JP2004125478A - 熱レンズ分析装置 - Google Patents

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Minoru Toyama
遠山 實
Atsushi Yamaguchi
山口 淳
Akihiko Hattori
服部 明彦
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Abstract

【課題】熱レンズ分析を安定して行うことができる熱レンズ分析装置を提供する。
【解決手段】熱レンズ分析装置1は、励起光及び検出光を試料溶液に照射するロッドレンズ10と、試料溶液中に熱レンズ12が形成される前後の検出光の信号強度を検出するPD11と、PD11が検出した信号強度からTLM出力を算出するコンピュータとを備える。励起ビーム伝播強度I(r,z)に応じた屈折率分布を有する熱レンズ12を、屈折率差dnを変数とするSNS積層光学系3と近似し、この熱レンズ12に色収差dfを変数とする検出光を照射し、規格化されたPD距離Loを変数とするPD11で受光したときのTLM出力を求める。
【選択図】   図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱レンズ分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、化学反応を微小空間で行うための集積化技術が、化学反応の高速性や微少量での反応、オンサイト分析等の観点から注目されており、そのための研究が、世界的に精力的に進められている。
【0003】
化学反応の集積化技術の1つとして微細な流路の中で試料溶液の混合、反応、分離、抽出、検出等を行う所謂マイクロ化学システムがある。このマイクロ化学システムで行われるものとしては反応の例として、ジアゾ化反応、ニトロ化反応、抗原抗体反応などがあり、抽出、分離の例として溶媒抽出、電気泳動分離、カラム分離などがある。マイクロ化学システムは、分離だけを目的としたような単一の機能のみで用いられても良く、また複合的に用いられても良い。
【0004】
これらのマイクロ化学システムでは試料溶液が極微量であるので、高感度な検出方法が必須である。このような方法として、微細な流路内の試料溶液に励起光を照射する前後の検出光の信号強度の差を照射する前の検出光の信号強度で割った値(以下「TLM出力」という。)を検出する熱レンズ分析法が確立され、これによりマイクロ化学システムの実用化の道が開かれている。
【0005】
試料溶液に光を集光照射すると試料溶液中の溶質が光を吸収すると共に熱エネルギーが放出される。この熱エネルギーによって溶媒が局所的に温度上昇すると、屈折率が変化して熱レンズが形成される(熱レンズ効果)。熱レンズ分析法はこの熱レンズ効果を利用するものである。
【0006】
熱レンズ分析法は、熱の拡散、即ち屈折率の変化をTLM出力として観察するものであるので、極微小試料の濃度を検出するのに適している。
【0007】
従来の熱レンズ分析装置においては、マイクロ化学システム用チップが顕微鏡の対物レンズの下方に配置されており、励起光源から出力された所定波長の励起光が顕微鏡に入射して、この顕微鏡の対物レンズによりマイクロ化学システム用チップの流路内の試料に集光照射される。これにより、集光照射位置を中心として試料に熱レンズが形成される。
【0008】
このような熱レンズ分析は流路内の試料溶液の定量的な制御を行なう必要があり、その点で、マイクロ化学システム用チップの流路としては、平面上に存在し、適度な圧力損失を有するキャピラリを用いるのが適している(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
また、高い分解能による熱レンズ分析を行なうには、対物レンズとして、検出光と励起光の焦点距離の差(以下「色収差」という。)のあるレンズを用いるとよく(例えば、特許文献2参照)、特に、このようなレンズとしてロッドレンズを用いることが有効であることが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−165939号公報
【特許文献2】
特開2001−356611号公報
【特許文献3】
