求項12及び13の「一方の排気管」として第1排気管1を対応させ、且つ「第2の排気管」,「他方の排気管」として第2排気管2を対応させているが、逆にしてもよい。つまり、「第1の排気管」,「一方の排気管」として第2排気管2を対応させ、且つ「第2の排気管」,「他方の排気管」として第1排気管1を対応させてもよい。かかる場合には、「内嵌部」を第2排気管2の基端部に、「外嵌部」を第1排気管1の先端部に形成することになる。
【0072】
【発明の効果】
本第1の発明によれば、「ウェット式」でない、しかも、第1の排気管と第2の排気管が別の振動系に属するような排気管路を実現できる。
【0073】
また、本第2の発明によれば、ウォーターマフラーの底部に溜まった水がエンジン側に逆流することがない排気管路を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる小型滑走艇の4サイクルエンジンに付設された接続部分を含む排気管路の構成を示す要部を断面した図である。
【図2】図1に示す接続部分の構成を示す部分拡大断面図である。
【図3】図1とは排気管路の先端の構成が異なる別の実施形態を示す排気管路の構成を示す要部を断面した図である。
【図4】図1とは別の第2の実施形態にかかる小型滑走艇の4サイクルエンジンに付設された接続部分を含む排気管路の構成を示す要部を断面した図である。
【図5】図1とは別の第3の実施形態にかかる小型滑走艇の4サイクルエンジンに付設された接続部分を含む排気管路の構成を示す要部を断面した図である。
【図6】図1とは別の第4の実施形態にかかる小型滑走艇の4サイクルエンジンに付設された接続部分を含む排気管路の構成を示す要部を断面した図である。
【図7】図1,図4〜図6に示す構成の排気管路を含む小型滑走艇の排気管路全体を船体のハルとデッキを一部切欠いて示す小型滑走艇の全体側面図である。
【図8】本発明の実施形態にかかるジェット推進型の小型滑走艇の全体側面図である。
【図9】図8に示す小型滑走艇の全体平面図である。
【図10】図2とは異なる第1排気管及び第2排気管の接続構造を示す部分拡大図である。
【図11】図2に示す第1排気管と第2排気管との接続の手順を示す模式図である。
【図12】図10に示す第1排気管と第2排気管との接続手順を示す模式図である。
【符号の説明】
Wm……ウォーターマフラー
Ep……排気管路
1……第1排気管
1a……内嵌部
1d……リング溝
2……第2排気管
2a……外嵌部
3……シールリング
40……テープ(止着材)
Claims (23)
- 小型船舶の推進機構を駆動するエンジンからの排気を通す排気管路であって、
前記排気管路が、第1の排気管と第2の排気管とを有し、
前記第1の排気管の接続端部に、接続しようとする前記第2の排気管の接続端部に向かって突設した、筒状の内嵌部を形成するとともに、
前記第2の排気管の接続端部に、前記第1の排気管の筒状の内嵌部を内径方に収容するための筒状の外嵌部を形成し、
前記内嵌部の外周面に、該内嵌部を周回するようにリング溝を設け、
該リング溝に、拡径する方向に外周面が付勢された状態でシールリングを配設した、接続構造によって、
前記第1の排気管と第2の排気管を接続したことを特徴とする排気管路。 - 前記シールリングの外周面が当接する第2の排気管の内周面に高耐久性のスリーブ部材を配置し、シールリングと第2の排気管が、このスリーブ部材を介して、接触するよう構成したことを特徴とする請求項2記載の排気管路。
- 前記スリーブ部材は筒状であり、該スリーブ部材における前記第2の排気管の接続端側の開口端部は、開口端側へ向かうに従って内径が拡大されていることを特徴とする請求項2に記載の排気管路。
- 小型船舶の推進機構を駆動するエンジンからの排気を通す排気管路であって、
前記排気管路が、第1の排気管と第2の排気管とを有し、
前記第1の排気管の接続端部に、接続しようとする前記第2の排気管の接続端部に向かって突設した、筒状の内嵌部を形成するとともに、
前記第2の排気管の接続端部に、前記第1の排気管の筒状の内嵌部を内径方に収容するための筒状の外嵌部を形成し、
前記外嵌部の内周面に、該内周面を周回するようにリング溝を設け、
該リング溝に、縮径する方向に内周面が付勢された状態でシールリングを配設した、接続構造によって、
前記第1の排気管と第2の排気管を接続したことを特徴とする排気管路。 - 前記シールリングの内周面が当接する第1の排気管の外周面に高耐久性のスリーブ部材を配置し、シールリングと第1の排気管が、このスリーブ部材を介して、接触するよう構成したことを特徴とする請求項4記載の排気管路。
- 前記スリーブ部材は筒状であり、該スリーブ部材における前記第1の排気管の接続端側の開口端部は、開口端側へ向かうに従って外径が縮小されていることを特徴とする請求項5に記載の排気管路。
