JP2004124815A - 車両用ベルト動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】動力発生と発電の機能を併有するスタータ・ジェネレータをベルト動力伝達装置を介してエンジンと接続し、エンジン始動後のエンジンからジェネレータへの順方向への動力で発電及び補機駆動し、スタータからエンジンへの反対方向への動力でエンジン始動し得るクラッチを含むベルト動力伝達装置を得る。
【解決手段】ベルト動力伝達装置は、エンジンE/Gとスタータ・ジェネレータISGの入出力軸上のクランクプーリ1、ジェネレータプーリ4、及び補機プーリ2、5を含む複数プーリ間をベルトで動力を伝達するベルト動力伝達手段10を備え、エンジン入出力軸上にクラッチ8と、ISG入出力軸上に双方向クラッチ9とを設け、双方向クラッチはエンジン始動時はスタータ動力をエンジンへ、エンジン始動後はエンジンからISGへ動力伝達するように連結、遮断するクラッチとして構成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】ベルト動力伝達装置は、エンジンE/Gとスタータ・ジェネレータISGの入出力軸上のクランクプーリ1、ジェネレータプーリ4、及び補機プーリ2、5を含む複数プーリ間をベルトで動力を伝達するベルト動力伝達手段10を備え、エンジン入出力軸上にクラッチ8と、ISG入出力軸上に双方向クラッチ9とを設け、双方向クラッチはエンジン始動時はスタータ動力をエンジンへ、エンジン始動後はエンジンからISGへ動力伝達するように連結、遮断するクラッチとして構成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、エンジン始動と発電の機能を併有するスタータ・ジェネレータとエンジンとの間で双方向に動力を伝達するベルト動力伝達装置及びこれに用いられる双方向クラッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンには始動のためのスタータ(モータ)と発電用のオルタネータ(発電機)とが独立に備えられ、スタータにより始動されたエンジン動力で走行中はオルタネータを駆動して発電を行なう方式が一般に採用されている。この方式では、エンジン始動後はスタータはエンジンから切り離され、エンジンの動力はベルト式動力伝達手段を介してオルタネータやカークーラのコンプレッサ、ウォータポンプ等の補機へ伝達される。ベルト式動力伝達手段は、通常内燃エンジンのクランクシャフトに連結された駆動プーリと、各補機の入力軸に接続される被駆動プーリと、各プーリ間にエンドレス状に掛け回されるリブ付きベルトを備えている。
【0003】
このような始動、補機駆動方式のエンジンでは、走行中のエンジンの急減速時、あるいは通常走行中のエンジンの高周波トルク変動に起因してエンジンとオルタネータ間に回転速度差が生じる場合があり、これにより生じるベルト動力伝達手段のベルトの摩耗、短寿命化を防止する対策が必要とされる。その一例として、オルタネータの被駆動プーリに一方向クラッチを内蔵したプーリを用いた「エンジン用補機のベルト伝達装置」が特公平7−72585号公報により開示されている。
【0004】
オルタネータ内部の慣性は、他の補機より大きく、オルタネータの入力軸が高速回転している状態でエンジンが急減速すると回転速度差が生じ、プーリとベルト間にスリップが生じる。又、エンジンの高周波トルク変動に起因するベルトの変動荷重は、主要負荷であるオルタネータの慣性によって増幅されているが、このような変動荷重によっても回転速度差が生じる。従って、このような場合に一方向クラッチによりオルタネータの入力軸とプーリが空転できるため、回転速度が吸収され、変動荷重も半減されてベルト寿命を延ばすことができる。
【0005】
一方、上記のようなエンジンに対する作動と補機駆動の機構を有する従来の方式に対し、最近スタータとオルタネータを、小型化、高機能化のため、一体化させたスタータ・ジェネレータ(Integrated Starter Ganerator、以下ISGと略称する)が開発され、注目されている。このISGは、車両が一旦停止時にエンジンを停止させるアイドルストップシステムを実現するなどの高機能化部品として開発されたものである。
【0006】
ISGは、モータとしての機能と発電機としての機能を併有し、従来のオルタネータの位置に設けられ、ISGプーリはクランクプーリに対しベルト伝達手段を介して接続される。このISGを用いたシステムでは、エンジン停止時でもエアコン等が使えるようにするため、エンジン停止時はクランク軸とクランクプーリの連結を電磁クラッチにより遮断し、オルタネータをモータとしてベルト動力伝達手段を介し他の補機が駆動される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記ISGが接続されるベルト動力伝達手段では、従来技術と同様に、ベルト長寿命化のためにはオルタネータのプーリに一方向クラッチを内蔵する必要があるが、一方向クラッチの特性としてエンジン動力をオルタネータへ伝達する方向では一方向クラッチが駆動(on)となり、反対にオルタネータからベルトを介してエンジンへ向う方向では一方向クラッチは空転(off)し、ベルトを駆動することができない。即ち、ISGを用いたシステムに従来の一方向クラッチを適用すると、オルタネータをモータとして他の補機を駆動することができない。
【0008】
従って、従来の一方向クラッチ内蔵型のプーリを用いたベルト動力伝達手段はISGシステムと両立できないという問題がある。そして、このようなISGシステムに適合するベルト動力伝達手段は未だ提案されたことがない。又、ISGではオルタネータの慣性はその特性上従来のオルタネータよりさらに大きいため、オルタネータのプーリを固定型としベルトと一体化すると、ベルトの寿命が増々短くなってしまう。
【0009】
この発明は上記の問題に留意して、動力発生と発電の機能を併有するスタータ・ジェネレータをベルト動力伝達装置を介してエンジンと接続し、エンジン始動後のエンジンからジェネレータへの順方向への動力で発電及び補機駆動し、スタータからエンジンへの反対方向への動力でエンジン始動し得るクラッチを含むベルト動力伝達装置を提供することを第1の課題とする。
【0010】
この発明は、上記第1の課題を解決する手段で使用し得る動力の伝達方向をエンジン始動時と始動後に切替えのできる双方向クラッチを提供することを第2の課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決する手段として、エンジンの入出力軸に連結されるクランクプーリと、動力発生と発電の機能を併有するスタータ・ジェネレータの入出力軸に連結されるジェネレータプーリと、その他の補機の入力軸に連結される補機プーリとを含む複数のプーリ間にベルトを掛け回して動力を伝達するベルト動力伝達手段を構成し、エンジン入出力軸とクランクプーリとの間に動力の連結と遮断をするクラッチを設け、スタータ・ジェネレータの出力軸とジェネレータプーリとの間に双方向への動力の連結と遮断をする双方向クラッチを設け、この双方向クラッチはエンジン始動時にはスタータ・ジェネレータの動力をエンジンへ伝達して始動させ、エンジン始動後はエンジンから動力をモータ・ジェネレータへ伝達するように構成した車両用ベルト動力伝達装置としたのである。
