JP2004130200A - 硝酸イオン吸着剤、その製造方法、それを用いた硝酸イオン除去方法及び硝酸イオン回収方法 - Google Patents

硝酸イオン吸着剤、その製造方法、それを用いた硝酸イオン除去方法及び硝酸イオン回収方法 Download PDF

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苑田 晃成
Satoko Tetsuka
手束 聡子
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Abstract

【課題】硝酸イオン含有溶液(例えば陰イオン共存)に対し、硝酸イオン吸着容量が他の陰イオンについてよりも大きく、共存陰イオンの妨害を受けずに硝酸イオンを効果的に除去し、既に使用済みのものを簡単に再生、使用しうる硝酸イオン吸着剤を提供する。
【解決手段】一般式
II 1−xIII (OH)n− x/n・mH
(式中のMIIはNi(II)、Co(II)、Zn(II)、Fe(II)及びCu(II)の中から選ばれた少なくとも1種或いはそれを主とする二価金属、MIIIはFe(III)或いはそれを主とする三価金属、An−はn価の陰イオンからなり、x及びmは、0<x≦0.67、0≦m≦2を満足する数である)で表される結晶性複合金属水酸化物、その水熱処理物及びそれらの加熱処理物の中から選ばれた少なくとも1種を有効成分とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硝酸イオン含有溶液、例えば河川、湖沼、海水、上下水等の汚染源、特に富栄養化の原因となる硝酸イオンを効率よく除去するための新規な吸着剤、該吸着剤の製造方法、及び該吸着剤を用いて硝酸イオンを効率的に除去或いは回収する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまで硝酸イオン含有溶液から硝酸イオンを選択的に除去できる適当な吸着剤はなく、黒鉛−硝酸化合物(特許文献1参照)、トリブチルアミノ基を有するイオン交換樹脂(特許文献2参照)、二級アミン置換基及び三級アミン置換基を有する樹脂(特許文献3参照)、リン酸エステル基とアミノ基を有する共重合体(特許文献4参照)などが知られている。黒鉛−硝酸化合物は吸着量が小さく欠点があり、トリブチルアミノ基を有するイオン交換樹脂は硝酸イオンに対する選択性は高いが、樹脂の再生が困難であった。二級アミン置換基及び三級アミン置換基を有する樹脂及びリン酸エステル基とアミノ基を有する共重合体は硝酸イオンに対する選択吸着性が十分ではなく他の陰イオンが大量に共存する溶液中では吸着量が不十分であった。
【0003】
【特許文献1】
特公昭60−18605号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】
米国特許第4,479,877号明細書(特許請求の範囲等)
【特許文献3】
特開平5−15776号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献4】
特開平7−238113号公報(特許請求の範囲等)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、硝酸イオン含有溶液、中でも他の陰イオンの共存する硝酸イオン含有溶液に対し、吸着容量が、硝酸イオンについての方が他の陰イオンについてよりも大きく、ひいては共存する陰イオン、例えば硫酸イオン等の妨害をさほど受けずに硝酸イオンを効果的に除去することができ、しかも既に吸着処理に使用済みのものを簡単に再生して繰り返し使用することができる硝酸イオン吸着剤、該吸着剤を用いて硝酸イオン含有溶液より硝酸イオンを効率的に除去する方法、及び該吸着剤を用いて硝酸イオン含有溶液より硝酸イオンを効率的に回収する方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した好ましい性質を有する硝酸イオン吸着剤を開発するために鋭意研究を重ねた結果、所定の組成の結晶性複合金属水酸化物、その水熱処理物、及びこれらの加熱処理物が高い硝酸イオン選択吸着性を有することを見いだし、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
(1) 一般式
II 1−xIII (OH)n− x/n・mHO  (1)
