JP2004126061A - 回折光学素子及びこれを用いた光学系 - Google Patents

回折光学素子及びこれを用いた光学系 Download PDF

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Abstract

【課題】性能を良好なものに保ちつつ、製造を容易にすることが可能な構成の回折光学素子及びこれを用いた光学系を提供する。
【解決手段】互いに異なる材質からなる第1の回折素子要素3と第2の回折素子要素4とが密着接合され、これら両回折素子要素3,4の接合面に所定形状の回折格子溝5が形成されている回折光学素子1において、第1の回折素子要素3の厚さd1と第2の回折素子要素4の厚さd2をともに5.5μm以上とし、回折格子溝5の最小ピッチpを50μm以上とする。また、少なくとも、一枚の正レンズと一枚の負レンズとを貼り合わせた貼り合わせレンズと、上記回折光学素子1とを有して光学系を構成する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入射した光に対して回折光束を生じさせる回折光学素子に関し、特に、広波長領域で使用可能な回折光学素子に関する。また、このような回折光学素子を用いて構成する光学系に関する。
【0002】
【従来の技術】
回折光学素子は、微小間隔(約1mm)当たり数百本程度の細かい等間隔のスリット状若しくは溝状の格子構造を備えて作られた光学素子であり、光が入射されると、スリットや溝のピッチ(間隔)と光の波長とで定まる方向に回折光束を生じさせる性質を有している。このような回折光学素子は種々の光学系に用いられており、例えば、特定次数の回折光を一点に集めてレンズとして使用するものなどが知られている。
【0003】
このような回折光学素子では、近年において、図8に示されるような複層型の回折光学素子が提案されるようになってきている。この図に示される複層型の回折光学素子は、同一の回折格子溝13において、ガラスからなる第1の回折素子要素11と、樹脂からなる第2の回折素子要素12とが貼り合わされた構成をしている。このような構成とすることで、g線(435.8nm)からC線(656.3nm)までの広波長領域で、回折効率を90%以上とすることが可能となっている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−271514号公報
【特許文献2】
特開平11−271687号公報
【特許文献3】
特開平11−305126号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図8に示される従来の複層型の回折光学素子では、ガラスからなる第1の回折素子要素11の回折格子溝13をその頂部14まで満たすように樹脂(第2の回折素子要素12)を充填させる必要がある。つまり、第1の回折素子要素11には或る程度の厚さの層11aが存在するが、第2の回折素子要素12には、一定の厚みのある層が存在しない。
【0006】
また、このような構成の回折光学素子を製造することは非常に難しく、図8に示される従来通りの複層型回折光学素子を製造しようとしても、実際には、図9に示されるような形状になってしまう。すなわち、樹脂からなる第2の回折素子要素12の厚さが非常に薄い層12aが形成されてしまう。このような非常に薄い層12aは、この回折光学素子を通り抜けた光束が所望の波面とは異なる波面を形成する原因となるため、従来における複層型回折光学素子では、所望の性能を得ることができない場合も生じていた。
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、性能を良好なものに保ちつつ、製造を容易にすることが可能な構成の回折光学素子及びこれを用いた光学系を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するため、請求項1に記載の回折光学素子は、互いに異なる材質からなる第1の回折素子要素と第2の回折素子要素とが密着接合され、これら両回折素子要素の接合面に所定形状の回折格子溝が形成されている回折光学素子において、第1の回折素子要素の厚さと第2の回折素子要素の厚さがともに5.5μm以上であり、回折格子溝の最小ピッチが50μm以上であることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の回折光学素子は、請求項1に記載の回折光学素子において、両回折素子要素の一方の材質がガラスモールド用のガラスであり、他方の材質が紫外線硬化樹脂であることを特徴とする。