【0012】
又、第2の課題を解決する手段として、内輪と外輪との間に外輪から内輪への順方向の動力を伝達するよう連結、遮断する一方向クラッチと、内輪から外輪への反対方向の動力を伝達するよう連結、遮断する一方向クラッチとを組合わせて設け、順方向の一方向クラッチを介して順方向の動力を伝達する際には反対方向の一方向クラッチの連結が遮断され、反対方向の一方向クラッチを介して反対方向の動力を伝達する際には順方向のクラッチが遮断されるように構成した双方向クラッチとしたのである。
【0013】
上記構成とした第1の発明の車両用動力伝達装置によれば、エンジン始動時と始動後に動力の伝達方向を切替えてスムーズに伝達できる。スタータ・ジェネレータは、エンジン始動時にはモータとして、始動後はエンジンの駆動力で発電機として作用する。このスタータ・ジェネレータの入出力軸上に双方向クラッチを設け、この双方向クラッチはクラッチとしての作用がエンジン始動後の順方向と始動時の反対方向とはそれぞれ切替えが内部で自動的に行なわれる。
【0014】
第2の発明の双方向クラッチは、順方向の一方向クラッチと反対方向の一方向クラッチの組合せから成り、第1の発明の動力伝達装置に使用され、エンジンとスタータ・ジェネレータを連結するように設けられる。このためエンジン始動時には順方向の一方向クラッチは空転し、反対方向のクラッチが連結されてスタータの動力がエンジンへ伝達されてエンジンが始動する。エンジン始動後は回転速度が所定回転速度以上になると反対方向の一方向クラッチが遮断され、順方向のクラッチが作動し、エンジン動力が動力伝達装置を介してジェネレータ及び補機へ伝達される。
【0015】
【実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、実施形態の動力伝達装置と、これをエンジンに連結した車両の要部を模式図的に示す概略構成図である。図1の(a)図に示すように、ベルト動力伝達装置10は、エンジンE/Gのクランク軸を入出力軸とする軸に連結されるクランクプーリ1、カークーラのコンプレッサの軸に連結される補機プーリ2、アイドラプーリ3、スタータ・ジェネレータISGの入出力軸に連結されるジェネレータプーリ4、ウォータポンプの軸に連結される補機プーリ5、テンションプーリ6を含む複数のプーリ間にエンドレス状に掛け回されたリブ付きベルト7から成る動力伝達手段と、エンジンE/Gとクランクプーリ1を連結する入出力軸上に設けたクラッチ8と、ISGとジェネレータプーリ4の間でジェネレータプーリ4内に組込まれた双方向クラッチ9とを備えている。
【0016】
スタータ・ジェネレータISGは、前述したように、エンジンの始動時、又はエンジン停止時の補機駆動時の動力発生とオルタネータとしての発電機能とを併有し、スタータモータとオルタネータを一体化したものであり、Integrated Starter Ganeratorを略称してISGと呼んでいる。ISGによりエンジンE/Gを始動するときは、制御部20からの制御信号によりバッテリBからの電力をインバータInを介して交流電力としてISGへ供給してモータとしての動力を発生させ、その動力を走行時とは反対方向にクラッチ9、動力伝達手段、クラッチ8を介してエンジンE/Gへ送り始動させる。エンジンE/G始動後は、エンジンの動力が上記と反対の順方向に送られ、この動力でISGが駆動されて発電され、発電された電力はインバータInを介して一部はバッテリBへ戻され、他は各種の電気機器へ供給される。
【0017】
エンジンE/Gの入出力軸上に設けられるクラッチ8は、電磁クラッチが用いられている。この電磁クラッチは、後で説明するように、エンジンが走行中にアイドルストップとされた時、その停止中でもISGからの動力により他の補機を駆動するため、エンジンE/Gの出力軸を遮断するのに必要とされるものである。又ジェネレータプーリ4内に組込まれた双方向クラッチ9は、エンジンE/GTの始動時にはISGをスタータとする始動力を動力伝達手段を介してエンジンE/Gへ送り、エンジンE/Gを始動する方向に連結をする。なお、双方向クラッチ9はジェネレータプーリ4と別にISGの入出力軸上に設けてもよい。
【0018】
又、始動後所定のアイドル回転速度以上ではエンジンE/Gへ向う反対方向の動力を遮断し、反対にエンジンE/GからISGへ向う駆動力をISGへ入力する順方向に連結され、このため双方向に動力を伝達する機能を有する。但し、走行中のエンジン急減速時、あるいはエンジンの高周波トルクの変動による回転速度差が生じたときも、ISGからエンジンE/Gへ向かう動力は遮断されるように機能するクラッチである。この双方向クラッチ9をプーリに組込んだ例の概略構成を図2A、図2Bに示す。図示の4つの例のいずれを用いてもよい。
【0019】
図2Aの(a)図は、ジェネレータプーリ4の内輪4aと外輪4bの周面間に設けられる一方向クラッチ9aと、内輪4a内の軸と外輪内端面間に設けられる反対方向のクラッチ9bとから成る双方向クラッチ9の概略構成を示す。クラッチ9aは、周面間に内輪4aの全周に亘って設けられる複数組のエンゲージタイプのスプラグによって構成され、軸Axに連結されるISGの始動力の回転では内輪4aを外輪4bに対し空転させ、エンジンE/Gからの動力は外輪4bから内輪4aに位置するようにスプラグが作用する。
【0020】
クラッチ9bは、内輪4aのドグ軸9xを内輪4aの端面に形成された挿入孔にスライド自在に挿入するように設けたドグ機構9b1 により内輪4aの回転で軸端のクラッチ板9b2 を外輪内の密閉空間9b4 の内端面に押圧係合させて外輪4bとの連結をするように構成されている。押圧係合時にはクラッチ板9b2 により高粘性流体の作動油9b3 を掻き上げて端面との間に介在させ、作動油9b3 を介して内輪4aの回転が外輪へ伝達される。ドグ機構9b1 は、ドグ軸9xの軸と軸の端を凹凸状に嵌合する形状のものであり、内輪4aが回転していないときはばね9b8 で左へ押圧され互いに嵌合しているが、内輪4aが回転すると嵌合部の斜面で軸の右側を外輪内端面へ押し出すようになっている。
【0021】
従って、軸AxがISGからエンジンE/Gへ始動力を伝達する方向に回転されると、その回転動力は内輪4aから外輪4bの内端面を介して外輪へ伝達されるが、エンジン始動後所定以上の回転速度のエンジン駆動力で外輪4bが回転され始めると、外輪4bの回転速度の方が速くなるため、内輪4aからドグ機構9b1 を介してクラッチ板9b2 を端面に押付ける力が解除され、ばねでクラッチ板9b2 は元の位置へ戻されると共に介在していた作動油も遠心力により密閉空間9b4 の外周へ移動してクラッチ板9b2 の端面との係合が解除される。このため、クラッチ9bは遮断され、9bを介してエンジンE/Gからの回転力が軸Axへ伝達されることなく、このときは前述したクラッチ9aによりISGを回転駆動し、一方向クラッチの状態になる。
【0022】