(式中のMIIはNi(II)、Co(II)、Zn(II)、Fe(II)及びCu(II)の中から選ばれた少なくとも1種或いはそれを主とする二価金属、MIIIはFe(III)或いはそれを主とする三価金属、An−はn価の陰イオンからなり、x及びmは、0<x≦0.67、0≦m≦2を満足する数である)で表される結晶性複合金属水酸化物、その水熱処理物及びそれらの加熱処理物の中から選ばれた少なくとも1種を有効成分とすることを特徴とする硝酸イオン吸着剤。
(6) Ni(II)、Co(II)、Zn(II)、Fe(II)及びCu(II)の中から選ばれた少なくとも1種或いはそれを主とする二価金属の水溶性化合物と、Fe(III)或いはそれを主とする三価金属の水溶性化合物との混合溶液と、アルカリ又はその溶液とを混合した後、反応させ、一般式
II 1−xIII (OH)n− x/n・mHO  (1)
(式中のMIIはNi(II)、Co(II)、Zn(II)、Fe(II)及びCu(II)の中から選ばれた少なくとも1種或いはそれを主とする二価金属、MIIIはFe(III)或いはそれを主とする三価金属、An−はn価の陰イオンからなり、x及びmは、0<x≦0.67、0≦m≦2を満足する数である)で表される結晶性複合金属水酸化物を沈殿させ、この沈殿を分離することを特徴とする硝酸イオン吸着剤の製造方法。
(7) Ni(II)、Co(II)、Zn(II)、Fe(II)及びCu(II)の中から選ばれた少なくとも1種或いはそれを主とする二価金属の水溶性化合物と、Fe(III)或いはそれを主とする三価金属の水溶性化合物との混合溶液と、アルカリ又はその溶液とを混合した後、反応させ、一般式
II 1−xIII (OH)n− x/n・mHO  (1)
(式中のMIIはNi(II)、Co(II)、Zn(II)、Fe(II)及びCu(II)の中から選ばれた少なくとも1種或いはそれを主とする二価金属、MIIIはFe(III)或いはそれを主とする三価金属、An−はn価の陰イオンからなり、x及びmは、0<x≦0.67、0≦m≦2を満足する数である)で表される結晶性複合金属水酸化物を沈殿させ、次いで水熱処理することを特徴とする硝酸イオン吸着剤の製造方法。
(8) 一般式
II 1−xIII (OH)n− x/n・mHO  (1)
(式中のMIIはNi(II)、Co(II)、Zn(II)、Fe(II)及びCu(II)の中から選ばれた少なくとも1種或いはそれを主とする二価金属、MIIIはFe(III)或いはそれを主とする三価金属、An−はn価の陰イオンからなり、x及びmは、0<x≦0.67、0≦m≦2を満足する数である)で表される結晶性複合金属水酸化物、その水熱処理物及びそれらの加熱処理物の中から選ばれた少なくとも1種を有効成分とする硝酸イオン吸着剤を硝酸イオン含有溶液に添加し、硝酸イオンを吸着させたのち、固液分離することを特徴とする硝酸イオン除去方法。
(9) 一般式
II 1−xIII (OH)n− x/n・mHO  (1)
(式中のMIIはNi(II)、Co(II)、Zn(II)、Fe(II)及びCu(II)の中から選ばれた少なくとも1種或いはそれを主とする二価金属、MIIIはFe(III)或いはそれを主とする三価金属、An−はn価の陰イオンからなり、x及びmは、0<x≦0.67、0≦m≦2を満足する数である)で表される結晶性複合金属水酸化物、その水熱処理物及びそれらの加熱処理物の中から選ばれた少なくとも1種を有効成分とする硝酸イオン吸着剤を硝酸イオン含有溶液に添加し、硝酸イオンを吸着させ、次いで硝酸イオンの吸着された吸着剤を分離したのち、100〜500℃の温度で加熱処理することを特徴とする硝酸イオン脱着及び吸着剤再生方法。
(10) 一般式
II 1−xIII (OH)n− x/n・mHO  (1)
(式中のMIIはNi(II)、Co(II)、Zn(II)、Fe(II)及びCu(II)の中から選ばれた少なくとも1種或いはそれを主とする二価金属、MIIIはFe(III)或いはそれを主とする三価金属、An−はn価の陰イオンからなり、x及びmは、0<x≦0.67、0≦m≦2を満足する数である)で表される結晶性複合金属水酸化物、その水熱処理物及びそれらの加熱処理物の中から選ばれた少なくとも1種を有効成分とする硝酸イオン吸着剤を硝酸イオン含有溶液に添加し、硝酸イオンを吸着させ、次いで、硝酸イオンの吸着された吸着剤を、脱着剤を含む溶液に接触させて硝酸イオンを脱着させて回収することを特徴とする硝酸イオン回収方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい態様としては、以下のものが挙げられる。
