JP2009149901A - 自動車の冷却ファン用転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温焼付き寿命、防錆性及び低温流動性を兼ね備え、かつ比較的安価な自動車の冷却ファン用転がり軸受を提供する。
【解決手段】それぞれ増ちょう剤含有量が8〜35質量%である金属コンプレックス石けん系グリース及びウレア系グリースの少なくとも一方と、パーフルオロポリエーテル油を基油とし、増ちょう剤としてポリテトラフルオロエチレンを15〜42.5質量%含有するフッ素系グリースとを、質量比で、金属コンプレックス石けん系及びウレア系グリースの少なくとも一方:フッ素系グリース=40〜60:60〜40の割合で、かつ増ちょう剤の総量が24〜28質量%となるように混合したグリース組成物を封入した自動車の冷却ファン用転がり軸受。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車用エンジンのラジエータに通風するための冷却ファンである電動ファンモータやファンカップリングの軸受に使用され、200℃近い高温から−40℃程度の低温までの広い温度範囲で使用でき、優れた高温焼付き寿命、錆び止め性能を有する自動車の冷却ファン用転がり軸受に関する。
自動車は小型軽量化や、さらには居住空間拡大の要望により、エンジンルーム空間の減少を余儀なくされ、電装部品・エンジン補機の小型軽量化がより一層進められている。加えて、静粛性向上の要望によりエンジンルームの密閉化が進み、エンジンルーム内の高温化が促進されるため、上記各部品は高温に耐えることも必要となっている。また、上記各部品はエンジンルームの下部に取り付けられていることが多いため、走行中、雨水などがかかりやすく、この箇所の転がり軸受に使用されているグリースには、他の箇所に使用されるグリースよりも、錆び止め性能に優れたグリースが必要とされる。
上記のようなエンジンルーム内の高温化に伴い、例えば電動ファンモータの軸受では、従来130〜150℃の軸受温度で使用されてきたが、180〜200℃の高温下にも耐え得るような軸受が必要とされてきている。従来の150℃以下の軸受では、例えば特許文献1に示されているように、合成油系潤滑油にウレア系化合物を配合させたグリースを封入することで対応してきた。しかし、このグリースも、160℃以上の高温下では早期に焼付きを生じるため、耐熱性のより高いグリースが必要とされる。
耐熱性の向上のために、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を増ちょう剤に配合し、パーフルオロポリエーテル油を基油としたフッ素系グリースを封入することにより、160℃以上の環境下でも使用可能な軸受となることが知られている。しかし、このフッ素系グリースは、一般的な合成油系グリースに配合されている防錆剤を添加することが難しく、錆び止め性能に劣る傾向がある。固体の防錆剤を分散させて配合する方法も考えられるが、固体の防錆剤を配合すると音響性能が著しく低下する。更に、フッ素系グリースは、合成油系グリースに比べて5〜20倍程度高価であるという問題もある。
また、特許文献2に示されているように、ウレア系グリースにフッ素油を配合して耐熱性を向上させたグリース組成物も知られている。しかし、基油が鉱油あるいは合成油であることから、フッ素油との親和性が無く、離油が大きく、特に電動ファンモータ等のような高速で回転する部品の軸受には不適である。更に、特許文献3に示されているように、水素添加された鉱油または合成油と、フルオロポリエーテル油を基油とするグリースも知られているが、増ちょう剤の量が3〜20質量%と少ないため、離油やせん断安定性に劣るという問題を抱えている。
特許第1,982,669号公報 特開平11−181465号公報 特開平07−268370号公報
上記のように、自動車用エンジンのラジエータに通風するための冷却ファンである電動ファンモータやファンカップリングの軸受では、設置環境がより高温になることに伴い、焼付き寿命が低下する傾向にあるため、この寿命を確保すべく、グリースの耐熱性を更に向上させる必要がある。また、走行中、雨水等がかかりやすい軸受に使用されているため、使用するグリースには、他の箇所に使用されるグリースよりも、錆び止め性能に優れたることが同時に要求される。更には、低温時にエンジンを起動させる際に発生する異音の発生を防止するため、低温時における流動性も必要となってくる。しかし、このような電動ファンモータやファンカップリング用軸受における要求は、上記のように、従来のグリースを封入した軸受では満たすことができない。