JP4491490B2 - 車両用過給装置 - Google Patents
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Description
また、スーパチャージャをバッテリによって給電されるスイッチ式リアクタンス電機モータによってのみ駆動するようにし、エンジンの回転数から独立して制御する電子制御式過給装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
図1はこの発明の実施の形態1に係る車両用過給装置を示すシステム構成図、図2はこの発明の実施の形態1に係る車両用過給装置における動力伝達経路を模式的に示す断面図、図3はこの発明の実施の形態1に係る車両用過給装置に適用される一方向クラッチ付きプーリを示す断面図である。
コンプレッサ7は、タービン軸8と、タービン軸8に装着された遠心型ファン形状のタービン9と、を備える、そして、コンプレッサ7はタービン9が装着されたタービン軸8を回転駆動して、空気を圧縮して大気圧以上の圧力で矢印方向に送り込む。
また、電動発電機10がランデル型の車両用電動発電機であり、固定子17の電機子巻線19に通電される電機子電流で電動制御される。そこで、時定数の小さな固定子17への電機子電流で駆動トルクが制御でき、効率の良い駆動トルクと電力の活用ができる。
さらに、コンプレッサ7が第1ベルト4を介して伝達されるエンジン1の駆動トルクにより駆動されるので、コンプレッサ7を排ガスの高熱源から遠ざけることができ、コンプレッサ7と電動発電機10との一体化の困難性を排除できる。
例えば、エンジン始動釦によるエンジン1の始動操作、あるいは停車時にロックさせた車両停止保持用のサイドブレーキを解除する操作により、エンジン1の始動動作を事前に検知すると、電子制御ユニット40がエンジン再始動を指令として発生させる。これにより、直流モータ式のスタータ、クランク軸2に直結した交流モータなどにより、クランク軸2を回転させてエンジン1を再始動させる。
そこで、電子制御ユニット40は、スタータ、直結交流モータなどによるクランク軸2の回転動作と同時、若しくは先行して、インバータ36を動作させ、バッテリ35の電力を電動発電機10に供給し、電動発電機10を電動機として動作させる。
そこで、エンジン1の再始動と同時、若しくは再始動直後から、吸気圧を自然吸気状態より高く設定でき、十分な酸素量を確保することができるので、再始動時および再始動直後などの極低速からのアクセル操作に対するエンジン駆動トルクの追従性を確保できる。
通常の車両のアイドリング回転数は500rpm程度である。プーリ比3であると、電動発電機10は1,500rpmで回転し、界磁巻線15への通電量の調整によって発電動作を行っている。つまり、電動発電機10は発電機能で動作している。この状態では、エンジン負荷は小さいので、コンプレッサ7の過給動作は必要ではない。
そこで、車両の加速開始時のエンジン回転数が低い状態でも、吸気圧を大気より高く設定でき、十分な酸素量を確保することができるので、発進直後などの極低速からのアクセル操作に対するエンジン駆動トルクの追従性を確保できる。
また、特別な切り替え機構を用いることなく、一方向クラッチ付きプーリ22を用いるだけで、コンプレッサ7の駆動を高速域ではエンジン1で駆動し、低速域では電動発電機10で駆動するように切り換えることができ、安価で信頼性の高い過給システムを実現できる。
例えば、4,000rpmまでの全域を電動発電機10で駆動すると、電動発電機10を駆動する動力は1,500rpmに対して回転数で2.6倍、駆動出力で19倍と大きな動力が必要となる。コンプレッサ7には数kWクラスの大きな動力を必要とし、そのインバータ36やバッテリ35が大型化する懸念がある。本発明では、エンジン回転数が上昇する高速域ではエンジン1の動力を使用してコンプレッサ7を駆動するので、電動発電機10に求められる駆動トルクは低速域の範囲に限定され、電動発電機10の駆動装置の容量を数百Wクラスまで下げることができる。これにより、インバータ36やバッテリ35の小型化が可能となり、安価で低コストの過給システムが実現できる。