なお、ISGは車両の走行中の一旦停止時にアイドルストップを実現することを目的とするものであり、この時は制御部20からの指令でエンジンE/Gは一旦停止される。しかし、この間もエアコン等の補機は駆動する必要があり、従ってこの場合はエンジンE/Gを停止させると同時に電磁クラッチ8を遮断してクランクプーリ1をエンジンE/Gの入出力軸から切離す。そして、ISGの作動を発電から回転力の発生となるようISGとインバータInへ制御信号を送って切替え、バッテリBからの電力でベルト動力伝達装置10を回転させ、補機を駆動する。この場合、双方向クラッチ9は、再び反対方向のクラッチ9bが連結されてISGの動力がベルト伝達装置10へ伝達される。
【0023】
図2Aの(b)図の双方向クラッチ9は、基本構成については一方向クラッチ9aと反対方向へのクラッチ9bを有する(a)図のものと同じ双方向クラッチ9であるが、特にクラッチ9bの構成部分が若干異なっている。一方向へのクラッチ9aについては、(a)図と全く同じであるから(a)図の説明を援用し、反対方向へのクラッチ9bについて説明する。クラッチ9bは、ピストン9b5 の遠心力を利用する形式のものであり、内輪4aの突軸9bxが外輪4bに形成されている挿入孔に嵌合する、その突軸外周面にラチェット溝9b6 を複数箇所(例えば4箇所)設け、これに対応して外輪4bの半径方向に挿入孔内周面に向って設けた複数箇所のピストン挿入孔内にそれぞれピストン9b5 とこれを突軸の外周面に向けて押出す方向に弾性力を付与するばね9b7 を設けて成る。
【0024】
クラッチ9bの作用については、(a)図の場合と基本的な作用は同じであるから、(a)図の説明を援用するが、特にピストン9b5 の作用については以下に若干の説明をする。ピストン9b5 は、エンジンが停止時や始動時にはその内周端がラチェット溝9b6 に係合しており、このため内輪4aは外輪4bと連結された状態であるから内輪4aと共に外輪4bが回転する。内輪4aが回転を始めて速度が上昇するにつれて、ピストン9b5 は遠心力により次第に半径方向の外方へ向って押され、ばね9b7 の弾性力に逆らってばね9b7 を縮めてピストン挿入孔内で外方へ移動する。
【0025】
エンジンE/Gが始動され、内輪4aの回転が所定以上になるとピストン9b5 への遠心力が大きくなり、逆にラチェット溝9b6 への係合が外れることとなる。そして、所定以上の回転速度ではエンジンE/Gからの駆動力が一方向のクラッチ9aを介して外輪4bから内輪4aへ伝達されることは(a)図の場合と同様である。
【0026】
図2Bの(c)図に示す双方向クラッチ9は、図2Aの(b)図のものの一部変形例である。従って、共通な部材の説明は(b)図の説明を援用する。この双方向クラッチ9は、ピストン9b5 の遠心力を利用する形式では図2Aの(b)図と同じであり、同一構成部材には同一符号を付してある。この例では、スライド軸9xが内輪4a内側の収納凹部内に設けられ、このスライド軸9xの左端に図2Aの(a)図の例と同じくドグ機構9b1 を設け、スライド軸9xの右の突出端9bxと外輪4bの内側の密閉空間の端面との間にばね9b8 が設けられている点が異なっている。
【0027】
この例では軸Axからの始動力でスライド軸9xがドグ機構9b1 を介して右へ押されてピストン9b5 がラチェット溝9b6 に係合し、所定以上の回転速度では遠心力により係合が遮断されるとスライド軸9xはばねb8 で押し戻されて完全に係合しなくなる。従って、基本作用は図2Aの(b)図のものと同じであるが、より一層確実な作用が得られる。
【0028】
図2Bの(d)図の双方向クラッチ9は、一方向クラッチ9aと同じく内輪4aと外輪4bとの境界円周上の保持部材内に他方向のクラッチ9a’を所定間隔で設けたものである。一方向のクラッチ9aは、図2Aの(a)図のものと同じくエンゲージタイプのスプラグ9a1 の複数組を所定間隔で円周上に配設されて形成されている。そして、他方向のクラッチ9a’はディスエンゲージタイプのスプラグ9a1 ’の複数組(但し図示の例ではスプラグ9a1 ’のピッチは9a1 の3つに対し1つの割合で配設)を同一円周上に配設して形成されている。
【0029】
この例では、軸Axからの回転を内輪4aから外輪4bへ伝達する方向には他方向のクラッチ9a’が作用して伝達されるが、エンジン始動後所定回転速度以上となり外輪4bが内輪4aより速く回転するようになるとエンジンE/Gの駆動力は一方向クラッチ9aを介して外輪9bから内輪4aへ伝達されることについては上記他の例と同じである。但し、上記(a)〜(c)図の3つの例がクラッチ9a、9bの回転速度が所定以上となると自動的に他方向のクラッチ9bから一方向のクラッチ9aに切替えられるのに対し、(d)図の例ではクラッチ9a、9a’の回転速度が所定以上になると自動的にディスエンゲージタイプのスプラグ9a1 ’が遠心力により非接触となり、9aのみの一方向クラッチ状態になるため、コンパクトになる点で相違する。
【0030】
図3は上記4つの形式の双方向クラッチ9のいずれかを備えた動力伝達装置10によるエンジンE/GとISGの回転数の変化の状態を示す。図から分るように、ISGをスタータ(モータ)としてスタート点で起動させて回転が始まると、所定の回転速度のp点まではISGとエンジンE/Gは同一直線状に回転速度が上昇するが、p点を過ぎた後エンジンE/Gが始動して自発動力で回転を開始すると、エンジンE/Gは自身の高周波変動トルクが生じ、回転速度が高周波域でサインカーブ状に変動する。
【0031】
このため、エンジンE/Gの回転速度は増速と減速を周期的に繰り返すが、エンジンE/Gが減速している間であっても、ISGはオルタネータとして高い慣性力で回転しているため、回転速度の減少は小さくエンジンE/Gの減速による影響を受けずに回転していることが分る。これは、所定以上の回転速度ではエンジンE/Gの回転は増速時には一方向クラッチ9aを介してISGへ伝達されてISGも同一速度で回転するが、エンジンE/Gの減速時には他方向のクラッチ9bが遮断され、かつ一方向クラッチ9aもISGの回転速度の方が大きいため相対速度差に基づいて反対方向への回転の伝達が遮断され(即ち一方向クラッチ9aが空転され)るからである。
【0032】
これに対し、(b)図の比較例で示すように、従来のスタータ(モータ)とオルタネータをそれぞれ独立に設けエンジンからベルト伝達装置にリジットタイプのプーリを含んでオルタネータへ動力を伝達するように構成した場合は、ISGとエンジンE/Gの回転数はp’点以上でも常に同じ速度で回転することとなる。これは、スタータ(モータ)によりエンジンE/Gを始動して所定以上の回転数となった後もリジットタイプのプーリを介してオルタネータを回転駆動するため、オルタネータはエンジンE/Gに同期して回転され、エンジンE/Gの高周波トルク変動の影響を受けてオルタネータの回転速度も高周波変動して変化するからである。しかし、このような回転速度の変化を伴って運転を続けると、オルタネータの慣性でプーリ上でベルトとの間にスリップが生じ、ベルトが早期摩耗することについては前述した通りである。
【0033】
図4〜図14に前述した双方向クラッチ9の4つのタイプについて、それぞれの詳細図を示す。図4〜図7の双方向クラッチ9は図2Aの(a)図の例、図8、図9は図2(a)の(b)図の例、図10〜図11は図2Bの(c)図の例、図12〜図14は図2Bの(d)図の例に対応する。
