JP2004128168A - セラミック電子部品の外部電極形成方法およびセラミック電子部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セラミック電子部品の素体を浸漬速度V1で導電性ペースト膜中に浸漬し、下死点H0に到達すると、直ちにセラミック電子部品の素体を引き上げ速度V2で引き上げる。そして、セラミック電子部品の素体の引上げ途中で(セラミック電子部品の素体の端部に付着している導電性ペーストと導電性ペースト膜が繋がった状態で)引き上げを一旦停止する。所定の停止時間T経過後、再びセラミック電子部品の素体を速度V3で引き上げ、導電性ペースト膜とセラミック電子部品の素体の端部に付着した導電性ペーストとが完全に離れた後、引き上げ速度V4で急激に引き上げる。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック電子部品の外部電極形成方法およびセラミック電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のセラミック電子部品の外部電極形成方法として、セラミック電子部品の素体の端部を、定盤上に所定の厚さで均一に塗布した導電性ペースト膜中に浸漬して、端部に導電性ペーストを付着させた後、乾燥および焼付けして外部電極を形成する方法が知られている。図11は、セラミック電子部品の素体の端部を導電性ペースト膜中に浸漬する際の、従来の浸漬プロファイルを示すグラフである。縦軸は、導電性ペースト膜の表面からセラミック電子部品の素体の下側端面までの距離を表示し、横軸は経過時間を表示している。
【0003】
図11に示すように、従来は、セラミック電子部品の素体を浸漬速度V1で導電性ペースト膜中に浸漬し、下死点H0に到達すると、その位置で一定時間(T秒間)保持させる(停止位置H1=下死点H0)。次に、セラミック電子部品の素体を引き上げ速度V3で導電性ペースト膜からゆっくりと引き上げ、導電性ペースト膜とセラミック電子部品の素体が完全に離れた時点で、引き上げ速度V4で急激に引き上げる。この後、セラミック電子部品の素体の端部に付与された導電性ペーストを、乾燥および焼付けして外部電極を形成する。
【0004】
ところで、図11に示す従来の浸漬プロファイルを採用して得られる外部電極は、図12に示すように、セラミック電子部品4の素体の表面に沿って弧を描くよう緩やかに中央に広がる形状(以下、三日月形状と記す)になることがある。
【0005】
このように、外部電極21とセラミック電子部品4の素体との境界部分が三日月形状になる理由として、主に以下の二つが考えられる。
【0006】
(1)セラミック電子部品4を導電性ペースト膜中に浸漬した後、下死点H0で一定時間保持している間に、表面張力で導電性ペースト膜の表面が、セラミック電子部品4の素体表面に沿って三日月形状に塗れ上がる。
【0007】
(2)セラミック電子部品4を導電性ペースト膜から引き上げた後、セラミック電子部品4の端部に付着した導電性ペーストが自身のもつ表面張力で球状になろうとするため、導電性ペーストがセラミック電子部品4の素体表面に沿って三日月形状に塗れ上がる。この現象は、セラミック電子部品4の端部に付着した導電性ペーストの量が多いほど顕著である。
【0008】
この外部電極21の三日月形状は、外部電極21間の寸法をばらつかせ、耐電圧の低下やリフローはんだ付けによる外部電極21間の短絡不良やプリント基板に対する接着不良を生ずることから信頼性の低下を招く。
【0009】
そこで、この対策として、特許文献1に記載の方法が知られている。この方法は、セラミック電子部品の素体の端部に導電性ペーストを塗布した後、セラミック電子部品の素体と導電性ペーストとの境界部分が直線状になった時点で導電性ペーストを乾燥させて、この直線状境界の形状を固定する。
【0010】