特開2002−165939号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、平面上に存在し、適度な圧力損失を有するキャピラリを流路として用いると、流路内の試料溶液の定量的な制御を行なうことはできるが、それのみでは試料溶液の濃度測定を高い分解能で行なうことはできない。
【0012】
また、色収差があるレンズを用いると熱レンズ分析により、試料溶液の濃度測定を高い分解能で行なうことができるが、具体的に、どのような色収差の範囲にあるレンズを用いると安定した測定を行なうことができるのかを開示する従来技術はない。
【0013】
本発明の目的は、熱レンズ分析を安定して行うことができる熱レンズ分析装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の熱レンズ分析装置は、内部に試料溶液を流す流路を有するマイクロ化学システム用チップと、前記試料溶液に熱レンズを生成するための励起光と前記熱レンズを検出するための検出光とをレンズを介して前記試料溶液に照射する光源と、前記試料溶液の熱レンズ分析を行なうべく前記検出光のTLM出力を検出する検出手段とを備える熱レンズ分析装置において、前記試料溶液のうち前記熱レンズが生成される部分と生成されない部分との屈折率差は、1.0×10−5〜1.0×10−10であることを特徴とする。
【0015】
請求項1記載の熱レンズ分析装置によれば、流路を流れる試料溶液のうち熱レンズが生成される部分と生成されない部分との屈折率差は、1.0×10−5以下であるので、検出光の信号強度に外乱が生じるのを防ぐことができ、また、この屈折率差は1.0×10−10以上であるので、TLM出力の検出をすることができ、以って熱レンズ分析を安定して行うことができる。
【0016】
請求項2記載の熱レンズ分析装置は、請求項1記載の熱レンズ分析装置において、前記レンズの開口数NAと、前記励起光及び前記検出光の色収差df(mm)との関係は、0.15<NA<0.60、0<NA×df<24×10−3を満たすことを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の熱レンズ分析装置によれば、レンズの開口数NAと、励起光及び検出光の色収差dfとの関係は、0.15<NA<0.60、0<NA×df<24×10−3を満たすので、TLM出力を確実に検出することができ、定性分析を行なうことができる。
【0018】
請求項3記載の熱レンズ分析装置は、請求項1又は2記載の熱レンズ分析装置において、前記屈折率差は1.0×10−6〜1.0×10−8であることを特徴とする。
【0019】
請求項3記載の熱レンズ分析装置によれば、屈折率差は1.0×10−6以下であるので、屈折率差とTLM出力との間に比例関係が生じ、定量分析を行なうことができ、また、この屈折率差は1.0×10−8以上であるので、TLM出力を確実に検出することができる。
【0020】
請求項4記載の熱レンズ分析装置は、請求項3記載の熱レンズ分析装置において、前記開口数NAと前記色収差dfとの関係は、0.15<NA<0.60、4.5×10−3<NA×df<9×10−3を満たすことを特徴とする。
【0021】
請求項4記載の熱レンズ分析装置によれば、開口数NAと色収差dfとの関係は、0.15<NA<0.60、4.5×10−3<NA×df<9×10−3を満たすので、屈折率差とTLM出力との間の比例関係が確実に維持することができ、安定した定量分析を行なうことができる。
【0022】
請求項5記載の熱レンズ分析装置は、請求項3又は4記載の熱レンズ分析装置において、前記開口数NAと前記検出手段の規格化されたPD距離Loとの関係は、0.15<NA<0.60、2.8125<NA×Lo<5.625を満たすことを特徴とする。
【0023】
請求項5記載の熱レンズ分析装置によれば、開口数NAと検出手段の規格化されたPD距離Loとの関係は、0.15<NA<0.60、2.8125<NA×Lo<5.625を満たすので、屈折率差とTLM出力との間の比例関係が確実に維持しつつ、TLM出力を大きくすることができ、より安定した定量分析を行なうことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る熱レンズ分析装置により生成される熱レンズを図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態に係る熱レンズ分析装置を示す図である。