【0034】
図4、図5は双方向クラッチ9の他方向のクラッチ9bについて示し、図6は一方向クラッチ9aについて示している。図6では、一方向クラッチ9aの縦断面を示しており、クラッチ保持部材内に所定間隔に設けられた保持器9a2 内にばね9a3 で押圧されたエンゲージタイプのスプラグ9a1 が挿置されて形成されていることを示している。図5に示すように、エンジン停止時に密閉空間9b4 内の下底部に貯留された粘性流体の作動油9b3 は、図7の(a)図に示すように、スタータ(モータ)としてのISGが回転を始めると、クラッチ板9b2 と内端面との間に介在し、(b)図、(c)図に示すように、回転が所定速度以上では外周部へ移動し、エンジン始動後エンジン動力で外輪4bが回転を始めると、クラッチ板9b2 が端面から離れ一方向クラッチ9bが遮断されることが分る。
【0035】
図8は図2Aの(b)図の双方向クラッチ9の拡大断面図であり、図9に示すように、ピストン9b5 、ばね9b7 は90°間隔で十字状に4組設けられていることが分る。又、図9の(a)図ではピストン9b5 はラチェット溝9b6 に係合し、(b)図では遠心力によりピストン9b5 がラチェット溝9b6 から係合が外れた状態を示している。
【0036】
図10、図11は図2Bの(c)図の他方向のクラッチ9bに対応し、図10の(b)図に示すように、ピストン9b5 、ばね9b7 は、図8、図9の例と同様に4組設けられている。又、図10の(a)図にドグ機構9b1 、ばね9b8 が設けられていることを示している。図11の(a)図は遠心力でピストン9b5 がラチェット溝9b6 から殆ど離れた状態を示し、(b)図は完全に離れた状態を示す。
【0037】
図12〜図14は、図2B(d)図の他方向のクラッチ9bに対応し、図13に示すように、一方向クラッチ9aではエンゲージタイプのスプラグ9a1 が均等なピッチで、又他方向のクラッチ9a’は3つのスプラグ9a1 を置いてディスエンゲージタイプのスプラグ9a1 ’が1つずつ設けられていることを示している。図14の(a)図に示すように、内輪4aの矢印faの方向の回転は他方向のクラッチ9a’のスプラグ9a1 ’により外輪4bへ伝達され、(b)図に示すように外輪4bからの矢印fbの方向の回転はスプラグ9a1 により内輪4aへ伝達される。
【0038】
なお、上記実施形態ではISGとエンジンとを双方向クラッチ9で連結する場合について説明したが、双方向クラッチ9は上記実施形態に限定されず、動力の方向が運転の途中で順方向と反対方向に切替えられるような場合にも広く適用できることは言うまでもない。
【0039】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、第1の発明の車両用ベルト動力伝達装置はエンジンとスタータ・ジェネレータ、補機とをそれぞれのプーリ間に掛け回されたベルトを介して連結し、エンジン入出力とクランクプーリ間にクラッチ、スタータ・ジェネレータの軸上に双方向クラッチを設け、双方向クラッチはエンジン始動後の順方向と始動時の反対方向にクラッチとしての作用が内部で自動的に切替わるようにしたから、エンジンをスタートさせた後エンジンの駆動力でジェネレータと補機を駆動することができ、エンジンの高周波トルク変動のジェネレータへの伝達を緩和するためベルトの寿命を保持することができるという顕著な効果を奏する。
【0040】
又、車両走行中スタータ・ジェネレータによって減速する方向は双方向クラッチでは駆動方向であるから、ブレーキ回生も可能であり、燃費の改善ができる。又、ベルト寿命を保持できるためベルト幅を短縮し、エンジンをコンパクトにできるという種々の効果も得られる。
【0041】
第2の発明の双方向クラッチは、第1の発明のベルト動力伝達装置と共に使用されるエンジンにより第1の発明の効果を確実に付与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の動力伝達装置の(a)全体概略構成図、(b)制御系を含む全体概略係合図
【図2A】同上装置の双方向クラッチの(a)第1例の主要断面図、(b)第2例の主要断面図
【図2B】同上装置の双方向クラッチの(c)第3例の主要断面図、(d)第4例の主要断面図
【図3】同上装置を用いた(a)ISGとエンジンの回転速度の変化曲線を示す図、(b)従来例のオルタネータとエンジンの回転速度の変化曲線を示す図
【図4】双方向クラッチの第1例の主要部材の斜視図
【図5】双方向クラッチの第1例の主要断面図
【図6】図5の矢視VI−VIから見た部分断面図
【図7】同上のクラッチの作用の説明図
【図8】双方向クラッチの第2例の主要断面図
【図9】図8の矢視IX−IXから見た部分断面図
【図10】双方向クラッチの第3例の(a)主要断面図、(b)B−Bから見た部分断面図
【図11】同上のクラッチの作用の説明図
【図12】双方向クラッチの第4例の主要断面図
【図13】同上のクラッチの縦断面図
【図14】図13の部分拡大図
【符号の説明】
1 クランクプーリ
2 補機プーリ
4 ジェネレータプーリ
4a 内輪
4b 外輪
6 テンションプーリ
7 リブ付きベルト
8 クラッチ
9 双方向クラッチ
9a 順方向の一方向クラッチ
9b 反対方向の一方向クラッチ
10 ベルト動力伝達装置
20 制御部
【発明の属する技術分野】
この発明は、エンジン始動と発電の機能を併有するスタータ・ジェネレータとエンジンとの間で双方向に動力を伝達するベルト動力伝達装置及びこれに用いられる双方向クラッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンには始動のためのスタータ(モータ)と発電用のオルタネータ(発電機)とが独立に備えられ、スタータにより始動されたエンジン動力で走行中はオルタネータを駆動して発電を行なう方式が一般に採用されている。この方式では、エンジン始動後はスタータはエンジンから切り離され、エンジンの動力はベルト式動力伝達手段を介してオルタネータやカークーラのコンプレッサ、ウォータポンプ等の補機へ伝達される。ベルト式動力伝達手段は、通常内燃エンジンのクランクシャフトに連結された駆動プーリと、各補機の入力軸に接続される被駆動プーリと、各プーリ間にエンドレス状に掛け回されるリブ付きベルトを備えている。
【0003】
このような始動、補機駆動方式のエンジンでは、走行中のエンジンの急減速時、あるいは通常走行中のエンジンの高周波トルク変動に起因してエンジンとオルタネータ間に回転速度差が生じる場合があり、これにより生じるベルト動力伝達手段のベルトの摩耗、短寿命化を防止する対策が必要とされる。その一例として、オルタネータの被駆動プーリに一方向クラッチを内蔵したプーリを用いた「エンジン用補機のベルト伝達装置」が特公平7−72585号公報により開示されている。
【0004】