また、これとは別に、特許文献2に記載の方法も知られている。この方法は、導電性ペーストをセラミック電子部品の素体の端部に塗布する前に、素体面を疎にする温度で予熱乾燥処理を素体に施し、素体表面の残留溶剤や付着水分を除去する。この予熱乾燥処理後、保温状態のままで導電性ペーストを塗布することで、セラミック電子部品の素体と導電性ペーストとの境界部分を直線形状にすることができる。
【0011】
なお、セラミック電子部品の素体の端部の端面から周面にわたってほぼ均等の厚さの外部電極を形成するため、特許文献3に記載の外部電極形成方法も知られている。この方法は、セラミック電子部品の素体の端部を導電性ペースト膜中に浸漬した後、導電性ペースト膜から一旦引き上げる。次に、再びセラミック電子部品の素体の端面を導電性ペースト膜の表面に接触させ、その状態を一時的に保持する。その結果、素体の端部の周面に付着した余分な導電性ペーストが表面張力により導電性ペースト膜に吸収され、ほぼ均等な膜厚となる。
【0012】
【特許文献1】
特開平8−236391号公報
【特許文献2】
特開2001−60530号公報
【特許文献3】
特開昭63−45813号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、セラミック電子部品の素体を導電性ペースト膜中に浸漬している間に、導電性ペースト膜の表面が三日月形状に塗れ上がる現象を解消できない。
【0014】
また、特許文献2に記載された方法では、セラミック電子部品の素体の予熱乾燥温度が100℃程度と高温であるため、導電性ペースト膜に浸漬している間にも、セラミック電子部品の素体の端部に付与されている導電性ペーストの乾燥が進行してしまう。このため、セラミック電子部品の素体と導電性ペーストとの境界部分に発生する三日月形状は抑制されるが、素体の端面や周面に付着する導電性ペースト量が多くなる。この結果、外部電極は、外側に膨らんだ丸みを帯びた形状となり、リフローはんだ付け時に不具合が発生し易くなる。
【0015】
そこで、本発明の目的は、セラミック電子部品の素体との境界部分に発生する外部電極の三日月形状を抑制することができる外部電極形成方法を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、素体との境界部分に発生する外部電極の三日月形状を抑制したセラミック電子部品を提供することにある。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、半田付け等による実装性の向上したセラミック電子部品を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段および作用】
前記目的を達成するため、本発明に係るセラミック電子部品の外部電極形成方法は、セラミック電子部品の素体の端部を所定の厚さの導電性ペースト膜に浸漬し、セラミック電子部品の素体が下死点に到達すると、直ちにセラミック電子部品の素体の引き上げ動作を開始することを特徴とする。
【0019】
以上の方法により、導電性ペースト膜に浸漬しているセラミック電子部品の素体の端部に、導電性ペースト膜の表面が表面張力で三日月形状に塗れ上がる前に、セラミック電子部品の引き上げ動作が開始される。従って、セラミック電子部品の外部電極の三日月形状量が小さくなり、セラミック素体と導電性ペーストとの境界部分がほぼ直線状になる。
【0020】
さらに、本発明に係るセラミック電子部品の外部電極形成方法は、セラミック電子部品の素体の引き上げ途中で引き上げを一旦停止し、一定時間経過後に引き上げ動作を再開することを特徴とする。このとき、セラミック電子部品の素体が下死点に到達後直ちに開始される引き上げの速度の方を、一定時間経過後における引き上げの速度より速く設定することが好ましい。また、引き上げを一旦停止したときのセラミック電子部品の素体の端面の最下点は、浸漬前の導電性ペースト膜の表面位置より高く、セラミック電子部品の素体の端部に付与されている導電性ペーストと前記導電性ペースト膜が繋がった状態である。あるいは、引き上げを一旦停止したときのセラミック電子部品の素体の端面の最下点は、導電性ペースト膜の表面位置より低く、導電性ペースト膜中である。
