JP2004124050A - グリース組成物とオルタネータ用転がり軸受 - Google Patents

グリース組成物とオルタネータ用転がり軸受 Download PDF

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Abstract

【課題】高温状態で使用されるオルタネータ1に組み込む転がり軸受4の耐久性を確保する為に、この転がり軸受4に封入するグリース組成物の耐熱性及び耐荷重性を向上させると共に防錆性を確保する。
【解決手段】基油がパーフルオロポリエーテル油であり、増ちょう剤がフッ素系化合物であるフッ素系グリースと、このフッ素系グリース以外のグリースとを混合する事により、上記グリース組成物を形成する。又、このフッ素系グリースの混合割合を、20〜80重量%とする。そして、このグリース組成物を上記転がり軸受4の空間14に封入する事により、上記課題を解決できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オルタネータとしてもスタータモータとしても使用する場合があるスタータモータ兼用オルタネータ(ISG:Integrated Stater Generator )を含む、自動車用発電機であるオルタネータに組み込んで使用するオルタネータ用転がり軸受に封入するグリース組成物の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の走行用エンジンを駆動源として、自動車に必要な発電を行なうオルタネータの構造が、例えば特許文献1に記載されている。図1は、特許文献1に記載されたオルタネータ1を示している。ハウジング2の内側に回転軸3を、特許請求の範囲に記載したオルタネータ用転がり軸受である1対の転がり軸受4、4により、回転自在に支持している。この回転軸3の中間部には、ロータ5と整流子6とを設けている。又、この回転軸3の一端部(図1の右端部)で上記ハウジング2外に突出した部分には、従動プーリ7を固定している。エンジンへの組み付け状態では、この従動プーリ7に無端ベルトを掛け渡し、エンジンのクランクシャフトにより、上記回転軸3を回転駆動自在とする。
【0003】
上記回転軸3を上記ハウジング2に対して回転自在に支持する上記転がり軸受4は、図2に示す様に、内周面に外輪軌道8を有する外輪9と、外周面に内輪軌道10を有する内輪11と、この内輪軌道10と上記外輪軌道8との間に転動自在に設けられ、保持器12に保持された複数の転動体13とから成る。上記外輪9の内周面と上記内輪11の外周面との間の空間14にはグリース組成物を封入しており、このグリース組成物により上記外輪軌道8及び内輪軌道10と上記各転動体12との転がり接触部を潤滑している。尚、図示は省略するが、上記空間14の軸方向(図2の左右方向)両端開口部にシールリングを設け、この空間14内に封入したグリース組成物が漏出する事を防止する。この様に構成される上記転がり軸受4は、上記外輪9を上記ハウジング2に内嵌し、上記内輪11を上記回転軸3に外嵌する事により、この回転軸3を上記ハウジング2に対して回転自在に支持する。
【0004】
前述の様に構成される前記オルタネータ1は、エンジンルームの省スペース化に伴い小型化される傾向にある。即ち、近年、FF車(前置エンジン前輪駆動車)の普及により、自動車を小型軽量化すると共に、居住空間を拡大する事が行なわれている。この居住空間の拡大により上記エンジンルームの大きさが制限される為、このエンジンルームに組み込む上記オルタネータ1を小型化する事が要求される。しかし、単に、このオルタネータ1を小型化した場合、オルタネータ1の出力が低下し、自動車に必要な電力を確保する事ができない。そこで、この出力の低下を補う為に、上記オルタネータ1を構成する回転軸3を高速で回転させる事が行なわれている。即ち、上記回転軸3の中間部に固定したロータ5を高速で回転させる事により、上記オルタネータ1の発電量を増大させる。この結果、上記オルタネータ1を小型化すると共に、この小型化に伴うオルタネータ1の出力の低下を補う事ができる。
【0005】
上述の様に、オルタネータ1の回転軸3を高速で回転させる場合、この回転軸3をハウジング2に対して回転自在に支持する、上記転がり軸受4の耐久性を確保する事が重要となる。この転がり軸受4の耐久性を確保する為には、この転がり軸受4に封入するグリース組成物として優れた耐熱性及び防錆性を有するものを使用する。即ち、上記オルタネータ1はエンジン近傍に設けられる為、上記転がり軸受4の使用温度が高くなり易い。又、自動車の静粛性向上を目的としてエンジンルームを密封化した場合、エンジンルーム内が高温となる。この様に、上記オルタネータ1は使用状態で高温となり易い。従って、このオルタネータ1に組み込む上記転がり軸受4に封入するグリース組成物は、耐熱性に優れている必要がある。又、上記オルタネータ1は、雨水、泥水等がかかる場合がある為、上記グリース組成物には防錆性も要求される。
【0006】