- 前記第1の排気管の壁面に冷却水を通水するための通水路を設け、この通水路を前記リング溝に細穴で連通して、リング溝内に冷却水の一部を供給するよう構成したことを特徴とする請求項1記載の排気管路。
- 前記第2の排気管の壁面に冷却水を通水するための通水路を設け、この通水路を前記リング溝に細穴で連通して、リング溝内に冷却水の一部を供給するよう構成したことを特徴とする請求項4記載の排気管路。
- 前記シールリングが形状記憶合金製であることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の排気管路。
- 前記第1の排気管の内嵌部に続く前記第1の排気管の外周と、第2の排気管の外嵌部の外周とを、実質的に同じ外径になるよう構成するとともに、
前記内嵌部と外嵌部とを連結した部分およびそれらに隣接した部分を覆う長さを有する、被覆スリーブを設けたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1の項に記載の排気管路。 - 前記被覆スリーブを可撓性の部材で構成するとともに、該被覆スリーブの両端をバンドで止着したことを特徴とする請求項10記載の排気管路。
- 小型船舶の推進機構を駆動するエンジンからの排気を通し、複数の排気管が接続されてなる排気管路での各排気管の接続方法であって、
互いに接続される2つの排気管のうち、一方の排気管の接続端部にシールリングを外嵌すると共に、該シールリングを可燃性又は熱溶解性の止着材によって前記接続端部の外周面に止着し、その後に前記一方の排気管の接続端部を他方の排気管へ嵌挿することにより、前記シールリングを挟んで2つの排気管を接続することを特徴とする排気管の接続方法。 - 小型船舶の推進機構を駆動するエンジンからの排気を通し、複数の排気管が接続されてなる排気管路での各排気管の接続方法であって、
互いに接続される2つの排気管のうち、一方の排気管の接続端部にシールリングを内嵌すると共に、該シールリングを可燃性又は熱溶解性の止着材によって前記接続端部の内周面に止着し、その後に他方の排気管を前記一方の排気管の接続端部へ嵌挿することにより、前記シールリングを挟んで2つの排気管を接続することを特徴とする排気管の接続方法。 - 小型船舶の推進機構を駆動するエンジンからの排気を通す排気管路であって、
前記排気管路を構成する排気管の先端部がウォーターマフラー内に挿入されており、
この排気管の先端部が、ウォーターマフラー内において基端側に比べて先端が上方位置に位置するように構成されていることを特徴とする排気管路。 - 前記排気管の先端の位置が、少なくとも、ウォーターマフラーの上下方向の中心線近傍に位置していることを特徴とする請求項14記載の排気管路。
- 前記排気管が外周部にウォータージャケットが形成された水冷式の排気管であって、前記排気管の先端にウォータージャケットからの水落とし口が設けられていることを特徴とする請求項15記載の排気管路。
- 前記水落とし口が、前記排気管の先端の上端部に設けられていることを特徴とする請求項16記載の排気管路。
- 前記排気管の先端の端面が、垂直又はそれ以上の鋭角になって、前記水落とし口が、排気管のその下方の部位に対して先端方に略突出していることを特徴とする請求項17記載の排気管路。
- 前記ウォータージャケット内に、下部ウォータージャケットと上部ウォータージャケットに区画する区画壁が設けられていることを特徴とする請求項16〜18のいずれか1の項に記載の排気管路。
- 前記ウォータージャケットの先端部の区画壁に、下部ウォータージャケットと上部ウォータージャケットを連通する連通口が形成されていることを特徴とする請求項19記載の排気管路。
- 前記ウォータージャケットの基端部の下部ウォータージャケットに冷却水を供給する冷却水供給口が形成されるとともに、該基端部の上部ウォータージャケットに冷却水を排出する排出口が形成されていることを特徴とする請求項20記載の排気管路。
- 請求項14〜21のいずれか1の項に記載の排気管の先端部が挿入されているウォーターマフラーであって、
このウォーターマフラーが、内部の排気ガスを外側に排出する排気室を具備し、この排気室の底部に凹所を有するとともに、
この排気室の上方から前記凹所に向けて、下端が凹所の底面より上方に位置するように、該ウォーターマフラーから外部に排気ガスを排出するための第2の排気管を、配設したことを特徴とするウォーターマフラー。 - 前記ウォーターマフラーが、前方から順に第1室,第2室、第3室を有し、前記排気管の先端は第2室に位置し、前記排気室が前記第3室であることを特徴とする請求項22記載のウォーターマフラー。
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