【0021】
また、本発明に係るセラミック電子部品の外部電極形成方法は、セラミック電子部品の素体の引き上げ途中で引き上げ速度を変更し、セラミック電子部品の素体が下死点に到達後直ちに開始される引き上げの速度の方を、引き上げ速度変更後における引き上げの速度より速く設定することを特徴とする。
【0022】
これにより、セラミック電子部品の素体の端部に付与されている導電性ペーストと導電性ペースト膜とが繋がった状態で、セラミック電子部品の素体の端部に付与されている導電性ペーストの塗れ上がり力が、セラミック電子部品の素体の端部に付与されている導電性ペーストの自重力と導電性ペースト膜の引張力(表面張力)とを合算した力、言い換えると、塗れ上がり力に抗する力以下になる。従って、セラミック電子部品の外部電極の三日月形状量が小さくなり、セラミック素体と導電性ペーストとの境界部分がほぼ直線状になる。
【0023】
本発明に係るセラミック電子部品は、前述の外部電極形成方法を用いて、セラミック素体の端部に外部電極が形成されていることを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係るセラミック電子部品は、セラミック電子部品の素体の端部を導電性ペースト膜に浸漬することにより外部電極が形成されたセラミック電子部品であって、前記素体と前記導電性ペーストの境界部分における導電性ペーストの厚みが、前記素体の側面と端面との稜部における側面側の前記導電性ペーストの厚みの1/2以下であることを特徴とする。浸漬によって形成された導電性ペーストの厚みがこのような条件を満足することにより、半田付け等による実装性が向上する。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るセラミック電子部品の外部電極形成方法の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0026】
図1〜図4は、セラミック電子部品4の素体の端部に外部電極21を形成する製造工程の一例を示す断面図であり、図5は、その浸漬プロファイルを示すグラフである。セラミック電子部品4としては、積層セラミックコンデンサ、抵抗器、インダクタ、積層セラミックLCフィルタ、サーミスタなどがある。
【0027】
図1に示すように、定盤1の水平な上面に、導電性ペーストをスキージブレード法やドクターブレード法などの方法により、所定の厚さhで均一に塗布し、導電性ペースト膜2を形成する。導電性ペースト膜2の厚さhは、セラミック電子部品4の素体の端部4aに形成する外部電極21の折返し寸法L(図4参照)に対応して設定される。
【0028】
導電性ペースト膜2は、Ag,Ag−Pd,Cuなどの導電性金属を主成分とし、ガラスフリット、樹脂バインダおよび溶剤などを加えたものである。
【0029】
導電性ペースト膜2の上方には、保持プレート15に仮固定されたセラミック電子部品4の素体がセットされている。図示しない駆動装置で保持プレート15を下降させることにより、セラミック電子部品4の素体の端部4aを導電性ペースト膜2に浸漬して、その端部4aに導電性ペーストを付着させる。
【0030】
図2に示すように、セラミック電子部品4の素体の端面4bが定盤1の上面に到達すると、言い換えると、セラミック電子部品4の素体が下死点に到達すると、直ちにセラミック電子部品4の素体の引き上げ動作を開始する。「直ちに」の中には、駆動装置の駆動方向切り換えに伴う僅かな停止時間が含まれている。「直ちに」は、実質的に停止しないという意味である。
【0031】
このように、下死点でのセラミック電子部品4の素体の保持時間を極少にし、導電性ペースト膜2への浸漬時間を極力短くする。これにより、導電性ペースト膜2に浸漬しているセラミック電子部品4の素体の端部4aに、導電性ペースト膜2の表面2bが表面張力で三日月形状に塗れ上がる前に、セラミック電子部品4の素体の引き上げ動作が開始される。従って、セラミック電子部品4の素体を導電性ペースト膜2中に浸漬している間に、導電性ペースト膜2の表面2bが三日月形状に塗れ上がる現象を抑制することができ、セラミック素体と導電性ペーストとの境界部分がほぼ直線状になる。