上述の様な耐熱性及び防錆性を有するグリース組成物として従来から、ウレア−合成油系グリースが使用されている。このウレア−合成油系グリースは、基油が合成油で、増ちょう剤としてウレア系化合物を混合して成るグリース組成物である。この様なウレア−合成油系グリースは耐熱性に優れ、約170〜180℃までの温度条件ならば、良好な潤滑性能を示す。又、上記ウレア−合成油系グリースは種々の防錆剤を添加する事ができる為、防錆性を確保し易い。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−139550号公報
【特許文献2】
特開2000−273478号公報
【特許文献3】
特開2000−303088号公報
【特許文献4】
特開平11−181465号公報
【特許文献5】
特開平7−268370号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年、オルタネータ1の使用温度がより高くなる傾向にあり、より高い耐熱性を有するグリース組成物が要求されている。例えば、ラジエータからの冷却水を発電機内部に循環させる水冷式オルタネータが一部で研究されているが、この水冷式オルタネータの場合、転がり軸受が厚いハウジングの内側に配置される為、この転がり軸受の使用温度が180℃以上になる事がある。上記ウレア−合成油系グリースを180℃以上で使用した場合、基油である合成油の蒸発が激しくなってグリース組成物が硬化したり、逆に、増ちょう剤であるウレア系化合物が破壊されてグリース組成物が軟化したりして、このグリース組成物の潤滑性能が著しく劣化する。この為、上記転がり軸受4に焼き付きが生じ易くなる。
【0009】
上述の様に、オルタネータに組み込む転がり軸受の使用温度が180℃以上となる場合、この転がり軸受に封入するグリース組成物として上記ウレア−合成油系グリースを使用する事はできない。これに対して、特許文献2、3に記載されている様なフッ素系グリースは、上述の様な使用温度が180℃以上の転がり軸受に使用可能である。即ち、このフッ素系グリースは耐熱性の高いフッ素系の基油及び増ちょう剤により構成している為、優れた耐熱性を有する。従って、上述した水冷式オルタネータに組み込む転がり軸受の様に、180℃以上の高温環境下で使用される転がり軸受に封入するグリース組成物として、上記フッ素系グリースが使用可能である。尚、このフッ素系グリースは、転がり軸受に作用する荷重が小さければ、200℃の高温環境下での使用にも耐えられるが、上記荷重が大きければ、軸受内部での発熱が大きくなる為、グリースが劣化し、転がり軸受に焼き付きが生じ易くなる。
【0010】
一方、上述の様に優れた耐熱性を有する上記フッ素系グリースは、ウレア−合成油系グリースに比べて防錆性に劣る。即ち、上記フッ素系グリースに添加できる防錆剤は限られる為、このフッ素系グリースの防錆性を確保する事は難しい。この様な防錆性が劣るグリース組成物を上記オルタネータ用転がり軸受に使用する事は、前述した様に、オルタネータに雨水等がかかる場合がある為、好ましくない。又、上記フッ素系グリースの防錆性を確保すべく、固体の防錆剤を分散させて配合する事も考えられるが、この場合には、音響性能が著しく悪化する。又、上記フッ素系グリースは、高価なフッ素系の基油及び増ちょう剤により構成している為、転がり軸受のコスト上昇の原因となる。
【0011】
一方、現在使用されている自動車の大部分は、エンジンのみを動力源とするエンジン付自動車である。但し、近年は、熱効率の向上、減速・制動時のエネルギーの回生等による燃費向上、小型化、エンジンの高効率な運転の実現、アイドリングストップによる排ガス低減等を図る為に、電動モータを動力源とする電気自動車や燃料電池車、又はこの電動モータとエンジンとの組み合わせを動力源とするハイブリッド車が、一部で実用化されている。この様な、電気自動車や、燃料電池車や、ハイブリッド車の場合には、エンジンのみを動力源とするエンジン付自動車で使用されている、単なる発電用のオルタネータではなく、スタータモータとしても使用する、ISG(Integrated Starter Generator)と呼ばれる、スタータモータ兼用オルタネータを搭載する場合が多い。又、このISGには、従来から一般的に使用されているオルタネータと同様に、エンジンのクランクシャフトに固定のプーリとISGの回転軸に固定のプーリとの間に無端ベルトを掛け渡して、このクランクシャフトの回転をこのISGの回転軸に伝達するもの(ベルト駆動式)と、クランクシャフトの端部に直結する事によりこのクランクシャフトの回転をISGの回転軸に直接伝達するもの(クランクシャフト直結式)との2種類がある。このうちのクランクシャフト直結式のISGの場合には、固定の部分に対し回転軸を回転自在に支持する為の転がり軸受が不要となる場合もある。これに対して、ベルト駆動式のISGの場合には、回転軸を固定の部分に対し回転自在に支持する為の転がり軸受が必要となる。又、このベルト駆動式のISGの場合には、始動時に無端ベルトから高い張力がこのISGの回転軸の固定のプーリに加わる。そして、このプーリに加わる、無端ベルトの張力に基づく荷重の最高値は、従来から一般的に使用されている、オルタネータの従動プーリに加わる荷重の最高値よりも高くなる。この為、ベルト駆動式のISGに組み込む転がり軸受には、従来から一般的に使用されているオルタネータに組み込んでいる軸受の場合よりも大きな荷重が加わる。