【0026】
図1において、本発明の実施の形態に係る熱レンズ分析装置1は、不図示のマイクロ化学システム用チップ内に形成された流路中の試料溶液に励起光及び検出光を同軸で照射するロッドレンズ10と、マイクロ化学システム用チップを通過した励起光及び検出光のうち検出光の信号強度のみを不図示のフィルタ等で濾波して検出するPD11とから成る。
【0027】
励起光は検出光より短い波長の光であり、ロッドレンズ10は、試料溶液中で励起光及び検出光が焦点を結ぶように光軸合わせを行ない、また、励起光と検出光の焦点距離には差(以下「色収差」という。)dfがある。
【0028】
また、励起光が試料溶液に照射されると、その焦点位置を中心として熱レンズ12が形成される。
【0029】
PD11は、励起光の焦点位置からの距離(以下「PD距離」という。)Lに光軸と垂直に設置されるものであり、開口半径radの光軸と同心円状の検出部からなるものである。ここでPD11のPD距離Lと開口半径radは可変である。
【0030】
また、PD11は、試料溶液に励起光を照射する前に試料溶液に照射した検出光の信号強度(Io)と、励起光を照射した後に試料溶液に照射した検出光の信号強度(I)を検出する。その後、不図示のコンピュータにより(I−Io)/Ioの値(以下「TLM出力」という。)を算出することで、熱レンズ分析が行われる。
【0031】
次に、図1の熱レンズ12の形状のシミュレーションを行なう。このシミュレーションの前提条件を以下のように設定する。
1.計算を容易にするため、ロッドレンズ10のNAと励起光及び検出光のNAは同一、ロッドレンズ10からPD11までの空間はすべて水中であり、伝播媒質屈折率nは1.332とする。
2.励起光の焦点位置周辺の励起ビーム伝播強度I(r,z)は、式(1)に示すガウス分布である。
【0032】
【数1】
Figure 2004125478
【0033】
3.熱レンズ12の形状は、後述する図3の屈折率差dnを変数とするSNS積層光学系であると近似する。
4.励起光の焦点位置近傍の屈折率分布は励起ビーム伝播強度に応じたものである。
5.色収差dfを変数とする検出光を熱レンズ12に照射すると、検出光の光線は熱レンズ12の屈折率に応じて広がるように曲げられる。
【0034】
さらに、ロッドレンズ10、PD11、励起光、及び検出光の条件を以下の表1に示す。
【0035】
【表1】
Figure 2004125478
【0036】
以上の条件で、図1のロッドレンズ10から照射された励起光の焦点位置周辺の励起ビーム伝播強度についてシミュレーションを行なう。
【0037】
図2は、図1のロッドレンズ10から照射された励起光の焦点位置周辺の励起ビーム伝播強度を示す図であり、(a)はz軸座標が0〜20μm、rが0〜2μmの範囲を示し、(b)はz軸座標が20〜40μm、rが0〜5μmの範囲を示し、(c)はz軸座標が40〜100μm、rが0〜20μmの範囲を示す。
【0038】
図2では、横軸は励起光の焦点位置を0とし、光の伝播方向を正とするz軸座標を示し、縦軸は励起光の光軸からの距離rを示す。
【0039】
励起ビーム伝播強度は、励起光の焦点位置に近い位置にあるもの程強くなり、励起光の焦点位置から離れた位置にあるもの程弱くなる。
【0040】
例えば、図2(a)では、励起光の焦点位置に最も近い位置にある範囲21のビーム伝播強度は1.0、その次に近い位置にある範囲22のビーム伝播強度は等高線間隔が0.1であるので0.9(=1.0−0.1)、最も離れた位置にある範囲23のビーム伝播強度は0.0となる。
【0041】
図3は、図1の熱レンズ12の形状をSNS積層光学系で近似した図を示す。
【0042】
図3において、SNS積層光学系3は、22個のSNSレンズから成り、合計厚みは0.2mm、各SNSレンズの厚さtは、励起光焦点位置に隣接するSNSレンズ31,31’及びSNSレンズ31,31’に隣接するSNSレンズ32,32’を0.005mmとし、その他の18枚のSNSレンズを0.01mmとする。
【0043】
また、SNS積層光学系3が形成された部分はそれ以外の部分より屈折率が低く、その屈折率差dnは−1.0×10−5〜−1.0×10−8の間で可変とする。
【0044】
さらに、前提条件4より、屈折率分布n(r,z)と励起ビーム伝播強度I(r,z)とは、式(2)に示す関係が成立する。