オルタネータ内部の慣性は、他の補機より大きく、オルタネータの入力軸が高速回転している状態でエンジンが急減速すると回転速度差が生じ、プーリとベルト間にスリップが生じる。又、エンジンの高周波トルク変動に起因するベルトの変動荷重は、主要負荷であるオルタネータの慣性によって増幅されているが、このような変動荷重によっても回転速度差が生じる。従って、このような場合に一方向クラッチによりオルタネータの入力軸とプーリが空転できるため、回転速度が吸収され、変動荷重も半減されてベルト寿命を延ばすことができる。
【0005】
一方、上記のようなエンジンに対する作動と補機駆動の機構を有する従来の方式に対し、最近スタータとオルタネータを、小型化、高機能化のため、一体化させたスタータ・ジェネレータ(Integrated Starter Ganerator、以下ISGと略称する)が開発され、注目されている。このISGは、車両が一旦停止時にエンジンを停止させるアイドルストップシステムを実現するなどの高機能化部品として開発されたものである。
【0006】
ISGは、モータとしての機能と発電機としての機能を併有し、従来のオルタネータの位置に設けられ、ISGプーリはクランクプーリに対しベルト伝達手段を介して接続される。このISGを用いたシステムでは、エンジン停止時でもエアコン等が使えるようにするため、エンジン停止時はクランク軸とクランクプーリの連結を電磁クラッチにより遮断し、オルタネータをモータとしてベルト動力伝達手段を介し他の補機が駆動される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記ISGが接続されるベルト動力伝達手段では、従来技術と同様に、ベルト長寿命化のためにはオルタネータのプーリに一方向クラッチを内蔵する必要があるが、一方向クラッチの特性としてエンジン動力をオルタネータへ伝達する方向では一方向クラッチが駆動(on)となり、反対にオルタネータからベルトを介してエンジンへ向う方向では一方向クラッチは空転(off)し、ベルトを駆動することができない。即ち、ISGを用いたシステムに従来の一方向クラッチを適用すると、オルタネータをモータとして他の補機を駆動することができない。
【0008】
従って、従来の一方向クラッチ内蔵型のプーリを用いたベルト動力伝達手段はISGシステムと両立できないという問題がある。そして、このようなISGシステムに適合するベルト動力伝達手段は未だ提案されたことがない。又、ISGではオルタネータの慣性はその特性上従来のオルタネータよりさらに大きいため、オルタネータのプーリを固定型としベルトと一体化すると、ベルトの寿命が増々短くなってしまう。
【0009】
この発明は上記の問題に留意して、動力発生と発電の機能を併有するスタータ・ジェネレータをベルト動力伝達装置を介してエンジンと接続し、エンジン始動後のエンジンからジェネレータへの順方向への動力で発電及び補機駆動し、スタータからエンジンへの反対方向への動力でエンジン始動し得るクラッチを含むベルト動力伝達装置を提供することを第1の課題とする。
【0010】
この発明は、上記第1の課題を解決する手段で使用し得る動力の伝達方向をエンジン始動時と始動後に切替えのできる双方向クラッチを提供することを第2の課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決する手段として、エンジンの入出力軸に連結されるクランクプーリと、動力発生と発電の機能を併有するスタータ・ジェネレータの入出力軸に連結されるジェネレータプーリと、その他の補機の入力軸に連結される補機プーリとを含む複数のプーリ間にベルトを掛け回して動力を伝達するベルト動力伝達手段を構成し、エンジン入出力軸とクランクプーリとの間に動力の連結と遮断をするクラッチを設け、スタータ・ジェネレータの出力軸とジェネレータプーリとの間に双方向への動力の連結と遮断をする双方向クラッチを設け、この双方向クラッチはエンジン始動時にはスタータ・ジェネレータの動力をエンジンへ伝達して始動させ、エンジン始動後はエンジンから動力をモータ・ジェネレータへ伝達するように構成した車両用ベルト動力伝達装置としたのである。
【0012】
又、第2の課題を解決する手段として、内輪と外輪との間に外輪から内輪への順方向の動力を伝達するよう連結、遮断する一方向クラッチと、内輪から外輪への反対方向の動力を伝達するよう連結、遮断する一方向クラッチとを組合わせて設け、順方向の一方向クラッチを介して順方向の動力を伝達する際には反対方向の一方向クラッチの連結が遮断され、反対方向の一方向クラッチを介して反対方向の動力を伝達する際には順方向のクラッチが遮断されるように構成した双方向クラッチとしたのである。
【0013】
上記構成とした第1の発明の車両用動力伝達装置によれば、エンジン始動時と始動後に動力の伝達方向を切替えてスムーズに伝達できる。スタータ・ジェネレータは、エンジン始動時にはモータとして、始動後はエンジンの駆動力で発電機として作用する。このスタータ・ジェネレータの入出力軸上に双方向クラッチを設け、この双方向クラッチはクラッチとしての作用がエンジン始動後の順方向と始動時の反対方向とはそれぞれ切替えが内部で自動的に行なわれる。
【0014】
第2の発明の双方向クラッチは、順方向の一方向クラッチと反対方向の一方向クラッチの組合せから成り、第1の発明の動力伝達装置に使用され、エンジンとスタータ・ジェネレータを連結するように設けられる。このためエンジン始動時には順方向の一方向クラッチは空転し、反対方向のクラッチが連結されてスタータの動力がエンジンへ伝達されてエンジンが始動する。エンジン始動後は回転速度が所定回転速度以上になると反対方向の一方向クラッチが遮断され、順方向のクラッチが作動し、エンジン動力が動力伝達装置を介してジェネレータ及び補機へ伝達される。
【0015】
【実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、実施形態の動力伝達装置と、これをエンジンに連結した車両の要部を模式図的に示す概略構成図である。図1の(a)図に示すように、ベルト動力伝達装置10は、エンジンE/Gのクランク軸を入出力軸とする軸に連結されるクランクプーリ1、カークーラのコンプレッサの軸に連結される補機プーリ2、アイドラプーリ3、スタータ・ジェネレータISGの入出力軸に連結されるジェネレータプーリ4、ウォータポンプの軸に連結される補機プーリ5、テンションプーリ6を含む複数のプーリ間にエンドレス状に掛け回されたリブ付きベルト7から成る動力伝達手段と、エンジンE/Gとクランクプーリ1を連結する入出力軸上に設けたクラッチ8と、ISGとジェネレータプーリ4の間でジェネレータプーリ4内に組込まれた双方向クラッチ9とを備えている。
【0016】
スタータ・ジェネレータISGは、前述したように、エンジンの始動時、又はエンジン停止時の補機駆動時の動力発生とオルタネータとしての発電機能とを併有し、スタータモータとオルタネータを一体化したものであり、Integrated Starter Ganeratorを略称してISGと呼んでいる。ISGによりエンジンE/Gを始動するときは、制御部20からの制御信号によりバッテリBからの電力をインバータInを介して交流電力としてISGへ供給してモータとしての動力を発生させ、その動力を走行時とは反対方向にクラッチ9、動力伝達手段、クラッチ8を介してエンジンE/Gへ送り始動させる。エンジンE/G始動後は、エンジンの動力が上記と反対の順方向に送られ、この動力でISGが駆動されて発電され、発電された電力はインバータInを介して一部はバッテリBへ戻され、他は各種の電気機器へ供給される。