【0012】
又、このオルタネータの大部分には空冷式が使用される為、このオルタネータに組み込んでいる転がり軸受の温度は最高でも180℃程度までしか上昇しない。但し、ISGには、ラジエータからの冷却水を内部に循環させる水冷式が使用される為、このISGに組み込んでいる転がり軸受の温度が、180℃以上(例えば200℃)の高温になる事がある。
従って、ISG用の転がり軸受に封入するグリース組成物には、180℃以上の高温になる環境で使用する場合でも、優れた潤滑性能を有する事が要求され、しかもベルト駆動式のISG用の転がり軸受に封入するグリース組成物には、この様な高温になる環境で、しかも高荷重が加わる状態で使用する場合でも、優れた潤滑性能を有する事が要求される。
又、ISGの場合も、前述した従来から一般的に使用されているオルタネータの場合と同様に、走行中に、雨水、泥水等がかかる場合がある為、ISG用の転がり軸受に封入するグリース組成物も、防錆性を確保する事が要求される。
【0013】
これに対して、現在、ISG用の転がり軸受に封入するグリースとしては、主に、前述した様なウレア−合成油系グリースが使用されている。このウレア−合成油系グリースは、前述した様に約170〜180℃までの温度条件ならば、良好な潤滑性能を示す。但し、180℃以上の温度で使用した場合には、基油である合成油の蒸発が激しくなってグリース組成物が硬化したり、逆に、増ちょう剤であるウレア系化合物が破壊されて、このグリース組成物の潤滑性能が著しく劣化する。この為、ISG用の転がり軸受の場合も、ウレア−合成油系グリースを使用した場合には、焼き付きが生じ易くなる。
【0014】
又、特許文献2、3に記載されている、フッ素系グリースをISG用の転がり軸受に封入する場合には、この転がり軸受に作用する荷重が小さければ、200℃の高温環境下での使用にも耐えられる。但し、この荷重が大きい場合には、軸受内部での発熱が大きくなる為、グリースが劣化し、転がり軸受に焼き付きが生じ易くなる。又、フッ素系グリースは、前述した様に、添加できる防錆剤が限られる為、ウレア−合成油系グリースに比べて防錆性に劣る。又、フッ素系グリースは、高価であり、転がり軸受のコストが上昇する原因となる。
【0015】
又、特許文献4には、鉱油と合成油とのうちの少なくとも何れかと、パーフルオロエーテル油等のフッ素油との混合油から成る基油と、ウレア化合物から成る増ちょう剤とを混合して成るグリース組成物が記載されている。但し、このグリース組成物の場合には、増ちょう剤が、フッ素系化合物ではない単なるウレア化合物である。この為、上述の様な高温環境下でこのグリース組成物を封入した転がり軸受を使用した場合に、この転がり軸受に焼き付きが生じるのを抑える効果が十分ではない。
【0016】
又、特許文献5には、基油がフルオロポリエーテル油であり、増ちょう剤がフッ素系化合物であるフッ素系グリースと、このフッ素系グリース以外のグリースとを混合して成るグリース組成物が記載されている。但し、このグリース組成物の場合には、フッ素系グリースを10重量%しか混合していない。この為、上述の様な高温環境下でこのグリース組成物を封入した転がり軸受を使用した場合に、この転がり軸受に焼き付きが生じるのを抑える効果が十分ではない。
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、優れた耐熱性及び防錆性及び耐荷重性を有するグリース組成物を安価に得る事により、高温環境下で、しかも高荷重が加わる状態で使用される場合でも、スタータモータ兼用オルタネータを含む、オルタネータ用転がり軸受の耐久性を確保すべく発明したものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明のグリース組成物とオルタネータ用転がり軸受のうち、グリース組成物は、基油がパーフルオロポリエーテル油であり、増ちょう剤がフッ素系化合物であるフッ素系グリースと、このフッ素系グリース以外のグリース(例えば、上述したウレアー合成油系グリース)とを混合して成る。
又、上記グリース組成物に混合するフッ素系グリースの割合を、20〜80重量%とする。
【0018】
又、本発明のオルタネータ用転がり軸受は、外輪と、内輪と、複数の転動体とから成る。
このうちの外輪は、内周面に外輪軌道を有する。
又、上記内輪は、外周面に内輪軌道を有する。
又、上記転動体は、上記内輪軌道と上記外輪軌道との間に転動自在に設けられている。
そして、上記外輪をオルタネータを構成するハウジングに内嵌し、上記内輪をオルタネータを構成する回転軸に外嵌する事により、この回転軸を上記ハウジングに対して回転自在に支持している。
特に、本発明のオルタネータ用転がり軸受に於いては、上記外輪の内周面と上記内輪の外周面との間で上記各転動体が存在する空間に、上述した様な構成を有するグリース組成物を封入している。