(2) 一般式中のMIIIがFe(III)である前記(1)記載の硝酸イオン吸着剤。
(3) 一般式中のMIIIがFe(III)を主とする、Fe(III)と、Al(III)、Mn(III)及びCo(III)の中から選ばれた少なくとも1種との組合せである前記(1)記載の硝酸イオン吸着剤。
(4) 一般式中のMIIがNi(II)及び/又はCo(II)である前記(1)、(2)又は(3)記載の硝酸イオン吸着剤。
(5) 一般式中のAn−がCl、HCO 及びOHの中から選ばれた少なくとも1種である前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の硝酸イオン吸着剤。
【0008】
一般式(1)で表わされる結晶性複合金属水酸化物において、符号MIIは二価金属であって、Ni(II)、Co(II)、Zn(II)、Fe(II)及びCu(II)の中から選ばれた少なくとも1種の所定二価金属或いはそれを主とすることが必要である。上記所定二価金属を主とする場合、併用される他の二価金属としては、MgやCaなどが挙げられ、上記所定二価金属は全二価金属に対しモル基準で過半量、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上占める。
また、上記所定二価金属の本発明吸着剤における含有割合は、モル基準で20%以上、中でも40%以上であるのが良好な硝酸イオン吸着性を発揮させるには好ましい。
【0009】
次に一般式(1)中の符号MIIIは三価金属であって、Fe(III)或いはそれを主とすることが必要である。Fe(III)を主とする場合、併用される他の三価金属としては、Al(III)、Mn(III)、Co(III)などが挙げられ、Fe(III)は全三価金属に対しモル基準で過半量、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上占める。
Fe(III)の本発明吸着剤における含有割合は、モル基準で20%以上、中でも30%以上であるのが良好な硝酸イオン吸着性を発揮させるには好ましい。
【0010】
また、一般式(1)中の陰イオンAn−は、イオン交換性を有するものであれば無機陰イオン、有機陰イオンのいずれでもかまわないが、溶液中の硝酸イオンとのイオン交換性を考えると、OH、HCO 、或いはClが好ましい。また、上記加熱処理物の場合には、これらの陰イオン以外にCO 2−やNO 等の陰イオンを含むものも使用することができる。その場合、層間の陰イオンはガスとして逃散し、層間にはOHが生成することになる。
【0011】
次に、一般式(1)中のxは、0よりも大きく0.67以下の範囲の数であり、mは0と2との間の範囲の数であることが必要である。イオン交換容量、結晶構造の安定性を考慮すれば、xは0.1以上で0.5以下、mは0.1以上で1.5以下が好ましい。
【0012】
一般式(1)で表わされる結晶性複合水酸化物は、Ni(II)、Co(II)、Zn(II)、Fe(II)及びCu(II)の中から選ばれた少なくとも1種或いはそれを主とする二価金属の水溶性化合物とFe(III)或いはそれを主とする三価金属の水溶性化合物の混合物を加水分解することによって製造することができるが、好ましくは加水分解反応後、さらに熟成するのがよい。これら二価金属の水溶性化合物と三価金属の水溶性化合物としては、金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸水素塩などを挙げることができるが、後の処理を考えると塩化物、硝酸塩、炭酸水素塩が好ましい。そのほか、水酸化ニッケル、水酸化鉄、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムのような水酸化物も少量ならば用いることができる。
【0013】
加水分解反応は適当なアルカリ、例えば水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩、アンモニアや、これらの溶液等を用いて行うことができるが、一般には水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液が用いられる。反応を均一化させるために、二価金属の水溶性化合物と三価金属の水溶性化合物を混合水溶液とし、この水溶液とアルカリ金属水酸化物の水溶液とを同時滴下するのが好ましい。