【0017】
エンジンE/Gの入出力軸上に設けられるクラッチ8は、電磁クラッチが用いられている。この電磁クラッチは、後で説明するように、エンジンが走行中にアイドルストップとされた時、その停止中でもISGからの動力により他の補機を駆動するため、エンジンE/Gの出力軸を遮断するのに必要とされるものである。又ジェネレータプーリ4内に組込まれた双方向クラッチ9は、エンジンE/GTの始動時にはISGをスタータとする始動力を動力伝達手段を介してエンジンE/Gへ送り、エンジンE/Gを始動する方向に連結をする。なお、双方向クラッチ9はジェネレータプーリ4と別にISGの入出力軸上に設けてもよい。
【0018】
又、始動後所定のアイドル回転速度以上ではエンジンE/Gへ向う反対方向の動力を遮断し、反対にエンジンE/GからISGへ向う駆動力をISGへ入力する順方向に連結され、このため双方向に動力を伝達する機能を有する。但し、走行中のエンジン急減速時、あるいはエンジンの高周波トルクの変動による回転速度差が生じたときも、ISGからエンジンE/Gへ向かう動力は遮断されるように機能するクラッチである。この双方向クラッチ9をプーリに組込んだ例の概略構成を図2A、図2Bに示す。図示の4つの例のいずれを用いてもよい。
【0019】
図2Aの(a)図は、ジェネレータプーリ4の内輪4aと外輪4bの周面間に設けられる一方向クラッチ9aと、内輪4a内の軸と外輪内端面間に設けられる反対方向のクラッチ9bとから成る双方向クラッチ9の概略構成を示す。クラッチ9aは、周面間に内輪4aの全周に亘って設けられる複数組のエンゲージタイプのスプラグによって構成され、軸Axに連結されるISGの始動力の回転では内輪4aを外輪4bに対し空転させ、エンジンE/Gからの動力は外輪4bから内輪4aに位置するようにスプラグが作用する。
【0020】
クラッチ9bは、内輪4aのドグ軸9xを内輪4aの端面に形成された挿入孔にスライド自在に挿入するように設けたドグ機構9b1 により内輪4aの回転で軸端のクラッチ板9b2 を外輪内の密閉空間9b4 の内端面に押圧係合させて外輪4bとの連結をするように構成されている。押圧係合時にはクラッチ板9b2 により高粘性流体の作動油9b3 を掻き上げて端面との間に介在させ、作動油9b3 を介して内輪4aの回転が外輪へ伝達される。ドグ機構9b1 は、ドグ軸9xの軸と軸の端を凹凸状に嵌合する形状のものであり、内輪4aが回転していないときはばね9b8 で左へ押圧され互いに嵌合しているが、内輪4aが回転すると嵌合部の斜面で軸の右側を外輪内端面へ押し出すようになっている。
【0021】
従って、軸AxがISGからエンジンE/Gへ始動力を伝達する方向に回転されると、その回転動力は内輪4aから外輪4bの内端面を介して外輪へ伝達されるが、エンジン始動後所定以上の回転速度のエンジン駆動力で外輪4bが回転され始めると、外輪4bの回転速度の方が速くなるため、内輪4aからドグ機構9b1 を介してクラッチ板9b2 を端面に押付ける力が解除され、ばねでクラッチ板9b2 は元の位置へ戻されると共に介在していた作動油も遠心力により密閉空間9b4 の外周へ移動してクラッチ板9b2 の端面との係合が解除される。このため、クラッチ9bは遮断され、9bを介してエンジンE/Gからの回転力が軸Axへ伝達されることなく、このときは前述したクラッチ9aによりISGを回転駆動し、一方向クラッチの状態になる。
【0022】
なお、ISGは車両の走行中の一旦停止時にアイドルストップを実現することを目的とするものであり、この時は制御部20からの指令でエンジンE/Gは一旦停止される。しかし、この間もエアコン等の補機は駆動する必要があり、従ってこの場合はエンジンE/Gを停止させると同時に電磁クラッチ8を遮断してクランクプーリ1をエンジンE/Gの入出力軸から切離す。そして、ISGの作動を発電から回転力の発生となるようISGとインバータInへ制御信号を送って切替え、バッテリBからの電力でベルト動力伝達装置10を回転させ、補機を駆動する。この場合、双方向クラッチ9は、再び反対方向のクラッチ9bが連結されてISGの動力がベルト伝達装置10へ伝達される。
【0023】
図2Aの(b)図の双方向クラッチ9は、基本構成については一方向クラッチ9aと反対方向へのクラッチ9bを有する(a)図のものと同じ双方向クラッチ9であるが、特にクラッチ9bの構成部分が若干異なっている。一方向へのクラッチ9aについては、(a)図と全く同じであるから(a)図の説明を援用し、反対方向へのクラッチ9bについて説明する。クラッチ9bは、ピストン9b5 の遠心力を利用する形式のものであり、内輪4aの突軸9bxが外輪4bに形成されている挿入孔に嵌合する、その突軸外周面にラチェット溝9b6 を複数箇所(例えば4箇所)設け、これに対応して外輪4bの半径方向に挿入孔内周面に向って設けた複数箇所のピストン挿入孔内にそれぞれピストン9b5 とこれを突軸の外周面に向けて押出す方向に弾性力を付与するばね9b7 を設けて成る。
【0024】
クラッチ9bの作用については、(a)図の場合と基本的な作用は同じであるから、(a)図の説明を援用するが、特にピストン9b5 の作用については以下に若干の説明をする。ピストン9b5 は、エンジンが停止時や始動時にはその内周端がラチェット溝9b6 に係合しており、このため内輪4aは外輪4bと連結された状態であるから内輪4aと共に外輪4bが回転する。内輪4aが回転を始めて速度が上昇するにつれて、ピストン9b5 は遠心力により次第に半径方向の外方へ向って押され、ばね9b7 の弾性力に逆らってばね9b7 を縮めてピストン挿入孔内で外方へ移動する。
【0025】
エンジンE/Gが始動され、内輪4aの回転が所定以上になるとピストン9b5 への遠心力が大きくなり、逆にラチェット溝9b6 への係合が外れることとなる。そして、所定以上の回転速度ではエンジンE/Gからの駆動力が一方向のクラッチ9aを介して外輪4bから内輪4aへ伝達されることは(a)図の場合と同様である。
【0026】
図2Bの(c)図に示す双方向クラッチ9は、図2Aの(b)図のものの一部変形例である。従って、共通な部材の説明は(b)図の説明を援用する。この双方向クラッチ9は、ピストン9b5 の遠心力を利用する形式では図2Aの(b)図と同じであり、同一構成部材には同一符号を付してある。この例では、スライド軸9xが内輪4a内側の収納凹部内に設けられ、このスライド軸9xの左端に図2Aの(a)図の例と同じくドグ機構9b1 を設け、スライド軸9xの右の突出端9bxと外輪4bの内側の密閉空間の端面との間にばね9b8 が設けられている点が異なっている。
【0027】
この例では軸Axからの始動力でスライド軸9xがドグ機構9b1 を介して右へ押されてピストン9b5 がラチェット溝9b6 に係合し、所定以上の回転速度では遠心力により係合が遮断されるとスライド軸9xはばねb8 で押し戻されて完全に係合しなくなる。従って、基本作用は図2Aの(b)図のものと同じであるが、より一層確実な作用が得られる。