又、好ましくは、請求項3に記載した様に、上記オルタネータを、スタータモータとしても使用する場合があるスタータモータ兼用オルタネータとする。又、より好ましくは、このスタータモータ兼用オルタネータを、このスタータモータ兼用オルタネータの回転軸に固定のプーリと、エンジンのクランクシャフトに固定のプーリとの間に無端ベルトを掛け渡した状態で使用する、所謂ベルト駆動式とする。
【0019】
【作用】
上述の様に構成する本発明のグリース組成物の場合には、フッ素系グリースと、ウレアー合成油系グリース等の、フッ素系グリース以外のグリースを混合している為、優れた耐熱性を有すると共に、十分な防錆性を確保でき、更に、上記グリース組成物のコストの上昇を抑える事ができる。即ち、耐熱性の高いフッ素系グリースを混合している為、上記グリース組成物の耐熱性を向上させる事ができる。又、この耐熱性が向上する事に伴い、このグリース組成物の動粘度を低く抑える事ができ、低温時の流動性に優れたグリース組成物を得られる。更に、フッ素系グリース以外のグリースを混合する事により、種々の防錆剤を添加できる為、上記グリース組成物の防錆性を確保できる。更に、上記フッ素系グリース以外のグリースを混合する事により、上記グリース組成物のコストの上昇を抑える事ができる。例えば、単なるフッ素系グリースよりも耐熱性は劣るが、比較的耐熱性が高く、しかも安価である、金属コンプレックス石けん系やウレア系のグリースを混合する事により、安価で、しかも耐熱性が高いグリース組成物を得られる。
【0020】
又、本発明のグリース組成物の場合には、フッ素系グリースを20〜80重量%混合している為、十分な防錆性と十分な耐熱性とを確保できる。更に、本発明のグリース組成物を封入した転がり軸受を、大きな荷重が加わる状態で使用した場合でも、優れた耐焼き付き性を得られる。
【0021】
又、本発明のオルタネータ用転がり軸受は、上述したグリース組成物を封入している為、高温環境下で、しかも高荷重が加わる状態で使用される場合でも優れた耐久性を確保できる。特に、請求項3に記載した様に、オルタネータを、スタータモータとしても使用する場合があるスタータモータ兼用オルタネータとした場合には、オルタネータが180℃以上の高温で使用され、更にベルト駆動式とした場合には、高荷重が加わる状態で使用される為、本発明のグリース組成物をオルタネータ用転がり軸受に封入する事により得られる効果が顕著になる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の特徴は、前述の様なスタータモータ兼用オルタネータ(ISG)を含む、オルタネータに組み込むオルタネータ用転がり軸受に封入する、グリース組成物の組成を工夫する事により、優れた耐熱性及び防錆性及び耐荷重性を有するグリース組成物を得る事により、高温環境下で、しかも高荷重が加わる状態で使用されるオルタネータ用転がり軸受の耐久性を確保する点にある。オルタネータ及びオルタネータ用転がり軸受の構成及び作用は、前述した図1〜2に示した構造を含め、従来から広く知られ、或は実施されている構造と同様である為、詳しい説明は省略し、以下、本発明の特徴である、オルタネータ用転がり軸受に封入するグリース組成物の組成に就いて説明する。
【0023】
本例のグリース組成物は、基油がパーフルオロポリエーテル油であり、増ちょう剤がフッ素系化合物であるフッ素系グリースと、このフッ素系グリース以外のグリースとを混合する事により構成している。
先ず、上記グリース組成物を構成する上記フッ素系グリース及びフッ素系グリース以外のグリースのそれぞれの基油に就いて説明する。
このうちのフッ素系グリース以外のグリースに使用される基油は特に限定されず、通常、潤滑油の基油として使用されている油は、総て使用する事ができる。
具体例としては、鉱油系、合成油系の潤滑油等が挙げられる。このうちの鉱油系潤滑油としては、鉱油を減圧蒸留、油剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、硫酸洗浄、白土精製、水素化精製等を、適宜組み合わせて精製したものを用いる事ができる。
【0024】
又、上記合成油系潤滑油としては、炭化水素系油、芳香族系油、エステル系油、エーテル系油等が挙げられる。このうちの炭化水素系油としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、1−デセンオリゴマー、1−デセン・エチレンコオリゴマー等のポリ−α−オレフィン、又はこれらの水素化物等が挙げられる。
【0025】
又、上記芳香族系油としては、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン等のアルキルベンゼン、或はモノアルキルナフタレン、ジアルキルナフタレン、ポリアルキルナフタレン等のアルキルナフタレン等が挙げられる。
【0026】