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、高温焼付き寿命、防錆性及び低温流動性を兼ね備え、かつ比較的安価な自動車の冷却ファン用転がり軸受を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記目的を達成するために、自動車の冷却ファンに使用される転がり軸受であって、内輪と外輪との間に複数の転動体を転動自在に保持し、グリースを封入してなる転がり軸受において、前記グリースが、それぞれ増ちょう剤含有量が8〜35質量%である金属コンプレックス石けん系グリース及びウレア系グリースの少なくとも一方と、パーフルオロポリエーテル油を基油とし、増ちょう剤としてポリテトラフルオロエチレンを15〜42.5質量%含有するフッ素系グリースとを、質量比で、金属コンプレックス石けん系及びウレア系グリースの少なくとも一方:フッ素系グリース=40〜60:60〜40の割合で、かつ増ちょう剤の総量が24〜28質量%となるように混合したグリース組成物であることを特徴とする自動車の冷却ファン用転がり軸受(以下、単に転がり軸受ともいう)を提供する。
本発明の転がり軸受では、封入するグリース組成物が、フッ素系グリースを所定量配合したことにより、優れた高温耐久性を維持でき、またグリースの基油粘度を低く抑えることができ、低温流動性にも優れている。また、グリース組成物に金属コンプレックス石けん系グリースやウレア系グリースを所定量配合したことにより、これらのグリースにおける基油の鉱油あるいは合成油の作用によって、様々な防錆剤を添加できるため、優れた防錆性を維持できる。更に、金属コンプレックス石けん系グリースやウレア系グリースは安価であることから、グリース組成物全体として、フッ素系グリース単独の場合に比べて安価となる。
本発明によれば、フッ素系グリースの高温焼付き寿命と合成油系グリースの防錆性、低温流動性を兼ね備え、かつ比較的安価なグリースの封入された自動車の冷却ファン用転がり軸受が提供される。
本発明の転がり軸受の一実施形態である玉軸受を示す断面図である。 実施例及び比較例における焼付き試験および防錆試験の結果を示すグラフである。 実施例及び比較例における焼付き試験およびグリース漏れ試験の結果を示すグラフである。
以下、本発明の転がり軸受に関して詳細に説明する。
本発明において、転がり軸受の構造自体は制限されるものではなく、例えば図1に断面図として示される玉軸受1を例示することができる。この玉軸受1は、内輪10と外輪11との間に、保持器12を介して複数の転動体である玉13を転動自在に保持し、更に、内輪10と外輪11と玉13とで形成される軸受空間Sにグリース組成物(図示せず)を充填し、シール部材14により封止して構成されている。
本発明で用いるグリース組成物は、金属コンプレックス石けん系グリース、あるいはウレア系グリース、あるいはこれら両グリースと、フッ素系グリースとを一定の割合で混合したものである。以下に、これらグリースの詳細を説明する。
[金属コンプレックス石けん系グリース、ウレア系グリース]
金属コンプレックス石けん系グリースあるいはウレア系グリースとしては、従来の金属コンプレックス石けん系グリースあるいはウレア系グリースを適宜用いることができる。この金属コンプレックス石けん系あるいはウレア系グリースとしては、グリース組成物の低温流動性不足による低温起動時の異音発生や、高温で油膜が形成され難いために起こる焼付きを避けるために、基油の40℃における動粘度が、好ましくは10〜400mm/sec、より好ましくは20〜250mm/sec、さらに好ましくは40〜150mm/secであるものが望ましい。
また、基油の種類は、防錆剤等の添加剤を容易に含有することができる点から、鉱油系、合成油系の潤滑油等が好適であると言える。鉱油系潤滑油としては、鉱油を、減圧蒸留、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、硫酸洗浄、白土精製、水素化精製等を適宜組み合わせて精製したものが好ましい。合成油系潤滑油としては、炭化水素系油、芳香族系油、エステル系油、エーテル系油等が挙げられる。炭化水素系油としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、1−デセンオリゴマー、1−デセンとエチレンコオリゴマーなどのポリ−α−オレフィンまたはこれらの水素化物等が挙げられる。