【0032】
次に、図3に示すように、セラミック電子部品4の素体の引上げ途中で引上げを一旦停止する。引上げを一旦停止したときのセラミック電子部品4の素体の端面4bの最下点は、浸漬前の導電性ペースト膜2の表面2bの位置より高く、セラミック電子部品4の素体の端部に付与されている導電性ペースト2aと導電性ペースト膜2が繋がった状態の位置である。
【0033】
これにより、セラミック電子部品4の素体の端部4aに付与されている導電性ペースト2aの塗れ上がり力が、導電性ペースト2aの自重力と導電性ペースト膜2の引張力(表面張力)とを合算した力、言い換えると、塗れ上がり力に抗する力以下になる。従って、セラミック電子部品4の素体の端部4aに付着した余分な導電性ペースト2aが表面張力により導電性ペースト膜2に吸収される。このため、セラミック電子部品4の素体の端部4aに付着した導電性ペースト2aが適量となる。
【0034】
図4に示すように、引き上げを一旦停止してから一定時間経過後、引き上げ動作を再開する。セラミック電子部品4の素体の端部4aに付着した導電性ペースト2aは、導電性ペースト膜2の表面2bから切り離される。導電性ペースト膜2から完全に引き上げられたセラミック電子部品4の素体の端部4aに付着した導電性ペースト2aは自身のもつ表面張力により球状になろうとするため、素体との境界部分に三日月形状を形成する。しかし、導電性ペースト2aが適量であるため、三日月形状量を抑えることができ、セラミック素体と導電性ペーストとの境界部分がほぼ直線状になる。
【0035】
この後、端部4aに付着した導電性ペースト2aを乾燥、焼付けて、三日月形状が抑制された外部電極21を得る。さらに、セラミック電子部品4の素体の他端部に対して、前述の工程を実施することにより、外部電極21がセラミック電子部品4の素体の両端部に形成される。
【0036】
図5は、図1〜図4を参照して説明したセラミック電子部品4の浸漬プロファイルの一例を示すグラフである。セラミック電子部品4の素体を浸漬速度V1で導電性ペースト膜2中に浸漬し、下死点H0に到達すると、直ちにセラミック電子部品4の素体を引き上げ速度V2で引き上げる。そして、セラミック電子部品4の素体の引上げ途中で(セラミック電子部品4の素体の端部に付着している導電性ペースト2aと導電性ペースト膜2が繋がった状態で)引き上げを一旦停止する。所定の停止時間T経過後、再びセラミック電子部品4の素体を速度V3で引き上げ、導電性ペースト膜2とセラミック電子部品4の素体の端部4aに付着した導電性ペースト2aとが完全に離れた後、引き上げ速度V4で急激に引き上げる。
【0037】
なお、引き上げ速度V4は、素体の端部4aに付着した導電性ペースト2aの形状に影響するものではないので、必要に応じて任意に設定すればよい。
【0038】
ここで、図6(A),(B)に前記製造工程を経て得られたセラミック電子部品4を示す。図6(B)に明らかなように、セラミック電子部品4の素体と導電性ペースト2aの境界部分Xにおける導電性ペースト2aの厚みは、素体の側面と端面との稜部Yにおける側面側の導電性ペースト2aの厚みの1/3〜1/2(1/2以下であることが好ましい)である。
【0039】
比較のために、従来のセラミック電子部品4の端部に形成された導電性ペースト2a(外部電極21)の厚みを図6(C)に示す。従来の浸漬プロファイルによると、境界部分Xにおける導電性ペーストの厚みが大きくなり、表面張力によって稜部Yの半径も大きくなる。稜部(コーナー部)Yの半径が大きくなると、半田付け等による実装時にセラミック電子部品4が立ち上がってしまうツームストーン現象が発生しやすくなる。しかし、本実施形態のごとく、導電性ペースト2aの境界部分Xにおける厚みを小さくすると、稜部(コーナー部)Yの半径も小さくなり、実装時にツームストーン現象が抑止され、半田付け等による実装性が向上する。