又、上記エステル系油としては、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジトリデシルグルタレート、メチル・アセチルシノレート等のジエステル油、或はトリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート等の芳香族エステル油、又、ネオペンシルグリコールペラルゴネート、ネオペンシルグリコール−2−エチルへキサノエート、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールベラルゴネート等のポリオールエステル油、更には多価アルコールと二塩基酸・一塩基酸の混合脂肪酸とのオリゴエステルであるコンプレックスエステル油等が挙げられる。
【0027】
又、上記エーテル系油としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテル等のポリグリコール、ポリエチレン−プロピレングリコールモノエーテル、或はモノアルキルトリフェニルエーテル、アルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル、テトラフェニルエーテル、モノアルキルテトラフェニルエーテル、ジアルキルテトラフェニルエーテル等のフェニルエーテル油等が挙げられる。
【0028】
上述した様な各種潤滑油は、単独で、又は、混合する事により、前記フッ素系グリース以外のグリースの基油として用いる事ができる。又、この様なグリースの基油の動粘度を以下の様に調整する事により、転がり軸受の低温起動時の異音発生や、高温状態での焼き付きを防止する。即ち、上記グリースの、低温時に於ける流動性の確保及び、高温時に於ける油膜の形成の確保を両立させるべく、このグリースの基油の40℃に於ける動粘度を、10〜400mm /s、好ましくは20〜250mm /s、更に好ましくは40〜150mm /sに調整する。
【0029】
一方、フッ素系グリースの基油であるパーフルオロポリエーテル油の40℃に於ける動粘度に就いては、好ましくは5〜800mm /s、より好ましくは10〜400mm /sである基油が望ましい。
【0030】
上記フッ素系グリースの基油として用いられる、上記パーフルオロポリエーテル油は、次の(1)式に示す様な一般式で表される。
【化1】
Figure 2004124050
尚、Rfはパーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基等のパーフルオロ低級アルキル基である。又、p、q、rはそれぞれ自然数である。
具体的には、次の(2)〜(6)式に示す様な一般式で表すものが用いられる。
【化2】
Figure 2004124050
ここでp+q=3〜200であり、p:q=10:90〜90:10でランダムに結合しており、これはテトラフルオロエチレンの光酸化重合で生成した先駆体を完全にフッ素化する事により得られる。
【化3】
Figure 2004124050
ここでp+q=3〜200、p:q=10:90でランダムに結合しており、これはヘキサフルオロプロペンの光酸化重合で生成した先駆体を完全にフッ素化する事により得られる。
【化4】
Figure 2004124050
ここでp+q+r=3〜200、q及びrは0及び自然数であり、(q+r)/p=0〜2でランダムに結合しており、これはテトラフルオロエチレン及びへキサフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロペンの光酸化重合で生成した先駆体を完全にフッ素化する事により得られる。
【化5】
Figure 2004124050
ここで、XはCF 基またはF 原子であり、これはフッ化セシウム触媒の存在下でヘキサフルオロプロペンオキシド又はテトラフルオロエチレンオキシドをアニオン重合させ、得られた末端−CFXCOF基を有する酸フロリド化合物をフッ素ガスで処理する事により得られる。
【化6】
Figure 2004124050
これはフッ化セシウム触媒の存在下に2,2,3,3−テトラフルオロオキセタンをアニオン重合させ、得られた含フッ素ポリエーテル(CFCFCFO)n (nは自然数)を、160〜300℃の紫外線照射の下でフッ素ガス処理する事により得られる。
上述した各パーフルオロポリエーテル油は、単独で或は混合して用いる事ができる。
【0031】
次に前記フッ素系グリース及びフッ素系グリース以外のグリースのそれぞれの増ちょう剤に就いて説明する。
上記フッ素系グリース以外のグリースの増ちょう剤としては、金属コンプレックス石けん系グリース或はウレア系グリースが挙げられる。このうちの金属コンプレックス石けん系グリースとして、Li、Na、Ba、Ca、Al等から選択される金属コンプレックス石けん、又はこれらの混合物が挙げられる。又、上記ウレア系グリースの増ちょう剤としては、具体的にはジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物、ポリウレア化合物、又はこれらの混合物が挙げられる。これら金属コンプレックス石けん系グリース或はウレア系グリースのうち、転がり軸受に封入されて実際に使用された時の耐熱性、音響性を考慮すると、ウレア系グリースを上記増ちょう剤として、グリース組成物に配合する事が好ましい。