芳香族系油としては、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼンなどのアルキルベンゼン、あるいはモノアルキルナフタレン、ジアルキルナフタレン、ポリアルキルナフタレン等のアルキルナフタレン等が挙げられる。エステル系油としては、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジトリデシルグルタレート、メチル・アセチルシノレートなどのジエステル油、あるいはトリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート等の芳香族エステル油、更にはトリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールベラルゴネート等のポリオールエステル油、更にはまた、多価アルコールと二塩基酸・一塩基酸の混合脂肪酸とのオリゴエステルであるコンプレックスエステル油等が挙げられる。エーテル系油としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテル等のポリグリコール、あるいはモノアルキルトリフェニルエーテル、アルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル、テトラフェニルエーテル、モノアルキルテトラフェニルエーテル、ジアルキルテトラフェニルエーテル等のフェニルエーテル油等が挙げられる。これらの基油は、単独または混合物として用いることができ、一般に上述した好ましい動粘度に調整される。これら基油の中でも、フッ素系グリースの基油であるパーフルオロポリエーテル油と比較的親和性の高い、エーテル系油及びエステル系油が好ましく用いられる。
金属コンプレックス石けん系グリースの増ちょう剤としては、Li、Na、Ba、Ca等から選択される金属コンプレックス石けん、またはこれらの混合物が挙げられる。ウレア系グリースの増ちょう剤としては、ジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物、ポリウレア化合物、またはこれらの混合物が挙げられる。これらの増ちょう剤は、単独または混合物として用いることができる。
また、金属コンプレックス石けん系あるいはウレア系グリースの増ちょう剤量は、何れも8〜35質量%、好ましくは10〜30質量%の範囲である。
上記した金属コンプレックス石けん系あるいはウレア系グリースは、必要に応じて、その何れか一方のみを用いることもできるし、両グリースを併用することもできる。得られるグリース組成物の耐熱性、音響性を考慮すると、ウレア系グリースを用いることが望ましい。また、両グリースを併用する場合、金属コンプレックス石けん系グリースとウレア系グリースとの配合割合は、必要に応じて任意に適宜設定することができる。
[フッ素系グリース]
一方、フッ素系グリースとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を増ちょう剤とし、パーフルオロポリエーテル油(PFPE)を基油としたフッ素系グリースを用いることができる。また、このフッ素系グリースは、低温流動性不足による低温起動時の異音発生や、高温で油膜が形成され難いために起こる焼付きを避けるために、PFPEの40℃における動粘度が、好ましくは20〜400mm/sec、より好ましくは30〜200mm/secであることが望ましい。
また、PFPEとしては、特に限定されず、一般にフッ素系グリースに用いられているものを適宜用いることができる。これらの基油は、単独または混合物として用いることができる。
PTFEは球形、多面体(立方体や直方体)や極端には針状でも構わない。これらのPTFEは、単独または混合物として用いることができる。
また、PTFEの含有量は、15〜42.5質量%、好ましくは15〜35質量%の範囲である。
[グリース組成物の組成]
本発明で使用するグリース組成物は、上記した金属コンプレックス石けん系グリース及びウレア系グリースの少なくとも一方と、フッ素系グリースとを、質量比にて、金属コンプレックス石けん及びウレア系グリースの少なくとも一方:フッ素系グリース=40〜60:60〜40の割合で混合したものである。60質量%を超えてフッ素系グリースを配合すると、金属コンプレックス石けん、ウレア系グリースが少なすぎ、その中に基油として含まれる鉱油や合成油の配合率が少なくなるため、防錆剤を有効量添加できず、十分な防錆性を得ることができなくなる。しかも、フッ素系グリースが多くなるため、グリース組成物の原料コストがフッ素系グリース並に高価となってしまう。一方、フッ素系グリースが40質量%未満であると、グリース組成物に十分な耐熱性を付与できず、軸受の焼付き寿命が短くなる。