加水分解反応において、溶液のpHは8〜12、中でも9〜11に保つのが好ましく、特に沈殿時の溶液のpHをそのようにするのがよく、また、反応温度は、0〜90℃、好ましくは30〜70℃の範囲で選ぶのが好ましい。
加水分解反応により沈殿が生成され、この沈殿をろ過又は遠心分離により分取し、中性になるまで水洗したのち、風乾することにより、結晶性複合金属水酸化物が粉末として得られる。
【0014】
このようにして得られた結晶性複合金属水酸化物は、そのままでも吸着剤として用いることができるが、これを水熱処理したものも良好な硝酸イオン吸着性を示し、さらにはそれらを加熱処理したものも良好な硝酸イオン吸着性を示す。水熱処理は耐圧容器(オートクレーブ)中、通常0.11〜1MPaの範囲の過圧下、100〜250℃の範囲の温度、好ましくは0.15〜0.5MPaの範囲の過圧下、110〜180℃の範囲の温度で行われる。また、加熱処理は通常100〜600℃、好ましくは200〜500℃の範囲の温度で行われる。特に炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオンを層間に含む結晶性複合金属水酸化物は、加熱処理することで層間の陰イオンが分解しガスとして逃散するため、層間に硝酸イオンが入りやすくなり吸着性が著しく上昇する。この場合の加熱処理温度は層間イオンの種類によって異なるが、200〜500℃の範囲が好ましい。
【0015】
本発明の硝酸イオン吸着剤を用いて溶液中の硝酸イオンを除去するには、該吸着剤を硝酸イオン含有溶液に添加し、十分撹拌混合して硝酸イオンを吸着させ、さらにはほぼ吸着平衡に達しめたのち、固液分離すればよい。それにより、溶液中の硝酸イオンは吸着剤に取り込まれ吸着剤ごと固体として液体より分別除去される。このような吸着処理において、溶液のpHは4〜10の範囲に調整するのが好ましい。処理時間は、吸着剤の粒径によっても異なってくるが、粉末の場合、通常30分〜2時間の範囲である。
【0016】
吸着剤に吸着された硝酸イオンは、吸着剤を適当な脱着剤、通常アルカリ、例えば水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩等や、塩化ナトリウムなどのハロゲン化アルカリ等の溶液、好ましくは水溶液で処理すれば、脱着されて溶液中に溶出してくる。脱着剤の溶液濃度は、硝酸イオン吸着量によっても異なるが、通常0.1〜5M、好ましくは1〜2Mの範囲で選ばれる。炭酸アルカリ溶液で脱着したときには、層間に硝酸イオンの代りに炭酸イオンが入り込むため、吸着剤を再生する際には脱着後に吸着剤を加熱処理して、層間の炭酸イオンをとり除くようにする。
【0017】
また、吸着剤に吸着された硝酸イオンは、吸着剤を加熱処理することで取り除くことができる。すなわち、硝酸イオンを吸着した吸着剤を100〜500℃、好ましくは200〜350℃で加熱処理すれば、層間の硝酸イオンは分解しガスとして放出されるので、硝酸イオンの脱着と吸着剤の再生を同時に行うことができる。
【0018】
【発明の効果】
本発明の硝酸イオン吸着剤によれば、硝酸イオン含有溶液、中でも他の陰イオンの共存する硝酸イオン含有溶液に対し、吸着容量が、硝酸イオンについての方が他の陰イオンについてよりも大きく、ひいては共存する陰イオン、例えば硫酸イオン、塩化物イオン、リン酸イオン、炭酸イオンなど通常硝酸イオンの吸着を妨害すると考えられている陰イオンが共存していても、硝酸イオンを高い効率で吸着することができる。
また、既に吸着処理に使用済みの硝酸イオン吸着剤は簡単に硝酸イオンを脱着、再生して繰り返し使用することができる。
【0019】
【実施例】
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0020】
実施例1
塩化ニッケル12ミリモルと塩化鉄3ミリモルとを含む水溶液15mlと、1M水酸化ナトリウム水溶液とを、pH10の水酸化ナトリウム水溶液50mlにpH10に保ちながら30分かけて同時に滴下し、1時間撹拌し、析出物を生成させたのち、これを120℃で3日間水熱処理させて沈殿生成物を得た。沈殿生成物は遠心分離し、中性になるまで水洗いし、50℃で1日間乾燥した。生成物は粉末X線構造解析、組成分析、熱分析により、[Ni(II)0.79Fe(III)0.21(OH)][(Cl)0.21・0.63HO]の化学組成の結晶性複合金属水酸化物と同定され、これを吸着剤試料とした。