【0040】
[実施例1]
ここで、以下の表1に示すように、停止位置H1を種々変更させて、外部電極21の三日月形状量D(図12参照)を測定した。
【0041】
停止位置H1は、導電性ペースト膜2の表面2bからセラミック電子部品4の素体の下側端面4bまでの距離(導電性ペースト膜2の表面2bの位置を0とする)を意味する。例えば、停止位置H1=−50は、セラミック電子部品4の素体の下側端面4bが、導電性ペースト膜2の表面2bより50μm下側の位置に浸漬していることを意味する。この場合のセラミック電子部品4の浸漬プロファイルの一例を図7に示す。逆に、停止位置H1=50は、下側端面4bが導電性ペースト膜2の表面2bより50μm上側に位置していることを意味する。
【0042】
セラミック電子部品4として、長さ0.6mm×幅0.3mm×高さ0.3mmの積層セラミックコンデンサを用いた。導電性ペーストには、粘度が20Pa・s(E型、1rpm)で、銅を主成分とする導電性ペーストを用いた。導電性ペースト膜2の厚さhは、外部電極21の折返し寸法L(図12参照)に合わせて150μmに設定した。各条件での評価サンプル数は30個である。なお、表1の「条件1」が、図11に示した従来の浸漬プロファイルである。
【0043】
【表1】
【0044】
以下の表2および図8に、外部電極21の三日月形状量Dの評価結果を示す。従来の浸漬プロファイル条件(「条件1」)では、三日月形状量Dの平均値が47.1μmである。これに対して、下死点H0で停止しないで引上げ途中で一旦停止する浸漬プロファイル条件(「条件2」〜「条件10」)では、三日月形状量Dが44.8μm〜13.9μmと小さくなった。特に、「条件4」〜「条件8」のように、停止位置H1が−50μm〜100μmの範囲では、三日月形状量Dを従来の1/2以下に抑えることができた。つまり、下死点H0で停止しないで、導電性ペースト膜2の厚さhの−1/3〜2/3の位置で一旦引き上げ動作を停止することにより、三日月形状量Dを従来の1/2以下に抑えることができた。
【0045】
【表2】
【0046】
なお、通常の浸漬プロファイルにおいて完全に三日月形状量Dを抑制するためには、導電性ペースト膜2への浸漬時間を極少にすること、並びに、下死点H0で停止しないで引き上げ途中で一旦停止することの二つを、連続的に実施しなくてはならない。しかし、導電性ペーストの粘度や量産環境によっては、両者の効果に差が生じる可能性があり、その場合には、それぞれの動作を個別に行うなどの対応を行ってもよい。
【0047】
また、導電性ペースト膜2への浸漬時間を極少にするために、適宜、エア噛みなどの不具合が発生しない範囲で、浸漬速度V1、引き上げ速度V2,V3を表1の数値より速くしてもよい。
【0048】
[実施例2]
次に、前記実施例1(表2および図8)の評価結果に基づき、停止時間Tの影響を調べるため、以下の表3に示す浸漬プロファイル条件で評価を行った。なお、表3以外の条件は実施例1と同様である。
【0049】
【表3】
【0050】
以下の表4に、外部電極21の三日月形状量Dの評価結果を示す。三日月形状量Dは、停止時間Tが1.0secの場合(「条件11」および「条件15」)で従来(「条件1」)の60%以下となり、停止時間Tが3.0sec以上の場合(「条件12」〜「条件14」および「条件16」〜「条件18」)で従来の50%以下となった。
【0051】
【表4】
【0052】
なお、停止時間Tは、導電性ペーストの粘度や量産環境によって変動する。例えば、導電性ペーストの粘度が高い場合には、導電性ペーストの流動性が低くなるため、セラミック電子部品4の素体の端部4aに付着している導電性ペースト2aの塗れ上がり力と、導電性ペースト2aの自重力および導電性ペースト膜2の引張力(表面張力)を合算した力との間の差が小さくなる。従って、三日月形状量Dの削減に必要な停止時間Tは長くなる。
【0053】
[実施例3]