【0045】
【数2】
n(r,z)=(dn/I0)×I(r,z)・・・(2)
また、SNS積層光学系3の屈折率分布は、式(3)から式(5)に示す近似式が成立することが知られている。
【0046】
【数3】
Figure 2004125478
【0047】
従って、式(2)を用いて、式(3)の係数(n0,nz1〜nz4,nr1〜nr4,sva,svp,svf)をカーブフィッティングにより求めると、図3のSNS積層光学系3中の屈折率分布についてシミュレーションを行なうことができる。
【0048】
以上の条件で、dn=1.0×10−5のときの図3のSNS積層光学系3中の屈折率分布を各SNSレンズの範囲でカーブフィッティングを行なった結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
Figure 2004125478
【0050】
また、式(3)から式(5)により、係数n0,nz1〜nz4,nr1〜nr4はdnの値に比例するが、係数sva,svp,svfはdnの値に関係なく一定であることがわかる。
【0051】
以上の結果から、図2の励起ビーム伝播強度に応じて形成された熱レンズ12の屈折率分布についてシミュレーションを行なう。
【0052】
図4は、図1の熱レンズ12が屈折率差dnが1.0×10−5であるときの屈折率分布を示す図であり、(a)はz軸座標が0〜20μm、rが0〜2μmの範囲を示し、(b)はz軸座標が20〜40μm、rが0〜5μmの範囲を示し、(c)はz軸座標が40〜100μm、rが0〜20μmの範囲を示す。
【0053】
屈折率は、励起光の焦点位置に近い位置にあるもの程低くなり、励起光の焦点位置から離れた位置にあるもの程高くなる。
【0054】
例えば、図4(a)では、励起光の焦点位置に最も近い位置にある範囲41の屈折率は−1.0×10−5、その次に近い位置にある範囲42の屈折率は等高線間隔が1.0×10−6であるので、−0.9×10−6(=−1.0×10−5+1.0×10−6)、最も離れた位置にある範囲43の屈折率は0.0となる。
【0055】
次に、図4の熱レンズ12が試料溶液中に形成されると近似し、実光線追跡によりTLM出力についてシミュレーションを行なう。
【0056】
図5は、図1のPD距離Lを10mmとして、屈折率差dn及び開口半径radを変化させたときのTLM出力と色収差dfの関係を示すグラフであり、(a)は屈折率差dnが1.0×10−5の場合を示し、(b)は屈折率差dnが1.0×10−6の場合を示し、(c)は屈折率差dnが1.0×10−7の場合を示し、(d)は屈折率差dnが1.0×10−8の場合を示す。
【0057】
図5に示すように、開口半径radの値に関係なく、屈折率差dnの値が小さくなるほどTLM出力の値は小さくなり、不図示ではあるが屈折率差dnが1.0×10−10以下ではTLM出力の値が微小となり過ぎ、PD11では検出ができない。PD11で確実にTLM出力を検出するには、屈折率差dnは1.0×10−10、より好ましくは1.0×10−8以上であることを要する。
【0058】
また、屈折率差dnが1.0×10−5以下の範囲でTLM出力と色収差dfの関係を求めたのは、熱レンズ12が生成されている部分と生成されていない部分とでは、その温度差が1度以上となり、励起光を試料溶液に照射するのを止めても熱レンズ12が無くなるまでに時間を要し、検出光の信号強度に外乱が生じるためである。
【0059】
以上の結果から、屈折率差dnは、1.0×10−5〜1.0×10−10、好ましくは1.0×10−8以上である必要がある。
【0060】
図6は、図5のTLM出力間のTLM出力比と色収差dfの関係を示すグラフであり、(a)は屈折率差dnが1.0×10−5のTLM出力を1.0×10−6のときのTLM出力で割った場合を示し、(b)は屈折率差dnが1.0×10−6のTLM出力を1.0×10−7のときのTLM出力で割った場合を示し、(c)は屈折率差dnが1.0×10−7のTLM出力を1.0×10−8のときのTLM出力で割った場合を示す。
【0061】
屈折率差の値とTLM出力の値とが比例関係にあるとき、熱レンズ分析を定量的に行なうことができる。従って、屈折率差の比は10である図6(a)〜図6(c)において、TLM出力比が10である色収差dfの範囲があるか否かを判別することが、現在の条件で定量的な熱レンズ分析を行なうことができるかを判別することになる。