【0021】
この吸着剤試料0.1gを、濃度各2mMの、塩化物イオン、硝酸イオン、リン酸二水素イオン、硫酸イオン(何れもナトリウム塩として供用)を含む混合溶液10mlに加え、混合陰イオン吸着実験を27℃で3日間行った。次いで、上澄みの陰イオン濃度を陰イオンクロマトグラフィーで分析した。硝酸イオンは100%吸着されたのに対し、リン酸イオンは70%、硫酸イオンは50%しか吸着されず、また、塩化物イオンは全く吸着されなかった。
【0022】
また、上記吸着剤試料0.2gに対して0.1M硝酸ナトリウム水溶液100mlを加え、吸着実験を27℃で3日間行い、硝酸イオンの吸着容量を求めたところ、1.3ミリモル/gであった。
これに対し、同様な条件で、リン酸二水素ナトリウムを用いてリン酸イオンの吸着容量を求めたところ、0.3ミリモル/gにしかすぎなかった。
以上のことから、本吸着剤が硝酸イオン選択吸着性を有することは明らかである。
【0023】
実施例2
塩化コバルト12ミリモルと塩化鉄3ミリモルとを含む水溶液15mlと、1M水酸化ナトリウム水溶液とを、pH10の水酸化ナトリウム水溶液50mlにpH10に保ちながら30分かけて同時に滴下し、1時間撹拌し、析出物を生成させたのち、これを120℃で3日間水熱処理させて沈殿生成物を得た。沈殿生成物は遠心分離し、中性になるまで水洗いし、50℃で1日間乾燥した。生成物は粉末X線構造解析、組成分析、熱分析により、[Co(II)0.74Fe(III)0.26(OH)][(Cl)0.26・0.80HO]の化学組成の結晶性複合金属水酸化物と同定され、これを吸着剤試料とした。
【0024】
この吸着剤試料0.1gを、濃度各2mMの、塩化物イオン、硝酸イオン、リン酸二水素イオン、硫酸イオン(何れもナトリウム塩として供用)を含む混合溶液10mlに加え、混合陰イオン吸着実験を27℃で3日間行った。次いで、上澄みの陰イオン濃度を陰イオンクロマトグラフィーで分析した。硝酸イオンは60%吸着されたのに対し、リン酸イオンは40%、硫酸イオンは40%しか吸着されず、また、塩化物イオンは全く吸着されなかった。
【0025】
また、上記吸着剤試料0.2gに対して0.1Mの硝酸ナトリウム水溶液100ml加え、吸着実験を27℃で3日間行い硝酸イオンの吸着容量を求めたところ、0.7ミリモル/gであった。
これに対し、同様な条件で、リン酸二水素ナトリウムを用いてリン酸イオンの吸着容量を求めたところ、0.3ミリモル/gにしかすぎなかった。
以上のことから、本吸着剤が硝酸イオン選択吸着性を有することは明らかである。
【0026】
実施例3
硝酸イオンを1.3ミリモル/g吸着した吸着剤試料0.1gを1M NaOH水溶液100ml中に入れ、室温で3日間振とうした。その後、吸着剤をろ別した後、ろ液中の硝酸イオン濃度をイオンクロマトグラフィーで測定し、硝酸イオン脱着量を求めた。脱着率は90%以上に達した。
【0027】
脱着処理後の吸着剤0.2gを水洗した後、再度0.1M硝酸ナトリウム水溶液100mlに加え、吸着実験を27℃で3日間行ったところ、硝酸イオンの吸着容量は1.2ミリモル/gに達した。

Claims (10)

  1. 一般式
    II 1−xIII (OH)n− x/n・mH
    (式中のMIIはNi(II)、Co(II)、Zn(II)、Fe(II)及びCu(II)の中から選ばれた少なくとも1種或いはそれを主とする二価金属、MIIIはFe(III)或いはそれを主とする三価金属、An−はn価の陰イオンからなり、x及びmは、0<x≦0.67、0≦m≦2を満足する数である)で表される結晶性複合金属水酸化物、その水熱処理物及びそれらの加熱処理物の中から選ばれた少なくとも1種を有効成分とすることを特徴とする硝酸イオン吸着剤。
  2. 一般式中のMIIIがFe(III)である請求項1記載の硝酸イオン吸着剤。
  3. 一般式中のMIIIがFe(III)を主とする、Fe(III)と、Al(III)、Mn(III)及びCo(III)の中から選ばれた少なくとも1種との組合せである請求項1記載の硝酸イオン吸着剤。