次に、実施例3では、途中で引き上げ動作を一旦停止する代わりに、引上げ速度を極めて低速化した場合について調べた。以下の表5に示す浸漬プロファイル条件で評価を行った。
【0054】
【表5】
【0055】
この場合の浸漬プロファイルの一例を図9に示す。セラミック電子部品4の素体を浸漬速度V1で導電性ペースト膜2中に浸漬し、下死点H0に到達すると、直ちにセラミック電子部品4の素体を引上げ速度V2で引き上げる。そして、セラミック電子部品4の素体の引上げ途中(変速位置H2)で、引き上げ速度V3を低速にする。低速の引上げ速度V3で一定時間(一定時間の目安として、セラミック電子部品4の素体の端部4aに付着した導電性ペースト2aと導電性ペースト膜2とが完全に離れる時間)経過すると、高速の引上げ速度V4で引き上げる。なお、表5以外の条件は実施例1と同様である。
【0056】
以下の表6に、外部電極21の三日月形状量Dの評価結果を示す。「条件19」〜「条件27」の全てで三日月形状量Dが小さくなった。特に、引上げ速度V3が0.1mmsec以下の場合(「条件19」、「条件20」、「条件22」、「条件23」、「条件25」、「条件26」)、従来の略1/2以下となった。
【0057】
【表6】
【0058】
[実施例4]
実施例4は、セラミック電子部品4として、長さ1.0mm×幅0.5mm×高さ0.5mmの積層セラミックコンデンサを用いた。導電性ペースト膜2の厚さhは、外部電極21の折返し寸法Lに合わせて250μmに設定した。そして、以下の表7に示す浸漬プロファイル条件で評価を行った。なお、表7の「条件28」が図11に示した従来の浸漬プロファイルである。表7以外の条件は実施例1と同様である。
【0059】
【表7】
【0060】
以下の表8に外部電極21の三日月形状量Dの評価結果を示す。従来の浸漬プロファイル条件(「条件28」)では、三日月形状量Dの平均値が54.4μmである。これに対して、下死点H0で停止しないで引き上げ途中で一旦停止する浸漬プロファイル条件(「条件29」)では、三日月形状量Dが10.8μmと小さくなった。従って、本発明は、セラミック電子部品4のサイズに関わらず、有効である。
【0061】
【表8】
【0062】
なお、本発明に係るセラミック電子部品の外部電極形成方法およびセラミック電子部品は、前記実施形態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0063】
例えば、図10に示す浸漬プロファイルで外部電極21を形成してもよい。この場合、セラミック電子部品4の素体を浸漬速度V1で導電性ペースト膜2中に浸漬し、下死点H0に到達すると、直ちにセラミック電子部品4の素体を引上げ速度V2で引き上げ、途中で一旦停止しない。この例では、浸漬速度V1<引上げ速度V2に設定している。これにより、導電性ペースト膜2への浸漬時間を短くでき、導電性ペースト膜2の表面2bが表面張力により三日月形状に塗れ上がる現象を抑制することができ、セラミック素体と導電性ペーストとの境界部分がほぼ直線状になる。
【0064】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明によれば、浸漬時間を極少にすることにより、導電性ペースト膜に浸漬しているセラミック電子部品の素体の端部に、導電性ペースト膜の表面が表面張力で三日月形状に塗れ上がる前に、セラミック電子部品の引き上げ動作が開始される。従って、セラミック電子部品の外部電極の三日月形状量を小さくできる。
【0065】
さらに、セラミック電子部品引上げ動作の途中で、一旦停止したり、引上げ速度を極低速化したりすることにより、セラミック電子部品の素体の端部に付与されている導電性ペーストと導電性ペースト膜とが繋がった状態で、セラミック電子部品の素体の端部に付与されている導電性ペーストの塗れ上がり力が、セラミック電子部品の素体の端部に付与されている導電性ペーストの自重力と導電性ペースト膜の引張力(表面張力)とを合算した力、言い換えると、塗れ上がり力に抗する力以下になる。従って、セラミック電子部品の外部電極の三日月形状量を小さくできる。