【0062】
TLM出力比が10である色収差dfの範囲は、開口半径radの値に関係なく、図6(a)の場合はほとんど無く、図6(b)の場合、図6(c)の場合になるにつれて広くなることが判る。従って、定量的な熱レンズ分析を行なうには、dnが1.0×10−6以下とすることが好ましい。
【0063】
次に、PD距離Lを一定としたときの開口半径radとTLM出力の関係について説明する。
【0064】
図7は、図1のPD距離Lを20mmとしたときの開口半径radとTLM出力の関係を示すグラフであり、(a)は色収差dfが0.03mmの場合を示し、(b)は色収差dfが0.04mmの場合を示す。
【0065】
図7(a)のTLM出力が、図7(b)のTLM出力の1/10のスケールとなっていることからわかるように、色収差dfの値が小さいと同じ屈折率差dnであってもTLM出力の値は小さくなることがわかる。
【0066】
また、開口半径radが変化したとき、図7(a)のTLM出力は大きく変動するのに対し、図7(b)のTLM出力は大きな変動がないことがわかる。
【0067】
図8は、図1のPD距離Lと開口半径radの関係を示すグラフであり、(a)はPD距離Lが10mm、屈折率差dnが1.0×10−6の場合を示し、(b)はPD距離Lが10mm、屈折率差dnが1.0×10−7の場合を示し、(c)はPD距離Lが10mm、屈折率差dnが1.0×10−8の場合を示し、(d)はPD距離Lが20mm、屈折率差dnが1.0×10−6の場合を示し、(e)はPD距離Lが20mm、屈折率差dnが1.0×10−7の場合を示し、(f)はPD距離Lが20mm、屈折率差dnが1.0×10−8の場合を示す。
【0068】
図8より、PD距離Lを2倍としても開口半径radも2倍とすると同一となることがわかる。よって、以降、PD距離Lについては開口半径radが0.5mm(即ち、PD11の直径が1.0mm)で規格化されたPD距離Loを用いる。
【0069】
以上の結果に基づき、より現実に即した結果を導き出すため、前提条件1の条件を変更する。
【0070】
具体的には、ロッドレンズ10のNAは、励起光及び検出光の開口数NAの1.5倍とする。これは、励起光及び検出光をガウス分布を維持して伝播させるには、そのビーム径(ビーム中心強度の13.5%の強度の直径)の1.5倍以上の有効径をもつ光学系でないと、ガウスビームの裾野にケラレが生じるのを防止することができないからである。また、PD11は水中でなく空気中にあるため、励起光及び検出光の開口数NA、色収差df、PD距離Lを空気換算する。
【0071】
励起光及び検出光の開口数NA(=0.15)を空気換算した値は0.2であるため、ロッドレンズ10の開口数NAはこの値を1.5倍した0.3となる。
【0072】
まず、ロッドレンズ10の開口数NAと色収差dfの関係について説明する。
【0073】
図5から、TLM出力は色収差dfが0.080mm以下であれば検出できることがわかるが、その出力が0以下となる場合もあり(図5(a))、さらに、不図示ではあるが、色収差dfが0.10mm以上となると屈折率差dnが1×10−5のとき、及び1×10−6のときにTLM出力は全く検出できない。よって、色収差dfは水中で0.10mm以下、空気換算すると0.080mm以下であることを要する。一方、図5のロッドレンズ10の開口数NAは上述したように0.3である。
【0074】
以上より、ロッドレンズ10の開口数NAと色収差dfの関係が0<NA×df<24×10−3を満たすことがわかる。
【0075】
また、ロッドレンズ10の開口数NAが0.15以下とするとPD距離Lが大きくなる結果、TLM出力が弱くなったり、装置が大型化するため好ましくなく、開口数NAが0.60以上とすると焦点距離が短くなり、ロッドレンズ10が不図示のマイクロ化学システム用チップに当たる可能性がある。従って、ロッドレンズ10の開口数NAは、0.15<NA<0.60であることが好ましいことがわかる。
【0076】
即ち、ロッドレンズ10の開口数NAと色収差dfの関係が、0.15<NA<0.60であり、且つ、0<NA×df<24×10−3を満たすものであるとき、TLM出力を確実に検出することができ、定性分析を行なうことができる(図9)。