車両加速時に、運転者が加速を継続する場合、変速機シフトアップ指令動作が発せられ、2速から3速など、ハイギヤ側に変速する。このギヤ変速に伴い、車両では自動変速機および手動変速機のいずれの場合でも、エンジン回転数を瞬間的に低減させ、その後再上昇させてハイギヤ側に合わせる。そして、エンジン回転数が急降下すると、インナクラッチ23とアウタクラッチ24との係合が解除され、電動発電機10とエンジン1との結合が切り離される。そこで、電動発電機10およびコンプレッサ7は回転慣性によって回転を継続し、過給圧が確保される。電子制御ユニット40は、この変速動作時に、電動発電機10が発電機として動作している場合には、発電を停止させる。そして、エンジン回転数が再上昇すると、インナクラッチ23とアウタクラッチ24とが係合し、コンプレッサ7がエンジン1により駆動され、過給圧が確保される。
本発明では、一方向クラッチ付きプーリ22を用いているので、変速機のシフトアップ時におけるエンジン回転数の急降下時に、電動発電機10とエンジン1との結合が切り離される。そこで、電動発電機10およびコンプレッサ7は回転慣性によって高速回転を継続し、上昇した吸気流速を維持し、変速機シフトアップに起因する吸気ロスをなくすことができる。
本発明では、電動発電機10の発電機としての動作を禁止するので、発電トルクによるコンプレッサ7の速度低下はない。そして、コンプレッサ7の速度は慣性エネルギーにより徐々に低下するものの、変速動作のように短時間であれば、コンプレッサ7は比較的高速回転を維持できる。その結果、エンジン回転数の上昇やコンプレッサ7による過給動作で得た吸気流速を維持することができ、加速時における吸気圧不足をなくすことができる。
車両が加速を完了し、運転者がアクセル操作量を減少して定常速度走行に移行する際、アクセル操作量の減少に起因してエンジン回転数が低下し、電動発電機10の慣性回転によりインナクラッチ23とアウタクラッチ24との係合が解除される。そこで、電子制御ユニット40が、車両の加速が完了し、アクセル操作量の減少を検知すると、吸気側スロットル弁を開方向に動作させると同時に、電動発電機10を発電機として駆動する。
その後、運転者がアクセル操作量を増加させ、車両を加速させると、電動発電機10を電動機として駆動し、コンプレッサ7を回転駆動し、過給圧を確保する。そして、エンジン回転数が上昇すると、電動発電機10の電動機として動作を停止するとともに、インナクラッチ23とアウタクラッチ24とが係合し、コンプレッサ7がエンジン1により駆動される。
本発明では、吸気側スロットル弁を開いて吸気抵抗を最小にしつつ、電動発電機10を発電機として動作させる。これにより、コンプレッサ7の駆動トルクが電動発電機10で電気エネルギーに変換され、タービン軸8の回転数が減少する。つまり、コンプレッサ7が回生制動され、吸気抵抗がタービン9により増大し、吸気量が制限される。このように、スロットルで捨てられていたポンピングエネルギーを電力として回生できる。
図4はこの発明の実施の形態2に係る車両用過給装置を示すシステム構成図である。
図4において、第1プーリ41が一方向クラッチ付きプーリ22と並んで回転軸13に固着されている。オイルポンプ42は、回転軸43に固着された第2プーリ44を備え、遊星歯車装置30にオイルを供給して潤滑する。そして、第2ベルト45が第1および第2プーリ41,44に掛け渡され、電動発電機10の駆動トルクがオイルポンプ42に伝達される。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
図5はこの発明の実施の形態3に係る車両用過給装置を示すシステム構成図、図6はこの発明の実施の形態3に係る車両用過給装置における動力伝達経路を模式的に示す断面図である。