請求項3の記載の回折光学素子は、請求項2に記載の回折光学素子において、ガラスモールド用のガラスが、d線での屈折率をndGとし、アッベ数をνdGとしたとき、式1.55≦ndG≦1.65及び55≦νdG≦65を満足し、かつ、紫外線硬化樹脂が、d線での屈折率をndRとし、アッベ数をνdRとしたとき、式1.50≦ndR≦1.60及びνdR≦45を満足することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の回折光学素子は、請求項2に記載の回折光学素子において、ガラスモールド用のガラスが、d線での屈折率をndGとし、アッベ数をνdGとしたとき、式1.63≦ndG≦1.73及び50≦νdG≦60を満足し、かつ、紫外線硬化樹脂が、d線での屈折率をndRとし、アッベ数をνdRとしたとき、式1.58≦ndR≦1.68及びνdR≦35を満足することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の回折光学素子は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の回折光学素子において、回折格子溝の高さhが、式8.0μm≦h≦18.0μmを満足することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の光学系は、少なくとも、一枚の正レンズと一枚の負レンズとを貼り合わせた貼り合わせレンズと、請求項1から請求項5のいずれかに記載の回折光学素子とを有したことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態に係る回折光学素子の模式断面図である。本実施形態における回折光学素子1では、互いに異なる材質からなる第1の回折素子要素3と第2の回折素子要素4とが密着接合されてなり、両回折素子要素3,4の境界には所定形状の回折格子溝5が形成されている。本実施形態では、この回折格子溝5は図のように鋸歯形状をしているが、本発明がこれに限定されるわけではない。
【0014】
本発明の回折光学素子1では、上記のような構成にすることにより、g線(435.8nm)からC線(656.3nm)までの広波長領域で、回折効率を90%以上とすることが可能となる。ここで、本発明では、互いに異なる材質からなる第1の回折素子要素3と第2の回折素子要素4それぞれの厚さd1及びd2を、ともに5.5μm以上に設定する。なお、本発明に係る回折光学素子1においては、上記厚さd2及びd3には、回折格子溝5の高さh(図1参照)を含まない。
【0015】
光は波動であるので、回折格子溝5の頂部5aから出射した直後の波面は、幾何光学的な波面とは一致せず、回折格子溝5の頂部5aから或る程度離れたところで幾何光学的波面と一致する。通常、光は、境界面から約10波長分離れれば、幾何光学的な波面と一致するといわれている。このため本発明では、可視光の代表波長として550nmを選択し、その10倍の5.5μmを、回折格子溝5から次の境界面までの厚さとして設定した。このように、回折素子要素3,4それぞれに或る程度の厚さを持たせることで、性能が良好で、かつ、製造を容易にすることができる。ここで、製造を更に容易にするには、回折素子要素3,4それぞれの厚さd1,d2をともに50μm以上とすることが好ましい。
【0016】
本発明に係る回折光学素子1では、更に、回折格子溝5の最小ピッチp(図1参照)を50μm以上の緩いピッチとすることで、その製造を容易にしている。これは、回折格子溝5の最小ピッチpを50μm以上と大きくすれば、回折格子溝5の頂角θ(図1参照)が緩やかになるからであり、このように回折格子溝5の頂角θを緩やかになれば、金型(後述)を用いて第1の回折素子要素3を成形するときに、その形状を正確に転写することができるとともに、このように転写成形された回折格子溝5上に塗布する樹脂(第2の回折光学素子4)が第1の回折素子要素3上に形成された(転写された)回折格子溝5の窪み部分に充分に行き渡るようになるため、所定形状の回折格子溝5を容易に形成することが可能となる。また、入射角に対する回折効率を向上させる観点からも、50μm以上の緩いピッチを採用している。更に、回折格子溝5の最小ピッチpを更に大きく80μm以上とすれば、回折格子溝5の形成はより一層容易になり、回折効率も更に良くなる