また、グリース組成物中の増ちょう剤の総量、即ち金属石けん、ウレア化合物及びPTFEの総量を24〜28質量%にする。グリース組成物中の増ちょう剤総量が24質量%未満であると、離油が大きいこと、せん断安定性に劣ることなどから、グリース漏れが発生し、焼付き寿命が短くなる。また、28質量%を超えると、グリース組成物の流動性が大きくなり、軸受内外輪と転動体との転走面にグリースが入り込まなくなるため、焼付き寿命や、低温性に問題が出てくる。
[グリース組成物のちょう度]
また、グリース組成物のちょう度は、金属コンプレックス石けん系グリース及びウレア系グリースの少なくとも一方と、フッ素系グリースとを混合した際、混合後にNLGI No.0〜3となることがより望ましい。
[添加剤]
上記グリース組成物には、その性能を一層高めるため、必要に応じて、従来からグリースに用いられている公知の一般的な添加剤を含有させることができる。添加剤は、基油の溶解性から、金属コンプレックス系グリースやウレア系グリースに添加される。添加剤としては、例えば、ベントン、シリカゲル等のゲル化剤;アミン系、フェノール系、イオウ系、ジチオリン酸亜鉛等の酸化防止剤;塩素系、イオウ系、リン系、ジチオリン酸亜鉛、有機モリブテン等の極圧剤;脂肪酸、動植物油等の油性剤;石油スルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート、ソルビタンエステル等の防錆剤;ベンゾトリアゾール、亜硝酸ソーダ等の金属不活性剤;ポリメタクリレート、ポリイソブチレン、ポリスチレン等の粘度指数向上剤等が挙げられ、これらを単独または2種以上組み合わせて添加することができる。中でも、本発明の転がり軸受の主たる用途である、高温で、水がかかるような部位での使用を考慮すると、酸化防止剤や防錆剤の添加が好ましい。また、これら添加剤の添加量は、本発明の所期の目的を達成できれば特に限定されるものではないが、20質量%以下含有させることができる。
[グリース組成物の製法]
グリース組成物の構成成分である金属コンプレックス石けん系グリース、ウレア系グリースの調製方法には特に制約はなく、何れも基油中で増ちょう剤を反応させることにより得られる。添加剤を配合する場合は、添加剤を添加した後、ニーダやロールミル等の攪拌、混練手段で十分に攪拌、混練し、均一に分散させる必要がある。この攪拌、混練に際し、加熱するのも有効である。
また、フッ素系グリースの調製方法にも特に制約はなく、パーフルオロポリエーテル油に、PTFE粉末を混合し、三段ロールミル等によって混練することにより得られる。
そして、金属コンプレックス石けん系及びウレア系グリースの少なくとも一方と、フッ素系グリースとを、所定の割合で配合し、ニーダやロールミル等の攪拌、混練手段で十分に攪拌、混練し、相互に均一に分散させることにより、グリース組成物が得られる。この処理を行うときは、加熱するのも有効である。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
[実施例1〜4、比較例1〜12]
表1及び表2に示す組成のウレア系グリース、金属コンプレックス石けん系グリース、フッ素系グリースをそれぞれ調製した。尚、ウレア系グリースは、ジイソシアネートを混合した基油とアミンを混合した基油とを反応させ、攪拌加熱して得られた半固体状物に、予め基油に溶解したアミン系酸化防止剤を加えて十分攪拌を行って調製した。その際、ジイソシアネート及びアミンの量を、表2に示すような増ちょう剤量となるように調整した。また、金属コンプレックス石けん系グリースについては、12ヒドロキシステアリン酸と水酸化リチウムとのけん化反応(一次けん化反応)後に、二塩基酸と水酸化リチウムを加えてけん化反応(二次けん化反応)させ、けん化反応終了後に、グリースを180℃まで加熱し、基油を加えて室温まで冷却し、三段ロールミルによる混練を行って調製した。また、フッ素系グリースについては、PFPEに、30質量%または22質量%のPTFE粉末を十分に混合し、三段ロールミルによる混練を行って調製した。
Figure 2009149901
Figure 2009149901