【0066】
また、本発明によれば、セラミック電子部品の素体と外部電極である導電性ペーストの境界部分における導電性ペーストの厚みが、素体の側面と端面との稜部における側面側の導電性ペーストの厚みの1/2以下であるため、ツームストーン現象等が発生することを抑止し、実装性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るセラミック電子部品の外部電極形成方法の一実施形態を示す断面図。
【図2】図1に続く製造工程を示す断面図。
【図3】図2に続く製造工程を示す断面図。
【図4】図3に続く製造工程を示す断面図。
【図5】セラミック電子部品の浸漬プロファイルを示すグラフ。
【図6】(A)は前記浸漬プロファイルを採用して外部電極を形成したセラミック電子部品を示す斜視図、(B)は(A)の断面図、(C)は従来の浸漬プロファイルを採用して外部電極を形成したセラミック電子部品の要部を示す断面図。
【図7】セラミック電子部品の別の浸漬プロファイルを示すグラフ。
【図8】三日月形状量とセラミック電子部品の停止位置の関係を示すグラフ。
【図9】セラミック電子部品のさらに別の浸漬プロファイルを示すグラフ。
【図10】セラミック電子部品のさらに別の浸漬プロファイルを示すグラフ。
【図11】従来の浸漬プロファイルを示すグラフ。
【図12】従来の浸漬プロファイルを採用して外部電極を形成したセラミック電子部品を示す平面図。
【符号の説明】
2…導電性ペースト膜
2a…導電性ペースト
2b…導電性ペースト膜の表面
4…セラミック電子部品
4a…端部
4b…端面
V1…浸漬速度
V2,V3,V4…引上げ速度
H0…下死点
H1…停止位置
T…停止時間
Claims (8)
- セラミック電子部品の素体の端部を所定の厚さの導電性ペースト膜に浸漬し、前記セラミック電子部品の素体が下死点に到達すると、直ちに前記セラミック電子部品の素体の引き上げ動作を開始することを特徴とするセラミック電子部品の外部電極形成方法。
- 前記セラミック電子部品の素体の引き上げ途中で引き上げを一旦停止し、一定時間経過後に引き上げ動作を再開することを特徴とする請求項1に記載のセラミック電子部品の外部電極形成方法。
- 前記セラミック電子部品の素体が下死点に到達後直ちに開始される引き上げの速度の方が、一定時間経過後における引き上げの速度より速いことを特徴とする請求項2に記載のセラミック電子部品の外部電極形成方法。
- 引き上げを一旦停止したときの前記セラミック電子部品の素体の端面の最下点は、浸漬前の導電性ペースト膜の表面位置より高く、前記セラミック電子部品の素体の端部に付与されている導電性ペーストと前記導電性ペースト膜が繋がった状態であることを特徴とする請求項2に記載のセラミック電子部品の外部電極形成方法。
- 引き上げを一旦停止したときの前記セラミック電子部品の素体の端面の最下点は、導電性ペースト膜の表面位置より低く、導電性ペースト膜中であることを特徴とする請求項2に記載のセラミック電子部品の外部電極形成方法。
- 前記セラミック電子部品の素体の引き上げ途中で引き上げ速度を変更し、前記セラミック電子部品の素体が下死点に到達後直ちに開始される引き上げの速度の方を、引き上げ速度変更後における引き上げの速度より速く設定することを特徴とする請求項1に記載のセラミック電子部品の外部電極形成方法。
- 請求項1から請求項6のいずれかに記載のセラミック電子部品の外部電極形成方法を用いて、前記セラミック素体の端部に外部電極が形成されていることを特徴とするセラミック電子部品。
- セラミック電子部品の素体の端部を導電性ペースト膜に浸漬することにより外部電極が形成されたセラミック電子部品であって、前記素体と前記導電性ペーストの境界部分における導電性ペーストの厚みが、前記素体の側面と端面との稜部における側面側の前記導電性ペーストの厚みの1/2以下であることを特徴とするセラミック電子部品。
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