【0017】
また、本発明の回折光学素子1では、第1及び第2の回折素子要素3,4を構成する材質の一方はガラスモールド用のガラスにより構成され、他方は紫外線硬化樹脂により構成されることが好ましい。このようにすることで、回折格子溝5を形成するに必要な金型は一つだけで済むようになる。すなわち、金型にガラスを合わせ込んで固め、金型からガラスを取り出し、型取りしたガラスに紫外線硬化樹脂を塗布するという作業を行うだけで、本回折光学素子1を製造することができるようになる。
【0018】
前述のように、本発明では、紫外線硬化樹脂を用いることが好ましい。紫外線硬化樹脂は紫外線を照射するだけで硬化するので、簡単な設備とすることが可能であり、最終的に製造を容易にすることができる。熱可塑性樹脂は、硬化させるために大がかりな装置が必要であり、かつ、製造のための時間もかかるため、紫外線硬化樹脂よりも製造は容易とならない。
【0019】
更に、本発明の回折光学素子1では、第1の回折素子要素3の材質は、d線での屈折率をndGとし、アッベ数をνdGとしたとき、下の両式(1),(2)を満足し、かつ、第2の回折素子要素4の材質は、d線での屈折率をndRとし、アッベ数をνdRとしたとき、下の両式(3),(4)を満足することが好ましい。
【0020】
【数1】
1.55≦ndG≦1.65 … (1)
55≦νdG≦65   … (2)
1.50≦ndR≦1.60 … (3)
νdR≦45   … (4)
【0021】
或いは、第1の回折素子要素3の材質が下の両式(5),(6)を満足し、かつ、第2の回折素子要素4の材質が下の両式(7),(8)を満足するのであってもよい。
【0022】
【数2】
1.63≦ndG≦1.73 … (5)
50≦νdG≦60   … (6)
1.58≦ndR≦1.68 … (7)
νdR≦35   … (8)
【0023】
上記式(1),(2),(3),(4)、或いは式(5),(6),(7),(8)は、より良い性能で、図1に示すような、互いに異なる材質(ここでは、ガラスモールド用のガラスと紫外線硬化樹脂)が共通の回折格子溝5で接することができる(回折格子溝5を形成することができる)ため条件である。すなわち、これらの式に規定された領域を外れると、本発明の回折光学素子1を得ることが困難となる。特に、式(1),(3)は、良好な角度特性を得るためのものであり、条件式(1)の下限を外れるか、或いは条件式(3)の上限を外れると、回折格子溝5の高さhが非常に高くなってしまい、角度特性を良好に保ちつつ所定の格子形状を得ることはできなくなってしまう。また、条件式(2),(4)は、特に、全波長域で良好な回折効率を得るためのものであり、それぞれの条件範囲を外れると、全波長領域で良好な回折効率を得ることができなくなる。
【0024】
ここで、更に良い結果を得るためには、式(1)の下限を1.57とすることが好ましい。また、上限は1.63とすることが好ましい。また、式(2)の下限を57とすることが好ましい。また、上限は63とすることが好ましい。また同様に、式(3)の下限を1.52とすることが好ましい。また、上限は1.58とすることが好ましい。また、式(4)の下限を25とすることが好ましい。
【0025】
或いは、更に良い結果を得るためには、式(5)の下限を1.65とすることが好ましい。また、上限は1.70とすることが好ましい。また、式(6)の下限を52とすることが好ましい。また、上限は58とすることが好ましい。また同様に、式(7)の上限を1.65とすることが好ましい。また、式(8)の下限を20とすることが好ましい。また、上限は30とすることが好ましい。
【0026】
また、本発明の回折光学素子1では、回折格子溝5の高さhは、下式(9)を満足していることが好ましい。
【0027】
【数3】
8.0μm≦h≦18.0μm … (9)
【0028】