【0032】
又、上記フッ素系グリースの増ちょう剤であるフッ素系化合物としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−へキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンが挙げられる。又、上記フッ素系化合物の形状は、球形、楕円形、燐片状、扁平状、多面体(立方体や直方体)或は針状とする事ができる。尚、重合方法は、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等を使用できる。又、この重合には、通常、熱分解又は電子線照射分解法、物理的粉砕したものが用いられる。これらのフッ素系化合物は、単独で或は混合して用いられる。
【0033】
次に、前記フッ素系グリース以外のグリースと上記フッ素系グリースとの混合比に就いて説明する。
上記フッ素系グリース以外のグリースとフッ素系グリースとの混合比は、フッ素系グリース以外のグリース:フッ素系グリース=20〜80:80〜20(重量比)とする。即ち、上記フッ素系グリースを80重量%を越えて混合すると、フッ素系グリース以外のグリースの基油である鉱油或は合成油等の配合率が少なくなる為、防錆剤を有効量添加できず、十分な防錆性を得る事ができなくなる。又、高価なフッ素系グリースの、グリース組成物に占める割合が多くなる為、このグリース組成物が高価になる。逆に、グリース組成物に混合する上記フッ素系グリースが20重量%未満であると、十分な耐熱性を得られず、グリース組成物を封入した転がり軸受の焼き付き寿命が短くなる。
【0034】
尚、上記フッ素系グリース以外のグリースと上記フッ素系グリースを混合した際、混合後のグリース組成物のちょう度が、混和ちょう度番号NLGI NO.1〜3である事が望ましい。
【0035】
上述の様に構成される本例のグリース組成物に、次に示す様な、従来から知られている添加剤を必要に応じて添加する事により、このグリース組成物の各種性能を更に向上させる事ができる。
上記添加剤としては、ゲル化剤、酸化防止剤、極圧剤、油性剤、防錆剤、金属不活性剤、粘度指数向上剤、固体潤滑剤等が挙げられる。
このうちのゲル化剤としては、金属石けん、ベントン、シリカゲル等が挙げられる。
又、上記酸化防止剤としては、アミン系化合物、フェノール系化合物、イオウ系化合物、ジチオリン酸亜鉛等が挙げられる。
又、上記極圧剤としては、塩素系化合物、イオウ系化合物、リン系化合物、有機亜鉛、有機モリブデン等が挙げられる。
又、上記油性剤としては、脂肪酸、脂肪酸エステル、動植物油、高級アルコール、多価アルコール又はそのエステル、脂肪族アミン、脂肪族モノグリセライド等が挙げられる。
又、上記防錆剤としては、脂肪酸、脂肪酸石けん、脂肪酸アミン、石油スルフォネート、ジノリルナフタレンスルフォネート、ソルビタンエステル等が挙げられる。
又、上記金属不活性剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、チアジアゾール、亜硝酸ソーダ等が挙げられる。
又、上記粘度指数向上剤としては、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリイソブチレン、オレフィンコポリマー等が挙げられる。
又、上記固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン、グラファイト、チッ化ホウ素等が挙げられる。
そして、上述した各添加剤を単独、又は、2種以上組み合わせて、上記グリース組成物に添加する。この様な添加剤の添加量は、必要な性質を満たす事ができれば、特に限定されるものではないが、好ましくは20重量%以下とする。
【0036】
次に、上述した様な構成を有する本例のグリース組成物を製造する方法に就いて説明する。
本例のグリース組成物を構成する、フッ素系グリース以外のグリースを調整する方法には特に制約はないが、一般的には、基油中で増ちょう剤を反応させて得る。又、添加剤は、上記フッ素系グリース以外のグリースを調整する際に所定量を配合する事が好ましい。尚、上記添加剤を上記グリース中に配合する際に、ニーダ、高圧ホモジナイザー又は3本ロールミル等で十分攪拌して、この添加剤を上記グリース中に均一分散させる。更に、このグリース中に添加剤を配合した後にも、ニーダやロールミル等により十分撹拌して、上記添加剤を上記グリース中に均一分散させる。尚、この様に添加剤を均一分散させる処理を行なう時は、上記グリースを加熱しながら行なう事が好ましい。
【0037】
又、フッ素系グリースに就いても、上述したフッ素系グリース以外のグリースと同様に、特に調整する方法に制約はないが、このフッ素系グリースの基油と増ちょう剤とを均一分散させる為、ニーダ、高圧ホモジナイザー又は3本ロールミル等を使用する。
更に、上記フッ素系グリース以外のグリースとフッ素系グリースとの混合の際にも、ニーダ、高圧ホモジナイザー又は3本ロールミル等で十分撹拌し、均一分散させる。この処理を行なう際にも加熱しながら行なう事が有効である。
【0038】