【0077】
また、図6(b),図6(c)から、屈折率差dnが1.0×10−6であって、色収差dfが0.02mmより大きく、0.04mmより小さいとき、屈折率差dnとTLM出力とを確実に比例関係とすることができる。また、図6の色収差dfは水中における値であるため、空気換算すると色収差dfは0.015mmより大きく、0.030mmより小さいことになる。
【0078】
従って、ロッドレンズ10の開口数NAと色収差dfの関係が、0.15<NA<0.60であり、且つ、4.5×10−3<NA×df<9×10−3を満たすとき、屈折率差とTLM出力との間の比例関係が確実に維持することができ、安定した定量分析を行なうことがわかる(図10)。
【0079】
次に、ロッドレンズ10の開口数NAと図8で前述した規格化されたPD距離Loの関係について説明する。
【0080】
図7から、PD11の開口半径radは、0.4〜0.8mmの範囲にあるとき、TLM出力と屈折率差dnの比例関係が維持できる。PD距離Lは、水中で20mmとしていたため、空気換算すると15mmとなる。
【0081】
従って、NAが0.3(空気換算値)のとき、規格化されたPD距離Loの最小値(Lo−min)は、9.375mm(=15×0.5/0.8)であり、最大値(Lo−max)は、18.75mm(=15×0.5/0.4)となる。
【0082】
従って、ロッドレンズ10の開口数NAと規格化されたPD距離Loの関係が、2.8125(=Lo−min×NA)<Lo×NA<5.625(=Lo−max×NA)を満たすとき、屈折率差とTLM出力との間の比例関係が確実に維持しつつ、TLM出力を大きくすることができ、より安定した定量分析を行なうことができることがわかる(図11)。
【0083】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、請求項1記載の熱レンズ分析装置によれば、流路を流れる試料溶液のうち熱レンズが生成される部分と生成されない部分との屈折率差は、1.0×10−5以下であるので、検出光の信号強度に外乱が生じるのを防ぐことができ、また、この屈折率差は1.0×10−10以上であるので、TLM出力の検出をすることができ、以って熱レンズ分析を安定して行うことができる。
【0084】
請求項2記載の熱レンズ分析装置によれば、レンズの開口数NAと、励起光及び検出光の色収差df(mm)との関係は、0.15<NA<0.60、0<NA×df<24×10−3を満たすので、TLM出力を確実に検出することができ、定性分析を行なうことができる。
【0085】
請求項3記載の熱レンズ分析装置によれば、屈折率差は1.0×10−6以下であるので、屈折率差とTLM出力との間に比例関係が生じ、定量分析を行なうことができ、また、この屈折率差は1.0×10−8以上であるので、TLM出力を確実に検出することができる。
【0086】
請求項4記載の熱レンズ分析装置によれば、開口数NAと色収差dfとの関係は、0.15<NA<0.60、4.5×10−3<NA×df<9×10−3を満たすので、屈折率差とTLM出力との間の比例関係が確実に維持することができ、安定した定量分析を行なうことができる。
【0087】
請求項5記載の熱レンズ分析装置によれば、開口数NAと検出手段の規格化されたPD距離Loとの関係は、0.15<NA<0.60、2.8125<NA×Lo<5.625を満たすので、屈折率差とTLM出力との間の比例関係が確実に維持しつつ、TLM出力を大きくすることができ、より安定した定量分析を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る熱レンズ分析装置を示す図である。
【図2】図1のロッドレンズ10から照射された励起光の焦点位置周辺の励起ビーム伝播強度を示す図であり、(a)はz軸座標が0〜20μm、rが0〜2μmの範囲を示し、(b)はz軸座標が20〜40μm、rが0〜5μmの範囲を示し、(c)はz軸座標が40〜100μm、rが0〜20μmの範囲を示す。
【図3】図1の熱レンズ12の形状をSNS積層光学系で近似した図を示す。
【図4】図1の熱レンズ12が屈折率差dnが1.0×10−5であるときの屈折率分布を示す図であり、(a)はz軸座標が0〜20μm、rが0〜2μmの範囲を示し、(b)はz軸座標が20〜40μm、rが0〜5μmの範囲を示し、(c)はz軸座標が40〜100μm、rが0〜20μmの範囲を示す。