上記式(9)は角度特性(入射光線の入射角の変化に対する回折効率の低下の度合い)に関する条件であり、この条件を満たすようにすることにより、従来の複層型回折光学素子に比して角度特性を向上させることができる。すなわち、回折格子溝5の高さhを式(9)の上限値(18.0μm)以下にして回折格子溝5の高さを低くすることにより、光透過時の損失を小さくして角度特性を向上させることができる。但し、回折格子溝5の高さhを無制限に小さくすることは、厳しい製造精度を満足し得なくなる可能性があるため、式(9)においては、回折格子溝5の高さhに下限の値を設けている。ここで、更に良い結果を得るためには、上記条件式(9)の下限の値を8.5μmとすることが好ましい。また、上限の値は15.0μmとすることが好ましい。
【0029】
このように、本発明に係る回折光学素子1によれば、互いに異なる材質からなる第1の回折素子要素3の厚さd1と第2の回折素子要素4の厚さd2がともに、可視光の代表波長である550nmの10倍の長さである5.5μm若しくはそれ以上の値に設定されており、複層型の回折光学素子でありながら、その性能は良好なものに保たれるようになっている。また、回折格子溝5の最小ピッチpは50μm以上と緩いピッチになっているので、その製造は大変容易なものとなっている。
【0030】
なお、本発明の回折光学素子1は特定次数の回折光が一点に集まるようにしてレンズのように用いることができ、この場合、本回折光学素子は全体が円盤状に作られる。また、本回折光学素子の断面形状は図1に示すような平行平板状であってもよいが、その他の形、例えば球面状になっていてもよい。
【0031】
また、本発明に係る光学系は、少なくとも、一枚の正レンズと一枚の負レンズとを貼り合わせた貼り合わせレンズと、上記本発明の回折光学素子とを一緒に用いて構成される。このような構成の光学系では、回折光学素子単一で色収差を補正するよりもより良好に色収差補正を行うことが可能になり、結像性能を向上させることができる。なお、このとき、貼り合わせレンズは、回折光学素子よりも入射側に配置されることが好ましい。
【0032】
【実施例】
以下、本発明に係る光学系の具体的な実施例を示す。下に示す実施例では、本発明の光学系をテレコンバーターレンズに適用しており、このテレコンバーターレンズの像側に設置されるマスターレンズには、デジタルカメラに用いるレンズを用いた。
【0033】
(第1実施例)
図2は第1実施例に係る光学系を構成する諸レンズの配置を示す図である。本実施例におけるマスターレンズの諸元を下の表1に示す。ここで、表1における面番号1〜12はテレコンバーターレンズTCに関するものであり、図2における符号1〜12に対応する。また、表1における面番号13〜36はマスターレンズMに関するものであり、図2における符号13〜36に対応する。表1におけるrはレンズ面の曲率半径であり、dはレンズ面の間隔である。また、νdはアッベ数、ndはd線(λ=587.6nm)に対する屈折率である。また、以下の全ての諸元値において掲載されている曲率半径r、面間隔dその他の長さの単位は、特記のない場合一般に「mm」が使われるが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、単位は「mm」に限定されることなく、他の適当な単位を用いることもできる。なお、本実施例では、正レンズL1と負レンズL2とが貼り合わされて貼り合わせレンズLが構成されており、この貼り合わせレンズLが本発明の回折光学素子1よりも光の入射側(図における左側)に位置するようになっている(後述する第2及び第3実施例についても同様)。
【0034】
【表1】
Figure 2004126061
Figure 2004126061
【0035】
本実施例では、回折光学素子を、nd=1.60970、νd=57.79であるガラスモールド用ガラスと、nd=1.55389、νd=38.09である紫外線硬化樹脂とで構成した。両材質の厚さd1,d2はそれぞれ、光軸上でd1=11.5mm、d2=0.1mmであり、第1及び第2の回折素子要素3,4の厚さd1,d2がそれぞれ5.5μm以上であるという条件が満たされていた。また、回折光学素子の回折格子溝の深さは9.95μmであり、前述の式(9)が満たされていた。