【0028】
図2Bの(d)図の双方向クラッチ9は、一方向クラッチ9aと同じく内輪4aと外輪4bとの境界円周上の保持部材内に他方向のクラッチ9a’を所定間隔で設けたものである。一方向のクラッチ9aは、図2Aの(a)図のものと同じくエンゲージタイプのスプラグ9a1 の複数組を所定間隔で円周上に配設されて形成されている。そして、他方向のクラッチ9a’はディスエンゲージタイプのスプラグ9a1 ’の複数組(但し図示の例ではスプラグ9a1 ’のピッチは9a1 の3つに対し1つの割合で配設)を同一円周上に配設して形成されている。
【0029】
この例では、軸Axからの回転を内輪4aから外輪4bへ伝達する方向には他方向のクラッチ9a’が作用して伝達されるが、エンジン始動後所定回転速度以上となり外輪4bが内輪4aより速く回転するようになるとエンジンE/Gの駆動力は一方向クラッチ9aを介して外輪9bから内輪4aへ伝達されることについては上記他の例と同じである。但し、上記(a)〜(c)図の3つの例がクラッチ9a、9bの回転速度が所定以上となると自動的に他方向のクラッチ9bから一方向のクラッチ9aに切替えられるのに対し、(d)図の例ではクラッチ9a、9a’の回転速度が所定以上になると自動的にディスエンゲージタイプのスプラグ9a1 ’が遠心力により非接触となり、9aのみの一方向クラッチ状態になるため、コンパクトになる点で相違する。
【0030】
図3は上記4つの形式の双方向クラッチ9のいずれかを備えた動力伝達装置10によるエンジンE/GとISGの回転数の変化の状態を示す。図から分るように、ISGをスタータ(モータ)としてスタート点で起動させて回転が始まると、所定の回転速度のp点まではISGとエンジンE/Gは同一直線状に回転速度が上昇するが、p点を過ぎた後エンジンE/Gが始動して自発動力で回転を開始すると、エンジンE/Gは自身の高周波変動トルクが生じ、回転速度が高周波域でサインカーブ状に変動する。
【0031】
このため、エンジンE/Gの回転速度は増速と減速を周期的に繰り返すが、エンジンE/Gが減速している間であっても、ISGはオルタネータとして高い慣性力で回転しているため、回転速度の減少は小さくエンジンE/Gの減速による影響を受けずに回転していることが分る。これは、所定以上の回転速度ではエンジンE/Gの回転は増速時には一方向クラッチ9aを介してISGへ伝達されてISGも同一速度で回転するが、エンジンE/Gの減速時には他方向のクラッチ9bが遮断され、かつ一方向クラッチ9aもISGの回転速度の方が大きいため相対速度差に基づいて反対方向への回転の伝達が遮断され(即ち一方向クラッチ9aが空転され)るからである。
【0032】
これに対し、(b)図の比較例で示すように、従来のスタータ(モータ)とオルタネータをそれぞれ独立に設けエンジンからベルト伝達装置にリジットタイプのプーリを含んでオルタネータへ動力を伝達するように構成した場合は、ISGとエンジンE/Gの回転数はp’点以上でも常に同じ速度で回転することとなる。これは、スタータ(モータ)によりエンジンE/Gを始動して所定以上の回転数となった後もリジットタイプのプーリを介してオルタネータを回転駆動するため、オルタネータはエンジンE/Gに同期して回転され、エンジンE/Gの高周波トルク変動の影響を受けてオルタネータの回転速度も高周波変動して変化するからである。しかし、このような回転速度の変化を伴って運転を続けると、オルタネータの慣性でプーリ上でベルトとの間にスリップが生じ、ベルトが早期摩耗することについては前述した通りである。
【0033】
図4〜図14に前述した双方向クラッチ9の4つのタイプについて、それぞれの詳細図を示す。図4〜図7の双方向クラッチ9は図2Aの(a)図の例、図8、図9は図2(a)の(b)図の例、図10〜図11は図2Bの(c)図の例、図12〜図14は図2Bの(d)図の例に対応する。
【0034】
図4、図5は双方向クラッチ9の他方向のクラッチ9bについて示し、図6は一方向クラッチ9aについて示している。図6では、一方向クラッチ9aの縦断面を示しており、クラッチ保持部材内に所定間隔に設けられた保持器9a2 内にばね9a3 で押圧されたエンゲージタイプのスプラグ9a1 が挿置されて形成されていることを示している。図5に示すように、エンジン停止時に密閉空間9b4 内の下底部に貯留された粘性流体の作動油9b3 は、図7の(a)図に示すように、スタータ(モータ)としてのISGが回転を始めると、クラッチ板9b2 と内端面との間に介在し、(b)図、(c)図に示すように、回転が所定速度以上では外周部へ移動し、エンジン始動後エンジン動力で外輪4bが回転を始めると、クラッチ板9b2 が端面から離れ一方向クラッチ9bが遮断されることが分る。
【0035】
図8は図2Aの(b)図の双方向クラッチ9の拡大断面図であり、図9に示すように、ピストン9b5 、ばね9b7 は90°間隔で十字状に4組設けられていることが分る。又、図9の(a)図ではピストン9b5 はラチェット溝9b6 に係合し、(b)図では遠心力によりピストン9b5 がラチェット溝9b6 から係合が外れた状態を示している。
【0036】
図10、図11は図2Bの(c)図の他方向のクラッチ9bに対応し、図10の(b)図に示すように、ピストン9b5 、ばね9b7 は、図8、図9の例と同様に4組設けられている。又、図10の(a)図にドグ機構9b1 、ばね9b8 が設けられていることを示している。図11の(a)図は遠心力でピストン9b5 がラチェット溝9b6 から殆ど離れた状態を示し、(b)図は完全に離れた状態を示す。
【0037】
図12〜図14は、図2B(d)図の他方向のクラッチ9bに対応し、図13に示すように、一方向クラッチ9aではエンゲージタイプのスプラグ9a1 が均等なピッチで、又他方向のクラッチ9a’は3つのスプラグ9a1 を置いてディスエンゲージタイプのスプラグ9a1 ’が1つずつ設けられていることを示している。図14の(a)図に示すように、内輪4aの矢印faの方向の回転は他方向のクラッチ9a’のスプラグ9a1 ’により外輪4bへ伝達され、(b)図に示すように外輪4bからの矢印fbの方向の回転はスプラグ9a1 により内輪4aへ伝達される。
【0038】
なお、上記実施形態ではISGとエンジンとを双方向クラッチ9で連結する場合について説明したが、双方向クラッチ9は上記実施形態に限定されず、動力の方向が運転の途中で順方向と反対方向に切替えられるような場合にも広く適用できることは言うまでもない。
【0039】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、第1の発明の車両用ベルト動力伝達装置はエンジンとスタータ・ジェネレータ、補機とをそれぞれのプーリ間に掛け回されたベルトを介して連結し、エンジン入出力とクランクプーリ間にクラッチ、スタータ・ジェネレータの軸上に双方向クラッチを設け、双方向クラッチはエンジン始動後の順方向と始動時の反対方向にクラッチとしての作用が内部で自動的に切替わるようにしたから、エンジンをスタートさせた後エンジンの駆動力でジェネレータと補機を駆動することができ、エンジンの高周波トルク変動のジェネレータへの伝達を緩和するためベルトの寿命を保持することができるという顕著な効果を奏する。