【図5】図1のPD距離Lを10mmとして開口半径radを変化させたときのTLM出力と色収差dfの関係を示すグラフであり、(a)は屈折率差dnが1.0×10−5の場合を示し、(b)は屈折率差dnが1.0×10−6の場合を示し、(c)は屈折率差dnが1.0×10−7の場合を示し、(d)は屈折率差dnが1.0×10−8の場合を示す。
【図6】図5のTLM出力間のTLM出力比と色収差dfの関係を示すグラフであり、(a)は屈折率差dnが1.0×10−5のTLM出力を1.0×10−6のときのTLM出力で割った場合を示し、(b)は屈折率差dnが1.0×10−6のTLM出力を1.0×10−7のときのTLM出力で割った場合を示し、(c)は屈折率差dnが1.0×10−7のTLM出力を1.0×10−8のときのTLM出力で割った場合を示す。
【図7】図1のPD距離Lを20mmとしたときの開口半径radとTLM出力の関係を示すグラフであり、(a)は色収差dfが0.03mmの場合を示し、(b)は色収差dfが0.04mmの場合を示す。
【図8】図1のPD距離Lと開口半径radの関係を示すグラフであり、(a)はPD距離Lが10mm、屈折率差dnが1.0×10−6の場合を示し、(b)はPD距離Lが10mm、屈折率差dnが1.0×10−7の場合を示し、(c)はPD距離Lが10mm、屈折率差dnが1.0×10−8の場合を示し、(d)はPD距離Lが20mm、屈折率差dnが1.0×10−6の場合を示し、(e)はPD距離Lが20mm、屈折率差dnが1.0×10−7の場合を示し、(f)はPD距離Lが20mm、屈折率差dnが1.0×10−8の場合を示す。
【図9】図1のロッドレンズ10で定性分析ができるロッドレンズ10の開口数NAと色収差dfの関係を示すグラフである。
【図10】図1のロッドレンズ10で安定した定量分析ができるロッドレンズ10の開口数NAと色収差dfの関係を示すグラフである。
【図11】図1のロッドレンズ10でより安定した定量分析ができるロッドレンズ10の開口数NAと規格化されたPD距離Loの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 熱レンズ分析装置
10 ロッドレンズ
11 PD
12 熱レンズ
3 SNS積層光学系
31,31’,32,32’ SNSレンズ

Claims (5)

  1. 内部に試料溶液を流す流路を有するマイクロ化学システム用チップと、前記試料溶液に熱レンズを生成するための励起光と前記熱レンズを検出するための検出光とをレンズを介して前記試料溶液に照射する光源と、前記試料溶液の熱レンズ分析を行なうべく前記検出光のTLM出力を検出する検出手段とを備える熱レンズ分析装置において、
    前記試料溶液のうち前記熱レンズが生成されている部分と生成されていない部分との屈折率差は、1.0×10−5〜1.0×10−10であることを特徴とする熱レンズ分析装置。
  2. 前記レンズの開口数NAと、前記励起光及び前記検出光の色収差df(mm)との関係は、
    0.15<NA<0.60
    0<NA×df<24×10−3
    を満たすことを特徴とする請求項1記載の熱レンズ分析装置。
  3. 前記屈折率差は1.0×10−6〜1.0×10−8であることを特徴とする請求項1又は2記載の熱レンズ分析装置。
  4. 前記開口数NAと前記色収差dfとの関係は、
    0.15<NA<0.60
    4.5×10−3<NA×df<9×10−3
    を満たすことを特徴とする請求項3記載の熱レンズ分析装置。
  5. 前記開口数NAと前記検出手段の規格化されたPD距離Loとの関係は、
    0.15<NA<0.60
    2.8125<NA×Lo<5.625
    を満たすことを特徴とする請求項3又は4記載の熱レンズ分析装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006123468A1 (ja) * 2005-05-20 2006-11-23 Nippon Sheet Glass Company, Limited マイクロ化学システム及びそのtlm出力算出方法

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