【0036】
図3は第1実施例における光学系の諸収差図である。各収差図において、FNOはFナンバーを、Yは像高を、dはd線に対する結果を、gはg線に対する結果を、CはC線に対する結果を、FはF線に対する結果をそれぞれ示している。また、非点収差を示す収差図において、実線はサジタル像面を示し、破線はメリディオナル像面を示している。以上の収差図の説明は、以降の他の収差図においても同様である。各収差図から明らかなように、本第1実施例では諸収差が良好に補正され、優れた結像性能が確保されていることが分かる。
【0037】
(第2実施例)
図4は第2実施例に係る光学系を構成する諸レンズの配置を示す図である。本第2実施例におけるマスターレンズMの諸元は上述の表1に示した通り(面番号13〜36)であり、テレコンバーターレンズTCに関する面番号1〜11は図4における符号1〜11に対応する。
【0038】
【表2】
Figure 2004126061
【0039】
本実施例では、回折光学素子を、nd=1.59380、νd=61.41であるガラスモールド用ガラスと、nd=1.54988、νd=41.63である紫外線硬化樹脂とで構成した。両材質の厚さd1,d2はそれぞれ、光軸上で、d1=12mm、d2=0.1mmであり、第1及び第2の回折素子要素3,4の厚さd1,d2がそれぞれ5.5μm以上であるという条件が満たされていた。また、回折光学素子の回折格子溝の深さは12.7μmであり、前述の式(9)が満たされていた。
【0040】
図5は第2実施例における光学系の諸収差図である。各収差図から明らかなように、本第2実施例では諸収差が良好に補正され、優れた結像性能が確保されていることが分かる。
【0041】
(第3実施例)
図6は第3実施例に係る光学系を構成する諸レンズの配置を示す図である。本第3実施例におけるマスターレンズMの諸元は上述の表1に示した通り(面番号13〜36)であり、テレコンバーターレンズTCに関する面番号1〜11は図6における符号1〜11に対応する。
【0042】
【表3】
Figure 2004126061
【0043】
本実施例では、回折光学素子を、nd=1.59087、νd=62.33であるガラスモールド用ガラスと、nd=1.55389、νd=38.09である紫外線硬化樹脂とで構成した。両材質の厚さd1,d2はそれぞれ、光軸上でd1=10.3mm、d2=0.2mmであり、第1及び第2の回折素子要素3,4の厚さd1,d2がそれぞれ5.5μm以上であるという条件が満たされていた。また、回折光学素子の回折格子溝の深さは15.8μmであり、前述の式(9)が満たされていた。
【0044】
図7は第3実施例における光学系の諸収差図である。各収差図から明らかなように、本第3実施例では諸収差が良好に補正され、優れた結像性能が確保されていることが分かる。
【0045】
(第4実施例)
本第4実施例は本発明の複層型回折光学素子1単体に関するものである。本発明の回折光学素子1を構成するガラスモールド用のガラスとして住田光学ガラス製VC78(nd=1.66910、νd=55.4)を用い、樹脂としてカネボウ製O−PET TYPE4(nd=1.6089、νd=26.5)を用いたところ、回折格子溝5の高さhが9.9μmの回折光学素子が得られた。このように、前述の式(5),(6)及び式(7),(8)を満たし、かつ式(9)を満たす本実施例における回折光学素子の回折効率を測定したところ、90%以上と良好な結果が得られた。
【0046】
(第5実施例)
本第5実施例も本発明の複層型回折光学素子1単体に関するものである。本発明の回折光学素子1を構成するガラスモールド用のガラスとして住田光学ガラス製LaFK55(nd=1.69400、νd=56.3)を用い、樹脂としてカネボウ製O−PET TYPE2(nd=1.6293、νd=23.5)を用いたところ、ガラス及び樹脂の厚さがそれぞれ1.0mmであるとともに、回折格子溝5の高さhが9.3μmの回折光学素子が得られた。このように、前述の式(5),(6)及び式(7),(8)を満たし、かつ式(9)を満たす本実施例における回折光学素子の回折効率を測定したところ、90%以上と良好な結果が得られた。
【0047】