【0040】
又、車両走行中スタータ・ジェネレータによって減速する方向は双方向クラッチでは駆動方向であるから、ブレーキ回生も可能であり、燃費の改善ができる。又、ベルト寿命を保持できるためベルト幅を短縮し、エンジンをコンパクトにできるという種々の効果も得られる。
【0041】
第2の発明の双方向クラッチは、第1の発明のベルト動力伝達装置と共に使用されるエンジンにより第1の発明の効果を確実に付与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の動力伝達装置の(a)全体概略構成図、(b)制御系を含む全体概略係合図
【図2A】同上装置の双方向クラッチの(a)第1例の主要断面図、(b)第2例の主要断面図
【図2B】同上装置の双方向クラッチの(c)第3例の主要断面図、(d)第4例の主要断面図
【図3】同上装置を用いた(a)ISGとエンジンの回転速度の変化曲線を示す図、(b)従来例のオルタネータとエンジンの回転速度の変化曲線を示す図
【図4】双方向クラッチの第1例の主要部材の斜視図
【図5】双方向クラッチの第1例の主要断面図
【図6】図5の矢視VI−VIから見た部分断面図
【図7】同上のクラッチの作用の説明図
【図8】双方向クラッチの第2例の主要断面図
【図9】図8の矢視IX−IXから見た部分断面図
【図10】双方向クラッチの第3例の(a)主要断面図、(b)B−Bから見た部分断面図
【図11】同上のクラッチの作用の説明図
【図12】双方向クラッチの第4例の主要断面図
【図13】同上のクラッチの縦断面図
【図14】図13の部分拡大図
【符号の説明】
1 クランクプーリ
2 補機プーリ
4 ジェネレータプーリ
4a 内輪
4b 外輪
6 テンションプーリ
7 リブ付きベルト
8 クラッチ
9 双方向クラッチ
9a 順方向の一方向クラッチ
9b 反対方向の一方向クラッチ
10 ベルト動力伝達装置
20 制御部
Claims (12)
- エンジンの入出力軸に連結されるクランクプーリと、動力発生と発電の機能を併有するスタータ・ジェネレータの入出力軸に連結されるジェネレータプーリと、その他の補機の入力軸に連結される補機プーリとを含む複数のプーリ間にベルトを掛け回して動力を伝達するベルト動力伝達手段を構成し、エンジン入出力軸とクランクプーリとの間に動力の連結と遮断をするクラッチを設け、かつスタータ・ジェネレータの出力軸とジェネレータプーリとの間に双方向への動力の連結と遮断をする双方向クラッチを設け、この双方向クラッチはエンジン始動時にはスタータ・ジェネレータの動力をエンジンへ伝達して始動させ、エンジン始動後はエンジンから動力をモータ・ジェネレータへ伝達するように構成した車両用ベルト動力伝達装置。
- 前記エンジン入出力軸上でクランクプーリ間に設けられたクラッチを電磁クラッチとしたことを特徴とする請求項1に記載の車両用ベルト動力伝達装置。
- 前記スタータ・ジェネレータと、エンジン入出力軸上でクランクプーリ間に設けられたクラッチとを制御する制御部を設け、この制御部はエンジン停止時に上記クラッチの動力を遮断し、スタータ・ジェネレータにより双方向クラッチ及びベルトを介して他の補機を駆動するよう制御する構成としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用ベルト動力伝達装置。
- エンジン始動時にはエンジン出力軸上でクランクプーリ間に設けられたクラッチを連結状態とするように制御する制御部を設け、スタータ・ジェネレータにより双方向クラッチ及びベルトを介してエンジンを駆動するよう制御する構成としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用ベルト動力伝達装置。
- 前記双方向クラッチを係合子を用いたクラッチとし、エンジンがアイドル回転数以上の所定の回転速度域では順方向の一方向クラッチ状態、その所定の回転数以下の速度では反対方向にも駆動可能な状態に切替え自在としたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両用ベルト動力伝達装置。
- 前記双方向クラッチをジェネレータプーリ内に一体形に組込んだことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の車両用ベルト動力伝達装置。
- 内輪と外輪との間に外輪から内輪への順方向の動力を伝達するよう連結、遮断する一方向クラッチと、内輪から外輪への反対方向の動力を伝達するよう連結、遮断する一方向クラッチとを組合わせて設け、順方向の一方向クラッチを介して順方向の動力を伝達する際には反対方向の一方向クラッチの連結が遮断されるように構成した双方向クラッチ。
- 前記双方向クラッチは、始動時には反対方向の一方向クラッチが連結されているが、始動から所定回転速度以上になると回転速度に基づいて遮断されるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の双方向クラッチ。
- 前記反対方向の一方向クラッチが、外輪と内輪の軸方向で対向する端面間に形成した密閉空間内に粘性流体と、クラッチ板と、このクラッチ板を内輪端面に向って押圧するばねとを組込み、クラッチ板に設けられたドグ軸を内輪の端面に形成された挿入孔にスライド自在に挿入し、その挿入孔の内塞端面とドグ軸の端面間にクラッチ板の相対回転によって、クラッチ板を外輪の端面に向けて移動させるドグ機構を設けて成ることを特徴とする請求項8に記載の双方向クラッチ。
- 前記反対方向の一方向クラッチが、内輪の端面に突軸を設け、外輪の端壁内面に突軸を挿入し得る挿入孔を形成し、その挿入孔の内周に半径方向に向くピストン挿入孔を設け、このピストン挿入孔内にスライド自在のピストンと、ピストンを突軸の外周面に向けて押圧するばねとを組込み、突軸の外周面にはピストンの内端部に対して内輪の回転方向で係合するラチェット溝を形成して成ることを特徴とする請求項8に記載の双方向クラッチ。
- 前記反対方向の一方向クラッチが、内輪の端面にスライド軸の収納凹部を設け、この収納凹部内に組込まれて内輪の軸方向に移動可能なスライド軸の先端部外周にテーパ面を形成し、外輪の端壁内面にはスライド軸の先端部が挿入される挿入孔を設け、この挿入孔の内周に形成された半径方向のピストン挿入孔内にスライド自在のピストンと、そのピストンをスライド軸のテーパ面に向けて押圧するばねとを組込み、収納凹部の閉塞端とスライド軸の対向端面間に内輪とスライド軸の相対回転時にスライド軸を軸方向に移動させるドグ機構を設け、スライド軸のテーパ面にはスライド軸が外輪の端壁に向けて移動したときそのスライド軸の後端部が嵌合して内輪の回転方向に係合するラチェット溝を形成して成ることを特徴とする請求項8に記載の双方向クラッチ。
- 前記反対方向の一方向クラッチが、内輪の外周面と外輪の内周面間にスプラグを組込み、このスプラグを順方向の一方向クラッチと反対向きに作用するディスエンゲージタイプのスプラグとして成ることを特徴とする請求項8に記載の双方向クラッチ。
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