  4. 一般式中のMIIがNi(II)及び/又はCo(II)である請求項1、2又は3記載の硝酸イオン吸着剤。
  5. 一般式中のAn−がCl、HCO 及びOHの中から選ばれた少なくとも1種である請求項1ないし4のいずれかに記載の硝酸イオン吸着剤。
  6. Ni(II)、Co(II)、Zn(II)、Fe(II)及びCu(II)の中から選ばれた少なくとも1種或いはそれを主とする二価金属の水溶性化合物と、Fe(III)或いはそれを主とする三価金属の水溶性化合物との混合溶液と、アルカリ又はその溶液とを混合した後、反応させ、一般式
    II 1−xIII (OH)n− x/n・mH
    (式中のMIIはNi(II)、Co(II)、Zn(II)、Fe(II)及びCu(II)の中から選ばれた少なくとも1種或いはそれを主とする二価金属、MIIIはFe(III)或いはそれを主とする三価金属、An−はn価の陰イオンからなり、x及びmは、0<x≦0.67、0≦m≦2を満足する数である)で表される結晶性複合金属水酸化物を沈殿させ、この沈殿を分離することを特徴とする硝酸イオン吸着剤の製造方法。
  7. Ni(II)、Co(II)、Zn(II)、Fe(II)及びCu(II)の中から選ばれた少なくとも1種或いはそれを主とする二価金属の水溶性化合物と、Fe(III)或いはそれを主とする三価金属の水溶性化合物との混合溶液と、アルカリ又はその溶液とを混合した後、反応させ、一般式
    II 1−xIII (OH)n− x/n・mH
    (式中のMIIはNi(II)、Co(II)、Zn(II)、Fe(II)及びCu(II)の中から選ばれた少なくとも1種或いはそれを主とする二価金属、MIIIはFe(III)或いはそれを主とする三価金属、An−はn価の陰イオンからなり、x及びmは、0<x≦0.67、0≦m≦2を満足する数である)で表される結晶性複合金属水酸化物を沈殿させ、次いで水熱処理することを特徴とする硝酸イオン吸着剤の製造方法。
  8. 一般式
    II 1−xIII (OH)n− x/n・mH
    (式中のMIIはNi(II)、Co(II)、Zn(II)、Fe(II)及びCu(II)の中から選ばれた少なくとも1種或いはそれを主とする二価金属、MIIIはFe(III)或いはそれを主とする三価金属、An−はn価の陰イオンからなり、x及びmは、0<x≦0.67、0≦m≦2を満足する数である)で表される結晶性複合金属水酸化物、その水熱処理物及びそれらの加熱処理物の中から選ばれた少なくとも1種を有効成分とする硝酸イオン吸着剤を硝酸イオン含有溶液に添加し、硝酸イオンを吸着させたのち、固液分離することを特徴とする硝酸イオン除去方法。
  9. 一般式
    II 1−xIII (OH)n− x/n・mH
    (式中のMIIはNi(II)、Co(II)、Zn(II)、Fe(II)及びCu(II)の中から選ばれた少なくとも1種或いはそれを主とする二価金属、MIIIはFe(III)或いはそれを主とする三価金属、An−はn価の陰イオンからなり、x及びmは、0<x≦0.67、0≦m≦2を満足する数である)で表される結晶性複合金属水酸化物、その水熱処理物及びそれらの加熱処理物の中から選ばれた少なくとも1種を有効成分とする硝酸イオン吸着剤を硝酸イオン含有溶液に添加し、硝酸イオンを吸着させ、次いで硝酸イオンの吸着された吸着剤を分離したのち、100〜500℃の温度で加熱処理することを特徴とする硝酸イオン脱着及び吸着剤再生方法。
  10. 一般式
    II 1−xIII (OH)n− x/n・mH
    (式中のMIIはNi(II)、Co(II)、Zn(II)、Fe(II)及びCu(II)の中から選ばれた少なくとも1種或いはそれを主とする二価金属、MIIIはFe(III)或いはそれを主とする三価金属、An−はn価の陰イオンからなり、x及びmは、0<x≦0.67、0≦m≦2を満足する数である)で表される結晶性複合金属水酸化物、その水熱処理物及びそれらの加熱処理物の中から選ばれた少なくとも1種を有効成分とする硝酸イオン吸着剤を硝酸イオン含有溶液に添加し、硝酸イオンを吸着させ、次いで、硝酸イオンの吸着された吸着剤を、脱着剤を含む溶液に接触させて硝酸イオンを脱着させて回収することを特徴とする硝酸イオン回収方法。
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