上記第4及び第5実施例では、樹脂として熱可塑性樹脂を用いたが、これをアデール製HV16(nd=1.5980、νd=28.0)、或いは三菱化学製UV1000(nd=1.6363、νd=23.0)等の紫外線硬化樹脂に変えても性質良好な複層型回折格子を構成することが確認できた。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る回折光学素子によれば、互いに異なる材質からなる第1の回折素子要素の厚さと第2の回折素子要素の厚さがともに、可視光の代表波長である550nmの10倍の長さである5.5μm若しくはそれ以上の値に設定されており、複層型の回折光学素子でありながら、その性能は良好なものに保たれる。また、回折格子溝の最小ピッチpは50μm以上と緩いピッチになっているので、その製造は大変容易である。
【0049】
また、本発明に係る光学系は、少なくとも、一枚の正レンズと一枚の負レンズとを貼り合わせた貼り合わせレンズと、上記本発明の回折光学素子とを一緒に用いて構成されるので、回折光学素子単一で色収差を補正するよりもより良好に色収差補正を行うことが可能になり、結像性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る回折光学素子を示す模式断面図である。
【図2】第1実施例における光学系の諸レンズ配置を示す図である。
【図3】第1実施例における光学系の諸収差図である。
【図4】第2実施例における光学系の諸レンズ配置を示す図である。
【図5】第2実施例における光学系の諸収差図である。
【図6】第3実施例における光学系の諸レンズ配置を示す図である。
【図7】第3実施例における光学系の諸収差図である。
【図8】従来の複層型回折光学素子の構成を示す模式断面図である。
【図9】従来の複層型回折光学素子の構成を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1   回折光学素子
3   第1の回折素子要素
4   第2の回折素子要素
5   回折格子溝
p   回折格子溝のピッチ
h   回折格子溝の高さ
TC  テレコンバーターレンズ
L   貼り合わせレンズ
L1  正レンズ
L2  負レンズ
M   マスターレンズ

Claims (6)

  1. 互いに異なる材質からなる第1の回折素子要素と第2の回折素子要素とが密着接合され、前記両回折素子要素の接合面に所定形状の回折格子溝が形成されている回折光学素子において、
    前記第1の回折素子要素の厚さと前記第2の回折素子要素の厚さがともに5.5μm以上であり、前記回折格子溝の最小ピッチが50μm以上であることを特徴とする回折光学素子。
  2. 前記両回折素子要素の一方の材質がガラスモールド用のガラスであり、他方の材質が紫外線硬化樹脂であることを特徴とする請求項1記載の回折光学素子。
  3. 前記ガラスモールド用のガラスは、d線での屈折率をndGとし、アッベ数をνdGとしたとき、両式
    1.55≦ndG≦1.65
    55≦νdG≦65
    を満足し、かつ、前記紫外線硬化樹脂は、d線での屈折率をndRとし、アッベ数をνdRとしたとき、両式
    1.50≦ndR≦1.60
    νdR≦45
    を満足することを特徴とする請求項2記載の回折光学素子。
  4. 前記ガラスモールド用のガラスは、d線での屈折率をndGとし、アッベ数をνdGとしたとき、両式
    1.63≦ndG≦1.73
    50≦νdG≦60
    を満足し、かつ、前記紫外線硬化樹脂は、d線での屈折率をndRとし、アッベ数をνdRとしたとき、両式
    1.58≦ndR≦1.68
    νdR≦35
    を満足することを特徴とする請求項2記載の回折光学素子。
  5. 前記回折格子溝の高さhが、式
    8.0μm≦h≦18.0μm
    を満足することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の回折光学素子。
  6. 少なくとも、一枚の正レンズと一枚の負レンズとを貼り合わせた貼り合わせレンズと、請求項1〜5のいずれかに記載の回折光学素子とを有したことを特徴とする光学系。
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