上述の様に構成する本例のグリース組成物の場合には、フッ素系グリースとフッ素系グリース以外のグリースとを混合している為、優れた耐熱性を有すると共に、十分な防錆性を確保できる。即ち、耐熱性の高いフッ素系のグリースを混合している為、上記グリース組成物の耐熱性を向上させる事ができる。又、フッ素系グリース以外のグリースを混合する事により、種々の防錆剤を添加する事ができる為、上記グリース組成物の防錆性を確保できる。又、このグリース組成物の耐熱性が向上する事に伴い、このグリース組成物の動粘度を低くする事ができる為、低温時の流動性に優れたグリース組成物を得られる。更に、上記フッ素系グリース以外のグリースを混合する事により、上記グリース組成物のコストの上昇を抑える事ができる。例えば、単なるフッ素系グリースよりも耐熱性は劣るが、比較的耐熱性が高く、しかも安価である、金属コンプレックス石けん系やウレア系のグリースを混合する事により、安価で、しかも耐熱性が高いグリース組成物を得られる。
【0039】
又、本例のグリース組成物の場合には、フッ素系グリースを20〜80重量%混合している為、十分な防錆性と、十分な耐熱性とを確保できる。更に、本発明のグリース組成物を封入した転がり軸受を、大きな荷重が加わる状態で使用した場合でも、優れた耐焼き付き性を得られる。
【0040】
又、本例のオルタネータ用転がり軸受は、上述したグリース組成物を封入している為、高温環境下で、しかも高荷重が加わる状態で使用される場合でも優れた耐久性を確保できる。即ち、前述した図2により説明すると、外輪9の内周面と内輪11の外周面との間で、複数の転動体13が存在する空間14に封入するグリースとして、上述した様に、優れた耐熱性を有するグリース組成物を使用すれば、転がり軸受4の使用温度が180℃以上であっても、このグリース組成物の潤滑性能が低下する事がない為、この転がり軸受4に焼き付きが生じる事がない。しかも、この転がり軸受4を、高荷重が加わる状態で使用する場合でも、この転がり軸受4内に封入したグリース組成物の潤滑性能が低下する事がなく、この転がり軸受4に焼き付きが生じる事がない。又、このグリース組成物は十分な防錆性を有している為、オルタネータ1(図1参照)に泥水や雨水がかかった場合にも、上記転がり軸受4の軌道面に錆が生じる事を防ぐ事ができる。更に、オルタネータを、スタータモータとしても使用する場合があるスタータモータ兼用オルタネータ(ISG)とした場合には、オルタネータが180℃以上の高温で使用され、更にベルト駆動式とした場合には、高荷重が加わる状態で使用される為、本例のグリース組成物を転がり軸受4に封入する事により得られる効果が顕著になる。
【0041】
【実施例】
本発明の効果を確認する為に、本発明者が行なった実験に就いて説明する。尚、本発明が、以下に説明する実験に供した実施例により何ら限定されるものではない事は勿論である。
実験は、フッ素系グリース以外のグリースであるウレア系グリースとフッ素系グリースとを、後述する表1に記載した9種類の混合比で混合して成る各試料(グリース組成物)を造り、それぞれの試料に就いて、耐焼き付き性及び防錆性を調べた。尚、各試料の調整は次の様に行なった。
【0042】
即ち、上記ウレア系グリースとしては、基油としてエステル油を、増ちょう剤としてジウレア化合物を混合して成るものを使用した。このウレア系グリースを得る為に、先ず、このジウレア系化合物としてジイソシアネートを混合した基油と、防錆剤であるアミンを添加した基油とを加熱しながら撹拌して半固体状物を得た。そして、予め酸化防止剤であるアミン系化合物を溶解した基油を、上述の様に得られた半固体状物に加えて十分撹拌する事により、上記ウレア系グリースを得た。
又、フッ素系グリースは、基油であるPFPE(パーフルオロポリエーテル油)に、増ちょう剤であるPTFE(ポリ四フッ化エチレン樹脂)粉末を十分混合し、三段ロールミルにより混練して得た。
そして、上述の様な製法により得られた、ウレア系グリースとフッ素系グリースとを、次の表1に示す混合比により混合した。即ち、上記ウレア系、フッ素系両グリースを上述の様な製法によりそれぞれ混練した後、これら両グリースを各混合比で混合し、ロールミルで攪拌する事により、上記各試料(グリース組成物)を得た。尚、これら各試料のちょう度は、混和ちょう度番号NLGI NO.1〜3に調整した。
【0043】
【表1】
Figure 2004124050
【0044】
上述した様に調整された上記各試料に就いて、次述する試験方法により、耐焼き付き性及び防錆性を調べた。
(耐焼き付き性試験)
先ず、耐焼き付き性試験に就いて説明する。この試験では、内径17mm、外径47mm、幅14mmの、図2に示す様な、深溝型の転がり軸受4を使用した。又、図示の例では省略しているが、試験に使用した転がり軸受4では、接触型のゴムシールを、外輪9の内周面と内輪11の外周面との間に存在する空間14の軸方向両端開口部に設けた。そして、上述した各試料を、この空間14のうち保持器12及び各転動体13を除く空間の容積(静的空間容積)の30%封入した。そして、この様に各試料を封入した上記転がり軸受4を、次の条件で内輪回転させた。