図5および図6において、電動発電機10のハウジング11には、吸気孔11aと排気孔11bとが設けられ、吸気配管5のコンプレッサ7の上流側が排気孔11bに連結されている。これにより、コンプレッサ7の駆動によって、空気が吸気孔11aからハウジング11内に吸入され、回転子12および固定子17を冷却した後ハウジング11の排気孔11bから排出され、吸気配管5内を流通してコンプレッサ7に供給される吸気流Aが形成される。
なお、他の構成は、上記実施の形態1と同様に構成されている。
また、電動発電機10の発電電力を整流するダイオードブリッジをスイッチング素子とともにインバータ36に組み込むことで、ハウジング11内の反負荷側に取り付けられる整流装置などの部品が省略でき、電動発電機10の軸方向サイズの一層の縮小化が図られる。
また、上記各実施の形態では、増速機構として遊星歯車装置30を用いるものとしているが、増速機構は遊星歯車装置30に限定されるものではなく、例えば遊星ローラ装置を用いてもよい。
Claims (6)
- エンジンと、発電機能と電動機能とを備えた電動発電機と、上記エンジンの吸気配管に配設されたコンプレッサと、上記エンジンのクランク軸の駆動トルクを上記電動発電機の回転軸に伝達する動力伝達手段と、上記電動発電機の回転軸の駆動トルクを所定の増速比で上記コンプレッサのタービン軸に伝達する増速機構と、バッテリと、上記電動発電機と上記バッテリとの間で電力を直流−交流変換するインバータと、上記インバータを制御する制御手段と、を備えた車両用過給装置において、
上記動力伝達手段は、上記エンジンのクランク軸に装着されたクランクプーリと、上記電動発電機の回転軸に装着された一方向クラッチ付プーリと、上記クランクプーリと上記一方向クラッチ付プーリとに掛け渡された第1ベルトと、を有し、
上記一方向クラッチ付きプーリは、上記電動発電機の回転軸の駆動トルクが上記コンプレッサのタービン軸の負荷トルクより大きい場合に、上記エンジンのクランク軸と上記電動発電機の回転軸とが相対的に非結合状態動作となり、上記電動発電機の回転軸の駆動トルクが上記コンプレッサのタービン軸の負荷トルクより小さい場合に、上記エンジンのクランク軸と上記電動発電機の回転軸とが相対的に結合状態動作となるように構成され、
上記制御手段は、エンジン回転数が所定値以下の場合に、上記インバータを制御して上記電動発電機を電動機として駆動し、上記コンプレッサを該電動発電機により駆動させるように構成され、
上記電動発電機の回転軸に固着された第1プーリと、上記増速機構を潤滑するオイルポンプと、該オイルポンプの回転軸に固着された第2プーリと、上記第1プーリと上記第2プーリとの間に掛け渡された第2ベルトと、をさらに備えていることを特徴とする車両用過給装置。 - 上記インバータは、ヒートシンクを有し、該ヒートシンクが上記吸気配管の上記コンプレッサの上流側に配設されていることを特徴とする請求項1記載の車両用過給装置。
- 上記電動発電機のハウジングには吸気孔と排気孔とが設けられ、上記吸気配管の上記コンプレッサの上流側が上記ハウジングに設けられた排気孔に連結され、上記コンプレッサの駆動により、空気が上記吸気孔から上記ハウジング内に流入し、該ハウジング内を流通した後上記排気孔から排気され、該吸気配管内を流通することを特徴とする請求項1記載の車両用過給装置。
- 上記制御手段は、車両加速中の変速機のシフトアップ時に、上記電動発電機の発電機としての動作を禁止するように制御することを特徴とする請求項1記載の車両用過給装置。
- 上記制御手段は、車両の加速が完了し、かつアクセル操作量の減少を検知すると、吸気側スロットル弁を開方向に動作させると共に、上記電動発電機を発電機として動作させることを特徴とする請求項1記載の車両用過給装置。
- 上記電動発電機は、ランデル型の交流電動発電機であり、固定子の電機子巻線に通電される電機子電流で電動制御されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の車両用過給装置。
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