そして、金属(Li)コンプレックス石けん系グリースと、PTFE30質量%のフッ素系グリースとを、表1に示す質量比にて混合し、その後ロールミルを通すことによって各試験用グリース組成物を得た。尚、得られた各試験用グリース組成物のちょう度は、何れもNLGI No.2程度であった。そして、得られた各試験用グリース組成物を試験軸受に封入し、下記に示す焼付き試験及び防錆試験を行った。結果を図2に示した。尚、図2において、●印プロットが焼付き試験結果であり、△印プロットが防錆試験結果である。
また、ウレア系グリースと、フッ素系グリースとを表2に示す質量比にて混合し、その後ロールミルを通すことによって各試験用グリース組成物を得た。尚、得られた各試験用グリース組成物のちょう度はNLGI No.1〜3であった。そして、得られた各試験用グリース組成物を試験軸受に封入し、下記に示す焼付き試験及びグリース漏れ試験を行った。結果を図3に示した。尚、図3において、●印プロットが焼付き試験結果であり、△印プロットがグリース漏れ試験結果である。
(焼付き試験)
内径φ8mm、外径φ22mm、幅7mmの鉄シールド板付き深溝玉軸受に、各グリース組成物を空間容積の50%を占めるように封入し、内輪回転速度3000min−1、軸受温度180℃、アキシアル荷重59Nの条件で軸受を連続回転させた。焼付きが生じて軸受外輪温度が190℃以上に上昇したときに試験を終了し、1000時間以上を合格とした。試験は、同一の軸受につき4例行った。
(防錆試験)
内径φ17mm、外径φ47mm、幅14mmのゴムシール付き深溝玉軸受に、各グリース組成物を空間容積の50%を占めるように封入し、1800min−1で30秒間慣らし回転した。その後、この玉軸受内に、0.5質量%塩水を0.5cc注水し、再び1800min−1で30秒間慣らし回転した。次いで、この玉軸受を80℃、100%RHに保持した恒湿恒温槽内に48時間放置した後分解し、軸受軌道面の錆状況を肉眼で観察した。この防錆試験の錆評価点と錆状況は、以下に示す通りである。
#7:錆なし
#6:しみ錆(しみ状の微少錆)
#5:点錆(φ0.3mm以下)
#4:小錆(φ1.0mm以下)
#3:中錆(φ5.0mm以下)
#2:大錆(φ10.0mm以下)
#1:極大錆(ほぼ全面に錆発生)
尚、#7〜5を良好とし、#4〜1を不良とした。
(グリース漏れ試験)
内径φ17mm、外径φ40mm、幅12mmのゴムシール付き深溝玉軸受に、各グリース組成物を軸受空間容積の35%を占めるように封入し、内輪回転速度14500min−1、軸受外輪温度180℃、アキシアル荷重200Nの条件で軸受を20時間回転させ、試験終了時までに漏洩したグリースの質量を測定した。試験は、同一の軸受につき4例行い、漏れ量が10質量%以下を合格とした。
図2及び図3に示すように、フッ素系グリースの混合比が40〜60質量%の範囲にあり、かつ増ちょう剤総量が24〜28質量%の範囲にあるグリース組成物を封入することにより、焼付き寿命を改善できることが判る。また、図2からは錆びの発生を抑えることができ、図3からはグリース漏れを抑えることができることが判る。
1 玉軸受
10 内輪
11 外輪
12 保持器
13 玉
14 シール部材

Claims (5)

  1. 自動車の冷却ファンに使用される転がり軸受であって、内輪と外輪との間に複数の転動体を転動自在に保持し、グリースを封入してなる転がり軸受において、
    前記グリースが、それぞれ増ちょう剤含有量が8〜35質量%である金属コンプレックス石けん系グリース及びウレア系グリースの少なくとも一方と、パーフルオロポリエーテル油を基油とし、増ちょう剤としてポリテトラフルオロエチレンを15〜42.5質量%含有するフッ素系グリースとを、質量比で、金属コンプレックス石けん系及びウレア系グリースの少なくとも一方:フッ素系グリース=40〜60:60〜40の割合で、かつ増ちょう剤の総量が24〜28質量%となるように混合したグリース組成物であることを特徴とする自動車の冷却ファン用転がり軸受。
  2. 電動ファンモータ用であることを特徴とする請求項1記載の自動車の冷却ファン用転がり軸受。
  3. 金属コンプレックス石けん系グリースの増ちょう剤が、リチウムコンプレクス石けんであることを特徴とする請求項1記載の冷却ファン用転がり軸受。
  4. ウレア系グリースの増ちょう剤が、ジウレア化合物であることを特徴とする請求項1記載の冷却ファン用転がり軸受。
  5. 金属コンプレックス石けん系グリース及びウレア系グリースの基油動粘度が、10〜400mm/s(40℃)であることを特徴とする請求項1記載の冷却ファン用転がり軸受。
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