試験条件
外輪9の温度 : 190℃
回転速度   : 20000min−1
ラジアル荷重 : 1320N
【0045】
上述の様な方法で行なった本試験では次の様に耐焼き付き性を判断した。即ち、上記外輪9の温度が200℃以上に達した場合には、上記転がり軸受4に焼き付きが生じたとして試験を終了し、この焼き付きまでの時間(焼き付き寿命時間)を計測した。そして、本試験では、この焼き付き寿命時間が500時間以上であれば十分耐焼き付き性を有すると判断した。又、試験回数は各試料毎に4回ずつ、合計36回行なった。これら各試料毎に4回ずつ行なった試験に於ける焼き付き寿命時間の最小値を表したグラフを図3に破線で示す。尚、図3では、左側の縦軸が焼き付き寿命時間を、横軸が各試料のフッ素系グリースの混合比をそれぞれ示している。この図3から明らかな様に、フッ素系グリースの混合比が20重量%以上であれば、焼き付き寿命時間が500時間以上となり、耐焼き付き性を十分有する事が分かる。逆に、上記フッ素系グリースの混合比が20重量%未満であれば、耐熱性の高いフッ素系グリースの量が足りない為、グリース組成物の耐熱性を十分に確保する事ができず、グリース組成物が劣化して上記転がり軸受4に焼き付きが生じる。
【0046】
(防錆性試験)
次に、防錆性試験に就いて説明する。この試験では、上述した耐焼き付き性試験に使用した転がり軸受4と同様に、内径17mm、外径47mm、幅14mmで、空間14の軸方向両端開口部に接触型のゴムシールを設けた深溝型の転がり軸受4を使用した。そして、前述した各試料を、この転がり軸受4の静的空間容積の50%封入した。本試験では、最初に内輪11を1800min−1 で30秒間慣らし回転し、その後、上記空間14内に、0.5重量%塩水を0.5cc注水し、再び上記内輪11を1800min−1 で30秒間慣らし回転した。次いで、この転がり軸受4を、温度80℃、湿度100%に保持した恒温恒湿槽内に48時間放置した後分解して、外輪軌道8若しくは内輪軌道10の軌道面の錆び状況を肉眼で観察した。尚、この錆び状況の判断は、次の表2に示す錆評価点により判断した。
【0047】
【表2】
Figure 2004124050
【0048】
上述した防錆性試験の結果を図3に実線で示す。尚、上記錆評価点が5〜7であれば防錆性が良好であるとした。この図3から明らかな様に、フッ素系グリースの混合比が80重量%以下であれば防錆性が良好である事が分かる。逆に、上記フッ素系グリースの混合比が80重量%を越えると、種々の防錆剤を添加する事ができるフッ素系グリース以外のグリースの量が少なく、グリース組成物中に添加される防錆剤の量が足りない為に、防錆性を十分に確保できない。
【0049】
上述した防錆性試験及び前述した耐焼き付き性試験の結果より、グリース組成物に混合するフッ素系グリースの混合比が20〜80重量%であるグリース組成物であれば、耐焼き付き性及び防錆性を有する事が分かる。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、十分な耐焼き付き性及び防錆性及び耐荷重性を有するグリース組成物を安価に得る事ができる。更に、このグリース組成物を封入したオルタネータ用転がり軸受の十分な耐久性及び信頼性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来から知られているオルタネータの1例を示す断面図。
【図2】本発明の対象となるオルタネータ用転がり軸受の1例を示す部分断面図
【図3】フッ素系グリースの混合比と焼き付き寿命時間及び錆評価点との関係を示す線図。
【符号の説明】
1  オルタネータ
2  ハウジング
3  回転軸
4  転がり軸受
5  ロータ
6  整流子
7  従動プーリ
8  外輪軌道
9  外輪
10  内輪軌道
11  内輪
12  保持器
13  転動体
14  空間

Claims (3)

  1. 基油がパーフルオロポリエーテル油であり、増ちょう剤がフッ素系化合物であるフッ素系グリースと、このフッ素系グリース以外のグリースとを混合して成り、このフッ素系グリースを20〜80重量%混合したグリース組成物。
  2. 内周面に外輪軌道を有する外輪と、外周面に内輪軌道を有する内輪と、これら内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数の転動体とを備え、上記外輪をオルタネータを構成するハウジングに内嵌し、上記内輪をオルタネータを構成する回転軸に外嵌する事により、この回転軸を上記ハウジングに対して回転自在に支持するオルタネータ用転がり軸受に於いて、上記外輪の内周面と上記内輪の外周面との間で上記各転動体が存在する空間に、請求項1に記載したグリース組成物を封入したオルタネータ用転がり軸受。
  3. オルタネータが、スタータモータとしても使用する場合があるスタータモータ兼用オルタネータである、請求項2に記載したオルタネータ用転がり軸受。
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